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1948-03-26 第2回国会 衆議院 財政及び金融委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十六日(金曜日)     午後三時開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君    理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君       赤松  勇君    川合 彰武君       川島 金次君    河井 榮藏君       佐藤觀次郎君    田中織之進君       西村 榮一君    林  大作君       松尾 トシ君    大上  司君       中曽根康弘君    松田 正一君       青木 孝義君    泉山 三六君       島村 一郎君    苫米地英俊君       淺利 三朗君    井出一太郎君       内藤 友明君    石原  登君       河口 陽一君  出席政府委員         大藏事務官   阪田 純雄君         大藏事務官   日下部 滋君  委員外出席者         大藏事務官   岡村  竣君         専門調査員   圓地與四松君         専門調査員   氏家  武君     ————————————— 三月二十五日  大衆課税反対並びに徴税費引上に関する請願(  大島多藏君紹介)(第二〇六号)  化粧品に対する物品税軽減及び賦課徴收方法  等改善に関する請願川合彰武紹介)(第二  一九号)  旧軍港所在軍用建物等拂下價格に関する請願  (小暮藤三郎君外一名紹介)(第二二一号)  商工業者に対する租税軽減請願小暮藤三郎  君外一名紹介)(第二二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  煙草專賣法の一部を改正する法律案内閣提  出)(第九号)  証券取引法を改正する法律案内閣提出)(第  一八号)     —————————————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 会議を開きます。  煙草專賣法の一部を改正する法律案に対する質疑を継続いたします。
  3. 川島金次

    川島委員 本案に対しましては別に異議はないのでありますが、採決の前に、本案に直接関係はないようなもので、参考のために簡單に二、三お尋ねをいたしておきたい点がある。すでにこの問題については、二、三の質疑者があつたというお話でありますので、あるいは私の質疑が重複するのではないかという心配をもつものでありますが、もしそういう事情でありましたならば、委員長から御遠慮なく御注意を願いたいと思います。  まず第一にお伺いしたいことは專賣益金は、本年度追加予算を加えて、歳入五百十二億と予定されておるのでありますが、本月、最近までのタバコ收入実績は、どの程度になつておるかということをお伺いいたしたい。
  4. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。先ほど五百十二億の益金という仰せでありまするが、まさにその通りであります。これをあげます賣上代金の総額は五百六十二億円、この五百六十二億円から、賠償金その他の経費を差引きますから、五百十二億の利益になるわけであります。その五百六十二億の予定販賣高に対しまして、二月末までに三百十四億の賣上げであります。
  5. 川島金次

    川島委員 二月末として三百十四億と申しますと、二百五十億程度予定残があるわけであります。これを三月中に消化できるとはちよつと想像困難だと思われます。当局はこの三月中にさらに予定通りの賣上げを得られる見透しをもつておるか。それをひとつ伺いたい。
  6. 日下部滋

    日下部政府委員 先般御協賛を得ました新生に対しましては、福引券をつけて販賣いたしておるのでありますが、この抽籤期が迫りまするに從いまして、賣上げ増進傾向にあるのであります。二月までの新生の賣上げ予定通りにまいつておりませんが、抽籤期が迫りますれば、思いのほかに賣れるという見透しをもつておるのであります。しかしながら五百六十二億の金額をあげ得るかということにつきましては、若干下まわる結果を見るのではないかと、ただいまのところ考えております。
  7. 川島金次

    川島委員 問題は今お話のあつた新生の賣行きいかんが、この專賣局益金收入の結果をきめる問題だと思うのであります。この新生の大体の発賣予定額というのは、どのくらいであつたかということと、現在その新生予定額に対して、どの程度の賣上げ状況を示しておるかということを、ちよつと細かいようですが、この機会に示していただきたい。
  8. 日下部滋

    日下部政府委員 賣上げ予定は昨年の十一月から四十二億本でございます。これに対しまして一月までに約六億賣れております。二月は三月五日までに約七億五千万本賣れております。三月にはいりまして最近までの全般の実績はわかりかねますが、方々の販賣官署の方につかみ得る数量を聽いてみますと、大体二月中の倍程度賣れているようであります。
  9. 川島金次

    川島委員 二月中のかりに倍になりましても、相当賣上げ予定額に遠い結果になる懸念があるようであります。殊にこの新生の問題については世上いろいろの非難がある。まず第一に非常に品質が惡いことであります。第二は價格が高いこと、專賣当局としてはこの新生の賣上げ福引券などを発賣して、相当大わらわになつて宣傳し、賣上げ実績を高めるように努力されております。最近全國的のことは知りませんが、私は埼玉縣でありますけれども、埼玉縣下タバコ店で、事実しきりとピースとの抱合せ販賣をやつております。しかもその抱合せのことは、單に小賣店の氣持からやるのではなくて、それは大藏省からの指令だ。こういうことをはつきり言つて抱合せ販賣をしておる。私はそういうことはないと思うのでありますが、そういうことまでして小賣店では必死の努力をしている。それはよろしいが、今度は購買者の身になつてみると、たいへんな問題であります。そういうことまでしなければ、この新生予定通り上げができないという見透しのもとに立つておるのではないかと実は思うのであります。それに対して当局は、一体どういうふうな考え方で、この新生宣傳販賣に当つておるか、それをひとつ聽かしていただきたい。
  10. 日下部滋

    日下部政府委員 御説の通り新生の質に比しまして値段が高いことは、その通りであります。從いまして一月までの賣上げ実績が上らなかつたのであります。これに対してもつぱら購入者の方にも買いやすいようにということが、私たちのねらいであります。また販賣者と申しますか、小賣店の方も、この際もつぱらサービスに力を入れてもらつて、これを賣るということに指導をいたしております。喜んで買つていただく方法といたしまして、福引券というものをつけまして、福引を樂しみながら買つていただく、こういう方針でやつてまいつたのであります。
  11. 川島金次

    川島委員 その当局お話はまことにもつともな話なんですが、実際において抱合せをやつておる。こういう抱合せ販賣に対しては、ぼくは嚴重に監督、注意を喚起すべきだ。そうでないと一般勤労大衆にとつては、ピースは吸いたいが新生抱合せだということになつたんでは、非常な迷惑である。そうしたことを販賣者大藏省指令だといつておる。公然とそういうことを言つておる。そういうことまでされることが、はたして正しいかという問題なんです。それに対して特段の注意を私は喚起する必要があると思う。当局ではそういうことの事実があつたとすれば、どういう態度で臨むかということを聽きたい。
  12. 日下部滋

