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1948-06-27 第2回国会 衆議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十七日(日曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 山崎 岩男君    理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君    理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君    理事 武田 キヨ君       大石 武一君    近藤 鶴代君       福田 昌子君    松谷天光光君       師岡 榮一君    小野  孝君       最上 英子君    野本 品吉君       松本 眞一君    榊原  亨君  出席政府委員         厚生政務次官  喜多楢治郎君         厚 生 技 官 三木 行治君         厚 生 技 官 濱野規矩雄君  委員外出席者         参議院議員   谷口弥三郎君         厚 生 技 官 金井  進君         專門調査員   川井 章知君     ————————————— 六月二十六日  社会保險診療報酬支拂基金法案内閣送付)(  予閣第二二号) の審査を本委員会の付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  予防接種法案内閣提出参議院送付)(第一  七四号)  興行場法案内閣提出参議院送付)(第一八  〇号)  公衆浴場法案内閣提出参議院送付)(第一  八一号)  旅館業法案内閣提出参議院送付)(第一八  二号)  優生保護法案参議院提出参議院送付)(参  法第一号)     —————————————
  2. 山崎岩男

    山崎委員長 ただいまより会議を開きます。旅館業法案公衆浴場法案及び興行場法案一括議題に供します。政府側より提案理由説明を求めます。喜多政務次官
  3. 喜多楢治郎

    喜多政府委員 ただいま議題になりました旅館業法案公衆浴場法案及び興行場法案提案理由につきまして御説明を申し上げます。  從來旅館、ホテル、下宿、アパート等の、いわゆる旅館業及び公衆浴場並びに映画館、劇場その他の興行場に対する取締りは、警察命令に基き、各都道縣知事がこれを行つてまいつたのでありまするが、それらの取締り指導の対象及び方法は、各都道府縣によつて一定していないために、取締り徹底指導の適正をはかることが困難であつた実情であります。しかしながら、これら多数人の集合出入りする場所衞生上の取締りは、公衆衞生の見地から軽視することができない問題でありますので、この際統一的な基準を定めて、その徹底強化をはかるためこれらの法律案提出した次第であります。何とぞ御審議の上速やかに可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 山崎岩男

    山崎委員長 これより審査にはいります。質疑を許します。榊原委員
  5. 榊原亨

    榊原(亨)委員 公衆浴場法案についてお尋ねいたしたいのでありまするが、第四條に「営業者傳染性疾病にかかつている者と認められ」とありますが、その「認められ」というのは、しろうとの判断によつて認めるのでありますか。その点を承りたいと思います。
  6. 三木行治

    三木(行)政府委員 御意見通り公衆浴場経営者がその主観において認め得る疾病、こういう次第であります。
  7. 榊原亨

    榊原(亨)委員 全國浴場連合会國大会の宣言に、浴場の客の寄託物に対しては、保管監視義務は課しても、重大な過失があつた場合の賠償責任を免除することを希望しておるのでありますが、その点はどんなふうにお考えになりますか。
  8. 三木行治

    三木(行)政府委員 公衆浴場におきまする客の寄託物につきましては、商法規定によりまして規定せられておるのでございまして、この法律案公法規定でございますので、さような場合においては俊法上の問題として処理いたすべきものである、かように考えております。
  9. 榊原亨

    榊原(亨)委員 公衆浴場法案並びに興行場法案におきまして、客がいろいろ不潔なことをいたしましたりした場合に、営業者がこれを制止しなければならない。もし制止しない場合には処罰を受けるようになつておりますが、その制止ということは、具体的には、ただ口でもつて、そういうことをしてはいかぬということを場内で放送いたしますとかいう形式的なことでよろしいのでございますか。
  10. 三木行治

    三木(行)政府委員 御高見の通りでございまして、公衆浴場の例をとつて申し上げてみますると、これらの公衆浴場経営者が、浴場内にそれらの注意を喚起いたしまする一般的な掲示をするという場合、及び入浴者浴槽内におきましてあかをこするというような場合には、それを制止するというようなやり方をする次第でございます。
  11. 榊原亨

    榊原(亨)委員 よろしゆうございます。
  12. 山崎岩男

  13. 田中松月

    田中(松)委員 ただいま説明を承つたばかりでございますから、あるいは調子はずれの質問になるかもわかりませんが、その点をお含みの上お伺いしたいのであります。この「設備」ですが、設備はこの條文だけではよくわかりませんが、たとえば上り湯というものは、東京式カランといいますか、蛇口から湯が出るようになつておる。ああいうものは非常に清潔でございますが、多少浴槽の湯が濁つておりましても、上り湯を使えば十分からだを清めることができますが、はずれの町にまいりますと、小さい容れ物の中に申訳ばかりの上り湯が用意してある。それもひしやくで汲み出して、洗面器にとればよろしいのでございますが、どうかすると、よごれた湯桶を直接その上り湯の中に突つこんで、それを使う。それでは上り湯としての値打はまつたくなくなつてしまう。そういう点について、たとえば東京式カランを使わなければ許さないとかなんとか、そういうような面に対してはどういうお含みなつておりましようか。それを一つお伺いいたします。
  14. 三木行治

    三木(行)政府委員 ただいま御指摘になりました上り湯等措置でございまするが、この公衆浴場法案におきましては、おおむね大綱を定めまして、具体的な衞生的な措置につきましては、第三條に規定いたしましたことくに、都道府縣條例でこれを定めるということにいたしておるのでありまして、すなわちこれらの公衆浴場旅館業興行場等は、いずれも各地方々々の特色を有し、かつ経済事情等も異なつておりますので、各都道府縣実情に即するような基準をきめていきたい、かように考えておるのでございます。ただいま御指摘になりましたような、たとえば上り湯カランでない場合において、洗桶を突つこむというがごどきは、指導の面においてさようなことのないように、かつ措置基準といたしまして、必ず汲出し桶を備えるということを條例において指示することになる次第でございます。
  15. 田中松月

    田中(松)委員 榊原委員の御質問に重複するかと思いますが、衣料下足を預けるということもやはり條例でなさるのですか、この点どうなりましようか。
  16. 三木行治

    三木(行)政府委員 寄託物に関しましては、商法規定によつてつていくのでありまして、私ども実情といたしまして旅館あるいは浴場等における寄託物関係で、業者賠償の責に任ずることが適当でない、かつまた寄託せられる物によつては拒否し得るような規定を、これらの法律において規定してほしいという声も聞くのでありますが、これは商法上の問題として考究すべきものであると考えましたので、公法規定でありますのでこの法律案には規定してない次第であります。
  17. 田中松月

    田中(松)委員 たとえばこういう点はどうなりますか。最近人手不足理由として下足も預らない、衣類も預らない、こういう点についてもどうにもしようがないものでありますか。
  18. 三木行治

    三木(行)政府委員 お示しになりました下足を預かり、あるいは着物を預かるという点については、本法律案第三條の公衆浴場における必要な措置という條に基いて、都道府縣條例でこれを定めていくのでありまして、人手の面、その他で融通がつく都道府縣においては、條例においてそれらの管理人を必ず置かなければならぬという取極めになると存ずるのであります。
  19. 山崎岩男

  20. 山崎道子

    山崎(道)委員 第二條政令の定める手数料を納めて都道縣知事許可を受けなければならないとなつておりますが、現在も手数料をとつておるのでございましようか。それから今後予定せられておる手数料はどの程度でありますか。
  21. 三木行治

    三木(行)政府委員 第二條政令の定むる手数料でありますが、現行都道府縣命令におきましては、手数料をとつておりません。本條規定政令の定むる手数料は、地方自治法に基く地方公共團体手数料令によりまして、許可に関する手数料を納めしめる予定でありまして、その金額はおおむね五百円を予定いたしております。
  22. 山崎道子

