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1948-03-26 第2回国会 衆議院 国土計画委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十六日(金曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 荒木萬壽夫君    理事 細野三千雄君 理事 松井 豊吉君    理事 内海 安吉君       伊瀬幸太郎君    溝淵松太郎君       守田 道輔君    山本 幸一君       東  舜英君    鈴木 明良君       村瀬 宣親君    鈴木 仙八君       高田 弥市君    野原 正勝君       野本 品吉君    高倉 定助君  出席國務大臣         國 務 大 臣 一松 定吉君  出席政府委員         総理廰技官   目黒 清雄君         大藏事務官   河野 通一君  委員外出席者         農 林 技 官 櫻井 志郎君         專門調査員   西畑 正倫君     ――――――――――――― 二月二十三日  木俣川砂防工事施行請願小平久雄君外一名  紹介)(第六号)  藤川砂防工事施行請願小平久雄君外一名紹  介)(第七号)  大谷川砂防工事施行請願小平久雄君外一名  紹介)(第八号)  鶴見川改修工事施行請願門司亮紹介)(  第一三号)  関東地方水害復旧費國庫補助請願田口助太  郎君外二名紹介)(第一四号)  福島町の災害復興助成請願冨永格五郎君紹  介)(第二〇号)  碓氷川改修工事施行請願中曽根康弘君紹  介)(第三八号)  函館、臼尻間道路開設請願冨永格五郎君紹  介)(第四一号)  大水トンネル開通請願周東英雄君外一名紹  介)(第四三号)  鈴鹿川上流改修工事施行請願田中久雄君紹  介)(第四五号)  小樽市手宮貯炭場開放請願椎熊三郎君紹  介)(第五二号)  大津茂改修工事促進請願木下榮君外一名  紹介)(第五四号)  興除村上水道敷設工事費國庫補助請願(星島  二郎君外一名紹介)(第五六号)  君ヶ野川砂防工事施行請願村上清治君紹  介)(第五七号)  青森港修築促進請願山崎岩男紹介)(第  六二号)  斜里川改修工事施行請願永井勝次郎君外一  名紹介)(第七二号)  米代川下流改修工事施行請願石田博英君紹  介)(第七九号)  脇岬港修築請願若松虎雄君外一名紹介)(  第八〇号) 三月十六日  五島を國立公園指定請願西村久之事紹  介)(第八一号)  多田野村字休石より三森峠を経て中野村に至る  間の道路開設請願原孝吉紹介)(第八三  号)  茨城縣災害復旧費國庫補助請願(原彪君紹  介)(第八九号)  馬淵川改修工事施行請願苫米地義三君外二  名紹介)(第九二号)  唐津港修築促進請願中村又一紹介)(第  九三号)  奈井江村地先の石狩川に橋梁架設請願(北二  郎君外六名紹介)(第九六号)  淺川港修築請願岡田勢一君紹介)(第一〇  三号)  利根、渡良瀬、思川三河川改修工事施行の請  願(石田博英紹介)(第一〇四号)  綾川下流改修工事促進請願福田繁芳君紹  介)(第一〇五号)  三田尻港修築促進請願守田道輔君紹介)(  第一〇七号)  島田川上流改修工事施行請願守田道輔君紹  介)(第一一二号)  光市室積港を中心とする西部瀬戸内海國立公  園に指定請願守田道輔君紹介)(第一一三  号)  天神川改修工事促進請願庄司彦男君紹介)  (第一一五号)  秋吉台を国立公園指定請願今澄勇君紹  介)(第一一六号)  佐渡川改修工事促進請願守田道輔君紹介)  (第一二四号)  森、犬居間道路改修請願竹山祐太郎君紹  介)(第一二七号)  四日市港に重油等液体燃料輸入基地設定に関す  る請願水谷昇君外七名紹介)(第一三〇号)  岩崎川砂防工事施行請願野原正勝君外一名  紹介)(第一三二号)  大里郡東部の利根川堤防補強工事施行その他に  関する請願馬場秀夫紹介)(第一三三号)  奥尻、湯浜間道路開設請願冨永格五郎君紹  介)(第一四三号)  伊萬里湾石炭積込施設築設の請願森直次君  外四名紹介)(第一五八号)  呼子港修築請願中村又一君外一名紹介)(  第一五九号)  厚眞川改修工事継続施行請願三好竹勇君紹  介)(第一七一号)  入鹿別川河口切替工事施行請願三好竹勇君  紹介)(第一七二号)  厚眞川上流にダム築設の請願三好竹勇君紹  介)(第一七三号)  浜厚眞穂別間道路改修請願三好竹勇君紹  介)(第一七四号)  膽振支廰東部地区内七道路の開設又は改修の請  願(三好竹勇紹介)(第一七八号)  戸次、坂ノ市間道路改修請願梅林時雄君紹  介)(第一八〇号)  尾田川改修工事継続請願梅林時雄紹介)  (第一八一号)  津久見港を開港場指定請願梅林時雄君紹  介)(第一八四号) 三月二十五日  二股川改修工事施行請願内海安吉紹介)  (第一九二号)  伊丹市の都市計画案反対請願原健三郎君紹  介)(第一九四号)  丸亀市附近國道改修工事促進請願福田繁芳  君紹介)(第一九五号)  三國國道改修工事促進請願松井豊吉君外一  名紹介)(第一九八号)  川口川砂防工事施行請願栗山長次郎君紹  介)(第二〇〇号)  落部、清水間道路改修促進請願冨永格五郎  君外一名紹介)(第二〇一号)  谷地川砂防工事施行請願栗山長次郎君紹  介)(第二〇三号)  大栗川砂防工事施行請願栗山長次郎君紹  介)(第二〇四号)  大竹、浜田港間道路改修促進請願松本瀧藏  君外二名紹介)(第二〇七号)  五家荘産業道路開発請願坂田道太君外一名  紹介)(第二一〇号)  大泊港を地方指定港に認定の請願前田郁君紹  介)(第二一四号)  四日市關間道路改修請願田中久雄君紹  介)(第二一六号)  利根川治水工事施行請願関根久藏君外一名  紹介)(第二二五号)  三浦半島一帯国立公園指定請願小暮藤  三郎君外一名紹介)(第二二七号)  飛騨川上流砂防工事施行請願岡村利右衞門  君紹介)(第二四五号)  大川町地先の筑後川に橋梁架設請願荒木萬  壽夫君紹介)(第二五二号)  下竪事田、米水津間の道路を縣道に編入の請願  (村上勇紹介)(第二五三号)  會津川及び芳養川砂防工事施行請願早川崇  君紹介)(第二五五号)  里川砂防工事施行請願梁井淳二紹介)(  第二六〇号)  石谷川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二六四号)  錦織村地先の北上川に橋梁架設促進請願(内  海安吉紹介)(第二六六号)  奥山川砂防工事促進請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二六七号)  西川砂防工事促進請願多賀安郎君外六名紹  介)(第二六八号)  岡山縣における地方産業開発道路改修費國庫補  助の請願多賀安郎君外六名紹介)(第二七二  号)  岡山縣における災害防除施設費並びに中小河川  改修費國庫補助請願多賀安郎君外六名紹  介)(第二七三号)  岡山縣災害復旧費國庫補助増額請願多賀  安郎君外六名紹介)(第二七四号)  岡山縣昭和二十三年度地方港湾修築費國庫補  助の請願多賀安郎君外六名紹介)(第二七五  号)  岡山縣昭和二十三年度砂防工事費國庫補助増  額の請願多賀安郎君外六名紹介)(第二七六  号)  岡山縣下三國道改修請願多賀安郎君外六  名紹介)(第二七七号)  砂川及び血吸川砂防工事施行請願多賀安郎  君外六名紹介)(第二七八号)  田羽根川砂防工事施行請願多賀安郎君外六  名紹介)(第二七九号)  鳴谷川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二八〇号)  長屋川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二八一号)  植杉川及び山乘川砂防工事施行請願多賀安  郎君外六名紹介)(第二八二号)  日本川及び余川砂防工事施行請願多賀安郎  君外六名紹介)(第二八三号)  黒谷川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二八四号)  西河内川砂防工事施行請願多賀事安郎君外  六名紹介)(第二八五号)  小松谷川改修工事施行請願多賀安郎君外六  名紹介)(第二八六号)  高尾川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二八七号)  岡山縣特殊地域開発調査費國庫補助請願(多  賀安郎君外六名紹介)(第二八八号)  吉井川及び旭川改修工事促進請願多賀安郎  君外六名紹介)(第二八九号)  後樂園復旧費國庫補助増額請願多賀安郎君  外六名紹介)(第二九一号)  井原川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二九二号)  塩谷川砂防事工事施行請願多賀安郎君外六  名紹介)(第二九三号)  瀬戸内海國立公園施設整備に関する請願多賀  安郎君外六名紹介)(第二九四号)  岡山市の戦災復興に関する請願多事賀安郎君  外六名紹介)(第二九五号)  西山川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二九六号)  地藏谷川砂防工事施行請願多賀安郎君外六  名紹介)(第二九七号)  奥山川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第二九八号)  東川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名紹  介)(第二九九号)  日本川及び白賀川砂防工事施行請願事多賀  安郎君外六名紹介)(第三〇〇号)  粟井川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第三〇一号)  高梁川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第三〇二号)  粟谷川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第三〇三号)  黒谷川砂防工事施行請願多賀安郎外大福  紹介)(第三〇四号)  高尾川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第三〇五号)  津黒川砂防工事施行請願多賀安郎君外六名  紹介)(第三〇六号) の審査を本委員会に付託された。 三月十三日  災害復旧土木費國庫補助金の交付に関する陳情  書  (第一五号)  淀川・大和川の治水並びに治山事業促進に関  する陳情書(第一七  号)  観音寺港棧橋復旧工事設計変更に関する陳情書  (第一八号)  西大阪防潮復興対策に関する陳情書  (第一九号)  出石川改修に関する陳情書  (第二七号)  福島縣災害復旧に関する陳情書  (第三〇  号)  戰災復興事業国庫補助増額に関する陳情書  (第五一号)  戰災復旧並びに疎開地復興促進に関する陳情  書  (第五二号)  水害復旧促進に関する陳情書  (第六八号)  長野縣における綜合土木事業計画実施助成に関  する陳情書  (第七四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  災害復旧並びに河川改修等に関する  二十三年度予算に関する件     ―――――――――――――
  2. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 これより会議を開きます。  本日は災害復旧並びに河川改修等に関する二十三年度予算について、当局より説明を聽取する予定であります。まず建設院当局よりの説明を求めます。
  3. 目黒清雄

