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1948-05-11 第2回国会 衆議院 鉱工業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月十一日(火曜日)     午前十一時四十二分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 松本 七郎君       有田 二郎君    生越 三郎君       庄  忠人君    前田 正男君       今澄  勇君    菊川 忠雄君       金野 定吉君    萬田 五郎君       志賀健次郎君    西田 隆男君       長谷川俊一君    三好 竹勇君       谷口 武雄君    衞藤  速君       高倉 定助君  出席政府委員         総理廳事務官  岩崎 松義君         大藏事務官   河野 通一君         商工政務次官  正木  清君         商工事務官   始關 伊平君         労働基準監督官 江口見登留君  委員外出席者         労働基準監督官 塚田 治作君         專門調査員   谷崎  明君         專門調査員   保科 治朗君 五月六日大矢省三君及び馬越晃君が委員を辞任し た。     ————————————— 四月十五日  名港、名古屋発電所石炭確保に関する請願(  赤松勇君外一名紹介)(第四三二号)  商工省陶磁器試驗所東海支所拡充強化請願(  早稻田柳右エ門紹介)(第四七二号) 五月十日  新興硝子「ラツキー」の原料資材確保に関する  請願神田博紹介)(第五二八号) 五月十一日  金属鉱業再建に関する請願伊藤卯四郎君紹  介)(第六二八号)  非鉄金属價格差補給金存続請願伊藤卯四郎  君紹介)(第六三三号)  製綿業復活民主化に関する請願笹口晃君紹  介)(第六四八号) の審査を本委員会に付訟された。 四月八日  木炭生産労働者に対し燈油特配に関する陳情書  (第一四二号) 五月十日  炭鉱賃金制度確立に関する陳情書(第二一二号  )  炭鉱地整備開発に関する陳情書(第二十七号)  釜石製鉄所操業再開に関する陳情書(第二七六  号)  石材業法制定促進に関する陳情書(二八一号) を本委員会に送付された。     ————————————— 本日の会議に付した請願  金属鉱業再建に関する請願伊藤卯四郎君紹  介)(第六二八号)     —————————————
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、委員の異動について御報告をいたします。去る六日日本社会党大矢省三君と民主党の馬越晃君が委員を辞任せられました。なお大矢君は理事でありますから、その補欠選任をいたさなければなりませんが、これにつきましては、去る四月六日理事早川崇君が委員を辞任せられておりますから、その補欠とともに、次の機会選任をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは次の機会理事補欠選任を行います。     —————————————
  4. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 それではこれより請願審査に移ります。  この際お諮りいたします。日程第七、金属鉱業再建に関する請願は緊急を要しますので、日程の順序を変更して、これを繰り上げて審議をいたしたいと思いますが、御異議ございますまいか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。日程第七、金属鉱業再建に関する請願を議題といたします。紹介説明を求めます。有田二郎君。
  6. 有田二郎

