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1948-03-29 第2回国会 衆議院 厚生委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年三月二十九日(月曜日) 午前十時五十八分
開議
出席委員
委員長
小野
孝君
理事
田中 松月君
理事
山崎
道子君
理事
飯村
泉君
理事
武田
キヨ
君
松谷天光光
君 師岡 榮一君 大野
伴睦
君
小笠原八十美
君 榊原 亨君 最上 英子君 河野
金昇
君 野本
品吉
君 中嶋 勝一君 降旗 徳弥君 寺崎 覺君
出席國務大臣
厚 生 大 臣
竹田
儀一君
出席政府委員
厚生事務官
久下
勝次君
委員外
の
出席者
議 員 石野 久男君
專門調査員
川井
章知
君 ――
―――――――――――
二月二十三日
傷痍者
の
保護
に関する
請願
(
武藤運十郎
君紹 介)(第四号)
療術師法制定
に関する
請願
(
武田キヨ
君
紹介
) (第四四号) 青森市に
國立綜合病院設置
の
請願
(
山崎岩男
君
紹介
)(第六三号) 三月十六日
恩給増額
に関する
請願
(
受田新吉
君
紹介
)(第 一四八号) 三月二十五日
恩給増額
に関する
請願
(
受田新吉
君
紹介
)(第 一九三号)
性病予防
及び撲滅に関する
請願
(
武田キヨ
君紹 介)(第一九六号)
蛔虫駆除
に関する
請願
(
武田キヨ
君
紹介
)(第 二三〇号) 遺族の
援護
に関する
請願
(
飯村泉
君外一件紹 介)(第二三一号)
恩給増額
に関する
請願
(
寺本齋君外
二名
紹介
) (第二四九号)
岡山縣
の住宅建設問題に関する
請願
(
多賀安郎
君外六名
紹介
)(第二七〇号) の審査を本
委員会
に付託された。 三月十三日
國民健康保險制度
の強化に関する
陳情書
(第九号)
美容師並び
に
理髪師
に関する
法律案
に関する陳
情書
(第二六号)
引揚者援護
に関する
陳情書外
十件 ( 第四七号)
引揚者受入対策國庫負担
に関する
陳情書
(第五〇号) はり、きゆう、あん摩、
柔道整復術
及び
療術行
為等の
法規制定
に関する
陳情書
(第九〇号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
医療制度
に関する件
委員派遣承認申請
に関する件 ――
―――――――――――
小野孝
1
○
小野委員長
これより
会議
を開きます。
挨拶
のため
竹田厚生大臣
から発言を求められておりますから、これを許します。
竹田國務大臣
。
竹田儀一
2
○
竹田國務大臣
このたび
厚生大臣
の職を汚すことに相な
つたの
であります。從來私は
同胞救援議員連盟
の
理事長
として、各般の問題に関連はも
つて
おりましたが、今回
厚生省
へはいてみまして、各局の
説明
はまだ全部聽いておりませんが、聽きました局だけの御
意見
でも相当重大な問題が山積しておるのであります。残
つて
いるのは三局であると思いますが、その
意見
を聽き終りまして、総合的に今後の
対策
を考究いたしたいと
思つて
おるのであります。とにもかくにも、わが
國厚生行政
の面におきまして非常に
複雜多岐
、相当重要な問題があることを痛切に感じておるのであります。殊に
社会保障制度
な
ども
何らかの手を打たなければならんと考えておりまするし、
將來文化國
として、
平和國
として日本が起ち上りますために、わが
厚生省
の課せられておる任務のますます重かつ大なることを痛感いたしておる次第でありまして、各位の御
援助
、御鞭撻によりまして、大過なくこのいすを汚したいと
思つて
おるのであります。
委員諸君
には、今後とも種々な面において御やつかいになることが多いと思うのでありますが、この
委員会
の劈頭にあたりまして、各
委員諸君
に御
挨拶
申し上げるとともに、今後の御指導と御
援助
を切にお願いいたしまして、
簡單
ながら御
挨拶
といたします。
小野孝
3
○
小野委員長
松谷天光光
君。
松谷天光光
4
○
松谷委員
私は
茨城縣村松晴嵐荘
に起
つて
おりまする問題について、御質問したいと思います。三月の二十日でございましたか、
晴嵐荘
の
患者自治会会員
が、
自治会員
を
代表
いたしまして
陳情
にまい
つたの
でございます。その
内容
を聞き及びますと、
洲松晴嵐荘
においても、新
憲法
の樹立とともに、殊に
憲法
の第二十五條によ
つて
確保できました
國民
の
生活
、
生命
の
保障
、この趣旨にのつとりまして、やはり
療養所
、あるいは
病院
が
運営
されるということを希求いたしまして、
患者自治会
を結成したというのでありますが、その後この
自治会
は、数年間にわた
つて
累積されていた一切の疑惑を一掃いたしまして、荘の不明朗、あるいは不
合理
の是正などをしたいという
要望
をも
つて
お
つた
というのでございます。なお今度の問題の事の起りは、一月の初旬ころからあ
つた
ように聞き及びました。荘の
運営
に対して不明朗なる点があるという問題に端を発しまして、
荘当局者
が、そうした
患者自治会
の
要望
に対しても何ら具体的の
反省
の色がなく、
職員組合
の
自主性
を減却させるような
方法
によ
つて
、
責任
の所在をあいまいにしたり、あるいは文書の偽造によ
つて
、無
責任
な
物品
や
帳簿
の
管理
の隠蔽をしたり、あるいはまた
患者
の
スピーカー
の
使用
を拒絶して、言論の表現の自由を奪
つた
り、あるいはまた
作業療法
に名をかりて、
患者
の
困窮生活
を無視して、
入所
時の
誓約書
を盾にと
つて
、暗に
患者
を脅迫したり、あるいは
結核菌
の毒素による
異常興奮
を全
患者
にあてはめて、自由を抑圧しようとしたりなどしてお
つた
というのであります。なおそうした運用に出てお
つた荘
に対して、
運営
上の
責任者
である
荘長木
村氏に対して、
患者自治会
は
不信任状
を提出したというのでございます。なおその
荘長
に対して
不信任状
を提出したこまかい
理由
を聽いてみますと、第一が放慢なる
物品帳簿
の
管理
にあ
つた
と申します。また
國費
の
購入物品
と
互助会
の
購入物品
との
帳簿
が混同してお
つた
ということであります。また第二が受拂簿の不明の
物品
があ
つた
というのでございます、
昭和
二十三年一月二十七日に
