運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1948-03-25 第2回国会 衆議院 司法委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年三月二十五日(木曜日) 午前十一時二分
開議
出席委員
委員長
松永
義雄君
理事
石川金次郎
君
理事
荊木 一久君
理事
鍛冶
良作君 井伊 誠一君 池谷 信一君 石井
繁丸
君 榊原 千代君 中村 俊夫君 八並 達雄君 吉田 安君
岡井藤志郎
君 佐瀬 昌三君
出席政府委員
法務廳事務官
國宗
榮君
委員外
の
出席者
專門調査員
村 教三君
專門調査員
小木 貞一君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
軽犯罪法案
(
内閣提出
)(第一三号) —————————————
松永義雄
1
○
松永
委員長
これより
会議
を開きます。
軽犯罪法案
について審査を進めます。
石川金次郎
君。
石川金次郎
2
○
石川委員
これからお聽きいたしますことは、きわめてつまらないことになりますが、まずこの
軽犯罪法
の
違反行為者
があ
つた
といたしましたならば、これを取調べから
裁判
を受けるに至る
手続
につきまして、お教え願いたいと存じます。
國宗榮
3
○
國宗政府委員
軽犯罪法
に違反した者がありますと、
通常
の場合におきましては、
警察官
がこれを取調べまして、そして
檢察官
に送致いたしまして、
檢察官
がこれを
簡易裁判者
に起訴いたしまして処理するのでありますが、その間におきまして、
警察官
が取調べます場合に、普通にいわゆる
強制手続
を用いないで調べる場合が
通常
でありますけれ
ども
、しかしこの
軽犯罪法
におきましても、
逮捕状
の
請求
はできるわけであります。從いまして
強制力
を用いて調べる場合もあり得ると存ずるのであります。
ただ
現行犯
の場合におきましては、
刑事訴訟
の
規定
によりまして、
住居
が明らかでない、あるいは氏名が分明でない、逃走におそれがある、こういう
條件
がなければ、
拘置科料
に該当する罪でありますから、
ただ
ちに
現行犯
として逮捕することができない。か
よう
な
制限
はございますけれ
ども
、
逮捕状
の
請求
につきましては、別に何らの
制限
はございませんので、
強制手続
が用い得られる、こういう
法律
上の
権限
が
警察官
に與えられております。しかし実際の問題といたしましては、か
よう
な軽微な
犯罪
につきまして、
逮捕状
を用いて
身柄
を拘束し調べることは、不適当だろうと思うのであります。実際は
違反行為
がありますと、
警察官
がその場でその
事情
を調べまして、そうしてすぐ帰しておきまして、その後に
檢察官
の方に送致にな
つて
、
檢察官
がこれを
簡易裁判所
に起訴する、こういう段階になると思います。
ただ
しかしか
よう
な小さな
犯罪
でありますから、調べられる者がさ
よう
な
複雜
な
手続
によりまして、出頭その他非常に迷惑をこうむる場合があろうかと思われます。実際のか
よう
な
取締り
にあた
つて
は、場合によ
つて
は今日の
裁判所法
によりまして、必ずしも公判廷で
裁判
を開かなくとも可能な場合がありますので、
簡易裁判所
の
裁判
官並びに
檢察官等
が、その現場に参りまして即決の
裁判
も可能かと存ずるのであります。この
運用
につきましては、なお実際にこの
法律
が施行される場合にあたりまして、私
ども
としては
十分犯罪
の軽重を
考え
まして、一番妥当なやり方を指示し、研究したいと存じております。
石川金次郎
4
○
石川委員
犯罪
が軽いのであるから、もしこれを
刑事訴訟法
の
手続等
からまいりますと、起訴前の
強制処分
もできることになりまし
よう
。また起訴いたしてからの
判事
の
拘留状
を求めることもできることになります。そうすると
最高刑
であります
拘留
の三十日以上拘束され得るという事実も起るかと存じます。ところでこういうことをやり得るということが、
從來非難
を受けておりました不当な
犯罪捜査
の手段に使われるということも予想されるのでありまして、この
軽犯罪法
の檢挙にだけは、こういう
身柄
に対する
收容等
の
強制力
は使わない。こういうことにおきめ願うわけにいかぬものでありまし
よう
か。
國宗榮
5
○
國宗政府委員
まことにごもつともな御意見と存じますが、その点については、まだ確定はいたしておりませんけれ
ども
、新しく今議会に
提出
の予定にな
つて
おる
改正刑事訴訟法
においては、
拘留
、
科料
にあたる罪については、
逮捕状
を出し得ないという
規定
を設けるつもりで、さ
よう
な原案ができております。これと相ま
つて
その御
心配
の点は除去できるではないかと
考え
ます。
石川金次郎
6
○
石川委員
ただ
いま承りましてわかりました。先ほど御
説明
の中にございました
現行犯
が、かりに
軽犯罪法
に該当する
行為
をや
つて
おつと者がありました場合には、
ただ
ちに
裁判当
に
判事檢事
が出張して、
裁判
をする。非常に早くスピードでいい制度でありますが、そういたしますと、そこには
弁護人
の
選任
という時間的ずれというものが出はしないか。そうすると、どんな場合でありましても、
弁護人
をつけるという
建前
にしております
訴訟法
においては、この点どうなりますか。お
考え
を伺いたいと思います。
國宗榮
7
○
國宗政府委員
先ほど申し上げましたのは、
現行法制
のもとにおける
措置
として申し上げたのでございますが、御
承知
の
通り改正
の
刑事訴訟法
におきましては、必ず
弁護人
をつける
よう
な
建前
をとりたいと