    目黒政府委員 それでは、まだはつきりいたしませんが、四月の暫定予算の内容を御説明いたします。  二十三年度のわれわれの大藏省に対する要求額は、大体総額が二百億円であります。それはいろいろの状態を算定いたしましてこの金を出したのであります。大体におきまして過去のいろいろの状態から察知いたしまして、われわれは治水治山の五箇年計画を樹立いたしたのであります。この五箇年計画を初年度二百万円程度において、これを実行いたさなければ、とうてい現存荒廃しつつある國土を護ることができないという意味で、提出いたしたわけでありまするが、これに対しましてこれを河川一般費用と、災害とに分けて考えてみますると、河川一般に対しましては六十八億を要求したのであります。それに対しまして四月の暫定予算は約九千七百万円程度になりそうであります。災害につききましては百四億程度要求でありまするが、四月の暫定予算は二億八千万円程度になろうとしております。それで問題になりますのは、この災害復旧状態であります。すでに皆さんの方からもお声がありますると同様に、現在災害は、各地方におきましてはこの復旧相当犠牲を拂つておるのであります。すなわち地元民の奉仕によりまして、労力を提供してもらうところもあり、あるいは農業組合その他の團体から融資をして、一時の工事費に充てるというところもあり、極端なところになりますると、町村の吏員の俸給さえもこれに充当したという例も聞くことであります。そういうようなことによりまして、現在工事進捗状況は二十数億の支拂い不足額を生じておるような次第であります。この二十数億に対しまして、さしあたり暫定予算として二億八千万円という少額でありまするので、この借金しました金の支拂いの方法に、われわれは苦慮せざるを得ないのであります。しかも元來この災害復旧工事というものは、御承知通りに夏季の出水前にある程度進捗を見なければ、地方民の不安を招くことが明らかであります。年間の予算の確定を見ますれば、われわれは四、五、六の三箇月間において、ある程度工事進捗をはかることができますが、四月一箇月の予算ということになりますと、この方針も計画も立たないという状態であるのであります。現在われわれが苦慮いたしておりまする点は以上の点でありまするが、われわれはこれに対して不満足でありまするが、この四月の一箇月分の予算をいかに有効に使うかということを、今後研究していきたいと考えております。簡單でありまするが、現状を御説明申し上げた次第であります。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 御質疑等ございましたら、御発言を願います。質問の通告がございます。野本品吉君。
  5. 野本品吉

    野本委員 今各省からみなおいでになつておりますか。
  6. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 ただいまは建設院農林当局だけでありますが、おつつけ大藏安本当局もみえる予定になつております。
  7. 野本品吉

