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1948-07-04 第2回国会 衆議院 決算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月四日(日曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 松原 一彦君    理事 冨田  照君 理事 竹谷源太郎君    理事 中曽根康弘君       樋貝 詮三君    松本 一郎君       宮幡  靖君    花月 純誠君       片島  港君    河合 義一君       高津 正道君    前田 種男君       戸叶 里子君    栗田 英男君       櫻内 義雄君    山下 春江君       田中 健吉君    早川  崇君       木村  榮君  出席國務大臣         國 務 大 臣 野溝  勝君  出席政府委員         新聞出版用紙割         当事務局長   成田勝四郎君         農林政務次官  大島 義晴君         農林事務官   山添 利作君         商工事務官   松田 太郎君  委員外出席者         議     員 河野 金昇君         議     員 馬場 秀夫君         厚生事務官   大宰 博邦君         專門調査員   大久保忠文君         專門調査員   龜卦川 浩君 七月四日委員辻井民之助君、中垣國男君及び矢野 政男君辞任につき、その補欠として前田種男君、 栗田英男君及び山下春江君が議長の指名で委員に 選任された。     ————————————— 七月三日  商工省官制の一部を改正する法律案  (内閣提出参議院送付)(第二二〇号)  工業技術廳設置法案内閣提出参議院送付)  (第二二一号)  引揚同胞対策審議会設置法案河野金昇君外三  十名提出)(第一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  引揚同胞対策審議会設置法案河野金昇君外三  十名提出)(第一五号)  新聞出版用紙割当事務廳設置法案内閣提出)  (第一三五号)  農業改良局設置法案内閣提出)(第一八三  号)  商工省官制の一部を改正する法律案内閣提出、  参議院送付)(第二二〇号)  工業技術廳設置法案内閣提出参議院送付)  (第二二一号)     —————————————
  2. 松原一彦

    松原委員長 これより会議を開きます。  昨日本委員会に付託いたされました引揚同胞対策審議会設置法案河野金昇君外三十名提出、衆第十五号について審議をいたします。まず提案者より提案理由説明を承ります。河野金昇君。
  3. 河野金昇

    河野金昇君 本法案は五月二十五日に衆議院、二十六日に参議院をそれぞれ満場一致で議決になりました引揚促進並びに引揚対策決議案に基きまして、その決議案に盛られた趣旨を具体化する意味において、本審議会設置法案をつくつたのであります。この審議会を設置するについて、参議院方面においてはこの委員國会議員をもつて充てたいという意向が非常に強くありまして、副委員長などを参議院衆議院からそれぞれ出すようなことを案文に盛りましたところが、関係方面意向もあり、その後いろいろ相談の結果、本委員会の構成に國会議員は入らないことになつたのであります。しかしこういう委員会をつくりましても、これを推進するものがないとなかなかうまくいかないと思います。從つてこの委員会外廓團体としては、引揚同胞議員連盟とか、あるいは特別委員会等が推進はいたしますけれども、ここに盛られておるように、委員長並びに委員には國会議員は充てないことにしたのであります。しかもこれは執行機関ではありませんから、今日行政機構の整理などをしなければならぬときに、新しい、委員会をつくるというようなことは差控えなければならぬことだと思います。しかし引揚同胞の問題を積極的に取扱うところが今ないのであります。從つて引揚が完了するまでは、どうしてもこの問題に專心するような委員会一つくらいあつてもよいと思います。総理大臣監督下において、委員長厚生大臣を充てる、各委員は、各省次官引揚援護廳長官あるいは國務大臣が認める引揚者代表学識経驗者等によつて十五名以内でつくるものでありまして、事務局には引揚援護廳次長あたりを充てる、事務局も非常に小さく、数名の事務員を置く程度によつてつていきたいと思つておるのであります。参議院の方も本日委員会にかかることになつております。何とぞ本委員会におきまして、至急御審議の上御可決のほどをお願いしたいと思います。
  4. 竹谷源太郎

    竹谷委員 一、二簡單にお伺いいたします。これは引揚同胞対策に関する公式の審議機関がないので、また民情反映のためにたいへん結構だと思います。しかしながらこれはなるべく金をかけないように、また職員なんかも殖やさないようにしなければならないと思う。從つて事務局職員は、厚生省その他の官吏兼務をすればいいのであつて、特にこのために人件費は要らないと思うが、その点はどうか。またこれに関する予算の見込みがあれば、これを簡單にお答え願いたい。  それから國会議員委員の中にはいらないということは、私個人は賛成であります。なぜならば、國会議員引揚同胞対策に関する立法、予算等について、われわれの見解は十分表明できるのであるから、これはむしろその他の民間人たちや、この引揚げに関するそれぞれの関係者が入つて十分意見を反映さすことにすればいいので、國会議員がはいらないということはきわめて妥当なことだと思う。以上事務局職員の問題と、予算の問題をちよつとお伺いいたします。
  5. 河野金昇

    河野金昇君 竹谷君のおつしやる通り、これに予算が莫大にとられるものならば、私たち自身反対をしたいと思つておるくらいでありまして、ほとんど予算は要らないと思います。從つて大藏省その他との交渉はしておらないのであります。もし要るとすれば厚生省の方から事務員等を必要上置くような場合には、まわしていただくようなことができると思いまして、予算はほとんど要らないつもりで私たちもこの案をつくつたような次第であります。
  6. 松原一彦

    松原委員長 お諮りいたします。この案は各派共同提案のもので、時局下きわめて緊要にして國民の待望してやまない一大対策と考えますので、この際質疑並びに討論を省略して可決することに御異議ありませんか。
  7. 木村榮

    木村(榮)委員 御趣旨はまことにごもつとも賛成であります。財政困難の折でございますから、金を使わぬということもむろん必要だと思うのでありますが、一面金を使わぬ使わぬと言つても、こうした審議会をこしらえて何もできないということでも、これは結局目的に副わないことであつて組織法によつても明らかなように、審議会でもこういつたものでも予算上の措置を伴わなければならないというように規定をしてございまして、相当な予算があつてもこれまた一向差支えないものだと思う。事務局長とかいろいろなものがございますが、そういう者の給料は今職務しておる方かももらつて、ただ兼務ということでやつてしまつて、いろいろな報告書とか出版宣傳あるいは側面的なことを積極的にやるとすれば、いろいろな点でやることもたくさんある。從つて自分予算もなければ実際活動が不可能ではないかと思う。そういうことに対しては、たとえば厚生省なら厚生省予算のわく内でこの方へ何ぼくらいまわしてもらうとか、あるいは補助金とか何とかいうことでとるということはまだわかつておりませんか。
  8. 河野金昇

    河野金昇君 予算はなるべく使わない、また要らないという建前厚生省あるいは大藏省と全然折衝はしておりません。しかし本委員会設置法案につきましては厚生大臣厚生次官等といろいろ打合せはいたしておりますけれども予算の面において具体的なものはもつておりません。
  9. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ただいまの木村君の御質問もつともと思うのですが、私は職員費とか委員会費用には金は厚生省の方で十分だと思う。問題はこの審議会によつて対策を実施するためには厖大予算が要るだろうと思う。これは一般の引揚対策費として厚生省の所管でとる、この審議会審議報告に基いて必要なものは厚生省その他の省の関係予算として國会提出すればよろしい、かように考えるのですが、提案者河野さんどう考えますか。
  10. 河野金昇

    河野金昇君 たとえば議会の海外同胞引揚特別委員会等もやるべき仕事はたくさんありますけれども予算はもつておりません。從つてこの審議会において一つの結論が出た場合はそれを関係各省にやらせるべきものでありまして、それが厚生省がやるべきものであるならば、当然それは厚生省の方から予算は要求し、あるいは外務省がやるべきものであるならば外務省の方から予算を請求すべきものでありまして、審議会それ自身としてはそれほど大きな予算を今からここで立てておかなければならないことはないと思います。
  11. 冨田照

    冨田委員 今のお話審議会自身としては予算をもたぬでもいいと思う。その意味はよくわかりますが、今、竹谷委員から御質問がありましたように、この審議会一つ決議をして、それで実施面に現わすときには厖大予算が要るということは考えられるわけですが、あるいは引揚援護廳の方に予算があるわけじやないですか。引揚援護廳の方ではそれを予想して予算をおとりになつて、二十三年度予算に計上しておられると思いますが、それはいかがでしようか。
  12. 河野金昇

    河野金昇君 特にこの審議会ができるというので予算はとつておらないと思います。しかし御承知のように、本年度予算の中にも引揚者の住宅の問題とか、あるいは引揚用のいろいろな物資の確保とか、いろいろな予算はとつておりますが、審議会を設けるがために特にこれだけの予算を今確保してあるというようなことはありません。今後審議会審議の結果新たに引揚対策を立てなければならない。それに予算が要るという場合には今厚生省が予定しておるもの以外のものにつきましては、今後の追加予算なりあるいは來議会なりに要求すべきものでありまして、この審議会ができる建前のもとに援護廳なり厚生省として予算は未だとつてはおりません。
  13. 松原一彦

    松原委員長 ちよつと皆樣に申し上げます。引揚援護廳総務課長の大宰さんが説明員として來られておりますから、大宰さんの方から御質問の件をお答えしていただきたいと思いますがいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 松原一彦

    松原委員長 それでは大宰説明員
  15. 大宰博邦

    ○大宰説明員 補足的にちよつと申し上げておきますが、先ほど河野さんから御説明がありましたように、これは共同提案法案でございまして、しかもこの案は一應最初の原案が変つたというような状況でございまして、私どもの方といたしましてはこれに対して予算的措置というふうなことについてはまだ深い考えを実はもつておらないのでございます。これが通りますれば早速大藏省相談いたしまして、どれくらいの予算になりますか、またその予算厚生省予算に組むべきものかあるいは内閣の方に組むべきものか、そういうことについて至急に相談をいたしたいと考えております。現在の厚生省予算の中でこれを賄えないかという御質問があつたと思いますが、これは一部はものによりましてすでに本年度予算にお願いしてあるものもあろうかと思います。またものによりましてたとえば調査費とかいうようなものにつきましては、私どもの方の予算にはまだ見てありませんので、さような点につきましてはまた新たに予算を編成しなければならない、かように考えております。
  16. 木村榮

    木村(榮)委員 これは私は反対のために言うのではありませんが、行政組織法にも明らかなように、むろんこれはその他の機関になるでしよう。諮問的な調査的なものではないのですから、その他の機関をおく場合には國会承認云々の場合に該当すると思いますが、その場合に「但し、予算上の措置がこれに伴つておらなければならない。」ということになつておる。だから予算が全然考慮に入れてないということは、そこに法律的な疑義が生れてくると思う。ただかりに厚生省外局なら外局とか何とかはつきりしますと、それは厚生省予算の中で、あるいは総理府の中の外局なら外局ということになればそれは非常にはつきりしますが、独立して事務所を総理府に置くということになると、独立した一つ機関になると思う。そうしますと予算上の措置を何らかの方法でつけておかないと、あとからいろいろ文句が出た場合に、審議をいたしましたわれわれといたしまして非常に困ると思う。私はこういう点で申しておるのでありますが、皆樣そういうことでなくていいということになれば、これはまた別個の問題ですが、明らかに法律的にはそういうことになつておるのですから、組織法に基いてこしらえるということになれば、委員長はどういう御見解ですか。
  17. 松原一彦

    松原委員長 委員長事務局長厚生省の一級官吏であり、しかも委員各省次官であり、その他学識経驗ある者の中から総理大臣が任命すると思いますが、次官を差引きますとその人数はきわめて少いので、むしろこれは民間委員会ということよりは官廳内部における連絡打合せ協議会のようなものと私はさつきから見ておるので、從つてこれには格別の予算は要らないからこのまま承認しておるのだ、かように思つて見ておるところであります。
  18. 木村榮

