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1948-01-29 第2回国会 衆議院 財政及び金融委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十九日(木曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君    理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君       川合 彰武君    川島 金次君       河井 榮藏君    佐藤觀次郎君       田中織之進君    西村 榮一君       林  大作君    松尾 トシ君       大上  司君    栗田 英男君       中曽根康弘君    原   彪君       細川八十八君    松田 正一君       青木 孝義君    島村 一郎君       周東 英雄君    井出一太郎君       石原  登君    相馬 助治君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 北村徳太郎君  出席政府委員         大藏政務次官  小坂善太郎君         大藏事務官   愛知 揆一君         商工事務官   松田 太郎君  委員外出席者         復興金融金庫理         事長      北代 誠彌君         專門調査員   圓地與四松君         專門調査員   氏家  武君     ————————————— 本日の会議に付した事件  復興金融金庫法の一部を改正する法律案(内閣  提出)(第五号)     —————————————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 会議を開きます。  本日はこれより復興金融金庫法の一部を改正する法律案に対する質疑を行いたいと存じます。中曽根君。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 復金融資について二、三お尋ねいたしたいと思います。  まず第一は、承るというと、第四・四半期における政府融資計画は、大体五百六十億くらいだというのですが、そのうち復金分が約百六十五億と言われております。過去の融資実績を見ると、復金だけで年未までに約四百四十二億になつておりますが、この復金債消化率というものは、この表にある通り、非常に惡くて、約二割くらいしかあがつていない。残りの三百二十三億というものが、通貨増発の大きな原因となつているようでありますが、この率から見ると、第四・四半期復金だけからする通貨増発率は、計画通り行つたとして、大体百三十二億という厖大数字に上るように考えれます。一方において政府の方では発行制度について、ある程度の限界を設けようというようなことを、通貨審議会でいろいろ御研究になつておりますが、これに伴つて、やはり融資方面も規制しないと発行制限というものが無意味になるおそれがあるだろうと思います。この点について、一番大きなもとであるところの復金融資というものをいかに取扱うか、まず政府の御所見を承りたいと思います。
  4. 小坂善太郎

    小坂政府委員 御指摘のように、復金現下一般金融機関で賄えない融資を調達するという本來の使命に鑑みまして、國家信用において融資をいたしてまいるという限度を、どの辺におくかということは、非常に現下の「インフレーシヨン」との関係に鑑みまして重要な事柄であります。われわれといたしましても、通貨発行審議会法を本國会で御採択になりまして、通貨発行限度考えていく場合には、当然にこの融資の問題を通貨発行審議会において議題の一つ考えておるわけでございまして、復金融資に関しましては、いろいろと一般の御批評もございますし、われわれといたしましても、貴重な財政資金を最も効率的に使用するために、いろいろの組織の面から、また運営の面からも、愼重なる考慮をいたし、われわれとしての責任上、できる限りの監督をいたしていきたいと思つております。具体的の計数につきましては、銀行局長から詳細御説明させていただきます。
  5. 愛知揆一

    愛知政府委員 数字の点につきまして、若干御説明いたしたいと思います。ただいまお話がございました基本の資金計画につきましては、実は第四・四半期、つまり一月から三月までの総合資金計画につきましては、いまだ確たる最終的の決定をされた資金計画はできておりません。しかしながら、安定本部その他関係方面との話合いになつておりまして、基礎になつております数字がございますので、その概略を御説明いたしたいと思います。  資金需要の面から申しますると、國庫財政関係地方財政関係二つあるわけでございますが、その総計が三百六十一億見当に見込まれております。それから産業資金関係では五百六十五億見当どうしても必要であろうというように見込まれておるわけでございます。その産業資金の中で、復興金融金庫からの融資といたしまして百八十五億程度のものがどうしても必要であろうかというふうに見込まれておるわけでございます。さようにいたしまして、財政資金産業資金との合計が、その他調整を要するものもございすので、大体九百二十六億程度になるというふうに考えておるわけでございますが、それに対しまして、資金供給の面は、自由預金増加を三箇月で六百三十億程度までぜひ増強いたしたいと考えておるわけでございます。たとい自由預金の六百二十億が達成されたとかりに前提いたしましても、それから第一封鎖預金の減少が今後相当にあるものと予想いたされますので、大体三箇月で二百億程度を見込まなけばならぬかと考えておるわけでございます。さよういたしまして、資金供給総計は、大体四百十五億程度と見込んでおるわけでございます。こまかいものを省略いたしましたから、その合計で端数が多少出ることを御了承願いたいと思います。大体資金供給の総額が四百十五億に対しまして、資金需要は、先ほど申しましたように九百二十六億ということで、その差額が五百十億余りになるわけでございまして、それだけはどうしても通貨増発になる見込みのあるものというふうに考えておるわけでございます。大体先般の通貨発行審議会の一應の結論でございます年度末二千七百億というのも、これから割り出したものであると考えておるわけでございます。なおこまかいことになるのでございますが、先ほど申しました財政資金三百六十億余り、それから産業資金五百六十五億程度というのは、復金政府からの出資が百億あるものと見込んでのものでございまして、もし百億の出資がないと仮定いたしますれば、財政資金の方は二百六十一億になり、復金からの融資の方は二百六十五億に殖えることになるのでございますが、トータルにおきましては変化はないわけでございます。  次に復金融資計画につきまして、ただいま中曽根委員のお説の通り、私どもといたしましても、かような百六十五億というような融資計画を立てる上におきましては、何とかしてこれをできるだけ少くいたしたいという配慮をいたしたわけでございまして、率直に申しますならば、今回の増資の額につきましても、実は今まで通りのやり方をやつてまいりますれば、あるいは三百億程度増資が必要ではなかろうかというような意見もあつたのでございますが、いろいろにくふうをいたしまして、三月末までぎりぎりのところ百五十億の増資で賄つてまいりたいというふうに考えたわけでございます。なおまた復金債発行の方につきましても、増資額を減らしますので、それだけ発行も減るわけでございますが、この消化につきましては、なお一層の努力をいたしたいと考えておるわけでございます。たとえば一般金融機関につきましては、毎月の純資金増加の一〇%まではぜひとも復金債をもつてもらうということに從來もいたしておりますが、今後そのパーセンテージを維持するのはもちろん、何とかして多少でもこれを殖やすように考えたいと思つております。また一時的のものではございますが、たとえば農林中金のごときところも、食糧の供出代金その他が非常に潤沢な場合には、できるだけ復金債をもつてもらうというようなこともくふういたしておる次第でございます。
  6. 中曽根康弘

    中曽根委員 次に復金債の、今お話消化の問題ですが、二〇%というような額では、実に寒心にたえない状態でございます。これを消化させる方法として、銀行等に一〇%もたせるとか、農林中金等にももたせるということでございますが、貨幣が非常に膨張していくにつれて、今民心に一番衝撃を與える問題は、いかに財産を保全するかという問題だろうと思います。インフレーシヨン状態がはげしくなればなるほど、そういうことになると用います。この際復金債消化をもつと順調にするために、長期金融というようなものに対しては、ある程度安定價値計算のようなものをやつて財産保全に利する、そういうふうにしたならば、復金債消化は非常に顕著になるだろうと思う。この点は政府はいかに考えておりましようか。
  7. 小坂善太郎

    小坂政府委員 お答えいたします。復金債消化につきましては、ただいま銀行局長から申し上げましたように、相当市中金融機関の協力を得ておるのでございますけれども、また十二月等は今までにない多額消化を見たのでありまするが今後の問題といたしまして、ただいま中曽根さんのおつしやつたように、変動する貨幣價値をある安定した状況においてとらえていくということの試みが、一般貯蓄心理に好影響を與えるのではないかということは、まことに御同感考えるのでございます。ただ問題はその方法であります。私ども考え方からいたしますと、インフレーシヨン足並が非常に大幅になりましたときには、安定價値計算をなす場合の尺度というものは、比較的容易に得られるのであります。さらにまた観点をかえまして、ゴールルド・クローズがありますときには、これははつきりと貨幣が変動する尺度もとり得るのであります。われわれの今当面しておる状況におきましては、その二つともその條件が欠けておるように思われるのであります。それで、われわれとしてこの問題については決して等閑に附しておるというわけではないのでありますけれども、まず第一に尺度をどういう点に求めるかということと、それから、そういうことにいたしますと、これは全般金利というものに対して、一つの新しい考え方を提供するわけですから、復金債消化に止まらず、全般金利という問題を取上げて考えていかなくてはならないという問題と、さらに將來の問題として外國からの資金を導入する場合に、これに対する安定價値の問題がございますし、さらにまた為替の問題とも関連してまいりますので、きわめてこの問題はデリケートな問題で、愼重に扱わなくてはならないというように考えております。
  8. 中曽根康弘

    中曽根委員 安定價値計算をやることは、どつちかというと、統制に対する否認思想であつて、むずかしいとは思いますが、財産保全という点をキヤツチして、これをほかの面から遮断して民心に訴えるという手は、あるいは考えられるじやないかと思いますが、その点はいかがでしようか。
  9. 小坂善太郎

