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1948-06-16 第2回国会 衆議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十六日(水曜日)     午後一時五十八分開議  出席委員    委員長 山崎 岩男君    理事 有田 二郎君 理事 中嶋 勝一君    理事 田中 松月君 理事 武田 キヨ君    理事 徳田 球一君       井上 知治君    大石 武一君      小笠原八十美君    近藤 鶴代君       山口六郎次君    太田 典禮君       福田 昌子君    荊木 一久君       最上 英子君    野本 品吉君       松本 眞一君    齋藤  晃君       榊原  亨君  出席國務大臣         厚 生 大 臣 竹田 儀一君  出席政府委員         厚生事務官   木村忠二郎君         厚生事務官   久下 勝次君  委員外出席者         專門調査員   川井 章知君     ――――――――――――― 六月十五日  優生保護法案太田典禮君外五名提出衆法第七  号)  優生保護法案参議院送付)(予参第七号) の審査を本委員会に付託された。 六月十五日  療術業存続陳情書  (第五七八  号)  復興住宅建設促進陳情書  (第五九三号)  療術業存続陳情書  (第六二四号)  建築制限並びに無届建築取締強化に関する陳  情書(第六三二号)  恩給増額に関する陳情書  (第六四五号)  計画住宅建設費全額國庫負担陳情書  (第六五  四号)  生活協同組合法制定促進に関する陳情書  (第六五八号)  部落問題の解決に関する陳情書  (第六六二号)  潟町村結核療養所施設の完成に関する陳情書  (  第六七一号)  癩患者生活保護に関する陳情書  (第六七四  号)  國民健康保險制度強化に関する陳情書  (第六七六号)  療術業存続陳情書  (第六九〇号)  藥事法改正に関する陳情書外一件  (第七〇八号)  生活協同組合法制定に関する陳情書  (第七一六号)  療術業存続陳情書  (  第七三四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  藥事法案内閣提出)(第八八号)  麻藥取締法案内閣提出)(第九一号)  民生委員法案内閣提出)(第一〇〇号)  大麻取締法案内閣提出)(第一一四号)  厚生年金保險法等の一部を改正する法律案(内  閣提出)(第一三一号)  國民健康保險法の一部を改正する法律案内閣  提出)(予閣第一〇号)     ―――――――――――――     〔筆記〕
  2. 山崎岩男

    山崎委員長 ただいまより会議を開きます。  まず厚生年金保險法の一部を改正する法律案及び國民健康保險法の一部を改正する法律案の両案を一括議題に供します。審査の先立ちまして政府側より提案理由の説明を聽取いたします。竹田厚生大臣
  3. 竹田儀一

    竹田厚生大臣 ただいま議題となりました厚生年金保險法等の一部を改正する法律案について提案理由を説明申し上げます。  厚生年金保險では標準報酬を基準といたしまして、保險料を徴收し保險金を決定いたしておりますが、この標準報酬月額最高限は戰時中の六百円がそのままになつておりまして、その結果制度全体といたしましては、いわば冬眠の状態にあるのであります。  ところが、最近問題となつております社会保障制度などとの関連で、その最高限を一躍改正健康保險と同額の八千百円に引き上げ、これにつれ、保險給付実生活に適するようにいたすのでありますが、これに伴なつて増加する保險料につきましては、給付が十数年の將來に約束されております養老給付の面で調節致しまして、保險料率を奥三分の一に引き下げ、もつて、被保險者事業主負担に沿うように工夫した次第であります。  また、現行制度におきましては、何と申しましても制度自身がいわゆる長期保險でありまして、老後の養老給付申心考えられております関係上、被保險者であつた期間二十年末滿の者には、障害給付のほかは、掛金拂戻程度脱税手当金の支給しかなかつたのでありますが、これ等の者に対しましては、長期保險保險給付といたし、残されておりました最後の給付寡婦年金と遺兒年金をこの際新たに加えまして、もつて制度全体の充実を期したいと存ずるのであります。  なお、最近の立法趨勢に鑑みまして、從來施行令施行規則に委任されておりました、被保險者事業主権利義務に関する重要事項は、すべてこれを法律の中に規定いたしまして、その権利擁護に万全を期していと存ずるのであります。  何とぞよろしく御審議くださるよう御願い上げます。  次にただいま議題となりました、國民健康保險法の一部を改正する法律案について説明いたします。  昭和十三年七月一日國民要望に應じて、國民健康保險法が実施せられてから、ここに十年を経過いたしました、その間本事業経営主体である國民健康保險組合は、全町村の九八%また六大都市を除く市部の六三%に組合が設立されました、しかして、その組合数は一万余、被保險者数は四千万人余に達して、わが國の社会保險としては、最大なものとなりました。この中多くの組合昭和十七年、十八年にわたり設立されたものであります。ところが、組合がいよいよ本格的の活動に移るべきころから、戰禍は内地周辺に及び維組合事業運営は、非常な苦境に陷つたのであります。しかし、その間、関係者は鋭意組合の育成に努力してきたのであります。たまたま終戰を契機として起つた種々の惡條件に支配されて、組合の約半数は不振状態となりました。申なまでもなく、最近における國民大衆生活において、医療費負担の問題は非常な重圧を感じてまいりました。この問題の解決國民健康保險組合の活発なる活動にまつところが多いのであります、ここにおきまして政府は、本制度を一層強力なものとして、これによつて現下國民生活安定と社会平和の一端に資したいと念願しているのであります。  本制度の改善に関しましては、すでに関係方面から種々要望されておりますので、これらを考慮に入れて、ここに本法改正案提出した次第であります。今回の改正案のおもなる点は、第一に國民健康保險を行う者は、原則として國民健康保險組合でありますが、ただ営利目的としない社團法人にして、一定の要件を具備するものについては、組合事業を行うことを認めております。  今回の改正において、國民健康保險を行う者は、原則として、市町村又は市町村組合といたしました。しかし市町村において、これを行わない場合においては、國民健康保險組合または営利目的としない社團法人に認めることといたしました。  これは本制度の性質に鑑み、市町村が行うことが適当であると考えたのと、事実本事業市町村行政と密接な関係にありまして、むしろ市町村行政の中に取入れることが事業運営上便利であり、かつ、効果的と思われる点が多いからであります。  第二に本制度任意保險の第前でありまして、從つて組合員の加入も、脱退も原則として任意であります。しかし本制度のごとき公的施設任意制度の形態では、その目的達成に幾多不便の点があるのであります、海外先進國の例について見ましても、こひの種制強制主義に切り換えられている情勢にあります。現在國民健康保險組合事業が不円滑であることは、こうしたところにも一原因がひそんでいるのであります。  今回の改正におきましては、市町村國民健康保險を行うとき、または普通國民健康保險組合が設立されたとき、もしくは社團法人に対し國民健康保險を行うことの許可があつたときは、その地区内の世帶主及びその世帶に属する者は、他の社会保險または法令による共済組合の被保險者もしくは組合員その他特別の事情のある者を除き、他はすべてこれを被保險者とすることといたしました。すなわちこれによつて現在の任意制度に一歩進めて、ある程度強制保險の方向によらしめ、もつて制度の弱点を補い、また將來わが國に実施せられることと予想せられる社会保障制度に近づけたものであります。  第三に普通國民健康保險組合構成分子である組合員は、現在におきましては、その地区内の世帶主でありますが、今回の改正におきましては、これを地区内の世帶主及びその世帶に属する成年者といたしました、すなわち組合員範囲を拡大して多数の者を組合運営に参画させて組合の存立を強化しようとするものであります。  第四に組合地区は、市町村の地域によることを原則といたしておりますが、今回の改正におきましてはまたは二以上の市町村区域といたしました。すなわち危險分散の範囲を拡大して、組合財政的基礎を強固にしようとするものであります。なおこのことは社團法人の場合においても同樣であります。  第五に療養給付を担当する医師歯科医師、藥剤師は、現在においては、都道縣知事がこれを定める強制指定制度でありますが、今回の改正におきましては、保險者療養を担当する者とが契約によつて、これを決定することにいたしました。從つて療養を担当しようとする意見を有する者のみがこれに、携はることになりますから、その間におのずから了解もできて、医療給付円滿に行われることと存じます。  また療養担当者に支拂うべき額も保險者療養担当者とが話し合いの上で定めて、都道縣知事の承認を受けることといたしました。從つて地方々々の実情に即した額が定まり、その額に妥当性を得られることと存じます。  その他、権利救済等事務的関係事項に若干の改正を加えた点がありますが、要は現在の國民健康保險の短所を補い、これによつて事業運営活発化をはかり、本制度が眞に國民大衆実生活に即したものにしたいと考慮したものであります。
  4. 山崎岩男

