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1948-03-29 第2回国会 衆議院 厚生委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十九日(月曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 小野  孝君    理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君    理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君       松谷天光光君    師岡 榮一君       大野 伴睦君   小笠原八十美君       榊原  亨君    最上 英子君       河野 金昇君    野本 品吉君       中嶋 勝一君    降旗 徳弥君       寺崎  覺君  出席國務大臣         厚 生 大 臣 竹田 儀一君  出席政府委員         厚生事務官   久下 勝次君  委員外出席者         議     員 石野 久男君         專門調査員   川井 章知君     ――――――――――――― 二月二十三日  傷痍者保護に関する請願武藤運十郎君紹  介)(第四号)  療術師法制定に関する請願武田キヨ紹介)  (第四四号)  青森市に國立綜合病院設置請願山崎岩男君  紹介)(第六三号) 三月十六日  恩給増額に関する請願受田新吉紹介)(第  一四八号) 三月二十五日  恩給増額に関する請願受田新吉紹介)(第  一九三号)  性病予防及び撲滅に関する請願武田キヨ君紹  介)(第一九六号)  蛔虫駆除に関する請願武田キヨ紹介)(第  二三〇号)  遺族の援護に関する請願飯村泉君外一件紹  介)(第二三一号)  恩給増額に関する請願寺本齋君外二名紹介)  (第二四九号)  岡山縣の住宅建設問題に関する請願多賀安郎  君外六名紹介)(第二七〇号) の審査を本委員会に付託された。 三月十三日  國民健康保險制度の強化に関する陳情書  (第九号)  美容師並び理髪師に関する法律案に関する陳  情書  (第二六号)  引揚者援護に関する陳情書外十件  (  第四七号)  引揚者受入対策國庫負担に関する陳情書  (第五〇号)  はり、きゆう、あん摩、柔道整復術及び療術行  為等の法規制定に関する陳情書  (第九〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  医療制度に関する件  委員派遣承認申請に関する件     ―――――――――――――
  2. 小野孝

    小野委員長 これより会議を開きます。  挨拶のため竹田厚生大臣から発言を求められておりますから、これを許します。竹田國務大臣
  3. 竹田儀一

    竹田國務大臣 このたび厚生大臣の職を汚すことに相なつたのであります。從來私は同胞救援議員連盟理事長として、各般の問題に関連はもつておりましたが、今回厚生省へはいてみまして、各局の説明はまだ全部聽いておりませんが、聽きました局だけの御意見でも相当重大な問題が山積しておるのであります。残つているのは三局であると思いますが、その意見を聽き終りまして、総合的に今後の対策を考究いたしたいと思つておるのであります。とにもかくにも、わが國厚生行政の面におきまして非常に複雜多岐、相当重要な問題があることを痛切に感じておるのであります。殊に社会保障制度ども何らかの手を打たなければならんと考えておりまするし、將來文化國として、平和國として日本が起ち上りますために、わが厚生省の課せられておる任務のますます重かつ大なることを痛感いたしておる次第でありまして、各位の御援助、御鞭撻によりまして、大過なくこのいすを汚したいと思つておるのであります。委員諸君には、今後とも種々な面において御やつかいになることが多いと思うのでありますが、この委員会の劈頭にあたりまして、各委員諸君に御挨拶申し上げるとともに、今後の御指導と御援助を切にお願いいたしまして、簡單ながら御挨拶といたします。
  4. 小野孝