倉庫帳簿
の
調査
の際に、受拂い不明の
赤モスリン
が二十四反在庫してお
つた
という
原簿
がはつきりしなか
つた
が、そのあとで
原簿
があるとの
説明
があ
つて
、閲覧を求めたり、あるいは
自治会代表
がいろいろ指摘するにつれて、それはメモであるというふうに訂正をしてきた。こういうところに腑に落ちない点があるのではないか。あるいはまた第三の問題は、
報告
と言明との間に差異がある。五部隊の
放出物資
が全部有償なるため、拂出し不可能であると言明しておりながら、
昭和
二十二年の六月一日現在
在庫品厚生省宛
の
報告
においては、無償となりおるというような事実もある。あるいはまた
昭和
二十年の
軍事保護院
の
通牒
を盾にいたしまして、
物品
拂出しを拒否し続けながら、他方同
通牒
の
報告書類
がないと言い、あるいはまた
終戰当時
五都隊から放出された
物品
の中で、すべては
國費物資
に轉換してあるのに、毛の襟巻百本を、今なお
互助会財産
として
保管
している。あるいはまた
患者用物品
を、たとえば
被服類
であるとか、
作業服
と
かじゆばん
、そうしたようなものを
職員
に流用しているというようなこともある。あるいはそうした
物品
の
保管
についても、同一種類の衣服を数箇所の
倉庫
に分散
保管
してしばしば移動しておる。こういう点がまず第一不明朗であるというのであります。 また第二の点は
作業
上の
運営
が不
合理
である。
戰時中軍事保護院
において作成された規定にもとずいて
作業報國会
の不
合理
は、後に
本省責任者
から、各
療養所
それぞれの
立場
において
運営
すべき旨が言明されてお
つて
、これによ
つて
各
療養所
のほとんどが、
莊当局
と
患者側
との
会議
の上で
合理
的に
運営
されておる
実情
にあるにもかかわらず、
青嵐莊
においては
当局
の一方的な見解によ
つて
固執されておる。そして
患者
の
労働力投下
による
生産物收益
などに関しても、意識的にこれを回避して、これに対する
患者
の
申出
を一切顧みるところもない。現在の経済的な
状態
から
言つて
、窮迫している
患者
の
生活
からして、
患者
の方としては、こうした
生産物等
に対しても、
患者
が
一つ
の福祉を受けることを望んでおるにもかかわらず、それに対して、
莊側
としての何ら考慮の余地がないというような点も指摘いたしております。 その他には、
看護婦
さんの問題についても、非常に非民主的な
婦長
さんの存在というようなことも指摘をいたしております。あるいはまた
看護婦
さんの退莊が非常に数を増してきておるという問題にもふれておりますが、それは会計上の処理の怠慢もある。できる限り俸給を敏速に支給すべきであるにもかかわらず、月々の給料が十日ないし二十日も遅れると同時に、九月以降の
超過勤務
の手当が、未だに全然支拂われておらないというようなところにもあり、あるいはまた
看護婦
さんにと
つて
の
教育施設
に対する不備がある。あるいは
寄宿舎施設
の非常に不完全だというようなところからもきておるというような、
看護婦
さんに対する問題も取上げております。 あるいはまた直接に
患者
に関係あります問題としては、
患者
に便所のくみ取をさせる、あるいは
食糧榮養
が不足であるというような点が特にあげられております。あるいはまた
昭和
二十三年の年頭の辞において、
莊長
が
患者自治会
に
自治制
を委任した講話を行
つた
。その中で、昨二十二年九月、
患者自治会
が
茨城地区
の
國立療養所
と合同して、將來のマロニーとかアフター・ケアーに対する
社会
の関心を集める
展覧会
を催したことに対して、
患者
にしてはあるまじき
行為
であるというような言をなした、というようなところから
不信任
の書状が提出されたのである。 以上が
患者
が提出いたしました
不信任状
の
内容
をそのまま申し上げたのでありますが、こうした
不信任
に対して、
莊長
は全然
反省
の色を見せなか
つた
。大体この
経過
について
簡單
に
報告
されたところを申し上げてみますと、一月二十四日に
庶務課長
の官舎で
会談
をし、一月二十六日に
莊長
、
庶務課長
と
会談
をし、一月二十七日の午前中に
当局
の返答について
協議
をし、その午後公開した。その後二月十三日午前中
患者
の大会を開き、二月十七日に
莊長
と
会談
をした。二月十八日から
スピーカー
の
使用
の禁止を
命令
された。三月六日に至りまして、
患者
は
反省
の色なき
莊長
に対して
闘爭宣言
を行い、十二時より
ハンガー
・
ストライキ
に突入した。三月七日も
ハンガー
・
ストライキ
を続行して徹宵して
交渉
をした。そして三月七日にその
交渉
の結果、
スピーカー
の
使用
を承認され、
食糧管理
に対する関係の
書類公開
も承認された。三月八日は本館の前で
ハンガー
ストライキ
が約十名の
代表
によ
つて
行われた。そのときに
軍政部
から
ボイナー大尉
が來莊された。そこで
闘爭委員会
が解散をするようにな
つた
。三月九日には、
代表
四名が
軍政部
に出頭していろいろ
実情
を聽取された。三月十三日に
ボイナー大尉
が來莊されて平和的な
解決
を希望された。そしてこれに対し
莊側
もまた
患者側
もこれを承認した。ところが三月の十六日に至りまして、突如として
莊当局
から、各
患者
の
家庭
に対しまして退
莊命令
の
電報
が発信されてお
つた
。この
電報
が発信されますについても、本人に対しては何ら退莊させるための相談もなく、突如として
家庭
に
電報
を打ち、そして
家族
を呼び寄せて、莊の
秩序
を乱す者であるから
患者
を
引取
れ、そして一方的に
異動証明
をも渡し、すぐに
患者
を
引取
れ、そしてその中で二名はふとんを取上げられて、大体七名と私は聞いておりましたが、七名の者は
給食
を
停止
した。大体この退
莊命令
の
電報
で
家族
を招集いたした者が十一名あると聞いております。なお
患者
の
報告
によりますと、その打
つた
ところの
電報
に非常に奇異な現象が起り、
電報
を
受取つた者
は早くもその入院しておるところの
患者
が死亡したものであるという
印象
を受けて、一例によりますと、四國の
徳島縣
から入院しておる
患者
の
家族
に打たれたところの
電報
が、またどうした間違いか「巧」という名前をも
つた
その
