○生
悦住委員 ただいまから
金属鉱工業小委員会における
鉄鋼業及び
金属鉱工業に関する
調査の御
報告を申し上げます。
まず
鉄鋼業に関する
調査の御
報告を申し上げます。本年は
石炭三千六百万トン
生産を
日本経済再建のかぎとして、
資材、
資金及び
労働施設に全力をあげてその
生産目標達成に努力いたしておるのでありますが、その
石炭生産資材として、
石炭生産に最も大きな
隘路とな
つておりますのはすなわち
鉄鋼であります。昨年の
鋼材生産実績は五十八万八千七百トンであ
つて、これは昨
年度の
最低需要量百九十万八千トンに対する約三十%に当つでおりまして
石炭、
電力等重要産業向けについてもわずかに
需要量の三十二、三%を出ない
実情であります。このような
状態では、
産業再建の前途はまことに暗澹たるものがありまして、
経済の
復興また至難であると断ぜざるを得ないのであります。ここにおきまして、第一回
國会における
鉄鋼業に関する
國政調査の
結論として御
報告申し上げました
通り、本
年度鉄鋼百二十万トン
生産計画を立案し、この
計画実施に関して各方面に要望した結果、これが実現を見まして、現在本
年度生産計画として着々その達成に邁進しているわけでありますが、この
計画遂行のためには、各方面の協力要するはもちろん、特に
政府において次の諸
対策に関する具体的事項を急速に
決定し、可及的速やかに
増産の
実施に充てる必要があると認められるのであります。すなわち
一、
鉄鋼業の経営合理化をはかり斯業の急速なる整備を期すること。
二、國内保有の屑鉄を速やかに集荷する体制を整備するとともに、國内鉱石及び副
原料の
増産を実行に移し、併せてこれら諸
原料の優先輸送の方途を確立すること。
三、
電力及び
石炭の
重点確保をなすこと。
四、
原料及び
製品の價格体系を一貫的に再
検討し、これが適正を期すること。
五、労務者
配給物資の特配の
増加と福利施設の整備を促進すること。
六、
製品及び
原料増産に要する
資金、
資材を優先的に確保すること。
七、
豊水期における余剰
電力の徹底的活用をはかり電氣炉鋼塊の
増産をはかること。
八、不用鋼材及び不用銅塊、上物屑等の再圧延を更に増量すること。
九、外資導入により製鋼用機械及び同施設図面の輸人並びに外國技師の招聘等により、設備の能率化と技術の向上をはかること。
なお、
計画とその
実施に関しまして、
計画自体には十分な実現の可能性があるにもかかわらず、これを推進し
実施するための
措置が不十分のために、
計画が実現できないとう場合が、現在の
鉄鋼行政の面に見られますから、この問題解決のために、
鉄鋼行政陣容に優秀なスタッフを揃えまし
つて、これが充実をはかり、
石炭廳、化学
肥料部、
電力局のごとく、現在の
商工省鉱山局の一課たる
鉄鋼課を拡充強化し、これを局に昇格せしめて、
鉄鋼生産の総合
計画に支障を來さないよう、これが急速なる
措置を要望いたしてまいりましたところ、この要望にこたえて
内閣より提出されました
商工省官制の一部を改正する法律案が両院を通過成立いたしましたから、この問題については解決を得た次第であります。以上、一言申し添えておきます。
次に
金属鉱工業に関する
調査の
報告をいたします。
鉄鋼業に関する
報告はただいま詳細に申し上げました
通りでありまして、
鉄鋼業を除ぐ
部門につきましては、第一に造船業の
振興に関する
調査と、第二にアルミニウム
産業の再建に関する
調査とを
重点的にとりあげたのであります。以下、これを御
報告いたします。
まず造船業の
振興に関する
調査の
報告をいたします。わが國の船舶保有量は最低四百万トンが必要であるというストライク
報告、或は大型商船十五隻、総トン数百十六万トンを超える
輸出新造船契約等によりまして、わが國造船業は近來俄然活況を呈するに至、
つたのでありまするが、飜
つてわが國の造船能力を
検討いたしますと、年間約八十万トンと称せられてはおりますが、諸般の
経済情勢より判断いたしますると、ここ二、三年間は精々年間二、三十万トン
程度と考えられるのであります。従いまして現有総トン数百三十万トン、これもおおむね戰時標準型でありまするから、早晩とりかえる必要があるのでありまして、これのら國内船舶を、ストライク
報告の線まで拡充整備することはもちちんのこと、総額八十四億円に上る
輸出新造船を期限
通りにかつ優秀船を建造して、わが國造船業の実力を世界に明示宣揚して、今後さらに大量の注文に備えるためには、この際わが國造船業の再建に関して根本的檢討を加える必要があると思うのであります。しかして当面の施策といたしましては
一、輸送難打開のための船舶拡充並びに新造船
輸出による貿易
振興等の
重要性に鑑み、造船業を最
重点産業の一に指定すること。
二、建造期間が久しきにわたる関係上、他の
一般貿易品とは区別して製造請負契約によることとし、割拂制を適用して建造資
金融通の途を講ずること。
三、
鉄鋼、
石炭、
電力、労需物資その他の必須
資材を充足すること。
特に外國船建造
資材はすべて規格品である関係上、これらが適時入手し得るよう
措置すること。等が必要であると認められる次第であります。
次にアルミニウム
産業の再建に関する
調査の
報告をいたします。先般ストライク
報告及びジョンストン
報告によりまして、アルミ製錬設備に関する賠償指定の全面的解除が勧告せられ、続いてボーキサイト十万トンの
輸入計画が確定し、すでにその約半額は到着のうえ製錬に着手している等、アルミニウム
産業は近來とみに明るく活況を呈しております。アルミニウムの需要はひとり國内のみに止まらず、南方諸地域の
復興にも貢献すべきものがあり、その用途も日用厨房用品はもとより、電線その他各種機器の部分品等すこぶる多方面にわたり、殊に
製品の
輸出に関する限り、
紡績その他のものよりもはるかに加工度が高ぐ、従いまして収益もまた大である等の関係からいたしまして、業界の前途は実に洋々たるものがあります。しかしながら、これがためには地金の
増産と商品位優秀
製品の
増産どをはかると同時に、貿易
振興に関する急速適切な
対策が講ぜられなければならないのであります。業界自体としてはようやく再建
復興の緒についたばかりでありまして、
操業度も著しく低下していることとて、この重大使命を果すためにはあらかじめ解決しておくへき幾多の重要問題が横たわ
つております。さしあたりこの当面の
措置といたしては
一、
輸出振興に関する保護助成、特にこの方針に則る為替レートの設定。
二、アルミニウム
生産の死命を制する
電力の確保、これがために
電力需用区分を
鉄鋼、
肥料等と同列に
引上げること。
三、
金融の円滑化をはかるため、
金融機関貸出順位の
引上げ。
四、加工
業者及び
一般消費者が適当價格にて入手し得るよう二重價格制による價格差補給金の交付。
五、賠償撤去を指定せられている加工工場の残置。
以上五項目を
実施すべきものと認められる次第であります。以上をも
つて御
報告を終ります。