    木村(榮)委員 それは金を使わないということはまことに結構なんですが、しかし一銭もないということは將來運営をしていく面においてはきわめて困難が生じてくると思います。月給はほかからもらうからいいというわけですが、独立したものであるならば、嚴密に言えば自分のポケツトマネーなんか出さなくても月給を出しても差支えないのではないか。金か要るといつたところで何億といつて要るわけではなく、ある程度金額予算は、國会承認しさえすればいいのですから、予算を計上して、追加予算とか補助金とかいう方面でとられるのですから、こういうものを同じこしらえるのならばいくぶん予算を織りこんで、印刷物とか、いろんな関係をいたしますその他の團体との連絡調整というふうなことのできるくらいの予算はもつていませんと、結局予算がないということになると、何かそこにまた方向がゆがんで來たり、運営の上に困つて名前だけになつて何もやれなくなるようなことになる危險性があると思うのですが、急速に予算を何か簡單にとる方法はございませんか。
  19. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今の木村君の國家行政組織法予算上の措置を伴わなければならぬということはごもつともなんでありますが、これは委員長お話なつたように大部分の委員職員とが兼務であり、要るとすれば紙代であるとか調査費ちよつと要りますが、それに引揚援護團体から代表者がだいぶはいるであろうと思うのです。民間としてはそういう人たちは俸給をもらつておるので、実際俸給的に金がかかるということは今のところあまりないだろうと予想されるのですが、しかしながら國家行政組織本では予算上の措置を伴わなければならぬと書いてある、それに正面から違反しておるではないかというお説ごもつともですが、ただ官廳をつくるには予算上の措置を伴わなければならぬというふうに國家行政組織法に書いたゆえんのものは、少し法律論になりますが、これは予算法律とは全然別個の問題である。予算に計上はしてないが、ある官廳をつくるという法律をつくることはあえて差支えないと思います。しかしある官廳設置法ができた、しかしながら全然働くべき金は一文もない、こういうことではそういう國家官廳をつくつても全然無意義である。それでは意義がないから予算伴つて、その官廳活動するというような意味合からあの規定があるのであつて、これはやはり予算と併行してやれ、それでないと予算法律とは全然独立原則によつて予算はできたけれども法律ができない、あべこべに法律によつて官廳設置法ができたが、予算一文もなくて活動ができないというようなことで、そういうことを救済するために特に國家行政組織法法律案予算案との独立原則を調整するための規定であつて予算が特に審議会費としてとつておるのでなければ審議会法案を出してはならないという趣旨のものでないと私は解釈しておるのです。これは解釈になると思いますけれども、殊に今の場合はとりあえずは厚生省役人事務局職員になる、また委員各省次官、その他の民間人としては引揚團体代表者、これはおのおのその團体等において給與を受けている、一應金は一文もなくてもやれる、こういうことであるので、この審議会法ができても予算措置がないために何ら活動ができないという場上には該当しないから、從つて國家行政組織法予算上の措置を伴わなければならぬというあの趣旨には反しないと私は解釈する。しかしながらこの審議会を十分の活動をするためには予算が必要になつてまいりましよう。從つてそういう場合には当然予算提出する義務が政府にはできてくる、こう私は解釈するのです。
  20. 冨田照

    冨田委員 私は今の竹谷さんのお話は一應ごもつともと思うけれども、やはり審議会をやるのには費用はかかるのだから何とかそこに百万円でも二百万円でもかかるものはかかるとして、何か方法があるならばおつけになつておいた方がよくないかと思う。なぜかというと、その中にはお金持があるかもしれませんが、引揚者團体代表者というものは必ずしも金持でないはずです。しかも今後こういうことは絶対になかろうと思うけれども、例の引揚者團体のいろいろなことをやるために原侑代議士事件のような事件が起つている。やはり審議会をやつて五十万円でも百万円でもかかるというならかかるような方法を考えて、予算がとれるものならとつておくことが禍根を残さないいい方法ではないか。法律解釈論はいろいろあるが、予算の要るものは出しておく方が素直なやり方であり、お互いにいいんじやないか。もし便宜的に考えますならば、引揚援護廳なる官廳は專門にあるのだから、その方から金を出したという方法か何かの方法を講じて、事前にそういう方法をはつきりしておく方が運用上いいのではないかと私は考えます。
  21. 松原一彦

    松原委員長 大宰総務課長に伺いますが、今さしあたりの運営は大して金のかからないもので、もしやるとすれば委員委員の名をもつて出張した場合とか、あるいは材料を集める場合の調査費用が要る程度のもので、これは予備費の中からでも請求すれば國会意思によつてこの法案をつくつた以上、処理はできるものと思いますが、いかがですか。
  22. 大宰博邦

    ○大宰説明員 私もこの法案を承りまして十分檢討する暇もありませんので、はたしてどの程度にこの審議会調査をするのかというようなことについて詳細承知していないのでございますが、これが設置されましてどういう御計画をお立てになりますか、その計画によつて必要な程度財政当局相談して研究するという方法進むほかないのじやないか、かように考えております。
  23. 松原一彦

    松原委員長 この程度の御了解でひとつ審議をお進め願いたいと思います。
  24. 木村榮

    木村(榮)委員 何遍も言うようですが、私の経驗から申しますと、これは各省次官方々あと民間の者はあまりタツチしないわけですが、こういつた機関が個人的な数人の人の計画でやられて、おれがやつてつたからこういうことになつたということになる危險性が今までもたくさんあるし、現にある。そうしますと、いろいろの就職とか更生対策、職業の斡旋というようなことになると、いろいろ個人的な事情で世話してやつた、だからお前はといつたようなことに轉嫁して、一部の者がこれを非常にうまく利用していくようなことになる危險性多分にある。そこで今予算が組めないということになれば、今政府の方からもお話があつたように、申合せ事項でもいいんですから、必要な経費引揚援護廳の方から適当な援助を受けるように処置するといつたふうなことを、この委員会において決議して出しておいた方がいい。そうでないと、いや、そのなものは金がない。お前ら勝手にこしらえたのだからということになると、せつかくわれわれのたくさんの同僚の方がお始めになつて出たものが、官廳下請機関よりまだ悪い危險性多分にある。そういう意味決算委員会において決議した方がいい。かように考えます。
  25. 松原一彦

    松原委員長 木村君の心配せられますことは皆様御同感だろうと思います。委員長報告の際に、將來経費については、引援援護廳の方において、その途を講ずる、こういうことをば委員会意思として報告の中に入れることとして、これを討論を省略して可決することに御異議ありませんか。
  26. 冨田照

    冨田委員 それは委員長報告するときにつけ加えていただくことはまことに結構ですが、今提出者政府委員がおいでになつているから、それをはつきりしたおいた方が將來のためによくはないですか。
  27. 河野金昇

    河野金昇君 この委員会をつくりましてこれからやつていく仕事は、ここに書いてありますように、引揚促進に関する留守家族、遺家族の援護等々のことをやつていくのであります。予算がどれだけ要るか、結局委員会ができてから、どういう仕事をやつていくかということによつてきまつてくると思います。冨田さんなり木村さんなりが、親切にこの委員会將來のことを考えて、おつしやつていただくことには感謝をいたします。從つて、大した費用は要らないと思いますが、やはり國会承認を得ておかないと、それは確かに出すのに非常な困難を生ずると思いますから、委員会ができて必要な経費厚生省あるいは大藏当局相談をして、それから何らか出していただくというようなことを、この委員会でお認め願つておくならば非常に仕合せだと思います。
  28. 松原一彦

    松原委員長 委員長はこう考えますが違いますか。これは事業機関ではなくして審議会であつて審議会が何か仕事をするというのじやなくして、國会の中には國会議員によつて構成せられた同施引揚委員会がある、政府の中にはこれに呼應して、政府役人並びに若干の民間関係者を入れた同胞引揚対策審議会がある。これが相呼應して予算を要求したり、引揚げの方針について政府に忠告したり、引揚援護廳長官を鞭撻して、引揚げの促進をはかるといつたようなもので、一つ意思機関であると思つてさつきから見ておつたので、大した金のかかる機関でもなし、営利事業をする機関でもない、かように思つているのですが、違いますか。
  29. 冨田照

    冨田委員 ただいまの委員長お話、一應ごもつともに聞えます。たとえば陳情を審議する場合には一文も金はかからぬが、しかし函館へ行つて調査してこよう、あるいは舞鶴まで行つてこようという場合に費用の負担をどこでするか。せつかくりつぱな審議会ができたけれども、その支出をする責任官廳がはつきりしていないと、その機能を発揮できないのではないか。援護廳なら援護廳の方から支弁するということがわかつておれば、金額はきまつておりませんでも、この審議会活動が円満にいくのじやないかという老婆心から申し上げているのです。
  30. 松原一彦

    松原委員長 それはこうなりはしませんか。引揚援護廳引揚げに関するいろいろの措置を構ずるときにも、何か法の基礎がないとそれに出張を命ぜられませんが、こうなつて方々審議会ができ、審議会委員ができれば、引揚援護廳の中の旅費でこういう人はやることができる。また各省の人はそれぞれ必要があればその省から出張すれば何も差支えない。別に審議会費用で出張するというのでなくても行けると思います。私はそういうように割合簡單運用ができるものと思つていたのですが……。
  31. 木村榮

    木村(榮)委員 それは委員長の言われる通りですが、これと同じようなことが私の方の縣にもあるのです。私はちよつとの間そこの顧問みたいなことをしておつた、今やめておりますが、最初はそういうふうな目的でやりますけれども、そのうちにいろいろ問題が起つている。東京の本省関係ではそういうことはないと思いますが、縣なんか小さいところでは、この会には予算がないから結局未復員の家庭から寄附を集める。そして早く帰つた者が何ぼか負担するというようなことが再三出て、そこでいろいろな不正とか何とかトラブルが起つたわけです。そういつたことはここでは起らぬと思いますが、あまり予算上の措置のないような、権限のないようなものは問題にならぬから、厚生省予算内において出すことをここで承認しておけば、これ自体の内容はりつぱなものであるから、議会で厚生省予算をもらうことを承認しているから出せという要求権が確立してくるのではないか。そういうことを本委員会において認めておくというわけです。要らなければむろん使わなくていいわけです。
  32. 松原一彦

    松原委員長 了解いたしました。木村君の御意思のように、委員会厚生省予算内において、審議会経費を賄つていくものとするということを、委員会の名をもつて厚生大臣の方に交渉する、かように取計らつてよろしゆうございますか。
  33. 大宰博邦

    ○大宰説明員 ただいまの点で、審議会予算厚生省予算の中に組むべきものかどうかということについては、大藏省と話をしませんとお答え申しかねるのですが、もし厚生省の中に組んだといたしますれば、これは話は大分簡單になるかと思いますが、現在の引揚援護廳関係予算は昨年よりぐつと減つておりまして、この審議会経費を全部現在の援護廳予算の中から出すということは困難であると思います。
  34. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 これは正式に言えば内閣予算をとらなければならぬ。厚生省予算から内閣所属の審議会予算を出すということはいけないことになる。そこで委員長の言うような便法なり、あるいは必要に應じては補正予算なり、予備費から出すなり、とにかく適当の措置政府においてとられたいということを、委員長報告に入れたらいいでしよう。
  35. 松原一彦

    松原委員長 ただいまの竹山君の御提案に御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松原一彦

    松原委員長 御異議なして認めまして、それでは審議はこの程度にしまして、この際討論を省略して、採決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 松原一彦

    松原委員長 それでは原案通り可決せられました。     —————————————
  38. 松原一彦

    松原委員長 続いて農業改良局設置法案を議題といたします。  この法案はすでに審議も相当の程度にまで進行いたしておりますので、この際質疑を終りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 松原一彦

    松原委員長 御異議なければ質疑を終了いたします。  ただちに討論に入ります。討論のおありになります方は御通告を願います。     —————————————
  40. 木村榮

