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1948-06-26 第2回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十六日(土曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 松原 一彦君    理事 冨田  照君 理事 竹谷源太郎君    理事 中曽根康弘君       大上  司君    樋貝 詮三君       松本 一郎君    宮幡  靖君       片島  港君    河合 義一君       辻井民之助君    戸叶 里子君       矢野 政男君    中垣 國男君       櫻内 義雄君    田中 健吉君       木村  榮君  出席國務大臣         國 務 大 臣 船田 享二君  出席政府委員         経済安定本部副         長官      田中己代治君         総理廳事務官  國塩耕一郎君         経済安定本部経         済査察官    司波  實君         総理廳事務官  前田 克己君         総理廳事務官  佐藤  功君         総理廳事務官  菊山 嘉男君         厚生政務次官  喜多楢治郎君  委員外席出者         専門調査員   大久保忠文君 六月二十六日委員田中源三郎君辞任につき、その 補欠として櫻内義雄君が議長の指名で委員に選任 された。     ――――――――――――― 六月二十五日  中央出先機関廃止陳情書外十五件  (第九五二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  経済査察廳法案内閣提出)(第六〇号)  建設省設置法案内閣提出)(第一二七号)  厚生省官制の一部を改正する法律案内閣提  出)(第一七六号)  行政管理廳設置法案内閣提出)(第一七九  号)     ―――――――――――――
  2. 松原一彦

    松原委員長 開会いたします。  本日はこれより去る二十三日付託となりました行政管理廳法案を議題とし、政府説明を伺います。船田國務大臣。     —————————————
  3. 船田享二

    船田國務大臣 行政管理廳設置法案につきまして、その提案の理由説明申し上げます。  この法案に規定しております行政管理廳は、行政機関組織及び権限を整序し、その人員の配置を調整し、行整運営方式に改善を加え、もつて國家行政部門能率的ならしめる目的をもつて設置されるものでありまして、現在の行政調査部機能を充実いたしまして、これに行政監察委員会及びその事務局を併せて構成される新しい機関であります。これまでのわが國におきましては、かような目的を有する機関は存在しなかつたのでありまして、ただ一昨年十月、行政調査部設置せられ、続いて昨年九月、行政監察委員会設置せられまして、いずれも臨時機関としてかような目的のために活動してきたのでありますが、その後の状況に鑑みまして、かような機関恒久的存在の必要が痛感せられ、ここに政府は、この法律によつて新たに行政管理廳設置しまして、もつて行政運営能率化をはかりたいと考えるのであります。  行政管理廳において所掌をいたします事務のおもなるものは、第一には、行政機関組織及び運営その他行政制度一般に関する基本的事項を処理し、また各行政機関機構定員運営の問題について、調査企画、立案及び勧告を行うことであります。行政管理廳は新憲法に即應する行政制度を確立し、能率的な行政運営を確保するために、諸外國先例等をも参酌しまして、調査企画的機能を発揮して、積極的に活動しなければならないと考えるのであります。  第二は、各行政機関機構の改正、定員の増減に関する案件に対しまして審査を行い、これについて必要な調節を行うことであります。すなわち各行政機関について公平な立場からかかる調整を加える機関が存在いたしませんと、この間にいろいろと不権衡不統一を生ずるばかりでなく、全体として能率的な統一的國家行政組織の発達も期待し得なくなるのでありまして、かような事態を防止するためには從來大藏省主税局及び元の内閣法制局がおのおのその所管行政部門を通じて行つてきましたところに代つて行政管理廳がかような機能をもつことを必要と考えるのであります。  第三は、各行政機関行政運営状況監察を行うことであります。すなわち行政部門能率的ならしめるためには、行政運営状況の実際を十分認識しておく必要がありますとともに、政府の政策、方針が末端の機関にまで浸透しておるかどうかを見ることがきわめて大切であります。行政管理廳におきましては、かような見地から行政運営状況実地監察を行い、行政部門能率化を助けたいと考えるのであります。  次に行政管理廳総理廳の外局として設置されるものでありまして、その事務も右に述べましたような特殊性のゆえに、長官には國務大臣をもつて充てることといたしたいと思つておるのでありますが、しかもその規模はきわめて小さな、また機構も簡素なものといたしまして、廳員も全部で百名内外のものとする考えであります。しかし他方長官所掌事務に関しまして、各行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができるとともに、随時内閣総理大臣に対しまして意見を上申することができることにいたしたいと思うのであります。かような機構及び運営方法を通じまして、内閣総理大臣の閣内における発言権を大ならしめ、各省及び各廳に対する統制力を強からしむることを得ると信ずるのであります。  以上で大体の説明を終りましたが、何とぞ十分御審議の上に速やかに可決せられんことをお願い申し上げます。
  4. 松原一彦