    有田委員 全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君より金属鉱業再建に関する請願書が衆議院議長宛提出されております。    硅肺に関する請願書  われわれ全國十一万の金属鉱業労働者は、日夜金属鉱山復興ために他産業に先かけて、昨年より生産鬪爭を実施中でありますが、本請願書に述べる硅肺問題については、鑿岩夫等熟練夫が、この職業病のため、中途にして悲惨にも倒れていく現状にあり、生産を著しく阻害し、金属鉱業再建に及ぼす影響は、きわめて重大なものであります。退職後においても、硅肺による死亡者は、相当数に上るものなることも考へられ、これはまた人道上由々しき問題でもあります。これに対し早急に根本的な予防治療処置をとらなければなりませんが、何分莫大な経費を要するので、一企業ではとうてい目的を達し得ず、人道上、また基礎産業復興見地より、この際國家の手による合理的施策、たとえばこれがため國立研究所設置とか、國立療養所設置とかの施設、するため昭和二十三年度予算において、これに要する経費計上されたく、何とぞ御審議の上特にお願いします。 右請願いたします。  本請願の要旨は、鉱山硅肺、すなわちよろけ病根本的予防治療策を講ずることは、基礎産業復興見地からも、また從業者基本的人権を擁護する観点からも、まさに焦眉の急務であるが、何分多額経費を要することとて、極度経営難に喘ぐ今日の鉱山経営者の力には、とうてい及ぶべくもない。よつて二十三年度の國庫予算に、所要経費計上していただきたいというのであります。  鉱山從業員の中枢を占める採鉱技術者鑿岩夫その他の技能者等が、いわゆるよろけ病ため技能ようやく習熟して、これから大いに増産貢獻せんとする際、職場を離脱して廃人となるのやむなき現状にあることは、重要鉱物増産鉱山経営等見地から、まことに憂慮すべき次第であります。この硅肺問題は、世界各國を運じて、鉱山経営上最も悩まされる問題であるが、特にわが國においては、この恐るべき病氣に対する啓蒙宣傳はもとより、予防並びに治療あるいは補償等対策がほとんど全然講ぜられなかつたため、これまでおびただしい犠牲者を出しているのみならず、現に今日においても、現場從業員総員の少くとも二割はこの病氣に侵されているものと推定せられる実情である。特に第二期以上の患者にあつては、退職靜養後も、どんどん病勢が高進する特性があることは、補償の問題に関して忘れてはならないことであります。過去の日本ならばともかく、新らしい日本において、すなわち何人も健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を確認せられている從業者等が、この致命的硅肺問題を依然として等閑視することを、はたして默認するであらうか。よしんば彼らが默認すると仮定しても、國家がこれを默認させてよろしいものであらうか。單なる労働問題というよりも、むしろ重大なる社会問題であり、人道問題であると言わなければならない。從業者が当然の権利を主張する以上、硅肺問題解決することなくして、労働問題の安定は得られない。ひいては鉱山経営は成り立たない。すなわち銅鉱の生産も、鉄鉱の増産も、はたまた硫化鉱共給確保もあり得ないのであります。問題は所要経費をいかにして捻出するかであります。業界みずからこれに当るか、あるいは國庫の支出を仰ぐかであります。本來なれば経営者あるいは労働組合等業界みずからこれに当るべきであります。しかしながら極度経営難に悩む今日の鉱山経営者や、創立日なお浅く経済的基礎いまだ定まらない労組に、これを期待することができるでありましようか。業界の出資にまつとすれば、今日の段階においては、結局鉱産物價格あるいは價格差補給金に織りこむほかはありません。しかしながら、鉱産物はその種類すこぶる多種多樣であり、國内消費のみならず、輸出貿易品たるものも少くはない。從つて生産者買上價格にも、おのずから限度があり、現に多額價格差補給金を交付せられておる次第である。これらの事情を総合考察する、結局少くともこの際は硅肺に関する根本的調査研究、並びに予防治療等施設を、國費支弁のもとに、急速強力かつ合理的に運営するにしかずと考えるのであります。  以上硅肺対策費を二十三年度予算計上せられるよう請願するゆえんであります。
  7. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これにて紹介説明は終りましたので、本請願に対する政府の所見を伺いたいと思います。
  8. 正木清

    正木政府委員 本請願趣旨については、ただいま有田委員より詳細承つたのであります。この機会におきまして、商工当局としての本請願に対する所信を明らかにしておきたいと思います。  御承知のごとく、石炭、石油を除くところの鉱山業は、現在全國で約十万人の從業員を擁しておりまして、年間約百億円の差額をもちますところの重要なる基礎産業でございます。鉱産物種類によつて事情が異なりまするが、概括的に申せば、國家経済の必要上、本二十三年度におきましては、二十二年度に比しまして、四割増の生産をあげるという方針を立てております。数年以後は二十二年度の二倍以上の生産を続けなければならぬという見透しを立てております。かような生産を達成するためには、改変をいたさなければならぬ事項は二、三に止まつておりませんが、最も重大なことは地下で働いておりますところの労働力の保全ということでございます。これがため昨年十月十四日地下労働環境の改善をはかり、なお免れがたい環境の不利に対しては、それに相應する地方労働者の優遇をはかる旨閣議決定をいたした次第でありまするが、この趣旨に基く具体的処置は、ただいまのところ、遺憾ながら諸般の事情に妨げられて、未だいくらも進行していないというのが実情でございます。商工省としましては、地方労働者社会最待遇を急速に大幅に引上げなければ、鉱山業は急激に衰微いたしまして、國民経済上はかり知れない損失を招來することと信じまして、各方面の啓蒙に努めている次第でありまするが、ただいま請願の御説明においても明らかなことく、事硅肺問題に至りましては、社会経済の問題であるばかりでなく、まさに人道問題でございます。硅肺問題歴史は御存じのように、非常に歴史が長くもあり、またきわめて悲惨な幾多の事実が、十分に研究もされないばかりでなく、まつたく発表もされず、むしろ隠蔽されておりまして、恐らしいものには目をつぶるという態度で扱われてきたのであります。從つて今日まで、何ら見るべき対策なく、同じことが繰返されておる次第であります。かくのごとく、眞実を逃避する態度は、今後においては考えられないことではないとかと、かように考えます。商工省としましては、もちろん眞劍なる努力を傾注する覚悟でございますが、今回國会におきまして、この問題が取上げられましたことは、当局といたしましては、まことに感謝にたえないところでございます。願わくばこの機運を逸せず、硅肺問題本格的解決に立向われんことを、衷心から希望いたす次第でございます。
  9. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 質疑に入るに先だちまして、御紹介いたしておきたいと思いますことは、本日本委員会労働省商工省物價廳大藏省等政府委員が、それぞれ出席をいたされておりますので、御了承願いたいと思います。これより質疑に入ります。
  10. 有田二郎

