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1948-03-29 第2回国会 衆議院 財政及び金融委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十九日(月曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君    理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君       赤松  勇君    川合 彰武君       河井 榮藏君    佐藤觀次郎君       田中織之進君    西村 榮一君       林  大作君    松尾 トシ君       八百板 正君    栗田 英男君       後藤 悦治君    中曽根康弘君       原   彪君    松田 正一君       青木 孝義君    島村 一郎君       周東 英雄君    苫米地英俊君       淺利 三朗君    石原  登君       河口 陽一君  出席國務大臣         大藏大臣    北村徳太郎君  出席政府委員         大藏事務官   福田 赳夫君         大藏事務官   平田敬一郎君         大藏事務官   愛知 揆一君         大藏事務官   阪田 純雄君         大藏事務官   日下部 滋君         大藏事務官   松尾 俊次君         大藏事務官   原田 富一君  委員外出席者         大藏事務官   岡村  竣君         専門調査員   氏家  武君     ————————————— 三月二十六日  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出)(第二一号) 三月二十七日  臨時資金調整法を廃止する法律案内閣提出)  (第二四号)  大藏省預金部特別会計昭和二十三年度におけ  る歳入不足補填のための一般会計からする繰入  金に関する法律案内閣提出)(第二五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会設置に関する件  煙草專賣法の一部を改正する法律案内閣提出  )(第九号)  証券取引法を改正する法律案内閣提出)(第  一八号)  復興金融金庫法の一部を改正する法律案内閣  提出)(第二一号)  臨時資金調整法を廃止する法律案内閣提出)  (第二四号)  大藏省預金部特別会計昭和二十三年度におけ  る歳不足補填のための一般会計からする繰入金  に関する法律案内閣提出)(第二五号)     —————————————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 会議を開きます。  本委員会に付託になりました復興金融金庫法の一部を改正する法律案臨時資金調整法を廃止する法律案大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律案を、議題といたします。まず政府説明を求めます。大藏大臣。     —————————————
  3. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま議題となりましたうち、復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  御承知のように復興金融金庫資本金は、去る二月上旬國会の可決を得まして、これを七百億円に増額いたした次第でございますが、当時御説明申し上げました通り、この資本金は本年度末までに必要とする資金最小限金額でございまして、その後当初の計画に從いまして、貸出額は逐次増加いたし、現在すでに資本金限度一ぱい近く達しましたので、今回さらに來年度第一・四半期末までの所要資金を勘案いたしまして、資本金を増加いたすことといたした次第であります。復興金融金庫資本金は、今回の増資をもちまして、すでに五回にわたつて増額いたされたわけでございまして、この間國会の御要望にもこたえまして、貸出しにあたりましては、つとめて嚴格、愼重に実行してまいつたのでありますが、戰後経済混乱期にあたりまして、産業界資金需要に即應いたしまして、よく経済復興再建に寄與してまいつた次第であります。すなわち石炭、鉄鋼、肥料等重点産業はもちろん、その他の一般産業につきましても、きわめて困難な状況下にありながら、よく設備の復旧、拡充を実現し、企業の順調な発展を見ましたことは、復興金融金庫の適切な資金の供給によるところ、多大であつたと存ずる次第であります。