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1948-06-14 第2回国会 衆議院 決算委員会司法委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十四日(月曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    決算委員会委員長 松原 一彦君    理事 冨田  照君 理事 竹谷源太郎君    理事 中曽根康弘君       泉山 三六君    中山 マサ君       平井 義一君    花月 純誠君       片島  港君    河合 義一君       高津 正道君    玉井 裕吉君       辻井民之助君    田中 健吉君       木村  榮君    司法委員会委員長 井伊 誠一君    理事 鍛冶 良作君 理事 八並 達雄君       佐瀬 昌三君    花村 四郎君       明禮輝三郎君    池谷 信一君       猪俣 浩三君    打出 信行君       中村 又一君    吉田  安君       佐竹 晴記君    北浦圭太郎君  出席國務大臣         國 務 大 臣 鈴木 義男君         國 務 大 臣 栗栖 赳夫君  出席政府委員         経済安定本部副         長官      田中己代治君  委員外出席者         專門調査員   大久保忠文君     ————————————— 本日の会議に付した事件  経済査察廳法案内閣提出)(第六〇号)     —————————————
  2. 松原一彦

    松原委員長 これより会議を開きます。  本日は決算司法連合審査会を開くこととなりました。先例によつて私がしばらくの間連合審査委員長職務をとり、審議を進めてまいりたいと存じます。  本日審議いたします経済査察廳法案は、きわめて重大なる関係のある法案であり、去る五月十七日決算委員会に付託となり、同二十四日に政府説明を聽取いたした後、すでに十数回にわたつて愼重審議を重ね、経済安定本部当局とも質疑應答をいたしておつた次第であります。また司法委員会におかれましてもかねて関心をおもちになり、同法委員長からのお申出もありまして、連合審査につきまして両委員長の間に協議をいたしました関係もありますから、この際司法関係見解からも忌憚なき御意見をお述べいただきまして、連合審査をいたすことと相なつた次第でございます。なお審議進行模樣によりますが、委員長同士の話合いでは大体本日午前中に審査を終りたいと存じますので、御了承を願つておきます。また政府当局も以上の諸点をお含みの上、率直懇切なる御答弁をいたされんことを特に申し添えておきます。  質問通告がありますから、御通告順によりまして許します。鍛冶良作君。
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はなるべく安本長官に聽いてから法務総裁にと思つてつたのですが、第一に承りたいのは、本法は昨年司法委員会経済査察官臨檢檢査等に関する法律案として出て、審議未了終つた、それが少々形を変えて出てきたものと心得るのであります。昨年あの法律司法委員会へ出たのでありますが、本年は決算委員会にかかりました。われわれとしてはまことに意外に考えましたので、その後決算委員会ではいかぬということをしばしば言つてつたのでありまするが、ようやく本日合同審査委員会にかかつた次第であります。この法案内容はひとえに司法処分に関する重大なることが出ております。裁判所令状をとつて人身を拘束し得るというがごときは、司法以外にできないものとわれわれは考えておるのでありまするが、まずこの点についていかなる御見解をおもちになつておるか。それから司法委員会にかけないで決算委員会に來たのはどういうわけであるか。この点をまずお伺いしたいと思います。
  4. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 お答えいたします。司法委員会にかけず、決算委員会に御審議を煩わすようになつたという点については、別に政府として、そうお願いしたことはないように承知いたしております。議会の方で組織に関する法律であるというので、他の一般のいろいろの組織法とともに決算委員会に付議することになつたように承つております。連合委員会でやつていただきますればなお結構であると承知しておる次第であります。また決算委員以外の方でも隨時御質問はできるのであります。すでに先日もそういう御質問があつたと思います。以上御了解をいただいておきます。  それから、これは人身の自由を拘束するような重大な手続規定するものであるから司法の面でやらなければならない。その点については前に経済査察官の臨檢査に関する件において御議論がありましたので、今回はすべて裁判所許可状もち必要があれば臨檢檢査をする、こういう建前になつているのでありますから、その点についての違法問題はなかろうかと存ずるのであります。なお蛇足かも存じませんが、警察が地方分権化いたしまして、自治体警察原則となりました関係上、経済取締りのごときはどうしても全國を統一する組織によつてやらなければならないということは、当然御了解願えると信ずるのでありまして、その二つの点をもちましてこの法案を提出した次第であります。
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員 なるほどこの委員会に付託されることは、運営委員会でやるのでありますが、私の聽きたいのは、昨年は司法委員会にかけたものを本年決算委員会にかける、昨年もあなた方の方で御承知なかつたので、運営委員で勝手にやつたんだと言われるならば、これはやむを得ませんが、昨年はとにかく司法委員長会にかかつてつたものを本年はここにかかつてくるというのは何か事情があると私は思うのでありますが、その点をこの間ちよつと座談的に言つたら、法律性質が違うのだというようなことを安本事務官の方々からも聞いておつたのですが、それらの点でもし御説明があるならば、まずそれから聽いてかかりたいと思います。それは総裁でなくてもどなたでもよろしゆうございます。
  6. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その点は別に意味があつたわけではないように私は承つておるのであります。昨年は臨檢檢査というものをきめるのだから、司法委員会が適当であろうと運営委員会の方でお考えになつて司法委員会にまわし、政府もまたまことに適当である、元來が画一的にどの委員会でなければならぬというはつきりした法律というものはそうたくさんはない。——たくさんないと申しては言い過ぎかも知れませんが、どこへまわしても審議はお願いできるという性質法案が多いのであります。そういう意味において、別に政府として働きかけたものでないということを申し添えておきます。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員 しからばその程度にいたしまして、私らの見たところでは、昨年出ました臨檢檢査等に関する法律内容はほとんど同じものである。ただ組織を少し大きくせられておるだけでありまするが、どこか根本的に違つたところがあるならば、提案理由を聽いておりませんから、その点をまず前提として承つておきたいと思います。     〔委員長退席冨田委員長代理着席
  8. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 実はそのことは提案理由で御説明申し上げてあるのでありますが、要するに警察が分権化いたしましたので、今度は全國を統一的に同一標準をもつて経済統制はやる必要がありますから、そういう意味で特に規模の大きい組織法を定めたのであります。昨年の立案においては主としてこの臨檢檢査というようなことを附随的にやらせていかなければこの仕事を貫徹することができないという見地から、そういう点に主眼点をおいて立案をいたした次第であります。そこにおのずから相違がございまして、今回の提案がより組織的であり、より総括的である、こういうふうに御了解願いたい。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこで承りたいのですが、画一的とおつしやるが、本法において経済査察官なるものの権限は第四章に規定されておるのであります。第四章の規定は、主として経済法令に関する磯反事件調査目的とするものでありまして、調査のために臨檢檢査並びに逮捕等をやるということになつております。この点から申しますと、ただいまの御説明では形は大きくなつておるけれども、実質上の仕事には変りはないと私は考えますが、それともどこかに根本的な変りがあるのでありますか。
  10. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 そういうふうに仰せられれば、そう大した相違はありませんが、少くとも今度の案におきましては、そういう違反を防止するため、予防的な方面に重要な意義がある。かように考えております。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員 予防と申しますと、どこから出てくるのか私にはわかりませんが、あなた方の方は予防目的とされたかもしれませんが、ここに現われておるところは「経済法令に関する違反事件調査するため必要な取調をすることができる。」これはどうも予防というだけにはとれないのでありますが、予防だけに止まるのでありましようか、それとも進んでどこまでできるのでありますか。
  12. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 お答えいたします。第一條をごらんくださいますと、この査察廳の任務というものが詳細に網羅されておるのであります。御承知のように物資の生産、配給及び消費並びに物價に関する経済統制の励行を確保するために次の事務を掌るということになつておりまして、一から八まであるのであります。ただいまお言葉にありますのは、その三「経済法令に関する違反行為調査に関する事項」ごく一部分にすぎないのであります。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あまり議論はなんですけれども、それはもちろん第一條にはそうありますが、第四章は権限を書いてあるのです。私はなるほどそういう廣い意巳ではありますが、査察官なるものの権限はこれで見ると予防だけとは認められない。むしろこれを見ると、必要なる調査取調ということはどういう意味であるか、この点を聽いております。予防のための取調なのか、それとも進んであるものを調べるというのか、その点を承りたいと思います。
  14. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その点は、いたします仕事は一般的に非常に廣汎にわたるわけでありますが、特に法律をもつて保障しておかなければならぬ権限ということになりますれば、自然第四章に書いたようなことが問題になるわけでございまして、その意味で特にこの権限規定した。これだけが唯一の仕事であり、それだからこういう権限規定したのだというふうに御解釈するのは、どうも狹過ぎはせぬかと考えるのであります。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員 しからば第四章以外に、それではこの査察官というものの権限があるのですか、権限というのはここに書いてある、これだけではないのですか。そのほかに何か査察官たるものの権限規定してあるのですか、これだけで狹いならばどこにその廣い権限が書いてありましようか。
  16. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 別に権力的な行為でないものは特に規定しておりませんでも、少くも経済査察廳というものが第一條に列挙するような権限をもつておるということであれば、これに関連する行為はなし得るわけでありますから、特に第四章では権力を行使する場合、行政処分をやる場合だけを拔出しまして規定いたした次第であります。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これはどうも私ははなはだ心得がたい御答弁である。われわれは法律習つて、第何政何々の権限、何々の効力と事いたら、それ以外に私は権限があるものとは認められない。なるほど第一條本法はかような目的でつくつた。これはわかると思います。そこでこの目的のために査察官なるものこういう権限を與えた。これが権限だと思う。これ以外に権限があるとわれわれの習つてきた法律観念では出てまいりませんが、さようなことは一体ここの法律だけでできるのか、それとも私の頭が間違つておるのか、まずその点から明白にしておきたい。
  18. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その点田中政府委員からお答えいたします。
  19. 田中己代治