    山崎(道)委員 第三條の「浴場業を営む者は、公衆浴場について、換氣、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者衞生に必要な措置を講じなければならない」という條文があります。これはぜひ守らなければならないことでありますが、実際においてこのごろの浴場は非常に非衞生的なものがあります。今度の性病予防法参考資料を見ても、浴場性病に感染したという統計が非常に多く出ておりますが、それについてどういう取締りをおやりになるか。今後またどういうふうに、もつと完全にしていく予定をしておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  23. 三木行治

    三木(行)政府委員 御指摘になりました公衆浴場衞生の面についての、当局の具体的な取締りやり方についてでありますが、第三條に規定いたしましたことく、公衆衞生上の措置を、都道府縣例によつて具体的にきめてまいります。そこで少くともこれだけは守るべしということ以外に、指導の面においても適切に、——衞生公衆浴場等は最も傳染機会も多いので、嚴重指導監督していきたいと考えて、具体的には保健所に配置せられる公衆衞生監視人が、終始自分受持管内をまわりつつ、これらの監督を適切にやつていきたい、かように考えておる次第であります。
  24. 山崎道子

    山崎(道)委員 ただいま田中さんがお伺いになりました衣料を預からないとか何とかいう所がこのごろたくさんありまして、私自分の家でもこの間下着まですつかりとられて、浴場から帰ることができないというようなことがありましたが、そういうことがままございますので、ただいま田中委員に答えられました点を、ぜひ嚴重に実行していただかなければ困ると存じますので、その点お願いしておきます。  第四條の「傳染性疾病にかかつている者と認められ、又は他の入浴者入浴に支障を與える虞のある精神病者と認められる者に対しては、その入浴を拒まなければならない。但し、省令の定めるところにより、療養のために利用される公衆浴場で、都道縣知事許可を受けたものについては、この限りでない」という條項でございますが、これは一般に明示しておられる療養所でございますか。この際の健康者入浴等についての危險についてはどういうお考えでございますか。
  25. 三木行治

    三木(行)政府委員 第四條の但書にございます「省令の定めるところにより、療養のために利用される公衆浴場で、都道縣知事許可を受けたものについては、この限りでない」という規定でございますが、本條の第一項にございますように、浴場というものは非常に感染の機会が多いのでございますから、それらの対しては浴場経営者義務として傳染性の疾患をもつている者は拒絶しなければならないことになつているわけであります。しかしながらかくては療養目的とした人々がはいる温泉がないというようなことにも相なるので、この但書におきまして、特に療養者のためには別の浴場であるとか、あるいは別に浴槽を設けしめる、そしてそこには療養者だけがはいるようにして、健康者とごちやちやにすることを避けなければならない、こういう規定なつている次第でございます。
  26. 山崎道子

    山崎(道)委員 よくわかりました。それから第七條の二項でございますが、許可の取消しその他をされた場合に文書をもつて通知し、当該営業者又はその代理人公開聽聞において弁明し、且つ、有利な証拠提出する機会を與えなければならないという條文がございますが、いかなる方法で、どういう場所でこれを行われるのであるか、公開聽聞ということを聽かせていただきたいと思います。
  27. 三木行治

    三木(行)政府委員 第七條の第二項の聽聞規定の実際運営はどうするかという御質疑でございますが、第六條におきまして行政処分を受けるというような場合におきましては、これらの処分を受けることは営業者にとりましては非常に甚大なる影響をもたらすものでございます。しかして從來はこういう場合には、官廳の一方的裁量に委ねられておつたのでありますが、これでは公平ではないとも考えられますし、また基本的人権を尊重するという点において十分であるとは言えませんので、この聽聞規定を設けたわけでありまして、あらかじめ当該営業者に、その処分の原因と認められる違反行為文書をもつて通知し、当該営業者またはその代理人が出頭して、そして公開の席上において自分に有利な証拠提出し、自分のために陳弁する機会を與えられる、それてこれを担当いたします者は、陳弁いたします相手方は知事の指定する官吏であつて知事の指定する官吏の前において、関係者及び一般傍聽人が集まりまして、これらの有利な証拠提出あるいはやむを得なかつたというような理由の陳述を聽きまして、しかる上に行政処分をやつていこう。かような次第でございます。
  28. 山崎道子

    山崎(道)委員 第八條の「第二條第一項の規定に違反した者」、それから「前條第一項の規定による命令に違反した者」は「これを六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。」とありますが、この場合の営業権はどうなりますか。
  29. 三木行治

    三木(行)政府委員 「第二條第一項の規定に違反した者」と申しますのは、許可がなくて無許可営業したものですから、営業権という問題もおのずからないということになるわけであります。
  30. 山崎道子

    山崎(道)委員 それでは六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処すると同時に、これをやりました場合にはもう許可はいただけないことになるわけですが、しかし同條第二項の「前條第一項の規定云々」はそうではないと思います。「第二條第一項の規定に違反した者」は許可がないのにやつた場合ですが、「前條第一項の規定による命令に違反した者」と申しますのはどうですか。
  31. 三木行治

    三木(行)政府委員 ただいま御指摘の場合は、営業停止のときにやつた者でございますから、これは営業権がある場泉でございます。
  32. 山崎道子

    山崎(道)委員 大体それで了承いたしました。この浴場組合からの陳情書の中に、今回のこの條文の中には距離規定がないというようなことで、この点について種々運営上不便な点が指摘陳情されておるのでございますが、私には一應もつともなように聞えるのでありますが、これに対しまして当局ではどのようにお考えでございましようか。距離規定がないと、非常にまたいろいろな問題が起きるのではなかろうかとも考えられますが、これに対してのお考えをお伺いしたいのでございます。
  33. 三木行治

    三木(行)政府委員 御指摘になりました距離制限の問題でございますが、これは浴場を経営いたします者にとりましては、非常に大きい問題であると思います。しかしながらこれらの浴場を経営いたしますにあたりましては、独占的ないき方はなるべくこれを避けなければならぬのであつて自由競爭を本旨とする建前に相なつておるのでありまして、この点と実際にただいま御指摘になりました浴場経営の面との調整は、非常にむつかしい問題であると考えるのであります。当局といたしましては第二條第二項によりまして、公衆浴場設置場所は、公衆衞生上不適当であると認めるときは前項の許可を與えないことができるという規定がございますので、一箇所に偏在いたしまして浴場があり、それにさらに浴場をつくろうという場合には、他の公衆衞生上必要な、適当なところに建ててもらいたいというような点を強く話合いまして、なるべく距離制限を実行していきたいと考えておる次第でございます。
  34. 山崎道子

    山崎(道)委員 同じくこの陳情書の中に、料金定額制の点について、これをきめます場合には、せいぜい利用者関係官廳浴場代表者と同一の立場にある委員会決定に從うのであるから、この点は業者一定額を強いていいというような條文がございますが、これに対しましてはどういうように考えておいでになりますか。
  35. 三木行治

    三木(行)政府委員 料金の問題につきましては、これは物價廳所管でございますが、料金が適当でないために、入浴機会が少くなるということは公衆衞生上問題でございますので、われわれといたしましても常時これに重大なる関心を拂い、また物價廳とも事実上種々連絡協議をいたしておる次第でございますが、今後それらの問題につきましては、十分関係当局とも緊密な連絡をもつて、適当な料金が定められますように努力をいたす所存でございます。
  36. 山崎岩男

  37. 有田二郎

    有田委員 旅館興行場浴場も大体同じでありますが、許可の問題で、特に旅館についてお尋ねしたいのであります。  今まで旅館警察所管しておりましたときに、各警察署保安係旅館監督をしておつたと思うのであります。それで各地でいろいろ問題があつて警察保安係の警部補とか、主任の巡査部長とかいう者に相当役得があつたのであります。それが今度は警察の手から厚生省の方の衞生部所管になりましたが、その後もいろいろな問題がある。ちようど榊原委員理髪業の問題について心配をされて、理髪法律についていろいろ御議論になつたと同じように、旅館についてもいろいろ地方的には問題が起ります。特に旅館許可という面につきましては、都道縣知事許可するというような簡單なやり方をいたしますと、名前は都道縣知事でありますが、実際にやるのは衞生部の課の下の係のまたその下の属僚の二十二、三歳の若い何もわからぬような人がやるので、そこにいろいろの問違いが起つてくるのであります。そこでこういうものの許可につきましては、委員会を設けて、少くともつ地方相当の名士を委員に迎えて、その委員会に諮つて、そうして都道縣知事がこれを許可するというようにすることが、私は最も民主的なやり方ではないか、またそういつたやり方官僚独善にならないいき方ではないかと考えるのでありますが、この点に対する政府の御所信を承りたいと思います。
  38. 三木行治

