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1948-03-19 第2回国会 衆議院 財政及び金融委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月十九日(金曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長代理 理事 梅林 時雄君    理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君    理事 吉川 久衛君       川合 彰武君    川島 金次君       河井 榮藏君    西村 榮一君       松尾 トシ君    八百板 正君       大上  司君    栗田 英男君       後藤 悦治君    中曽根康弘君       細川八十八君    松田 正一君       青木 孝義君    泉山 三六君       江崎 真澄君    島村 一郎君       周東 英雄君    苫米地英俊君       淺利 三朗君    井出一太郎君       内藤 友明君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 北村徳太郎君  出席政府委員         経済安定本部物         價局長     谷口  孟君         大藏事務官   福田 赳夫君         大藏事務官   河野 一之君         大藏事務官   今井 一男君  委員外出席者         議     員 野坂 參三君         專門調査員   圓地與四松君         專門調査員   氏家  武君     ――――――――――――― 三月十八日  政府職員俸給等に関する法律案内閣提  出)(第一五号)  政府職員俸給等支給に関する措置等に伴う  大藏省預金部外特別会計に対する一般会計の  繰入金に関する法律案内閣提出)(第一六  号) の審査を本委事員会に付託された。 二月二十三日  仙台市に東北証券取引所設置促進請願外一  件(庄司一郎紹介)(第二七号)  昭和二十二年分所得税更訂決定に対する請願(  亘四郎紹介)(第三二号)  大根占町に元飛行機救難艇拂下請願前田郁  夫君紹介)(第七〇号)  官吏出張旅費規定改正請願坂東幸太郎君  紹介)(第七一号)  北海道の青果物公認荷受機関資金融通の請  願(坂東幸太郎紹介)(第七八号) 三月十六日  靜岡專賣支局靜静岡地方專賣局に昇格の請願(  岡野繁藏紹介)(第一〇〇号)  大相撲本場所における入場税減免請願(佐藤  觀次郎君紹介)(第一〇九号)  光海軍工廠跡敷地拂下に関する請願守田道輔  君紹介)(第一一号)  食塩生産合理化に関する請願多賀安郎君外  九名紹介)(第一二九号)  昭和二十二年度分所得税更訂決定に対する請願  (長野長廣紹介)(第一五五号)  外國製中古自動車公定價格撤廃請願櫻内義  雄君紹介)(第一七〇号) の審査を本委員会に付託された。 三月十三日  非戰災家屋税免除に関する陳情書  (第三六号)  証券金融拡充等に関する陳情書  (第四〇号)  証券民主化に関する陳情書  (第四一号)  第二封鎖預金等の拂戻に関する陳情書  (第五四号)  起債の條件緩和に関する陳情書  (第五六号)  市債に対する大蔵省預金部貸出に関する陳情  書  (第五七号)  國有林野拂下げに関する陳情書  (第五八号)  簡易保険郵便年金積立金地方融通再開陳情  書  (第六三号)  富籤の発行制限緩和に関する陳情書  (  第六七号) を本委員会に送付された。    ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  政府職員俸給等に関する法律案内閣提出)  (第一五号)  政府職員俸給等支給に関する措置等に伴う  大藏省預金部外特会別計に対する一般会計の  繰入金に関する法律案内閣提出)(第一六  号)     ―――――――――――――
  2. 梅林時雄

    梅林委員長代理 これより会議開きます。  昨十八日本委員会に付託されました政府職員俸給等に関する法律案及び政府職員俸給等支給に関する措置等に伴う大蔵省預金部外特別会計に対する一般会計繰入金に関する法律案一括議題といたします。まず政府の説明を求めます。
  3. 北村徳太郎

    北村國務大臣 このたび本國会に提出いたしました政府職員俸給及び政府職員俸給等支給に関する措置等に伴う大藏省預金部外特別会計に対する一般会計繰入金に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げたいと思います。  まず政府職員俸給等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。  政府は昨年末、全逓その他官公職員労働組合の争議に関する中央労働委員会調停案を受諾したのでありますが、この調停案に基きまして、新給與案審議するため設置せられました臨時給與委員会は、本年一月二十七日以降約四十余日にわたり慎重審議を重ねました結果、去る二月二十日第一報告書を、また三月六日には第二報告書を、それぞれ政府に提出するに至つたのであります。政府としましては、臨時給與委員会に多くの組合の参加を得ることができなかつたことを、はなはだ遺憾と存じておるのでありますが、この委員会構成、運営の面から見まして、その到達いたしました結論が、ともかく現状において望み得られる限りの客観的資料を使用して、周到な検討を加えた結果作成されたものでありますので、この報告書内容は、現在としては最も公正妥当なものであり、從つてこれに從うことが、政府職員給與問題を最も民主的に処理することとなると考えるのであります。右の見地に立ちまして、政府といたしましては、右の報告書に基く新給與案実施が、その内容から見て、今日の國家財政にとり、まことに重大な負担であるにもかかわりませず、政府職員現行給與水準が特に低きに失し、その生活が極度の窮迫に陥つておる事実を卒直に認め、新給與案実施するため、これに必要な予算とともに、この法律案を提出いたした次第であります。  この法律案内容を簡単に申し上げますと、ます本則におきまして、内閣総理大臣最高裁判所長官日本國憲法第七條の規定による認証官等を除いた職員に対し、臨時給與委員会の第一報告書及び第二報告書に基きまして新給與水準、すなわち二千九百二十円水準による俸給等を本年一月にさかのぼつ支給することとし、右の俸給等の額及びその支給に関する事項は、別に法律でこれを定めることとしてあります。なお内閣総理大臣等この法律の適用を受けない者の俸給等につきましても、別に法律でこれを定めることとしております。從つて右二つ法律につきましては、近く案を立てて本國会の御審議をお願いする予定であります。  新給與水準による給與内容を要約して申し上げますと、次の通りであります。  一、新給與水準は、昭和二十三年一月一日以降二千九百二十円(税込)であります。これは現在の政府職員所定勤務時間を基礎としたもので、超過勤務手当は含まない数字であります。  第二に本俸は、現在の暫定加給暫定加給臨時増給、及び臨時手当を廃止して、一本の新本俸といたし、その水準は二千円を下らないよう措置することといたします。そうしてこの新本俸への切替に当りましては、必ずしも機械的に各人の受ける現号俸を基礎とすることなく、各人の職務の内容、責任の軽重、労働の強度、労働時間、労働環境事務、技術、労務の別、その他労働に関する諸條件並びに民間における同一條件の者との権衡を勘案して決定する方針でありまして、これはいわゆる職階制給與制度への一歩前進を意味するものでございます。  第三に家族手当支給額は、家族一人当り二百二十五円に引上げ考えであります。  第四に勤務地手当につきましては、各府縣組合側を中心とする地区区分調査委員会を、中央政府側組合側合同地域委員会を設置いたし、現行臨時勤務地手当段階の増加、支給率の幅の拡大及び地域区分指定等の問題につきまして、民主的かつ合理的な解決をはかつていきたいと考えております。なお臨時勤務地手当段階は、現行の四段階を五段階程度に増加いたし、四割級の地域を新設することが適当と考えられ、さらに寒冷地給及び積雪地給のごときも、これを臨時勤務地手当に取入れることが適当であろうと考えられるのでありますが、これらの問題は、いずれも、右の委員会での審議にまつこととする訳であります。  第五に特殊勤務手当につきましては、労働價値に関係ある諸條件のうちで、本俸に取入れることが不可能か、または不適当なものは、これを特殊勤務手当として支給されることになるわけであります。  以上が新給與水準による給與の骨子でありますが、これが完全な実施には、諸般の情勢からしまして、なお若干の時日を必要とするのであります。しかしながら、他面政府職員生活実情を思いますとき、新給與案実施に至るまでの間のつなぎといたしまして、新給與水準の一部の内拂いを必要とする事態に当面しておる次第であります。從いまして、この法律案の附則におきまして、右の二千九百二十円のうち、二千五百円程度暫定給與とし、本年一月にさかのぼりまして内拂いすることといたし、その暫定給與種類支給方法等規定いたした次第であります。もちろん暫定給與とは申せ、本格的な給與実施を予想いたしまして、この線に沿うよう規定いたしたわけでありますが、その要領を申し上げますると、次の通りであります。  第一に暫定給與種類は、暫定俸給暫定扶養手当及び暫定勤務地手当の三つといたします。  第二に暫定俸給の額は、現俸給または給料暫定加給及び暫定加給臨時増給合計額に対し、それぞれ所定勤務時間数に應じて十五割ないし十七割を乘じて算出した額であります。なお暫定俸給では、從来の官吏雇傭人との身分の別による俸給給料の別、及び月給と日給との区別を撤廃して、一様に月給制といたしました。  第三に暫定扶養手当は、從來臨時家族手当相当するものでありますが、扶養親族一人当り給與を、從前の百五十円から二百二十五円に増額いたしました。  第四に暫定勤務地手当は、從來臨時勤務地手当のことでありますが、これについては、前に申し述べましたように、新たに地区々分調査委員会を設置いたし、この委員会におきまして、民主的かつ合理的解決をはかることにしておりますので、それまでの間は、從前の例をそのまま施行することにいたしました。  第五になお政府は、最近における政府職員官紀状況に顧み、政府職員官紀粛正に関し、閣議決定をいたしたのでありますが、この閣議決定趣旨に從い、職員が法令または本属上司の承認なく執務しない場合においては、その執務しない期間の暫定給與を減額することといたしました。  六、最後に從前給與との調整について規定を設けまして、本年一月一日以降までに支給された従前の規定による給與は、この法律による暫定給與の内拂とみなすことにいたし、両者の差額を本年一月にさかのぼつて追給することといたしました。  次にこの法律案実施するに必要な予算金額は、一月ないし三月分で、一般会計所属職員の分二十三億五千四百余万円、特別会計所属職員の分三十七億九千四百余万円、合計六十一億四千九百余万円でありまして、右の金額はただいま本國会提案中の昭和二十二年度一般会計予算補正第十五号及び特別会計予算補正特第十号に計上いたしております。  なおこの法律によりまして、政府は平均二千五百円程度暫定給與支給する権限を得るのでありますが、この権限を行使し、実際支給するに当りましては、各組合団体交渉を行つて支給いたす方針であります。この方針によりまして、政府は十三日附をもちまして通告文を発し、各組合交渉を開始いたし、國鉄労働組合からは十六日までにこれを承諾する旨の回答に接しており、他の組合もまた速やかにこれを承諾されることを、切に希望する次第であります。以上本法律案につき立案の趣旨及び法律案の概要につき御説明申し上げた次第であります。  次に政府職員俸給等支給に関する措置等に伴う大藏省預金部外特別会計に対する一般会計繰入金に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  政府は今回、臨時給與委員会の第一報告書及び第二報告書に基きまして、政府職員給與水準引上げるとともに、給與体系整備をはかることといたしまして、これに関する法律案を別途提出いたしたのでありますが、大藏省預金部特別会計國有鉄道事業特別会計通信事業特別会計、並びに簡易生命保険及郵便年金特別会計保険勘定及び年金勘定におきましては、その收支状況に顧みまして、今回の措置に要します経費等財源は、これを一般会計から、それぞれこれらの会計に繰入れる必要があるのであります。すなわち大藏省預金部特別会計につきましては、一億九千六百八万三千円、國有鉄道事業特別会計につきましては、十九億九百十四万二千円、通信事業特別会計につきましては、九億三千百九十四万一千円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計保険勘定につきましては、一億六千七百八十一万五千円、同会計年金勘定につきましては、四百八十三万四千円をそれぞれ繰入れることといたしました。なお、この一般会計からする繰入金につきましては、各特別会計性質に鑑みまして、これらの会計が、後日、健全な財政状況になりました曉には、その繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところによりまして、それぞれ一般会計へ繰入れる予定で、これに関する規定をも設けた次第であります。以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。以上二法律案につき、政府職員の生計の実情を御斟酌の上、何とぞ速やかに御賛成くださるよう希望いたす次第でございます。
  4. 梅林時雄