患者
が……、そうではない、この「巧」を「こう」と読んだであろうと思いますが、「コヨカエススグヒキトリニコイセイランソウイウチヨウ」という
電文
を打
つたの
が、いかなる間違いでありますか、「コヨカエス」という
電報
を
受取つた家族
が、これをなお
電文
を打ち間違えたであろうと思
つた
。そうして
電文
が不明確であるところから、これを「コツカエス」と読んで、てつきり死亡したものであると予想して、せつかく莊で式をあげていただくのに一人で
行つて
は申訳がないというので、親類と者三名で連りまして骨を
受取
る用意をして出かけてい
つた
。ところが事実はそうではなか
つた
というので、うれし泣きに泣いたという実例もある。またその他の
電報
を
受取つた方
に対しましても、何々帰す
引取
りに
來い
というこの
電報
を
受取
つた
ときに、第六感としてその弱い
家族
の
引取
りを強要されたその
電文
は、即座に死亡したであろうという予測を、
受取つた家族
に與えたという
印象
が、いや事実が
一つ
ならず
二つ
あるいはその他にもある。具体的に私のところに持込まれたのは
二つ
でありますが、こういう事実があるということに対して、
患者たち
が非常に動揺しておる。これを
厚生委員会
に一應諮
つて
いただきたい、こういう
訴え
があ
つたの
でございます。 私といたしましては、どこまでが事実であるか、あるいはまたこの
不信任状
の中の問題に対しても
意見
がありますが、一應とにかくこうした
訴え
があり、その聽取りました
経過
においても、これは
患者
が
闘爭
をやり、
ハンスト
をやるということに対してはまことに遺憾である。むしろ
委員会
に持込むならば、
ハンスト
をやる前になぜ
委員会
に持込まなか
つた
かという
意見
はもちましたが、とにかく具体的な問題といたしまして、入院しておりまする
患者
に対して、とにかく莊の
秩序
を乱す者であるというその問題から、十一名もの
患者
に対して強制退莊を迫
つて
おる。しかもその
手段方法
が、ただ
患者
さんから
伺つた
だけでは、私
ども
としても腑に落ちない、また
情宣
としてもあり得べきからざるような、
電報
一本で強制退莊を強いるということは、今日民主的な時代においてどうも
納得
できないことともとられたのでありますし、またその爭議
行為
をしたという
患者
さんのうちで七名は、その土地の
警察署
に対して
告発
をされ、
警察
によ
つて
取調べられている。その
理由
を聽きますと、
デモ
の際にガラスにひびをいらしたものである。あるいはまた脅迫をしたものであるという
理由
で、
告発
されたという
訴え
も含まれており、それが、殊に平常な
健康人
ではないところの
患者
の身柄を預か
つて
いる莊が、その
患者
を
告発
するだけの
行為
が
患者
に事実あ
つた
かどうかということも、私としては、この公正な
厚生委員会
において、一應
調査
を仰がなければならないと考えましたのと同時に、現在
患者
が自分にも退
莊命令
がくるであろうかということで、非常に不安な
状態
にあるということを聽きまして、これは
厚生委員会
が取上げるにいたしましても、とにかく現在刻々発信されている
患者
の退莊に対する
電報
を一應
停止
していただくことが、最も妥当ではないかと考えましたので、
患者
とともに
療養課長
をお訪ねいたしまして、
課長
からもいろいろ
実情
を
伺つて
みたい。そうして
本省
が、これに対して
調査
をお進めにな
つた
かどうかということも伺いたいと
思つて
、お目にかか
つて懇談
をいたしてみたところが、第一回の
調査
は済んでいる。
厚生省
としても
秩序保持
のために、そうしたことに対しては断固
処分
は必要であると考えるという
お話
でありましたが、はたしてその退
莊命令
を受けた
者たち
が、退莊させられるだけの
立場
にあ
つた
者であるかどうかということに対する
調査
は、まだできておらないという御
報告
をそのとき伺いましたので、
厚生当局
もまた第二回の
調査
をしたいという
療養課長
の御
意思
でもありましたので、一
應厚生省
あるいはこの
委員会
でこれを取上げて、
納得
のいく
解決
にいくまで、一
應退莊処分
を留保していただきたいという懇願をいたしましたところ、
課長
もそれに同意されまして、
本省
から一
應留保電報
を打
つて
おかれたというような次第でありますが、 ところがその後におきまして、今度は同じ
晴嵐莊
の
職員組合
の有志の
方々
から
陳情
を受けたのでございます。これによりますと、とにかく
患者
の
自治会
が、
個人支給
にひとしい
被服
の
永久
貸與、及び莊の経営の
参画等
を最後に
交渉
にきたときに、
当局
においては、その都度
職員会議
を開いて
協議
研究した結果、現在の官制上不可能であることを諭したけれ
ども
、これを拒否された。そうして
自治会
としてはその非を
反省
することなくして、不当にも
莊長
の
不信任
を申入れたり、あるいは
患者
としては断じてなし得べからざる
闘爭
の宣言をあえてして、
医療
上許しがたい
ハンスト
にも突入してい
つた
。その間ややもすると観念的な
革命主義
を固執する一部の
職員
が、その職責を忘れて、本
事件
に対して故意に煽動し、紛糾をなお遷延させるような点があ
つた
。そしてまたその詳細な
報告
によると、
患者
がストの際に竹やりをも
つた
とか、あるいは百五十人が
莊長官舎
を取巻いたり、
アジビラ
を張
つた
りしたという
訴え
がございます。殊に
患者側
の
陳情
と
職員側
の
陳情
との間には、そこに
食い違い
ができている点が見られたのでございます。殊に退
莊命令
を出した
患者
についても、
職員側
の
見方
によると、
安靜患者
はほとんどない。十一名の中で七名が
作業患者
であり、三名が
歩行患者
であり、一名が
ベツト
を要するような
患者
である、こう言われておるのでありますが、
患者
の方の
訴え
では、絶対
安靜患者
が少くても一人いる。そしてなお
ベツト
を要する者が一人いるという
訴え
でございまして、この
見方
にも
食い違い
があるのでございます。あるいはその退莊の
処分
の
方法
にしても、
職員
の方の
訴え
では
家庭
から返事の來たものから出すようにしているのでございます。 なお一致した点は、
患者
