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1948-07-05 第2回国会 衆議院 厚生委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月五日(月曜日)     午後零時二分開議  出席委員    委員長 山崎 岩男君    理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君    理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君    理事 武田 キヨ君    江崎 真澄君       大石 武一君    角田 幸吉君       坂本  實君    重富  卓君       田口助太郎君    深津玉一郎君       山村治郎君    太田 典禮君       重井 鹿治君    馬場 秀夫君       松原喜之次君    萬田 五郎君       山下 榮二君    小野  孝君       園田  直君    並木 芳雄君       最上 英子君    野本 品吉君       平工 喜市君    齋藤  晃君       寺崎  覺君    林  百郎君  出席國務大臣         厚 生 大 臣 竹田 儀一君  出席政府委員         厚生政務次官  喜多楢治郎君         厚生事務官   木村忠二郎君  委員外出席者         厚生事務官   大山  正君         專門調査員   川井 章知君     ————————————— 七月五日委員武藤運十郎君、松谷天光光君、福田 昌子君、師岡榮一君、小笠原八十美君、近藤鶴代 君、周東英雄君、村上清治君、井上知治君、山口 六郎次君、井村徳二君、荊木一久君、松本眞一君 及び徳田球一君辞任につき、その補欠として山下 榮二君、萬田五郎君、馬場秀夫君、松原喜之次君、 重富卓君、坂本實君、田口助太郎君、江崎真澄 君、山村治郎君、角田幸吉君、園田直君、並木 芳雄君、平工喜市君及び林百郎君が議長の指名で 委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  消費生活協同組合法案内閣提出)(第二二三  号)     —————————————
  2. 山崎岩男

    山崎委員長 ただいまより会議を開きます。  消費生活協同組合法案を議題として審査にはいります。質疑は通告順によつて許します。有田委員
  3. 有田二郎

    有田委員 本法案内容とする消費生活協同組合事業は、大体産業組合法により設立されておるいわゆる市街購買組合消費組合内容と同じものであると思うのでありますが、なぜ別個のかかる法律を必要とするのか、この点を伺いたい。
  4. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 産業組合法は、明治三十三年に制定せられたものでありまして、その後たびたび改正いたしておりますけれども、現在の民主的な生活協同組合を律する規定といたしましては、適当ではない点がございますので、その組織及び運営につきまして、より民主的な基準を與える新しい法律が必要であります。また産業組合法は主として農業生産者組合たることを対象といたしておる法律でありますので、眞に消費者協同組織対象といたします特別なる法律を制定することが望ましい次第であります。なお産業組合法は、組合員産業または経済発達を企図しておる法律でありますが、現に存在しております消費者組合、または今後発達を期待しております消費者組合の多くは、單に経済的目的のみならず、生活その他の向上という文化目的をもちますから、それに即應した新しい法律を制定することが現下最も必要であります。
  5. 有田二郎

    有田委員 しからば産業組合法と上程されました消費生活協同組合法との間におきまして、どれだけ民主的になつたか。民主的になつた点をお示し願いたい。
  6. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 消費生活協同組合法におきましては、設立の際におきまして、産業組合におきましては七人の発起人でできたが、本法案におきましては二十人の発起人が必要であるというふうにいたしました。また組合員の資格におきまして、産業組合におきましては、單に組合について法人が原則として組合員になり得ない場合の特別規定を設けてないが、本組合におきましては、組合発達の現況におきまして、組合員原則として一定の地域、または職域によることを明記しております。また連合会としては、産業組合法では産業組合農会農業会、または産業組合連合会でもつて構成するということになつておるが、本消費生活協同組合法では、消費生活協同組合、その連合会、他の法律による協同組織体でもつて、これらのものと同樣の目的、性格をもつておるものは、すべて連合会構成員となると規定されておるわけであります。また組合員責任の点につきましても、本法案におきましては、中産者以下の者の消費者としての組合であります点に鑑み、有限責任組織といたしました。また組合員家族につきましても、議決等の場合におきましては、産業組合においては代理権を持つていないが、この組合家庭中心として運営されるという消費生活協同組合本質に鑑みて、組合員家族が総会に出席して発言し、また代理人として議決並びに選挙に加わり、單位組合員個人のみで運営されないというふうにしております。また剩余金の割戻し、出資の拂戻しという点につきましても、組合本質に鑑み、その限度規定して、これについても明確な基準を設けておるのであります。また産業組合法におきましては、持分観念を認めておるが、本法案におきましては、その本質からいつて持分観念は認めず、脱退等に対しても拂込者の出資額範囲においてのみ拂戻しを認めるということにいたしたのであります。組合登記につきまして嘱託登記でありましたものを、申請登記にいたしました。産業組合法におきましては、行政官監督権がきわめて廣範囲になつておつたけれども、本法案におきましては、組合自主性を重んじて、これを最小限度に止めたのであります。大体本法案におきましては以上の点におきまして從來産業組合法に比較いたしまして、民主化されておると言つて差支えないと思います。
  7. 有田二郎

    有田委員 政府お話によりますと、この提案理由法案の一番最後に「國民自主性自発的な生活協同組織に対し、その機構運営に関する民主的な規準を與えて」云々というように出ておるのでありますが、ただいまの政府のいわゆる民主的という点は、発起人を二十人に殖やす、あるいは地域職域をつくつていくとか、あるいは採決の方法が変つてきたとか、あるいは有限責任にしたというような点が変つておるだけであつて、今日中小商工業者に中でこの生活協同組合法案というものに対して、反対の声があることは、政府当局においても十分御承知の通りであります。しかも今日中小企業廳というものを政府は設置されておられまするけれども、何らこれが働いていないということはひとしく認めるところであります。中小商工業者は今まつたく困憊しておるのでありまして、その中小商工業者反対しておるこの法案、この法案に対して非常な不安をもつておるのであります。從いましてただいま政府答弁によりますると、民主的だと称せられる点は、産業組合法を是正することによりまして、その目的は十分達し得られるというように考えられるのでありますが、政府の御所見を伺いたいと思います。
  8. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 本法案におきましては、その機構運営についての民主的な基準を與えると同時に、自主的自発的な生活協同組合組織に対しまして、その健全なる発達をはかり、これによりまして國民生活の安定と生活文化向上をはかるというような目的をもつておるのでありまして、これにつきましては、産業組合法は先ほど申しましたようにその法律成立自体がもともと農村中心にいたしたものでありまして、農村中心にいたしましたものを主として都市の消費生活組合組合というものに適用するために、必ずしも妥当でないという点が見受けられますので、それによりまして自主的自発的な生活協同組合組織が阻害せられるというか、あるいはそれが十分伸びていかないという点がございますので、この消費生活協同組合自身それのみを目標とした法律を制定するということが必要なんでなかろうかと思うのであります。なお産業組合法というものは、現在としては農業協同組合法ができました関係上、また市街地信用組合法というものができました関係上、ほとんどその主要部分が骨拔きになりまして、ほとんど最初の目的でないところの消費生活協同組合にあたります部分が主たる内容になつておりまして、そういう現下状況からいたしまして、これを全然廃止いたしまして新たに生活協同組合法というものを制定することが妥当である、かように考える次第であります。
  9. 有田二郎

    有田委員 中小商工業者がこの生活協同組合法案というものに対して、前國会以來反対をいたしてきておるのでありますが、これについて政府はすでに十分承知しておられるかどうか伺いたいと思います。
  10. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員の御意見ごもつともでありまして、本法案中小商工業者との関係は、非常に考慮を要することに相なつておるわけであります。法案根本方針といたしまして、平等なる立場に立つて公正なる競爭をなすということに対しましては、現下社会情勢から見まして、中小商工業者におきましても絶対的反対をせないのではなかろうか。いわゆる政府において消費生活協同組合を維持育成するために、中小商工業者に対する大きな影響を與えるという点に対して反対をしておるものであると存じておるわけであります。この法案内容から見まする場合におきましては、絶対的反対のないものであると私は存じておる次第であります。
  11. 有田二郎

    有田委員 私は昨日この法案を頂戴したので、昨晩ざつと眼を通しただけで、よく法案内容についてわれわれ野党としては檢討する時間を與えてくださらなかつた。この点はまことに私どもは遺憾に思うのでありまして、今の政府の御答弁の中に、中小商工業者がそう大した反対はないというようなお話でありますけれども、おそらくこれは全國的に生活協同組合法案というものをかなりに誤解をしておられるのではないか。今日與通三派がお出しになつて消費生活協同組合法案と、巷間傳えられておる生活協同組合法案の間には相当の開きがある。今度こういうふうになつておるということについては、全國の中小商工業者はよく知らない。しかも法案が押し迫つて昨日上程されて、本日初めて國会最終日審議に移るというような状態でありまするので、全國的にも十分にこれを徹底させることができない。また私どもも十分にこれを審議する時間を與えられないというようなことではまことに遺憾でありまして、この事情がよくわかつていないということのために、今喜多政務次官が言われた趣旨が、全國の商工業者に私は徹底していないと思うのでありまして、この法案審議も十分されないで國会を通るということの結果、さなきだに不安におののいておる中小商工業者を一層そういう羽目に陷れるのではないか。從つてむしろ本日こういう最終日迫つておるわけでありますから、きようは十分審議を盡すわめでありますが、全國の中小商工業者に、今度與党三派の提案にかかる消費生活協同組合法案は、決して中小商工業者を圧迫するものでないという意味の宣傳を徹底して、そうしてこの法案が通過するということになりますならば、これはおのずから私どももまた考えを別にするのでありますけれども、これは昔のままの生活協同組合法案だ、かように全國の商人は考えておるのでありまして、これが通過することにおける精神的な影響という点について、政府はいかなるお考えをもつておられまするか、承りたいと思います。
  12. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員より、この重要な法案に対する審議の時日の少いことに対して御指摘がありました。これに対しましては、政府といたしましてもまことに恐縮に存じておる次第であります。この遅延いたしました理由は、昨日も詳細御報告を申し上げておいたような次第であります。もつとも中小商工業者における問題といたしましては、御説のごとく審議の時間の少い点によつて十分徹底し得ないという憾みのあることを、非常にわれわれといたしましても遺憾の存じておるような次第であります。しかし中小商工業者における代表方々とは、ある程度懇談も実はいたしておるような次第でございます。もちろん決議とか何とかの方法をもつてこれに御賛成を得ておるというところには段階が達しておりませんが、大体今日の社会情勢から見まして、まず先刻申し上げましたような根本趣旨により、機会均等を得たる法律であるならば、またこれが強制的に政府が結成せしめるのではなく、いわゆる人とひとの結合によつて、自主的に自発的にこういう組合をつくつて、お互いの生活向上をせしめようというような趣旨に対しましては、賛成をし、理解すべきが國民の義務ではなかろうか、かように存じておる次第であります。
  13. 有田二郎

    有田委員 喜多政務次官の御答弁はよく了承したのでありますが、一部の中小商工業者に前商業委員長立場でいろいろお話になつておられる立場については了承するのでありますが、はたして喜多政務次官お話を全國的に中小商工業者が了承しておるかどうか、これを承りたいと思います。
  14. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 これは有田委員の御説のごとく、短時日におきまして全國的の商業者全般にこれが行きわたつておるものては解釈いたしておりません。ただ一部の代表者方々懇談を交えたという程度であることを申し上げるわけであります。ゆえにただ審議期間少い点政府といたしましても、実は非常に遺憾と思つておるわけであります。十分なお時間もございまするから、御審議を願いまして、本法案の通過することに御協力くださらんことを実はお願い申し上げる次第であります。
  15. 有田二郎

    有田委員 私もこの法案を昨晩眼を通しまして、大分に変つておるという点を大いに認めたのでありますが、ただいま喜多政務次官からの御答弁通りに、全國の中小商工業者に與える心理的な影響ということを私どもは非常に恐れるのでありまして、もちろんこの消費組合というもの世、すでに産業組合法として古くからあるものでありますし、この程度のものであれば、私どもまつ向から反対をするというような意図をもたないのでありますけれども、少くともかかる法案については、全國的に誤解もあり、またいろいろな問題もある。從つて私は本國会においては、あと本日余す時間がわずかよりありませんが、審議を盡して、そうして來る第三國会の劈頭に本問題をお取上げになるべきではないかと考えるのでありますが、政府所信を承つておきたいと思います。
  16. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 産業組合法があつて、今日この消費生活協同組合法をわざわざつくる必要がないのじやないかという御意見でございますが、中小商工業者における本法案反対の骨子ともなるべきところは、まず産業組合はやはり資本主義でできておるものである。その産業組合より以上に中小商工業者を利害的に影響せしめるという法案に対しては、反対すべきものでなかろうと思うのでありますが、本法案内容産業組合法と比較いたしまして、先刻政府委員より述べましたことく、中小商工業者に対しましての與えるべき影響は、ほとんど毫末もないのではないかという趣意から見ました場合、今日日本が財戰の結果、一変いたしました社会世相からみまして、その古い三十二年度の産業組合、いわゆる農村対象とし、ただ産業対象としておるような法律は、この際時代的廃止をいたすことにいたしまして、最も時代に副いました消費者全般事業計画を立てるべきである。また從來産業組合事業といたしましての生産販賣というものを除いた、いわゆる購買あるいは利用的あるいは文化的、教育的というような全般社会生活状態向上せしめるというような、自発的結成をせられております井日の多数の任意組合等を考慮いたしました場合、これらに根拠をもつた一定した法律をめくつていくということが、現在の時代的要請ではなかろうかと存じておる次第であります。よろしく御了承を願いたいと思う次第であります。
  17. 有田二郎

