運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-07-03 第2回国会 衆議院 決算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月三日(土曜日)     午後二時三十三分開議  出席委員    委員長 松原 一彦君    理事 冨田  照君 理事 竹谷源太郎君    理事 中曽根康弘君       樋貝 詮三君    平井 義一君       松本 一郎君    宮幡  靖君       片島  港君    河合 義一君       高津 正道君    戸叶 里子君       櫻内 義雄君    田中 健吉君       木村  榮君  出席國務大臣         農 林 大 臣 永江 一夫君         逓 信 大 臣 冨吉 榮二君         國 務 大 臣 野溝  勝君  出席政府委員         新聞出版用紙割         当事務局長   成田勝四郎君         農林事務官   山添 利作君         逓信事務官   大野 勝三君  委員外出席者         專門調査員   大久保忠文君         專門調査員   亀卦川 浩君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十一年度第一予備金支出計算書  昭和二十一年度特別会計第一予備金支出計算  書  昭和二十一年度特別会計予備費支出計算書  昭和二十一年度経済安定費支出調書承諾を  求める件)  逓信省設置法案内閣提出)(第九六号)  逓信省設置法の施行に伴う法律整理等に関す  る法律案内閣提出)第九七号)  新聞出版用紙割当事務廳設置法案内閣提出)  (第一三五号)  農業改良局設置法案内閣提出)(第一八三  号)     —————————————
  2. 松原一彦

    松原委員長 これより開会いたします。  昭和二十一年度第一予備金支出計算書及び同特別会計第一予備金支出計算書、同特別会計予備費支出計算書、同年度経済安定費支出穂調書承諾を求める件、以上四件を一括議題といたし、質疑を許します。質疑のある方は御通告を願います。——質疑は終局いたしました。討論通告順によりまして、これを許します。
  3. 中曽根康弘

    中曽根委員 この際、討論を省略してただちに最終的処置に出でられんことを望みます。
  4. 松原一彦

    松原委員長 中曽根君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松原一彦

    松原委員長 各件とも原案賛成の諸君の御起立を望みます。     〔総員起立
  6. 松原一彦

    松原委員長 起立総員。よつて四件はいずれも承諾を與うべきものと議決いたしました。  この際申し上げておきますが、ただいま承諾を與えましたものは、專門技術員が全部精細に調査をいたし、なお会計檢査院承諾を與えたものでございます。昭和二十二年度予備費に関するものが参つておりますが、これはあらためて精細に調査の上で、御審議を願いたいと思います。     —————————————
  7. 松原一彦

    松原委員長 次に、新聞出版用紙割当事務廳設置法案に対する質疑を継続いたします。御質疑のある方はどうぞ通告を願います。木村榮君。
  8. 木村榮

    木村(榮)委員 この問題は、相当いろいろな問題が含まつておりますので、この際、文化委員会用紙割当委員会の小委員会の方の意見、並びに日本出版協会その他日本機関誌協会、そういつた方面の御意見を聽くために、文化委員会の方は合同審査の形でもいいと思いますが、その他の方は公述人のかつこうでもいいから、そうした関係者方々に日をあらためて來ていただきまして、意見を聽きたいと思うのであります。御賛成を得たいと思います。
  9. 松原一彦

    松原委員長 速記を止めて。     〔速記中止
  10. 松原一彦

    松原委員長 速記を始めてください。
  11. 木村榮

    木村(榮)委員 この問題は大事な問題であつて参議院の方の御意見もあることだと思います。たとえばよくうわさに聞くが、内閣の方なんかでも、社会党は政権にありついてからうんと紙をよけいとるようになつた。あるいは共産党は不当に紙をよけい割当ててもらつておるというふうなことをちよいちよい聞くのです。はたしてそういうことがあるならば、これは徹底的に調べなければならぬ。そういうことと、この法案関連性がある問題だと思います。特に日刊新聞なんかの場合には、一日に三百何十万部ぐらいの割当をもつておるものもあるし、その他たくさんあるわけなんですが、一体どういうふうな割当がしてあるかということは一度調べなければわからぬ問題です。従つて、この法律によつて今後争ういつたものがうまく運営されていくことになるだろうが、文化委員会あたりでは、同じ委員会の中に用紙割当の小委員会といつたものが設けられて、昨年の今ごろからいろいろこの問題について檢討しており、私も二、三回出たのですが、われわれの同僚のそういつたものに意見を聽くということは、決して不合理なことでなく、ただ決算委員会にこの法案がまわつてきたから決裁すればいいのだということには私は賛成しかねるのであります。すぐそこに委員もおるわけなんですから、そういう方々意見を聽くことは、この際必要なことじやないか、將來そういうことは割当廳ができまして、今までのような用紙割当やり方が是正されまして、りつぱなことになつてうまく円滑に運営されるというためには、この際最も妥当性のある法案をこしらえることが必要である。どうもやつてみたが、ぐあいが悪いから、またかえなければならぬというような、その場逃れの、早くやりさえすればよいという今までのやり方は、この際改めなければならない。特に最近は組織法がひつこんで、各省設置法案というものが出ない先に、こういつたものがたくさん出ますが、これは組織法関連からいけば、総理府にくつついたもので総理府というものの設置法はまだ出ておらぬと思いますが、なぜこれを先に出さなければならぬか。同時に私は組織法の第三條の委員会というものに、こういつた用紙割当なんかを管掌されるような組織にしたらいいと思つておるのですが、そうでなくて総理府関係で廳として出てきたわけなんです。しかも総理府というものの組織法は、まだ何らわれわれは示されていない。最近は、とにかく各省設置法案がひつこみましたが、その代りに何々局、何々廳というような枝から先に出ておる。これは巧妙なるからめ手戰術であつて、枝ができてしまつて本家をこしらえるときには承認せざるを得ない、何ら文句を言うことができないという一つやり方だと思う。なおこの問題は、われわれとしては慎重に考えてやりたいと思うのです。そこで私が今言つたような、人の意見を聽く、あるいは文化委員会からごく簡單に聽けるからそういうものの意見を聽くということは必要だと思います。
  12. 松原一彦

    松原委員長 この際委員長から局長にお尋ねいたしますが、新聞出版用紙割当事務廳法案に反対する理由という印刷物が日本出版協会から参つております。これによりますと、日本出版協会は、一箇月最低六十万円の費用値つて原案作成のスタツフをもつておる。こういう事実があるのでしようか、こういう点をひとつお答え願いたいと思います。
  13. 成田勝四郎

    成田政府委員 ただいまの制度では、用紙割当委員会割当決定しまするその審議材料原案と申しますのは、事務局とそれから関係業者團体と、この両方でつくるような仕組みになつております。事務局の案が一つ、それに出版物でありますと日本出版協会新聞関係でありますと、日本新聞協会というものが原案をつくつて、これは委員会と、両協会との契約という形になつておりまして、その契約の根源は割当規定にあるのでございますけれでも、その契約に基いてこの両協会原案をつくるのであります。出版協会の方は原案をつくるために多少の人員を擁しており、顧問室のようなものをもつておるのは、確かにその通りであります。費用の点については、私は六十万円月々使つておるかどうかを詳らかにいたしません。
  14. 松原一彦

    松原委員長 委員長は重ねてお尋ねいたしますが、こういうふうな文化委員会と称するものは今度の事業者團体法によりますと、業者そのもの割当に参與することになるのだからこれは許されないことではないかと思うのでありますが、その点について政府は何と考えられますか。
  15. 成田勝四郎

    成田政府委員 事業者團体法が成立いたしますと、あの中に事業者の国体が割当原案をつくつてはいけないという明確な規定があるのでございまして、出版協会及び新聞協会原案作成事務がこれに触れるかどうかということにつきましては、公正取引委員会及び公正取引委員会を通じでG・H・Qの関係部局意見を再三確かめたのであります。確かめたと申しますよりは、むしろ急激にこの両協会の助力を失うことは、ある程度事務に支障を起す憂いがありますので、そういう点からも確かめたのでありますけれども、これはやはり明確に事業者團体法に抵触するという解釈であります。
  16. 松原一彦

    松原委員長 委員長は重ねて伺いますが、今回はこの法令によりまして、原案はすべて事務局のみでやるものと思いますが、さように心得て間違いありませんか。
  17. 成田勝四郎

    成田政府委員 今回の法律ができますと、原案事務局がつくるということになります。この事業者團体法との関係本案とは関係ございませんけれども、事業者團体法を成立いたしますと、この法律だけによりますと、これは事務局所掌事務及び構成等を定めておるのでありますから、事務局原案をつくるということだけを書いてあるのでありまして、出版協会のことについて、本法においては書くわけではございませんから、書いてないというだけのことでございます。しかるに事業者團体法出版協会の方の原案作成権利を止めますれば、その方もできないということになるわけであります。但しこの事務職法案に伴つてつくられます今準備中の審議会令というものには、審議会がその任務遂行上必要な協力部外に求めることができるということが定めてありまして、事業者團体法その他の法令に触れない以上、審議会部外協力を求めることができるようになつております。
  18. 松原一彦

    松原委員長 ほかに御質疑ありませんか。
  19. 木村榮

    木村(榮)委員 さつきの私の意見一つにまとめていただきたい。第一に、「臨時」とこれにはありますが、なぜ臨時に置くわけですか。
  20. 成田勝四郎

    成田政府委員 これは用紙割当を行うということが本質的な業務でありまして、元來ならば、紙が豊富であれば別に割当を行う必要はないのであります。割当を行うという事態自身臨時になるだろうという意味で、臨時官制ということになつておるようであります。これは現在の割当事務局臨時設置制で設けたわけであります。
  21. 木村榮

    木村(榮)委員 臨時に置かなければ、元來が割当事務局というものは置くべき性質のものではないと思います。紙が豊富であれば勝手に買えるわけです。むろんそうなのです。從つて臨時にやられるということであれば、他の文化委員会委員方々意見を聽くことも必要だと思う。そこで先ほど私の提案した問題を御採択願いたい。
  22. 樋貝詮三

    樋貝委員 今までの議論に二色ある。出版割当事務廳の問題と、当面の緊急に各方面意見を聽いたらどうかという話と、二つ同時に起つておるようですが、まず意見を聽くかどうかという方を先にきめねばならぬと思いますが、そうすればこの案はとうていこの議会には間に合わないと思いますが、明日明後日だけでは間に合いかねるというような感じがします。それに対する委員長の御意見を聽いてみたいと思います。  もう一つ、これは事務廳の方の問題ですが、御承知通りにこの案件は初めから割当に関しではいろいろ不正が傳えられたり、あるいは運動が傳えられた。あるいはある方面勢力がこれに介入するというようなことが傳えられておるのであつて、公正がかなり疑われて來たり、少くともそれに対する勢力関係が大分に疑問になつて來たような問題です。この際法制化するについては、法制化しなければならないという理由と、法制化してどういう結果が生れるか、今政府委員の説明を聽いてみますと、この事業者團体法の方に日本出版協会との関係はあるので、この官制自体に問題があるのではないように承つておるが、事業者團体法の方では日本出版協会の方なども、どういうふうなそれに対して働きかけをしておるか。それらのところをもし政府の方で、御承知があれば承つて参考にしたいと思います。
  23. 野溝勝

    野溝國務大臣 お答えいたします、先の本村委員の御意見を交えた御質問と似たところもありますので、併せてお答えしたいと思います。まず樋貝委員の御質疑の第一点は本法案審議を十分にするためには、他の意見を聽くということは大いにしなければならぬ。こういうような御意見があつたようであります。これはもちろんでございまして、文化國家建設の上において最も重要な役割をもも、かつまた重要な役割資材をなしておるところの用紙でございますから、当然各方面世論を徴さなければならないのでございます。要するに世論を徴した結果が、この法案提出事情になつたのでございまして、樋貝委員も御承知だと思いますが、あなたの方の同僚であります植原悦二郎君が所管大臣であつた当時も、ずいぶんこの問題には手を燒かれておつたのでございます。なおその後における林君、笹森君、所管大臣はいずれもこの運営にあたつて心痛をいたしてきた点でございます。その根因はどこにあるかといえば、一体用紙割当というものは、事務局というものに対する規定はあるのでございますが、これを割当決定をするところの委員会につきましては、閣議了解事項に基いておつたというだけでございまして、これだけの重要な物資の取扱に対する何らの法的措置が講じられておらないのでございます。よつて國民生活並びに文化生活の上において必要な資材であります。この割当措置並にその配給事情というものに対しましては、各方面とも非常にやかましくなつてきたのでございます、特に政府におきましては、その筋から用紙割当に対する責任を負わなければならぬということになつておりながら、今日までの事情から見ますると、どの程度までが一体責任が負えるかということになりますと、実にあいまい模糊たるものであります。そこで現実の問題といたしまして、委員会におきましては、この割当決定をしているのでございますが、委員会は決してふまじめというわけではありません、まじめにやつているのではありましようが、何せ必要な資材であるだけに、戰前におきましては二十万ポンド以上あつたのですが、今日におきましては四万九千ポンド、約五万ポンドでございまして、その点からにらみ合わせますと、実に問題にならぬ数量なのでございます。しかるに終戰後民主的な氣運が釀成されてきまして、また中央におきましても地方におきましても、民主化運動が非常に活発になつてきまして、特にその民主化運動の先端をなすべき文化面における資材用紙が非常な重要な問題になつてきました。各方面とも、この割当の内容であるとか、あるいはどういう生産状況になつているとか、あるいは委員会構成がどういう形になつているとか、あるいは新興紙に対してはどういうふうにする、あるいは民主的な機関紙に対してはどういうふうにするのだというようなことが、非常にさけばれてきました。その責任といたしましては、政府が負うべきものではないかということを強く迫られておつたわけでございます。かような点から見て、いかに言つても、かような批判並びに意見に対する明瞭な回答は、法的根拠がありますれば具体的にできるのでございますが、何ら法的根拠がないために、実を申しますと、いつもこれに対する完全なる回答を申し上げることができずに今日まで來た次第でございます。よつて特に各方面意見といいましても、最高意見は、何といいましても、民主的な最高機関でありまするこの國会において法律をつくつて、その線に基いて委員会が活動ずる。なお事務局委員会との唇歯輔車の関係において一体的な事務運営をはかつていくということが、私は最高輿論であり、最高輿論的意見を結集することになる。かように考えておるものでございます。よつて今さらこの用紙割当法を出すというのも、実際は遅いのでございます。少い物資を公平に、かつ明朗に配給するということは、これは國会を通し並びに法律根拠に基いてやるということは、だれしも異議のないことだと思うのであります。もしこれに異議のあるという者があれば、むしろ今日までやつてきた閣議申合せ事項でそのまま進めていつてもいいということになるのでございますから、内容的に悪い点がありますれば、十分御検討願うことにいたしまして、かような法的根拠を設けることは、民主的な委員会、すなわち新たにできる審議会においても非常にやりよいのでありますし、また事務局においても非常にやりよいのでございまして、さような点は御了解を願いたいと思います。  なお第二の点につきまして、公正に措置しなければならぬというお説につきましてはごもつともでございます。樋貝委員の御指摘になりました通り、いろいろなうさわが今日まで傳えられておつたのでございます。そのうわさの中には、うわさだけでなくして、事実横流しをした者もありますし、やみをやつた者もあるのでございます。それらは適当に委員会が善処してまいりましたけれども、しかしそれは善処をしたとはいうものの、法的な根拠がないために、これを国民に徹底せしめることができずしてまいづたのでありますので、今回はかような点については十分戒心いたしまして、國会を通し國会意思をくんでこの割当に対する決定をいたしたい。なお事務的な運営については、事務局委員会と一体となつて善処するという建前になつているのでございます。なおつけ加えておきますが、本法案は、何といいましても、少い用紙割当が問題なのでございます。今後あるいは一年以内に用紙生産が非常に増産されまして、割当方面も増配されるというようなことになりますならば、あえてこの、法案は必要あるまいと思いますので、特に臨時的な機関として設けることにしたのでございます。なお法案の末尾にも明瞭に規定してあります通り、本法案は毎通常國会にこれを提案いたしまして、國会の承認を得るという最も民主的な立法をする。かような民主的立法は今回の法案中随一だと、私は信じている次第でございます。
  24. 樋貝詮三

