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1948-04-08 第2回国会 衆議院 鉱工業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月八日(木曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 伊藤卯四郎君    理事 大矢 省三君 理事 松本 七郎君   理事 生悦住貞太郎君       有田 二郎君    神田  博君       庄  忠人君    今澄  勇君       菊川 忠雄君    金野 定吉君       萬田 五郎君    馬越  晃君       志賀健次郎君    西田 隆男君       豊澤 豊雄君    谷口 武雄君       齋藤  晃君  出席國務大臣         商 工 大 臣 水谷長三郎君  出席政府委員         石炭廳次長   吉田悌二郎君  委員外出席者         運輸事務官   森田 義衞君         專門調査員   谷崎  明君     ————————————— 四月六日  中小企業対策に関する請願門司亮君外九名紹  介)(第三四八号)  代田燃料裝置資材及び動力用燃料配給請願  (林大作君外一名紹介)(第三五四号) の審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  石炭廳設置法案内閣提出)(第三二号)     —————————————
  2. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、委員の異動について御報告をいたします。昨七日民主自由党平島良一君が委員を辞任せられ、その補欠として同じく民主自由党有田二郎君が議長において委員に指名せられました。  それではただいまより前会に引続き石炭廳設置法案を議題とし審議に入ります。質疑を許します。神田博君。
  3. 神田博

    神田委員 石炭廳設置法案審議に当りまして、これに関連することで商工大臣に少しお伺いしたいと思います。この石炭廳設置法案は、昨日提案理由の御説明がありましたように、この一日から施行になりました臨時石炭鉱業管理法案に関連いたしまして、石炭廳官制を全面的に法律にかえるのだという御言明でございました。これはごもつともなことと存じます。さいわいよい機会でありますので、石炭情勢のことにつきましてお伺いいたしたいと思います。  昭和二十三年度出炭目標額は三千六百万トンを目標とされた。これがわが國現在の産業復興に関しましての緊急欠くべからざる問題だということに私ども伺つております。法案審議の際におきましては、商工大臣から二十三年度目標は三千三百万トンを確保いたしたいという御説明のように承知しておりましたが、その後情勢の変化によりまして、三千六百万トン台を確保いたしたい、こういうことを私ども新聞その他で伺つておるのでありまするが、三千六百万トン確保について、商工大臣として確実にこの至上命令をかような方法によつて確保できるというような具体的な御説明を承りますれば非常に仕合せに存じますが、まずこの点から御答弁をお願いいたします。
  4. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 神田さんの申されましたように、國管法審議の際に当りましては、二十三年度は五千六百カロリー、三千三百万トンというぐあいに御説明申し上げたことは言うまでもございません。ところが、その後十一、十二月の労資双方の熱烈なる増産協力、さらにまたその筋の特別調査團の應援等によりまして、大体十二月のごときは三百万トンに手が届くというような状態であつて、もしこの態勢を崩さずにもつていくならば、二十三年度三千六百万トン必ずしも不可能でないという見当に達しましたので、その後関係筋その他ともいろいろ打合せの結果、三千六百万トンというぐあいにいたしたのであります。それではその三千六百万トンをどうして出すかという詳細にわたりましては政府委員から申し上げますが、ただいまのところ大体商工省としての考えにおきましては、第一・四半期資材資金その他の面に関しては一應の内定案をもつておりますので、それをひとつ政府委員から説明させたいと思います。
  5. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 ただいま大臣からお話のように、昨年度におきましては三千三百万トンを二十三年度目標といたしておつたのでありますが、諸般の情勢からしてやはり本年度生産は少くとも三千六百万トンの炭を必要とする、産業復興のためには一日も早く石炭が回復していかなければいけないという要情からして、目標を三千六百万トンに上げたのでございます。その理由については大臣も申されましたように、十二月以降の出炭が非常によくなつてまいりまして、労資双方協調態勢も逐次改まりまして、月々三百万トンに近い生産をされておるということも大きな自信を得た理由でございます。これに呼應いたしまして、資材の方も、これも前年申しましたように、非常に困難ではございますが、逐次見当がついてきまして、まだ一ケ年間の全部の資材計画というものはできておりませんが、とりあえず第一・四半期におきまする資材は、この三千六百万トンを掘るに大体最小限度資材は確保できるという見透しができまして、現に今割当の檢討中でございます。たとえば普通鋼材でありますが、昨年の第四・四半期に此べますと、この第一・四半期では七割二分ほどの増加の数量を計上できるような予定になつております。そういう点を申しますと、一月から三月までは、四万九千七百四十六トンでございましたのを、三万四千トンに増加して割当をするというような事情であります。その他の資材も、おおむね相当増量をなし得る見透しがついてまいりましたので、ただいまその資材割当計画を立てておるわけであります。  それから資金でありますが、昨年の資金金額は昨年三月ごろの物價による決定でございますので、今後物價に著しい改訂がございますと、若干の違いもあるかと思いますが、大体この上半期におきましては六十一、二億円の設備資金予定することができます。また炭住資金も、これも現在計算しておりますが、大体六、七十億円の資金わくをもらえそうなことになつておりますので、ここらも大体予定通り生産に即應するところの資金供給ができ得るものと考えるのでございます。これは両方とも上半期でありますが、資金わくをきめたいということで、ただいま協議をいたしております。
  6. 神田博

    神田委員 これは第一・四半期ですね。
  7. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 資金だけは全部上半期としてのものであります。
  8. 神田博

    神田委員 炭住資金計裁は何戸くらいになりますか。
  9. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 これは個々の住宅でありますが、これは新築移改築修繕別に申し上げますと、新築は大体上期におきまして二万一千三百七十戸、移改築は五千三百五戸、修繕をする住宅は一万二千八百三十九戸であります。それから次に合宿、これは棟数で申し上げますが、新築は三百三棟、移改築は百五十五棟、修理が百十一棟、そのほか厚生施設、これは病院学校等を含めましてこれも棟数で申しますが、新築は二千四百六十七棟、移改築が三百七十六棟、修理が百四十一棟、これを坪数に延べますと、大体四十五万坪前後になる予定であります。昨年の実績は年間を通じまして六十二万坪でございましたが、それに対しまして今年は上期において四十五万坪をこの十月までにつくる予定計画しております。
  10. 神田博

    神田委員 設備資金の新鉱に対するものは……。
  11. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 新鉱のもので設備資金の中で予定しておりますのは、約五億円程度であります。それから運轉資金計画は、これはただいまその石炭價格生産費のカバーしておりませんために、赤字がどうしても出るといつたわけでありまして、そのために非常にたくさんの運轉資金を必要とするのであります。從いまして、昨年度におきまする運轉資金供給総額は七十三億九千万円、これは二十二年度全部でありますが、こういう多額運轉資金炭鉱供給せざるを得なかつたのであります。今年度もこの炭價改訂が遅れますると、相当運轉資金多額になるという形になります。炭價改訂が早ければ運轉資金はその炭價で賄えますからそうたくさんは要りません。ただ四月にその改訂はできないことは確かでありますから、少くとも四月には相当運轉資金が要るだろうと思います。ただいまその金額は予想できませんが、今後労賃の改訂が近く締結されると思いますし、そういたしますると、資金のためにも運轉資金が現在より相当ふくれてまいります。また物件費その他の運轉資金も、現在では赤字になつておるのは確かでございますので、このためにトン当りやはり二百円程度赤字は、どうしても補填してやる必要があるのじやなかろうか。こういうことからいたしまして、その金額は毎月いろいろ生産費を計算いたしまして、違うのでありますが、大体二百円程度のものは少くとも赤字補填としてやる必要があるのじやなかろうかという計算をしておりますので、昭和二十二年度の第四、四半期におきましても、そういう赤字運轉資金のために、二十億見当資金を放出しております。従いまして、その三分の一程度の大体八、九億のものは、どうしても四月一箇月だけで要るのじやなかろうかと考えております。そのほかに賃金改訂されますと、それに應じて資金が融通する必要がありますので、それらも若干加わるのではないかと思います。そのほか、昨年におきまして十六億ほどの運轉資金でよろしいと申し上げたのでありますが、そういう事情のために、この運轉資金計画は、今後の炭價決定とにらみ合わせて考えていく必要があると思います。また物價改訂等があれば、これはまた自然動くべきものであると考えております。  大体そういう資金資材炭住計画等をもちまして、増産をするわけでありますが、そのほかに労働者生産意欲というものの向上に重点を置くのが、一番の即効的な方法であろうと考えまして、賃金問題の解決もその一つでありますが、そのほかに炭鉱の福利問題をやはり解決していきたいということで、ただいま創立総会をいたしておりますが、炭鉱福利協会というものを新しく設けまして、そこで診療所経営する、その他いろんな福利関係仕事をそこを中心にやつていくということをいたしまして、政府としてその協会のために病院の建物を産業設備営團をして進めしめるということをやつております。また同時に炭鉱保安を現在以上に嚴重にいたしたいということのために、保安関係監督の職員も石炭廳に新設することを考えまして、これもぜひとも本予算の方には認めていただきたいと思つております。また機械化の問題につきましても、これらの新しい機械、人力に代るに日本炭鉱に適した機械をつくつていくように力を入れたいと思います。そういう予算を請求中でございますが、そういうことによつて何とか三千六百万トンの計画を達成いたしたい、こう考えております。
  12. 神田博