    小坂政府委員 お答え申し上げます。変動する償格を一点にとらえるというそのとらえ方が、ただ財産保全という点だけから見ますと、意味があるのでありますけれども、そのとらえる時期と方法が非常にむずかしい、ある特定の個人だけの場合を考えてみますと、安定價値計算は、そういう変動する経済過程の中における貯蓄意欲を振い起させるのに役に立つことがありますが、國家全体の面から見ますと、一つ通貨價値というものに対しての下落を國家が是認するというようなかつこうをもつ面も端的に出てまいりますので、これがかえつて國家全体から見ますと、全般貯蓄心に対して必ずしもいい影響を與えないという面も考えられまして、その両者のバランスをどの辺にもつていくかというその價値判断でこれを採用するかどうかということがきまつてくるのではないか。ただいまの状況のもとでございますと、私どもからこういうことを申すのはどうかと思いますが、インフレーシヨン足並というものは、必ずしもそう急激であるとは申せない。まずこの程度足並のときに安定價値計算を採用することは、全般足並を早くするおそれが非常に濃いというので、われわれとしては、この問題については愼重であると同時に、消極的であるということを申し上げておきたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根委員 次にこの復金融資は、重要なまた一般民間銀行にはよれない融資ということになつておるようですが、その中で去年の公定價格の改訂に伴つて赤字金融はやらないというような原則があると思いますが、最近になると、また会社に対する金融というものは、赤字金融が多いようになつておりますが、これが年末だけで四百四十二億という多額に上つております。ちうど、戰時中の一種の臨軍の経費のようなものになつていると思う。これは相当考えなくてはならぬ問題だろうと思う。これはいつかは整理しなければならぬときが來るだろうと思う。そのときにかつての打切りのようなことでやると、やはり民心に影響するところもあるし、何とか赤字金融を切抜けるということと、それからそういうものが出てきた場合に、一体どうしてこれを処理するか、そういう心棒えがありましたら、お伺いいたしておきたいと思います。
  11. 小坂善太郎

    小坂政府委員 赤字金融という考え方二つの範疇があると私は思つております。  一つは、國家信用を附與することが、考え方によつては大きな意味赤字金融でありまして、もう一つ考え方は狭い意味で、その企業がとうてい收支償わない、將來見込みのないものに金融する場合そういうふうに思つております。今の段階にいたしますと、私どもは後者の意味赤字金融というもので嚴格に規制していくというふうに思つているのでありますが、ロングランにおきまして、結局その投資國家再建のために生きてくるのだという考え方投資は、これは廣い意味における赤字金融ではありましても、必要やむを得ざるものであるというふうな考え方をしているのであります。ただいまも中曽根さんのおつしやつたように、とにかく考え方の問題でありまして、あまりにこの考え方を廣く適用してまいりますと、これがあるいは非融資的な野放図なものになつてくることになるかもしれませんが、戰時中の場合のように、赤字公債無限論といつたような、日銀が引受けて、そこで日銀の撒布した資金を結局貯蓄によつて還流さして、日銀公債市中銀行にもたせるといつたような回轉方式は、結局インフレにならないのだという前提のもとにやつている場合と、ただいまの私ども考えのように、あくまでも健全金融をやつているのだという考えのもとに、必要やむを得ず出てきたものについては融資をしていくのだという考え方とは、おのずからこの中に相違があるじやないかと思います。私どもといたしましては、御指摘のように、あとになつてにつちもさつちもいかない。そこで相当乱暴な措置をとることのないように、われわれとしては、先ほども銀行局長から申しました中にございましたが、結局一般蓄積というものをできるだけ殖やすような方法をとり、そしてその蓄積の中において産業資金の配分を考えるということで、あとはほとんど必要やむを得ない投資たというようないき方をしているのであります。そういう考え方が、しかし、ともすれば、放漫に流れやすいということは、理解できるのでありますが、それをいたさないためにも、復興金融金庫貸出しというようなことにつきましては、十分民主的に、公正に、できるだけ國民多数の監視と注意を入れこんで融資をいたしてまいりたいと思つております。またそういう考慮に基きまして、今回の措置も、当初は三百億というような話も出たのでありますが、とにかく本年度末までのものを賄つていく、その額も、できるだけ切りつめて百五十億にしようということで、御提出申し上げているような次第であります。さよう御了承願います。
  12. 中曽根康弘

    中曽根委員 この復金を組織されましたのは、こういう重大な試みは、一括政府監督のもとにやるという御意図のように承つたのでありますが、そういう方面で成績をあげているところもありますが、しかし一面においては、よく巷間に言われるように、担当者に不当な行為があるとか言われております。あるいはまた融資を受ける側の方からは、非常に複雑な手続や何か多くて非難がある。これは社会主義的な計画経済というものが、ここでも無塩だということを私は若干感ずるわけであります。一本に集中するという方式をある程度緩めるというか、ともかくある期においては一定額の金は大体において回收見込みがないまで出している状態ですが、そういう一定限度を抑えて、健全な限度を抑えて、これを一般民間銀行に分散して融資してやる。但し民間銀行がもつているいろいろな調査力や何かによつて回收を、今まで復金が担当してやつているよりももつと強力にやらせる。銀行側にとつても、政府から融資してもらえば、金の量は多くなるし、いいと思うのであります。そういうような御構想復金融資をもつと分散化し、かつ健全化するという考えに対して、政府はいかにお考えになつておりますか。
  13. 小坂善太郎

    小坂政府委員 まさに中曽根さんのお話通りにわれわれも考えております。一体金融というものは、非常に專門的な知識を要するものであり、いわゆる金融は水ものというようなことはよく言われるのでありますが、これは金融しまする時期が問題である。すなわち金融される人に対する、相手方に対する考え方相当に練磨されていなくてはならぬと思います。考え方としては、國家が最も公正な立場において金融するというのがよろしいのでありますが、それがどうしても時期がずれてしまう、あるいはその間にいろいろな、何と申しますか、不合理が介在する懸念ができてくるというようなことで、できるだけ全部を見得る小さい範囲に区切つておいて、そうしてその範囲内で個々の人が責任をもつて金融し得るというような体制が一番いいのではないかと思うのであります。そういう考え方から、直接復金貸出というよりは、一般市中銀行が直接貸出すという方法の方が、時期も敏速にいくし、かつ責任の所在も明らかであるというので、復金市中銀行貸出に対して補償するという行き方、補償制度というものを大いに活用してもらいたいと思つておるのであります。ただ何分にも開店早々でありますので、その間の連絡調整等の円滑が十分にいつていない点もあるかと思うのですが、その点につきましては、われわれはできるだけこれを改善していくように指導してまいりたいと思つております。金融貸出す前に調べるというよりも、むしろ敏速に貸出してその後に十分に責任をとつてもろうということの方がうまくいくのではないかという考え方を、われわれは持つおるのであります。貸出について、実は事前調査ということが相当いろいろな機関でなされておるのであります。このいろいろな機関事前調査をするということも必要ですけれども調査のしばなしで、後はどうなつておるかわからないということも多いし、なるべく調査は一本にして簡略にして、むしろその後で十分に査察していく監査していくという方へもつてまいりたいと思つておる次第であります。
  14. 中曽根康弘

    中曽根委員 最後にもう一つお尋ねします。中小企業金融でありますが、この資料によりますと、中小企業に対する金融というものは、一般融資に対して問題にならないような数字になつております。たとえば口数にしても、あるいは金額にしてもそうで、口数において一般融資よりもはるかに低い。それから金額においては一四%にすぎない。これは公團及び重点産業を除いたものがそういうものですから、一般復金全体からみると、非常にわずかなパーセンテージしか示しておらないように思います。ところが貿易再開とか、あるいはインフレ克服のために生産を増していくということのためには、やはり中小企業を大いに活用しなければならないと思うのであります。ところがこの中小企業においては、資材難と同様に、資金難においても、非常に苦んでおる。そういう状態に対して、この数字ははなはだ変なように感ぜられるのですが、中小企業金融というものに対して、今私が申しましたような分散融資というか、そういう構想のもとに民間銀行なり、あるいは農林中金、あるいは商工中金というものに復金が直接貸出す。補償によつて、今二十億くらいであつたと思いますが、大いに活用されておる部面もありますが、直接一定限度の金をそちらの方へ配当していただく、そうして地方なりあるいは中小工業金融をもつと活溌にしてやつていたたく、そういう措置をとつていただけないか。またとつていただけるならば、どの程度の金を出していただけるか、お伺いいたしたいと思います。
  15. 小坂善太郎

