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1948-06-11 第2回国会 衆議院 財政及び金融委員会 第37号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年六月十一日(金曜日) 午後一時四十分
開議
出席委員
委員長
早
稻田柳右エ門
君
理事
泉山 三六君
理事
塚田十一郎
君
理事
島田 晋作君
理事
中崎 敏君
理事
梅林 時雄君
理事
吉川 久衛君 青木 孝義君 淺利 三朗君 石原 登君 島村
一郎
君
苫米地英俊
君
宮幡
靖君 赤松 勇君 川合
彰武
君
佐藤觀次郎
君 田中織之進君 林 大作君 金光 義邦君
中曽根康弘
君 長野
長廣
君
細川八十八
君 内藤 友明君 本藤 恒松君 堀江
實藏
君 河口 陽一君 本田 英作君
出席政府委員
大藏政務次官
荒木萬壽夫
君
大藏事務官
平田敬一郎
君
復員事務官
荒尾
興功
君
委員外
の
出席者
專門調査員
氏家 武君
—————————————
六月九日 未
復員者給與法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
)(第九八号)
たばこ專賣法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出)(第九九号) の審査を本
委員会
に
付託
された。
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
所得税法
の一部を
改正
する等の
法律案
(
内閣提
出)(第九三号)
取引高税法案
(
内閣提出
)(第九四号) 未
復員者給與法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
)(第九八号)
たばこ專賣法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出)(第九九号)
—————————————
早稻田柳右エ門
1
○
早稻田委員長
会議
を開きます。 先般本
委員会
に
付託
になりました
所得税法
の一部を
改正
する等の
法律案
及び
取引高税法案
を
一括議題
といたします。まず
政府
の
説明
を求めます。
—————————————
荒木萬壽夫
2
○荒木
政府
委員 ただいま
議題
となりました
所得税法
の一部を
改正
する等の
法律案
外一
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を
説明
いたします。
政府
は、最近における
賃銀
、
物價等経済
諸
情勢
の
推移
に即態して、
國民
の
租税負担
を
調査
、合理化するとともに、
財政需要
に対應して、
租税收入
を
確保
する等のため、
税制
の全般にわたり
改正
を加えることといたしたのであります。すなわち今次の
税制改正
にあたりましては、
租税
の中枢たる
所得税
につきまして、
賃銀
、
物價等
の
変動
に伴う
所得状況
の
推移
、
課税
の
実情
に照らし、
財政事情
の許す限り
負担
を
軽減
するため、
基礎控除
、
扶養控除
及び
勤労控除
を
相当程度
引き上げ
るとともに
税率
を大幅に
引き下げ
ることといたしたのでありまして、
勤労所得者等
の
負担
はこれにより著しく
軽減
されることとなるのであります。また
法人税
につきましては、
産業
の
振興
、
外資
の
導入
、
株式
の
大衆化等
に資する
見地
から、
法人税
について
所要
の
改正
を行うことといたしたのであります。 次に
物價
の
変動
に即態して、
間接税
中
從量課税
の
酒税
、
清涼飲料税
、
砂糖消費税
、
マツチ
、
あめ
に対する
物品税
並びに
定額税率
による
登録税
、
印紙税等
につき
相当
の
増徴
を行うことといたします反面、
物品税
を課せられる
物品
中、
負担
過重と認められる
特定
の
物品
について
税率
の
調整等
を行うことといたしました。なお、最近における
徴税
の
実情
に顧み、
加算税
、追
徴税罰則等