    有田委員 喜多政務次官の御意見は十分了承できたのでありますが、ただ本國会最後の日に出すという結果われわれがこの法律審議する場合において、十分審議できないきらいがあるのでありまして、本日無理やりにこれを採決して、本國会を通すということは、將來禍根を残すのではないか。すなわち少数党が自分の審議権を多数党の横暴によつて失われるというようなきらいがあるのではないか。特に本日一日より会期がないというような点から考えて、この國会少数党意見というものは、新憲法によりまして十分尊重すべきであるというふうに記されてあるわけでありますが、この法案の出し方について、はなはだ遺憾であるという政府お話も、われわれとしては本日一日より審議する機会をもたないということは、われわれ少数党としてまことに遺憾でありますから、將來こういう前例ができますと、多数党は常にかような方法によつて横暴を働くということになると思うのでありますが、政府の御所見を承りたい。
  18. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員の御質問にお答え申し上げます。政府といたしましては、差迫りまして法案提出いたしましたについて、是が非でもこの際これを通過せしめようというふうに請求することは無理ではなかろうと存じております。しかし通過せしめるか否かということは、各党各派の問題であると存じます。國会議員委員各位の御判断によつて、本法案を通過せしめるか否かということについて議御協議を賜わりたい。ただ厚生省といたしましては、審議期間の少かつたということに対しましては、遺憾の意を十分表明いたした次第であります。しかしそれとしても厚生省としては早く提出できるべきものを退延したものではありません。すなわち五月二十四日、各党政調会より、われわれに厚生省案としてこれの提出を要望せられましてから直後におきましては、眞に社会局は全力を傾倒いたしまして、あらゆる部面に折衝をし、一日も早くこの法案議会提出をいたしたいというような考えをもつて臨んでまいりましたことだけは御了承願いたいと思います。
  19. 有田二郎

    有田委員 政府の御所信はよくわかつたのであります。さらにお尋ねいたしたいことは、現在存在しておる消費組合状況について御報告を願いたいと思います。
  20. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 現在存在いたします消費組合状況でございますが、当局において調べましたものは昨年の五月現在でございます。地域組合が全國で千八百五十六でございます。それから職域組合が八百四十七、これは法によるものも法によらないものも全部含んでおります。それに対しまして認可を受けております。法によつているものは地域が五十七十五、職域が百三十九、任意組合地域が千二百八十一、職域が七百八、かように相なつております。
  21. 有田二郎

    有田委員 都道府縣別組合の数及び連合会の数を御報告願いたいと思います。
  22. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは資料として差上げてありますが、北海道が二十五、青森が四十三、岩手が二十二、宮城が三十七、秋田世九十一、山形が百二十八、福島が八十四、茨城が九十七、栃木が五十一、群馬が二十三、埼玉が三十三、千葉が二十九、東京が三百六十八、神奈川が二十三、新潟が百四十八、富山が二十七、石川が十一、福井が十四、山梨が二十六、長野が二十二、岐阜が三十六、靜岡が六十六、愛知が七十九、三重が十八、滋賀が二、京都が百七十六、大阪が百六十七、兵庫が十七、奈良が六、和歌山が七十五、鳥取が四十四、島根が九、岡山が百五、廣島が六十一、山口が二十七、徳島が三十、香川が百二十三、愛媛が七十一、高知が十九、福岡が五十九、佐賀が二十二、長崎が三十六、熊本が四十二、大分が四十四、宮崎が三十三、鹿兒島が二十四、以上であります。
  23. 有田二郎

    有田委員 この産業組合には連合会というものがあるのでございましようか。
  24. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 連合会は全部で七十九ございます。
  25. 有田二郎

    有田委員 さらにお尋ね申し上げたいことは、取扱品目並びに取扱分量について、概要で結構でありますから、御報告願いたいと思います。
  26. 大山正

    大山説明員 私からお答え申し上げます。現在取扱つております品目は、主といたしまして、野菜であるとか、魚類であるとか、つけ物であるとか、衣料を扱つているのであります。それから利用設備といたしましては、浴場を経営しておりますとか、あるいは医療設備をもつておるとか、あるいは製粉、製パンの工場をもつておるというような所もございます。そのほか文化的な活動といたしましては、家庭会を催すとか、主婦の会合を催すとか、あるいは授産、内職といつたようなこともやつておるように承知いたしてえります。
  27. 有田二郎

    有田委員 組合員の数は、現在大体全國的にいくらぐらいになつておりますか。
  28. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 昨年の五月現在、全部で二百七十三万三千百二十一人になつております。
  29. 有田二郎

    有田委員 さらに府縣別にわけて御説明願いたいと思います。
  30. 大山正

    大山説明員 北海道二万四千六百人、青森二万八千六十人、岩手一万一千百九十九人、宮城二万一千八百九十二人、秋田十万九千七百六十二人、山形三万七百二十九人、福島五万六百六十三人、茨城四万八千六百七十七人、栃木六万四百六十七人、群馬一万一千四百二十三人、埼玉二万四千四百六十九人、千葉二万七百八人、東京七十九万七千八百七十二人、神奈川一万四千八百二十三人、新潟七万五千七百三十六人、富山三万一千三百八十人、石川三千六百十人、福井五千五百十人、山梨二千七百八十人、長野二万八千四百五十一人、岐阜一万九千六百二十人、靜岡五万三千百七十七人、愛知七万二千七百三十人、三重三万五千三百八十一人、滋賀一千六百十四人、京都九万九千二百二十人、大阪七万一千六百六十九人、兵庫十一万七千八百九十四人、奈良一万一千七百六十五人、和歌山四万一千二百八十人、鳥取一万五千九百五十六人、島根一万六千九百二十人、岡山五万六百三十九人、廣島十二万六千四百五十三人、山口一万五千八百五十一人、徳島一万九千八百八十一人、香川十万五千九百八十人、愛媛九万九千四百二十一人、高知三万七百二十七人、福岡十六万二千一人、佐賀一万二千三百九十二人、長崎四万三千三百五十四人、熊本二万二千五百人、大分二万八千八百四十五人、宮崎二万四千六十五人、鹿兒島二万九百七十五人、総計二百七十三万三千百二十一人でありますが、これはおおむね世帶主がなつておると思われますので、これに世帶員家族数をかけました四倍ないし五倍の人数が、大体において組合関係者であると、かように思つております。
  31. 有田二郎

    有田委員 二百七十三万人の四倍ないし五倍と見てよいわけでありますか。すなわち一千万ぐらいの組合員考えてよろしゆうございますか。
  32. 大山正

    大山説明員 さようでございます。
  33. 山崎岩男

    山崎委員長 暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩     —————————————     午後二時二十七分開議
  34. 山崎岩男

    山崎委員長 それでは休憩前に引続いて会議を開きます。
  35. 有田二郎

    有田委員 まず中小商工業失業状態につきまして、政府調査の御報告を願いたいと思います。
  36. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 中小商工業者につきましては、ただいままでのところ、業者の数は殖えておりまして、減つておりません。そう大した失業はないものと思います。
  37. 有田二郎

    有田委員 戰爭中企業整備によつて中小商工業者の業を失つたものは数が知れないのであります。終戰後これらの失業者をどうして救済するかということについて、政府の今までとつてきた中小商工業者失業に対する救済のやり方、並びに將來に対する御方針をお聽かせ願いたい。
  38. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員の御質問は、中小商工業者企業整備による失業者が、この法案に対して將來どういうふうになつておるかという御質問のように承りました。大体のところはこの法案ができたからと申しまして、先刻申し上げました通り商業者との間における機会均等競爭をしていくという意味合いになつておる点からいきます場合におきまして、急激にこれが発展をしたために、商業者が圧迫を加えられて失業者が続出すべきものであるとは、厚生省といたしましては解釈をいたしておらない次第であります。
  39. 有田二郎

    有田委員 ただいま木村社会局長お話では、中小商工業者失業は相当殖えておるという御返答であります。喜多政勞次官の御答弁ではそうでないようなお話でありますが、これについて政府の一貫した御方針を承りたいと思います。
  40. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいま私は中小商工業者の数は殖えており、失業者の数は減つておると申し上げたのであります。なぜかと申しますならば、中小商工業者の数は終戰後逐次増加をしておるということなのであります。これはいろいろの統計が示しており、失業者はだんだん減つておるのであります。
  41. 有田二郎

    有田委員 しかしながら木村政府委員お話では中小商工業者は今日の状態では失業者が減つておるということでありますが、政府は、今日中小商工業者が非常に戰前よりもいい状態におかれておるという御見解でありますか。それとも戰前よりも非常に惡いという御見解をもつておられますか。これを伺いたいと思います。
  42. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 戰前から比較しますれば、商業者は殖えておると言えるのではなかろうかと思います。戰爭中における企業整備によつて廃業したものに対しては、減少しておるだろう。しかし終戰後における中小商業者というものは、決して減つておらぬというふうに実は厚生省として考えておる次第であります。なおもちろんこの法案を出す場合におきまして、厚生省も、中小商工業のことを考えなければならぬと解釈いたしますが、失業問題と中小商工業者問題は、商工省関係と労働者関係の問題ではなかろうかと考えるのであります。われわれといたしましても、もちろんそれに関心をもつてこの法案を実は提出しておるわけであります。この法案によつて失業者がただいま申し上げた通り急激に増加するものではないと考えておるわけであります。
  43. 有田二郎

    有田委員 この問題につきましては厚生省の所管と違いまして、おそらく商工省あるいは労働省方面の所管に属するものかと思うのでありますが、とにかく私どもの常識といたしまして、戰爭中企業整備になつて、戰爭が済んだら企業整備をもとへ返してもらえるというのが、全國の中小商工業者のはかない希望であつたわけです。ところがその後におきまして今喜多政勞次官から言われたように、幾分殖えておるという点については認められるのでありますけれども、ほとんど物が足りない。また統制も非常に強化されておるという状態から、中小商工業者は、私どもは今日十分に惠まれていない、むしろ氣の毒な状態にある、こういうような見解をとつておるのであります。政府も私のただいま申し上げました中小商工業者がお氣の毒な状態にあるということをお考えになつておられるものか、むしろ中小商工業者は惠まれておる、かような御見解をとつておられるのか、承りたいと思います。
  44. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員のお説のごとく、中小商工業者が戰後において惠まれておるものというふうには解釈はいたしておりません。但し中小商工業者に対して、この法案が出たから非常に圧迫を加えるということ自体は、現在の時代から言いますれば、機会均等における競爭という点から、自由主義あるいは民主主義になつた今日といたしましては、生活消費者が自発的に組合をつくつていこうというこの傾向を阻止することはできないことではないかと考えておる次第であります。
  45. 有田二郎

    有田委員 中小商工業者が今日全國的に非常に困つておるということは、おそらく政府もただいまの御答弁通りに御承認になつておられることだろうと思いますし、私ども中小商工業者が今日非常なお氣の毒な状態にあり、さなぎだに敗戰後における日本産業の現況というものは、工場、事業場、機械設備、原料、資材等も少く、また稼働率も非常に少くなつてきておるのであります。從つてその生産の少い状況のもとで、商工業者が職場を得るということは、今日の状態でははなはだ容易ではない、かように考えておるのであります。從つて今日まで中小商工業者が細々とその職場を守つておる、まことにお氣の毒な状態であるということは、ただいま政府の御答弁通りであります。この際この法案通りますることによつて、こういつた組合をつくるということのために、中小商工業者の非常にお氣の毒なことが、さらにお氣の毒な状態になるのではないか、かように私どもは憂えるのでありまして、この点につきまして政府は、そうでない、かえつて中小商工業者のためになるという御見解をおとりになるか、幾分そういう方面の犠牲はやむを得ぬというような御見解をおとりになるか、あるいは中小企業廳においてこういう法案が出て、中小商工業者は非常に困るようになるが、それに対しては政府はこういう救済の手を伸ばそうとしておるのだというような意味合いの点について、政府の御所信を承りたい。
  46. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 厚生省といたしましては、この法案によつて特別中小商工業者の発展を阻害するというようなことはないと、かように考えておるわけであります。なぜならば、今日の情勢から見まして、自由主義的に相なつておる今日、特別な法案によつて、これを維持育成をしていくというような内容の盛られておる場合においては、お説のような論が出ると思うのでありますけれども、大部分におきまして商業者と同じ立場に立つて自主的に組合をつくつて仕事をしていこうという場合には、これを阻害していくという理由が、現在の情勢から言つてないのではなかろうか、かように考えておるのであります。
  47. 有田二郎

    有田委員 しからば政府は、この法案によつて中小商工業者はいささかも影響をこうむらない、かように私どもは解釈してよいものでありますかどうか、御答弁を願います。
  48. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 これは商業者自体のやはり心構えのいかんではないかと私は考えるわけであります。しからば過去の産業組合法における消費組合の問題等も考える場合におきまして、これが発展したかどうかというような問題もあるわけでありまするから、いわゆる商人の心構えによつて商業者みずからが將來どうなるかということになるべき問題でなかろうかと私は思うのであります。そういう面から見まして、將來商業者の進み方というものは、結局自己の努力によつて、やはり機会均等によるこういう組合ができても、互いに競爭していかなければならぬということになるわけではなかろうかと、かように考えておるわけであります。
  49. 有田二郎

