○竹田國務大臣 昨夜午後五時十四分ころ福井、石川両縣にわたる震災がありまして、その状況を簡單に御報告いたします。
福井縣におきましては、福井市、坂井郡、吉田郡、足羽郡等はほとんど全滅の状況であります。被害戸数六万戸ということに相な
つております。罹災人員は正確なことはわかりませんが、二十三万六千人とも言い、約三十万人になんなんとするのではないかということであります。ただいま精細なことは調査中であります。石川縣は、石川縣の南部、塩屋村約三百六十戸、瀬越村約百戸倒壊、三木村約五百戸、倒壊戸数六割であります。大聖寺町は約三千戸のうち全壊が二百戸、半壊が千五百戸というふうに傳えられております。これは私の郷里であります。南郷村は死者一名、行方不明八名ということにな
つております。交通被害は北陸線森田、福井間で旅客列車顛覆と、旅客等に相当の死者負傷者がある見込であります。その他貨物列車の顛覆、鉄道線路の破壊、鯖江、動橋間及び寺井、美川間において相当な鉄道線路の被害があります。なお牛谷、大聖寺間の牛谷トンネルは崩壊によ
つて全然不通に相な
つております。詳細なことは本
会議の劈頭において
政府より説明いたすことといたしておりますが、とりあえず
厚生省としてとりました
措置をこの際
委員諸君に御了解願
つておきたいと存じます。
厚生省におきましては、昨夜ただちに次官、社会局長以下本省に参集いたしまして、情報を蒐集いたしますとともに、これが対策について
協議し、とりあえず左の処置をとつたのであります。
まず
厚生省に災害救助連絡室を急設いたしましたほか、次官を中心とした救助対策本部を設けまして、應急救助態勢を整備いたしました。また被害府縣の状況調査並びに救助対策連絡のため、昨二十八日午後十時四十五分上野発で社会、
予防両局より係官三名を現地に急派せしめまして、被害
関係府
縣知事に対し、應急対策救助に遺憾のないよう激励いたしますとともに、所要の
指示を
厚生次官を通じて打電いたしました。なお國立病院四箇所、療養所二箇所に対し、ただちに救助班を編成し、罹災現地に派遣するよう電報をも
つて指示いたしました。日本赤十字社、ララ
委員会の
関係諸團体に連絡をいたしまして、積極的な救助を求めることにいたしました。災害情報の入手とともに、ただちにG・H・Qに電話をも
つて概況を報告いたし、さらに午後十一時三十分、次官ほか二名がG・H・Qのサムス准将に御面会いたし、その後の情報を報告するとともに、御協力を懇請いたしました。なお調査員及び連絡員の具体的な報告をま
つて、必要に應じ中央災害救助対策
協議会にはかりまして、救助その他緊急
措置に要する物資、施設等の調達、輸送等の手配をするように準備中であります。なお中央災害救助対策
委員会におきましては、ただちに本二十九日局員
会議を招集いたしまして、その対策について
協議することにいたしました。これはただいまの閣議で、本日正午より
内閣総理大臣官官邸に参集をいたしまして
協議をいたすことに決定いたしました。G・H・Qの公衆衛生福祉部におきましては、罹災府縣に対し、昨二十八日食料品、医藥品等の救助物資を急送する等の
措置を講じ、さらに必要な手配を進めておられるようでございます。日本赤十字本社におきましては、救助のため救護班二箇班を編成、本二十九日午前七時四十分上野発の列車で福井、石川両縣の罹災地に向けて急行せしめた次第であります。なおチブス二万五千、C・C、発疹チブス二万五千C・C、のワクチン、破傷風血精五千C・C、ダイヤヂン、チアゾール十万錠、浄水錠若干を現地に急送方現地軍政部より要請がありまして、ただちに発送の手配をいたした次第であります。とりあえずとりました処置について簡單ながら御報告いたしておきます。
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