    木村(榮)委員 討論に入る前に緊急動議を提出いたします。
  41. 松原一彦

    松原委員長 緊急動議を許します。
  42. 木村榮

    木村(榮)委員 本委員会もいよいよ今度の会期とともに明日一日になつてまいりましたが、ごらんのように出席はあまりよくなくて、各派全部もおいでになつていないような状況でございます。今朝なんかは私は定刻十時に参りましたが、まだたれもお見えになつておりません。今日は農業改良局その他商工省官制の一部改正とか、あるいは工業技術廳の問題などもまだあると思いますが、やはりこの委員会はある程度出席者があつて、そうして皆が了解いたしまして、採決なら採決をするというのがあたりまえであつて、三人や四人でどんどんきめていくというようなことは、これは非常に違法である。私は特に会議を延ばしてやろうとか、その他文句をつけてやろうというわけではございませんが、少くともそういつたふうにどんどんやつてつて、すぐオーケーといつたようなことでやつていくことは、大体議会のそういつたいき方それ自体が議会が腐敗墮落する根源だと思う。少くとも現在は新しい憲法下において、議会が立法府としての國政最高機関で、しかもこの委員会はそのまた一番大きな動脈的な仕事をやつておるわけでございます。そのものが、まあ今日は速記もございましたが、この農業改良局設置法案にいたしましても、いろいろな質疑應答をやつた際は速記もほとんどないというようなことが何回もあつた。それは各派了解してやつておりますから、いまさら文句はございませんが、そういつたふうに今日と明日一日だから、何でもかんでもばたばたと片づけようというようないき方に対しては、私は賛成いたしかねます。特にその他の法案にいたしましてもまだございます。農業改良局なんかは相当討論いたしましたから私としてもあまり質問なんかもございません。その他の問題、新聞用紙の割当の問題にいたしましても、昨日なんか私が提案いたしました公述人を呼んで聽いてみてはどうかといつたようなことに対しては、いいとも惡いともまだ結着はつかないでそのままになつておる。文化委員会の方の問題だけはお話があつたのでありますが、その他の團体の問題はそのままになつておるといつたようなことでは、これがはたして新憲法下にふさわしい民主的なやり方の委員会だ。討議をつくして皆情得してやつているといつたようなことは言えないと思います。從つて私はこの際先日申し合わせておりますように、工業技術廳というのは、大体田中君もあれは自分も納得したからもうわかつたということを言つております。商工省官制の一部を改正する法律案も、この前も相談しましたように、大体御意見もないから認めるというような話をして、了解のついたものは、これは嚴密に言えばまだいろいろ違法の点は、委員会運営上あるとは思いますが、そういうことは拔きにいたしまして、一應この前までの間で了解を得て皆が納得したものは、小人数でも違法行為ながらこれは了解事項として決議するといつたことは、この際事を急ぐためにやむを得ぬと思いますが、その他そういう了解のついていないものは、もう少し愼重に取扱つていただきたい、かように考えるのであります。
  43. 松原一彦

    松原委員長 木村君の御意見に対しましては、委員長もまつたく同感でございます。私はこの審議のやり方につきましては、こういうことではいかぬと思います。この次からは議案をあらかじめ早く出していただくと同時に、委員も今度から兼務がぐつと減るようになりましたので、なるべく出席を多数願つて、そして熟議懇談の時間を得たいと思います。單なる形式討論ではいかぬと思います。それは心ある委員方々はすでにそういうふうに御実行になつているのであります。將來ども委員会は、その点においても國会内紡における模範的なりつぱな足どりを見せたいと、私は希望いたしているものであります。ただこの國会が明日閉会になろうといている際に、われわわは審議未了のままに残すことのできない切迫したる事情をもつていると思うので、昨日來御相談の上に各党の御了解を得て、今朝はこれこれのものをば、御決定を願うということになつているのでありますから、この点をひとつ御了解くださいまして、本日は進行を願いたいと思うのであります。さいわいただいまは各党の代表の方がおそろいでありますから、田中健吉君の御欠席は遺憾でございますが、これは意思表示をして帰られました。私はさように心得ておりますので、もう最後の段階にいきたいと思いますから、どうぞ御了承を願います。
  44. 木村榮

    木村(榮)委員 さつきからの続きですが、從つて今日ここで小人数で承認するものは、昨夜皆さん方が御相談をして了解いたしました農業改良局設置法案と、それから工業技術廳設置法案と、商工省官制の一部を改正する法律案、大体この三つは、各党の意見もほぼ一致いたしましたし、質疑應答も詳細にやりましたから、ほんとうは人数の上からいつても、成規の委員会にはなつておりませんが、そういうことは問題外にして認めることに対しては私は賛成をいたします。しかしこのことがどの議題に対しても同一にやられるということは、これは了解事項ではございませんから、その採決は委員会の権威のために正式の方法でやりたいと思うのであります。だから私は昨日了解した三つのものについては、ここで文句をつけたり何かする考えはございませんが、了解事項以外のものはまた席をあらためてやるということにしたいと思います。
  45. 松原一彦

    松原委員長 委員長は御了解を得ました事項のみをとつて、進行いたします。
  46. 冨田照

    冨田委員 私、質問をいたします前に、今の木村委員の緊急動議に関連して、一言申し上げたいと思います。  これはくどく申しませんが、この委員会の出席がこのような状態で、これで重要な問題が決議されるということは、毎々私もずいぶん痛論しているのでありますが、しかも委員長も同感であられ、他の委員方々もほとんど全部同感であるにもかかわらず、これを各党了解のもとに了解のもとにということが、これがやはり議会政治堕落の第一歩であり、そうしてお互いが精魂こめて慎重に審議をし、討議をいたしましても、これがため國民の信頼を緊ぎ得なくなる。これが私は最後の頼みの綱だと思う。ここでやはり國会が、ここ十年にして眞の民主國会にはなり得ないかもしれませんが、もう少し國会が偉容を整える要があります。それは決して小さいことではありません。皆がまじめに出てくることであり、皆がまじめに勉強することである。それがほんとうに國会の権威を増していくことであつて、決して人を集める必要はない。そこで今日も農業改良局の問題について、われわれは一日も早くその結末をつけまして、日本農業の改良の実のあがることを期待するけれども、わずか三人か五人でもつて、過半数の出席があつたという虚偽の記録をもつて委員長はこれをおきめなさろうという御意思であるか。一應私はそれを確めてから発言したいと思います。このままでいきますならば、どうしても國会に虚偽の記録が残る。私の良心は絶対にこれを許さない。そういうことをするならば、この世に生きておるかいはない。死ねという宣告を受けたと同じことです。この白晝公然と法を蹂躙して、立法府みずからがそういうことをやつているということは、冨田の良心は絶対に許しません。それでは私に死の宣告を與えなさろうとすることである。委員長がやはり國会の権威のために、法規を守つて立法府は立法府たる態度をはつきりすべきである。私に死の宣告を與えるならば、あまんじて受ける。私は毒をあおいで死んだソクラテスのように、法を守らんがためには死をもつてつてもよろしい。このことは絶対に承服できません。
  47. 松原一彦

    松原委員長 冨田委員の良心的な御発言に対しましては、委員長はまつたく御同感でございます。実は委員長は、毎日出席をとつております。これはお目にはかけませんが、私の手もとには出欠は毎日はつきりわかつております。私前例を聽きますと、どうしてもその日に顔のそろわない場合で、緊急を要するときには、おのおのの御了承を得て、登院なさつておられる方は御席出のことに御党に御了承を願つて進行しておるということであつたのであります。できる限り、私は昨日來も院内をまわつてもらつて御出席を要求いたしておりまするが、なかなかそれがないのであります。また理事の方がすでにそれぞれ御出席になつておるのでありますから、理事の方に少しお骨折いただいて、その御所属の党からももう少し出席くださるように御盡力をいただきたい。委員長ばかりの責任ではない。この点につきましては富田君にもどうぞひとつ御了承を願いたいのであります。現に冨田君の所属しておる民主自由党からあなた一人しか出ておらない。今朝は決議するのはそれぞれ御相談なつたことである。私は必ずしも專断でやつておるつもりはございません。
  48. 冨田照

    冨田委員 今委員長の御同感を得て非常に結構でありますが、私は理事として私の責任を忌避するものではありません。まつた委員長の言われる通り理事としての私の責任であります。そうしてまたわが党から出ております方々にも昨日も連絡してまいつております。今ここへ來てみて私一人であることはまつたく私の不徳であり、自分の微力であることを痛切に感じております。その責任は明かにします。ただ私の憂えるところは、もしかりに方法をもつてしますならば、あるいはアナウンスを使いまして、あるいは私個人に数分の時間を與えられれば、院内を駈けまわつても幾人かを集める方法はある。登院しておつてつて了解を得た方もあります。私は責任を回避するものではない。決議をするときには定数に満してやることが立法府の権威のために大事なことであり、お互いも氣の済むことではないか。この意味において、私は特に今発言したわけでありますが、これはあながち決算委員会だけの問題ではない。この一角から議会政治革新の声をあげることが、やがて日本の國会を淨化していくことにもなると思う。すべての道はローマに通じます。決算委員会一ついたしまかことが、委員会が大抱負を述べられたように、全國会の空氣を革新していくことになる。まず一つの犠牲球が打たれなければ、決して次のものは出てきません。私は喜んで私の責任を果します。どうか堂々たる法規のもとに少くとも過半数を集めてやつていただきたいと考えるのであります。
  49. 松原一彦

    松原委員長 心得ました。私は今あらためて申し上げるまでもございませんが、政治を最高の道徳として取扱いたい。國会國民の良心でありたいと心得ておるのであります。さように標榜して私も議会に参つておるのであります。冨田君の御意見にはまつたく御同感であります。それでしばらく休憩いたしますから、どうか理事の方はそれぞれ各党から御出席のあるように御処置を願いとうございます。休憩します。     午前十一時二十六分休憩      ————◇—————     午前十一時五十七分開議
  50. 松原一彦

    松原委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昨日來農業改良局設置法案に対する審議は相当の程度にまで進行いたしておりますので、この際質疑を終りたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。これより農業改良局設置法案内閣提出第一八三号を議題とし、討論に付します。討論の通告がありますから、順序によつて御発言を願います。冨田照君。なるべく簡潔に願います。
  52. 冨田照

    冨田委員 ただいま議題になつております農業改良局設置法案に対しまして、私はこの根本趣旨に対しましては賛意を表しますけれども、しかし農林省設置法案の全貌を見まして、さらに昨日農林大臣からその新しい構想を拝聽いたしまして、いよいよ農業改良局だけを引抜いてここに法律案として通過いたさせますことは、その時期を得ていないことをまことに遺憾に存ずるものでございます。この農業改良局が農事的な農業の発達のために、農業生産の増大、農民生活の改善、こうしたまことにきれいな、まことに望ましい目標を掲げまして発足し、そうして日本の農業の改良のために貢献することは、私どもの心から賛意を表してやまないところであります。しかしながら今までの日本の農業改良が、いわゆる官僚の指導によつてのみなされるものであると考えるならば、そこに大きな間違いがある。これはどうしても農民自体がみずから立ち上るやうに勧奬していくべきである。これに手を加えてただ官僚の指導下に機械的な農業発達を期していくという意味ではないのであります。そうして官僚はなるべく手数のかからないようにして、日本の農業をして民主的な、ほんとうに自主的な発達をさせていくところに、この農業改良局のねらいがなければならない。そこでこの第一條にも規定されてありますように、これがほんとうに農民自体のために、お互いに助け合つて発達させていくのだという新しい形の條文をお出しになつた点もわれわれは賛成をいたしております。ただただいま申し上げましたように、あるいは畜産局を廃止する、食品局を食糧管理廳の方へ移すといつたような大きな配置轉換とも申すべきことがありますので、それと一緒にこの農業改良局を設置しても遅くはない。この役所が一月や二月早くできたからといつてすぐ日本の農業が改良されるものではない。穀を植えて一年、木を植えて十年、徳を植えて百年といいます。農業改良のような仕事は非常に根氣強い力を要するのでありますから、その点において私どもは、この法案がまことに時機を得ないことを遺憾に思います。のみならずこの構想の上において農業改良局で取扱つておる農業総合研究所が現在ある機関にとらわれていて、ただ経済的な見地あるいは社会的見地、技術的見地を引き離してしまう。総合ということが、何を意味するかわからないような、そういう構想のもとにできておる。この点を考えると、もう一度農業改良局が出直して、農林省設置という大きな目標のもとに立つて、それぞれその占むべき位置を占めねばならぬと思います。そうしてほんとうの目的を達するように私は祈つてやまない次第であります。こういう意味で私は民主自由党を代表いたしまして、この提案の趣旨並びに農業改良局設置については根本的に反対をいたしませんが、ただその時機においてまことに遺憾と思いますがゆえに、今日の議題としては反対意思を表明するものであります。
  53. 松原一彦