考え
ております。今申し上げた
よう
な急速な
措置
をとる場合におきましても、
弁護人
の
選任
の余裕を存じ、また
弁護人
の
選任
ができない
よう
な
措置
はやらないつもりでありまして、その点御了承願いたいと思います。
石川金次郎
8
○
石川委員
それでは次に第
二條
に刑の
免除
の
規定
がございますので、これについてお伺いいたしたいと思います。
提案説明書
によりますと、刑の
免除
の
説明
が書いてありますが、刑の
免除
をどういう場合に
適用
していくお
考え
でこれを書かれたかをお
聽きし
たいのであります。たとえば第
一條
の一号に該当する
行為
でありますが、今の世の中では、
住居
がなくて困
つて
いる人がたくさんある。その
人たち
が眞にやむを得なくて人の住んでおらない邸宅にはい
つた
といたします。そういう
よう
な場合において、これを救済する方法を
社会政策
的にや
つて
いかなければならぬことはもつともでありますが、
國家
の財政がこれを許さないという悲しい実情にある。そういう場合にここにはい
つて
きた
人たち
があ
つた
といたしましたならば、おそらく該当したとしても、
二條
によ
つて
この刑の
免除
をする。つまり
社会政策
によ
つて
やり得べきことを
社会政策
でやり得なか
つた
場合には、
違反行為
があ
つて
も、刑の
免除
でいくという御
趣旨
であるのか承りたい。しかしこの場合救済いたしますことは、
正当行為
の理論もございますので、その方に任しておいても救われ得ると思うのでありますが、それをもなお狹していたしまして、
刑法
のも
つて
おる
正当行為
、自救
行為
、そういうものを見て第
二條
を置かれて、
社会政策
でやり得なか
つた
ことを、第
二條
の活用によ
つて
どんどんみんなに迷惑をかけない
よう
にするという御
趣旨
であるのか承
つて
おきたいと思います。
國宗榮
9
○
國宗政府委員
お答えいたします。大体御
質問
の
通り
と、私も
考え
ておりますが、御
指摘
になりました例によります場合におきましては、多くの場合正当の
理由
というふうにして、当然一号に該当しない場合と存ずるのでありますけれ
ども
、かりに
正当行為
として見られない場合におきましても、さ
よう
な
社会政策
の
欠陷
から
犯罪
が発生したという場合を予想いたしまして、さ
よう
な場合には
二條
の
規定
を十分に活用したいと
考え
ております。
石川金次郎
10
○
石川委員
ただ
いまお
聽きし
まして、この立法の
趣旨
がわか
つたの
でありますが、そういたしますと、第
二條
の範囲がそのときにおける
社会
的な、客観的な
事情
というものは十分にくむ。そのほかになおその人の
主観的事情
をくむ。そうして
社会政策
でやれなか
つた
という
事情
も
考え
て、この免訴というものは決定すべきものであるのだ、こういう
よう
にお
考え
にな
つて
おりますかどうか、さらに明確にしてい
ただ
きたいと存じます。これは
運用
上非常に大切なことだと存じます。
國宗榮
11
○
國宗政府委員
大体その
よう
に
考え
ております。客観的な
事情
によりまして、
社会政策
上の
欠陷
を補い、さらに本人の主観的な
事情
も考慮いたしまして、
本号
に触れる
よう
な
行為
があ
つた
場合、刑を
免除
して十分この
法律
を
運用
してまいりたいと
考え
ております。
石川金次郎
12
○
石川委員
二、三各号についてお伺いいたします。各号の中には、「
言動
で迷惑をかけた者」という
文字
が使
つて
あります。たとえば五号の
最後
の方に「著しく粗野又は乱暴な
言動
で迷惑荘かけた者」という
文字
を使
つて
おりますが、
言動
と申しますからは、人間の
言葉
、働きとまず見なければならぬと思います。
言動
で迷惑をかけるということは、どういうことでありまし
よう
か。たとえば汽車に
乘つて
お
つた人たち
が不愉快を感じたということでありまし
よう
か。あるいはそこを去れ去れと言
つて
去らしめたという
よう
なことでありまし
よう
か。
言動
で迷惑をかけたということの
意味
を、立法府として明らかにいたしませんと、こういう不明確な
言葉
が、いろいろ見る人によ
つて
、この場合も
言動
で迷惑をかけた、あの場合も
言動
で迷惑をかけたということで、これを行使する機関も大した迷惑でし
よう
し、
國民
もまたたいへん迷惑するだろうと思いますので、お伺いしておきます。
國宗榮
13
○
國宗政府委員
「著しく粗野又は乱暴な
言動
で迷惑をかけた者」とありまして、
言動
は御
承知
の
通り
、
言語挙動
を言うのでありまして、一般から見て放
つて
おけないという
よう
な
程度
のことを「著しく」申します。著しくしつけの悪い礼儀を失したのが粗野であります。乱暴はと申しますと、多少
挙動等
において形の上に現われてくるものではないかと思
つて
おりますが、著しく粗野又は乱暴な
言葉
あるいは
挙動等
で、その場にある
入場者等
が、その場合におきましては、そういう
行動
をされることが、その場にふさわしくない、非常に礼を失しておる、
秩序
を乱しておる、またその
入場者
が非常にいやな感じをも
つた
、こういう結果を生じた場合に迷惑をかけたということになると思
つて
おります。
石川金次郎
14
○
石川委員
八号についてお聽きいたします。八号に「
公務員
若しくはこれを
援助
する者の指示に從うことを拒み」と書いてございますが、「
公務員
若しくはこれを
援助
とする者」というのは、
法律
上の
権限
によ
つて援助
する者をいうのか、あるいはその場において
公務員
を
援助
することを
契約
した
契約関係
から発生していくものをいうか、
援助
せんとする
主観的意思
をも