    三木(行)政府委員 ただいま御指摘になりました許可等に関連いたしまして、最も至公至平なる取扱いをなすように、政府所信はどうかという御質疑でありますが、まことに私どもといたしましても同感に存ずるのでございまして、この法律案におきましても、不許可にするというものにつきましては、第三條の規定によりまして理由を附した書面をもつて、その旨を通知しなければならないというように、その不許可根拠を明らかにすることになりまして、從來のごとく役所の一方的な自由裁量ではないのでありますので、それらの裁量につきましても十分に明らかにこの根拠を示すという措置を講じております。また御指摘になりました委員会につきましても、多数の府縣におきましては、すでに委員会をもつておるのでありまして、この法律を施行いたしますにあたりましては、ぜひともさような委員会においてガラス張りの中で、論議してきめるということにやらしめるように嚴重通牒をいたす所存であります。
  39. 有田二郎

    有田委員 しからばこの法案の中に、そういう委員会條項をわれわれが修正をして入れるという場合におきましては、政府として御異存ないものと認めていいのでありますか。
  40. 三木行治

    三木(行)政府委員 ただいまの御発言に相なりました委員会制度をこの中に入れるという問題でございますが、これは旅館組合というような組合もすでにございますし、また法律にはよりませんけれども委員会というものもすでに大部分の縣でやつており、また今後も通牒によりまして、注意をしていこうと考えておりますので、御趣旨に対しましては、結論ではあると思いますが、ただいま法律に記載いたさなくても、運用の面におきまして十分御期待に副い得るように、やり得る自信がある次第でございます。さよう御了承をいただきたいと思います。
  41. 有田二郎

    有田委員 この問題につきましては、いずれ各派とも相談をして決定をいたしたいと思うのであります。法律に書かなくとも、通達の方法によつてできるというようなお話は御意見として拜聽いたしておきますが、とにかくやはり警察公安委員のような制度を設けるということもどうかと考えられるわけでありまして、この点はいずれ相談をいたしたいと思つております。それから第三條第二項の中の、大体この法律外のことは都道府縣において條例を設けてこれを定めるのでありますか。
  42. 三木行治

    三木(行)政府委員 この法律を施行いたしますのに必要な命令省令でもつて、これを規定いたしまして、この第三條第二項にございます措置基準につきましては都道府縣條例に讓るという措置を講じてあるわけであります。しかしながらこれらの委任を受けなくとも、都道府縣の現地の実情に即する條例をつくるということは当然できることでありますから、そのような方法でやつていきたいと考えておる次第であります。
  43. 有田二郎

    有田委員 省令をもつておやりになるのですか。
  44. 三木行治

    三木(行)政府委員 一應この法律を施行いたしますのには、施行省令というものが必要でございますので、省令をもつてやる次第でございます。しかしながら地方に重大な影響のある問題、殊にそれらが地方的な問題であるというよなものにつきましては、條例をもつてつていく方針でございます。
  45. 有田二郎

    有田委員 第六條の中に、営業施設立ち入りという言葉がありますが、立ち入りというのは臨檢と同じような何か封建的な感じがいたしますし、新憲法趣旨に反するような感じがするのでありまして、営業施設調査し、第三條第一項の規定による措置の実施の状況を檢査させることができる。というように、立ち入り営業施設調査しと改めてはどうかと思いますが、政府の御所信を伺いたい。
  46. 三木行治

    三木(行)政府委員 第六條の営業施設立ち入りという文句を施設調査しというように修正したらどうかという御意見でありますが、これは從來規定におきまして臨檢という言葉を使つておりましたのがあまり適当でないというので、現在におきましてはいわゆる職権に関する規定におきましては立ち入りという用語を使つておるのでありまして、私どももその用語例從つた次第でございます。ただいま有田委員の御指摘になりました調査という場合におきましては、その施設の中にはいつて見せてもらうという意味よりも、もつ廣範囲な異つた意味を示すように考えられるのでございまして、十分調査するということが、非常に入念な調査意味するという場合におきましては、かえつて立ち入りというよりももつと強い表現になるのではないかということを心配いたす次第であります。
  47. 有田二郎

    有田委員 この立ち入りの問題は、前國会におきまして災害救助法のときに当委員会において非常な問題になつたのであります。そうして立ち入りということについて、結局附帶決議をつけて無事に收まつたのでありますが、災害救助法においてすら立ち入りが問題になつたのでありまして、また他の委員会においても立ち入りは新憲法精神に反するという建前から問題になつたのであります。從いまして立ち入りという言葉を使はなくても——臨檢立ち入りとかいう旧憲法を連想させる言葉を使わないで、もつとよい方法はないか、かように考えるのであります。営業施設調査してでも十分目的を達する。あるいは調査よりよい言葉があればお考え願いたいと思います。立ち入りという言葉営業者に対して非常な不安の感じを與えると考えるのでありまして、同時に新憲法精神にも違反するのであります。また当委員会だけでなく、他の委員会においても立ち入り言葉については問題になつております。われわれ民主自由党役員会においても、立ち入りという言葉については非常に嚴重に言われている條項でありまして、こういう強い言葉でない、また地方の役人が職権を濫用いない、あるいは封建的な考えをしない意味合いになるような言葉に改めていただきたい、かように考えるのでありまして、次の委員会までにお考え願いたいと思います。  さらに浴場浴場距離の問題についてであります。これについて当局はどういうお考えをもつておりますか。これについては人口の稠密なところ、あるいは細民街、さらにまた人口のそう稠密でないところ、こういう三つぐらいに分けて御説明願いたい。
  48. 三木行治

    三木(行)政府委員 距離制限の問題につきましては、浴場経営者の側からも、また公衆衞生の立場からいたしましても重要な問題でありまして、先ほど山崎委員の御質疑に御答えいたした次第でありますが、要しまするに地方都道縣知事公衆浴場の設置場所、またその構造が不適当と認めるときは、前項の許可を與えないことができるという第二條第二項の規定があるのであります。この設置の場所という規定がありますが、これによつて公衆衞生上適正配置が当然必要になつてくるのではないか、從いまして密集した所へさらに公衆浴場ができるということよりも、人口に対して非常に少ない所へ設置いたすことが、公衆衞生上非常に必要であると認められる次第でありますので、さような場合においては都道縣知事公衆衞生上適当なる地域に塚置してもらいたいという指示をしていただきたい、かように考えておるのでありまして、人口の稀薄な場合あるいは非常に密な場合、それぞれその特色に從いまして都満府縣知事にきめていただきたい、かように考えておる次第であります。
  49. 有田二郎

    有田委員 都道縣知事が特例を出すということについては異存がないのでありますが、大体のところ人口に対していくらという基本的なものは、政府としてお考えがあるだろうと思いますが、そういうものに対しては何ら考えていないのでありますか。
  50. 三木行治

    三木(行)政府委員 今日大都市においては、人口七千につきまして一箇所という状態でありますので、われわれといたしましては少くとも三千について一箇所くらいあつてもいいのじやないか、かように考えております。
  51. 有田二郎

