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1948-03-25 第2回国会 衆議院 財政及び金融委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十五日(木曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君    理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君       赤松  勇君    川合 彰武君       川島 金次君    河井 榮藏君       佐藤觀次郎君    田中織之進君       林  大作君    松尾 トシ君       八百板 正君    大上  司君       中曽根康弘君    細川八十八君       松田 正一君    泉山 三六君       島村 一郎君    鈴木 正文君       苫米地英俊君    宮幡  靖君       淺利 三朗君    井出一太郎君       内藤 友明君    石原  登君       河口 陽一君  出席政府委員         大藏事務官   平田敬一郎君         大藏事務官   阪田 純雄君  委員外出席者         議     員 北  二郎君         專門調査員   圓地與四松君         專門調査員   氏家  武君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十三年の所得税の四月予定申告書提出  及び第一期の納期特例に関する法律案(内閣  提出)(第一七号)     —————————————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 会議を開きます。  昭和二十三年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案を議題とし、前会に引続いて質疑を続行いたします。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 主税局長にお伺いいたします。大体今度追徴金が廃止になつたのでありますが、一度納めた追徴金税務署はすぐ返すのでなくして、この次の税金で差引くということであります。これは納税思想を涵養する意味において、めんどうでしようけれども、一度納税した者に追徴金を返すという方法を講じたらどうかと思いますが、そういう見解について主税局長の御意見を伺いたいと思います。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 追徴税につきましては、お話のように本年度は初めてのことでありまするし、納税者もよく存じていないし、役所側徹底方を不十分であつたということによりまして、できるだけ寛大に扱うようにということで処置いたしておるわけであります。すでに納められました追徴税についてどうするかという問題ですが、これはお説の通り理論から申しますと、すぐにでも返すべきものは返すということが正しい行き方だと思います。ただ実際上の事務手続から申しますると、すぐそこまで一遍に行き得るかどうかにつきましては、私といたしましては、今ここで必ずできるということまでは申し上げにくいと思うのでございます。納税者の方と話しまして、その次の税金に充当しないで返してくれという、強い主張があります場合には、それはもちろん返す方向に、手続をもつていくべきだというふうに考えております。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういう意思であれば、今まで正直な者が早く納めるということになつておりますが、非常にめんどうなことでありますけれども將來税金は一度ではなく、毎年のことでありますし、これはひとつ早く納めた人は、まじめに納めるという意思があつたのですから、ぜひともそういう処置をとつていただきたいと思います。そういう点をお願いしておきます。  次に加算税のことでありますが、この加算税の問題で、地方税務署あたりを見ますと、非常に混乱いたしております。この問題についてどうしてああいう処置をなされたか、この点について御説明願いたいと思います。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 今のお話制度といたしましては、私どもはやはり正しい制度であると思うのでありまして、正しい納税者納期までにきちんと納め、それに対しまして遅れて納める分につきましては、今の経済情勢に鑑みますと、まだ金利といたしましても、実際は低いくらいの加算税でございますので、この分につきましては、やはり原則として徴收するという建前にいたしませんと、あまりに先に納めた納税者と、遅れて納めた納税者との不均衡が出てまいります。從つて健全なる納税思想を惡化するということに相なりますので、原則といたしましては、やはり徴收するということに行くべきものじやなかろうかと考えております。ただ計算方法その他が非常に複雜になつておりますので、これを現実に徴收する時期につきましては、なるべく実情に即して、適切な時期にいたすように考えておる次第であります。大分めんどうな計算になりまして、税務署吏員等が繁劇の際に、なかなか一緒処理できないという実情がございますし、その辺の運用につきましては、これも地方につきまして、ある程度実情に即した運用ができるようにいたしておる次第でございます。趣旨といたしましてはこの方は追徴税と違いまして、原則として徴收しないというような処置にはいかないものじやなかろうかと考えておる次第であります。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今度の納税ほど日本全國を拂かしたことはないと思います。特に今まで納めなかつた農民諸君までも、かなりな税を納めなければならぬという事実に即しまして、現在田舎では税務署へ毆り込んだり、あるいは脅迫的な手紙をやつて税務署を燒くというような、民間に非常に不穏な声もあります。こういう点について今まで納税思想の涵養ということを言つておりましても、なかなか大藏省がそういう手をとらなかつたと思うのでありますが、こういう点について当局はどういうような方法で、今後國民に喜んで税を納めるような考えをもたせるかということについて、どういう対策があるか。ひとつお聽かせ願いたいと思います。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 御指摘通り本年度納税につきましては、大分無理が重なつてきておるということは、私どももいろいろ情報等によりまして十分承知しております。その重なりました事情はいろいろ理由があると思いますが、一つ課税年度末に一遍になつたということが、実際上非常に無理を來した原因になつておるのではなかろうか。こういう点につきましては、來年度におきましては、その予定申告に対する指導、それからその後における更正決定というものを、なるべく適切な時期にいたしまして、やはり一年間のずれを、年間を通じてある期間にわけて納めていただくというような、具体的な方法を構ずるのが、一つの有力な方法でなかろうかと考えております。それから経済の実際の動きに應じまして、税の負担自体につきましても、結果に顧みはして、本当な調整をはかる必要があるのではないかと考えておる次第でありまして、税制改正の点につきましては、目下いろいろ案を練つておりまするが、なるべく現在の課税力と申しますが、担税力に應じました税制に、できるだけもつていく。國民といたしましてもなるべく納めいいような税制にするという配慮も、相当必要ではないかと考えておる次第でございます。それから全体といたしまして所得税は、國民として政府の組織をもつて動いておる以上、やはり義務として納めるべきものだということは、相当徹底しておると思いますが、しかし具体的なる財政の内容、それから実際の必要性につきましては、まだまだ不徹底な向きも相当あるのではないか。そういう点を考えまして、昔でございますと所得税は一定以上の有産者階級が納めるというふうに、大体日本の習わしがそうでございましたし、そういう考えをもつてつたのでありますが、そういうことで國家財政を賄つていくことができますならば、私はそれも非常に望ましいと思います。しかし現在の実情からいきますと、そういうわけにまいりませんので、実際におきまして、やはり相当廣く國民が力に應じて納めていただくような方法に行かざるを得ない。その辺の実情考え政府も努力いたしまするが、さいわいに財政金融委員会中心國会で設立いたしております租税完納運動本部等におきまして、有効適切な方法により啓発、宣傳をしていただきますならば、よほど滑らかに納税していただくことがあるいはできるのではないか。いろいろな方策を考えまして、今少しく摩擦を少くして納税していただくような方法につきましては、万全を期したいと考えておる次第でございます。なお税務署調査能力等につきましても、一挙に上げるということはなかなかむずかしい問題でございますが、本年度におきましては、徴税費等につきましても、私どもできる限りの御協賛を願いまして、徴税調査施設とか、あるいは税務官吏待遇等についても、できる限りの御協賛をお願いしまして、能率よく仕事を進め、そして納税の円滑をはかることに、十分努力いたしたいと考えておる次第でございます。この問題は相当重大な問題でありますので、なお完納運動本部等においてもお取上げ願い、大いに対策研究していただくならば仕合せだと考えておる次第であります。
  9. 林大作