つて援助
していく、そういう者を
援助
する者というのか。この
援助者
の
意味
を明らかにしておきませんと、とてつもないひどいことになりはせぬかと思いますので、お伺いいたします。
國宗榮
15
○
國宗政府委員
この「
援助
する者」と申しますのは、もちろん
ただ
いま御
指摘
になりました法令に基きまして、
公務員
を
援助
する者は、もちろん包含するのでありますが、さらにその場におきまして、
権限
ある
公務員
からその
権限
に基いて
援助
を頼まれた者ということであります。從いまして、その
関係
からみますと、非常に廣いのでありまして、單に
法律
あるいは
契約
のみならず、その場におきまして
権限
ある
公務員
から、
権限
によ
つて援助
を頼まれた者を包含するのであります。
ただ
しかし主観的に
公務員
と無
関係
にその場でも
つて
事実上みづから
援助
している者は、この中に包含しないのであります。つまり
法律
または
契約
に基きましてこれを
援助
する者はもちろん、また
契約
ではありませんけれ
ども
、
権限
のある
公務員
からや
つて
くれと言われて
援助
しておる者、
ただ
しかしみずからこれに無
関係
で
援助
している者はいらない。こういう
趣旨
にな
つて
おります。
石川金次郎
16
○
石川委員
続けてお伺いしますが、これもきわめて明瞭なことでありますが、この
軽犯罪法
の
一條
の各号に書いてある
規定
の中には、
公務員
という字を使
つて
おりますが、この
公務員
という字は、その各号々々によ
つて
公務員
の
概念
を定めていかなければならないと存じますが、そういう御
趣旨
でこれをおつくりに
なつ
たかどうかをお
聽きし
ておきたいのであります。たとえば
普通公務員
と申しますと、
刑法
を思い出します。
刑法
で與えた
概念
をこの
公務員
にも
つて
くるのであります。これをも
つて
まいりますと当りません。そこでこの
読み方
をかえなければならぬということになるのでありますが、たとえば八号の中にあります
公務員
と、十四号の中にあります
公務員
と、その他まだあります
公務員
というものは、
読み方
が違
つて
きやしないか、十六号にあります
公務員
、それから十八号にあります
公務員
、こういうものの
公務員
の
概念
は、この場合は
警察官
、この場合は
警察官
以外のものも含む、こういうふうに読むべきものかどうか、これをお
聽きし
ておきたいのであります。
國宗榮
17
○
國宗政府委員
この
軽犯罪法
に
書き
ました
公務員
は、いわゆる
刑法
でいいます
公務員
という一般的な廣い
意味
ではないのでありまして、各
條ごと
にその当
つて
おります
当該公務員
、抽象的に申しますと、
当該公務員
ということになるわけでありまして、八号の場合におきましては、この
取締り
または救護の
権限
をも
つて
おるところの
公務員
、從いまして
警察官
とかあるいは
市町村吏員
あるいは
民生委員
というものがはい
つて
くるのではないかと思います。それから十四号の
公務員
、この場合はやはり
当該公務員
でありまして、この
公務員
は大体
警察官
がはい
つて
くるのではないかというふうに
考え
ておりますし、さらに御
指摘
になりました十八号の
公務員
、この
公務員
はやはり
警察官
あるいは
民生委員
、
市町村吏員
というものがはい
つて
まいります。それから十六号にも
公務員
とありますが、この場合におきましても、虚構の
犯罪
の申告を受けるものは、おおむね
警察官
であります。災害の事実につきましては、
警察官
もありますし、
市町村吏員
もあると思います。か
よう
に各條によりまして、
当該公務員
としての限界があるのであります。一般的に
刑法
でいいますところの
公務員
というとは違う
よう
にできておる次第であります。
石川金次郎
18
○
石川委員
ところでこの
軽犯罪法
が、やはり
刑法総則
の
適用
を受けますならば、この場合におきまして、明らかにみんなに教え示しておきますためには、
当該公務員
というふうにお
書き
に
なつ
た方が、みんなにわかりよか
つた
と存じますが、何かそういかなか
つた
理由
がございますか。
國宗榮
19
○
國宗政府委員
別にさ
よう
な
理由
はございません。
石川金次郎
20
○
石川委員
それからもう
一つ
、十四号について特にお
聽きし
たいのでありますが、
警察官犯処罰令
は、大体において私
ども
は
労働組合運動
に対しては
適用
なきかのごとく解しておるのであります。またそう仰せをい
ただ
いておるのであります。ところでこの十四号に大きな
人声
で、つまり
公務員
の制止をきかずに
人声
を非常に大きく出してと、こう書いてございますが、たとえば
デモ
などいたしますときに、これはどうしても歌を歌いますと大きな声の出るのは当然だと思います。この場合においては、おそらく
労働運動
もしくは
政治運動
のために正当の
示威運動
がなされるという場合における大きく出した
人声
、こういうものは、この十四号に該当しないものであると存じますが、該当しない御
趣旨
で御
立案
にな
つたの
か、それは正当な
行為
として該当すべきものでないという
刑法
上のお取扱いになるという御
趣旨
でありますが、この点を私はお
聽きし
ておきたい。
労働運動
もしくは
政治運動等
の正当なものによるところの大声を出して
デモ
をや
つて
歩くという場合には、この十四号は発動しないのであるという御
趣旨
であるかどうかをお伺いしておきたいと思います。
國宗榮
21
○
國宗政府委員
御
質問
の場合におきましては、大体この
軽犯罪法
全体から申しまして、これは
労働運動
、あるいは
大衆運動
を取締るために
立案