    神田委員 いろいろお伺いいたしまして、昭和二十二年度に比ベまして昭和二十三年度資材割当あるいは資金計画等相当大幅に増加されるような御様子のようでございます。石炭増産につきまして、また労働者生産意欲向上のためには、福利関係病院であるとか、あるいは保安関係の強化、住宅問題の解決、あるいはさらに積局的に機械化の点も、いろいろ御計画のようでございまして、今御説明のようなことがそのまま実行されるならば、私ども相当開度の石炭増産がされるであろうということを大体感知できるのでありますが、お述べになりましたうちで、炭價の問題でありますが、これは昨年たしか第二・四半期で九百五十六円かに御決定のようでありまして、これはしばしば業者から、この炭價を引合わない、どうしても上げていただかなければならぬという声を耳にしております。殊に今までそういつた関係から非常な赤字になつてつて、未拂金と申しますか、とにかく四十億近くあるように承知しておりまして、そのうち十三億くらいしか融資と言いますか、政府支拂援助を與えていない。残額が相当つているように聞いているのでありますが、こういう点について、今お話を承りますと、今までの四十億から十三億引いた二十七億と言いますか、大つかみの話でありますが、そういう経費はどうなつているのでしようか。ちよつとお伺いしたいのであります。
  13. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 炭鉱の未拂金は、ただいまお話のように、昨年の十二月末で三十六、七億の未拂金になつているのであります。これは税金の未拂分も含んでいるのでありますが、その後税金は一部徴收され、一部は延期されておりますが、一月以降においても、依然赤字が類増しまして、おそらく三月末においては、やはり前と同じような、三十数億円の未拂金をもつて、新年度に移つてきたと思います。しかしながら、こういう未拂金がたくさんありましては、炭鉱としては非常に経営上苦しくなるのでありまして、一日も早くこれを消してやらなければならぬ。しかもその原因は、要するに炭價生産費をカバーするに足らないために起つたやむを得ない未拂金でありますので、政府としては、これに対して相当のものを考えねばならぬと考えております。もつとも未拂金というものは、仕事を運営している最中には必ず若干はあるのでありまして、これが零になることはないのでありますが、現在の三十数億円の未拂金というのは非常に多い。もつとも三十数億円のほかに、別に税金の未拂が一月以降もございます。これは主として産業奨励金に対する税金の未拂があるわけでありまして、これは別個に解決するといたしまして、純粹に炭鉱運轉資金として未拂になつているものは四十億近いものであろうと思います。これをどう処理するかということにつきましては、ちようど三月の月末のその最後の帳尻を見まして、ひとつ安定本部大藏省、その他関係方面とよく相談いたしまして、どの程度の未拂金を消すために融資をしていくかということを、今研究いたしております。たびたび会合しておりますが、非常に問題がむつかしいために、まだ解決いたしておりません。至急に解決いたしまして、未拂金相当に減すことを考えていきたいと考えております。
  14. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 神田君にちよつと御相談しておきますが、商工大臣は二時から所用のために出られるようになつておりますから、お急ぎの点から先にお願いいたします。それから運輸大臣は今開議中でありまして、閣議が終らなければ政府委員を出席せしむるということでありますから、御了承願います。
  15. 神田博

    神田委員 商工大臣が御都合の惡いことは、昨日から聽いておりましたし、私は大体大臣にお伺いしたかつたのでありますが、御親切で詳細にわたり政府委員答弁せしめるということであつた思つて、私の方ががまんしておつたのであります。どうも委員長から妙なお話を聞いたと思うのでありますが、それはしばらく別といたしまして、今の未拂金の問題は、石炭三千六百万トンをとる、企業合理化をするという建前からいつて、いろいろ御苦心をなすつておられることは、今の御説明でよくわかるのでありますが、これは政治的な問題だろうと思います。石炭廳の次長はなかなか手腕家でありますから、当会の金のことでありますから、数十億といつても大したものではないか言われればそういうことになりますが、とにかく事業が健全に行われていないということは、働く勤労者の立場といたしましても、働けど働けど自分たち炭鉱が利益が出てこない、限られた支拂のあてがいになつておるのだというようなことでは、私は生産意欲に非常に影響すると思う。そこで商工大臣にお伺いしたいのでありますが、未拂金の正確な数字は、ちようど三月末で精算すればわかる、わかつた額を何らかの形で一日も早く片づけていただかないと、結局締括りがつかないことになつて生産意欲経営者の側においても、從業員の側においても落ちて、知らず知らずの間に憂欝な氣分が湛うのじやないか、またこれを督励する側から言つても、督励しにくいという問題がありやしないかと思う。これらについて、商工大臣はいろいろ腹案をもたれ、お考えになつておられると思いますが、どういう対策をお考えになり、また最近の機会に御解決なさるということでありますならば、何もそうこまかいお話を願わなくても結構でありますが、しかしただ解決するというようなことだけでは、御答弁にはならぬと思うのでありまして、ここで私どもを納得さしておけば、あとは日が経つのだというようなことを考えなさる大臣でもないと、私は信じておりますので、ひとつ良心的は御答弁をお聽かせ願いたいと思います。
  16. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 神田さんの御質問の石炭鉱業赤字問題は、非常に経済上並びに政治上大きな問題であることは言うまでもございません。片山内閣が昨年成立匆々発表いたしました緊急経済対策のうちにおきましても、まじめな企業が引合うようにするということを申しまして、價格改訂をしたのでございますが、特に石炭鉱業に関しましては、インフレーシヨンの影響であるとか、あるいは終戰後石炭に対して低物價政策によつて炭價生産費より下廻つたこと、さらにまた労働攻勢に基く賃金の高騰というようなものが、重りまして、企業が採算を割つておるということは、言うまでもないのであります。そこで普通ならば四月から炭價改訂をやりたたいと考えておつたのでございますが、財政法第三條の関係によりまして、運賃國会の承認を得なければならないようになりますと、それが終らないと、炭價をきめるということが、かなり無理であつて、多少ずれると思うのであります。そこで新炭價の場合に、これまでの石炭鉱業赤字を、全部新炭價に織りこむか、あるいはどこで切るかということは、大きな問題であろうと思うのであります。私見を申し上げますならば、少くとも今年の一月から生じたところの赤字は、炭價に織りこむべきがいいじやないか。さらにまたその前の赤字をそれではどういうぐあいにするかということは、なかなか大きな問題であろうと思います。そこでわれわれといたしましても、昨日も炭鉱融資委員会でも言つたのですが、一週間目に一回位開いて金を貸してくれと言うのは商工大臣としても実に困るので、何とか商工大臣として頭を下げる度合を少くしてもらわぬとやり切れないというようなことを言つたのです。そこでこの石炭鉱業赤字を、どの程度今度の新炭價に織りこむかということは、今研究しておりまして、われわれも実施官廳として、決して物價廳や安本だけに任しておく問題じやないので、われわれはわれわれとしての案を立てております。しかし今ここで、はつきりと、これまでの石炭鉱業赤字を全部今度の新炭價に織りこむとか、あるいはそのうちどこまでを織りこんで、あとはどうするかということは、いましばらく明答を御猶予願いたいと思います。この石炭鉱業赤字融資は、これまた粒々辛苦國民の血と汗との結晶でありますので、いかに石炭鉱業が大事であるといつても、これをうやむやにするということは絶対ない。多少年月が長くかかりましても、何とかこれを解決したい。もしこの石炭がこういうような基本産業でなければ、赤字を全部新炭價に織りこむということでいきますが、新炭價にこれまでの過去の赤字を全部織りこんで炭價をきめるということは、ほかの物價一般対策に対して相当深刻なる影響を加えるので、その兼ね合いをどうするかということで、目下研究しております。しかし決してこの赤字をうやむやにするとかいうようなことなしに、修理兼ね備わつた、そうして石炭生産増強にも役だち、あるいはまた他の物價一般対策にも惡影響を與えないように解決をしたい、このように考えております。
  17. 神田博

