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1948-07-04 第2回国会 衆議院 鉱工業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月四日(日曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 青柳 高一君 理事 澁谷雄太郎君    理事 菊川 忠雄君 理事 松本 七郎君   理事 生悦住貞太郎君 理事 三好 竹勇君    理事 谷口 武雄君       有田 二郎君    庄  忠人君       平井 義一君    淵上房太郎君       前田 正男君    今澄  勇君       金野 定吉君    成田 知巳君       萬田 五郎君    村尾 薩男君       高橋清治郎君    西田 隆男君       福田 繁芳君    三好 竹勇君       豊澤 豊雄君    衞藤  速君       斎藤  昇君    高倉 定助君  委員外出席者         専門調査員   谷崎  明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  石炭鉱業繊維工業及び中小工業化学肥料工  業及び一般化学工業鉄鋼業及び金属鉱工業、  発明振興に関する調査の件   請願  一 石材採掘に関する法律制定請願庄司一    郎君紹介)(第二五一号)  二 中小企業対策に関する請願門司亮君外九    名紹介)(第三四八号)  三 代用燃料装置資材及び動力用燃料配給の    請願林大作君外一名紹介)(第三五四号)  四 名港、名古屋両発電所石炭確保に関する    調願赤松勇君外一名紹介)(第四三二号)  五 商工省陶磁器試験所東海支所拡充強化の請    願(早稻田柳右エ門紹介)(第四七二号)  六 新興硝子「ラッキー」の原料資材確保に関    する請願神田博紹介)(第五二八号)  七 非鉄金属價格差補給金存続請願伊藤卯    四郎君紹介)(第六三三号)  八 製綿業復活民主化に関する請願笹口晃    君紹介)(第六四八号)  九 硫化鉱生産増強に関する請願(生悦住貞    太郎紹介)(第八三四号) 一〇 軽金属地金價格差補給金に関する請願(前    田種男紹介)(第八八四号) 一一 尾西毛織物工業協同組合改廃反対に関する    請願加藤勘十君外一名紹介)(第九五五号) 一二 北海道における家庭用石炭等特殊價格設    定に関する請願椎熊三郎君外五名紹介)    (第九六二号) 一三 中小企業廳設置の場合における地方廳技術    指導機関整備拡充に関する請願田中松月    君紹介)(第一〇〇六号) 一四 カーパイド生産振興に関する請願今澄勇    君紹介)(第一〇三七号) 一五 鉄鋼増産対策に関する請願(生悦住貞太郎    君外一名紹介)(第一〇六八号) 一六 石油精製業助成に関する請願島田晋作君    外二名紹介)(第一二二二号) 一七 西吾妻硫黄鉱山鉱毒対策に関する請願(    金野定吉紹介)(第一二八六号) 一八 染料配給適正化に関する請願田中健吉    君紹介)(第一二九一号) 一九 長野縣絹人絹力織機及び撚糸設備復元割    当増加請願小林運美紹介)(第一三一二号) 二〇 亞炭の新統制法実施に関する請願小澤佐    重喜君紹介)(第一三六二号) 二一 國内用陶磁器統制撤廃請願竹田儀一君    紹介)(第一四五六号) 二二 中小工業復興に関する請願櫻内義雄君紹    介)(第一四五九号) 二三 惡炭業の危機打開に関する請願圃司安正    君紹介)(第一五四八号) 二四 亞炭完全買取に関する請願星島二郎君紹    介)(第一五九八号) 二五 石炭及び亞炭緊急増産方策に関する請願    (三好竹勇紹介)(第六〇〇号) 二六 自動車工業振興に関する請願(生悦住貞太    郎君紹介)(第一六四七号) 二七 石油精製業に関する請願海野三朗君紹    介)(第一七六三号) 二八 綜合動力燃料対策の一環として亞炭産業國    策樹立に関する請願山口六郎次紹介)    (第一七八二号)   陳情書  一 木炭生産労務者に対し燈油特配に関する陳    情書    (第一四二号)  二 炭鉱賃金制度確立に関する陳情書    (第二一二号)  三 炭鉱地整備開発に関する陳情書    (第二一七号)  四 釜石製鉄所操業再開に関する陳情書    (第二七六号)  五 石材業法制定促進に関する陳情書    (第二八一号)  六 釜石製鉄所操業再開に関する陳情書    (第二九四号)  七 東北國立亞炭開発指導所宮城縣に誘致の    陳情書(第四三六号)  八 軽金属地金價格調整補給金制実施に関する    陳情書    (第四九六号)  九 同    (第五二八号) 一〇 工薬品工業振興に関する陳情書    (第七七一号) 一一 礦害対策に関する陳情書    (第七九七号) 一二 石油精製業振興に関する陳情書    (第八六三号) 一三 鉱業振興に関する陳情書    (第八六五号) 一四 九州地区における繊維工業振興に関する    陳情書    (第九〇六号)     ―――――――――――――