からふとんを取上げたというのは確かに事実である。これは
職員組合
も認められて、確かに二名からふとんを取上げた。一人は
納得
して渡したが、一人はこれに應じなか
つた
というのでございます。病人がいかなる
行為
をした者でありましようとも、少くともそこに入院している間は、
病院側
としてふとんを取上げるという
行為
、しかも私立の
病院
であればいざ知らず、
國立病院
という、國が
責任
をも
つて
國民
の
生命
を
保障
しなければならない
立場
にあ
つて
、ふとんを取上げるということでは、その
患者
はどうして寝るか、少くとも
國立病院
はその
患者
が退莊していくまでは、私は
患者
の
生命
は
國立病院
が
責任
をもたなければならぬものであろうと考えるのでございまして、ふとんを取上げたという事実に対しては、私は
病院側
の
行動
に遺憾の点があ
つたの
ではないか。しかも
患者
の
訴え
によると、
婦長
さんが
看護婦
の
命令
をした。しかし
看護婦
さん
たち
は情においてそうしたものをやり得ないで、遂に
衞視
の方と
婦長
さんとがふとんを取
つて
きたというのでございます。あるいはまた七名の
給食停止
にしても、
職員側
は
給食
の
停止
をした覚えはないと申しておりますが、
患者
の方では確かに七名が
給食
の
停止
を受けているというのでございます。ここに重大なる
食い違い
もあり、あるいは強制退莊という具体的の問題も出てきておりますので、私としてはこれを
一つ厚生委員会
が取上げて、でき得るならば
厚生委員会
からも
調査團
が派遣されまして、
本省
の
調査
とともに、われわれが
納得
のいくところの
解決
をしたい。またその
患者
のと
つた
行動
に対して、はたしてその
行動
が、
病院
の
秩序
を維持するに困難であるという
行動
であ
つた
ということが釈然とするのであ
つた
ならば、
責任者
に対する
処置
ということはあり得べきことでありましようが、それにしても十一名の退莊、七名の
告発
というこの
犠牲
は、あまりにも多い
犠牲
ではないか。でき得る限り
犠牲
を
最少限度
に食い止めるべきである。なお
現地
に参りまして、実際の
調査
をして
解決
にいくのが最も妥当ではないか、こう考えまして、
委員長
に今日の招集をお願いし、また私の希望といたしましては、
厚生委員会
から
調査團
を
現地
に派遣していただきまして、
厚生省
の
調査
とともに、第三者が見まして最も
納得
のいく
解決
に運びたい。でき得る限り
犠牲者
を
最少限度
に食い止める方向に進みたいと考えておる次第でございます。もしも
本省
からその後の御
調査
がありましたならば御
報告
を伺い、なお他の
委員
の
方々
からのこの問題に対する御
意見
を伺い、
委員長
のお取計いをいただきまして、
調査團派遣
に運んでいただきたいと思う次第でございます。
久下勝次
5
○
久下政府委員
私からただいま
松谷
さんから詳細に
お話
のございましたことにつきまして、
大要
の御返事、申し上げたいと思うのでございます。
村松晴嵐莊
と申しまするのは、わが國で
最初
にできました
結核
の
療養所
でございまして、
收容定員
現在千人にな
つて
おりますが、現在の
收容患者
は六百人でございます。この
療養所
は
胸郭整形術
を中心とした
外科的療法
及び
作業療法
を
行つて
おりまして、その治療の成績は相当な業績をあげておるのでございます。私
ども
といたしましても、特に優秀な
國立療養所
として見ておるものでございます。この
療養所
におきまして、ただいま
松谷委員
から
詳細お話
のような問題が起りまして、私
ども
といたしましても、はなはだ遺憾に
思つて
おる次第でございます。いろいろ
お話
のございました点をかいつまんで、私
ども
の
調査
も大体同樣でございますが、申し上げますと、第一には
療養所衣料
として保官しております
被服類
を、
永久
貸與の名目で
患者個人
に交付をしてもらいたいというような要求が、
最初
に出されましたようでございます。次いで
患者
から、
療養所
の
運営
に参加するようにしてもらいたい、言葉をかえて申しますれば、
協議会
をつく
つて
、
莊長
と
職員
と
患者
と三
者一体
にな
つて運営
のことすべてをきめていくべきである。こういうような意味の
要望
があ
つたの
でございます。個々についていろいろ
お話
のありました点も、
大要
かようなことに要約できるかと考えるのでございます。これに対しまして、
莊長
は、現在
村松晴嵐莊
におきまして
保管
をしております
物資
はすべて
官物
でございまして、現在の
患者
及び將來
入所
する
患者
に対して
使用
させまする
物資
でありまするので、現在いる
患者
だけに、これを対象として
永久
貸與の形式をとることはできないという
説明
をいたしたのであります。さらにまたいろいろ
物資
の
保管
、受け拂い等に関しますこと、あるいは
互助会
の問題など、いわゆる莊の
運営
に
患者
が参加するということにつきましては、
制度
としてさようなことを設けることは適当と考えられないが、從來や
つて
おりまするところの
連絡懇談会
、こういうものを再々開きまして、十分に莊の
運営
に
患者
の
意思
を反映するようにしたいというふうな
説明
をいたしたのでありまするが、これに対しまして
患者
は不満であるということで、
患者自治会
の名をも
つて
、ただいま
お話
のように、
莊長
の
不信任状
を提出せられたのであります。そうしてこれらの目的を完遂いたしますために、
外氣舎患者
を主とする
ハンスト
を行い、あるいは
お話
の中にありましたように、
莊長官舎
、
庶務課長官舎
に
デモ
を行い、あるいは外都に
宣傳
をしたというような事柄を行われたのでございます。これにつきましては、やはり
お話
の中にございましたように、三月の八日の午後に
茨城縣軍政部員
が莊に出張されまして、その注意によりまして、
ハンスト
と、
患者
の
闘爭委員会
は解散することにな
つたの
であります。
莊長
といたしましては、以上のような
経過
を経ておりまする今回の
事件
につきまして、
國立療養所入所規程
第七條に、
療養
の指示に從わない者、あるいは所内の
秩序
を乱す者につきましては、所長の権限において退所を命ずることができるということが規定してございますので、これを適用いたしまして、今度の
