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北村國務大臣 ただいまの
請願の中で、租税関係につきまして二、三の点私より意見を申し上げたいと思います。
歯科医師並びに
医師より
事業税免除について、それから
商工業者から租税の
軽減について御
請願にな
つておりますが、これらの点につきまして
ちよつと意見を申し上げたいと思います。
第一に事業税でありますが、これは從來は主として
商工業者がいろいろの形で税を負担いたしておりまして、自由業に属する計理士、弁護士、あるいは
医師、
歯科医師等の方々は、
商工業者の税負担とは違
つて、
所得税一本でまい
つてお
つたわけであります。ところが今回事業税を地方税として創設するということになりまして、從
つて從來営業税の対象にな
つておらなか
つた原始産業並びに自由業等を対象として租税を起す、こういうことになりましたので、それで弁理士、
医師等の方々に、新たに事業税の負担を願う。これを地方税として地方財源に充てるということにな
つたのでありますが、
医師の方々からは、特にこれに対して、そういうものはかけられては困るという御陳情は非常に多いのであります。これは一應ごもつともな点もあると思うのでありますけれ
ども、ただいま
政府の方針といたしましては、今の事業税の対象の中から
医師を除外するという積極的な理由が非常に乏しい。こまかいところに議論をいたしますと、弁護士と医者と同じでないということも言える。医者は往診の義務があるが弁護士にはそういうものはない。お医者さんの方には設備とか藥剤を要するが、弁護士は必ずしもそういうものはないというような点において、多少の違いをつけるというようなことに考えが及んでもよいのじやないか、こういうふうに私は考えておりますけれ
ども、今これは税制改革の懇談会等では、まだ地方税についてのこまかいところまで論議が進んでいないと思うのでありまして、これはその方の專門の方々のおいでになる懇談会において、御研究願いたいと思
つております。ただいまのところ、これは区分するとしても、なかなかむずかしい問題でございますので、
医師の方々をこの事業税の対象から除くということは、非常に困難である、というように考えております。
それから、
商工業者の税の
軽減というのは、これは
所得税法の改正とか、あるいは法人税の改正というようなことによ
つて、商工業における企業組織が株式会社組織にな
つているというものについては、今回多少
軽減できる、あるいは
所得税改正が、ある
程度は御均霑になるというような点もあるかと思うのであります。事業税の新しい地方税としての賦課が——これはまあ今まで
商工業者が割合に対象になり過ぎて、一般自由業がその外にあ
つたというのが、自由業をおやりになる方も、今度は租税の対象になるということによ
つて、相対的には多少のバランスがとれるということで、
商工業者に御幸抱を願う。殊に法人組織である場合には、法人税の
軽減ということもあるというような点において、辛抱願うよりしようがないのではないか、かように考えます。
それから
日本商工
会議所会頭からの取引高税に対する反対の御
請願も、きわめてごもつともと思うのでありますけれ
ども、これは何分勤労
所得税等を
軽減いたしました金額が
相当大きくございまして、これをどうして補填するかという問題につきまして、なかなか困難な財政状況でございますために、この税を新たに起して、これで一部を補うということを余儀なくされたわけでありまして、取引高税というものが、必ずしもこれは非常にいい税であるとは考えておりませんけれ
ども、まあきわめて軽度のものであれば——すなわち今研究いたしておりますのは、一段階一%ということで考えておりますので、
最高の場合まで考えて総平均いたしますと、おそらく五%以上になることはあるまい、こういう考え方をいたしておるのでありまして、かような点で、これはまあひとつ御辛抱願うよりしようがないのではないか、かように考えておりまして、ただいまこの法案を
國会に提出いたそうと思
つておるところでございます。この点だけ一應
政府の考え方を申し上げまして御了解を得たいと思います。