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  本日をもつて会期に本委員会に付託されました請願及び送付されました陳情書審査を全部終了いたしまするとともに、今会期中に実施いたしてまいりました繊維工業及び中小工業化学肥料工業及び一般化学工業鉄鋼業及び金属鉱工業並びに発明振興関渉調査結論をまとめたいと思います。  それではまず請願より審査いたします。この際、請願審査方法についてお諮りいたします。先刻理事諸君並びに席にお見えの委員各位と御相談いたしました結果、本日は会期終了日を明日に控えて、委員会の中にはなお重要議案を抱えている向きもあり、本会議日程も数多くの重要法案が上程せられているためにもよりまするか、紹介議員出席もほとんどなく、すでに委員会の開会時間も相当遅れておりますから、この際、請願審査には思い切つた臨機の方法をとるよりほかにしかたがないと存ずるのであります。と申しまするのは、本委員会は、これまでの各種議案審査及び本委員会所管全般に亘る國政に関する調査によりまして、これらの各請願につきましては、おおむね事実上の審査をいたしておりまするし、各委員諸君におかれましても、請願文書表についてその趣旨は十分に御了承をいただいていることと拝察いたしまするから、請願紹介説明はこれを省略することとし、別に各請願について御質疑がなければ、政府側よりはその所見を答弁書によつて提出いたしたいとの申出もありまするから、先刻の理事諸君並びに一部委員の方々とお打合せいたしました通り、ただちに請願全部の可否を決したいと思いますが、この取扱いについて別に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように取扱うことと決します。  この際、暫時休憩の上、御懇談いたしたいと思います。     午後一時四十六分休憩     —————————————     午後二時十五分開議
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  請願日程第一より第二八までの各請願一括議題とし、これよりその可否を決します。
  5. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 日程第一五、鉄鋼増産対策に関する請願は、去る五月二十六日の本委員会におきまして、すでに審査を終了し、議院会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと議決いたしました請願第一〇四三号と同一趣旨請願でありまするから、先例によりまして審査を省略し、前の請願同一議決をなしたものとし、その他の各請願はいずれもその趣旨は至当と認められまして、それぞれ政府において適当にその措置を講ずべきものと認められまするから、いずれも議院会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものど議決せられんことを望みます。
  6. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの生悦住君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて日程第一五は前に審査を終りました請願第一〇四三号と同一議決をなしたものとし、その他の各請願はいずれも議院会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。     —————————————
  8. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に陳情書審査に移ります。
  9. 三好竹勇

    三好委員 陳情書審査につきましては、ただいまの請願審査方法に従いまして、日程第一より第一四までの陳情書全部を一括議題とし、ただちにこれに対する本委員会態度を決せられんことを望みます。
  10. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの三好君の動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて日程第一より第一四までの陳情書全部を一括議題とし、これよりこれに対する本委員会態度を決します。