    松原委員長 これより質疑に入ります。御質疑の方は御通告を願います。冨田照君。
  5. 冨田照

    冨田委員 ただいま行政管理廳設置理由を拜聽いたしたのでありますが、今行政管理廳が行おうとするような仕事は当然に内閣総理大臣のやるべき仕事であり、今までも総理廳において臨時的な二つの部によつて処理されてきたように思いますが、これはやはり今のようにいたずらに小さな官廳をたくさん殖やす、そうして機構を複雜化していくというやり方でなしに、もつと自然な姿において、総理大臣権限内においてできる仕事でありますから、むしろ臨時的な委員会制度というようなものでやつていく方がかえつてよくはないか、こう考えますが、この点についてお伺い申し上げます。  それからいま一つは、この行政管理廳予算が、どれほど二十三年度の予算に新しく計上されておりますか。  第三には、これに要するいわゆる官吏、公務員の数はどのくらいで構成されておりますか、その三点をまずお伺いいたしたいのであります。
  6. 前田克己

    前田政府委員 御質問の第一点、これはただいまお述べになりましたように、今度の行政管理廳と申しますのは、從來行政調査部及び行政監察委員会一体となるものであります。行政調査部につきましては、從來調査研究機関ということで、しかも臨時機関ということで設立せられまして、その後実際行われてきたところが、司法のいろいろな機構運営審査というような実際的な仕事に変りまして、官制面で與えられました権限と実は多少違つたことをやつておるというような点で、早晩こういう機関に変えませんと、いろいろ仕事をいたしていくのに不便な点がありますので、今回この法案提出いたしたのであります。  それから行政監察の部面につきましては、從來委員会制度でやつておりまして、その実体は踏襲するつもりでございます。すなわちこの法案にありますように、行政管理廳には監察部というものが設けられるのでありますけれども、ただいま予定いたしておりますのでは、監察部行政監察委員というものを置きまして、これは学識経驗者及び官吏の中から四十名以内の人を任命いたしまして、この監察委員が主として監察を行う、実際は從來委員会監察を行つたその実体を踏襲していきたいと考えます。  第二に、行政管理廳予算でありますが、これは今回提出されておりまする本予算案には五百九十余万円が計上されております。  第三に人員でございますが、ただいま予算に計上し、予定いたしております人員は、雇員傭人をいれまして百二人であります。そのうち官吏が五十一名と予定いたしております。これに対しまして現在の行政調査部及び行政監察委員会の両者の定員を合しましたものは九十六名であります。
  7. 河合義一

    河合委員 第三條に「行政管理廳長官官房及び左の二部を置く。」とありまして、管理部監察部とありますが、監察部というところはどういうことをいたすのでありますか。
  8. 前田克己

    前田政府委員 監察部は同條第四項に「第二條第一項第五号に規定する事務を掌る。」と書いてありまして、すなわち第二條の第一項第五号というのは「各行政機関行政運営に関する監察を行うこと。」というのでありまして、これがただいま申し上げましたように、実際は監理部行政監察委員というものが置かれまして、この方々監察を行うことになるのであります。  なお從來監察の実績あるいは將來の構想等につきましては、ただいま行政監察委員会事務局長菊山説明員が見えましたので、詳細は事務局長の方からお答えした方がよろしいと思います。
  9. 菊山嘉男