    山崎委員長 それではただいまより本日審査の予定であります各案について懇談いたしたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山崎岩男

    山崎委員長 御異議がなければただいまより懇談会に入ります。      ━━━━◇━━━━━     〔午後二時十分懇談会に入る〕     〔午後三時十三分懇談会を終る〕      ━━━━◇━━━━━
  6. 山崎岩男

    山崎委員長 懇談に入りました以前に引続き会議を開きます。麻藥取締法案及び大麻取締法案議題といたしまして審査に入ります。
  7. 榊原亨

    榊原(亨)委員 大麻取締法案第五章第五十二條に「大麻草栽培区域及び栽培面積厚生大臣及び農林大臣がこれを定める」とありますが、これと食糧確保臨時措置法案との関係はどうなつておりますか。
  8. 久下勝次

    久下政府委員 大麻草栽培区域及び栽培面積については、農林大臣がその大綱を定め、これに基いて厚生大臣がその細部を定めることになつておりますので、農業大臣大綱を定めるとき、食糧確保臨時措置法との関係を調整するものと考えられますとともに、大麻草栽培地主要食糧栽培地と重複する場合が少いので、問題はないものと考えております。
  9. 榊原亨

    榊原(亨)委員 ただいまの政府委員答弁は了承いたしかねます。主要食糧栽培地大麻草栽培地と重複しないという点も事実と違うので、両法の運用上多大の問題を起すと思うが、政府はいかに考えますか。
  10. 久下勝次

    久下政府委員 大麻草栽培地主要食糧栽培地とが全然重複しないと申したのではないのでありまして、さような場合にも、大麻草栽培地に関して大綱を決定する農林大臣食糧確保臨時措置法との関係を調整することと考えるのであります。
  11. 榊原亨

    榊原(亨)委員 麻藥取締法二條第十二項に家庭麻藥の定義があるが、この規定によつて、実際上支障を來すおそれはありませんか。
  12. 久下勝次

    久下政府委員 支障ないものと考えて居ります。
  13. 榊原亨

    榊原(亨)委員 麻藥取締法第十四條第一項但書に、病院診療所麻藥管理者が記録をつくらなければならない規定がありますが、これは各医師診療録麻藥の使用に関して記載する以外に、別に管理者が帳簿に記入しなければならないという意味ですか。
  14. 久下勝次

    久下政府委員 さようであります。
  15. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第三十九條の規定によると、麻藥中毒患者で、麻藥を絶対に用いないことにすると生命危險があるというよう者に対しても、麻藥を使用することができないことになり、適当でないと考えるが政府はどう考えますか。
  16. 久下勝次