事件
に関する
主謀者
を退所してもらうという
処置
をとりましたことも、
お話
の
通り
でございます。莊といたしましては、これに関しまして、一
應全部身元引受人
を、
お話
のように呼出しをいたしまして、よく話をいたしました上で、退所していただくというような措置をと
つたの
でございます。私の方の
調査
によりますると、十一名さしあたり退所したいただくように考えておるということは、
お話
の
通り
でございまするが、現実に
身元引受人
が参りまして、それとの話合いの上で退所
命令
を渡しましたものは、そのうちの六名でございます。残りの五名につきましては、まださように具体的な、退所していただくということを指示しておらないのでございます。すでに退所
命令
を渡しました六名のうち五名は、病状から見まして退所して差支えない者であります。すでに数十箇月
療養
をいたしておる者でありまして、その六名のうちの一名は、やや微熱があるようでありますが、これも
療養所
の判断としては、自宅
療養
が可能であるという診断でございます。残
つて
おります十一名のうちの五名の者につきましては、
お話
の中にありましたように、安靜を要する者もございまするが、これは再
入所
の者が一名、しからざる者は、少くとも二十五箇月、長いものは六十四箇月すでに
入所
しておりまして、その病状から見まして、
療養所
におりましても、自宅に帰りましても、さしつかえないというような判断をいたしておる者でございまするし、またこれらの人々は、今度の
事件
に関連をいたしまして、安靜を要するとは申しながら、相当活動をしてお
つた
ように聞いておるのであります。 これらの者につきまして、ふとんを取上げたあるいは
給食
の
停止
をしたという
お話
でございましたが、ふとんを取上げましたというもの、私
ども
の
調査
では一名でございます。一名の方は十分
納得
の上で、明日出ていくからというようなときに、差支えのないような程度のことをしたように聞いております。一名の方は、御本人は
納得
されなか
つたの
ですが、しかし役目としてやるのならも
つて
い
つて
もよいというようなことも、本人が言われたそうであります。一應そういう関係で、ふとんを取片づけをいたしましたけれ
ども
、すぐに医官の指示によりまして、ふとんをお返ししておるのでございます。それから
給食停止
の問題につきましては、七名という
お話
でございましたが、私
ども
聞きましたのでは二名でございます。そうしに先ほど申し上げた
通り
、
身元引受人
を呼びまして、退所の
お話
をし、從
つて
それと同時に退所
命令
をお渡しをして、轉出証明をも一緒に渡しておるのでございます。さような関係から申しますと、形式的には
療養所
としての配給がなくなるということでございますので、その後における
療養所
としての
給食
を止めるということも、一應了解のできる筋もあるのでありまするが、
お話
の
通り
、私
ども
としても、さような措置が、形式的な
理由
がありましようとも、穏当な措置ではないと考えておる次第であります。これらの者につきましても、その後の話合いによりまして、
給食
をずつと続けて今日に主
つて
おるのでございます。かようなことが今日までの
実情
でございまして、
松谷委員
の
お話
のございましたように、三月の二十日に、一應私
ども
といたしましては、
お話
もございましたので、
莊長
宛に
電報
をも
つて
、退所の実施は一時保留するようにということを申し渡してございます。これが今日までの本
事件
の概要として、私
ども
の承知しております
内容
でございます。
小野孝
6
○
小野委員長
委員外
の石野久男君から、本問題について発言を求められておるのですが、石野さんにお願いしますが、時間が迫
つて
いるので、
簡單
にお願いします。
石野久男
7
○石野久男君 本件につきましては、先ほど
松谷
君からいろいろと詳細にわたりまして質問がありましたが、ただいま
当局
の御
説明
にもありましたように、すでにこの件を通じまして強硬な手段がとられておりまして、ただいまの
お話
によりますると、
給食停止
が二名である。あるいは寝具等を取上げた者が一名だというような
お話
でございまするが、すでに退
莊命令
を発せられたと判定される者が約三十二名ほどあるということも、
患者側
からの
意見
として聽いておるのであります。いずれにいたしましても、この件は去る三月八日にポイナー大尉が参りまして、ハン・ストを中止するようにという勧告がありました。それ以後お互いに最も平和的な
解決
をするようにという慫慂がありまして、今日に至
つて
おるわけであります。この問題は
莊側
と
患者側
との間の問題としての
解決
は、今のところ非常に困難にな
つて
おるやに見受けられるのであります。私は
松谷委員
からも申されておりましたように、早急に本
委員会
がこの問題の
解決
のために
調査團
を派遣して、一日も早く
患者
が安靜な
療養
ができるようにしていただくように、お願いしたいのでございます。 それからこの問題につきましては、
莊当局
と
患者側
との言分の中には、いろいろと
食い違い
がございます。けれ
ども
この問題が非常に長い時日にわたりまして、両者の間に係爭が行われておるのでありまして、すでに三月の六日、七日にはハン・ストの
状態
にまで
行つて
おるのであります。この点について、私は
当局
に一應お伺いしておきたいことも、もちろん
莊当局
として、
患者側
に対してのいろいろな御
意見
もありましようけれ
ども
、少くとも
結核
患者
という病的な本質から言いましても、ハン・ストの
状態
にまで追い込むということについての、監督官廳のこれに対しての当時の見解と
処置
に対する私の疑念でございます。これについては、今後のこともございまするので、一應
当局
の御
意見
を承
つて
おきたい。こういうように存じております。 それからなお
莊側
が
言つて
おりまする、
患者
を莊の経営に対しまして参加せしめることは、
患者
の本質から言いましても思わしくないという見解をも
つて
おるようでございます。この点についても、私はもちろん
患者
の本質的なものから言いまして、経営に参画するということの是非についてはいろいろの論議があろうと存じます。けれ
ども
この問題について、しかく
簡單
にそれはだめだというような、一方的な見解で、これを済ましてしま
