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神田委員 今の御
答弁は、率直に申して
商工大臣としては、なかなかお答えにくい
答弁だと私は思います。しかし今承りますと、いわゆる今
年度の輸送
計画が一億三千万トンと言われましたが、これは率直に
言つて商工大臣はだまされているのではないかと思います。もちろん輸送を完遂するために、鉄道職員なりあるいはその
関係する方面に、食糧にしろあるいはまた日用品にしろ、勤労意欲を
向上するために必要な配給等をお
考えになることは、これは結構なことだと私は思います。しかし鉄道の輸送量というものは、無限大ではない、これは一定の量にきま
つている、月産九百万トン台を確保したいということが長い間の念願でありまして、ようやくそれが達せられて、最近九百二、三十万トン送れるように
なつた、いわゆる九百二、三十万トンの十二倍は、約一億一千万トンであるが、もう二千万トン殖やすということは、これはとてもできないことだと私は思います。そこで
石炭が昨年とにかく二千九百三十二万四千四百トンでございますが、これを二〇%増炭されるということは、先ほど私が申し上げますように、
石炭を掘るということは、これは手段であ
つて、
石炭を
日本産業再建のため、あるいは民生安定のために利用することが目的である。この二割の
石炭の
増産によ
つて、
日本産業の再建というものは増割増加するのである。そういうことを
考えると、
石炭の輸送
計画が鉄道が引受けて完全なものであ
つても、それはふろをたいとはい
つてしまうならば、これは送りつぱなしで済みまするが、
生産工場にこれを渡すのだから、どうしてもそこから加工品が出てくるわけです。製品が流れてくるわけです。そこで関連
産業が動きますから、その関連
産業によ
つて生産されたものがまた輸送へもど
つてくる。これは
相当大きくもど
つてくるのですよ。だから
石炭の輸送のことだけお
考えにな
つておられて——それは
石炭廳の長官なら、それでも結構ですけれ
ども、私は
商工大臣の
答弁としては満足できない。それは現内閣が輸送の面において努力されて、いろいろ
計画を立てていることについては、私も承知しております。今
お話されたことも、私新聞、ラジオその他によ
つて承知しております。しかしそれはまだプランなんです。文障であり、作文なんです。これを確実に実保するその具体的処置というものを、私はおとりにな
つていられることは承知しておりますが、まだ確実に実行されておらない。そこで申し上げたいことは、と言うよりもお尋ねしたいことは、輸送の問題は、ただいま出た
石炭が運ばれないということは、私以上に
商工大臣としては心をいためるという
お話もございました。私
石炭の輸送のことについて、
商工大臣とどつちが心を痛めるかというようなことを、別に問題にするわけではないのです。それは
商工大臣が非常に御心配されている氣持はわかります。私もその地位におらないから
といつて、円の痛めた方が少いとは、決して
考えておらない。しかしこの
石炭の輸送の問題が、
石炭だけをお
考えにな
つているとすると、非常に間違いなんです。これは基礎原料なんですから、これによ
つて幾多各種の製品が出てくるわけです。その輸送
計画がどのくらいのものになるか、そこから割り出して鉄道がどのくらいこれを輸送できるか、海運がどのくらいこれを責任もつか、陸上の小運送がどの
程度にこれをカバースるかということが問題なのです。私は
石炭をお掘りになればなるほど━━これはどうしても掘
つていただかなければならぬことですが、私が今申し上げたような施策をともにおやりにならぬと、
石炭をお掘りにな
つて苦労する、かえ
つて國民経済を圧迫する。殊に食糧の問題にいたしましても、この二十三
年度については一割
増産をやろう、主食の配給にしてみても、二合五勺を二合八勺にしたいということを言われる。これはみな輸送に
関係のある
仕事なんです。終戰後の工業がだんだん回復してきている。これもやはり輸送の面に現われてくるのです。そうい
つたあらゆる面で計算をしていただきますと、これはもう非常な問題だと思う。
石炭をうんと掘
つてもらいたい。三千六百万トンも四千万トンも、か
つては五千何百万トンも掘
つた日本の
炭鉱でありますから、そこまでい
つてもらいたい。
石炭さえ出れば
日本の
産業再建に一番近道になる。もちろん電氣も必要であります。
あとのものも必要でありますが、とにかくせつかく御苦心されて、國民監視のもとで、また乏しいところを傾斜
生産をや
つているわけでありますから、掘
つてもらいたい。今
商工大臣は鉄道は一億三千万トン運ぶのだと申しましたが、それは運べないと思います。別に議論をしようとは思いませんが、鉄道に苦心をしてこれを引受けた。しかし関連
産業が動くのでありますから、私は非常な手を打
つていただかなければならぬことだと思う。現に
片山内閣の
経済白書で、三千万トンの
石炭が出たならば、
石炭を輸送することのみならず、その輸送された
石炭によ
つて産業が動いて、その製品の運搬ということを
考えると、当時の状況においては非常に困難だとこう言われた。その後
日本経済が
相当よくな
つております。毎月の工業
生産指数なり、農業
生産指数、その他の
生産指数を見ていると、大体プラスにな
つている。そこで私輸送の問題は非常にむずかしい問題であると思う。これはひとの
商工大臣として、また國務
大臣として、またこの内閣の大きな支柱として長にあられる立場なのだから、十分お
考え願
つて実行したいただきたい。私は
計画だけをお聽かせ願いたいと申し上げたのではない。確実に実行をされること、そのおとりにな
つておられる手段
方法を、具体的にお伺いしたい。
大臣の御
答弁を願うのでありますから、そうこまく私は別にお尋ねしようとは思いません。しかし今の御
答弁をお聽きしますと、鉄道も非常に困難な中を一億三千万トン二十三
年度に輸送したいという、この氣持はわかるのでありますが、非常にこれは購難なことだと思う。そこで繰返すようでありますが、これはどうしても
政府の力が一体にな
つて解決しないとむずかしいのじやないか。もちろん
政府のみならず、國民も協力すべきものであると
考えております。
日本経済が非常に暗い面をも
つておるということは、輸送の隘路でそれが倍加されておると私は思う。そこでこの輸送の面をもつとひとつ━━
大臣の御心配の氣持はよくわかりましたが、私の聽きようが足らなか
つたかもしれませんが、もう一度納得のいくような御
答弁をお聽きして、そこで私も了承できましたなら質問を打切りたい、かように
考えておりますので、
大臣のほんとうに心からの御
答弁を伺いたい。
大臣はこの前の内閣から引続いておやりにな
つておられるのであり、私
どももまた一番心配しておるのですから、これをざつくばらんに、できないならこういうわけでできない。できるならばこういうことでできるのだということを、はつきりひとつお聽かせ願いたい。またその二つともいずれも困難な問題でありますならば、その困難だという御
説明を承りたい。以上御
答弁を願いたいと思います。