運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-06-29 第2回国会 衆議院 厚生委員会治安及び地方制度委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員   厚生委員会    委員長 山崎 岩男君    理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君    理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君    理事 武田 キヨ君       井上 知治君    大石 武一君       福田 昌子君    松谷天光光君       野本 品吉君    齋藤  晃君       榊原  亨君   治安及び地方制度委員会       松浦  榮君  出席政府委員         厚 生 技 官 三木 行治君  委員外出席者         專門調査員   川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した事件  興行場法案内閣提出参議院送付)(第一八  〇号)  公衆浴場法案内閣提出参議院送付)(第一  八一号)  旅館業法案内閣提出参議院送付)(第一八  二号)     —————————————
  2. 山崎道子

    山崎委員長 ただいまより厚生委員会治安及び地方制度委員会連合審査会を開会いたします。  連合察査会は議案を所管する委員会委員長が、連合審査会委員長になる建前なつておりますから、私が委員長を勤めさせていただきます。それでは興行場法案公衆浴場法案旅館業法案を議題といたしまして審査にはいります。質疑はこれを許します。松浦委員
  3. 松浦榮

    松浦(榮)委員 私はこの合同審査会におきまして、治安並びに地方制度委員立場から、一言発言をいたしたいと思います。今回厚生委員会提案になりました興行場法案旅館業法案公衆浴場法案、この三つ法案と、それから治安委員会の方に提案なつておりまする風俗営業取締法案、この四條につきまして檢討の結果、私は許可制度について一言意見を述べたいと思うのであります。風俗営業取締法案の中におきましては、風俗営業に対する許可公安委員会許可するという建前にしてあります。それから厚生委員会に出ておりまする以上の三法案許可権限は、知事に與えられております。私は同じ政府から閣議を経て提案されたところの法案が、委員会が違うからといつて、その許可権限を持つておるところが違うということは、法案をつくる上におきまして、建前上よろしくないと思います。いずれか一本にしなければならないと思います。公安委員会にするか、あるいは知事にするか、どちらか一本にしなければならぬと思います。しかしながら私の意見としては、公安委員会にすることも、また知事にすることも反対なのであります。治安委員会においては、許可権限公安委員会に與えるということについては相当の議論がありまして、公安委員会ではいけない、警察署長に與うべし、こういう意見がほとんど大部分を占めておつたのであります。なぜ公安委員会に與えていけないかというと、公安委員会というものは、警察の運営に対するところの指導監督的な立場に置いた方がよかろう。そういう建前のものである。それでありますから、実際の執行許可処分というような執行には当らせないのがよろしいのである。そういう建前のものが、今許可をしたり、認可をするような仕事をすることになると、警察に対する指導監督がむずかしい。それであるから公安委員会はあくまでも指導的な、監督的な立場に置いた方がいい。從つてこの風俗営業取締会案に出ておる公安委員会許可権限を持つよりは、署長に與えた方がいいという意見が、非常に多かつたのであります。從つて私は公安委員会権限を與えることはよくないと思います。しからば警察署長に與えていいか。こういうことになりますと、警察署長に與えることも私はよくないと思います。なぜかと申しますとバレンタイン氏、元のニユーヨーク警視総監が、昨年日本警察制度を調査に來まして、報告書を出しておりますが、その報告書にもありますように、日本警察というものは非常に廣い大きな権限を持つていたために國を誤つた。すなわち日本警察國家と稱せられるものは、いろいろな法規内務省の警保局が立案し、また地方では府縣警察部が立案してつくる。それから許可権限内務大臣警察権を持つておるところの府縣知事、あるいは警察署長が持つておる。しかもその法規執行するのがまた警察官吏である。すなわち法規をつくり、その法規に基いて許可をし、その許可をしたものを調べる。こういう一切の権限警察系統が持つておる。これすなわち警察國家である。そういう國であるから、日本の國は警察國家と呼ばれた。國民はこれを怨嗟の的にしておつた。だから営業許可したりする権限警察から離した方がいい、こういうことを言われているのであります。その通りであります。それでありますから私は警察署長権限を與えることはよろしくない。あくまでも警察はできた法規執行する立場におく。これが一番よろしいのであります。それで警察署長に與えることも反対であります。しからば最後にこの厚生委員会に出ているように知事に與えたらどうか。こういうことになりますが、知事に與えますと、知事というのは今公選制度でありますから、そこに非常に情実が起る。また知事政党から出る場合が多いから、政党化するということを非常におそれるのであります。從來官選時代知事というものは、自分郷里へ帰さなかつた。以前内務省の役人というものは、自分郷里には帰さなかつたのであります。なぜ郷里に帰さなかつたかというと、郷里においてはいろいろな情実が起きる。そこにいろいろな因縁ができて、仕事がやりずらい。その結果において誤解を起しやすいということにおきまして、郷里には帰さなかつたのであります。それほど情実ということを考えながら人事をやつてつたのでありますが、今日民主化時代になりまして、知事公選なつた。その土地から知事が出ますから、どうしてもそこに情実が起きやすい。また政党人であれば、ほとんど仕事政党化して行うというそこに心配が起きるのであります。それでありますから、知事許可ということもそこに非常な誤解情実を伴いやすい。だからいずれにしてもこの三つは結局いけない。どれがいいか、私をして言わしむれば、そこに私は公正な委員会をつくつた方がいいと思います。すなわち許可をする委員会をつくつて、その委員会のもとに許可をしていくということが一番公正で妥当であろうと思います。その委員会は、それではどういう人たちをもつて構成するか、こういいますと、私はその中に公安委員も入れた方がいいと思います。そのほかいわゆる学識経驗者、たとえば衛生方面、あるいは火防、建築の方面、そういうような方面の権威ある人たちを入れて、委員会を構成しまして、その委員会によつて許可をする。こういうことが私は一番妥当であろうと思います。アメリカにおきましても、そういうような制度がありまして、もちろん州によつては違うようでありますけれども許可委員会というようなものがニユーヨーク市あたりはありまして、その委員会許可権限をもつているというようになつているようであります。私は、必ずしもアメリカのまねをしなくてもいいのでありますが、日本の國を民主化するというためには、いろいろな制度を民主的に行つていかなければならない。それがためには、今まで独裁的に單独に行つてつた許可というようなものは、やはり民主的に行つた方がいい。こういう意味におきまして、私は委員会制度を主張するものであります。それにつきましては、その委員会というものをこの法制の中に織り込んでいただくことがよかろうと思うのでありますが、その点に対する当局の御意見をお伺いしたいと思います。
  4. 三木行治