つて
いい問題であるかどうかということについて、私はやはり一應
当局
の御
意見
も承
つて
おきたい。同時にこの問題についての、今後の
委員会
における十分な審査と、結論を早く出していただきたい。こういうように私は存じております。 それからなお、この問題について
患者側
の動き方が非常に過激であ
つた
。また思想的なものとしてのいろいろな疑念を、
莊側
がも
つて
おるのだということも承
つて
おりまするけれ
ども
、いずれにいたしましても、今度の強硬手段、退
莊命令
を出されたことについて、ただいま
当局
が申しておりましたような、退所して差支えないという考え方でございまするが、少くとも
結核
病者につきましての、アフター・ケヤーの問題から、それに対するいろいろな施設等の問題も含めまして、この
患者
自体についての、退所していい悪いという見解については、私專門的な
立場
からは十分わかりませんが、現在の
入所
患者
の問題について、今この問題が起きたからということで、こういう
処分
をされていいものであるかどうかということについても、私は疑念をも
つて
おります。この点について、事が非常に経営の維持を困難にするという意味において、退所
命令
を出したものであるかどうか。それともほんとうの
療養
という。医学的な面からの退所
命令
であ
つた
かどうかということも、はつきりと承
つて
おきたい。こういうように存じておるのでございます。 なお
松谷委員
が、詳細にわた
つて
陳情
の状況を質問に兼ねて申しておりまするので、私は申し上げませんが、最後に本件の
解決
についての、いろいろな大きな問題が残されておりますし、これはひとり村松
青嵐莊
だけの問題ではないのでありまして、多くの
國立病院
に、同じような
事件
が從來ともあ
つた
やに聽いております。殊に最近における
國立療養所
に対する給與の面等についての問題は、いろいろとあちらこちらに問題を起しておりますので、ぜひともこの問題についての
委員会
として、國会としての
処置
が、急速にとられることを、私は切望いたしたいのでございます。殊に私この三月八日に参りましたときの
莊長
の言葉をも
つて
いたしますと、本件については私は國家から
一つ
の行政官として
管理
を委託されておるのであ
つて
、いろいろの問題は究極のところ國家の問題であるから、
患者
から言われることをそのわく内で受けるよりほかにないのである。こういう意図のことを
言つて
おられました。もちろん私もその事情についてはよくわかるように思います。殊に予算の面等におきましていろいろと詰められておる点などで、経営者の側における苦衷も十分わかるのでございますけれ
ども
、こうした問題がただ行政
管理
というような面において、
莊長
が
運営
をしていくというために、いたずらに官僚的な
処置
が
患者側
に対してとられますならば、いわゆる
患者
が
療養
の身にあるということだけで、全部を経営
管理
に委託しておくことができ得ない
状態
になることは、必然であると私は存じております。今度のハン・ストのごときものについても、
患者
自体の建前からい
つて
、いろいろ批判はあると存ずるのでございますが、少くともここまで至らしめた事情等を考えて、私は私の
意見
としまして、
患者
が経営に参加することについて、はつきりと
当局
においての御
意見
を承
つて
おきたいし、私自身としては、ある程度それに対して参畫せしむる必要があるのじやないかというように存じておりますので、一應私の
意見
をも兼ねて、
当局
に以上の諸点についてお尋ねいたしたいのでございます。
竹田儀一
8
○
竹田國務大臣
村松
青嵐莊
の
事件
は、まことに
当局
といたしましては、こういう
事件
の起りましたことを遺憾に
思つて
おります。しかしながら
事件
の
内容
は、先ほど
松谷委員
からも詳細な
お話
があり、相当複雑なようにも
思つて
おりまして、その問題に対して、どう
当局
が考えておるかということにつきましては、いま少しく
事件
の眞相がわかりましてから後に発表いたしますことが、適当なことであろうと思います。この機会に発表いたしますことは、軽卒でないかと存ずるのであります。殊に承りますと、あるいは
委員会
で現場において実地の
調査
もしてみたらどうかという御
意見
も出ておるやでありますから、
当局
といたしまして
調査
いたしましたことと、また
委員諸君
において、もしそういうことで御派遣になるということでありますならば、この結果を待
つて
、私
ども
といたしましても
意見
を申し述べたいと存じます。ただ
患者
が莊の経営に参加するということはいかがかと存ずるのであります。その
意見
を徴するというようなことはいいかとも思いますけれ
ども
、経営に参加いたしますというようなことは、関係方面等の意向もあまりに賛成でないようにも聞いておりますので、この点につきましては、せつかくの御質問でありますけれ
ども
、私といたしましてはどうであろうか、かように考えるのであります。なお退莊を命じたということにつきましては、これは
松谷
さんからも先般私に
陳情
があり、参議院の中西議員からも御
陳情
があ
つて
、事の眞相はともかくといたしまして、ただちに退莊を命じるということはいかがかと存じまして、とりあえず退莊ということは留保するようにということを話をしておきました。そうしてただちに事務
当局
をして
調査
せしめたのであります。
調査
せしめたのが先ほどの
久下政府委員
の御答弁にな
つた
ことでありますが、さらにこういう点につきましては、
久下政府委員
から詳しく御答弁さす方が適当かと思いますが、大体の私の氣持をこの場合申し上げておきます。
小野孝
9
○
小野委員長
本件はまだ事柄の眞相がわからないという方がいいと思いますので、この
委員会
としては、まず事柄の眞相を明らかにして、その後にしかるべく討論も行い、政府の
処置
の誤りのないようにいたすようにいたしたいというふうに考えるのでございます。つきましては先ほど
松谷
さんからも御要求がありましたように、本件の眞相を
調査
するために、本
委員会
から
委員
を派遣いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小野孝
10
○
小野委員長
それでは御異議なしと認めまして、さようにいたしたいと思います。 なお議長に申請いたさなければなりませんので、その申請に関してお諮りいたしますが、派遣すべき