    久下政府委員 麻藥中毒患者禁断療法を施す場合、麻藥を與えないからといつて、そのために生命危險を生ずるということはないと承知しております。
  17. 榊原亨

    榊原(亨)委員 もし生命危險を生ずることがあつたらどうしますか。
  18. 久下勝次

    久下政府委員 さようなことはないと考えますが、もしあつたら適当に考慮します。  なお食糧確保臨時措置法案大麻草栽培面積との関連につきまして申し上げます。主要食糧生産数量及び供出数量食糧確保臨時措置法案第三條の規定によりまして、農林大臣都道府縣別に定めることになつております。從いましてその栽培面積もおのずから定まるものであります。從來実作反別を見まするに、主要食糧栽培面積のほか工藝農産物側培面積が約十三万町歩ございます。この中に大麻栽培面積である五千町歩が含まれております。從いまして主要食糧栽培面積には何ら関係がございません。大麻草從來実作反別許可面積である五千町歩以内でありますので、大体において栽培者希望通り栽培許可することができるものであります。     〔以下速記
  19. 山崎岩男

    山崎委員長 ではこれから速記を始めてください。
  20. 榊原亨

    榊原(亨)委員 その点に関してはまだ了解に苦しむのでございまして、これは一應当局におかれて農林当局とよく御相談の上、食糧確保臨時措置法案とのつながりをはつきりさしていただきたいと存じます。
  21. 久下勝次

    久下政府委員 ただいまの榊原委員の御発言につきましては十分農林当局とも話合いをいたしまして、調整をはかるようにいたしたいと思います。
  22. 山崎岩男

    山崎委員長 大麻取締法案に関する質疑はございませんか。     〔「なしと」呼ぶ者あり〕
  23. 山崎岩男

    山崎委員長 大麻取締法案に関する質疑を打来つて差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 山崎岩男

    山崎委員長 それでは大麻取締法案に関する質疑を打切ります。     —————————————
  25. 山崎岩男

    山崎委員長 次に麻藥取締法案及び民生委員法案の審議にはいります。質疑を許します。
  26. 榊原亨

    榊原(亨)委員 麻藥取締法案二條十二項で、これらの麻藥含有量が示されておりまするが、これを大量に集めまして、これから麻藥を抽出するようなおそれはないのでございますか。
  27. 久下勝次

    久下政府委員 事実的にそういうふうな心配はないものと考えます。
  28. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第十四條の二項の「麻藥管理者のある病院又は診療所麻藥施用者当該病院又は診療所において」云々ということがありますうちに、「当該麻藥管理者がその麻藥品名数量及び施用又は交付年月日を記入し」ということがあるのであります。在來の実例から申しますと、これらの病院診療所におきましては、その交付の日にちを便宜診療カルテ記載の日をもつて代用されておるのでありますが、このたびの法案によりますと、これらの病院における診療当事者責任をもたず、ただ管理者のみが責任をもつてこれらの記帳をはつきりしなければならぬということになりますと、非常に煩雜なることが起つてくるのでありますが、この場合にカルテその他の記載をもつて便宜これにかえるというお考えはございませんかどうか、承りたいと思います。
  29. 久下勝次

    久下政府委員 この場合に麻藥管理者に特別な措置をお願いたしておりまするのは、ただいまお話のございましたカルてとは別のものを考えておりまして、カルテにこうした記載をすることはもちろんでありまするが、それ以外に麻藥管理者が毎日麻藥交付しました量、何時にどれだけのものを出したというような品名数量と、その年月日を毎日集計をして記載をしていただきたいという意味でございます。
  30. 榊原亨

    榊原(亨)委員 それではその一日の集計でよろしゆうございますか。
  31. 久下勝次

    久下政府委員 それで結構でございます。
  32. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第三十九條の中毒を治療するために麻藥を施用することができないということでありますが、現今の麻藥禁断療法によりまして、強力な麻藥中毒患者を、初めから麻藥を使わないで禁断療法をするという実際的療法があるのでありますか、承りたいと存じます。
  33. 久下勝次

    久下政府委員 麻藥中毒者の治療のためには、麻藥を使わないということが最も理想的な療法であり、それ以外に療治の方法がないように考えておりますので、さような特殊な麻藥中毒患者でありましても、これを治療いたしますためには、麻藥を使わないでやるという建前でまいりたいと思います。
  34. 榊原亨

    榊原(亨)委員 実際上強力なる中毒患者の場合には、急激に禁断療法をすることによつて、脈搏その他が惡くなつて生命危險をも來す場合があるのでありますが、それでもなお中毒患者には麻藥を施用することを禁止しようというお考えでございますか。
  35. 久下勝次

    久下政府委員 私どもとしては、麻藥中毒患者麻藥の施用を禁止いたしますために、生命危險に瀕するというような実例を聞いておらないのでございます。
  36. 榊原亨

    榊原(亨)委員 それでは生命危險がないという前提のもとにこの法律をおつくりになつたのでありまして、もしも事実上生命危險があるという場合には、便法としてこれをお認めくださいますかどうかを承りたい。
  37. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもとしては生命危險がないものという認識のもとに、かような規定を設けたのであります。実際問題として御質疑のようなことが起りました場合には、適当な考慮を拂うつもりであります。
  38. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第四十九條に「麻藥のため公安をみだすもの又は麻藥中毒により自制心を失つたものを発見したときは、」云々「六箇月收容しなければならない。」ということがありますが、これらの公安をみださない者、あるいは自制心を失わない者の中毒患者については、どんな処置をおとりになるおつもりでありますか。
  39. 久下勝次

    久下政府委員 その程度のものにつきましては、監視をいたすことになりまして処置いたしたいと思つております。
  40. 榊原亨

    榊原(亨)委員 その監視をするといいう法律的根拠はどこにありますか。
  41. 久下勝次

    久下政府委員 監視をするということにつきましては、特段の法律的な根拠を設けてないのでありますが、御承知の通り麻藥主務警察権をもつております麻藥統制官が全國に配置されておりますので、それらの者が十分注意するようにいたしたいと思つております。
  42. 榊原亨

    榊原(亨)委員 終りました。
  43. 山崎岩男

    山崎委員長 それでは委員長からお尋ねしますが、麻藥患者に対して朝日賞をいただいたアイエムという藥がありますが、その効果について政府でもつて実驗されたことがありますか。
  44. 久下勝次

