○松田
政府委員 お話の点につきましては、確かに
不正保有物資または過
剩物資等につきましては、
物資調整法に基く過
剩物資等活用
規則に上
つておる
不正保有物資、過
剩物資をこの際
対象にいたしたのでありますが、その場合に、
お話のポイントはいろいろな見方があるが、結局それを正当の対價で國が買い上げるという方針が徹底していないのではないか。特に
不正保有物資と過
剩物資との間においても、相当性格が違うものであるのを、それを一律に同じ
條件で、しかもここに上
つておりますような、きわめて低利な
條件の
登録國債で買い上げるということは、そういう点から申しても、
國民の権利を侵害するのじやないかというところに、御結論をお
考えにな
つておられたと存ずるのでありますが、これにつきましては、要するに今日のわが國の
物資の需給関係その他の点からいたしまして、できるだけこうい
つたものを國内に早く活用する途を
考えなければならぬということが、何と申しましても大前提であると思うのであります。そうしてまたそれによ
つてみずからなすべきだけのことをなして、しかも足らざるところを連合軍その他関係筋の方に、日本の産業再建の上に支援をしてもらうという点から申しましても、まことに
意味のあることだと
考えるのであります。そういう線がこの問題の中心を流れておる大きな点であることは御
承知の通りでありまするが、そういう
意味におきましてこの
不正保有物資という、いわゆる
物資活用
規則等にも上
つておりますような物につきましては、結局何れにいたしましても、この入手の手続なり、それからまた現在それを所有ないし占有しておること自体が、この
物資需給調整法等の法令に
違反をしておる。また連合軍最高司令官からの好意によ
つて拂い下げられたようなものについて、またそれが手続その他の点において
違反してそういう物をも
つておるということは、やはり今日の時局において、またこの
法律を守り、
國民の信用を高めなければならぬときにおきまして、そういう
法律違反の
状態において所有ないしは占有しておる者に対して、買上げをいたします場合には、やはりある
程度一般の場合と区別をして買上げの
條件をきめるということは
——個々的にそういう実情というものを十分区別をし、かみわけて買上げをするということは、何も
憲法の「正当な
補償」からいたしまして、不当であるということは言えないと思うのであります。ただその場合に、
お話の過
剩物資と
不正保有物資との区別について御質問がございましたが、これにつきましても結局このもともとの精神が、過
剩物資であれば一方において不足して困
つておる人もあるのだ。何分にも需給関係の苦しいときだからそういうことがある。しかもその場合に特に物の現物化という点において、切符と十分マツチをさせていくためには、一方において切符は持
つているが物がはいらない。他方においては
自分が操業していく上に、さしあたり不必要なものを持
つておるというような場合には、それを彼此融通するということは、今日の國の産業を活かし、経済活動を盛んにしていく上から申しまして、まことにやむを得ぬ、また必要なことである。
從つてそういうことを極力や
つてもらいたい。しかしながらそれもやらない。しかもただ過
剩物資として依然としてそれを持
つているという場合におきましては、それは形の上では違いますが、やはりそういうものを持
つておられるというその氣持からしますと、ここにこれを國で買上げまして、これを再び國の力によ
つて活用さすということが
考えられると同時に、そういう方々に対しては、やはり
不正保有物資と同じような
條件で買上げることもやむを得ぬのじやないか。もちろんそれが過
剩物資を持
つておる人だからとい
つて、いきなり
不正保有物資を持
つておる人と同じような
意味で、初めからそれを同じような
條件で買上げることは、まことに惡いことでありますけれ
ども、しかしながら今申しましたように、十分そういうチャンスを與えて、しかもなおかつ依然としてそういうものを保有しておるという方々に対してのみ、今申しましたように、國として必要に應じてそうい
つた強権を発動すると申しますか、
政府で買上げるということになりますので、そこは
不正保有物資を所有しておられる方に対してのやり方と、同じように扱
つてもいいのじやないか。こういうような
考えで、今申し上げましたような
趣旨で、今の
法律の構成をいたしておるわけであります。その点はその辺の実情を一つくみと
つていただきまして、
お話の点の御
了承をいただくように願いたいと存ずる次第であります。