  5. 松谷天光光

    松谷委員 私は茨城縣村松晴嵐荘に起つておりまする問題について、御質問したいと思います。三月の二十日でございましたか、晴嵐荘患者自治会会員が、自治会員代表いたしまして陳情にまいつたのでございます。その内容を聞き及びますと、洲松晴嵐荘においても、新憲法の樹立とともに、殊に憲法の第二十五條によつて確保できました國民生活生命保障、この趣旨にのつとりまして、やはり療養所、あるいは病院運営されるということを希求いたしまして、患者自治会を結成したというのでありますが、その後この自治会は、数年間にわたつて累積されていた一切の疑惑を一掃いたしまして、荘の不明朗、あるいは不合理の是正などをしたいという要望をもつてつたというのでございます。なお今度の問題の事の起りは、一月の初旬ころからあつたように聞き及びました。荘の運営に対して不明朗なる点があるという問題に端を発しまして、荘当局者が、そうした患者自治会要望に対しても何ら具体的の反省の色がなく、職員組合自主性を減却させるような方法によつて責任の所在をあいまいにしたり、あるいは文書の偽造によつて、無責任物品帳簿管理の隠蔽をしたり、あるいはまた患者スピーカー使用を拒絶して、言論の表現の自由を奪つたり、あるいはまた作業療法に名をかりて、患者困窮生活を無視して、入所時の誓約書を盾にとつて、暗に患者を脅迫したり、あるいは結核菌の毒素による異常興奮を全患者にあてはめて、自由を抑圧しようとしたりなどしておつたというのであります。なおそうした運用に出ておつた荘に対して、運営上の責任者である荘長木村氏に対して、患者自治会不信任状を提出したというのでございます。なおその荘長に対して不信任状を提出したこまかい理由を聽いてみますと、第一が放慢なる物品帳簿管理にあつたと申します。また國費購入物品互助会購入物品との帳簿が混同しておつたということであります。また第二が受拂簿の不明の物品があつたというのでございます、昭和二十三年一月二十七日に倉庫帳簿調査の際に、受拂い不明の赤モスリンが二十四反在庫しておつたという原簿がはつきりしなかつたが、そのあとで原簿があるとの説明があつて、閲覧を求めたり、あるいは自治会代表がいろいろ指摘するにつれて、それはメモであるというふうに訂正をしてきた。こういうところに腑に落ちない点があるのではないか。あるいはまた第三の問題は、報告と言明との間に差異がある。五部隊の放出物資が全部有償なるため、拂出し不可能であると言明しておりながら、昭和二十二年の六月一日現在在庫品厚生省宛報告においては、無償となりおるというような事実もある。あるいはまた昭和二十年の軍事保護院通牒を盾にいたしまして、物品拂出しを拒否し続けながら、他方同通牒報告書類がないと言い、あるいはまた終戰当時五都隊から放出された物品の中で、すべては國費物資に轉換してあるのに、毛の襟巻百本を、今なお互助会財産として保管している。あるいはまた患者用物品を、たとえば被服類であるとか、作業服かじゆばん、そうしたようなものを職員に流用しているというようなこともある。あるいはそうした物品保管についても、同一種類の衣服を数箇所の倉庫に分散保管してしばしば移動しておる。こういう点がまず第一不明朗であるというのであります。  また第二の点は作業上の運営が不合理である。戰時中軍事保護院において作成された規定にもとずいて作業報國会の不合理は、後に本省責任者から、各療養所それぞれの立場において運営すべき旨が言明されておつて、これによつて療養所のほとんどが、莊当局患者側との会議の上で合理的に運営されておる実情にあるにもかかわらず、青嵐莊においては当局の一方的な見解によつて固執されておる。そして患者労働力投下による生産物收益などに関しても、意識的にこれを回避して、これに対する患者申出を一切顧みるところもない。現在の経済的な状態から言つて、窮迫している患者生活からして、患者の方としては、こうした生産物等に対しても、患者一つの福祉を受けることを望んでおるにもかかわらず、それに対して、莊側としての何ら考慮の余地がないというような点も指摘いたしております。  その他には、看護婦さんの問題についても、非常に非民主的な婦長さんの存在というようなことも指摘をいたしております。あるいはまた看護婦さんの退莊が非常に数を増してきておるという問題にもふれておりますが、それは会計上の処理の怠慢もある。できる限り俸給を敏速に支給すべきであるにもかかわらず、月々の給料が十日ないし二十日も遅れると同時に、九月以降の超過勤務の手当が、未だに全然支拂われておらないというようなところにもあり、あるいはまた看護婦さんにとつて教育施設に対する不備がある。あるいは寄宿舎施設の非常に不完全だというようなところからもきておるというような、看護婦さんに対する問題も取上げております。  あるいはまた直接に患者に関係あります問題としては、患者に便所のくみ取をさせる、あるいは食糧榮養が不足であるというような点が特にあげられております。あるいはまた昭和二十三年の年頭の辞において、莊長患者自治会自治制を委任した講話を行つた。その中で、昨二十二年九月、患者自治会茨城地区國立療養所と合同して、將來のマロニーとかアフター・ケアーに対する社会の関心を集める展覧会を催したことに対して、患者にしてはあるまじき行為であるというような言をなした、というようなところから不信任の書状が提出されたのである。  以上が患者が提出いたしました不信任状内容をそのまま申し上げたのでありますが、こうした不信任に対して、莊長は全然反省の色を見せなかつた。大体この経過について簡單報告されたところを申し上げてみますと、一月二十四日に庶務課長の官舎で会談をし、一月二十六日に莊長庶務課長会談をし、一月二十七日の午前中に当局の返答について協議をし、その午後公開した。その後二月十三日午前中患者の大会を開き、二月十七日に莊長会談をした。二月十八日からスピーカー使用の禁止を命令された。三月六日に至りまして、患者反省の色なき莊長に対して闘爭宣言を行い、十二時よりハンガーストライキに突入した。三月七日もハンガーストライキを続行して徹宵して交渉をした。そして三月七日にその交渉の結果、スピーカー使用を承認され、食糧管理に対する関係の書類公開も承認された。三月八日は本館の前でハンガーストライキが約十名の代表によつて行われた。そのときに軍政部からボイナー大尉が來莊された。そこで闘爭委員会が解散をするようになつた。三月九日には、代表四名が軍政部に出頭していろいろ実情を聽取された。三月十三日にボイナー大尉が來莊されて平和的な解決を希望された。そしてこれに対し莊側もまた患者側もこれを承認した。ところが三月の十六日に至りまして、突如として莊当局から、各患者家庭に対しまして退莊命令電報が発信されておつた。この電報が発信されますについても、本人に対しては何ら退莊させるための相談もなく、突如として家庭電報を打ち、そして家族を呼び寄せて、莊の秩序を乱す者であるから患者引取れ、そして一方的に異動証明をも渡し、すぐに患者引取れ、そしてその中で二名はふとんを取上げられて、大体七名と私は聞いておりましたが、七名の者は給食停止した。大体この退莊命令電報家族を招集いたした者が十一名あると聞いております。