    久下政府委員 政府といたしましては実驗したことはございません。お話のような藥がありますことは承知しておりますし、またこの藥が中毒患者に対しまして禁断療法を施します場合、この禁断症状を緩和いたしますために、相当な効果があることを聞いております。從いましてこの法規によりまして、麻藥中毒患者を收容いたしますような場合には、活用いたしたいと思つております。
  45. 山崎岩男

    山崎委員長 それからお尋ね申し上げますが、國立病院でもつて、たとえて申しますると、青森縣の大湊にあります國立病院のごとく、ああいう所に患者を收容しまして、そうして療法を與えていつた方が大変好都合であると思うのであります。ただいま中國その他から引揚げてまいりました引揚民の中にも、麻藥患者が非常に多いのでありまして、これをこのまま捨ておくということは、人道上の重大問題であると考えますので、國立病院における状況を御調査の上で、適当な処置をとつてくださつたならば、大変患者に対しても有益であり、また地方の人も喜ぶだろうと思います。その点について御御見を伺います。
  46. 久下勝次

    久下政府委員 お話通り十分処置をいたすつもりであります。なお御引例にはございませんでしたけれども東京附近には武藏野療養所という精神病の療養所もございます。これらも相当なベツトが空いておりますので、これらの者の收容施設として十分活用してまいりたいと思います。
  47. 山崎岩男

    山崎委員長 麻藥取締法案について他に御質疑ございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 山崎岩男

    山崎委員長 麻藥取締法案に対する質疑は打切つて差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 山崎岩男

    山崎委員長 それでは麻藥取締法案に対する質疑を打切ります。     —————————————
  50. 山崎岩男

    山崎委員長 次に民生委員法案についての質疑を許します。武田委員
  51. 武田キヨ

    武田委員 私は民生委員法案につきまして、一般的の質問と、各條について御質問申し上げたいと思いますが、まず一般的質問に先立ちまして、政府の御意見を伺いたいのであります。この法案につきましては、第一回の國会におきまして、兒童福祉法制定されましたときに、それに伴つて兒童委員制度ができましたので、從來民生委員はすべて兒童委員を兼ねるということになりました。そのため民生委員の総改選行つたのであります。兼ねてそのときに、婦人民生委員として多数にこれを委嘱してもらいたいということの要望をいたしておつたのでありますが、その改選の結果どのような状態婦人民生委員が今委嘱されておりますが、それを承りたいと思います。
  52. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この四月に改選になりました民生委員婦人民生委員割合でございますが、改選前において婦人民生委員は一万三千八百九十六名、委員総数に対しまして一〇・九六%という割合になつてつたのでありますが、この改選の結果といたしまして、婦人民生委員の数は二万二千六百二十三名、委員総数に比較いたしますと一八・六一%に増加いたしております。もちろんこの増加の状態が十分であるというふうには考えられないのでありますけれども、以前に比較いたしまして、大体二倍近くに増加いたしております。政府におきましては兒童委員との関係もございますから、今後機会あるごとに婦人民生委員が殖えるように、できるだけ指導いたしてまいりたいと考えております。
  53. 武田キヨ

    武田委員 民生委員委嘱状況は大体わかりましたが、本法案の附則を見ますと、現在の民生委員は、この法律案が通過いたしました場合、続いて本法による民生委員となるということになつているのでございますが、そういたしますと、今政府委員の御答弁の、次第に増加したい御意向であると承りましたことは、どういう手続によつてなさるお考えでございますか。
  54. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 現在の状況從來よりも非常によくなつていることは、ただいま申し上げましたような次第でございます。われわれといたしましては、なお一層婦人民生委員が進出するように希望いたしている次第でありまして、今後民生委員改選等の機会におきましては、そういうふうに指導いたしたいと思います。なお欠員ができて補充するといつた場合においても、できるだけそういうふうに指導してまいりたいと考えております。
  55. 武田キヨ

    武田委員 三十二條によりますと、その任期はこの法律施行の日から三年となつておりますが、そういたしますと、欠員のあつた場合以外には、このままの状態でおかれるのでございますが、現在の民生委員の中には婦人が少いのみならず、好ましくないような者も相当あると考えるのでございますけれども、これに対してはこの法律による手続によらなければその改選は行われないのでございますか。
  56. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 お答えいたします。われわれといたしましては、欠員ができた場合には補充してまいらなければなりません。また現在においても定員がお手もとに配付いたしました資料にございますように、十二万八千二百九十三名に対して十二万一千六百八十名の任命になつております。まだ欠員は若干あるようでございますから、これらの欠員の補充その他において、今後やめていく者もありますから、そういう際にはできるだけそういうふうに指導してまいりたいと考えております。
  57. 武田キヨ