    神田委員 ただいまの商工大臣の御答弁は、私個人としてはというようなお言葉であつたと思いますが、これは私ども大臣のおつしやつた通り、非常に重大な問題であり、また解決方法についても、いろいろあると思います。しかし帰するところは、そう数があるわけではない。國民経済あるいはまた日本産業復興の問題、これは非常に深刻な問題でありますから、できるだけひとつ早い機会に、大きなわくだけでもおきめになられて、明るい経営ということにさしていただきたい。今しばらく炭價改訂を研究しておるから待つてくれ、こうおつしやるのはもつともだと思います。石炭炭價は、この赤字だけをどうするかということできまるわけではない。運賃の問題、賃金の問題、その他各般の問題があるので、簡單にきまらぬとは考えております。しかし今までの例をとりますと、簡單にきめることも乱暴なことであるかもしれませんが、やはりものには時機があるということであります。それからまた卑近な例でありますが、藥にしましても、分量が足らなければ、やはり一向きき目がないというようなこともあるわけでありまして、速やかにひとつ関係方面とも御折衝なさつていただいて、十分なということはなかなか当今むずかしい問題だと思うが、合理的な解決を急いでやつていただきたい、かように考えております。  大臣急ぎのようですから、大臣に対する質疑は後刻にまわしまして、次に政府委員にお尋ねいたしますが、労務者の雇入状況が逐次上昇してまいつておりまして、なおかつ能率も若干昨年と比べて上つておるようでありますが、今坑外坑内労務者比率はどんなふうになつておりますか、お答え願いたいと思います。     〔委員長退席大矢委員長代理着席
  18. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 ただいま正確な数字を持つておりませんが、最近までの数字は、大体坑内が五六、七%、坑外が四三、四%という比率になつております。正確な数字は別に調べて申し上げたいと思いますが、最近の数字は大体そのくらいの見当ひあります。
  19. 神田博

    神田委員 それでは逆じやありませんか。今の坑内が五六%、坑外が四四%というのはちよつと怪しいように思いますが……。
  20. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 いや元來坑内が多いのでありまして、われわれの希望は坑内六、坑外四を一應の目標にしております。
  21. 神田博

    神田委員 私もそれを言いたいのであつて、昔は多かつたが、最近は惡くなつて坑外が多くなつておると思つていたのだが、非常によくなつておるので、びつくりしたのですが……。
  22. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 昔は七対三くらいの時代があつたのであります。それを一時減らしまして、半々くらいになつてつたのでありますが、最近は五七%前後が坑内夫であります。その他が坑外夫になつております。
  23. 神田博

    神田委員 今の政府委員の御答弁通りであるとするならば、非常に結構なことでありまして、わずかに坑内坑外稼働比率だけはお考えになつておられるところまできておるようで、意を強くしたのでありますが、そこまでいつていないように思うのです。しかしこれは正確な材料をもつて申し上げるわけではなく、今までの表を見ての感じでありますが、これは議論になりますので、しばらくやめておいて、そこでちよつとお伺いしたいのは、今日労働者が非常に殖えておることは結構でありますが、炭鉱はもつと能率をよくしなければならぬのではないか、少くとも一人年産百トンくらいの割合で掘り出すべきではないか。しかるに昨年の統計を見ましても六十七トン八百というようなことで、百トンを目標とするならば、六割七分ということになるのでありまして、そこにはいろいろ未熟練工が多いとか、熟練工從つて少い、あるいはまた先ほどお話がありましたような炭住の問題とか、生産意欲の問題とかいうこともありましようが、しかしいずれにしても、人間だけ殖やせば増産されるのだというような、戰爭当時の軍部が軍需工場に押しつけ指導したような氣風があるとするならば、これは私はなかなか容易ならぬことであると思います。炭鉱労働者関係は、数を殖やすよりも、能率をあげるというような方向にもつていくべきではないかと思いますが、それらについて、石炭廳吉田局長はどんなふうにお考えになつておられるか。労働者一人の採炭量はどのくらいのところがいいとお考えになつておられるか、炭鉱労務者はどれだけ必要とされておるか。そうでないと、やはりこれはいつまで経つて経営合理化は行われないと思います。そしてこの経営合理化が行われない限りは、結局適正炭價というものは出てこないと思います。またそうでないと、日本経済再建というものが、それだけ不安定になつてくる。これらについて石炭廳指導方針というか、監督方針というか、いろいろあなた方省議決定により、あるいはまた石炭廳で御決定、あるいは大臣と御相談なされておる一つの基準でもありますれば、それらの点を一つお伺いして、われわれの方の参考に資したいと思います。
  24. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 炭鉱労務者の数を殖やさないようにということは、私ども同樣に考えております。人を殖やすことによつて、かえつて能率が下るのでありまして、むしろ現在の労務者をその地に安住せしめて、そうして熟練度を殖やすことが一番よろしいのであります。現在でも炭鉱の移動率は相当激しいのでありまして、毎月殖えてくる数に相当するくらいのものが出て行つておるのであります。そういうことが未熟練工の率を非常に多くしておるということになつておるのでありまして、從つてその能率も人が殖えた割に少しも殖えない。こういうことであります。そういうわけでありますから、現在四十六万五千人ほど三月末に労務者が在籍しておるのでありますが、これも非常に多い数であると考えております。そこで私どもとしても、大体三十六百万トンを掘るには、大よそこの辺で留まつてもらいたいという希望をもつておるのであります。しかしながら、ただいま申しますように、鉱山に慣れないうちに入れ替えてしまう、こういうことが一番能率を下げているゆえんであろうと考えます。從いまして、私たちはやはり炭坑を住みよいものにする、こういうことが一番坑夫を落着けるゆえんではないかと考えております。炭坑住宅を他の住宅に優先いたしまして、先ほど申しました炭住資金で四十五万坪ももらいまして、新築移改築修理するゆえんも、そこにあるのであります。現在山にはいつた人たちが、予想外に炭坑の住宅は惡かつた、こういうことを申して出て行く者もあるようであります。そういう人たちのために、まず炭坑の生活を樂にしていく、こういうことをやつたならば落着くことになるのではなかろうか。それから先ほど申しましたように、福利協会を通じて、いろいろな病院施設はもちろん、その他の文化施設を文化を縁のない地方の炭坑に持ち込むというようなことによつて労務者がそこにまず落着くことをやろうじやないか。これが今年度の、新しいと申してはおかしいのでありますが、今まで特に力を入れなかつたことを取上げて今度からは実行したい、こう申し上げている大きな目標であります。そういうことによりまして、炭坑に生活すること、落着いて働くことを労務者に勧めていく、だんだんそういう時代になつてきたのではなかろうか。数から申すと、大体不足のない数であります。從つてこういう人たちが喜んでそこへ落着いて仕事を慣れてくるようになれば、能率も逐次上つてくるものに考えております。それでこの人の範囲内において、先ほどもお話しの坑内坑外の率を逐次坑内が六、坑外が四というところにまず落着けまして、そして能率を上げていきますならば、この三千六百万トンを掘るに、大体の人数としては十分ではなかろうか、こういうふうに考えております。そのほか炭坑の労務者で、運搬の要員が相当たくさんの人手をくつております。石炭の積みおろしに人力を用いておるところもございますので、そういうところに非常に多くの人を要している。こういうようなことも、労務者の多くなつているゆえんでもありますので、そういう輸送関係の運搬の設備、あるいは積込みの設備等を、今後機械化していくということを考えております。輸送関係機械化によつて相当の人が採炭なり直接生産する方にまわり得るのではなかろうか。從つてそうすることによつて、この人数を殖やさないで増産をなし得るのではないか、かように考えております。
  25. 神田博

    神田委員 もう一つ、一人あたりの目標額はどのくらい考えておりますか。何かそういうお考えはありませんか。
  26. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 大体人数といたしましては、現在四十六万五千人ほどおるわけでございまして、大体この程度でやりたい。ただ坑内坑外の率がただいま申しましたように十分でございませんので、ある程度坑内夫を充実する必要上、若干の人が一時は殖えるかもしれませんが、この程度に落着けたい、こういうふうに考えております。  それからこの基準の問題はいろいろありまして、將來の目標としては、いろいろ考えられるのでございますが、昨年の平均は一人当りの生産が三月は六・一トン、これだけになつております。本年度は七トン近くまでいきたいという予想をしております。もちろん七トンで終るんじやなくて、將來はだんだん機械化その他の方法によつてこれが逐次殖えてまいるように指導していきたいと考えております。
  27. 神田博

    神田委員 三千六百万トンの月別の計画がきまつておりますれば伺いたいと思います。もし月別がなければ、一・四半期ごとでも結構であります。
  28. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 一應石炭廳予定しておりますものがあるわけであります。最近できたわけでありますが、これは上期だけを月別に開いておつて、下期はまだ開いておりません。まず一應の予定としてお聽きを願いたいと思います。最後的に決定しておりません。石炭廳だけで一應予定しておるものと御了承願いたいと思います。それを申しますがゐまず上期に対する総額を一千六百八十五万五千トン予定しております。下期が一千九百十四万五千トン、合計いたしまして三千六百万トンであります。上期の中で第一・四半期が八百六十万二千トン、これを四、五、六の月別に分けますと、四月が二百八十二万七千トン、五月が二百八十九万七千トン、六月が二百八十七万八千トン、合計して八百六十万二千トンであります。第二・四半期に対する合計が八百二十五万三千トンであつて、この内訳は七月が二百八十五万トン、八月が二百六十一万三千トン、九月が二百七十九万トン、合計して八百二十五万三千トンでございます。
  29. 神田博