    菊山政府委員 行政監察委員会は昨年の九月一日に政令をもつて設置せられたのであります。その目的といたしますところは、政府職員執務状況監察いたし、これを民主的、能率的に運営をいたしていくについて、その実情はどうであるか。いかにすればその効果をあげ得るかということを監察いたすのが目的であつたのであります。当初は臨時機関といたしまして六箇月をもつて一應監察を終り、その報告提出するという建前であつたのであります。ところが各廳各省設置いたされます委員会等はその設置の時期が少しく遅れまして、約二箇月も遅れたところもあつたのであります。そんな関係で半年で最終報告を出す予定でありましたのが、二箇月遅れまして、先般その最終報告書提出総理大臣に対していたしたしたのであります。中央各省より、その他ほとんど全國の各行政官廳にわたりましても監察逐げたのであります。この監察をいたされましたのが中央行政監察委員並びに各廳各省設置せられました委員方々が大いに御勉強になりまして監察をいたしたのであります。しかしながらこれは先ほども申し述べました通りに、その設置が多少遅れましたということと、それから六箇月の期間において相当の成績をあげるようにということで、多少急ぎました関係もありまして、まず概括的の監察逐げた程度でありまして、なおほんとうにすべての官廳役職員が民主的、能率的にその事務を遂行していきますには相当期間監察を継続していくことが必要であると認めておる次第であります。そうしてその監察の結果を政府等勧告をいたしましたことが、中間に一度いたしましたのと、それから最終報告において勧告いたしたのと、二度いたしておるのであります。それらは別途印刷物といたしまして各位に配付申し上げておるはずであります。お暇のときにはごらんおきを願いたいと思います。
  10. 河合義一

    河合委員 ただいまのお話では印刷物を配付されたそうでありますが、はなはだうかつで私ども拜見しておりません。それを見ればよくわかるのでありましようが、その観察をされました結果、大体のことでよろしいのですが、各官廳における官吏執務ぶりはいかがなものでありましようか。大体のことを承れば結構であります。実は他の委員会の機会にも二、三日前にこれを申したのでありますが、どうも私どもが見るところでは、一体東京における主務省役人は一日何時間働くことが基準となつておるのでありましようか。時間通り働いておるのでありましようか。内部のやり方などはよくわからぬのですけれども、時間のことはよく目につくのであります。この間も申したのでありますが、省線電車も殺されるくらいの人ごみは九時を中心とした前後である。あれは各省へ勤める役人が大部分である。そうすると役所へ到着して仕事を始めるのは私は十時になると思う。各省行つてみましたところによつても、その時間ぐらいでなければ働いておりません。大体私は五時間ぐらいしか働いているのではなかろうか。上の方はそういう時間で制限するようなことはむずかしいでしようけれども一般の勤めておる人は見たところでは、私は五時間働いていない、働いて五時間、それで一体よいのでしようか。國民はこのことを直ぐ申します。官吏の数の多いことと、執務振りの実に冗長なことを指摘するのでありますが、どうぞ監察された結果、あれでよろしいのでありましようか、それを伺いたいと思います。
  11. 菊山嘉男

    菊山政府委員 監察をいたしました結果、概観して申し上げますと、最近の交通事情あるいは食糧事情等のために、役人が非常に執務が困難な状況に陷りつつあることは、事実のように認められたのであります。ことに東京その他の大都会におきまする官廳に勤務いたしております者は、これらの困難を克服して、いわゆる民主的、能率的の新官吏道を樹立いたしたいという念願に燃えて勤めておるものが、その大部分であることを認められたのであります。しかしながらそのある部分におきましては、これらの交通事情食糧事情その他の生活窮迫事情等に制せられまして、遺憾ながら御説のごとくに、あるいは勤務時間に著しく遅れ、あるいはまたその他非常に精勤であると申しにくいような状態のあるものも、事実であることを認めたのであります。しかしながら大勢の役人中堅分子におきましては、これではならぬ。われわれは最善を盡してこの困難なる交通事情、あるいは食片事情その他の事情を克服して、ぜひともりつぱなる官吏道を樹立していかなければならぬという氣風萠芽が、各方面に認められるのであります。この頼もしき氣風を助長して、これらの官吏をしてその志を遂げさせる途を、達成していかなければならぬということを私どもは感じておる次第でございます。簡單でございますが、一應お答えをいたしまして、また御質問がございますればお答え申し上げます。
  12. 河合義一