    日下部政府委員 新生ピース抱合せをやつておるというお話でございまして、これは小賣人が、そういうふうな指令当局からあつたということを申したというお話でありますが、当局としましては、全然さような指令はいたしておりません。先ほど申し上げましたように、サービスでもつてつていただく。ピースを買いにこられたならば、どうか一つ新生をお買いください、こういう態度でいくように指導をいたしております。ピースを買う場合に、新生を買わなければピースを賣らないというような向きがありましたならば、私の方でも十分に注意をいたしたいと思います。
  13. 川島金次

    川島委員 そこで問題は、小賣店の方に專賣局から不当な割当をしておる。これがそういう問題を惹起しておるのではないか。その賣上げ能力のない店に対して、賣上げ能力以上の割当をする。これがそういう弊害をかもし出す一番の原因だと思う。それで小賣店の中には、その不当な割当を受けて、四苦八苦をしておるという実情のものが相当ある。中には、なけなしの財産を全部傾けて、その不当の割当を受けておる、それだからどんどん賣らなければならぬ。賣らなければならぬから今のような抱合せをしなければならぬ。こういう形になる。まことかほんとうか知らぬが、大藏省指令だ。こういう形になつておる。そういうことはぼくは非常に大衆に対する感じの上から言つても、またもちろん経済関係から言つても、きわめて好ましくない。そういうことを私は是正しつつ專賣益金予定額の賣上げに努めることは結構ですが、そういうそもそもの初めから無理をやるような事柄であつては、いかに國庫歳入上げたいという氣持がありましても、私はそういうやり方はよくない。こういうふうに考えるのでしつこくそれを聽いておるのであります。それで今のお話を相対的にみると、結局この專賣益金実績は、三月末になつても、およそ百億内外の不足額が出てくるのではないかという懸念が相当ある。そうなるとそれは新年度に繰越されるということになつて、きわめて無理な事柄であるということが、事実の上にだんだんと証明されてくる。そこで私はこの新生に対しても、もつと当局親切心を出して、大衆も喜んで買うようなくふうを、至急に講ずる必要があるのではないか。先般新聞紙上で見ると、砂糖がはいつてきたので。新生の中に砂糖を振りまいて製品にするというようなことが出ておりましたが、そういうことも私は一案だと思う。何かそういうようなことをせぬと、このタバコの賣上げの問題は予定通りにいかぬ。これは私は本年度の問題でなくして、おそらく新年度にはいつても、厖大予算が見込まれておると思いますが、この厖大予算の中にはおそらくタバコ收入も、今年度に比べてまさるとも劣らないところの歳入予定する。   〔委員長退席河井委員長代理着席〕 そういうように予定されておるものを、今のような状態では、またしても新年度においても賣上げか思うようにいかないで、歳入欠陷を招く。こういうことであつては私は財政操作の上において、まことに好ましくない結果を生ずると思うのであります。そこで当局においては、こういう賣上げの不振な実績に鑑みて、どういうような形でもつと大衆に親まれ、賣上げも上がるというようなことを、積極的に考えておるか。ただ福引券だけではいかぬ。品質の問題も積極的に考えて、賣上げを増進させるという親切心をもつことが、当然に必要な事柄である。そういう事柄について何か考えるものがあるかどうかお聽きしたい。
  14. 日下部滋

    日下部政府委員 品質を向上する方法を講じて、大衆に買いやすいようにもついていくのがよかろうということは、ごもつともであります。ところが新生はすでに本月の初めで予定数量を賣り盡してしまいましたので、これをもちまして新生製造は今中止いたしております。その福引券が終りますと同時に、今までつくりました分をそれまでに賣りまして、これで新生販賣をおしまいにしたい、かように考えております。そこで新生に代る、つまりピース家庭配給との間に何か加えなくてはいけない。そこでピース家庭配給との間に、ただいまのところ二品種を挿入したいと準備をいたしております。この二品種は今仰せになりましたような考えのもとに、價格に相当した充実した品質をもたせて、その價格で喜んで買つていただけるような品物にいたしたいと、ただいま製作準備にかかつております。
  15. 川島金次

    川島委員 しからばその二品種の内容を、具体的にひとつ説明してもらいたい。大体今準備にかかつたというのですから、もうきまつたことであると思うが、差支えなかつたら説明を願いたい。
  16. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。二品種のうちの高級部分太巻であります。もう一つのその次の品種のものは細巻であります。
  17. 川島金次

    川島委員 價格はどうですか。
  18. 日下部滋

    日下部政府委員 價格は追つて財政法第三條の特例に関する法律に從いまして、御協賛を得たいと思います。
  19. 川島金次

    川島委員 そこで最後に聽きたいことは、先ほど申し上げましたように、來るべき新年度予算が相当尨大なものである。私どもがちよつと推算しても三千億は下るまいと思いますが、その三千億の歳入を求めるために、酒の問題、あるいはタバコの問題などが、当然またわれわれのまくらの上にのつかつてくる。そういう場合に今当局としとは、またしてもタバコ値上げしたいという意向があるのではないかとわれわれ聞いておる。そこで聽きたいのは新年度にもう間近くはいるのでありますが、再びタバコ値上げという問題を考えておるか。それについてひとつ差支えなかつたならばお示しを願いたい。
  20. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。專賣当局としては、値上げの問題は考えておりません。
  21. 川合彰武

    川合委員 まず最初お尋ねしたい点は、きんしの原價いくらであり、新生原價いくらピース原價いくらであるかということを聽きたい。   〔河井委員長代理退席委員長着席〕  もう一つは現在議題になつております煙草專賣法の一部を改正する法律案の主たる要点は、罰金の増額という点にあるように思うのでありますが、私思うのにこの嗜好品、あるいはまた一部の意味においては生活必需品であるけれども、かようなタバコとか酒というものは、その價格がある限界点を上まわつた場合には、どうしてもその密造が行われるということを考えざるを得ない。ただいま日下部政府委員は、現在專賣局としては、タバコ値上げ考えないと言われますけれども、川島委員の言われる通りに、われわれの見透しからいたしますならば、昭和二十三年度以降の財政收支を合わせる上におきまして、どうしても間接税に依存せざるを得ないような現況にある。しかもその間接税増收の目標は、酒、タバコに重点がおかれることは、これはだれしも考えざるを得ないところであろうと思うのであります。そこで問題は私は一体現在のピースとか、あるいはまた新生に類する新しくできる二品種もあるようでありますが、かかるものが現在のインフレ状況下において、密造と言いますか、そういうものとの相関関係において、ある一定の限界点があると思うのであります。現在新生が賣れないということも、実は田舎においでになればわかりますように、皆私設專賣局が各所に開かれておる。殊にはつきり申しますならば、朝鮮人のものは、動力設備によつて乾燥設備を完備して、堂々とかかる製造をやつておるという現況にあります。なぜかかるものが取締りができないかと申しますならば、取締るところの当局はもちろんのこと、警察官もこわくて手が出ない。しかも最近においては御承知の通り地方警察官というために、そういうような兇惡的な犯罪に対しては、追究するだけの能力さえない。そこでわれわれとしては、それらに関していろいろなことを聞いておるわけですが、そういうふうにある價格限界を超えた場合においては、逆に國家のねらうところの益金の増加ができないということを、われわれは深く考える必要があると思うのであります。そこで事務当局からみて、たとえば現在のピースが百円になつたならば、かえつて減收になるだろうというような、一つ限界点があるだろうと思うのでありますが、その限界点というものを、事務当局はどの辺に置いておるかという点をお伺いしたいと思います。
  22. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。最初原價についてのお尋ねでございますが、原價の点は今資料をもつておりません。後刻調ベましてお答え申し上げます。  それからタバコ價格限界点でございますが、これはいろいろな見方があると思います。ある言い方から申しますと、一つの勘で申し上げることしかないかと思いますが、ただいまピースが五十円でございますが、これをいくらまで上げれば最も増收をされるかということでございますが、これは製造数量の兼ね合いの問題であろうと思います。來年度はこのピース数量を相当殖やすつもりでおりますので、現在のピース價格というものは、この辺が限度ではないかというふうに考えております。
  23. 川合彰武