    田中(己)政府委員 ただいまの御質問にお答えを申し上げますが、大体この第四章は経済法令違反調査にあたりまして、経済査察官が行い得る行政手続等に関する規定なんでありまして、この第一條にあります査察廳権限を行使するのは査察官でございますから、この査察官が第一條査察廳権限を具体的に執行するということに相なるわけなんであります。法規上、行政的のこれらの取調べ隠退藏物資調査、それから行政監査、これ以外のことにつきましてはそれぞれ査察官としての立場で職務を行うということになつておるのでありまして、別にその規定はございませんが、大体そういうふうに考えておりまもす。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これはどうも法律というものの建前からの議論になるのですが、第一條経済査察官というものはこういうことをするために置くのだ。こう書いてあるのでしよう。これだけのことをさせようと思つておいたのだ。これが第一條だ。しかしてこれだけのことをさせるには、査察官なるものにこういう権限を與えるのだ。こう書いたのが第四章でしよう。してみれば第四章以外に権限があるということはわれわれには考えられない。いかなる法律をつくろうと第一條に総則として、本法はこれこれのことをやるのだ。しかしてそのものに権限としてこれだけ與える。その権限にこれ以外の権限があるとは考えられないのですが、あるならばどこから出てくるのか。第一條はそういうように解釈できるかどうか。その点からまず承らなくちやいかぬと思います。
  21. 田中己代治

    田中(己)政府委員 その御指摘の点につきましては、多少法案不備があつたようにも考えますが、しかし大体において、この法案建前といたしましては、先ほど申したようなつもりで立案いたした次第であります。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員 不備とおつしやれば、不備はただちに直してもらわなければならぬ。これははなはだ失礼なことを言うかもしれませんが、先ほどからあなた方そう言われるが、実際はこの第四章に目的があつたのであります。そうしてそれをいかにも大きな別のものに出したように出してこられたことにわれわれは不満をもつのであります。これだけの権限であるならばこれだけの権限でいらつしやい。そのほかに軽限があるならば権限の章を説けてきてください。われわれはそう認める以外には方法はありません。
  23. 木村榮

    木村(榮)委員 ただいまのことに関連してちよつと発言いたしますが、今鍛冶さんが言われる通りに、この間私らが向うの方に行つたときにも、経済警察復活であつてはならない、そういう印象を絶対に與えないようなものにしてくれという話であつたのであります。そこで私は、そういうことになるとこの四章というものが非常に問題だと思う、この四章がこのままであるならば、いかに口でそういうことを言つても、現実の問題としてはこれは経済警察復活以外の何ものでもない、だから四章は徹底的に修正する必要があるということを申したのであります。それに対して向うでも、そういうわけであるならば、何といつてもなかなかむずかしい問題だから、みんな納得いつて日本國民にそれを発表しても何ら経済警察復活だといつたような印象を與えないように修正して差支えない、ということをはつきり言われたのであります。だからわれわれといたしましては、特にこの際この四章というのは非常に問題だから、司法委員会の方が專門家であるから、特に愼重審議いたしまして、この法案にいたしましても、とにかく本期の会期いつぱいにやつてくれればよい、愼重にやつてくれという話であつたのでありますから、少くとも会期が延長にでもなればまた相当な日にちがあるわけでありますから、司法委員会の方とも諮つてこの四章の問題その他の問題もありますから、あくまで経済警察復活ではないということを皆に訴えても、なるほどそうだと思われるだけの法案に徹底的に修正する必要があると思います。
  24. 冨田照

    冨田委員長代理 木村君にお答えいたします。ただいまのお話はごもつともであり、その必要を感じましたから、この合同審査会が開かれたわけであります。きよう法務総裁もお見えになつておりますから、十分その点を御討議くださつて、あとでひとつそのようにまとめていきたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はこの法案にけちをつけに來ておるのではない。これは政府の方でも、われわれから指摘されたからそう言われたのでははなはだ困るので、これは欠陷があると思われたら、率直にわれわれと懇談会でも開いて、こういうふうにしようというので案を練り直されたらいかがですか。その御意思はありませんか。そうでないと、これだけの四章では、あなたがいくらそういうことを言われたつて通りはしないです。
  26. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それは今承りますとごもつともであると思います。実は事前に十分両官廳連絡がとれなかつたためにこういうことになつたかと思います。安本の方に任せてありますので、法務廳としては下僚があるいは御相談にあずかつたかと思いますが、御指摘の点はいかにもごもつともだと思います。ただ一箇條を入れて、第一條のごとき権限を行うとすればよかつたので、それが拔けておるために御疑問のようなことになると思いますので、御修正願いますれば喜んで同意いたしますし、また政府から修正案を出すということにいたしてもよかろうと思います。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは、われわれは修正するのはよろしいですけれども、これは根本的なんです。法案としての体をなしておらぬと思います。法務廳協議の上われわれも懇談乘つてもよろしうございます。そうして案をとにかく人の前で通るものに直していただくことを希望いたします。  それと同時に、私は今度は本論にはいつて法務総裁に承りたいのですが、一体この第四章に書いてあるがごとき行為は、これは行政官のできる行為なんでしようか。われわれは今までの法律思想から考えまして、かくのごときものは司法官以外にはできぬものと心得ておりますが、この間から檢務長官にも言つておるのですが、これは一体あなた方はこういうことをほんとうに同意したのかどうか。これをまず根本的にひとつ考えていただきたい。
  28. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 政府委員をしてお答えさせます。
  29. 田中己代治