    有田委員 政府の御所見と私ども所見とは、いささか相違するところがあるようでありますが、それは後刻にいたしまして、私どもは、生産者から直接消費者へというスローガンは、日本経済が戰前のごとく百パーセント動いていたときにおいては、消費者が相互扶助の立場に立つて、自己防衞のために消価費組合をつくる、その力によつて生活の改善をはかり、中間搾取を排えるということも、私は大いに意義がある、かように考えるものでありますけれども、しかしながら今日のごとく敗戰後あらゆる産業が打砕かれて、再建途上において多数の失業者を救わねばならぬときにおいて、むしろ國民として中小商工業者の存在もまた許すのが、今日敗戰後の一つの政治じやないか、かように私は思うのでありますが、消費生活協同組合法案を読みまして、商業者を保護しようとする幾分の御苦心は見られるのでありますけれども、しかしながら大体において今日の敗戰後の経済状態が非常に逼迫しるというような点から考えまして、この法案が出ることによつて中小商工業者は困るようになり、さらにむしろこの法案、何とかもつと修正しまして、中小商工業者の存在を許すというのが、私は今日の敗戰後の政治でなければならぬ、かような見解をとるものでありますが、政府の御所信を承りたいと思います。
  50. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員のお説に対しまして、本日提出いたしましたこの法案に対しては、中小商工業の権益を一分認めて、特別なる中小商工業者に対する暁迫を加えておるというような内容はほとんどないのでなかろうか、かように実は考えておるような次第であります。
  51. 有田二郎

    有田委員 大体総括的なものはその辺にしてまたあとに讓りまして、法案について政府の御所信を伺いたいと思います。  第一條の「生活文化向上を期するということが自的の中にはいつておりますが、この生活協同組織発達をはかつて、そうして生活文化向上を期するというのは、どういうような意味合において生活文化向上を期そうとしておられるか、政府の御所信を伺いたいと思います。
  52. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 消費生活を合理化することによりまして、またその消費生活をお互いに利害相共通いたします地域あるいは職域の者が消費生活を合理化する、あるいは消費生活の問題につきましていろいろと協調していく、あるいはその点についてのお互いの教養の程度を高めるような措置を講ずる、これは先ほども話があつたのでありますが、生活協同組合といたしましては家庭会その他の方法によりまして、お互いの生活改善の事業等にも手をつけるようになつております。これらのいろいろな点を通しまして生活文化向上をはかる、なお協同組合といつたような形において、協同組織によりまして民主主義的ないろいろな行き方が訓練されてくるというようなあらゆる点からいたしまして、生活文化向上が期せられる、こういう趣旨をもちましてこの目的を果していきたいと考えております。
  53. 有田二郎

    有田委員 第二條の第二項、「消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」こういう一項が設けられておるのでありますが、政府はどういうお考えでこういう案をおつくりになりましたか、それを伺いたいと思います。
  54. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 消費生活協同組合並びに消費生活協同組合連合会は純然たる経済團体でありまして、経済的の目的のために、あるいは文化的の目的のためにできておるものでありまして、この組織を特定の政党のために利用してはならないと申しますのは、これをある政党の勢力の拡張の地盤にするというようなことを禁止するという道徳的ん規定であります。このことはこの協同組合関係者、あるいは協同組合連合会関係者といつた者が政党に関係してはならないということを意味するものでは決してないのであります。政党には政党的な、あるいは政治的な意見というものをもちますことは、國民として当然の権利であり、また義務であろうと思うのであります。從いましてここへ規定しておりますことは、この経済的なる團体を政党の党勢の拡張のために利用されることを禁止するという趣旨であります。なおこの生活協同組合、あるいは組合連合会が、その團体の維持のために政治的に動くというか、自分らの組合を維持するために組合を圧迫する政党に対して、その圧迫を除くように反対運動をする、そういう政治運動に対する反対運動というようなことは、必ずしもここでは考えていないわけであります。
  55. 有田二郎

    有田委員 政府の御趣旨はまことに結構だと思うのでありますが、政党のために利用してはならないというのが道義的である、かようなお話でありますが、こういう法案をつくつても、これを御利用になるような政党が出てくるのじやないか、また現にあるのじやないかと考えるのでありますが、これに対する罰則とかそういうものはない。從つてかえつて利用してはならないということのために、むしろ政党に利用しろということを教えるような結果になるのじやないかと思いますが、政府の御所信を承りたいと思います。
  56. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 協同組合が政党的に動いてはならない、政党から超越すべきだといつたようなことは、これはロッチデール以來の協同組合原則でありまして、この原則を掲げたからと言いまして、別に政党が利用することを獎励することになるとは考えられません。
  57. 有田二郎

    有田委員 もしも政党が消費生活協同組合なり、面合会なりをかりに政党のために理用したというような場合におきましては、政府としてはどういうような御処置をおとりになりますか、それを承りたいと思います。
  58. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この点については單なる道徳的な規定として設けておりまして、政府といたしましてこれに干渉する意思はもつておりません。
  59. 有田二郎

    有田委員 しからばこの頃は何ら権威のないものであつて、少くとも政党のために利用してはならないというのであるならば、これに対して相当罰則の中に入れるべきではないか、かような見解を私はとるものでありますが、どういう御趣旨でありますか。
  60. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 政党のために利用したか、しないかという点につきましては、非常にデリケートな問題でありまして、これを解散あるいは罰則といつたようなことの事由にいたしますと、その点が惡用せられまして、その結果かえつて惡い弊害が出てくるおそれが多分にありますので、これは組合員全体の信念と申しますか、組合の信念をここに現わすといつたような意味で、ここではこういう規定にいたしておるような次第であります。
  61. 有田二郎

    有田委員 私は政府所見と異にするものでありまして、いやしくもここに特定の政党のために利用してはならないという項目を設け、私どももまことに結構な御趣旨だと思うが、罰則はつけるベきだ。將來われわれ日本人の文化の程度が進み、また消費生活協同組合の問題についても、國民全体がよく理解できるようになりました場合においては、こういうように單に政党のために利用してはならないということだけで私は事足りると思うのでありますけれども、現在の状態ではこれらに対してはやはり罰則を設けない限りにおいては、かえつてこういうものがあることのために、消費生活協同組合なり、消費生活協同組合連合会なりを政党のために利用できるものだということを、法文を通じて教えることになるという見解を私はとるのでありまして、これに対してむしろ政府は進んで罰則にこれを入れるべきではないか、かような見解を私はとるのでありますが、重ねて御答弁を承りたいと思います。
  62. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この規定を設けることによりまして、組合に対する指導な十分やらなければならぬと思つております。しかし処罰までやらなくてはならぬということにつきましては、ただいまのところ処罰までもつていくべきでなかろうと考えております。
  63. 有田二郎

    有田委員 しからばこの後にいろいろな法文がありますが、その中に生活協同組合を解散させることができるというような一項もあるわけで、政党色の非鶴に濃厚なものについては、これに解散を命ずるというような方法については、政府としてお考えになつていないかどうか承りたいと思います。
  64. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 むろんこれによりまして、政党のために利用する目的をもつていろいろな措置をするとしますれば、その加入脱退の原則であるとか、あるいは議決権の原則であるとか、あるいは実際の運用等について無理ができてくることが多かろうと思うのであります。もしそこまで至つた場合には、当然その解散等に対する規定が適用されることになります。しかし單に政党のために利用したかどうかという点につきましては、組合の精神の問題でありますから、これがはつきり利用したかどうかという点が具体的になつてくるといつた場合には、おそらくは他のいろいろな條項に該当してくるのではなかろうか、かように考えております。
  65. 有田二郎

    有田委員 しからば政党のために利用したとはつきり具体的事実が現われて、そのための弊害が非常に多いというような場合におきましては、政府はそういつた後の項にある罰則によつて組合を解散することができるというような意味合いのことを御敢行になる御決意ありと、かように政府答弁を解釈してよいものでありますかどうか、重ねて承りたいと思います。
  66. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 他の條項に該当いたします場合には、政府としては当然これに対する処置をしなければならぬものと思つております。
  67. 有田二郎

    有田委員 第四條の中に「消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会は、法人とする。」というのがありますが、この法人はいかなるものを指すのでありますか、御説明を承りたいと思います。
  68. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは営利を目的としない社團法人であります。
  69. 有田二郎

    有田委員 社團法人も法人の一つでありまするが、財團法人とかあるいは株式会社、合名会社というようなものはお考えになつていないのか、その点もお尋ねいたしたいと思います。
  70. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 株式会社あるいは合名会社というようなものではないのであります。特殊なる非営利法人であると思います。
  71. 有田二郎

    有田委員 しからば財團法人はこの中にはいるかどうか、御説明願います。
  72. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 本組合組合員というものを基礎にしておりまするから、社團法人でありまして、財團法人ではないと思います。
  73. 有田二郎

    有田委員 第五條にはいりまして、「組合は、都道府縣の区域を越えて、これを設立することができない。但し、職域による消費生活協同組合で止むを得ない事情のあるもの及び消費生活協同組合連合会は、この限りでない。」こういう條項がありますが、やむを得ない事情というのは、どういうことを具体的に指しておるのでありますか。
  74. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 職域が二つの府縣に跨つておるというような場合の消費生活協同組合はやむを得ない事情であります。つまり私鉄のようなものは一つの縣から他の縣に跨つておりますので、その全体の職域と申しますと、どうしても数縣に跨つた組合考えなければならぬということになりますので、その場合には例外としておるのであります。
  75. 有田二郎

    有田委員 私ども考えといたしましては、過去の消費組合の例から見まして、都道府縣というような非常に廣い地域組合がありますと、まとまりがつかなくて、かえつて失敗した例を知つておるのでありまするが、これが東京都に例をとりましても、東京都全部の組合ということになりますと、うまくいつておるものは少い。どうしても各区の組合というような、地域的に限られた一定区域を狹めてやつたらどうか。ただ連合会につきましては相当廣い区域でもよいと思いますが、單位組合が都道府縣というような非常に廣い面にわたるということは、実際の状態から考えてみて、失敗が非常に多いのではないかと考えるのでありますが、政府の御所見を承りたいと思います。
  76. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合の区域は原則として市町村あるいは区の区域等の範囲内できめることが適当であるという御意見は、ごもつともでありますが、あるいは市の区域を跨りましてやらなければならぬ場合もございますし、土地によりまして適当な区域というものが、市町村の区域というものとうまく一致しない場合もありますので、この点につきましては都道府縣の区域を越える場合だけを制限いたすことになつております。
  77. 有田二郎

    有田委員 政府趣旨はよくわかつたのでありますが、政府は過去からの実例を徴せられてみて、廣い地域の方が成功しておるか、比較的狹い各区というようなものが成功しておるか、この点を過去の状態からお考えになつてお示しが願いたいと思います。
  78. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 どちらの場合ありましても、組合員組合の精神をよく納得いたしまして、また組合に非常によい指導者がおるといつたような場合、その場合は大体組合が成功いたしております。廣い場合でも狹い場合でも、組合員組合の精神というものを理解せずにやつておると、あまり成功していない。大体精神の問題でありまして、区域の問題は必ずしもどちらとも限らないと思います。
  79. 有田二郎

    有田委員 第八條の「この法律は、労働組合法による労働組合が、自主的に第十條第一項に規定する事業を行うことを制限し、又はこれに不利益を與えるものではない。」とこうありますが、これはどういうことを意味しておりますか。
  80. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 労働組合法によります労働組合は、組合員のために物資の購入、加工等の事業をいたすことができるのであります。そういう経済行為をすることができるのでありますが、そういうことをこの法律によつて制限をしようという趣旨は全然もつていないということを、特に明らかにした次第であります。
  81. 有田二郎

    有田委員 しからば八條は、労働組合がこういうようないろいろの組合員生活に必要な物資を購入し、これに加工もしくは加工しないで、または生産して、組合員に供給することを目的とするといつたような事業をすることを政府としては認める、こういう御見解でありますか。
  82. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは労働組合法においてそれができることになつておりますので、それをこちらの方で制限するつもりは全然ないという趣旨であります。
  83. 有田二郎

    有田委員 第一條の第二号に「組合員生活に有用なる協同施設をなし、組合員に利用せしめる事業」というのがありますが、「有用なる協同施設」というのはどういうことを政府としては御計画になつておられますか。
  84. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは浴場、理髪、あるいは医療施設といつたようなものでございます。
  85. 有田二郎

    有田委員 第三号の「組合員生活の改善及び文化の向上を図る事業」という一項がありますが、これの具体的なことについて御説明を伺いたいと思います。
  86. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは家庭会を開くとか、あるいは懇談会を開くとか、あるいは家庭図書館をつくるといつたような事業でございます。
  87. 有田二郎

    有田委員 たいへんいい御計画でありまして、こういつたことについては將來政府がその國費をもつて援助するというような御計画がありますかどうか、その点を伺いたいと思います。
  88. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは大体におきまして組合がみずからやる事業として考えているのでありまして、政府におきましてこれに対して助成をするというようなことは考えておりません。
  89. 有田二郎

    有田委員 第四号、「組合員生活の共済を図る事業」というのがありますが、これはどういうことを指しているのか、具体的に御説明を伺いたい。
  90. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この方は割合に制限いたします考えでありまして、これをもつて保險といつたような程度のことまでなすことは考えておりません。これで考えておりますのは、吉凶禍福に対する見舞金その他のことを考えている次第であります。
  91. 有田二郎

    有田委員 第五号の「組合員及び組合從業員の組合事業に関する知識の向上を図る事業」というのがありますが、どういうことを政府としては御計画になつておられますか。具体的に御説明を願いたい。
  92. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは從來から組合でやつております組合学校というようなことを考えているのでありまして、組合員その他に講習会を組合が開くというようなこともこれに該当するというふうに考えております。
  93. 有田二郎

    有田委員 第三項「都道府縣の区域を越える連合会地域によるものは、前二項の規定にかかわらず、会員たる組合の指導、連絡及び調整に関する事業以外の事業を行うことができない。」こういうように書かれているのでありますが、これは大体どういうことを意味しているのか、御説明願いたいと思います。
  94. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 都道府縣を越えた連合会、つまり都道府縣以上の連合会といつたようなものは、これは組合の健全なる発達をいたしました上においてはきわめて必要なものであり、それによつて組合がまた健全なる発達を遂げ得るというように考えている次第でありますが、現在の情勢におきましては、あるいはこれによつて企業独占といつたようなおそれが多分にあると考えられますので、それらのことを考え合せまして、それから当座の問題といたしましては、組合の指導、連絡、調整といつた以外のことは、縣以上の連合会といたしましてはやらせないことにしているのであります。
  95. 有田二郎