に関する
規定
を整備強化するとともに、直接
國税
に関する
調査権限
の
拡充等
を行うことといたしたのであります。 さらに
政府
は、今回あらたに
取引高税
を創設することといたしたのであります。すなわち
経済情勢
の
変動
に即態して
租税收入
を
確保
し、
財政
の
基礎
を堅実ならしめますとともに、これより
所得税
、
法人税
の
減收
の一部を補填するため、
取引高税
を創設し各
取引段階
に対し百分の一
程度
の
課税
を行うことがこの際適当であると考えられるのであります。 なお、
地方財政
の確立に資するため、今回
狩猟免許税
を
地方
に委讓し
入場税
もこれを
地方
に委讓する方針であります。 次に、各税に関する
改正
の
大要
について申し上げます。まず、
所得税
でありますが、先程も申し上げました如く、
賃銀
、
物價等
の
変動
、
課税
の
実情
に照らし
負担
の
軽減
を図ることに重点をおいて、
所要
の
改正
を
行つたの
でありまして、
物價
の改訂が
勤労所得者等
に加える重圧は、これにより
相当程度
緩和される見込であります。
所得税
の
負担
の
軽減
を図るための
措置
といたしましては、まず第一に、
税率
を大幅に
引き下げ
ることといたしました。すなわち
所得税
の
現行税率
は最近における名
目的所得
の
増嵩等
に顧みるときは
相当
重くな
つて
おりますので、
最低税率現行
一万円以下の
金額
百分の二十を二万円以下の
金額
百分の二十とし、順次
税率
の
引き下げ
を行い、
最高税率現行
百万円を超える
金額
百分の八十五を五百万円を超える
金額
百分の八十といたしたのであります。百分の五十の
税率
は現在は五万円を超える
金額
であるのが
改正
後は二十万円を超える
金額
となるのでありまして、
相当
大幅な
引き下げ
を行
つて
いるのであります。 第二に、
給與所得
の
計算
についてその
收入金額
から
控除
する
金額
を
現行
の五万円までの
金額
の十分の二・五から十五万円までの
金額
の十分の二・五に
引き上げ
ることといたしたのであります。從いまして
控除額
の
最高限度
は、一万二千五百円から三万七千五百円に
引き上げ
られたのであります。 第三に、
基礎控除額
を
現行年
四千八百円すなわち月四百円から年一万五千円即ち月千二百五十円に
引き上げ
たのであります。なお
基礎控除
につきましては、
同居親族
のうちに
事業等所得
を有する者と、
給與所得
を有する者とがある場合における
負担
を
軽減
するため、
事業等所得
の
金額
及び
給與所得
の
金額
からそれぞれ
基礎控除
を行うことに改めたのであります。 第四に、
扶養親族
の
控除額
を
現行扶養親族
一人につき年四百八十円すなわち月四十円から年千八百円すなわち月百五十円に
引き上げ
たのであります。而して、
給與所得
に対する
源泉徴收
につきましては、六月十五日以後の支給に係る
給與
から、右の
勤労控除
、
基礎控除
及び
扶養控除
の
改正規定
を
適用
することといたしております。これに対應して、
昭和
二十三年分の
課税
にあたりましては、
さき
に申し述べました
給與所得
の
控除
は
收入金額
五万円までの
金額
の十分の二・五と、五万円を超え十五万円までの
金額
の十分の一・三五四に
相当
する
金額
との
合計額
、その
最高額
は二万六千四十円とし、
基礎控除
は年一万三百二十五円とし、また
扶養控除額
は年千百九十五円といたしておるのであります。今回の
改正
により
扶養親族
三人の場合の
所得税
の
負担
を御
説明
いたしますと、
給與所得者
については
給與月額
四・五一一円
程度
以下の者、
事業所得者
については、
昭和
二十三年分の
課税
について申しますれば、
所得年額
二万八千二百五十円
程度
以下の者は、それぞれ
課税
されないこととなるのであります。また
給與所得者
については、
給與月額
五千円の者の
現行負担
は千一円であるのが
改正
後は九十一円、となり
給與月額
一万円の者の
現行負担
は三千七百三十六円であるのが、
改正
後は千百九十五円となるのでありますし、また
事業所得者