    川合委員 價格は大体わかりませんか。
  24. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それではただいまの川合さんの答弁は後まわしにしまして、次に赤松君。
  25. 赤松勇

    赤松(勇)委員 私はただいまの御答弁の中の、樂しくタバコを買わせるということは、言葉じりをつかまえるわけではないが、大体專賣局考え方というものは、根本的に間違つておるのではないか。たとえば賣れない場合には、何か景品をつけて賣れば、それではけていくという考え方がいかぬと思います。殊にタバコというものは、今では單なる嗜好品ではなく。國民生活にとつては不可欠なものである。從つてそういうものを賣り出す場合には、よほど國民生活との関係というものを考えてやつていただかなければならぬ。現に私は労働組合方面に深いつながりをもつておりますが、実際職場の中で新生等に対する非常な不満がある。特に職場に対するところの配給というものが、だんだん減つていく。一方においてはそういうような、買うことのできないまずいタバコが賣出される。しかも今のお話では抱合せはやつていないということですが、虎の門の地下あたりでは抱合せをやつておる。專賣局出張所という看板を掲げてやつておる。私自身もやはり抱合せで買わされておる。でありますから樂しく買うというのでなくて、そういう投機的な射倖心をあおるというような考えは捨ててもらつて、やはり專賣局大衆に対する一つサービスをするのだという考え方から、いいものを安く賣つて、そうして少しでも今の陰惨な、暗い國民氣持を慰めていく。そういう氣持の上に立つてタバコ製造考えていただかなければ困ると思う。それから先ほど新しい二種のタバコを賣出すと言われたのでありますが、大体この二種のタバコの、今計画されておる数量はどれくらいなものですか。
  26. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。両方合わせて七十億本でございます。
  27. 赤松勇

    赤松(勇)委員 そうすると今出されておるのが約六百億本くらいですが、その一割くらいに該当するのですか。
  28. 日下部滋

    日下部政府委員 ことしの製造予定高は五百億本でございました。これが電力制限等によりまして、二十数億の減産になつております。從いまして四百八十億本足らずでございます。來年度はこれを五百三十億ほど製造したいと思つております。
  29. 赤松勇

    赤松(勇)委員 そこで私は、なぜ数量お尋ねしたかといえば、今度できまする二種類タバコは、賣れなければまた福引をつけて樂しく買わせるというようなことのないように、実は数量をお聽きしたわけであります。たとえば專賣局が非常に厖大計画をお立てになつて賣出される。ところが計画を立ててそれぞれ材料をそろえた際には、どうもまずいから途中でやめるというわけにはいかない。今度の新生の場合でもおそらく私はそうだと思う。そこで特にこの際お願いしておきたいことは、その七十億本というような莫大な数量が賣出される場合に、一應その二種類タバコを、試みに、サンプルとして大衆に試喫させてみる。その結果に基いていよいよ本格的な生産にとりかかるというくらいな、周到な用意がなければいけないと思う。そういう準備をして大量的な製造にとりかかられたらどうか。喫つてみて非常にまずければしかたがないでは済まされない。
  30. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。くじをつけてタバコを賣るようなことは、今回限り絶対にいたしません。今度の新製品は、先ほど申しましたピース及び家庭配給の中間に、二つ挾むのであります。そのおのおのの品質を十分に吟味いたしまして、決して賣れ残りとかいうことを生じないつもりでただいま準備いたしております。なおあらかじめ試喫させろというお話でございますが、これはある少数の愛煙家等に試喫をしていただくというようなことは、やつてみたいと思つております。
  31. 赤松勇

    赤松(勇)委員 それで財政金融委員会にも相当愛煙家がおりますから、どうぞその点御遠慮なくいたされんことを希望いたします。  それから職場配給というものは將來殖えていきますか。
  32. 日下部滋

    日下部政府委員 職場配給家庭配給ともに將來いたしたいと思います。
  33. 赤松勇

    赤松(勇)委員 どれくらいの計画でしようか。
  34. 日下部滋

    日下部政府委員 來年度はただいま申しましたように、五百億足らずから五百三十億、わずかしか殖えませんので、これでもつて殖やすとういうほどには殖えないと思います。來年度の終りになりますと、家庭の方にも若干、毎月できなければあるいは二箇月に一回とか、三箇月に一回とか、家庭配給を殖やすというふうにいたしたい。なお職場に対しましても、少しでも殖やしたいと思つておりますが、何分総量がわずか三、四十億しか殖えませんから、二十三年度といたしましては、そう殖やすという域に達しないのであります。
  35. 赤松勇

    赤松(勇)委員 きわめて懇切、御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。そこでさらに念を押しておきますが、新生抱合せはやつていないと言つておりますが、現実に行われております。ですから当局の方からそういうことのないようにという新しい指示を、至急やつていただきたい。そうしてもう新生残り高というものは知れておるのですから、できるだけそういう方法でやつていただきたい。なおただいまの將來福引等のないように、できるだけ樂しい、いい品物を安く賣るというあなたのお言葉に私は信頼しまして、絶対にそういうことをしないとおつしやいますから、もし再びこういうことがあつたときには、あなたは責任をおとり願いたい。こういう問題をただ冗談半分に取上げずに、そういう射倖心、投機的な氣持をあおるのではなく、ほんとうに灰色の氣持をもつている國民に、少しでも慰安を與えて、サービスという氣持で、今後いいタバコを安く、たくさん配給していただきたいということをお願いしておきます。
  36. 川合彰武