    松原委員長 田中健吉君。
  54. 田中健吉

    ○田中(健)委員 簡單に申し上げます。農業改良局設置に対しては、社会革新党は反対するものではありません。ただ時機の問題において、先ほど冨田君が言われた通り、いま急に急ぐ必要はない、かように思います。しかし法案が出てきましたし、農林当局の熱心なる説明がありましたし、今日しいて反対いたしません。ただ農業改良局の事務の中に純然たる工業技術に関係するものがありますので、これらのものと將來商工省の主掌する工業技術関係が一本になつて内閣直属の技術省なるものができ上がるのが当然ではないかと思います。しかし今のところは、各省においてそれぞれ技術関係の組織を作ることを提案しておりますから、今日のところ提案いたすことを承認いたしまして、ここ一年間模樣を見たいと思う。見た結果、どうしてもうまくないというならば、当然政府なり國会みずからが改正法律案を出すべきであると思います。こういう前提のもとに賛成したいと思います。  それから官僚農業行政をやるのではないかという懸念をわれわれもつてつたのですが、昨日の政府の答弁では、決して官僚農業行政をやるのではない、こういう熱心な論議がありましたので、一應これも了承いたします。ただ從來のように、農業技術者に対する政府補助が行われない関係もあるので、こういう方法とつたという話も漏れ聞いておりますので、この点は了承いたします。ただ当局に対して一應御注意申し上げておきたいのは、昨日の質問において私か申し上げた通り、いろいろ食糧供出の場合に、地方における農林官吏が農民の彈圧をするというような傾向が從來しばしばありましたので、これらの点について政府も絶対にそういうことはいたさせないという答弁でありましたが、この点、一層將來においても注意していただきたいと思う次第であります。農林省設置法案が提案されるだろうと思いますが、その場合において当然農林省内の他の廳あるいは部局の関係において、定員が問題になつてくると思います。その場合定員が省全体として、あるいは部局として現在の数を超えないようにしてもらいたい。かように思います。これらの点について十分に農林当局は善処してもらいたい。大体以上の点を申し上げて討論を終ります。
  55. 松原一彦

    松原委員長 御通告の追加があります。河会議一君。
  56. 河合義一

    ○河合委員 私は日本社会党を代表して農業改良局設置法案賛成の意を表するものであります。私ども平素から考えているのは農林省のやり方が一方に遍して、農村を指導する上においてもただ技術の面ばかりに遍つていて、文化の程度を高めるとか、農家の経済を整備するとか、その他いろいろの点において奬励指導の方法が当をえないということを痛感しておつたものであります。  この度の農業改良局の設置は、そういうことを考えて、全般にわたつての指導を完備する、施設を完備するということにねらいをおいたことは非常な進歩だと考えます。殊に現下の食糧事情は非常に急迫いたしまして、國外から食糧の救助を受けなければ餓死を免れないという事情でありますから、一日も早くそういう方途に進んでいくということはまことに急務中の急務と私どもは考えます。善は急げで、もしこれをゆるがせにするならば、次のこういう法案審議される場合に私どもは非常な危機にないかどうかということを考えるのであります。私どもが選挙民から送られて國会におる間に、よい法案は一日も早く全部やつていきたいと思います。我が党においては全党を上げて、そういう考えでありますから、日本社会党を代表してこの法案賛成の意を表するものであります。
  57. 松原一彦

  58. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私は民主党を代表して農業改良局設置法案に対して、賛成の意を表します。各省内部部局設置法案を全部撤回させたのに、この農業改良局設置法案だけを認めるのは、農業改良局設置の緊急性を認めて特段なる処置を構ずる次第であります。こういう方針をぜひ農林省においては体して、この局が有終の美を早速上げるように措置されんことを望みます。以下改良の方向として、われわれが農業当局にまず希望いたしたいのは、日本の農村と土と家と人間が一体となつて協同体制を確立していく。こういう方向に向つて強力に推進されんことを望みます。第二はこの改良局の設置によつて約六千五百人くらいの技術員が地方廳に採用されると思いますが、今までの技術員の執務その他に関しては、質問に申し上げた通り、遺憾の点がきわめて多い。こういうものを勇断をもつて刷新するような措置を必らずとつていただきたい。第三は農業改良局は冨田委員質問にありましたように、農村生活の内部まで立ち入る必要がある。特に考えなければならないのは、日本の農村における封建的な停滯性というか、あるいは國防國家を主にした農本主義というか、こういうような非民主主義的な要素を速やかに拂拭する必要があると思うのであります。そのためには少くとも改良局の内部において農村文化課というような一課を設けて、これを專門にやらせる。特に農村青年を教育して農村文化運動のセンターたらしめる。こういう措置を強力に推進していただきたいと思います。以上簡單賛成の意を表するものであります。
  59. 木村榮

    木村(榮)委員 農業改良局の目的についてはきのう永江農林大臣から大体承つて了承いたしましたが、その永江農林大臣の御説明によれば、私が考えていましたと同じような方向で農民の自主性に基く農業改良をいたしたいということで、きわめて満足すべき答弁であつたと思います。ところがけさの新聞を見ましても、東北地方の農村においては娘を賣らなければならぬといつたふうな記事が出ております。國会においては農業改良局を設置して、日本の農業を改良して日本の農家経済を安定させるということを討論いたしてこうしたような役所ができますが、しかしながら一方農村の現実はどうかと申しますと、都会地附近の一部の農村はいざ知らず、全國的に見ましてきわめて困難な経済状態、かつての昭和八年の農業恐慌にも近いような段階にだんだん追いこめられておるということは、だれが見ても否定することのできない段階にはいつておると思います。こうした際に農林改良局といたしまして、ただ今までのお役所の机の上で計画をして、ほんとうはやれないようなことを下の方に流していつてむりやりにやらせるような傾向をやつておりますと、農業改良局はかえつて農業改惡局に轉化する危險性多分にあると思います。そこで設置の趣旨は結構だと思いますが、この際ほんとうの趣旨に副うようにこれを運営いたしますために、ただ單に役所だけの間ではなくて、細目をちよつと読んでみますと、いろいろ民間の方から委員なんかをこしらえて、いろいろ協力さすというような御計画があるように承つておりますが、そういつた計画を立てます場合にも、今後はただ單に農業改良局の事務局の役員の方だけで計画するということではなしに、たとえば衆議院の農林委員会その他民間の農業関係の強力な内容のある、そうしてまたいろいろな経驗をもち、過去においても実績をもつておりますような、民間のいろいろな團体、組織といつたようなものを、百パーセント利用されまして、そうした意見を十分にとり入れて、この農業改良局がりつぱな改良局に活躍することを念願いたしまして、一應賛成いたします。
  60. 松原一彦

    松原委員長 以上で討論は終局いたしました。これより採決をいたします。原案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  61. 松原一彦

    松原委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  62. 松原一彦

    松原委員長 次にお諮りいたします。前回までの予備審査をいたしておりました商工省官制の一部を改正する法律案工業技術廳設置法案が、昨日参議院より送付いたされてまいりましたので、本審査に付します。なお両案につきましては、御承知の通り、鉱工業委員会と連合審査会を開き、愼重審議をいたしてまいつた次第でもありまするので、この際各党の態度の御決定をいただきたいと存じます。
  63. 竹谷源太郎

    竹谷委員 商工省官制の一部を改正する法律案及び工業技術廳設置法につきましては、この際質疑も終了いたしましたので、討論を省略してただちに採決せられんことの動機を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  64. 松原一彦

    松原委員長 竹谷君の動機に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。原案の通り賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  66. 松原一彦

    松原委員長 起立多数。よつて本案は可決になりました。午前中はこれをもつて休憩いたします。午後は一時半から新聞出版用紙割当事務廳設置法案並びに逓信省設置法案を、夜にはいつて審議を続けますから、どうぞ御出席願います。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後二時五十三分開議
  67. 松原一彦

    松原委員長 休憩前に引続き再開いたします。  新聞出版用紙割当事務廳設置法案を議題とし、質疑を継続いたします。時間がございませんから簡潔に願います。田中君。
  68. 田中健吉

    ○田中(健)委員 野溝國務大臣にお尋ね申し上げます。先ほど懇談会でも申ま上げましたが、きわめて簡潔にお尋ねいたしたいと思います。  從來新聞用紙が各新聞社に割り当てられておりますが、この新聞社の割当は終戰当時のどさくさ紛れに割当実績をもつたものもありますので、本法が実施されました場合にはそういうものを調整するところの御意思があるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  69. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 御指摘になりました点はごもつともでございます。実はこの新聞用紙の割当につきましては、戰爭中は商工省が主務官廳として指導してまいつたのでございます。以來総理廳に移つたのでございますが、実際のその当時の内容は御承知だと思いますが、大体戰後において申請者に対してこの用紙の割当をしておつたのであります。たまたま新聞並びに出版等の用紙が不足をつげてきましたので、一應これを整理することにはいたしましたが、その終戰当時の申請者が依然として用紙割当の特権性といいますか施得権というような形において今日まで行われていることは事実でございます。しかし最近非常な各方面からの輿論並びに意見もありますので、委員会においては相当檢討しておりますが、なお各方面との折衝の点もありますので、本國会において以上のような御意見が出ますならば今後できる審議会、いわゆる委員会が十分檢討し、なお政府においても委員会と折衝いたしまして、万違算なきを期していきたいと考えております。
  70. 田中健吉

    ○田中(健)委員 新聞用紙の割当をされておる新聞社あるいは雜誌社において、ストライキあるいはその他の事情によつて実際上発行しない場合には用紙が余るはずでございます。さような場合においては本法の第三條の第二号の「審議会の議決に基き、需要者割当証明書を発行し、及び必要に應じこれを取消すこと。」こういうことでこの法文通りやるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  71. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 第三條の第二号に書いてあります「必要に應じこれを取消すこと。」というのは、これは発行しました切符が、何か間違いがありましたとか、あるいは切符が使用前に何か業者の方において不正があつたことがわかつたというような場合に撤回する目的でありまして、ただいま仰せのようなストライキで新聞が発行されなかつたような場合には、たとえば一月のうち二日だけ発行されなかつたとすれば、その二日分の用紙は翌月分の量から差引いて出しております。切符は一月一枚でありますから取消すというのには当りませんけれども、翌月分から実際発行しなかつた分は差引くということになつております。
  72. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それから現在品はどうなつておりますか。どういう言葉でやつておるかわかりませんが、たとえば十万部の新聞の場合には、実際十万部発行する。印刷その他で何部か見なければならぬ。それはどのくらいになりますか。
  73. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 これは損紙という言葉を使つております。損紙にも白損と黒損とありまして、白損というのは、御承知の通り、印刷前に輸送の途上で破損したもので、黒損というのは印刷途中で輪轉機についてからインクがついたり、印刷不鮮明で役に立たないということであります。こういう白損、黒損は相当量に上るのでありますから、割当量の一割を損紙として別につけて渡すことになつております。
  74. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そういたしますると、十万部発行する新聞の場合には十一万部渡すということになるわけですね。そうするともし実際の損紙が一万部出なかつた場合においても一万部ということになりますから、それだけのものがそこに残つてつた場合は、それは新聞社の自由処分ということになりますが、それは從來の慣例で認めておるわけでございますか。
  75. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 これはただいま田中委員のお示しのような疑問も確かにあるのでございまして、一割じや多過ぎるじやないか、そしてそこにまた紙を余してほかの方に使う余地も起るのじやないかというようなことでございますけれども、何といつても戰爭前と違いまして、輸送状況が非常に惡うございますし、巻取なども木のわくをつけるということも近ごろ行き届きませんので、輸送上の破損が非常に多いのでございます。また紙自身も戰前に比べまして非常に劣つておりますために、輪轉機にかけてからの損害が非常に多いのであります。殊に会社によつて磨損率が多いということもありますので、一割が総合的に爭当と認めて今これを割当ててあるわけなのでございますが、実を申しますと、製紙工場から非常に遠い所にある新聞社などではとてもこれでは損である場合もあるのであります。また一方におきまして一割の中から技術的に大いにくふうを疑らしまして、損紙を一割以下に食い止めまして、それを部数の方にまわすということは大いに用紙あるいは印刷上の改良のくふうを奬励することにもなりますので、浮かした紙を使うということは認めておるわけであります。
  76. 田中健吉