復興金融金庫設立いたしました趣旨は、経済復興に必要な資金であつて、かつ一般金融機関融資することの困難な資金のみを供給することにあつたのでありますが、再建途上におきまする惡條件によりまして、経済界復金依存傾向は逐次顯著となり、加うるに昨年六月以降公團資金をも一手に賄うことと相なりましたために、貸出残高は急激に増加いたしまして、これが通貨面に対する影響が、強く指摘せられるに至つたのでございます。政府といたしましてはつとに健全財政方針を堅持いたしまして、復興金融金庫貸出しにつきましても、つとめてこれを圧縮制限いたしまして、いやしくも放慢に流れることのないように、特に基礎産業に対しまして、重点的な融資実行してまいつたのでありますが、諸般の事情によりまして、今日のごとき巨額の資本金を要するに至つた次第であります。現在復興金融金庫の機構並びに運営方法につきましては、國会初め各方面から、種々の御意見あるいは御要望をいただいておりますが、今後関係方面の御協力を得まして、愼重檢討の上、逐次実行に移したい所存でございます。政府といたしましては、復興金融金庫民主的運営を期するため、所要措置を講ずるとともに、貸出しを抑制し、事後の管理を適正ならしめるよういたしたいと存じております。これらの措置のうち、法制的措置を要するものにつきましては、成案を得次第法案を提出いたしまして、御審議をお願いいたす所存であります。なお復興金融委員会の改組、復興金融金庫人的内容充実等、種々考慮いたしておりますが、このため金融界及び経済界の格段の御援助を切望する次第であります。復興金融金庫貸出残高は、二月末現在で、すでに五百四十四億円を突破いたしておりまして、これが所要資金は、政府拂込金並びに債券発行によつて、調達してまいつたのであります。政府拂込金設立当初拂込みを得ました四十億円のほか、本年二月及び三月の債券償還のために、各十五億円ずつ、計七十億円と相なつております。また債券発行額は、三月末現在には五百九十九億円に達する見込みでありますがこれが市中消化につきましては、前回御審議の際にも御説明いたしましたように、近時かなり好轉してまいり一月、二月の平均市中消化率は三八%に達しておりますが、今後とも特段の努力を傾注いたしまして、通貨面に対する影響を極力阻止するため、万全の対策を講じたいと考えております。  なお貸出金額の圧縮につきましては、すでに御承知のように復金融資相当部分を占めておりました公團資金を、來期以降全面的に市中資金を活用するように切りかえましたため、復金自体の負担は著しく軽減せられることとなつたのであります。今後はさらに一般産業資金につきましても、つとめて市中金融機関の活用をはかるとともに、復金依存傾向を是正してまいりたいと所存であるのであります。今般提出いたしました復興金融金庫法の一部を改正する法律案は、以上の諸事情十分勘案の上、さしあたり來年度第一・四半期末までに必要とする資金最小限を見込みまして、資本金の増額を実行いたすためであります。すなわち本年度末の資本金の余裕を考慮いたしまして、この際現在の資本金の七百億円を二百億円増加いたしまして、これを九百億円といたすことを適当と考えたのであります。先にも申し述べましたように、現在の資本金はすでに限度一ぱいに近く達しております関係上、本件増資実行は、ぜひとも四月早々に実施される必要があるのであります。  以上復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたしましたが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。  次にただいま同時上程と相なりました臨時資金調整法を廃止する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  臨時資金調整法は御承知通り昭和十二年九月公布施行せられまして以來、物資資金の需給の適合をはかり、経済秩序を確立することを目的といたしまして、運用せられてまいつたのでありますが、最近の経済情勢は、同法が制定せられました当時とは、その様相を異にするにいたりましたので、同法の内容について種々劍討を加える必要が、生じてきたのであります。そこで政府はこの際、一應臨時資金調整法を廃止することが適当であると認め、ここに臨時資金調整法を廃止する法律案を、提出いたした次第であります。  なお臨時資金調整法廃止後の措置につきましては、政府におきまして目下愼重研究中であります。これまた何とぞ速やかに御審議の上、御賛成を願う次第であります。  次に大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補填のための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、提案理由の御説明を申し上げます。  