    神田委員 そこでお伺いしたいのでございますが、先ほど御説明になりました資金関係にもどりますが、今予算編成をされておるようでありまして、今年度予算といたしましては、ここに出ております暫定予算で四月分一箇月分になつておりますが、これだけ必要だが、これだけ通るかということは、これはなかなかむつかしいことだと思うのですが、これだけ通らないとこれだけは出ないとお考えになるのでありますか。お尋ねしても答弁しにいくことを聽いているのかもしれませんが、どうしてもこれだけなければ、今お尋ねしたような出炭量を確保できないのだということはお考えなつただろうと思います。これは非常にむつかしい質問をしているわけですが、その辺のことをもつと大膽に眞相をお話しいただきたいと思います。
  30. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 この資金の額の問題は、実は物價改訂でもあれば、ただいまの資金わくも少し変つてこなければならぬ状況で、非常に動く問題でありますが、ただいま設備資金を六十一、二億円とし、炭住資金を七十二億円と申したのでありますが、これが著しく変ることによつて、やはり出炭影響があると考えております。ただ変る程度が軽徴であれば、これは私どもとしては大した影響はない、要するに変る程度によりけりだと考えております。
  31. 神田博

    神田委員 そこで、ついでになりますので、予算のことを一つお尋ねしたいと思いますが、この昭和二十三年度一般会計暫定予算を拜見いたしますと、石炭廳予算として一億一千五十三万九千円でありますか、計上されておるようであります。この一億一千五十三万九千円のおもなるものは、石炭及び亞炭等の生産に関する資材割当事務を処理するための経費として、その内訳を見ますと、一億百十四万二千円載つておる。そこでずつとめくつてまいりまして、どういうふうにお使いになるのかということを見てまいりますと、物資及び物價調整事務取扱量というような項目の中で、その終りの方に補助負担金及び交付金として一億六十九万円というような予算になつておるようでありますが、この予算の内容をひとつお尋ねしたいのであります。
  32. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 ただいまの交付金は、配炭公團に対する交付金が一億百十四万二千円でございます。
  33. 神田博

    神田委員 これは印刷のミス・プリントかと思いますが、ここには一億六十九万円となつております。あなたの今のお説によると、この予算より多い一億百十四万二千円で、それはどつかの項目に載つておりますか。それは石炭廳の一番前をごらんになつたのですね。これがずつと受けてきまして、物者及び物價調整事務取扱費という欄に來て、私が申し上げた数字になつておるのです。
  34. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 どうも私の方では石炭以外のことはちよつとわからないのでありますが、あとはほかのものもはいつておる。物資及び物價調整費といえば、ほかのものもはいつておるじやないですか。
  35. 神田博

    神田委員 石炭廳予算ですから、石炭廳だけの関係予算を申し上げておる。ほかのものははいつてないはずです。
  36. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 私もその書類がないので、ちよつとわからないのでありますが。
  37. 神田博

    神田委員 これは國会からいただいたものです。これは一億六十九万円と一億百十四万二千円だから、そう大した違いはないわけです。そうすると、あなたのおつしやるのは、この配炭公團の補助金ですか。
  38. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 交付金です。
  39. 神田博

    神田委員 これはどういうふうにお使いになつたのか、どういう基準でお使いにな誠ておるか。内容をできるだけ詳細に承りたい。
  40. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 要するに配炭公團というものは、現在人件費及び事務費は政府がもつことになつておりますので、その経費を來年度分として、ここに一億百幾らをもつわけです。
  41. 神田博

    神田委員 これは一箇月分でしよう。
  42. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 もちろんこれは一箇月分だと考えております。
  43. 神田博

    神田委員 そこで少しお伺いしたいのですが、最近の公團の問題とも関係するのでありますが、石炭廳政府委員にほかのことを申し上げても通じないわけでありますから、ほかの例をとつて配炭公團のことをお尋ねしたいのです。最近できました公團の補助負担金、交付金の問題であります。私どもこの公團も若干耳にしておりますが、他の公團の方の問題とも関連するわけでありますが、政府は給料をはつきりきめておらぬ。皆公團の上の役人の諸君が連帶で銀行から金を借りている。その金を借りているのに対して、政府の方では、人件費のごときは六〇%くらいに査定してきており、また雜費等も二〇%くらいに査定してきている。その査定が非常に乱暴で、残額に対してもおそらく五、六十回くらい会議をしていただいて、百日くらいかからぬともらえないだろうと思うが、ちびりちびり出されるので困るというような話を聞いているのですが、これはそういうふうな値切つた経費でありますか。あるいはそうでなくて、公團から要求されたそのままを呑んだものであるかどうか、正確なところをお伺いしたい。
  44. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 公炭公團の人件費につきましては、実は他の公團も一緒の関係でございますので、給與局におきまして各公團の職員の費諸を査定しております。その額で金額をきめたわけでありまして、石炭廳が査定しておつたわけではありません。
  45. 神田博

    神田委員 そこが問題なんです。給與局で査定をした、それはお説の通りだろうと思う。どこの公團もそうだろうと思う、その査定が人件費は大体六〇%以下五、六〇%くらいしか認めていない。その他雜費等も一七、八%くらいしか認めていない。こんなことでは公團はやつていけない。結局サービスが惡くなる、サービスが惡くなるということは、結局われわれ國民が困るわけです。公團の職員の給料が高過ぎるからいけないのか、お役所に代つて、他の官吏との関連があるので、そういうことになるのか。これは配炭公團の方は今の政府委員の御答弁のように、給與局で査定した通りにやつているのだから心配ない、そのままうまくいつているのだというなら、この席では私どもそういうふうに了承いたします。しかし世間ではそういうことになつておらぬようであります。私はさようなことはどつちがいいのかということを、ここで断定しようとは思わない。私の心配することは、要するに、現下の日本経済の再建の上から考えて、國民にやはり迷惑を及ぼす問題だから、配炭公團と給與局と、それから原局と申しましようか、そういうトラブルで機能が十分いかないようなことがありましては、せつかく公團をおつくりになつた趣旨にももとるし、また國民経済再建の上から考えましても、これは重大な支障を生ずるじやないか。そこで給與局の査定に基いてそのままやつたのか、配炭公團の職員はそれで默つているのか、予算の折衝というものはなかつたのか、これでやつていけるのか、こういうことを伺つているわけです。
  46. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 お話通り、事業費その他が不十分なために、こういう公の機関である公團の機能が不十分になるということは困るのであります。從いまして、ただいまの給與規準その他も給與局が公團と交渉してやつたと申しましたが、これについては各公團ともそれぞれ集まりまして、よく給與局と相談いたしまして、最後的に日本経済予算その他の面から考えて、この程度がやむを得ない実情だと考えて、その話合いでそれをきめたわけでありまして、もちろん不十分ではないかと思いまするが、これによつて機能が停止される程度のひどい比率であるとは考えておりません。大体公團ともよく相談いたしまして、最後的の了承を得た金額でありますので、これでやつていけるものと考えております。
  47. 神田博

    神田委員 配炭公團の関係は、この程度にいたしまして、もう一つ石炭の方へもどります。先ほど御説明になりました各自の計画生産の問題についてお尋ねしたいのは、今年度の新坑開発に伴う出炭量は上期のを見ておるのか、下期だけに計上されておるのか、あるいは今年度ははいつていないのか。なおそれと関連しまして、新坑開発の経費と申しますか、陣構えと申しましようか、石炭廳が今度この石炭廳設置法案をお出しになられるにあたつて、どの程度昨年と変つてお力を入れられておるのか。その点について、具体的に御説明を願いたいと思います。
  48. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 新坑開発の予定につきましては、昨年約二十万トンを二十三年度に出す、こういう予定を申し上げたのでありますが、ただいま三千六百万トンに殖えたということを申し上げたわけでございまして、三千六百万トンを出すためには、やはり二十万トンでは、新坑の出炭がどうしても少なすぎるのでありまして、これをある程度増加したいということを考えまして、ただいまいろいろと計画をいたしております。もちろん第一・四半期分からはその数字ははいつておりません。今年度の下期になつて、その数字が出てくるわけでございますが、これを相当増加したいとただいま考えまして、この開発本部を中心に研究をいたしております。そうしてその機構はどういうふうになつておるかというお話でございますが、現在石炭廳の中には、きようお配りいたしました資料の中にありまする開発本部というものを一應つくりまして、これが開発のいろいろな計画の立案をいたしております。これも先ほど申し上げましたように、開発の職員は本年一月のうちから予算ちようだいすることになつております。昨年度予算においてすでに認められておるのでございます。しかしながら、開発局をつくりませんでおりましたのは、この局を設置することは、やはり法律をもつてやることが適当であるということでございますので、他の行政官廳はおよそそうでありますが、その局ができます間局長は設けませんが、生産局の中に関係の職員を入れまして、臨時編成の開発本部をつくつて、そこで新坑開発のいろいろな計画を審査いたしております。また炭田調査専務、これは去年からやつてつたわけでありますが、九州、北海道各地において相当の人をここに入れまして、炭田の調査をいたしておるわけであります。そういう仕事を集めまして、ここでいわゆる新坑開発の計画も研究いたしておるわけであります。今後この新しい石炭廳におきましては、これを開発局に直しまして、三課を設けます。すなわち業務課、調査課、審査課という三課を設けて、合計本官を約三十八名ばかり、それにその他の職員を入れますと百二、三十名になつたと思いますが、その百二、三十名を入れまして、この開発の調査の事務並びに審査の事務、及び開発の現場にいろいろたくさんの現業事務をもつておりますので、その経営に関する事務等をこの開発局をもつてやる、こういう予定でございます。今日までに各炭鉱から山々の開発計画を出してもらいまして、それを今審査しております。この審査につきましては、まだ細部までは決定を見ておりませんが、重要なものから、また出炭の早いものから、また炭種を審査いたしまして、需要度の高いものから決定していく、こういう予定で今審査の準備をしております。
  49. 大矢省三