については、
昭和
二十三年分の
課税
について申しますれば、
所得年額
五万円の者の
現行負担
は一万三千百五十円であるが、
改正
後は五千二百三十三円となり、
所得年額
十万円の者の
現行負担
は四万三十八円であるのが、
改正
後は二万千三百一円となるのでありまして、それぞれ
相当負担
の
軽減
と相成る次第であります。 その他、
所得税
につきましては、
外國人
及び
外國法人
に対する
利子所得
、
配当所得等
の
税率
を、内
國人
及び内
國法人
と同
樣百分
の二十といたしました外、
簡易税額表
の
適用
を受ける者の
範囲
を、
所得金額
二十二万円以下の者にまで拡張し、大多数の
所得者
の
税額計算
の
手数
を省略するとともに、
予定申告書
及び
確定申告書
の
提出
を要しない者の
範囲
を拡張する等の
改正
を
行つたの
であります。また、
源泉徴收額表
中一部の表を省略することとし、
賞與等
の
給與所得
に対する
源泉徴收額表
の
税率
の
適用
を、
給與所得
に対する年末
調査
の場合の
負担
を考慮して、若干
程度
引き上げ
ることといたしたのであります。なお当分の間、
所得金額
のうちに、
配当所得
があるときは、
所得税額
から
配当所得
の百分の十五に
相当
する
金額
を
控除
する
特例
を設けることとし、証券の
民主化
に資することといたしました。 次に
法人税
でありますが、
さき
にも申し述べました如く、
産業
の
振興外資
の
導入等
に資する
見地
から
負担
の
調整
を図るのを目標といたしたのであります。ま
づ税率
でありますが、最近における
法人課税
の
実情
、
資本
と
所得
との間の不
均衡等
を考慮いたしまして、
超過所得
の
階級区分
を
引き上げ
、又
税率
引き下げ
たのであります。すなわち
現行資本金
の一割
超過額
百分の十を、三割
超過額
百分の十に、二割
超過額
百分の二十を、五割
超過額
百分の十五に、三割
超過額
百分の三十を、十割
超過額
百分の二十に、それぞれ
引き下げ
ることといたしました。これと同時に今回
資本
に関する
法人税
は、現在その実益に乏しいことを考慮いたしまして、これを廃止することといたしました。また
外國法人
に対する
普通所得
の
税率
、
現行
百分の四十五を、
内地法人
と同
樣百分
の三十五に
引き下げ
、
外國法人
を
内地法人なみ
に取扱うことといたしましたのであります。なお、
同族会社
に対する
加算税
の
税率
につきましても、
所得税
の
税率
の
引き下げ
に対態せしめるため、
所要
の
改正
を行うことといたしたのであります。 次に
特別法人税法
を廃止いたしまして、
特別法人
に関する
規定
を
法人税法
に統合することといたしたのであります。ただ
特別法人
に対しましては、
從來通
り
事業分量
に
應ずる配当
はこれを損益に算入することといたしました外、当分のうち
普通所得
に対する
税率
を、
一般
の
法人
に比し百分の五
軽減
することといたしました。さらに
法人税
の
課税
の
充実徹底
を図るため、必要に應じ
納税地
を指定して、
営業
の
事業
上の
中心地
において
課税
する途を開くこととし、併せて
支店等
の
所轄税務署長等
に、
当該支店等
の
調査
を與えることといたしました。なお、
法人
が
私的独占
の禁止及び
公正取引
の
確保
に関する
法律等
に基き、
株式
その他の資産を処分した場合の、
課税
上の
特例
に関する
規定
を、
租税特別措置法
に新に設けることといたしました。 次に、有
價証券移轉税
につきましては、有
價証券
のうち株券に対する
税率
をこの際
増徴
して、千分の二乃至千分の八
程度
といたしたのであります。なお
企業再建整備法等
に関連して、有
價証券移轉税
を課さない
特例
を設けることといたしました。 次に
相続税
につきましては、
課税價格
に算入しない少額贈
與額
の
限度
を、
現行
千円から三千円に
引き上げ
、その他の
免税点
についても
相当程度
の
引き上げ
を行うとともに、
年賦延納
を求めることができる
税額
の
限度
を、
現行
一万円から三万円に
引き上げ