    田中(己)政府委員 お答え申し上げます。この経済査察官は、司法警察官ではありませんが、大体調査をいたしますについて、税務官吏その他の行うようなことと同樣の職務権限ということになつております。直接令状執行したり、あるいは差押えをしたり、身柄を拘束するということは原則として警察官にしてもらい査察官実力行使には直接手を出さないという建前でございまして、現行犯人逮捕につきましては、普通の現行犯人逮捕同一程度に少しその職務権限を附與するという程度にいたした次第なのでありまして、警察官でなければかようなことができないということは少し違うかと考えております。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員 なるほど警察官のやることにはなつておりますが、警察官は、刑事訴訟法その他のところから考えますと、檢察官指揮を仰いでやるべきものであることは問題はないのであります。この指揮は一体だれがやるのですか。行政官たる安本の一部であるところのこの地方査察官なるものがやるのですか。それでいいのですか。これは日本司法に対する一大変革でありますよ。これができるということになると、安本ならできる、それじや大藏省でもできるんだ、農林省でもできるんだ、ことごとくでやるということになつたら、これは日本司法がもてますか。これは法務総裁として根本的に考えてもらわなければ、これは司法部の革命ですよ。実際これを読んで私は驚いたんだ。
  31. 田中己代治

    田中(己)政府委員 警察官に対して何ら指揮権はございませんで、警察官には協力を求めるということにいたしてあるのでございます。その点御了承願います。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員 たれが指揮をするのでありますか。根本の大もとの指揮はたれでありますか。
  33. 田中己代治

    田中(己)政府委員 指揮関係はございませんで、たとえば、事件がございますと、これに対して強制の手続をする必要があるというような場合におきましては、裁判官令状査察官がもらいまして、そうして警察官の同行を頼んで、警察官が行つたときにその令状執行する、そうしてその結果によりまして、経済査察官差押物件とか嫌疑者取調べをいたしまして、そうして檢察官告発をいたします。そうして告発いたしますれば、檢察官刑事訴訟法從つてこれを処理するという建前でございまして、別に警察官に対する指揮関係ということはないのであります。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは非常に驚いた。そうすると、こういう人の身体を拘束したり物件を強制したりするのに司法警察官は勝手にやるのですか。責任者はたれなんですか。それを私は聽いておる。あなたのお言葉ですと、責任者がない。司法警察官が勝手にやる。これは実に驚き入つた法律になつてきておる。
  35. 田中己代治

    田中(己)政府委員 これはもちろん裁判所許可を得て、裁判官の発した許可状に基いて行うのでございまして、警察官が勝手にやるというわけではございませんし、告発に至るまでの責任査察官がとることになるわけであります。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員 裁判所許可状はやり得る権限を與えた。これは本違いない。そこでこれを執行する。問題は執行することの手段、方法に問題が出てくるのです。今まででも人権蹂躪というのはそこに出てくるのですよ。その責任をだけがもつのか。警察官は個々勝手ですか。あなたの答弁を聽くと、そう聽えますが、行過ぎがあつた、不法があつた、その責任はだれがもつ指揮する者がもたなければならぬ。その指揮する者はだれかというのです。犯罪捜査に対しては警察官指揮権もつ。どこまでも法務総裁責任を負う。だからわれわれはこれに頼つておる。あなたの説明を聽くと、司法警察官は勝手にやれる。指揮がないのだ。これは切捨御免をやりますよ。
  37. 田中己代治

    田中(己)政府委員 令状に関することにつきましては裁判所責任でございますが、これについて、執行にあたりまして違法行為がありますれば、それは、その執行にあたつた警察官自身責任ということに相なるものと存じます。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員 何遍もこれ以上聽きませんが、しからばこれを監督する者がおりませんね。ないのですね。さような法律を出されては迷惑千万である。これは法務総裁どうです。よほどこの点を考えてもらわぬと、こんな法律が出てはたいへんです。
  39. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 私またお答えいたしますが、参議院に法案が上程になつておりますので……。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はこれだけ承つたら、かような法律はもう一遍法務廳と相談して、出直してきてもらいます。しからざれば、われわれはやれません。いやしくもわれわれは法律というものを習つてきて、殊に今日人権蹂躪ということが非常にやかましくいわれて、憲法上認められておる。そうしてこういうことをするには、憲法によつた権限をもたなければならない。さらにこれに対して十分なる監督がなければならぬ。監督ということは指揮責任を負うということです。しかるにあなたの答弁によると、責任を負う者がない。一人々々の警察官が勝手にやる。これはとんでもない法律をあなた方もつてきておられる。あなた方だつて法律家なんだ。そんなことでいいのですか。これは根本的に出直してきてもらいましよう。これ以上ここで言うておつてもしようがない。
  41. 花村四郎

    花村委員 安本長官どうしたのですか。來ませんか。
  42. 冨田照

    冨田委員長代理 今安本長官連絡に行つておりますから、それまで鍛冶さんの方は留保しておいていただいて、猪俣浩三君。
  43. 猪俣浩三

    猪俣委員 私も司法委員でありまするが、一、二点お尋ねいたします。提案理由も見ておりませんし、何も材料をもつておりませんで、ただこの法案だけ手にしておるのでありますから、あるいは質問が重複したり、あるいは提案理由説明があつたのを私が見落しておるのがあるかもしれません。それから鍛冶君の質問も聽いておりませんから、その点ひとつあらかじめお含み願つておきたいと思います。  私は二点をお尋ねしたいのですが、一点は憲法及び新しい刑事訴訟法本法との関係であります。第二点は、長官が來てからお尋ねした方がよいかもしれませんが、いわゆる各官廳間、殊に警察法による各警察署と、今度新しく経済査察廳警察署まがいのものをつくるような案になつておりまするが、その関係についてお尋ねしたいのでありますが、第一点の憲法との関係でありますが、御提案経済査察廳法の第二十一條裁判所許可状というやつですね。これは憲法のいう令状と理解なさつておるのでしようか。憲法の三十三條、それから三十五條、こういうものには令状となつておりますが許可状というのは令状意味であるということになるわけですか。
  44. 田中己代治