いたしたものではないのでございまして、日常の卑近な
道徳律
に関するものを取上げまして、これを
取締り
まして、
社会
の
秩序
を維持するという
考え
からできておるものでございます。御
承知
の
通り
、
組合運動
につきましては、もう当然に、
組合法
の
一條
の二項がございますると同じ
よう
に、それによりまして、大体この
軽犯罪法
というものは
適用
はないものと私は思
つて
おります。それから
大衆運動
と申しまするが、その中には
——大衆運動
の
概念
も多少はつきりいたしませんが、たとえば正当な
政治行動
、
示威運動
というものにつきましては、
刑法
上の
考え
から申しまして、それは明らかに
正当行為
と見なければならないのでありまして、
軽犯罪法
の
適用
は、その限りにおいてないものと
考え
ております。
石川金次郎
22
○
石川委員
非常に明らかにな
つて
まいりました。 そこで二十八号に飛びます。この
條文
は
從來
もありました
條文
でありまして、実は私自身この間ぶつか
つた
ことを申し上げますが、
他人
の
進路
に立ちふさが
つた
り、あるいは身辺に群が
つた
、こういうことで、暴行で起訴された事実がある。そこでこの二十八号は
労働組合
が
団体交渉等
をいたします場合に、どうしても起き上
つて
こなければならない事態に直面することがあるのであります。たとえば
使用者側
が故意に
団体交渉
に應ぜず、立ち去
つて
しまう。こういう場合におきましては、
団体交渉
を進めなければ生産が止
つて
しまう。そこでこれを進めるためにどうしても待
つて
もらわなければなりませんために、片つ方は勝手に去ろうとするのであるから、お待ちくださいと言
つて
押えるのは当然であります。そこでひつかか
つて
くるのはこの二十八号の「
他人
の
進路
に立ちふさが
つて
、」ということであります。この二十八号は正しい正当な
労働組合
の
運動
をもこのために阻害する。少くとも
労働運動
に悪意をも
つて
一つ
の
行動
を押えておるのではないかという
よう
な
誤解
を起さないとも限りません。そこでこの二十八号は断じて
労働組合
の
団体交渉等
の場合には
適用
しないということの御言明を伺えれば結構だと存じます。
國宗榮
23
○
國宗政府委員
団結権
並びに
団体交渉
につきましては、
基本的人権
として
憲法
にも
規定
しておるところでありまするし、さらに
組合法
におきましては、それが唯一の
組合
の
目的
にな
つて
おるのでありまして、もちろんこの二十八号は、さ
よう
な場合には
適用
する
考え
は全然ないのであります。殊に
警察犯処罰令
におきまして
強談威迫
という
條項
がございましたが、この
軽犯罪
の
趣旨
から
考え
まして、少くとも
組合運動
というものに
適用
あるという
誤解
を受けるものを除く
意味
におきまして除きました
趣旨
から言いましても、この二十八号はさ
よう
ではないのでありまして、実際はこれは不良な者が女を追随するとか、あるいは不良が善良な者の行く手に立ちふさが
つて
じやまをするとかいう
よう
なことを
目的
にして
規定
したものでございます。さ
よう
に御了承願います。
石川金次郎
24
○
石川委員
二十七にちよつともどりまして、私も無識でありますからお伺いするのでありますが、
公共
の
利益——
昨日問題にな
つたの
でありますが、
利益
という
言葉
をここにお使いになりました。そこでこの
公共
の
利益
とお
書き
に
なつ
たことに対しては、深い
意味
がなか
つた
ことも、昨日了承いたしました。ところで
公共
の
利益
という
文字
を御
使用
になります場合には、
公共
の
福祉
ということも相対してお
考え
に
なつ
たと存ずるのでありますが、
公共
の
福祉
という
言葉
を用いずに
公共
の
利益
という
言葉
をお用いになりました
理由
、これは
立案者
といたされまして、
公共福祉
と
公共利益
との
観念
が、どの
程度
において相違しておるものか、それをお伺いいたしたいと思います。
國宗榮
25
○
國宗政府委員
実は
立案
の際に
公共
の
福祉
ということを初めに
考え
たのでありますが、
公列
の
福祉
というのは、
憲法
に用いてある用語でありまして、
軽犯罪法
に用いてくるのは非常に重々しくなり、あまりに重大な
よう
な重い
意味
が加わるのではないかと思いまして、ま
つた
く
公共
の
福祉
と同じ
意味
に
使つたの
でありますが、やさしくする
意味
におきまして、
公共
の
利益
というふうにいたしたのでありますが、かえ
つて
それがわかりにくくなりました点は恐縮に存ずる次第であります。
石川金次郎
26
○
石川委員
三十一にかえりまして、「
他人
の
業務
に対して
悪戯
などでこれを妨害した者」、これも
警察犯処罰令
にあ
つた
規定
だと存じます。これは
刑法
の
業務
に対する罪には、
偽計
という
言葉
が使
つて
あります。これもいたずらであることは明らかなのでありますが、この場合その区別の線をできるだけ明らかにいたしまして、そうして
軽犯罪法
で取締ろうといたします線を明確にしてい
ただ
きたいと思
つて
おります。
國宗榮
27
○
國宗政府委員
刑法
の二百三十四條に申しますところの
偽計
というのは、
悪戯
に比べまして
複雜巧妙
なものを指す。
本号
の
悪戯
は、やはり一種の
偽計
を用いるにいたしましても、
偽計
に比べますと、はるかに
單純素朴
なものを指しておる。しかもそのやること
自体
、
いたずら自体
を樂しむというのでありまして、
業務
の妨害を樂しむというよりは、むしろ
いたずら自体
を樂しむというところに重点がある
よう
に
考え
ております。
悪戯
という字から申しましても、大体子供らしいことでも