、
納税
の困難でないと認められる者に対しては、
延納年限
の短縮、
延納年割額
の
変更等
をなし得る等の
規定
を設けることといたしたのであります。 次に
通行税
につきましては、
現行
一粁につき一等四銭、二等二銭、三等五厘の從粁税でありますのを、今回料金の百分の五の
從價税率
に改め、急行及び
寢台料金
の
税率
を、一律に百分の二十といたしたのであります。なお二十粁以下の三等乘客に対する
非課税規定
は、これを廃止いたしましたが、三等
定期券
についてはその性質に鑑み
從來通
り
非課税
といたしております。 次に
酒税
でありますが、
財政需要
の
現状
、
物價
の
現状
に顧み、
清酒
については、一升
びん詰
の小賣
價格
、
一級酒現行
二百九十五円を四百五十円
程度
に、二級
酒現行
二百四十円を三百五十円
程度
に、
麦酒
につきまして
びん
一本の小賣
價格現行
四十一円五十銭を七十円
程度
に、それぞれ
引き上げ
る
程度
の
増徴
を行うとともに、その他の
酒類
についても品質に應じ
税負担
に差等を設けて、これに準する
増徴
を行うこととし、又、
特別價格
で
販賣
する
酒類
の
價格
につきましても、
一級清酒現行
六百円を九百円
程度
に、二級
清酒現行
五百四十円を七百五十円
程度
に、
麦酒びん詰
一本
当り現行
百一円五十銭を百五十円
程度
にそれぞれ
引き上げ
、総
税額
において平
年度
五割
程度
の
増徴
を図ることといたしました。
清涼飲料税
につきましては
酒税
の
増徴
に対應して第二種サイダーの
税率
を、一石について
現行
六千九百円を九千五百円に
引き上げ
、その他の
清涼飲料
についても同
程度
の
税率
の
引き上げ
を行うことといたしました。 次に
砂糖消費税
につきましては、
税率
の
区分
を簡素化するとともに、第二種
分密糖
に対する
税率
を、百斤につき
現行
千五十円又は千八十円を二千二百円に
引き上げ
、その他の
砂糖
、
糖密
及び
糖水
についても、同
程度
の
税率
の
引き上げ
を行うことといたしました。なお、
輸入砂糖等
については
砂糖消費税
を
非課税
とする等の
規定
を新たに設けることといたしました。 次に
物品税
につきましては、最近における
物價
の
状況等
に即態し、
從量課税
の
税率
を
引き上げ
ることとし、
マツチ
については十割
程度
、
あめ類
については五割
程度
の
税率
の
引き上げ
を行うことといたします反面、第一種の
物品
中、
負担
過重と認められる
特定
の
物品
、すなわち時計、文房具、漆器、陶磁器、
電球類
、
ミシン等
につき、
税率
を一段階
引き下げ
るとともに、
課税最低限
の
引き上げ
を行うことといたしました。なお、
食糧配給公團
の配給する
葡萄糖等
であ
つて
、
主食強制代替配給
のものに対する
物品税
を免税する
規定
を設けることといたしました。 なお、
登録税
のうち
定額税
のもの、
印紙税
、
取引税
及び
骨牌税
につきましても、それぞれ
物價
の
変動
に即態して
税率
の
引き上げ
を行うことといたしたのであります。 以上申し
述ベ
ましたほか、今回
改正
しようとする二・三の点について申しますれば、まず直接
國税
に関する
犯則事件
の
調査
を強力かつ迅速に行い、
課税
の
徹底
を期するため、
收税官吏
の
調査権限
を拡充強化するとともに、
國税
の
課税標準
の
申告
をしないこと、
國税
の
徴收
又は
納付
をしないこと等をム動し、又は強要して者を処罰する
規定
を設けるため、
間接國税犯則者処分法
を
改正
して、
国税犯則取締法
を制定することといたしたのであります。なお
関税法
の
犯則事件
に対する
罰則等
の
規定
を整備することといたしました。その他
所得税
、
法人税等
各税にわたり
加算税
、追
徴税罰則等
の
規定
を整備強化するとともに、
國税徴收法
の
延滯金
を
引き上げ
、あらたに
國税
の
過誤納金
に
還付加算金
を附することといたしたのであります。また土地の
賃貸價格
の
一般的改定
は、諸般の
事情
を考慮し、一年延期することといたしました。 次に