    川合委員 今議題になつております專賣法の一部を改正する法律案に関しましては、いろいろと質疑もあり、申したい点もあるようでありますが、証券法関係におきまして、きようぜひとも質疑したいという方がありますので、タバコに関する問題は次の機会質疑することにしまして、質疑証券の方に向けられんことを望みます。
  37. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいま川合委員から動議が出ましたが、いかがでございますか。
  38. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 前から私ども、この法案が出た趣旨は、タバコ密賣ということが、そこにあると思うのです。それにつきまして、政府当局は、どれくらいの密賣があるかという、そういう点のことを今具体的にお答え願えれば、答えていただきたいということ、それが一つ。それから現在のタバコ耕作面積が一体どのくらいあるか、今後どれくらい殖やされる希望があるかということがお尋ねいたしたい第二。第三は、私たちよく汽車に乘つておりまして非常に氣づくことは、現在東海道線においても、私たちが見なかつたタバコの栽培が、最近は実にたくさん行われている。こういう面について、一体どれくらい当局はお調べになつておるか。この点についてひとつ、あなたの方の御答弁を願いたいのです。
  39. 日下部滋

    日下部政府委員 お答えいたします。密賣の高でございますが、これはいろいろ調査いたしておりますが、どの程度であるかということをここに申し上げることができないのは遺憾でございます。何ほどであるかという見積りが、ただいままででは、どうしてもはつきりつかめない状態でございます。  それから耕作面積の点でございますが、耕作面積は、昭和二十二年度が四万一千三百町歩でございます。昭和二十三年度といたしましては、五万町歩にいたしておりまして、ただいまやつております。それから密耕作面積でございますが、これもどの程度あるかということにつきましては、先ほどの密販賣と同様でございまして、どの程度あるかということを申し上げ材料をもちません。
  40. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大体現在の市場に流れているタバコは、何割くらいあるかという推定なんかも全然できませんですか。
  41. 日下部滋

    日下部政府委員 これはきわめて困難でございまして、できかねておるのは自分でも遺憾に思つております。
  42. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは煙草專賣法の一部を改正する法律案に対する質疑は、次会に続行することにいたします。     —————————————
  43. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 続いて証券取引法を改正する法律案に対する質疑に入ります。
  44. 石原登

    ○石原(登)委員 私はまず、この法案の提出にあたつて、政府がとられた懇切丁寧な方法について、非常に好意をもつと同時に、御礼を申し上げたいと思います。  しかしながら、この法案を作成するにあたつて、若干手落ちがあつた面があるのじやないか。もちろんいろいろの事情もあつたでありましようが、この法案の作成にあたつて、当然その意見を徴すべきであり、また徴さなくてはならない、將來この法案がきわめて円滑に運営されて、証券民主化が徹底するために、最もあずかつて力があるところの証券業者、こういう人たちの意見が、まつたく取入れられていないということが明らかになつております。私は、この法案が提案されて、早速全國証券業協会に参りまして、これは非常に大部な法律でありますので、業者の意向なども聽こうと思いまして参つたのでありましたが、不幸にして協会の諸君は、大体この法律が改正されるということは承知しているが、細部にわたつての意見を承知していない。こういうような実情であつたのであります。そういたしますと、この法律の運用は、むしろ國民大多数の人たちよりも、これが実際に当るところの証券業者並びに証券協業会、こういう人たちの絶対的な協力がないと、この法の適切なる運用はできないこういうふうに考えているのでありますが、何ゆえにこういうような人たちの意見を、あなた方がよく聽き質すところの努力をされなかつたのであるか。この点からまずお尋ねいたしたいと思います。
  45. 阪田純雄

    ○阪田(純)政府委員 ただいまの点につきましては、本來の筋から申しますならば、お説のように十分に、特にそれぞれ関係ありまする方面の意見を徴するということが必要である、こういうふうに考えるのでありますが、そうして、いろいろの点につきましては全然徴しないということはありません。  御相談した点もあるのであります。しかし法案ができまして、その全体についてどうかというような意見の徴し方は、実はしておりません。從いまして御質問のような点につきましては今後におきまして十分留意すべき問題であると、こういうことを率直に申し上げざるを得ないのであります。
  46. 石原登

    ○石原(登)委員 非常に誠意のある御答弁で了承いたしました。ところが先ほどもちよつと申し上げましたが、本法がきわめて円滑に運営されるために最も大事なものは、この第三章に規定されるところの証券業者、並びに第四章に規定せられるところの証券業協会、この二つが私は最も主力ではないかと思つております。その他いろいろな違反防止規定とか何とかいうのがありますが、こういうものをまだ詳しく読む時間がないので、いろいろ論議は後日に譲りたいと思いますけれども、まずこの証券業者について私は考えてみたいと思います。というのは今度はアメリカの樣式をとられまして、なるほど事業の民主化というような建前から、業者を登録制にされたということは一面いいことではあると私も思いまするが、しかしながらこの結果は非常に多数の証券業者が発生をいたしまして、この中にはきわめていかがわしい、あるいは実力をもたない、そういうような業者が出た結果は、かえつて業界の混乱と、さらに國民の被害が相重なりまして、実際の運営において非常なる障害を來すのじやないかと、かようなことを恐れているのでありますが、この点についての政府御当局の御見解を承りたいと思います。
  47. 阪田純雄

    ○阪田(純)政府委員 ただいまの御質問の点につきまして、その御懸念まことにごもつともと思われる節があるのでございまするが、登録制度に改めることにいたしましても、その業者の監督につきましては、十分なる方策をとつてまいりたいと、こう考えている次第です。さらに具体的に申し上げますれば、單に中央においてのみ監督するのみならず、地方におきまして、財務局等をいたしまして十分監督をせしむる、こういう建前のもとに、この法案中にも特に一條を置いておる次第であります。証券業につきましては、國民に影響するところが、御説の通り、非常に大きいのでありますが、証券民主化その他の影響によりまして、現在の制度のもとにおきましても、新たに有價証券業者たらんとする申請が相当数出てまいつております。その現実を見ますると、從來御承知のように株に手を出すということは、ある意味におきまして、君子のともに齢すべきものにあらずといつたような考え方があつたのでございますが、証券民主化、あるいはその方面の知識の拡がりによりまして、各地方におきまして現在私どもの方に申請のまいつておりまする証券業者の内容は、いわばその地方におきまする一流の信用のあります人が、こぞつて有價証券業に進出されておる、こういうような状態が現実には見えております。御同慶にたえないと考えておる次第でありますが、御指摘の、その間におきまする不良なる業者の跳梁、こういう問題につきましては、十分に監督してまいりたいと考えるのであります。從來の日本の制度のもとにおきましては、いわゆる許可主義をとりまして、許可をいたします場合には、非常に嚴重に云々いたしまするが、してしまつた後におきましては、これを放置して、ある意味において顧みないというようなきらいがありました。今般の制度のもとにおきましては、登録制度に相なりましたが、その監督の点については從來と異りまして、十分な方策を講じたい、こう考えておる次第であります。
  48. 石原登