    梅林委員長代理 これより質疑に入ります。質疑通告を受けましたので、その方から願いたいと思います。社会党中崎君。
  5. 中崎敏

    中崎委員 大藏大臣質問をしますが、三党政策協定の中に、戰時公債利拂停止的処理ということが明らかになつておるのであります。この戰時公債利拂停止的処理という言葉のもつ意味について、新聞紙上等に傳えられるところによると、私たちの考えておる解釈と、多少異つた解釈があるようにも関知しておるのでありますが、大藏大臣はこの言葉のもつ意義について、どういうふうに解釈しておられるか伺いたい。
  6. 北村徳太郎

    北村國務大臣 中崎君の御質問にお答えいたしたいと思います。これは実はきわめて重大な内容をもつ案件でありまして、從つて戰時公債利拂停止すると決定をしたものではないと理解いたします。そのことについて利拂停止すべしという説がございますので、その問題に関する調査研究委員をあげて調査をしてもらうということに相なりましたので、おそらくきわめて近いうちに、それらの委員が任命せられるであろうと存じておるのであります。利拂停止することを可とするか否か、もし可とすれば、いかなる方法、手段においてやるか、その利害得失いかんというような問題について研究するところの委員会が、おそらく最も近く設置されるであろうと理解しております。
  7. 中崎敏

    中崎委員 私の関知しておる範囲内においては、ただいま大藏大臣の答弁と社会党側考えておる考え方との間には、相当開きがあるようにも思うわけでありますが、これはしばらくあまり深入りしないことにしまして、ここに全國銀行協会連合会信託協会そのほか金融機関団体の名前をもつて、公債利拂停止的処理についての意見があるわけでありますが、これについて私は相当意見をもつものでありますので、以下それらの問題について、二、三触れてみたいと思うわけであります。  まず公債利拂停止すべきものであるという考えを私はもつているわけでありまして、これは今申し上げましたような金融機関意見については、全体として反対しておるものであり、その意見が一方的なものであるというふうに考えるわけであります。そもそも戰時公債はどの範囲において戰時公債であるかということについては、いろいろ見方もあるようでありますが、大体戰爭中において発行されました一千億ないし一千百億見当の金額範囲内のものが、その範疇に入るものと、私は解釈しておるわけであります。そうしますと、そもそもこの戰時公債なるものは、戰爭に勝つという前提のもとに何ら負けるということを意図しないで出された公債である、それが今日においては、ほとんどもう烏有に帰して、何ら実体を伴わないところの名目的な負債であるということになるわけであります。そうしますと、それがすでに整理されまして、そして一面國家の不健全な負債を残すというようなことは、この際思い切つて整理すべきものであるということは、すでに社会党として唱えてまいつたわけでありまして、ただ政府の戰時中における一切の債務は、すでに打切りされたにもかかわらず、公債のみが依然として残されておる。ちようど車の両輪のごとき國家戰爭に基く債務であり、しかもそれが実態の伴わないところの不健全な債務がその一面だけ切捨てられて、一面はまだ残されておる、これが今日におけるところの金融の上においても、さらに國家負担の上においても、相当大きなものであり、殊に今後貨幣價値が漸次安定した場合におけるところの公債の額が依然として残つておるということになれば、國家國民に対して非常に大きな負担を残すということになり、実に國家財政の上におけるところの大きな癌となるということが考えられるわけです。それでわれわれはつとにこの戰時公債利拂も、一切の政府戰爭に伴う債務とともに整理すべきものであるということを、主張してまいつたわけでありますが、今日までそれが実行されなかつたわけであります。ただしかし今日において、この大きな問題を処理するということは、なるほどまた再び財界に必要以上の摩擦を生ずるというふうな懸念もありますので、とりあえず比較的容易に処置し得るところの戰時公債利拂の停正を考えておるわけであります。先ほども申しましたように、千百億円くらいの戰時公債としてみれば、約三十五億円ないし四十億円近いところの利息を、この停止によつて国家節約されることになるわけであります。もちろんその中には資本利子税とか、あるいはまた所得税等の形において、すでに國家の歳入の中に編入されるべき性質のものもあるわけでありますから、全額これが國家の歳出の節約になるということは申し上げられませんが、結局において三十数億の節約になり得るというように考えれるわけであります。なるほど今後一箇年間の支出が二千億を突破する、あるいは三千億になんなんとするというふうなことにもなれば、それから見た三十数億というものは、微々たるものではあるように考えられまするが、しかし今回たとえば六・三教育制の問題にしましても、あるいはまた水害対策の費用にいたしましても、わずか三億ないし六、七億に足りない金さえ国家予算が許さぬという面から、これが緊急欠くべからざるものであるにかかわらず、まさにこの追加予算にさえも計上されないというふうな現在の事態において、この三十数億の節約をなし得ることになれば、実にこれは大きな問題だと考えられるのであります。さらにまた住宅の面においても、あるいはまた公共事業の面においても、この三十数億の金が使われたならば、実に國家的に大きなる貢献をなすというか、社会的に大きな影響をもつものだということが言えるわけであります。そういう意味において三十数億は決して金額は少いものでないということは言えるのではないかと考えるわけであります。そういう意味においてこの利拂停止ができるならば、しかもこの利拂停止財界に大きな影響と言いますか、悪影響をもたらさないでできれば、これに越したことはないのじやないかというふうに考えられるのであります。そうしますと、この意見の中にも書いてありますが、まずこれを処理するには、われわれは第二封鎖預金をもつてこれに充てるべきだという意見をもつておつたわけでありますが、すでにこの第二封鎖については、政府側においてある措置を講ぜられつつあるということであります。現在第二封鎖として残るものは四十億程度にすぎないというふうにも感知しておるわけでありまして、この範囲をもつてするならば、必ずしもこれを全額引き充てることが妥当であるかどうかということについては、いささか私として疑念をもつものであります。それですでにこの時期を失した第二封鎖で、利拂停止によつて金融機関の受ける損失穴埋めとすることは、妥当でないと考えられるわけでありますが、しかしこれを打切る財源としましては、まず金融機関の内部的にもつているところの、いわば資産の再評價によつてこれを充てる余裕が相当にあるのではないか、もちろん金融機関再建整備によりまして、金融機関資産内容については、まず自己資本をもつて損失穴埋めにするというような建前になつておりまして、相当に手傷を負つたことは事実でありますが、しかし一面また、その多くの部面を占めているところの金融機関のもつている資産内容については、これは大体帳簿價格をもつて見積られております。われわれの知つている範囲においても、この帳簿價格と現在のいわゆる時價との間には、相当大きな開きがあるわけでありまして、これは依然として何ら手を着けないままに残されている現在の状態において、われわれはむしろこうした余分の資産の中から、この公債利拂停止による一部分負担をするのは当然であるというふうに考えているわけであります。これは決して水ぶくれ資産をこの金融機関にもたせるということにはならぬのではないかと思います。水ぶくれ資産と申しましても、これは同時に市場にもち出されて、そしてこれが高い値段において取引されるというふうな事態が生ずる場合、これはいきおいインフレになるわけでありますけれども、金融機関資産内容評価損を、その時の價格によつて適正に見積り、引上げたからといつて、これは決して財界全体として水ぶくれ資産物價影響するがごときものでなくして、ただ金融機関の、いわば将来における堅実性がどうなるかということについての多少の懸念はあるわけでありますが、しかしそれといつても、急激に物價が何百分の一に下るというようなことも考えられないのでありまして、そういう見地からみて、当然その時の價格に相應するような資産評價替をするのは、むしろ当然であるというふうに考えるわけであります。  次にまた貸出金利引上げ預金利息引下げないし金利の支拂の停止等、こういうふうな金利の上におけるところの操作の面に、たとえば貸金の利子引上げのみによるか、あるいはまた預金利子引下げのみによるか、停止めるかというふうないろいろな方法はあるわけでありますが、これは各方面の実情に即して、適正に各方法を按配してやつていけばできるわけであります。こういう方法研究こそ、今後各調査機関においてやるべきでありますが、少くともこの公債元利拂い停止という問題については、当然やるべきものとして、その方法をいかにするかということを考えられるのが、むしろ当然だと考えているわけでありますが、貸出金利引上げということが、一面においてコスト高を来し、そして物價に間接的な影響をもたらすということは、これは明らかなことでありますけれども、しかし現在のいわゆる物價事情において、金利がわずか二銭五厘のものが二銭八厘なり、あるいは三銭程度引上げられたとしても、これは非常に物價を高く引上げるところの大きな原動力とはなり得ない、言いかえれば、金利というものが今日價格構成の面において、きわめて、わずかの部分しか占めていないというところを考えてみても、この金利のわずかばかりの引上げということは、決して財界にそう恐るべき影響をもたらすものでないということを、はつきり申し上げられるのではないかと思います。さらにまた一面、預金利息引下げにつきましても、これは今日むしろ各預金者というものは、金利が高いから、安いから、これにもつていつて預けようというような考え方よりも、むしろこれによつて財産の所在が明らかになり、平債の切下げはないか、金利引下げをやられるのではないかという貨幣制度の根本に対する懸念、租税で今後根こそぎもつていかれはしないかという懸念が、預金の増加を阻んでおる大きな理由である。金利が安いか高いかということは、今日の経済事情に即應しての問題ではないというふうに考えておるわけであります。こういう意味において、今日の時代においても、預金利子の三分五厘が三分になろうと、あるいは二分になろうと、預金吸收の上においての、そう大きな原動力とは、なり得ないというふうに考えておるわけであります。いわんやまだ第一封鎖預金相当あるわけであります。この第一封鎖預金に対するところの利拂いの減少ないし停止のごときも、これが今年一箇年間に限つて行われる限りにおいては、そう大きな悪影響財界にもたらすものではないばかりでなく、さらにまた預金者もこれによつて、この預金を非常に引出すとか、あるいはまた預金の増加の傾向を鈍らすというような、大きな原因になるのではないというふうに考えておるのであります。われわれは長年銀行におきまして、金融機関全体については認識をもつているのでありまして、金融関係業者のこのパンフレツトなるものについては、私はただ自己擁護の立場において、いたずらに古いところの金融資本と申しますか、そういうふうな考え方から、自己を擁護しようという考え方であつて、私はこの公債利拂停止のごときは、やろうと思えばやれる。しかもそれが大きな影響を及ぼさないということを、長年私は金融業界における経験から、考えておるのであります。これらの点について、大藏大臣の御意見を承つておきたいと思うのであります。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいま中崎君から公債利拂停止について、まことに該博な御高見を拝聽したのでありますが、これは私は非常にうなずく点もございますし、また多少納得のいかぬ点もあるのであります。この問題は委員をあげて、委員会の結論を得て、しかる後これによつて善処するというようなことでありますが、未だ委員はあげられておりませんので、從つて党政策協定においては、委員をあげて調査するということでございまして、その委員会の結論が利拂いを停止すべしということにきまりますれば、政府もまたこれに從つて善処しなければなりません。停止すべからずとなりますれば、またこれに從つて善処しなければなりません。ただいまここでこれを論議することは、非常に困るのではないかと考えますし、殊にただいまお引きになりました金融業者が、これについて意見を発表したということであります。これまた新聞で多少知つておりますが、くわしい内容は覚えておりません。從つてこれを基礎としてここで論議されても、論議できないことであります。またこの問題は重大なものであり、私も相当関心をもつておりますので、この問題は三党政策協定の線に沿つて、委員をあげてその結論を得ましたときに、十分に論議を盡したい、かように存じますので、本日はこのことについてのせつかくの御質問でございましたけれども、答弁は留保させていただきたいと思います。
  9. 中崎敏