    ○林(大)委員 二、三の点をお尋ねいたします。第一点は佐藤君の質問に関連しておりますが、延滯金利の点であります。それは田舎にまいりますと、延滯利子を、こういう不法なとり方をするのはけしからぬと税務署に言うてまいりまして、それは國会で代議士がきめたのだという答弁を、税務官吏がいたしておるのであります。從つてこれは非常にわれわれ選挙にも影響がありますので、よく調べてみると、この延滯金利とり方については、所得税法四十七條、これは國会できめたものでありまして、この点については私は何ら疑問の点はない。これでよろしいのであります。しかしながらそのときの勅令で出ておりますところの所得税法施行細則の第五十五條、これがつまり完備しておらないと思うのであります。これによりますと、納付期限を定めたものは納付期限までの金利をとるということが書いてあるのであります。一見あたりまえのように見えますが、実際においては今度の農業所得のごときにおいては、第一回の納付期限が一月三十一日、これが更正決定になつて、たいてい三月二十二日か二十五日が納付期限になつておる。ところが実際に百姓の方が納めに行く場合には、三月の初めにもつてつても、二十五日までの金利を日歩五銭で天引されてとられるのであります。そこで納税者は非常に憤慨しておるのであります。從つて局長はそういうことは煩雜でできないということをおつしやりますが、こういうことは郵便局にそれだけの金利を割戻しておけという命令をされるか、もしくはこの施行細則をかえればいいことであつて、銀行でできる金利計算が、税務署郵便局でできないというわけはないと思うのであります。この施行細則五十五條を、早く納めた者は金利を拂い戻してもらえる、從つて早く税金を納め得るように御処理を願いたいと思います。それが第一点であります。  第二点は現在地方においては、土地使用税とか、反別税というものを計画いたしておりますが、これは地租をとつておる上に、山林とそれから田畑と宅地とある場合に、この田畑にだけ反別税を課するということは非常に不公平である。なおかつ所得税でもつてしつかりとれば、こういうものを課することはよくない、こう私は考えるのであります。從つて、この点についての御見解を承つて、必要な指令地方廳にもなすつていただいたらどうか、こう考えるのであります。  その次に第三番は、今度機械設備税とか、農業機械設備税とかいうような税金を、愛知縣あたりでは課そうとして縣廳に出しておるのであります。これははなはだ時代錯誤的な税金であると思うのであります。これから農村を機械化していかなければならない現段階において、農村機械設備をすれば、それに対して特別税を課する。町で機械設備をしてもかかるのでありましようが、殊に農村をこれから機械化しようという場合に、こういう税金を課せしめるということはいけないと思うのであります。この点ひとつ見解を承ると同時に、適当なる処置をお願いしたいと思うのであります。  第四点は、これはもう多分御議論になつた点と思いますが、所得税法第十三條の例の控除の問題であります。今のように控除額が低くつて、そうして段階がいくつもになついておりますと、税率が非常に高くなつて從つて愛知縣のごとき例を見ますると、小学校教員と、それから役場の吏員というものがなくなつてしまう情勢にはいつております。愛知縣のごときは、小学校教員がすでに四千名不足しておりますが、今度の税金でおそらく一万名を超すであろう。これではいわゆる地方教育自治の破壊をするところの制度であるということを言われておるのであります。この点は、私の意見を申しますれば、一家の最低生活が維持できる、すなわち現在で申しましたならば、まず一箇年間の所得五万円くらいまでは免税点を引上げて、その上の刻み方も、あまり細かくせずにいく方が適当ではあるまいか、こう思うのであります。  それから第五点は、税務署は現在団体交渉を認めておられません。このことは昨日お話があつたそうでありますから、簡單に要点だけをお願いいたしますが、税務署へ行つてみると、これは進駐軍指令が來ているんだと言う。それではその進駐軍指令を見せてもらいたい、と申しますと、出てこないのであります。二箇所の税務署に行つてみましたが出てこないのであります。これらの点ももつと、進駐軍にかぶせないで、やはり日本政府責任において、これは団体交渉を認めるとか認めぬとか、もしもどうしても認め得ないような十分なる理由があるならば、たとえば一つ妥協策として、農民組合の正しい意見書というものは十分にこれを参酌するというような、一定した一つの組合なり、団体なりに対する態度を、地方に御明示になることが必要ではないかと思います。そうしませんと、実際においては、農民組合あたりがしつかりできておるところでは、その意見書というものは、村でよく相談をして税務署にもつていくものでありまして、まことに立派に公平な意見が出ておるのであります。ところが税務署役人が、二十五歳とか二十七歳平均の役人が、村のことをろくに知らずに、五箇町村も六箇町村も一人で受持ちまして、しかも今度あたりは一週間か二週間の間に徹夜をして割当てた税金が、公正であるはずがないのであります。機械的にやつたものが公正でないのはあたりまえであると思います。從つて、今の団体交渉は認めないというような千遍一律の態度をとらず、団体交渉のうちでも、正しいものは、どうしてもいけないなら、今の意見書のような形にして、十分これをお取入れになることが、大藏当局としても、税務当局の方としても、税務署の信用を高めるゆえんであると私は思うのであります。  それから最後の点は、昨日別な所でお話があつたという例の再審査要求期限の延期であります。國家財政が逼迫しておりますから、今すぐ税金納付期限を延ばすことは、あるいはむずかしいかもしれませんが、今度のように、非常に、いわゆる手続において乱雜であり、そうして不行届が多かつた場合には、すべからく今の各府縣から要求がありまする再審査申告期限を、少くとも一箇月お延ばしになつて、そうして聽くべき不平はよく聽いて、納得さして税金をお取りになるということが絶対に必要であると私は思うのであります。殊に市街地と違いまして、農家のごときは、どういうふうに税務署へ小言を言つていいのやらよく知らないのでありまして、再審査要求をするにしても、大抵計理士とか、弁理士とか、代書人のごときと相談をして、よく世話をしてもらつて税務署に恐る恐るもつてきているという状態でありますから、われわれが簡單に再審査要求ができるのとは違つて農民の大部分が苦しんで、恐る恐るやつているところもひとつ同情をしてくださつて、そうしてすべからくこれは期限を延ばして、情を盡して、誠を盡して税金を納めるということが、絶対に必要であると私は思うのであります。  以上の六点について御答弁要求する次第であります。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 非常に具体的の御質問でありますが、加算税につきましては、たしかに御指摘のような点につきましては、相当檢討を要する点もあろうかと思います。現在のところは、一應、事務処理の円滑、それからお互いに再審期限をはつきりいたしまして、加算税計算を完全ならしめるという趣旨も考慮に入れまして、現行の規定ができていると思いますが、納税促進という見地から考えますと、あるいは若干のその間の手続きがかかりましても、お説のように改めるということも、ある程度有力な方法であると考えますので、よく檢討してみたいと思います。  次に反別税機械設備税等地方税課税につきまして非常に有力な御意見がございましたが、この点につきましては、目下地方財政委員会中心にいたしまして、今度の新らしい地方自治制度に伴う地方税制を、いかにするかということについて研究中でございます。お話機械設備税等につきましては、非常に生産を阻害するといつたような要素も多分にあろうかと考えられるわけであります。ただ、現在の地方財政実情が、これまた國家点政と同じように非常に逼迫しておりまして、適当な財源がない場合におきましては、いきおいいろいろな物件税を設けまして、それによつて財源を確保するというようなことも、これはもうある程度やむを得ざる事態に追込まれてきているということは、実際問題として現在の実情でございまして、大藏省といたしましても、特別税につきましては、個別的に地方団体認可申請がありました際に、十分審査をいたしているのでありますが、他面地方財政実情考えますと、いきおいそこに若干問題がありそうなものと認めざるを得ないという実情に相なりまして、この機械設備税といつたような税につきましても、所によつて相当な課税をしておるというところもあろうかと考える次第であります。ただこういうものにつきましては、御指摘のうよな点もございまするので、地方税制改正の一環といたしましてよく研究いたしてみたいと考えておる次第であります。  それから次に加算課税の問題につきましていろいろ御質問がございましたが、これも生活の現状からいたしますると、非常な何と申しますか、矛盾と申しますか、無理がある面もないではないと私ども考える次第であります。他面加算をはずすということになりますと、これまた逆に不自然な関係なり、あるいは他の納税者に比べまして不公平な場合を生ずるような場合もございまするし、どういうふうにいたしますか、これは相当むずかしい問題ではないかと思います。ただ根本は所得税累進率が、下の方から少しきつくなつておりまして、ちよつと所得が殖えますと累進率がぐんぐん殖えるというようなところに、また無理を來しておる一つ理由があるのではないかと思います。こういう点につきましては、今度所得税税率を改めまする際に、そういうことができるだけ少くて済むような改正案もいたしてみたいというので目下研究をいたしておりますが、新しい所得税税率をどうするかという問題と合わせまして、一應研究いたしてみたいと思う次第であります。ただ加算課税をやめるということは、またなかなか難点もございますので、そういう方向で問題を解決するということはなかなかむずかしいのじやないか。ただ実際問題といたしまて、生活を全然別にしておる者が、たまたま一緒に住んでおるという場合につきましては、所得税法の解釈上も別に課税するということになりますので、そういう点につきましては、課税の実際においても考慮する場合もあろうかと思います。制度自体といたしましては、今後所得税税率改正を合わせまして、よく研究いたしてみていと思つておる次第でございます。  それから次に団体交渉でございます。これは昨日もちよつと趣旨を申し上げておいたのでありますが、税というものはあくまでも税法從つて國会でちやんと御審査を経まして税法がきめられまして、その税法從つて、要するに納税義務者が國に納むべきものである。從いましてその額というものは、これは納税者がみずから申告をし、みずからの責任において、所得等について異議がある場合は政府と話し合つてきめるのが、これが所得税その他の課税の本旨であります。そういう趣旨からいたしまして、從來ややともすればやつておりましたような、団体を通じまして一括いくらの金額を納めてくれ、その割振りは団体にまかせるといつたような行き方につきましては、これはどうも私どもといたしましても正しくないと考えておる次第でございます。最終の所得決定につきましては、これはあくまでも納税者政府の問において、相互の責任において処理すべきものであるということは、この原則は動かすわけにはまいらないのじやないかと思うのであります。ただそういうことにつきまして、昨年は少しむしろ行き過ぎがありまして、団体交渉はいかぬという趣旨のことをやりましたところが、逆に団体からは課税上のことに関しては意見等も聽かない納税者実情等も、もう相手にしないといつたような反対な行き過ぎになつたようなところも大分ありまして、そのために円滑な調査及び納税を妨げるような例がたくさんあるようであります。しかしこの場合につきましては、私どもさように考えておりません。納税者実情をよく知つておられる団体等意見は十分尊重するように、最終的にきめる場合におきましては、これは団体を通じないで直接きめてもらいたいと思いますが、たとえば大体の順位がどうであるとか、営業の状況がどうであるとか、あるいは農業の場合におきましても反当りの所得がどうであるとか、実收が多いか少いかということにつきましては、団体から意見をいろいろ聽きまして、最後にきめる場合には、税務署納税者の間の責任においてきめる。この線さえはつきりいたしておきますれば、団体の御意見をよく承り、その団体意見が正しいという場合におきましては、大いに尊重するということは、これは私どもむしろ歓迎しているところでありますことをこの際申し上げておきたいと思います。地方最初大分いざこざがあつたようでございますが、最近ではその趣旨が相当徹底しかけていると思います。ただこれは実際の運用の問題でございますので、団体にもいろいろ程度の差がございまして、そこに若干税務署におきましても、実情に應じまして交渉するという含みを残さざるを得ぬと思いますが、そういう趣旨でございますので、御了承願いたいと考えております。  なほ本年度課税につきましていろいろ問題を起しております。これに対しまして昨日來いろいろお話申し上げまして御了解を得ることに努力いたしている次第でございますが、再審査につきましては、私ども特に懇切了寧を旨としてお答えするのみならず、誤謬がはつきりしているものにつきましては、なるべく速やかにこれを処理するようにということは、もちろん私どもとしても一向異存がございません。私どもの方面におきましても、そういう趣旨指導を今までもいたしてまいりましたが、今後も一段とそういう趣旨でまいりたいと思つております。ただ審査請求期間を、この際一般的に一月延ばすということになりますと、非常に今納税が円滑にまいりつつありますので、これに及ぼす影響等もございますし、政府といたしましても、とにかく年度内に所定の收入を確保するということは、國内的にも、また一方から申しますと対外的にも、現在非常に注目の的になつている重大問題でございますから、一般的に延ばすというのは、どうも賛成することがむつかしいのじやなかろうかというふうに考えております。ただ実際におきましては実情に應じまして、從來もはつきりした誤謬等につきましては、期限後においても受付けて処理する例がございますので、そういつたような取扱いをできるだけ寛大にいたしまして、この摩擦をできるだけ少くするように善処いたしたいと考える次第でございます。
  11. 川合彰武