    樋貝委員 そうすると、この官制をこさえまして割当をしていく方針には、別段お変りないというようなお考えでしようか、その点ひとつ。それからこの法案の中では、先ほど委員長参議院関係お話になりまして、たしかここの事務総長拒否権をもつているという点が問題になるのですが、ある一面においては拒否権も必要であろうし、ある一面においては拒否権官僚專制を生む原因にもなろうと思います。今までの実例としては拒否権を一行使しなければいけないというようなことが何かありましたでしようか。私は商工省にこの委員会がある時代においての弊害というものは、つくづく聞いておりましたが、その後内閣においての弊害は、それほど詳しく聞いておりませんが、拒否権行使をしなければいけないような実例がありましたならば、それを伺いたいと思います。
  25. 野溝勝

    野溝國務大臣 御質疑の点は、先般中曽根委員からも特に強調された点でございます、なお本法案を提出する際に各方面から非難と警告を発せられておつた点でございますので、あらためてお答えをいたしたいと思います。この割当方法については、別に從來と変えるという意思はないのでございます。しかし、從來と変える意思はないのでありますが、國会におきまして相当の希望もあると思います。たとえば割当基準をどうしておるとか、割当の標準をどういうところにおくとか、いろいろな御希望があると思います。なおかつ地方新興紙、各縣における新興紙をどうするとか、一体新たな新聞に対しましてはそれを出すのか出さぬのか。あるいは出版に対しては、特に科学雑誌あるいは文化雑誌等を一体どうするか。あるいは科学雑誌なり文化雑誌なりを認定するのは、一体どういうところに基準をおくのかという御意見も出、かつまた國会側からの希望も出ると思うのでございます。その点を十分斟酌いたしまして、委員会割当方針決定するのでございますが、從來は、実のことを申しますると、委員会だけが案を立ててやつてつたのでございます。これは委員会が民主的の團体でございますから、いいようなものではありますが、何と言いましても、最高民主機関でありまする國会意見を反映せしむるというこの線に沿つてやるならば、なお一層今日の委員会が非常に合法性をもち、なおかつ非常に権威をもち、かつまたそのやることを大胆にできるのではないか、私はかように思います。むしろこの点につきましては、委員会が法人格的な性格をもつことになり、かつまた対社会的責任もつことになりますので、非常に委員会の地位というものが、社会的に確保ざれることになると思うのでございます。  第二の点は、ごもつともの御意見でございまして、私もこの法案立案にあたりまして一番関心を拂い、なおかつ注意をしたのは、ただいま樋貝委員から御指摘のあつた点でございます。特にややともすると、官僚独善、あるいは官僚專制というそしりを免れないので、非常に注意拂つたのでございます。しかし本法案を通じまして、特に政府との有機的関係と言いましようか、関連もつのはこの一項だけでございます。この一項が、特に政府がこの委員会に対して——名称審議会と変るのでございますが、審議会に対して、発言と言いましようか、一つ権利を主張し得る点はこの一点だけでございます。しかし、こう権利がのほうずに使われるという場合におきましては、これは重大なる問題を惹起し、かつまた非常な非民主的なそしりを免れませんので、この点は十分注意いたしまして、特に不適当と認めたるものに対し、正当な理由があつた場合は、審議会の議長に対してその撤回を要求することができる。これは委員候補者の選定の場合でございます。しかし、これが、不適当と認める正当な理由と言いますが、これは非常に抽象的ではないか、こういう御意見でございまして、ただいま御指摘になりました通り参議院におきましても、この点は十分意見がありまして、参議院意見もごもつともだと思いますので、政府といたしましては、考慮し、かつまた御期待に副うべくいたしたい、かように考えておる点でございます。御指摘になりました、この拒否権の発動の問題につきましては以上の通りでございます。ただ、不適当というような点が非常に誤解を起すのでございますが、この点は、立案者解釈といたしましては、紙横流しをやつた者を対象としておるということだけは、一言申し加えておきたいと思います。
  26. 樋貝詮三

    樋貝委員 今の大臣お話で、御趣旨はよくわかりましたが、そういうような前例があつたかどうかを承りたい。またそういうことは政府委員の方で、具体的でなくてもよろしゆうございます。だれの何がしがどういうことをしたということでなくてもよろしゆうございますが、こういうような事例があつたならあつたということを承りたい。それから、この官廳をつくつて方針は今までのところ変えるつもりはないのだということならば、そういうようにひとつお答え願いたいし、またこういう方針でこれからは割当をやつていくつもりだということならば、そのことをお答え願いたい。  それから、事業團体法によれば、紙の業者というものは、たとえば日本出版協会業者であるかないか知らぬが、業者の会と見なければならぬと思うが、それは事業者團体法の禁止にひつかかつて新聞出版用紙割当に参加することはできないというようなことになるかと思いまして、それならば、本案に反対のために言つておることとは、ちよつと理由見当違いのように思いますから、それらの点について御説明願いたいと思います。
  27. 成田勝四郎

    成田政府委員 お答え申し上げます。從來委員長の立てた候補者に、拒否権を発動するに該当するような実例があつたかどうかという点でございますが、この「不適当と認められる正当な理由」ということは、一体内訳を申しますと、この第八條の規定は、政府の最初の案に対しまして、総司令部側の一種の裁定でもつて示された案でありまして、その際に、政府側と総司令部側で、ある程度不適当な理由とは何かということについて、話合つたこともございます。それは大体において、先ほど大臣から申しましたように、候補者に立てられた人が腐敗的な性格の持主である。涜職でありますとか、あるいは紙に関して悪いことをした前歴があるというような、腐敗的経歴の持主であります場合とか、あるいは候補者全部がその立て方が、非常に特殊の團体の利益のみを考慮しておるというような傾向が顕著な場合、あるいは法令に定められておる規定に反した候補者が立てられた場合、そういうようなことなんだということを説明を受けておりまして、政府としても大体そういう方針でこの字句を解釈しておるわけであります。ところで、今までの例でありますけれども、この條文がもし從來ありましたならば今まで委員会が立てた候補者の中で、その人格が非常に腐敗的であるというようなことで、拒否権を発動したであろうというような、顕著な事例はございません。ただ、委員会候補者を立てまして、選挙まで終つてしまつた委員の中に、実は法令規定に副わない候補者が若干あつたことがありまして、これは後になつて司令部側の認可が得られなかつたというような事例があるのであります。たとえますれば、出版界の代表などには、出版界の中の小なるものの代表というような一つのわくがあります。その小なるものというのもやはり数字できまつておるわけですが、委員会の方で立てました候補者が、たまたまそのわくを超えたような候補者を出して、選挙をしてしまつたというような事例もあります。そういうようなことで、選挙が終つてしまつたものが、だめになつたというような例もあるのであります。この場合におきましては、事務廳長官がその撤回を求めるのは、そういう成規に反したような候補者という場合も含むわけであります。またその事実があつたということをお答え申し上げておきます。それから、なおこの方針につきましては、在來ともできるだけ堅実な方針でやつてきたのでありまして、今後もそれに特に変更を加える必要はないと認めたのでありますけれども、委員会なり事務局なりが、この事務廳法の制定によりまして、非常にしつかりした基礎を得るわけでありますから、その業務がさらに一層堅実になるということについては、疑いを容れないと思うのであります。
  28. 河合義一

    ○河合委員 衆議院へ出てまいります多数の請願の中にも、この割当を要求する請願はたくさん見受けるのでありますが、ああいう際に今度の機構によつて、あの請願の希望を果すというような点から考えても、公平にいくのじやないかと思います。今までなら別にそういう弊害もなかつたでしようけれども、なお一層組織を確立いたしまして、ああいう新規に出てきまする希望、それが妥当であるや否やということを檢討する場合、またそれの割当をしてやる場合に、やはり國会の緊密な監督のもとにおかれる組織の方がいいのじやないかと思いますが、それはどうですか。
  29. 野溝勝

    野溝國務大臣 河合委員の御指摘になりましたように、まことに同感でございます。実はこれは國会政府割当をするというわけではないのでございまして、あくまでも委員会が、名称の変りまする審議会が、割当することになるのでございます。しかしただいま河合委員の御指摘になりました通り委員会というものは法的な性格のもとに存立してない委員会でありますると、大体國民的な輿論を背景にする動きということになりませんので、実際上において割当てる場合においては、非常に誤解もあり、弱いと思うのでございます。御指摘になりました通り國会における意見を参照いたしまして、特にその意見を取入れて、その割当に対する措置を講ずるということになれば、委員会の行動そのもの自体が非常にはつきりいたしますし、かつまたやりよいと思います。それと同時にいま一つは、関係方面との関係もありますので、國会側輿論なり意見なりが委員会に反映した場合は、用紙割当の数量もある程度そこに可能な見透しもつくのではないかと思いますし、かつまた割当方針に対しても、國会の背景がありますならば、相当に改革をするという計画が、委員会においても立てられるのじやないか、かように思つています。
  30. 成田勝四郎

    成田政府委員 前会の御審議の際に、中曽根委員から御質問のありましたことにつきまして、調べて御返事を申し上げるということでありましたから申し上げます。それは用紙割当業務について訴訟でも起つた場合に、政府側ではその訴訟の相手方はだれであるかという御質問でありました。前会その場合に当事者は総理大臣であるかのように申し上げましたが、これは私どもの調査の至らないところでございましたから、おわびをもつて訂正いたします。行政廳の違法処分の取消変更を求める訴訟につきましては、これは当該行政府、つまり用紙割当事務廳の長官が責を負うのであります。その場合も法務総裁の指揮監督のもとにこれを行うのであります。それ以外の一切の國の関係の訴訟につきましては、法務総裁が一元的に責に任ずる。こういうことになつておるそうでございますから、御答弁申し上げます。
  31. 高津正道

    ○高津委員 私は野溝國務大臣から新聞出版用紙割当事務廳を設置する理由を伺つて、個人としてはまつたもつともだと、同意するものでありますが、いかにも新しくこういう廳を設ければ、機構が非常に大きくなつたような印象を國民に與えるので、われわれはそれを了としても、國民は役所がどんどん殖えるような却象を受けるであろうと思うのです。それだからこれがもしも通つた場合は——まだ通るでも何でもないですが、通つた場合は、新聞とか雑誌とかに大臣の談話とかで、こういう責任ある官廳ができなければ、法的根拠もつたものがやらなければだめなんだ。しかもこの仕事は重大な仕事であるということを、國民に十分徹底せしめるような考えをもつておられるかどうか。普通以上にこれを徹底させる必要があると考えるのですが、その点において大臣はどう考えられるか、質問いたします。
  32. 野溝勝

    野溝國務大臣 高津委員の御指摘になりました通りもつともでございまして、特に議会におきましては財政逼迫の折、各省にそれぞれの機構ができて拡充しておるではないか。こういう御意見があり、御批判があるのでございます。内閣におきましても種々検討して、さようなことのないように策定の上に立つて法案を出した次第でございます。実はこの法案を出すには行政組織法の出る前から特に私笹森大臣から引継ぎを受ける当初から、閣議の申し合せの了解事項だけに基いてやるということでは、疑義も誤解も起すのであるから、法的根拠をつくつて、明るみでひとつやることにしようじやないかということで、事務局に命じて立案をさしておつたのでございます。たまたまその立案の過程におきまして、行政組織法という基本法が設定せられることになりましたので、その線に基いて総理廳にある事務局は、いかなる行政組織法の機構の部類に属するかという検討の結果、一番下の廳というところにまず所属すべきものである。かようなことになつてはなはだ了解に苦しむような法案でありますけれども、さようにしたのでございます。なお御注意のありました機構の拡充、人員の増加ということは絶対させない。またしないという條件で、現在のままでやつていくということになつております。なお委員諸君の御審議の結果、可決になつた場合におきましては、ただいまの御指摘になつた点は分実行に移していきたいと思います。
  33. 松原一彦

    松原委員長 ちよつとお諮り申します。今日はあとが非常につかえておりますのと、逓信省の設置法案に関する説明を聽いて、特に今日は御懇談を願いたい件がございますので、一應この問題を中止しまして、この際農業改良局設置法案を議題にいたしたいのでございますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。     —————————————
  35. 松原一彦

    松原委員長 それでは農業改良局設置法案を議題といたします。この農業改良局設置法案に対する御審議は、相当に進行はいたしておりますが、なお御質疑の残りの方がございますからお許しします。田中健吉君。
  36. 田中健吉

    ○田中(健)委員 まず第一にお伺いしたい点は、この農業改良局設置法案ですが、農業改良局の設置を急がなければならない理由をひとつ承りたい。
  37. 山添利作

    ○山添政府委員 特にこれを農林省設置法案と切り離してやつていただきたい理由は、まず第一に、地方の農村における技術の普及事業でございますから、これはもうすでに人員を設置することにいたしておるのです。と言いましても、まだ正式の法に基き、また將來法律に基く府縣との協定によつて要求されるがごとき資格等は実施いたしておりませんけれども、農村における技術問題について、農民諸君を援助し、食糧増産の助けになるというためには、これを一日もゆるがせにすることができませんので、本年度におきましては、臨時に食糧増産技術員という名称をもちまして、技術員を設置することにいたしておるのであります。そういたしますると、どうも兵隊ばかり並べてもいけないので、やはり中央においてそれを統轄し、指導するところの、まあ指揮所みたいなものがどうしても必要なのであります。その点から言いますと、早く農業改良局を設置していただく必要がある。  それからもう一つは、試験研究の点であります。試験研究につきましては、各種の試験場等を整理統合いたしまして、一層能率的な研究をいたしたいということで、いろいろその基礎調査から始めて、研究いたしております。この研究そのものが非常に重要なことでございまするので、その案を得ますためにも、また將來の試験、研究の組織機構、項目等の案を練りますためにも、どうしても專門的機関を早く設置していただくという必要があるのでありまして、これらの仕事は実質的には進みつつありまするので、その事務を掌鞅するところの責任部局をつくつていただきたい、こういうわけであります。
  38. 田中健吉