    中崎委員 これは大体この委員会にたまたまこういうふうな書類が出ておつた。こういうことに一つの原因があるわけであります。從つて近くこの問題については、委員会を設けて検討されるということになるわけでありますので、私は一應この委員会を通じて、この問題についての私の考えを申し述べておく程度にして、これに関する私の質問は打切りたいと思います。
  10. 梅林時雄

    梅林委員長代理 質疑通告を受けておりますから、質疑を許します。内藤君。
  11. 大上司

    ○大上委員 ちよつと議事進行について……。本日の議題は衆議院の公報によつて確認し、なお先ほど委員長から申された通り考えております。ところが本委員会において、中崎委員からの特別なる御質問がありまして、これについて当然委員長はわれわれに一應諮つていただかなければならなかつた。これは全然問題は違うと考えております。從つて委員会提案されております問題も、ずいぶん時間がとられ、あるいは質問が続行せられると思いますが、かかる委員会の運営においては、われわれは一應考えなければならぬと同時に、どうも納得がいかない。本日の委員会の運営において、非常に私たちの了解に苦しむものがあります。從つてこの委員会をこのまま続行するか、あるいはしないかという点でありますが、私ども民主自由党としましては、本日の委員会を打切つていただくか、あるいは今後の委員会の運営をどうするかということについて、一應委員長の腹を聽きたいと思います。
  12. 梅林時雄

    梅林委員長代理 お答え申し上げます。大上委員のおつしやる通りに、議題外のように思われましたが、もともと国家財政に関することであり、特にこの給與支給というようなことに関連して、何か御質疑があるものと委員長は了承いたしまして、質疑通告を受けたわけでありますが、この公報にあげてあります一案について、以下委員会を続行したいと思います。御了承願います。
  13. 大上司

    ○大上委員 わかりました。
  14. 内藤友明

    ○内藤委員 まず経済安定本部の政府委員の方に質問しまして、しかる後大藏大臣質問したいと思うのであります。新聞に傳えるところによりますと、政府は近く物價の政策を改められるとあるのでありますが、それにつきまして、具体的にいつからどういうふうになるかということを、一應お尋ねしたいと思います。
  15. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。價格の政策を改めるというほどのことではありませんが、昨年の七月の新物價体系実施以來、いろいろ事情も変化いたしておりますので、これに即應いたしまして、所要の補正を近い機会にやりたいということを考えております。まだその具体的なものは、ここでお話するほどの段階には達しておりませんが、鉄道運賃改訂とか、いろいろの問題を含んでおりますので、これらと統一していきたいと考えております。
  16. 内藤友明

    ○内藤委員 大藏大臣にお尋ねしたいと思いますが、現在の官吏俸給はもちろん安過ぎるのでありまして、今度提案されましたこの法律による二千九百なにがしというものも、決してこれは高いものとは考え得ないのであります。そこでただいま物價局長が物價の補正をなさるというお話でありますが、これは部分的な改訂だろうと思うのであります。そういうことを思いますと、この俸給の方もそれによつて順次かえていかれるのでありますか。それをお尋ねしてみたいと思います。
  17. 北村徳太郎

    北村國務大臣 御承知の通り物價はいかに政府の力で統制いたしましても、物價それ自体の需給による自律性というものは、絶対に抑えることのできないものでありまして、從つて需給の関係により、ある程度物價の自律性というものからくる物價騰貴というものは、予想せられるのであります。從つて政府職員の今回の給與水準をきめたことが、これがどこまで釘づけになるというようなことを、ただいま申し上げることは非常に困難でありまして、これは物價の変動等に伴いまして、おのずから変化を見るものであるということは見ていかなければならぬ。ただいわゆる物價と賃金のいたちごつこをさせてはならないと、その施策については十分そのことを研究いたします。從つて全面的にインフレーシヨンを防止する。インフレーシヨンを克服するという点に努力を集中していかなければならぬ。こういうふうに考えております。インフレーシヨンの防止、克服ということに努力はいたしますけれども、それでも物價が動かないものではない。從つて物價が動く限りは、賃金水準もまた動かざるを得ないというようなことになるのではないか。その点について内藤委員の御懸念のような点に、私どもも深く懸念をいたしまして、できるだけそういうことがないように、言いかえるというと、たとえば流通秩序等の確立によりまして、やみ生活をしなくてもいいというような状態を来すために、実質賃金が内容的によくなるというような方向に努力するということはもちろんでございますけれども、それでもなおこの物價水準で釘づけになるというようなことは、ちよつと申し上げかねる、この点御了承願いたいと思います。
  18. 内藤友明

    ○内藤委員 この法律施行によりまして、官吏俸給が上るのでありますが、こういうことが新聞に傳えられますると、地方農村の人々は、米價の改訂を強く要望してくる氣配があるのであります。これは千七百円できめられたのでありますが、生産費から考えますと、非常に安いのであります。これらに関しまして、政府はこの官吏俸給値上げに伴いまして、米價を改訂せらる御意思がありますかどうか、それを伺いたいのであります。
  19. 谷口孟

    ○谷口政府委員 お答えいたします。米價は昨年パリテイ計算によつてできたものでありますが、今度の給與の改訂と申しますよりも、この次の價格の補正という問題に伴つて、米價をどうするかという問題は、愼重に考慮せられる問題であると考えますが、今のところいかにするかということを明言するだけの段階には達しておらぬのであります。御了承を願います。
  20. 梅林時雄

    梅林委員長代理 それでは苫米地さんの質疑通告がありましたので、それを許します。
  21. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 きわめて簡單でありますけれども、根本的な問題について二、三伺いたいと思います。この法律では二千九百二十円のうち二千五百円だけをさしあたり給與して、四百二十円はこの條文にありますような、いわゆる職階制に一歩を進めると大臣の言われた方法給與することになつておりますが、同時に大臣の御説明にもありました通り物價は動く、從いましてこの給與があまり先に延びますと、四百二十円というものは、まつた價値のないものになつてしまう。そういう一つの職階制に進む第一歩であり、また勤労に対する公正なる分配をするというお考えは、きわめて妥当なものであると考えますけれども、同時に今非常に生活に窮乏しており、きのうの労働大臣の説明では、二千九百二十円では食えないということは、常識的に判断ができるのだ。だれもこれを認めるのだ。こういう御説明がございましたが、それが適当な答弁であつたかどうかということは別問題にいたしまして、とにかくそういうことをもらう方では主張しておるのであります。三千九百二十円というものが、すでに低過ぎるのだということを一方において主張しておる。そうして即時金額をもらいたいという希望も強いようにうかがうわれるのであります。こういう際にこういう意図をもつて法律をつくつてお延ばしになるならば、それはむろん最短期間で片をおつけになるつもりでありましようけれども、最短期間の長さいかんよつては、四百二十円というものは、まつたく死んでしまうので、この点に対する政府の見透しを伺いたいと思うのであります。  それからこの中に含まれておるいろいろの問題が、また地区別の差額というものも、この前の國会相当もまれて、困難で容易に一致しないものであるということは、われわれよく経驗しておるのであります。從いまして組合の方と話し合つて民主的にきめるという話でありますけれども、なかなか複雜な事情がありますので、そういうことをしておつて容易にきまるものであるかどうか、きまる確信をおもちであるかどうか、この点についてまずお尋ねいたしたいと思います。
  22. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの御質問に対しまして、ごく大体のことを申し上げまして、あと給與局長より申し上げたいと思います。二千五百円をまず支拂つて、あとの四百二十円は後廻しにするということから、非常に困難な問題が起りはしないかという御懸念でありますが、その前に二千九百二十円が適当であるかどうかというようなことも問題になりますけれども、一應これは民主的な方法で、公正妥当なものとして決定をみたものでありまして、この線に沿つていかなければならぬと考えております。それから実際問題としては、三月分の給料の繰上支給をいたしまして、一日に拂つたことと、今回一月にさかのぼつて一、二、三月分というものが給與されるわけでありますので、一應の突破が十分できるじやないかと考えております。それからなおあとの職階制等については、非常に時間がかかるといたしますれば、お説のように、その効果が乏しくなるということは懸念されるのでありますが、必ずしもそれはそういうふうに長くなるとは考えておりませんので、それらのことに関しまして、一層詳しい点を今井給與局長より御説明申し上げることにいたします。
  23. 今井一男