大藏省預金部特別会計昭和二十三年度暫定予算における歳入歳出は別途提案いたしました昭和二十三年度特別会計暫定予算に計上しておりますごとく、その歳出事務費預金利子、他会計への繰入金給與特別措置費等、合計一億五千八百三十六万五千円を要するのでありますが、その固有の歳入といたしましては、預金部資金運用による利子、有價証券の償還による益金等、二千六百二十五万一千円でありまして、差引一億三千二百十一万四千円の歳入不足を生じているのであります。  本会計における歳入不足につきましては、借入金をもつてこれを補填する方法考えられますが、これは本会計の性質に鑑み、適当でないのみならず、健全財政趣旨にも副わないと考えられますので、この歳入不足額一億三千二百十一万二千円につきましては、これを一般会計から繰入れることと致したいと考えるのであります。これがためには、法律をもつてその旨を規定する必要がありますので、この法律案提出した次第であります。  なお今回の措置は、本会計收支が改善せられるに至るまでの臨時措置でありますので、後日、本会計財政状況が健全な状態となりました曉には、その繰入額に相当する金額は、本会計から一般会計へ繰入れることとするため、これに関する規定も設けた次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に煙草専賣法の一部を改正する法律案に対する質疑を継続いたします。佐藤君。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先日もやみタバコのことが問題になりました。たまたま先日新聞に、從業員がタバコを非常に持出して、莫大な金をもうけておるというようなことが出ておりますが、こういうようなことについて、政府はどんな取締りをされるか、ひとつ大藏大臣か、あるいはその関係係官に御説明を願いたいと思います。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま佐藤君のお尋ねは、きわめてごもつともな点でございます。從來のやみタバコ取締りにつきましては、相当努力をいたしまして、これの趣旨徹底のためにはラジオ、映画等まで動員して、その防止のためにいろいろな方法を講じておるわけでありますが、なかなか思うようにまいつておらぬ点がございまして、ただいまお尋ねの点があつたと思います。新聞の記事は私は読んでおりませんので、詳しいことは存じませんですが、とにかく一般的にはやみタバコを防止するということはきわめて必要であります。このためにはあらゆる手を盡しておるということをだけお申し上げまして、あとは政府委員より御説明を申し上げたいと思います。
  7. 日下部滋

    日下部政府委員 工場から持ち出しがありますのは、まことに遺憾でございます。これに対しましては、工員の持ち出し危劍のある者に対しては、毎日身体檢査を行わせておるのであります。労働組合もまたこれに積極的に協力してくれておるのでございますが、相当持ち出し者がおることはまことに遺憾でございます。昭和二十一年度において、こういうかどによりまして、懲戒解傭もしくは免官いたしました者が、懲戒解傭で百九人、免官になりました者が六名あるというような状況であつたのであります。
  8. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いま一つ大藏大臣お尋ねしますが、あれほど賣れ行きの惡かつた新生が廃止されて、新しいタバコが出るというお話も聞いておりますが、何がゆえにああいうふうに新生の評判が惡かつたか、その点について政府は今後どういうような方法によつて、こういう人氣の惡いタバコをつくらないようにされるか。そういう点をお伺いいたしたいと思います。
  9. 日下部滋

    日下部政府委員 新生は質の惡いのに、値段が高いというのが賣れの悪い根本でございます。そこでこの新生製造、販賣は、ただいま福引券附で販賣いたしておりまするが、終りましたならば、これを停止いたしまして、新しく品質と價格の調和のとれた品物を出したいと考えまして、ただいまこの品種の製造を準備中でございます。そのお含みでひとつお聽き願いたいと思いますが、一つは「いこい」というタバコをつくろうといたしております。これは五月からつくりたいと思つております。これは大巻でございまして、大体昔の「ひかり」程度になる品質のものでございます。これを大体二十億程度つくりたいと思います。それからさらに一般大衆でも、少し儉約すれば買えるような細巻のものをつくりたい。これはただいまのところハツピーというものにして、來月早々から製造に着手いたしたいと思つております。なお刻みタバコでございますが、これは日本独特の嗜好タバコでありまして、ただいまの「みのり」というのがあまり品質がよくありません。そこで昔の「さつき」程度のものをつくりたいと思つております。これは「ききよう」という名前で出るだろうと思います。いずれにいたしましても、製造に着手いたしましてから、愛煙家の方にお目見得するのは一箇月半後になるだろうと思つております。