    有田委員 大藏省当局にお伺いいたしたいのですが、今度の二十三年度の予算に、大体硅肺問題につきましては、どの程度予算査定されておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  11. 河野通一

    河野(通)政府委員 お答えいたします。硅肺問題に関しまする財政当局としての見解及び現在までの予算上の措置についての進行状況を申し上げます。私どもといたしましても、この硅肺の問題が、先ほどの御請願にもありました通り人道上また生産復興上きわめて重大な問題であるということは、十分承知いたしております。しかしながら、財政当局としての立場から申し上げまするならば、この問題は本來ならば二つ方法のいずれかによつて解決と申しますか、措置せらるるのが本筋でないかと考えられるのであります。一つには、御請願にもありました通り経営自体によつてこの問題を解決していただく、要すればこれがために必要な経費は、生産のコストの中に織りこんでいただいて、物價の問題で解決するというのが一つ方法かと思います。またもう一つ方法といたしましては、現在行われておりまする労災保險保險給付一つ方法として、何らかこの問題を解決する途はないか。筋から言えば、この二つ方法で問題を解決するのが本筋であろうかと考えるのであります。しかしながら、御請願にもありました通り、現在の実情から申しまして、今すべての問題をこの二つで完全に吸收し解決するということはおそらく困難であろうかと考えるのであります。いずれ物價廳からも政府委員が見えておりますから、物價の問題については、後ほどお話があるかと思いますが、この二つ方法ですべてを解決できないということでありますならば、この際といたしまして、緊急処置を要する。この問題を財政上何らかの形で処置をいたさなければならぬというふうな結論になるかと思うのであります。金額その他については、まだ申し上げる段階にないのでありますが、財政ぎわめて多端な折でありますので、十分に財政上の措置だけでこの問題を解決する。つまりすべての問題の解決を、財政に皆おつかぶせるということは、なかなか困難かと思うのどありますけれども、現在労働省当局商工省当局等と、この問題の予算計上方について目下折衝を続けております。御要求になつております事項は、非常に多端にわたつておりまして、御請願にもありました通り硅肺予防に関するいろいろなお打合せ、あるいは予防思想に関する普及宣傳、あるいは病氣の発生の状況調査等に関する経費、これらの巡回をいたしまして、病氣予防及び治療に当る経費、また予防に関する試驗をいたしまする施設経費、また予防器具機械等試作経費等、きわめて多岐にわたつております。これらのうち、初めに申し上げました調査の費用、あるいはいろいろ御協議、御研究をなさるための御会合の経費、また普及宣傳に必要とせられまする経費等につきましては、金額につきましては、いろいろまだ問題がありますけれども、大体私どもとしては、必要最小限度のものは、予算計上いたしたいと考えております。問題はあとに申し上げました巡回予防ため経費予防試驗所に要しまする経費予防機械器具試作ため経費等につきましては、性質財政の負担で支出することが、本來ならばあまり適当でない経費であるかと、私どもとしては考えておるのでありますけれども、緊急の必要性に鑑みまして、必要最小限度のもの、あえて最小限度と申しまするのは、財政上の立場からいろいろ困難な状況にありますので、必要最小限度のものは計上いたしたい。しかしながら、これがために、労働省当局人員増加とか、いろいろそういうことにならないように、人員等につきましては、適宜そう職員の増加というようなことにならないような措置をとるとか、いろんな点で御要求金額はそのまま予算計上をいたすわけにまいらぬものと思いますけれども、目下事務的に予算折衝をいたしておりますので、必要なる最小限度のものを計上いたしたいと考えておる次第であります。  なお治療ため療養所設置につきまして、別途御要求があるやに伺つておるのでありますが、まだ詳しいところは拜見しておりませんけれども、これらの点につきましては、労災保險施設として、何らかの処置がとられ得るのではないか、かように考えております。まだ詳細を私ども伺つておりませんので、今金額等については申しかねますけれども、何らかの措置がとられるであろうというふりに考えております。簡單でありますが、財政当局としての意見を申し述べました。
  12. 有田二郎

