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榊原(亨)
委員 処方せんの問題につきまして、いろいろ御
議論があつたようでございまするが、私
どもの
立場をこの際はつきり申し述べておきたいと思うのでございます。
処方せん料と申しますのは、言いかえれば
治療の
一部分でございまして、この
治療の
一部分を
診察料の中に含めんとするがご
さき考えは
間違つた考えと私は思うのであります。たとえて申しますると、
診察と
治療は別でございまして、
診察料のほかに
治療料をとるということは当然のことであります。
從つて治療の
一部分であるところの
処方せん料を、
診察料の中に加味いたすといたしますならば、
処方せんを出さなくてもいい
患者の場合にも、やはり
処方せん料を含めた
診察料を
患者からとらなければならないという事態が起るのでございましてこの点につきましては
診察料の中に
処方せん料を入れるという
議論に、私
どもは
賛成することができないのであります。さらに
医者が
調剤いたしますところの藥の
処方を公開するということが、盛んに言われておるのでありますが、私
どもはむしろこれに絶対反対でございまして、
処方の
内容というものは、むしろ公開すべきものでなくて、これは
患者に知らせない方が、最も
治療上有効だと思うのでございます。但し
処方せんを発行するということについては、全面的に
賛成でございまして、私
どもの
立場から申しますると、むしろ嚴封を施しました
処方せんを発行いたしまして、その嚴封いたしました
処方せんについては、
藥剤師がこれを
調剤する
義務を負うということにいたしまして、
藥剤師によ
つてこれを
調剤させるということを
理想と
考えるのであります。從いまして
患者がその
処方の
内容を知りましても、これは
素人でございまして、この
素人がその
処方の
内容を判断するということは、とうていできないことでございます。万一
処方の
内容を批判することができるといたしますならば、それは何も
医者にかかる必要はないのでありまして、
患者自身が
自分の
病氣を治せばいいということになるのであります。その際その
患者の家族あるいは
附添につきまして、
治療の方針あるいは
治療の
内容を説明するということは、当然これは
医者の
義務でございまして、この
法案にも明記するところでございますから、
患者に
処方の
内容を公開するということについては、私
どもは疑義を
もつものであります。もしも不正な
医者がございまして、いろいろ
調剤にあた
つて不正なことをするというふうな疑問があるならば、これは
医師を信用しないことでありまして、かかる信用しないような
医者にかかりましても、
病氣は当然治らないのでありまして、この点の
議論は成り立たないと私は思うのであります。
医師側といたしましては、決して
医藥分業に反対するものではないのであります。たとえて申しますと、多数の藥を買いこみますために大なる資本が要る。これは当然のことでございまして、一刻も早く私
どもに
医藥分業に対して全面的に推進せられんことを望んでおるのでありますが、それにつきましては、
藥剤師の方におきましても、
藥局の整備、
分布ということをや
つていただき、
藥局においては
医者が普通使う藥をことごとく整備されること、並びに
藥剤師としては
調剤の
義務を負うことということが、この際必要なことだと思うのであります。
医者が
調剤いたしました藥に対しても
処方せんを出すことはさほど
煩雜ではないというような御
意見があつたのでありますが、これも、実際
上処方せんを出す場合には、
患者の
姓名、年齢、用法、発行の年月日、
有効期間、
医師の
姓名、
医師の住所というようなものを書くのでありまして、これはなかなか
繁雜なことでございますから、私
どもは、
医者がみずから
処方いたします藥に対しては、
処方せんを出さないという現在の
法律案に
賛成いたすものでございます。以上をもちまして
原案に
賛成するものでございます。