なお患者報告によりますと、その打つたところの電報に非常に奇異な現象が起り、電報受取つた者は早くもその入院しておるところの患者が死亡したものであるという印象を受けて、一例によりますと、四國の徳島縣から入院しておる患者家族に打たれたところの電報が、またどうした間違いか「巧」という名前をもつたその患者が……、そうではない、この「巧」を「こう」と読んだであろうと思いますが、「コヨカエススグヒキトリニコイセイランソウイウチヨウ」という電文を打つたのが、いかなる間違いでありますか、「コヨカエス」という電報受取つた家族が、これをなお電文を打ち間違えたであろうと思つた。そうして電文が不明確であるところから、これを「コツカエス」と読んで、てつきり死亡したものであると予想して、せつかく莊で式をあげていただくのに一人で行つては申訳がないというので、親類と者三名で連りまして骨を受取る用意をして出かけていつた。ところが事実はそうではなかつたというので、うれし泣きに泣いたという実例もある。またその他の電報受取つた方に対しましても、何々帰す引取りに來いというこの電報受取つたときに、第六感としてその弱い家族引取りを強要されたその電文は、即座に死亡したであろうという予測を、受取つた家族に與えたという印象が、いや事実が一つならず二つあるいはその他にもある。具体的に私のところに持込まれたのは二つでありますが、こういう事実があるということに対して、患者たちが非常に動揺しておる。これを厚生委員会に一應諮つていただきたい、こういう訴えがあつたのでございます。  私といたしましては、どこまでが事実であるか、あるいはまたこの不信任状の中の問題に対しても意見がありますが、一應とにかくこうした訴えがあり、その聽取りました経過においても、これは患者闘爭をやり、ハンストをやるということに対してはまことに遺憾である。むしろ委員会に持込むならば、ハンストをやる前になぜ委員会に持込まなかつたかという意見はもちましたが、とにかく具体的な問題といたしまして、入院しておりまする患者に対して、とにかく莊の秩序を乱す者であるというその問題から、十一名もの患者に対して強制退莊を迫つておる。しかもその手段方法が、ただ患者さんから伺つただけでは、私どもとしても腑に落ちない、また情宣としてもあり得べきからざるような、電報一本で強制退莊を強いるということは、今日民主的な時代においてどうも納得できないことともとられたのでありますし、またその爭議行為をしたという患者さんのうちで七名は、その土地の警察署に対して告発をされ、警察によつて取調べられている。その理由を聽きますと、デモの際にガラスにひびをいらしたものである。あるいはまた脅迫をしたものであるという理由で、告発されたという訴えも含まれており、それが、殊に平常な健康人ではないところの患者の身柄を預かつている莊が、その患者告発するだけの行為患者に事実あつたかどうかということも、私としては、この公正な厚生委員会において、一應調査を仰がなければならないと考えましたのと同時に、現在患者が自分にも退莊命令がくるであろうかということで、非常に不安な状態にあるということを聽きまして、これは厚生委員会が取上げるにいたしましても、とにかく現在刻々発信されている患者の退莊に対する電報を一應停止していただくことが、最も妥当ではないかと考えましたので、患者とともに療養課長をお訪ねいたしまして、課長からもいろいろ実情伺つてみたい。そうして本省が、これに対して調査をお進めになつたかどうかということも伺いたいと思つて、お目にかかつて懇談をいたしてみたところが、第一回の調査は済んでいる。厚生省としても秩序保持のために、そうしたことに対しては断固処分は必要であると考えるというお話でありましたが、はたしてその退莊命令を受けた者たちが、退莊させられるだけの立場にあつた者であるかどうかということに対する調査は、まだできておらないという御報告をそのとき伺いましたので、厚生当局もまた第二回の調査をしたいという療養課長の御意思でもありましたので、一應厚生省あるいはこの委員会でこれを取上げて、納得のいく解決にいくまで、一應退莊処分を留保していただきたいという懇願をいたしましたところ、課長もそれに同意されまして、本省から一應留保電報を打つておかれたというような次第でありますが、  ところがその後におきまして、今度は同じ晴嵐莊職員組合の有志の方々から陳情を受けたのでございます。これによりますと、とにかく患者自治会が、個人支給にひとしい被服永久貸與、及び莊の経営の参画等を最後に交渉にきたときに、当局においては、その都度職員会議を開いて協議研究した結果、現在の官制上不可能であることを諭したけれども、これを拒否された。そうして自治会としてはその非を反省することなくして、不当にも莊長不信任を申入れたり、あるいは患者としては断じてなし得べからざる闘爭の宣言をあえてして、医療上許しがたいハンストにも突入していつた。その間ややもすると観念的な革命主義を固執する一部の職員が、その職責を忘れて、本事件に対して故意に煽動し、紛糾をなお遷延させるような点があつた。そしてまたその詳細な報告によると、患者がストの際に竹やりをもつたとか、あるいは百五十人が莊長官舎を取巻いたり、アジビラを張つたりしたという訴えがございます。殊に患者側陳情職員側陳情との間には、そこに食い違いができている点が見られたのでございます。殊に退莊命令を出した患者についても、職員側見方によると、安靜患者はほとんどない。十一名の中で七名が作業患者であり、三名が歩行患者であり、一名がベツトを要するような患者である、こう言われておるのでありますが、患者の方の訴えでは、絶対安靜患者が少くても一人いる。そしてなおベツトを要する者が一人いるという訴えでございまして、この見方にも食い違いがあるのでございます。あるいはその退莊の処分方法にしても、職員の方の訴えでは家庭から返事の來たものから出すようにしているのでございます。  なお一致した点は、患者からふとんを取上げたというのは確かに事実である。これは職員組合も認められて、確かに二名からふとんを取上げた。一人は納得して渡したが、一人はこれに應じなかつたというのでございます。病人がいかなる行為をした者でありましようとも、少くともそこに入院している間は、病院側としてふとんを取上げるという行為、しかも私立の病院であればいざ知らず、國立病院という、國が責任をもつて國民生命保障しなければならない立場にあつて、ふとんを取上げるということでは、その患者はどうして寝るか、少くとも國立病院はその患者が退莊していくまでは、私は患者生命國立病院責任をもたなければならぬものであろうと考えるのでございまして、ふとんを取上げたという事実に対しては、私は病院側行動に遺憾の点があつたのではないか。しかも患者訴えによると、婦長さんが看護婦命令をした。しかし看護婦さんたちは情においてそうしたものをやり得ないで、遂に衞視の方と婦長さんとがふとんを取つてきたというのでございます。あるいはまた七名の給食停止にしても、職員側給食停止をした覚えはないと申しておりますが、患者の方では確かに七名が給食停止を受けているというのでございます。ここに重大なる食い違いもあり、あるいは強制退莊という具体的の問題も出てきておりますので、私としてはこれを一つ厚生委員会が取上げて、でき得るならば厚生委員会からも調査團が派遣されまして、本省調査とともに、われわれが納得のいくところの解決をしたい。またその患者のとつた行動に対して、はたしてその行動が、病院秩序を維持するに困難であるという行動であつたということが釈然とするのであつたならば、責任者に対する処置ということはあり得べきことでありましようが、それにしても十一名の退莊、七名の告発というこの犠牲は、あまりにも多い犠牲ではないか。