    ○石原(登)委員 実は非常に法案が大部でありますので、私もまだ一部しか目を通しておりません関係上、私の質問があるいは間違つておるかもわかりませんが、いかなる者が証券業者となり得るかという、証券業者の適格條件、これに対する資本的な規定が出ていないようであります。そういたしますと、これから証券業者になりたいというような者は、いわゆる株屋の外交員とか何とかいうような者が十年、十五年勤めておりまして、いろいろ手練手管を覚えて、そういうことを最も得意とするところの誇大な廣告とか、あるいは誇大な吹聽とかいうことで、非常に実体以上の宣傳をいたしまして、これがために受けるところの國民の実害というものは、たいへんなものじやないかと思います。これもまだすつかり読まないのでわからないのでありますが、証券業協会に任意に加入し、また脱会するというようなかつこうで、その間ちつとも規制がないように私は今のところ一應承知しておるのですか、そういうものに対する政府御当局の御見解は、大体どういうようなおつもりであるか、こういう意味において民主化は結構であるけれども、あまりにも國民大衆に非常な影響をもつ者を任意に放任して、しかも自由奔放な行動をとらして、はたしてあなた方がもくろんでいらつしやる通りの、健全なる証券業の運営ができるかどうか、このことについて私は非常な危惧の念をもつておるのであります。この点に対して御当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  49. 岡村竣

    ○岡村説明員 お答え申し上げます。証券業者の資格につきましては、法案の第三十一條と三十五條に規定がございます。三十一條の方におきましては、第一号から第七号まで列挙されております原因、たとえば申請者が破産者でありまして復権を得ない者であるとか、あるいは禁錮以上の刑等に処せられまして五年を経過していない者というような欠格條項が列挙されております。それからもう一つは第三十五條でございますが、証券業者はその負債総額につきまして一定の制限がございます。それは三十四條に書かれておりますように、証券業者の負債総額の率、営業用純資本に対します比率は、二十倍を超えてはいけない、こういうことに相なつておりまして、二十倍の範囲内におきまして、証券取引委員会が必要と認める率を定めるわけでございまして、たとえば十五倍とか、あるいは最大限度二十倍というところまでいけるわけでございますが、その比率を超過いたしました場合には、第三十五條に基きまして登録を拒否しなければならないことになつております。ただいま申し上げました三十一條及び三十五條の拒否原因がございます場合には、登録をいたさないということになつてまいるわけでございます。なお一旦登録をいたしました後におきましても、やはりその負債総額が営業用純資本額に対しまして、ここに定めてあります倍数を超える場合には、ただちに営業停止を命ぜられる。その後六箇月の期間内に、資産状況法律の要求しております限度に回復しないときには、登録を取消されるという状況になつております。それで從來証券業者が誇大宣傳等をやりまして、委託者に相当迷惑をかけた点があるのではないかという点でございますが、この点につきましては、新しい証券取引法は、あくまでも業者の監督を嚴重にし得るという制度を設けておりまして、これは第二章の有價証券の募集、賣出しの届出に関する制度におきましても、眞実の公開ということを非常に要求しておるわけでございますが、証券業者の廣告等につきましても、委員会規則の定めるところによりまして、一々届出をさして事後の監査をいたし、將來に向つて、もし惡いものがあれば、十分な警告を與えるというような措置をとりたいと思つております。  なお法令違反等がございました場合におきましては、この法律の規定に基きまして、ただちに営業の停止あるいは登録の取消しという措置がとり得ることになつております。條文で申し上げますと第五十九條あたりがその規定でございますが、十分なる監督ができる体制を整えておる次第でございます。
  50. 石原登

    ○石原(登)委員 今の御説明で三十四條の営業用純資本額、私はこれもまだしつかり読んでいないのでわからないのでありますが、たとえばこれはどうなりますか。これに明示されていないようでありますが、たとえばこれまでどこかの証券会社に使われておつたような使用人が、どうも都合がいいから自分もやつてみたいと考えまして、あるいは一万円でもよろしい、二万円でもよろしい。それだけの資産でもつて証券業を営む。そのことは第三十條の規定においては一切おかまいなしということになりますか。この資金から負債を引いたのちの範囲において借入ができるということになりますると、実際の運営においてもこれは行われないではないか。これはどうしてもこれだけの資本金を持つた者でなければ、証券業を営むことができないということは、別に民主化を妨げぬだけでなしに、むしろ多くの大衆に、非常なる迷惑をかけるところの防止にもなるじやないか。さらにまた業界が混乱しないで円滑に運営されていく上から考えましても、その程度の規制は当然ではないか。こういうことを考えるのでありまするが、どうも政府当局は、まつたく無條件にたれでもやつてよろしい。あるいは農業とか、あるいは簡単なる商賣だとか、こういうものでありますと結構でございますが、少くとも証券業の場合におきましては、相当大きな金を扱つておりますし、また仕事が非常に派手であります関係上、少くともこういうような行き方では迷惑をかけるではないかということを恐れるのでありますが、この点に対してあなた方の方で、ほんとうにこういうような監督の法規、こういうような罰則の法規で確信をおもちであるか。たとえば株式会社の重役とか、あるいは大きな株主が、会社の状態をあらかじめ察知しておつて株の操作をやつたときには、会社にその利益を返さなければならないと書いてありますが、何も株式会社の重役などがそういう行為をやる場合には、決して自分の名前を名乗らない。ひとの名前でやるわけでありまして、こういう法文はまつたく行われないことを羅列してあるにすぎないということを言いたい。そういうふうになりますと、実際と法文の精神とには、相当な懸隔ができて、かえつて今日以上に、わが國の証券業の円滑なる発展を阻害する面が多いじやないかということを、私非常におそれておるのでありますが、その点についての御確信のほどをお尋ねいたしたいのであります。
  51. 岡村竣