    ○田中(健)委員 本法が実施されるにあたりまして、農林省の職員として、本法関係の職員がどれだけ増加されることになりますか。
  39. 山添利作

    ○山添政府委員 農林省全体といたしましては、定員の増加をいたさないのであります。この局ができますれば、一級官から雇員まで含めまして、さしあたり約百名でございますが、これはいずれも既存の定員からもつてくるというのであります。
  40. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると、今もとの農業会におつた農業技術員と申しましようか、ああいう者を吸收するように記憶しておるのですが、そういうことはないわけですか。
  41. 山添利作

    ○山添政府委員 それは地方におきまする技術指導者、それは六千五百名ございまするのでその方面には今までの農業会等の技術者で優秀な人も來ていただく、こういうことになるのであります。
  42. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その六千五百名というのは、從來の農林省の職員でございますか。
  43. 山添利作

    ○山添政府委員 これは新しく府縣の吏員として設置されるわけでございますが、これは実質的に申しますと、今まで御承知の指導農場等におりました職員、これが約四千名ばかりあると思います。そのほか農業会等の技術員をもつて充てる、こういう計画でございます。
  44. 田中健吉

    ○田中(健)委員 農林省として職員の数は増加されないにしても、地方の縣とか、あるいは市町村において、結局從來農業会におつた者を吸收して、実質的にはこの法案が実施されるにあたつて人数が殖える、こういうことになるのではないのすか。
  45. 山添利作

    ○山添政府委員 その点、地方の技術者につきましては仰せの通りであります。これは從來農業会等におりました技術者の総数は、全國を通じて四万名近くもあつたわけであります。これは蚕糸も含めての話であります。そのうち優秀な者をもつて、これを國の助成するところの府縣の吏員にしよう。実質的に申しますると、全体として農業技術の普及に從事する絶対人員は、まあ減少する。そのうち國としては、農業増産の重要性、また農業技術の普及の重要性に鑑みて、國が助成をする職員は、そういうふうに整備をされる。こういう関係になるわけであります。
  46. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そうすると、山添さんの御説の通りであれば、こうなりますか。農林省としては現在の定員は増加されないけれども、地方において増加し得ることとなる、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  47. 山添利作

    ○山添政府委員 さようであります。
  48. 田中健吉

    ○田中(健)委員 そういたしますると、結局どこかに役人の数が非常に殖えてくる、こういうことになりまするので、近來われわれのところに、毎日のように地方の市町村長から、行政の簡素化、末端機構の廃止、それから人員の整理などということについて、いろいろ陳情が來ます。はがき陳情、電報陳情、あるいは直接に町村から陳情に参ります。そうしてこれらの地方の人々の要望とは、おおよそ反対の結果を招來して、結局地方費が増大する、こういうことになりまするので、これはわが國の中央、地方を通じての官廳あるいは公共團体の機構の改革、あるいは整理にはならないじやないか、こういうふうに考えられまするので、現在の地方廳あるいは地方公共團体、あるいは中央の行政官廳の定員、あるいは予算、こういうものを殖やさないでこれを実現し得るくふうはできなくて、こういうことになつていくのですか。
  49. 山添利作

    ○山添政府委員 田中さんは農村方面のことについてはお詳しいのみならず、絶えず盡力をされておる方でありまするが、元來農業技術員等、これが農業会に所属しましようと、あるいは協同組合でありましようと、あるいは町村駐在でありましようと、とにかく相当程度要るということは、これは間違いないことであります。それなくしで食糧の増産はできません。そのうち相当部分を國が助成して、府縣の吏員として設置をしよう。要る人は要るのでありまして、そのうちの六千五百名を、府縣の吏員という形にして國が助成をする、こういうのでありまして、そこのところは実質をよくお考えくだされば、農村の人の要望するところは、いろいろな行政事務とか統制事務とかいうことについての繁雑なる官廳の職員は減らしてくれ、しかし自分たちに直接役に立つものは、これは殖やしてくれ。從來でも農業技術員に対して、國家助成というものは連年要求されておつたわけであります。これはそれを一歩進めて、國と府縣とで金をもつて、所要の技術員を置こう、こういうのでありますから、その本質において理解をお願いしたいと思うのであります。
  50. 田中健吉

    ○田中(健)委員 山添さんのお話を聽いていると、どこかでそれだけの人間を雇つておるのだ。政府で雇つておいたつて構わないじやないか、地方公共團体で雇つておいたつて構わないじやないか、こういうふうに私どもからすると聽きとれます。これがどうもはなはだ私は氣に合わない点であります。この際私はここで議論しようとは思いませんが、この際地方公共團体政府の職員は減らして、もし必要であるならば、畜産農業協同組合であろうが、普通の農業協同組合であろうが、そういうような組合なり團体が、自主的に技術者を雇つてやればいいので、雇わないで自分たちだけで操作できるところもあるだろうし、また雇わないでなげやりにしておいて、結局損をする組合も生ずる。しかしそれでは自主的な発展はできないと考えているのですが、それでもし必要であるならば、應分の助成なり補助なりをして技術員の助置をして——それを行わなければ行わないでもいいのですけれども、なるべく早く行いたい、こういうふうに考えているのですが、やはり山添さんは何としても政府の定員を殖やすなら、地方公共團体の定員を殖やして、大いに税をかけてやりたいというのであるか、この点は山添さんから將來のためにお伺いいたしておきたい。どこまでもあなたは農業会解体に伴うところの技術者をここに收容しようというお考えのもとにやつておるか、その点をお伺いいたします。
  51. 山添利作

    ○山添政府委員 これは農業会解体後の技術者を收容しようという考えのもとに出発しているものではございません。第一、負担関係から申しましても、現在の農業協同組合では、自発的に一名ないし二名の技術者は大低置くだろうと考えております。從來そうでありませんでしたけれども、必ず置くと思つております。しかしそれのみをもつてこの技術指導の、また農民諸君を援助するということの完璧を期し得ないのでありまして、おそらく農業協同組合におきまする人は、技術指導と同時にいろいろの世話事業等もやらなければならぬのでありまして、國といたしましては、試験研究を整備し、そこの研究を進めますると同時に、その結果をいち早くすべての農民諸君に——これは協同組合の組合員であろうとなかろうと、すべての農民諸君に傳播するような仕組みと組織を必要と考えているのでありまして、その部面に関する限りは、國として拡充をしていきたいという考えであります。
  52. 田中健吉

    ○田中(健)委員 何遍議論しても同じことを繰返しているように思うのですが、どうしても山添さんは役人の資格を與えて、役人指導を行いたい、こういうふうに言つておられるように聞えます。しかし私はこれからはなるべく役人の指導はごめんこうむりたいと思つております。國家はこの農業行政を行う者と、あるいは國家としての試験研究を行う者がおればいいのであつて、その他は一切民間の農業團体にお委かせ願えれば、民間の農業團体は自分の意思によつて技術者を雇つて、そうして農業の改良発達をはかる、こういうことになるだろうと思うのであります。いたずらに役人の数を殖やして、役人の指導を受けるということは、これは昔の官僚國家であるならばいざ知らず、私はそういうことはあまり欲しない。これは私の意見でありまするので、あまり申し上げることもどうかと思いますが、黙つてお話を聽いていると、どこまでもやはり役人の手でやつていきたいというふうに農林当局は考えているように思います。  次に、経済研究所の問題でございまするが、社会的な研究として、農民組合の問題がどういうふうに取上げられているかということをお尋ねいたします。この点は大臣にも伺い、あるいは政務次官は日農の幹部でございますから、この間政務次官がお見えになつてつたときに私お尋ねしようと思つてつたのでありますが、この際山添さんの平素抱懐しておられるところの農民組合のあり方についてお伺いいたしておきたいと思います。殊に農民組合が農村において、どういうような思想傾向をもつことが好ましいことであるかということを、この際お伺いいたしたいのであります。近來反共的な全國農民組合と、それから一方においては容共派、あるいは共産党を含むところの日農組合と、この二つになつております。この問題は農村のあらゆる行政の上に相当な響きをもつておる、そこでいかなる農民組合のあり方が、この農業改良行政の上において最も好結果をもたらすものであるかということについて、参考にいたしたいと思いまするので、この際山添さんの御所見を承りたいと思います。
  53. 山添利作

    ○山添政府委員 最初の問題でございますが、農林省は役人を置きたいという考え方だとの御批評がございましたが、なるほど形の上ではそういうことになるわけでありますけれども、この設置されます普及技術員は農民の信頼の上に立つておる、地方ごとに農業委員会が設けられ、そこで設置すべき技術者を選考する。またその身分等は保障をされておりますけれども、同時に農民委員会意見によつてこれが不適当であるということであれば他に轉任するということになるのでありまして、これは参考資料に書いてございますが、そういうような身分は役人でありますけれども、そのあり方としてはどこまでも非役人的である、そういう考えをもつておるのであります。  それから農民組合の問題について私の所見を求められたのでございますけれども、大体農民組合の活動は、これは実際部面と同時に、かなり政治的な部面が多い、また多くあつてしかるべきであると思います。從つて意見を申すといつても、ひつきようそれは政治上の見解にわたらざるを得ないわけであります。私は一事務官にすぎませんので、お答えをいたしかねるのであります。
  54. 田中健吉

    ○田中(健)委員 あとの御答弁はまことに不満でございます。山添さんは相当の御見解をもつておられるはずである。しかるにそれを隠しておくということは近來の官僚の悪弊でございますから、しいてとは私は申しません。ほんとうははつきりした考えをもつて反共農民組合なら反共農民組合、あるいは共産党でもよろしい、建設的な農村問題であるならばよいではないか、このくらいのことは言つてもらいたかつたのですが、それでは頼りがないのでありまして、まことに不満足であります。  それから第一の御答弁の中において、役人指導ということをおつしやるけれども、今までの経験によりますと、農業会の技術指導員であろうが、その他の指導員であろうが、全部官僚的、役人的な考え方、あるいはそういう態度、指導の精神の上に立つてつた。たとえて申し上げますと、政府から供出の割当がきたということになりますと、農業技術員などは全部技術のことなどはそつちの方に放つたらかしておいて、十二月ころから三月ころまでは政府の命を受けて、あげて農民彈圧にとりかかつて、おそらく農業技術の指導などは一つもやらないで、皆供米の指導である。米を出せ出せ、出さなければ警察にすぐに連絡をとつてやるというのが、これが今までの農業技術員のやつてつた仕事であります。全部事務で、おそらく指導などはやつておらない。ここに農業関係方々がたくさんおられますが、特に國民協同党の松原委員長は農業の方のことには非常に深い経験をもつておられる方ですから、よくおわかりのことと存じますが、とにかく技術員というものはほとんど政府の手先となつてつてつた。そうでなくても農業技術員でさえも役場の一隅にいすをすえて、ひまなときは股火ばちをしながら農民彈圧ばかりやつてつた。そういうわけで今まで役人でないのにそういうことをやつてつたのに、今度は何級かわかりませんが、はつきり役人の肩書きをもつてやるとなると、いよいよもつていけないことになる。そこでこの際そういう農村の指導者を少くとも役人にしてはいかん、こういう意味で私は今まで申し上げておつたのであります。決して技術員の数を減らした方がいいとか、技術指導者は要らないというようなことを私は言つているのではない。政府の職員にしたり地方公共團体の職員にすると、彼らの手先になつて農民を彈圧して遂には農民と対立するような状態になる。今までの農業技術員で農民から恨みを買わない者は珍しい。百人おれば九十九人まで農民から恨みを買うような者が農業技術員じやなかつたかと私は思つております。それは農業技術のことをやらないでほかのことばかりやつている。こういうことでありますので、やはり政府の職員にしてしまうと、米の割当なり麦の割当なりあるいは馬鈴薯の割当のような場合には必ずこき使うことになるのではなかろうかと思いますが、その点はどうでございますか。絶対に供出の割当督励や麦、じやがいもその他のことをやらせないつもりであるか。やはり時期が來ればまた割当会議などに出席させて、そうして部落をまわらせて、どぶろくでも飲ませながらやるつもりでございますか。どうでございますか。その点をはつきりしていただきたい。
  55. 山添利作

    ○山添政府委員 田中さんのお述べになりましたようなことが、今までの技術指導組織の病弊でありまして、それは絶対に今度の制度におきましてはやらないのでございます。その事柄は農業改良助長法の方におきましても、國が交付します経費はただいまお述べになりましたような行政事務に使つてはいけないということが書いてございます。それから府縣に技術員の設置について補助金を交付します條件といたしましても、設置される技術員は供出その他の事務に一切関係してはいけないということが明記してあるのでございます。今お述べになりました点が改めていく項目の中の大きな一つでございます。
  56. 田中健吉

    ○田中(健)委員 書いたものにもそういうことをしてはいけないと書いてあるのでありますから、そういうことのないようにまたそういうことをやらせないことが本法の一つの目的であるというように聽いたのでございますが、そういうわけでございますか。そうするともし農業技術員にしてあるいは経済研究部関係の人間にして、農家をまわつて歩く場合にはそういうことをやらさない。もしそういうことがあつた場合にはどういう処置をとりますか。その職員に対して首でも切りますか。そういう越権行為があつた場合にどういたしますか。
  57. 山添利作

    ○山添政府委員 それは任務の違反であります。從つておそらくそれは大臣が事の軽重に從つて適当な処置をするだろうと思います。
  58. 田中健吉

    ○田中(健)委員 その政府の職員たる技術指導者が好意的にやつた場合には、どうなりますか。好意的に政府に供出の督励などをやつた場合には……。
  59. 山添利作

    ○山添政府委員 好意的にというようなことでやり出せば結局乱れるもとでありますから、関係のないことには絶対関係しない。こういう方針でいきたいと思います。
  60. 田中健吉

    ○田中(健)委員 地方に設置せらるべき指導員には、國庫から補助金でも出すつもりでございますか。
  61. 山添利作

    ○山添政府委員 都道府縣が行います普及事業に対しては、國が三分の二の助成をするわけで、元來農業改良助長法におきましては府縣の用畑の面積それから農家戸数に比例をいたしまして、一定の金を配付する。そうして府縣は國が出しました金額の半分以上を負担しなければならぬ。結局國が三分の二をもつことになります。
  62. 田中健吉

    ○田中(健)委員 農業改良局の設置にあたりまして何らかの出先機関を設けますか。
  63. 山添利作

    ○山添政府委員 そのための出先機関は設けることはいたしません。
  64. 田中健吉

    ○田中(健)委員 試験研究所というようなものも、現在あるものを吸收していくということになるだろうと思いますが、これは出先機関ではありませんので、そういうものを新たに研究所かなんか設ける御計画があるわけですか。たとえば畜産関係、養蚕関係あるいはその他試験研究所というようなもの、あるいは経済科学研究所、農業経営の研究所、そういうものを地方に漸次設置していくという計画をもつておるわけですか。
  65. 山添利作