つて
、仕事の円滑な
運用
が多少阻害されるという場合を言
つて
おるのであります。
偽計
よりは非常に軽いのであります。その点におきまして、
刑法
の二百三十四條とは区別し得ると
考え
ております。例を申しますると、たとえず役者が舞台に出る前に非常な嚴粛なかつこうをして出てくるときに、背中に貼紙をしてあるのに知らずに出てい
つたの
を手を叩いて喜ぶとか、また
講演
をする人が演壇でまじめに
講演
をしておるときに、こし
よう
ぐらいを少し附近にまきまして
くしやみ
でもさせるという
よう
なことも、
悪戯
という
観念
で
考え
ておるのでありまして、それによ
つて
多少の
業務
の正常な運行が阻害されるということを
考え
ております。
石川金次郎
28
○
石川委員
最後
にお伺いしたいのは、
提案理由
の
説明
にもお
書き
にな
つて
明らかにされておりますが、
軽犯罪法
と本法を名づけました
理由
については、
提案説明書
でわかるのでありますが、さらに
軽犯罪法
という
名前
をつけます前に、どの
よう
な
名前
が現わせてまいりましたかをお伺いしたいのであります。また
軽犯罪法
といたしましたのは、
國民
に親しみやすい、こうおつしや
つて
おるのでありますが、私はよく知りませんが、
外國
の
言葉
を
軽犯罪
と訳しますことが一番いい
言葉
であ
つた
から、日本もこれをと
つた
ということになりまし
よう
が、それをお
聽きし
ておきたいのであります。
國宗榮
29
○
國宗政府委員
名前
につきましては、非常に議論もありまして、実は
警察犯処罰法
、
違警罪法
という
よう
な
名前
も出てまいりました。
軽罪法
という
名前
も出てまいりました。さらに小
犯罪法
という
よう
な
名前
も出てまいりました。この小
犯罪法
というのが出てまいりましたのは、
アメリカあたり
のマイナー・オフエンスというのがございますので、そこから小
犯罪法
と直訳をいたして、
最初
は大体小
犯罪法
でいこうということにな
つて
おりましたが、どうも小
犯罪法
と言いますと、あまりおもしろくない。しからば
軽罪法
といたしますと、
從來
からあります軽罪の
観念
から、これもおもしろくない。
警察犯処罰法
、あるいは
違警罪法
といたしますと、実はよくわかるのでありますが、
警察犯処罰法
というのは、
警察犯処罰令
を廃止いたしますので、
警察
という
文字
がありますために、これはいかにも
警察
がこれによ
つて警察的権限
を振うという
よう
に
考え
られる
心配
もありますので、これもおもしろくない。
違警罪法
は、
最初
に申し上げました
通り
に、どうもやはり古い
警察
の
観念
とつながりがある
よう
に
考え
られるかもしれない。最上の
名前
とは申せませんけれ
ども
、私
ども
が
考え
まして、大体マイナー・オフエンスに似通
つて
い
つて
いいのではないかというので、
軽犯罪法
といたしたのであります。
石川金次郎
30
○
石川委員
私はこれで終りますが、
軽犯罪法
と言いますと、何となく重
犯罪法
も出てくる
よう
な氣がいたしますので、お
聽きし
たのであります。私はこれで終ります。
鍛冶良作
31
○
鍛冶委員
この三十四号は物を販賣し、もしくは頒布し、
提供
とな
つて
おるが、よくある
廣告
によ
つて結婚詐欺
をや
つた
場合は、これにはいらないのですか。
國宗榮
32
○
國宗政府委員
詐欺
になりますれば、それは
刑法
上の
詐欺
になるのでありますけれ
ども
、しかし
刑法
上の
詐欺
にならない
程度
に、不特定の人に対しまして、ここにあります販賣とか頒布との
役務
の
提供
とかになれば、これにあたるのでありますが、
結婚
の申入れをする
よう
な場合におきましては、別に
役務
も
提供
するわけでもございませんし、物を販賣するわけでもございませんし、頒布するわけでもないのですから、その場合は單に誇大な
廣告
というだけで、
ただ
ちに本條にあたるということにはならないと存じております。
鍛冶良作
33
○
鍛冶委員
そこでお伺いしたのですが、
詐欺
罪になるということがありますけれ
ども
、
詐欺
罪は財物を伴わなければならないのですが、それとはちよつと違うと思うが、よくあるのです。そういうものを入れた方がいいじやないかと思いますがいかがでし
よう
か。
詐欺
罪にならないで、しかもこれにもはまらないというものがある。
國宗榮
34
○
國宗政府委員
その点はこの
軽犯罪法
には入れていなか
つたの
でありますけれ
ども
、あるいは入れた方がいいという御意見もあろうかと思います。
鍛冶良作
35
○
鍛冶委員
いま
一つ
、第
二條
ですか、これは
刑法
第六十六條と同じ
よう
な
趣旨
じやないかと思うのですが、特に本法にこれを記入せられたる
理由
を伺いたいと思います。
國宗榮
36
○
國宗政府委員
ちよつと御
質問
の
趣旨
がよくわかりませんですが、六十六條は刑を減刑するという場合でありまして、
二條
の場合は、刑を
免除
するという場合なんでございます。もちろん
犯罪
の情状酌量すべき場合として、この
免除
の
規定
を設けたのでありますから、六十六條の
規定
に該当するとは思いますけれ
ども
、こちらは
免除
にいたしましたので、その点多少食い違いがあると存ずるのであります。
鍛冶良作
37
○
鍛冶委員
よろしゆうございます。
松永義雄
38
○
松永
委員長
井伊君。
井伊誠一
39
○井伊委員 二、三お伺いしたいと思います。第
一條
第二号の「正当な
理由
がなくて刄物、鉄棒」というこの刄物でありますが、これを隠して携帶した場合に処罰を受けるのでありますが、現行の銃砲等所持禁止令との
関係
はどういう
関係
になりますか。
國宗榮
40
○
國宗政府委員