    有田委員 第十一條の「組合は、前條の事業を行うにあたつて、特別の理由がない限り、同種の事業を行う他の者と同等の便益を受けることを妨げられない。」というのがありますが、その「同種の事業を行う他の者と同等の便益を受けることを妨げられない。」というのは、具体的にどういうことを意味しておりますか。
  96. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 たとえば商店の登録といつたような場合におきまして、他のものよりも御限された條件のもとにその登録を制限せられるというようなことにならない。他の業者と同じ條件でそういつたことができるという趣旨であります。
  97. 有田二郎

    有田委員 第十二條は「組合員は、その意に反して、組合事業を利用することを強制されない。」というように書かれておりますが、「組合事業を利用することを強制されない。」という意味はどういうことを言い表わしているのでありますか。
  98. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合はあくまでも自由でありまして、組合員に対しては何らの強制も行わないという趣旨から、組合事業の利用につきましては、組合といたしましては、組合員組合事業を必ず利用してもらうというようなおそれが多分にあります。從いまして組合事業を必ず利用しなければならぬということにしない。一部利用して、一部利用しないでもいいということにしているのであります。
  99. 有田二郎

    有田委員 第三項に「組合は、組合員の利用に差支ない限り、定款の定めるところにより、組合員以外の者にその事業を利用させることができる。但し、一事業年度における組合員以外の者の事業の利用分量の総額は、特に行政廳の許可を得た場合の外、その事業年度における組合員の利用分量の総額の十分の一を越えてはならない。」というのがあります。先刻申しましたように中小商工業者を擁護するという意味合におきまして、組合員以外の利用ということを私どもは強く反対をいたしておるのでありまして、この点について政府所見を伺いたいと思います。
  100. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合につきましては機会均等というような意味からいきまして、その組合の利用に対しては制限を加えないのが最も適当であると考えるのであります。あらゆる競爭につきまして自由平等に競爭させるという意味からいたしまして、組合を利用する者は組合員であるが、組合員以外の利用もこれを自由にさせることが妥当であろうと思います。組合といたしましては組合員に利用させることが建前でありまして、組合員以外の利用ということは組合のためになりませんし、組合としても適当でない。從いまして組合員が利用することを妨げない限り、組合員以外の利用につきましては、ある程度の制限を加えなければならないのではないかと思います。また組合員の利用のみに限定いたすことによりまして、実際の状況によりましては、そのために組合が成り達たないことも考えられるのであります。また組合事業の種類によりまして、たとえば今申し上げました浴場であるとか、医療施設というようなものにおきましては、その他に組合員以外の事が利用すべき施設がない場合に、これの利用を禁止することは適当でないと考えますので、制限を加えた上で組合員以外に若干利用させるということにいたした次第であります。
  101. 有田二郎

    有田委員 政府の御説明はいろいろな設備を組合員以外の人が利用するという点を特に強調しておられるようでありますが、私の申し上げておるのは、いわゆる配給の面においての問題であつて、先刻申しましたように中小商工業者が非常に困つておるときに、組合員以外にまでこれをまわすことは私どもは妥当を欠く、かような見解をとつておるのでありますが、さような点に対する御所見を伺います。
  102. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましては組合であると組合以外の商業者であるとを問わず、機会均等にこれを利用せんとする人に利用させるのが自由競爭の原理に適合しておるのでありまして、組合員以外に制限を加えるということは、むしろ自由競爭の原理から適当ではないと考えるのであります。もちろんこれによりまして組合員が利用するのに妨げになる、つまり組合を利用できなるなることは困るのでありますから、当然組合員の利用が優先であつて、それ以外の者は妨げない限り利用させるという趣旨で相当の制限を加えたわけであります。
  103. 有田二郎

    有田委員 政府の御意見は、平時の場合におきましては、あるいは戰前の日本の経済が豊かな状態にあるときならば、はなはだ私は結構だと思いますが、敗戰後今日非常に國民が困つておる。特に中小商工業者が非常に疲弊しておるという現状から考えまして、この問題は中小商工業者にとつては非常に重大な問題ではないか、私はかような見解をとつておるのでありますが、この点につきまして喜多政務次官の御答弁を承りたいと思います。
  104. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 この員外利用が本法案中小商工業者との間に、最も重要な関心のある問題でなかろうかと思つておるわけであります。原則的に見まして、こういう組合に員外の利用を認めるということは、本質的におきましては、私どもとしては認めない方が当然ではないかというふうに考えさせられるわけであります。しかし一面現在の社会の情勢を見ます場合におきましては、組合員のみによつてこれを消費せんとした場合におきましても、実際上におきましては、野菜とか物によつては員外に利用せしめなくてはならないというものもできてくるのではなかろうかということろを考えまして、まず最小限度一割程度を認めていくということが現在の情勢から見て一番妥当でないかというところに、中小商工業者の点を考慮いたしまして、この程度が最も妥当な規定であると考えておる次第であります。
  105. 有田二郎

    有田委員 喜多政務次官の御所見よくわかつたのでありますが、私どもは喜多さんとまた意見を異にする点もあるのでありまして、將來は日本の経済が戰前まではいかないまでも、豊なか状態——に今日よりもよい状態になつてまいりましたときには、員外利用ということもはなはだ結構だと思います。しかしながら今日の中小商工業者が敗戰後非常に困つておるという状態において、將來はこういう法案にかえていくとも、今日は私は員外利用はさなきだに困つておる中小商工業者を擁護するという建前から、なんとか考慮せらるべきではないかという見解をとるものでありますが、さらに喜多政務次官の御意見を承りたい。
  106. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 員外利用の問題につきましては、当初これを課税問題とにらみ合わすべき性質のものではなかろうかと思つておつたのであります。当初における課税問題が農業組合あるいは産業組合等において免税をしておるという点から言つて、やはり同樣の性質を帶びるべきこの團体は、課税を免除しなければならぬという問題が出ております。課税の免除せらるべき性質の組合であれば、これについての員外利用は認めない方針にしなければならぬと思うのでありますけれども、現在における課税規定が本國会において可決せられましたことく、税法の改正によりまして大体において農業組合産業組合あらゆる組合がほとんど均衡のとれた課税をいたしておるという面から見ますと、特別に援助をいたしておるということもない。それから諸外國の員外利用を調査する場合におきましては、ほとんど諸外國においては若干あるいは相当廣汎な員外利用を認めておるというような点も考慮いたしまして、まず一割程度を嚴守せしめるようにして実行面に移していく方が妥当でないかというふうに実は考えさせられておるわけであります。
  107. 有田二郎

    有田委員 喜多政務次官所見はよくわかつたのでございます。外國の例を引用されておりますが、外國と違いまして今日の日本は非常に敗戰後疲弊いたしておるということは私が申し上げるまでもないことであります。われわれ民主自由党といたしましては、將來戰前の豊かな状態に、あるいは戰前のようにならないまでも、豊かな状態になつてまいりましたときには、員外利用ということも考え得られると思うのであリますが、今日の状態において中小商工業者も同じように困つておるという建前から、少しでも擁護していきたいという考えであるということを御了承願いたいと思います。さらに十三條におきましては「組合は、組合関係がある事業を行うため必要であるときは、組合目的及び他の法律規定に反しない限り、他の法人又は團体に加入することができるという一項がありますが、他の法人または團体に加入することができるというのは、どういうところを指しておられるか御説明を願いたいと思います。
  108. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合組合員に対してその生活に必要な物資をつくらせるために、ある種の團体に加入する必要がある場合には、この團体の会員になるというような場合を指しております。
  109. 有田二郎

    有田委員 十四條の「消費生活協同組合組合員たる資格を有する者は、左に揚げる者で定款で定めるものとする。但し、法人は、組合員となることができない。」というのがありますが、この法人はでういうものを指すか御説明願いたい。
  110. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 自然人でない人格をもつものは、すべて法人と考えます。
  111. 有田二郎

    有田委員 しからば社團法人とか財團法人とかいうものは、これは同じく組合員になることができないのですか、伺いたいと思います。
  112. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 さようでございます。
  113. 有田二郎

    有田委員 「地域による組合にあつては、一定の地域内に住所を有する者。」この一定の地域というのはどういうことを指しておりますか。さらにその次の「一定の職域内に勤務する者」、この一定というのは両方ともどういうことを指しておるのでありますか。
  114. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 定款でもつて範囲が限定されておる場合には、その限定した範囲内の地域ということになつております。
  115. 有田二郎

    有田委員 限られた範囲内ということは、どういうことを指しておりますか。具体的に御説明を賜わりたい。
  116. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 市区町村の区域、あるいはその中の町の区域に制限してもよろしゆうございますし、職域におきましては一つの企業体、あるいは一つの企業体の中の一つの職場というように制限してもよろしいのでございますが、そういう範囲が限定され得る場合には、その限定した範囲というものを、一定の地域と限つておるわけであります。
  117. 有田二郎

    有田委員 第二項の「地域による消費生活民同組合にあつては、定款の定めるところにより、前項第一号に掲げる者の外、その区域内に勤務地を有する者でその組合の施設を利用することを適当とするものを組合員とすることができる。」という一項がありますが、これまた中小商工業者に対して問題になる点だと思うのでありますが、喜多政務次官のこれに対する御所見を承りたい。
  118. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 これは実際問題として、こういうような問題が生れてきた場合において、認めることのできないようにすることは、あまりに制限をし過ぎるのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  119. 有田二郎

    有田委員 同じく三の「職域による消費生活協同組合にあつては、定款の定めるところにより、第一項第二号に掲げる者の外、その附近に住所を有する者でその組合の施設を利用することを適当とするものを組合員とすることができる。」こういう一項がありますが、これまた同じく中小商工業者、さなきだに非常に困つておる中小商工業者に対して大きな痛手である、かような見解をとるのでありますが、喜多政府委員の御所見を承りたい。
  120. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 これも前項と同樣な意味において、まずこの組合自体に対して一方的に、また全然束縛したような発展性のないようなものにことをしていくことも、國民全体の消費者考え厚生省といたしましては、中小商工業者に対して、御説のごとく若干の不利益をかもすかもしれませんが、まずこの程度國民全体を対象として考えた場合においては、中小商工業者に対するごく軽微な影響と見て認めるのが妥当でなかろうか、かように考えて認めておる次第であります。
  121. 有田二郎

    有田委員 御趣旨は私どももよくわかりますし、大体私どもも決してこの点について反対のための反対をいたすものではないのであります。ただいま申しましたように、今日疲弊しておるが、將來経済的に幾分復興いたしました場合においては、地域別の職場の問題も私はこういうふうになつてしかるべきものという見解をとるものでありますけれども、今日の場合は、さつきの第十二條第三項の組合員外の利用という建前と同じく、今日の状態において非常にお困りになつておる中小商工業者に対して、親心をもつて何とか保護をしてやるという建前から、こういうものに対して何らかいましばらく御考慮を願いたいというのが私ども考えでありまして、將來いつまでもこれを固守するというのではない。今日特別困つておる中小商工業者のことについても勤労大衆に対すると同じくお考うを願いたい。かような見解を維持しておるのであります。  さらに第四項の第二の中に「他の法律により設立された協同組織体で、第二條第一項各号に掲げる要件を備え、且つ、組合の行う事業と同種の事業を行うことを目的とするもの」という項目がありますが、これはどういうことを指すのか御説明を願いたい。
  122. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 農業協同組合産業組合等でありまして消費生活協同組合と同種の事業を行うもの、これは連合会に加入することができるようにすることが適当であると、かように考えていたしたのであります。
  123. 有田二郎

    有田委員 第十五條の「組合は、その組合員の数を制限することができない。」というように掲げられてあります。これは今度のこの法案の一つの特徴であろうと思いますが、これについて政府がかようにおきめになつた御方針を承りたいと思うのであります。
  124. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは協同組合原則によりまして、組合員については加入、脱退の自由を確保しておるというのが協同組合原則になつております。從つて一定の資格の制限はありますが、その資格をもつておりますものは何人おりましても、これを入れるということが協同組合原則であります。その原則に立ちましてやつております。
  125. 有田二郎

    有田委員 第十五條の二項に「組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な條件を附してきならない。」というふよに書いてありますが、これまた非常に民主的な考え方だと思いますが、これについての政府の御所見を伺いたいと思います。
  126. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これもやはり加入脱退の自由ということから來ておるわけでありまして、正当な理由があつて加入を拒む場合はよいのでありますが、正常なる理由がないのに加入を拒むということは適当でない、かように考えます。また加入の際に附されたよりも困難な條件を附するというのは、たとえばあとになつて非常にたくさんの加入金をとつて、あとの者が加入することができないようにするのは、組合原則に反しますので、原則從つて條件を附しております。
  127. 有田二郎

    有田委員 第十六條の第三項に「一組合員の有することのできる出資口数の限度は、組合員の総出資口数の四分の一を越えない範囲において、定款でこれを定めなければならない。」とありますが、この四分の一というのはどういうところから出したものでありますか、政府の御所見を承りたいと思います。
  128. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この四分の一には特別の意味がないのでありますが、四分の一も出資口数をもちますと、組合に対する勢力をもつ。その四分の一の大きいものが一遍に脱退しますと、それによつて組合の基礎が搖ぐというところから四分の一程度以下はもたせない、こういうことにいたしているわけであります。
  129. 有田二郎