    ○田中(健)委員 簡單にお伺いいたしますが、実は不当財産取引調査特別委員会では、昭和二十年八月十五日現在において、財産が零であつた。現在は相当に儲けておる。それを出版業者にわたつて調査する場合においては、実は一割を節約して、それでやつてつたのだ、こういうことになりますると実際はそうであろうけれども、どういうふうにするかということについて非常に苦心しておりましたのでお伺いいたしたわけであります。別に御答弁は要りません。私はこれで質問を終ります。
  77. 木村榮

    木村(榮)委員 最初にこの法案の内容について御質問いたしたいと思います。新聞出版用紙割当審議会というのがございますが、その中で、第七條の委員の選出方法でございますが、「当該業界から選出された者五人」ということになつておりますが、「当該業界」というものの範囲及び区分は大体どういう方法でお立てになつておられますか。
  78. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 「当該業界」と申しますのは、新聞業界におきましては新聞社、それから出版業界においては出版社ということに限定しておるわけです。
  79. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、新聞業界というと全國にわたつての新聞全部でございますか。新聞という場合は日刊新聞であるか、あるいは週刊新聞も含まれておるか、その点お伺いいたします。
  80. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 新聞の場合はいわゆる一般日刊新聞、秀刊新聞、特殊新聞、また日刊以外の週間新聞も全部含んでおります。
  81. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、地方の方から出しておる新聞も全部含まつておるわけでございましようか。
  82. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 地方の新聞も全部はいつております。
  83. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、そのものが現在團体のようなものを形成しておりますか。
  84. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 地方新聞は集まつて地方新聞連盟というものをつくつております。
  85. 木村榮

    木村(榮)委員 そうしますと、その選出する場合は皆が寄つて選出する方法を討議するわけだと思いますが、たれがそういうことを各関係の單位に徹底をさせて、選挙をやる方法等をだれが中心になつてやるわけでございますか。
  86. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 改選の場合に候補者を立てますのは、本案にもある通りに、委員長が各方面相談しまして定めるわけでございます。從いまして委員長がどういう方法をとるかということには制限がないようになりますけれども、今までのやり方ですと、その委員長関係の新聞業会その他の諸團体相談して候補者を選んでおられるようであります。
  87. 木村榮

    木村(榮)委員 改選の場合を言つておるのではない。最初にこしらえる場合はだれがやるのですか。
  88. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 これはこの附則に経過規定がございまして、割当事務廳法案が実施になります際に、現在の新聞出版用紙割当委員会委員である方が原則として審議会委員に移るのであります。從いまして事務廳法案実施の際にすでに審議会というものが当然形成されておるという形になります。
  89. 木村榮

    木村(榮)委員 そのことはよく存じております。ところが今までのそういう委員会がどうも権限がなくて、しかもどうもその中でいろいろ問題があつた。そこでこういうものを発足させて、そうしてりつぱな割当をやらなければならぬということはごもつともだと思います。從つてそういう御趣旨ならばまず最初から今の委員会がそのまま審議会になるのだということには矛盾がある。ここから出発し直して、形式はどうでもいいけれども、りつぱなものをこしらえることが第一である。これを見ますと「事務廳長官は、左に掲げる事項については必ず審議会の議に附し、その議決に從つて、これを決定しなければならない。」となつてつて、一項目といたしまして、「新聞出版用紙の割当に関する方針、基準及び手続」、「個々の新聞及び出版物に対する用紙の割当」、こういう一番大事なことは審議会の決定したものでなければ事務廳長官といえども手が触れられないということはごもつともだと思う。ところがその審議会なるものが一番最初の構成がこの前の委員会そのままだということになれば、形式的にはこの法律ができてうまくなるということに一應はなりますが、内部的においては依然としてまたその委員会が絶対的な権力をもち得るということにこの法律によればなるわけであります。だからこの法律を活かすためには、この最初の審議会そのものをこしらえる場合においても御考慮を拂われぬと、意味ないと考えますが、その点を承りたい。
  90. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 ごもつともでございます。しかしこれは用紙割当規定がまだ生きておりますので、用紙割当規定に基きまだ委員の期限があるのでございます。その委員の期限の関係からかようにしたのでございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  91. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、この法案が通れば、今度は早速この法案に基いてこの委員会がなくなる。從つて委員会規定もなくなるわけですか。
  92. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 それは新たに審議会令ができまして、前の委員会規定はこの審議会規則になります。
  93. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、ここへ移つてくる審議会は暫定的なものであつて、改正されれば早速新たなものができるということになるわけですか。
  94. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 さようです。
  95. 木村榮

    木村(榮)委員 それはつまりこの法律によつてほかのものがなくなるからそうなるのであつて、もしそういうことをしなくても、現状のままでいいということになれば、現状のままの委員会でも差支えないということも言えると思いますが、その点はどうですか。
  96. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 法律ができれば法律に基いてやるのでありますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  97. 木村榮

    木村(榮)委員 むろん法律によつてやるわけですが、そのときに現在出ておる委員方々審議会のメンバーになられて、そのまま決議によつてこれはこのままにしようじやないかということになつて、他からも何ら文句はないということになれば、またそのままやつても差支えないと思います。その点今の構成メンバーは必ず変らなければならないという規則はないのですから、皆がまた同じように選挙すればいいわけだと思います。
  98. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 それはこの法案が通れば、御承知の通り、第八條が適用されることになります。第八條では新たに候補者の次期選挙が行われるのですが、その場合全部が妥当性をもつておる人ならば、政府といたしましてはそれを認めることになると思います。もしそのうち横流し、やみをやつたような不適当と認める候補が議長から推薦があつた場合は、拒否をしなければならぬということもありますので、一應審議会規則は、前の用紙割当委員会規則とは、少し内容を変えてこなければならぬことになると思います。
  99. 木村榮

    木村(榮)委員 事務廳長官は大体第八條第二項によつて、「事務廳長官は、前項の候補者に関し不適当と認められる正当な理由がある場合においては、議長に対し、その撤回を要求することができる。」これが参議院では二回以上はできないと修正されたように承つております。この法案を見ますと、なるほどいい法案だとは思いますが、読んでみますと、事務廳長官は割当の方の権限は、いわば百パーセントのうちで二十パーセントぐらいしか権限がないようなものであつて、主として事務局の方とか、いろいろな統計、あるいは調査ということが主体であつて、割当そのものの一番大きな権限は審議会がもつておるという法律だと思います。そこで一番問題になりますのは、事務廳長官は國務大臣に行わせることができるとなつておりますから、主として大臣がなると思います。大臣がなるくらいの大事な法案に、長官になつた大臣は至つてお飾りさんであまり権限がないということになると思います。そこで審議会というものは最も公平な、妥当な活動をやる、また仕事をやつてもらわぬとたいへんなことになる。審議会が少々惡いことをしても、長官はそれに対してはあまり権限がないということになる。そこで審議会が非常に大事なことだと思うのですが、そういう観点から見ますと、第七條の審議会は新聞部会、あるいは出版部会をもつてこれを組織しとあるのですが、出版部会というのは相当廣汎なことであります。新聞と言えば大体常識でわかるのですが、出版部会になれば雜誌、その他單行本、と廣汎にわたると思います。樂譜とか、その他ああいつた出版関係のもの全部だと思うのですが、そう解釈してよろしいのですか、出版物の解釈は……。
  100. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 仰せの通りでありまして、新聞と出版物の区別は、出版の方はいわゆる單行本、それから雜誌、それ以外の樂譜のようなものを含んでおります。暦のようなものは含んでおりません。
  101. 木村榮

    木村(榮)委員 そこで第七條の新聞部会、出版部会で結構だと思いますが、一番問題になりますのは、たとえばここに私どももらつておる資料がたくさくありますが、労働組合の機関紙などは、新聞は新聞だと思いますが、いわゆる商業的な営利を目的とした新聞ではない建前になつておる。これはいわば損得を度外視して、一般組合員に対する宣傳、啓蒙というような活動をやると私は思います。     〔委員長退席、中曽根委員長代理着席〕 そういたしますと、たとえば國鉄なら國鉄の機関誌があるといたしますと、國鉄は從業員が六十万というならば、各從業員に一部ずつやるならば六十万部刷るだけの割当がないと、みなに配ることはできない。日刊新聞というものは、代金を拂つて一人一部ずつとるということになつてつて、読賣新聞などは三百何十万部出すということですが、機関誌というものは——特に日本の労働組合の機関誌というものは非常に必要であつて、こうしたものを通して日本の労働組合の各組合員は啓蒙され、いろいろ学ぶので、現下の情勢上最も必要だと思いますが、そういう場合に、現在のような機構と、今までの割当の方法では困る。労働組合の機関誌などは、將來は日刊になる時期があると思いますが、しかし今の段階においては、必ずしも日刊でなくてもいいが、何とか皆に行き渡るような部数を割当ててもらいたい。一部の特定の人は読むが、末端の方の人は見たこともないといつたようなことでは、いわゆる労働組合の健全なる発達はできないと思います。そこで、たとい週刊であつても、月に二回発行であつても、各組合員に全部配給してやらぬと、結局配給はしてやつたけれども大したことにならなかつたというようなことになる危險性がある。そこで將來においてはそういうことを考慮をして割当をおやりになるようにしていただきたい。今その考えがあるかないかをあなた方に承ることはむりな話かも知れないが、私の考えますのには、出版物といつてもこのごろは非常にたくさんあつて、街に氾濫しているようなエロ、グロ本は、これは仙花紙などを使つておりますから配給の紙ではないが、しかしその他のものでも相当いかがわしい出版物が配給の用紙らしきものを使つて街にたくさん出ているので、そういうこともよく檢討してもらいたいと思います。ただ営利を目的としたもののみに紙を配給するのだということになれば、これは憲法に保障されたわれわれの言論、出版、集会結社の自由を束縛することになると思いますが、新聞部会あるいは出版部会ということのみで委員会ができると、主として営利を目的としたものが多く出る危險性多分にあるので、そういう点に対してどういう方法でこれをうまく合理化していくかお考えであるか、その点を承りたい。
  102. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 御指摘になりました通り、用紙は非常に少いのでありまして、御承知のように、新聞用紙は年間一億九千万ポンド、出版用紙の方は二千八、九百万ポンドという状態でありまして、特にこの新聞あるいは出版用紙の割当が、民主的な機関方面にまわらないという点で、相当御意見もあるのでございます。よつて先ほど田中委員も御指摘になりました通り、本法案がもの御審議の上御決定になるならば、審議会に向いましても、たとえば用紙不足の折に、歩減りとして割当量の一割を認めるという点についても、相当檢討を加えてみたいと思つております。なおただいま御指摘になりましたような、たとえば労働組合あるいは農民組合、かような民主的團体に対する割当と、営利経済性をもつ方面に行く用紙割当との均衡を保てというような御趣旨に対しましては、法案決定の曉には十分審議会と協力して檢討を加えていきたいと思います。なを特に問題となりましたエロ・グロ方面の用紙の配給事情、あるいはどういう関係においてどういう方面に流れておるかというようなことに対しても、具体的に委員会と協力いたしまして、その処置をとるように最善の努活をいたしたい、かように思つております。
  103. 木村榮