    ○今井政府委員 ちよつと補足いたします。お説の通り、もし職階制というものを非常に本格的なものを考えますと、これは三年も五年もかかることになりますが、今回はこれにただ方向的に一歩踏み出すというきわめて大ざつぱなことを考えておりますだけでありまして、また前からある程度の準備を進めておりますので、組合側の協力がぐあいよくさえいけば、大部分のところは来月中に片づくだろうと予定しております。またその程度の職階制としか考えておりません。一番複雑であります国鉄のように職種が五百、六百とわかれるようなところにおいても五月になればできるという見透しを組合側の方でさえもつております。  それからもう一つ地区区分委員会の方でありますが、これも御説の通りきわめて厄介なものでございまして、一應組合側にもこういつたやり方以外にやり方はないという氣運がありますが、また全面的に話がつくかどうかということは問題でございます。それまでは從來の行き方を続行いたしまして、そのために金の支拂が遅れることのないように、現行の制度の建前から運用してまいりまして、組合側に出されるときに、そこで再検討して、やり直すならやり直すというようにいたしまして、二千九百二十円をそのために繰延べるという考えはもつておりません。
  24. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 政府考えておりますことは大体わかりましたが、ここでさらに問題になりますことは、今、今井給與局長のお話によりましても、労組の方でさえ了承すれば——それが大きな問題でありまして、了承するかどうか、この点に対する確信が伺いたかつたのであります。  さらに予算委員会の方でも非常に問題になつておりますが、これは政府の説明によれば、條件ではないと言うておるけれども、この法律によつてきまるものをのめば拂うし、のまなければ支拂が遅れるというように言うておられるのであります。これに関連いたしまして、二千五百円の問題すら、ここのところで相当行き詰つているように考えられるのであります。いわんや四百二十円というものに対して、労組がそうたやすく同調してくれるかどうか、私は非常に懸念にたえないのであります。予算委員会における説明を聽いておりますと、政府部内にも相当食い違いがあるのじやないかという感じすら受けたのであります。そこで労組の方で二千九百二十円というものを一應のんで、爭議態勢をやめてでなければ拂わない。こういう一方に問題が引つかかつており、他方労組の方では、全額をこの際もらいたいという。それに対してこの法律によつて四百二十円は後回しになるのだ、しかもこの年度末から四月いつぱいは、政府はどういうふうに見ているかしりませんが、物價相当高進して四百二十円というものの比重を軽くする時期ではないかと考えるのであります。そこでこれらに対する政府の確信があられるかどうか、確信があるならば、どういう理由で確信をもたれるか、それを御説明願いたいのであります。
  25. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私どもは二千九百二十円を実施いたすにあたりまして、一應労働組合側の経済的な要求というものに対しては、これでまあ中央労働委員会等の提案をのんだのでありますから、闘爭態勢を解いてもらいたい、これでいろいろ御不満の点もあろうけれども、一應これを受諾してもらいたいということを切に求めているわけであります。今の内外のわが國の情勢等から考えまして、特に労働組合側のこれが受諾を切望しておるわけであります。ところがのまない場合はどうか、またのむ自信があるか、こういうようなお尋ねでございますが、私どもはそういうことを期待いたしておりますので、なお努力をして労働組合側にぜひ受諾をしてもらいたい、こういう希望を捨てないのであります。今回このことを実施いたすにあたりましては、労働組合側の受諾を期待して、これは大体きめたものでございますので、その期待に基いて希望を捨てずに、せいぜい努力をいたして労働組合側の一應気持のよい受諾をしてもらう、なお將來問題がありましようけれども、これはこれで別個の問題として考慮いたして、鬪爭態勢は一應これで解いてもらいたい。こういうことを切に希望いたしておるのでありまして、この希望を捨てずに、なお努力を続けたい、こういうように考えておる次第であります。
  26. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 もう一言お伺いしたいのでありますが、四月いつぱいというのは、これは私の見方では長過ぎはしないか、もう少し四月の十日とか何とかいう辺で切り上げることができれば、この労組の方の不満も、またこの貨幣價値の変動も、少く止められると思いますが、そのくらい切り上げを早くやることはできないでありましようか。
  27. 今井一男

    ○今井政府委員 簡單なところは私は四月半ばくらいででき上がると思います。また事務官廳等は、各省比較的に統一ができますので簡單にできますが、むしろ現業のようなところで、職種の非常に多いところは、どうしてもある程度そのために区分しなければ不公平になります。こういつたところが若干遅れるおそれがありますので、そこでやや安全なところで四月いつぱいと申しましたので、全部が全部四月いつぱいかからなければできないという予想は、今のところいたしておりません。
  28. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 それではこういうように了承してよろしゆうございますか。片のついたところは順次支拂をする。それで最悪の場合でも四月いつぱいで片づける、こういう見込みである。こう了承してよろしゆうございますか。
  29. 今井一男

    ○今井政府委員 大体その見当でございます。
  30. 梅林時雄

    梅林委員長代理 時間の都合もありますので、一應休憩いたしまして、午後一時半より再開質疑を続行いたしたいと思います。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  31. 中崎敏

    中崎委員長代理 休憩前に引続き会議開きます。  質疑を続行いたします。後藤悦治君。
  32. 後藤悦治

    ○後藤委員 私は本案に大体賛成でありますが、本案を承認するに際しまして、二、三本案並びに本案に関連いたしまする税体系について、いささか所管大臣の御意見を承りたいのであります。  本案によりますと、給與審議会の答申に基いて、政府は二千九百二十円ベースをのむということを声明されまして、本案の上程と相成つたのでありまするが、新芦田内閣の方針といたしまして、能率給の採用を政策協定においてもうたつておられるのでありますが、私は必ずしも本二千九百二十円べースが、勤労者の生活権確保の上に万全の措置とは断じがたいと思うのであります。今日の國民生活の窮迫化は、必ずしもこの新賃金べースによつて救済し得るとは言いがたいと思うのであります。そこで何としても生産意欲を高揚させるためには、本案の承認と同時に勤労所得税の軽減をはからなければならぬと、かように考えておるのであります。新聞等に散見いたしまするところによりますと、政府においてもその意図があるやに拜察されるのでありまするけれども、現今の税体系をもつていたしまするならば、賃金が増大いたしまするほどはね返りの所得税は増大するのであります。この増大いたしまするものが、物價に当然織りこまれることになつてまいりまして、さらに物價を高騰せしめるということに及んでおるのであります。何といたしましても、賃金が増大してまいりまするほど、現税制におきましては、空轉する所得税の度合が大きくなつてまいるのであります。これと関連いたしまして、政府はどの点まで勤労所得税の軽減をお考えなつておるか伺いたいのであります。少くとも現在の勤労所得税をもつていたしまするならば、炭鉱等の直接肉体的勤労をいたしまする生産部面におきましては、非常なるところの生産意欲の減退となつて現われるのであります。まずこの点から大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
  33. 北村徳太郎

    北村國務大臣 後藤君の御質問にお答え申し上げます。第一の点は、二千九百二十円の賃金水準決定にあたりまして、能率給的に処理すべきであるという御意見だと思うのでありますが、これは私どもきわめて同感でありまして、漸次能率給的な方向へ賃金体系を向けていかなければならぬというふうに考えておるのであります。それから第二点は、勤労所得税の問題でございまするが、これについては相当に大幅の軽減をいたしたと考えておるのであります。お話の通り勤労度が増して收入が殖えると、殖えたことがむしろ所得税によつて消されてしまう。從つて勤労意欲を阻害するというような矛盾が、現行の所得税法の中にあるということは、認めるのでございます。從つてそういう方面に十分是正を加えていきたい。勤労意欲を阻害するがごときことにならないようにいたしたい。その点は勤労所得税を相当大幅に軽減するという点にあると思うのでありますが、このことにつきましては、ただいま具体的に何ほどというような数字をもつてお答え申し上げる段階にはいつておりませんけれども、所得税に関しては、そういう意味において相当改正をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  34. 後藤悦治

    ○後藤委員 それでは、数字的にはただいま御答弁がないといたしましても、能率給を採用すると同時に、累進課税的な現行税法の増産意欲を阻害しているような方向へもつていかない、こういうような新たなる観点に立つた勤労所得税の改正をお考えなつておられるものと推察してよろしゆうございますか。
  35. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはひとり勤労所得税のみならず、税制一般についてただいま檢討を加えております。從つて全般の税体系について御答弁申し上げる機会が近くあると思います。累進的な課税を全廃するかどうかということでありますが、これはちよつと不可能だと思います。從つて累進的なものは残ると思いますけれども、いやしくも勤労意欲を阻害するようなことにならないように、その点は十分に注意をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  36. 後藤悦治

    ○後藤委員 それではさらに、昨今問題を起しておりますところの事業所得の更正決定について、お伺いしたいと思うのであります。ただいま勤労所得税についての御見解を伺つたのでありますが、このことは事業所得におきましても、法人所得におきましても、まつたく同様であります。私の見解をもつていたしますならば、今日の赤字会社は別といたしましても、黒字会社におきましては、おそらく何らかの経理技術によつて課税を免がれようとしている。現行税法でもつていたしますならば、会社はまじめなる利益をまじめに経理面に現わしておらないのであろうということが推察されるのであります。同時に昨今各地で事業所得の更正決定をめぐりまして、納税者大会その他が催されまして、世間に相当大きな反響を呼んでおるのであります。この事業所得にいたしましても、事業所得税が決定されました昨年の当時の経済状態と今日の経済状態とは、よほど違つておるのであります。今日の通貨膨脹を予想しない昨年の議会において現行税法が決定を見ており、現在の経済状態において事業所得税が更正決定をされておる。これを検討いたしますと、この事業所得の累進課税率をもつていたしますならば、まつたく事業所得によつて生活をなし得ないというような状態に立ち至つておるのであります。これが世間に非常なる問題を惹起しておるところの状態であろうと思うのであります。この事業所得に対しましても、ただいまお説のような勤労所得と同様なお考えをおもちであるかどうか、この点を伺いたいのであります。
  37. 北村徳太郎