    有田委員 財政当局の御答弁を承つたのでありますが、とにかく総理大臣は十五日ころまでに予算を上程する、こういうことを申しておるのでありまして、今日よろけ病に関する大体の御檢討が、すでにお立ちになつておられるのだろうと思うので、はつきりした数字でなくても結構ですから、大体どの程度大藏省査定しておるのかということの具体的な数字をひとつ承りたい。できる限り何とかするというそんな話でなく、もうすでに國会総理大臣予算を十五、六日までに出すということをおつしやつておられるわけですから、この線に沿うて、どの程度出すか。この程度までは何とかできるじやないかという具体的なお話を承りたいと思うのです。
  13. 河野通一

    河野(通)政府委員 予算の編成は、お話通り十五日前後に國会の方へ御提出するような運びで進めております。大体ほかの問題は労働省予算等につきましてはきまつておるのでありますが、この一点だけが実はまだ残つております。今明日中に何らかの決定をいたさないと、事務的に間に合わぬというようなところに來ておりますので、労働省当局目下折衝を続けておるわけでありまして、金額につきましては、今まだきまつておりません。明日中にはおそらくきまると思いますが、大体の金額のきまつたものだけ申し上げまするならば、硅肺予防協議会費硅肺発生状況調査費硅肺予防思想普及宣傳費、この三つといたしまして、大体五十万円余りのものを計上いたしております。それから硅肺巡回予防班費硅肺予整試驗費硅肺予防慢具機械試作費、これが金額としては、予算要求のほとんど大部分を占めておるわけであります。第一次の査定におきましては、この金額は実はほとんどお認めできないような状態になつてつたのでありますが、再度の復活要求に対して、目下私どもの方の担当官労働省当局折衝を続けております、御要求金額は、数千万円に上つておるのでありますが、そういう大きな金額にはなかなかまいらぬかと思いますけれども、いろいろこまかく今折衝いたしておりまする計算の基礎等はございますが、おそらく数百万円というようなところでなければ、ちよつと金額計上はむつかしいのではないかと考おておりますが、それが何百万円になりますか、ちよつと今のところ申し上げましたような事情で、積算が確実にできておりませんので、申し上げる段階になつておりません。ひとつ御了解いただきたいと思います。なおそのほかに今申し上げました硅肺療養所設置費は別になつております。
  14. 有田二郎

    有田委員 このよろけ病について、最初大体私の聞きまして要求では、一億八千万円というような要求がなされておつたように聞いておつたのでありますが、労働省から大藏省の方へ出ました当初の要求額は、ほぼ何千万円ということでありますか。はつきりした数字をお聽かせ願いたい。
  15. 江口見登留

    江口政府委員 労働省の方から最初大藏省へお願いいたしました数字は六千五百万円であります。非常に多額経費でありまして、財政当局といたしましても、その全部については、非常に査定が困難だということで、われわれといたしましては、相当中身を圧縮いたしまして、ただいま大藏省へお願いしておりまする数字は、千四百万円ほどになつております。これに対しまして、今財政当局からお話いたしました通り、相当好意をもつて査定をしていただいておるのでありますが、現在までのところ、先ほど話がありましたように、八十万円程度はまあ承認しようということで、そのあとの分につきましては、目下われわれの方といたしましても、詳細な資料を持寄りまして、その中身をお互いに檢討しておるというところでございます。われわれの重点を置いておりますのは、ただいまお話がありましたように、巡回診療の問題、それから試驗所設置の問題で、これらを一般会計といたしまして、早急にこの一両中にきめていただきたい。それから話が出ました病院の問題につきましては、労災保險特別会計でも考えられますので、その方の予算決定の際に、また大藏省と相談いたしまして、適当な措置を講じたい。ただその方が少し遅れまするし、また特別会計の方へ非常にたくさんの予算を負担させるということになりますると結局またそれは山を経営しておられる方の保險料の増額ということになつて帰つてくるわけでありますから、その辺の特別会計一般会計の見合というような点もありまするし、財政当局ともなお折衝の上、できるだけ御希望に副うように努力を拂つていきたいと考えております。
  16. 有田二郎