    有田委員 四分の一は非常に多きに失すると思うのでありますが、さらにこれをもつと少くするように法律をかえて、たとえば八分の一にするというようなことはお考えになつておられるかどうか、承りたいと思います。
  130. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この制度をどのくらいにしたらいいかということになるのでありますが、あまり制度いたしますと、組合自身の資金を獲得する上におきましても、非常に不便を感すりという点を考えまして、あまり多くするのも困りますが、あまり少くして制限を加えるということも適当でない。組合の実情に即して定款でもつて制限をつけるべきであると存じまして、その最高限を四分の一というところに押えているわけであります。
  131. 有田二郎

    有田委員 大体最初政府委員の御説明によりまずと、最低二十人以下ということになつておりますが、二十人以合の人数で四分の一というのは多きに失する、少し減らすべきであると思うのでありますが、政府はこの程度が最もいいという御見解でありますか、私はもう少し減らしたらどうかという意見をもつております。  さらに第四項の「組合員は、出資金額の拂込について相殺をもつて組合に対抗することができない。」という項目がありますが、これはどういうことを意味しておりますか。
  132. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合員出資の拂込について相殺をもつて組合に対抗することができないというのは、組合の資本を充実をるための規定でありますが、組合の方から相殺するということは一向制限をいたしておらなてのであります。
  133. 有田二郎

    有田委員 第五項の「組合員責任は、その出資年額を限度とする。」という項がありますが、これはどういうことを指しているのか御説明を伺いたい。
  134. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 無限責任、保証責任というようなものでなく、有限責任といつた見地から示したものでありまして、これはどちらがいいかということはいろいろ評判があろうと思いますが、実際問題として責任が限定されていないために、組合員の加入を躊躇させるということがある、その組合の成立することが阻害されることを防ごうとしたものであります。
  135. 有田二郎

    有田委員 第十七條の「組合員は、その出資口数の多少にかかわらず、各各一個の議決権及び選挙権を有する。但し、連合会については、会員たる消費生活協同組合組合員数に基いて、定款で別段の定をすることができる。」というのはどういう程度のことを指しておりますか。具体的にひとつ御説明を願いたい。
  136. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 こりは組合員の数が何人以上のところは何人といつたようなきめ方をすることができるだろうと思います。これについては特別な制限を設けておりませんが、ある一つの組合が非常に大きな勢力をもつというようなことは、ないようにしなければならぬと思います。
  137. 有田二郎

    有田委員 ある組合が非常に大きな勢力をもつてはいけないというようなことが、これによつてどういうように具体的に制限することができるのか、お示し願いたいと思います。
  138. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 大体原則が一組合一個ということになつておりますから、これに対する例外として、非常に大きな組合と、小さい組合と集まつている場合に、それをみな平等にいたしますことは、組合が個人の集團であるということからいたしますと、きわめて適当でないという感がいたしますので、若干その間に差異は認めるという趣旨でございますので、結局これにつきましては、定款で適当に制限ができるというように考えておりますか。
  139. 有田二郎

    有田委員 この説明は私に納得しかねるのでありますが、また後該に讓りまして、第二項の但書の中に「但し、組合員又は組合員と同一の世帶に属する者でなければ代理人となることができない。」というように出ておりますが、組合井と同一の世帶にある者は代理人となることができるというのは、今まで私は見なかつたのでありますが、この点について政府所信を伺います。
  140. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 消費委員協同組合は、大体個人の集まりでありますけれども、これは家庭というものを基礎にした消費生活の一つの單位であります。家庭を基礎にいたしたものでありまして、家庭を一つの構成と考えますれば、その世帶に属しております者はそれを代理することができる、表決権を代理することができるということにするのが至当である。なおそれによりまして、一層組合というものの思想が各家庭に普及し得るという考えから、かようにいたしたのであります。
  141. 有田二郎

    有田委員 今度の憲法によりまして、家庭制度がなくなつて、自分の子供が他の世帶にいるというような場合におきましては、これを代理人にすることができないのでありますかどうか、承りたいと思います。
  142. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 全然世帶を別にいたしております場合には、代理はできないと思うのであります。
  143. 有田二郎

    有田委員 第四項の「代理人は、十人以上の組合員を代理することができない。」これはどういう意味がありますか、承りたいと思います。
  144. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 代理人の数を制限いたしませんと、非常に多数の人のために一人が代理いたしまして、それによりましてボス的に組合を支配するというおそれが多分にありますので、代理人の数を制限いたしたのであります。十人と申しますのは、大体十人くらいで数はよかろうというのであります。
  145. 有田二郎

    有田委員 第二項の中に、同一世帶員の者でなければ代理人になれないというのに、十人以上の組合員の代理ができるというのは、どうしても私ども合点ができないのでありますが、どういう意味でありますか、承りたいと思います。
  146. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 つまり他の組合員が代理する場合には、一人の人が代理する場合に、十人以上の代理をしてはならないという意味でありまして、その代理をする人が組合員か、組合員の世帶に属する者でなければならぬ、こういう趣旨であります。
  147. 有田二郎

    有田委員 第十九條の「組合員は、九十日前までに予告し、事業年度の終において脱退することができる。」この九十日といあのは、どういうところから九十日と算定されましたか、政府の御所信を承りたいと思います。
  148. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この予告につきましては、どのくらいにしたらという点がいろいろ問題になるのでありますが、少くとも三箇月前くらいに予告をいたしませんと、組合におきましてもいろいろ処置等ができませんので、最小限九十日という制限を設けたわけであります。
  149. 有田二郎

    有田委員 第二項の「前項の予告期間は、定款でこれを延長することができる。但し、その期間は、一箇年を越えてはならない。」これは一箇年としなくてもよいように考えられるのでありますが、どういうふうな政府の御所見でありますか。
  150. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは最大限一箇年でございまして、三箇月から一箇年の間で、定款できめることができるということでございます。
  151. 有田二郎

    有田委員 第二十條第二項の二行目に「その総会の会日から五日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、」とありますが、この「五日前」というのは、五日前に発送するのでありますか、五日前に到着するのでありますか。殊にこのごろ逓信関係が非常に惡い。またストライキも非常に盛んだというような状態にありますが、これについては特に罰則が設けられておるというような点から行きまして、五日前に到着すると解釈していいのですか、五日前にその通知を出すと解釈するのでありますか。どちらの貿釈が正しいか、伺いたいと思います。
  152. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは到着主義をとつておるようであります。第三十八條におきまして、その通知が「通常到着すべき時に到達したものとみなす。」ということがありますから、大体到達主義でありますが、実際到達しないでも、普通の日に到着すべき時期にやつておれば「到達したものとみなす。」ということであります。
  153. 有田二郎

    有田委員 大体これは罰則まで設けられておるのでありますから、到着によつて決するのかどうかということを、はつきり法文に明記すべきであると私は思います。この点漠としておることは、罰則を適用する上においては、私は当を得ないと思うのでありますが、この点について御所見を承りたいと思います。
  154. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 大体これは普通の常識からいたしまして、その当時の通信の状況というものからいたしまして、その前に到達するだけの余裕を見まして発送いたしましたものにつきましては、「到達したものとみなす」という規定がありますから、それに從つたものと考えております。
  155. 有田二郎

    有田委員 これはやはり、そういうような政府の御所信であるならば、その総会の会日から五日前までに「到達するように」、あるいは「到達するように、その組合員に対しその旨を通知し」、というように入れるべきであると私は思います。罰則がついていなければ問題はないのでありますが、罰則があるだけに、私はそういうように改めるべきじやないかという考えをもつのでありますが、さらに政府の御所見を承りたいのであります。
  156. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 大体最近のような非常に通信の不明朗な状況——最近は大分通信状況もよくなつたのでありますが、大体の予想は今のところつけ得ると思います。その程度の注意さえ拂つてもらえば、罰則まで適用しないで済む。大体その点は裁判所においても十分判断ができることと思います。
  157. 有田二郎

    有田委員 いやしくも、法律につくるときに、木村政府委員のような御説明では、私どもは納得できないのであります。罰則という問題については、はつきりした法律をつくるべきであると思う。私ども立法府においては、そういうあいまいな法律は避けるべきじやないか。かような見解をとるのでありまして、この点については、さらに政府の方でも御檢討を願いたいと思います。  さらに十五ページに飛びまして、第二十八條第二項「特別の理由があるときには、理事の定数の五分の一以内を限り、前項に該当とない者のうちから、これを選挙することができる。」ということが書かれてありますが、これについて御説明を伺いたいと思います。
  158. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合理事につきましては、組合に関するいろいろな知識経驗をもつた者がはいつておることが、その組合運営をいたす上におきまして、きわめて必要であるという場合があり得るのであります。從いまして、必ずしも組合員の中からだけ理事が選任されるということに限定いたしますことは、適当でありません。しかしながら、その数も、あまり組合員外の者が多くなることも適当でありませんので、全体の五分の一——理事の定数は五人以上でありますから、多くても一人以上ということに相なるのであります。
  159. 有田二郎

    有田委員 第三十二條に飛びまして、「組合理事と契約するときは、監事が組合代表する。組合理事との訴訟についても、また同樣とする。」こういう項がありますが、御説明を願いたいと願います。
  160. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合の執行機関は理事でありまするが、理事組合とが契約する場合におきましては、理事は、自分の利益と組合の利益とが、必ずしも一致するものとは考えられません。從いまして、その場合には監事が組合代表するということにするのが適当である。かように考えますので、訴訟につきましても同樣にいたすように、かようにいたしたのであります。なお理事が多数ある場合におきましても、他の理事組合代表するということにつきましては、理事と他の理事とが共同責任をもつという形になつておりますので、なるべくならば全然共同責任のない者が代表するという方が適当であると考えまして、そういうふうにいたしておるのでございます。
  161. 有田二郎

    有田委員 この理事と申しますのは、個人を指すのでありますか。それとも組合理事という公職にあるものについての者でありますか。それを承つておきたいと思います。
  162. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その理事の契約にあるその人でありまするから、個人である人が組合と契約する場合も、理事としてやる場合も、同樣であると思います。
  163. 有田二郎

    有田委員 組合理事として組合と契約するということは、どうも解せないのであります。そういうことは考えられないと思います。組合理事が個人の立場において組合と契約を結ぶということは、私ども考えられるのでありますが、組合理事という公職のままで組合と契約するということは妥当を欠く。かように思いますが、御見解を承ります。
  164. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 それは仰せの通りであります。
  165. 有田二郎

    有田委員 よくわかつていただいて結構だと思います。この場合におきまして、個人の立場において契約するのでありまするから、むしろ私は理事が他にあるという建前から、理事がいない場合には監事がこれを代行するということは考えられまするが、この場合において他に理事もあけわけでありますから、組合理事としての立場でなく、個人としての立場にある人が組合との契約をする場合に、他の理事がこれにあたるというのが、われわれ過去における商賣の経驗からいきましても妥当だと思うのでありますが、この点について政府はどういうようなお考えをもつておられますか。
  166. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましてはいろいろな意見があつたのでございますが、なるべきいろいろな問題の起ることは避けるというような意味から、こういう形にしたのであります。
  167. 有田二郎

    有田委員 これは実際にあたつてみてどつちがいいかということはわからないのでありますが、私どもは当然理事がやるべきもので、理事のいない場合は監事がやるということは考えられますけれども、監事というものは監督の立場に立つ。しからば監事が問題を起した場合には、たれがこれを監督するかという点も私は考え合わすべきであつて、監督の立場にある人がこういう執行機関の理事の仕事をやる。他になければこれは万やむを得ぬ、いたし方がないことだと思うのでありますが、これはどうかと思う。さらにまた組合理事との訴訟についても、これまた個人の立場における理事、また公人の立場における理事もあるだろうと思うのでありまするが、そのあとの場合におきましては監事伴がやる場合もあると思う。最初の組合理事との契約というのは、おそらく商行為を指して言うのではなかろうか。かように考えるのでありまして、あとの組合理事との訴訟という点につきましては、私は監事でも妥当だと考えるのでありますが、前項の商行為による契約というような場合には、むしろ私は理事がこれにあたるべきであつて、それを監事が監督するというところに、間違いが起ることになるのではないか、かように考えるのでありますが、さらに政府の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  168. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましてはいろいろな意見が立ち得ると思います。どちらが適当であるかということにつきましては、議論もあると思いまするが、ただいまのところ政府におきましては、こういうふうにするのが、むしろ適当であろう。かように考えております。
  169. 有田二郎

    有田委員 第三十三條の第三項に「当該行政廳」というのがありますが、これはどういうところを指しておるのでありますか、伺いたいと思います。
  170. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 当該行政廳は第九十七條に規定してありまする所管行政廳でありまして、「この法律中当該行政廳とあるのは、地域又は職域が都道府縣又は特別市の区域を越える組合については都道府縣知事又は特別市の市長とする。 2 前項の規定による厚生大臣の権限の一部は、これを都道府縣知事又は特別市の市長に委任することができる。」ということになつております。
  171. 有田二郎

    有田委員 第三十五條の第二項中に「組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事提出して総会の招集を請求したときは、理事は、その請願のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。」こういうふうになつておりますが、この二十日以内ということについては、どういうところで二十日以内ということになりましたか、伺いたいと伺います。
  172. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 できるだけ早く招集をすることが必要でありますが、しかしそれにつきましては一定の余裕が必要であると思いまして、その間をとりまして大体二十日以内ということにきめたのであります。
  173. 有田二郎

    有田委員 これについては罰則があるのでありまして、はたして二十日以内というのが妥当であるか。あるいは一箇月以内とするのが妥当ではないかという見解もとられるのでありますが、政府の御所信を承つておきたいと思います。
  174. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これはあまり延引することは適当でありませんので、最小限をとつて二十日ということにしたのであります。
  175. 有田二郎