    ○山添政府委員 試験研究の機関、試験場等につきましては、現在あるものを統合しようという方面でありまして、新しく設けるということは考えておりません。しかし三つあるもので、かりにそのうちの一つが非常にいい施設と適地にある、そこへ新しくつくるということは想像的には考えられますけれども、現実の問題としては考えておりません。  それから経済関係の事項を調査する部、これが地方に現地機関を有することは考えておりません。データ等を集めますのは、御承知のように、統計調査局の下部機構として作物報告事務所等がございます。そういうところに專門の人員を充員してデータ等は集めるという考えをもつておるのでありまして、機関として新しく設けるつもりはないのであります。
  66. 田中健吉

    ○田中(健)委員 それでは本法に関連いたしましてお尋ねいたしたいと思いますが、これは山添さんの所管だろうと思いますが、現在地方に農林省の出先機関がたくさんある。これを整理してくれるようにという市町村長からの陳情が——はがきがこのくらい來ておる。どの代議士でもこのくらい來ておるだろうと思いますが、それを現在整理をする御計画をもつておられるかどうか。木炭とかあるいはいろいろな機関があります。しかも皆独立した建物をもつておる。そういう農林省の出先機関を整理統合するといつたふうな御計画をもつておられるのですか。
  67. 山添利作

    ○山添政府委員 先般閣議できまりましたのは、御承知通りであろうと思いますが、それは二つの事項が決定になつたのでありまして、一つは農政局関係で、たしか六箇所でありましたか、地方に肥料関係の人員を一人ずつ駐在せしめております。これは雇員がおりますから二人でありますが、これはもつぱら肥料工場の増産の世話、あるいは配給状況の査察ということをいたしておるのでありまして、これは地方に非常に喜ばれておる制度でございますけれども、これはそういう形における出先機関として配置することに決定しております。それから木炭事務所の組織を縮小するといいますか、そういう事項が決定になつております。その他の事柄は今後逐次研究をされていくことと考えております。
  68. 田中健吉

    ○田中(健)委員 畜産の関係は農業改良局の事務の範囲にはいるわけでございますが、これは現在農林省には畜産局というものがあると思います。これは畜産の技術指導というものも併せて將來行うつもりであるか。そういうことになりますれば、畜産行政あるいは畜産局の存続の問題にからんでくると思いますので、この点はどういうお考えをもつておられるかお伺いしたい。
  69. 山添利作

    ○山添政府委員 畜産に関する試験研究並びに技術の普及につきましては改良局で取扱うのであります。しかして畜産局との関係は、農業改良局ができましても農政局は存置されまして、これは行政部面を担当する同じ関係になるわけでありまして、おのずから行政事務を扱います部局と改良局とはその機能の間に区別があり、同時に密接な関係があつて協力を要する、こういうわけであります。
  70. 田中健吉

    ○田中(健)委員 畜産政策上まことに重大なる御発言をただいま耳にいたしました。それは漸次畜産局から仕事を取上げて、終いには畜産局をなくする、そして一般的な農業行政の中に包含する、こういうふうに考えられますが、先般は水産廳ができまして、水産局が水産廳に昇格したのですが、地方によつては畜産局も畜産廳くらいにしてもらいたいという要望の声がある。そこまでいかなくても畜産局は廃止してもらわないでほしい、こういう地方の要望があるのであります。私はどちらということに肚はきめておりませんが、こういう要望がある際において山添ざんから畜産局のうちの一部を農業改良局に取上げる、こういう御発言でございましたが、これは終いには畜産局をなくするという御計画のもとにそういうことをやつておられるのであるかどうか伺いたいと思います。
  71. 山添利作

    ○山添政府委員 農業改良局の設置は畜産局を解消することを前提とするのかどうかという御疑問があられたようですが、そのことの事柄を前提とたすのではございません。畜産局の問題は、これはひとり畜産局の問題というのではなくて、農林省全体の機構として次の國会において御檢討に相なるわけであります。この事柄がただちにもつて畜産局の解消というようなことを予定するものではありません。
  72. 田中健吉

    ○田中(健)委員 次の國会に御檢討を願うというところまではわかりますが、そうすると農林省設置法案には畜産局はなくなりますか。
  73. 山添利作

    ○山添政府委員 ちよつと速記を止めて……。
  74. 松原一彦

    松原委員長 速記を止めて。     〔速記中止
  75. 松原一彦

    松原委員長 速記を始めて。
  76. 田中健吉

    ○田中(健)委員 現在農林省において所管しておる研究所は、技術研究所あるいは試験研究所のようなものであつて、農業技術研究機関ではなくして、純然たる工業的試験研究機関と思われるものはない。たとえば蚕糸の試験場、こういうものはそれだけであつて、あとほかにはないのでしようか。
  77. 山添利作

    ○山添政府委員 食糧研究所というようなものは、やはりケミストリーの研究だと思います。それから御承知でしようが山形縣の農村雪積地方調査研究所、あそこでも食糧的な研究というよりも練習ですが、そういうものもあるわけです。
  78. 田中健吉

    ○田中(健)委員 商工省から工業技術所を設けるという法案が本委員会に出ております。私の考えでは各省にそういう技術研究所のようなものを設けるのではなく、内閣直属の元の技術院のようなものを設けたらいいではないかと実は考えておつたのですが、そこで農林省にある技術研究機関あるいは商工省その他の各省にある技術関係を全部統轄して、内閣直属の科学技術省あるいは科学院とも称すべきものを設けた方がいいのではないかと考えておるわけであります。しかるに農業改良局では本省にこういうものを設げたいということが出ておりますので、私はそういうようにした方がいいのではないかと思うのですが、あなたは將來はこれに対してどういうふうにお考えになりますか。やはりどこまでも各省ごとになわ張り一本にもつていかなければならないものであるかどうか、私は総合技術研究所、総合技術所を設けた方がいいと思うのですが、あなたの方はどうですか。商工省商工省、農林省は農林省、運輸省は運輸省とどこまでも皆んな少しずつ小さいものをもちたい、まことに小さな考え方だと思うのですが、やはりそういうものであるかどうか。今日あたり商工省関係の議案もあるのですが、御参考までにお尋ねいたしておきたいと思います。
  79. 山添利作

    ○山添政府委員 総合するということと分化するということとは結局一つの理論あるいは一つの観点からして統一することは行き過ぎになる場合があるのであります。戰時中技術院ができましても、農林省関係の農事試験場等におきましては、これは組織の下部にはいつたわけではございません。もつともその当時の技術院は飛行機の研究というようなことが重大項目でありましたので、自然それに関連する研究分野があつたと思います。これはあまり大きなものができましても結局それは動きが悪いのでありまして、やはり智慧のまわる範囲でないといけないと思うのであります。でありまするから、必ずしも各省の分野に跼蹐するという意味ではなくて、農林省は農業を中心とした一つの明瞭なまとまりがございます。また要求もございます。その要求と関連の範囲において一つにまとまつていくというのが最も能率的であり活発なる活動ができるものと考えます。あまり大きくなり過ぎますと、ただ形の上で網を被せたということだけでありまして、実際のまとまりにならないであろう、こう考えておるのであります。その結果たまたま各省々々というようにおとりになるかもしれませんが、実際論としてそういうことになると思うのであります。
  80. 田中健吉

    ○田中(健)委員 本法の実施は農林省の現在やつておられる一割増産運動とどんな関係がありますか。この法律を施行しますと、飛躍的に一割増産が二割ぐらいになるお見込みでありましようか。その点を伺いたいと思います。
  81. 山添利作

    ○山添政府委員 一割増産と申しますのは本年つのスローガンでありまするが、食糧増産といたしましては本年に限つたことではございません。継続的に最大の努力をしていかなければならぬ。その上におきましてこの施設の設置は非常に効能をもつものと考えております。試験研究ということで新しいものが研究される事柄は、何といいましても数年を要することだと思いまするが、現に知られております有益なる農業知識を実際農村の方に浸透していくというために、地方における技術指導ないし技術の援助をいたしまするこの組織組織的に活用いたしますことは、非常に大きな効果をもたらし得るという考えをもつておるのであります。
  82. 田中健吉

    ○田中(健)委員 本法の実施にあたり、地方支部における職員の任免にあたつて、資格基準といううものがあるわけでございますか。もう一言附け加えますが、反動的な人間、軍國主義的な人間、特に公職に適しないという判定を下されておる者はもちろんのこと、そこまではいかないけれども、ちり紙一枚の差ぐらいな反動的な人間、そういう人間が、えてして地方農業会なり何なりに巣くつておる。そういう者を嚴格に判断して採用するおつもりでございますか、この点をお伺いいたします。  それから文化運動、農村における文化の向上、こういつたものはやはり経済研究部とか普及部とかいう方面で、この目的を達成するつもりであるかどうか。農村における演劇あるいはいろいろな文化運動、郷土文化、そういつたものの発達ということは、どういう方面でやられるか。この農業改良局でそういう問題も取上げていてのかどうか、その点も併せてお伺いしたいと思います。
  83. 山添利作

    ○山添政府委員 技術普及の事務に從事しまする人は、実質的には農民代表からなる委員会によつて選考せられるのであります。その委員会は農家百戸ないし三百戸について一人の代表を出す。もつともこれは選挙によるのではなくて、市町村の議会が選考する。そういうふうにして選考されました委員が、ある地区、すなわち五箇町村なり十箇町村の地区で委員会構成する。この委員会におきまして、その地区に配属ざれるところの農業技術者を選考いたすのであります。それに基いて知事が任命をする、公の手続をとる。それから府縣廳におりまするところの高級な——高級と申しますか、技術普及事業に関する幹部でありますが、これらの人たちは、地方の農業委員会の中から互選をされて出てまいりました府縣の農業委員会において選考されるのであります。身分は府縣の吏員でありまするから、府縣知事が任命をするのでありまするけれども、一定の学歴でありまするとか、経験でありますとか、資格をもち、また一定の試験を受けた人の中から、ただいま申しますような農民の委員が選考する。そこで今お述べになりましたようないろいろ欠陥のある人は、委員会において排除をされるであろうと思います。しかし農林省といたしまして別にこれは、適当な人を選ぶのに、あまりそうやかましいことをいうわけではない、といいまするのは、今仰せになりましたような事柄は、なかなか基準として示すことはできない。これはもつぱらその人の経歴と人柄の判断によるのでありまして、今の農民代表からなるところの委員会において、その辺は間違いなく選考いたすことと考えております。  それから文化運動の点でございまするが、今度の技術普及事業の特徴の一つは、農業技術ないしは農業経営ということのほかに、農村生活について重要な問題を取上げていく。栄養の改善というようなこと、あるいは衛生、保健の方面のこと、あるいは住居、もつと窓を開けろというか、光を入れろというか、そういうふうな事柄を取上げていきたいと思います。また農業の経営者だけを対象にするのではなく、農家の主婦、青少年等に対しても働きかけをいたしたいと考えております。文化の問題は、おそらく青少年のクラブというようなものをつぐりますれば、そのクラブとして自発的に、そういう読書でありますとか、あるいはピクニツクであるとか、あるいは今の娯樂、あるいは文化といういろいろな自主的な活動をいたすでありましようが、それらに対して助言をし指導するということも考えておるのであります。しかしいわゆる文化運動にそれほど力を入れるという考えではございません。と申しますのは、これはおのずから指導する人の能力にもよるわけでありまして、それらの廣汎な事柄について完全な指導がなし得るとも思つておりません。しかしなし得る範囲において廣い意味における農村文化の向上に裨益いたしたいと考えております。
  84. 田中健吉

    ○田中(健)委員 最後に二点ばかりお伺いしたいと思います。本法の施行に伴いまして國の予算は現在どれだけを見積つておられるか。それから本法が施行されますといろいろと中央、地方を通じての農業改良活動が行われ、そこで地方においても公共團体あるいは民間團体、農業團体を問わず、農業改良費とうものが必要だと思います。どころが現在は、御承知通り、非常に資金が窮迫しでおります。この場合において、職員の設置費は三分の一補助するという先ほどお話がありましたけれども、そういう農業改良事業資金といつたようなものは今考慮に入れつつあるのか。全然そんなものは考えないで、ただこういう機関だけ設ければ何とかなるだろうというのでやつておられるのか。あるいはまた何か農業上の金庫でも設けて、そこから改良事業資金を貸し出して活発なるところの運動を展開するという御準備をもつてつておられるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  85. 山添利作

    ○山添政府委員 農業改良局の設置に要しまする経費は、本年度さしあたりは先ほど申しますように、人を殖やさないで、実質的にいは事務費あるいは啓蒙宣傳費等でございますがこれは千五百万円程度でございまして、ただいま大蔵省と折衝いたしております。それから地方における技術員並びにその技術員の活動費につきましては五億円計上してございます。もとより將來におきましては、新しい試験、研究の費用でありますとか、あるいは人員をさらに充実する必要を認めておりますので殖えると思いますが、本年度はそういうことになつております。それから技術普及の仕事にいたじましても、その仕事を具体的に実地に圃場において具現していくためには、いろいろ共同施設の設置等を要しますることは当然でありまして、それらについて資金を供給することは別途考えております。農林漁業復興金庫を設置するということでいろいろやつておりましたが、金庫を設置するという形においては、これはできませんでした。何らか別り形におきまして問題を解決いたしたいというので、せつかく政府の各関連しております方面、すなわち安定本部、それから大藏省の責任者と協力いたしまして、問題の解決への推進をはかつでおるような次第であります。何らかの形で農業技術改良に関する資金の円滑なる供給を將來においてはかりたいというつもりであります。
  86. 田中健吉

    ○田中(健)委員 山添さんは將來と言つたけれども、この法律がかりに通ればあなたの言う將來はいつのことかわからないが、必ず資金は必要ですよ。予算上の措置を伴うほかに、民間團体が活発に動くにはかなり資金が必要です。よくこういうものはつくるけれども、たとえば経済研究の結果、住宅改善あるいは台所の改善を行う、あるいはその他農村の施設の改良をやるといつたときに、資金が必要になる。うまいことを言うけれども、どうも金の出るところがなかづたといつたような話では、これはさつぱり何にもならぬのでありまして、あなたは將來とおつしやつたけれども、現在折衝しつつあるところの農林中央金庫か何か一應失敗に終つたのでしよう。そこで政府が直接に資金貸出をする。それは成功のめやすがあるのかどうか伺いたい。それが失敗したら何でやるか、復興金融金庫でやるのか、あるいは地方銀行を活用いたしまして大藏省と折衝して、いくらかまわして貸出をするのか、こういつたような具体的な計画をおもちかどうか。法律を出して一應仕事をざせるのはいいけれども、さて資金が行き詰つてしまつた。そういう機関に依存することなく、農民みすからが、いくらがでも出資してやらなければならぬことではあるけれども、農民はもちろん自主的にそういうことはやるでしよう。しかしながら政府といたしましても、これだけの法律を自信をもつて出すからには、そこに相当の具体的な対策をもつておらなければならないはずでありまして、目下研究中、將來などということでは、とてもこの法律は通すことはできません。いつごろから華華しくこの方面の金融機関が発足して活発に資金を融資してやられるつもりであるか、そうなればまことに頼もしい話ではあるけれども、將來というようなことでは話にならない。その点はいかがでございましようか。やはりそういうようなあいまいなことでございますか。
  87. 山添利作