    野本委員 災害復旧に関しましては國民が非常に大きな関心をもつているのでありまして、この処置が適当に行われるかどうかということは、國民生活全体に非常な影響をもつておりますし、また民心に與える影響も非常に大きいものがありますので、私は幾つかこの点につきましてお伺いしまして、そうして國民をして納得せしむるに足る御答弁をお伺いし、またわれわれ災害地の者と直接いたします者といたしましては、その眞相を傳えて、災害地人たちにうなづかしめるだけのものをもつて帰らなければどうにもならぬので、幾つかの点につきまして質問いたしたいと思います。  最初に私は、今まで災害関係費用がどの程度に出されたかにつきまして、一應振返つてみたいと思う。二十二年度の都道府縣の災害に関する補助といたしましては、建設院関係といたしましては百九億六千万円、農林省関係といたしましては十八億円、合計百二十七億円程度を必要な事業費として計上されていたようであります。この必要な事業費に対しまして決定されたものの大体は、建設院関係において追加予算が十億二千五百万円、農林省関係において五億四千四百万円。予算外国庫負担といたしまして、建設院関係で六億六千万円、農林省関係で二億五千万円、これを合計いたしまして二十四億七千九百万円程度になろうと思う。これを見ますと、当局が必要な事業費として計上されましたものの、約二割に相当する額だけきり決定されておらないのであります。また、ただいま御説明によりますと、建設院関係におきまして、三月末までに五十億入用だ。そうして不足額が三十億ある、これをどうするかということに苦慮せられておるそうでありますが、こういうような数字を見て、一体これで復旧ができるのか、できないのかということは、子供でもわかつておるのでありまして、これでは問題にならぬと思う。それで私ども災害地に生活しておる者の常識といたしまして、水害復旧は長くも二年ないし三箇年間に完成しなければ、もと投じました費用が全然むだになつてしまうことは、一般の経験しておるところであります。こういうようなことでどういうふうにして災害復旧するのか、まことにただいまお話のありましたように、憂慮にたえないものがある。今のようなぐあいでいきますと、昨年、二十二年度において支出した金はまつたく水泡に帰します。それから二十三年度にまた恐るべき水害をこうむるのであろうことは、当然予想しなければならないのでありまして、何としても最少限度復旧仕事を遂げなければならない、かように思う。でこれらの点につきまして、当局の方ではどういうふうにお考えになつておられるか、五箇年計画を立てられておるそうでありますが、こんなことでは問題にならぬ。一体そういうふうな隘路と申しますか、これを実施することのできない事情がどこにありますか、一應お伺いしたいと思う。
  8. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいま五箇年計画と申し上げましたのは、改良的河川改修の五箇年計画でありまして、災害につきましては、われわれはこれを早急に解決しなければならぬという意味で、來年度の予算要求には、二十二年度災害は二十三、二十四年で大体復旧いたしたい、こういうふうな要求をいたしております。大体百億の予算のうちに五十億近くの要求を一應出しておるのでございます。しかしながら、われわれの主張がなかなか事務当局の容れるところとなりませんで、現在のようなみじめな状態になつております。まことにその点はわれわれも力の足らぬことを嘆いておるのでありまするが、いかんせん現在の状態でありまするので、非常に残念でありまするが、われわれは機会あるごとにできるだけその点を事務当局要求いたしたいと考えております。
  9. 野本品吉

    野本委員 なお農林省関係でありますが、農地用排水復旧のその後の状況につきまして、その大体を伺いたいと思います。
  10. 櫻井志郎

    櫻井説明員 農林省関係復旧状態でございますが、先ほどお話がありましたように二十二年水害につきましては、二十二年度内に事業費にして十八億円程度復旧は是が非でもやりたい、かような決心をもつてかかりましたが、いかんせん、今日まで承認されました予算は、わずかに四億七千五百万円程度であります。しかし農民皆様方復旧の意欲が非常に熾烈でありまして、現在その数字を私ははつきり承知いたしておりませんが、一月末までの復旧状態は、すでに約十億の費用を消費いたしております。定率の補助金に直しましても、すでに政府責任といたしまして、六億程度補助金を支出しなければならぬ状態にまで立ち至つております。政府のやり方が非常に遅滯いたしておるにもかかわりませず、現地復旧は割合よく進んでおるというように御承知願いたいと思います。
  11. 野本品吉

    野本委員 農林省関係においては、先ほど水政局長お話のような仕事を進めるために金を出してしまつたあと金が足りなくてどうすることもできないというような事情はありませんか。
  12. 櫻井志郎

    櫻井説明員 農林省関係復旧は全部補助事業でありますので、その資金の調達に地元では非常に苦慮せられております。御承知のごとく、現在農業会が解散し、あるいは解散のことがきまつておりまして、農村方面金融が非常に逼迫いたしております。私ども地元関係から、毎日のように補助金の問題あるいは金融の問題で責め立てられておりますので、この点におきましては建設院関係とほぼ同様でございます。
  13. 野本品吉

    野本委員 水害の直後、農林その他関係各省大臣現地に参りまして、早く復旧仕事に着手してくれ、金のことはあとで心配するからということで、非常に農民を鼓舞激励したのであります。その関係各各の大臣、その他本省から派遣されました役人の言葉は、農民は非常にこれを信頼いたしまして、あの惨澹たる中に勇を鼓して起ち上つた、そしてあらゆる犠牲拂つて復旧工事に当つて、現在の状況までやつてまいつたわけであります。今になつてみますと、農民の氣持の中には、かつての激励の言葉が單なるおだての言葉であつて政府信頼するに足らずと、政府に対する不信の声が非常に高まつております。この当然の結果は、復旧に対する熱意を欠きますし、また増産に対する努力も著しく殺がれるものと私は思う。一方において食糧の一割増産の大運動を展開するというときに、農民をかような心理状態に置くことは、食糧増産確保の面から見ましても、きわめて遺憾なことだと思う。從つて農民のこの信頼にこたえてやるだけのあらゆる努力、あらゆる誠意を政府としては示さなければならぬと思うのでありますが、この点についてのお考えはいかかですか。
  14. 櫻井志郎

    櫻井説明員 ただいまのお話につきましては、当然政府の絶大なる責任があり、その責任が現在果されておらないことは、まことに遺憾なことであります。特に先般來農林省といたしましては、一割食糧増産という太鼓をたたきしまして、その中に災害の急速なる復旧というお題目まで入れておりながら、現実面予算措置、あるいは資材措置ということにおきましては、正直に申し上げると、ただかけ声だけで、実体が一向に伴つていかないという現状になつております。私どもその点につきましては非常に責任を感じて、何とかこの二十三年度の予算に、できるだけ計上されるように希つて事務当局としては一生懸命折衝け続けております。現状は以上の通りであります。
  15. 野本品吉

    野本委員 次に開拓費農地改良あるいは災害復旧に関する費用のあんばいについて、私はお伺いしたいと思う。私ども考えでは、災害をこうむりました既墾地を、一日も早く復旧することに重点的に力をい注いでい開墾あるいは開拓の問題に、むしろこの際としては第二次的に考えることが適当ではないかと思うのでありますが、この点についての農林省のお考えはどうでありますか。
  16. 櫻井志郎

    櫻井説明員 この点につきましては、私一土地改良課長でありますので、農林省としての責任ある回答は、後日の機会に責任者からさせていただきたいと思います。いかがでありますか。
  17. 野本品吉