    田中(己)政府委員 お尋ねの点につきましては、お説の通り憲法三十五條、三十三條にいう、いわゆる裁判官令状ということになつております。
  45. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、それはそれでわかりましたが、新しい刑事訴訟法との関係でありますが、殊に告発をなさるまでの、要するに被疑事件として被疑者を調べるまでのことが質問であろうと思うのでありますが、これがどの程度新しい刑事訴訟法が準用になるのであるか、そこの関係が少し不明確であると思うのであります。二十六條に「経済査察官が、現行犯人を逮捕し若しくは警察官又は警察吏員をして違反嫌疑者を逮捕させたときの事件告発その他の処理については、刑事訴訟に関する法令の規定を準用する。」二十九條「この法律規定による警察官又は警察吏員の行為については、刑事訴訟に関する法令の規定を準用する。」この二箇條あるだけのようでありますが、そうすると新刑事訴訟法によりましては、被疑事件につきましても証拠保全の手続きもできるし、なお弁護士を頼めということを逮捕者が言わなければならぬ。弁護士の選任を指示する、それからなお新刑事訴訟法には、被疑者は尋問に答えてもよし、答えないでもよし、答かれば尋問聽書ができるけれども、答えないでもよしというような規定がある。なおまた檢察官は、緊急を要する事件については、令状なしで逮捕ができるというような規定があるが、これもこの査察官に準用になるのかどうか。そういう新刑事訴訟法との連関のもとにこの法案が作成されたものであるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  46. 田中己代治

    田中(己)政府委員 新刑事訴訟法規定を準用いたすことにいたしたのでありまして、この二十六條の二項と二十九條とでその意味を現わしたのでございますが、当然弁護士を選任することの指示、あるいは答えなくてもよいということも指示するというような規定、これらは全部この場合に適用になるわけでございますが、ただ緊急逮捕等はこの規定にはございませんがゆえに、これは刑事訴訟法の準用はないのでございます。大体新刑事訴訟の線に沿うように考えて、この法令は作案したつもりでございます。
  47. 猪俣浩三

    猪俣委員 御説のようだといたしますと、はなはだこの法案は不利だと思うのですが、これだけでは二十九條において見ましても「警察官又は警察吏員の行為については、」となつておる。二十六條は「告発その他の処理については、」となつておる、これでは私が今申し上げたように、ただちに準用になるというようなことは出てこないと思います。あなたのように被疑事件としての前述行為刑事訴訟法を準用する意味ならば、もう少しはつきりした條文をおいていただかぬと、たとえば、被疑事件についても証拠保全の申請はできるのでありますが、つまり防禦方法として被告がある行動をしなければならぬ、その証拠保全の手続きがこれにはできるのですが、ただちにこの二十六條と二十九條では準用になりません。御承知通り、新刑事訴訟法には被疑事件についても証拠保全の手続きができるのです。弁護人も選定できるのですが、弁護人の選定ができるというようなことは、この二十六條と二十九條からは出てこないと思うのです。
  48. 田中己代治

    田中(己)政府委員 この法案作成当時におきましては、新刑事訴訟法に関する具体的な事項もはつきりいたしておらなかつたために、いずれ新刑事訴訟法が施行になりますれば、これも当然改正をするという建前で、大体新刑事訴訟法の趣旨をくみまして作案をいたしたのでございます。さような点につきましては、それぞれ必要な時期におきまして改正をいたしたい、かように考えておるのであります。
  49. 猪俣浩三

    猪俣委員 今新刑事訴訟法司法委員会審議しておるのでありますが、どうもこれを同時に審議しておる際に、また改正を予測してこれをまずきめてしまうことは、実に妙な話だと思うのであります。もうすでに草案はできて、内閣から発表になつて審議中でありますが、その趣旨を取入れたものをここにつくつて審議していただかぬとどうも妙だと思うのですが、今政府委員の御説明では、二十六條ないし二十九條では新刑事訴訟法と歩調を合せたような規定は十分現われておらないということをお認めになるわけですか。
  50. 田中己代治

    田中(己)政府委員 ただいまの被疑事件の証拠保全というような点のみにつきましては、これに予定はしていなかつたわけであります。
  51. 猪俣浩三

    猪俣委員 この規定から被疑者に対する防禦方法、つまり弁護人の選定を指示するということも出てこないではありませんか。何條から出てきますか。
  52. 田中己代治

    田中(己)政府委員 二十六條二項と二十九條の條項によりまして、その趣旨を出しておるのであります。
  53. 猪俣浩三

    猪俣委員 とてもこれでは出てこないと思うのですが、そういうことは御承知であるとするならば、もつと條文をかえていただかぬと、とても二十六條と二十九條からは弁護人の選定指示というようなことまでは出てこない。殊に弁護人の立会権というようなものはこの法案からはちつとも現われないと思うのであります。新刑事訴訟法におきましては、ある程度被疑事件についても弁護人の立会権があるのですが、そういうこともこの法案には一つも見えておらぬ。新しい司法の根本法律であります新刑事訴訟法と合体しないようなこういう法案は、人権保護のために私は非常に質問を起すと思うのであります。そこをもつと新刑事訴訟法と同一歩調の趣旨で立案していただかないと、妙な法律をつくつて妙な人権蹂躙が起つくるという感じがするのであります。まだ十分連繋がとれておらないというような御趣旨でありましようが、それではこの法案審議上はなはだ困るのではなかろうかと思うのであります。
  54. 冨田照

    冨田委員長代理 猪俣君に申し上げますが、経済安定本部長官は、参議院の本会議がありまして非常にお忙しいそうでありますから、その方を先に願います。
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それではただいま政府委員から伺つた点を私から念を押して、もしその通りであるならば出直してきてもらうよりはかないと思いますから、長官に聽きますが、この法律は昨年の議会に経済査察官臨檢檢査等に関する法律案として司法委員会にかかりました。司法委員会では憲法違反の疑い並びに安定本部としての権限に反するという点かに問題になりまして、遂に審議未了終つた法律案であります。     〔冨田委員長代理退席、松原委員長着席〕  それがこのたびちよつと羽織一枚着せてそのまま出てきておる、こう思うのでありますが、先ほどからしからずという御答弁があつたのですが、その御答弁はわれわれには受けられないのであります。してみればまず安本長官からそれと根本的に違つておるかどうか、その点を承りたいと思います。
  56. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 その点についてお答えいたします。これは昨年の法律をそのまま燒き直したとかいうものではもちろんないのであります。現下の情勢からいいますと、経済違反に対するいろいろな措置が当を得ないような場合もあるのであります。これを是正するということと、しかもむしろ経済違反は卵のうちに早期にこれを解消させまして、そうして経済違反のないように防止する、そのためには各省及び各官廳との横の関係等も密接にする必要がございますので、そういう意味を兼ねて実はつきつたような次第であります。すでにこの席に上りまして申し上げたのでありますが、そういう趣意であります。一度問題になりまして、しかも冷いこの法律その他をそのままさらに出すというような考えは、毛頭もつておらぬことは御了承願いたいと思います。
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこで先ほどから問題になつたのですが、予防の方に重きをおくと言われるのですが、そのはどの規定から出てまいりますか。
  58. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 予防の点は、こまかい條項につきましては今すぐここで私申し上げるということは、法律的に言うのならばまた改めて申し上げたいと思うのでありますが、しかし予防の点につきましては随所に規定もあるのでありまして、そういう点に重きをおき、私は殊にこの席に上りましたときには、秋官でなくして夏の官にしたいという意味で、これを関係方面との話におきましても、この立案をする趣意といたしたのだ、こう申した次第でございます。
  59. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は先ほどもう田中さんから聽いたのですが、長官が答えられないのなら仕方がない、田中さんにもう一遍答えてもらいます。その代り田中さんの答弁長官の代理と解釈してよろしゆうございますか。
  60. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 実は私参議院の方の本会議に出ておりまして、資料も持合わせず、突然こちらでお呼びでございますから、間を拔けてまいつたような次第であります。次長がどういう考えをもつて言つておるかは聽いた上でないとわかりませんので、一度聽きましてからお答えいたします。
  61. 田中己代治