    ○山添政府委員 將來と申しましたのは、現在に引続いての將來という意味でございまして、何らかその間に相当の期間をおいての將來という意味ではございません。この問題は目下関係方面といろいろ相談をされておる段階にございまして、どういうふうにきまつたと申し上げるわけにはまいりませんけれども、ともかく農村に対して近々所要の資金は融通するという方面において進められつつあるということで御了解を願いたいと思います。
  88. 田中健吉

    ○田中(健)委員 質問はこれでやめても、答弁としてはとつても満足できない。
  89. 松原一彦

    松原委員長 ちよつとお諮りいたします。実は四時からこの部屋をほかで使うことになつておりまして、この農業改良局設置法案に対する御質疑戸叶さんと、富田さんがまた少し残つておるのですが、この際木村君からももう一点だけということでありますが、どうぞなるべく時間を短かくして要領よくお願いしたいと思います。
  90. 木村榮

    木村(榮)委員 きわめて簡單に申し上げます。この際農業改良局設置の問題は相当日本の農業の將來にとつては重大な問題だと思いますのに、農林大臣はこの重大な將來の日本農業の発展改良といつたような法案をわれわれが審議いたしておりますのに、たつた一回もお顔をお出しになつておらないが、はなはだ遺憾である。ぜひ農林大臣に出席していただいて、本問題の最も焦点になる二点を承つておきたい。この農業改良局が將來発展し、この目的に副うように発展ざせていくために次の二点が特に大事だと思います。その二点を申し上げますと、この農業改良局の主眼点は官僚を主体とするところの農業改革か、あるいは農民の自主性に基くところの農業改良を主体とするのかということ、これが二つの基本的な問題だと思う。そこでこの二つの基本的な点に関して農林大臣はこの際日本の農業改良の將來に対していかなる御見解をもつておいでになるか承りたい。
  91. 松原一彦

    松原委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  92. 松原一彦

    松原委員長 速記を始めて。会議を進めます。木村君の御質疑に対し農林大臣から御答弁を願います。
  93. 永江一夫

    ○永江國務大臣 直接木村君の御質問に対して私はその場におらなかつたものでありますから、答弁が妥当でない場合は重ねてお尋ねを願いたいと思います。  大体この農業改良局設置の目的といたしておりますところは、今日の新しい日本の発足にあたりまして、農村民主化という線に沿うてやはり日本の農業改良とうことを考えておるわけであります。従つてかような機関を整備いたしましても、その目的とすると、ろはやはり勤労農民諸君の自主性に基く農業改良でありまして、ただ官僚のためにこういう機関を新たに置くとやう考えではないのであります。
  94. 木村榮

    木村(榮)委員 大体二つの点をお尋ねした。結局官僚を主体とする農業改良でなく、農民の自主性に基くところの農業改良をするのだという御答弁だつたと思います。結構なことで賛成でございますが、待つてそういう観点に立つといたしますと、この農業改良局設置の法案自体がただ單に官僚の所掌事務の範囲内といつたぶうなことを主として明文化しておつて、そうした御趣旨に副うような積極性のある法案でない点がきわめて明瞭だと思う。將來そうした自主的な農業改良という方向に向うように、全面的には困難でありましようが、そういう目的を書くとか、附帶決議を附すとかいう方法を私はやりたいと思うのですが、そういう考えはございますか。
  95. 永江一夫

    ○永江國務大臣 今お尋ねの点でなお私に明確でない点があるのでありますが、今の御趣旨は本法に適当な修正を加えたい、その趣旨はやはり農業改良の点について農民の自主性を尊重するような面を法的にも明らかにすべきであるという御意見たと思います。私どもといたしましては、この改良局設置法案を提案いたしまして当委員会に御審議を願います際におきましても、今お尋ねのような点は十分考慮いたしまして本案を提案した次第でございます。本案の條文におきまして今お尋ねのような点は十分に盛られておると考えております。できるだけ本法案において御審議決定を願いたいと思います。
  96. 木村榮

    木村(榮)委員 農林大臣にはなかなかめつたに御面会ができませんので、さいわい今日はいい機会でありますから、この問題とは相当離れた問題でございますが、承つておきたい点があります。一番最初は米價の問題でございますが、二十二年度産米の決定はその後何ら農林省の方では御発表にならない。依然として千七百円のままで將來もいかれるとお考えになつておるが、あるいは御研究になつておるか。聞くどころによると、農林大臣は農林委員会がどこかで、米價の問題はしようがないがら、麦の價格において何とかカバーしようというようなことを御発言なさつたと承つておりますが、そういうことがほんとうにあつたかどうか。この二点を簡單に承つておきたいと思います。
  97. 永江一夫

    ○永江國務大臣 米價につきましては、おそらくこれは生産者價格のことをお尋ねだと思いますが、米價につきましては、本年におきましてもやはりパリテイ方式によりまして、本年の米の收穫期前に新しい米價を決定いたしたいと思つておるわけであります。おそらくお尋ねの中にその意味が含まれておると思いますが、私からそれに蛇足を加えてお答えをいたしておきますならば、昨年度の米價と本年決定さるべき價格との間の差額を生産農民諸君にいかなる方法において還元するかということについて、今政府関係方面といろいろ折衝しておるのでありまして、私どもはおそらくここ両三日中に、本会議が終りまするまでに、これを具体的なものといたしまして一應御報告をいたしたい、こう考えておるわけであります。なお米價がきまらないから麦で何とかしようというようなお話をした覚えはないのでありまして、麦の新しい價格も、馬鈴薯の新しい價格も実は七月一日に発表をするつもりでそれぞれ準備をしたのでありますが、この新しい麦の生産者價格決定につきまして、関係方面とまだ了解点に達しておりませんので、しばらくこれは延期しておるのでありますが、その一つには、國会におきまして最後的に物價改訂が衆議院及び参議院における決定によつてきまりました後に、パリテイの基礎がきまつてくるわけでありますから、そういうことも勘案して新しい麦の値段がきまるわけであります。その麦の値段で米の値段をカバーするというような考えではなしに、麦は麦、じやが芋はじやが芋、米は米で新しい價格をパリテイ方式によつて決定する、こういうつもりでおります。
  98. 木村榮

    木村(榮)委員 農業改良局にいたしましても、ただ單に技術指導云々と言いましても、農村の経済的な確立がなくしては実際問題としては不可能であります。そこでこの農業改良局にいたしましても、そういつたふうな農家の各戸の経済、農村経済の問題と不可分の関係にあることは申すまでもないことであつて、米價の決定といつたふうなことについても大きな問題があるわけでありますが、特にこの際申し上げたい点は、麦や馬鈴薯の價格の決定がないために、東京附近でもそうでございますが、各地の情報を聞きますと、相当たくさんの量がやみの方へ流れておるというのは、いくらに買つてくれるかわからない、税金はたくさん拂つて、金はない、早く賣つておけというようなことで、幾分そういつた面から農民のふところ経済も涸渇しております関係上、相当出ておる。これでは日本の現在の食糧危機の中において、政府が予定しておりますような麦で何百万石の割当、馬鈴薯で何百万石の割当、この前片柳長官から承つておりますが、そういつた計画も、言つた口の下から崩れていく、という危險性がある。これは今の麦の買上價格の決定のないことも一つの原因であります。こういつたことをおやりにならないで農業改良局をこしらえたといつても、実際問題として農業改良どころじやなくして、農家の経済はだんだんと脱落していきましてやつていけなくなるということは当然なことであるから、そういつた観点から、ただ局さえこしらえれば農業改良がどんどんうまくやれるといつたような安易な考えでは決してこの問題は発展しない。そこで御多忙のところまことに恐縮でありますが農林大臣の御出席を願つて、そういう観点も含めての日本の農業の発達改良ということについての御意見を承つたわけでありまして、ほかのお方からも御質問がありますから、私はこれで止めます。
  99. 松原一彦

    松原委員長 戸叶さん。
  100. 戸叶里子

    戸叶委員 私は婦人の立場から一言お伺いしたいと思います。提案理由一つとして、農民生活の改善をはかるためとありますけれども、生活の改善をはかるためには、どうしても婦人の力にまつところが非常に多いと思います。それでありますのに、実際問題といたしまして今日では農村の婦人というものは最も氣の毒な状態におかれていると思うのであります。朝から晩までほとんど牛馬のようにこき使われているのが農村婦人の今日の姿であります。これでは農村の生活の改善といつても夢でしかあり得ないと私は考えるのであります。生活の改善と言うことを考えるのでありましたならば、まず第一に婦人の教育指導ということが大切であると思うのでありますが、この法案のどこにそういつた具体的な方法について書いてあるかということをちよつとお伺いいたしたいと思います。
  101. 山添利作

    ○山添政府委員 この法案には、研究の点は別といたしまして、第三章の農業に関する普及事業の助長というところの第十四條、すなわち專門指導者を設置いたしまして、その活動によつて啓発並びに技術等の援助をいたしていく。その活動の分野は先ほども申し上げましたが、栄養指導でありますとか、保健衛生というようなことにも及んでいくのでありまして、それらの事柄を担当する人は婦人の指導者が当られるという場合も相当あろうと考えております。この法案は農民生活の改善のすべての分野をカバーーするわけではないのでありますが、そういう指導者を設置し、その活動によつで改善をはかつていきたい、そういう部面において農村生活の改善をはかつていきたい、それには婦人も働きかけていきます対象になり、また婦人の專門指導者も設置をされる、こういうわけであります。
  102. 戸叶里子

    戸叶委員 婦人に時間を與えるという意味から、機械化どがあるいは電化ということが必要だと思いますが、ながなが日本の今日の状態では急速にそういうことはできないと思いますが、ごく簡單な機械というようなものを取入れられる意思があるかどうかということをお伺いしたいと思います。田植時に非常に農村の婦人が目を悪くする人たちが多いのです。それは草をとるために目を悪くするそうですが、簡單な除草機というようなものを使うと非常に労力が省けると聞いておりますが、そういうものを積極的に取入れられて指導されていくような意思があるかどうかお伺いいたします。
  103. 山添利作

    ○山添政府委員 農業機械につきましては、高度な機械から簡單なものまであるわけでありますが、それらの点につきまして、やや進んだ機械化につきましては委員会を設けていろいろ研究をいたしております。それからただいまお述べになりましたような程度の事柄につきましては、こういう組織を通じましてその普及をはかつていく。またそういう農具等の増産についても、能う限り資材を確保いだしまして増産をはかつていきたいと考えております。
  104. 戸叶里子

    戸叶委員 それから私はもう一つ衛生方面でお伺いしたいと思います。農村ではどうしても人糞肥料をたくさん扱つておりますから、寄生虫にかかつている人が非常に多いのではないかと思います。私の家へ來ておりました女の人に聽いたのでありますが、ある人が蛔虫にかかつて、それを腸の癌と間違えられて手術しましたところが、たくさんの蛔虫がいた。また農村における人たちはほとんど多くの人が蛔虫にかかつているということを聞いておりますが、そういうような衛生指導の面についてどんなふうな方法を考えていらつしやるかということもお伺いしたいと思います。
  105. 山添利作

    ○山添政府委員 衛生につきましても、いろいろな問題があると思います。それらの点につきましてもできる限り力を入れたいと考えておりますが、蛔虫の点につきましては、これは私の聞いた話では、便所の改良をすれば防げる、しがしそれにはセメントその他が要るので、急に多くやるということは現状ではできません。しかしだんだんセメント等も増産されるようなことになりますれば、便所とか台所の改善とかいうようなことは、まつ先に取入れるべき、また着手すべきことではないかと考えております。
  106. 戸叶里子

    戸叶委員 農村の生活改善のために、どうぞこの改良について特別に力を入れていただきたいということを要望いたしまして私の質問を打切ります。
  107. 冨田照

    ○冨田委員 農林大臣がお見えになりましたから、重ねてお伺いしたいと思います。それは私ども決算委員会といたしまして、國家行政機構の全体にわたる問題を審議いたしたわけでありますが、農林省設置法なるものがすでに立案されて、一應は提出されたのではないかと思いますが、いろいろな事情で一應撤回になつておる、こういう形を各省どもとつているわけでありまして、今ここに農林省の一部であります農業改良局設置法案が出た。私どもは前から申し上げておりますように、現在の日本の現状からいたしまして、農業改良の必要であること、そしてまた日本の農民の教育状態、あるいは農民生活の現状、こういう状態を現実の上に立つて考えてみますと、やはり農業改良局というような一つの指導機関が必要であり、農林行政の立場からいつても、こういう機関を必要とされるであろうということは十二分に理解しております。ただ大臣にお尋ねいたしたいと思いますことは、この局だけを切り離してここに御提案になつた、そこに私のお尋ねする要点があるのでありまして、農林省設置法の中に占める農業改良局の位置がどういうどころにおかれておるかということを知りたいのです。聞くところによりますと、農林委員会の方におきまして、かつては畜産局廃止の問題があつたように聞いておりますが、これを考えますと、今度新しく農林省設置法をお出しになる時分に、現在あります農林省の農政局以下全部の局にわたつて、あるいは課にわたつて、どのような整理統合を行われる御意思であるか、その全貌を、ごく荒筋だけで結構でありますが、お聽かせ願いたいと思います。
  108. 永江一夫

    ○永江國務大臣 実は農林省の全面的な機構の改組につきまして用意をいたしておりまして、御審議を願うつもりでありましたが、御了承になつておりますような事情によりまして、本年末までこの改組は延期いたしました。その中で大体今政府が考えております基本的な方針としては、行政整理の面から申しましても、ただ役所を殖やすとか、役人を殖やすということを抑制し、併せて予算的にも人件費のいたずらなる増大を防ぐ、むしろ人件費の節約というようなことを考えでおるのであります。從いまして先般御審議願いました水産廳につきましても、これは水産局が廳として外局に昇格をしたわけでありますが、人件費予算等は從來の水産局の予算を超えざることという了解のもとに、水産廳に昇格をせしめたのであります。從いまして農林省全体の機構の中において、私どもが今まで考えておりましたものをごく概略的に申し上げますと、ただいまあります農政局の中の一部のものと畜産局とを加えまして、そうして農産局というものをつくるのであります。二つの局が大体一つになるという形でありますが、そうしてその農産局の中に、農産部と畜産部とを置く、ただいまあります食品局はこれを廃止いたしまして、食糧管理局に統合する。大体そういうふうで「畜産局と食品局を廃止するということが原則になつておるのであります。多少その間におきまして、二つの局の廃止に伴いまして、その局の中にあります若干の課は他の課に整理統合しております。大体そういう構想でありまして、その一環として農業改良局が立案されておりますが、これはすでに事務当局から御説明申し上げたと思いますが、農業改良局につきましては、農業改良総局として、関係方面におきましてはかような仕事は非常に重要視しておられますものですから、これをやはり外局として、総局として扱い、そうして農業改良総局の中に局を三つ置け、こういうことでありました。從つてさような厖大なものを、先ほど申しました前提のもとにおいて、政府が設置するということは、非常に困難でありますので、関係方面ともいろいろ折衝いだしまた結果、農業改良総局として外局的に扱うものを、総の字をとりまして、農業改良局といたしまして、その総局の中に三つの局を置くというのも、これを圧縮いたしまして、技術研究部、経済研究部、普及部の三つに縮小をいたしまして、そうして改良局は農林省の内局として、他の局と同じ扱いにして、全体の機構改組として用意をしておつたのであります。本年末までその改組案が一應保留になつたのでありますが、この農業改良局のもつております使命は、新しい角度から、日本の非常に低位にあります農業技術、農業生産に関する一切の科学的なこと、計画的なことについての指導研究を行うという面を一日も早く開く必要があると思いまして、農林省の原案は本年末まで延びるのでありますが、農業改良局のみはどうしてもこの際発足をしていく、こういう考えでやつております。これを御審議願いましても、農林省全体の予算といたしましては、局が一つ殖えるのでありますが、予算は殖やざない趣旨で行く、ころいうわけであります。
  109. 冨田照