でき得る限り犠牲最少限度に食い止めるべきである。なお現地に参りまして、実際の調査をして解決にいくのが最も妥当ではないか、こう考えまして、委員長に今日の招集をお願いし、また私の希望といたしましては、厚生委員会から調査團現地に派遣していただきまして、厚生省調査とともに、第三者が見まして最も納得のいく解決に運びたい。でき得る限り犠牲者最少限度に食い止める方向に進みたいと考えておる次第でございます。もしも本省からその後の御調査がありましたならば御報告を伺い、なお他の委員方々からのこの問題に対する御意見を伺い、委員長のお取計いをいただきまして、調査團派遣に運んでいただきたいと思う次第でございます。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 私からただいま松谷さんから詳細にお話のございましたことにつきまして、大要の御返事、申し上げたいと思うのでございます。  村松晴嵐莊と申しまするのは、わが國で最初にできました結核療養所でございまして、收容定員現在千人になつておりますが、現在の收容患者は六百人でございます。この療養所胸郭整形術を中心とした外科的療法及び作業療法行つておりまして、その治療の成績は相当な業績をあげておるのでございます。私どもといたしましても、特に優秀な國立療養所として見ておるものでございます。この療養所におきまして、ただいま松谷委員から詳細お話のような問題が起りまして、私どもといたしましても、はなはだ遺憾に思つておる次第でございます。いろいろお話のございました点をかいつまんで、私ども調査も大体同樣でございますが、申し上げますと、第一には療養所衣料として保官しております被服類を、永久貸與の名目で患者個人に交付をしてもらいたいというような要求が、最初に出されましたようでございます。次いで患者から、療養所運営に参加するようにしてもらいたい、言葉をかえて申しますれば、協議会をつくつて莊長職員患者と三者一体になつて運営のことすべてをきめていくべきである。こういうような意味の要望があつたのでございます。個々についていろいろお話のありました点も、大要かようなことに要約できるかと考えるのでございます。これに対しまして、莊長は、現在村松晴嵐莊におきまして保管をしております物資はすべて官物でございまして、現在の患者及び將來入所する患者に対して使用させまする物資でありまするので、現在いる患者だけに、これを対象として永久貸與の形式をとることはできないという説明をいたしたのであります。さらにまたいろいろ物資保管、受け拂い等に関しますこと、あるいは互助会の問題など、いわゆる莊の運営患者が参加するということにつきましては、制度としてさようなことを設けることは適当と考えられないが、從來やつておりまするところの連絡懇談会、こういうものを再々開きまして、十分に莊の運営患者意思を反映するようにしたいというふうな説明をいたしたのでありまするが、これに対しまして患者は不満であるということで、患者自治会の名をもつて、ただいまお話のように、莊長不信任状を提出せられたのであります。そうしてこれらの目的を完遂いたしますために、外氣舎患者を主とするハンストを行い、あるいはお話の中にありましたように、莊長官舎庶務課長官舎デモを行い、あるいは外都に宣傳をしたというような事柄を行われたのでございます。これにつきましては、やはりお話の中にございましたように、三月の八日の午後に茨城縣軍政部員が莊に出張されまして、その注意によりまして、ハンストと、患者闘爭委員会は解散することになつたのであります。莊長といたしましては、以上のような経過を経ておりまする今回の事件につきまして、國立療養所入所規程第七條に、療養の指示に從わない者、あるいは所内の秩序を乱す者につきましては、所長の権限において退所を命ずることができるということが規定してございますので、これを適用いたしまして、今度の事件に関する主謀者を退所してもらうという処置をとりましたことも、お話通りでございます。莊といたしましては、これに関しまして、一應全部身元引受人を、お話のように呼出しをいたしまして、よく話をいたしました上で、退所していただくというような措置をとつたのでございます。私の方の調査によりますると、十一名さしあたり退所したいただくように考えておるということは、お話通りでございまするが、現実に身元引受人が参りまして、それとの話合いの上で退所命令を渡しましたものは、そのうちの六名でございます。残りの五名につきましては、まださように具体的な、退所していただくということを指示しておらないのでございます。すでに退所命令を渡しました六名のうち五名は、病状から見まして退所して差支えない者であります。すでに数十箇月療養をいたしておる者でありまして、その六名のうちの一名は、やや微熱があるようでありますが、これも療養所の判断としては、自宅療養が可能であるという診断でございます。残つております十一名のうちの五名の者につきましては、お話の中にありましたように、安靜を要する者もございまするが、これは再入所の者が一名、しからざる者は、少くとも二十五箇月、長いものは六十四箇月すでに入所しておりまして、その病状から見まして、療養所におりましても、自宅に帰りましても、さしつかえないというような判断をいたしておる者でございまするし、またこれらの人々は、今度の事件に関連をいたしまして、安靜を要するとは申しながら、相当活動をしておつたように聞いておるのであります。  これらの者につきまして、ふとんを取上げたあるいは給食停止をしたというお話でございましたが、ふとんを取上げましたというもの、私ども調査では一名でございます。一名の方は十分納得の上で、明日出ていくからというようなときに、差支えのないような程度のことをしたように聞いております。一名の方は、御本人は納得されなかつたのですが、しかし役目としてやるのならもつてつてもよいというようなことも、本人が言われたそうであります。一應そういう関係で、ふとんを取片づけをいたしましたけれども、すぐに医官の指示によりまして、ふとんをお返ししておるのでございます。それから給食停止の問題につきましては、七名というお話でございましたが、私ども聞きましたのでは二名でございます。そうしに先ほど申し上げた通り身元引受人を呼びまして、退所のお話をし、從つてそれと同時に退所命令をお渡しをして、轉出証明をも一緒に渡しておるのでございます。さような関係から申しますと、形式的には療養所としての配給がなくなるということでございますので、その後における療養所としての給食を止めるということも、一應了解のできる筋もあるのでありまするが、お話通り、私どもとしても、さような措置が、形式的な理由がありましようとも、穏当な措置ではないと考えておる次第であります。これらの者につきましても、その後の話合いによりまして、給食をずつと続けて今日に主つておるのでございます。かようなことが今日までの実情でございまして、松谷委員お話のございましたように、三月の二十日に、一應私どもといたしましては、お話もございましたので、莊長宛に電報をもつて、退所の実施は一時保留するようにということを申し渡してございます。これが今日までの本事件の概要として、私どもの承知しております内容でございます。
  7. 小野孝