    川合委員 あるいは他の委員から御質問があつたかもしれませんが、私はまず最初一つの問題を提示いたしたいと思います。それは大藏省としては財務局別、さらに財務局税務署別に、目標額と称するものを、一應財務局長あるいは税務署長できめているというようなことを言つているようであります。この目標額が実際におきまして目標額ではなくして、天降り的な一つ一つ課税額になつているではないか。この点は各全財の人たちが、自分たちとしても今回の課税に当つて、非常に不本意とするところである。実情は、署長は目標額というけれども、自分たちに一つ義務を課しているというようなことを言われておるのでありますが、これらあたりに、その目標額と称するわくに、かれこれ問題があるのではないか、この点を第一に承りたい。第二に現在の更正決定が、概計標準主義によつたということは明らかな事実であろうと思います。われわれは現段階においては、概計標準主義のやむを得ざることを認めるのであります。しかしながらこの概計標準主義の場合においても、はたして全國的な統一性があるかどうか。私は約千名程度の人に、個別的に、税務署に協力する意味におきまして、各町村に出張いたしまして、税務署の人にも一緒に行つてもらつてつたのでありますが、大体において農業においては統一的な傾向が見られたのでありますが、商業並びに工業の面においては、その統一性がない。具体的に言えば、織機一台について浜松税務署管内においては三万円、高いのは一台あたり十一万円の所得決定通知を受けているのであります。これはわざわざ私は名古屋財務局に参つて調べたのでありますが、浜松税務署管内が一番高いということになつております。こういうことに対しましてもう少し統一的なことを考えるべきである。概計標準主義を貫こうとするならば、どこまでもそれでいつてもらいたい。要するにこの概計標準主義は、それぞれの個々の所得者の実態に應じて多少の増減があるべきはずであります。しかしそれはあまりに差がはなはだしいという点は、どういうものであろうかということ。しかも國有林をもつておるというような点どありますので、こういう点は、國有林をもつているならば、その可耕地というものは、年間大体一万五千円、これはすぐわかるのです。そうしてそれ以外にもつておるものについては、電力量の使用等からすぐわかるのであります。そういうような点において、概計標準主義を現段階において必然とするならば、その概計標準主義の統一性を保つことが、まさに税務機構に対するところの國民の信頼を増すゆえんであろうというふうに私は思うのであります。まずその二点を先にお伺いしたいと思います。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 目標額を設けているということにつきましては、実は昨日の委員会の際に相当詳しく御説明申し上げまして、御了解を得ることに努力しつつある次第でございますが、これはあくまでも努力目標でございまして、いわゆる割当とは私ども全然考えておりません。現在の税というものはあくまでも税法從つて適正に課税し、それに應じて納税していただくべきものでございまして、一部の物資にやつておりますような、いわゆる割当とは全然異なるべきものと私ども考えております。ただ昨日も申し上げましたように、今年度の歳入が非常に遅れまして、そのまま推移いたしまするならば、申告納税所得税のごときは、ほとんど予算の見込みの半分にも達しないおそれがあるのではないかという事態にまで追いこまれてまいりましたので、大体税法を円滑適正に施行するならば、この程度の收入はあがるのではなかろうかという一つの努力目標を示しまして、税務官廳の仕事の能率をあげるように努力をして、そうして円滑適正に租税收入を確保して本年度の予算が破綻しないように、財政がつぶれないように、インフレがひどくならないようにというような意味におきまして、指導をしておりますことはお話の通りであります。しかしながらこれはあくまでも今申し上げましたような趣旨のものでございますから、私ども努力いたしましてやりました結果が、目標に達しなくてもそれはそれまでのことである。実際問題といたしまして、税法を施行した結果、目標を超過する場合ももちろんあり得ると考えておる次第でございます。それでそういう意味のものにしかすぎないということを、特に御了承願いたいと思います。なお一部そういうことに関しまして、政府部内におきましても十分に徹底しないで、必ずしもおもしろくない言動を洩らしておるというような者があることにつきましては、まことに遺憾であります。私どもそういう点につきましては注意いたしておりまするが、なお今後におきましても一層是正するようにはかつていきたいと考える次第であります。  次にこの所得課税につきまして、概計的な一つの標準をもとにして課税しておるという問題でありますが、これは多数の納税者でございますので、一々の納税者について帳簿を調べまして、所得をそれぞれ計算してやるということが、なかなかできにくい事情にあります結果として、それぞれ一定の所得を算出する便宜といたしまして、田畑のごときは、たとえば反当りの所得をどれくらいに、それから今御指摘の紡績、織物の場合でございますと、織機一台当りをどうする。散髪屋の場合でありますと、いすの数を一台当りどうするといつたような、そういう物さしで、所得を間接に推定いたしまして、それで査定をするというようなことは、一つ所得を査定する方法といたしましていたしておることは事実でございます。その際におきましてできるだけアンバランスがないようにということで、各財務局税務署間のバランスをとることに極力努力しております。それから標準自体が、できるだけ適正なるものであるということにつきましても、もちろん非常な努力を重ねておる次第でございますが、それは一つの、しかもお話のように標準的なものでございますので、実際においてはまた納税者実情に應じまして、必ずしもそれにとらわれないで上下するということも、当然やるべき問題でございます。ただ実際上なかなか手が不足しておりましたり、期間がなかつたりした結果、そういう考慮があるいは十分まいらなかつたということのために、相当な過ちを犯しておるというような場合もあり得ると考えるのでございますが、そういう場合におきましては、それぞれ調べまして、正しい所得額の点に直して納税していただくということに相なるべきものであろうと考える次第でございます。ただ実際上多数の納税者につきまして、所得調査する便宜といたしまして、そういう方法をとつておるということは、現在の実際の状況から見まして、やむを得ない一つ方法であろうと考えておる次第でございます。
  13. 川合彰武

    川合委員 ただいまの概計標準主義の所得税に関しましては、ぜひとも具体的な調査をせられまして、そうしてそれを納税者たる國民が納得するような方向に是正せられんことを希望してやまないのであります。  次にお尋ねしたい点は、実は名古屋財務局管内で四十二、三の税務署があるようでありますが、問題になつておるところは、この申告制度の根本精神を生かしていく、どこまでも法の建前をもつていこうというように、正直にやつた税務署におきましては問題が多いのであります。そうではなくして過去の徴税方法によりますように、個別的折衝をやつておる。つまり所得決定の内示をしたようなところは問題が少いのであります。私は思うのに、正直にやつた税務署が問題があつて、内示をやつて、そうしてやつたようなところが比較的問題が起きていないという点は、これは大藏省としては相当考うべき点であろうと思います。私は現在内示は禁止されておるはずだというふうに思つております。從つて名古屋の財務局長も地方をまわられて知つたはずでありますが、こういう内示をした税務署從つて内示をした場合においては、一つのいろいろなスキヤンダルも考えられるのでありまして、現にわれわれはそういうことに関する材料をもつておるようなわけでありますが、こういう内示をすることがはたして許されるものかどうか、同時に今後において大藏省としてこういう内示をした税務署に対して、どういう処置をとるかどういうことをまず承りたい。  次に私は最近におきまして、はつきり申しますと共産党が不納同盟的な、あるいはまた減税運動的なことをやつております。私はこの財政金融委員会の一員とし、かつまた租税完納の運動に関係しておる者といたしまして、ゆゆしき問題としまして、共産党のかかる運動に対して眞向から反対をしておるわけでありますが、こういうように共産党がフラク活動その他の方法をもつて、なぜ強硬になつておるかと申しますのに、増加所得税の徴收にあたつて、まんまと税務署が負けてしまつたのであります。それは二月、一月ごろに、この増加所得税の滯納に関して差押えた。そうしてこれを解除する場合において、たとえば三十万円の増加所得税に対しこれを半額にし、あるいは三分の一に減らしたというような実例が、共産党の関係者に多かつたのであります。こういうために、今回も滯納をするなり、あるいは強硬に談判するならば、必ずこれが負けしてしまう。殊にはなはだしきは、今月の十二日に徳田球一君が、私のところの靜岡縣浜名郡の新居町にまいりまして、そうして演説していわく、皆こぞつて滯納をし、減税運動をするならば、單に減税するばかりでなくして、これは納税しなくてもすむような結果になるであろう。殊に共産党が政権を握るならば、三箇年ぐらいは全國民納税をなくしてしまうというような、非常なアジ演説をやつたのであります。そのために私もあとからまいつてこの演説をもみ消すために、大わらわになつたような次第でありますが、さような政党的な動きによつて、増加所得税の減税が今年にはいつて行われたことがあつたのであります。これは具体的実例をたくさんもつております。しかしながらこういうことが惡く印象づけられて、そのために納税思想がますます惡化の傾向にあるということに対して、大藏省はどういう考え方をもち、またそういうような減税が事実あつたことに対して、どういう適正化を考えられたかということについての所見を承りたいと思うのであります。それと同時にわれわれとしましては、現在のこの課税が、まだ税務署としても確信がないということは、各税務署員が言う通りであります。そこで中のはこういうことを言う人があるのであります。異議を申し立てまして審査要求をし、それに負けた場合は大藏大臣に訴願し、大藏大臣に訴願してなお負けた場合には、裁判所に訴訟を起す。その場合にもし裁判所で納税者が勝つた場合においては、この費用の負担はどうなるかというような質問を実は受けた始末でありますが、こういうときには費用の負担はどうなるかということもお聽かせ願いたいと思います。以上三点に関する御答弁を願いたいと思います。
  14. 平田敬一郎

    平田政府委員 現在の税務の運用について、いろいろ有益な御意見を承りましたが、申告納税制度につきましては、実は最近初めてやつたことでありまして、納税者も十分趣旨が徹底していないし、役所といたしましても確かにあらかじめ十分な知識と対策をもつて運用したということは言いにくい実情にございまして、いろいろ問題を起してきましたことは御指摘の通りでございます。所得税申告をしていただくことにつきましても、一部回避をする向きもあろうかと思いますが、こういう問題につきましては、今後の運用について、現在行いました結果等に鑑みましていかようにするか。さらによく考究いたしまして、できるだけ適正な運用をはかるように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから一部の政党の不納同盟等がありますことは、御指摘の通りでございまして、今私ども全國の第一線におきましては、その運動に対して非常な苦心をいたしておりますことも御存じの通りでございます。私どもといたしましては、そういう際においては、やはり税務官吏というものは、税法從つて税を納める者のお世話をするんだ。うまく納めなかつた場合には、法律上認められた必要な措置をとるというのが税務官吏の本分であるから、その本分を忘れないようにしてもらいたい。そういう政党の運動に対しましても、そういう趣旨からいたしまして正々堂々と対抗して、正しい納税をしていただくように導くように努力してもらいたいということで、もつぱら努めております。もちろんこの税法の内容その他につきましても、納税者にもよく懇切丁寧に説明するとともに、不当にと申しますか、税法で当然納むべき税金まで納めなくてもいいといつたような運動につきましては、全面的に排除するという考え方でおるのでございますが、こういう問題につきましては、すでに今お示しの通り、國会議員の方々におきましても、大いに啓豪宣傳運動を展開していただくことができますならば、私どもとしましては非常に仕合せだと考えておる次第でございます。  なおその際一部の不当な勢力に押されて減税をしたという例でございますが、これは税法從つて計算して、どうしても所得がないという場合におきましては、直すのがもちろん当然でございますが、そういうことなくして直したような事例がございますれば、よく取調べまして善処したいと考える次第でございます。あくまでも一部の不当勢力に押されまして、税金をしかるべくやるということは、嚴に愼むべきことでありまして、税務官吏税法從つて、正しい行動をするという毅然たる態度をもつて望んでもらいたいということを、私どもとしてはくれぐれも申しておるような次第でございます。  なお訴訟の場合の費用でございますが、訴訟を起しまして原告の勝訴になりました費用は、負けた方の負担になるということが通例であると存じますが、なお細目の問題につきましては、別に調べてお答え申し上げたいと思います。
  15. 川合彰武