現在の銃砲等所持禁止令、あるいはまだ銃砲火藥類取締法、これに基く府縣令というものがありますが、そういうものにあたる場合は、これらの法令が
適用
されまして、二号は
適用
されない。從いまして、そういうものに該当しないもの、たとえば銃砲等所持禁止令にありまするのは、一定の
制限
が附せられておりますが、
制限
外の刄物、あるいは銃砲類、あるいは刄渡り十五センチ以上の物を銃砲等所持禁止令では大体禁止しておりますが、そういうものは、ここにははい
つて
こない。それ以外の刄物ということを、ここで取締
つて
いくということを
規定
しておるわけであります。
井伊誠一
41
○井伊委員 それから隠して携帶しているということは、單に携行しているということだけではなくして、何か所持しているというところまで含まれる
意味
になりまし
よう
か。
國宗榮
42
○
國宗政府委員
隠して携帶するという隠してというのは、所持ではないのでありまして、隠してと書いたのは、大体一般の
社会
生活上接触する
人たち
から見えない
よう
にも
つて
いる、その日常の視界から隠されているというふうな状態で携帶している場合をいうのでありまして、所持までは拡めていないわけであります。
井伊誠一
43
○井伊委員 この刄物、鉄棒、そういう例示が出ておるのでありますが、鉄棒、刄物という
よう
な物を隠して携帶しておれば、正当な
理由
があるものの例になりそうに思うのでありますが、例示されました鉄棒というものは、現在の状況において、あまり例示としてどうかと思うのでありますが、実際の
社会
においては、こういう例がむしろ適当なほど、こういう物をも
つて
生命やら身体に害を加える事例があ
つて
出されたものであるか、むしろ棍棒という
よう
なものが用いられるのでないかと思うのでありますが、どうでし
よう
。
國宗榮
44
○
國宗政府委員
ここに刄物、鉄棒とあげましたのは、鉄棒等が
通常
の場合において、人の生命を害するに一番適切な器具ではないか、か
よう
に
考え
ましたので、ここに鉄棒としてあげたのでありますが、それ以外に深い
意味
はないと思います。
井伊誠一
45
○井伊委員 第四号のところに「一定の
住居
を持たない者で諸方をうろついたもの」とあるが、これは過去の
文字
を使
つて
ある
よう
でありますが、うろつくものでなくて、うろついたものとしたのはどういうことでありますか。これはむしろつかまえたときは、うろついたのでありますが、それからなお継続しておるという事実について処罪をするのでないかと思うのでありますが、これはどうでありまし
よう
か。
國宗榮
46
○
國宗政府委員
これは別に過去とかそういうことに限
つた
ことではないのであります。
ただ
しかしながら、本法の
軽犯罪法
の表現の方式では、全部過去の形で表現してありまして、大体
裁判
のときを標準にした
意味
で少くともつく
つて
ありますから、この点につきましては、
刑法
も大体そういう
よう
な形をと
つて
おります。そんな
意味
で、うろついたものと過去の形に書いてあります。
井伊誠一
47
○井伊委員 第六号のところで、燈火を消した者に対する
規定
であります。これはどういう場合を多く
考え
られたものであるか、たとえば電熱器等をつけまして、
他人
の家庭の燈火を消すという
よう
な場合、こういう
よう
な場合は、やはりこれにあたるものと
考え
るのでありますが、いかがでありまし
よう
。
國宗榮
48
○
國宗政府委員
その場合も多くの場合は、街路あるいは
他人
の標燈等を消してやろうと思
つて
消す場合は少なかろうと思います。そういう場合は故意ではありませんから、本法にあたりません。しかしながら、家の電熱器を非常に強く使
つて
消してやろうという故意があれば、本法に該当すると思います。
井伊誠一
49
○井伊委員 この
軽犯罪法
の場合は、必ず
他人
を害するという
よう
な意識があるなしにかかわらず、一般的に見て
社会
生活に害のある点を処罰するものと
考え
るのでありますから、今の電熱器
使用
のために場合、そうすると他に害を及ぼす、消してやろうという
よう
な積極的な意思がなければ、その場合には
適用
してない。
ただ
自分の家の操作をや
つた
際にまつわる盗電という
よう
な場合に、ひいて他に及ぼすという
よう
な場合でも、他の方を消してやろうという意思がない場合には
適用
しない。そういう
よう
なお答えの
よう
に聞えるのでありますが、確かにそうでありまし
よう
か。
國宗榮
50
○
國宗政府委員
先ほど申し上げましたのは、多少
言葉
が足りませんでしたけれ
ども
、やはり
軽犯罪法
の全般にわたりまして、
犯罪
の
行為
を必要とするのであります。害を及ぼすという
よう
な積極的な意思は要りませんけれ
ども
、しかし認識だけは必要なのであります。從いまして、うちの電熱器を強く使えば、隣りの標燈が消えるということを認識してや
つた
場合には、やはり本法に該当する。こういうふうになります。
井伊誠一
51
○井伊委員 この六号の実際
適用
される例としましては、
他人
の標燈とか、あるいは街燈とかいうものの電燈の球などを盗むとか、あるいは悪意でも
つて
石をぶつつけて壞すとか、あるいは棒でも
つて
打ちたたくという
よう
なとで、その設備
自体
を壞して消燈せしめる
よう
な場合が、予想されておるのではないかと思うのであります。しかしこれは私の想像だけなのでありますが、かかる場合は、他に器具の毀棄罪であるとか、窃盗罪であるとかいうものがむしろ出てくるのであ
つて
、ここでは單に消燈したということだけで取締るものの
よう
でありますが、実際としてはどういう
よう
な場合が起きるのでありまし
よう
か。
國宗榮
52
○
國宗政府委員
多くの場合、
ただ
いま御
指摘