    河合委員 そのことは、それは口実をつくれば、どんなことでも口実がつけられるのです。イソツプの物語にも狼と子山羊の話がありますが、理屈をつければどんなことでもつけられる。けれどもそれを切開いて進んでいくことが、わが國の現下の情勢に最も必要だと思う。執務時間というのは交通の故障で遅くなるのは毎日のことではないのでありまして、九時前後は雜路するならば、八時から執務するということにすれば樂に來られる。働くことが裏づけられなければ、サンマー・タイムで一時間遅られたことは何も意味をなさぬ。九時に出勤という時間になつているならば、八時に繰上げたら交通も非常に樂に來られるし、その代り早く退廳すればよいのでありまして、按配をすればどうでもできる。それは一つ口実なのです。國民はそれでは承知していない。私たち農村に働いている者は、なかなか一日に五時間や六時間の働きではやつていけないのであります。どんなにおつしやつても今日の官吏執務振りでは、國民は滿足することはできない。それにいろいろ理屈をつけられて、そんなことでどうするか。そんな監察ならば置く必要はない。私はそう思うのです。
  13. 松原一彦

    松原委員長 菊山説明員がさいわいおいでですから、委員長からも、お尋ねしたいのですが、一体最近官廳行つて見ますと、今の食糧事情交通難からの遅刻などは、若干認められるといたしましても、もう四時になるとすぐにピンポン場になり、ダンス場になり、遊び場に変つておるような感じを私たちはたびたび見せつけられるのですが、一体そんなことが許されることなのですか。公共の場所、しかも殊に官廳は特に大切な事務をとるところでありますが、それが吏員たちのクラブのようなことになつてよいものかどうか。綱紀の頽廃もここから生ずるし、國民は時間一ぱいで追い帰されて、あとはまるで遊び場なつているということを、はたしてどんな目で見ているであろうかと思うのですが、監察委員会ではこういう点につきまして、どういう御見解をおもちでありますかを、委員長からも併せて伺いたいのであります。
  14. 菊山嘉男

    菊山政府委員 先ほど役人遅刻等が多い。また非常に執務態度がだらけているという意味お尋ねがあつたのであります。これは一部の官吏においては、確かにそういう弊害があることを監察委員会としても観察しているのであります。この弊害はぜひとも是正しなければならぬ。いわゆる國民の公僕として、民主的、能率的な官吏道を樹立いたさなければならぬという考えで、監察を進めておるのであります。一部にそういうふうなことがあることは、まことに嘆かわしいことでありますが、しかしながら大部分官吏はこれらを嘆かわしきものとして、ぜひともこれを矯正していかなければならぬという志の擡頭していることは、これまた認めなければならぬと考えておるのであります。そこでその一部の健全なる官吏の志を遂げしめるということが、われわれの努めなければならぬところではなかろうかと考えておる次第であります。  なおまた委員長より特にお尋ねのありました、官廳の各方面におきまして、近ごろピンポンその他の遊戯をやつている者があつて、はなはだ嘆かわしいというお話がありましたが、これも各方面官廳の一部には、そういう状況を見受けられることも事実であります。私どももしばしばそれを目撃いたしております。しかしながらこれは表面におきましては、あるいは晝食後の一時間の休憩時間を利用してやつているという建前なつております。また執務時間外において、職員等からなつております各種の組合等一つ仕事として、役所の空いておりますところを利用して、いろいろの体育設備どもつておるところがありまして、正当にそれらのものを行使して、遊戯をやつておるというものが大部分であると見受けておるのであります。しかしながらああいう遊戯でありますがために、やつておりますとお晝休みが終つた後までもこれを続けるという弊害があることは、いろいろな方々から指摘せられるところでありまして、私どももこの弊害を是正いたしますために、各官廳に注意をいたしておるのであります。最近は職員組合その他においても、非常にそういう方面粛正をしなければならぬという声が上りつつありますから、お説のごとき弊害をこれ以上助長するようなことはないように、またこれを絶滅いたすようにということで、私どもは盡力をいたしたいと考えております。
  15. 河合義一