    有田委員 さらにお願いいたしたいことはこれらの法案に対する省令の問題でありますが、できないことを省令でおきめになつては困るのでありまして、一例をあげますと電車の定員というのがありますが、私の選出区である大阪の京阪電車の沿線である宮古島の警察でありましたか、どこの警察であつたか、その外勤長が自分の部下をつれて運動会の寄附を仰ぎに京阪電車に乘つた、ところが思うようにいかなかつたというところに恨みをもつて、途中で電車をとめて、定員を調べて定員以上乘つておる者を全部おろした。そら以來京阪電車も恐れをなしてその警察から言つてきたことを全部聽いて、それ以來は問題は起らなかつたというような例もある。それからまた省令においていろいろな問題があります。結局旅館許可にいたしましても、省令でありま過酷なことをきめておくと、結局係りが役得をやるということになるので、今までこの旅館許可権が各警察にあつた当時においては、警察旅館の係りというものは役得があつてよかつたということは、各地警察に例があるのであります。どうぞ省令をおつくりになるときによくお考えなつて、敗戰後日本に新憲法が布かれて民主的になつたとは言いましても、まだまだ封建的でありまして、そういう省令があると省令によつていろいろな問題が起る、そういうことも考え併せて、省令をおつくりになるときにおいて十分お考えなつていただきたいと思うのであります。政府の御所信を承りたいと思います。
  52. 三木行治

    三木(行)政府委員 まつたく同感でありまして、守らないような省令をつくるということは適当ではございませんので、その点につきましては十分注意をいたしたいと存ずるのであります。なおわれわれといたしましては、公衆浴場等につきましても、それらの資材等の入手、配給という面につきましても十分に留意いたしまして、なるべく公衆衞生上の要求を満しまするように、その面においても努力をいたしてまいる所存でございます。併せて附け加えておく次第であります。
  53. 山崎岩男

    山崎委員長 他に御質疑の方はございませんか。——それではただいま議題なつておりまする三法案につきまして、治安及び地方制度委員会より連合審査会開催を要求されておりますので、本委員会におきましても連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 山崎岩男

    山崎委員長 御異議がなければさよう決定いたします。なお日時及び場所については委員長に御一任願います。この点について御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 山崎岩男

    山崎委員長 さよう決定いたします。  次に予防接種法案議題に供します。審査に入ります。榊原委員
  56. 榊原亨

    榊原(亨)委員 予防接種法案についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、この種の法案は日本以外に外國にございますか。
  57. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 お答え申します。この法案以外に私ども調べてみましたが、あまり見あたりませんでした。
  58. 榊原亨

    榊原(亨)委員 國家の現状としてはこれはもつともだと思われますけれども、諸外國にいまだない法案でございまして、法律をもつて強制しなければならないほど、わが國の衞生が劣つておるからこういう法案をお出しになつたのでございまするか。それとも諸外國よりもさらに進んだ意味において衞生徹底するという意味においてお出しになつたのでございまするか。その点を承わりたいと思います。
  59. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 提案理由にもございましたように、日本の傳染病は終戰後きわめてひでいものであります。しかし進駐軍の援助その他によりまして急速に減りまして、昨年の水害におきましては、みながびつくりするくらい傳染病も出なかつたのです。この大半の効果は予防接種に負うところきわめて大きいことと、日本國民の優秀性を云云される大きな問題が、外國においても言われております。なお結核の免疫であるB・C・Gでありますが、これはわが國において卒先いたしまして非常な効果をあげてまいりました。そんなようないろいろな関係で、各國に範を垂れる意味におきましてこの法案を設けまして、私たち一層この種の病氣を急速に減らしていきたい、こういう趣旨におきまして提案いたした次第であります。
  60. 榊原亨

    榊原(亨)委員 この法案が実施せられまして、わが國の保健衞生というものが非常に進歩発達いたしまして、かかる法律をもつて律せなくても、國民が自発的にこれらの予防注射を受けて、衞生の面に自発的な生活を送るという時代になりましたならば、この法は廃止されるという見込みでございますか。
  61. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 そういう時代が一日も早くまいりますことを、私たちは念願いたしておるものでございます。
  62. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第十四條の結核の予防接種でございまするが、生後六箇月以内にやりまして、三十歳以後においてやらなくてもよいことになつておるのでございますが、三十歳以後にやらないという理由をお知らせ願いたい。
  63. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 この結核は御承知の通り、この年齡階層に多いのであります。これをやりますにはまずツベルクリン反應をいたしまして、陽性なりや否やをはつきりきめて、陰性のものに注射してまいります。大体三十くらいまでのところが日本では感染いたしますが、三十過ぎて感染する人も多少あります、これは今榊原委員からお話がございましたが、自発的な自分で守つていただきたい。その間に教育もできますし、一種の特殊性の体質をもつておりますので、十分自発的予防していただきたい。こちらも法律はございませんが、勧誘してその人の生命を守りたい、こういう所信でございます。
  64. 榊原亨

    榊原(亨)委員 B・C・Gの予防注射を行つておるうちには、なるほど結核の予防におきまして偉大なる効果があるのでございまするが、そういう注射を続けておりまして、途中中絶いたしました場合に、その後結核感染の機会がございますと、急に重症の結核を起すということが、学者の中にも言われておるのでございますが、この関係を御存じでこの法案をおつくりになりましたか。
  65. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 ただいまお示しの、B・C・Gをしまして、それから陽轉しないうちに中止しまして、その後にかかつたときに非常に惡化するという話をよく人から聞きます。この点につきましては、御承知のように長與先生を委員長としまして、昭和十三年以來極力いろいろ研究いたしました。また昭和十八年以來、結核予防会が中心になりまして、あらゆる角度から研究いたしてまいりまして、私たちのただいままでに調べました範囲内におきましては、その心配はないと考えております。まして今度この法律を出してまいりますので、一層その点につきましては愼重にいたしまして、ツベルクリン皮内反應の出方をよく調べまして——ツベルクリンのリツカーが非常にまちまちでありまして、政府は予防衞生研究所を中心として、このリツカーの檢定までいたしまして、そうしてそういうことの問違いの起らないように極力努力したい、こういう意味でB・C・Gだけは一年延期をいたしまして、その間に十分そういう問題の起らないように、大体ツベルクリンのリツカーがまちまちであるためにそういう間違いが起きたやにも存ぜられますので、こういう点は特に檢定をいたしまして、再びそういう問題があるような心配のないように、十分努力していきたいと思つております。
  66. 榊原亨

    榊原(亨)委員 私の質問の要点をあるいは間違つてお聽きくだすつたのだと思うのでありますが、陽轉いかんにかかわらず、今まで予防接種をしておりました間はいいのでありますが、それをやめました後に結核感染の機会がございますと、そこで重症の結核が起るという事実についてお尋ねいたしたのでございます。
  67. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 B・C・Gをやつたために重症の結核になるかという御趣旨でございますか。
  68. 榊原亨

    榊原(亨)委員 B・C・Gをずつとやつていますと、やつておるうちはなるほどいいのでありますが、ところがB・C・Gをやめまして一年なり二年なり三年なり経ちましたときに、そこで結核にうつりますと、今度は反対に非常に重症な状態になつてくるという事実があると言われておるのであります。これは主として東北帝大の大里教授の御意見を直接私承つたのでございますが、そういうことがもしございますと、ここで三十歳に至るまでと法律できめておいて、それから後は任意ということになりますと、中にはやめる者ができるのであります。そうすると、三十歳まではなるほど結核に冒されないけれども、三十歳でやめて注射をしないと、急に今度は重症の結核が起つてくるような疑いがあるのではないかというようなことを私疑問にしておりますので、お聽きしたわけであります。
  69. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 私も大里教授からそういうお話しを聽きまして、またいろいろB・C・G研究の方々にも御意見を聽いておりますが、これをずつとつつこんでいろいろ研究をしておられますたくさんの方々はそれを否定しておられますので、私たちもその点をとりたいと思つております。
  70. 榊原亨