  12. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 これらの陳情書は、いずれも國民の偽らぬ声でありまして、その趣旨はおおむね了とせられますから、第一回國会の例にならいまして本委員会において了承することとし、今後の本委員会審査又は調査の上にこれを反映するよう取扱うことと決せられんことを望みます。
  13. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの生悦性珊動議に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて日程第一より第一四までの各陳情書きはいずれも本委委員会においてこれを了承することと決します。     —————————————
  15. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に石炭鉱業繊維工業及び中小工業化学肥料工業及び一般化学工業鉄鋼業及び金属鉱工業並びに発明振興に関する調査の件を議題といたします。  石炭鉱業に関する調査につきましては、去る七月二日の委員会の決議によりまして本件、特に臨時石炭鉱業管理法施行状況調査に関する件につきまして、閉会中もこれが審査を継続すべき旨を文書をもつて議長に申し出てあります。つきましては、院議によつてこの許可がありますならば、本調査閉会中も継続して行うことと相なる次第であります。以上あらかじめお含みをお願いいたしておきます。石炭鉱業に関する調査はただいま申し上げました通りでありますから、その他の國政調査について本委員会結論をまとめたいと存じます。各小委委員会より調査報告書が提出されておりますが、これはお手もとに印刷物として配付してあります通りであります。  これより各小委員長より調査報告を願います。まず繊維工業及び中小工業に関する調査報告を求めます。軽工業小委員長松本七郎君。
  16. 松本七郎

    松本(七)委員 軽工業小委員会における調査につきまして、その概要を御報言いたします。中小工業に関しましては、すでに中小企業廳に関する立法措置が講ぜられておりまして、第一回國会において本委員会がこれに関しまして調査をいたしまして、詳細御報告をいたしました通りでありまして、その後別に緊急を要する問題もないと認められた次第でありまして、今しばらくこれが成行きを静観するのが妥当と考えられます。よつて調査重点を、わが國輸出産業の王座を占めている繊維工業に関しまして、綿糸及び綿製品現況とその見透しにつきにまして調査を進めてまいつた次第でありますが、今般一應調査結論を得ましたから、以下その大要を御報告いたします。  まず第一に綿紡績等生産計画から申し上げます。紡績業長期生産計画につきましては、経済安定本部中心といたしましてただいま檢討中でありまして、どの程度まで許容されるかはまだ不明でありますが、一應五百八十三万錘——六百方錘を目標といたしております。これは綿糸需要量昭和五年——九年を基準に大体昭和二十七年には昭和十二年の一二五%の消費者数増加を見込んで立案したものであります。しかし現実の問題としては中間許容の四百万錘を第一次目標として計画を立てております。將來はまだこれ以上の許可があるものとの見込みを立てており、現在(六月)は三百二十万錘まで整備しております。二十三年度におきましては百六十万錘を目標とし二十四年九月まで、四百万錘の完成を目指しております。すなわちGHQのメモランダム中心にして紡績十社に三百五十万錘を割当て、残り五十万錘を十社以外の二十五社に許可を與えるべく、ただいま復元計画を立案中でありますが、これは大体順調に進んでおります。  次に綿製品につきましては、昨年度はその三割を國内向けとし、七割を輸出向けにしていたのであります。昨年度在庫品がありましたため、これでもつて國民一人当り一「八ポンドの配給ができたのでありましたが、本年度輸入総量中三〇%だけでは一・八ボンドの配給は困難かと思われますので、現在の見透しとして綿製品中の四割を國内用にまわす予定にしております。但しこれは昨年度の第三・四半期の中の一割を増加して本年度分に入れられるもの千百万ポンドとなり、本年度第一・四半期分中その四割、八百五十万ポンドを準備しておるのであります。  織機は現在二十三万台あり、さらに一万台の復元許可されておるのであります。この一万台の復元方法は、完全轉廃業者優先元方法をとつておりますが、これも大体順調と見られるのであります。以上、大体現在の紡績工業生産計画現況を申と上げましたが、次に進んで現在及び將來生産隘路とその対策につきまして御報告申し上げます。  まず原綿希望輸入数量でありますが、これは混綿又は操作上一應の在庫を必要といたしますから、百二十万俵を必要とするものであります。綿花輸入計画は、最終的決定は一應年間百六万俵を目標としているのでありますが、現在綿花買付は大分困難な炊態であります。