    小野委員長 委員外の石野久男君から、本問題について発言を求められておるのですが、石野さんにお願いしますが、時間が迫つているので、簡單にお願いします。
  8. 石野久男

    ○石野久男君 本件につきましては、先ほど松谷君からいろいろと詳細にわたりまして質問がありましたが、ただいま当局の御説明にもありましたように、すでにこの件を通じまして強硬な手段がとられておりまして、ただいまのお話によりますると、給食停止が二名である。あるいは寝具等を取上げた者が一名だというようなお話でございまするが、すでに退莊命令を発せられたと判定される者が約三十二名ほどあるということも、患者側からの意見として聽いておるのであります。いずれにいたしましても、この件は去る三月八日にポイナー大尉が参りまして、ハン・ストを中止するようにという勧告がありました。それ以後お互いに最も平和的な解決をするようにという慫慂がありまして、今日に至つておるわけであります。この問題は莊側患者側との間の問題としての解決は、今のところ非常に困難になつておるやに見受けられるのであります。私は松谷委員からも申されておりましたように、早急に本委員会がこの問題の解決のために調査團を派遣して、一日も早く患者が安靜な療養ができるようにしていただくように、お願いしたいのでございます。  それからこの問題につきましては、莊当局患者側との言分の中には、いろいろと食い違いがございます。けれどもこの問題が非常に長い時日にわたりまして、両者の間に係爭が行われておるのでありまして、すでに三月の六日、七日にはハン・ストの状態にまで行つておるのであります。この点について、私は当局に一應お伺いしておきたいことも、もちろん莊当局として、患者側に対してのいろいろな御意見もありましようけれども、少くとも結核患者という病的な本質から言いましても、ハン・ストの状態にまで追い込むということについての、監督官廳のこれに対しての当時の見解と処置に対する私の疑念でございます。これについては、今後のこともございまするので、一應当局の御意見を承つておきたい。こういうように存じております。  それからなお莊側言つておりまする、患者を莊の経営に対しまして参加せしめることは、患者の本質から言いましても思わしくないという見解をもつておるようでございます。この点についても、私はもちろん患者の本質的なものから言いまして、経営に参画するということの是非についてはいろいろの論議があろうと存じます。けれどもこの問題について、しかく簡單にそれはだめだというような、一方的な見解で、これを済ましてしまつていい問題であるかどうかということについて、私はやはり一應当局の御意見も承つておきたい。同時にこの問題についての、今後の委員会における十分な審査と、結論を早く出していただきたい。こういうように私は存じております。  それからなお、この問題について患者側の動き方が非常に過激であつた。また思想的なものとしてのいろいろな疑念を、莊側がもつておるのだということも承つておりまするけれども、いずれにいたしましても、今度の強硬手段、退莊命令を出されたことについて、ただいま当局が申しておりましたような、退所して差支えないという考え方でございまするが、少くとも結核病者につきましての、アフター・ケヤーの問題から、それに対するいろいろな施設等の問題も含めまして、この患者自体についての、退所していい悪いという見解については、私專門的な立場からは十分わかりませんが、現在の入所患者の問題について、今この問題が起きたからということで、こういう処分をされていいものであるかどうかということについても、私は疑念をもつております。この点について、事が非常に経営の維持を困難にするという意味において、退所命令を出したものであるかどうか。それともほんとうの療養という。医学的な面からの退所命令であつたかどうかということも、はつきりと承つておきたい。こういうように存じておるのでございます。  なお松谷委員が、詳細にわたつて陳情の状況を質問に兼ねて申しておりまするので、私は申し上げませんが、最後に本件の解決についての、いろいろな大きな問題が残されておりますし、これはひとり村松青嵐莊だけの問題ではないのでありまして、多くの國立病院に、同じような事件が從來ともあつたやに聽いております。殊に最近における國立療養所に対する給與の面等についての問題は、いろいろとあちらこちらに問題を起しておりますので、ぜひともこの問題についての委員会として、國会としての処置が、急速にとられることを、私は切望いたしたいのでございます。殊に私この三月八日に参りましたときの莊長の言葉をもつていたしますと、本件については私は國家から一つの行政官として管理を委託されておるのであつて、いろいろの問題は究極のところ國家の問題であるから、患者から言われることをそのわく内で受けるよりほかにないのである。こういう意図のことを言つておられました。もちろん私もその事情についてはよくわかるように思います。殊に予算の面等におきましていろいろと詰められておる点などで、経営者の側における苦衷も十分わかるのでございますけれども、こうした問題がただ行政管理というような面において、莊長運営をしていくというために、いたずらに官僚的な処置患者側に対してとられますならば、いわゆる患者療養の身にあるということだけで、全部を経営管理に委託しておくことができ得ない状態になることは、必然であると私は存じております。今度のハン・ストのごときものについても、患者自体の建前からいつて、いろいろ批判はあると存ずるのでございますが、少くともここまで至らしめた事情等を考えて、私は私の意見としまして、患者が経営に参加することについて、はつきりと当局においての御意見を承つておきたいし、私自身としては、ある程度それに対して参畫せしむる必要があるのじやないかというように存じておりますので、一應私の意見をも兼ねて、当局に以上の諸点についてお尋ねいたしたいのでございます。
  9. 竹田儀一