    榊原(亨)委員 その否定されたという具体的な研究、あるいは研究報告がございますか。
  71. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 これは委員会の中でいろいろと話がありまして、公表はされておりませんが、問題に取上げておらぬということで御承知おき願いたいと思います。
  72. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第十九條の記録のことでございますが、具体的にどういうふうに記録をおとりになるおつもりでありますか。たとえて申し上げますと、今まで種痘だけでございますれば、戸籍のところにそういうしるしをつけるということで済んだのでございましようが、かくのごとくたくさんな予防注射になりまして、記録をつくるということになりますと、非常に厖大なことになると思うのでありますが、何か戸籍につけるとか、具体的な方法をどういうふうにお考えなつておりますか。
  73. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 御指摘通り相当いろいろの注射を受けますので、煩鎖になると思います。同時にまた、大権接種してから一週間くらいに記録をつけるのでありますから、そういう台帳をあと役場へしまつておく、そういうものをきめてまいるのでありますが、本人には予防接種通帳をもたしたらいいのじやないか。それも強いて新しくつくる必要もないし、また母子手帳あたり一部流用できればいいのじやないかと考えておりますが、ただいまとしては、私たちは、小さいカードをつくつて、それにつけさせていつたら一番いいのじやないかというように考えております。
  74. 榊原亨

    榊原(亨)委員 そういたしますと、これの記録は戸籍とは別に関係をもたないことになりますと、そこに住んでおります住人の人が、はたして全部したかどうかというようなことはわからなくなるおそれがあるのじやないかと思うのでありますが、その連関はどんなふうにおつけになろうとするのでありますか。
  75. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 これは、注射をします前に一應住民側の名前を取上げまして、そこで台帳をつくりまして、注射してどんどん記入してまいることにいたします。從つて、そこで注射を受けた人は、証明をもつてつて、その人がほかに行つたときには、すでに済んでおる、こういうことを示すことができると思います。大体その形で進んでいきたいと思つております。
  76. 榊原亨

    榊原(亨)委員 そうすると、寄留の屈か何かあるものについてお調べになりまして、そうして大体どこにはだれがおる、かれがおるということをきめて、そうしてほかから変つてきたものはその通帳を示した者だけにはやらない。そういうことでおやりになるつもりでございますか。
  77. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 大体そういうことで、なるたけ煩鎖にならないようにやつていきたいと思つております。
  78. 榊原亨

    榊原(亨)委員 在來の予防接種におきまして、たとえば種痘にいたしましても、その他の臨時の予防接種におきましても、たとえて申しますと、小学校において行われておるような実情を見ますと、相当混雜を來しておるのであります。たとえて申しますと、皮膚を消毒いたしますために、消毒の藥を塗りましても、まだ乾かないうちにまたやるというようなおとがめを受けたこともあるのでありますが、相当混雜するのでありますが、結核の予防注射を行うということになりますと、ツベルクリンの反應を一度見て、そうしてまたその結果によつてやるということになり、それを毎年々々やるということになるのでありますが、これは非常なことになると思うのでありますが、それを具体的に実施する保健婦とか、あるいはその地方に住んでおります医師とか、あるいは保健所のお医者さんだけではなかなかうまくいかないのではないかということを実際の面から考えるのでございますが、その点に関して何かうまいお考え荘おもちでございましようか、承りたいと思います。
  79. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 いま御指摘通り、なかなかこれはいざ実施のときになりまして問題になると思いますが、あまりたくさんの人を少数の人で注射することは間違いの起る点が往々あります。これはある一定の技術をもちまして、それからある一定の時間に、同時にそれだけのことができるように、あらかじめ十分市町村で考えてもらいまして、間違いの起らぬようにいたしてもらう。これに対しましては、特にB・C・Gの注射はなかなか技術も要しますので、一層保健所を中心といたしまして、よく御傳授申し上げまして、遺漏のないようにしていきたいと考えております。
  80. 榊原亨

    榊原(亨)委員 B・C・Gを受けられる方の人数と、これに從事し得る人の人数と、そういう数字的な御計算でもあるのでございますか。
  81. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 今年の契約だけが、十歳から二十五歳までで約一千万名近くになります。それから昨年あたりもそのくらいな数字はしております。またチフスその他の予防注射をいたしました者も数千万に達しておりまして、割合に私たち今日までそう間違いなくいつておりますので、少しく注意をこの一箇年の間にいたしますれば、より以上いい成績をあげられるんじやないかと考えております。
  82. 榊原亨

    榊原(亨)委員 私はこの予防注射については全面的に賛成でありますが、実際の面にあたつて、これをやるのは非常に困難ではないかということを非常に憂えておるものでございまして、先ほどもお話があつたのでありますが、できないことを法律で書いて、あとから物議を釀すということは非常に困ると思うのでありますので、何かこれについての具体的な策を十分お立てくださいまして、末端の実際にこの面に触れております者たちが煩雜なことが起らないようにひとつお願いいたしたいと存ずる次第であります。
  83. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 まつたく仰せの通りでございまして、これに対しましては、私たち医者であり、同時にこういう仕事をしております者としましては、お話の通り責任がきわめて重大だと考えますが、同時に日本医師会その他の医療関係者の方々にも御援助を願わなければならぬのでありまして、この点もすでに法案を出す前に、日本医師会その他に対して御援助のことをお願いしてまいりました。開業しておられるお医者さん連中と十分連絡をとりまして、御期待に副うように努力いたしたいと存じます。
  84. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第二十七條に、「但し、第十三條、第十四條、第二十九條及び第三十條の規定施行の期日は、政令でこれを定める」とありますが、大体お見込は、どんなふうにおきめになるおつもりでありますか。
  85. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 お答え申し上げます。ただいま申し上げました普通の注射は、この七月一日から実施したいと思つておりますが、百日せきのワクチんはきわめて重大なものである。それから結核のB・C・Gは、先ほど申しましたようによく檢定をいたす。そういうものを整備いたします関係上、約一箇年間延ばして、六月三十日、どうかこの日までに十分準備して間違いの起らぬように努力していきたいと思つております。
  86. 榊原亨

    榊原(亨)委員 そういたしますと、B・C・Gにつきましては、一箇年経ちますれば乾燥のワクチンが全部できるお見込でありますか。
  87. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 一箇年経ちますと、約三千万人以上のワクチンが十分できます。乾燥でないとどうしても檢定できませんから、乾燥いたしまして間違いのないようにしていきたいと思います。
  88. 榊原亨

    榊原(亨)委員 ありがとうございました。
  89. 有田二郎

    有田委員 予防接種につきましては、榊原委員が言われたように、私どももまことに賛成でありまして、非常に結構なことだと思うのでありますが、こんなに一遍にはたしてできるか、今榊原委員も御心配のように、私どもも非常に類配であります。また山の中の人までこういうような注射をさせるつもりでおられるのでありますか。地域的にどういうようなお考えがあるか、全國的に全部やらせるというお考えでありますか、伺いたい。
  90. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 これはここに定めております天然痘から始まりまして結核までは全部の國民に、第三國人といえども全部実施していきたい、こういう所存であります。
  91. 有田二郎

    有田委員 実際問題として、山の奥の方で結核というようなものは見たくてもないというような所でもやらせるおつもりでありますか。
  92. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 少し議論になりますが、やはりその人たちが都会その他に出れば一番危ないのでございますから、早くそういう人たちの方にしておいてやることが非常に妥当だと存じますので、できるだけ努力したいと考えます。
  93. 有田二郎