    田中(己)政府委員 先ほど法務総裁からもお答え申し上げたのでありますが、第一條の各号に規定してあるこの條項が、すなわち予防を掌るということに相なつておるわけであります。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員 第一條はこれは総論でありまして、本法制定の目的であります。これはよくわかります。それにはなるほどここに書いてある通り「励行を確保するため」とありますが、ところが査察官なるものの権限というものは第四章に書いてあるのであります。第四章はもつぱら人身を拘束し、物に対する強制を行うということのみを書いてあります。してみれば、権限とはこれ以外に権限がないのであります。しかるにこの権限をもつてこの通り規定しながら、予防その他があるということはどうして出てくるか、その点を伺いたい。
  63. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 ここで実は関係方面その他の関係の資材をもつておりませんので、はつきりしたことをお答えすることがかえつて愼重を期しないという点があると思います。お呼び出しがあるならば、事前に十分連絡をとつていただきたいと思つており次第であります。私はしかしこの方針は、実は第四章の点につきましても、事務当局とも大分議論をいたしたのであります。つまりいつも檢察とか臨檢とかいうような趣意ということではなしに、わざわざ査察、英語ではインヴエステイゲーシヨン調査でございますが、そういう文字も入れた四章をつくつてもらいたいということを申したのでありますが、この中をごらんになりますと、二十一條その他につきましても違反事件があつた後に調査するという場合もありましようが、疑いに関する調査ということもあり、各省の連絡とか、その他に関する問題があるのであります。そうしてこれをひつくるめて申しますと、もちろん予防という趣意にも合致するということになると思うのであります。それから予防その他の趣意が、あるいは技術的な連絡その他というような点にも関係をしたしますので、そういう点においても規定の中に十分はいつておらぬという点があるかもしれませんけれども、この法の精神が最初にきめてありますように、はつきりいたしたものでありますから、その趣意から申しまして、技術的の連絡その他ということについても当然やり得る問題だと思うのであります。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ここに権限として四章に掲げてありますよ。第四章以外に法律的には権限があり得るものではない。それだからこれ以外にあるというのならば、どこへはいつているか、なかつたら、そういうことをおつしやるならば、入れてこなければいかぬじやないか。そこが第一に先ほどから問題になつている。
  65. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 これはこの法律の根本方針は目的から発するというわけでございます。それで目的に適應する権限がはいつているかどうかというのは、第二段になると思うのであります。鍛冶委員に私お答えするのは、目的の点においては予防その他に重心がおいてあるという点はお認めくださると私は思つております。そうすると第二段には権限の問題でございます。これの目的に副う点が十分はいつているかどうかという点に移ると思うのであります。その点のお尋ねだと了解してよろしうございますか。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ええ。
  67. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 そういたしますと、この規定は実はわれわれとしても、そういう趣意の規定を入れていると私どもは解釈しており、そういう趣意で規定立案した次第でございます。それで違反事件に関する調査というようなものの中には、自然ただ違反事件があつた、その後の調査という意味でなしに、関聯しますから、事前の調査その他をも含むものと私は一体的に考えているのであります。そういう趣意でもし不十分ということであるならば、これは御訂正その他をお願いしなければならぬことになります。われわれとしてはそういう意味違反をなからしめる。それに関連する一切のものをも含む。こういうように解している次第でございます。
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それは先ほどからもう議論済みなんです。そういうお答えはあつたのですが、これは十九條は定員を書いてある。二十條からほんとうの権限になつている。違反事件があつたらこれを取調べする。そうしてそれから後は、取調べに対しては強制の処会ができる。こういうことを規定してありますよ。先ほどから確かにその点は法務総裁は、本法にははいつておらぬのが欠点だと言つておられる。欠点だということになればたいへんなことで、修正といつても、根本的なことになる。もう一遍出直してこないといかぬ。法務総裁はこれは考えてみるというお話であつたのであります。その点で私はあなたにまずこの点を承りたいと考えます。
  69. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 問題の中心が、遅く参りましたものですから、私はつきり受取れなかつたのでありますが、そういたしますと、そういう趣意の一連のものはあるいは行政行為であるということも考えられるのであります。そうすれば、單に違反事件に対する司法行為とかそういうものだけでなしに、それに附随関連したものを一体として含むと私は思つております。ただ法務総裁が書いた方がよろしい、欠点は明らかにしておいた方がいいという議論ならば、これは別だと思いますが、当然含むものと解釈いたしている次第でございます。
  70. 鍛冶良作

    鍛冶委員 さようなことはありません。ここに権限と書いてある以上に、これ以外に権限はありません。だから権限にそういうものがあるならば、載せてもらわなければならぬ。
  71. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 今の私のお答えは、権限のないものを含むということでなしに、これを違反事件に関連する調査という文字の中にそれが含んでいると私は考えたい、こういう趣旨でございまして、権限ないものを権限で拡張して勝手に当釈するという意味ではございませんから、そこは御了承願いたいと思います。
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこでその次の問題は今あなたが司法処分とおつしやつたが、これ以後にここに書いてありますのはりつぱな司法処分なんです。われわれはかようなことは今日までいわゆる司法官と称しまするか、前の司法省の管轄、今日の法務廳の管轄、それ以外のものではかようなことはできぬとわれわれは昔から法律を習う前から覚えて、今日もかように考えている。これは單なる行政廳である安本でかようなことができるということが、これがもう偉大なる革命です。司法事件に関するこの点を何とお考えになつているか、こういう問題であります。
  73. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 これは安本でやるというわけではありませんけれども、その点はお断りしておきます。これは別な一種の官廳ができるわけであります。およそ私は法律と経済と両方やつておりますが、殊に経済違反というようなことにつきまして田、経済上のいろいろな環境、事情等がいろいろな原因として違反の問題などを生じてくると思うのであります。そういう意味でこれは特別な調査官を置いて調査させ、援助させ、協力さす。こういう趣旨でこれがはいつていると思うのでありまして、行政官司法をやるというような考えは毛頭もつておらぬわけでございます。
  74. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこで、私の言うのとあなたの答えとが違うのだが、一体差押えをしたり、搜索をしたり、人の逮捕する、そういうことが行政官でやり得ると思われるのですか。
  75. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 今の査察官がするという直接の根拠はこの條文のどこにございますか。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員 査察官がやらぬのだとおつしやるのですが、私の聞いたのは査察官がこういうことをやらされるのですよ。
  77. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 裁判官令状を出し、そうして執行警察官がするわけであります。そういうことになると思うのでございます。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員 警察官の活動を促すのは査察官であると思うのですが、先ほど來のあなた方のお言葉聽くと、査察官関係はないのだ、ただ令状をとつて警察官にやらせるのだ、こういうお言葉のように聽くのであります。
  79. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 その点はさつきも協力ということを申したのでございますが、普通の違反事件よりも経済違反はいろいろな諸般の深い事情が関連をいたしておりますので、そういうことを調査したりして協力するということを申したのでございます。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それでは査察官が協力すると言われるならば、やる本主はたれですか、協力と言われるには主体がなければならぬ。
  81. 田中己代治