    小坂政府委員 ただいま復金貸出につきまして、國家再建に緊要なものであるか、また市中銀行で賄えないのであるかどうかという点が問題になつておりまして、その方針のもとに審査をしていろいろ融資を決定しておるのであります。そのわくの中における中小企業というものが、たまたま出てきているというような状態であります。そういう感覚からいたしまして、そのうちの三百万以下の貸付がいくらあるかということが、今表に現われておる数字であります。私も中曽根さんの御意見とまつた同感でありまして、これはぜひとも中小企業の振興をはかるために、ひとつ新らしい考え方を盛りこんでいかなくちやならぬではないかというように考えております。またこれは私のみならず大蔵当局意見でありますが、ただいまといたしましては、商工組合中央金庫に相当大幅のわくを設定いたしまして、復金からそれだけ融資する、そして商工中金においてその責任と創意によつて十分に中小企業の活動に必要なところの資金供給していただく、しかもその責任をもつていただくというように考えて、商工中金の機能、人事の活発化をはかるために、特段の措置を講じたいと考えております。ただいまのところ、その金額についてはいろいろと考えておりますが、さしあたり一・四半期に一億円くらいのわくを供與したいというふうに考えております。
  16. 中曽根康弘

    中曽根委員 商工中金融資してい ただくというお話で、非常にわれわれも同慶にたえないのですが、もう一歩進めて、農林中金に対して同様の措置を講じていただくわけにいけないでしようか。
  17. 小坂善太郎

    小坂政府委員 農林中金につきましては、われわれも考慮を十分いたしておりますが、農業金融というのは、御承知のように、非常に季節的、波動的なものであります。農業資金需要というものが、一・四半期ごとにいくらというように考えていつていいものかどうかという点も、いろいろ研究の余地がございますので、われわれといたしましても、ただいまのあなたの御趣旨に副いますように、十分研究いたしてまいりたいと考えております。
  18. 中曽根康弘

    中曽根委員 商工中央金庫、農林中央金庫に融資していただくのはありがたいですが、どうも一・四半期百六十五億という厖大数字に対して、わずかに一億というのはちよつとかわいそうな数字ではないかと思う。少くとも五億くらいは設定していただいたら、民間企業は非常に活発化するであろうと思いますが、これを増額していただくわけにはまいりますまいか。
  19. 愛知揆一

    愛知政府委員 実はただいまのお話は、復興金融金庫から商工中金を経由いたしまして代理貸しをするというような場合をお答えになつたのでありまして、最近の状況を申し上げますと、お配りいたしました表のような状況でございますが、実は内訳を申し上げますと、二十二年度の第一・四半期には、全体の中小企業に向うべき復金融資計画が、実は一億円と計画いたしておつたわけであります。実績が一億四千万円でございます。ところが、これではとうてい御要望に副えないので、第二・四年期には、計画を三億円に拡げたのでありますが、その実績は五億四千万円となつております。さらに、第三・四年期におきましては、計画を四億円に拡げまして、その実績は五億九千万円ということになつているわけでございます。これは復金から出ました中小金融の額でございますが、その中のある部分につきましては、私ども考えといたしまして、直接復金中小企業部及び各地方の支所において取扱うものと、それから一部を商工中金代理貸しを頼むものと、その他ただいまお話しのように、あるいは農林中金等考えることがあると思うのでありますが、それをこの中の一割として考えてまいりたいというような考え方でございます。從いまして、いわゆる中小金融に向け得る金というのは相当多い、相当程度まで來ているということは、申し上げ得ると思うのであります。何分にもちよつと脇道に入つて恐縮なんでございますが、石炭とか肥料とかいうものにつきましては、件数はともかくとして、非常に金額は大きいのでありますので、これらと中小金融とを金額において比べますと、いかにも小さいように見えますが、件数その他におきましては、十分の考慮を拂つているつもりでございますが、さらに今後においても、できるだけの力を注ぎたいと考えるわけであります。なおまた商工中金の拡充改組強化というようなことも、いろいろただいま研究をいたしております。あるいは近い將來におきまして、その改組案等の法律案等を御審議願う運びになるのではなかろうかと考えているわけであります。
  20. 塚田十一郎

    ○塚田委員 復興金融金庫増資の法案に関連いたしまして、二、三お聽きをいたしたいと存ずるのであります。まず第一の点は、これは政府当局に対するお尋ねではないのでありますが、委員長から委員全員にお諮り願つて、そのように運ぶように、ぜひしていただきたいと存じますが、それは復興金融金庫融資先に関連いたしまして、今非常に世間に疑惑をもたれておるのであります。手もとに融資先の表をいただいておるので、その中に私どももやはりそういう疑念をもつ点が若干あるのでありますが、そういうものにつきまして、財政金融委員会において、ぜひこの際少し積極的な調査をいたしたい。こういうように考えておるのであります。この問題はこの前も五百五十億に増資をいたしますときに、一應増資の承認はするが、委員会としては、そういう権限を留保しておきたいということを発言いたして、そのようにたしかきまつてつたように存じておるのでありますが、その後者委員も皆忙しくいられ、自分も忙しいような事情があつて、積極的にそういう調べをいたしておらぬのであります。しかしこれだけ世間に問題になり、新聞紙上などでもたたかれておるということを、財政金融委員会が全然取上げずに、また今度百五十億の増資をしたということになつたのでは、國民に対して責任を問われた場合に、何とも答弁のしようがないということになる。この際ぜひ必要な資料は、政府当局及び復興金融金庫から提出願つて、委員会において徹底的な調査をいたしたいというように考えるのであります。その場合に私が提出をお願いしたいと考える資料の一、二を申し上げますならば、おそらく復金貸出をされる場合に、当該事業から徴集になつたいろいろな資料があるはずであります。それをまず出していただいて、それを調べる。さらに事情によつては、その後それらの資金がどういうぐあいに運用されたかというような事情も調査するために、場合によれば融資を受けた会社の会計計算書その他経理参考資料も出していただいて調べるようにいたしたいというように実は考えておるのであります。融資先について世間で問題になつておるのは、先日新聞紙上に見ましたたとえば昭和電工などの問題があるのでありますが、私ども一般的に考え、かつ復興金融金庫本來の使命から考えて、そういう事業には、復金の金は行くはずがないのだがと思われるような事業、たとえば土木建築事業というようなもの、それから統制組合などに行つておる金がある。またはなはだしいのは、土建資材販賣というような事業に行つておる金がある。こういうようなものは、これだけ見たのではどうしても納得をいたしかねる。こういう感じをもつわけであります。そういうような観点におきまして、ただいま申し上げました提案を、ぜひ委員会の総体の意見としてお取上げ願つて、そのようにぜび実施いたしたいと存ずるのであります。
  21. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 塚田さんに御相談いたします。ただいまの御提案ごもつともと存じますので、あとで皆さんの総意を承つてきめたいと存じます。それでよろしゆうございますか。
  22. 塚田十一郎

    ○塚田委員 すぐに御意見があれば伺つて、もしも御意見がなければ……。
  23. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 塚田さんいかがでございましよう。專門委員からのお説もありますが、大体質疑を終つてあとで一遍皆さんと御相談願つてきめたいと存じますが……。
  24. 相馬助治

    ○相馬委員 ただいまの塚田委員の提案に全面的に賛成します。
  25. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 おそらくこれは皆さん御賛成と存じますが、あとでおきめ願うことでいかがでございましようか。
  26. 大上司

    ○大上委員 今の塚田氏の御意見ですが、それを採択するか、せぬかによつて、おのずから質問の経過も違えば、私たちの考え方も違うので、一應取り上げていただいて、それから後に審議に入り、あるいはお尋ねしたいと考えておりますが……。
  27. 川合彰武

    ○川合委員 ちようど席をはずしたので、塚田君の御希望の内容の詳細を承知しなかつたわけですが、前國会において復興金融金庫の國政調査の承認というようなもので、一應復興金融金庫増資の法案を通しておいて、後日これを調査した記憶がわれわれはあるわけでありますが、おそらくそれと同様の提案になつてつたというように考えるわけであります。本來——この前の増資のときもそうであつたのでありますが、この復興金融金庫増資の法案が提出されると、審議の期間がごく短時日しかなかつたのであります。從いまして、われわれは、遺憾ながらある程度この審議権を放棄——と言つてはくあいが惡いのでありますが、ある程度そういうような事情を勘案して、質疑申し上げたい点も遠慮して、われわれは一應議決したというような歴史があるわけであります。今國の増資にあたつても、やはり一昨日提案され、そしてこれを短時日の間に審議議決しなければならぬというようなはめにあるわけであります。從つてわれわれは、いろいろと流布されているところの復興金融金庫の活動状況の内容に関して、もつと詳細に知りたい。しかしながら、現実にこれを早く議決しなければならぬというような段階に追いこまれておるわけであります。そこでもし塚田委員の提案が、この復興金融金庫調査というものを條付としておるのなら、われわれとしては、まだ党には諮つておりませんが賛成であります。御参考のためにわれわれの意見を申し上げておきます。
  28. 石原登

    ○石原(登)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、今の社会党からの御意見は、この増資を認めるということにおいてそういう委員会をつくる、こういう意味でありますか。
  29. 川合彰武