    ○岡村説明員 御指摘になりましたように、小さい資本金のものでも証券業者になり得るという建前をとつておるわけでありますが、小さい資本金と申しましても、おのずから証券業の性質上、一定の限度が間接的に設けられるというふうに考えております。その理由は、法文の第四十一條をごらんいただきたいと思いますが、証券業者は営業保証金を納めなければならないということになつておりまして、その保証金は、本店については十万円、それから支店その他の営業所につきましては、営業所ごとに五万円という金額を供託しなければならないことになつております。從つてたとえば一万円とか二万円では証券業ができない。こういう関係に相なります。それからもう一つ、法令に基きまして帳簿書類の整備、その他相当嚴重な取締の規定を設けておりますので、いわゆる魚屋、野菜屋式のものでは、近代的なそういう帳簿の整理は、とうてい不可能でございまして、やはり相当な組織をもつた業者でございませんと証券業を法令違反をしないで、完全に遂行することはできなくなると思います。そういう意味において、間接的に資本金なり営業資金なりについて、おのずから限度があるということが申し上げられると思います。
  52. 石原登

    ○石原(登)委員 ただいま私が二万円とか三万円とかいう例をとつたことは、きわめてまずい例でありましたが、四十一條には十万円あるいは五万円の営業保証金を納めるようになつておる。これは当然でありまして、私どもはこの金額は今日の株價の状況から見ましても、むしろ少いではないかと考えるくらいであります。そういたしますと、大体証券業を営むについては、当然これだけの資本がなくてはならない。不時に備えてのこれだけの用意がなくてはならないというような金額が、おのずから出てくるのであつて、それに対する規制がこの法文自体の中にも、当然あつた方がいいのではないかと私は考えるわけであります。たとえばこれはへりくつになりますが、資本金がかりに十万円なら十万円、こういうことで発足いたしましても、この保証金を納めること、あるいは帳簿を整理すること、あるいは社屋を建てる、こういうことは借金にまつても一向差支えないような規定になつておるようでありまして、そういうことでは当然非常に不安定なる基礎の上において、こういう営業が行われていく結果になることは明らかであります。そういう結果から考えて見ましても、何としても最低資産の問題については、規定が必要であると私は考えております。なおこの問題についてはさらに研究の上、質問をいたしたいと思います。  それからもう一つ私は非常に大事に考えておることは現行法のいわゆる取引法であります。この第十一條に帝國臣民または帝國法令において成立したる会社にあらざれば、取引所の会員または取引人たることができない、こういう規定がありまするが、今度の法案の中にはそういう規定がない。そういたしますと、当然第三國人も証券業者になり得る、こういうふうに解釈していいのでありますか、どうか。またそういうことをわざわざこの法案の中から抜き取つたということに対しては、何か政府として特別の御配慮でもあつたのであるか。この点もひとつお尋ねいたしておきたいと思います。
  53. 岡村竣

    ○岡村説明員 まず最初の資本金の最低額を定めるという方策を講じた方がいいのではないかという点につきまして、重ねて申し上げたいと思います。本法におきましては、証券業者につきましては、そういう純資産額の最低限度を定めておきませんで、先ほど申し上げましたように、その負債総額の営業用純資本額に対します比率だけを抑えておるわけでありますが、これは一般の現物屋につきましては、大体取引が現株即丸代金というような関係にございますので、小さい業者は小さいなりに商賣をする。つまり私どもとして警戒しなければならぬ点は、その純資産額が小さい割合に、身分不相應な商賣をする。たとえば十万円の資本をもちまして、一千万円の商賣をするというような、身分不相應な営業をすることを警戒すれば、それでまず投資家を保護するという点においては、大体目的を達し得るのではないかという考え方でございます。それから比較的大きな商賣をいたしますところの証券取引所の会員につきましては、法律の第九十一條にございますように、証券取引所は、御承知のように今度会員組織でございますが、その会員組織の取引所の定款におきまして、会員の営業用純資本額の最低額を自主的に定めることができる。こういうことにいたしております。つまりこれは大都会における証券取引所、あるいは二、三流都市における証券取引所におきましては、おのずから証券業者の規模あるいは取引の状況が違いますので、この点は一應各取引所の定款で自主的にきめさせる。そうしてその定款につきましては、登録を申請いたします際に委員会におきまして、その内容を十分審査いたすことになつておりますので、その際にはこの営業用純資本額の最低額につきましても、当然審査されることになりますので、そういう意味におきまして、比較的商賣を大きくします取引所の会員については、最低額がきめられるということに相なつたのでございます。  それから第二のお尋ねがございました以前の取引所におきましては、帝國臣民あるいは日本の法律によりましてつくられました法人でなければ、取引所員になれないというような規定がございましたが、これは終戰後ポツダム宣言の趣旨に基きまして、國籍による差別は撤廃するということになりまして、ただいまおつしやいました法律におきましても、その條項を削除いたしております。この新しい証券取引法もその精神をそのまま承継いたしまして、そういう國籍別による差別は設けない。從つてお話の、第三國人が証券業者になることも、法律的には可能になつておるわけでございます。
  54. 河井榮藏

    河井委員 私も実は相当質問があるのですが、まずこの法律につきまして大分新しい機構になつておりますので、この法律の全体を通じた機構についてお尋ねいたしたい。まず第一に一番上にある証券取引委員会というのは、官吏が三名でやることになつておるらしいですが、これは総括的に全國に一つで監督することになるのですか。
  55. 岡村竣

    ○岡村説明員 この法律の運営に当る機関は、お話のように証券取引委員会でございますが、この証券取引委員会は三名の委員、及びその下に附置されております事務局によつて構成されております行政官廳でございます。從來の委員会は、現在の証券取引委員会と同じ名前のものがございますが、これは法令の重要な方針を審議したり、あるいは調査をしたりする審議調査機関でございまして、この新しい改正法におきます証券取引委員会は、行政官廳なのでございます。それでこれはただいまのところ、予定といたしましては、委員会事務局も東京にだけしか設けられない予定になつております。その手不足と申しますか、手足の不足の点を補いますために、地方の各財務局、それから要すれば各府縣に財務局の地方部というものがございますが、その地方部をも活用いたしまして、証券取引法の施行に関する監督その他の事務を行う、こういうことに法律上なつております。
  56. 河井榮藏

    河井委員 次に証券業協会というものがございますが、これの性質並びに今度証券取引所が、一地域にも複数の設立が許されることになつておるらしいのですが、この証券業というのは、一取引所に属する会員の協会、すなわち一取引所に一協会があるということになるのですが、その辺はどうでしよう。
  57. 岡村竣