  10. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 大臣はちよつと他に行かれるそうでありますから、大臣に対する質疑を先にしていただきます。石原君。
  11. 石原登

    石原(登)委員 私はタバコに関する基本的な政策について、大臣お尋ねいたしたいと思います。近時、大藏当局タバコに対してとつていらつしやるやり方に対して、私は実は非常な疑問をもつている。というのはどういう点かというと、日本敗戰の結果、資材的にも、あるいはその他の点においても非常に窮乏しているのであつて、これらの資材あるいは資金は、あげて一切生産の面に振り当てられなければならぬと思うのであります。ですから資金にしろ、資材にしろ、生産の面に割合効率的に使つてもらいたい。こういうような見解をもつているのでありますが、近時タバコに関する政府やり方を見ると、むしろ國民嗜好を満たしてやるという見解から離れて、國家の大きな財源であるという見地から、この面をむしろ積極的に指導し、あるいは積極的に煽動するということは惡いかもしれませんが、そういうような要素がある。たとえば耕地面積にしても、普通の食糧耕地面積を犠牲にしてまでも、これをつくろうとしているし、あるいは資金資材の面から考えても、タバコ増産は、これは國民生活にどうしても必要であるからという面からでなしに、ただ單に國家財源として、最も簡單に收益が上げられるからというようなきらいがないでもないと見ているのであります。かように考えてみますと、政府がかねがね主張している國家の困窮している資材資金を効率的に使うという面と違つて、もうかりさえすれば、どういうところに使つてもいいということになるのではないかと思つているのであります。そこで私お尋ねしたいのは、大藏当局は、このタバコは、國民の絶対的な必需物資であると考えているのか、あるいは單なる嗜好品程度であると考えているのか、あるいはこのタバコがどういうぐあいに生産に非常に寄與していると見ていらつしやるのか、この点を聽きたい。もちろん、労働者は、疲れの中から、一本のタバコによつて相当の、あるいは相当以上の慰労を得ていることについては、私も決してそれを認めないものではありませんが、それ以上に、こういうような資金は、もつと端的に強い生産面の方にもつていかれなければならないと考えております。最近専賣局の出張所などというものが、街の角々に、これは専賣局員かどうか知りませんが、タバコ持ち出して、それを道行く人に賣つている。政府はもちろん今日財源がなくて困つているということは知つているけれども、吸わぬでもいい人にまで、積極的に消費の面のタバコを吸はせるというような政策までとられることは、決してよろしくないと私は思います。こういう点に対して政府当局は、どういうような御見解をもつていらつしやるのであるか。この点ひとつ聽きしてみたいのであります。
  12. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問は、きわめてごもつともであると思うのでありますが、実は私自身はタバコというものは吸つたことはないので、はたしてタバコというものは必需物資であるかどうかと言われると、私はなくて暮しておるので、私の主観から言えばお答えのしようがあるのでありますけれども、今日ではタバコというものは、必需品的な嗜好品であるということは、一般に認められるのであります。もう一つのことは、今取扱つておりますタバコは、これは財政専賣であるという点でございます。專賣と申しましても、平時政府が社会政策的に、一般商品市場において、普通の商品價格構成のような値段では一人の生活を脅かすというようなものを、特に社会政策的に專賣行つた場合と、それから財政收入を得るために財政專賣として処理する場合と、二通りある。今の段階においては、御承知通り日本は最も貧乏してしまつているので、財政收入を獲得しなければならぬ。そこで必需品言つてもいいくらいに一般に普及したところの嗜好品であるタバコというものの專賣を通して、これで政府財政を賄おうという態勢に立つておるのでありまして、このことは今日まで認められてきておるのであります。ただその方法についていろいろ議論があると思うのであります。