    木村(榮)委員 この点は特に野溝大臣にお願いをし、また長年日本農民運動、あるいは労働運動に関係されて大先輩である野溝大臣ですから、私が言わなくともよくわかると思いますが、現在の日農にいたしましても、全國百何十万の組合員がある。一番大きなのは國鉄、全逓、全官公労などは二百万の組合員を擁しておる労働組合である。そこで現在の内閣にいたしましても、前の片山内閣はもちろんのこと、労働組合の健全なる発達ということは、いかなる場合においても仰せられておる。労働組合の健全なる発達ということのためにはおよそそういつた機関紙、あるいは啓蒙宣傳の雜誌とかを発行させまして、皆が健全な発達に向うようにやらなければならぬ。從つて日本の労働組合に限らず、農民組合にとつて、紙というものは一番大きな生命線だ。そこで農民組合にいたしても百何十万の全農もあれば、その他のたくさんの組合がある。労働組合に至つては全官公廳だけでも三百万、こういつたものは非常に現在の日本の政治の方面においても、経済の方面においても大きな問題をもつておる。そこで各大きな組合を見ますと、皆それぞれ機関紙を大体発行しておる。ところがはたして紙が十分に——十分と言いましても、このごろのことであります、とても要求通りは入らないのは当然だと思いますが、そうした大きなものがある場合は、ここの第二項の中へ機関新聞と申しましようか、とにかく機関書籍、機関雜誌と申しますか、機関書籍関係の部会というものをもう一つこしらえまして、その一般営業関係とは幾分切離して、この審議会においていろいろ審議してもらつて、その間において双方いろいろ連絡をとつてつていくということが必要である。それはたとえばある労働組合と同じような系統の労働組合があつて、いろいろ職域によつては、内容的には違いますけれども、大体大雜把にいつて、ある程度これが同じようなものであれば、両方から新聞を出しておるというような場合には、うまく話合をつけて、新聞は一つにして両方へ配つて読ませるというようなことも考えられるわけだと思う。もちろんこれは商賣でやつてみんなが競爭してもうけなければならぬというわけの組織ではございませんから。そういつた点の話合は比較的つくと思う。そういつた場合は用紙節約、しかも節約した上に一般によく行きわたわせるというような百パーセント活用するためには、そういつたものは一般出版部会、あるいは日刊新聞の部会とは切離して、一つの部会をこしらえて、審議さした方がむしろ重複を避けて円満にいくようになると思いますが、野溝さんは農民組合には長年おられたのですから、私が言わなくともよく御存じだと思う。そこで私はそういうことを御判断になつて、あまり官僚の言うことを聞いてうんうんと言わないで、下からの声を聞いて大いにやるという御決心はございませんか。
  104. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 御指摘の点は重々私も考えておるのでございまして、特に新たなる部会を設ける場合におきましては、ただいま御指摘になりました民主的團体である労働界、あるいは農民運動界、あるいは機関團体等から委員を選考するように考えておりますし、部会を設けることはまだわれわれ結論を得ておりませんが、これは各方面とのいろいろの関係もありますので、まず第一階段としてはただいま御指摘になりました通りの労働界、農民運動界、あるいは機関紙部会等々から部員を出すことにいたしたいと思つております。
  105. 木村榮

    木村(榮)委員 今私のお伺いしたのは、第七條の中へ新聞部会、出版部会のほかに機関紙部会と申しましようか、名前は適当にお考え願えばいいんですが、そういつた部会を設けるということを一項目加えればいい。今非常に問題のある営業面と切り離して審議する性質のものだから、それを入れてもらえばこの法案が生きてくる。そこでそういうことを入れてもらうわけにはいかぬかということであつて、野溝さんの御意見では当該業会から選出された五人には入らぬから、学識経驗の中へ何かそういつたものを加えてやるという御意見のようでありますが、そうではなくて新たに部会を一つ設けたらどうかという私の意見です。
  106. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 大体さような御趣意だと思いますので、さような御趣旨に副つてお答えをしたのでございますが、本案からみると、機関紙部会を新たに加えてもおりませんし、御指摘の通り機関紙部会といいましても、用紙の割当も非常に少いのでありまして、私は部会を設けることも一つ方法でありますが、要はこうした民主的團体に用紙の割当を多くするように委員会提出して、委員もそれに協力する体制をとる方がよいのではないかと考えております。しかしただいまのようなお示しもありますので、これはいずれ審議会ができますならば、審議会の方と十分檢討したいと思います。御承知のごとく、本法案は今までの立法と違いまして、一年に一回國会審議を経ることになつておりますので、もし本法案が御審議の結果御決定になつた曉におきまして、その運営よろしきを得ない場合におきましては、毎國会において論議することができることになつておりますから、その点は木村委員も御了解ができるのではないかと考えております。
  107. 木村榮

    木村(榮)委員 それでは今度はそういう必要がなくて、將來必要があれば置く、こういうわけですか——その御答弁は非常におかしなことであつて審議会そのものを今からこしらえるというならば、これはあなたの御趣旨通り、また適当なものを入れるということにもなると思いますが、早速は今まであつた委員会はそのまま横すべりするわけですから、全然ここ一箇年や半年間は効果はないように考えますが、どうでございますか。
  108. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 委員会においてはすでに期限は來ている人もありますので、從來の委員会規定が全部今後そのまま踏襲されるという事情にはなつておりません。特に法案がここで御決定になりますならば、法案趣旨に副つて審議会の規則をつくらなければならぬことになつておりますので、從來とは少しく趣きを異にしておりますので、御心配の点は漸次清算されていくのではないかと思います。  なおその点について、依然として前のままである、あるいは了承できない点があるということでありますならば、臨時國会においても十分檢討はできると思います。毎國会において檢討はできることになつておりますから、この点はほかの立法とは全然違う、民主的な内容を含んでいると思います。
  109. 木村榮

    木村(榮)委員 第十條の問題についてちよつとお尋ねしたいと思うのですが、「新聞出版用紙の割当は、適正公平を旨としなければならない。」まことにごもつともなことだと思います。それで第二項を見ますと、「新聞出版用紙の割当に関する方針は、日本の道徳的及び文化的水準を高め、且つ、民主的社会の建設に貢献するようにこれを定めなければならない。」となつておりますが、この「日本の道徳的」というのは大体どういう意味ですか。
  110. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 日本ということですか……、どうも日本ということは日本というより仕方がないのですが、ちよつと内容がわかりませんが、もう一度よく言つてください。
  111. 木村榮

    木村(榮)委員 これはほかのものには何も書いてないが、この法案を見ますと、日本の文化、日本の道徳といつたようなものが書いてあるが、そういうものが特定にあるのですか。外國の方のものなどは書いてならぬということは書いてございませんが、そういうふうな危險性もある。「且つ、民主的社会の建設に貢献するようにこれを定めなければならない。」ということになると、民主的でないものはやめなければならぬということになる。そういうことになるとどういうことになるのですか。
  112. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 これは木村君の良心において判断願いたいと思いますが、「用紙割当に関する方針は、日本の道徳的及び文化的水準を高め、」ということは、これはやはり國際的に乘り遅れないようにしなければならないという意味であると思いますから、その点は御理解ができると思います。  「且つ、民主的社会の建設に貢献するようにこれを定めなければならない。」ということは当然なことでありまして、どうも非民主的な社会の建設に貢献するということを規定することがおかしいので、かえつて封建性を打倒する意味においてかようなことを規定するのが妥当性をもつているのではないかと御解釈を願いたいと思います。
  113. 木村榮

    木村(榮)委員 この第十條は大体非常に結構なことだと思うのでありますが、むしろ第二條の方へこういうことがはいつて、だんだん第三條以下の各項にあるようなことでいかれるのがあたりまえであつて、特に第十條にこういうことを書かなければならない、またお書きになつた理由は、政府側において根拠があるのでしようか。
  114. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 木村委員の言われるように、強いて御指摘になるならば、そういう考え方もいいと思うのでございますが、こういうことを特に文化的な立法であるから規定しておくというような各方面からのいろいろの御意見もありましたので、別に毒にもならぬように思いますのでさような点はこだわらずにここに掲げたわけであります。
  115. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、十條は毒にもならぬ藥にもらなぬものだけれども、ついでに書いておくというわけですか。
  116. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 それは御自由でございます。
  117. 木村榮

    木村(榮)委員 よろしゆうございます。そういうことは割当廳に限つてあるそうでございますから奇態なことだと思つておるわけであります。最初にさかのぼつて聽きますが、政府側の答弁ではまで明瞭にならないのですが、今度出版部会は審議会委員を入れますが、それは大体どの程度のものを出版部会に入れるか、これは相当廣範囲にわたると思うのですが、今は何か届出をしておらなければならぬというような規則はないのでしようか、大体どの程度のものをもつて出版部会に入れるのでしようか、街に出ておる雜誌は全部出版部会にはいつておるのでしようか。あるいは何か機関があつて登録するとか、申込みするとか、あるいはそれとも任意にやつておるのか、どういうふうにやつておりますか。
  118. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 御質問趣旨は、どういう種類の人が出版者として用紙割当の申請ができるかということだと思いますが、これは何ら制度はございませんので、大出版社でも、あるいは机一つと電話一本の出版社でも、あるいは店を全然もつていない人でもできるわけであります。
  119. 木村榮

    木村(榮)委員 そういたしますと、私は出版屋だと言つて、とにかく申込みさへすれば実績も何もなくてもいいというわけですか。
  120. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 出版物に対する用紙の割当ては、御承知かと思いますが申請書に出版物のゲラ刷りをつけて出さなければならない。でありますから、一つの本を書きまして、これを出したいというときには、すでにできた原稿ばかりではない、その下刷りができた段階において初めてそれを添えて出すのでありますから、それを受付ける方でも、これは相当計画が進行しておる、確かな事業であるということを見て、その内容を審査して紙を割当てるわけであります。
  121. 木村榮

    木村(榮)委員 その点は私も少々やつておりますからわかりますが、これでもつてこの出版部会の会員になつた者は——この会は全然はいれないということはないのでありまして、一番最初にはいる者は、紙は今の建前ではない。一番最初ゲラ刷も何もできない建前になつておる。そこで新たにはいる者はゲラ刷りをこしらえるまでの段階においては、大体どういうような方法で紙を最初に手に入れるか、むろん現実はやみ紙か何かを買つてつておるだろうと思いますが、そこに非常に不合理なところがあるので、たとえば一定の読者の名簿を出すとか、あるいはこれだけの申込みがあつて、こういうことでやるという具体的な方法で集めれば結構だと思いますが、ただゲラ刷をこしらえて出すというのでは、非常にその点が不明確だと思います。そこで今よく街に人を脅喝する新聞とか、そういうものが割に出てきて、大なり小なり割当てをもつておるが、最初に固定読者名簿とか、これだけの申込みがあるというような者が現にあつてやるのか、全然そういうものはなくゲラ刷りさえ出せばいいというのでしようか。
  122. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 最後に言われました通りです。読者名簿も何も必要でないのであります。予約の名簿も必要なくゲラ刷りだけ出せばいいのであります。ゲラ刷の紙はどこから持つてくるかというお尋ねでありますが、印刷屋には印刷用紙の配給がありますから、印刷所ではゲラ刷りくらいのことはできるわけであります。
  123. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 ちよつと木村君に御相談いたしますが、あと冨田さん、戸叶さん等の質問があるようですが、簡單質問のようですから先に許してよろしゆうございますか。
  124. 木村榮