    川合委員 私は実は税務署長と全財の支部との間に立つて、いろいろできる限りの協力をしてまいつておるのでありますが、御承知の通り全財はいろいろ賜暇戰術とかそういうことをやつておるのであります。その間においていろいろ承りますと、われわれがこの前の國会で議決した特別手当とかそういうようなものが、名古屋の財務局長から浜松税務署に、一人の特別危劍手当が月に六十何円であるというふうにして、天降り的な割当をしておる。実際に危劍な業務に從事した場合が十数回あつたにかかわらず、一月平均六十何円というような天降り的なわくがあるということ。さらに残業をうんとやつておつた。中には注射をしてまでやつておるようなものがあるにかかわらず、残業手当が、やはりわくによつて縛られるというようなことは、われわれとしては解しかねる問題であります。これなども大藏省全体の、いろいろ予算の関係があつてこのとでありましようが、全財の人たちが浜松においては十五日、十九日と賜暇闘爭をしたのでありますが、納税促進の見地から私たちがお願いいたしまして、各自の家庭において、納税者更正決定の通知を発送することに努力してもらつたのでありますから、そういう点をよくお考え願いまして、比較的冷遇されておる税務職員に対する待遇の改善——でなくても、少くとも他の官廳とほぼ同一レベルのような待遇をされたいということを希望すると同時に、今申しました特別危險手当あるいは残業手当を、わくをもつてつておることを、主税局長は御存じかどうか、その点もお尋ねしたいのであります。  さらにまた先ほどお話しました通り、松崎名古屋財務局長が管下の巡視をしたときに、浜松税務署において、君たちは残業をしておつたのかと言つて、残業をきわめて不思議がるようなことを漏らしたために、非常に印象を悪くしたということを聞いておるのであります。そういうふうに上司として親心のないような言動をはくことによつて、すこぶる憂慮すべき事態を招いたようなことに関しましては、とくと本省において御考慮あらんことを併せて申し述べておきます。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 税務の運用につきまして、非常な御配慮を願つておるように承りまして厚く感謝いたします。税務の特別手当と超過勤務手当は、法律に從いまして政府義務として拂うべきものでございますので、私どもとしましても、いやしくも拂うべき事実があります場合においては、その事実に対しては必ず、なるべく早く支拂うという方針でやつておりますことを、この際はつきり申し上げておきたいと思います。ただいずれも本年度に新しく設けられた制度でありますから、予算が組まれて現実にそれが配付されて、実績を調べて現実に支給するというプロセスにおいて相当遅れまして、その間私どもの予期したような成果が上つていないということにつきましては、私ども残念に思つておる次第でございます。今後におきましてはなるべく早く、予算なりその他の措置をしていただきまして、法律の定むるところに從つて、適正に支拂いたいと考えておる次第でございます。実際のところ超過勤務手当につきましては、政府が送りましたことやその他の関係がありまして、追加予算等が相当遅れましたので、財源のやりくりに非常に困難を感じたのでございますが、私どもとしましては、税務の今非常に忙しい実情に鑑みまして、法律で認められるできる限りの措置を講じまして善処いたしているつもりでございますが、いろいろな関係から遅れておるということは御指摘の通りであります。この点につきましては、將來はなるべく早く適切に支拂うように、全力を盡して措置いたしたいと考えておる次第でございます。
  17. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 なお質疑の御通告が五君あります。この場合休憩いたしまして、午後一時半より再開いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 さようはからいます。  暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  19. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河井君。
  20. 河井榮藏

    ○河井委員 私主税局長にお尋ねいたしますが、今度の更正決定につきましては、昨日塚田委員も言われましたように、非常にでたらめであるという感じがいたしまして、納税義務者はどういうわけでそういう決定があつたのか、自分で判断に苦しんでおる状態であります。あるいは商賣人はやみ所得を対象とされておるのではないかと考えられるのであります。それから農民に対しては、先ほど川合彰武委員も言われましたように、外形標準式によつて一應客観的に標準がとれるのでありまするが、都市における中小工業者、あるいは自由職業者に対しましては、その所得の場所において十分調べられないで、その生活しておる住所において、毎月いくら使つておるかということを標準として課税されておるような実情があるのであります。具体的に言いますとはつきりしますので一例を申しますと、大阪市に事務所をもつておる自由職業者が、今度非常な税金を課せられた。非常に意外に思つて、どういうわけでそんな税金がかかつたのだろうということを自分みずから考えてみますと、何でも二十日ほど前に税務吏員が、これは大阪の郊外に住んでおりますが、そこへやつてきた。だれもいず、ちようど娘がおつたので、その娘に税務官吏がお家では月々どれくらい生活にお使いになるだろうかと聽いた。たいてい一万二、三千円でしよう。そうするとそれで十六万円ばかりの税金がかかつてきた。実に驚いている。これは一例でありますが、こういうようにその一万二、三千円の収入も、あるいは衣類を賣つたり、あるいは道具を賣つたりして、今日インフレ下に非常に苦しい生活をしておる。そこへもつてきてその全部の消費額に対して、十五、六万の課税決定があつた。非常に驚いておるのでありますが、私お尋ねしたいのは、こういうふうな税金を課するについて客観的な標準によらずに、あるいは税務官吏の單なる見込みでやられるというようなことになりますと、これは法律で税法をいかにきめましたところが、税率をきめたところの根本の標準が、そういう主観的なことでやられたのでは何にもならないわけであります。殊にこの民主政治はすべてが合理的で、客観的で、帰納的でなければならないと考えますが、こういうような申告制度をとられて、大体うそを言うから、このくらいかけたならば、そのうち異議の申立てがあつて、いい加減に妥協すればいいという考えでやられておるのではないかと考えます。それでお尋ねしたいことは、こういうように消費を標準にされるということがあり得るのか、またこれは皮肉なお尋ねになるかもしれないが、着物を賣つたり道具を賣つたり、いわゆるたけのこ生活をしておる者を、一時所得とでもお考えになつておるのか、そういう点でお尋ねしたい。客観的な標準をとつてもらいたい。税の理想としてはこれからはだんだんむずかしくなるので、たとえば都市において銀座の通りで間口何間、奥行何間の店をもつて、こういう商賣をしておる者には当然これくらいの税金がかかる。西銀座でこういうサービス業であるならばどれくらいとか、先ほども主税局長は、いすがどれくらいあれば税金がどれくらいかかるというように、散髪屋について、いすについての標準でやつておると言われましたが、そういう客観主義を徹底的にやつてもらいたい。こういう家に住んでこういう商賣をするならば、およそどのくらい税金がかかるということが、あらかじめ本人にわかるようにしてもらいたい。そうでなければ税金というものはたくさんかけられれば苛斂誅求になる。立憲政治の根本であるところの税は法律によつて客観的にとらなければならぬという根本が覆えされると思うのでありますが、その点についてまずお尋ねしたいと思います。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 営業所得調査決定の問題に関するお尋ねかと思いますが、御承知の通り営業所得を的確に調べて決定するということは、なかなかむずかしいことでございまして、第一線の税務官廳においても、これには一生懸命やつておりますが、最も困難を感じておるところであります。一定の業態の者については先ほども委員の方のお尋ねがありましたように、あるいは私からもお答えいたしましたように、ある簡單一つの標準をとりまして、それを間接に推定するということで、大体その業態の営業所得を、完全ではありませんが、ほぼ正確に捕捉し得るような業態もあるのでございますが、そういう業態ばかりではございませんし、なかなか調査の実際になりましてはむずかしいところでございます。ただ少し時間がございますれば、実は賣上金額については少くとも調べが比較的容易でございますから、賣上げを調べまして、それに対して御承知の通り一定の純益率と申しますか、收益率と申しますか、これもある若干の業者について調ベたものをもとにして、賣上げの何パーセントという標準率というものをつくりまして、それによりまして所得額を出す、こういうような方法も実もとつておるのでございます。そうしてできるだけ正確な調査を遂げまして決定するというのが本筋でございます。帳簿等がございますれば、もちろんその帳簿によりまして所得額を計算する。但し正しい帳簿でないと、記載が詳しい場合でないと、なかなかそのままというわけにはまいりませんが。そういう方法によつて調ベて決定する。こういうことに相なるかと思いますが、非常にむずかしいところがありますることは、御指摘の通りでございます。その際に今お尋ねの生活費を標準にしておるかというお話でございますが、その生活費も一つの基準になることは、これはどうも否認はできない。ただ所得税法はあくまでも所得に対しまして課税するので、消費額に対して課税する趣旨では全然ありませんが、生計費等にどれくらいの支出を費しておるかを、一つの参考にして支出額を算定するという場合もあろうと思います。その際におきましては、お話のように財産を処分して生計費に充てておるといつた場合においては、もちろんそういう要素は排除して、所得額を推定しなければならるということは、当然のことと考える次第であります。ある國の立法例は、むしろ場合によりましては、消費額を所得とみなして課税し得るような規定を設けておる國もあるようでありますが、そういうことはいたしておりませんし、わが國といたしましては、あくまでも正確に所得額を調査して、それによつて課税する。これを本旨とすることを考えておる次第でございます。資産の処分益につきましては、不動産等のほんとうに資産的なものにつきまして、從來は一時的に課税していたのでありますが、本年度からはさらに所得税法が去年変りまして、一切の所得課税されるように相なつております。ただ一切の所得と申しましても、現在の國民所得実情から申しまして、書画骨董みたような、何らかの意味におきまして資産的な價値のあるものを処分して、それが原價よりも高く賣れたというようなものによつてはやはり課税の対象とすベきだと思いますが、普通の人が普通に自分の消費に充てるために、持つておる衣類等を賣却して、それによつて臨時の收入があつたというものについては、課税上特別に考慮するというようにいたしております。苛斂にわたらないように、十分注意をするようにいたしております。話はさかのぼりますが、要するに所得税は営業の場合でも、あくまでも所得に対して課税するものでございます。その他のいろいろな標準その他がきまつておりますのは、それに推定するための單に一つの物さしにすぎない。そういう趣旨でございますから、間違い等がございますれば、その趣旨に應じて是正していくベきものと考えておる次第でございます。
  22. 河井榮藏