    武田委員 次に從來民生委員命と本法案との主な相違の点が承りたいのでございます。特に從來民生委員命とはどういう点についてこれが進歩いたしているのでございますか。
  58. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 お答えいたします。從來民生委員命と本法案との異つておりまする要点は、大体大臣の提案理由の説明の際に要旨だけは説明してありますが、若干詳細に申し上げてみたいと思います。從來民生委員命と本法案とのおもな差異は、大体八つに要約できるかと思うのであります。第一は民生委員の選出方法の民主化をはかつたことであります。第二は民生委員の資格要件を明らかにきめたことでございます。第三は民生委員の心構えを法文の上に明らかに示したことでございます。第四は民生委員の解職の規定を詳細に規定したことでございます。第五は民生委員の任期を三年といたしたことでございます。第六は民生委員の指導訓練に関する規定を設けたことでございます。第七は民生委員協議会の常務委員並びに民生委員事務所に関する規定を設けたことであります。第八は民生委員に関する費用についての國庫補助の規定を設けたことでございます。以上の八つの点が從來と変つている点であります。これらにつきまして各項別に簡單に御説明申し上げます。  まず民生委員の選出方法の民主化をはかつた点につきましては、現行の民生委員命は必ずしも適当であつたとは言えない面もあるように考えられますので、次のごとき三点につきまして改正をいたしたのであります。その一つは、民生委員の推薦母体である民生委員推薦会の構成でありますが、これは從來民生委員推薦委員会という名をつけておりまして、そのこまかい点は省令の方に規定いたしておりました。省令ではこの委員会委員市町村長が單独でこれを委嘱することになつておりましたために、ややもしますと、市町村長の独断に流れるおそれがありましたので、本法案におきましては、これを法案の第八條に明記いたしまして、推薦会の委員市町村議会の議員、社会事業の実施に関係のある者、その他学識経驗のある者の中から市町村長が市町村議会の意見を聽いてこれを委嘱する方法を採用したのであります。この市町村議会の議員が推薦会の委員に含まれておるのでありますが、これにつきましては議員の中から委嘱される委員の数は、委員総数の四分の一以内でなければならないというふうに規定いたしまして、大部分の委員市町村議会の議員で占めるということのないように制限いたした次第でございます。なお推薦会と名前をかえましたのは、委員会という名称が使えなくなつた結果、推薦会という名前にかえたのでありまして、性質といたしましては從來の推薦委員会と同樣でございます。  第二に改めました点は、推薦委員会と同じようなものでありますが、民生委員審査会の構成の点につきましてこれを改めたのであります。從來民生委員審査会は民生委員詮衡委員会という名をつけておつたのであります。これもやはり省令で規定いたしておつたのでありますが、本法案におきましては、その名前を民主委員審査会と改めまして、なおその詳細につきまして法案第九條に明記いたしたのであります。会の名称を審査会といたしましたのは、詮衡という文字が使えなくなりましたことと、委員会の名称が使えない結果でございます。この審査会の構成は三人以内の都道府縣議会の議員、社会事業の実施または兒童労働に関係のある者、その他学識経驗にある者の中から都道縣知事が委嘱することにしたのであります。その三名以内といたしましたのは、委員全体が九人以内となつておりまして、大体その三分の一以内ということにいたそうというわけであります。市町村の推薦委員会におきまして四分の一という制限をつけたのと同一でございます。またこの審査会の委員長でございますが、これは從來都道縣知事が委嘱することになつておりましたのを本法案におきましては委員の互選と規定いたしたのであります。  最後に第三の点といたしまして、從來規定のなかつた再推薦の規定法案の第七條において規定いたしたのであります。市町村民生委員推薦会が推薦した者の中で、民生委員として適当でない者が含まれておつたり、あるいは適当と思われる者がその中に推薦から漏れておつたりすることがままございますので、本法案につきましてはそういうような場合においては、都道縣知事審査会の網見を聽いた上で、民生委員推薦会に対しまして民生委員の再推薦を命ずることができることとしたのであります。なおこの再推薦を命じた場合において、民生委員推薦会が再推薦をしない場合におきましては、都道縣知事は当該市町村長及び審査会の意見を聽いて、民生委員として適当と認める者を定めて、これを厚生大臣に推薦することができることとしたのであります。なおこの再推薦につきましては、再推薦をいたします期間を設けまして、いたずらに荏苒日を延ばすことのないように規定してございます。  次に第二の改正の点でありますが、これは民生委員の資格要件を法文に明らかにきめた点でございます。これにつきましては旧來の民生委員会におきましては、何ら規定を設けていなかつたのでありますが、本法案におきましては第六條におきまして、当該市町村の議会の議員の選挙権を有しておること、人格識見の高いこと、社会の実情に通じておること、社会福祉の増進に熱意のある人で、さらに兒童委員としても適当であるということをその資格要件として明らかにいたしたのであります。特に最後の兒童委員として適当であるということを明記いたしましたのは、社会福祉の増進に熱意があるということを中に含まれるようにも考えられますけれども民生委員兒童委員を兼ねるといいますか、兒童委員民生委員をもつて充てるということにいたしました兒童福祉法法律上の精神からいたしまして、特にこれを明記いたしましてその点注意を喚起いたしたいと考えましてこの文句を入れた次第であります。  次に第三の点でございますが、第三は民生委員の心構えについて規定を設けたのであります。從來民生委員会におきましては、これらの点につきましては何ら規定を設けていなかつたのでありますが、本法案におきましては第二條、第十四條、第十五條におきましてこれを規定することにいたしましたのであります。第二條におきましては民生委員は常に人格識見の向上と、職務上必要な知識及び技術の習得に努めなければならないということを示したのであります。これは民生委員の努力目標を示したものでありまして、民生委員の仕事が技術的になかなか複雜になつてまいりますし、生活保護法、兒童福祉法その他社会の状態も複雜になつてまいりますから、その職務を執行する上におきまして知識技術が必要になつてくるのであります。從いましてその努力目標をここにはつきりと現わしたのであります。  次に第十五條には民生委員が職務遂行上心がけねばならぬ点を掲げました。それは個人の人格を尊重すること、個人の身上に関する秘密を守ること、次に人種、信條、性別、社会的身分、門地等によつて差別的な取扱いをしないこと、無差別平等に世話をしなければならぬということを明らかにしました。なおその取扱います事件の具体的な処理につきましては、合理的に行わなければならないということを規定したのであります。人格の尊重、秘密の嚴守、無差別平等、合理的な処理、これらの四つの点を明らかにいたしました。さらに第十六條におきましては民生委員はその職務上の関係におきまして政治活動に從事することを禁止する規定を設けたのでございます。  次に第四の点でありますが、これは民生委員の解職についての規定を設けたのであります。從來民生委員会においては第五條の但し書において、特別の事由がある場合には、任期中であつてもこれを解任することができるということを規定したのであります。本法案においては第十一條において、解嘱の事由を一々具体的かつ詳細に明文をもつて規定したのであります。これは一つは「職務遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合、」次が「職務を怠り、又は職務上の義務に違反した場合」、三番目が「民生委員たるにふさわしくない非行のあつた場合、」これらの場合においては都道縣知事は、民生委員の任期中においても、民生委員審査会の同意を経た上でこれを解嘱することを厚生大臣に具申することができるということを規定したのであります。なおこの解嘱については、手続を愼重にいたしますことが必要でありますので、この場合においては、解嘱されようとする本人に対しまして、その旨を通告して、本人の意見を聽いた上で、民生委員審査会は審査をすることを規定したのであります。民生委員には、二週間以内に審査会に対して解嘱の理由について意見を述べる機会を與えることにしたのであります。  第五番目の点は民生委員の任期の問題であります。民生委員の任期については、從來民生委員会においては、第五條においてその任期を二年と定めておつたのでありますが、從來の経驗に鑑みて、二年でもつてその任期を終えまして、さらに新しい人にかえるということはわずらわしいようにも考えられますので、本法案においては、いろいろな状況考えまして、さらに一年延長しまして、任期を三年といたした次第であります。  第六番目の点は、民生委員の指導訓練に関する規定でありますが、從來民生委員会においては、これらについては何ら規定を設けていなかつたのでありますが、先ほど申し上げましたように、民生委員の職務はますます複雑になり、かつ職務上一定の知識技術を必要といたしますので、その指導訓練はきわめて肝要と考えられますので、本法案においては、第十七條と第十八條においてその規定を設けたのであります。  次に第七番目でありますが、民生委員会の常務委員及び民生委員事務所並びに民生委員の常務委員会規定を新たに設けたのであります。從來民生委員会においては、これらについては何らの規定も設けておりませんで、都道府縣の施行細則等にその規定を設けたのでありますが、本法案においては、第二十一條においてその民生委員会の委員長とも言うべき常務委員規定を詳細に規定いたし、さらに二十五條において厚生大臣の指定する市には、民生委員事務所を設けることを規定したものであります。この民生委員事務所は民生委員の事務を処理いたしまして、要保護者の便宜をはかることにしたのであります。もちろんこれは從來から実際には設けておつたのでありますが、これを本法では明らかに規定として定めて設けさせることにしたのであります。  第八は、國庫補助の規定でありますが、從來民生委員令においては、第十三條において、民生委員に関する一切の費用は、都道府縣の費用として何らの規定を設れてなかつたのでありますが、本法案においては、民生委員民生委員推薦会、民生委員審査会、民生委員協議会及び民生委員の指導訓練に関する費用は都道府縣の負担といたしまして、これに対してましては、國庫において二分の一の補助をすることを規定いたしました。なお民生委員事務所に関する費用は、市の負担といたしまして、これに対しましては、國庫が二分の一、都道府縣が四分の一を補助すべきことを規定したのであります。  大体從來規定と変つておりますのは、以上の八点に帰着すると考おております。
  59. 武田キヨ