    木村(榮)委員 よろしゆうございます。
  125. 冨田照

    冨田委員 新聞出版用紙割当事務廳の設置の問題でありますが、これは私ども決算委員会といたしまして、さきに総理府設置法案なるものが御提案になつてつたのであります。そうして國家政機構の全体的な総合的な立場からこれを檢討いたしまして、総理府設置法の中において今日御提出になりました新聞出版用紙割当事務廳がどういう地位を占めるか、またどういう役割をすべきものであるかということを考えまして、事務の分配等においてもきわめて民主的な、そうして能率的なものでありたいというのが私どものねらいであります。しかるにそれを今急拠これだけを引抜いてお出しになつた理由を第一にお伺いしておきたいと思います。
  126. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 御指摘になつた点は、提案の理由書の中にも簡單に申し述べておいたのでございますが、何せ用紙の必要性ということにつきましては、今さら私が申し上げるまでもなく、各新興紙、あるいは各雜誌等の要請が非常に多いのでございます。特に多いばかりでなく非常に増配を要求しておるような新聞紙、雜誌社もあるという次第でございまして、それに対應する措置といたしまして、今日までは何ら立法的な根拠がなかつたので、その立法的根拠がないために委員会事務局にそれぞれ折衝に参られておるのでございますが、実はこの間の有機的な関係もありませんし、かつ納得せしむるようなこともでき得なくておつたのでございますので、この際法的根拠が絶対必要である。かつまたこの根拠の上に基いて用紙の割当の事情を申請者あるいは増配の要求者等に対して具体的に内容をお示しいたしまして了解を得ることにしていくことが必要じやないかという点が一つ。  いま一つは、法的根拠をもつて割当用紙の生産に各方面の援助を願う、いわゆる関係方面の協力を願うということにしなければ、今日の用紙の増配あるいは要求者に対する満足を充していくことはできない、かように考えまして、ここに早急に迫られております関係からこの法案提出した次第でございます。
  127. 冨田照

    冨田委員 今の御説明によりまして、新聞出版用紙割当につきまして、今までありました委員会あるいは事務局の制度に対して、より以上これを法的に根拠を與えて、政府は責任をもつて用紙割当をやつていこうという趣旨はよくわかりますが、一体私たちは新しい憲法によつていわゆる言論出版の自由を與えられたのであります。しかし言論出版の自由というものは、先ほど木村委員長からもいろいろお話がございました通り、私どもはこの用紙の割当、いわゆる紙を通しての思想統制を行われるわけでありまして、非常に紙というものが單なる物としての價値ばからでなく文化的な價値をもちます。たとえば先刻の第十條第二項に対する大臣の答弁のごときは不謹愼極まるものと申しますか、私をして言わしむるならば浅薄極まる御答弁であると言わざるを得ない。なぜならばこの法案をお出しになつた以上はお読みになつておられると思いますが、第二條においてどういうことをいつておるか。第三條に事務廳の所掌事務の範囲を規定し、さらにこの割当方針及び基準をだれがやるかということは前もつてはつきりうたわれております。すなわち第六條において「事務長官は、左に掲げる事項については必ず審議会の議に附し、その議決に從つて、これを決定しなければならない。」その第一にあげられましたものが「新聞出版用紙の割当に関する方針、基準及び手続」であります。これが第一の任務があります。しかもその第一の任務があにはからんや第十條に至つては答えができております。ちようど小学校の生徒の算術の自習書のように初めに問題を出しておいて、あとに答えができております。回答づき虎の巻というような法案がこの法案があります。のみならずここに掲げられたことはりつぱなことであり、そうしてこれは「日本の道徳的及び文化的水準」とある。これには非常に深い意味がある。これをそう簡單に毒にも藥にもならぬと答えるに至つては、ともに文化を語るに足りないものと言わざるを得ない。これは日本という字をつけられた意味はあろう。しかし日本という字をとつたにしても、さらに第三項をごらんになればわかります。「文化的價値、社会的有用性及び読者の需要度」というものの眼目を明らかにしてもらいたい。この文化的價値というものの判断をたれがするかというところに用紙割当の基本がある。これを商品的にお取扱いになつて、そうしていわゆる物の配給というような面からのみお考えになりますならば、私はこの法案を提案した人の頭脳を疑わざるを得ない。全面的にこれを否定せざるを得ない立場になつておるのであります。これはいま少しく一國の國務大臣として——この部屋にはただいま顔は少いが、われわれの先輩は一たび政治に志しましたならば、その一面においては大きな悩みがあり、その悩みを克服して日本の道徳的水準を高める、日本の文化水準を高める、そのためにこそ彼らは血を流し涙を流した。そうしてこの議政壇上に立つに至つたのである。それを毒にも藥にもならぬというようなお言葉をもつての御答弁ならば、この十條はまつたくの死文であります。私はこの点においていま少し確固たる御信念をもつて野溝國務大臣は御答弁あらんことを望むのであります。
  128. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 冨田委員の御指摘は、私の答弁であつたならば速記をごらん願いたい。私は木村委員からるるお話がありましたので、法文のつづりの上においてはいろいろ考えられる点もある。しかし別に私は毒になることはないという答弁はしておりましたが、藥にならぬという答弁はしておりません。さよう御了承願います。でありますから、さような点が速記に明らかになつてつたならば、あなたの御了承はできると思います。
  129. 冨田照

    冨田委員 言葉の上で揚げ足をとつても何ですが、藥にもならぬとおつしやらなかつたことははつきり知つております。それは私が毒にもならぬという言葉がありましたから、対句として藥にもならぬということを言つたのでありまして、そういうことを今あなたと論議しようとするものではありません。もつと深いところに根本的にお尋ねした理由があります。しかしさらにその問題を今ここであなたと討論しましても、私も本会議に行かなければなりませんし、時間がありませんから、いま一つお問い申し上げておきたい。  それは今までの制度において欠陷があり、法的根拠がなかつたために、ここに政府が法的根拠を與えると言われるが、実は紙の問題についてはいろいらな欠陷があつた將來はあるいはこうしたものが起るかも知れませんが、從來においてこの紙の割当配給にあたつて、今表面化されてはおりませんが、官廳に職をもつておる人で疑獄を起しておる人があるように風聞しておりますが、お心あたりはありませんか。
  130. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 ちよつと私承知しておりません。
  131. 冨田照

    冨田委員 この紙の配給割当をめぐりまして非常に大きな一つの疑獄が起らんとしておるという風聞がある。これはやはり紙の不足から起つた問題でありまして、今ここでもつて急にこういう官廳をつくるというのもあるいはこうした社会的な疑獄を起したくない、どこまでも法的な根拠を與えて、そうしてこれを粛正していこうとするねらいからスタートされたように思つてつたのでありますが、そうと違いますか。
  132. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 冨田委員の御指摘になりました具体的な問題はあります。しかし官廳が今具体的に疑獄事件を起したという事実については、私まだ了承しておらないということを答弁申し上げたのでございます。しかし本法案設定の提案の理由といたしまして内容的に分析いたしますならば、ただいま御指摘になりました通りの弊害が各方面にあるのでございます。これを矯正したい、かような考え方もこの中に十分織りこまれて本法案提出したことを御了承願いたいと思います。
  133. 冨田照

    冨田委員 今度この法案がかりに通過したといたしまして、この審議会委員の選挙はいつごろ行われる予定でございますか。
  134. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 先ほど御説明申し上げました通りに、経過規定によりまして現在の委員が大体において審議会委員になるのでございますが、根本的におきましては新しく委員全部を選任するということはありませんで、次の委員の任期がまいりましたときに改選が行われるのでありますが、それは本年の末であります。毎年六月末と十二月末に三分の一ずつ改選が行われることになつております。
  135. 冨田照

    冨田委員 現在委員になつておられる方が選挙されるにあたりまして、今事務当局においては何か風聞をお聞きになつたことはありませんか。
  136. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 適正に選挙が行われたと思つております。
  137. 冨田照

    冨田委員 この用紙割当の問題は、ひとり需要者であるところの出版あるいは新聞の関係者のみならず、これに從事いたしております印刷從業員組合の方面の御意見をお聽き取りになつたことはございませんか。
  138. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 全部を聞いたというわけではありませんが、部分的には意見は聽いております。
  139. 冨田照

    冨田委員 近ごろ出てくる法案はことごとく民主的にという言葉がありますが、今全部ではないが一部お聽きになつたそうであります。私はこうした問題がとにかく今まで幾分の欠点をもちながらここまでまいつておりますが、これを革新してほんとうに民主的なものにいたしますためには、業者の意見をお聽きになるのもいい。しかし今十万の印刷職工のうち、ほんとうに組織労働者として働いておりますのが約二万人、一口に二万人でありますけれども、この二万人の從業員こそ、約九〇%の仕事をしておるわけであります。私はこうした方面人たちの意見もやはり一應は徴すべきである。そうしてまた本國会におきましても文化委員会が数箇月にわたつて委員会を開いてこれを研究しておると私は聞いております、そういう意見も徴しましてこの土壇場にきてこれをまとめていくということでなしに、私は國家將來のためにもほんとうの日本の文化水準を高めていくためにも、これを愼重審議していきたいと思います。その意味で文化委員会との合同議義を願つたのでありますが、政府当局としては文化委員会意向をお聽きになつたことはございませんか。
  140. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 文化委員会の意見は、会としては聽きませんが、個人的に意見を聽いております。本日特に委員外からの文化委員質問なり御意見があるということであります。経過はさようなわけであります。
  141. 冨田照

    冨田委員 私どもはかつて戰爭当時から長い間情報局による一つの思想統制が、紙の配給によつて行われておつたことを記憶しております。こういう意味におきまして今ここで急遽こういう粗漏なものをつくり上げまして、これが日本の思想、日本の文化の発展に万一妨げがあるようなことがあつてはならないために、こうした苦言を呈するのでありますが、政府は一應撤回なさつて、総理廳設置法案をお出しになり、そうして印刷從業員組合の意向も素直に汲み取つてやり、文化委員会意向も聽き、あるいはまたさらに政令としてお出しになるでありましようところの新しい用紙割当審議会令、こういつたものも公聽会くらいは開いて多分に民意を取入れてやるところに、ほんとうに民主的なことができるのではないかと思います。近ごろただ民主的ということ、あるいは能率的というような言葉が言葉として取りやりされておるのであつて、現実の上にこの手段がとられておらないことを遺憾に思つております。私はこの意味においていま一度政府が御反省なさつて、この用紙割当の重大性に鑑み、これをこの次の総理廳設置法案をお出しになるときにその中へ入れてお出しなることを望んでおりますが、もう一度お考え直しはできないものでありましようか。
  142. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 冨田委員に特にお答え申し上げたいと思いますが、今までのように法律にもしないでやみからやみに葬つたような形でいいのか惡いのか。私はむしろその点を御理解願いたいと思うのでございます。現在最高の民主機関としましては、私は國会が最高の民主機関だと思つております。國会が了解に苦しむ納得のできないようなことでせつかくの重要統制物資がそのままのほうずにされておつていいのでしようか。少い物資を統制し國民に公平にこれを配給させようという建前においては、あくまでも法的根拠をおかなくては、私はその監督なり取締りはできないと思います。かような意味において本法案を出したのでありまして、御指摘になりました通り、総理廳に属する行政組織法の基本法が、もちろんそれが可決になつてそれから次にというのが一つの順序ではありましようが、しかし行政組織法が通らぬからこれはその後にしろということは、私理論的根拠においても私は決して背反しておるというふうにはとつておりません。現実の問題として早くこの立法を制定いたしまして、今までの委員会も明朗になり、かつ政府におきましても各方面からの意見を十分取入れまして、そうして委員会と協力して過ちなきを期していきたい。かような意味にほかならないのでございますので、さような点を御了承願つておきたいと思います。
  143. 冨田照

    冨田委員 少い物資を公平に分配するために、責任をもつてやるために、これが必要であるということは初めからわかつております。しかし今あなたから逆に反問されたような意味で、私は責任を明らかにしないでやみからやみに葬るという意味で申し上げておるのではありません。やみからやみに葬つていいか惡いかということは——やみであるか明るみであるかしりませんが、ちやんと用紙割当規程なるものが総理大臣の決裁で今まで行われておるということも、やみといえば一種のやみでありましよう。しかし私が申し上げておることは重大なことでありますがゆえに、國会においてもあまりにもこれを審議する時間が少い。それから文化委員会との連合審査も初めから開かれていない。最も大事な從業員の人々の公聽会も開く機会さえなかつたがゆえに、これが大事であればあるほど、愼重を期する意味で総理廳設置法案をお出しになるときに、その中に入れてお出しになる御意思はないかということをお尋ねいたしておりますので、やみからやみにどうこうということをお尋ね申し上げておるのではないのであります。
  144. 戸叶里子