    田中(己)政府委員 先ほど申し上げました通り令状をもらうのは査察官でありますが、これを執行するのは警察官でありまして、これを警察官査察官と相協力して仕事を進めていくという建行にしてあるのであります。
  82. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたの御答弁を聽きますと、主体は警察官である。司法警察官が主体になつて、要するに最後の司法警察官のやる行為に対する指揮者またはその責任者は一体だれなのですか。
  83. 田中己代治

    田中(己)政府委員 たとえば物件を差押える場合におきましては、差押えについて警察官責任もちます。人間を逮捕した場合においては警察官責任もちます。直接に手を出した警察官がつまり責任者でありまするが、全体から見ますれば違反事件調査につきましては査察官責任を負う。その建前になつております。
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうなると、長官もよく御承知ですが、人権蹂躪ということはこの点から起るのですよ。警察官がさようなことを監督者なしでやつてよいということが根本的な誤りです。かようなことを前提としてやつてこられたならば、刑事訴訟法もなけらねば憲法もない。私は憲法刑事訴訟法も聽きたいが、もう聽くまでもございません。司法警察察官が勝手に人を縛つたりしてその責任は自分で負う、切捨て御免をやる。そういうことが通りますか。田中君は、そういうことを言うならば、法律をやめたまえ、出直して來たまえ。それをあなたに聽きたい。そういうことで日本法律がよいものだと思つておられるならばとんでもない間違いです。出直して來るか語ないか、この点をあなたにお聽きしたい。
  85. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 だんだん鍛冶委員の御説明によつて、ここへはいつて來た最初の質問がどこにあつたかということがはつきりしてきたのでありますが、実は中間からはいつたので御了承願いたいと思います。その点については、私どもは人権蹂躪とか、こういうことは新憲法下において十分避けたい。こういうことを考えていることははつきり申し上げておきます。從つてまたこういう法律人権蹂躪を誘致するためではない、むしろ防ぐために使いたい。こういうことであることも第二点としてはつきり申し上げたいと思います。警察官の問題その他については運営の問題が非常に関係をもつております。これは公案委員会等にも関係もつことと思うのであります。この事態がどの点において人権蹂躪をさらに倍加するかどうか、私はそう考えておりませんけれども、その点についてはなお私は答弁を留保しておきたいと思います。それは法務廳総裁がどういう意見を述べたかも私は知つておりません。途中からとびこんできようの空氣がわかりませんからよく調べた上で第三の点については御答弁を申し上げたい、こう思つております。御了承願いたいと思います。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員 しからば私の答弁は留保して他日に讓りますが、前の答えではとんでもないことです。警察官がやつたことに責任を負う者はたれかということです。檢察官がやれば法務総裁責任を負うのですよ、それでわれわれは保たれている。法務総裁以外の者が責任もつ、それはいけないと思つているのに、いわんや下給官吏である警察官自身が勝手にやつて自分で責任を負う。そんな法律をこしらえて來られたらたいへんです。もう一遍よく調べて根本的に出直してもらうまでの私の質問は留保しておきます。
  87. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 一番最初の発言の趣意がよくわかりました。その点においては私は第一、第二の点をはつきり申し上げておきます。第三の点についてはよくきようの事情その他を調べて、その上で答弁をはつきり申し上げたいと思います。
  88. 花村四郎

    花村委員 本案について安本長官にお尋ねをいたしたいと思います。本案は経済統制の励行を確保するために説ける必要があるということで、本法案を出されたのでございまするが、しかしわが國の諸情勢に鑑みて、現段階から本法案を見まする場合において、きわめて不当な法案であると結論をせざるを得ないのでございます。しかも本案は人権に及ぼす影響の重大でありますることは多く申し上げるまでもないのでありまするが、しかもこの重大なる法案に対しまして、本案を提出せられました安本長官が、本案に対しまする十分なる理解をもつておられることはまことに遺憾に思うのであります。先ほどから鍛冶君の質問に対しても、最も重要な箇所について認識をしておられない。憲法上われわれ國民に與えられた基本的人権を守る意味においてのまことに重要なる本法案であると申さんければならぬのでありまするが、こういう意味においてこういう重大なる案を出す安本長官といたしましては、もう少し熱意を準備と、そして理解とをもつて、あらゆる面からわれわれの質問に答えてもらわなければならぬということを一言申し上げておきたいのであります。そこで本法案を論ずるにあたりましては、結局経済政策の根本理念に触れなければならぬことは言うをまたぬことであります。わが國の今日の経済政策に対する根本理念といたしましては、計画経済が自由経済かということが叫ばれておりますことはすでに御承知通りであろうと思うのでありますが、その前者計画経済は要するに会社主義政策と深い結びつきがありまするので、もし社会党のごとき社会政策を主張する場合においては、計画経済が当然浮かび上つてまいりますることは論をまたぬところであります。しかしながら今日社会党も社会主義は主張しておるのでありまするけれども、社会主義を実現しようともしない。またせられてもおらぬ。われわれをして言わしむるならばせられることは困る。わが國の國情に鑑みまして、おそらく今日においても近き將來においても行われる機会は來ないでありましよう。こういう見地から考えてみまするならば、当然残る問題は自由経済の問題である。そこで今日の統制経済は申すまでもなく戰爭に勝たんがための軍準を充実し、強化する意味においてこの統制経済が行われて、しかもそれが敗戰後の今日まで続いてまいつておりまする事実については、何ら爭いの余地はなかろうと思うのであります。そこで芦田首相も施政方針の中でも言うており、またその他に演説でも言うており、さらにまたこれを取巻く閣僚においても、機会あるごとに言うておるのでありまするけれども、要するに日本の將來は自由経済に移行すべきものであるという前提のもとに、今日の統制もでき得る限りにおいて不必要なものから撤廃していくという方向に進んでおるようにわれわれは考えられますが、この点に関する安定本部長官のお考えを伺つておきます。
  89. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 その点につきましてはここでもいろいろ申し上げたのでありますが、花村委員が御列席なかつたと思いますのであらためて申し上げたいと思います。実はこの法律を勉強しておらぬというお話でありましたが、こまかい條文その他ということよりも、理念におきましては一番私は勉強しておると思うのでありまして、経済行為というものが立法の対象になる場合においては限界があるのでございますが、殊に経済違反というような暗い関係などについても仕事をしておりますので、その点などの立法の対象になる経済行為というようなことについてもずいぶん愼重に考慮すべき点があるのでありまして、事務当局についても十分の意見を述べ、殊に大陸法と汎アメリカ法との関係などについてもいろいろ意見を述べたのであります。なおこの点でもう一つはつきりしておいていただきたいことはこの條文でありますが、これは恒久法でなく、臨時法であります。從つて臨時的、暫定的にこの経済危機を乘り切るために必要な経済立法であります。そこでこの恒久的な点についてただいまお話がありました。つまり自由経済にするかどうかということでありましたけれども、これはむしろ計画経済その他につきまして、この過小生産の現在におきましては、重要物資を傾斜生産の方式で生産するについての済材を配給することによりましても、また國民生活物資、消費物資を公平に國民の間に分配することによりましても、すべて統制そのものがなければこの際は切り抜けられないのであります。しかしこの統制は、私がしばしば申し上げましたように、あくまで現在の経済危機を切り抜けるための手段でございまして、この統制に必要な安本とか物價廳とかあるいは経済査察廳というようなものもその性質を反映いたしまして、こういう法案、制度というものは暫定的、一時的の立法であり、機関であるわけであります。そこで恒久的に考えますときに、この危機が切り抜けられて自由経済が來るかどうかというところが御質問の点だと思うのであります。法案には直接関係はないかと思いますが、その点は安本といたしましてもはつきり申し上げたいと思います。自由経済がただちに來る、その自由経済とは何ものかという点を考えますときに、アダム・スミス流の自由経済が回復されるのでないことははつきり申し上げたいと思うのであります。しかし新しい情勢のもとにこの経済危機が克服され、経済安定が回復された場合は、新しい情勢のもとに、新しい情勢の即應する新しい自由経済ができる、こういうことでなければいかぬと思うのであります。その点をはつきり申し上げてお考えの資料の一端としていただきたいと思う次第であります。
  90. 花村四郎