    大矢委員長代理 ちよつと神田委員に申し上げますが、運輸省の業務局の配車課長が先ほどから見えております。
  50. 神田博

    神田委員 そこでこの二十万トンはどこにはいつたかわからぬが、とにかく昨年の議会でも言明された通り、二十万トンというものがどこかにはいつておる、こういう意味ですね。ただ昨年は三千三百万トンで今度は目標額が上つているから、三千六百万トン出すためには新坑開発分ももつと大げさに——と言うと言葉が大きすぎるかも知れませんが、十分整理して、この二十万トンの目標額も引上げたいという意味ですね。
  51. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 そうです。
  52. 神田博

    神田委員 今の新坑開発は地方資源調査所と何か関係ありますか。
  53. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 地方資源調査では、地質調査部と称しておつたものでありますが、要するに鉱物の保存状況を調査するのを、その任務としておるのであります。從いまして、炭田調査の事務、炭田がどの地方にどのくらいあるか、そういうことについての調査はここでいたしておりますが、どのくらいの炭田を現に開発するかということの計画は、この新しい開発局でやることになります。
  54. 神田博

    神田委員 大体よくわかつてまいりました。そこで一つお伺いしたいのは、昨年の暮から大分石炭出炭量が殖えてまいつておるようであります。三月末のわかるかどうか知りませんが、最近の貯炭量、港頭、滯貨がどのくらいあるか、あるいは山元滯貨がどのくらいあるか、それが逐次殖えてきておるのか、減つてきておるのか、あるいはあまり変化がないものかどうか、下半期の御説明を願いたいと思います。もしお差支えでしたら、十二月からでも結構です。
  55. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 一月以降の月別の分は、ただいま手もとに数字はありませんが、三月末の要するに三千万トン計画と申しますか、昨年の計画の最後の締切りの数字は、ここにございますからこれを申します。三月三十一日現在の山における貯炭は九十二万一千四百トンであります。それから港頭貯炭が二十万二千三百トン、合計いたしまして百十二万三千七百トン、これが三月三十一日現在の貯炭量であります。これは十二月以降逐次増加いたしまして、毎月々々累増してきたものであります。
  56. 神田博

    神田委員 そこで石炭廳設置法案について承りたいのであります。この法案を読んでまいりますと、前の官制を法案にお改めになつておるのが骨子になつておる。しかもきのうの大臣提案理由にもありましたように、臨時石炭鉱業管理法案の施行に伴つて、適当な機会であるから改正するのだということを言われましたが、この第二條の第二項に、「石炭廳に置かれる一級の官吏の定数は、十人とする。」とこうなつておりますが、これは昔の官制であると一級官何名とか、あるいは二級官、三級官、事務官、技官というふうにわけておやりになつておられたようでありますが、今後は昔の官制に代るものとしては政令があるわけでありますが、特にこの石炭廳設置法案の中に、一級の官吏の定員をおきめになつ理由をお伺いしたいのであります。
  57. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 石炭廳設置法案の第二條第二項には、一級官の定員だけをここに書いてございます。実はほかの官制に関する法律案の中には、大体定員が書いてないのが今日まで通例であつたようでございますが、一級官につきましては少くとも法律に書く方が適当であろうというので、石炭廳設置法案では、一級官の定員だけここに明記しておいたようなわけであります。ついでにミス・プラントがありますから、訂正させていただきます。八條の第四号に「ガス及びコークスの生産配給、」この生産と配給の間に点が抜けております。それから第九條に「亞炭局においては、他局の所掌に属するものを除くのほか、石炭」とありますが、亞炭の間違いであります。二点訂正をいたします。
  58. 神田博

    神田委員 大臣がおもどりになりましたので、ひとつお伺いいたします。先ほど來政府委員からるる詳細にわたりまして、いろいろ承りました。來年度石炭出炭量は、上期が千六百八十五万五千、下期が千九百十四万五千、合わせて三千六百万トンを出そう。これは非常に大事なことでありまして、ぜひこれは完遂していただかなければならないし、また私どももこの上半期の月別生産量を見ましても、非當に困難なことでありまするが、しかし最善の方法を講ずるならば、必ずこの目標は完遂できるだろう。もちろん政府側だけの努力にまつものではなく、業者はもとよりのこと、勤労者諸君また関連産業の方々が一体となつて、十分な施策と努力を講ずれば、困難であるけれども、これは出るという氣持をもつておるのであります。新坑開発につきましても、昨年のこの機会において、大臣は三千三百万トンの中に二十万トン新坑開発の出炭をするという御説明でありましたが、本年度においては目標額が引上げになつておるから、從つてこの新坑開発の点についても、目標額を引上げて十分な努力をしようということであるようでありました。政府委員答弁は、即大臣の下僚でありますから、大臣の方針を説明されたことだと思いまして、私どもはこれは大いにがんばつていただくように激励をしたい。  そこでお伺いしたいのは、私ども非常に心配になる、おそらく大臣も御心配になつておられるだろうと思うのでありますが、政府が昨年御発表になりました例の経済白書と申しましようか、あの中で石炭の問題、輸送の問題を述べておられまして、その中に石炭を三千万トン出すということは、現下の日本産業再建のために、きわめて重要な問題であるが、これを輸送の面から見ると、非常に困難な問題である。石炭三千万トンの輸送が困難のみならず、石炭三千万トン出ることによつて関連産業が動いてまいるから、その方面の輸送も、十分考えなければならない。そういうことから考えると、輸送の面において三千万トンの石炭出炭計画というもので、掘つてもこれを産業再建の現物化することが困難であるということが書いてあります。そこでお伺いしたいのは、三千六百万トンお掘りになる、これはぜひ掘つてもらわなければならぬ問題でありまするが、石炭を掘ることは目的なのではないのであります。日本産業の再建が目的なのでありまして、石炭を掘ることは手段なのでありますから、そこで掘つた石炭を迅速にかつ確実に、それぞれ日本産業再建なり、あるいは民生安定の方面の需要に應じてそこに届けなければならぬ。そういうことになりますと、石炭を掘ることだけをお考えになつておられて、石炭を運搬することについては、一体どの程度運輸省と連絡がついておられるか、たとえば最近の鉄道輸送の状況を見ましても、申請量が月別大体一千五六百万トン出ております。そこで鉄道はどのくらい送つておるかと申しますと、毎月九百二、三十万トンしか送つていない実情であります。また海運関係におきましても、月に八、九十万トンしか送つてない状態である。そこで三千万トンの石炭は、掘ることは商工省石炭廳仕事であるかもしれないが、これを先ほども述べたように、迅速にかつ的確に石炭を必要とする方面に送る、石炭を送つて石炭を送ることに努力されたために、他の原料が輸送のわくからはずされてしまつた、あるいはある場合においては石炭輸送のために、今度製品が滯貨してしまつたというようなことは、現に各地に起きている事実である。私ども日本産業の再建の一翼を担つて、みずから事業を経営して経驗をしておるのでありますが、この方面の点を現内閣はどんなように手をお打ちになつておられるか、殊に石炭をうんとお掘りになつて、あるいは硫化鉱も随分お掘りになつた、そこで輸送がうまくいかないために、山元で発火したという例も、われわれ耳にしておる。今政府委員説明によりましても、三月末現在においても、貯炭が山元に九十二万一千四百トン、港頭において二十万二千三百トン、百十二万三千七百トンというような大きな貯炭を見ております。石炭増産計画が逐次進んでまいりまして、昨年の今頃を考えますれば、月に百万トンも多く殖えている。日本炭鉱は私が申し上げるまでもなく偏在しておる、工業地と必ずしも直結していない、離れておる、それを石炭を焚く汽車がよだよだ遠方までもつてくる。船の方で運ぶべきものと私は思うが、しかし日本の現状においては、船がないことは事実なのでありまして、それは言うべくしてただちに行われない実情なのである。いずれにしましても、船をただいまチヤーターするにしましても、港の陸上設備も整備しなければならないだろうし、また小口運送も十分考えてやらなかつたならば、甲の港から乙の港にただ滯貨したということが、ちようど石炭が山の中にもぐつてつたものを表に出してしまつたというだけでは、日本産業の再建はできないと思う。鉄道の能率をいくら上げても、先ほど申し上げたように、一千五、六百万トン需要があるのに、これはうんと上げたところで一千百万トンは出ない。今九百三、四十万トンせいぜいしか出ていない。掘れば掘るほど、傾斜生産すれば傾斜生産するほど、石炭に重点を置いて送炭するために他の産業が萎縮する。そういうところから、日本のいわゆる傾斜生産——この石炭の傾斜生産のために、他の産業が動かなくなつてしもう。この問題について、どういうふうに対策をお立てになつて、また御実行なさつたおられるのか、これは非常に私は大きな問題だと思います。昨年の石炭委員会においても、一番研究し心配したのは、その問題である。どうしてもこれは必要なものです。必要なものであるだけに、これに現状の陸運、海運を動員すれば、他の産業が麻痺状態を起してしまう、現に起しておる。石炭が出始めてから、逆に傾斜生産産業は動くかもしれないが、民生安定の産業、あるいは貿易の産業、その他各般の産業が行詰つてくる。材料が出れば荷物が出ない。荷物を出すのには材料がはいつてこないという、非常なアンバランスな経営になつております。殊に中小工業等は打撃が非常に大きい。先般商工大臣は、中小企業廳をおつくりになり、いろいろ中小企業の率能の高度化、あるいは製品の高度化というようなことをお考えになつて施策をお立てになつておられるようでありますが、何といつたも動脈が硬化しておる。それでは一番この眼目が心配なのだ。そこでこれは私どもも眞劍な、まじめな氣持でお尋ねしておりますので、どういうようにこの問題をお考えになつておられるか、その計画をどういうふうにお立てになつておられるか。石炭だけの輸送計画だけを私とも承りまして、なるほど石炭はいいと考えましても、石炭によつて各種の産業が起るのでありますから、その生産されたものが今度は出まわらぬというようなことになりますならば、非常なこれは憂慮すべき状態である。賢明な商工大臣でありますから、十分お考えのことだと思いますが、私どもの納得のいくような事実をありのままに、御対策も紙の計画だけでなしに、御実行なさる眞の対策をひとつお聽かせ願えるならば、非常に幸いとするものであります。
  59. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの神田さんの御意見は、まことにごもつともでありまして、北海道におきまして、十二月から一月にわたつて石炭の大増産が、せつかく行われたにかかわらず、肝腎のところへそれが選ばれないという事情があつたことは、これは私ども率直に認めるものであります。そこで政府といたしましては、閣議決定におきまして二十三年度におきましては、石炭の最重点施策を行うとともに、この石炭と電力、並びにその裏づけとしての輸送計画というこの三点を最重点にやつていくということに閣議決定をいたしましたことは、すでに御承知の通りであろうと思います。この來年度の輸送計画で鉄道の方で一億三千万トンのうちにおきましては、もちろんこの石炭三千六百万トンの輸送計画ということが織りこみ済みでありまするが、運輸省の方では、この数字はなかなか骨であるということを率直に言うておられます。そこで商工省といたしましても、これまで輸送の隘路がどこにあつたかということをいろいろ研究いたしまして、たくさんの原因がありますが、そのうち商工省としてできる範囲は、寒冷地における鉄道從業員の衣服の問題、あるいは手袋の問題、そういうようなものも非常に大きな隘路になつておるということも聞かされておるのでありまして、もちろん一般的な輸送計画というものは、運輸省によつてやらなくてはなりませんが、その裏づけとして、商工省でできる仕事は十分やりまして、何とかしてこの三千六百万トンの輸送計画に齟齬を來さないように、目下運輸当局と折衝をしております。大体今度の輸送計画が、数字に現われました一億三千万トンの計画が実行できれば、石炭は三千六百万トン運び得ることになつておりますので、その数字の実現に万全の努力を拂いたいと考えております。  さらにまたその詳細なる点に関しましては、運輸大臣あるいはその他しかるべき方から聽いていただきたいのでありますが、私商工大臣の立場からいたしますれば、せつかく掘つたところの石炭が目的地へ行かないということは、ざつくばらんに言えば、神田さんよりも私自身が非常に心を痛めなくてはならない問題でございまして、その点に関しましては、商工省の立場として、できるだけのことをやつて、何とか計画通りの一億三千万トンの輸送計画を実現したい、このように考えております。
  60. 神田博