    ○河井委員 もう二点ばかりお尋ねいたしたい。これも都市における中小企業者が非常に困つておるのですが、税金がかかつてきた。それを最後決定して、四期にわけて納めることは非常に苦しい。現実に税金がかかつて拂う時分には金がないということで、結局金がないとは言われないから、決定が不当があるという異議の申立をするようになる。これを毎月納めるというような、從前にありました納税組合というようなものを民主的にこしらえて、毎月の税金の振当てに充当する。それを納めておくというような機構を、政府ではつくられるようなお考えはありませんでしようか。
  23. 平田敬一郎

    平田政府委員 現在の税法では、御承知の通り所得税は四期にわけて納めることになつております。ところで本年度最初申告が非常に低かつたために、実際問題としてはほとんど大部分の納税者が、税金の七、八割を年度末に一遍に納めていただかなければならぬ。こういう次第になりまして、そこに非常に無理を來しておるということも、私どもも一應了承いたしておるのでありますが、一面財政運用をはかるためには、どうしても必要でございまするし、またそれを納めた方も多数おられるのだから、何とか納めていただきたいという趣旨で、目下懸命に納税の促進をはかつておるような次第でございます。從いまして運用自体におきましても、今後相当改善し、四期にわけて納めていく方向にもつていけば、今日よりも納めやすくなるのではなかろうか。そういうようなことにつきましても、來年度は少くとも政府側といたしましても、十分考えてみたいというふうに考えております。まず申告でできるだけ近い申告をしていただきまして納めてもらい。それによつて予定申告に対する更正決定を適当な時期に行いまして、間違いのないようにしてもらうような方法をしていただいたらどうかと考えております。それとさらに制度として毎月納めるということになりますと、お互いに手段をとり、いろいろな規定を要すると思いますので、制度としてそこまでいくのは無理があるのではなかろうか。そこで今御指摘のように、納税組合みたいな納税者側の自治的な組合として、組合をつくつていただきまして、そこで積立てて納期に納める。こういう方法納税を容易ならしめる重大な一つ制度であるのでございますが、昨年度におきましてはそういうようないろいろな組織を、一應原則として壊すということで來ました関係上、そういう制度は一應やめた次第でございます。しかし最近の納税成績等からまいりまして、今後ひとつよくそういう制度についても研究してみたいと考えております。
  24. 河井榮藏

    ○河井委員 今度の更正決定につきまして、いろいろたくさんの異議の申立がありました。從前はこういうものに対しては行政裁判所で処理されておつたのですが、今度は普通裁判所でやるようにになりましたので、強制執行などをされますと、ごく簡單に普通裁判所で訴訟で爭うことができるというようなことになりましたので、実際におきましてそういう事業が相当に出ておるのでありまするが、かつて小作爭議が全國的に起きた昭和四、五年ごろの不景氣のときに、家賃や地代を拂うことができないので、借家爭議というものが全國的に起つたことがある。私は今日こういうふうな状態でいきますと、税は高い、拂うことはできない。そうするとこれは訴訟で引張つておこうというような、納税訴訟時代が起きやしないかと思うのです。こういうことに対しまして大藏当局としては何らかのお考えがありますか。それらの予防に対して、あるいはそれらの処置に対して、どうお考えですか。
  25. 平田敬一郎

    平田政府委員 納税者との間に所得決定等につきまして、相当紛議が多くなるだろうということは、私どもも予想いたしておるのでありますが、それにつきましては異議の申立、ないし審査の請求に当りまして官廳側としましても、できるだけ正確な資料を調査いたしまして、それい基いて、直すベきは直すという方向で第一次に問題を片づけていつたらどうであろうか、それで片づかない例も今後あろうかと思いますが、そういうものにつきましては、それぞれその機関におきまして、なるベく早くその処理をはかつてもらうように、それぞれ努めまして、いたずらに訴訟に問題を引き延ばして、納税が遅れるというようなことがないように盡さなければならないと考えるのであります。大体の問題は大部分は審査請求に対する処理で片づくのではなかろうか、法律問題あるいは事実認定につきましても、相当錯綜した大口の納税者等になりますると、これはなかなか片づかない場合があろうかと思いますが、大部分のものにつきましては、私どもも一般的にそうお説のようなことになるとは、今日の段階においては考えていないのであります。なおそういうような事態になるかならないか、よく情勢を見ておりまして、できるだけの努力はいたしたいと思つております。
  26. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 河口委員
  27. 河口陽一

    ○河口委員 私は再審査期限の問題で御質問を申し上げたいのです。先ほどの御説明で大体了承はいたしましたが、最近の情報によりますと、再審査申告に行つたところが、税務署の窓口にはたれもおられない。いわゆるストによつて出勤しておられぬ。そのために手続きはできない。こういう情報がはいつておるのであります。これは先ほどの御説明によつて、ある期間をお考えになつておられるようですが、今後においても、そういうことによつて審査申告ができなかつた場合に、当局としていかような処置をお考えになつておられるか、これをひとつ御説明願いたいと思います。  さらに、これは関係の方がお出でかどうか存じませんが、食糧還元米の格差金の問題ですが、農家諸君が非常な熱意をもつて、百パーセント完遂したということは御承知の通りです。この裏面には非常に農民諸君が犠牲を拂つておられる。さらに考えられますことは、原則として保有米は残すことになつておるのですが、百パーセント供出によつて、その原則的な保有米も供出してしまつた。從つてこれらの農家は今後配給米によつて生命をつないでおるのですが、そこに当然起きる問題は、供出價格と配給價格の格差の問題です。この格差金に対しては、前内閣の当時、波多野農相は、公団の手数料として計算される一俵につき四十九円八十八銭は、とらないということを言われ、さらに残余の七十三円四十七銭に対しては、農林省として大藏当局に対して予算化して、これをとらない方法を講ずるということが言明されておつたのですが、大藏当局としては、この七十三円四十七銭の格差金を予算に計上されておるか、されたとするならば、いつの時期に、農民諸君に、どういう形体で支給されるか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  28. 平田敬一郎

    平田政府委員 今御指摘税務署の窓口の職員が休んだために、納税者に非常に御迷惑をおかけしておることにつきまして、私どもはどうもおわびするよりほかないので、遺憾に思つておるような次第でございます。諸般の情勢上かようなことに相なりましたことにつきましてはただただおわびするよりほかないのでございますが、今後におきましては、そういうことがないように努めるのが第一だと考えております。できるだけ私どもといたしましても、あらゆる対策考えまして、そういうような事態が発生しないようにすべきものではなかろうかと考えておる次第でございます。今回のことにつきましては一般的にいろいろ問題等もございますので、審査請求については、特に運用上できるだけの配慮を加えまして、摩擦を少くするように努めることにつきましては、前々申し上げる通りでございます。  なお米の供出は関連しまするいろいろ奬励金の問題だと思いますが、この奬励金につきましては、いろいろ関係方面、農林省方面の希望もありまして、研究をいたしてはみたのでございますが、課税から全然除外するということにつきましては、どうもやはり私どもとして困難があるのじやないかと思います。還元配給を受ける場合の價格差の問題だろうと思います。この問題につきましても、実はいろいろ研究してみたのですが、課税上この問題を処置することはちよつと不可能じやなかろうかと思います。從いまして今お話のように賣値段をどうするか、これを問題として研究してもらうようにということで意見を申し上げておいたのでありますが、その結末がどう相なりましたか、私は本日ここで責任ある御回答をちよつといたしかねますから、関係の筋から、適当な機会にお答えを願いたいと思います。
  29. 河口陽一

    ○河口委員 この價格差の問題に対しては御答弁は得られませんでしたから、近いうちに関係係官に御出席を願つて、明快なる答弁をいただきたいと思います。
  30. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 大上委員
  31. 大上司

    ○大上委員 前会から引続き各委員からそれぞれ質問が出ておりますので、あるいは重複するかとも思いまするが、二、三お尋ねしたいと思います。まず第一に今回提案されましたところの、昭和二十三年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期の特別に関する法律案の提案理由で、所得税法改正案を檢討中であると説明されております。これは先輩諸氏がお尋ねになつたと思いまするが、どういう点を改正するのか、すなわちこれをどういう関連性があるのかということが一点、なおそれをお聽きした上で逐次続けたいと思います。
  32. 平田敬一郎

    平田政府委員 先日提案理由の説明にも申しましたように、最近の実際の賃金、物價の状況、あるいは現在すでに進行しておりまするいろいろ課税納税実情等に照らしまして、現在の所得税法は負担が少し過重に過ぎるのじやなかろうかということを考えまして、基礎控除、扶養控除につきまして、相当程度引上げるような案を研究中でございます。なお税率につきましても昨日もちよつと申し上げましたように、それぞれ少し——何と申しますか、上の方に税率をずらせまして、各所得階級ごとには相当な軽減をはかるというような趣旨改正をいたすベく、目下具体案を作成中でございます。そう相なりますと、申告していただかなくてまならぬ範囲とか、あるいは納税額というものは非常に変りますので、四月の申告は一應一月延ばしまして、五月に申告していただいて、新しい税法に基いて納税していただくという方が、納税者にとつても便利でございますし、役所側におきましても手数でございますので、そういう趣旨で本法律案提出して、御協賛を得たいと考えておる次第でございます。
  33. 大上司