買付困難の最大原因は、昨年中は買付資金不足のため、綿花買付が三月末在庫三十万俵でありましたため、現有設備三百二十万錘のフル運轉は困難であり、現在は操業度を約六五%に置いております。それで現在は米國内では残り綿買付をやつております。その他印度綿買付交渉をも併せて行つておりますが、ここ一、二箇月中に入荷するや否やについては、多少の懸念がありまして、ただいまのところ、最近エジプト綿輸入計画が成功して二、三万俵の補充がぼつぼつ出ているような政況でありますので、第二・四半期における操業度は第一・四半期よりさらに下まわつて五五%程度の操短となる見込みであります。見透しといたしましては、綿糸原料問題はこのたび成立いたしました六千万ドルの借款による秋の新綿買付にかかつていると申し上げるほかないわけであります。電力豊水期である四月—六月に原料の枯渇を來し、渇水期の十一月以降に原綿在庫が豊富とな現在の買付状況は、繊維工業重要性を考えるとき、まことに寒心にたえない次第であります。クレジットの設定により三十万俵ないし四十万俵を買いつけ得るようになつたので、本問題はしばらくこれを見守つた上、必要に感じて本委員会としてこれが解決策に協力すべきであると存ずるのであります。  次に製品の滞貨の問題でありますが、綿製品はすでに御承知とは存じますが、現在なお四億一千万ヤード滞貨しております。しかしこのうちまだ賛先の未決定のものが一億五、六千万ヤードありまして、これはポンド・ブロックとの入超二千五百万ドルに見返り割当のため、現在約一億ヤードの輸出計画準備中であります。ただいずれもまだ決済方法が確立していないのが問題であります。また上述の綿製品の大部分は染色加工したものとして輸出することになつているので、染料の方は輸入染料で何とかやつていけますが、燃料炭不足のためと向き先の好みに合せるため輸出製品化するまでに多少の時日を要するものと思われますので、納期の引延しについて折衝中であります。これまた前の問題同様しばらくその経過を見る必要があると考えられます。なお國内向け織物用綿糸は現在三万四、五千俵滞貨しておりますが、これは織元の資金難に基く点が多いと思われます。また原料である糸が入りましても、電力等により織る能力がない場合も多いのでありますが、政府当局において隘路解消のため鋭意努力しておりますので、大なる支障はないものと存じます。現在最も重大なる綿糸生産隘路となつておりますのは、加工賃の中に算入されている労賃の問題にあります。そもそも紡績について輸出向けのものは依託加工の形式であり、國内向け拂下げの形をとつておりますので、ここに加工費中に織りこまれる労働賃金の問題が非常に重大になつてくるのであります。労働賃金の問題は二つにわけて考えられます。第一に加工賃の中に織りこんである労働賃金は、千八百円べーで一人平均月千二百十二円になつているのでありまするが、去る一月商工省の調停によつて二千七百四十円に引上げられたのであります。そもそも今回の労働賃金を二千七百四十円に改訂せざるを得なくなつたということは、前回の千八百円べ一ス決定の際にとられた千二百十二円の算定に、重大なる誤謬があつたためにとられた当然の改訂であるように考えられます。御承知のように紡績加工賃中の賃金算定にあたりまして賃金水準三十一才、二・五人家族の男子を一〇〇として、一年齢別性別地区別り、業種別に格差を設けておるのであります。すなわちこれによりますと、女子甲地三七・〇、乙地三一五、丙地二七・八となり、二十才以上は甲地五二・、乙地四四・四、丙地三九・〇となつております。これによつて綿紡性別年齢別地区別構成を見ますと、二十才未満女子は六〇%、二十才以上の女子は二五・一%であり全従業員中、女子の占める割合は実に八五%となつておるのであります。このように綿紡労務者の中堅は実に二十才未満女子労務者でありますため、紡績業における賃金を非常に低く算定されたのでありまして、これがいかに現実を無視した数字であるかということは、論証を要しないところで、これがため先に述べましたように二千七百四十円と、現実賃金引上げをやむなくされた次第でありまして、世界的に優秀性を認められており、事実能率の点より見ましても、男子に劣らぬ女子従業員賃金が、軍に女子なるがゆえに、また年齢平均が多少低いために、平均賃金基準が過小評價されるということは不当でありますので、この点男子と同水準におくべきであると認められます。現在事実上賃金が二千七百四十円になつているにも拘わらず、一俵の加工賃は依然三千五百九十三円でありまして、賃金引上げただけ一般経費が喰いこみを受け、そのため加工賃が赤字となり、しかも金融が困難であるため増産に非常な障害を來していると認められますから、物價改訂にあたりましては、かかることのないよう紡績における平均賃金については、格別の考慮を拂わるべきであると信じます。