第一タバコというものが少い。これは非常に美田をタバコのために荒していいかどうか、食糧増産をはばむのじやないかという観点もありますが、それもおのずから限度がありまして、いくらでもどんどんタバコの耕作を殖やしていいとはむろん思つておりません。限度があります。それで、現在の嗜好に対してタバコ生産が現在なお足りない。そこで、葉タバコなどが豊富に輸入されて、もう少し需要を満たすということになれば、手ぎわよく專賣が行われるのではないか。今のところはずいぶんまずい点がある。これは石原さんの御指摘まつまでもなくまずい点がある。しかし專賣財政である以上は、これをなるべく大量に商品として賣らなければならぬ。そこで宣傳もしなければならぬ。遂には富くじまでもつけなければならぬ。こういうような結果になつたのでありまして、根本方針としては、タバコ專賣財政であるという基本的な考え方において、今の税收と合わせて、國家財政の重要な部分を占める。そのことについては別段な考えはむろんあると思いますが、今の段階においては、これも政府の現在不可欠の一つの收入源である。こういうふうに考えている次第であります。
  13. 塚田十一郎

    塚田委員 大藏大臣は御多忙でいられるのでこちらの希望するときにおいで願うということは、たいへん困難だと思いますので、どこか大分浮き腰でいられるようでありますが、この際、ただいま提案になりました復興金融金庫法の改正に関連いたしまして、根本的な問題について、ただ一点だけ大藏大臣の御意見をお伺いいたしたいと思うのであります。復興金融金庫というものは、これは前内閣の時代にできましたもので、われわれも当時はその設立趣旨というものには賛成をしておつたのであります。しかし過去一年の運用の実際の結果から見てみますと、この際この復興金融金庫によつて日本産業というものに金融をしていくということについては、相当根本的な方針考えなければならぬ点が出てきているのではないかと考えるのであります。それはなぜかと申しますと、実は昨年一箇年間の復興金融金庫融資いたしました金額というものは、これは当初復金設立しましたときの額をはるかに超えて、厖大な額に上つてまつた。それで、今日本金融界が、一体どれくらい銀行が扱い、復興金融金庫が扱つているかということを私は考えてみているのでありますけれども、どうも私どもの手もとに、的確な新しい表がないのであります。昨年十一月ころの数字で、私どもが手に入れ得る範囲で調ベましたところによりますと、全國銀行勘定というものが貸出をしている総額というものは、千五、六百億くらいにしか上つていない。そうして過去一年くらいに全國銀行勘定貸出が、どれくらい殖えているかということを調ベてみますと、大体その一割、百五、六十億くらいしか増加していない。ところが復興金融金庫は、昨年二月開業いたしましてから一箇年間に、実に七百億の資金を全部使いこんでしまつて、新しくまた増資をしなければならないという段階に立ち至つている。しかも今年一年、これから先にどれくらい新しい資金の利用を考えておられるかという数字を、ぽつぽつそこいらで聞いたり見たりいたしますと、相当大きな金額に上るらしいのであります。そういうことになりますと、結局日本産業金融というものは、ほとんど復金過半——今はほとんど過半であるが、今後もあるいは全國の銀行が扱うよりも、復金の扱う額というものが大きくなつてしまうというような状態が、來るべき一年間には、必至に出てくるのじやないかというようなことを考えるのであります。そこで、大藏大臣は、多年民間銀行に御経験が深くあられて、金融というもののほんとうの形態がどうなければならないかということは、十分御承知のはずなんでありますが、その大藏大臣の御経験、御判断をもつてして復興金融金庫によつて日本産業融資というものが、過去一年の実績及びそれによつて今後想像されるような形態でいつてもいいとお考えになつているかどうか、その点なのであります。これは、今、金融機関國有とか、國家管理というようなことが、他の党の諸君によつていろいろ問題にされているようであります。私どもは、立党の趣旨から、本質的にそういうものに対しては賛成いたしかねるという立場をとつているのでありますが、しかし、政策面における理論はどうありましても、実際問題として、こういうような金融政策運営をやつていかれるならば、これは事実問題として、金融はもう完全に一種の変態的な國営もしくは國家管理になつてしまうということにならざるを得ないのであります。これは大藏大臣は、そういうような御方針でいられるというのであれば、意見の相違ということになるのでありますが、大藏大臣はまさかそういう考えをおもちになつてはおるまいと私は考えているのです。その点についての御意見をひとつ伺いたい。