    北村國務大臣 お説は私もまつたく同感でありまして、事業税の系統のものはうまく行つてないという点は認めるのであります。殊に法人粉のごときは、企業の健全な発育に対して、むしろ妥当でないと思われる点があることも認めるのであります。從いまして、さきに申し上げました通り、ひとり勤労所得税のみならず、税全般にわたる再検討をいたしておるのであります。特に法人税のごときは、各般のところに影響がございます。というのは、たとえば外資導入等の場合においても、現行の日本の法人税のごときは相当問題になるのではないかと思われる節もございますので、それこれ勘案いたしまして、お話のごとく企業に対する課税について、特に勤労所得税の場合と同様に、十分の注意をいたしたいと考えておる次第であります。
  38. 中崎敏

    中崎委員長代理 後藤君に申し上げますが、大藏大臣は参議院の方が急ぐそうでありますから、主計局長がおられますので、主計局長に御質問を願います。
  39. 後藤悦治

    ○後藤委員 それでは主計局長に伺いたいのでありますが、主計局長といたしましては、本年度総予算に盛られましたところの国民総所得を勘案いたしまして、勤労所得税並びに事業所得税について、課税対象となる総目標をどこにおかれたか、この点の御見解からまず伺いたいと思うのであります。
  40. 福田赳夫

    ○福田政府委員 本年度の予算を編成するにあたりましては、予算の実際の需要という方面も考えてみる一面におきまして、国民所得ということも検討してみたのでありますが、國民所得というものは、現在の経済状態におきましては、捕捉が非常に困難であります。いろいろの角度から檢討されるのでありますが、事業の生産の面から、どのくらいの所得があるだろうかという考え方が一つ、それからもう一つは、配当でありますとか、あるいは給與でありますとか、さような國民自体が受ける所得の方面から検討してみるという方法もあるのであります。これがまた両法ちやんとぶつからなければおかしいのでありますが、なかなかうまく合わぬというようなこともあるのでございます。  それからもう一つの檢討のし方は、ただいま御指摘になりました税をどのくらいとれるかというところから、総所得のうちの勤労所得と、またその他の所得というものを檢討するという、税の当務者としての立場から檢討することもあるわけであります。これまた先ほど申し上げました第一の方法、第二の方法とのぶつかりが、なかなか困難であります。しかしながら、税額をきめる場合におきましては、さような三つの観点から見たところの国民所得というものをよく檢討いたしまして、それに合うような所得の捕捉ということを考え、そうしてそれをその通り実行いたすということになりますれば、これは適正な所得税の徴收ということができるわけであります。本年度の税收を検討するにあたりましては、このような心組みでまいつたのでありますが、なかなか理想の体系には至らぬというようなわけでありまして、実際問題といたしましては、税の見地から見た所得と、国民の生産または國民の受ける俸給、その他の所得の源泉という方面から見た結果と、相当の隔りがあるということは、率直に申し上げまして事実なのであります。從いまして、税の面から見たものが、さような二つの見方からすると相当低くなつており、これをまた裏から申しますると、税から見た所得の捕捉が非常に困難であるということを示しているわけでありますが、來年度の問題等を検討するに当りましては、なるべくこの三者がマッチするように、鋭意檢討しておる、かような状況であります。
  41. 後藤悦治

    ○後藤委員 主計局長の御答弁は考え方についてお話になつたのでありまするが、きわめて抽象的で、具体性がないのであります。たとえて申しますと、勤労所得税の場合は、的確な根拠があるのであります。これは源泉課税をしてまいるのでありまするからして、國家の税收入についていかように予算を見積られましても、これは具体的な事実として源泉課税をいたしますから、勤労所得税は國庫にはいつてくるのであります。しからば年度末におきまして、これを集計いたしました源泉課税の勤労所得と、財政当局の見積つた予算とマッチするかどうか、数字が適正であつたかどうかという具体的な解決はつくのであります。しかしながら、事業所得の面はそうまいらないのであります。不幸にして財務当局がこの事業所得の算定基礎、目標、根拠を誤りまするならば、事業界に対してはなはだしい苛斂誅求となるのであります。税制におきまして税率はきまつておりましても、これの課税の金額が、國家総体として、総目標を事業所得にどれだけ求めるかということによりまして、著しく事業所得を圧迫するか圧迫しないかという問題が起つてくるのであります。從つて國家といたしましては、当初予算を組みまする際に、どうしても事業所得に求むべきところの根拠をお立てにならなければならないはずなのでございまして、よしんば國民総所得の把握が困難でありましても、やはり國家歳入のうちの事業所得によるところの税收を具体的にお求めにならねばならないのであります。この具体的に本年度お求めになつた根拠はどこによつてお立てになつたか、この根拠の立て方によつては、さきに私が申しましたごとく、税率税制に現行法規で変りはなくとも、この目標が大きかつたならば、事業界に対して著しい苛斂誅求になつてまいるのでありまして、この点が行政面の運用によつて大きな影響があるのであります。本年はいかなる根拠によつて具体数字を得られたか、この点を伺つているのであります。
  42. 福田赳夫

    ○福田政府委員 御説はまことにごもつともなことでありまして、勤労所得の面におきましては、所得の捕捉がきわめて明瞭でありまするが、事業所得になりますと、これをどういうふうに計算いたしまするか、これは先ほど申し上げましたように、事業者の受けるところの、実際取得するところの所得の面からの檢討、また事業者がさような所得を受ける源泉、すなわち生産額からの檢討という両面から檢討してまいることになろうかと思うのであります。そこでその両者のうちどつちが比較的に適切であるかと申しますると、これはやはり生産額であります。この方は統計がまだ完備しておりませんが、これはやや見透しがつく、かようなことになるわけであります。この國家総生産というようなものから檢討いたしまして、この生産でありますればこのくらいな事業の所得が出てくるのではないかということを檢討するというところから、税の見積りの一つの資料が出てくる。しかしながら実際面といたしまして、これが全部捕捉できるかどうかというと、これがまたなかなか困難な事情がありますので、これは各税務署長の意見、またその税務署長の意見をまとめた財務局長の意見、また財務局長の意見を勘案いたしまして、税務当局が、このくらいは実際集るだろう。しかしながら、國民の総生産は他面においてこういうふうな状況なつておる。これじや少し足らぬじやないかというようなことからやつておるわけでありますが、現実の状況は、國民総生産からくる数字より、なかなか低くならざるを得ない。すなわち実際問題としては捕捉きわめて困難であるということを前提として、この予算を編成せざるを得ない状況なつております。
  43. 後藤悦治

    ○後藤委員 まだいろいろ質問したい点があるのでありますが、残余は大臣並びに主税局長に讓りたいと存じます。給與局長が見えましたから、私の質問はこれで打切ります。
  44. 中崎敏

    中崎委員長代理 島田晋作君。
  45. 島田晋作

    ○島田委員 政府職員俸給等に関する法律案につきまして主として給與局長に若干伺いたいと思います。  まず第一に附則の第二條の最後の所におきまして、「昭和二十三年一月一日に遡及して職員総平均の月收二千五百円の暫定給與支給することができる。」こういう條文になつております。これはこの條文をそのまま解釈いたしまして、二千五百円の暫定給與支給することができるという文字の面をわれわれが常識的に考えますと、支給することもできるし、できないということもあり得るというふうに考えるのであります。しかしおそらく立案者のお氣持というものは、月收二千五百円の暫定給與支給するという意味だと。私は解釈したいのでありますけれども、「支給することができる。」という文字がある以上は、一應支給することもあるが、場合によつては支給しないということもあり得るという意味を含んでおるかどうか、これをまず給與局長にお尋ねしたいと思います。
  46. 今井一男

    ○今井政府委員 法律の用語例から申しますと、お説の通り解釈になると思います。なぜこういうことを書いたかというと、御質問にはございませんけれども、関連して申し上げますならば、実は政府職員というものは、範囲が非常に廣いのでございます。申すまでもなく、これはいろいろの状態におかれておるものがございます。特に一番厄介な法律技術的な問題から申しますと、身分は官吏の身分を保有しながら、未だ帰還しない未帰還の者も政府職員の観念の中にはいるのであります。これに対しても、若干の別の給與を拂つております。そういつたものは未復員者の一般の救済その他の問題から、また別の角度から考えなければならぬ面もございますので、その他にもまたこまかに申します場合には、いろいろな問題があり得ると考えておりますが、一番大きを問題を申し上げますと、この未帰還の者等であります。そういうような面がありますので、とにかくここは法律的にはできるという建前をとつておく方が間違いがないといつたことから、大体こういつた建前のときには、從來いつでもできるという書き方をいたしておるのであります。
  47. 島田晋作

    ○島田委員 ただいまの給與局長の御解釈は承りましたが、そうしますと、昨日來予算委員会において問題になつております例のこの二千九百二十円の案をのめば云々、のまなければ云々という問題が大分やかましくなりまして、それにつきましては、加藤労働大臣からも決して條件ではない、なるべくそういうふうに國鉄以外の組合も、この案に同調して認めて了承してくれることを期待する、從つてのまなければこの二千五百円を拂わないという意味ではないのだということを、重ねて、昨日の予算委員会におきましても、休憩後において言明されまして、私どももこれを了承したのでありますが、その問題と、この條文の「できる」云々、この局長の法律用語とただいま申されましたこととは、別に関連はなくて、たとえば主として未帰還者に対参る問題、給與をしまする技術的な非常にこまかい面だけのことであつて、そういうようなただいま現在問題になつておりまする大きな問題との関連において、こういう條文ができたのでないということを、ひとつここでお話し願いたいと思います。
  48. 今井一男