    有田委員 やはり特別な地域をこの法案に設けて、厚生大臣が特に認めた場合はこの限りにあらずというような別項を設けて、そうして漸次及ぼしていく。予防局でこういうような法案をお考えになりましたときに、はたしてほんとうにできる自信はなかつたろうと思う。神樣でない限りは、全國的に今ただちに八千万國民にこれを行うというようなことは、なかなかできないのじやなかろうか。理想はまことに結構でありますけれども、やはりこれに厚生大臣の認めたる場合はこの限りにあらずという拔け道をつくつておおきにならないと、はなはだ困るのではないかと私は思う。たとえば一定の年限を設けて漸次及ぼしていくというなら別でありますが、疱瘡もやる、ジフテリアもやる、腸チフスもやる、パラチフスもやる、百日せきもやる、結核もやる、こういうように一遍にやる。計画はまことに結構でありますが、アメリカでもこういうように一遍にやつておるかどうか。アメリカの場合なら医療設備が非常に完備しておりますが、日本の場合にはなかなかそう完備しておりませんし、また日本の医学は進んでおりますが、一般の人の医学を受けいれる知識が十分できていないんじやないか。そういう面から考えまして、やはり漸次行うていくというのが最も妥当なやり方ではないか。こういうふうに法律をつくつて、私どももやはり法律をつくる一員として、それが実際に実行される面において、実行されないということがわかつてつてそれを認めるということは、われわれとしてはできない。ですからこのうちいくつか、疱瘡とか、ジフテリアとか、結核とかいうような面について最初第一期にやる。特に百日せきで人が死んだというような場合はまれに見るものですが、とにかくこのうちで漸次にそういうふうに及ぼしていくとしても、疱瘡だけでも私ども小学校時代に疱瘡をやつた経驗があるのでありますが、なかなかたいへんなことでありますし、これを全部行うというのは、理想としては非常に結構でありますけれども、漸次行つてつたらどうか。これについて御答弁を願いたい。
  94. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 この法律をつくりますときに、仰せのごとき議論も私どもの中に出ました。実情よりなかなか困難じやないか、山の中ないしはそういう心配のない所は除いてはどうかという氣持もありますが、一方檢定を嚴重にいたしまして、効力のない注射は絶対させなくて、した以上は必ず効力があることがはつきりしておりますものを注射してまいります。そんな関係で、若干仰せのごとき問題については不可能な点もありますので、考えさせられておつたのでありますが、たまたま昨年腸チフス、パラチフスの注射を実施いたしまして、各縣の様子を見ておりますが、秋田縣その他の縣におきまして、ほとんど一〇〇%注射をいたしまして、非常なる成績をあげたのでございます。縣の当事者に会いますと、そう強制的でなく、あらゆる機関が動員されまして、氣持よく注射しまして、自分では九十八、九パーセンとまでいつておる。その会議に出しましてほかの縣が六〇%、七〇%というものがありましたが、自分だけは九十何パーセントいつておるというわけで、疑問なく実施せられております。そういう実施いたしました縣がありますので、各縣とも実施してもらいますことが、一番國民のためになることと存じまして、かくのごとく法律の最後を結んだ次第でございます。
  95. 有田二郎

    有田委員 私は素人でよくわからないのでありますが、この腸チフスなんかも、場所によつて非常に蔓延する所と、あまり蔓延しない所とあるのであります。またその他の病氣についても、非常に蔓延する所と、蔓所とがあるが、その点を伺いたいと思います。
  96. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 この腸チフスの大半の問題は、糞便の中にチフス菌があり、また尿の中に出てきますものが、一番の原因になるのでございます。このところをうまく始末をつけますれば、心配がないのであります。地方におきましても、糞便の始末が惡いとか、またそういう習慣によりまして、割合むぞうさにしておりますとか、こういうところに、この傳播が多いのであります。なお私たちがこのごろ特に考えさせれましたのは、はえなどの駆除を徹底的にいたすことです。また水道の中にぷーんとにおいのする、塩素が相当濃厚にはいつておるのがありまするが、あの水道の水ならば、赤痢、チフス菌が三十秒以内で死減するのであります。そういうふうにだんだん施設が衛生的に整つてまいりました地方におきましては、少くなつておりますが、若干そういうことが非衛生的な所におきましては、多いように存じます。また早くその保菌者をつかまえてしまいますれば、始末がつくのでありますが、保菌者をつかまえないときに、若干傳播するのではないかと思います。
  97. 有田二郎

    有田委員 この予防接種のことは、いずれ專門的に福田委員から御質問があると思うのでありますが、かえつて注射するために惡くなるというようなからだの人もあると思うのでありますが、これらについては、どういうように考えられておりますか。
  98. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 そういう症状のあります方には、医者の診断書をもらいまして、それを保健所長が認めたときには、これをしないことにいたしております。
  99. 有田二郎

    有田委員 やはりこの法律を出して、一遍に全部これをおやりになる、かような御方針でありますか。
  100. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 この法律を出して、即座にされますのが、痘そうとジフテリア、腸パラが施行されることになつております。痘そうは御承知の通り、昔からみんな私たち子供の時代からやつてまいりました。腸パラはお手もとに資料がございますが、昨年六五%くらいまで施行されました。昨年は三回注射でありまして、昨年されました六五%の方は、今年は一回でよい。あとの残つた人が三回されればいいことになつております。それからジフテリアは、一昨年から実施しておりまして、たいへんいい成績をあげておりますので、この痘そうとジフテリア、腸パラ——腸パラと申しますが、これは同じ箱の中にはいつております。この三つは一昨年から実施しておりますので、できると思いますが、あとの結核は、今年政府におきまして、約一千万人にいたすことにいたしております。それから百日せきのワクチンは、いろいろ問題がありますので、ただいま普通のものにかえまして、一番いいものをつくるべく、ただいま製造中でございまして、この製造によりまして実施していきたい、こう考えております。
  101. 有田二郎

    有田委員 この法律は、われわれ立法府として法律をつくるわけでありますが、少くとも法律ができまして、これに対して單にアメリカの状態をそのまま日本にもつてくるというようなわけではいけない。日本は独特の立場があるのでありますから、特に敗戰後の日本の状態というもの、また過去における日本人の性質、また経済的な日本の立場というようなものも十分考えて、そうしてお出しになつ法律についても、この点はこういうふうに改むべきだというようなことは、どしどし改めなければならぬ。出した以上は必ず通さなければならぬものだというお考えは、私は当らないものと思うのであります。特に予防接種の問題につきましては、また將來出されるところの花柳病予防法につきましても、ある程度の人権を侵すということは、私たちはしかたがないと考えておるのでありますが、やはり新憲法趣旨に則つて、われわれは人権を十分尊重してやらなければならぬというように考えるのでありまして、この予防接種の問題におきましても、そう大した効果がないというようなものにつきましては、やらぬよりやつたがましだという程度のものは、ぜひ何とかまた別の方法でやつていただきたい。いやしくも法律によつて人権を侵してまでやる、新憲法精神を侵してまでやるという以上は、相当確信のある注射にしていただきたいのであつて、まだはつきり確信がもてないというようなものについては御遠慮願いたい、かように思うのでありますが、少くともここに出ておる注射藥については、今、百日せきについてはまだ十分確信がないようなお話でありますが、もしも御確信がないようなら、第十三條は抹殺して、確信ができた來年度において、あるいは第三國会において一部改正法律案として上程するようにする。法律というものは一度できたら永久にそれが変らないというものじやなくして、國会ごとに、よいことがあればどんどん入れて、改正していただけばよいことでありまして、この際どさくさまぎれにつくるとか、あるいは現状が占領下だからつくるということであつてはいけない。もしも占領軍がお引揚げになつたあとにおきましても、私どもは責任をもつてよい法律をつくるわけなのでありますから、この際大して必要がないと思うようなもについては、むしろこの法律案のうちからおとりになる方がしかるべきものであると思うと同時に、立法府の私どもとしては、とるべきが至当だろう、おように思うのでありまして、必要なものは次の第三國会、あるいは臨時國会において上程すればよいと思うのでして、少くともここに出ている一から十二まで、このものの予防接種がほんとうに効果的であるという確信がおありになるのか、そのうちこれは確信があるが、これはまだ確信がないというようなことも、併せて承りたいと存じます。
  102. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 御指摘の点、まつたく同感であります。まだこれ以外にいろいろそういう問題があります。長く使われておりました赤痢菌のワクチンのごときは、さらに確信をもちません。また一番國民病として多いものであります。こういうものは全部オミツトいたしまして、すでにここ二、三年來実施いたしまして効果のありましたものをここに並べただけでありまして、私の説明不十分でありましたが、百日せき現在あるのです。それの檢定その他における調査が、現在はつきりきまりましたものを公布その他いたしておりませんので、それからB・C・Gと同じように、製造工程において若干の準備が要りますので、そういう意味で万全を期して、一年延期したのでありますが、これも準備のでき次第、速やかに実施していきたい、こう考えておる次第であります。さよう御承知を願いたいと思います。
  103. 有田二郎