    神田委員 今の御答弁は、率直に申して商工大臣としては、なかなかお答えにくい答弁だと私は思います。しかし今承りますと、いわゆる今年度の輸送計画が一億三千万トンと言われましたが、これは率直に言つて商工大臣はだまされているのではないかと思います。もちろん輸送を完遂するために、鉄道職員なりあるいはその関係する方面に、食糧にしろあるいはまた日用品にしろ、勤労意欲を向上するために必要な配給等をお考えになることは、これは結構なことだと私は思います。しかし鉄道の輸送量というものは、無限大ではない、これは一定の量にきまつている、月産九百万トン台を確保したいということが長い間の念願でありまして、ようやくそれが達せられて、最近九百二、三十万トン送れるようになつた、いわゆる九百二、三十万トンの十二倍は、約一億一千万トンであるが、もう二千万トン殖やすということは、これはとてもできないことだと私は思います。そこで石炭が昨年とにかく二千九百三十二万四千四百トンでございますが、これを二〇%増炭されるということは、先ほど私が申し上げますように、石炭を掘るということは、これは手段であつて石炭日本産業再建のため、あるいは民生安定のために利用することが目的である。この二割の石炭増産によつて日本産業の再建というものは増割増加するのである。そういうことを考えると、石炭の輸送計画が鉄道が引受けて完全なものであつても、それはふろをたいとはいつてしまうならば、これは送りつぱなしで済みまするが、生産工場にこれを渡すのだから、どうしてもそこから加工品が出てくるわけです。製品が流れてくるわけです。そこで関連産業が動きますから、その関連産業によつて生産されたものがまた輸送へもどつてくる。これは相当大きくもどつてくるのですよ。だから石炭の輸送のことだけお考えになつておられて——それは石炭廳の長官なら、それでも結構ですけれども、私は商工大臣答弁としては満足できない。それは現内閣が輸送の面において努力されて、いろいろ計画を立てていることについては、私も承知しております。今お話されたことも、私新聞、ラジオその他によつて承知しております。しかしそれはまだプランなんです。文障であり、作文なんです。これを確実に実保するその具体的処置というものを、私はおとりになつていられることは承知しておりますが、まだ確実に実行されておらない。そこで申し上げたいことは、と言うよりもお尋ねしたいことは、輸送の問題は、ただいま出た石炭が運ばれないということは、私以上に商工大臣としては心をいためるというお話もございました。私石炭の輸送のことについて、商工大臣とどつちが心を痛めるかというようなことを、別に問題にするわけではないのです。それは商工大臣が非常に御心配されている氣持はわかります。私もその地位におらないからといつて、円の痛めた方が少いとは、決して考えておらない。しかしこの石炭の輸送の問題が、石炭だけをお考えになつているとすると、非常に間違いなんです。これは基礎原料なんですから、これによつて幾多各種の製品が出てくるわけです。その輸送計画がどのくらいのものになるか、そこから割り出して鉄道がどのくらいこれを輸送できるか、海運がどのくらいこれを責任もつか、陸上の小運送がどの程度にこれをカバースるかということが問題なのです。私は石炭をお掘りになればなるほど━━これはどうしても掘つていただかなければならぬことですが、私が今申し上げたような施策をともにおやりにならぬと、石炭をお掘りになつて苦労する、かえつて國民経済を圧迫する。殊に食糧の問題にいたしましても、この二十三年度については一割増産をやろう、主食の配給にしてみても、二合五勺を二合八勺にしたいということを言われる。これはみな輸送に関係のある仕事なんです。終戰後の工業がだんだん回復してきている。これもやはり輸送の面に現われてくるのです。そういつたあらゆる面で計算をしていただきますと、これはもう非常な問題だと思う。石炭をうんと掘つてもらいたい。三千六百万トンも四千万トンも、かつては五千何百万トンも掘つた日本炭鉱でありますから、そこまでいつてもらいたい。石炭さえ出れば日本産業再建に一番近道になる。もちろん電氣も必要であります。あとのものも必要でありますが、とにかくせつかく御苦心されて、國民監視のもとで、また乏しいところを傾斜生産をやつているわけでありますから、掘つてもらいたい。今商工大臣は鉄道は一億三千万トン運ぶのだと申しましたが、それは運べないと思います。別に議論をしようとは思いませんが、鉄道に苦心をしてこれを引受けた。しかし関連産業が動くのでありますから、私は非常な手を打つていただかなければならぬことだと思う。現に片山内閣経済白書で、三千万トンの石炭が出たならば、石炭を輸送することのみならず、その輸送された石炭によつて産業が動いて、その製品の運搬ということを考えると、当時の状況においては非常に困難だとこう言われた。その後日本経済相当よくなつております。毎月の工業生産指数なり、農業生産指数、その他の生産指数を見ていると、大体プラスになつている。そこで私輸送の問題は非常にむずかしい問題であると思う。これはひとの商工大臣として、また國務大臣として、またこの内閣の大きな支柱として長にあられる立場なのだから、十分お考えつて実行したいただきたい。私は計画だけをお聽かせ願いたいと申し上げたのではない。確実に実行をされること、そのおとりになつておられる手段方法を、具体的にお伺いしたい。大臣の御答弁を願うのでありますから、そうこまく私は別にお尋ねしようとは思いません。しかし今の御答弁をお聽きしますと、鉄道も非常に困難な中を一億三千万トン二十三年度に輸送したいという、この氣持はわかるのでありますが、非常にこれは購難なことだと思う。そこで繰返すようでありますが、これはどうしても政府の力が一体になつて解決しないとむずかしいのじやないか。もちろん政府のみならず、國民も協力すべきものであると考えております。日本経済が非常に暗い面をもつておるということは、輸送の隘路でそれが倍加されておると私は思う。そこでこの輸送の面をもつとひとつ━━大臣の御心配の氣持はよくわかりましたが、私の聽きようが足らなかつたかもしれませんが、もう一度納得のいくような御答弁をお聽きして、そこで私も了承できましたなら質問を打切りたい、かように考えておりますので、大臣のほんとうに心からの御答弁を伺いたい。大臣はこの前の内閣から引続いておやりになつておられるのであり、私どももまた一番心配しておるのですから、これをざつくばらんに、できないならこういうわけでできない。できるならばこういうことでできるのだということを、はつきりひとつお聽かせ願いたい。またその二つともいずれも困難な問題でありますならば、その困難だという御説明を承りたい。以上御答弁を願いたいと思います。
  61. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 先ほどざつくばらんに申しましたように、一億三千万トンの鉄道輸送が困難であるということは、運輸大臣も閣議の席上で言われておつた点であります。しかし何とかやるという決意を披瀝されたことも事実であるのであります。ただ私の立場といたしましては、たとえ三千六百万トン掘れても、輸送がこれに伴わないから、その生産を落すというようなことはできないのです。かりに万々一、それが完全に輸送できなくとも、私の立場としては、三千六百万トンは必ず出さねばならぬ。そして一億三千万トンの輸送計画でなければ、三千六百万トンが輸送できない。そしてそれが一億三千万トン切れるようならば、石炭三千六百万トンの輸送ができないという事態がかりにあるといたしますならば、私としては全力を盡して、たとえ一億三千万トンの輸送ができない事態が生じましても、石炭三千六百万トンの輸送には事欠かないようにするということよりお答えができないと思います。
  62. 神田博