    ○今井政府委員 この今回の受諾が條件であるか條件でないかという点につきましては、昨日労働大臣の方からお話になつたこと、責任大臣としてお話になつた点をそのままひとつ御了承願いたいと思います。
  49. 島田晋作

    ○島田委員 くどいようでありますが、待つてこの問題と、條文の「できる。」云々という文句とは、別に関係ないのでございますか。
  50. 今井一男

    ○今井政府委員 大臣のおつしやつた通りであります。從いまして、この支給することができるできないということと、この受諾の関係は、直接関係がないということに御解釈なすつてよいことになると思います。
  51. 島田晋作

    ○島田委員 次に第四條でありまするが、第四條におきまして、一、二、三といろいろ拘束勤務時間を基調といたしまして、それぞれ乘じて得た金額として、一が十五割、二が十六割、三が十七割ということになつておりますが、これにつきまして、何かこういう基準をきめました法律的あるいは科学的な根拠でもあるのですか。
  52. 今井一男

    ○今井政府委員 これは実は相当むずかしい点から彈き出したのでございますが、本格的な給與二千九百二十円であります場合には、さらにもつと正確なものに相なると思いますが、とりあえずこういたしました最大の原因は、労働基準法と勤務時間との関連であります。労働基準法では、申すまでもなく、所定勤務時間によりまして、その勤務時間で割つた一時間当りのものをオーヴアータイムにくつつけていくという建前、ところが從来の官職職員給與は、全然勤務時間というものを考慮しておりません。小し言い過ぎるかもしれませんが、まあそれに近い。從いまして、そのままではバランスがとれませんので、たとえて申しますと、現業と事務職員との間に権衡というものは、事務職員の方は非常に少い時間で割つたものが一時間当り基礎になる。片一方の方は長い時間働いた上に、長い時間、たくさんの数で割つたものがオーヴアータイムの基礎になるという関連性がありますので、とりあえずこの程度の差をつけておいて、一應の目安はこれによりまして、完全ではありませんが、大体労働の量による面がある程度調整される。完全になりませんが、まずそれに近いところまで行きます。本格的な場合には、完全に、同一の職種であります限り、すなわち労働の質が同じであります限り、量の面によつて調整されるような仕組にもつていきたい、かように思つておりますが、とりあえずの暫定といたしまして、それを大体それに近いところまで、一應質の面だけは本格的な場合に繰越しまして、量の面だけははつきりしておりますが、とりあえずこの程度まで大づかみに三つのクラスにわけて調整している、こういつた考え方ででき上つております。
  53. 島田晋作

    ○島田委員 ただいまの御答弁によりますと、これは本格的でなくて、将來本格的にしたい、暫定的な大体の目途をつけたという意味で、私の申します科学的と申しますか、合理的と言いますか、そういうものからは、相当離れていると思うのであります。そうかといつて、私が今ここでどういうものをどういうようにするのが一番合理的であり、科学的であるかということについては、私もそういう具体的資料もございませんし、また專門的にそういうことを研究しておりませんから申し上げられませんが、私どもが常識的に考えまして、局長自身がおつしやるように、もちろん暫定的でありますし、本格的なものはあとでやるにしましても、今日におきまして、これをここでもも出しまして、そして非常に不確定なものを一種の目途と申しますか、この辺でどうだというようなあいまいな区別をなさることよりは——これはすでに法文になつておりますけれども、私の氣持から申しますと、この際はこいうものをあとへ繰越しまして、たとえば一定の拘束勤務時間以上でありましたならば、第三の十七割をもつて全部するとか、そういうようにわかり易くしまして、将来はもつと科学的な、ただいま局長の申しましたような同性質労働に対するもの、それに対する量的なものも考える、こういうようにしまして、そこのところは十七割なら十七割、一律になされた方が、私はこの法案を生かす上においてもよかつたのではないかと考えるのであります。しかしこれをかえるといろいろ予算面におきまして相違がくると思いますが、かりにこれは一律に第三の十七割を支給する、こういうようになりますと、局長も今ここで数字は出せまいと思いますが、大体予算においてどの程度に違つてくるのでしようか。
  54. 今井一男

    ○今井政府委員 ほんとうに大づかみでございますが、五、六億か、七、八億、そんなような見当になると思います。ただ私どもの目的とする最大のものは、むしろそういつた予算の面よりは、本格的な理想的な改正を考えれば考えるほど、暫定的に出す金は少い方が望ましいのであります。しかしながら、組合実情考えますと、なるべく多いほど望ましいのであります。実は二千五百円といたしましても、すでに本格的改正の支障となる面がございます。率直に申しまして、今までの給與が、職務というものを全然考えないで、すぐ少額の所得者は非常に同情すべきであるという観点からまいりましたために、民間の給與と比べますと、官職におきましての給仕の職種につきましては、ほとんど差のないところまでいつておりますが、一番激しい医者などのグループは半分以下、こういつたような形になつているのであります。それでこれを是正しないでそのままもつていくと、そのやり方は非常に本格的改正に支障を來すのでありますが、なかんずく、最も困ります問題が、この時間の問題でございまして、官廳の普通の事務職員勤務時間から申しますと、たしか同じ與えられている俸給を六で割つたものが、居残り一時間当り勤務手当になるのであります。八時間働きまして八時間になるまでというと、今までは大体六時間半ですから、一時間半のオーバー・タイムになります。また一文もオーバー・タイムをもらえない片方はオーバー・タイムがついております。しかもそれが六で割つたものでいく。八時間をオーバー・タイムしました場合に、現業の方でありますと何もつかない。片方は六分の一ということで、しかもその八時間になるまでついていくと、実に非常なアンバランスが出ますので、そこの取扱いをこの程度までは——実は比率を私ちよつと手もとにもつておりませんが、現実の時間ど実際の報告のものと比べまして、大体バランスのとれる比例的なものには相なつております。ただ三つのグループにしかわかれておらぬという点におきまして、若干の問題があるように見受けられるかしりませんが、二、三に属するグループは、きわめて限られたものでありまして、種類的には多くは一のグループにはいりまして、人数としましても、一のグループが最も多いのでございます。
  55. 島田晋作

    ○島田委員 もう一つ第七條でありますが、「職員が執務しないときは、その日執務しないことにつき、特に承認のあつた場合を除く外、」云々という規定がございますが、この規定は現在の官廳におきまて実際に行われておることと同じことでございますか。また現在行われていない部分も含んでおりますか。その点をお伺いしたいのであります。
  56. 今井一男

    ○今井政府委員 この法文そのものは、現行法の規定を全然かえようという案は、一つもはいつておりません。ただ今までの日割を時間割に改めた、その方が正確であるがゆえにということで時間割にしておるということ以外に、実際的にこの運用といたしまして、この際新しいものを加えたものはあまりないので、実は本質的に申しますと、時間外に勤めてオーバー・タイムをもらえるように事務職員もなりました関係から、休めば引くということはこれはペイの原則であろうと思います。これは本格的の改正の場合にはつきり法文にうたつて、國会の御承認を得た上でやるようにいたしたいと考えております。この法文の建前におきましては、従来のやり方をそのままいくということであります。ただいろいろの点から、日割にするとどうもぐあいが悪いという問題、それからオーバー・タイムで時間割というものが各人に出ますから、正確につかんでできる、午前中に休んだということになりますと、午前中の分だけ差引くという建前でいきたいということであります。
  57. 島田晋作

    ○島田委員 この條文は結局現在の官吏俸給令というようなものに準拠しておるのでありましようか。
  58. 今井一男

    ○今井政府委員 その通りであります。官吏俸給令その他それに基いて、いろいろの場合にどういうぐあいに月給をやるとか引くとかしておるのであります。
  59. 島田晋作

    ○島田委員 私の記憶が確かでありませんが、前内閣のときの二月二十七日ですか、閣議決定がありましたが、その閣議決定と今回法文化しました第七條と、何か技術的に直接な連関があるでしようか。
  60. 今井一男

    ○今井政府委員 直接の連関はございません。ただ要するに引くときの引き方を、單に日割計算を時間割計算に直したということがこの七條であります。
  61. 島田晋作

    ○島田委員 そうしますと、この第七條は、いろいろ新聞などに傳えられます各官職におきまして、たとえば賜暇とか、言葉は変ですが、山ネコ爭議とか、新聞用語としていろいろなことが出ましたが、そういう問題に対して、俸給から差引くとか、そういう行動を制肘するというような労働対策と申しますか、そういう面から出たのでなく、純然たるペイの問題、たとえばオーバー・タイムした場合にこれだけ拂う、從つてそれに対して働かない場合には差引くとかいうプラス、マイナスの單なる技術的な給與に関するための條文でありますか、この点を一つ聽きたいと思います。
  62. 今井一男

    ○今井政府委員 これは全体が実はそうですが、すべて現在の実体をそのままやつたので、ただ手続において日割を時間割に直したというだけであります。  なお附け加えてよけないことかもしれませんが、いわゆる官吏の爭議行為に対して月給をやらないという規定は、一昨年でありましたか、出た法律がそのまま別に残つております。ただそれの技術的な手続的な面だけが法文化されて、実体は全然触れておりません。
  63. 中崎敏

    中崎委員長代理 淺利三朗君。
  64. 淺利三朗

    ○淺利委員 この法律案の第八條の末項において、所得税の適用に関しての規定があるのでありますが、これに関連して大藏大臣に御意見を伺つてみたいと思います。この規定は今回の給與につきまして、一般の所得税法の適用なく、特別にこれだけを切り離して、税率を低くして課税するという建前であるようであります。これは生活補給の本来の意味から申して、まことに適切な措置だと私は信ずるのであります。しかしただ問題は、今回の問題に限つて一時的にかくのごとき措置をするというよりも、これは全般的に見て、生活補給を目的にするものならば、すべて生活の実態に即して、ある必要の限度を増給するのでありますから、それに対しては課税をしないという建前をとる方が穏当ではないかと思うのであります。しからずんば、表面の名目上の收入が多くなりましても、さらにその中から高額の所得税を差引くというのであれば、ただいたずらに手数の煩鎖を重ねるだけにすぎないと思うのであります。ゆえに実際の補給の必要の限度に止めて、そうしてそれに税金を課せずして支給するという方法をとる方が適当ではないかと思うのであります。そういう意味から申しましたならば、特に今回のこの事件に限らず、これを一般的に及ぼしまして、すべて生活補給に属する臨時手当あるいは物價の高騰に伴うところの臨時手当のごときものは、それに対して税金を課せないで、あるいは今回のごとき税率によるとか、何かこれを普遍的におやりになる御意思があるかないか、その点を伺つてみたいと思います。
  65. 今井一男