    ○大上委員 往々にしてこの租税関係についての改廃、あるいは新設というようなことをよく聞き、なおかつても賣上税云々という問題が新聞に取上げられておりましたが、これについても特にこの税制問題は、國民大衆の生活に直接影響するという点から、大体今の局長の御意見でわかりましたが、ではその改廃あるいは改正というものを、いつごろお出しになる予定ですか。往々にして旧来の立法あるいは税法の動きを見ておりますと、やや立案倒れになつて、実際運行あるいは運営に至らないというように聞いており、あるいは事実を確認しておるわけですが、單なる机上のプランばかりで、立案に終つてしまつて、これを実施に移すということが非常に縁遠いように私は思つております。これがいつごろ出るのであるか、ちよつとその点を承りたいと思います。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 今案につきましてはいろいろな案を研究中でございますが、大体最終的にきめ得る段階になりますのは、一方におきまして物價改訂の問題がございまして、これに対しておよその見当が具体的につくということが必要でございますし、他方におきましては歳出額がおよそどの程度になるであろうか、そういつたような点がこれまた相当具体的な見透しがつきませんと、税法としても具体的には組みがたいという点がございますので、その他若干各方面との折衝その他の問題もございまして、私どもとしてはなるべく早くと実は考えておるのでございますが、本日ここでいつまでには必ずお出しするということまで申し上げるわけにはまいらぬということを、御了承願いたいと思います。なるべく早くいたしまして、この申告期限をもう一月延ばすようなことがないように、私どもの方としてはぜひ勉強して進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 大上司

    ○大上委員 もう一点お尋ねいたします。ただいまの主税局長の御説明でよくわかりました。そうすれば、税法というものは大体物價改訂、あるいは歳出の面からにらみ合わしてみて云々というお話でありますが、実際の所得税國民所得から割出したものを國家に納める、これが税法の骨子であろうと思います。ところがただいまの御説明では、私はいわゆる國家の歳出いかんによつて税法の適用あるいは税率の引上げをする、それとにらみ合わして税法をつくつていくというように聽きとれたのですが、その点いかがですか。
  36. 平田敬一郎

    平田政府委員 お説のように、一方におきましては、これは当然のことだと思つて省略したのでございますが、國民の実際の負担力、これが税を立案する場合の最大の物さしになることはお説の通りでございます。國民所得の状況等につきましても、よく推移を見まして、この際として適当な負担額はどの程度であるべきかといつたようなことにつきましても、各般の見地からよく檢討してきめるべきものであるということは、お説の通りだろうと思います。ただその際におきましても、賃金、物價の状況が変つてきますと、いわゆる國民所得自体も名目的に変つてくる。予算的にも動いてくるという事情がございますので、あまりこまかい細目はきまらなくてもよろしいかと思いますが、大体の大まかの見当がつきませんと、最終的にきめがたいという事情もあることを、併せて御了解おき願いたいと考える次第でございます。そういう意味合いにおきまして先ほど申し上げたような次第であります。なるべく早くつくりまして、幾分早く御協賛を経まして、実施に移したいということは先ほどからも申し上げておる通りでございます。
  37. 大上司

    ○大上委員 では問題をもう一つかえてお尋ねいたします。これは実際問題から伺いたいのですが、各税務署、いわゆる税務執行機関と申しますか、税務署員の現在の調査能力に対する低下という問題は、前にも先輩委員からお尋ねがありましたから、これは省略いたします。ところが昨年でしたか、われわれが税務官吏の特別待遇法案というものを審査いたしました場合に、実際の現状を見ておりますと、各会社あるいは事務所におきましては、事務用品は全部会社の負担であり、会社の庶務から出ておりますが、現在私どもがおります関係から、大阪管下あたりを見ておりますと、いわゆる事務用品、すなわち印刷以外は全部自弁になつております、これについて全財あたりが非常に苦痛と考えて、あるいはいろいろな点から是正しておりますが、これについて主税局あたりが、どういうふうな点からこれを補給してやるかという点が一つ。なお各税務署長の権限におきまして、非常に調査能力がよいとか、あるいは善良なる官吏という認定のもとに、特別賞與という点から、年額五百円とかを支給しております。これは私から見たならば、税務行政面から見た場合に、あまりに安過ぎはしないか。もう少し主税局あたりの経費を切りつめて、税務署長あたりが、せめて年額二千円くらいの機密処理費用というものをやれるようにする必要があるのではないか。なおかつて局長の街頭録音だと思いますが、それを聽いたときに、現在の税務署員の中に約十分に一が、相当立派な者が残つておるから、これを活用したいという御意見のように聽いておりましたが、実際の運用面から見まして、二十五歳あるいは二十三歳というような、近々はいられた若い方々の俸給が、大正十年あるいは七年前後にはいられて、現在四十そこらの課長級と俸給においてはほとんど変りがない。こういう場合においては、はたしてそういう若い者を十分指導でき得るやいなやという点が一つ。それから非常に細部にわたつて恐れ入りますが、実際各会社あるいは商店等に調査に行くのに、旅費が非常に安過ぎる。この旅費はどういう計算のもとに支給なさつておりますか。実際私ども見ておりますと、彼らは旅費を請求いたしますが、安過ぎて引合わぬ、從つて実地調査に行かぬ。それで納税者を喚び出して頭からがんがん怒る。こういうことは実際財務局長あるいは署長あたりは感づいておつても、かんじんの主税局あたりが十分その点認識しておらぬから、まあそのままというような点をよく見受けられますが、この点についてどの程度まで主税局長として、あるいは大藏省として考えておられるか。この点をお尋ねしたいと思います。  なお一つ附け加えます。現在の租税運行上、財務局の設置数が少な過ぎはせぬか。なぜならば、こういうような混乱時において、各地方税務署財務局へあらゆる点で打合せに行く場合に、実際の日数は、交通難のために相当数の日数がかかるために、その仕事ができない。もう少しこれを分割する必要があるのではないかと考えておりますが、いかがでありますか。
  38. 平田敬一郎

    平田政府委員 徴税費その他税務の施設の問題につきまして、非常に御有益な御意見を承りましたことに対しまして、感謝の意を表したいと思います。実は最近までと申しますか、從來税務官廳の経費につきましては、私ども納税者等のことを考えまして、低いというようなことを大藏省としても多年考えてきたような点もございまして、今の段階に至りますと、どうもその度を過ぎて、非常に能率にまで影響し、それがひいては納税者にも、かえつて非常に迷惑をかけておるというような段階にまで達しておるのではなかろうかというふうに考えますので、今後におきましては、今御指摘の各般の事柄につきましても、できるだけの努力をいたしまして、改善をはかつていくようにいたしたいと考え、予算等につきましても、できるだけの計上をいたすべく、目下努力中でございますが、議会方面におきましても、十分御理解を願いまして、そういう点につきまして改善し得るようにしていただきますならば、私どもとしまして非常に仕合せに考える次第でございます。財務局の数等につきましても、実際のところ東京財務局や大阪財務局は、管内に相当多数の税務署を擁しておりまして、指導に非常に骨折りまして、手もまわらないという筋が、いろいろの場合にたくさん現われておるようであります。從いましてこういう問題につきましても、予算の御承認を得ますれば、私どもも適当数を増加いたしまして、税務署指導に遺憾なきを期するようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  39. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 ちよつとお諮りをいたします。実は昨日以來北二郎君から、委員長に対して委員外の発言を求めてまいつておられます。そしてずつときのうからお待ちを願つておりますので、この場合委員長において許可したいと存じますが、御異議ありませんか。
  40. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 それでは北二郎君。
  41. 北二郎

    ○北二郎君 委員外の私に特別発言をお許しくださいましたことを厚く御礼申し上げます。私はおもに農業所得についてお尋ね申したいと思います。納税額の申告制度というものは、日本ではだれでも不慣れな新制度であります。從つてこれが運営を円滑ならしめるには、各税務署はもつと親切丁寧に指示し、懇談すべきであると思うのであります。しかし地方をまわつてみますれば、納税者申告した所得額を、一方的に虚偽の申告なりを断じ、何ら納得のいくような根拠も示さずに、独断的に巨額な課税決定額を算出して納税者に押しつけ、異議があつたら申し立てよ、但し通知しただけの税は納めよ、異議の申立てが通つたときは、超過分の税金は返してやるなどというがごとき、まつたく私は不親切であると思うのであります。こんなことなら申告制度なんかやめてしまつた方がいいと私は思つておるのですが、この國民の不平の声に対して、大藏当局國民の納得するような説明をし、陳謝する義務があると信ずるが、大藏当局の所感はいかん。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 今御指摘の問題につきましては、昨日以來財政金融委員会委員の各位から非常に御熱心なお尋ねがございまして、いろいろ実情お話して御了解を得つつある次第でございますが、要点を簡單に申しますと、御指摘の通り昨年から始めました申告納税の成績が、実は御存じのように非常に惡かつたのでございます。これは納税者側といたしましても最初のことでございますし、役所側としても宣傳その他不十分な点がありました結果だと思います。その結果非常に成績が惡くて、昨日も申し上げたのですが、申告納税額の予算で見込んでおる額が、約四百九十二億であるのに対しまして、昨年十二月末に納めましたのが六十一億、実に一割何分しか納まらないというような事態に追いこまれたのでございます。本年度におきましては、一月末の確定申告につきましては、昨年よりも一層宣傳等をいたしまして大分努めました結果、所によりましては農業所得についても完全に了解がつきまして、一月の確定申告の際にすでに完納していただいているところが、全國にも相当多数ございます。ただしかし、なかなか全國的に全部そういうわけにはまいりませんで、実際問題といたしましては、確定申告が過ぎた後に、役所で調べておりました所得額に基きまして、更正決定をいたしたような次第でございます。これについては御指摘の点もございますが、大体のところにおきましては、各税務署ごとに地区別に、反当り畑ならいくら、田ならいくら、畑でもどういう種類のものならばいくらというような一つの標準を調べまして、それをもとにして各農業者の耕作反別等に乘じて所得額を出して、それをお知らせしたというのが大体の全國のやり方でございます。その際に基準のつくり方その他について、いろいろ御意見が出ているということも、私どもよく承知いたしておるのでございますが、その基準のつくり方を、具体的に各納税者にあてはめる場合のあてはめ方が、よかつたか惡かつたか、いろいろ問題が起つておることは御指摘の通りであります。これにつきましては、私どもとしてもあとの審査の請求、異議の申立て等で、なるべく早く正確なところを調べまして、それによつて納税をしていただくように、目下懸命の促進をやらせておるような次第でございます。全國的に見ますと、私どもの方で考えておるところによると、そう一般的に全部過重だとは考えていないのでございますが、地方により、所によりましては、納税の見積り價格等が適正を得ないで、大分御迷惑をかけておる節が相当多いことも卒直に認めておる次第でございます。しかしそういうものにつきましてはなるべく早く処理を了しまして、円滑に納税をはかつていくように、目下努めつつあります。今後におきましてもそういう方向に向つて全力をあげたいと考えておるわけでございます。
  43. 北二郎