    有田委員 第三十六條の第二項に「前條第二項の請求があつた場合において、理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。」とありまして、この監事が総会を招集する日数について、ここに掲げられていないのでありますが、大体どのぐらいの日程を御予定になつておるのでありますか。これまた罰則があるのでありますが、罰則について日数が限られていないということは妥当を欠く。かような見解をとるのでありますが、御所見を承りたいと思います。
  176. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましてはできるだけ早くといつた趣旨でございまして、制限というのは別に設けてないのでありますが、できるだけ早い機会にやつていただくということになつております。
  177. 有田二郎

    有田委員 政府の明答弁を拜聽しまして、まことに意を強うしたのでありますが、罰則が掲げられておるだけに、しかも理事が正当な理由がないのに総会を招集する手続をしないというような非常なときでありますので、この場合には申告に基いて第三十五條第二項の場合と同じように三十日以内とか、あるいは二十日以内というものが掲げられてしかるべきものだ。前の三十五條には二十日以内としてあり、しかも早くしなければならぬという政府の御答弁であるにかかわらず、第三十六條第二項に日にちが掲げられてないというところに、立法の上において手落ちがあるのではないか。これは日にちを入れた方が妥当ではないかと思いますが、政府は日にちを入れない方がいいとお考えでありますか。御所見を承りたいと思います。
  178. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましてはそう申されますと、若干欠陷があつたようでありますが、実は農業協同組合法におきましてもこれと同じようになつておりますので、こういうふうになつたのであります。
  179. 有田二郎

    有田委員 非常に忙しく法案を出されて、議会の終るぎりぎり一睦ぱいに法案を本委員会へお出しになつたので、こういうお手落ちのあつたこともごもつともと思いますが、これは日にちを入れる方が妥当ではないかと考えるのでありまして、何もこれにとらわれる必要はないのであつて政府も惡いことは惡いというふうにお考えになつて、日にちを入れる方が妥当であると思われるのでありますが、御見解はどうですか。もちろん第三十五條第二項の二十日以内は私も入れる必要はない、かように解釈ができると思うのでありますが、政府の御所見を承りたい。
  180. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 これは確かに有田委員のおつしやるのが最も合理的であります。確かに事務当局といたしまして、この法案の重要な罰則に対して一定の秩序がないということは不備であると私は認めるわけであります。お説の通りに修正する必要があるのではなかろうかと考えております。
  181. 有田二郎

    有田委員 これは第二條の第二項の「特定の政党のために利用してはならない。」というふうに罰則のないものでありますならば別でありまするが、今のこういう場合におきましては、やはり罰則があるだけに、ただいま喜多政務次官がおつしやつたような方向に訂正されるべきものであると私はかような見解をとるものであります。その点よろしくお願いいたしたいと思います。  第三十七條の「理事は、総会を招集するときは、会日の少くとも五日前に会議目的たる事項を示し、定款に定めた方法從つて、これをしなければならない。」というのがありますが、これも五日前に到達するという意味に明記する方が正しいという見解を私はとるのでありますが、明記しなくてもこれは到着というふうに解釈していいものであるかどうか承りたいと思います。
  182. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましては、趣意としてはそのような意味であります。
  183. 有田二郎

    有田委員 政府の御方針は大体五日前に到達する、かように解釈をしていいものでありますか。
  184. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 さようでございます。
  185. 有田二郎

    有田委員 第三十八條第二項の「前項の通知又は催告は、通常到達すべき時に到達したものとみなす。」というのがありまするが、これはただいまのようなことを申しておりまするか、承りたいと思います。
  186. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 そういう趣旨であります。
  187. 有田二郎

    有田委員 次にいきまして、第四十二條「理事には、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四條第一項、第五十二條第二項及び第五十三條から第五十五條までの規定を準用する。」というのかありまするが、私は昨日この法案を頂戴したのでありまして、一晩読ましていただいのでありますが、不幸にして、民法、第四十四條第一項、第五十二條第二項及び第五十三條から第五十五條までの規定を準用する、この法律を探してくるひまがなかつたのであります。そこでひとつ御説明を賜わりたいと思います。
  188. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 民法第四十四條、「法人ハ理事其他ノ代理人カ其職務ヲ行フニ付キ他人ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス」というのであります。つまり法人の行為能力に関する規定でありまして、法人の代表者が不法行為をした場合には法人が責任を負わなければならないということであります。その次の民法第五十二條第二項の「理事数人アル場合ニ於テ定款又ハ寄附行為ニ別段ノ定ナキトキハ法人ノ事務ハ理事ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス」という規定であります。それから民法第五十三條は「理事ハ総テ法人ノ事務ニ付キ法人ヲ代表ス但定款ノ規定又は寄附行為ノ趣旨ニ違反スルコトヲ得ス又社團法人ニ在リテハ総会ノ決議ニ從フコトヲ要ス」という理事の権限の規定であります。民法第五十四條は「理事代理権ニ加ヘタル制限ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」という規定であります。それから民法第五十五條は「理事ハ定款、寄附行為又ハ総会ノ決議ニ依リテ禁止セラレサルトキニ限リ特定ノ行為ノ代理ヲ他人ニ委任スルコトヲ得」ということでございまして、理事の委任権に関する制限の規定であります。
  189. 有田二郎

    有田委員 次に第四十三條の第四項「前項の認可については、第五十八條及び第五十九條の規定を準用する。」という項がありまするが、これはどういうことを意味しているのですか、伺いたいと思います。
  190. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 定款の変更の認可につきましては、設立と同じような手続きをしなければならないということを言つておる項であります。第五十八條、第五十九條は設立の認可につきまして、一定の期間以内に認可をしなければならないといつた制限でございます。それらの制限の期間が定款の変更につきましても準用されております。
  191. 有田二郎

    有田委員 第四十四條の「組合組合員との関係につき議決をなす場合には、その組合員は、議決権を有しない。」というのがありまするが、これはどういう意味でありまするか、御説明を願いたい。
  192. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは組合員が自分の利益の関することでありまするからして、その議義権を当然有しないものという意味であります。
  193. 有田二郎

    有田委員 第四十五條の第三項「議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。」という意味はどういう意味でございまするか。
  194. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 議長は最後に可否同数の場合に、議長が決するというところから、これは一般の議決には加わらないで、そうして可否同数のときにこれを決するということにいたしたわけであります。
  195. 有田二郎

    有田委員 第四十七條第六項に「総代会においては、解散及び合併の議決をすることができない。」というのがありますが、それはその他に何があるのですか。総代会に解散合併の議決はできないということはわかりますが、その他に総代会は何をやる権限があるのか、承りたいと思います。
  196. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 総代会では総会で議決すべきことは大体できるのでありますが、組合の解散と合併とは、組合の生命に関することでありますからして、これは総会の議決を経ることにしたわけであります。
  197. 有田二郎

    有田委員 第四十九條の第二項の「組合は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には、各別にこれを催告いなければならない。」というのがありますが、この公告の方法はどういうことが規定されるのでありますか。おそらく省令とかあるいは命令とかいうものできめられると思うのでありますが、大体どういう御方針でありますか伺いたい。
  198. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合の公告方法は定款でもつて規定することになつております。
  199. 有田二郎

    有田委員 この前に「知れている債権者には、」というのがありますが、これなんかも大体どういうことを政府として考えているのですか。しかもこれは罰則が考えられておるのでありまして、この点について、例えば組合にこういう債権者帳簿というものがある、この札権者帳簿については、必ず公告以外に出さなければならないというような、平素からそういつた用意をさせるのかどうか、その点も伺いたいと思います。
  200. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは債権者には原則として催告すべきものであると考えるのでありまして、ただ債権者として、自分に方は知らなかつたということにつきましては、組合側に挙証の責任があると考えるのであります。
  201. 有田二郎

    有田委員 第五十條の「債権者が前條第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。」第二項の「債権者が異議を述べたときは組合は、弁済し、若しくは相定の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として、信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。」というのがありまするが、この第五十條の二項につきまして、「弁済し、若しくは相当の担保を供し」というこの意味合はどういうことを意味しておりますか、御説明を伺いたい。
  202. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 債権者に異議ある場合におきましては、組合出資している一口の金額の減少をいたしますれば、債権者に対しまして不利益を與えまするからして、不利益を與えないようにするために、これだけの手続を履ませることにいたしております。
  203. 有田二郎

    有田委員 第五十一條の第四項「組合は、第十條第一項第五号の事業の費用に充てるため、毎事業年度の剩余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。」というのがありまするが、組合が損をした場合にはどういうことをお考えになつておられますか、これも罰則がついておるのでありまして、この点についてもしも繰越閉しができないというような場合にも、やはり罰則を受けるのでありますか、伺いたいと思います。
  204. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 剩余金がゼロあるいはマイナスの場合におきましては、これは繰越すことはできないことになります。
  205. 有田二郎

    有田委員 第五十五條「発起人は、経場をしてゆくのに適当と思われる人数の賛成者ができたときは、創立総会を開かなければならない。」というのがありまするが、経営をしてゆくのに適当と思われる人数というのは、先刻二十人というようなこともありましたが、ここではどういう意味でありますす、二十人なら二十人とはつきり明記されていいと思います。
  206. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 それは次の項にありますように、三百人が少くともなければならぬものであるが、特別の理由があるときはこの限りでないということになります。原則として三百人です。
  207. 有田二郎

    有田委員 特別の理由があるときはこの限りでないという、特別の理由とは具体的にどういうことを指すのか……。
  208. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 職域によりまして、工場等におきましては非常に人数の少い場合がある。ある程度これより少い人数でもやり得るということにしておかなければ困る場合がありますので、そういう場合に限つておるのであります。
  209. 有田二郎

    有田委員 そういう場合には、特別の理由というのは、政令か何かではつきり御方針をお示しになるのか、この点を承りたいと思います。
  210. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この点につきましては、適当な方法でもつて定めておかなければならぬものであると思つております。
  211. 有田二郎

    有田委員 飛びまして第五十七條、「発起人は、創立総会終了の後遅滯なく」というのがありまするが、遅滯なくというのは何日くらいのことを言うのでありますか。この点もはつきりお示しを願いたいと思います。
  212. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 遅滯なくと申しますのは、從來法令で使つておりますように、遅滯なくでありまして、これにつきましては、從來も一般の通念というものに從うものと考えます。
  213. 有田二郎

    有田委員 通念とは大体何日間くらいのことを政府としてはお考えになつておるか、承りたいと思います。
  214. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは組合の規模その他によりまして、いろいろ違うと思つております。
  215. 有田二郎

    有田委員 しかもこれは、設立の認可を申請しなければならないというようにありまするが、罰則がないのであります。從つてこの遅滯なくということが、罰則がないだけに、はなはだあいまい模糊たるものである、かような見解をとるのでありますが、政府の御所見を伺いたいと存じます。
  216. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 それはできるだけ早くというだけで、一つの道徳的義務を課しておるだけであります。從いまして政府といたしましては、そう嚴格の考えないでおるわけであります。
  217. 有田二郎

    有田委員 やはりこういう問題につきましては、罰則がないならないで、もう少し何とかはつきりした方法を講ずべきじやないかと考えるのでありまして、今の政府答弁では、私どもは満足できないのであります。少くとも遅滯なくこれこれのものを行政廳に提出して、設立の認可を申請しなければならないという、認可、許可に関する問題でありますから、当然私は千円以下の罰則も設け、また日にちも私は限らるべきものであると思う。遅滯なく認可を申請しなければならないとして、しかも罰則がない。さつきあなたと私が問答いたしましたときに、第三十五條の第二項に、二十日以内に臨時総会を招集しなければならないというような規定がありますし、会日の少くとも五日前に会議目的たる事項を示し、定款の定めた方法從つてしなければならないというような項もありますし、また三十六條の第二項においても、日にちについて考慮しなければならないという政府の御所見を聽いておるのでありまして、これなんかも重要なる問題であつて、この問題はやらぬでよい、前の三十五條、三十六條は罰則によつてやらなければならぬというところに、私どもに了解できにくい点があるのでありますが、これについて罰則をつける、あるいは遅滯なくを二十日なら二十日、三十日なら三十日という日にちを入れるということについて、政府はどういうふうなお考えでありますか、伺いたいと思います。
  218. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 組合が成立する前でありますから、このくらいのところでよいと思つておるわけであります。大体從來からの例が、こういうような例になつておりますので、かように定めたわけであります。
  219. 有田二郎

    有田委員 さらに第五十九條の第二項の終りの方に、「認可に関する証明書の交付を請求することができる。」というのがあります。すなわち「当該行政廳が前條の期間内に同條の通知を発しなかつたときは、その期間満了の日に、五十七條第一項の認可があつたものとみなす。この場合には、発起人は、当該行政廳に対し、認可に関する当該証明書の交付を請求することができる。」こういう條文があるのであります。なるほど民主的にできておるのでありますが、今日の状態では、こういうことをやりますると、あとで官僚ににらまれる。そのために官僚にいろいろと禍いされるというような憾みなしとしないのであります。今まででもこういうことについて官吏の御氣嫌を損ねまして、往々にして、江戸のかたきを長崎でというような点があるのでありますが、この点について政府はいかなる御所見をもつておいでになりますか。また官吏について、こういうような法律が出る以上は、これに対してもつて指導するというような御計画があるのかどうか、承りたいと思います。
  220. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これはどうも私から答えるのは適当でないかと思うのでございますが、政府といたしましては、官吏がそのために権柄的な態度をとるということは絶対ないように、関係方面を指導いたしたい、かように考えております。これは当然認可があつたものとみなされるわけでありまして、証明書があるとないとにかかわらず、認可があつたことになるのであります。その証明書の交付を請求する権利を與えたのであります。これによりまして、ただいまお話のありましたような事柄がございましたならば、これは十分皆様方にも同監視をお願いいたしますし、われわれにおきましても、そういうことがないように十分戒心いたしたいと思います。
  221. 有田二郎