取引高税
について、その
大要
を申し上げます。
さき
にも申しました
通り
、
所得税
及び
法人税
の
軽減
による
減收
の一部を補填し、
財政
の
基礎
を堅実ならしめるため、諸
外國
にも多く実施されている
取引高税
をこの際創設することが適当であると考えられるのであります。即ちこれにより極めて低い
税率
で
相当額
の
税收
が、
物價
その他の
経済情勢
の
変動
に應じて
確保
されることとなり、特に
國庫收支
の時期
的調整
を図る上からも、きわめて必要であると考えられるのでありまして、
財政需要
の著しく増大している
現状
におきましては、本税の創設は眞にやむを得ないものと考えるのであります。 さて、
取引高税
の内容につき主たる点を申し上げますが、本税はこの
法律
の
施行地
において、
営業者
が
営業
として行う
取引
に対し
課税
するのであります。その
営業
の
範囲
は、
物品販賣業
、
製造業
、
銀行業等
おおむね
從來
の
営業税
を
課税
していた四十種目であります。又営利を
目的
としない
法人
が、右に申し述べました
営業
と同種の
事業
を行う場合におきましても、
取引高税
を
課税
することといたしております。本税は廣く
一般
的に
課税
する所に特徴がありますので、
非課税
のものはできる限り認めないのを適当とするのでありますが、
主要食糧
の
製造販賣
、小学校、中学校の
教科用図書
の発行又は
販賣
、國が
價格調整補給金
を交付する
重要物資
の
取引
、自己の收穫した農産物、林産物、水産物の
販賣
又はこれを
原料
として製造した物の
販賣
、
輸出取引等
には、本税を
課税
しないことといたしております。
取引高税
の
納税義務者
は、
取引
の対價として
取引金額
を
領收
する
営業者
でありまして、その
課税標準
は、
取引
の対價として
領收
する
金額
といたしております。すなわち、
物品販賣業
にあ
つて
は、賣上
金額
であり、
問屋業
、
代理業等
にあ
つて
は、
手数料
又は
報酬金額
といたしております。また、
銀行業
にあ
つて
は、
貸付金利息
、
手形割引料
、
手数料等
であり、
保險業
にあ
つて
は
拂込保險料額
のうち、
生命保險
の場合においては百分の七十五に
相当
する
金額
を、その他の
保險
の場合においては百分の三十に
相当
する
金額
を
控除
することといたしております。なお、その他の
営業
にあ
つて
は、その
取引
から生ずる
收入金額
を
課税標準
といたしております。本税は、以上申述べた
取引金額
に対し百分の一の
税率
により
課税
することといたしているのであります。すなわち、
取引
の各
段階ごと
に百分の一のきわめて低率で
課税
するのでありますから、
物價等
へ及ぼす
影響
はさしたるものではないと考えられるのであります。 次に
取引高税
の
納付方法
でありますが、本税は原則として
取引高税印紙
をも
つて
納付
することといたしたのであります。すなわち、
営業者等
は
取引金額
を
領收
の際、その
税額
に
相当
する
金額
の
印紙
を消印して、これを
取引
の相手方に交付しなければならないのであります。但し、五十円未満の
取引等
については
手数
の
点等
を考慮して、三箇月毎に
一括現金納付
の
方法
によることといたしております。なお一
取引
の
取引金額
が一万円以上の
取引
につきましては、
受領書
に
印紙
を貼用して消印する
方法
によることにいたしたのであります。しかして
営業者等
は毎三箇月分の
取引金額
及び
税額等
を記載した
申告書
をそれぞれ三月十日、六月十日、九月十日及び十二月十日までに、
政府
に
提出
しなければならないのであります。
銀行業
、
信託業
、
保險業
、
電氣供給業
、
ガス供給業
、
運送業
中
鉄道業
、
海運業
、
公團
につきましては、
申告
及び
納付
に関して
特例
を設けまして、毎月分の
取引金額
及び
税額
を記載した
申告書
を翌月十日までに
提出
し、
申告
と同時に
納付
することとし、
一般
の
申告納税
の
方法
を採用することといたしたのであります。 なお、