    ○今井政府委員 ちよつと技術的な面だけ割きまして、私からお答え申し上げたいと思います。今回こういう規定を入れました趣旨というのは、單にこれは本來から申しますと、毎月々々もらう月給の上に乗つかる部分であり、上積みになる部分なのでございますけれども、なるべく簡單に、しかも早く金を支給したいといつたような意味、及び民間におきましては、おおむねこういうものが一時の所得で、臨時所得で給與が出ます関係等の兼合いから、一應臨時給與とみなして、臨時給與の十五の税率を使つておくというだけの意味であつて、年末調整等の問題は全然別個であります。從いまして、これでずつと減税をしてやろうとか何とかいうような見地ででき上つた規定ではございません。とりあえずの措置として、一應こうして置くということだけのことであります。しかもそれも疑義がございますので、一應法文に書いておく方がよかろうというのでこのように相なつたのでございます。
  66. 淺利三朗

    ○淺利委員 そうしますと、これは今度の支給についてのさしあたりの源泉課税としてはこれによるが、しかし年末の総会においては変らない、こういうのでありますか。
  67. 今井一男

    ○今井政府委員 さようでございます。
  68. 淺利三朗

    ○淺利委員 さらにもう一つお伺いしたいのでありますが、所得税法の改正のことについては、政府においてもお考えがあると思うのですが、現在勤労所得につきまして、個人の所得の場合には八万円までは申告を要しない。ところが同居家族二人以上の場合は、三万円以上は申告を要する、そういう結果からいたしまして、家族で共稼ぎをしておるような場合になりますと、それが総合されまして、税率が高くなる。結局家族三人が共稼ぎしておる場合には、最後の最低收入の者の收入はほとんど税金と同等くらいになるというような現象があるのであります。そうすれば、結局第三番目の人間は働いても働かぬでも同じことになりはせぬかというような奇怪な現象があるのであります。こういう点については、勤労所得のごときは、財産收入とも違いまして、各人の勤労によるのでありますから。殊に今回の憲法なり民法の建前から申しますれば、個人を尊重するということで、家族、制度が廃止された今日においては、この新らしい時代における各人生活の実態というものに即するように、税法を改正する必要がありはせぬかと思うのであります。殊に昨今におきましては、戰災のために住宅が非常に拂底しておる。そのためにやむを得ず兄弟あるいは親子が同居しておる。殊に兄弟の同居というような場合においては、同一家族とは申しても、あるいはまたいとこ同士の同居という場合のごときにありましては、三親等内の家族でありましても、ほとんどその生活内容においては、独立生活をしておるというような実態が多いのであります。しかもそういうものを一括して、一人の所得と同様な率のもとにこれに高率な課税をするということになりますと、勤労生活者の税負担というものは、非常に過重になると思うのであります。殊に勤労者のごときは財産收入と異なりまして、それによつてのみ收入を得るのでありますから、一朝病氣その他の不時のことがありますと、そこに対應するだけの彈力性がないというような結果になると思うのであります。それゆえに、むしろ勤労所得のごときは総合的に課税をする、しかもそれに累進的に重課するというようなことを避けて、勤労所得に関しては各別に課税をする、あるいは総合する場合においても、そこに何らかのよほどの緩和点を見出すというような方法をもつておやりになる御意思がないかどうか、その点について伺いたいと思います。
  69. 今井一男

    ○今井政府委員 勤労所得税の問題は、各方面で今御議論になつておるところでありまして、特にその合算関係等におきましては、御承知のような点が十分ございますので、ただいま事務当局におきましては、いろいろな角度から明年度予算と絡み合せまして、これの合理化につきまして險討中でございます。いずれそのうち具体的に案をお目にかけ得る機会があるのじやなかろうかと期待しております。
  70. 淺利三朗

    ○淺利委員 大体御趣旨がわかりましたが、この際税制の根本問題について御檢討になり、また政府におかれて大改革をなさるという御趣旨は諒としたのであります。なるべくその際においては、地方税の関連においても御考慮を願いたいと思います。実は先般汽車中で伺つた話でありまして、私もまだ正確には調べておりませんが、こういう話を開いたのであります。地方を主といたしまして、田畑に対する税は分與税でありますが、その課税の標準は、賃貸價格に対して何倍ということに最近なつておるそうでありますが、ある懸におきましては、田の賃貸価格が十円、その十円に対して三十五割、つまり三倍半の課税をされるがために三十五円の課税をする。さらに市町村がそれと同額を課税するがゆえに七十割の課税をされている。しかるに地主のごときは、小作料が七十五円である。そうすればわずかに五円のゆとりしかなくして、その他の支出等についてはむしろ足し前をする、こういう話を聞いたのであります。この眞偽はまだ私は車中談でありますから正確には調べておりませんけれども、今日地方財政の難局からして、あるいはかくのごとき重圧を加えているごときこともあるかもしれぬと思うのであります。そういう方面につきましても、ひとり中央における國税のみならず、地方税の範囲にわたりまして、今回の税制改革については、十分の御檢討を煩わしたいと思うのであります。この際希望として申し上げておきます。なおいろいろ税制の問題についても伺いたいことがありますけれども、今回はこの問題に関連性が少いので、近くまた暫定予算等の出る機会もあると思いますから、私はこの程度に止めて質問を打切つておきたいと思います。
  71. 中崎敏

    中崎委員長代理 後藤悦治君。
  72. 後藤悦治

    ○後藤委員 大臣がお見えになりましたので、御退席前の質問を簡單に継続したいと思います。細部にわたつては主税局長に伺いたいのでありますから、大臣に対しては大まかな方針として伺いたい。  それは先ほどの質問の際に、私は現行税法が、資本の蓄積をやらなければならない際に、法人税が著るしく過重であるという点、あるいは中小工業が助長されなくてはならない際に、今回の更正決定額が著しく苛斂誅求と思われる点等についで質疑をいたしたのでありまするが、昨今の事業所得の中小工業者に與えております更正決定影響は、実に深刻なるものがありまして、各地で三千名、五千名等の納税者大会が開かれておるのであります。中には商品全部賣つても納税ができない、あるいは不動産も賣らなければならぬというような、非常な不当課税の弊も多くその例を見ることができるのであります。いわんや申告課税は、わが國においては本年初めてこれを採用したのでありまして、納税者の方においても、種々不慣れな点が多いのであります。これらの点から考えまして、特に今回の更正決定によつて過当なるところの課税決定額を受けている者について、大臣として特例を考えていただく用意があるかどうかを伺いたいのであります。たとえて申しまするならば、これはわが國の現状といたしまして、中小工業者の備付帳簿が経理事実に不慣れのために明確な信憑力のあるものを取揃えているところがきわめて少いのであります。ところが税務署側においても、若干の吏僚、殊に未習熟の吏僚が多く、はなはだ実態把握に欠けておる点があるのであります。これらが天降り的決定なつて、深刻な影響を中小工業者に與えつつありまするが、これに対して本年特にとつていただきたいと思いますることは、この初めての申告税制下において、私は少くとも——さきに事務当局の見解を聽きますと、三分の二以上という税務署が認定を下した額に対しては、追徴税を免除すると言つておるのでありますけれども、決定を受ける納税者と決定をする税務署との間にいずれも明確なる根拠がないのでございまして、三分の二以上を申告しておつた者には追徴税を免除するというようなことは、実際的にはきわめてあいまいなのであります。從つて本年は少くとも申告をしておつた者に対しては追徴税を免除されることが、私は正しいのではないかと思います。この点について大臣の御所見はいかがであるか。  いま一つはこの地方税、たとえて申しますと都市民税、あるいは府懸民税等が、地方財政膨満の立場から、税体係の根本決定をいたしました後に、地方財政救済のために、その都度引上げをされておりますために、著しく最初に税体系を樹立されました当時よりかは、過重の負担なつておるのであります。しかも今回のごとき巨額の決定を受けるということになりますと、中小商工業者においては、倒産者が続出するというような現状でありまするので、少くとも私は今年に限つては、分納もしくは延納の措置をおとり願いたいと思うのであります。これらの分割拂あるいは延納等について、大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。もしさようはことができ得ないといたしまするならば、私ども中小商工業者は一時に納税をする、あるいは怠納処分を受けるということになつて、事業継続困難となつて、相当多人数に影響を與えると思うのでございますが、これらに対して、事業資金もしくは納税資金等を、特に貸付をされるような御用意があるかどうか、この三点につきまして、大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  73. 北村徳太郎

    北村國務大臣 いろいろの面にわたつての御質問でありますが、税制というものに対して根本的の檢討を加えるということは、先に申した通りでありまして、從つて現下の税制のうち、妥当ならざるものもあると思われますので、この点は相当な改革をいたしたい。特に先ほどお話がございました法人税のごときも、企業を育成しなければならないという現段階において、税行政のためにかえつて企業の育成を害するような結果になつてはならぬのであります。国家の財政のために、税はますます重くなるという傾向は免れぬといたしましても、一面においてまた産業政策と税行政との関係の調節については、相当苦心を要するところであると思うのであります。要するにそれらの点につきましては、現在なおわれわれの方の事務当局において、相当研究を続けておるのでございますが、おそらく税全体にわたる問題として、近く皆さんの御審議を願う機会があると思うのであります。  それから特にこの税の分割あるいは延納等について用意ありや否やということなのでありますが、これらについては、主税局長より御答弁を申し上げたい。これはさように御承知を願いたいと思います。  それから地方税と地方の財政との関係でございますが、これは地方の財政が、現在中央もそうでありますけれども、特に地方において地方財政がすこぶる窮乏しておるという事実と、それがために税の過重があるということが、これまた地方の振興あるいは特に中小企業等に與える影響も非常に大きいのであります。これまた税行政と産業政策、産業政策とどう調節するか、きわめて困難にして、しかも必要な問題が迫つておるのでございまして、これは地方財政委員会等において、今具体的な調査を進めております。おそらくあまり遠からざるうちに、地方財政調査会の答申等を得まして、具体的な案を提出して御審議願うことができるのである、かように考えておるのであります。その他の税に関する技術的なこまかい点につきましては、主税局長より答弁させることにいたしたいと思います。
  74. 中崎敏