    花村委員 私も統制経済をただちにすべて撤廃してしまえというのではございません。もちろん重要物資に対する統制はなおかつ統制をしてまいらなければならいでありましよう。この点に対しましては自由経済を主張しておる者もほとんど異存はないところであります。そこで單刀直入にお尋ねいたしておきまするが、この統制経済の將來はどこまでも統制をしていかれるという御意思であるのか、あるいは自由経済の方向へ向つてだんだんに不必要なものから統制を解除していこうというのであるか。その点だけをひとつ簡單に御答弁願いたいと思います。
  91. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 その点においてもすでに申し上げたのでありますが、今自由経済に向つてとお話になりました。その自由経済というものの定義をちよつと明らかにしておかぬといかぬと思うのであります。それは昔のままの自由経済でなく新しい時代に適應する自由経済であります。そういう自由経済へ向つてということでありますならば、もちろん統制などの必要でないもの、効果のないもの、成立の許されないものなどについてはどんどんはずしてもおるのでありまして、今後もはずしていつて、そうして経済の安定、危機の克葉ができたときには、そういうものはなからしめるという方針で進んでおることをここに申し上げたいと思うのであります。
  92. 花村四郎

    花村委員 自由経済の意味もちろん將來のわが國の経済情勢に即したところの自由経済に進んでいくことは当然で、昔ながらの自由経済をどこまでも守つていくという意味でありませんことは、多言をまたざるところであります。そこでただいまの安本長官の御説明によりますれば、統制もだんだん解除すべきものは解除していく、不必要なものはどんどん解除するというお言葉でありましたが、これはしかるべきことであろうと思うのであります。しかして今日は終戰後すでに三年の星霜を経ておるのでありまして、戰爭のために設けられた、戰爭のために必要であつた統制が、平時に帰りました今日においては、だんだんと解消せられてまいらねばならぬことも、これまた当然であろうと思うのであります。そこで安本長官にお尋ねをいたしたいことは、かくのごとく経済統制がだんだんになくなつていく傾向をもつた場合において、しかも統制の励行取締りというような方面について、ことさらこれを拡大強化していく。あるいは安本長官は本案はそういう意味のものでない、こう申されるかもしれません。しかしながら統制、取締りの法案として今日まで議会に運ばれた議案といたしましては、これは最も拡大強化したものであると論じてよかろうと私は思う。一方に統制がだんだん姿を消していく運命にある、その統制に対して統制の励行もしくは取締りも今申し上げました線に沿つていくということでなければならぬと思うのでありまするけれども、本法案のみが特にその励行、取締りというものを拡大しておる。一例を申し上げますれば、昨年出して審議未了でお流れになりました経済査察官臨檢檢査等に関する法律案、こういう法律案は、本案に比較してみますならば、取締りの面についてはまことに弱体化の案であると申し上げてよかろうと思う。先ほど法務総裁あるいは安本長官等も、昨年出て審議未了なつ経済査察官臨檢檢査等に関する法律案と大体において同樣であるというようなことを言われたのでありますが、これは大なる間違いだ。同樣どころではありません。この法案というものはまさに司法化されておる。雲泥の相違だ。また人権に及ぼす影響もそれだけ大きいものがあると申してよかろうと思うのであります。未だかつて見ざる統制の励行、取締りに関する拡大強化をした法案を出さなければならぬことは、ただいま安本長官が言われた根本的な考え方と相反するものがあると申し上げてよかろうと私は思うのでありますが、こういう法案を出さなければならぬ必要が一体どこにあるか、それをお尋ねしておきたい。
  93. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 お答えいたします。これは花村委員も御存じのことで、私が申し上げるまでもないと思いますが、この席でも私は申しておりますように、統制にも戰時統制と戰後の現在行つておる統制とは非常な雲泥の差があるのであります。戰時統制は戰爭遂行のために統制したものでありますが、現在の統制はそうでなしに、先ほど申し上げましたように、過小生産の現在において、重点的に資材を配給するとか、あるいは國民生活に必要なる物を、公平に國民の間に分配するたみ、結局日本の國民経済の再建整備のために統制をするのであります。その間にも雲泥の差があるわけであります。そこで政府といたしましては、終戰以來戰時統制が若干そのまま終戰後の新しい統制に法規が利用されているというような点もありましたので、こういう点は戰時統制より終戰後の平和統制、経済再建のための統制へと切換えをいたしたものでありまして、あるいは配当制限をやめるとか、あるいは臨通資金調整法をやめるとかいうようなことが、この間の事情を物語つていると思うのであります。  経済査察でありますが、この法案はすでに先ほど鍛冶委員に対してもお答えいたしました通り目的のところではつきりいたしておりますように、われわれは経済統制をはずしていくということが方向であり方針であるわけであります。それをはずすためにも、やみその他のものについての違反は事前に予防し、そして各省の連絡をさらによくして、事前に原因その他を調査するということが非常に必要でありまして、そういう点が欠けているわけであります。そこでこういう点を新たに設けよういうわけでありまして、これはむしろ統制を励行するというためではない。一面においては、やみその他に対する統制はこれは好ましからざるもので、これが國家再建に非常な支障となりますから、これはこの際励行します。しかしながら全体的には統制をはずすために励行するのでありまして、そういう点を十分お考えを願いたいと思うのであります。もう一度簡單に申し上げますと、統制をはずすため励行すべき点は励行する、しかもそれは單に臨檢檢査というような点でなしに、進んでは事前予防その他やみ行為の原因等をも調べる、こういう点に力点をおいて励行をするという趣旨であります。しかしこれはあくまで一時的のものであります。從來叫ばれた非難あるいは弊害等も十分改めるために使いたい、こういう考えであります。
  94. 松原一彦