    河合委員 ただいまの御答弁を私は心から滿足することはできないのです。そのほかのことをちよつとお伺いしたいのでありますが、実は私は兵庫縣から選出されてこちらへ参つております。兵庫縣の片田舎の一つの町村の例をあげて申しますれば、道路の改修をやりますその補助金の問題につきまして、過日ある町の町会議員が二回とも三名ずつ上京したのです。初めのときは町の金を八万円もつて行き、後においては七万円もつて行つたのであります。聽いてみますと、そういう用事でしたら私にでも言えば、すぐ建設院行つて用が済むことであるのに、前回のときは八万円の金をもつて行つた。その次は七万円よく聽いてみますと、縣廳の土木の係りの人もついてきました、そうして縣廳の人が東京行つてこれだけのみやげ物を届ける、お役人に持つていくみやげです。それは大したものであります。あるいはタバコとか、かさの小さい石けんとか、そういうような種類のものだと察するのでありますが、何かのみやげを持つていく。それが來ましたならば、そういう縣廳役人費用万端を、町からついてきた町会議員が賄うようです。これは一つの例にすぎないのでありますけれども、田舎から三人の町会議員がやつてくるのに八万円の金を持ち、七万円の金を持つてこなければならぬ。それがほとんど役に立たぬのです。私一人に手紙ででも頼んでくれば、私が行つて話をすればすぐ解決するようなことが——また実際解決した事実があるのです。どうもこういうふうなことが——近ごろ國会の院内もむろんですが、この汽車の混雜する、また東京に参りましても旅館に泊れば、米を持つてきてそれ以外に一泊千円はとられる。たくさんの人がやつてくる、やつてくるのは今申したようなわけで、縣廳役人がついてくる。その費用も賄うのでありましよう。これは目に余つた事実なのですが、これは私どもの地方だけではない、全國相当あります。そういう点は御監察なかつたでありましようか、これも何かまたあなたの今までおつしやつたような一つ理屈がつけられるのでありましようか、ひとつ承りたいと思います。
  16. 菊山嘉男

    菊山政府委員 今お述べになりましたごとき事実が頻々として起りつつある、まことに憂慮すべき事態だという評判は、私どももよく伺うのであります。そこではたしてそういうことであるとすれば、まことに嘆かわしきことでありまするから、これはぜひ監察を遂げ、この弊風を根絶いたさなければならぬということは、監察委員会委員各位がすべて痛感をしておられるところなのであります。ところがそういうふうのことは事実を突き止めることが非常に困難なのでありまして、この事実を突き止めて、それがはなはだしきに至つては、涜職事件等を構成する疑いがあるということでありますれば、これは当然警察なり檢察廳の問題になるのであります。また監察委員会といたしましても、そういうことを突き止めますれば、これをその方面の官憲に通じまして、粛正の実をあげていかなければならぬと思つているのでありますが、遺憾ながらそれらの役人個々に関する祕密に行われまする腐敗の事実を一つ一つを追うて突き止めていくというところまでは、この監察委員会人手関係から申しましても、また從來の六箇月において相当監察を遂げようという計画から申しましても、はなはだ困難でありましたので、その点につきましては、遺憾ながら不徹底の感を免れなかつたのであります。今までのこの六箇月間の監察はいわば総論のごとき監察をいたしまして、役所事務が非常に遅延をいたす、あるいはまた役所事務のとり方がすこぶる非能率である、あるいはまた役所役人が昔ながらの官僚的態度でもつて執務をいたし、いわゆる民主的な執務方法に移りきつていないという方面のこの氣風を是正をいたしたいというところに主眼をおいたのであります。しかしながらその主眼をおきました監察の結果は、遺憾ながら今日の役人は、終戰後のどさくさまぎれの際でもありましたし、まだ能率的、民主的な官吏道を樹立するところまで至つておらない。われわれはお互いにこれをつとめて完成せしめなければならぬという段階であることを認めざるを得ないような状態であつたのであります。この官界の民主的、能率的の氣風を樹立いたすということが主眼でありまして、これを成就いたすとともに、今お述べになりましたごとき個々弊風、あるいはまた個々の忌むべき非為等はもちろん粛正をいたさなければならぬということでありますので、その方面にも大いに力を入れたいと考えますが、今までのところは遺憾ながら、先ほど申したような総論的の監察終つてつたのであります。また実際監際をやつて個々の非為の摘発ということになりますと、ただいま警察なり檢察廳等の非常な御協力を得つつあるのでありますが、それらの現在の監察委員会人手等関係から申しまして、徹底するについては非常に困難であると考えられます。これらのことについてのほんとう効果を発揮しますためには、全國民諸君の非常な御協力を得なければならぬと考えておりますから、監察委員会としては全力を盡しますが、どうぞこれが全力を盡し得るごとく御協力をくださいますことをお願いいたします。
  17. 河合義一