    武田委員 一應わかりましたが、しかし今までの民生委員と、本法らよる民生委員は、本質的に相違がないということを前に言われたのでありますが、その民生委員の本質ということについて、もう少し詳しく伺いたいと思うのでございます。しかし、この問題は本法にとつては大事な問題でございますので、次の委員会質問いたしまして、今日は遅くなりますから、私の質問は打切ります。
  60. 有田二郎

    ○有田委員 民生委員法第一條に「民生委員は、社会奉仕の精神をもつて、保護指導のことに当り、社会福祉の増進に努めるものとする。」とありますが、民生委員会によりますと、「民生委員は、社会の福祉を増進するために、仁愛の精神を以て保護誘掖のことに從ふ。」というのであります。大体民生委員会が民生委員法になりましたが、第一條における保護誘掖の誘掖という文字は、もちろん漢字制限になつておりますので、これをかえることによつて、大体民生委員令のこのままの文字を使う方がいいと思うのであつて、現在民生委員の方々が代るたびごとに、民生委員の定義が変るというような感じを與えるじやないか。大体民生委員法の第一條も、民生委員令の第一條も、同じことをうたつていると思います。これは言葉の上り下りの相違でありますが、民生委員に、民生委員の定義がそのときどきによつて変るのだというふうな感じを與おることになるので、この誘掖の文字だけを向とかかえて、民生委員令の第一條の、民生委員は社会の福祉を増進するために、仁愛の精神をもつて保護指導のことに当るとかいうようにしてはどうかと思いますが、政府の御方針を承りたい。
  61. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 有田委員の御質問はまことにごもつともでございまして、本法民生委員の使命と申しますか、これにつきましては、從來と何も変つた点はなかろうと思つております。ただ字句の問題としましてかえましたのは、仁愛という言葉は、これは非常に意味のある、含蓄のある言葉でございますけれども、非常に意味がむずかしい。從いまして現在の時代の状況から考えまして、社会奉仕ということが、新憲法の精神からいたしましてもきわめて適切だ、かように考えまして、最近の時代の流れに應じまして、この言葉を社会奉仕の精神ということに直したような次第であります。從つて、ものの見方が少し違うというだけで、精神そのものにおいては変りがない。大体最近の情勢から申しますと、この言葉の方が妥当じやなかろうかと考えた次第であります。
  62. 有田二郎

    ○有田委員 民生委員公聽調査表の第十三表には、衆議院議員が二名とありますが、この衆議院の二名はたれたれですか。
  63. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 二人の方の名前は存じませんが、一人は大阪、一人は愛媛縣であります。
  64. 有田二郎