委員
は
飯村泉
君、
松谷天光光
さん、榊原亨君、派遣の期間は四月一日から三日間、派遣の地名は茨城縣村松町、派遣の目的は
晴嵐莊
の実地
調査
、かようなふうにして議長に申請いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
小野孝
11
○
小野委員長
それでは御異議ないと認めしてさように決します。
飯村泉
12
○
飯村
委員
晴嵐莊
の問題につきましては、各位からもいろいろ
お話
があり、かつまた
調査
員の派遣されるということにつきましては、さらに実地
調査
の結果に基いて適当な処理をすることができると思いますので、この問題でなく、ただそれで私氣づいたことでありますが、この
療養所
におきまして相当期間滯在して、
社会
に出てある程度十分な体力を持
つた
者を、
莊長
の権限によ
つて
その
病院
を退所させる規定がないというようなことがわか
つたの
でありまするが、これを考えますと、次々と相当の
患者
が街におるのでありまして、この
患者
を收容することができなくな
つて
いる。片方はいつまでもいつまでもそこに留ま
つて
おるというのに、片方では、はいりたいというがはいれない。こういう結果であ
つて
は、ほんとうの國家の
療養所
としての目的を達成することができないではないか。このように考えるのであります。しかしてこの
晴嵐莊
にも、現在相当の人数の者がもはや
社会
に出て働けるという
状態
にあることを、医師として認めているという人があるらしいのですから、こういうものに対して、
莊長
はこれを退院させるという規定をここにつくる必要があるのではないか。このように考えますが、
当局
のお考えを承りたい。
久下勝次
13
○
久下政府委員
御質問の点につきましては、私
ども
実は同樣な氣持をも
つて
おるものでございますが、ただ実際問題といたしまして、今日の
社会
の経済事情等から考えますると、これを強行いたしましても、実効があがらないというような場面が具体的にたびたび起
つて
まいります。実はさような規定は過去におきまして、
療養所
の
入所
規程の中にあ
つたの
でございますが、まず病氣が全快をすれば、こちらから言わないでも退所するのが当然であろうという考え方から、その規定のありましたものを、むしろあまり実効があがらないという意味で、今日ではと
つて
いるのでございます。そして先ほど申し上げましたように、莊内の
秩序
を乱すとか、あるいは
療養
に関する指導を拒むとかいうようなものについてのみ、退
莊命令
が出し得るという規定をおいている次第であります。 —————————————
小野孝
14
○
小野委員長
乳幼兒の食糧確保に関しまして、中嶋勝一君から簡単な発言を求められております。これを許します。中嶋勝一君。
中嶋勝一
15
○中嶋
委員
過ぐる二十三日に上野の精養軒におきまして、日本育兒栄養改善協会の主催によりまして、育兒栄養問題に関する
協議
が行われたのであります。当日は衆議院関係、参議院関係、その他小兒医学会関係、学術團体、食糧品配給公團関係、消費者関係、生産者関係、農林省からは米田畜産
課長
ほか五名の方が出られ、
厚生省
からは小島兒童局長ほか四名の方が御臨席くださいまして、眞劍にこの問題が取上げられて御
協議
にな
つたの
でございます。
協議
せられました要点は、育兒に対する栄養問題であ
つた
ことは、ただいま申し上げました
通り
でございますけれ
ども
、殊に從來育兒食等で補充せられておりまするけれ
ども
、まだカロリー計算において少い。これをもう少し量を増す必要がある。こういう点でございましたのと、それから
一つ
には、あの育兒食等が
給食
せられておりまするのは、生後一箇年間に限
つて
おりまするけれ
ども
、それでは不足であるから、少くともこれを六箇年に及ぼさなければならない。それはどういうのであるかと申し上げますると、現在小学校の兒童には
給食
をせられておりまするのに、幼稚園の子低にはおやつ
一つ
も與えられておらぬという不
合理
がある。こういう点を是正する必要がある。こういうふうな点も取上げられたのでありまして、この問題が眞劍に当日は審議せられまして、午後の一時半に開会になりまして、六時までぶつ通し
会議
が続けられまして、結局ただいま申し上げましたように、どうしてもこの問題は実現せしむるように努力する。こういうことで
会議
は終
つたの
でございましたけれ
ども
、かねてこの問題は本
委員会
におきましても十分取上げられておりまして、殊に
山崎
さんなり、
松谷
さんなり、そうい
つた
人の非常な御努力に対しまして、從來非常に敬意を拂
つて
お
つたの
でございまするけれ
ども
、これがわれわれ
委員会
以外においても、ただいま申し上げましたようなそうした團体、殊に最高権威者のおられるところの関係團体におきましても、これが非常に取上げられまして、そうしてこれの原料は、現在でも輸入食糧によ
つて
これを賄
つて
おるのでございますけれ
ども
、將來も輸入食糧のこの方面にまわしてもらうところの量を非常に増してもらう必要がある、こういうことにつきまして、まだ一般の努力を要するのである、こういうことにな
つた
わけでありますけれ
ども
、こうしたことが各界をあげてその叫びをあげられ、それによりまして、叫びをあげ得ざるところの赤ちやんの栄養の補充もでき、そうして健全なる子供が育てられますことは、非常に慶賀すべきことであると考えますので、本
委員会
といたしましても、從來のああした叫びをなお一層強く運んでいただき、そうしてこうした運びの流れておりますものとタイアツプしましても、そうしたことに努力せられることを希望いたしまして、この会に出席いたしました一員といたしましてこれを御
報告
し、また希望を申し述べさしていただいた次第でございます。
松谷天光光
16
○
松谷委員
この際私は大臣にちよつと
伺つて
おきたいのでございまするが、これは今回の
晴嵐莊
の問題ばかりでなしに、各所の
國立病院
で、いろいろと過去においても問題を起しました
一つ
の点は、
病院
の所有いたします在庫
物品
についてであると考えます。これが往々にして、今回の
晴嵐莊
でも
一つ
の問題になりましたように、在庫品に対する
帳簿
がはつきりできておらない。あるいはまたそれに対する公開を要求して拒否された。これは経営参加まで実現されませんでも、とにかく要求した場合において、そうした