    竹田國務大臣 村松青嵐莊事件は、まことに当局といたしましては、こういう事件の起りましたことを遺憾に思つております。しかしながら事件内容は、先ほど松谷委員からも詳細なお話があり、相当複雑なようにも思つておりまして、その問題に対して、どう当局が考えておるかということにつきましては、いま少しく事件の眞相がわかりましてから後に発表いたしますことが、適当なことであろうと思います。この機会に発表いたしますことは、軽卒でないかと存ずるのであります。殊に承りますと、あるいは委員会で現場において実地の調査もしてみたらどうかという御意見も出ておるやでありますから、当局といたしまして調査いたしましたことと、また委員諸君において、もしそういうことで御派遣になるということでありますならば、この結果を待つて、私どもといたしましても意見を申し述べたいと存じます。ただ患者が莊の経営に参加するということはいかがかと存ずるのであります。その意見を徴するというようなことはいいかとも思いますけれども、経営に参加いたしますというようなことは、関係方面等の意向もあまりに賛成でないようにも聞いておりますので、この点につきましては、せつかくの御質問でありますけれども、私といたしましてはどうであろうか、かように考えるのであります。なお退莊を命じたということにつきましては、これは松谷さんからも先般私に陳情があり、参議院の中西議員からも御陳情があつて、事の眞相はともかくといたしまして、ただちに退莊を命じるということはいかがかと存じまして、とりあえず退莊ということは留保するようにということを話をしておきました。そうしてただちに事務当局をして調査せしめたのであります。調査せしめたのが先ほどの久下政府委員の御答弁になつたことでありますが、さらにこういう点につきましては、久下政府委員から詳しく御答弁さす方が適当かと思いますが、大体の私の氣持をこの場合申し上げておきます。
  10. 小野孝

    小野委員長 本件はまだ事柄の眞相がわからないという方がいいと思いますので、この委員会としては、まず事柄の眞相を明らかにして、その後にしかるべく討論も行い、政府の処置の誤りのないようにいたすようにいたしたいというふうに考えるのでございます。つきましては先ほど松谷さんからも御要求がありましたように、本件の眞相を調査するために、本委員会から委員を派遣いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小野孝

    小野委員長 それでは御異議なしと認めまして、さようにいたしたいと思います。  なお議長に申請いたさなければなりませんので、その申請に関してお諮りいたしますが、派遣すべき委員飯村泉君、松谷天光光さん、榊原亨君、派遣の期間は四月一日から三日間、派遣の地名は茨城縣村松町、派遣の目的は晴嵐莊の実地調査、かようなふうにして議長に申請いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小野孝