    ○冨田委員 ただいまの御説明によりまして、新しい農林省設置法案の内容が幾分か明らかになりまして、まことにその点大臣の説明に感謝いたします。そのように卒直に話してくだされば、われわれもまた農林省設置法がどんな姿で出てくるであろうということもわかりますし、またそれに向つてわれわれ自分たちの立場において今後の研究調査ということも進められるわけでありますから、話が非常によくわかつてまいりましたが、できるならばそうした新農林大臣の構想のもとに、この農業改良局を提案してほしかつたというのが私の希望であります。しかし農業改良局だけが、今関係筋から云々どいうお言葉がありましたが、その点はもう一度大臣の心境をお伺いしておかなければならぬことがあります。日本の農業は幼稚ではありましよう。しかし農商務省以來、きようこのごろできた役所ではありません。今敗けたとはいえ、その筋からこれを総局として、外局においてこういうものをつくれと言われた、それだからというようなことは、いかにも熱意がなさ過ぎる、受身の立場にあり過ぎる。きのうからも申し上げておるのでありますけれども、あるいはある人は、お前は百姓を知つておるかと言われますが、私は個人のことば言いたくはない。自分の左の人さし指はだてに切つておる指ではない。自分は土の子である確信をもつておるのでありますが、この農業改良局をおつくりになるにあたつて、なぜ自発的にあなたの独創でこれをやつてごらんにならなかつたのか、ほんとうに社会党代議士として多年農民運動に御関係のある、相当尊敬されるべき経歴をもつたあなたがなぜ他からの慫慂によつてお考えになつたか、ぽんとうの土の子の心が農林省を生み出すものでほしかつたということを申し上げたい。  それといま一つは、予算は殖えない、それがいけないのです。予算はしまいの方の参考資料にあります本局をつくるに千五百万円、それから試験場補助費等合わせて五億円、そのほかに四千九百万円、これが今あなた方のお出しになつた参考資料の中にあげられた金額です。その金額がきのうからの山添政府委員の御説明によりますと、今五億円と言われておるが、來年になれば十億円になる予定だと言つております。その金が殖えることはわかり切つておる。あなたを等人のりつぱな大臣として尊敬しておりますのに、またそこへとりこになつてミイラとりがミイラになるような感情的な氣持になつて、ここにいま一つの農業改良局の頭を出しておいて、來年十億になると言う。それをたれが負担するか、日本銀行の札の裏づけをする金はないのです。あの百姓の汗が、米の一粒が、麦の一粒が、薪の一本がお札の裏づけをして今の日本のお札に値打があるのです。これを考えてみたら、私はこういう官僚機構に対しまして当り前のことを申し上げますが、ぜひ必要な予算が殖えてもいい。それだけのものを生み出そうという熱意を國民全体がもてばいい。片山さんの言葉を借りなくてもわれわれは耐乏生活をいたします。そこで今日木村委員から大臣の御出席を要望したのも、あなたの顔を見たいのではない。農林省自身がそれだけの熱意をもつて農業改良局をつくるから、日本の農業が必ず改良ざれるというそこに國民の信頼をつなごうという木村君の眞意だとお察しする。そういう氣持でお互いが一体となつていけば省をつくり、局を殖やすことも案外たやすいのではないかと私は考える。  そこで農業改良局設置の理由、趣旨はよくわかりましたが、それならばあえてお尋ねする。私は控えてありますが、これは二十三年七月二日に私の受けもつた参考資料でありますが、農業総合研究所というものがある。総合とは何ぞや、総合の中に経済、社会があつて技術はない。技術は独立して経済技術研究部になつておる。たとえば経済研究を一とすれば社会的研究を二とする、技術研究を三として、それでこそ総合研究所として偉容を示すことができる。これが日本の農業を科学的に指導し、そうして將來の大成を期せしめるゆえんではないか。これをおつくりになります門出にあたつて、まず技術研究部というものをつぶすのが惜しいというお氣持をもたず、むしろ総合研究所を拡大強化して経済的な立場と社会的な立場と技術の面とこの三本柱をしつかりと立てるという御意見はないか。この点を一應大臣から直接お伺いしておきたいと思います。
  110. 永江一夫

    ○永江國務大臣 いろいろごもつともな御意見がございましたが、私はこの農業改良局法案を提案いたしますのに、他の方によつてつておるというつもりはございません。先ほど御説明申し上げましたように、関係方面は今御意見のありましたようなかなり大きなスケールで農業改良総局という案でありましたのを、私どもは日本の現在の財政状態から見ましてもやはり必要なものではありますが、今日お願いをいたしております予算の限度において農林省内の一局として設置をさせるという考え方で立案をじて御審議を願つておるのであります。この点は決してわれわれの意のないところを強制的にここに出しておるというふうにもし感じがいたしますならば、私どもの方からあらためて訂正をいたしておきたいと思います。  それから予算を少くして來年より多くするじやないかということが、從來もしばしば意見のあつたところでありまして、おそらく來るべき國会に今日保留になつております農林省全体の機構の改革案を提出いたしまして、そのときには食品局及び畜産局を廃止するという考え方でいぎまして、総合的な面から申しますならば、今後農林省の中における局部においても、必要な局が多くの予算をとり、必要ならざる局は廃合されることになると思います。一つの局から見れば本年五億でありましても來年十億になるかもしれない、來年においてはある局が他に廃合されるというものが出るのでありまして、やはり農林省の所要の額を超えざる範囲において操作をするということで、一つでも多く局をつくることによつて農林省内部の事務当局の歓心を買うつもりで提案説明をしたものでは毛頭ありません。  それから部でありますが、これは各專門家が関係方面においても研究し、農林省内部において研究いたしました結果、やはり技術部、経済研究部、普及部の三部によつて改良局の構成をするということが一番妥当であると考えまして提案いたした次第であります。
  111. 冨田照

    ○冨田委員 いま一つお尋ね申し上げます。將來農林省の局課の廃合整理等を行うというようなことを承つておりますが、そういう面から考えてもここで農林委員会との合同審査をお願いする。これは私の方から言うべきことではなくして、農林委員会希望でしたが、これは実現されておりません。これは実は私どもがこの設置法を引延ばしていこうというのではありませんけれども、現実の面へいつてできない。農林省自体が今後いろいろの行政を行つていきます上から言つても、また議会においていろいろな議案の審査をスムースに進めていく立場から言つても、一應簡單な時間でも農林委員の意向も聽き、将來行くべき道を大臣から明示される、そうした上でこれを成り立たせておいた方が非常にやりいいことになるのではないか。こういう意味から言つて農林委員会との合同審査をしておきますと、立法機関に携つております私どもの立場から申しましても、非常に氣の済む氣持がいたします。この点は大臣に申し上げることではなく、委員長の取計らうべき仕事かもしれませんが、未だ委員長に申出がないことは私どもは遺憾に思つております。それと同時に農林委員会との合同審査がなく、ただ決算委員会だけでこれをきめてしまうことがはたしていいかどうか、これはもう一度全委員の意向もお聽きくださつておきめを願いたいと思います。  最後に一つ、あまりこまかいことで大臣御迷惑かもしれませんがお伺いしておきますが、先ほど戸叶委員から御質問がありましたが、農業改良ということが大きな場面で行われる部面と、その改良を実際に行つていく舞台が一つの農家という場面で行われる場合とあります。すべて世の中のことは一つの家庭の中に收縮されます。その家庭が発源地になつて全世界に拡がつていくような大きな仕事もできます。日本の農家の家庭それ自体の改善ということがやがて農村それ自体を改善することであり、日本の農業を改善していくことになると私は考える。その意味から言つて農林省も長い間の農林行政を掌つておられますから、一つの標準農家といつたようなものについての調査の結果がお手もとにあるかどうか。これは單なる標準農家と申しましても、一つの建築物を申すのではありません。將來における農村のあり方について、あるいは模範農村、住宅の模範的なものをつ一應考えられますが、私の申し上げますのは戸叶委員からお出しになりましたような衛生的な面からも考えてみる必要がありましよう、作業の面から考えてみる必要がありましよう、これを大きく言つて経済的な立場から、文化的な立場から、あるいはまた日本は細長い國でありますから、寒い所と暑い所がありましよう、山の所と海に近い所とありましよう、そういう点から立地的な條件もございます。そうした経済的な見地、あるいは文化的な見地、あるいは立地的な見地に立ちまして、一つの標準農家のあり方というものが、今ごろはできておらなければならないはずだと思いますが、それがあるかどうか。なければ早速にでもおやりになる御意思があるかどうか。これは農業改良局のできるについて根本の問題ではないかと思いますから、ひとつお尋ね申し上げます。
  112. 永江一夫

    ○永江國務大臣 ただいまお尋ねのような、基本的に言つて農家としてどれくらいの経営状態で、これくらいの住居をもち、これだけの経済的な農民生活をすることが理想であるという数学的にできた調査は、今手もとにもつておりません。しかしこの法案の第二條に掲げてあります所管事項の中で、農民生活に関することをいろいろ規定しておりますが、こういうものの活用によりまして、今お話のような研究がだんだん科学的に浸透してまいると私は思つております。ここにそういう数字を持ち合わせておりませんが、どうしても御必要であれば、いずれ事務当局に調べさして、適当な機会に提出いたしたいと思います。
  113. 松原一彦

    松原委員長 速記を止めてください。     〔速記中止
  114. 松原一彦

    松原委員長 それでは速記を始めてください。河合義一君。
  115. 河合義一

    ○河合委員 この問題は前回でありましたか、前々回でありましたか、私から質問いたしまして、役所の方でも資料を整えてくださつて、今それをガリ版にしているということをきようも聞いたのであります。今大臣はそういう調べがないとおつしやいましたが、事務当局の方では、完全なものではありませんけれどもあるはずであります。今までの農村の指導は、技術の方に偏りましたり、今冨田委員から述べられました、総合的な農村の改良というようなことが、どうも欠けておつたのであります。これは非常に重要な問題だと思いますので、今あります資料だけでも、一日も早く出していただきたいと思います。  ついでに一言だけお願いしておきますが、占領軍が日本へやつてきましたときに、一番最初に農村のことが目についたと見えまして、日本の農民は農奴とひとじいものであるということを言われた、その結果農地制度の改革などが行われまして、農村は今解放の途上を進行しつつあるのであります。しかしこの農村が解放されましたら、ついで解放すべきものは農村の婦人であると思うのであります。そこで私は参考にいたしたいので役所の方へ要求しておきたいのですが、この農村で女が長生するか、男の方が早く死ぬか、その統計がありましたならばお示し願いたい。私の見るところでは、女の方が早ぐ倒れると思うのです。それもそのはずで、女というものは子を産み、子を育てて、洗濯をし、食う物をこしらえ、四十ぐらいになるとしわが寄つてしまう。街の婦人は年をとつてもきれいですが、農村の婦人は四十、五十にでもなつたら、夫にもきらわれるような鼻につく婦人が多くなるのは、これは婦人を虐待するからではないかと思うのでありまして、今後農村が解放されたら、次には農村婦人を解放しなければいけないと思います。そういう点から、今度改良局ができて農村の指導をするときには、この点を十分留意していただきたい。それについて、いかなる抱負をもつておいでになるか、大臣も農政局長もおいでになるのでありますから、それも伺つておきたいし、また農村では女が長生するか、早く死ぬか、そういう調べがあつたら、参考までにお示し願いたいと思います。
  116. 永江一夫

    ○永江國務大臣 ただいま河合さんから最も適切な御意見が出まして、私どもとしましては、今お示しのような件に関しまして、事務当局で用意いたしております限りのものは適当に提出いたします。なおこの農業改良局設置の趣旨に関しましては、すでに提案の際も申し上げておいたと思いますが、ただ單に食糧の増産という面、農業技術という面から飛躍いたしまして、日本民主化の基盤であります農村の民主化、経済的な解放という面から農民の日常生活のレベルを上げるということに大きな目的をもつておりますので、私どもはそういう面からも改良局の仕事のウエートがだんだん重要になつてぐる、こう考えております。
  117. 松本一郎

    ○松本(一)委員 ちようどさいわいな機会でありますので、永江農林大臣にお伺いしたいと思います。行政整理、人員整理、国民負担の軽減ということは、今非常に各方面とも輿論となつてやかましく言われております。全國町村長会議の決議とか、あるいは國会意思も多分にここにあることは御承知通りである。しがるに今度農林省の大改革を年末ごろやる、その趣旨は思い切つて機構の改革をやるというお話でありますが、それまでこれは待てないのかどうかということであります。もとよりこの農業改良局の設置というものの趣旨、その目的は、表面に現われたところでは、農家者の私どもとしても双手をあげて賛成するところであります。ぜひお願いしたいと思いますが、すでに時期も年末と言えばあと五月か六月であります。殊にまた予算の面においても、なるほど五億とはおつしやいますが、しかし大した予算額でもないとしますれば、そのときまでお待ち願つて、畜産局あるいは開拓局その他の局とにらみ合せの上で、思い切つで農業の実態に即する大改革をやられたらどうかと考えるのですが、それまでお待ちを願うことができずして、今日突如としてこれを出さなければならなかつたか、新局を設置しなければならなかつたかという意味をいま一歩進んで御説明願いたいと思います。
  118. 永江一夫

    ○永江國務大臣 農林省の全面的な改組案につきましては、先ほどお答えした通りでありまして、私どもといたしましては、これらがいろいろな関係方面及び國会方面の御意見もありまして、この全面的な改組案は案としてもつておりますけれども、それを正式に國会に提案をして御審議を願いますために、若干の日時を準備に要しますので、これは十二月まで延期してきたのであります。しかしその中で農林省関係におきましては、先般御審議を願つて決定になりました水産廳の昇格並びに農業改良局の設置、この二つをどうしても早急にやつていただきたい、御審議を願つて御決議願いたいと考えまして提案をした次第であります。水産廳につきましては、すでに御審議決定つたのでありますが、農業改良局の緊急必要であるということについては、先ぽどもお答えをしておいたのでありまして、この面におきましては、相当全國的にも影響のある機構の改革でありますから、私ども一日も早くこの法案を設置することによりまして、日本の農村におきます技術面においても、あるいは生活面におきましても、できるだけ早くこれに総合的な指導を與える機関をつくりたい、こういう念願から御審議を願つている次第でありまして、農林省全般といたしましても、この新たなる局が設置されたために、特に予算をそれだけ増大したものとしてお願いする、こういうわけでなく從來農林省が受けておりました予算の範囲内においての操作でこれをやるという考え方で予算を組んだわけであります。そういう意味でひとつ御了承を願つておきたいと思います。
  119. 松本一郎