    有田委員 御説明ははなはだ私どもも了承するのでありますが、しかしながら実際問題として、官吏を指導すると言つても、こういうような、行政廳が前條の期間内に同條の通知を発しなかつた場合には認可があつたものとみなして、当該行政廳に対して認可の証明書の申請書を提出することができるというような法律は、今まで私はあまり見なかつたのでして、今度は特に新しい意味においてこういうものが出てきたのでありますが、今日の官僚にはなかなかこれは了解できないのではないか、しかも日本の徹底した官尊民卑から考えましても、私はこの点については相当至難なものがあるのではないかと思う。從つて政府においては、何とかはつきりした方法において、特に厚生省所管事項に関しては、官吏が意地惡なんかをしないように指導するという、その指導す方針喜多政務次官から承りたいと思います。
  222. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 有田委員の御意見ごもつともでございますから、厚生省といたしましては、意のあるところを十分徹底するように、地方長官に明示したいと思います。
  223. 有田二郎

    有田委員 第五十九條の第五項「発起人が不認可の取消を求める訴を提起した場合において、裁判所がその取消の判決をしたときは、その判決確定の日に、第五十七條第一項の認可があつたとみなす。この場合には、第二項後段の規定を準用する。」というのでありますが、これはどういうことを意味しておりますか。ただいま申しましたことを意味しておるものでありますか。承りたいと思います。
  224. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 お説の通りでございます。
  225. 有田二郎

    有田委員 第六十條の「第五十七條第一項の認可があつたときは、発起人は遅滯なく、その事務を理事に引き継がなければならない。」というのでありまするが、これまたさつきの場合と同じでありまして、遅滯なくその事務を理事に引継がなければならないというような漠たるものでなく、もう少しはつきりしたものを定めなければならぬ。しかもこれについては罰則を入れてはどうかというようなことも考えるのでありますが、政府の御所見を承りたいと思います。
  226. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 遅滯なくと申しますのは、ただちにということでありまして、その間にやむを得ざる期間以上の期間があつてはならないという趣旨でございます。
  227. 有田二郎

    有田委員 ずつと飛びまして、第三十六ページの第七十三條に「組合の解散及び清算には、民法第七十三條、第七十五條、第七十六條及び第七十八條から第八十三條まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條の二、第百三十五條の二十五第二項、第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定を準用する。この場合において、民法第七十五條中「前條」とあるのは「消費生活協同組合法第六十九條」と読み替えるものとする。」というのがありますが、不幸、先刻申しましたように、昨日この法案を頂戴しましたので、民法を一一調べてみる時間の余裕がなかつたので、その辺ひとつここで読んで、御説明を願いたいと思います。
  228. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 民法第七十三條は「解散シタル法人ハ清算ノ目的範囲内ニ於テハ其清算ノ結了ニ至ルマテ尚ホ存続スルモノト看做ス」  次に七十五條「前條ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキ又ハ清算人ノ缺ケタル為メ損害ヲ生ズル虞アルトキハ裁判所ハ利害関係人若クハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ清算人ヲ選任スルコトヲ得」  第七十六條は「重長ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害関係人若シクハ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ清算人ヲ解任スルコトヲ得」  第七十八條は「清算人ノ職務左ノ如シ、一 現務の結了、二 債権ノ取立及ヒ債務ノ弁済、三 残余財産ノ引渡、清算人ハ前項ノ職務ヲ行フ為メニ必要ナル一切ノ行為ヲ為スコトヲ得」  第七十九條は「清算人ハ其就職ノ日ヨリ二月内ニ少クトモ三回ノ公告ヲ以テ積権者ニ対シ一定ノ期間内ニ其請求ノ申出ヲ為スベキ旨ヲ催告スルコトヲ要ス但其期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ス、前項ノ公告ニハ積権者カ期間内ニ申出ヲ為ササルトキハ其債権ハ清算ヨリ除斥セラルヘキ旨ヲ附記スルコトヲ要ス但清算人ハ知レタル債権者ヲ除斥スルコトヲ得ス、清算人ハ知レタル債権者ニハ各別ニ其申出ヲ催告スルコトヲ要ス」  第八十條は「前條ノ期間後ニ申出テタル債権者ハ法人の債務完済ノ後未タ帰属権利者ニ引渡ササル財産ニ対シテノミ請求ヲ為スコトヲ得」  第八十一條は「清算中ニ法人ノ財産カ其債務ヲ完済スルニ不足ナルコト分明ナルニ至リタルトキハ清算人ハ直チニ破産宣告ノ請求ヲ為シテ其旨ヲ公告スルコトヲ要ス、清算人ハ破産管財人ニ其事務ヲ引渡シタルトキハ其任ヲ終ハリタルモノトス、本條ノ場合ニ於テ即ニ債権者ニ支拂ヒ又ハ帰属権利者ニ引渡シタルモノアルトキハ破産管財人ハ之ヲ取戻スコトヲ得」  第八十二條は「法人ノ解散及ヒ清算ハ裁判所ノ監督ニ属ス、裁判所ハ何時ニテモ職権ヲ以テ前項ノ監督ニ必要ナル檢査ヲ為スコトヲ得」  第八十三條「清算カ結了シタルトキハ清算人ハ之ヲ主務官廳ニ届出ツルコトヲ要ス」  非訟事件手続法の第三十五條第二項「法人ノ解散及ヒ清算ノ監督ハ其主タル事務所所在地ノ区裁判所ノ管轄トス」  第三十六條「裁判所ハ特ニ選任シタル者ヲシテ法人ノ監督ニ必要ナル檢査ヲ為サシムルコトヲ得」  第三十七條ノ二「第百二十九條ノ三及ヒ第百二十九條ノ四ノ規定ハ裁判所方法人ノ清算人又ハ第三十六條ノ規定ニ依リ檢査ヲ為スヘキ者ヲ選任シタル場合ニ之ヲ準用ス」  第百三十五條ノ二十五の第二項、第三項というのは「裁判所ハ会社ノ業務ヲ監督スル官廳ニ対シ意見ヲ求メ又ハ調査ヲ嘱託スルコトヲ得、」「前項ノ官廳ハ裁判所ニ対シ意見ヲ述フルコトヲ得」  第百三十六條第一項「合名会社及ヒ合資会社ノ清算ニ関スル事件ハ会社ノ本店所在地ノ区裁判所ノ管轄トス」  第百三十七條「清算人ノ選任又ハ解任ノ裁判ニ対シテハ不服ヲ申立ツルコトヲ得ス裁判所カ銀行又ハ無盡業別ハ無盡管理業ヲ営ム会社ノ清算ノ監督ニ付キ為シタル命令ニ対シ亦同シ」  第百三十八條「左ニ掲ケタル者ハ清算人トシテ之ヲ選任スルコトヲ得ス、一 未成年者、二 禁治産者及ヒ準禁治産者、三 剥奪公権者及ヒ停止公権者、四 裁判所ニ於テ解任セラレタル清算人、五 破算者」というふうになつております。
  229. 有田二郎

    有田委員 第七十四條の第三項「組合は、設立の登記をした後二週間以内に、從たる事務所の所在地において前項の事項を登記しなければならない。」というのがありますが、この二週間というのはどういうところから出たものでありますか、お伺いしたい。
  230. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これもやはり一定の余裕期間をおくという趣旨でありまして、普通二週間というのが、こういう場合に用いられておる期間であります。
  231. 有田二郎

    有田委員 この場合の罰則がないのでありますが、政府はどういうようにお考でありますか。所見を伺いたい。
  232. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 他の法令と同じになつておると思います。
  233. 有田二郎

    有田委員 他の法令と同じで、これについては罰則を入れる必要がない、かような御見解でありますか、他の法令がどうあつても罰則をつけた方がいいというようにお考えになりますか、承りたい。
  234. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 登記は第三者に対抗する要件でありますから、これをしなければ対抗できなくなります。
  235. 有田二郎

    有田委員 七十五條の「組合の成立後從たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に從たる事務所を設けたことを登記し、その從たる事務所の及在地においては三週間以内に前條第二項の事項を登記し、他の從たる事務所の所在地においては同期間内にその從たる事務所を設けたことを登記しなければならない。」というのでありますが、いくつ從たる事務所をつくつてもいい、こういう御見解でありますか、一つより從たる事務所をつくれないものかどうか、承りたい。
  236. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましては制限いたしておりません。
  237. 有田二郎

    有田委員 第四十六條の「組合が主たる事務所を移轉したときは、旧所在地においては二週間以内に移轉の登記をし、新所在地においては三週間以内に第七十四條第二項の事項を登記し、從たる事務所を移轉したときは、旧所在地においては三週間以内に移轉の登記をし、新所在地において四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。」これも罰則がないのでありますが、これについてもやはりただいま政府のお述べになつたような御所見で罰則をつけないという考えかどうか承りたい。
  238. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 さようでございます。
  239. 有田二郎

    有田委員 第七十七條の「第七十四條第二項の事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。」これまた罰則がないのでありますが、罰則の必要を認めぬとお考えでありますかどうか、承りたい。
  240. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 登記につきましては登記がそのことの成立の要件になつておりますからして、登記がなければ全然なかつたものと同じことに法律上なる。それでこれにつきましてはなくても差支えないじやないかと思います。
  241. 有田二郎

    有田委員 政府の御所見わかつたのでありますが、それと同じように、第二項の「事業年度終了後主たる事務所の所在地においては四週間以内に、從たる事務所の所在地においては五週間以内にこれをすることができる。」あるいは第七十八條のあとの方に「三週間以内に解散の登記をしなければならない。」という項がありますが、この七十七條の第二項は政府の今までの御見解と同じ御答弁だろうと思いますが、七十八條の「組合が解散したときは、合併及び破産の場合を除いては、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、從たる事務所の所在地においては三週間以内の解散の登記をしなければならない。」この解散の登記というような場合におきましては、私は当然罰則があつてしかるべきじやないかというような見解をとるのでありますが、御所見を承りたいと思います。
  242. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいままでの答弁は取消します。間違いでございまして、登記につきましては、登記を怠り、また登記を延ばしたときは罰則があるのでございます。間違いました。
  243. 有田二郎

    有田委員 では今までの政府の全部の説明が誤りでありましたならば、あとでひとつの速記録を御調査願いまして、いずれも御訂正願いたいと思います。あとわずかでありますので、私の質問を留保いたしまして、休憩していただきたいと思います。
  244. 山崎岩男

    山崎委員長 暫時休憩いたします。     午後四時十一分休憩      ————◇—————     午後十時開議
  245. 山崎岩男

    山崎委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。林委員
  246. 林百郎

    ○林(百)委員 消費生活協同組合の閣議決定の附帶條件である生活協同組合に対する金融の途を特別に開きことということについて主管大臣はどういうように考えておられるかという点が第一点、第二点としては農林中央金庫中に一定のわくを與えて、特にこの生活協同組合の方に融資する途を開かれておるかどうかという点が第二点、第三は金融の途を開く場合に、無担保で政府から貸與されるかどうか、この三つの点について、主管大臣からお伺いしたいと思います。
  247. 竹田儀一

    ○竹田國務大臣 國民金融公社で金融をいたすことに相なつておつたのでありますが、この法案は遂に間に合わなかつたように聞いておるのであります。そういう間に合わなかつた場合の暫定措置といたしましては、大藏当局と善処法について研究中でありまして、この点につきましては、大藏次官とも了解済みであります。  なお農林中央金庫の問題でありますが、たしか農林中央金庫は融通の途が別に開けていないと思います。さそうに考えております。なお担保を入れて貸すか貸さぬかというようなことは、まだ考研中でありまして、この場合お答えすること軽卒のように思います。將來國民金融公社ができますれば、そこで融通することに相なるだろうと思います。
  248. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、生活協同組合に対する金融の遂については、竹田厚生大臣としては、今具体的にどういうことを考えられ、どういうことを目下大藏大臣と交渉しておられるか、その点について御答弁願いたいと思います。
  249. 竹田儀一

    ○竹田國務大臣 まだ交渉中でありまして、今お答えすることはできません。なおその内容は言うわけにまいりません。
  250. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、厚生大臣としては、少くとも將來この遂について全力を盡され、何とかしてこの途を打開される意思ありや否やという点をお聽きしたいと思います。
  251. 竹田儀一

    ○竹田國務大臣 何とか打開の途を講じたいと考えております。
  252. 野本品吉

    ○野本委員 消費生活協同組合が最大奉仕の原則の上に組織せられ、さらにただいまきまるであろう員外利用というようなことが、全然なくなつた場合これに課税することが私は無理ではないかと思うのですが、この点に対するお考えを伺いたい。
  253. 竹田儀一

    ○竹田國務大臣 この問題は、産業組合並びに農民組合等との対比の上から、よほど問題にはなつたのであります。この問題がありましたために、閣議ではずいぶん大藏当局厚生省との間に論議の対立を見まして、なかなかまとまらなかつたのであります。その結果、大藏当局では関係方面との折衝もせられ、さらに農民組合並びに産業組合等との関係上、農林省、商工省ともいろいろお話上の結果借り入れをする、こういうことになつたのであります。
  254. 野本品吉

    ○野本委員 その課税はたとえば、農業協同組合は御承知の通り員外利用は五分の一認めております。それから政府の原案の協同組合は十分の一の員外利用を認めておる。員外利用の認めているというところに課税をするという論理が成り立つのではないかと考えております。それが全然なくなつた場合に課税するということは、どう考えても納得できないと思います。
  255. 竹田儀一

    ○竹田國務大臣 これは産業組合と農民組合とそれにただいま御審議を願つておりまする消費生活協同組合等と同じスタートにおいてやらそうというのが閣議の決定であつたのであります。しかるにただいま御修正によつて、員外利用は禁ぜらるることに相なるのではないかと思つておりますが、そういうことに相なりますれば、野本君御指摘のような問題が起つてくると思います。そういうことになりますれば、御修正がなるかならぬかわかりませんが、そういうことに相なるといたしますならば、また別途に考えなければならぬと思います。
  256. 野本品吉