    ○岡村説明員 この証券業協会と申しますのは、現在任意団体としてございますが、現状を申し上げますと、各府縣別に一つ証券業協会ができておりまして、全國の府縣別協会を統合いたします全國連合会というのが、東京に一つあるような組織になつております。それで今後この新法が施行になりました場合におきましても、証券業協会の地域なり、あるいは構成員の範囲というものは、別に限定しておりませんから、たとえば東京都内あるいはどこかの、ある特定の区だけの証券業者をもつて組織する証券業協会というものも、理論的に考え得るわけでありますが、実際問題といたしましては、現在ございます各府縣別の協会及び全國連合会というものが、やはりこの新しい法令によりまして登録をうける協会に、おそらくなるのではないかというふうに考えております。從つて新法によります取引所は、お話のございましたように、別にその地区を設けておりませんし、極端な例を申し上げますと、一都市に二つつくることも法律上可能でございますので、その証券取引所の設置場所と、協会の置かれます範囲と申しますか、そういうものは必ずしも一致しない。むしろ一致しないことが普通の状態であるということが申し得ると思います。
  58. 河井榮藏

    河井委員 それから賣買の取引の方法につきまして、條文の中に、のみ行為、なれ合い賣買はいかぬということがありますが、たとえば現物の受渡しの機関などについて定めることは、どこできめるのですか。
  59. 岡村竣

    ○岡村説明員 この法律におきましては、証券取引所におきまする賣買取引の方法、賣買方法につきましては、直接に規定いたしてございません。それは証券取引所の業務規程を定めるということに法律できめられておりますが、その業務規程の中に規定すべき事項といたしまして賣買取引の種類及び期限ということがきめられておりまして、從つて証券取引所は、設立をいたします際に登録を申請いたすわけでございますが、その登録申請の際に、その取引所の定款とか、あるいは業務規程、受託契約準則というものを添附してまいることになつております。その業務規程の中に、自分の証券取引所でいたしたい賣買取引の種類とか、あるいは決済の期限というものを書いてくることになつております。その期限及び種類につきましては、証券取引委員会が、公益あるいは投資家保護の見地から、そういう種類なり、方法なりが、賣買取引の公正を確保しますために、十分適当なものであるかということを審査いたしまして、これを認める、あるいは拒否をするということに相なるわけであります。
  60. 河井榮藏

    河井委員 そうしますると、その賣買の方法などにつきましては、各取引所によつてそれぞれ違うことになつて、統一を欠くようなこともあり得ると考えます。たとえば受渡期間が一取引所においては一週間、他の取引所においては二週間で決済をする期間が與えられておるというような、不統一の場合も起き得ると考えられるのでありますが、それらにつきまして、この條文にそういうことの不統一を來さないようなことをきめる必要はないのでしようか。
  61. 岡村竣

    ○岡村説明員 お話のように、まず第一に業務規程に中におきまして、取引所が自主的にこれを定めまして、そうして委員会がこれを審査するということになりますので、その内容が不統一になるという場合も考え得ないわけではございません。しかしながら、これは先ほどお話の出ました全國の証券業協会というような組織もございますので、実際問題といたしましては、そういう協会と緊密な連絡をとりまして、あまりひどい差異のないような、下打合せと申しますか、そういうものを十分やつていきたいということに考えております。それから決済期限の点におきましては、これは各取引所によつて、交通、通信の状況が非常に違います。從いまして、たとえば東京でございますならば、翌日に決済できるような賣買取引の方法につきましても、あるいは地方にまいります場合には、交通その他の状況によりまして、翌々日でなければ決済が不便だというような場合も考え得るのでありまして、またそれが相当理由があるということになりますれば、食い違いが若干生じても、あるいはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。
  62. 河井榮藏

    河井委員 実際問題としましては、ただいま説明員が言われましたように、証券協会があり、その上に連合会があつて、話合いによつて統一ができ得るでしようが、しかし中にはそれができ得ない場合もありますので、そういうことについて一定の、かなり寛大な基準を強制規定でこしらえておく必要はないかと考える。受渡しなどにつきましても、たとえば全國を通じて一週間を超えてはいけないとか、あるいは二週間を超えてはいけないというような強制規定をこしらえなければ、統一を欠くような結果になりはしないかと考えるのですが、そういう点についていかがでしようか。
  63. 阪田純雄

    ○阪田政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、取引所が設立される場合には、定款、業務規程、その他必要の事項を証券取引委員会に提出することに相なります。その際におきまして、証券取引委員会が、一般の投資家の利益のために必要であるという場合におきましては、それにつきましてこれを指導してまいる、こういうことにいたしまして、その弊は防げる、こういうふうに考えております。
  64. 河井榮藏

    河井委員 それから、これは先ほど石原委員からもお尋ねがありましたが、営業の保証金が十万円、それから支店、営業所が五万円ということになつておるのですが、戰爭前のインフレのないときでも、取引員の信認金というのは十万円だつた。それが今日の物價高の際において十万円くらいな保証金では、はなはだ心細いと考えますが、それらの点について政府の御意見はいかがでしようか。
  65. 阪田純雄

    ○阪田政府委員 ただいまの御質問に関連いたしまして、営業保証金の場合は、有價証券業者といたしましては、本店につきましては十万円、支店その他の営業所につきましては五万円、こういうことに相なつておりまするが、取引所を構成いたしまする会員の場合におきましては、その定款によりまして、会員の信認金というものを別に自主的に相定める、こういうことに相なつております。その場合におきましては、取引所自体が十分に運営されます場合には、やはり信用のありまする有價証券業者がこれを組織する必要もありまするし、かつ同時にその一面といたしまして、会員信認金につきまして、相当額を定め得ることになつております。その観点から、御懸念の点は防げるのではなかろうか、こう考えております。
  66. 岡村竣

    ○岡村説明員 今の説明にちよつと補足して申し上げたいと思いますが、証券業者の営業保証金の十万円、五万円と申しますのは、現在の有價証券業取締法で申しますと、大体最高が七千円、それから最低が二百五十円、こういうふうな営業保証金を納めるということになつております。それに対しますものが十万円、五万円というふうに引上げられたわけであります。証券取引所の会員につきましては、ただいま御説明がありましたような、取引所の定款において、自主的にもつと高い金額を定め得ることにいたしておりますから、相当高い程度の会員の信認金を実際に定め得ることになつております。
  67. 河井榮藏

    河井委員 証券業者は法人でも差支えないですか。
  68. 岡村竣

    ○岡村説明員 もちろん法人でも差支えないわけであります。
  69. 河井榮藏

    河井委員 これはまた十分に研究してお尋ねしたいと思うのですが、なおその点についてちよつとお聽きしたい。今度の改正取引所法によりますと、信託会社が証券業をやることができないようになつておりますが、今までの信託業法によりますと、やることができたのであります。有價証券の引受、賣出し並びに募集または賣出しの取扱いをすることは、信託会社が許可を得たならばできることになつておつたのでありますが、今度の改正法律案では、信託会社は全然除外されて、これらの証券の引受、賣渡し、募集または賣出しの取扱いをすることができなくなつものであります。信託会社にとりましては、今日証券の民主化が普及いたしまして、証券業者のところよりも、むしろ信託業者のところへ引受や募集を依頼しておるのですが、実際において信託会社の收入も三分の一くらいな收入減になつておるのであります。これを今度除外されたことは、どういう根拠があつて、またどういう考えで除外されたのですか。一般の人は信託会社と言いますと、相当な資本をもつておるから、かえつてこれを非常に信用しているわけです。その信託会社が除外された理由を承りたいと思います。
  70. 阪田純雄