    ○北二郎君 そこで私はお伺いしたいのでありますが、一体租税法の基準に從つてやられるのか、それともそうでない、独断的にやられるのか、その点を聽きたいと思うのであります。
  44. 平田敬一郎

    平田政府委員 これはたびたび申し上げておるのでありますが、われわれは税法の規定に從つて所得計算し、それに從つて納税せしめていくべきである。何ら一点の疑いはありません。これは鉄則であります。
  45. 北二郎

    ○北二郎君 しからば今やられておる方法は——私は特に農村関係ばかりを申し上げますが、農民申告したのとまつたく異なり、いわゆるやみ價格というものまでも見積つたところの納税法を独断的に押しつけております。農民申告なるものを全然聽かないでやつておりますが、この点大藏当局はどう感ずるか。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 正しい申告が出て納税していただきますならば完結するわけでありますが、申告税務署調査したところと異なる場合においては、税務署調査によつて、いわゆる更正決定ができることになつておりますが、全國の申告状況があまりにも差がはなはだしいものでございますから、前々から調べていたのでありますが、やむを得ず短期間にその調べに基いて、申告後に更正決定をいたしまして、納税の促進をはかつておるような次第でございます。
  47. 北二郎

    ○北二郎君 よくわかりましたが、今行われておる方法といたしましては、その差があまりにも大きいと思うのであります。そこで私どもは数字も持つておりますが、各縣、各村大体同じような地味、所得であつても、そのかける人によつて千円も二千円も違う場合がある。全國的に調べてみますと、非常にでこぼこが多いと思うのでありますが、これをお認めになるかどうか、お伺いしたい。
  48. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほども申し上げましたように、前々から調べていたのでありますが、相当短かい期間に一斎に調査をいたしまして決定したような実情もございますので、全國全部正しいい課税になつておるとは私ども考えません。所によつては相当調整を要すべきものがあろうと思います。そういうものにつきましては事実問題でありますので、それぞれ各地の実情に應じまして、地方的に解決していただくようにいたすよりほかないかと考えておる次第であります。なお先ほどから申し上げておりますように、そういう点については税務署財務局等におきましても、よく納税者の話を聽いて、懇切丁寧に処理するようにするということを戒告しておりますことを御了承願います。
  49. 北二郎

    ○北二郎君 そこで当局は各地、各縣、各村において、でこぼこがあるということは、完全にお認めになつたと私は思います。ところが期日が非常に切迫しておりますので、これは公平にやろうと思つても、今この期日では私はやれないと思います。そこでこの申告期日、納税期日をいま一箇月ほど延ばしていただきたいと思う次第でありますが、当局のお考えいかん。
  50. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の問題につきましては大分御意見がございまして、お答えしたのでありますが、先ほどから申し上げましたように、とにかく申告納税の成績が非常に惡い。このまま推移しますれば、本年度の租税收入に、相当大きな破綻を生ずるおそれがあるということを、私ども非常に憂えておるのでございまして、二月以降なお四百億の租税收入を確保しなければ、本年度の見込みに達しないという実情に相なつております。そういう際でございますし、またこの納税状況では、今後日本のインフレーションがどういうふうに発展していくかという一つのキー・ポイントになつておるようなこともございますので、一般的に納期等を延ばすということにつきましては、どうもそこまでいくのはむずかしいということをお答えしているような次第でございます。ただこの審査の請求につきましては、できるだけ懇切丁寧に扱うようにということで、実際の受理等につきましては、できる限りの取扱をいたしまして、紛爭を少なからしめるように努力いたしたいと考えております。
  51. 北二郎

    ○北二郎君 それはわかりましたが、そうすれば今の御答弁によると、やはり独断的なことを続行していこうというお考えか、それを伺いたいと思います。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほどから申し上げましたように、独断的と言われますが、税法從つて更正決定をやつておるわけでありまして、ただ調査が正しかつたか、正しくなかつたかにつきまして、お互いに見解の差がある場合がある。これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、役所側としてもできるだけ早く調べて、異議の申立てある者については、適正に引直すということにつきましては、やぶさかでないのであります。先ほどからもたびたび申し上げておりますように、この際一般的に納期等を延ばして処理するというわけにはまいらないということを、御了解願いたいと思います。
  53. 北二郎

    ○北二郎君 結局結論的には独断的ということになるのでありますが、私どもは独断的なことと、民主主義とは非常に縁が遠いと思います。あなた方は民主主義ではなく、独断的にいかれる。いわゆるポツダム宣言に逆行していかれるつもりなのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  54. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 ちよつと北君に御相談申し上げますが、実はそういう点につきまして、昨日來各委員の方から相当御質問があつたわけでございます。それでそれぞれお答えもありまして、大体了承したわけでありますが、それに基きまして大上君からの動議が出て、全委員の名によつて決議案を提出しようという話もあつたわけでございますから、御了承いただきたいと思います。
  55. 北二郎

    ○北二郎君 それでは最後にもう一点だけお伺いいたしたいと思います。更正決定は、われわれ農民としては非常に承服しがたいと思います。そこで納税者の再審査要求は、個別交渉によらずして、審査基準を適正ならしむるために、所轄税務署または同一市町村の納税者をもつて組織した団体より代表者を出して、総括的に交渉するようにやらせたいと思いますが、当局の所信を伺いたいと思います。
  56. 平田敬一郎

    平田政府委員 今の問題につきましてもたびたびお答えしたのですが、具体的な額の最終決定につきましては、納税者政府の両者の責任においてきめる。ただ団体等意見をお述べになりますことは差支えないというようなことで、お答えしておるような次第でございます。
  57. 北二郎

    ○北二郎君 よくわかりました。これで私の質問を終ります。
  58. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 石原君。
  59. 石原登

    ○石原(登)委員 簡單にお尋ねしますが、今回の更正決定に当つての基準というか、方針というか、そういうものはまだ明らかにされていないようですが、どういうような方針で更正決定に当られたか、それをまずお尋ねいたしたいと思います。
  60. 平田敬一郎

    平田政府委員 更正決定につきまして特別の基準を設けておるわけではないのですが、御承知の通り今まで税務官廳が、多年にわたりまして営業所得農業所得調査方法研究し、実際に実施してまいつております。それでやはり本年度におきましても、大体類似の方法をとりまして、所得をそれぞれ決定いたしたような次第でございまして、農業所得でございますと、先ほどから申し上げますように、反当りの大体の所得を出しまして、どれくらい耕作しているかそれを調べまして、それに基いて算出して出す。それから営業所得でありますと、はつきりした一定の標準で所得を見得るというようなものにつきましては、その物さしで一應はじき出す。その他のものにつきましては賣上金によつて算出して出す、あるいはそこまで調査が行き届かないものについてはさらに調査して簡易な方法所得を出すというように、從來多年にわたつてつておる方法を、今年もそれぞれ踏襲してやつておるような次第であります。ただ一時に多種のものについて納税者が殖えまして、税務官廳の手がなかなかまわらないで、その結果あつちこつちに御迷惑をおかけしておることについては、昨日來たびだび実情を申し上げまして御了解を得ておるような次第であります。
  61. 石原登

    ○石原(登)委員 実は私は申告納税制度については、今日の結果が当然起るのではないかということを危惧しておつたのですが、そうなつた結果当然このずれをあなた方は補正しなければならぬ。補正する場合には、やはり前年あるいは前々年の所得によつてこれを決定していかれることは、今の御説明で明らかになりました。ところが実際はあなた方がこれまでお調べになつた実態と今日の実態とは、非常に相違しておる点がある。これは特に戰後の経済は、御承知の通り正常経済が営まれていない点が多いので、この点はなかなか捕捉に困難だろうと思いますが、その点が多分に加味されていないのではないかと思います。と申しますのは、私どもが知つておる実例からみましても、相当おかしいというような課税があります。これはどうしても強力な徴税機関があつて、的確にその所得を捕捉するという面を考えなくてはいけないと思いますが、そういうことに対してただ單に税務署を殖やすとか、税務職員を殖やすということだけでは、とうてい困難だと考えますが、そういう点について何か別にお考えないしは研究していらつしやることがあるでしようか。
  62. 平田敬一郎

    平田政府委員 從來は御承知のように申告納税制度ではございませんで、所得調査員という制度がございまして、所得決定する際に、調査委員会に付議して決定しておつたような次第でございます。この調査委員会は所によりましては非常に成績を上げ、私どもとしましても本來の任務を盡していただきまして、官民の間の摩擦を少くし、納税を円満にせしめる有力な役目をはたしていたことにつきましては、率直に認めていたわけでございますが、昨年からは御承知の通り申告によつて納税者税金を納める、こういうことを本來の建前といたしました関係上、そういう制度を同時に残すことは不適当になりますし、一面におきましては、調査委員会には若干の弊害があつたことも事実でありまして、そういう点を考えまして申告納税になりましたその際に廃止になつたわけでございます。理諭的に申しますと、納税者政府との間で、税法從つてそれぞれ納むべきものだ。これが本質だということに現在のところ考えておるわけでございます。昨日來いろいろお話がございましたように、各種の団体等におきましては、御意見のあるところをよくお聽きいたしまして、納税についてできるだけ円滑にいくようにもつていきたいと考えておる次第でございます。ただ調査委員会みたいな制度をこの際さらに設けることは、目下のところ考えていない次第でございます。
  63. 石原登

    ○石原(登)委員 率直にお尋ねいたしますが、前の税法によつて、あなた方から課税してやつたものと、今度の申告納税のやり方と、この二つをあなた方が御比較になつてどちらが徴税上的確であるが、あるいはまた徴税能力上いいかということについて、率直にお聽きしたいと思います。
  64. 平田敬一郎