    有田委員 最初私が聽いたのでは、大体一億八千万円というような要求であつたように思つておりますが、労働省からの御答弁によりますと、六千五百万という要求大藏省になされたということに対して八十万円、こういう夜店のバナナ賣りのような値切り方であります。これはまことに遺憾でありまして、しかも労働省がそれに対して千四百万円の内訳の要求をしておるということでありますが、こと重大な問たでありますし、この千四百万という労働省の御意見に対して、ただいま何百万円程度というお話でありますけれども、さらに大藏当局として、労働省の千四百万円ということに関して、どの程度御協力願えることか、もう一遍承りたいと思います。
  17. 河野通一

    河野(通)政府委員 今申し上げたようなことでありまして、具体的に今何百万円ということを申し上げるまでにいつておらぬのでありまして、現在事務的に打合わせを進めております。現在も私ども担当官労働省参つてつておるところでありまして、金額をはつきり申し上げることはできませんで、はなはだ残念でございますけれども、御了承を願いたいと思います。
  18. 有田二郎

    有田委員 物價廳にお尋ねいたしたいと思います。ただいま大藏当局から、こういう財政折柄で、大藏省だけではやれないので、どうしても経営者の方にもつてもらわなければならぬという御意見がありましたが、まことにごもつともだと思うのであります。これに対して物價廳としては價格差補給金、あるいは鉱産物價格について、特に先刻申し上げましたように、種類が非常に多種多樣にわたつておりまするし、國内の消費だけでなく、輸出貿易品というようなものも相当ありまして、價格が抑えられているという面からいきまして、物價廳としてはこの面を通じての價格決定、あるいは價格差補給金についての御方針をひとつ承りたいと思います。
  19. 岩崎松義

    岩崎政府委員 私どもといたしましては、硅肺についての予防法なら、あるいは治療法が、一日も早く完全なものとなることを、非常に熱望しております。  ただいまお話價格をどう見るかという問題でありますが、これは全般價格の形成のことでございますが、いわゆる法定福利に属するものは、そのまま全部性質から見ましても当然見ております。今お話費目につきましては、法定福利関係で考えられるものもあろうかと思いますので、申し上げる次第でありますが、それ以外のいわゆる鉱製品につきましても、一定の限度は從來も見ておりますし、今度の補正の場合におきましても見るという考えでございます。ただそれ以外のいろいろな費目については、やはり價格で見る点については、性質上おのずから限度であろうかと思います。いわゆる経営者が負担すべき性質のものならば、おのずから考えられますけれども、やはり負担されることが性質上無理だというものは、ちよつと考えられない か考えておる次第であります。  なおここでちよつと私の方でいろいろ希望しておるのは、鉱産物公定價格をやみ價格関係でございます。大部分取引は、御承知通り公定價格で行われておりますけれども、少量取引につきましては、いわゆる公定價格以下價格で行われている。申しますれば、いわゆる市場價格は安く、公定價格より低い、こういうのであります。從いまして、かりに鉱産物の方の價格に換算するといたしましても、こういうものを織りのんで、その價格を上げることが、鉱山経営という点において妥当かどうかという点も、非常に愼重に研究を要するではないかと考えております。
  20. 有田二郎

    有田委員 鉱山局長にお伺いいたしたいのでありますが、ただいまの物價廳お話大藏省お話をお聽きいたしますと、閣議決定されている事項につきまして、政府の中において方針が一致していないということになるわけですが、直接担当鉱山局長として、どういうふうな方法を考えておられるかということについての御意見を承りたいと思います。
  21. 始關伊平