  14. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御指摘の点は、復興金融金庫としては、きわめて留意を要する点を御指摘なつたと思うのであります。それで、元來この復金設立の動機というものは、日本産業復興のためであつて、しかも一般金融機関をもつてしてはやれないものをやるということが建前でありまして、その一般金融機関をもつてしてはやれないということは、どういうことであるかというと、一言にして申しますと、復興のために必要であるけれども、どうもリスクが高い、非常に危險率があつて一般預金を対象とする私企業としての金融機関では、負いきれぬほどのものをやらなければ日本復興はだめなんだ。だから、やむを得ないから、國家である危險を負担して——というと語弊があるかもしれませんけれども、要するに、一般金融機関としてはやり得ないようなものをやるのが建前で起つたものであると思うのであります。その意味で、今日まで復金がやつてきたことは、大体その目的に対してそう外れたものじやない。ただ金額が非常に厖大になつてきた。あるいは一般金融の手から出ないから、復金へすべてのものが殺到すると言いますか、非常に集中的に要望があつて金額がかさんだというけれども、それは大体において日本の産業経済復興のために、その方向へ資金が注がれたということだけは見てよいのじやないか。さらに考えなければならぬことは、ただいまお話があつたように、一般金融機関との関係はどうなるかということも問題になります。それから一般金融機関の昨年の増加額が百五十億とおつしやつた。私は数字は存じませんけれども、現在の貸出総額は千五百億にすぎぬじやないかとおつしやいましたが、大体一般金融機関は活動の源泉を預金に求めておるので、預金が増加しない限りは、いかに日本経済のために必要であり、またいかにこれを出さなければならぬものであつても、ない袖は振れないということで、こういうものが復金に集まつていくという傾向があるのであります。今の日本國民経済の全体の傾向から見て、大わらわになつて國民蓄積に努力しているけれども、どうも預金の純粹な総額は殖えない。從つて一般金融機関資金力が弱いという点もあつて、市中で賄えるものまでも復金に押しつけるという状態を來しておるのでございます。今後の復金のあり方はどうかということも、あまり突然で今詳しいことを申し上げることはできませんけれども、要するにいかに一般金融機関でやれないことをやるのだと言つても、赤字金融を平氣で引受けるということはやつてはならない。その点は嚴に戒めております。また金額その他についても、復金で金を借りるといつても、物の面から借りた金が実際効率をあげるかどうかということも勘案いたしまして、物の面においても調達することができるということが確かめられない限りは、復金は出しておりませんので、その点はただいまの行き方で間違いないと考えております。なお復金といたしましては、たとえば選択の場合でも、資金の回轉率が多いとか、安全率が高いとかいうことだけであつてはならない。これは一般の市中銀行考え方で、復金としてはそうでなくて、もつとより多く重点をおくことは、これが復興に役立つかどうかということが重点でなければならない。復興に重点をおくということを考えます場合に、貸出しをしてそれが効率をあげるかあげないか、それだけで資材を得られるかどうか、運轉がうまくいくかどうか、その点に対しては十分注意をいたしております。それからもう一つ從來以上に今後氣をつけたいと思いますことは、すでにやつておりますけれども貸出し以後の監督というものをもつと嚴重にやりたい。今後一層これは努力をしていきたいと思います。と申しますことは、一般銀行でございますと、受入れと貸出しを同時にやつておりますので、從つて受入れを通じてその企業の動的な現在の実相をつかみやすい。復金は出し放しになる、そういう点がございますので、爾後の監督については從來以上努力いたしたい。こういうふうに考えております。
  15. 塚田十一郎

    塚田委員 大臣の御説明では十分納得いたしかねるのであります。殊にただいまの御説明のうちで、納得いたしかねます一番大きな点は、市中金融機関預金融資の源泉を求めているからできないのだというお話があつたのであります。預金が十分殖えないということは、今日日本経済一つの大きな悩みでありますが、しかし私はこれも市中金融機関が十分融資力をもたない一つの原因であつた。殊に過去一年においてそれがあつたとは考えます。しかしそれ以上に政府がいわゆる融資規制というものによつて市中の金融を押えてしまつておる。預金は殖えてもその半分しか使わせないというわくを與えておる。さらにそのわくの中に、また融資の順位を置いておかれるということの方が、むしろ市中の金融機関が十分活動し得ない大きな原因である。