    小野委員長 それでは御異議ないと認めしてさように決します。
  13. 飯村泉

    飯村委員 晴嵐莊の問題につきましては、各位からもいろいろお話があり、かつまた調査員の派遣されるということにつきましては、さらに実地調査の結果に基いて適当な処理をすることができると思いますので、この問題でなく、ただそれで私氣づいたことでありますが、この療養所におきまして相当期間滯在して、社会に出てある程度十分な体力を持つた者を、莊長の権限によつてその病院を退所させる規定がないというようなことがわかつたのでありまするが、これを考えますと、次々と相当の患者が街におるのでありまして、この患者を收容することができなくなつている。片方はいつまでもいつまでもそこに留まつておるというのに、片方では、はいりたいというがはいれない。こういう結果であつては、ほんとうの國家の療養所としての目的を達成することができないではないか。このように考えるのであります。しかしてこの晴嵐莊にも、現在相当の人数の者がもはや社会に出て働けるという状態にあることを、医師として認めているという人があるらしいのですから、こういうものに対して、莊長はこれを退院させるという規定をここにつくる必要があるのではないか。このように考えますが、当局のお考えを承りたい。
  14. 久下勝次

    久下政府委員 御質問の点につきましては、私ども実は同樣な氣持をもつておるものでございますが、ただ実際問題といたしまして、今日の社会の経済事情等から考えますると、これを強行いたしましても、実効があがらないというような場面が具体的にたびたび起つてまいります。実はさような規定は過去におきまして、療養所入所規程の中にあつたのでございますが、まず病氣が全快をすれば、こちらから言わないでも退所するのが当然であろうという考え方から、その規定のありましたものを、むしろあまり実効があがらないという意味で、今日ではとつているのでございます。そして先ほど申し上げましたように、莊内の秩序を乱すとか、あるいは療養に関する指導を拒むとかいうようなものについてのみ、退莊命令が出し得るという規定をおいている次第であります。     —————————————
  15. 小野孝

    小野委員長 乳幼兒の食糧確保に関しまして、中嶋勝一君から簡単な発言を求められております。これを許します。中嶋勝一君。
  16. 中嶋勝一

    ○中嶋委員 過ぐる二十三日に上野の精養軒におきまして、日本育兒栄養改善協会の主催によりまして、育兒栄養問題に関する協議が行われたのであります。当日は衆議院関係、参議院関係、その他小兒医学会関係、学術團体、食糧品配給公團関係、消費者関係、生産者関係、農林省からは米田畜産課長ほか五名の方が出られ、厚生省からは小島兒童局長ほか四名の方が御臨席くださいまして、眞劍にこの問題が取上げられて御協議になつたのでございます。協議せられました要点は、育兒に対する栄養問題であつたことは、ただいま申し上げました通りでございますけれども、殊に從來育兒食等で補充せられておりまするけれども、まだカロリー計算において少い。これをもう少し量を増す必要がある。こういう点でございましたのと、それから一つには、あの育兒食等が給食せられておりまするのは、生後一箇年間に限つておりまするけれども、それでは不足であるから、少くともこれを六箇年に及ぼさなければならない。それはどういうのであるかと申し上げますると、現在小学校の兒童には給食をせられておりまするのに、幼稚園の子低にはおやつ一つも與えられておらぬという不合理がある。こういう点を是正する必要がある。こういうふうな点も取上げられたのでありまして、この問題が眞劍に当日は審議せられまして、午後の一時半に開会になりまして、六時までぶつ通し会議が続けられまして、結局ただいま申し上げましたように、どうしてもこの問題は実現せしむるように努力する。こういうことで会議は終つたのでございましたけれども、かねてこの問題は本委員会におきましても十分取上げられておりまして、殊に山崎さんなり、松谷さんなり、そういつた人の非常な御努力に対しまして、從來非常に敬意を拂つてつたのでございまするけれども、これがわれわれ委員会以外においても、ただいま申し上げましたようなそうした團体、殊に最高権威者のおられるところの関係團体におきましても、これが非常に取上げられまして、そうしてこれの原料は、現在でも輸入食糧によつてこれを賄つておるのでございますけれども、將來も輸入食糧のこの方面にまわしてもらうところの量を非常に増してもらう必要がある、こういうことにつきまして、まだ一般の努力を要するのである、こういうことになつたわけでありますけれども、こうしたことが各界をあげてその叫びをあげられ、それによりまして、叫びをあげ得ざるところの赤ちやんの栄養の補充もでき、そうして健全なる子供が育てられますことは、非常に慶賀すべきことであると考えますので、本委員会といたしましても、從來のああした叫びをなお一層強く運んでいただき、そうしてこうした運びの流れておりますものとタイアツプしましても、そうしたことに努力せられることを希望いたしまして、この会に出席いたしました一員といたしましてこれを御報告し、また希望を申し述べさしていただいた次第でございます。
  17. 松谷天光光