    ○川合委員 そういうような前提ではなくして、一層復興金融金庫の内容を調査するというような観点から、かりにこの法案が当委員会で議決された後においても、われわれはこれに対する調査ができるというようなことを希望したい、こういう意味です。
  30. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 塚田さんの御説に対してそれぞれ御意見がありまするが、この問題については、実はこの前の國会において、國政調査承認要求書を提出いたしてあつたのであります。議長からこれを承認するという通達を受けたのでありまするが、すでに会期も迫つておりまして、実行することができ得なかつた。こういう状況に相なつておりますので、この場合塚田さんの提案の、調査をするという件に対して、ただちに議長に要求書を提出することに取計らわざしていただいて差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 それでは塚田さん御要求の國政調査承認要求書を、提出して、議長から承認を求めることに決定いたします。  それから申し落しましたが、調査承認要求書を出すには、調査事項、調査の目的、調査方法調査の期間を明記しなければならぬことに相なつておるそうであります。この点理事会にお任せいただきましてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 それではさよう決定いたします。
  33. 小坂善太郎

    小坂政府委員 私からちよつと一言申し上げさしていただきます。復金増資に関しての御調査は、ぜびお願いしたいと思つております。前國会におきましても、同様の趣旨の御発言がありまして、そのように決定いたしておりますが、われわれといたしましては、この際の増資でありますが、これは実はただいまのところほとんど資金がなくなつておりまして、委員長にもいろいろと申し上げておるのでありますが、この増資は至急にひとつ取運んでいただきたいという必要に迫られております。できまするならば、この二月の五日ごろまでに、すべての手続を終つていただきたいというように、われわれの立場からはお願いしたく存じております。前國会における御意見等に関しましては、われわれも十分その御趣旨を体しまして、先ほど申し上げましたように、増資の額等については、きわめて切下げるということに努力しておる次第でございます。さしあたりこの問題を二つにわけて、この増資の問題と、それから復金の内容について、また今後の運営方針についての御審議と、二つにわけてお考え願うように、ぜひお願いしたいと思つております。
  34. 塚田十一郎

    ○塚田委員 先ほどの私の提案を御承諾くださいまして、まことにありがとう存じます。さらにただいま小坂政務次官らの御発言がありましたが、まことにごもつともなことで、私どももすでに復金理事長から詳細の事情は、個人的に伺つており、これが非常に急ぐものであるということも、十分承知しております。殊に私が提案いたしました調査は、本格的にやるということになれば、相当長期間を要するものと思いますが、これをしなければ増資ということは、事実問題としてできないというように考えております。おそらく他の同僚委員の方も、さように感じておられると思いますが、一應問題を政務次官の御意見のように、別個にいたしまして、増資の問題だけを取扱つていきたいというように思います。從つてそういう正場からなお二、三質問申し上げたいと思います。  第一にお伺いいたしたいのは、この復金資金が非常に大きくなつて復金債が市中では消化できない。昨年末も大分市中で消化できたということを言われておりますけれども、それもほんとうによく考えてみれば、市中であれだけ消化できたのは、あれだけ厖大政府支拂の撒布資金があつて通貨がうんと出たから、市中で消化できたのであつて、普通の状態では、一割ぐらいの市中消化が、せいぜいであると私は考えております。この前に五百五十億の増資をいたしますときにも、なるべくこれは市中消化をするように、日銀引受けは避けるようにという附帶決議をつけたのでありますが、そのようにいかなかつた。またいかない事情もあつた。從つてこれを今後復金資金を通して、市中に金が出るということを避けるためには、私は本質的にこの復金の金が、そんなに要らぬというようにする以外に途がない。こういうように考えます。そこで私がここで提案いたしたいのは、一体復興金融金庫というものは、その性質から言つても、大体設備資金だけをお出しになればいいのじやないか。運轉資金まで復金でおせわをやく必要はないじやないか。こういうように考えます。そこで政府からいただきました資料で、設備資金と運轉資金がどのぐらいの割合でいつておるかと言えば、設催資金百五十五億に対して、運轉資金二百五十六億もいつておる。一体そこでこの市中の金融状態を見てみますと、こういう例がある。市中銀行へ金を貸してくれと言つてつた。ところが市中銀行の方はわくがあつて金が貸せない。その融資の性質は、当然市中銀行で取上げてくれていい性質のものであるにかかわらず、向うにはわくがないから金が貨せないから、復金へ行つて金を借てきなさい。そこで復金へ行つたらなるほど取上げてくれた。こういう実例から見ましても、復金が今お出しになつておる金というものは、殊にそれが運輔資金である場合には、復金の手を通さないでも、当然市中銀行で扱つてしかるべきものが相当あると思う。こういう意味においても、これは運轉資金は原則として復金でお貸しにならぬということにされるならば、その面において復金資金の動きはよほど少くなる。殊に復金債が市中で消化されないという問題に関連いたしまして、皆さんも御承知でありましようが、財政法第五條には、この二十三財政年度から國家が公債を発行いたします場合に、それが日銀引受になる場合には、特別に議会の承認を経なければならないということになつておる。ところが國家と同じ立場において國家資金を出すところの復金債券というものが、ここでただ増資の決議をしただけでどんどん市中に出て、日銀引受で発行されるということになるならば、財政法第五條というものは、昭和二十三年度以降には、全然空文になつてしまう。そういうふうにさえ考えられるのであります。これらの点について政府当局はどういう考えをもつておられるかを伺いたいと思います。
  35. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまの御意見は、まつたくごもつともに考えるわけでございます。いささか弁解がましくなるのでありますが、この際に私ども考えを率直に申し上げたいと思うのであります。まず復金融資の対象といたしましては、ただいま御指摘通り、経済再建のためにどうしても必要であつて、しかも他の金融機関から金を仰ぎ得ない場合ということが大原則であるのでございまして、さようにいたす考えであることはやまやまでございます。ただ先ほども問題のありました、当面のところ運轉資金相当の額を占めてておりますことは、いろいろの理由があることと思うのでありますが、一口に申しますと、現在のあらゆる意味の経済関係の問題を、ここに露量しておるような感じがするわけでございます。と申しますのは、運轉資金の中には、たとえば價格の改訂のずれを金融で埋めるという面もやむを得ずあるわけでございますし、また公團といつたようなものにつきましても、実は私ども考えから申しましても、相当これは他の金融機関金融して適当なもの、また金融機関から申しましても、公團融資を自分たちもやりたいという性質ものも、だんだん出てまいつておる状況でございます。しかしながら、いろいろの関係から、そこのところが現在すつきりまだまいりませんので、経済的その他いろいろの事情から、復金融資の対象の中に、本來予想されていなかつたものがはいつておるということは、認めざるを得ないのであります。また今後においても、ある程度急速にこれを除外するということは、実際上困難の点も多々あるかと思うのでありますが、考え方の根本は、今申しましたような方向でまいりたいと思うのであります。一例を申しますと、今回の増資の場合におきましても、新規にできます公團融資については、一應復金融資計画から除外して考えておるわけでありまして、これは新規に公團がいよいよ発足いたしますまでに、できるならば他の金融方策を考えたいというように考えておりします。まだ具体的の成案を関係方面とも、はつきりした結論を得ておりませんが、考え方としては、そういうような考え方にいたしたいと思います。  それから次に、一般金融機関との関係でございますが、私どもといたしましては、一般金融機関につきましても、できるだけ國家的の立場に立ちまして、経済の再建に必要なものについては、何とかして金を潤沢にまわすように、いろいろ協力も頼んでおるわけでございます。しかしながら、何分にも金融機関の方から申しましても、現在政府資金の操作の半分だけが原則的に自主的に融資できるのでありまして、残りの半分につきましては、財政的その他やむを得ざる現在の情勢に應じて、不可避のものについての融資考えてもらつておりますので、実際問題として、わくの不足ということもあるわけでございます。さらにまた爭直に申しまするならば、わくの下足ということは往々にして金融機関側の立場を説明する場合に使われる言葉にもなるわけでございます。その場合におきまして、どういうことが金融機関としていやがるかと申しますれば、先ほどちよつと話しましたように、いわゆる赤字金融というようなものについては、將來の價格の改訂なり、あるいは賃金の改訂なり、あるいは補給金の支拂いなんかということについ確たる見透しがない場合におきましては、やはり一般金融機関としては、それらのものを希望しないというのが実際問題として、これもやむを得ない点があるかと思うのでありまして、そういう場合は、どうしても仕事を続けてまいります場合に、やむを得ず國家的の機関である復金にこれを見てもらわざるを得ないというような必要もあるわけでございます。私どもといたしましては、現在復興金融委員会及び幹事会におきまして、先づ第一次的に、これは一般金融機関で保証しないで、資金の斡旋をやるべきことを第一に考え、それができない場合には、せめて復金の保証でもつて一般金融機関から貸出を求め、どうしてもやむを得ない場合に、復金の直接の融資にするという考え方は、各委員も幹事も全部そういう考え方でやつておるわけでございます。また最近の実情から申しますると、日銀で御承知の融資斡旋部というものが相当活発に働いておりまして、復金一般市中金融機関との関係を非常に斡旋に努めておるのでございまして、できるだけ金融機関との間の調整をとるように努力をしておりますし、最近相当効果をあげておるように考えておるわけでございます。
  36. 塚田十一郎