になりました例が多いと存ずるのでありますが、そういう場合には、窃盗あるいは器物毀棄とか、そういうものによ
つて
取締り
がされるものと思うのであります。そうでない場合、たとえば單にそこにあるスイツチを消すとか、あるいはこれは道路取締法にあるかもしれませんが、たとえば道路等にありますところの普通の電燈でなくして、油でたいているとかいう
よう
なものを消すという
よう
なことも
考え
られるのであります。こういう燈火を消したという
よう
なことが、ほかの法令によ
つて
取締れるものはそれによる。それ以外のものをここでや
つて
いこう。こういう
よう
に
考え
ております。
井伊誠一
53
○井伊委員 第八号のところで、石川君が御
質問
になりましたところとちよつと違うのでありますが、「
援助
する者の指示に從うことを拒み」とあります。これは積極的に拒絶したものと解釈するのであるが、さ
よう
でありまし
よう
か。
國宗榮
54
○
國宗政府委員
積極的に拒む場合もありまするし、もしくは指示の
條件
等もありますが、そういうものに從うことを拒む。こういうふうに解釈しております。しかし御
趣旨
の
よう
に積極的に拒む場合もあります。
井伊誠一
55
○井伊委員 そうすると、指示に從わずという場合にも、そういう範囲までもこれの
適用
があるのでありまし
よう
か。
井伊誠一
56
○井伊委員 そうすると、指示に從わずという場合にも、そういう範囲までもこれの
適用
があるのでありまし
よう
か。
國宗榮
57
○
國宗政府委員
さ
よう
に考へております。
井伊誠一
58
○井伊委員 そのあとの方の「又は
公務員
から
援助
を求められた」場合、これに應じなか
つた
、これは「拒み」とは書いてなく「應じなか
つた
」と、消極的に書いてありますが、先の方の場合に指示を拒みという
よう
な字を使い、これは積極的な
文字
だと私は解しておるのであります。あとの方は消極的な「應じなか
つた
」という
文字
を使
つて
おるのでありまして、これはこういう場合は「拒み」とすべきであるのを、特にそうこだわらずに「應じ」なか
つた
とせられたのであるか。あるいはやはり特にこう書くべき必要があ
つて
表現されたのであるか、その点を伺いたい。
國宗榮
59
○
國宗政府委員
御
指摘
の
通り
に、初めの方は「拒み」、終りの方は「應じなか
つた
」といたしまして、初めの方は積極を現わし、終りの方は消極を現わす。こういう体裁にしておりますが、
本号
全体といたしましては、消極あるいは積極の両方を示しておる。こういう
建前
で拒み、應じなか
つた
というふうに
書き
わけた次第であります。
井伊誠一
60
○井伊委員 もう
一つ
、これは十一でありますが、「
他人
の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者」この物を注ぐという
よう
な実際の場合、あるいは発射するという
よう
な事柄は、どういう場合を想像しておられるのでありまし
よう
か。
國宗榮
61
○
國宗政府委員
物を注ぐというのは、たとえば熱湯あるいは汚水等を注ぐ場合を
考え
ております。発射すると申しまのは、これは固形物を器具でも
つて
放つことでありますから、子供のパチンコであるという
よう
なもの、あるいは子供の鉄砲の相当力の強いもの、おもちやの
よう
なものを発射するという
よう
なものを
考え
ております。
井伊誠一
62
○井伊委員 これらの投げたり、注いだり、あるいは発射するということによ
つて
、直接
他人
の身体あるいは物件に害を及ぼすという場合はすぐわかりますが、これがそれらの
行為
によ
つて
間接的に害が及んでいるという
よう
な場合も、やはりこういう
適用
があるのでありまし
よう
か。これは「相当の注意をしないで」という注意の範囲がどこまでかということに
関係
するのでありますが、それはどうでございまし
よう
か。
國宗榮
63
○
國宗政府委員
直接害を及ぼした場合には、大体それぞれの
刑法
によ
つて
罰するのでありますが、直接害の及ぶ
よう
な危險のある場合を
本号
に
規定
をしておるのであります。間接というお話でございましたが、それは間接に害が及ぶ
よう
な
行為
がこれにあたるかどうかという点が、相当事実の問題といたしまして問題がある場合があるのであります。たとえば多量にバナナの皮を投げておいて、そこで人が滑
つて
轉んで、けがのもとに
なつ
たというのは、見
よう
によりますと、間接でありまするけれ
ども
、しかしそれもそういう
よう
な状態を発生せしめる場合におきましては、
本号
に該当する。大体
本号
でねら
つて
おりますのは、直接に被害が発生ずるおそれがあるものをねら
つて
立法いたしたのであります。
井伊誠一
64
○井伊委員 私の質疑は終りました。
石川金次郎
65
○
石川委員
二十九号であります。これが私たち非常にわかりにくか
つた
と思いますが、この二十九号の
意味
をお知らせ願いたいと思います。
國宗榮
66
○
國宗政府委員
「
他人
の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る
行為
の予備
行為
をした場合における共謀者とありまして、人の身体に害を加え
よう
とお互に相談いたしまして、それらの者のうちの一人あるいは二人かが、その相談した事実に基きまして、その相談した
行為
を実現するためのある予備
行動
に出た、こういう場合におきましては、一人がや
つて
も、
最初
に相談いたしました全部の物を処罰する。こういう
規定
なのであります。例をも
つて
申し上げますると、あの場所を通行する者に対して、五人で共謀して、ひとつ今度通
つて
きた
最初
のやつに対して棍棒で毆
つて
やろうじやないか、こういう相談をいたしまして、そうして相談し