特に紡績業におきましては、寄宿舎制度、その他紡績労務管理特殊性に基いて、一梱当り八百三十円を現実に負担しているにもかりかわらず、現行加工賃においては二百二十円を加算せられているに過ぎないので、この点についても紡績事業つの特殊性に鑑み、実情に即した方法をとる必要があると思います。以上のような次第で、現在の加工賃では、企業経営上の再生産費ともいうべき利潤が全然出てこないわけでありますから、金融業者紡績業者への融資を好まない傾向にあり、ためにわが國輸出の大宗たる紡績業は、金融上よりも非常に困難な状態に面しているわけでありましてこのまま放置すれば、その生産増強を阻むことは著大であることが認められていますので、一時も早く賃金べースの男女別年齢別地域別比率改訂を加えるとともに、その他の綿糸紡績價格改訂にあたつては、その他の経費についても飛躍的増産に感じ得るよう、根本的考慮を要望する必要が痛感せられる次第であります。  本問題はさらに進んで絹、人絹織物生産拡充に関しいま一歩具体的検討を必要とするのでありますが、今会期も切迫しておりますので、これをもつて一應の御報告を申し上げておきます。なお引続き専門員等調査を依頼しておきたいと思います。
  17. 伊藤卯四郎

  18. 今澄勇

    今澄委員 ただいまより化学工業小委員会における調査について御報告申し上げます。  本委員会は二月五日発足以來化学肥料工業及び一般化学工業に関して調査を進めてまいつたのでありますが、化学肥料工業の分野におきまじては、すでに第一回國会におきまして本委員会調査実施し、その結果を詳細に報告した通りでありまして、その後大なる変化もなく、また別に緊急を要する問題もないと認められましたので、調査重点を、化学工業部門中時に最近各方面で問題となつているカーバイド増産対策に置いて、これが検討を進めてまいつたのでありますが、今般その結論を得ましたから、以下これを御報告いたします。  御承知通りカーバイド工業は、わが國産業復興を左右する重要化学工業の一でありますが、一般はまだこれに対して正しい認識をもつていない傾向があります。カーバイド石灰窒素原料または合成化学工業の母体として重要なるのみでなく、またそれにも増じて需要度切実性と需給の不均衡という点におきましては、熔接、切断、燈火用カーバイドが最も緊急かつ重要であると存ずるのであります。石炭鉱業用としてはもちろん、機関車及び各種車輛新造修理用として、また造艦用船舶修理用として、あるいはまた鉄鋼業用として特殊化学製品たるカーバイドは、産業再建生産復興の根底に重大な関連を有しておるのであります。さらに賠償物件の撤去並びに軍命令による各作業、重要機械の製作、輸出用見返り生産、魚獲用等部門におけるカーバイド不足が、見逃すことのできない悪影響を與えているのも事実であります。カーバイド生産動向のいかんは、現に遂行しておりまする産業五箇年計画の成否に少くないところの影響與えるものと認められるのであります。  以上の見地から、本委員会といたしましてはカーバイド増産対策といたしまして、至急左記各項実施すべきものとの結論に到達したのであります。  一、本年度生産計画実施上百十%増産目標としてカーバィドの増産に努めること。  二、右の目標達成のため渇水期における電力優先的確保措置を講ずること。  三、炭素材の良質なものを確保する措置を講ずること。  四、二億七千万円(二箇月分ストツク程度融資を認めること。  五、近く決定する新價格においては、原材料の價格並びに労賃の面より見て、業者生産意欲を損じないよう合理的に決定すること。  六、労務物資配給肥料と同様に取扱うこと。   七、右各項を適時適切なる措置によつて完遂するため、業界を打つて一丸とする委員会を設置し、國会及び関係者官廳の協力のもとに、強力にカーバイド増産を推進する機関とすること。  なお、右につきまして政府当局にも強く要望いたしましたるところ、可及的にこれが実施を期する旨の言明がありましたことを附言いたしまして調査の御報告を終ります。
  19. 伊藤卯四郎

  20. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 ただいまから金属鉱工業小委員会における鉄鋼業及び金属鉱工業に関する調査の御報告を申し上げます。  まず鉄鋼業に関する調査の御報告を申し上げます。本年は石炭三千六百万トン生産日本経済再建のかぎとして、資材資金及び労働施設に全力をあげてその生産目標達成に努力いたしておるのでありますが、その石炭生産資材として、石炭生産に最も大きな隘路となつておりますのはすなわち鉄鋼であります。昨年の鋼材生産実績は五十八万八千七百トンであつて、これは昨年度最低需要量百九十万八千トンに対する約三十%に当つでおりまして石炭電力等重要産業向けについてもわずかに需要量の三十二、三%を出ない実情であります。このような状態では、産業再建の前途はまことに暗澹たるものがありまして、経済復興また至難であると断ぜざるを得ないのであります。