    河合委員 聽いておれば聽いておるほど、私はばからしくてもう質問はやめようと思う。六箇月かかつて総論一つまとめるというようなことは、官吏執務ぶりがはなはだ民主的でない、そういうことを是正しようということをねらつておるというようなことをおつしやるのですが、一つでもいい、何か火は熱い——熱い火を握つた事実です、何か是正されたか、発足されたか、その一つの事実でもおつかみになつたか、それを聽きたい、理屈はあなたから聽かなくてもよくわかる。たくさんの費用を使つて六箇月かかつてて、今まだ総論をまとめたにすぎないというようなことでは、今後のことが私は心配になるのであります。その間にそういう個々のことについて惡いことをやつたことは調べることができぬというならばそれでよろしい。そのほかのことで何かあなたの方でなさつたという事実を教えて下さい、こういうことをやつたということを……。
  18. 菊山嘉男

    菊山政府委員 先ほど私が申し述べました報告書というものは、お手許に届いておりませんならば、後刻お届けをいたしますが、その報告書にも……。
  19. 松原一彦

    松原委員長 まだ届いておりませんが……。
  20. 河合義一

    河合委員 報告書の中にあるならよろしい、私が見ますから……。時間がはなはだ貴重ですからそれでよろしい。報告書のことを言われるなら報告書を読みますから……。
  21. 菊山嘉男

    菊山政府委員 そのうちにまず第一に官吏の服務紀律の励行をしなければならないということ、また近ごろ官廳で寄附金を募集することが頻々として起つておるが、これらは大いに粛正しなければならぬというふうのこと、並びに十箇條ほどにわたつて勧告政府に出しているのであります。これを一々ここでは申し述べませんが、相当具体的の項目について文書にしておりますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  22. 松原一彦

    松原委員長 委員長からも実はいろいろお聽きしたいことがあります。たとえば大分縣の縣廳舎の一部が辛うじて新築ができあがつて間もなく火を発して、丸燒けになつてしまつた。その原因は退廳後ピンポンをやつてストーブをたいた、その火の跡始末からであるということが新聞に傳えられておる。そういう事実は私は相当たくさんあるのではないかと思いますが、そういうことに対する何か統計とか、何かの監察委員会としての御活動があり、あるいは記録があるのであるか、そういうようなものをいただけますかどうかをお伺いしたい。
  23. 菊山嘉男

    菊山政府委員 火災の頻々として起ることにつきましては、殊に文部省関係監察委員会において、重点を置いて監察いたされまして、学校における出火の原因を調べ、その発生の状況等も調べまして、よく注意しなければいけないという勧告を文部大臣に出したものが、この印刷物の中で報告書として記載されておるのであります。
  24. 冨田照