    ○塚田委員 銀行局長の御説明を伺つておりますと、大体氣持においては御賛成であるようである、その方面に努力はしておるということのように伺つたわけであります。そこで私としましては、さらにその氣持をもう一歩進めていただいて、復金というものは、これは原則としては運轉資金融資はしないものだ、たがいまるる御説明のあつたような特殊の場合に、これは特別な選考によつて運轉資金をある程度出す場合もあるというくらいにしてもいい。ある程度までは私は壤歩してもいいのじやないかと思うのでありますが、反則としてはやはり運轉資金復金から出さぬものだ、それが復金法の改正を必要とするものであれば、復金法を改正するなりいたしまして、ぜひこの際にいたしたい、こういうふうに考えておるのでありますが、その点に対して御賛成がいただけるかどうか。
  37. 愛知揆一

    愛知政府委員 私は事務当局といたしまして、先ほど申しましたような御趣旨においては全然同意見でございます。またそうしなければならぬと思うのでございます。ただ先ほども申しましたように、たとえば石炭の問題でございますが、石炭のごときは、いわゆる赤字融資相当大きな部分を占めておるのでございまして、これはあらゆる意味における問題をここに現わしておるのでございます。今ただちに赤字融資は原則としてやらぬということになりますと、石炭の増産その他に非常な影響がある。またこれは言うべくして行えないということもあり得るかと思うのでございまして、原則として設備資金に限るということについては、まつた同感でございまするが、今すぐに赤字融資を原則的に止めるということになりますと、産業界その他に非常な影響があると考えまするので、その点につきましては、総合的な施策から計り出された方針をおきめいただきますならば、それに應じて私どもの事務的な原則が通り得るように運んでまいりたいと存じておるわけであります。
  38. 塚田十一郎

    ○塚田委員 それではその問題はそれだけにしまして、次にお伺いいたしたいのは、実はこれは資料を要求してありますが、まだいただかないのですけれども、私ども復金融資を見まして非常に奇異に感ずるのは、非常に回收が惡いことです。殊に運轉資金にこれくらい出ておつて、回收がほとんどなくて、復金というものは金を出すばかりで、ちつとも回收するということがない。殊にこの二月からいよいよ最初に発行いたしました復興金融債券の償還の期限が参ることになつております。二月の分が十五億あるように参考資料にありますが、そういうものを結局回收ができないからして、政府が拂いこんだ金からそれを償還していかなければならぬ、こういうことになつておるのであります。こういうことを國民一般が感じますと、貸すときは復金が債券を出して、貸したあとのしりぬぐいを國家が拂いこんだ資金でもつてしりをぬぐつておるのだ、こういう感じをもつのであります。これはごく常識的な判断で、もちろん実際の関係は必ずしもそうなつておらぬと思うのであります。そこで未回收が非常に多いというこの間の事情を、政府委員なり、あるいは復金当局の方なりから、簡單に御説明を願いたいと思います。
  39. 愛知揆一

    愛知政府委員 実は資料の印刷がようやくできまして、一部はすぐ御配付できると思いますが、それによりまして詳細はごらんいただくことにしまして、回收がなぜ惡いかということにつきまして、簡單に御説明いたしたいと思います。これは一つは先ほどの問題にも関連するのでございますが、復金では一般金融機関からの融資の困難なものというものが貸付の対象になつておりますので、本來復金の性格自体に回收が困難であるという点があることは、御了承願えるかと思うのであります。ただ先ほど御指摘のように、運轉資金相当多いではないかということ、しかも運轉資金であれげ回收が非常に早くできるわけではないかという点でございますが、この点も現在の運輔資金はわゆる赤字融資である。しかもその赤字融資政府部内の非常な責任の問題とも思うのでありますが、あるいは政府の補給金等の支拂が惡い。それを引当てにしておるとかいうことがありますが、將來における價格改訂をある程度織りこんでおります。たとえば肥料でございますが、そういうものの赤字融資について、償還かなかなかいろいろな角度から困難であるということが言えると同時に、性質上なかなか短期に償還を期待し得ないという点があるわけでございます。それから実質的な長期の資金を——技術上の問題でございますが、短期貸付をしておる点も一つあげられるかと思うのであります。これは短期の貸付であれば回收が早くいく筋合いのものでございますが、こかは主として技術的の問題でございますが、復金融資には手形貸付が多いのでございます。形式的には短期貸付となつておるのでございますが、長期貸付についても証書貸付の手続の完了するまで、あるいは具体的な償還の計画が決定いたしますまで、一應融資形式上の問題として、時期を短期に決定しておるのでございます。從つてそういう意味一般の普通金融機関のいわゆる短期貸付とは、性格が異なるという点が、技術上の取扱いからありますことが、一つの原因であるかと思うのでございます。  それから先ほど申しましたように、市中金融機関と競合するような場合に、復金の回收はどうしても後順位にしなければならぬということも、一つの原因にあげられるわけでございます。なるべく市中金融機関から貸付をしてもらいたいと考えます以上は、市中金融機関の方の回收を優先的に考えたいというように考えまするので、その競合の面において、復金の方がどうしても遅れがちになるという事情もあるのでございます。  それからもう一つ復金の性格からきます問題として、御承知のように復金は預金を扱つておらない。從つて融資先の金繰り状態を常時捕捉するこをが困難でございます。融資先の手もとの余裕金等を押えて、復金の償還に充てさせるということにつきまして、これまたなかなか市中金融機関に比べてむずかしい点がございまして、もし預金業務をやつておりますれば、その辺のところが非常に円滑にいくのではなかろうかというように考えるのでございます。  以上申し上げましたことは、いずれも弁解がましいことでございますが、一應復金の性格または現在復金のおかれておる客観的情勢から考えまして、やむを得ない点も多々あるというこを申し上げたつもりでございます。  なお最後に申し上げました点などを補足いたしますために、どうしても監査の方は嚴重にやらなければならないと考えまして、昨年の八月の末には監査部というものを機構上設けましたし、現在問題になつておりますような大口の貸出し先につきましては、すでに事務的にはいろいろと融資の監査も実行いたしておるような状況でございます。
  40. 塚田十一郎

    ○塚田委員 御説明によりまして、回收がうまくいかないということは、復金の本質的な事情からもくるのであろということは、私もこれを諒としたのであります。しかしそれと同時に、市中には皆さんもよく御承知であるよに、復金の金は借りればもらつたも同様だというようなうわさが一般に実に根強く、しかも廣く散つておる。そういううわさがどこから出てくるかということなのでありますが、結局私は復金が自体営利企業でないということのために、その衝に当られる方々の回收に対する努力に手ぬるいところがあるのじやないかという感じをもつのであります。こういう点は金融機関の國有などを考える場合に、よほど考えなければならぬものでありまして、事実私は復金の金がこういう形で出ていくと、日本では金融機関の一部の國有ができておるのじやないかとさえ考える次第であります。また貸すときの状態を見ましても、たとえば借りたいといつて申し出たものに貸されるという承認をされたものが、五百五十億円中四百九十億円、ほとんど申し出たものは全部借りられた、借りた金は回收があまりつかないが、そうやかましく言つてこないということが、市中にそういう借りた金はもらつたも同様だといううわさが出る根拠になつておるのではないかと私は考える。復金という機関が、その性質上、そういう面に確かに私は手抜かりがある、手ぬるいところがあると考えるのであります。これは私の意見であります。ただ希望として今後復金当局にこういう面においても非常なる熱意と努力を拂つていただきたいということを、回收の問題に関連してお願いしておく次第であります。  次にお伺いいたしたいのは、大体復興金融金庫からの融資がない場合には、復金資金増資して、その資本金の範囲内で債券を出す。こういう大体の運用に実際なつておる。しかしよく考えてみると、債券を発行して復金融資される資金をつくられるということと、復興金融金庫増資するということは、私は今日のような関係において、そんなに関連させていかれる必要はないと思うのです。たとえばある程度復興金融金庫の資本金というものは止めておいて、それから資本金の何倍までは債券を出せるというような形にされてもいい。殊にそういうことを申し上げるのは、復興金融金庫の資本金がこれだけだということになると、これは世間一般考え方から言いましても、資本金の額まではいつかはだれかが拂い込むということが当然考えられてくるわけであります。そういたしますと、資本金をある額までと限つておいて、その何倍かの債券を出させるというのと感じの上において相当大きな違いが出てくると考える。この点政府はどういうふうにお考えになるか、御意見を伺います。
  41. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまの点は実は復興金融金庫を設立いたしました時からの一つ考え方の問題でございますが、復興金融金庫法の制定になりましたときの考え方は、それが現在まで続いておるわけでございます。これは全額、政府出資すべきものである。一般の銀行あるいは債券発行の特権を供與されております特殊銀行とは性格の違うものであつて政府の別働隊といつたような関係のものであるという構想でこれがきまつておるわけで、ただいま御意見の点は、別の考え方からいたしますれば、ごもつともと思うのでございまするが、当時復金をつくらなければならぬどいう状況なつた場合の関係方面の意向その他を反映いたしまして、現在のような構想になつておるわけでございます。
  42. 塚田十一郎