ここにおきまして、第一回國会における鉄鋼業に関する國政調査結論として御報告申し上げました通り、本年度鉄鋼百二十万トン生産計画を立案し、この計画実施に関して各方面に要望した結果、これが実現を見まして、現在本年度生産計画として着々その達成に邁進しているわけでありますが、この計画遂行のためには、各方面の協力要するはもちろん、特に政府において次の諸対策に関する具体的事項を急速に決定し、可及的速やかに増産実施に充てる必要があると認められるのであります。すなわち  一、鉄鋼業の経営合理化をはかり斯業の急速なる整備を期すること。  二、國内保有の屑鉄を速やかに集荷する体制を整備するとともに、國内鉱石及び副原料増産を実行に移し、併せてこれら諸原料の優先輸送の方途を確立すること。  三、電力及び石炭重点確保をなすこと。  四、原料及び製品の價格体系を一貫的に再検討し、これが適正を期すること。  五、労務者配給物資の特配の増加と福利施設の整備を促進すること。  六、製品及び原料増産に要する資金資材を優先的に確保すること。  七、豊水期における余剰電力の徹底的活用をはかり電氣炉鋼塊の増産をはかること。  八、不用鋼材及び不用銅塊、上物屑等の再圧延を更に増量すること。  九、外資導入により製鋼用機械及び同施設図面の輸人並びに外國技師の招聘等により、設備の能率化と技術の向上をはかること。  なお、計画とその実施に関しまして、計画自体には十分な実現の可能性があるにもかかわらず、これを推進し実施するための措置が不十分のために、計画が実現できないとう場合が、現在の鉄鋼行政の面に見られますから、この問題解決のために、鉄鋼行政陣容に優秀なスタッフを揃えましつて、これが充実をはかり、石炭廳、化学肥料部、電力局のごとく、現在の商工省鉱山局の一課たる鉄鋼課を拡充強化し、これを局に昇格せしめて、鉄鋼生産の総合計画に支障を來さないよう、これが急速なる措置を要望いたしてまいりましたところ、この要望にこたえて内閣より提出されました商工省官制の一部を改正する法律案が両院を通過成立いたしましたから、この問題については解決を得た次第であります。以上、一言申し添えておきます。  次に金属鉱工業に関する調査報告をいたします。鉄鋼業に関する報告はただいま詳細に申し上げました通りでありまして、鉄鋼業を除ぐ部門につきましては、第一に造船業の振興に関する調査と、第二にアルミニウム産業の再建に関する調査とを重点的にとりあげたのであります。以下、これを御報告いたします。  まず造船業の振興に関する調査報告をいたします。わが國の船舶保有量は最低四百万トンが必要であるというストライク報告、或は大型商船十五隻、総トン数百十六万トンを超える輸出新造船契約等によりまして、わが國造船業は近來俄然活況を呈するに至、つたのでありまするが、飜つてわが國の造船能力を検討いたしますと、年間約八十万トンと称せられてはおりますが、諸般の経済情勢より判断いたしますると、ここ二、三年間は精々年間二、三十万トン程度と考えられるのであります。従いまして現有総トン数百三十万トン、これもおおむね戰時標準型でありまするから、早晩とりかえる必要があるのでありまして、これのら國内船舶を、ストライク報告の線まで拡充整備することはもちちんのこと、総額八十四億円に上る輸出新造船を期限通りにかつ優秀船を建造して、わが國造船業の実力を世界に明示宣揚して、今後さらに大量の注文に備えるためには、この際わが國造船業の再建に関して根本的檢討を加える必要があると思うのであります。しかして当面の施策といたしましては  一、輸送難打開のための船舶拡充並びに新造船輸出による貿易振興等の重要性に鑑み、造船業を最重点産業の一に指定すること。  二、建造期間が久しきにわたる関係上、他の一般貿易品とは区別して製造請負契約によることとし、割拂制を適用して建造資金融通の途を講ずること。  三、鉄鋼石炭電力、労需物資その他の必須資材を充足すること。 特に外國船建造資材はすべて規格品である関係上、これらが適時入手し得るよう措置すること。等が必要であると認められる次第であります。  次にアルミニウム産業の再建に関する調査報告をいたします。先般ストライク報告及びジョンストン報告によりまして、アルミ製錬設備に関する賠償指定の全面的解除が勧告せられ、続いてボーキサイト十万トンの輸入計画が確定し、すでにその約半額は到着のうえ製錬に着手している等、アルミニウム産業は近來とみに明るく活況を呈しております。アルミニウムの需要はひとり國内のみに止まらず、南方諸地域の復興にも貢献すべきものがあり、その用途も日用厨房用品はもとより、電線その他各種機器の部分品等すこぶる多方面にわたり、殊に製品輸出に関する限り、紡績その他のものよりもはるかに加工度が高ぐ、従いまして収益もまた大である等の関係からいたしまして、業界の前途は実に洋々たるものがあります。