    始關政府委員 物價の中に織りこむといたしましても、これは生産費その他全般がそれぞれの山で違うのでありますから、かりに原價計算上織りこんでもらつたといたしましても、ある特定の会社鉱山につきましては、それがはいつているのかいないのかよくわからないようなことになりまして、ただいまの鉱山経営実情から申しますれば、概して申しまして、経営者側にはそれほど負担力はないというふうに考えられると思います。從いまして、少くともこういう方法でやれば、硅肺予防ができるというところまでは、ぜひ政府の支出でやつていただきまして、それに基く具体的な措置で、各鉱山でそれぞれやらなければいかぬというものがあると思いますが、これらの点につきましては、資材の斡旋なり、あるいは金額のお世話なりを私どもの方でやつていく、また必要に應じまして、ただいまではさつき申し上げましたように、價格に織りこむということそれ自体が非常にはつきりしないのでありますけれども、そういう方法でやつていく。要するに、分野から申しまして、非常に個別的な面で、会社鉱山でやるべきものもあると思います。そこに至りますまでの方法等が、ただいまでははつきりしておりませんので、そういつたような点の調査、並びに具体的な予防方法というようなところくらいまでは、ぜひ政府の方でやつていく、大体こういうふうに考えております。
  22. 有田二郎

    有田委員 労働省にお尋ねいたしたいのですが、ただいま鉱山局長、また物價廳からも御答弁がありました通り経営者側でこういつた負担をさせることができないような御意向であると思います。労働省としては、商工省あるいは物價廳、安本等の方面に十分御連絡をとつて要求額を抑えた、少くともこの辺の要求を付して大藏当局予算を出すべきであつて、大体要求額の千四百万円は低きに失する。これによつてたくさんの犠牲者が出るということになると、責任はすべて現政府にあるのであつて價格決定は何のためになされたかということになるわけでありまして、労働者側として、今まで大藏省並びに他の官廳との折衝條件を忌憚なくぶちまけて、お聽かせ願いたいと思います。
  23. 江口見登留

    江口政府委員 実はこの硅肺問題についての從來の資料が少いのであります。われわれこの問題につきまして、何とか手を打たなければならないといろいろ考えまして、予算の基礎を算出するにつきましても、相当各方面にあたつて、その材料を出していただいたのでありますが、それらの研究團体とか、あるいは相当良心的にやつておられる鉱山経営者の方々にもいろいろお話を聽きまして、この数字を一應出してみたのであります。ただ今申しますように、資料がはなはだ不完全でありますので、いろいろの方面の御意見を聽きましても、予算上どの程度のものを第一年度として計上すべきであるかという点については、はつきりした御意見がないのであります。われわれの責任におきまして、一應数字を出してみたのでありますが、これを当初考えておりましたような多額金額で初年度から出発することにつきましては、実は事務能力の上から申しましても、それだけはやりにくい。お引受けいたしましても、ただ形式的な予算だけ計上されて、中身はその通りに運営することができないのでは、責任を果すゆえんではありませんので、われわれの事務能力としてやり得る範囲のものを、一應取上げていこう。御承知通り政府職員の増加というような点につきましても、いろいろな制肘が加えられておりまして、なかなか困難であります。人員増加も困難だというような点から考えまして、先ほど申し上げましたような程度のことを、まず初年度として考えていきたい。さらにこれがうまく手が打てれば二年度、三年度、財政当局とも相談いたしまして、その次の段階にはいつていく。こういう順序を追つたらどうかと考えまして、先ほど申し上げましたような数字を、一應二十三年度の一般予算として考えて出したわけであります。
  24. 有田二郎

    有田委員 最後に大藏御当局に伺いたいのですが、ただいまお聽きになりました通りに、物價廳なり、鉱山局なり、労働省復活要求額千四百万円は、私どもが客観的に考えまして、非常に少きに失する。もちろん資料その他がなかつたという労働者の御答弁であります。労働省ができてまだ間がないので、もつともだとは思うわけでありますが、しかしそのために多数の労働者が非常な迷惑を受けるわけで、この点について少きに失するとわれわれ考える。千四百万円の要求額に対してでき得る限りたくさん出していただきたくように御努力願いたいと思います。これについてもう一度大藏当局の御意見を伺いたいと思います。
  25. 河野通一