ただ
けではだめなのでありますが、そのうちのだれかが、毆るために棍棒を用意した、こういう事実がありますと、毆らなくとも
最初
の五名全体が
本号
違反になる、こういう
規定
なのであります。
石川金次郎
67
○
石川委員
棍棒を用意したということだけではどれに該当をいたしますか。これは隠して持
つて
歩いたということに該当することになりませんか。
國宗榮
68
○
國宗政府委員
棍棒で毆ろうということを共謀いたしまして、その棍棒をだれかが用意すれば、
本号
に全部かかる、そういう
規定
なのであります。これをもう少し申し上げますると、殺人罪につきましては予備の
規定
が
刑法
にありますが、傷害罪についてはないわけであります。これは傷害の予備
行為
で、傷害の予備
行為
を共謀者の一人がや
つた
という場合にこれに当る、こういう
規定
なのであります。
石川金次郎
69
○
石川委員
ところで、その予備
行為
に参加しなか
つた
者は、傷害事実に対してはやろうとしたのでありますから、意思がありますが、予備
行為
には全然意思がなか
つた
場合にも罰するということになりますね。
國宗榮
70
○
國宗政府委員
そうであります。
石川金次郎
71
○
石川委員
そうなりますと、この場合予備
行為
そのものに何の認識もなか
つた
にもかかわらず罰するという理論は、どこから出てくるのでありますか
國宗榮
72
○
國宗政府委員
別に深い理論はございませぬけれ
ども
、多人数で傷害をやろうという、これも予備
行為
と言えば言える
よう
になるのでありますけれ
ども
、協議した場合におきまして、それがある
程度
の
行為
まで出た場合には、そのうち一人がや
つて
もこれを罰するという
趣旨
でありますから、大勢協議してやる場合においては、謀議したこと
自体
が非常に
社会
上危險性があるのではないかという点を
考え
まして、
本号
の
規定
を設けたわけであります。しかしそれは單なる話合いだけではまだ刑罰をも
つて
臨むのは酷ではないか。何かそこにひとつ具体的な
行動
がそのうちの一人において始ま
つた
という、その
程度
まできたら刑罰をも
つて
臨もう、こういう
考え
方でできた
條文
であります。
石川金次郎
73
○
石川委員
わかりました。
鍛冶良作
74
○
鍛冶委員
ちよつと、私はまだわからぬが、きのうもちよつと聽いたのですけれ
ども
、これは防犯の
意味
でやられたものと思いまするが、要するに予備
行為
の幇助者として罰することになると思いまするが、もしそうだとすれば、予備
行為
であるということの認識がなくて罰せられるかどうかという問題が起るのですが、認識がなくても、やはり罰するのですか。その点をまず伺いたい。
國宗榮
75
○
國宗政府委員
刑法
上の理論を申しますると、二十九号は非常にむつかしい問題が起
つて
くると思うのであります。殺人の共謀の場合でありますると、
刑法
の共同正犯の
規定
によりまして、そのうちの一人が予備
行為
をしても、みな予備の共犯となるのでありまして、
本号
もさ
よう
な点から同樣に
考え
ていたした次第であります。
鍛冶良作
76
○
鍛冶委員
私の主として聽こうとするのは、予備
行為
たることの認識がなくても罰するのか、この点です。
國宗榮
77
○
國宗政府委員
この場合におきまして、單なる予備の幇助とは言えないのでありまして、共謀をすることが、これが陰謀予備の点にかか
つて
くるのでありまして、お互いにやはりやるという認識があるのであります。單に予備
行為
に対しての幇助という
考え
方ではない、か
よう
に
考え
ておるのであります。従いまして、予備
行為
についての幇助であるから、その認識がなければ、その点についての処罰はできないのではないかという
よう
な、そういう解釈には私の方ではな
つて
こないと
考え
ております。
鍛冶良作
78
○
鍛冶委員
どうもわからぬ。
國宗榮
79
○
國宗政府委員
大体実行
行為
につきまして共謀があるのでありますから、予備の認識を特に論ずる必要はないのではないか、か
よう
に思
つて
おるのであります。
鍛冶良作
80
○
鍛冶委員
これは予備の認識があれば、
刑法
第二百
一條
に当然はまらなければならぬと思う。あの予備をなしたる者は二年以下の懲役に処するな
つて
おりまして、予備をなした者も共犯でありますから、当然これにはいる。それ以外だから、私は認識がなくてもということかどうかをお
聽きし
たいのです。
國宗榮
81
○
國宗政府委員
それは御
質問
の
通り
、二百
一條
の場合は、殺人の予備でありまして、
本号
は殺人の予備を含んでいないのであります。
他人
の身体に対して害を加えることを共謀したというのでありまして、まず傷害の共謀であります。殺人の予備の場合は、ここに包含し得ない
趣旨
に
規定
してあるのであります。
鍛冶良作
82
○
鍛冶委員
大分わか
つて
きましたが、そうすると傷害罪の予備の共犯者、こう解釈してよろしいわけですね。從
つて
それは傷害の予備であるということの認識を必要とすると解釈していいのですか。
國宗榮
83
○
國宗政府委員
もう一度ひとつ…。
鍛冶良作
84
○
鍛冶委員
傷害の予備の共犯者でということに限定する、しからば傷害の予備をするものだという認識がなければいかぬと私は思うが、その点はいかがですか。
國宗榮
85
○
國宗政府委員
先ほどちよつと問違いましたけれ
ども
、傷害の予備の共犯者という
意味
ではないのでございます。傷害の実行の共謀なのでございます。
松永義雄
86
○
松永
委員長
ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
松永義雄
87
○
松永
委員長
本日はこれにて散会します。 午後零時十三分散会