取引高税
の
印紙
による
納付
を確実ならしめる
措置
といたしまして、二、三の
規定
を設けているのであります。すなわち、一面
印紙購入通帳制度
を設けて
営業者
の
印紙購入
及び使用の実績を常時明らかならしめるとともに、他面学校、
社会事業
、
保護施設
の職員は、
生徒等
の組織する
團体
が、交付された
印紙
を
政府
に
提出
したときは、
政府
は、
当該印紙
の
額面額
一円以下のものについては百分の五、二十円以下のものについては百分の三、二十円を超えるものについては百分の二に
相当
する
金額
の
交付金
を交付することといたしたのでありまして、これにより
印紙
による
納税
を
確保
する一助とした次第であります。 以上各
法律案
につきその
大要
を申し上げたのでありますが、
昭和
二十三
年度
の
租税
及び
印紙收入
の総額は二千六百三十二億円余に上り、総歳入中
租税
の占める地位は六六%というように、決定的に重要とな
つて
いるのであります。その各税につきまして、本
年度
の收入額を申し上げますれば、
所得税
は一、二八三億六千百万円で全体の四八%、
法人税
は一三〇億円で全体の五%
酒税
は四五七億七千六百万円で全体の一七%、
物品税
は一七五億八百円で全体の七%に達するのであります。また
取引高税
の本
年度
の收入額は約二百七十億円であります。 今
翻つて昭和
二十二
年度
の
租税收入
の
状況
について申し述べまするに、昨年末
以來國会
を中核として
租税完納運動
が全國にわたり展開され、民官あげて
徴税
の
確保
に勢力した結果、
徴税
の成績は本年一月以降著しく良好となり、四月末日までに
昭和
二十二
年度
の
予算額
一三五四億円を若干上廻る
程度
の
税收
を
確保
し得たのであります。しかしてかような
徴税
の促進により通貨の増勢は著しく抑制され
インフレーシヨン
の進行を阻止するのに多大の
寄與
をなし得たのであります。この成果は
國民
の深き協力と理解とによるものでありまして、まことに慶賀に堪えないところであります。 本
年度
におきましては、
さき
にも申し述べました
通り所得税
、
法人税
を
中心
として
相当程度負担
の
軽減
を図ることとしたのでありますが、
國民生活
が
一般
に
相当
窮迫している
実情
に顧みるならば、中央及び
地方
を通ずる
國民
の
租税負担
は必ずしも軽くはないのであります。しかも二千六百三十二億円に上る
租税收入
を
確保
することは、
経済再建
の基盤をなす
財政收支
の
均衡
を図るために不可欠の要請でありますから、この際全
國民
が
租税
の
完納
につき
一般
の努力をいたされたいのであります。
政府
といたしましても、
國民所得
の分布が激変しつつある
現状
におきまして、
租税負担
の公正を図りつつ
租税收入
を
確保
するため、急速に
徴税機構
を整備強化し、税務の
運営面
を刷新改善して、特に
大口利得者等
の
課税
の
充実
に努力し、
負担
の適正を期するとともに、
國民
の
納税
に関する認識の
普及徹底
に努める所存であります。
國民各位
もまた、この際
租税
を
完納
し、
インフレーシヨン
の
防止
に
寄與
せられるよう切望するものであります。 何とぞ御
審議
の上速やかに賛成せられるよう切望してやまない次第であります。
—————————————
早稻田柳右エ門
3
○
早稻田委員長
次に昨日これも本
委員会
に
付託
になりました、
たばこ專賣法
の一部を
改正
する
法律案
、これを
議題
といたしまして、
政府
の
説明
を求めます。
—————————————
荒木萬壽夫
4
○荒木
政府
委員 ただいま
議題
となりました
たばこ專賣法
の一部を
改正
する
法律案
について
提案理由
を
説明
いたします。
たばこ專賣益金
の
確保
を図るためには、あらゆる
方法
を講じて
たばこ專賣法
の
違反行為
を
防止
しなければならないのであります。これがため法制的の面につきまして第一に
罰則
を強化する必要があるのでありまして、
專賣益金
に直接
影響
を及ぼすところの、いわば最大の
犯則
につきましては、
從來同法
は、
最高刑