    河野(通)政府委員 御趣旨の点は十分頭におきまして、できるだけのことをいたしたいと思います。
  26. 有田二郎

    有田委員 大藏当局の御意見を拜廳いたしまして、まことに意を強うするのでありますが、どうか経営者の負担という点が、ただいま物價廳なり鉱山局からお話があつた通りで、特にこの点を頭においていただいて、御研究を願いたいと思います。  さらに労働省の労働基準局の衛生課の方にお伺いいたしたいのでありますが、この硅肺について、今までどういうような方法がとられておつたか。予防について、あるいは治療について、今までの状況なり、この点について、厚生省の方とどの程度連絡をとつてつておるか。また医学的な進歩にどの程度御協力願つておられるか。この点をひとつお願いいたします。
  27. 塚田治作

    ○塚田説明員 先ほど御請願の中にもありました通りに、日本硅肺につきましては、発表が非常に少かつたために、先ほど労働基準局長から申しましたように、硅肺に関しましては非常に少いのであります。しかし一、二の鉱山の特殊な專門家の調査によりますと、相当日本の金属界においては、硅肺という点はあるというふうに考えておるのであります。ぜひ労働省といたしましても、硅肺対策を早急にやらなければならぬと思いまして、この春各方面の硅肺のエキスパートの御参集を願いまして、いろいろ研究討議をいたしたのであります。さらに鉱山復興会議におきましても、硅肺対策につきましていろいろ御研究になつております。それらと連絡いたしまして、さらに現場の山の硅肺の專門家等をお願いをいたしまして、正式ではありませんが、硅肺予防対策というようなものをつくりまして、この要綱に基きまして、予算等を組みまして、これからこの要綱を中心といたしまして、硅肺対策を推進いたしたいと考えておるのであります。
  28. 有田二郎

    有田委員 アメリカにおいて硅肺の問題に対してどういう処置がとられておるか、労働省としては御調査になつておられるかどうか伺いたいと思います。
  29. 塚田治作

    ○塚田説明員 外國におきます硅肺対策は、南阿が一番進歩しております。大体南阿の対策がアメリカ等に実施されておるのではないかと思うのであります。南阿の研究等につきましては、資料がありますので、目下この資料を十分研究をいたしております。アメリカの硅肺対策につきまして、いろいろ御説明をしてもよろしいのですが、どの点を御説明いたしたらよろしいでしようか。
  30. 有田二郎

    有田委員 その点についてもよく外國のことを調査していただいて、できる限り労働者諸君のために、御協力願いたいと思うのであります。  最後に結論としてお願いいたしたいことは、ただいま各官廳からお話がありましたように、経営者から取るということは非常にむずかしい。特に石炭のランクが非常に高いために、他の鉱山はそのために逆に非常に困つておられるという状態であります。銅鉱にしても、鉄鉱にしても、また肥料の原料である硫化鉱にしましても、いずれも再建日本になくてはならないものでありまするし、この点をひとつ十分大藏当局においてお考えくださいまして、この予算の点について、今度の予算は少きに失しており、ただいま労働省からいろいろお話があつた通り調査が行届いていない。まつたく政府の手落ちで予算が少く労働省から要求されたために、こういう結果になつたということを御了承願いまして、特に予算の面において、労働省から要求しておる千四百万円をはるかに上廻つたところで御決定を願いたいと考えるのであります。さらにまた労働省におかれても、この対策についてもつと眞劍に御研究願い、鉱山局と御協力願つて、この問題の御解決方をお願いいたしまして、請願の質問を終る次第でございます。
  31. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 この問たは過般解決をいたしました労働爭議等の要求内容にも含まれていたということを聞いておるのであります。從つてきわめて緊急、重大急をもつておると思いますので、この際暫時休憩をいたしまして、懇談会を開きたいと思います。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時十五分開議
  32. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。
  33. 三好竹勇

    ○三好委員 本請願はまことに重要でありまして、かつ緊急を要するものでありまするから、ただちに採決せられんことを望む次第であります。
  34. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの三好竹勇君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それではこれより本請願の可否を決します。
  36. 三好竹勇

    ○三好委員 本請願はわが國会鉱山、並びに全鉱山にとつては、まことに重要かつ緊急を要するものでありまして、その趣旨は至当と見られますから、議院の会議に付して採択の上、内閣に送付すべきものと議決せられんことを望む次第であります。
  37. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 ただいまの三好竹勇君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて請願は、議院の会議に付して採擇の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  この際お諮りいたします。本日はこの程度に止め、残余の日程は延期いたしたいと思いますが、別に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。  それでは本日はこの程度にて散会することといたします。     午後一時十七分散会