    野本委員 後日説明をくださるそうでありますが、私どもは、ただいま申しましたように、はつきりこの際開拓にまわすべき費用を、早急に災害地復旧に轉換すべきであるということを固く信ずるものであります。  次にお伺いしたい事柄は災害地復旧補助規定適用についてであります。これは具体的な例を私は申し上げたいと思うのであります。昨年の秋の災害に、群馬縣東部品樂郡三箇町村は、御承知通りに約二千数百町歩にわたつて冠水いたしました。刈入を前に冠水いたしましたので、農民といたしますと、どんな苦労をしてもせつかく実つた米を収穫したい、同時にそのあとへ麦をまきつけたいという考えが非常に強くあつたのであります。そうしてあらゆる犠牲を拂いまして、農林省等の御盡力もあつたのでありますが、排水設備を完備いたしまして、農民はもう不眠不休努力を続けて排水をいたしました。この結果何百町歩かの田からは予想外の米の収穫が得られたのであります。そのあとへはこれまた麦のまきつけができた、この収穫された米は供出の対象になりまして、相当量供出をいたしました。三百万円近い費用がこのためにがかつたのでありますが、さて水はかいほした、米はとれた、麦はまきつかつた、しかしかかつた費用をたれが負担するのかということが問題になつたわけであります。当然これは國の補助に期待すべきであるというので、土地農民農林省に向つて補助の申請をいたしました。ところが、この補助規定適用について、事務当局の者はきわめて事務的、形式的な解釈をいたしたのであります。と申しますのは、復旧ということは前に何か形のあるものがあつて、それが壊れたのを直して、直した形が残らなければ復旧とみるわけにはいかない、水がたまつたのをかいほしたのは、これは復旧ではない。なおかような考え方は、今まで旱害の際に金をかけてやつても、それに対する補助がなかつたのによつてもわかるだろうというお話であつた。私どもはこの説明は何としても納得ができない。それは農民努力によつて現実に収穫があつて、その收穫されたものが、供出の対象として取扱われている。当然これは農民の負担でなしに、國が負担すべきであるということを申したのでありますがその点なかなか話合いがつきませず。これは今後もあることでありますから、かような場合に実情に即した適正な臨機の処置が急速にとられなければ、農民の生産意欲、また農民努力というものが、次第々々に減退していくのではないかをおそれるものであます。これらのことにつきまして、どうお考えになつておりますか。お伺いいたします。
  18. 櫻井志郎

    櫻井説明員 ただいまのお話の件につきましては、地元農民の方々の絶大なる努力によりまして、非常なる量の米が救われたことにつきましては、私ども感謝敬服のほかないのであります。この問題につきまして、実は補助の方は縣がそれぞれの事業に補助することになつておりますが、縣当局といたされましても非常に苦慮されまして、私どもに打合せがございました。ただ先ほどもおつしやいましたように、現行の補助規定は、何らか形を残す、つまり永久に近い形を残す土木工事を伴うということで、初めて復旧ということになります。これは御説明申し上げるまでもないことでありますが、今のお話のことはそのことに該当しないので、補助規定に該当しないということになります。こういうために現行の補助規定をもつてしては、いかんともいたし難いことになつております。しかしこれは行政という面からみれば、お話通りまつたく片手おちなことになるわけであります。今後の問題として、農林省におきましても、何らかこういうことが、別の方途でも救われるような方法を研究してみなければならぬと思つております。
  19. 野本品吉

    野本委員 ただいまの補助規定の改正、もしくは行政的に実情に應じた措置をとることについての、研究を進められようとするお考えがありますことを伺いまして、私は非常に感謝するものであります。そのお考えをできるだけ早く、実際的な適用に移されますように、格段の御努力をお願いいたしたいと思います。  次にお伺いしたいと思いますことは、災害統治の租税減免の問題であります。大藏省の方がまたお見えにならぬようでありますが、農林省関係の方でおわかりになる点をお答え願いたいと思う。災害農地の租税の減免については、大体どのようにお取扱いになつてまいりましたか、一應御説明願いたい。
  20. 櫻井志郎

    櫻井説明員 はなはだ申しわけないことでありますが、私その点に関しまして十分なる知識を持ち合わしておりません。あしからず……。
  21. 野本品吉

    野本委員 私ども災害地の租税の減免に関しましては、相当な考慮を拂われるであろうということを期待いたしておりました。ところが実際の状況を見ますと、災害地に対しましても相当な徴税をされているのであります。現在災害地農民といたしますと、この点について非常に苦しんでおります。今後この問題につきましては、一つの農民の運動を起して、強力に租税の減免について動かなければならないということをしきりに言うているのでありまして、今後この点につきまして、私どもも適正な租税の減免が行われますように、農民とともに働きたいと思つております。今後の問題として一應それだけのことを申し上げて、この問題については終ります。  次にもう一つお伺いいたしたいと思いますことは、國で二月二十五、六日のころ、地方長官あてに資金融通の問題につきまして通牒を発せられております。この通牒に基きまして、災害各府縣はそれぞれ融資の問題について奔走をしたのでありますが、この融資の状況がどうなつておりますか、おわかりになる範囲でお答え願いたい。
  22. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいま詳細なる報告は受けておりませんが、なかなか融資が困難であるという情報ははいつております。大体われわれの推定では、三分の一程度ではないかと考えております。
  23. 野本品吉

    野本委員 金は來ることになつておる。しかし資金化することができない。これではまつたく画にかいたぼたもちでありまして、何の役にも立たない。これらの面について、政府はもつと積極的に指導援助の手をさし伸べていただきたいということを強く要望いたすものであります。  次に建設院の総裁がお見えになりましたから、特にはつきりお伺いしたいと思います。それは一月三十一日に各派共同提案になりますところの、水害復興の費用の追加計上に対する決議案の問題であります。あの要求がいかに切々たる災害地人たちの眞情を現はしたものであるか、またいかに災害地のこれらの人たちに対する議会の誠意の現われであるかということにつきましては、いまさら申し上げることはないと思う。当時政府から約二十億の金が融通されるということの、暗黙の間の言明があつたかに承知しているのでありますが、これに非常に期待をかけておつたにもかかわらず、現実の問題といたしましては、ほとんどなんらこたえるものがない。われわれといたしますと、心をこめて悲壯な氣持で決議しました決議が、まつたく蹂躙されているかのごとき観を呈しますので、この点に対しましては、一つには災害地人たちに申訳がないと思いますし、一つには院議が無視せられたということに対して、憤満の情を禁じ得ないのであります。これについて政府はどのようにお考えになつておられるのか、前内閣の閣僚でもあり、また現内閣の閣僚でもありまする一松國務大臣に、その間の事情に対して御説明を願いたいと思います。
  24. 一松定吉