    ○阪田政府委員 ただいまの御質問は、第六十五條の明文をもつて示されておりますが、これは相当重要な改正であります。あえて信託会社のみならず、銀行につきましても同樣な問題があるわけであります。從來におきましては、銀行あるいは信託会社が社債、株式等の募集のために、相当な役割を果していた次第であります。今般の改正におきましては、それができないことに相なつた次第であります。その理由といたしまするところは、もとより銀行、信託会社等の金融機関と証券業者との間には、業務の関連いたしまする点があります。両々相まちまして初めて金融市場、証券市場の円滑なる運営ができることに相なる次第であります。しかし金融機関にはおのずから金融機関の役割があり、証券業者にはおのずから証券業者の役割がありまして、おのおのその機関の本質的な職能に專念いたしまして、自由にかつ秩序ある活動をさせる、こういうことが今後の体制として必要かつ適当であるという見地に立ちまして、一言にして言いますならば、銀行信託というものの金融機関としての役割、証券業者としての役割、その職能の分をはつきりさしたわけであります。從いまして証券業者の方におきましても、從來引受会社といたしてやられておりました社債募集の受託会社となることは、本改正法律案におきまして、できなくなつたわけであります。と同時に、銀行、信託会社につきましても、これが証券業を営むことはできないことに相なつた次第であります。しかし信託会社が信託業法によりまして、投資の目的をもちまして有價証券の賣買をすることは当然できる。銀行につきましても同様のことはできる、こういうことに相なつておる次第であります。一言にして申しまするならば、銀行には銀行の役割があり、信託会社には信託会社の役割があり、証券業者には証券業者としての役割がその本質から当然ありますので、いわゆる経済民主化の線に進むということになりますならば、その本來の職能を十分におのおのの分野において達するのが適当である。こういう考えのもとに、六十五條によりまして、從來信託会社等がやつておりましたことができない。こういう規定をいたしたのであります。
  71. 河井榮藏

    河井委員 その六十五條の但書で、但し、銀行が顧客の書面による注文を受けて、その計算において有價証券の賣買をなすことができるということになつておる。銀行はむろん他人の計算において有價証券の賣買をなすことができ、頼まれればやることができる、こういうことになつておりますが、この点について信託会社はこの行為を除外されておるというのはどういうわけですか。
  72. 岡村竣

    ○岡村説明員 この担書におきまして、銀行が顧客の書面によつて注文を受けて、顧客の計算において有價証券の賣買をなす場合だけを認めまして、この仕事を信託会社については認めないということにいたしました理由は、銀行は御承知のように、預金にいたしましても当座預金というような非常に短期の預金を扱つております。しかもその当座預金で、ついでにそれを社債とか、株式の資金にまわしてもらいたいというような注文を受けました場合に、附随するサービスと申しますか、仕事として銀行がそういう注文を受けるということだけは最小限度認めよう、こういう趣旨からでございます。信託会社につきましては、ここでは一應除外されておりますが、実質におきまして大きな差異がなくなるというように考えられるのであります。と申しますのは、理論的に申し上げますと、この信託会社は投資の相談を受けまして運用することが、本來の業務ではないのでありまして、財産の言わば管理が業務でございます。從つてそういうお客の注文を受けて、証券業者の業務の範囲に属する仕事をやるということは、適当ではないのでありますが、実際問題といたしましては、信託会社はいろいろの形における信託契約をいたしております。たとえば金銭信託以外の金銭信託というようなことをやつておりまして、一万円の金銭を受入れまして、その一万円をもつてお客の指定する、あるいは信託会社に一任された証券を、一万円だけ買う。それをもつておるというようなこともできるわけでありまして、從つてその金銭信託以外の金銭の信託というようなことを活用いたしますれば、大体この但書に書いてありますのと同じ仕事が不便なくできる。こういう関係に相なりますので、理論的には先ほど申し上げましたような、金融機関の職能金融ということを嚴格にやつておりますが、実際問題といたしましては、大同小異であるというふうに申し上げて差支えないのではないかと思います。
  73. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 証券取引法を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度に止め、次会に続行いたしたいと存じます。川合委員
  74. 川合彰武

    川合委員 課税の調整に関する決議案に関しまして、さきに当委員会におきましては、この決議案に関するいろいろな打合せその他審議のことを、あげて議院運営委員会に移したわけでありますが、昨日及び本日にかけまして、議院運営委員会におきましてはいろいろと審議した結果、大体かような決議案を決議したのであります。本來ならばすべてを議院運営委員会に移した関係上、当委員会といたしましては、ここにあらためて御報告する必要もないわけでありますが、特にこの財政金融委員会としましては、きわめて重大な問題でありますし、議院運営委員会からの申出もありますので、その決議案の内容をお傳えしまして、皆さま方の御了承を得たいと思います。なおこの議院運営委員会におけるところのいろいろな審議の過程に関しましては、もし御質問があれば内藤君から、あるいはまた私からでもお答えいたします。  そこで課税の調整に関する決議案を朗読します。   農林漁業者並びに商工業者等の個人企業者に対する昭和二十二年度の課税所得は、最近更正決定を見つつあるが、決定は合理性を欠き、所得の実情に合致せざるものはなはだ多く、今や全國的に問題化しつつある。   このような結果を招來したのは、一方納税者の側においては、申告納税制度に対する理解の困難と不慣れのため、所得の申告に誤り多く、他方徴税者の側においては、人員並びに調査期間の不足等を認むるが、課税にあたつては、税務官吏中には公僕としての親切を欠きたる者があつたことにも原因する。   これに加えてインフレの高進に伴う公定並びにやみ物價の高騰を、全面的に課税所得として算定せることも、また一半の原因である。かくては所得税の完納はとうてい期待し難く、ひいては國家財政の基礎を危胎に陷れることは必定であり、重大なる問題である。   よつて衆議院はこの際眞に國民の納得により納税の完納を期するため、その期間を相当延期し、その間において政府は早急機宜の処置をとられんことを要望する。   右決議する。  このような決議案の内容になつておりますが、字句その他に関しましては、関係筋との関係もありますので、今折衝を続けておるようなわけであります。一應御報告いたします。
  75. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 決議案につきましては、ただいま川合君から御報告のあつた通りでございますので、御了承をいただきたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時四十五分散会