    有田委員 一年延期したものでありますならば、來る第三國会、あるいは第四國会においてこの項を挿入すべきであつて、今ただちに行わないことであるなら、この法律の中に入れるべきでない、かように考えるのでありますが、政府の御趣旨を伺いたいと思います。
  104. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 この法律で一年と言いますのは、製造工程に万全を期しまして申し上げましたので、極力努力いたしまして、でき次第速やかにいたしたい、こういう意味でございまして、ぜひ私たちといたしましては、一日も早くこれが実施されまして、廣く小さな子供それ他が救われますことを念願して提出したようなわけであります。
  105. 有田二郎

    有田委員 修正すべきことは、他の政党とも相談をしまして、あるいは理事会において諮りまして、修正いたしたいと思うので、これをもつて質問を終ります。
  106. 山崎道子

    山崎(道)委員 私は素人でございますから、ごくざつくばらんにお伺いいたします。今まで種痘は、予防接種を受けていただいたわけでございまして、これは十二種類あるのでございますが、今まで種痘はただであつたわけでございます。ところがこれは費用の面で見ますと、やはり実費を徴收するというふうな規定なつているようでございますが、この実費はどの程度を予定しておいでになるか、その点が一つ。  それから今一つお伺いしたいことは、現在一千万人ばかりにB・C・Gをやつておいでになるというお話でございましたが、これを約三千万人にやるのだというお話のように先ほど伺いましたが、それに対しましてB・C・Gをやるだけでどのくらいの費用がお要りになるかという点について、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  107. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 痘そうの方は無料でありまして、これは今度改正いたしまして、國家財政上藥代と消毒材だけということになります。かりに腸、パラ一回注射しますと、その材料費全部入れて平均一人一円五、六十銭ぐらいかかります。それからジフテリアでございますと、これが四、五円かかります。結核が二円二十銭だそうでございます。これだけの御負担を願いますれば、大体それくらいのところで今のところ物價の大勢だといけるのでございます。消毒から奉仕者の手間賃まで入れまして——もろちん困つている人はもらわないのでありますが、それくらいの金を出していただければ、非常に助かるのではないかと思います。人数は、結核は今度十歳から二十五歳までの人が約一千万人おります。この法律でいきますと三千万人であります。
  108. 山崎道子

    山崎(道)委員 困つている人はその限りにあらずということでございますが、これはどのくらいを限度にしておきめになるのでございますか。
  109. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 これは方面委員その他の人の意見によつてやります。困つている人はどんどんただでいたしますが、國家財政上とれる者からはとつていきたい。
  110. 山崎道子

    山崎(道)委員 私は現在の國家財政上と言われるならばやむを得ないと思いますけれども、およそ予防目的としてやるこうした費用を國民から徴收することは、絶対に間違いだと存じます。將來におきましてはこれは無料で、全額國庫負担でなすべきだと私は存じております。それから現在治療から予防へというとこをスローガンにしている私たちといたしまして、幼い子供が救われる百日せきとか、ジフテリアというようなものまで強制接種になることは、全面的に賛成でございます。殊に亡國病と言われておりました結核がB・C・Gの接種によつて、この参考資料を見ても非常に少くなつてきたというようなことは、科学の勝利だと信じますので、これを全面的に施行することを私は心から喜んでいるものでございます。ただこの費用の点、それから手続その他準備の点において十分の御勘案を願いたい。万遺憾なきを期せられるように強く要望いたしまして、私の質問はこれで終ります。
  111. 田中松月

    田中(松)委員 第二條の二項に十二ばかりありますが、この中には一つの接種のために三回もやらねばならぬことになると、一箇月に一回ずつというようなことになります。そういうぐあいになるとあまりに煩雜で、毎月々々予防接種ばかりやつておるようなことになるおそれがあると思いますが、これはどういうぐあいになりましようか。
  112. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 一から六までが定期でございまして、あとの七から十二までは何か病氣が出なければやらないのでございまして、これはほとんどないのでございます。発しんチフスが非常にはやれば、その地区だけをやります。またコレラがはやれば、はやつた地区だけを指定してやらせます。痘そうから結核まででございますが、これは表をつくつて見ましたが、きわめて時間がかからずに済みます。それから腸チフスあたりのもう三回なされますと、あとブスターと申しまして、またもとの効果に返つてまいります。そういうぐあいで割合に少くて済みます。
  113. 田中松月

    田中(松)委員 それから七からあとの病氣がはやつたときに、地域を定めてやるという場合も、やはり費用をおとりになるつもりかどうか。それと、簡單ですから一緒に伺いますが、接種による副作用と言いますが、たとえばB・C・Gの場合、大きな潰瘍ができるというのでいやがつておるような向きがありますが、その点今はどうなつておるか。それからもう一つは、接種のとき何でもなかつた人が、注射を受けたためにひどい病氣にかつて亡くなる、これは余病が併発したかもしれぬ。ちようどそういうぐあいのときに、偶然注射を打つた結果であるかも知れませんが、世間的に言いますと、注射を打つたために死んだ、これはだんだんつきとめていくと、実は何百人という注射をしておるうちに、注射の針を刺し込むが、上の方を刺し込んだときには薄いのがはいつて、一番しまいになると濃厚な液になつておる。それがそういう原因になるのだということをうわさしております。これはただ單なるうわさでありますが、何かやはり根拠がありましようか。そういう点をひとつお聽かせ願いたいと思います。
  114. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 まず初めに費用ですが、臨時の場合には、みな防疫費用で縣と國が負担をしていくつもりであります。それからB・C・Gの潰瘍でございますが、これは仰せのごとく昔は潰瘍ができました。これは日本の学者が長與先生を中心にしてあらゆる研究をいたしました。このごろは超短波を使いまして、B・C・Gのいい液をつくるようにしておりますが、そういう関係で潰瘍が非常に減りまして、ちよつとできたときでも、赤チンを塗つておけばすぐ止まつてしまう。日本のB・C・Gの研究は昭和十三年長與先生のもとにおいて実施されたたのでございますが、当初私は外國から帰つてまいりまして、B・C・Gのごときはもつてのほかだと言つて、その委員会にまで行つて反対をしたくらいですが、実に研究されて世界に冠たるものとなりました。このごろは飛行機でアメリカからしよつちゆう製造所の研究に参られ、また國際連合でもこれを取上げて四千万人分要ることになつております。このようなことは日本の成績がその基準をなしておるやに聞いておりますので、私たち長く労苦を拂われた先生には敬意を表しておりますが、一番最初は研究に行つた若き技官の一人でございます。現在では非常に進歩しておりまして、その成績はきわめて良好であります。そんな関係で潰瘍はほとんどありません。技術もよくなりましたし、製造もよくなりました。それから突然の死でございますが、これに対して非常に私は神経を使いまして努力しております。昨年も通算するとかれこれ何百万人という人にチフスの注射をしたのでございますが、これにそういうような事例がございましたが、そういうときにはただちに前もつて縣の方へ連絡をとりまして、貴い死をむだにせず、何がゆえになつたのだろううので、できれば解剖までしまして学会で委員会をつくつて調べておりますが、これは未だにわかりません。そういうことの起りませんように極力努力しますが、特異体質の人がままありますので、非常に努力し、もちろんその究明に努力いたしております。予防衞生研究所で極力いたしております。  それから今の注射のときでありますが、ときどきちよつと間違えて、この間あたりガソリンをさしてしまつて手をすつかりはらせましたので、これもすぐ私の方がら行つております。地方新聞を見ておりますとよくそういうことがあります。そういう例があるとそれを全國の縣へ通知いたしまして、そういう間違いをするな、これは先生でなくて係員がついびんを間違えて、謄写版のガソリンのびんがワクチンのびんと同じようですから、それを持つてつたのだすが、先生もうつかりしてさした、そういたらすぐ痛い痛いと言うので、そんなに痛いわけはないと言つて見たら謄写版のガソリンであつた。こういうようなことはよく保健所で監督いたしまして、間違いがあれば早速縣へ注意して、そういうことを起さぬように努力しております。何が起りましたら御注意いただきまして、完全にいたしたいと思います。
  115. 田中松月