    ○塚田委員 ただいま御説明になつたような事情は、私実際ただいままで承知しなかつたのであります。なるほど当時の事情がそうであつたとするならば、たしかにそのような考え方もあり得ると思う。しかし私はそれと同時に、当時そういう考え方がとられたのには復興金融金庫の金は相当短期間にこんなにたくさん出るとは予想されていなかつたのではないか、これがその後どんどん出てくるようになつて、事情がかなり変つてきておるので、國家がどうしても復金で出した金だけは最後まで全額について責任を負わなければならぬことになると、増資をする場合において、われわれも眞劍に考えなければならぬ、ただわれわれがこれを増資します場合には、形の上では増資でありましても、必ずしもこれだけの金を將來國家出資するというようなことは考えていないのであります。もともとこれは事業に金を出させるのでありまするから、当然返つてくるものなのであります。從つてかりに将來國家の負担になるものがあるにしても、これはごくわすがなものであるという——これはきわめて考え方が淺いからそういう考え方になるのかもしれませんが、そういうような感じで、つい今日まで増資をうかうかと御承認申し上げてきたという結果になるわけであります。もし今おつしやつたような考え方が、この復興金融金庫増資の本質であるとするならば、われわれはこの際増資ということに一層眞劍な考え方をしなければならぬと思うのであります。そういうように事情が変化してきたということについて、將來復金のいき方について、何らかの変更を、私が申し上げたような筋合いにおいて、お加えになるお考えがないか。
  43. 小坂善太郎

    小坂政府委員 塚田さんのただいまの御意見は、まことに私といたしましても同感であります。私も復興金融金庫をつくりますことの必要を議会で述べた一人でありますが、当時私といたしましても、やはりこれはあくまで設備資金という考え方でいつておりました。その後公團等の関係も出てまいりまして、そういうものがいろいろと重なり合いまして、先ほども銀行局長も申し上げましたような、ただいまのインフレ下におけるでこぼこ経済の実情が金融のしりをこういうふうにもつてきたという一つの現われかと思うのでありますが、当時の考え方は、まさに御指摘通り、ここまでという氣持はあつたのじやないかと率直に考えております。  今後の問題でありますが、これは皆さんと御相談申し上げながら、今後の運営、今後の復金の方向等については、愼重にわれわれとしては研究していかなければならぬ問題が多々あるのではないかと考えております。
  44. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次に問題がややこまかな問題になるのでありますが、実は不勉強でありまして、復興金融金庫債券というものがどれくらいの利子で金をお貸しになつておるか、債券の利子がどういうようになつておるか、さらに復金が市中へお出しになる金がどれくらいの金利になつておるかということと、それに関連して復金というもの自体の採算がどういうようになつておるかということをよく承知しないのでありますが、それらについて簡單な御説明をお願いいたします。
  45. 愛知揆一

    愛知政府委員 まず第一に復金債の利回りでございますが、從來の應募者利回りは年利、單利にいたしまして五分六厘でございます。これは昨年十二月に、これではなかなか市中金融機関等の消化がむずかしいと考えましたので、いろいろ勘案いたしまして、第二十二回の復金債から新たに引受手数料と償還手数料とをつけることにいたしました。ます引受手数料でございますが、これは引受けました場合に引受先に対しまして、額面百円について十五銭でございます。それから償還手数料は償還日まで復金債を保有していた者に対して支拂うものでございまして、償還の元金百円につきまして三十銭といたしたわけでございます。この十五銭の引受手数料と、三十銭の償還手数料とを合計いたしまして、在來の應募者利回り、年利五分六厘に含めて計算いたしますと、年利六分零厘八毛八朱ということになるわけでございます。これもひとつ復金債消化を容易ならしめようという考えに出でたものでありますが、同時に他の類似の債券その他の消化に惡影響があるようでは困りますし、また一般金利政策中の占める地位から考えましても、現在のところはま、ず手ぱいでなかろうかと考えております。  それから第二の御質問の点は、融資の利率でございますが、ただいま公團に対しましては、短期資金は日歩一銭八厘でございます。長期資金は年七分、日歩に対しまして一銭九厘でございます。  それから一般産業資金に関しましては、一千万円未満のものと一千万円以上のものとをわかちまして、千万円未満の短期のものに対しましては、日歩二銭ないし二銭二厘でございます。  それから長期の資金につきましては、年八分ないし八分四厘、これは日歩にいたしまして二銭二厘ないし二銭三厘になつておるわけでありまして、やや短期よりも高くなつておるわけであります。それから一千万円以上のものにつきましては、短期が日歩一銭九厘ないし二銭一厘、長期が年七分七厘ないし八分、日歩にいたしまして二銭一厘ないし二銭二厘というようになつておるわけでございます。それで範囲一定しておりませんで、若干の範囲をつけましたのは、超重点的な産業につきましては、さしあたりそのうちの低利の方を適用する。超重点産業と申しますと、現在のところは石炭と製鉄、製鋼、肥料、これらのものにつきましては、今申し上げましたうちの低利の方を適用するということにいたしているわけでございます。  それから次に、先般御承知の金利調整法に基きまして、一般の市中金融についても、貸出の最高限が多少上りましたので、それに伴いまして、復金といたしましても、若干これを上げるように考えているのでございますが、今一案としてもつておりますのは、公團につきましては、先ほど申し上げました短期現行一銭八厘を二銭に上げる程度考えているわけでございます。それから産業資金につきましては、二銭五厘までいき得るように考えております。これは大体市中一般金利についての金利調整法に基く金利の協定と歩調を合わせたものでございます。  それから復金の收支状況につきましては、御配付申し上げました資料の中の諸勘定残高表というのは、昨年末の現在でございますので、これによりまして御了承いただきたいと思います。ただ一つお断りいたしておきますのは、貸方の損益金のところに四億七千九百万円ばかりの計上をされているのでありまして、一見いたしますと、普通の金融機関と同様に、これがそのまま益金であるというように見られるおそれがあるのでありますが、その中にはいろいろな勘定がはいつおりますので、普通の銀行等のバランス・シートと違いまして、これはそのまま益金というふうには見られないという点だけ申し上げておきます。
  46. 川合彰武

    ○川合委員 先ほどからの御質問の中に、かつまた前國会におきましても、復金中小企業に対するところの融資計画なり、また実績が振わないということがるる指摘されたわけでありますが、先ほどの御説明によりますと、第三四半期におきましては、計画よりも融資実績の方が、多いということを承つてわれわれは喜んでいるわけでありますが、御承知の通り今後における中小産業のウエイトというものは、相当われわれは高く評價しているわけであります。それに比べまして、今回の増資にあたつて、なおかつごくわずかの中小工業に対する融資予定しかないということを先ほど承つたのでありますが、われわれは中小商工業に対する今後の活動発展というものを非常に期待いたしているのであります。なお今回商工省においては、新聞紙上に博えられるところによれば、中小企業廳を設け、そうして中小企業の発展を助長したい、かような意向をもつているようでありますが、はたして復金中小企業金融が、この程度で満足できるかどうかということは、われわれとてても大いに疑問に思うわけであります。なお商工省としては、中小企業金融打開のために商工金融金庫を今後大いに拡大強化したいということが新聞紙上に出ておるのでありますが、この復興金融金庫増資の問題と、今後の中小企業金融とは、密接な関連があると思われますので、特に商工省の方の説明をしていただきたい、かように考えております。
  47. 松田太郎