    松原委員長 花村君にちよつと御相談しますが、安定本部長官は参議院の本会議から抜けてきておられまして、時間を急いでおられますから、それをお含みの上で要領よくお尋ね願います。
  95. 花村四郎

    花村委員 これは重大なる法案ですから、もう少し待つてください。安本長官の今言われた通り、統制を励行していくことは何ら異存はありませんが、統制の励行をなさしむる方法は一体どういう方法でいくべきか、要するにこれが問題であろうと思います。もちろん統制の違反者に対して処罰するということも励行を促す一つの方途であることは間違いありません。しかしながらそれよりももつと大事なことは、統制を取締るとかなんとかいうようなことは、これは枝葉末節のことなんで、まず統制を励行するようにその施策を改めていく、統制に関する政策を政めていく、それが第一必要ではないですか。平和的な統制に移つた場合において、戰時中の統制のままでいかぬことも明瞭であります。しからばその平和的統制にふさわしいところの、そうした統制に一致するところの統制の励行をなさしめるように、その施策を改めていくという方向へむしろすべての力を注ぐことが、必要でありますが、そういう方面を一向やらずに、ただ取締りによつてのみ統制の励行を期そうという考え方は大きな間違いであろうと思うのでありますが、その点はいかがでしようか。
  96. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 ここは連合の会になつておりますから、あるいは司法関係委員の方はおいでにならなかつたからと思うのでありますが、本会議その他各委員会においても私は申しておるのであります。この審議の都合からも統制をどうするか。政府は統制をはずすとか、励行するというにはどういう施策をもつておるかということは、物價関係及び物價関係等がこちらへ一緒に参りまして、実は詳しく申し上げたのであります。これは速記録その他をごらんになればはつきりわかると思うのであります。私どもはただやみだけを取締る、あるいは取締り法律というような氣持を抜いていただきたいと思つておるのであります。その点は花村委員のお考えとまつたく同じであると思うのであります。物價の統制をはずすとか、その他のことはこの立法の上に現われないで、別個の点において審議されておりますから、この審議の席上では統制励行、しかも査察の点が問題になつておるために、さようにもお考えになるかと思うのでありますが、実はすでにこの統制をはずす点においては相当実行に移しておりまして、茶のごときはいろいろ議論がありましたが、はずしました。あるところにおきましてはそれがために非常な破産に近いような困つておる者も出てきたということであります。それは結構だと思う。こう私は言つて進めておるような次第でございます。各種の團体から統制をはずすについての御意見も承つておるのであります。統制しても効果のないもの、あるいは統制の必要のないもの、性質上統制に適しないもの、こういうようなものの要綱を掲げまして、今非常に作業を急いでおるような次第でございます。その筋との関係もありますが、物價の補正と相前後してこれを発表して國民に芦田内閣の意のあるところを十分にお傳えし、その代りに國民運動としてもこのやみ撲滅運動を展開して廣く國民に必要を認識してもらい、また國民の協力を得るようにしたい、本委員会におきましてもぜひ貯蓄運動、納税運動と同じように、御援助を懇請してやまない。こういう趣意を申したのであります。  そこで最初の問題にもどりますが、この法案がたまたま査察調査の点の法案でございますから、さように私どもが申したのをお聽取りになつたかと思いますけれども、そういう趣意でない。他の面において、政府は総合的に、統制をはずすべきものははずす点において大きく出ておると同時に、統制の必要なものについては励行することを徹底し、國民の協力を得るようにすることに努める、こういうことを併せて申し上げたいと思うのであります。
  97. 花村四郎

    花村委員 安本長官のただいま言われるようなことは今聽いたことじやありません。すでに片山内閣当時から今言われたようなことを繰返して言うておられるのでありますけれども、一向やみの取締りができておらぬじやありませんか。ただいまのようなことは、これは安本長官ばかりではありません、ほかの國務大臣もよく言われるのでありますが、一向成果があがつておらない。たとえば、今の内閣は片山内閣の延長であり、大体異名同身であると認めていいのでありますが、片山内閣の時には今の安本長官が大藏大臣をやられておつた。そのあなたが大藏大臣をやられておつた片山内閣の時にどうでありますか。流通秩序の確立方策なるものを発表して、一箇月以内に物價や家計を安定する。これがためには統制を徹底してやみの撲滅に向うというので、あるいは公團方式の改善と強化によつて配給統制を徹底するとか、あるいはまた輸送の統制及び取締りを強化するとか、あるいはやみの出所を突き止めて、そうして現物給與をするとき、あるいは取締り体制の整備と処罰の強化であるとか、あるいはまた今安本長官の言われ平ような國民運動の展開により、全國民の積極的支援を得ることによつて、統制の励行をしていくのだというような、箇條書きをいくつもいくつも並べて、そうして統制を徹底することによつてやみを撲滅しようというのでかかつたのでありますけれども、その結果はどうだつたでしようか。やみの撲滅どころじやありません。やみが多くなつてきておるのじやありませんか。けしろこういう施策を講ずる前よりもやみが殖えておる。もし殖えておらぬとするならば安本長官からその統計を伺いたい。われわれの調べるところによれば殖えておる。しかも安本において三百三十三名の査察官をもつてし、あるいは内務省においてやみに関する七千名の監視官をつくつて、これを全國をばらまいてこの取締り体制を拡大強化してやつたのでありますけれども、何らの実績があがつておらぬじやないですか。あなたの今言われたようなことは前から言うておつたことであるのだが、結論においては絵に書いたもちと同じことで、何らの成果はあがつておらぬじやないですか。それをあなたはここに繰返しておる。この法案であなたはほんとうにできると考えますか。その信念を私は伺いたい。もしできぬ場合においてはいかなる責任をおとりになるか。それだけ私は聽いておきたい。
  98. 栗栖赳夫

    ○栗栖國務大臣 実はきよう十時から参議院の本会議がありまして、私に対する質問がございます。そうしてこの間の運営委員会等で本会議には必ず答弁関係の大臣が出るように、こういうことでありましたので、実は私はその方に出ていたのであります。しかしこちらの方も大事でございますから、実は断つてここへ來ているような次第でございます、なおここへ参りましたけれども、中間から私はいつたのでありまして、それまでの議論その他がはつきりしないのであります。そこで速記録を読みまして留保した答弁その他については、明日相当時間を差繰つて答弁をしたい。こういうことを申し上げておいた次第であります。花村さん、そういう趣意でありまして、明日またちよつと出てくるという意味ではないのであります。  それからなお速記を見ておかなければならない関係もありまして、午前にというお話もございましたが、午前にはほかの委員会に先約したところもありますので、ちよつと出るわけにもいきませんから、明日午後一時からにしていただきたい。こういう趣意であります。
  99. 松原一彦

    松原委員長 それでは今日の会議はこれをもつて一應打切りとしまして、明日午後一時から、連合審査会を継続することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 松原一彦

    松原委員長 それではさよう取計らいます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時二十四分散会