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佐藤(達)
政府委員 ただいま御
指摘のように、
行政執行法の中には
一條、
二條、三條、四條というような、ただいま
本案において取上げております以外のことが、取上げ
規定されております。殊に
行政檢束の
規定のごときは、幾多の暗い
陰影をもつた沿革をも
つておるのであります。これらについての
政府の
考え方といたしましては、すべての
行政分野を網羅して
一條、
二條、三條、四條というような
規定が全然不必要かどうかという点については、これは
十分檢討をしたわけであります。なおまた今後
檢討をし続けようという態度をも
つておるわけであります。
結論は、むしろ
背水の陣を布いて、こういう新
憲法の光のもとに照して見た場合に、何か若干の
調整を要するというような
條文は一挙に抹殺してしまう、そして新たなる
措置のもとに、どうしても必要であるというところに一々の
立法をしていうというのが、
政府の達しました
結論であります。しかしてさような
背水の陣を
布つて、一体大丈夫かという
懸念が残るのでありますが、一
通り今日のわれわれの
研究の結果を申し上げますと、
一條の
行政檢束というのは、大体醉つぱらいでありますとか、
氣違いでありますとか、
自殺云々というようなことであ
つて、
隣人の愛をも
つて手を差伸べて
救護をする場合とさしたる違いのない場合であります。殊に
警察官というものが
國民の
生命身体の
保護という
責任をも
つておりますから、普通の
隣人の場合であつたら横を見て
通つてもよいことであ
つても、
警察官は職務上その
救護の手を差伸べなけれでならぬという
事柄でありますので、
警備官がその場合とるべき
措置というものは、やはり
隣人のとるべき
措置と同じであ
つてもよいのではないか。二十四時間
云々というような
檢束の
期間というものがありますと、かえ
つてそれだけは
檢束ができるというような形にな
つてまいりまして、
從前のいろいろな弊害のもとにもなるというようなことで、少くとも
一條関係は、そういう
意味からい
つても、今特に取立てて今日残さなければならぬというようなことはないのではないかという
氣持でおるわけであります。
その他その
関係の
法制といたしましては、御
承知の
生活保護法でありますとか、
精神病者の
看護法でありますとか、
水難救護法とか、大体その点カバーをしている点がありますが、一應これは抹殺して出直そうという頭であります。それから
二條等においてもそうでありますが、顯著なのは三條の密賣淫
云々の
條項であります。これは実際上必要があ
つて活用されてお
つたのでありますが、御
承知のように、最近
花柳病予防法の特例というものができておりまして、これは実際上も必要がないわけであります。それからなお大きな問題としては、四
條あたりで、
土地物件の
使用制限というようなことがございますが、これは前の
國会で御審議を得ました
災害救助法とか、あるいは
地方自治法等にもその途がありますので、今のところはその途によ
つて処置をしていこうということで考えているわけであります。先ほども触れましたように、一應これを抹殺してみて、どうしても必要だということが起れば、またそれはその見地で
立法を新たにしようという
氣持でいるわけであります。