    松田政府委員 ただいまの中小企業の今後のあり方につきましては、お話のように商工省といたしましても、今後財閥の解体、あるいは経済力集中排除法の実施、企業再建整備法の施行等いろいろな観点からいたしまして、日本の産業の形態というものが、いわゆる從來の大企業というものが逐次その姿を消してしまいまして、いわゆる中小企業というものが、今後の産業の中核をなしてまいるものと確信いたしておるのであります。そういう意味におきまして、この中小企業の振興ということにつきましては政府としてもできるだけの力を注ぎたいと思つております。ただ御承知のまうに、今日の財政面あるいは資材面という点から申しまして、中小企業であればいかなる中小企業に対しても、できるだけの御援助を申し上げるということは、今日の経済情勢から申しまして、いたしかねるのであります。從いまして、そこにあるいは輸出産業というものと結びつけるとか、あるいは國内必需物資の生産事業というものと結びつけるとか、同時にそれが今日の國家的な重要な使命を果し得るような方向に中小企業を結びつけてまいりまして、そういう意味でその線に沿つて政府としてはでさるだけの努力、援助をしてまいりたい、かように考えております。そういう意味で、從來商工省関係の所管事業にしましても、大企業中小企業、いろいろごつたになりまして、それぞれの関係の局で所管しておりますので、この際責任をもつた長官のもとにこういう中小企業に対する資材、資金面、その他技術の向上、品質の改善というような点を統轄してまいりたい、こういう意味中小企業廳をつくりたいと思つておるのであります。それにつきましては、近くこの國会中小企業廳案を提出しまして、皆様方の力強い御協力のもとに御審議をお願いしたいと思つておるのであります。從いまして、一方においてそういう機構をつくりますと同時に、ただいまお話のこの金融問題が非常に大きな問題になつてくるのでありますが、お話のように、從來の復興金融金庫におきましての中小企業に対する金融のあり方が、もう一つ活発を欠いておるのではないかという点を御指摘をいただいたのでありますが、先ほど來大藏御当局の方から種々御説明がございましたように、今日中小企業に関しましては、復興金融金庫におきましても、特に中小金融部というものを設けてもらつておりまして、毎四半期中小企業に対してはこれくらいのところであろうという一應のめやすをつけておりますが、実績等はただいまもお話がございましたように、上まわつておる向きがあるのであります。また今度の増資につきましても、できるだけ中小企業の面についての金融を殖やしてまいるように、商工当局といたしましても、十分その点は努力いたしておるのでありますが、なおこの問題を先ほど申しましたような線に沿つて中小企業金融問題を解決いたしてまいますためには、從來常に國会あたりでも、その点についてお話のございます中小企業の特別な金融機関というものをさらに強化するなり、独立のものをつくる必要があるのではないか。これにつきましては、御承知のように、今日商工組合中央金庫というものがございますが、その資本金その他運営上の制約等からいたしますと、なかなか商工組合中央金庫の今日の現状では、中小企業に対する満足のいくようなお手傳いはできないのでありますから、從いまして、この商工組合中央金庫の機構なり内容なりを、さらに拡充強化する方向でまいりますか、あるいはそういうものを含めました別途の中小企業に対する專門の金融機関をつくりますか、そういうことについて、ただいま特に大藏当局といろいろお打合せいたしまして、政府部内でその点について愼重研究いたしておるのであります。成案」を得ますれば、本國会にその問題についても御提案を申し上げまして、御批判並びに御審議をいただきたいと思つておるのであります。いずれにいたしましても、復金における中小金融の仕事についても、できるだけお話のような線に沿つて今後もまいりたいと思つております。なお必要に應じて、さらに積極的に今申しましたような機構についても、目下愼重に檢討いたしておる次第であります。
  48. 川合彰武

    ○川合委員 ただいま松田政府委員から、中小企業に対する商工省としての積極的ないろいろな今後の後方策の御説明がありまして、私は非常に力強く感するわけであります。今まで各省におきまして、この復金融資に関して、いろいろなわくがある。しかも商工省なら商工省として、繊維局はこれだ、また鉄鋼局はこれだというようなわくがあるというようにいたしまして、たとえば織物については復金の許可は繊維局から、ところがそれに対して商工省としての資金わくがないというようにして、実際繊維計画がおくれるというようなことも聞いておるわけであります。殊に地方の商工局においては、私どもがこの國会においていろいろ大藏当局なりあるいまたは商工当局と質疑し、また御懇談した結果とは別個のことが、地方商工局の方でかれこれと言われておるように開いておるのであります。商工省としては、そういうような資金わくというような考え方を、依然としておもちになつておるかどうか、この機会に商工当局の説明があればさいわいであります。
  49. 松田太郎

    松田政府委員 商工省所管の産業についての復輿金融におけるわくの問題につきましては、一應各四半期金融考えます場合に、各産業について、大体今期はどの程度要るかということは、十分檢討いたしまして、その上で政府全体として決定をするのでありまして、從つて一應のわくと申しますか、めやすと申しますか、これはそういう意味で立てるのであります。しかしながら、実際仕事をしてまいります上において、一つ計画に対しては、やはり実行上一方においてはそれほど必要でない場合もございましようし、また他方においては、それではとうてい足りぬというような事情も、今日の経済情勢の刻々と変化する実情においてはございますので、そういう場合においては、商工省といたしまして、できるだけその間の資金融通というものをはかるようにいたしますし、また特にそれでも足りぬというような場合については、翌期等において、できるだけ速やかにそういつたものについて増加ができるように、その次のわくと申しますか、めやすをおくときに考えておるのでありますが、何分にも今日の財政状態その他の点からいたしまして、お話のように一つ一つつてみますと、御満足のいかぬような面もあるのでありますが、それについては、ただいまのところ、商工省といたしまして、各業種間の彼此融通ができます限りにおきましては、今申しましたような線に沿うて努力をいたしておるのであります。また特別に問題がございまして、非常に疑問であるというような点がございましたら、また具体的問題としてお話を承りたいと思うのでありますが、一應一般的に申し上げますならば、今のような次第にいたしておる次第であります。いますが、先ほど政務次官の御説明の中に、第四・四半期におけるところの復金の資本金の増加額というものはもつと希望たいけれども、いろいろな事情を勘案して、今回のような額に止めるというようなお話を承つたのであります。そういたしますると、日本の現在のいろいろな産業経済計画というものは、一應計画性をもつて進んでおるということは、きのうの本会議における和田國務大臣の答弁にもあつた通りでありますし、またわれわれもかように考えておるのでありまするが、しかしながら、今回の復金の資本金の増加額というものが、これをカットしたということを考えたときにおいて、資金の面のみを考えて、他の資材というようなことを考えだかどうか。われわれとしては、何も復金の資本金が急に多くなることを必ずしも忌避するものではなく、日本の産業経済の復興というものが顯著に進み得ます場合においては、われわれは必要な資金を当然供給しなければならない。しかるに当然必要な資金を、復興金融金庫の資本金を急激に増大することは避けなければならないというような観点から圧縮したかどうか。つまり資材の面においては相当供給力があるにかかわらず、資金の面においてこれをカットしたというようなことはないかどうかということを、まずお伺いしたいと思います。
  50. 小坂善太郎

    小坂政府委員 お答え申し上げます。ただいまのお話で、われわれの立場を非常に御了解いただいていることを感謝いたしますが、われわれといたしましては、資材とのにらみ合わせにおいて、特に減額したいということはないのでありまして、問題は新設せられます公團、あるいは先ほど塚田さんからも御注意がありましたように、運轉資金をできるだけ減額していきたい、こういう趣旨に則りまして、その一應の計画について、われわれの趣旨からこの減額を主張し、かくきまつたような次第であります。何とぞ御了解を願います。
  51. 川合彰武

    ○川合委員 昨日の懇談会の席において直接復興金融金庫理事長にも申し上げたのでありますが、われわれは前國会のときにおいても、可及的に保証貸付というような形態をとることが望ましいということを申し上げ、かつまた復興金融金庫においても、この方面に御努力くだざつておるのでありまするが、手もとにまいつた資料によりますれば、保証貸付というものはわずか七千九百万円程度しか出ていないようになつております。私は昨日も申し上げました通りに、これはせつかく復興金融金庫の方で御努力くださつても、これを受け入れる市中銀行なり、他の銀行がこの保証貸付の制度に対する協力的態度ない限り、なかなかこれは成功し得ないと思うのでありますが、この保証貸付の慫慂と申しますか、あるいは一般金融機関のこれに対する協力を望むことに対して、大藏当局はどういうふうな手を打つているか、お伺いしたいと思います。
  52. 愛知揆一

    愛知政府委員 資料の上では、実際にその手続が完了いたしましたものだけを載せているのでありますから、大体十二月末までの保証融資の話が済んでおりますものは、大体三十二億だと思います。これは保証するということの約束ができただけで、現実に金が出ているものもほとんど大部分だろうと思います。保証契約が済んでおりませんので、この資料の上に非常に少く計上されてあるのであります。なお一月から三月までの見込みでは、大体十六億程度の保証融資見込みがあるはずであります。これは先ほどもちよつと申しましたように、復金の当局と日銀資金斡旋部と、非常に緊密に連絡をいたしまして、なお市中銀行地方細行等の協力を得て、最近非常に円滑に進んでいるように承知しております。
  53. 川合彰武