    ○松本(一)委員 ただいまの御答弁では私ども十分了承いたしかねるのであります。大体において中央、地方を通じ、わが國の悪いくせとして、先に事業が活発に進展していかないで、いわゆる事業自体から生ずる必要性の生れてこないうちに店開きをして、窓口を拵えて役人を多く置くという行き方でありますが、これが今日の官廳の濫設となつてきたのであります。中央でこういうことでありますから、地方でも各府縣において農政課かち畜産課が独立するとか、いろいろ変つた課が濫設されている。畜産課が独立になつたら、ただちに有畜農業が発展したかというと、そうではない。かえつて牛も馬も減つてきているという実情であります。ことさらに窓口を殖やし職員を殖やす必要はない。現在ある機構を十分活用していけばよい。こういうことを実は私ども考えているのです。すなわち敗戰日本としては、國民の負担を軽減する上から、從來二人でやつてつた仕事を一人でやる。三人の仕事は二人でやるということでいかなければならないのではないか。こう思いますときに、なるほどねらいは農業生産物の増強をはかる、あるいは農民生活の安定向上と、もつともらしいねらいでありますが、さてお伺いしたいのは、農業改良局ができることによつて、具体的に農業生産物がはたして増強し、また農民の生活を向上安定させるのには、どうしたらできるかというこの具体的の問題を私はよく考えなければならぬと思う。ここにも羅列されておりますが、たとえば技術の研究とか、あるいは経済研究とか、普及とか、指導とか言われておりますが、これは前から言われていることであつて、今新上いことでも何でもない。そこで日本として食糧がどうしても自給自足できるよう増産をしなければならぬ。一割増産は政府も言われておりますが、どうすれば一劉増産ができるか、あるいは三割も増産ができるか、また農民が安んじて生業にいそしむことができるかという生活の安定というねらいでありますが、これにより具体的にどういうことをするからどういうふうになるというような御方針がおありでしたら、この際承つておきたいと思います。
  120. 永江一夫

    ○永江國務大臣 本法案の御決議を得まして新しく改良局ができたために、どれだけの数量のものが増産になる、あるいはどれだけ農民諸君の日常生活における水準が高まるということを具体的に出すということは、私は困難ではないかと考えているわけであります。やはり総合的にこういう機関が完備せられますことによつで、農産物の技術的な指導が普及徹底すれば、それだけ食糧増産になり、また今まで相当知識水準の低い農村の生活面に、かなり科学的なものを注入することによりまして、農村の生活水準を高めていくということが両々相まちまして、やはり農村の民主化のためにも、生産増強りためにもなるというねらいでありますので、これを数量的に、あるいは実質的に示すということは非常に困難ではないかと私は思つているのでありますね。この第一條にうたつておりますように、あくまでもこれは勤労農民、生産農民諸君を生産の面において、また日常生活の面において、少しでも引き上げていくためのサービス省としての役割としての農林省のこの面におけるサービスを担当する、こういう考え方で、この案ができているのでありまして、ややともすれば中央集権的な、官治行政的な農林行政のカテゴリーから離れたものとして、私は本法案をつくつたものでありますので、おのずからそのねらつておりますところを、数量的にこういう効果があるということを申し上げることは非常にむずかしい、こう考えます。
  121. 松本一郎

    ○松本(一)委員 私は別に数学的にというわけではありませんが、農業改良局ができたら、こういうことをやるから、こういう結果になるという具体的の事例を、たとい四つ五つでもあげて、それに伴う予算はこの程度計上して、そうして指導に当りたい、こういうお話を伺えるものと実は思つてつたのであります。しかし、それはまあよろしいが、ざて現在農事試驗場、あるいは指導農場というものは、御承知通り全國に多々ある。ところが、これなども、從來から農林省が指導監督されておるのです。いわゆる農民の技術指導、あるいはすべての農産物の増産というねらいをもつておるはずなんです。それ以外に何ものもないのです。その農事試験場あるいは指導農場は、現在一体何をしておるかという実情は、よく御承知でしようが、本來なら、これらはその目的のために全力をあげて、指導員あるいは試験場員が働かなければならぬのですが、試験場のための試験場、指導場のための指導場というような、農民生活、農場経営をやつております者とは遊離しておる実情になつておるということは、御承知ですが、その点に鑑み、ここにできます局なるものも、またぞろさような轍を踏むのならば、結局役所だけが殖えるに止まつてしまうと私は思う。その点についての御意見を伺いたいと思います。
  122. 永江一夫

    ○永江國務大臣 從來ありました農事試験場あるいは指導農場というものが、いわゆる役所的であつて、その周囲の農民諸君の実際の農作物をつくる上においての親しみのある機関としては、非常に弊害があつたのではないか、試験場のための試験場というような弊害があつたのではないかという御意見につきましては、私はそれを全部否定する勇氣をもつておりません。從いまして、農林省としても指導農場などは、今度は御承知のように全部廃止いたしました。それは指導農場の周辺にあります勤労農民諸君が、自分らの自主的な、民主的な力によつて、これを経営していこうという希望があれば、その指導農場が、その希望に副うて存置されますし、その周囲の農民諸君が、指導農場を必要なしとして、これを適当に分散して、普通の農耕地として変えるということになれば、そういうふうにいたすことにして、指導農場の中に政府の役人を置きまして、先ほど申しました官治行政的なものでなからしめるために、指導農場を廃止いたしたのであります。同様に農事試験場につきましても、今までの、お示しになつたような弊害をできるだけ抑制いたしまして、眞にその地方における生産農民諸君が、心やすくこれをサービ人機関として利用し、十分なる指導が行われるように切り替えるために、新しい局をつくつて、その指導を誤らしめたくない、こういうつもりでございます。
  123. 松本一郎

    ○松本(一)委員 今のお話ですが、いわゆる試験場なり指導農場は、私もしばしば方々の試験場、指導農場を実地調査に参りますが、今年の麦、去年の米なども、むしろ附近の農家の方が、田でも畑でもよくできておる。試験場や指導農場の方が、よほど手入れも怠つてあるし、増産どころか、むしろ減收だ、こう見られるような作柄になつておる。何のためにこれらの機関が設置されておるのかというような——全部とは言いませんが、中にはそういうのもあるということを、よく御考慮に入れていただきまして、今後の農場の指導監督にあたつていただきたい、こう思うのです。  それから、次は食糧増産、ひいては農民生活の向上安定ですが、帰するところこの食糧増産は、具体的にどうすればいいかということになれば、まず第一は、政府もお考えになつておる土地改良から一應着手しなければならぬと思います。ついては、開墾あるいは開拓というような事業もありましようけれども、これに多大な期待をもつことは御承知通りですが、現在ある既耕地田畑約六百万町歩ほど、殊にその田畑のうちの三百万町歩足らずのものをこの際思いきつて改良事業をやる。長い間搾取しておつた土地ですから皆やせておる。これに極力、力を入れられるという方向に進まれる——さいわい本局ができました後は予算を計上されて、そうして食糧が増産になれば、國民一般の生活も非常に安定してくるのでありますから、その線に進まれる御方針はおもちであるかどうか。さらにいま一つは、有畜農業の奬励です。これも食糧増産にはなければならぬのである。ところが、現在の段階では、悲しいことには、牛も馬も徐々に減りつつある。殊に役牛、役馬が減つていく。牛の肉がこの間うち百匁二百円のものが、はやもう二百五十円、三百円に今なつてきた。従つて、牛一頭を買うのに十万円も出さなければ買えないということは、政府から出されております数字によつても、牛の減るぐあいがわかつておりますが、こういうふうに、有畜農業は政府の役所、人的機構はよくできても、肝腎の牛が減つてつてしまえば、結局有畜農業はだんだん衰えてく。ひては食糧が思うように増産できぬ。こうなるのですが、土地改良と有畜農業にこの改良局は関係が深いと思いますので、一應御方針を伺つておきたいと思います。
  124. 永江一夫

    ○永江國務大臣 御示しのように、この局は、さような重要な、食糧増産に関係のあります事柄全般に対しこの計画調査等をいたす局であります。それに基きましで、先ほど申し上げましたように、將來農林省におきまする全面的な機構の改組が行われますならば、農産においてその面を担当していく。こういふうな仕組に考えておるわけであります。従いまして、この農産局などの改組の全面的なものは、次の國会で御審議を願うことといたしまして、本日のところ、本法案のねらつておりまするところは、今お話しのような面についての一つの計画を立てるべき所でありますから、その計画は今お話のありましたように、あくまで食糧増産のために、どれだけの設備をして土地改良を行うべきか、それについてはどういう予算を投入すべきかというようなことは、十分この局で考えられることだと思いますし、また有畜農業について必要なる牛馬の数、それの増産等についても、この局においてそれぞれ立案研究をされる。こういうことになりまして、これらの全面的な科学的な研究調査をしたものを、適当に農林省の他の局におきまして実施していく、こういう考えであります。
  125. 松本一郎

    ○松本(一)委員 今大臣の御答弁によりますと、農産局のお話も出ましたが、私は農産局とか、あるいは開拓局とか、または今度できる改良局とか、そういうようなものは一局に統合されてやられなければ、結局横の連絡がつかないのじやないかと思う。総合的計画を立てられて、そうしていわゆる増産計画、あるいは農業者の安定計画という方向に進んで行がなければならぬのじやないか、こう思いますが、これはまあ私の意見でありますから、今度農林省を御改組のときには、参考の一つとして取入れていただきたいと思います。つきましては、さらに重点である食糧増産の見地から考えて、政府の方では肥料の問題、あるいは農薬の問題等、いろいろお考えになつておりますが、ところが、どれ一つ取上げても、当面しております農家としては困つた問題でして、たとえば肥料のごとき魚肥である。その魚肥は、最近は北海道でも相当とれておるのである。これは食料として統制になつておるのかどうか、詳しいことはわからぬが、何かの方法で加工して、食料からはずれておるようですが、しかも値段が非常に高い。二十四貫俵くらいのものが今では七、八千円くらいしておる。こういう高いものを買つて、田に置く。一反歩五貫目も置けば、それは確かに米の一俵や一俵半はよけいとれます。但しそれはやみで賣ることを前提ととてならばやり得ますが、マル公供出を考えだならばちよつとやりにくいのであります。ですからせめてこの魚肥だけを、昔はみな魚肥でつくりましたから、しそこないがなかつた。最近は技術が大分発達しまして、硫安とか石灰窒素とかを使うようになりましたが、数年前まではまだ硫安などはあぶなくてよう使わなかつた。やりそこないが多かつた。一番安全なのが魚肥でありますので、この魚肥をせめて來年度はうんと北海道の方で増産してもらつて、食料としてにしんを使うか、あるいはそれを肥料として米をよけいとつて、米で食糧として使うかということになれば、結局主食の米がよけいとれる方がいいのじやないか。こう私どもは考えるのであります。二十四貫かます一かますあれば、大体五反の田に置ける。五反の田といえば一俵ずつ増産していつても、五俵の米になつていく。そうすればこれはだれが考えても、肥料としてにしんを使つた方がいいということはわかるのですから、この点を御先方によく傳えて、來年は魚肥をせいせいつくり、それを全國に公平に配給するという方法をとつていただく。  次に農薬の問題ですが、ともかくせつかくいい田をつくりながら、悲しいことには農薬が乏しい。殊にあの二化瞑虫などは一番やつかいなものです。D・D・Tで消毒しますればよろしいが、そのD・D・Tが思うように手にはいらぬ。私どもでもことしの春ば大分苦労しましたが、これを思い切つて使わせるようにしなければ、一化瞑虫、二化瞑虫の被害、これは必ず一割かに二割あるのです。場合によると四割も五割も、昨年の愛知縣のごときは、被害を受けたのです。この完全な農薬をもつと農家に使わせるように普及されなければ、いくら改良局をこしらえてみても、意味をなさぬ、こう思うのですが、この肥料の問題と農薬について御意見を伺いたいと思います。
  126. 永江一夫

    ○永江國務大臣 肥料につきましては御承知のように傾斜生産の効果がだんだん現われまして、最近はかなり戰前に近い数量にまで、硫安などは増産ができつつあるのであります。さらに魚肥についてもいろいろ御意見がありましたが、御承知のように肥料公蓼團方で全面的な取扱いをいたしておりまして、私どもとしては肥料全般の一貫性から見ましても、どうしてもまだマル公でもつて生産農家が必要とする肥料が必要量だけ必要な時期に渡るということにはいきかねる実情にあります。それをできるだけ圧縮いたしまして、必要な量が必要な期間に農家にいくように努力したいと考えております。
  127. 松本一郎

    ○松本(一)委員 肥料の問題については今申しましたようなわけでありますが、魚肥の問題のお答えがありません。ただ化学肥料のお話だげでしたが、魚肥の問題と農薬の問題を御答弁が願いたいと思います。
  128. 永江一夫

    ○永江國務大臣 魚肥の点を答弁を落したのでありますが、魚肥の重要性については私ども認識しておるのであります。これを確保するように努めたいと考えております。なお農薬については、本年大体必要とする農薬は、さいわいにして生産の過程にはいつております。農薬の面においてはかなり必要度に近い生産ができる、こう思つておりす。
  129. 松本一郎