    神田委員 ただいまの御答弁によりまして、大臣のお氣用はよくわかるのでありますが、たとえ対道が一億三千万トン輸送できなくとも、自分は石炭三千六百万トンの採炭を確保するということについては、大いに誠意をもつて努力し、また完遂したいという氣持については、私は同感なのでありまして、よくわかるのであります。そこで繰返すようでありますが、三千六百万トンの石炭をお出しになることは、石炭廳の案としては当然であり、だれでも当然でありますが、商工大臣とされまして、それによつて関連産業の上で、もつと大きな輸送量が増してくる、だからひとつこれはうんと馬力をかけて努力してもらいたい。御努力なさるというのに努力してもらいたいと言うことも、はなはだどうもくどいようでありますけれども、私は非常に眞劍に昨年來この問題の研究しておつたわけで、前からこれは心配しておつた問題なのでありまして、ちようどいい議会でありますので、たびたび申し上げるようでありますが、これはよほどの英断をおもちになられて、また閣内の推進力になられて、石炭を送ることはもちろん必要でありまするが、送つてそれで済む責任ではないのでありまして、日本産業再建なり、民生安定なりの重大な役割をもたせるために送るのでありまするから、その製品化したものを、用途々々に十分確実に利用されるようなことまで、ひとつ御配慮願つて、大いに努力していただきたい。これが私は日本産業再建の最近における一番重要な問題だと思う。運輸大臣も御心配になつておられる通り大臣がおるならば十分伺つてみたいのであります。     〔太矢委員長代理退席、委員長着席〕 総理にも聽きたいと思うくらいなのでありますが、まあ水谷商工大臣が十分御心配なされるということでありますから、私も了承いたしまして、質問を打切りたいと思いますが、くれぐれもひとつこの輸送面だけはがんばつていただきたい。以上で私の質問を打切りたいと思います。
  63. 西田隆男

    ○西田委員 ただいまの神田君の質問に関連して、私も商工大臣にお聽きしたいと思います。石炭を本年度三千六百万トン生産するということは、昨年度の約二割増産であります。しかるに現実の問題として、一月から三月の坑木の輸送状況を見ますと、昨年の十二月を頂点として、よほど下り坂になつておるようであります。しかも六百万トンの石炭増産するためには、昨年度よりも六百万トンの石炭増産するに必要な坑木の輸送を増強しなければなりません。しかもこの坑木の輸送たるや、全國的な輸送網の問題ではなくて、限られた地敢における輸送であります。昨年度は門鉄局管内においては非常に坑木の増遊に協力してくれまして、一時は駅の滯貨が非常に減少しておりました。しかしながら、三月末の実績を見ますと、駅頭の滯貨が非常に増加しております。かような状況では、石炭三千六百万トンの生産に支障を來すおそれが非常に多いのであります。しかも御承知のように、農繁期にはいり、梅雨期にはいりますと、山から坑木が出てきません。しかるに氣候のよいときに駅頭に滯貨が置くのではなしに、山元に相当の貯木をもつておらないと、石炭増産に重大な支障を來すおそれがあります。しかも平素の炭鉱生産の実際から見ますと、梅雨期のくるまでに、農繁期にはいるまでに、二箇月半ないし三箇月くらいの貯木をもつている必要があります。しかもその坑木ためや、現在まで適木運動が相当に行われましたが、炭坑に必要な坑木、これが百パーセントにいつておりません。坑木の量は、ある一定の必要量を満すに足りましても、実際使用するのはその七〇%、八〇%程度しか坑内で使用できないのが、現在の実情であります。こういう問題をまず石炭三千六百万トン出しますには強力に手を打ち、運輸省との間に話合いをされて、早急に坑木の増送ができるように手続をしてもらいたい。これが一つ。  それから神田君の質問に対して、商工大臣の御答弁は御承知ないからであろうと思いますが、私が商工大臣に代つて簡單答弁をしておきます。石炭六百万トンを増産すると申しましても、神田君は現在の三月三十一日末の貯炭が、港頭、坑所を通じて百万トンぐらいになつておる、こういうことのようであります。なるほど百万トンあります。ありますが、日本産業の状態から勘案しまして、戰爭最中におきましても、貯炭が港頭、坑所、工場を一括して三百万トンの平素貯炭がないと、工場の操作がいかぬというのが、ノーマルの状態であります。そこでその当時が五千四、五百万トンの現在から考えますと、少くとも現在でも百五十万トンくらいの貯炭がないと、実際を申しますと、石炭の消費が末端まで操作が完全にいかない。しかも現在のように配炭公團の組織をつくつてつたんでは、石炭の数量が山元にある石炭ではいけませんが、少くとも港頭と工場においては、それだけなければならない。こういう観点で、六百万トン増産されたあと、もう百万トンくらい山元から港頭にもつてき、あと百万トンぐらいは、消費工場に貯炭をもつていないことには、三千六百万トンを最も効率高く消費面において消費するということは不可能であります。こういう観点から、もう百万トンぐらい減してもよい。そうすると六百万トンでありますから、五百万トンくらいの石炭を輸送しさえすれば済む。相当多量の消費者であります鉄道、電力、これは輸送消費するだけで商品化さないというものが相当数量あります。そこで三千六百万トンの石炭増産して、ほんとうに産生された品物が輸送面に現われてくるのは、神田君のおつしやるように厖大なトン数にはならぬのであります。そこで今申し上げたように、三千六百万トンの生産に必要な輸送、この輸送をまず確保していただければ、他の方面は今商工大臣が言われましたように、一億二千万トンの輸送が一億二千八百万トンになりましても、その程度に輸送力を確保されれば、石炭三千六百万トンの生産には大して日本経済を麻痺状態に陷れるような弊害はない。私はかように考えております。よつて神田君の方でもう少しそういう実態を御調査になることも、これまた一つの方途のように思います。     〔「見当違いだよ」と呼ぶ者あり〕
  64. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御注意いたします。私語を禁じます。
  65. 西田隆男

    ○西田委員 関連産業考えて、消注のために使われる石炭は五百万トンでも、これは電力に使うとか、鉄道輸送に使うとか、あるいはセメントに使うというふうな、滯貨だけで消費されるものが相当ある。かように申したわけであります。
  66. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 西田君、ちよつと御注意しますが、討論でありませんから……。
  67. 西田隆男