として五万円の罰金が科せられることにな
つて
おるのでありますが、最近の
経済情勢
と他の法令との権衡も考え、さらに体刑も科しなければ、これが
徹底
は期しがたいと考えられるのであります。 第二に、
ヤミ撲滅
のためには、その根源において、これが
防止
を図らなければならないことは申すまでもないことであります。すなわち
たばこ耕作者
の耕作する
葉たばこ
につき、これを
政府
に
完納
せしむることが肝要でありまして、これがため
從來
と
つて
いた
措置
としましては、
収穫
前における
収穫量目
の
査定
に止ま
つて
いたのでありますが、この
措置
だけでは正確を期することができませんので、
葉たばこ
の
葉数
を檢査決定するとともに、その
査定数量
の
葉たばこ
を
納付
しない場合における追懲
金額
を引上げ、も
つて
収穫葉たばこ
の
完全收納
を期する必要があります。 次に第三の
措置
としまして、
私製たばこ
を根絶せしむるためには、その
原料
である
葉たばこ
のみならず、
たばこ苗
や、
たばこ種子
についても
取締
を
徹底
させるとともに、
密製造
のおそれのある
たばこ用
の機械についても、これを使用させないようにする必要があるのでありまして、これらの点につき
現行法
の不備を是正しなければならないのであります。 なお、以上のほか
酒税法
、
物品税法等
とともに收入
確保
の
見地
から、
未成年者等
についても、直接、
行為者
を処罰することができるようにするために、この
たばこ專賣法
の一部を
改正
する
法律案
を
提案
した次第であります。何とぞ御
審議
の上、速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
早稻田柳右エ門
5
○
早稻田委員長
この際暫時
休憩
いたします。 午後二時十四分
休憩
————◇————— 午後二時十六
開議
早稻田柳右エ門
6
○
早稻田委員長
休憩
前に引続きまして
会議
を開きます。未
復員者給與法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
政府
の
説明
を求めます。
—————————————
荒木萬壽夫
7
○荒木
政府
委員 このたび本
國会
に
提出
いたしました未
復員者給與法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を御
説明
申し上げ、
各位
の御
審議
をお願いいたしたいと存じます。 未
復員者
に対する
給與
につきましては、第一回
國会
で御賛成いただきました未
復員者給與法
に定められたところに從
つて
実施いたしておるのでありますが、この
法律
によるいろいろな
給與
の定額は、
法律
制定当初定められ、昨年七月以降今日までそのまま
適用
せられている
金額
でありまして、昨今の
物價
事情
に鑑みまして適当でない点も生じてまいりましたので、扶養手当につきましては、
扶養親族
一人
当り現行
月額百五十円を、
政府
職員に対するものと同樣約五割増の二百二十五円に
引き上げ
、又帰郷旅費につきましては、
現行
三百円を五割増の四百五十円に
引き上げ
、さらに遺骨引取旅費
現行
二百七十円は八百円に、遺骨埋葬費
現行
三百十円は千円に、それぞれ約三倍
程度
に
引き上げ
まして、
昭和
二十三年四月一日以後、
給與
事由の生じた
給與
について
適用
いたしたく存じましてこの
法律案
が
提出
された次第であります。 この
改正
のために要する増加
予算額
は、
昭和
二十三
年度
約六億六千万円でありまして、それは本
年度
本予算に計上せられることとな
つて
おります。五月からはソ連地区からの復員輸送も開始せられているような
状況
でありまするから、かたがたこの際、本案につきましては何とぞ速やかに御賛成をお願いいたしたいと存じます。
早稻田柳右エ門
8
○
早稻田委員長
本日はこれをも
つて
散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
早稻田柳右エ門
9
○
早稻田委員長
それではこれをも
つて
散会いたします。 午後二時十六分散会