しかしながら、これがためには地金の増産と商品位優秀製品増産どをはかると同時に、貿易振興に関する急速適切な対策が講ぜられなければならないのであります。業界自体としてはようやく再建復興の緒についたばかりでありまして、操業度も著しく低下していることとて、この重大使命を果すためにはあらかじめ解決しておくへき幾多の重要問題が横たわつております。さしあたりこの当面の措置といたしては  一、輸出振興に関する保護助成、特にこの方針に則る為替レートの設定。  二、アルミニウム生産の死命を制する電力の確保、これがために電力需用区分を鉄鋼肥料等と同列に引上げること。  三、金融の円滑化をはかるため、金融機関貸出順位の引上げ。  四、加工業者及び一般消費者が適当價格にて入手し得るよう二重價格制による價格差補給金の交付。  五、賠償撤去を指定せられている加工工場の残置。  以上五項目を実施すべきものと認められる次第であります。以上をもつて報告を終ります。
  21. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に発明振興に関する調査報告を求めます。発明振興に関する小委員長三好竹勇君。
  22. 三好竹勇

    三好委員 優秀な発明の奨励とその工業化の徹底を期することは、わが國経済再建上きわめて緊急かつ重要な事項でありまして、この見地から、本委員会は六月二十二日発足以來、短時日をもつて能率的にこれが調査を進めてまいつたのであります。要するに今後における発明振興対策として種々考慮すべきものといたしましては、まず審査審判能率の増進、次いで発明考案者、研究者、企業家に対する技術資料の提供、次に権利保護の強化、次に発明考案の奨励並びに活用等でありまするが、特に当面いたしておりまする緊急課題は  一、審査官の増員。  二、発明実施化試験費補助金の増額。  三、開放研究所補助金の増額。  四、特許局附属印刷工場の整備に要する経費の増額。  以上四項目でありまして、速やかにこれが実現をはかるべきであると存ずるのであります。なおこれら四項目の実施に必要な経費といたしましては  審査官増員のため      一、五四九、七二〇円  発明実施化試験費補助金増額のため      三、五〇〇、〇〇〇円  開放研究所補助金増額のため      一、〇〇〇、〇〇〇円  特許局附属印刷工場の整備に要する経費増額のため      六、四四〇、〇〇〇円   合計 一二、四八九、七二〇円でありまして、これに関して予算上の措置を講ずる必要があると認められる次第であります。なお以上の結論につきましては政府当局とも意見の一致を見ておることをお含みおき願います。簡單でありますが、これをもつて報告といたします。
  23. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの各小委員長調査報告について何か御意見はありませんか。——別に御意見もなければただいまの各小委員長報告は御了承をいただいたものといたしまして、重ねて本委員会のこれらの國政調査結論についてお諮りいたします。ただいまの各小委員長報告通り決定するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて各小委員長報告通り決しました。     —————————————
  25. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に請願及び國政調査委員会報告書についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願うことに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは後刻委員長において適宜作成の上議長に提出いたしておきます。     —————————————
  27. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 次に閉会中の審査の申出の件についてお諮りいたしたいことがあります。去る七月二日本委員会より議長に申し出をいたしておきました閉会中の審査の案件は、石炭鉱業に関する件、(特に臨時石炭鉱業管理法施行状況調査に関する件)についてでありましたが、有志委員の方より、なお鉱業法改正案起草に関する調査の件を追加してはいかがかという申し出がありますが、右を追加するに御異議はありませんか。つ     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは閉会審査すべき案件として、鉱業法改正案起草に関する調査の件を追加申し出をすることと決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十分散会