    ○一松國務大臣 ただいま御質問の災害復興に関しまする費用、これは昨年の各地における災害状況、なかんずく群馬、栃木、埼玉、こういう方面は、直接私自分が視察いたしまして、他の災害地状況とにらみ合せまして、実にその災害の甚大であることを特に痛感をいたした一人であります。從いまして当時の建設院総裁の木村大臣が、これらの災害復興の費用に対していかに努力したかということは、私が同僚として常に閣議においてこれを確認し、私もまたこれらの実際を見聞いたしました立場上、強くこれを推進してまいつたのであります。さような状況でありますので、当時の栗栖大藏大臣におきまして、これらの点をよく了承しておりまして、許す限りの範囲内において予算を計上してまいつたのでありますが、それがどうもいろいろな事情のために、思うように実現ができなかつたことを、私は実は非常に遺憾に思つておるのであります。六・三制の問題とともに、現内閣及び前内閣の最も重要の施策の一つとしてこれを取入れてまいつたのであります。従いまして、各地方災害地の府縣の人々から、それらの実情に関して深刻なる申出のありましたたびごとに、最善の努力を盡して、これが実現を期しましようということを、何回佑お約束をした。お約束をしたが、どうもある事情のためにそれが実現が今日までできなかつた。二十二年度の追加予算にこれを計上しようとしておつたけれども、これもできませんでした。やむを得ず二十三年度の四月の暫定予算の中にでもこれを取入れよう。殊に私は六・三制の費用よりも、むしろこの災害費用の方が優先すべきものであるとまで極論をし、閣議でもこれを主張したのであります。また当時の建設院総裁の木村君も、強くこれを主張したのであります。ところが悲しむべきことには、それがどうも実現ができません。しからば暫定予算にということにして、暫定予算にも一應組んでおいたのでありますが、これもどうも実現ができません。やむを得ず今日では二十三年度の本予算の冒頭にこれを取上げるということに、これには間違いがないと私も確信しておるのであります。実はこれらの災害地方の人々が陳情にまいりまして、われわれが面会するたびごとに、もう実に九寸五分を胸に突きつけられるような感があります。しからばその原因を、明らかにこれを釈明しろということについては、遺憾ながらのどにまで出ておつて釈明ができないことを了承していただきたい。が総理大臣もこの点につきましては非常に心配をしまして、自身がそういう方面に向つて努力をし、もしくは書面によつてこれを努力してまいつたのでありますが、まだ今日まで実現の曙光を見ません。大藏大臣もしくは安本長官は、総理と一緒に、もしくは単独に、いろいろな方法を講じておりますけれども、できません。はなはだもつて申しわけありませんが、しかしこの上ながら、私は特に自分がその責任者という立場からでも、できるだけ努力をして、皆さまの御心配の万一にでもお報いいたしたい、かような決意をもつておるということだけでもつて、ひとつお許しを願いたいのであります。
  25. 野本品吉

    野本委員 災害地状況をつぶさに視察されて、災害地農民大衆と同じ心境にあられる一松國務大臣から、熱意のこもつた御答弁をいただきまして、私も満足の意を表するものであります。しかし何としても國民といたしますと、だれが考えても必要なことである。それができないのは一体どういうわけかということにつきまして、非常な疑いをもつておりますので、この点を納得せしめて、農民が正しい方向に進んでいくようにしますことは、お互いの任務であると思いますので、政府におかれましても、ただいまの御熟慮が、具体的に國民をして納得せしむるに足るだけの、諸般の方策を講ずることに遺漏のないように、最善の努力を拂われることを希望いたしまして、私は一應質問を終ります。
  26. 一松定吉

    ○一松國務大臣 ただいまの御要求ごもつともであります。できるだけの努力を拂います。但し占領下のわが國であるということに関しまして、これ以上のことは申し上げられませんが、できるだけの努力を拂つて御期待に副うようにいたしたい。かように決意しておるということだけで、御了承賜わりたいのであります。
  27. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 皆さんに申し上げます。大藏省の河野政府委員が見えております。なお安本の政府委員は電話不通のために督促が徹底しないでおりますが、いまに見えることと存じます。
  28. 野本品吉

    野本委員 災害地の徴税の問題でありますが、それはどのようにお取扱いになつておられましたか。その概要についてお話願いたいと思います。
  29. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 実は私予算の主計局の関係をやつておりますので、税の方の事柄につきまては、ちよつとお答えを申し上げる材料も資料も持つておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、必要がございましたらその方の係をお呼びいたしましようか。
  30. 野本品吉

    野本委員 それでよろしゆうございます。
  31. 荒木萬壽夫

  32. 守田道輔

    守田委員 私は災害復旧の問題について、まず第一にお尋ねしたいことは、出水期を前にしておるので、災害復旧に対しては、どうしても五月一ぱいには、何はおいてもやつていかなければならないと思いますが、それに対して五月までにどうしてもやらなければならないところの災害復旧費用が、一体幾らくらいあればよいのかということが一つ、それがきまりますると、先ほど水政局長お話を承りますと、わずかに災害復旧費用が二億八千万円ということになつておけます。その間に相当の開きがあると思われるのでありますが、災害復旧をやらなければ、何に一番こたえるかというと、食糧の生産がまず第一だと考えるのであります。いろいろと当局説明あるいは御報告に基いて聞き及んだところによりますと、少くも年々平均四百万石は災害のために減収しておる。こういうことを聞いております。四百万石というと、それだけのものを輸入食糧に仰がなければならない、こういう結果になります。そこで問題はいくらの開きがあるかということを、まず一應聽かなければならないのでありまするが、当面に要する費用は、どのくらいあつたちいいのでありましようか。
  33. 目黒清雄

    目黒政府委員 一月末現在におきまして、すでに工事予算以上に進捗せしめておるものが二十二億円であります。さらにその後の進捗状態から推して考えますると、このままでいきますれば五十億程度予算が計上されるのでなければ、完全なるものとは言えないと思うのであります。ただ、今お話申し上げた通りに、二億八千万円という程度暫定予算に限定いたされまするから、その結果多少進捗が遅れるかと考えております。
  34. 守田道輔