    ○野本委員 ただいまの厚生大臣のお答えで大体お考えのほどはわかりましたが、私も今予想されておりまする修正が成り立つとするならば、課税の問題は当然考えられなければならない問題だと思います。この点につきましては、できるだけ早い機会に十分御研究を願いまして、辻褄の合うように御処置願いたい。
  257. 竹田儀一

    ○竹田國務大臣 大藏当局と十分折衝いたします。
  258. 山崎岩男

    山崎委員長 竹田厚生大臣は参議院の方へ至急呼出しを受れましてちよつと退席されます。
  259. 野本品吉

    ○野本委員 政府の提供しました資料によつて見ますと、現在ありますとこるの消費生活協同組合の平均の資本金はわずかに四万二千円ということになつております。四万二千円ではたしてどれだけの大衆の消費生活を守つていくことができるかということはきわめて疑問でありまして、先ほど林委員から意見の開陳がありましたように、資金の面につきましては十分お考えを願わなければならぬと思います。私もこの点につきまして、特に強い希望を申し述べておきたいと思います。
  260. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 ただいま野本委員の御質問になりました消費生活協同組合の維持育成をしていく上において、金融面はよほど重要な問題であると存じているわけでありまして、厚生省といたしましても、この問題に対しましては関係大藏当局に強く今日まで交渉を続けてきた次第であります。今後も本問題に対しましては、極力関係当局に折衝をいたしまして、でき得るように努力をいたしてみたい、かように考えていることを御了承願いたいと思う次第であります。
  261. 野本品吉

    ○野本委員 私はこれで終りました。
  262. 林百郎

    ○林(百)委員 この第十條の点でありますが、第十條の第三項ですが、「都道府縣の区域を越える連合会地域によるものは、前二項の規定にかかわらず、会員たる組合の指導、連絡及び調整に関する事業以外の事業を行うことができない。」これはすでに十分檢討済みだとは思いますが、こうした消費生活協同組合のような公的な色彩をもつておるものに対して、私的独占禁止と同じような條項を入れて、私的独占禁止法の適用をするということは納得できないのでありますが、この点については、どういう理由でこういうことをしたか、お聽きしたいと思います。
  263. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 都道府縣の区域を限界にいたしておりまする点は、都道府縣以上に大きなる組織経済事業を営ましめ、強力なる力を將來もたしめることは。國家行政との関係も生じてくるのではなかろうか。また中小商工業者との関係から見まして、この程度が最も適当なる限界点である、かように考えておる次第であります。
  264. 林百郎

    ○林(百)委員 消費生活協同組合というのは、十分公営的な色彩をもち、公共事業に類するものであつて、これが拡大強化されることによつて、何も私的な利益が高まるわけでもないと思います。むしろ國家のためにこういうことが拡まることが好ましいと思います。そういう場合に、何ゆえこれをあえて制限しなければならないか。
  265. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 お説でもつとものようでございますが、やはりこれを運営していく場合においては、ある程度その線を越えるべき経済事業を営んでいくというような点も相当考慮しなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  266. 林百郎

    ○林(百)委員 その線を越えてはならないという理由を聽きたいと思います。なぜそういうように線を越させないか。そうすると、厚生省としてはこの組合発達することが望ましくないと考えられるのかどうか。
  267. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 組合またはその連合会が都道府縣にまたがつて組織せられるということは、経済事業も行うときにはあまりに強大な組織となり、中央企業に対する圧迫もはなはだしくなるから、都道府縣の区域に限ることを適当と考えたのであります。なおまたこのことは、私的独占法などわが國経済組織に関する法制の精神にも適するものと考えておる次第であります。第三には、なお職域が二以上の都道府縣にまたがるときは、例外として設立を認めることもやむを得ないというものもあります。また連絡調整のみを行う連合会については弊害がないと思いましたので、都道府縣を越えて設立し得ることにいたしておる次第であります。
  268. 林百郎

    ○林(百)委員 この私的独占企業の禁止というのは、私的な利潤が無制限に許され、私的な事業の強大になることが、防がれる目的であるのが、私的独占禁止法の精神であると思います。ところが、消費生活協同組合というのは、少くとも第一條にあります通りに、國民生活の安定と生活文化向上を期するために、國民の自発的な生活協同組合であるということになりまして、むしろ國家的な、公共的な色彩をもつておるものであります。中小商工業者に対する圧迫というようなこともありますが、しかしこの組合発達こそが、われわれ國民生活の安定と生活文化向上を期するものであるならば、これの発達は十分保護され、助長さるべきものであり、また厚生省としても、むしろそれを保護助長しなければならないと思いますが、何ゆえこれを制限するかということがどうしてもわれわれに理解できない。もう少しはつきりお答えを願いたい。
  269. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 私的独占禁止法の第二十四條には一定の要件にあてはまる協同組合に対し、その適用を除外する規定はいたしております。本法による消費生活協同組合は、法律に違反せざる限り、独占禁止法のこの規定に当然該当するものと解せられておるわけであります。よつて農業協同組合等によつては御説のごとく、特別の規定を設けなかつたのでございますが、この法案によつて組合員でも本法に違反し、第二條第一項各号の要件を欠くに至つた場合においては、私的独占禁止法に牴觸する場合があり得るということになるわけでございますので、これらの点を勘案して、本法案に基いていきますならば、間違いないのじやなかろうか、かように考えております。
  270. 林百郎

    ○林(百)委員 実はただいま次官のお説の通り、漁業協同組合並びに農業協同組合にもこういう規定がないのであります。漁業協同組合、農業協同組合はいずれも漁民、農民の福祉、生活の安定のための法案である。從つて一般市民、消費階級の生活の安定、文化生活向上という目的では、商業協同組合、農業協同組合も、消費生活協同組合もまつたく同じだと思う。しかるに漁業協同組合と農業協同組合とにはこういう規定がないのに、消費生活協同組合にだけこの除外例を設けるという理由がはつきりしないのであります。殊に厚生大臣の所管であるこの組合だけが除外例があるのがわからないのであります。その点をお聽きしたいのであります。
  271. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 本問題は厚生委員会とも相談いたした結果によりまして、この法案に準拠する上におきましては、ただいまの御趣旨のような縣念のあるところはないように存じているわけであります。
  272. 林百郎

    ○林(百)委員 結局厚生大臣並びに次官の言うことは、何が何だかわかりませんから、私の方の質問もこれをもつて打切りますが、この消費生活協同組合の主管省である厚生省が、消費生活協同の組織発達をはかり、生活の安定と生活文化向上を期することを、第一條でその目的責任をはつきりうたつておきながら、しかもみずからその発達を阻害するような條文を設けることは、まつたく了解に苦しむ点であります。この点はいくら聽いてもわけのわからない返事をしておりますから、私の方の質問も打切りますが、まことに遺憾であると思います。
  273. 山崎岩男

    山崎委員長 それでは消費生活協同組合法案に対する質疑を打切るに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 山崎岩男

    山崎委員長 御異議がなければ、本案に対する質疑を打切ります。  次に本案に對する討論に移ります。討論は通告順にこれを許します。有田二郎君
  275. 有田二郎

    有田委員 われわれ民主自由党といたしましては、本法案の第十二條の第三項並びに第十四條の二項、三項の点に問題がありまして、この点が全部抹消され得るという見透しのもとに、私どもは協調の態度をとつてまいつたのでありますが、結局これがどうしても容れられないということになりました結果、二項、三項はそのまま生きる。ただ次の修正案が認められるという結果になつているのでありますが、少くとも今日中小商工業者経済的に非常に疲労困憊している状態にありますし、この修正によりまして、幾分なり中小商工業者を助け得るという考えをもちまして、右の修正案を具して、民主自由党は賛成いたしたい、かように思うものでございます。すなわち第十二條第三項を全部抹消したしまして次の通り修正いたすのでございます。   修正案  3 組合は、組合員以外の者にその事業を利用させることができない。但し、当該行政廳の許可を得た場合はこの限りでない。 こういうように改めるのであります。しかして「当該行政廳の許可を得た場合はこの限りでない。」というのはどういうことかと申しますと、主として今日利用施設で、たとえばくつ屋、床屋、洗濯屋、製粉施設、医療施設等で組合員外に利用させることを適当とするもの、こういうものを当該行政廳が許可をしてもいいという意味合いでありまして、この條項を付して民主自由党はこの法案賛成いたしたいと思うのであります。しかしながらこの消費生活協同組合法案というものは、前國会生活協同組合保案としてやかましく論議されましたものとは、その内容をはなはだしく異にいたしておると思います。私ども民主自由党といたしましても、この法案について大体賛成の意を表するものでありますけれども、先刻申しましたように、全國の中小商工業者は私どもの想像以上に疲弊困憊いたしておるのでありまして、結局この組合法案ができることによつて脅威を受ける面が多々ある。しかしながらその法案が相当停止されまして、その弊害も非常に少くなつてきておる。しかもまたこの組合ができますことによつて、廣く組合員全体が幸福になるという建前からいきまして、この法案賛成するものであります。同時に私ども最後まで反対いたしておりました第十四條第二項、第三項につきましては、單に中小商工業者に脅威を與えるというのみでなく、組合員それ自体といたしましても、決してこれが幸福をもたらすものでないと信ずるものであります。すなわち第二項におきましては地域、第三項におきましては職域でありますが、職域の場合においてはその工場あるいは事業場の附近に住所を有する者で、組合の施設を利用することを適当とするものを組合員とすることができるというのでありますが、こういう廣範囲職域の者を組合員に入れるということになりますと、ほんとうの組合員全体に不幸をもたらすものがあると私ども考えるのであります。  さらに私どもはこの際各党の申合せといたしまして次の申合せをするものであります。   申合  消費生活協同組合法案は会期切迫せる七月三日提案せられ、その審査に必要な十分の時日を有し得なかつたことはきわめて遺憾である。厚生委員会は四囲の情勢に鑑み、急速な審査のもとにこれを一部修正可決することとしたが、來るべき第三國会においてあらためてこれを檢討し、必要な改正を加えんとするものである。 以上の申合せを付しまして本法案賛成するものであります。(拍手)
  276. 山崎岩男

    山崎委員長 野本品吉君。
  277. 野本品吉

    ○野本委員 消費生活協同組合は消費大衆がみずからの生活を守ろうとする盛り上る意思によつて続々の生れてきておるのでありますが、これに対して法的な措置が講ぜられておりませんでしたことは、私どもきわめて遺憾とするところでありました。このたび政府提案によりまして、この消費生活協同組合に法的な根拠が與えられるようになりましたことは、日本の現在あります協同組合あるいは今後生れてきます協同組合のために、まことに喜びにたえない次第であります。私はこの法案の成立によりまして、日本の消費大衆の生活がいよいよ充実を深められてくるようにということを心から念願いたしまして、修正案を付した原案に賛意を表するものでございます。(拍手)なおただいま申合せがありましたが、この消費生活協同組合の名に値するものをつくり上げいいかなければならぬと考えておる次第であります。以上所見を申し述べまして賛意を表する次第であります。(拍手)
  278. 山崎岩男

    山崎委員長 平工喜一君。
  279. 平工喜市

    ○平工委員 ただいま野本委員のおつしやつたことに同感でございます。いろいろ本案について問題の点がありますけれども、これは次の臨時國会に修正案を出したいと思つております。多少不満足ながら速やかに本案を成立させてもらいたいということで本案に賛成するものであります。
  280. 山崎岩男

    山崎委員長 寺崎覺君。
  281. 山崎道子

    山崎委員 日本農民党も賛成であります。(拍手)
  282. 山崎岩男

    山崎委員長 斎藤昇君。
  283. 齋藤晃

    ○齋藤(晃)委員 私は第一議員倶樂部を代表いたしまして、本案は不本意ではありますけれども、大衆の生活の安定をはかる意味において賛成をいたしますとともに、完全なる法案につきましては、來るべき第三國会において修正を加えまして、完全な組合法をつくる。また先ほど答弁がありましたように、これら組合に対する資金面においても、現在何ら確信をもてないというようなことは、私どもはなはだ遺憾にたえません。この法案ができましたならば十分な檢討を加えまして、眞にこの組合発達のために政府が努力せられんことをお願いいたしまして賛成するものであります。(拍手)
  284. 山崎岩男

    山崎委員長 林百郎君。
  285. 林百郎

    ○林(百)委員 日本共産党は左の五つの点において本法案反対するものであります。一つは金融の途が開かれておらないということ、一つはこれを私的独占禁止法と同樣な取扱いをして、將來の発展を阻止しておるということ、第三はこれに対して所得税、地方税、事業税、取引税の方法を講じておるということ、第四としては信用事業を全然許しておらないということ、また本日自由党から出ました修正案によりますと、これはまつたく消費組合の伸縮性を制限するもので、適正な発達をむしろ阻害するものだと思うのであります。以上の点から言いまして、本法案はむしろこの程度のものではつくらない方がいいと思いますから、共産党としては遺憾ながら反対をいたします。
  286. 山崎岩男

    山崎委員長 討論は結局いたしました。採決に入ます。まず有田二郎君より提案せられました修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  287. 山崎岩男

    山崎委員長 起立多数、よつて本修正案は決定いたしました。  次に修正部分を除いた他の部分について採決いたします。原案の他の部分を可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  288. 山崎岩男

    山崎委員長 起立多数、よつて本案は修正可決せられました。(拍手)  次に議長に提出いたします報告書の作成については委員長に一任されたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 山崎岩男

    山崎委員長 御異議なければさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十時二十九分