    ○川合委員 これは根本問題でありますが、復金赤字金融の穴埋めに関する大藏当局の見透しというようなことをお伺いしたいと思います。
  54. 小坂善太郎

    小坂政府委員 先ほどいろいろ御質疑中にもお答え申し上げましたように、われわれといたしましては、できる限りこの穴埋めを早くいたしだいと考えておりますが、同時に貸付けます際におきまして、できる限り放漫なる貸付をなさないような配慮をいたしているのであります。しかしながら、この経済状態全般のしりが金融にきているというような現況でございまして、われわれといたしましては、さしあたつての問題として、この補給金が出ましたものについては、取りあえず補給金を配付してもらう、また價格改訂が行われましたならば、その價格改訂によつて返金のでき得る可能性を算出いたしまして返金を求めるというふうに考えている次第であります。また貸付けます際に、できる限りその事業計画に基きましての事業の遂行状態と勘案して、その当初の計画の線に沿うた返金を求めていくというようなことを励行したい、かように考えております。
  55. 川合彰武

    ○川合委員 これは枝術的な問題になるわけでありますし、かつまた先ほど塚田委員からも質問があつたわけでありますが、資金の効率という面から考えるときにおきましては、市中銀行から融資された資金効率と、復金からの資金効率とは、明らかに差異があるというふうに、われわれは見ております。その差異がある原因については、先ほどからの御説明によつてわれわれも了解し、納得しておるわけでありますが、そこで問題は、市中銀行は預金業務をもつている。しかもその預金業務をもつことによつて、それが資金の効率に影響してくるというふうに一應考えられるわけであります。そこでそういうことが日本全体の資金効率を高め、それによつて幾分なりともインフレを抑止するというような観点から、復興金融金庫に預金業務を扱わしめるということ、それによつて同時にまた監査事務を一層効果あらしめるということが考えられるけれども復興金融金庫に預金業務を併設するということは、当局として考えられているかどうかということを承りたい。
  56. 愛知揆一

    愛知政府委員 この点は先ほど私も申しましたように、実は預金がとれれば復金融資状態が捕捉できまして、非常に都合のよい面があるのでありますが、一面におきまして他の金融機関との関係におきまして、非常に徴妙な問題があるかと思います。両方の立場を十分檢討いたしまして、いろいろ研究もいたしておるわけでありますが、なお御趣旨によりまして、その研究を促進いたしたいと考えます。
  57. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 川合君、ちよつと運輸大臣がお急ぎのようですし、塚田さんから御質問がありますから……。
  58. 塚田十一郎

    ○塚田委員 運輸大臣御多忙のところ、わざわざ御出席を願つて恐縮でありますが、実は本日新聞紙上で拝見いたしました鉄道運賃の値上の問題に関連いたしまして、お尋ねいたしたいと考えた次第であります。それは今度の運賃値上が官公吏の〇・八箇月分の手当を拂うのに、どうしても財源がないということのために、運賃値上を急速に実行する、こういうふうになつたように報道されておるのであります。しかし私はもしも官業が運賃を値上しなければならないという事情があるとすれば、そういう判断は別個の観点からさるべきものである。言葉をかえて申し上げますならば、官業自体として見て、まだ安いとか高いとか、それがまた國家経済、國民経済全体として見て、これはどうももつと上げなければならぬとか、そんなに上げちやならぬとか判断するならば、これはおのずから別なのでありまして、官吏全体の給與の財源がないということであつても、全然上げる理由にならない。かように実は考えるわけであります。それと関連いたしまして、官業というものは、これは政府の独立採算制をとるのだというておられるが、せひ一日も早くそうなることを私ども期待しておるのであります。從つてそういうような観点から、政府の事業の料金値上というものは、私はどう考えても財政法第三條が規定しておりますように、これは國会に当然かけるべきものであり、どうしてもそれ以外の方法でやつちやならぬものであるということを固く信じておる。たまたまそういう点につきましては、社会党の政務調査会長の鈴木議員も同じ意見であるようであり、殊にただいま御質問申し上げた問題についても、社会党から大藏大臣に対してそういう申入れがあつたということも新聞で見て承知いたしておるのであります。ちようど同じような考え方であるわけでありますが、それらの点について、政府がどういうふうにお考えになつておるか、この点について御意見を伺いたい。
  59. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 ただいま塚田委員の御質問は、御趣旨は私も全然同感でございまして、まず第一点、財政法第三條と運賃の値上の関係でございますが、これは私は國会の御承認を経てやる方式をとることがよろしいと存じております。ところがただいまのところでは、財政法第三條の例外におかれておりまして、現在では國会の承認を経ることなしに決定し得る状態になつております。法規的にはそうでございますけれども、これは私の一つ考え方といたしましては、お話のごとく、たとえば鉄道運賃を上げるということは、國民生活全般に非常に廣く大きな影響を與えるのでありますし、また物價全体にも影響するところが大きいのでございますから、かような問題については、法規的にはいかにもあれ、運輸交通委員会、財政金融委員会等に対しては、御納得のいくように御説明申し上げて了解し得ることにいたしたい。そうしてなるべく今の例外規定をなくするようにいたしたい。いかなる場合でも運賃の改訂については、國会の議を経るという本來の建前に帰るべきであると私は存じておるのでありまして、たとえ現行法規には例外におかれておるので、法案として正式に取扱うことは困難であると思いますけれども、御了解を得て、いわば語弊があるかもわかりませんけれども、この運輸交通委員会は特別の相談相手になつているといるというようなわけで、われわれは腹を割つて御相談申し上げるようにしたいと思つております。  それから運賃の値上その他についてでありますが、これはお話のごとく、官公吏の待遇改善のための財源として運賃を値上げするということならば、私も運輸大臣として反対でございますが、そういうような意味ではございません。國鉄の現状というものは、御承知の通り非常に荒廃を極めている。これを何とかして再建しなければならず、また輸送力を増強して、独立採算制の観点から申しますと、收入増をはからなければならぬということと、同時にまた節約すべき面については十分節約しなければならぬ。こういうような点について独立採算制というものを有効に取扱つていかなければならぬと思うのでありますが、それだけでいける限度と、どうしても運賃の値上によらなければならぬ点とがございまして、この運賃の値上は、國全体の財政の面から考えましても、また國鉄そのもののいわゆる独立採算制の建前と、両面あると思うのでありすが、こういう面から、今は好ましからざることでございますし、物價にも重大な影響を與えますし、國民生活に至大の関係をもつのでありますから、避けられるならば避けたいと思いますけれども、今の現状では、運賃改訂はまことにやむを得ないというようなところに追いこまれている。それでただお話のごとく〇・八箇月分を拂いますために、まずイージー・ゴーイングで運賃値上をやるというようなことは、今は毛頭思つておりません。その点は全然そうでなくて、ただわれわれの考えといたしましては、運賃改訂に当つて、物價全体の修正を要する段階にきている。從つて物價全体を作成する場合に、物價の中の一つのフアクターである運賃をどうするというような考え方と同時に、鉄道自体の経理、この両面から運賃を勘案いたしたい、かように考えておるのであります。今回のことはしばらく別として、緊急やむを得ざる三月までに追加予算を出す場合に、その中にむろん〇・八は含む、さしあたり必要な運賃の値上は含んでくるのでありまして、一應この解釈は両面には出てきておりますが、これは何も〇・八箇月を拂うために鉄道運賃を上げるということではございません。それは塚田委員のお考えと私の考えておることは全然同一でありますので、さよう御了承を願いたいと思います。
  60. 川合彰武

    ○川合委員 関連質問として大藏当局にお伺いしたいのは、やみ金融というものが盛んに行われている。これは市中の高利貸のやるやみ金融ならば、大藏当局には何らの責任も一應はないわけでありますが、こういうような技術的な方法によつて、銀行においてやみ金融が行われておるということは、一應御警告申し上げたいと思うのであります。御承知の通り、銀行金融機関は、締後の貸出ということを連絡してやることによつて金融をする。しかもそれは高い利子で帳簿の上に出さずにやつていくというようなことが、実際に行われておるとわれわれは見ているが、これらに対して、大藏当局としてはどういうような檢査監督を行つて、第一線の各銀行の支店なりにおける貸出に対するいろいろな取締り、同時に銀行員の不正手段により利益を得るようなことについて、どうお考えになつておりますか。この機会に伺つておきたい。
  61. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいまのお話は、私どももよく耳にいたすのでありますが、何分にも私どもとして、非常に具体的な事例をつかみ得ない問題でございまして、ただいまのところ、まだかくかくにやつてかくのごとき結果を得たというものはございません。また場合によりましては、これは銀行の檢査とか、金融機関の経理の檢査だけでは十分に捕捉できない性質のものでございますので、実はいろいろ関係方面とも連絡をとりまして、その実体を捕捉するようにいろいろ考えておりますが、まだ報告申し上げるまでのものは、残念ながらもつておりません。なお御質問の範囲外になると思いますが、金融行政というなものもよりより檢討中でございます。さような場合におきましては、いわゆるやみ金融等についても、何らかの制裁措置が法的に行われ得るような法制上の準備をいたさなければならぬと考えておる次第であります。
  62. 川合彰武

    ○川合委員 まだ質問はありますけれども、本日は大分遅いようですから、この程度にして打切つたらいかがかと思います。
  63. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 ただいま打切つたらどうかという御動議がありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。明日は午後一時から続行いたしたいと存じます。     午後三時三十九分散会