    守田委員 五十億が必要である。ところが二億八千万だけしか予算がないということになりますと、約四十七億足りないのであります。この四十七億の捻出が、先ほど総裁のおつしやることによりますれば、はなはだ困難である。努力はする、こういうことになりまするが、しかし四十七億円はどうでもこうでもやらなければならないということになると思います。そこで問題はその費用の捻出方法でありまするが、私は四十七億円くらいの金は結構できるのじやないかと思います。その方法はどういう方法かというと、かりに四百万石の食糧の援助を求めるということになりますると、今日の時値から申しましても、四百万石という食糧でありまするから、四十七億円の金額から比べればはるかに多いのであります。この場合において、食糧の援助も、外資の導入ということになるが、このわけを向う様に十分披瀝するならば、災害復旧に対しまするところの外資を借入れるという方法も、一つの方法ではないかと思うのです。それから第一國会において、院議をもつて決議された融資の問題が未だに解決がつかない、これが融資が現実化していない。こういうのでありまするが、この面におきましても現在復興金庫等においては、赤字融資というようなことをやつておるが、この赤字融資を打切つても、この災害復旧の方へまわすことができるのじやないかと考えておりますし、また地元の資金の借入れの問題でありますが、これは今日農業会等がすでに閉鎖されることになるので、相当困難であるが、地元農民から個人的に一時、これは一人々々借るというわけでないが、何らかの方法をもつて借入れても、これは実現性があるのでないかと考えておる次第であります。  もう一つは、これは同じことなのでありますが、この際災害復旧公債というようなものを発行して、これの費用に充てるという方法もあるのではないか。  もう一つ今全逓その他の官公廰等がストライキをやつておる。もちろん生活の窮乏からくる要求で、あるいは当然なことと思いまするが、相当むだな経費が人的においても支出されておるのじやないかと考える。そこで行政整理をやつて、その方からの資金を相当この災害復旧の方にまわすことができるのじやないか。さいわいここに農林省の改良課長がおられます。これは改良課長の権限ではないのですが、こういう事実があるのであります、たとえば地方等におきまして、最近干拓が行われておる。開墾が行われておりまするが、この干拓の一つの例にいたしますると、干拓は全額國庫支弁であります。従いまして実際に干拓の適地であるかないか疑問な点、あるいはこれが五箇年ぐらいしなければ收穫がないのにもかかわらず、今これにかかつておるというのは、地方で私が自分で調査したところによりますと、干拓計画というものは、まつ先に請負業者が計画を立てる。こういうことがあるのであります。請負業者をもうけさせるために干拓事業があるので、ほんとうの食糧増産のために干拓事業をやつておるのではない。これは全部ではありません。一部にはそんなものがある。また開墾にいたしましても、もちろんこれは失業者救済等々がありますが、いつ收穫があがるかあがらないかわからない。ただ政府補助金取りのために開墾が行われておる。補助金をとつてしまえばもう山からおりてしまう。こういうような方面に相当の金が流されておる。そこで地方農林関係から見ますと、開拓関係の方では金が余つておる。使い途がない。だから事業も何もやつていないのに、金は先に拂つておる。だから災害復旧に金はまわせる。災害復旧を今やりますれば、ことしの秋とれる。その方になぜ金をまわさないのか。その点私ははなはだ遺憾であります。たとえば戰災復旧の方でありますが、私昨年からこの國土委員会に出ていてみますると、都市計画というものが戰災地において実行されつつあるのでありますが、その場合に、この都市計画の反対の陳情はありましても、これをすぐさま実施せいという陳情は一件も今日まで私はなかつたと思います。この方の資金に対しても、一箇年五十億か六十億の金がまわされておる。実際の生産面に対しては金がまわらないで、何かむだな金ばかりが使われておる。これは各方面にあると思います。私は何をおいても、この際災害復旧は第一にやらなければならない。いわゆる先ほどのどから出かかつておるけれども言えない事情がある、こうおつしやいますけれども政府当局がこの災害復旧というものに対して、根本的な認識がまだ欠けておるのじやないか、かように私は考えるのです。金の出場所はいくらでもある。私はかように考える。この私が申し上げました点につきまして、建設院総裁はいかなる御見解をもつて努力されるかということを、一應ここでお伺いしておきたいと思います。
  35. 一松定吉

    ○一松國務大臣 水害復旧に関しまする予算が五月までに四十七億円要る。しかるにその金がない。それならば公債発行や行政整理、もしくはむしろ災害地復旧は後回しにして、生産方面に必要な河川水害対策ということに金をまわす方がよいじやないか、こういう御議論はごもつともで、私は全然あなたと同じ考えをもつておる。予算のことであれば、実は総理大臣が、これについてはこうこうこういうように予算がありますというて、使うことのできる財源をもつていきまして、そうしてその考慮を求めておる。それがいろいろな事情のためにできない。でございまするから、予算の面ということじやないらしいのです。そこのところを口に出して言えぬ、それをひとつ力を入れて大いにやりましよう、こういうことです。予算のことなら、今あなたの言う通り、公債発行でもよい、行政整理でもよい、災害復旧費をあとにまわしても、こつちを先にやることがよいじやないか、それは全然賛成なんです。そこが困つたことなんで、この程度でお許しを願いたいのです。
  36. 松井豊吉

    松井委員 野本守田両氏から、災害復旧工事関係、また農耕地の関係について具体的に御質問がありましたので大体私も了承しておりますが、二、三の関係をお伺いしたいと思います。  まず河川関係についてお伺いいたしますが、地方府縣が現在工事に着手しております責任関係工事、また國の直轄工事が、どの程度まで進行されておりまするか、お伺いいたします。  それから農林省関係の方にお伺いいたしますが、水害被害耕作地の復旧が、全國被害耕作地に対してどの程度まで進行されておるか、この点お伺いいたします。
  37. 目黒清雄

    目黒政府委員 災害復旧進捗状況でありまするが、二十二年度以前の災害は、ほとんど八〇%以上の進捗を見ておりまするが、二十二年度の災害は三〇%程度であります。一般河川改修状況、これは災害ではありませんが、一般河川の改良状況は、全國的に見ますると、大体四〇%程度の改良ができております。
  38. 櫻井志郎

    櫻井説明員 農林省関係の昨夏の水害であります。耕地の復旧を要する、実際被害を受けた面積が約三万数千町歩でございます。それからため池とか、せきとか、こういうような、耕地の灌漑排水、あるいは道路、それらの公共関係の施設の災害を受けたのが、関係面積にいたしまして四十数万町歩たしかあつたと思います。はつきりした数字を覚えておりません。これに対しましての復旧は、大体現在のところ約二〇%程度だつたかと覚えております。はつきりした数字を今もつておりません。はなはだ失礼でございますが、そんな程度済んでおつたかと思つております。
  39. 松井豊吉

    松井委員 河川関係工事進行についてのただいま御説明がございましたが、来るべき出水期を迎えて、大体安心のできる程度工事が進行しておりますか。  それから農林省関係のただいま御報告によつて、もう一應お伺いいたしますが、今の御報告程度で完全に予定増産ができるかどうか、この点をお伺いいたします。
  40. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいまの進捗状況は三〇%程度でありまするが、われわれはこの六月まで、あるいは七月までに、支障ないように、この仕事を進めるべく計画を立てております。ただ現在といたしましては、予算関係上、これが一應危ぶまれつつあるという状態でありまするが、今後とも極力予算の獲得に努力して、今後の水害に対して一應の安心を與えたいと考えております。
  41. 櫻井志郎