    ○有田委員 この場合のごとき御承知の通り國会がほとんド終始開かれている状態でありますので、衆議院議員が大阪と愛媛縣の民生委員を兼ねられることが妥当であるか、どうか、この点は私は妥当でないと思うのです、同時に府縣会議員が四十一名、市会議員、区会議員が千四百三十二名、町村会議員が一万二千七百九十名、合計一万四千二百六十五名でありまして、現在の十二万千六百八十名に対しまして、約一二%というような比率になつているのであります。特に第十六條におきまして、「民生委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。2 前項の規定に違反した民生委員は、第十一條及び第十二條規定に從い解嘱せられるものとする。」というような條項がありまするが、これら十二万一千六百八十名の民生委のうすち、実に一万四千二百六十六名という多数の議会議員を擁しておるのでありまするが、これらの議会議員はいずれも政党人でありまして、しかも多数の人が民生委員の中に含まれているだけに、地方の情勢を考えましても、政爭の具に供せられるきらいが非常に多いし、同時に十六條二項の、「前項の規定に違反した民生委員は、第十一條及び第十二條規定に從い解嘱せられるものとする。」というような問題から、地方にいろいろな爭い事が起つてきるということを私は非常に懸念するのであります。特に民生委員というのは、超党派的に社会事業として行わなければならないだけに、議会議員が民生委員を兼ねることは適当でないと考えまするし、同時にまた新憲法によりまして、議会議員の地位は非常に高まつてまいりましたし、また各地方議会におきましても、國会と同じように厚生委員会というものがあるのでありまするから、議会議員は厚生委員会を通じて、それぞれこういつた仕事に対して御協力申し上げることができるのでありまするから、この点からいきましても、議会議員が民生委員を兼ねるということは穏当でない。しかも民生委員の職責はみずから直接お金を渡したり、物を渡したりする仕事であるだけに、この点からも議会議員が民生委員を兼ねることは妥当でないと考おるのであります。同時にまた議会議員は、今日においては國会と同どように、それぞれ常任委員会があつて、二つあるいは三つの常任委員を兼ねておられて、とうてい民生委員の仕事をやつていくことは実際問題としてできなしのではないか。從つて、実際においてできないということと、政爭の具に供せられるという点からいきまして、この際はつきり議会議員は民生委員を兼ねることができないという法律を入れてはどうか、かように考えるのでありますが、政府の御所見を伺いたいと存じます。
  65. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいまの有田委員の御質問に対してお答えいたします。民生委員が各種の議会の議員を兼ねることにつきましては、これによつて民生委員の職務が果せない。本法案規定してありまする内容の民生委員の職務を十分遂行できないということになりましたならば、民生委員としては適当でないということになりますので、それは解嘱の理由に該当するようになろうと思います。そうでない場合においては差支えないのではなかろうか、かように存じます。なお民生委員の地位を政爭の具に供することは、ただいまお話通り、本法案におきましてはこれを禁止することにいたしておりまして、しかもこれに違反した場合においては、明らかにこれは解嘱の理由に該当するということをはつきり示しておるのであります。そうしてそれらの事態がありましたならば、当然解嘱せられることになろうと思つております。但しこの際にちよつと申し上げておきたいと思いますることは、これを政治的目的に利用することが適当でないということは、民生委員たる人が政治活動をしてはならないという趣旨ではないのであります。それぞれの人に政治的の意見があり、政治活動をする自由はあるのでありますが、ただその民生委員という地位を政治的に利用することを嚴に戒めたい、かように考えてこの規定を設けたわけであります。政治的に活動するからただちに適当でないというふうには言えないのであります。
  66. 有田二郎

    ○有田委員 同じく官公吏が男子が五千五百、女子が七百三十四、合計六千二百三十四名という民生委員の数になつておりますが、これまた全員の約五%強を示しておるのであります。特に行政整理がやかましく言われておる折柄でありますし、一定時間というものは、大体官公吏は縛られておるというような建前からいきまして、官公吏が民生委員を兼ねることは今日の情勢においては適当でない、かように考えるのでありますが、政府の重所信を承りたいと思います。
  67. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 官公吏が民生委員を兼ねますることにつきましては、先ほど議会の議員につきまして申し上げておる通り、官公吏の職務を遂行するために民生委員の職務ができなかつた場合には適当じやないと考えられます。しかし官公吏中におきましては、民生委員の仕事を併せ行うこともできる場合もあり得るのでありますし、またむしろその方が適当であるというような場合もないことはないわけであります。それはそれぞれの場合々々に應じてかえることが妥当である場合もあるし、適当でない場合もあるというように考えられます。
  68. 有田二郎

    ○有田委員 政府の御所見によりますと、われわれ國会議員が官吏を兼ねることも差支ないという見解にもとれるのであります。今日われわれ國会議員が官吏を兼ねることができないというゆえんのものを考えまするときにおいて、こういうことは私は言い得られると思う。かような場合こそ見解の相違でありますけれども、たとえば議会の議員が民生委員を兼ねることができないというようなことを本委員会におきまして採択されるという場合におきましては、政府としてはこの点について非常なる御反対があると思いますが、その点についての御所信を承りたい。
  69. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 当局といたしましては、全面的に禁止するという規定を明文化することにつきましては、賛成はいたしかねりのであります。
  70. 有田二郎

    ○有田委員 政府が禁止するという点に賛成しかねるというのは、地方の政爭の具とか、いろいろこういうものに供せられておりますが、これに対してよく御存じでさような御答弁をせられているのか承りたい。
  71. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 民生委員の地位が政爭の具に供せられるおそれがありますること、並びに政爭の具に供せられておる事実があるということにつきましては、十分に承知いたしております。これらに対しましては、そういうことのないように十分指導督励いたしてまいりたい、かように存じております。
  72. 有田二郎