    松谷委員 この際私は大臣にちよつと伺つておきたいのでございまするが、これは今回の晴嵐莊の問題ばかりでなしに、各所の國立病院で、いろいろと過去においても問題を起しました一つの点は、病院の所有いたします在庫物品についてであると考えます。これが往々にして、今回の晴嵐莊でも一つの問題になりましたように、在庫品に対する帳簿がはつきりできておらない。あるいはまたそれに対する公開を要求して拒否された。これは経営参加まで実現されませんでも、とにかく要求した場合において、そうした帳簿が公開されるということは、今日のこの民主的な時代においては、私は当然のことと思うのでございます。これは決して患者としてあるまじき行為であるとは考えられないと思います。いつ要求されても、それは即座に公開することのできるような、明白な帳簿病院当局ももつべきであり、また監督官廳とされても、こうした点についての御調査も常に行うべきであると思うのでございますが、なおここで一つの矛盾と申しますか、問題が起きます一つの原因は、私はその物資は常に患者個人に貸與されるものでなくて、莊自体、あるいは病院自体に付與されるものである、こういうところに一つのここに食い違う点ができ、また矛盾、混乱を起す一つの問題があるのではないかと思うのでございますが、かりに病院に支給されるものにしても、それはやはり病院に入院するところの患者に支給されるものである、國家が患者という國民物資を貸與するものである、こう考えますときに、もちろん病院がいろいろ計画的な支給をしなければならぬとは考えますが、病人がしきりと必要にせまられて、そこにもちろん限度はございますが、こういう國家あげての緊急な場合でございますから、あえて必要以上のものを要求することは別問題といたしまして、必要にせまられたその病人に対する貸與に対しても、これは莊に貸與されたものであるというような点から、その貸與を拒否する。私は倉庫の中に今日物資を寢かしておくよりも、かりにそこに使い得るところの物資があるならば、一人の今日困窮しておるところの國民を救うことが、私は今日の監督官廳のまたお考えになる当然の問題であり、病院のなすべき行為だと考えるのでございますが、そうした今回の配給の問題についても、ひとつ当局とされて考えていただきたいと思うのでございます。やはり私はその患者自体に支給するような方向にいくのが、最も妥当ではないのか、これはいろいろ手続の問題、あるいはその他の方法もございますが、大臣はそういう点についてどうお考えになるか。在庫品がありながら、それを現在最も必要とするところの國民に対して貸與することなしに、將來はいつてくるであろうと予測されるところの國民のためにそれを積んでしまつておくのが、今日の國情からいつて最も妥当なる運営の行き方であろうかどうか。この点を伺い、なお各國立病院に対して、ぜひひとつ帳簿の完全な設置という点について、なお一層の御注意を拂つていただきたいと、希望も附け加えて質問させていただきたいと思います。
  18. 竹田儀一

    竹田國務大臣 松谷さんのお話もごもつともだと思います。帳簿がはつきりしており、いつ問題になつても一点のやましいところがないというように、はつきりさせていくことは当然であると思います。しかしながら莊や療養所行つております品物が、療養所のものであるか、患者のものであるかということになりますと、そこには看護婦作業員等もおりましようし、よほどむずかしい問題であると思います。必ずしもそれが全部患者に渡らなければならぬというような意味に解釈いたしますことも、少しく行き過ぎなような感じがいたしますので、その間だれが考えても、あなたのおつしやる通り妥当公正な方法で行き渡つておれば、問題はないのであろうと思います。私どもといたしましても、今度の問題のようなことが起らぬように、各療養所の首脳部に対しまして、十分帳簿、在庫品その他について、他から一点の指揮を受けないような保存方、配給方を考慮してもらうように指令を出しますとともに、またそういう物資が、あなたのおつしやつたように、將來來る人のために用意すると申しましても、おのずから限度がありましようし、將來品物が十分にはいつてこないという場合には、ある程度の備蓄はやむを得ないことと思いますが、それは莊長なり所長なりの、その現場に應じました臨機應変、適当な処置に任すより方法がないと思うのでありますが、なお詳細な点は、いろいろな全國の事情もあるようでありますから、政府委員からお聽きくだされば仕合せと存じます。
  19. 小野孝

    小野委員長 榊原亨君。
  20. 榊原亨

    ○榊原(亨)委員 極く簡單に申し上げますが、都立豊島病院におきましては、急患及び入院患者には最低限度の治療を行うけれども、その他の治療はこれを拒否するということか今度のストライキに附随して起つておるのであります。もう一つは、全國の國立病院職員が全部辞表を提出した。この問題につきましては大臣はどんなふうにお考えになるか。これはきわめて緊急を要する問題でございますので、その点を御質問申し上げます。
  21. 竹田儀一

    竹田國務大臣 ただいまの都立豊島病院お話も、私はなはだ恐縮でありますが、まだ聽いておりません。全國の療養所職員が全部辞表を提出したということも、まだ耳にはいつておりませんので、ただちに調査いたしまして、そういうことがあれば善処いたします。
  22. 榊原亨

    ○榊原(亨)委員 この問題は非常に重大な問題でございまして、先ほど晴嵐荘の問題もいろいろお話になりましたが、とにかく現在の國立病院と申しますか、それらの医療機関は、そこにはいつている患者患者で自分のことばかりを考え、そうしてはなはだしい者は、先ほどお話にありましたように、ハン・ストをやる。病氣を治そうと思つてはいつているにもかかわらず、自分がハン・ストをやる、こういうことはどこから考えても考えられないのであります。また一方これに從事しております医者は、世の中がどんなふうになりましようとも、至上命令としまして、私ども医者というものは、どんなに食うや食わぬという問題にかかわらず、患者に対して絶対的な治療をすべきであつて最低限度の治療だけをして、あとはストライキをして休んでいるということは、絶対に許されないと思います。もしもこういうことが全國の國立病院によつて行われ、あるいは都立、公立病院によつて行われたとするならば、これは嚴罰に処すべきものだと思いますから、その点を大臣において至急御手配くださるよう御要望いたします。
  23. 小野孝

    小野委員長 ではこれをもつて散会いたします。     午後零時二十二分散会