    櫻井説明員 昨夏の水害をかりにこのまま放擲しておく、こう仮定いたしますならば、年たそれによりまして二百数十万石の減收ができると私推定いたしております。私どもといたしましては、植付期という一年間の一番大きな目標を相手にいたしまして、それまでに是が非でもできるだけやりたいという覚悟で進んでおりますが、いかんせん、予算の上におきましては先刻申し上げた通りであります。できますならば、少くとも植付期までに私どもといたしましては十七、八億の予算を計上していただけるならば、少くともその半分以上は改修できる、かように考えております。
  42. 松井豊吉

    松井委員 時間がありませんから具体的に申し上げませんが、大体は地方工事の実情を見て了解ができておりますが、いずれも予算関係で、今すでに工事を中絶されておる状況であります。府縣が直接関係しておる工事も、予算のない関係で、今すでに請負者に対する中拂いができぬというので、工事が中止されておる状況なのであります。こういう関係政府当局もよく御了承のことと考えます。大体政府はこの災害工事に無責任であつたということを、私は断言して過言でないと思う。二、三の点について國務大臣にお伺いいたしますが、昨年の十二月二十日ごろに、予算委員会は大体二十億の予算を内定されたと伺つたのであります。そこでわれわれもその関係については、府縣にも大体内容をお傳えしておりました。ところが政府がやる氣がないから、できなかつた。ということは、私は國務大臣あるいは政府関係人たちを攻撃するのではないが、やる意思があつたから、あの四割近い反対のあつた石炭國管問題とか、食糧公団法の問題が可決されたのでありまして、少くとも二十億の予算がその方面に流用されたことを信じておる一人であります。やる意思があればできる、実に情ない。そこで少くも、先刻質問者がございましたが、追加予算には計上されるという考えをもつておつたのでありますが、それも遂に計上されなかつた。この暫定予算にも今大臣の御答弁によれば計上できぬというような御答弁でございますけれどもわが党としては、もしこの河川改修費が、復旧工事費予算に計上されない場合には、断固それには賛成できないという決意をもつております。わが党がこの意見をひつさげて本会議に臨めば、他党といえども、少くとも水害被害地の代表の方々は、一致してこれに賛成すると思う。そのときには政府当局としても重大事態に直面すると思う。ゆえにこの暫定予算に組み入れるよう建設院総裁にお願いするのですが、もう一段の御研究を願いまして、何とか予算に計上するという御答弁をいただきたいと思います。
  43. 一松定吉

    ○一松國務大臣 松井君の御意見については、私は全然同感です。そこで政府としては全力をあげて努力しております。決して無誠意で、これを等閑に附しておるのではありません。できるだけこの暫定予算に組み入れるべく、本日も安定本部長官と大藏大臣とは努力しておりますし、総理もやはり心配しているのです。私も当の責任者として、あなた同様もしくはあなたより以上に、これらのことを心配しております、これらについては決して人後に落ちるものでない。この程度で御了承願いたい。これ以上質問を賜わりましても、今のところではこれよりほかお答えができないということにおいて、どうか悪しからず御了承願いたい。努力いたします。これだけを申し上げてお答えにしておきます。
  44. 松井豊吉

    松井委員 われわれはただいま一松國務大臣の、努力するからこの程度で御了承しろということは應じられません。しからばどうするか。われわれはその被害地を代表する國会議員として、あらゆる努力をいたしますが、御承知のごとくわれわれは国民の代表でありますから國会において國民の多数の輿論が集中せられるならば、おそらくその方面でも若干研究されるでしよう。しかしながら今日までの國会関係から、あらゆる各党の関係を見まして、何とかむり押しに押しつぶそうとしておる。今度は今回のこの暫定予算に対しては、われわれはこの席上で了解できない。どの程度まで國民の代表の方々がこの予算に対して御努力されますか。一應は一段の研究をいたしまして、私たちは少くもこの予算暫定予算に計上されることを、この際通してもらいたいということの希望をもつております。どうか國務大臣におかれましても、ただいまの御答弁の内容でなく、何とかお考えつて、一段の努力を願いたいと思います。
  45. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 ちよつと速記を止めてくだい。     〔速記中止〕
  46. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 速記を開始してください。
  47. 内海安吉

    内海委員 私どもは一松國務大臣に対しては少くも、われわれの先輩として敬意を拂つておる者であります。しかもこの遂にかけては最も老練であり、議会人としてはまつたくわれわれの先輩でありまするからして、國会は、この水害復旧問題が民族の興亡にも関するというような大問題であるというような立場からいたしまして、この機会において、どうしても超党派的の立場をもつて、この問題を打開しなければならぬという考えから、去る一月三十一日の衆議院本会議においては、満場一致をもつて決議案を決定したのであります。この國会を背景として折衝されましたならば、その筋といえども、決してこれをさいぎるはずはないと思います。殊に昨日の衆議院本会議におきまして、われわれの同僚である上林山君の施政方針演説に対する質問の中に、この問題が含まれておつたようであります。それに対する大藏大臣の答弁を聽いてみますると、この水害復旧問題は実に重大問題である、閣僚においても大きなる関心をもつてこれを見ておるのであつて、必ずや四月の暫定予算にはこれを計上する考えであるということを、はつきり昨日の本会議において言明されたのであります。しかるにただいま同僚の松井君の質問に対し、あるいは守田君の質問に対して、その筋に名をかられまして、そうしてこの問題については説明は許してもらいたいというようなお態度に出でられることは、私としては一松先輩のためにはなはだ遺憾とするものであります。同一の内閣において、大藏大臣暫定予算に組むであろう、組みましようということを言明されたにもかかわらず、同じ閣僚であられる一松國務大臣は、そのことはこれから大いに折衝はしてみるつもりであるけれども、どうも占領云々の事情であるから、この問題はしばらくかすかに時間をもつてしてもらいたいということは、どうも大藏大臣建設院総裁との間において、食い違いがあるじやないか。大藏大臣がかくのごとく言明され、また國会はかぐのごとくにして、ほとんど超党派的に遂行してもらわなければならないような背景をもつて、われらの建設院総裁が、多年議会人として老練、練達堪能であられる一松國務大臣が本腰になつて折衝せられましたならば、必ずやこの問題は達成し得るものであると、私は考えるものであります。この点につきまして、もう一應虚心坦懐なる御所信を承りたいと思います。
  48. 一松定吉