    戸叶委員 今日たくさんの地方新聞が出ておりますが、何人も政治的、経済的、文化的方面から見て優れた新聞であると認めるようなものはごくわずかではないかと思います。聞くところによりますと一縣に一つしか地方新聞が出ていないところが全國で十二縣ある。そういうふうに一縣に一つしか出ておりませんと、どうしても独善的になつて、ややもすると良心的な内容を扱わないような傾向になるのではないかとわれわれは心配いたします。これに対抗いたしまして良心的なよい新聞を出そうとして申請いたしましても、それが許可されなかつたり、これまでは紙の不足の時代でありましたからしかたがなかつたといたしましても、近ごろのように紙が少し潤沢になつてきて、さいわいにして一週間に一遍くらい四ページのものが許されるようになつてきましたが、そうだといたしますならば、増ページよりもむしろ先に新しい良心的なよい新聞を優先的に、しかも一縣に一つしかないように縣に優先的に許可するように、事務局の方で特別なお計らいをいただきたいと思いますが、そういう御意見があるかどうかお伺いいたします。
  145. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 ただいま戸叶委員の御指摘になりました点は、全面各府縣から所管大臣の私のところに要請にまいつておるのでございます。われわれも最も大事な御意見でありますので、かような意見を委員会へ傳えておるのでございます。委員会においては各方面との関係もありまして、なかなか了解ができないということで、御趣旨に副うことができなくて今日まできているわけでございます。しかし最高民主的機関である國会におきまして、御議員の方々からかような意見が出るならば、その意見を委員会においても忖度すると思います。また委員会において忖度した意見は、関係方面に強力に反映すると思いますので、順次期待に副う途が開けるのではないか、かように存じております。
  146. 戸叶里子

    戸叶委員 もう一点お伺いしたいと思いますが、先ほど野溝國務大臣から、用紙割当委員会を通して用紙の割当をもらつておりながら、遺憾ながらやみ流しがあつたということを伺つたのでありますが、そうした事実を事務局ではよくお調べになつておられるかどうか。そしてまた、それに対してどんな処置をとられたかどうか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  147. 成田勝四郎

    ○成田政府委員 ただいま御質問の、用紙の不正使用の事実があるかどうかは、事務局でも及ばずながら全力を盡して平素から調べておるのでありまして、不正事実の証拠が上りました場合には、ただちの割当の停止、あるいは削減というような処置をとつております。
  148. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 この際委員外の発言を許します。馬場秀夫君。
  149. 馬場秀夫

    ○馬場秀夫君 文化委員会の用紙割当小委員長といたしまして、委員外の発言を許していただきます。  この新聞出版用紙割当事務廳設置法の問題は、文化委員会といたしましては、さきにありました用紙割当委員会を法制化するということが、限られた用紙を適正に配給する上において一番正しいものであるということで、第一回國会よる審議を続けてまいつたのであります。從つて今回内閣から割当事務廳の法案が出まして、それは文化委員会にかかると思つておりましたが、決算委員会審議されることになりまして、すでに審議を終る段階にはいつておるようでありますが、私文化委員会代表して、決算委員会の長い間の熱意ある審議に敬意を表しまして、文化委員会といたしましては、第八條に修正案を入れて、この原案に賛成の意を表するのであります。但し文化委員会の割当小委員会といたしましては、この法案の内容はわれわれといたしまして別に異とするに足りないのであります。ただ問題は運営の問題でありまして、この内容をいかに合理的に活かすかということにかかつておるのであります。  それは第六條の問題でありますが、この第六條は第一号、第二号と二つありますが、第一号に重点をおかれまして、新聞出版用紙の割当に関する方針、基準及び手続とあつて、用紙が限定されて、それが割当制を行わなければならぬ場合におきましては、この第一号が嚴然と確立されなければ、正しい適正な配給ができないと思うのであります。從つて第二号は実はつけたりの問題でありまして、削除してもいいと思うのでありますが、あえて削除しなくてもこのままで結構ですが、第一号に重点をおいて、速やかにこの方針、基準及び手続の点を確立して天下に公表されんことを希望するものであります。  もう一つは、割当審議会の構成でありますが、私特に出版用紙割当審議会の構成について一言希望を申し述べておきたいのであります。御承知のごとくに、今日の割当制は昭和十四年の四月五日発令されました國家総動員法によつてできまして、昭和十八年二月十八日附の出版事業会に基いて、日本出版会及び日本文化協会という團体が構成されて、その團体によつて出版用紙というものが配給割り当てられて今日に來ておるのであります。從つてこの十一人の委員を見ますと、確かに表面は正しいように感ずるのでありますが、委員会の十一人の構成中、その半分を專門家的事業家から選ばれる、あとの五人をあるいは有識者からとる、こういうことになりますと、從來の経驗から見て、業者からの代表の五人を見ただけでも、大体日本出版会の團体の中でかなり有力なる地位を得た人が、この五人を操縱するような、過去の危險をわれわれは認めなければならないのであります。從つてその人の構成をそのまま利用して委員会をつくつていきますと、いかに有能な人がこれに参加いたしましても、いわゆる業者出身の出版專門家の言動、しかもその多数の人を制したる意見には、いかに有識な人といえども、これには何とも言えないような欠陷に陷りやすいのであります。この点に鑑みまして、この審議会委員の選定にあたりましては、十分各方面の納得のいく人を選ばれるような方法に向つて重点をおかれるように要望いたすものであります。  最後に第三條でありますが、この第三條の七号にわたる條項に向つては、満腔の敬意を表するものであります。ただこれまたいかに過去の弊を打破して実行できるか否かに懸念をもつので、はたして現在の事務局人たちが、現在の陣容をもつてこれだけの大役を國民のうなずくようなぐあいにできるかどうか、その点もいたずらに人数を殖やしたくはありませんが、その点の御確信があるかどうかを伺つておきたいと思うのであります。
  150. 野溝勝

    ○野溝國務大臣 第七條の規定については多く御希望のようでありましたので、答弁を省略したいと思います。ただ御趣旨の点につきましては同感でありますので、さような点については第八條において十分檢討していきたいと思います。  それから第三條の七号の点でありますが、今回は行政整理との関係もありまして、一應数は殖やさない、機構は拡充しないということになつております。しかし御指摘になりました通りの、これだけの仕事をやつていくのでありますから、場合によりましては、來るべき國会において十分御檢討を願うことにいたしたい、かように思つております。
  151. 河合義一

    ○河合委員 すでに論議も盡きたと思いますので、この際質疑を打切られたいと思います。
  152. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 河合君の動議を議題といたします。賛成者の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  153. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 起立多数。よつて河合君の動議は成立いたしました。質疑を終了いたします。竹谷君。
  154. 竹谷源太郎

    竹谷委員 この際修正の動議を提出いたします。本法案の第八條第二項の但書といたしまして、「但しこの要求は各地位ごとに二回を超えてこれを行わない。」この但書が第一点であります。第二点は附則の第一項「この法律は、昭和二十三年七月一日から、これを施行する。」こうありますのを「この法律は公布の日からこれを施行する。」以上二点について修正の動議を提出いたします。
  155. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 ただいまより竹谷君の修正案を含めて討論に移ります。討論は通告順によつてこれを許します。冨田委員
  156. 冨田照

    冨田委員 私はこの新聞出版用紙割当事務廳の設置については、その重要性においては十分これを認めます。と同時にこの官廳ができることについても、やはり先刻申し上げた通り、國家行政組織をこの際根本的に整備をして、民主的な能率の上るような、りつぱな官廳にしたい。いわゆる國民のための官廳としてスタートしてもらいたい。こういう考え方から総理府設置法と同時に、その中に含めて御提案を希望してやみません。その意味においてこれを切り離して、今日すぐ御提案になることには、にわかに賛成しがたい。こういう意味で民主自由党はきようこの案を通すことに反対の意を表明いたします。
  157. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 次に早川委員
  158. 早川崇

    ○早川委員 本修正案に賛成の意を表する者でありますが、次の数点に関して條件というよりは、政府の確認を得たものとして賛成したいと思うのであります。  第一点は、田中委員からも質問があつた通り、終戰後のどさくさで非常に不公平な割当がきわめて多いわけであります。この法案が通過し、新たに出発するにあたつては主務大臣並びに事務当局委員会において根本的に新たなる頭脳で問題を処理していただきたいということが第一点であります。  第二点は、先ほど戸叶委員からも質問がありましたが、地方別の独占的な、特に輪轉機があるとか、金力があるというような意味で一縣一紙というのが多々ありますが、こういう点は非常に惡いことでありますから、この点も速やかに改められて、公平な輿論というものを基礎にしてやつていただきたいということが第二点であります。  第三点は、ロンドン・タイムスにしても、アメリカのニユーヨーク・タイムスにしても日本のように部数三百万という新聞はないのであります。戰時中その他の関係政府意向を全國民に知らすという便宜上から、非常に独占的な大新聞が非常に多いわけでありますが、これをあながち非難するわけではありませんけれども、でき得べくんば新聞相互においても從來のやり方では官僚並びに委員会一つの権限で、割当数量が独裁的に決定されておつたわけであります。これを改める方法といたしましては、でき得べくんば、縣廳あたりか、あるいは地方事務所等、官廳を動かしてもいいのでありますが、戸口あたりに希望の新聞の輿論を全國的、綜合的にやつていただきまして、その上で、たとえば朝日新聞がもつと欲しいとか、毎日新聞が欲しいというような数字が出た場合に、その需要に應じてやつていく、朝日は三百万、毎日は三百万というような機械的な考えを捨てられまして、そういう面で自由主義経済におけるような、実力本位によつて部数が増減していくといういい面がひとつ取入れられて、官僚惡統制、政府権力による統制という点を是正していただきたい。これが第三点の希望條件であります。  以上の諸点を附帶的な希望條件といたしまして、この修正案に賛成の意を表する次第であります。
  159. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 次に木村委員
  160. 木村榮

    木村(榮)委員 大体この法律のねらつております目的と内容とに相当の問題があつて、この点では質問の際いろいろ意見を申し上げましたが、特に大事なことは、この法案を見ますと、ただ單に営業者本位にこしらえてあるという点が非常に顯著だと思う。先ほど私が問題にいたしました第七條の問題にしても、ほんとうに憲法に保障された日本國民の一般の自由という見地に立つならば、ただ單に営業者本位でなしに、紙がはなはだ少くて全部が要求するほどはいかないというのは、やむを得ない社会的な現象でございますが、これをほんとうに公平にやるという立場からは、いわゆる労働組合、農民組合などの機関紙、その他にもつと大きな権限を與えて、そうした方面からもこうしたものに発言権をもたせ、公平な割当を要求する権限を與うべきだと思う。そういう点では野溝大臣もきわめて不完全だということを認められた。認められた以上は、これは改組されるのがあたりまえでも、この機会におやりにならぬらしいが、これもやむを得ぬと思います。そこで嚴密に言うならば、少いものを公平にわけるということはしかたのないことであつて、これは現在の食生活にしても、いろいろなものにしても、ほんとうはわけ合つておるわけなのです。これはやむを得ない状態で、特に紙の方面においてもそうしてわけ合うわけですから、公平に行くならば差支えないが、今の機構ではただ営業者本位の紙の割当ということが主体になつてつて、決して國民出版の自由を全面的に認めて、それを援助していくというようなことはなされていない。そういうことがこの法律を見ますと、見受けられるわけです。一應言葉の上ではそういうことがないように書いてございますが、またそういうふうに見受けられるところもあるというような関係で、いろいろ欠陷がある。そこで私は全面的に反対ではありませんが、そうした点がきわめて不十分であるから、その点を修正されるならば賛成いたしますが、そういう修正なくして、ただこの原案のままでやるというならば不賛成、こういう意見をもつております。
  161. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 これにて討論は終局いたしました。採決に移ります。まず竹谷提出の修正案を議題といたします。竹谷提出の修正案に御賛成の方の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  162. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 起立多数。次に竹谷提出の修正案を除く部分の原案に対して採決をいたします。賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  163. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 起立多数。よつて修正案並びに修正を除く部分の原案は可決いたしました。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時十九分散会