    ○松本(一)委員 農薬は生産の過程に本年必要の量ははいつているとおつしやいますけれども、それにいつできてくるのか。今まさに要る時期です。もうおそらく八月、九月になりますと、螟虫などですと二化、三化です。最初の一化瞑虫を受けただけでも、一割や二割の減産を覚悟しなければなりません。そういう観点から考えて効くよい農薬が公平に渡るようにお手配が願いたい。  次は農家の生活改善安定の問題であります。これはさつき木村さんからもお話がありましたが、何としも農家の収支のバランスが償わぬ限りは、これは絶対安定しない。安定しない限り、生活の改善はあり得ないのであります。ところが米價の問題、あるいは麦、あるいは馬鈴薯、甘藷、かよな農家が覽り渡すものの價格が、ほかの物價から比較して安い。何もかもマル公なら、マル公供出はよろしい。ところが決してそうでない。マル公で買うものは半分である。殊に病氣にでもなつた場合、医者の支拂いが大やみです。また学校へ通わせます費用なども相当かかることなどがら考えまして、おそらく現在の政府がお考え願つておるような値段では、農家は喜んで氣持よく供出ができまい。気持よく供出ができなければ、心から増産するという増産意欲が生じてこないのは当然であります。強いてこれを承知させようと思えば、農民を奴隷的過酷に追いこめば別であります。昔ならそれができましたが、今日の時代はそれは許されるものではありません。また農村青年は、者は都会の風にも当らぬ青年が、親の相続をしました、この戰争の結果、皆復員して來ておる。徴用工に行つておる。外地、の風、都会の風に当つて來て、農山村にはいつておるのであります。それだけに農村青年の悩みは非常に大きい。そうすればこれまでのような愚民を扱うつもりで考えたり、大きな間違いでありますので、農産價格の決定にも十分の注意を願つて、麦のごときも早く、一時暫定價格でなく、すでにもう供出がどんどん出ておるのですから、いくらで買上げるということを決定しないと、さらに今後の米の増産にも、結局こういう役所ができても実があがらぬのじやないか、かように私は考えるのであります。  つきましては先ほども農家の婦人の問題も出ました。このことについては農林大臣の御答弁でありましたが、実際日本の農家の婦人の現在置かれておる地位というものは、まつたく氣の毒なものであります。アメリカから私どもの方へ軍政部長官が來たときにも、その奧さんが私の愚妻をつかまえて言うのに、日本の農家の婦人は、田畑で働くことをやめさしたらどうですか。アメリカでは絶対こんなことはありませんということであります。アメリカから見られたらもつともな話であります。できることならそういうふうにして、婦人は家庭の始末、子女の教養に当らせたいと思いますが、悲しいことには日本の農業は、婦人が労働から離れたら、男子だけでは断じてやれぬのであります。殊にあの田草をとる仕事は、男よりも女の方がよほどうまいのであります。一株々々の根元を手でていねいに産めよ、どんどん殖えよという氣持で撫でてこそ、分蘖が多いのであります。機械力でやつても分蘖度が少いのでありまして、私はいろいろやつておりますがそうであります。そうすれば汗と脂の結晶があの米である。こういうふうに考えますときに、日本という國はつらいことには、婦人までが野良で働かなければ、農家の経営が立ち行かぬということになるのでありまして、ともかく組合についてもアメリカあたりの耕地組合は、その組合に政府から相当な助成金があり、組合員も出資して、機械力やいろいろな設備をして、除草または水まき、あるいは農薬等を施して、農業の改善をはかつておる。ところが日本のこの組合は、——政府はこういう機構をつくつて、これから農業協同組合中心に指導していただきますが、その組合がまだ今のところほんとうに農民のための組合であるということは、悲しいことには言い得られない。すなわち農を生業としておる者ばかりが組合をつくつたのなら、あるいはその方向に進みやすいのでありますが、轉落農家、非農家までも準組合員に入れるという現状でありますので、農民のこれから先の生活の安定向上ということは、理想としては極力御指導願わなければならぬが、よほどむずかしいと思います。ともかくも農業生活を農業者がやる上に、バランスがとれるように農産物價を適当に高く買上げてもらうことが、一つは安定せしめ、ひいては増産せしめることになつてくる、こう私は考えるのでありまして、農業者の生活の安定と向上、この見地に立つていま一度農林大臣の御方針を承りたいと思うのであります。
  130. 永江一夫

    ○永江國務大臣 生活の問題として、農産物の價格の点で御意見がありましたが、私どもはもちろん生産農家の重要な基礎をなしまする農産物の價格は、できるだけ適正なものとして、できるだけ早く公表いたしたいと考えております。麦及び馬鈴薯については、できればこここ週間以内くらいには正式の價格を発表するつもりで鋭意関係方面とも折衝しておるのであります。いずれにいたしましても、わが國の農業生産が常に都市経済のために圧迫を加えられておることも見逃し得ないのでありまして、そのために農村の協同化をねらつて農村民主化の線に沿うて農村協同組合を育成強化するという考え方で、今各般にわたつてその具体的な実施を行つておる際であります。私どもといたしましては、農村の組織及び運営につきましては、やはり農地改革に基盤をおきまする農業協同組合の運営によつて農村の今後の民主的な、自主的な発達を期したい、こう考えておるわけであります。それの経済的なことについては、申し上げれば多々意見があるのでありますけれども、一應基礎になります機構組織及び運営については、具体的にただいまのところは、農地改良並びに農業協同組合の線において、これを推進していきたい、こう思つております。
  131. 松本一郎

    ○松本(一)委員 最後に簡單なとですが、この法案にも農民という字が使つてあります。私どももとき折誤つて農民という言葉を使います。すべて新聞あるいは雑誌その他にも農民という字が使つてありますが、今後は農業者という字に改めていただきたい、こう思うのであります。もし農民だけに農民という字を使いますなら、片方も商民、工民、漁民——これは漁民という字は使つておりますが、役民であるとか、何とか同じような名前を使わなければ、農民だけに農民の民という字を使うのは、これまでの封建的な、奴隷的な考えから出発しておるというふうに私思われてならぬのであります。農林大臣のこの字句の使い方についての御意見を一度承りたいと思います。
  132. 永江一夫

    ○永江國務大臣 考えようによりましては、農民という言葉がいわゆる農奴に通ずるという印象を受けるかもわかりませんが、今日の状態におきましては、農民という字自身が農業者と変ることによつて、非常に感覚が違うとは私は考えておりません。
  133. 松本一郎

    ○松本(一)委員 農林大臣はそうおつしやいますが、一般は非常に感覚が偉うので、たとえば子供にお嫁さんをもらおうと思いますと、妙なことを言うようですが、百姓ですとほとんどいやがるのです。そうでない、月給取だ、じやあ、やりましようと言う、これはどこに原因があるのでしようか。いわゆるそれほど汗と脂の激しい労働に從事していながち、結局惠まれぬ、報いられぬということと、世間一般から、ああ百姓か、農民かと言われることなのです。だからこれからもうせめて法律だけでも農業者としてかえていただきたい、そういうことをお願いいたします。これで質問は打切ります。
  134. 河合義一

    ○河合委員 私は農林当局に重ねてお願いするのですが、農村の構成人口の男女の比率をひとつ詳しくお調べを願いたいと思います。これは婦人の解放という点に非常に参考になると思います。
  135. 山添利作

    ○山添政府委員 人口問題研究所の方に照会してお答え申し上げます。
  136. 河合義一

    ○河合委員 それから委員長にお願いしたいのですが、これからの常任委員の制度は二つかけもつことは絶対にやめてもらいたい。私は決算委員会が始まりましてから一回も欠席したことはありません。農業改良局設置法案が提案されまして、本日で四回目と思います。ところがたまたま前の三回は出て來ずして、あと一回だけ出てきて、腹一ぱい質問するということになると、その質問は実に傾聽すべきりつぱな質問であつても、前の三回で他の委員からそういうことを尋ねておるときは重複するのです。例をとつて申し上げてはなはだ失礼ですが、過日の経済調査廳の議案のときでも、最後の日に松本委員が出てこられて、あの討論において実に傾聽すべき名論卓説を吐かれ、私は自然に頭が下つた。しかしあの大部分はすでにわれわれがその前の委員会において論じ盡したところである。その結果いろいろ修正をいたしまして、これを全部やめてしまう、統制経済を撤廃することはできぬから、われわれの希望としてはそういうやみを行うものをふん縛る。大やみをやるやつは峻嚴に処理しなければなりませんけれども、小やみは大体機構が悪いかあるいは統制のやり方が悪いから起るのであつて、そういう場合には、こういうふうにやらなければならぬようような意味で修正をせられた。それで各種の委員会は全部出席するという制度にしてもらいたい。二つも三つも受持つからこういうことになる。速記者諸君にもはなはだ氣の毒だ、同じことを何度も速記させることは速記の虐待になる。そういうように委員長会議のどきにも極力やつてもらつて委員は一種の委員よりもたぬ。その代り委員会には必ず出てきて審議に参加する。元來今の國会の諸君は役人になることを昔のように非常に希望しておる。國会は國権の最高機関であるから、代議士であることが一番いいことと考えるようにしていかなければならぬ。役人に比べて知識の点においても、識見においても負けぬようにわれわれはやつていかなければならぬ。それには今日のようなやり方つたら役人になめてしまわれる。そういう意味から申しましてもごの委員会を最も実力ある委員会にするためには、今日のような制度ではいげない。これについて委員長のお考えがあれば承つておきたい。
  137. 松原一彦

    松原委員長 お答えいたします。今度の國会法においては、それが改正になつて、但し決算と予算は兼ねられることになつたように心得ております。詳しいことは記憶しませんけれども、あいにく決算委員会は他を兼ねる中にはいつておることは遺憾に思いますが、なお研究してお答えしたいと思います。
  138. 河合義一

    ○河合委員 なるべく出席して、すでに前の委員会において審議が進んでおることを繰返すことはやめてもらいたい。
  139. 田中健吉

    ○田中(健)委員 大臣にちよつとお伺いしたいと思いますが、御多忙のようですから簡單にお伺いいたします。先ほど山添ざんにお尋ねいたしたところがはつきりした答弁がなかつたのです。それは農民組合のあり方についての問題であります。大臣は就任早々日農、全農の合同論を唱道されたように私は記憶いたします。ところが私は全農のものでありますが、日農は容共派を含んでおります。共産党もおります。その他反共派もおると思いますけれども、この点がはつきりじない限りはとうてい合同ができないのでございまして、大臣は現在の日農問題あるいは全農問題はまずさておいても、農民組合は思想的にはどういうようなあり方がいいか、あるいはまだどういうような農民運動が最も好まし)ことであるかとつたようなことについて、だこに木村君もおられますが、共産党も多大の関心をもつておられるようでありますので、一言この点について大臣の農民組合に対する見方について御報告願いたいと思います。
  140. 永江一夫

    ○永江國務大臣 私は農民組合が自主的に、民主的に強力に発展することを希つておる一入であります。従いましてその構成分子の個々のメンバーがいかなる政治的傾向をもつていることが妥当であるかということは、にわかに判断をすることができない、こう思つております。
  141. 松原一彦

    松原委員長 しばらく休憩いたします。     午後六時十三分休憩      ————◇—————     午後八時十分開議
  142. 松原一彦

    松原委員長 休憩前に引続き再開いたします。各位の連日にわたる御精励で、お疲れの折ではありまするが、今期切迫の際でもあり、本委員会に付託いたされた案件は、できる限り、審議いたしたい心組みでありまする関係上、時間も遅くなり、御迷惑とは存じますが、日程に掲載の二法案につき審査に入ります。これより逓信省設置法案内閣提出、第九十六号、逓信省設置法の施行に伴う法律整理等に関する法律案内閣提出、第九十七号を一括議題として、逓信当局より提案の御説明を伺います。冨吉逓信大臣
  143. 冨吉榮二

    ○冨吉國務大臣 ただいま議題となりました逓信省設置法案並びに逓信省設置法施行に伴う法律の整理に関する法律案の提案理由について御説明申し上げます。  今回逓信省におきましては、この逓信省設置法を制定いたしまして、中央地方を通じ、部内全般にわたりまする機構の改革を企図いたしておるのでございますが、その趣旨といたまするところにつきまして、以下御説明申し上げます。  逓信省の所管事務は、第一には、郵便、電信、電話、郵便貯金、簡易生命保險等の事業、いわゆる通信事業の経営でありまして、事業に從事する従業員の総数は四十一万余に達し、この点に関しまする限りにおきましては、他の一般行政監督官廳とよほど面目を異にしているのであります。また第二には、電波管理業務及び航空保安業務を担当いたしておるのでありまして、これらの業務については、監督行政の分野に属するものと称して差支えないかと存じます。しかして、ただいま申し上げました第一の諸事業は、一口に通信事業と称しておりますが、郵便、電信、電話、貯金、保險のそれぞれが異なる牲質の事業でありまして、これらの諸事業がそれぞれ各事業の特異性に基いて企業的に、能率的に運営され、また同時に逓信省という一つのわくの中で、かつ通信事業特別会計のわくの中で、一体性をもつて、合理的に運営され、そして國民に最小の経費をもつて最大のサービスを提供いたすことを、その使命といたしますことは、申すまでもありません。このたびの機構改革は、この要請に感じ得るように、逓信省の中央地方を通じての機構を、事業別に縦割りとすることをその根本とし、各事業についての能率的運営を確保し、かつその責任体制を明確にとり得るようにいたしたのであります。このような態勢を確立いたしまするために、所管の事業を、郵便、貯金、保險と電信、電話の二大系統にわかちまして、この区分を中央から地方管理機関及び現業機関の末端に至るまで、可能な限りにおいて徹底させております。すなわち本省におきましては、郵便、貯金、保險の各事業を統括する郵政総局と、電信電話事業を運営する、電気通信総局との二総局を置き、なおこのほかに各事業に共通的な会計、資材、営繕、労務等の事務を所管する事務総局を置くことにいたしております。この事務総局の仕事は各事業の運営について、各事業部局の要求に基いて、今申し上げましたような事務についてサービスを提供することを建前とし、また同時に全事業の一体性、協調性を確保せんとするものであります。  次に地方管理機関として、部内には從來、逓信局が設置せられておりまして、各事業の現業事務を一括して管理していたのでありますが、この逓信局も、前述の趣旨によりまして、解体を断行いたじ、中央におきまする事業の系統による区分を受けつぎまして、新たに郵政管理局及び電気通信管理局にわかち、さらに別に地方郵政監察部、地方経理部、地方資材部を設置することといたしました。  次に電氣通信関係におきましては、現場の運営を刻々に把握しまして、これに適切なる指令を與える管理面の働きが、事業の性質からとまして特に要求せられますので、電氣通信管理部並びに電氣通信管理所を置くことにいたしております。現場機関につきましては、前にもちよつと申し述べましたが、中央からの二本建の流れに從つて、これを郵便、貯金、保險を取扱う郵便局と、電信、電話を取扱う電氣通信取扱局とにわかちます。但し、局員が数人にて、各事業を取扱つつておるという程度の小規模の郵便局までも、形式的な分割はいたさず、郵便局に電信電話業務を委託するような形といたしたのであります。最後に、電波管理行政についてでありますが、この事務は純然たる監督行政でありまして、逓信事業の経営とは無関係事務でありますので、この際、機構的にも截然と分離することといたしまして、新たに外局として、電波廳を設置いたし、地方には地方電波管理局を設置することといたしたのであります。大体これをもちまして、この法案に盛り込んでありまする逓信省機構改革の概要を申し上げた次第であります。  なおこのたびの機構改正は、一見機構の拡充のごとく見えるのでありますが、これはあくまでも各事業の能率化、合理化をはかる趣旨に基いているのでありまして、それぞれの事業の特質並びに規模に基いて、それぞれに適当なる運営機構を立案いたしたに過ぎないのであり、機構の改正による総体の人員増加は考慮されておらぬことを附言いたします。以上申し述べました逓信省の機構改正は、これをでき得る限り速やかに実施いたしまして、前に述べましたように、各事業がそれぞれ能率的、合理的に運営され、一日も早く運輸事業復興の実をあげることが、國民に対する政府責任でもあり、義務でもあると信じておりますので、本法案を特に本國会に提出した次第であります。  次に逓信省設置法案と同時に御審議を願いまする逓信省設置法の施行に伴う法律の整理に関する法律案におきましては、逓信省設置法の施行に伴いまして、現行の郵便法及び郵便貯金法の規定中、設置法規定と重複いたしまする部分を削除するなどの改正を要する法律がございますので、本法案を提出した次第であります。  以上提案理由の説明をおわりまするが、何とぞただいま申し述べました趣旨を御了承の上、十分御審議くださいまして、速やかにご賛成くださるよう切望する次第でございます。
  144. 松原一彦

    松原委員長 それでは本日はこれで散会いたします。     午後八時二十分散会