    ○一松國務大臣 暫定予算に計上せぬというのじやありません。暫定予算に計上して國会に提案できるよう努力する。しかも渾心の努力を打ちこんでやる、こういうのです。ただ予算に計上だけしておればそれは易いことで、計上したのが國会に提案できるようにしなければならぬ、計上は何遍も計上したのですけれども、計上しては削らなければならぬというこで、なかなか提案できなかつた。大藏大臣がきのう申し上げたことも、計上して必ず國会に出すということまでの断言はされていないように、私も立会つて聞いております。それはなぜかというと、われわれ全閣僚がこぞつてこの点について努力いたしているのでありますから、今あなたの御趣旨のように、この暫定予算に組み入れて、國会の御協賛を得るように努力をいたします。しかしながら今日今この席で、いよいよ暫定予算に組んで國会の協賛を得るところにまで到達いたしましたということは、ただいまの程度では言えないと、私は申し上げます。ですから、そこを御了承賜わりたい。決して努力せぬじやない、努力します。またわれわれはもちろん國民の代表であると同時に、公僕であるという建前から、あなた方の御意思、なかんずく衆議院において全会一致の御決議をしたことに対して、何ら努力せぬとか何とかいうことじやありません。力一ぱい努力しているが、今申し上げますように、予算に計上して國会の協賛を得るだけにまで、今のところはいつていないが、しかしながら十分に力を盡して、これが実現できるように努めますと、こう申し上げるのですから、その辺を御了承を賜わりたい。でありますから、大藏大臣の主張と私の申し上げることは何も相違いたしておりません。閣僚全部が、力をあげてこの点に働いているということの御了承を賜わりたい、こういうふうに申し上げるのでございます。
  49. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 時間がありませんから、簡單に根本方針だけを承つておきたいのであります。  私のお尋ねいたしたいのは、都市局関係戰災復計画についてであります。今非常に血のにじむような災害復旧の問題が出たあとでありまして、この問題はただ御方針がはつきりしていただければ、それでよいと思うのであります。この二十三年度におきます戰災都市の区画整理というものは、一番潮時に乗つたときでありまして、今まで各戰災都市におきましては二十三年度まで待て。そうすれば区画整理の道なり何なりにできまする分を、補助をもらつて立退きする分は立退きをして、お前のところの店舗もそこに建てさす。こういうことで生活の根拠を與える。しかるに家も建てさせないで、そのままに放任しておくのが今日の戰災都市の実状であります。それでもしこの御方針が、從来の五箇年計画なり、十箇年計画通りにはいかないということでありまするならば、今家も建てさせないで放任しておりまする戰災者に対しましては、それではお前の土地で家を建ていということも言えるのであります。ここで初めて一應生活が安定するのであります。今自分の宅地をたくさんその戰災都市に何箇所にももつておりながら、どの場所にも建てさせない。それで放任されておるというのが、戰災都市の大半の実情であります。それで二十三年度における戰災都市の災害復旧計画と御方針は、予定通りにお進めになるのであるか。財政の関係でとうていそういうことがいかないのであるならば、自分の土地がありながら、もう三年も四年もどこへも建てさせないでおくという状態でありますから、その根本方針だけを承つておきたいと思うのであります。
  50. 一松定吉

    ○一松國務大臣 詳細の具体的の事柄は、いずれ適当の時期に、事務当局をして答弁をさせますが、私の承知しておるごく大体のことだけを、とりあえず申し上げておきます。六大都市に関しまする限り、道路、公園、緑地地帶、あるいは換地とかいうようなものが、もうほとんど完了しておるようであります。でございまするから、それらのところに家を建てて、すなわち一般住宅もしくは公営住宅を建てるというようなことに対しましては、相当の予算を二十三年度の本予算に請求いたしておるのであります。ただそれが財政上の問題で、私の方で請求いたしました百数十億に上る予算が、どの程度に査定されまするか。その査定の金額いかんによつて建設院において予定しておりまするところまで、手が伸びるかどうかということの問題が残りますけれども、もう今そういうような程度に進んでおりまして、これからその予算さえ認められますれば、どしどし建設ができるような方針にまで、運んでおるということだけを御了承賜わりまして、具体的に、しからばどういうところがどうなつておるかということは、次会適当な時機に、事務当局から答弁をさせるということで、お許しを願いたいと思います。
  51. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私のお尋ねいたしますのは、そういう今大臣お話くださいました通りの建築も、進めていただきたいのはやまやまでりますが、そういう意味ではないのでありまして、自分の金で自分が家を建てたいと思いましても、区画整理の完結ができませんために、どこへも建ててはいけない。この道は拡がることになつているから、お前のところは道にとる。その代り乙のところに土地をやる。乙のところには家がある。その家は政府補助が來れば、ほかに立退かせるということになつているから、戰災都市は全部の宅地がぐるぐると一巡するのであります。それで二十三年度はいくら補助があるという方針で、その戰災都市では計画を立てておるのでありますが、もしその計画に齟齬を來すといたしますならば、もう戰後三年間じつと家を建てさせないで 大勢の人の生活の根拠を奪つております。これがまたそうなるかどうか。もしそうならなければ区画整理を一度もとにもどしまして、それでは家を建ていというふうに言わなければいかない状態に來ておりますから、その御方針があるかどうかということをお伺いいたします。
  52. 一松定吉

    ○一松國務大臣 村瀬君の御質問はごもつともでありまして、私も実は戰災者の一人で、あなたのお考えと同様に、自分の土地をもつておりながら、そういうことがきまらないために、建てることもできないという状態にあります。東京の宅地も大阪の宅地もありますが、東京の宅地はもう建ててもよいということになつております。しかし大阪の宅地は道路がきまらぬから、建ててはいかぬということから、実はそのままになつておる当事者の一人であります。從いまして建設院総裁になつて、一番にその問題につきまして事務当局に話をいたしました結果、事務当局の方でも、もうすでに換地帶、道路地帶、あるいは緑地地帯と、調査のできたところはよろしいが、その調査をするについてまだ十分に運んでおらぬような土地は、調査の済むまでやれないということを、一昨日の朝説明を聞いたほやほやのところであります。しかしながら事実はどこがどうだ、どこはどうだということは、これから私が事務当局から話を聞くことになつてつて、こちらに來たというのが実情であります。そういう意味で具体的なところは、事務当局から説明をさせるという趣旨のところを御了承願いたい。ただいまここで御説明するということは、私の立場ではできないということを御了承くださいまして、いずれこの次のこの委員会で具体的に説明させますから、事情を御了承願いたいと思います。
  53. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 よくわかりましたが、お願いしておきたいと思いますことは、二十三年度に関する問題を早くきめていただきまして、事実測量問題のごときは、きわめて重大問題でありますから、その方で予算がとられて、どうしても計画通り各戰災都市の区画整理による補助は、やれないということが早くきまりますれば、その点をあいまいにしておかないで、各戰災都市へ早く御通知をいただきまして、善処させてやれるようにお取計らいが願いたいのであります。とかく不動の金縛りにあつたように、区画整理はこうやれ。計画はしておつたが補助はやれないということになりますと、地方の戰災者はどうしてよいか。この戰災に遭いました多くの人々は、まつたく生活の根拠を失つておるのであります。できる限り予定通りにしていただきたいことはやまやまでありますが、もしできないときは、あいまいにそのままに放つておかないで、その事情をよく御説明になりまして、本年度はこうする、こうせよという御方針を、至急に御指示あらんことを希望しておきます。
  54. 荒木萬壽夫

    荒木委員長 次の委員会の日時は公報をもつて御通知申し上げます。本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時三十七分散会