    田中(松)委員 さきにいろいろ資料をいただいたおりますが、あるいはその中にあるかと思いますが、特にB・C・Gをやつたために、どういう率でこういうよう結果が現われているというような、そういう資料をいただいておつたでしようか。
  116. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 中にはいつておりますが、一番私たちが強調したいことは、戰後人口一万に対して二八・幾つまで死亡者がありましたけれども、昨年は人口一万に対して一八・一で、十人ほど結核死亡が減りました。これはうれしいことでございますが、そのうち特にうれしてのは、戰爭中特にB・C・Gを全國的に盛んにやつてつた関係と思うのでありますが、その数は相当数になります。結核にかかつて一番死ぬ年齡の若いところがずつと減つた点であります。これは北海道の札幌、栃木縣、金沢あたり非常にやつている。二十から三十ぐらいの結核で一番死ぬ年齢の人が助かりまして、だんだんと外國式に若い人の死ぬ数が少くなつて老人において死ぬ。日本は青壯年期に死ぬのでありますが、その山がぐつと減つてまいりました。お手もとにその数字は差上げてあります。要はB・C・Gをいたしまして、大体発病は二分の一、死亡は八分の一になるのであります。そういうふうな減り方を現実いたしております。
  117. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 第二條の2に、「予防接種を行う疾病は、左に掲げるものとする。」とありますが、これはどううことを基準にしてお考えなつておりますか。
  118. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 お答えいたします。この予防接種を行う疾病は、先ほど有田委員からも申し述べられましたように、いろいろな予防接種その他がございますけれども、その中で学術的にほんとうに根拠のあるものだけを特に選びまして、実施することにいたしております。
  119. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 インフルエンザとか、ワイル病というようなものに対しましては、私どもの知り得る範囲におまきしては、予防効果というようなものはそれほど高く買われていないものだと思います。こういうものを規定なさる場合におきましては、どういうことをお考えなつておりますか。
  120. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 インフルエンザ、ワイル病でございますが、これは流行が起りましたときに、そのときのスタムをとりまして、インフルエンザはいたします。ワイル病はすでにきまつておりますが、その地方に臨時的に行うつもりで臨時種痘の方に加えておきました。
  121. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 こういう流行に備えての予防接種の藥品というものは、十分に用意があるのでございますか。
  122. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 ワイル病の方は大体ございますが、インフルエンザもそのときの禁忌を中心にいたしまして、ただちにできるだけの設備は御承知の通り相当ございます。
  123. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 予防接種の対象となる予防注射の種類、それに対する人員の総数の概要を御説明願います。
  124. 金井進

    ○金井説明員 痘そうの方が第一期種痘該当が二百七十万、第二期種痘が百九十二万、第三期種痘が百七十万、ジフテリヤの第一期に該当する者が二百六十万、第二期に該当する者が百九十万、第三期に該当する者が百七十万、腸パラの方ではいわゆる三回免疫をやります者が百九十四万、ブスタでやります者が六千四百万、そういう数字になつております。
  125. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 これに從事するところの医師とか看護婦とかいうものに対する予定数はどうなつておりますか。
  126. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 予定数はちよつと今こちらに資料を持合わせておりませんが、大体私は一分間で何人ということを基準にしていつたら一番いいのではないかと思います。要するに一分間で六人前後という数字で計算していきたいと思つております。
  127. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 そういう予防接種をします場合に、おもに動員するのは保健所であると思いますが、保健所の人員によつてそういうことができるのでありますか。
  128. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 保健所の職員だれではしないつもりでありまして、これは廣く開業のお医者に御協力を願うことにしております。
  129. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 第十二條の2の項に「腸チフス又はパラチフスの予防接種を行うときは、あらかじめその予防接種に対する禁忌徴候の有無について健康診整を行わなければならない。」ということがありますが、どの程度の健康診断をするのでありますか。
  130. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 これは御承知の通り、一應本人から病氣があるということを言つてもらうことを、事前によくお願いしておきます。同時に医者には、初めての人については問診以外に、一應聽診もしてもらうつもりであります。そして病氣がありますれば、その人に証明書を出していただいて、あと永久にできない人は永久に、またその年だけでいい人は若干延期してやつていく、こういう式でやつていきたいと思います。
  131. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 腸チフスやパラチフスの予防注射にあたりましては、これは禁忌症状としていろいろな疾病があげられるかと思いますが、そういうものは患者が自覚しておる場合と、あるいは慢性になつていて、それほど重症と認めていない患者もあると思いますが、患者の言葉をもつてそういう健康診整をするということは、これは片手落ちであろうと思います。ですからこの禁忌症状の有無を調べるための健康診断というものを、まず前処置としてしなければならぬのではないかと思いますが、そういうことに対するお考えを承りたいと思います。
  132. 濱野規矩雄

    ○濱野政府委員 まつたく同感でございまして、私が申しましたのは、会場の入口でそういう病氣のある人は前もつてつてくれということで、一應お願いしておきました。同時に先ほど申しましたように、問診もし、聽診もしてやつていきたいと思います。
  133. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私の質問は一應これで打切ります。
  134. 山崎岩男

    山崎委員長 本法案につきましては、質疑を打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼で者あり〕
  135. 山崎岩男

    山崎委員長 御異議なければ、予防接種法案質疑を打切ります。     —————————————
  136. 山崎岩男

    山崎委員長 次に参議院提出優生保護法案を日程に追加しまして、議題に供したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 山崎岩男

    山崎委員長 御異議なければ、本法案議題といたします。審議に先だちまして、谷口参議院議員より提案理由説明を聽取いたしたいと存じます。
  138. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 提案の理由を簡單に申し上げます。実はこの案は衆議院、参議院議員十名の共同提案でありまして、前回までに福田委員から提案理由説明しているのでございます。從つて院議によりまして、参議院が先議になつた結果、ここにさらに提案理由を申し上げるのでございますから、ごく簡單に申し上げたいと思います。  提案の理由といたしまして、私どもが特に考えましたことは、昭和十六年、すなわち戰爭中において國民優生法なるものができましたが、その優生法なるものはいわゆる遺傳性の疾患をもつておる惡質者の出生を減少するというのが目的であつたのでございますけれども、それは任意断種のために目的を達しておらぬのでございます。なお戰時中におきましては母性を犠牲にいたしまして、健康などは問題にせず、母性に対しましては出生増加を第一の主眼点に置いたのでございますけれども、新憲法のもとにおきましては、人権尊重の意味から申しましても、母性の健康を保護するということがきわめて必要であると思いまして、それにはある程度の人工妊娠中絶なども拡張いたしまして、母性保護の方面に向けなければならぬと存じておるのであります。從つてかかる方面を適正にいたしますために、この法案三十七章のうちにおきまして、あるいは任意断種の方面とか、強制断種、または妊娠人工中絶などの項目がございまして、それに対しては三種類の優生保護委員会を置きまして、それぞれそれを審査するようにいたしておるのでございます。なお各地に優生結婚相談所なるものを置きまして、そうして優生の見地からなるべく不良の子孫の出生を防止しますように、またある場合には受胎制限などにつきましても、その方面から知識を一般の國民に普及したいというように存じておるのでございます。時間がありませんのでごく簡單に今度提案いたしております優生保護法案の大体を申し上げておきました。なお詳しいことはまた質疑の場合に答弁をいたしたいと思います。
  139. 山崎岩男

    山崎委員長 残余の日程は次会に延期いたします。次会は明二十八日午前十一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会