金融政策根本を、もう少し考え直されてしかるべきものでないかということを、私はこの復金の將來のあり方についての考え方の根本にもつております。一方市中金融機関というものは、金融という技術の面におきましては、長い間の経験で非常な優秀な力をもつておる。そういうようなものに十分仕事をさせないでおいて、政府がつくつた金融機関というもの、これは人的構成から言つても実に脆弱なものであります。そういうようなものに市中の全金融機関に匹敵するほどの金融をさせておくということは、たいへんな問題であるということなのであります。だからして金融政策そのものにも再檢討を、復金のあり方に関連して考え直していただく余地がないものだろうかどうかということなのであります。この点についていま一点だけお伺いしておきたい。
  16. 北村徳太郎

    北村國務大臣 きわめてごもつともな点でありますが、これは今のような乏しい預金を吸收した中で、これをどういうふうに流すかということについては、どうしても國家意思がはいらなければならぬ。殊に今の状態では、主として新らしく殖えた預金の約半額を財政資金にしなければならぬということを、私の企業としての銀行の観点から言えば、そういうわくをはめられては困るという点があろうと思うけれども國家の見地から言えば、どうも銀行から約半分は助けられるということでなければ、今のところうまくいかないという全体を眺めての考え方である。しかも残りのものについてなお重点のわくがはまつておるということでありますが、これも今のところやむを得ない。どうもやはり産業が重点的に促進されておるということと、金融がこれに伴つていくということとは、やむを得ないじやないかと思うのであります。これはすでに提案されておるのでありますが、資金調整法が一應今度は解消される。このことによつてただいまの御指摘の点は一應解消する。しかし私ども資金調整法がすつかりなくなつてしまつてそれでよろしいとは考えにくい点があるのであります。これはあらためて御審議願いたいという点もあるのであります。それから金融政策全般といたしましては、この際やはり再檢討を要するということは塚田さんのお話の通りでありまして、おそらく近くそういうことについての法典を、國会提案をいたしまして御審議を願うことになるであろう、こういうふうに考えております。
  17. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 煙草專賣法の一部を改正する法律案についての質疑はございませんか。
  18. 石原登

    石原(登)委員 これは最近の現象ですが、一般の小賣店でなかなか購入できないピース、あれを相当繁華な街の角で、專賣局の出張所だという人たちが賣つておるようですが、あれはたしかに專賣局の出張員でありますか。
  19. 日下部滋

    日下部政府委員 專賣局の出張員ではありません。あれは販賣組合の出張賣出でございます。
  20. 石原登

    石原(登)委員 販賣組合というのは私わかりませんが、それは政府から正式の許可を得て、タバコの小賣に從事しておる人たちのグループでありますか。そういたしますと、どうもこれはおかしなことだと思いますが、たとえば私の住んでおる荻窪の近郊では、なかなかそういうタバコは買えない、結局都心まで出てきて、二十円か幾らかのプレミアムをつけてやみで買う。今度は一部の方面ではそのタバコを獎励するようにして賣つておる。こういう事実から考えて、どうもあなた方の小賣業者にまわされるというタバコの数量の配分方法が一方に偏しておるんじやないか。こういうことを考えますが、ただいまタバコをあなた方が小賣店に渡しておる基準は、大体いつころの需要を基本にしてやつていらつしやるのであるか。たとえば戰前昭和何年ごろということになれば、狹い東京の面から考えてみても、中央部は燒けて居住者が少くなつている、ところが世田谷、荻窪という方面は、たいへんな人口増加で賄い得ないのは当然である。こういう点もあなた方はお考えになつて小賣店に対する配分がなされておるのであるか、その点お尋ねしておきたい。
  21. 日下部滋

    日下部政府委員 タバコの配分は、ピースにつきましては、主として大都市に重きをおいてやつております。それから小賣店に対します配分は、その地方における青年男女子に大体比例して配分させております。それから販賣組合でやつておりますのは、これはタバコをやみ賣りいたします人たちがおつて、実は帝都の眞中ではなはだどうもみつともない。それよりもあそこで非常に需要があるならば、何とかあの不体裁を除けてもらうという意味におきまして、販賣組合の人に特に出てもらつて、あそこで賣つてやみ賣りをなくしていただく、こういう意図でやらせておるのでございます。