    ○西田委員 その次に商工大臣にお伺いいたしますが、炭價決定は非常に遅れております。しかも生産者、経営者と労働組合との間におきまして、労働賃金の問題に関しましてごたごたが起きましたので、全國一齊にストに突入するというような状態が最近頻発しております。しずれ炭價は早期に決定になるという御説明がただいまありましたけれども、大体経営者労働者の間の今の賃金問題に関する話合いといいますのは、現在のように炭價が國によつて統制されておりますと、経営者の自由になりませんから、労働問題といいますのは賃金問題であるのです。現在は政府と労働組合との間の賃金の話合いのような状態になつておきますが、この炭價が早くきまつて、そうして生産業者がその炭價によつて安心して生産ができるという態勢にもつていかない限り、いかに鉱業の管理がありましても、石炭三千六百万トンの生産はなかなか困難ではないか、かように考えております。また実際におきまして、昭和二十三年度の一人当りの労働能率は六トン八ぐらいの見当にいつております。二十三年度はそういう予定のようであります。二十二年度におきましては、五トン三から四というような状態であります。しかし吉田理事長の説明によりますと、三千八百万トンの上期、下期の割当の量を、現在の四十六万五千人という人員をあまり増加せずに生産したいというようなことから考えまして、炭價決定の際に、一人当りの労働能率というものが、おそらく政府では六トン一というような見当炭價の査定をされるものと、私は感ずるのでありますが、この点につきまして、二十三年度炭價決定される場合に一人当り基準能率というものは、どの程度にお考えになつておるか、これはひとつ伺いたいのであります。  その次に四月一日から炭鉱全体は管理を受けておりますが、これは鉱業法にもありますように、一應全國の炭鉱に網がかぶせてありますが、指定炭鉱として特に指定するというこの方法が、迅速敏活に行われない限り、目的を達成することは困難であると考えております。その指定炭鉱の指定の期日はいつごろにお考えになつておりますか、これをひとつお伺いいたしたい。  その次は資材に関する問題であります。資金の問題は神田君から質問がありましたから省略いたしますが、理事長の説明によりますと、銑鋼類だけでも昨年度一万九千七百四十六トン本年度は三万四千トン配給を計画しております。こういう話で非常に結構でありますが、昨年度の一万九千七百四十六トンの配給の資材を入手するにつきましても、経営者は非常な苦心をしたのであります。本年度これが三万四千トンになつておる。しかも関連産業その他配給資材の入手に関する機構そのものは、過去のままでありまして、別に拡充されておるという話も承つておりません。そこで鉱業法を審議いたします際に御答弁のありましたように工場の生産現場に協力官を派遣して、そうして連絡を密にしてやるというようなお話を承つておりましたが、協力官設置に関しては、どういうふうなお考えで、またどの程度までそのことが進捗しておるか。この点を一点伺いたいと存じます。
  68. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 今西田さんの御質問の第二点、炭價決定の際一人当りの能率をどのくらいにするかという御質問でございますが、これはただいま正確にはきまつておりませんが、私としてはあまり無理のないところで押えたいと思います。これを無理のあるところでやりますと、この方面からまた炭價が崩れてまいります。ただいま申されました六トンの上にどのくらいプラスするか、今のところ確定はしておりませんが、希望的な大きな数字をやつて、せつかくきめた炭價を、この面から崩すということのないように、大きな無理のないところでそれを押えたいと思います。  さらに第三点の指定炭鉱の場合でございますが、これは石炭廳長官並びに生産局長は、もうおつつけすぐにきまりますが、全國炭鉱管理委員会は、もう内定はしておりますが、いろいろの手続があつて、まだ発表の時期になつておりません。本きまりになりましてから、約一月間で指定炭鉱はきめたいと思つております。私の希望では、全國炭鉱管理委員会は、少くともこの下旬にはきめてもらいたいと思つておりますので、それから大体第一回目の全國炭鉱管理委員会を、この下旬少し遅くなりますが開く予定であります。初めは十四日に開く予定でありましたが、いろいろな手続で遅れました。それから大体一月以内で指定炭鉱はきめたいと思います。  先の坑木の点は、これは輸送の問題でありまして、運輸当局と極力折衝いたしまして、御期待に副うようにいたしたいと思います。  それから第四の御質問の資材の点、協力官の点に関しましては、政府委員から御答弁いたさせます。
  69. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 協力官の問題でございますが、これは暫定予算にはいつておりますが、中央、地方合計いたしまして、三十名の二級官、三級官を動員いたしまして、この仕事に当らせたいと考えております。從いましてこの暫定予算決定次第、この石炭廳設置法に基き人員をきめまして、これを置くつもりであります。
  70. 西田隆男

    ○西田委員 商工大臣にもう一遍お伺いいたします。昨年の七月からきまりました九百五十六円八銭の炭價は、実際の生産実績が一人当り五トン三のときでありましたが、これを五トン七程度に見込んで、物價廳炭價決定したのであります。わずか四の開きでありますけれども、五トン七の実績に到達するまでには、結局時間のずれがありまして、そのために炭鉱生産原價が、きめられた炭價では賄い得ない状態になつております。かりに一トン当り二十円なり十円なりの赤字が出ますと、これは赤字融資を受けるといたしましても、赤字融資を受けるときには、これもすでに時が経つておる。こういうことで、結局は税金の未拂その他で、労働賃金その他を賄つていくという状況であります。こういう状態でありますと、結局労務者経営者生産意欲を阻害されることが非常に大きいのであります。少くとも二十三年度炭價決定にあたつては、そういうことのないように、多少利潤が乱れましようけれども、乱れた利潤は結局業者が自分の利潤として他に轉用するほど大きな利潤はないわけでありますから、結局これは炭坑の改善とか、労働組合に対する待遇改善に使われるものであると考えます。そういうお含みのもとに、二十三年度炭價を最も近いうちにきめていただきたい。これは希望として申し上げます。  それからこれは私が得た情報でありますが、中央の炭鉱管理委員会は、さようなことがないように聞いております。しかし各地方の石炭局の地方炭鉱管理委員会には、炭労は協力するが、全石炭は協力しないということを聞いております。もしさような事実があるならば、これは管理委員会運営の上においてゆゆしき問題であると考えております。この点について、これはプライヴエートに得た情報であるから、確実であるかどうかわかりませんが、商工大臣はどういう情報をもつておるか。もしこれが眞実であるとすれば、これに対してどういうことを考えておるか、それをひとつ伺いたい。
  71. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま御指摘の点は、私初め石炭廳にもそういう西田さんの御指摘のようなことは傳わつておりまん。ただ私の氣持を簡單に言えば、中央においてあれほど炭労同樣に協力してくれておる全石炭が、地方においてさように反対なことをするとは考えられませんので、北海道のようなところにおいても、石炭局にも人を出して協力してくれておりまして、御指摘の点は杞憂であると思つております。
  72. 西田隆男

    ○西田委員 それでは現在の地方石炭局は、局長はきまつておるが、石炭局自体の構成が完全にできておるかどうかしれませんけれども、地方炭鉱管理委員会の委員のメンバーになるべき人が、労働組合側のあらかじめの人員はおわかりでありましようか。
  73. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 御承知の通り、中央には中央準備委員会、地方には地方で準備協議会をつくつて準備いたしておりまして、そこで職員並びに管理委員の候補者を選考してもらいました。これは地方ごとに選考しておりまして、まだ人の名前はこちらでわかつておりませんが、各地とも候補者をきめておるわけでありますから、その中に全石炭の方がはいつておらぬという情報は、一つもはいつておりません。地方ではそういうことで進んでおると考えます。まだ具体的に人の名前の報告はありませんが、しかしながら、着々進んでおるという情報を得ております。
  74. 西田隆男

    ○西田委員 ただいまの答弁で私の受けた情報が間違いであれば幸でありますが、そういう点も十分に留意した地方炭鉱管理委員会の設定に御盡力願いたいと考えます。  最後にもう一つ承りたいことは、四月からの石炭鉱業の臨時的な管理をきつかけにいたしまして、石炭廳の設置要綱にあります條文のようなことになつて、安本とか大藏省、運輸省、あるいは物價廳、農林省というような方面の炭鉱の石鉱生産あるいは普糧の確保、資材その他の確保に関する特別委員会をつくられて、そこで決定したことは、各省ともただちにその決定通りに協力するという態勢を強力におつくりにならないと、今までのような、石炭廳自体の動きで、各省との連絡に相当の時日を要したり、省が協力しないために、石炭廳ではこうすべきであると考えながら、実行に移せなかつたようなことがそのまま行われたならば、石炭三千六百万トンの生産は、私は不可能であると思いますが、この点に対して商工大臣のお考えを伺います。
  75. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいま御指摘のうち、金融の方は総理大臣を会長にいたして、商工大臣、大藏大臣、安本長官を副会長とし、日銀総裁及び復興金融金庫の理事長、あるいは産業代表の石川一郎氏、石炭廳長官、物價廳の次長を加えまして、炭鉱融資委員会をつくつて、非常に迅速に着々やつております。資材食糧その他の点に関しては、できるだけ早く石炭廳を中心にして、そういうような委員会をつくつて、金融同樣迅速に手を打つていきたいと考えております。
  76. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 これにて質疑は終了いたしました。引続いて討論に移りますが、通告がありませんから、討論は省略して、ただちに採決を行います。  本案は原案通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案通り可決いたしました。(拍手)  この際本案に関する委員会報告書についてお諮りいたします。これは從來通り委員長において作成の上、議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 伊藤卯四郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは後刻書面をもつて提出いたしておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十一分散会