    三木(行)政府委員 お答えいたします。ただいま松浦委員の御発言は私どももまつたく賛成であります。受ける國民の側から申しますれば、これらの許可関係が一本になるということが非常に好都合なのであります。從來も、中央におきましては内務省地方におきましては警察一本というような処理をやつてつたのでありますが、内務省の解体に伴いまして、今日ばらばらに相なつておる。これは非常に不便でもあるし、御指摘になりましたような問題も発生し得ると考えるのであります。ただ私どもこの三法案を今回提出いたしましたにつきましては、新憲法の実施に伴いまして、法令の空白時代を生ずるわけであります。速やかにこれらの法律を制定する必要がございましたので、とりあえず提出いたした次第でありまして、それらの点につきましては、御指摘になりました点は私どももまつたく同感でございますので、窓口を一本にしていく、そうして非常に事務を簡捷にし、またその窓口に提出いたしますならば、その場所において関係各廳の意見も聽いてやつてくれる、公正かつ民主的にやつていくということは非常に好ましいことであると考えるのであります。從つてどもとしましては、ただいま御指摘になりましたニユーヨークのライセンス・ビユーロー、あるいはまた許可をいたしまする委員会というようなものを頭に入れまして、われわれの側といたしましても、関係各廳と相談いたしまして、できるだけ速やかにそういうことが実施できますように努力をいたしたい。かように考えておる次第であります。
  5. 松浦榮

    松浦(榮)委員 ただいまのお話で了承いたしましたが、とにかく從來警察署長がほとんど許可しておつた営業が、一時廃止になつておりましたが、これからだんだんに法律化しなければならぬことが多くなつてこようと思います。その際におきましては、できる限り今申しましたような一元化し、また民主化するということに努めていただきたいと思います。どこへ許可を受けに行つていいのか、まちまちであつたり、また同じ仕事許可をもらうのに、あちらの役所にも行かなければならぬ、こちらの役所にも行かなければならぬ、いろいろの方面許可をもらいに行かなければならぬというのが今日の実情でありますので、それをどうしてもすつきりと一本にし、しかもそれを委員会制度のような民主化した制度に、ぜひとも今後の法制を取扱われるときにはお願いしたい。こういうふうに考える次第であります。
  6. 山崎道子

    山崎委員長 ほかに御質疑の方はございませんか、——別質疑の方もないようでありますから、本連合審査会はこれをもつて散会いたします。     午前九時四十五分散会