    平田政府委員 私どもはやはり、國民のレベルがだんだん上り、それから政府の組織も整備してまいりますれば、所得税その他のおもな税は、やはり申告納税制度でいくのが理想に近いのではないか。ただ実施の最初から運用の完璧を期することは、なかなかできないわけでございますから、その補いといたしまして更正決定なり、罰則のありますことは御承知の通りであります。でございますから、今後運用をある程度徐々に改善してまいりますと、一定期間には申告によつて相当動いていくような組織になり得るのじやなかろうかと、現在のところは考えておりまして、今度の改正につきましても、実はいろいろ研究をいたしてみたのでございますが、本年度としては運用に重点をおきまして、どこまでできるか、さらに一層勉強してやつてみるということにいたしまして、制度自体につきましては、目下のところ根本的にかえるというのは、今回としてはあまり適当ではないのじやないかと考えておるような次第でございます。
  65. 石原登

    ○石原(登)委員 経済情勢がどういうふうに変化してくるか、今のところはつきりわからないと思いますが、私は今のような情勢でいきますと、相当國民所得は減つていく一方だと考えております。ところが一方では、こういうふうにいろいろ役所なんかどんどん殖えてくる。そうしてその費用の大部分はほとんど所得税に賦課される、こういうことになりますと、國民経済はますます圧迫される。そうなりますと、今あなた方が理想だと思われ、またわれわれが理想だと思つて行つたこの申告制度に対しては、これはあたりまえのことを書きましても、なおかつわれわれが、あるいは政府当局が期待しただけの納税額を將來はつきりとつかむことができないことになり得る。そういうことは、さらに今日のような、あるいは虚偽の申告と言いますか、そういうものに拍車をかけるという結果になりやしないかということを、私は考えるわけなのであります。そこで主税当局として、この所得税で今後の國費を賄つていくいわゆるパーセンテージについて、相当考えてもらわないと、國費の大部分を所得税で賄つていくというような今の方針でいかれると、ますます徴税上においても、國民納税意欲の上においても相当障害を來すということを考えなければならない。これが根本原因だと思いますが、これに対する御当局のお考えを伺いたい。
  66. 平田敬一郎

    平田政府委員 私は租税というものは、いかなる形の租税にいたしましても、結局國民所得から納めるか、あるいは財産から納めるか、いずれかだと思います。普通の経常的な税は、結局所得から納める税でいくべきで、間接税といえども所得で間接に負担していくようになると思います。從いまして、國民所得の増減が、担税力と申しますか、税收入の全体に非常に影響のあることは御指摘の通りでございます。國民所得が実質的に將來減つてくることになると、ますます課税力も減りまして、ゆゆしい事態になるのじやないかと思いますが、その点につきましては、私は必ずしもそうは考えていないのでございます。石炭の生産、食糧の増産等が行われまするならば、あるいはさらに外資の導入等によりまして、日本の生産企業が動いてくるということになりますれば、徐々ながら生産は上つていくのじやなかろうか、また上つていかなければ日本経済の復興もできないし、生活水準も上つていかないということになりますので、ぜひともそういう方向にもつていくべきものではなかろうかというふうに考えておるのでございますが、そういたしますと、担税力もそれに從いまして増していくことになるのではなかろうかと思つております。  それからもう一つの問題は、所得税に比してあまり歳入は大きすぎやしないか。これが一つの御意見かと思いますが、この点につきましては、私どももよほど考えてみる必要がある。あまりに所得税ばかりに重きをおきますと、理屈はよくても、実際は負担はしにくい。徴税上の不備による負担の不公平が、結果において出てくると考えまして、なかなかおもしろくいかないという面もございますので、目下いろいろ研究中でございますが、所得税につきましては、今の実情からしましても、でき得る限り軽減をはかりまして、歳入がどうしても必要であるならば、他に財源を求めるといつたようなことにつきましても、当局としては愼重に研究してみる必要があるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  67. 石原登

    ○石原(登)委員 それからもう一つお尋ねいたしたいと思います。今年度更正決定のような事態は、おそらく來年度も、さらにその次の年も起り得ることと私は考えております。大藏省当局はこういうふうに主張なされるのでございます。すなわち税務官吏の待遇改善とか、あるいは税務署の増置とか、あるいは官吏の増置とかいうようなことを主張されているようですが、私はそれだけでは、とうてい不可能だと思います。殊に御承知の通り大藏省へ行つてみても、役人はほとんど出てきていないような事態においては、それだけではとうていこれの円滑な運営はできないと思いますので、そういう際は徴税につきましても、たとえば地方においては青年団とか、女子青年団とかいうものから、その実態を捕捉する上についての意見を聽く、もちろん私はその通りやれるというわけじやないのですが。ああいうものは、農家にしてもあるいは漁民にしても、あるいは小さな商工業にしても、相当的確に把握できているじやないか、かようなことを考えるわけです。そういうような意味で、そういう純眞な外廓団体徴税上に協力させるようなことに対して、政府として考えられているかどうか、この点についてお尋ねしたいのであります。
  68. 平田敬一郎

    平田政府委員 団体に協力願うという問題につきましては、先般來大分お話いたしているのですが、いわゆる団体交渉というべきものであります。団体を通じて最後所得額を決定するというようないき方は、今後とも避けたいと思つております。ただ各団体におきましては、納税者実情等を一番よく知つておりますので、そういう団体の資料意見等につきましては、税務官廳もできるだけ取入れまして、正しい意見はできる限り尊重して、円滑を期してやるようにしてまいりたいと思う。なかんずく市町村等につきましては、從來も非常なお協力を得ていたのでありますが、今後といえども、できるだけお協力を願いまして、円滑な納税が実現できますように配意いたしたいと考えている次第であります。
  69. 石原登

    ○石原(登)委員 その場合、先ほどお答えになつた、たとえば前年度、あるいは前々年度課税によつて更正決定をされたというように聞くのですが、それだけでは今日のような更正決定の上には、何か納得できないものがあるのです。きのうもたれかが言つてつたのですが、一應の一つの目安をきめて、たとえばこの村ではこの基準だつたとか、あるいはこの郡ではこれだけの基準だつたとかいうようなものが、大きく左右しているじやないかと思いますが、これはそうじやなかつたというようなことをはつきり言明されたようです。この点が國民の間に明確にされ、また下級官吏、いわゆる税務職員の間にはつきりされないと、どうしても無理を押しがちになるじやないかと考えておりますが、その点は今後の更正決定の上においても、また徴税官吏と納税者との間の折衝の上においても、非常に重大だと思いますので、さらにもう一年この点を押しておきたいと思います。御言明をいただきたいと思います。
  70. 平田敬一郎

    平田政府委員 昨日來割当の問題について、いろいろ御質問があつてお答えしたのですが、いわゆる物資の割当みたいような意味の割当は全然していない。現在の税法を円滑適正に施行するならば、年度内にこれくらいの租税收入をあげることができるだろうという努力目標を示しまして、職員に勉強してもらつているという趣旨であります。從いましてあくまでも税というものは、税法從つて徴税すべきものでありますから、お説のような場合がございますれば、これは全然間違つていると思いますので、そういうものにつきましては、今日でも、あるいは今まででも注意して、よく徹底するように言つてあることと思いますが、今後そういうことのないようによく注意いたしたいと思います。
  71. 大上司

    ○大上委員 先般來より当委員会に付託されました昭和二十三年の所得税の四月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案につきましては、各委員からいろいろ御質問があり、大藏当局の熱心なる御答弁によつて大体了承をされたものと私は存じます。從つてこの際討論を省略して、ただちに採決にはいられんことを動議として提出いたします。
  72. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 ただいま大上委員から、質疑を打切つて、討論を省略し、採決せよという動議が出ましたが、さよう決定いたしまして御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議はないようでありますので、本案は質疑を打切り、討論を省略してただちに採決いたします。本案は原案通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 満場一致、原案通り可決いたします。  続いてお諮りをいたしますが、昨日本委員会におきまして、大上委員から、所得税の円滑適正な納税の促進に関する決議をして、本委員会の総意により議長に提案したい、こういう動議が出たのでありまするが、満場一致決定をいたしまして、その際字句の修正については委員長に一任すということでありました。委員長において若干の字句の修正をいたしました結果を御報告申し上げます。お手もとへプリントとして配付いたしてありまするが、一應朗読いたします。    所得税の円滑適正な納税の促進に関する決議案   國家財政の基礎を堅実ならしめ、インフレーシヨンを防止するためには、租税收入を確保することがこの際急務である。政府は、昭和二十二年分の所得税の円滑適正な納税を促進するため、次のような措置を講ぜられたい。  一、所得税更正決定に対する審査請求については、特別の考慮を拂い課税が不適当であると認める場合においては、速やかに是正の方途を講ずること。  一、追徴税については、実情に即應し、苛酷に亘らないよう十分留意すること。  一、現在の納税者数、納税額等に鑑み、徴税機構の整備、税務職員の素質の向上及び待遇の改善、徴税能率の増進を急速にはかること。  右決議する。 ただいま朗読したような文案をもちまして、本委員会の全員の名によつて提案いたしたく存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議がないようでございますので、さよう取計らいます。
  76. 中崎敏

    ○中崎委員 本案の取扱いにつきましては、これを運営委員会にお任せするというように御決定願いたいと思います。
  77. 塚田十一郎

    ○塚田委員 ただいま中崎委員からの御希望のように、実はこれと同趣旨の決議案が、聞きますと四つ出ておるというのであります。野党連合のもの、それから與党三派合同のもの、それから本委員会のもの、そのほかまだ一つあるそうであります。それを今どれを取上げて、どういうぐあいにいつ上程しようかということが、すでに運営委員会において非常に議論になつておるのだそうであります。そこで本委員会といたしましては、どこまでも委員会独身の立場から、この決議案を御採択になつて、そうして委員会の意思を明らかにしていただくことは結構でありまするが、これを本会議へもつてつて上程いたします問題は、この委員会の決議とは別個に、やはり運営委員会において全体的な判断を下された上で決定していただく。そういうことにぜひしていただきたい。これがわが党の考え方であります。
  78. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 ただいま中崎君から動議が出、さらに塚田君から同趣旨の御意見がありましたが、さよう取計らうことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議はないようでありますので、さよう決定いたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時四十一分散会