    中崎委員長代理 主税局長もおりませんので、後藤君の質問は留保してもよろしゆうございますか。
  75. 後藤悦治

    ○後藤委員 よろしゆうございます。
  76. 中崎敏

    中崎委員長代理 都合により暫時休憩いたします。     午後三時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時四十一分開議
  77. 中崎敏

    中崎委員長代理 休憩前に引続き会議開きます。苫米地君。
  78. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 ちよつと字句の解釈を伺つておきたいのでありますが、政府職員俸給等に関する法律案の第二條の終りのところです。「暫定給與支給することができる。」とあるのでありますが、これは支給することができるのであつて、政府考え方では支給しないでもよろしいというふうにも解釈ができるのであります。でありますから、先般から問題になつておりますこの政府の案をのまなければ支給しない。こういうような権限政府に與えるという條文であるかどうか、これを伺います。
  79. 今井一男

    ○今井政府委員 先ほど島田委員が同じ御質問をされまして、お答え申し上げたと存じますが、今日技術的な面から、こういつた場合には、こういうふうに書くのが從来の例であります。たとえば四條のおしまいにもありますが、「その例によることができる。」また技術的と申しますのは、暫定給與そのものが適用できないような職員の部類も、政府職員のような複雑な二百何十万という数の中にはございますので、こういうふうに書きました。しかし直接その問題とは関係がないということを、島田委員にも申し上げておきました。
  80. 苫米地英俊

    ○苫米地(英)委員 権限を與えるという意味はないのですね。政府の判断で支給してもよい。支給しなくてもよい……。
  81. 今井一男

    ○今井政府委員 「できる。」という書き方は、法文解註釈からいけば、そういうことになるわけであります。しかしここではそういうふうなことをねらつて書いたものではないということを、島田委員に申し上げておいたはずであります。ほかの四條等にも、こういつたものはそのとき申し上げたのでありますが、未復員者、未帰還の職員というような、全然こういつた法令をそのまま適用できない職員が、政府職員の中にはたくさんございますから、常にこういう場合には、こういう書き方を使うということを、申し上げたにすぎないのであります。そういつた從來の筆法を、そのまま踏襲したものでございます。
  82. 中崎敏

    中崎委員長代理 この際皆さんにお諮りします。野坂參三君から委員外の発言申入れがありました。五分間に限り質疑を許して異議ないかどうか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 中崎敏

    中崎委員長代理 それではさよう決しました。野坂君。
  84. 野坂參三

    ○野坂參三君 五分間ということでありますが、大藏大臣からできるだけ明快にお答え願えばすぐ済みます。それでは今苫米地委員から言われたことは、逆に私は大藏大臣の方から、積極的な面でお答え願いたいと思うのであります。と申しますのは、きのうからの加藤労働大臣と私との贈答の中にも、はつきりしたような、しないような点もあるのでありますが、これは今非常に重力な問題になつております。きよう実は大会があつて、そこでもいろいろ問題があつたがこの問題だけを中心に取上げたのであります。これは重大な結果を導き得るような問題だと思います。十三日に政府の方から各組合にお渡しになつたあの條件、それは三條件ありましたが、その條件が、もし受諾されなければ、二千九百二十円を政府は拂わないのか。あるいはこういう條件をそのままのまなくても拂うものか。こういう点を大藏大臣の方からお答え願いたいと思います。  それからもう一つこれに加えて、きのう加藤労働大臣は、これが議会を通過すればただちに國鉄に拂う。しかしほかの官公労には技術的な面において多少交渉があるから、遅れるだろうというお説がありました。しかしこの技術面という内容を見ますと、ほとんど問題にならないのであります。しかも国鉄と同じことが——たとえば地域差、職階制、こういう問題があるから、他の官公廳職員に対しては遅れるという意味のお話があつた。しかしこういう條件は國鉄にも現にあるので、何もほかの官公労に限つたことではない。從つて國鉄にはこの予算が通過しても、少し延ばすという御意思かどうか伺います。
  85. 北村徳太郎

    北村國務大臣 ただいまの第二條の解釈につきましては、政府委員より申し上げた通りでありまして、これを支給することができるというのは、國会から政府がそういう権能を與えられて、從つて政府はその與えられた権能において、支給することができるというのでありまして、その内容については、今井給與局長が申し上げた通り、格別な意図があるわけではないが、法の用例である。こういうふうに御解釈願つて差交えないと思います。  それから第二段の御質問でありますが、これは私がこの予算委員会においても申し述べた通りでありまして、政府は今回の支給にあたりまして、從來の鬪爭体制を解いてほしい。のんでもらいたい。こういうことを期待しておるのでありまして、そういう希望を捨てておらぬ。從つてのまぬ場合はどうかというお尋ねでありますが、のまぬ場合は想定しておらぬ。全部のんでいただく。そのために誠意を披瀝してのんでいただく。そういう決心でありますから、どうかさよう御了承を願いたい。
  86. 野坂參三

    ○野坂參三君 それが私どもは理解できない。きのうから同じような質問をしておりますが、きようは予定では通過すると思います。そとでお約束によれば、あした官公職員に拂われるのであります。これはあしたに迫つておる。そうすれば、ほかの國鉄以外の官公吏に対してはどういうふうにやられるか。
  87. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私としてはただいま申し上げた答弁を繰返すのみでありまして、政府ではなお努力いたします。そうしてのんでいただくように、誠意を披瀝してのんでいただくこれは今日の場合いろいろの情勢から考えまして、どうしても闘爭体制を解いていただくように、非常に期待をかけておる。從つてその期待は実現するものと信じておりますので、これ以上ただいま詳しく申し上げることは困難であります。
  88. 野坂參三

    ○野坂參三君 つまり結論としては了解しなければ拂わない。かように解釈して差支えないですか。
  89. 北村徳太郎

    北村國務大臣 私の申し上げた意味と、ただいまの御解釈とは違うと思います。ですから私の言葉通り御了承願いたい。
  90. 野坂參三

    ○野坂參三君 言葉通り解釈すれば、今私の言つた通りになると思います。つまり了解しなければ結局拂わない。了解するように努力する。
  91. 北村徳太郎

    北村國務大臣 政府においては必ず妥結すると思つておるわけです。
  92. 野坂參三

    ○野坂參三君 了解させるためにきようどういうふうな手を打つておられますか。
  93. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それは追つてもう一度私ども寄りまして、協議をしたいと思つております。
  94. 野坂參三

    ○野坂參三君 これは具体的に申しますと、國鉄にはいつお拂いになりますか。
  95. 北村徳太郎

    北村國務大臣 それはわかりません。
  96. 野坂參三

    ○野坂參三君 予算が通過すればすぐお拂いになりますか。
  97. 北村徳太郎

    北村國務大臣 これはもし國会の通過をみましたならば、なるべく二十日には拂い得るように努力するということを申しております。これは國鉄のみならず、他の労組に対しても申しておるのでありまして、大体そういう方向に向つて今努力を続けております。
  98. 野坂參三

    ○野坂參三君 これは第七條になりますが……。
  99. 中崎敏

    中崎委員長代理 野坂君発言に先だつて委員長の許可を得られるように。
  100. 野坂參三

    ○野坂參三君 職員が執務しないときは、その執務しないことにつき、特に承認のあつた場合を除くほか、その執務しない一時間につき減額する、こういう規定がありますが、これは非常に重大な問題だと思いますが、この点はたとえば労調法の第四十條の中に、「使用者は——労働爭議の調停をなす場合において労働者がなした発言又は労働者が爭議行為をなしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他」これからでありますが、「その他これに対し不利益な取扱をすることはできない。」こういうふうになつております。この第七條には、明らかに私はこの四十條に違反するような規定が含まれていると、こういうふうに解釈しますが、この点はどうですか。
  101. 今井一男

    ○今井政府委員 この問題は野坂議員の御質問と同じ御質問が島田委員からありましてお答え申し上げてありますが、この法文といたしましては、單なる手続をきめただけのものでありまして、別に從來行われておるそういう場合に引くとか引かないとかいうことを訂正しようという意思は含まれておりません。ただ從來は日割で引いておつたのを、いろいろの関係から時間割に改めるという事だけを規定したものであります。この法律によりまして、特にこういつた場合を新しく引こうというような意図は全然含まれておりません。但し爭議行為のあつた場合に引くという原則は、すでに一昨年から確立されておりまして、それにつきましては、労調法違反でないという有権的な労働省なり、中労委の解釈なつております。
  102. 後藤悦治

    ○後藤委員 委員長の御宣告の時間が過ぎたように考へられるのでありますが、私どもは一刻も早く本委員会を終了いたしまして、本会議に上程と同時に、手続を経てそれぞれの当該官吏支給されることを要望してやまないのであります。從つて質疑を打切られたい動議を提出いたします。同時に討論を終結されまして、ただちに採決あらんことを望みます。
  103. 中崎敏

    中崎委員長代理 野坂君に申し上げますが、大体予定の時間も経過いたしました。大体あなたの質問は、島田君が詳細にわたつてやつておられましたから、それらについては速記録をごらんを願いたいと思います。
  104. 野坂參三

    ○野坂參三君 私は島田君のもの以外にまだ質問があります。
  105. 中崎敏

    中崎委員長代理 大体時間も経過いたしましたので、いずれまたほかの機会にお願いいたします。
  106. 野坂參三

    ○野坂參三君 委員長の宣告なら服從しますけれども、この問題は皆さんがお考えなつているよりも、もつと重大な問題だと思います。その結果については、ここの委員もある程度、こういうふうな状態で打切られるならば、責任を負われるよりしかたがないと思います。宣告が決定すれば服從します。
  107. 中崎敏

    中崎委員長代理 宣告通りの時間もまいりました。いずれまた後の機会にお願いします。まだ十分機会はあろうと思います。  それでは他に質疑はございませんか。
  108. 内藤友明

    ○内藤委員 討論は省略してただちに採決されんことを望みます。
  109. 中崎敏

    中崎委員長代理 ただいまの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 中崎敏

    中崎委員長代理 御異議がなければ、さよう決定いたします。  これより採決いたします。政府職員俸給等に関する法律案並びに政府職員俸給等支給に関する措置等に伴う大藏省預金部外特別会計に対する一般会計繰入金に関する法律案の両案を、原案の通り決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  111. 中崎敏

    中崎委員長代理 起立総員。よつて両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十五分散会