帳簿
が公開されるということは、今日のこの民主的な時代においては、私は当然のことと思うのでございます。これは決して
患者
としてあるまじき
行為
であるとは考えられないと思います。いつ要求されても、それは即座に公開することのできるような、明白な
帳簿
を
病院
当局
ももつべきであり、また監督官廳とされても、こうした点についての御
調査
も常に行うべきであると思うのでございますが、なおここで
一つ
の矛盾と申しますか、問題が起きます
一つ
の原因は、私はその
物資
は常に
患者個人
に貸與されるものでなくて、莊自体、あるいは
病院
自体に付與されるものである、こういうところに
一つ
のここに食い違う点ができ、また矛盾、混乱を起す
一つ
の問題があるのではないかと思うのでございますが、かりに
病院
に支給されるものにしても、それはやはり
病院
に入院するところの
患者
に支給されるものである、國家が
患者
という
國民
に
物資
を貸與するものである、こう考えますときに、もちろん
病院
がいろいろ計画的な支給をしなければならぬとは考えますが、病人がしきりと必要にせまられて、そこにもちろん限度はございますが、こういう國家あげての緊急な場合でございますから、あえて必要以上のものを要求することは別問題といたしまして、必要にせまられたその病人に対する貸與に対しても、これは莊に貸與されたものであるというような点から、その貸與を拒否する。私は
倉庫
の中に今日
物資
を寢かしておくよりも、かりにそこに使い得るところの
物資
があるならば、一人の今日困窮しておるところの
國民
を救うことが、私は今日の監督官廳のまたお考えになる当然の問題であり、
病院
のなすべき
行為
だと考えるのでございますが、そうした今回の配給の問題についても、ひ
とつ
当局
とされて考えていただきたいと思うのでございます。やはり私はその
患者
自体に支給するような方向にいくのが、最も妥当ではないのか、これはいろいろ手続の問題、あるいはその他の
方法
もございますが、大臣はそういう点についてどうお考えになるか。在庫品がありながら、それを現在最も必要とするところの
國民
に対して貸與することなしに、將來はい
つて
くるであろうと予測されるところの
國民
のためにそれを積んでしま
つて
おくのが、今日の國情からい
つて
最も妥当なる
運営
の行き方であろうかどうか。この点を伺い、なお各
國立病院
に対して、ぜひひ
とつ
帳簿
の完全な設置という点について、なお一層の御注意を拂
つて
いただきたいと、希望も附け加えて質問させていただきたいと思います。
竹田儀一
17
○
竹田國務大臣
松谷
さんの
お話
もごもつともだと思います。
帳簿
がはつきりしており、いつ問題にな
つて
も一点のやましいところがないというように、はつきりさせていくことは当然であると思います。しかしながら莊や
療養所
に
行つて
おります品物が、
療養所
のものであるか、
患者
のものであるかということになりますと、そこには
看護婦
、
作業
員等もおりましようし、よほどむずかしい問題であると思います。必ずしもそれが全部
患者
に渡らなければならぬというような意味に解釈いたしますことも、少しく行き過ぎなような感じがいたしますので、その間だれが考えても、あなたのおつしやる
通り
妥当公正な
方法
で行き渡
つて
おれば、問題はないのであろうと思います。私
ども
といたしましても、今度の問題のようなことが起らぬように、各
療養所
の首脳部に対しまして、十分
帳簿
、在庫品その他について、他から一点の指揮を受けないような保存方、配給方を考慮してもらうように指令を出しますとともに、またそういう
物資
が、あなたのおつしや
つた
ように、將來來る人のために用意すると申しましても、おのずから限度がありましようし、將來品物が十分にはい
つて
こないという場合には、ある程度の備蓄はやむを得ないことと思いますが、それは
莊長
なり所長なりの、その現場に應じました臨機應変、適当な
処置
に任すより
方法
がないと思うのでありますが、なお詳細な点は、いろいろな全國の事情もあるようでありますから、政府
委員
からお聽きくだされば仕合せと存じます。
小野孝
18
○
小野委員長
榊原亨君。
榊原亨
19
○榊原(亨)
委員
極く
簡單
に申し上げますが、都立豊島
病院
におきましては、急患及び入院
患者
には最低限度の治療を行うけれ
ども
、その他の治療はこれを拒否するということか今度の
ストライキ
に附随して起
つて
おるのであります。もう
一つ
は、全國の
國立病院
の
職員
が全部辞表を提出した。この問題につきましては大臣はどんなふうにお考えになるか。これはきわめて緊急を要する問題でございますので、その点を御質問申し上げます。
竹田儀一
20
○
竹田國務大臣
ただいまの都立豊島
病院
の
お話
も、私はなはだ恐縮でありますが、まだ聽いておりません。全國の
療養所
の
職員
が全部辞表を提出したということも、まだ耳にはい
つて
おりませんので、ただちに
調査
いたしまして、そういうことがあれば善処いたします。
榊原亨
21
○榊原(亨)
委員
この問題は非常に重大な問題でございまして、先ほど
晴嵐荘
の問題もいろいろ
お話
になりましたが、とにかく現在の
國立病院
と申しますか、それらの
医療
機関は、そこにはい
つて
いる
患者
は
患者
で自分のことばかりを考え、そうしてはなはだしい者は、先ほど
お話
にありましたように、ハン・ストをやる。病氣を治そうと
思つて
はい
つて
いるにもかかわらず、自分がハン・ストをやる、こういうことはどこから考えても考えられないのであります。また一方これに從事しております医者は、世の中がどんなふうになりましようとも、至上
命令
としまして、私
ども
医者というものは、どんなに食うや食わぬという問題にかかわらず、
患者
に対して絶対的な治療をすべきであ
つて
最低限度の治療だけをして、あとは
ストライキ
をして休んでいるということは、絶対に許されないと思います。もしもこういうことが全國の
國立病院
によ
つて
行われ、あるいは都立、公立
病院
によ
つて
行われたとするならば、これは嚴罰に処すべきものだと思いますから、その点を大臣において至急御手配くださるよう御
要望
いたします。
小野孝
22
○
小野委員長
ではこれをも
つて
散会いたします。 午後零時二十二分散会