  22. 石原登

    石原(登)委員 当局の苦慮は私どもも十分納得もでき、また御同情申し上げるのですが、私は結論として考えることは、タバコのやみ賣りが出てくるということは、もちろん一部の持出しもありましようけれども。大きな問題は、そのできたタバコの配分計画がきわめて不適切なためではないか。一部面においては多分にあり余るようなタバコがあり、ある一部面においては非常に足りない、こういう結果が今のタバコのやみ賣りの現象を生じておるのではないか。これはただやみだけで賣つているというなら別ですが、現にある所ではやみでなくて公定價格で賣つていらつしやる。こういうことは社会政策から考えてみてもおかしな話だと思います。どうかこういう点について御留意くださつてタバコの配分計画に対しては十二分の御鑑査をいただきたい、かように御注意をいたしておきまして私の質問を終ります。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 煙草專賣法の一部を改正する法律案につきましては、すでに議論もつきていると思いますから、討論を省略して採決にはいつていただきたいと思いますが、いかがですか。
  24. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいま佐藤君より、煙草專賣法の一部を改正する法律案については、質疑を打切り、討論を省略して採決せよという動議が出ましたが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議はないようでありますので、さよう取計らいます。  本案に対して御賛成の方は御起立をお願いします。   〔総員起立〕
  26. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。本案は原案の通り可決確定いたしました。  次にお諮りをいたしますが、すでに十二時でございますので休憩し、午後は証券取引法を改正する法律案の御審議を願いたいと存じております。本案は、日本経済の民主的再建にあたりましてきわめて重要な意議をもつ法案でありますので、本委員会におきましても、廣く各方面の有識者の方々の御意見を伺つた上、審議を進めたいと存じます。本日連絡をいたしておりまして、二、三斯界の有識者の方にお越しを願うことに相なつておりますので、午後その方々の御意見を伺いたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議はないようでありますので、さよう取計らいます。午後一時半から再開をいたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  28. 梅林時雄

    ○梅林委員長代理 休憩前に引続きまして会議を開きます。  皆様に一應お諮りしたいことがあります。それは二十六日附に農林委員会に付託されました臨時物資調整法の一部を改正する法律案には、石油配給公團法、配炭公團法、肥料配給公團法、酒類配給公團法、飼料配給公團法、及び衣類配給公團法に関する事項が含まれておりますので、本委員会及び鉱工業委員会にも関係がありますので、農林委員会、鉱工業委員会と連合審査会を開きたいと思いますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 梅林時雄

    ○梅林委員長代理 それでは異議ないと認めまして、さよう決定いたします。なおこの連合審査会につきましては、三委員会委員長相談の上、その時日を決定する運びと相なるのでありますけれども、大体のところ明日午後一時からこの連合審査会を開会することに相なつております。お含みの上で御出席を願いたいと思います。  次ぎに午前中の委員会におきまして協議いたしました通り証券取引法の一部を改正する法律案に関し、御出席の方々の忌憚ない意見を拜廳いたしたいと存じます。本日出席の方々は信託協会会長の林さん、三菱信託社長の池田さん。日本投資信託社長の伊庭さん。証券取引委員会委員長の徳田さん。全國証券業会連合会長の小林さん。東京証券取引所設立準備研究委員の小山さん。三井信託の白井さん。帝國銀行の秋野さん。帝國銀行証券部の次長大野さん。日興証券の遠山さん。以上の方でありまして、これより懇談にはいりたいと思います。なお順序その他については発言の順位を取極めませんけれども、業者の皆様におきましても、また委員の皆様におきましても、忌憚ない御意見を御交換願いたいと思います。これから懇談会に移ります。     〔午後二時二十六分懇談会に入る〕     〔午後四時五十分懇談会を終つて散会〕