○栗栖國務大臣 まずお尋ねの第一の点でありますが、
通貨の安定その他に関するものであります。中間安定、向うの
言葉で言うならばステツプ・バイ・ステツプ・スタビリゼーシヨン、こういう
言葉の方が非常に当
つておるかと思
つておるのでありますが、この中間安定というものをいたしますには、
通貨のある安定、それは資材その他を
米國その他から輸入してもらうという
関係で、
通貨のある種の安定が必要じやないか、こういうような
お話があつたのであります。これにつきましては、今は実は貿易資金の特別会計というものと外貨の
関係とは全然切離されておりまして、その間に十分なる関連がついていないのであります。外貨の
関係につきましてはいずれ講和條約その他の際に処理がきまるものと思うのであります。そこで
政府と
政府との間の支拂その他については、
通貨のある種の安定というようなことも必要でないと思うのであります。ただ
民間のクレジツト、
民間の資材輸入、
外資の導入というものについて、それが必要でないかという
お話であります。これは私はある程度の必要をもつものと思うのであります。しかしまたこれについても現在のような為替のないものについては行われませんけれ
ども、これについても近くある種の決定があるのでないかと、その筋でも示唆されております。われわれもいろいろ交渉をいたしております。それからさらに貿易の方の
関係において、今の換算比率という
お話であります。いわゆる換算比率、これは補給金性の性質を多分にも
つておりますけれ
ども、そういうものについても、貿易振興の上において、國際貸借の決済をする上において、なるべく速やかにこの決定をしてもらいたいということを、その筋にもいろいろ申し出ております。これも近くきまることと思うのであります。大体そういうものがきまりましたならば、一種の中間安定的の措置ができるのじやないか、かように
考えておる次第であります。中間安定のスタートの時期でありますが、新聞に出ておりました一部のこれは何ら決定を見ない、あるいは想像的記事かとも思いますが、あるいは十月からというようなことが書いてあるのであります。これは未だいつからということは申し上げられぬのであります。しかしわれわれはなるべく速やかにスタートをしたい、こういうことと、それには若干月の準備が要る、こういうことを併せ
考えますと、ただちは來月からというわけにもいかぬだろうと思います。少くとも本格的にスタートするのは、数箇月の月が要るのじやないか、かように予測をいたしておるような次第であります。それから第二の点の
物價と
賃金の問題でありますが、これにつきましては
國民の平均の
生活水準などを見ると、マル公による
生活は二五%でございます。これは金銭の上で二五%であるのであります、マル公で價格が低いのでございます。数量の上では六五%ぐらいがマル公による
生活であります。残余は自由價格の
物價及び
やみ物資によ
つておる。こういうことに相な
つておるのであります。そうしてわれわれといたしましては國内
生産の増強、一割増産あるいはその他の増産によ
つての
増加と、海外輸入物資によ
つてこれを
増加いたしまして、そうしてマル公による配給の
増加を策したいと思うのであります。中間安定の中には、そういうような点に相当力を入れて檢討し、
施策をいたしておるような次第であります。そうしてマル公による
生活を増進する、いわゆる
実質賃金を充実していくということによりまして、
やみの物資による
生活の依存度をだんだん少くしていくということを
考えたいと思うのであります。他方におきましては昨年末から今日のただいまにかけましては、
やみの上昇率は非常に下
つておるのであります。ある場合は一%いくらというような
数字を示しておるのであります。しかし五月、六月の
物價改訂のときの
基準といたしましては、それを三・四%とりまして、そういう実数を基礎にして
計算したのであります。今後もわれわれはマル公による物資の増配等と併せ
考えまして、これは大体維持できる、かように
考えておる次第であります。この点などについては中間安定の
施策のときに、さらに御説明を申し上げたいと思います。そうしてこの三千七百円は
物價の中に織りこみますところの
賃金水準という
意味できめたのでございますけれ
ども、しかしこれが維持については十分努めたい、こう
考えます。
賃金安定の問題についてはただいま
関係閣僚の中でいろいろ研究をいたしておる。これも
政府の態度が近くいずれきまるものと思うのであります。
物價の安定につきましてはこれはもちろん既定の方針に沿うて励行すべきものは励行し、励行の必要のないもの、あるいはマル公などの維持する必要のないもの、また適せざるもの等につきましてはマル公も外しまして、そうして物の配給を円滑にするということをいたしたいと思います。そういうことによりましてこの両者の安定ということをも
つていきたい、こう
考えておる次第であります。そうしてこれによりまして
物價と
賃金の惡循環を——これはなかなかむつかしい問題でありますが、これを断ち切るということによりまして、大きな
追加予算が出まして、この本
予算の根本を覆えすということがないように努めたい、こう
考えておる次第でございます。
從つて大藏大臣の申しますように、
追加予算その他は
考えてはおらぬ。こういう
状態にあると思うのであります。