    ○有田委員 実際問題として、こういう特別の禁止の法律がない限りにおいては、都道府縣廳では、この点につきまして特に最近政党の力が非常に強くなつてまいりましたし、新憲法下、政党の使命というものが非常に重くなつております関係上、その政爭も日に月に激励をきわめつつあるのであります。特に社会事業である民生委員の建前からいつて、こういう禁止の規則がもしも本委員会で採択されるような場合におきましては政府として当然これは賛成されてしかるべきものと思いますし、また社会局長と個人的にお会いしました場合に、委員会で御採択になるのに異議はない、かようなお話でありましたが、その点につきましてお伺いいたしたい。
  73. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 政爭が激烈になること、これは今後ますますそうなるであろうと思います。しかしこれはあくまでもフエアな項向である、かよう考えております。今後におきましてだんだんとその点が洗練されてまいるだろうと思います。なお民生委員の地位職務というものにつきまして、世間の認識が深まりますれば、それだけ、その点についての心配はなくなるものとかように信じております。
  74. 有田二郎

    ○有田委員 われわれの趣旨は、議員が民生委員を兼ねるという点につきましての一長一短はよく存じておりますが、現在地方の情勢といたしまして、非常にこれが原因いたしまして、先般の民生委員の選挙におきましても、各地方におきましていろいろな問題を起しておるのであります。從つてここで思い切つてこういう法律を設けて、そうしてよく情勢をうかがうことも私は一つの方法ではないかと思うのでありますが、長年の禍根をこの際一應断ち切るということが、私は妥当だと思うのでありまして、いずれこのことにつきましては、さらに次の委員会において論議を進めたいと思います。
  75. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第十四條の一に「常に調査を行い、生活状態を審かにして置くこと。」とございますが、これはたれの調査を行いまして、たれの生活状態を審らかにいたすのでありますか。
  76. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは保護を要する者の調査を行いまして、保護を要する者の生活状態を審らかにするのであります。
  77. 榊原亨

    榊原(亨)委員 それではその文句が欠けておるのではありませんか。
  78. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 保護を要する者であるかどうかという点につきましては、これをはつきり書きますと、保護を要する者というふうに非常に限定されます。書かずにあるというところに含みがあるのであります。これを書きますれば非常に限定されてしもうわけであります。保護を要する者であるかどうかということを判定するに必要なる調査をしなければならぬ。從いまして調査をしますが、その判定をするためにその範囲を限定するということは適当でなかろうと考えております。
  79. 榊原亨

    榊原(亨)委員 この点に関しては意見がございますが、意見でございますから別の機会に申し上げます。  第十五條の身上に関する秘密を守るということについて、もし守らなかつたらどういう処罰がございますか。
  80. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは第十一條の二にありますように、民生委員として適当でありませんから解職いたすということになるだろうかと思います。
  81. 榊原亨

    榊原(亨)委員 人の身上に関する秘密をもし漏らした場合には、医療関係者におきましては、相当の刑罰を受けるのでありますが、民生委員の場合、國民の身上の秘密を漏らした場合に、單に民生委員をやめるだけでいいとお考えになつていらつしやるのでありますか。
  82. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 民生委員法案の本旨といたしまして、処罰等によりましてこれを強制するということは適当でなかろうというふうに考えますが、それが秘密を嚴守する義務に違反したということにつきましては、処罰をもつて向わない。しかしそれに対しては社会的な制裁と申しますか、そういうものがあり得るのではなかろうかと思つております。
  83. 榊原亨

    榊原(亨)委員 この点に関しまして、ほかの法律との関連を御調査になつたことがございますか。
  84. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この点につきまして、ほかの法律を調査したことがあるかと申されますと、秘密の嚴守義務に違反した処罰のことでございますか。それは処罰の法律がありますことは承知してります。
  85. 榊原亨

    榊原(亨)委員 人の身上に関する秘密を守らなかつた場合のことであります。私の申しますのは……。
  86. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 身上に関する秘密を守らなかつた場合に関する各種の規定につきましては、一應調査いたしております。
  87. 榊原亨

    榊原(亨)委員 どういうことでございますか、具体的にお示しを願います。
  88. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 身上の秘密を守らなかつた場合には、処罰される法律は相当あると思います。
  89. 榊原亨

    榊原(亨)委員 どこにどういう法律がございますか承りたいんです。——この次までにお調べおきを願います。この点に関しては私は意見がございますが、これはまた意見として申し上げます。  次に承りたいのは、第十九條の「民生委員の指導訓練に從事する吏員」とは、どういう資格の吏員をお使いになるおつもりでありますか。
  90. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 府縣におきまする二級ないし三級の事務並びに技術吏員と考えております。
  91. 榊原亨

    榊原(亨)委員 第二條のよりましても、民生委員は、常に、人格識見の向上と、その職務を行う上において、必要なる知識技術の修得に努めなければならないことを規定し、かつこの他の條項においても、民生委員は、相当に人格識見の高い方が選ばれると思うのでございますが、ただいまお話になりました吏員をもつて民生委員の指導訓練に從事させて、十分とお考えになつておられるでございましようか。
  92. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 身分のことだと思いましたが、身分のことでなしに、どういう資格かと申しますと、大体われわれの今考えておりますのは、大学または各種学校において、社会事業に関する学科を修めた者、社会事業に從事する職員を養成する施設で、厚生大臣の指定するものを卒業した者、社会事業の実施に関し二年以上の経驗を有する者、その他府縣知事において、適当な資格を有する者と認定した者、こういうことになります。
  93. 榊原亨

    榊原(亨)委員 これらの民生委員その他の者の指導訓練というものは、重要なものと考えるのでございますが、第二十六條におきましては、その費用は都道府縣の負担として、國庫がこれに責任をもたないというのは、どういう御意思でございますか。
  94. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 第二十六條の都道府縣の費用の負担に対しましては、國庫におきまして二分の一の補助をいたすことにしております。
  95. 山崎岩男

    山崎委員長 ほかに質疑の方はございませんか、——本日の質疑はこれをもつて終了して差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 山崎岩男

    山崎委員長 それでは明日午後一時より本委員会を開くことにいたしまして、質疑をなお継続いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会