    冨田委員 第一の点は、いろいろ御説明を拝聽いたしまして、最も感じますことは、國家行政組織法ができましたその根本の精神は、われわれがこの審議にあたりましても、つとめて行政の民主化、能率化、合理化といつた面から総合して、結局簡素なものに仕上げていこう、こういう氣持でやつてまいりましたが、今またこの官廳ができますことは、どう考えても役人本位な物の考え方で、何か役所をつくらなければ氣がすまないという氣持が、非常に強く感ぜられるわけであります。総理大臣はその権限において、閣議もあり、各官廳相当機関をもつておりますから、その上にまたこうした官廳をつくらなければならないということは、どうも役所本位な物の考え方で、せつかく行政機構を簡素化していこうとしますときに、いつの間にやら官廳が殖えてしまう。これは根本の考え方の問題でございますから、あるいは私と意見を異になさつて、やはりこれは必要最小の限度だとおつしやれば、それ以上無理にどうだとは申しませんけれども役所をつくるときの考え方が、役人が現実に即して事務をとつておりますと、やはり長官がいた方がよい、長官がおれば官房ができる、その下の部ができる、部長ができる、そうすれば組織的に能率があがる、こういう考え方、われわれも長い間事務をとつてきた経驗から申しまして、無理もない考え方でありますけれども、今われわれは民主化ということを、言葉の上でなしに、現実の行政面に現わしていく、この立場を考えてみますと、いわゆる公僕としての立場、つとめて物を簡業化して、最高のサービスをしていこうという氣持から行くと、こうした官廳の簡素化という面から考えて、どうも大げさな、わずかの人を集めて一つの何々官廳をつくるという考え方には、にわかに賛成しがたいものがあります。その証拠としまして、たとえば第二條の第二号、第三号を拜見しますと、ほとんど同じことであります。「行政機関機構定員及び運営の」という文字まではそつくり同じであります。しかもその下の「総合調整を行うこと」というその総合調整ということは何を意味するかと考えてみると、第三号の方にあげましたやはり調整もしてみなければならぬ、あるいは企画もしなければならぬだろう、立案もしなければならぬだろう、勧告もしなければならぬだろうと考えてみると、第三号というものは、第二号の説明のような氣持がいたします。ここにただ二号と三号とこうあげますと、そこに仕事の分野ができて、またテーブルが一つ殖える、係が一人殖える。物はこまかくわけていきますと際限のないものでありまして、これがどうしても机上論だと言いたくなるところであります。じつとこの文章を読んでその内容を檢討してまいりますと、現実には、その衝に当つておる人があるかもしれません、これを減らせばその人は一人減つてしまう、あるいは首切りをしなければならぬというようなことを考えると、何か一つの項目を設けておきたいというのが人情でありまして、よくわかりますけれども、私は決して首切りを主張するものでもなんでもない。仕事を簡素化するという建前からいつて、こういう言葉を並べて二号と三号をつくるということは、いま一度考え直していただきたい、それからたとえばその次の第二項でありますが、ここへ参りますと、これだけの事務所掌いたしましても、人事委員会に対する関係においてはこれを適用しない、またほかの法令によつて人事委員会あるいは法務廳、会計檢査院の所掌に属せしめられた事務を含まない……。人事委員会がそうだ、法務廳がそうだ。会計檢査院がそうだ、だんだん例外々々とはずしていつてしまつたら残るものはどこが残る。もちろん残る所はたくさんあるけれども、こういう例外をやつてまいりますと、せつかく一般に関する基本的事項企画するということ空疎なものになりがちであります。こういう点も具体的に他の法令ということは、どの法令であるかということをはつきりさしていただきたい。ただ他の法令と申しますと、われわれがきようこの案を拜見しまして、すぐここでわからないことはもちろんでありますけれども、こういうことを言つておりますと、一々これを調べるだけでも容易でない。これはひとつこの席で他の法令とはどれを意味するかということを、具体的に御説明つておきたいと思います。
  25. 前田克己

    前田政府委員 ただいま拜聽いたしました御意見、私らもすべて御同感申し上げるところでありまして、その意味においてとやかく申し上げる必要もないのであります。ただいま御指摘になりました二、三の具体的な問題につきまして、一應政府側の所見を申し上げたい。第一の機構の簡素化という見地からの行政管理廳に対する御批判でありますが、これは先ほども申し上げましたように、現在の行政調査部行政監察委員会、その事務局、これを合しまして、一つ機関としたものでありまして、人員の点も、申し上げましたように、ほとんど増加いたしておりません。むしろ私ども考えといたしまして、現在の総理廳に種々雜多な機関がばらばらに存在いたしておるということが、おもしろくない。なるべくそのうちほかの省に改せるものは移す、またあるものもできるだけ一つの簡素、強力な機関に統合したいという考えで、この案をつくつたわけであります。実はこの案をつくるまでには種々の案がありまして、最も大きな構想といたしましては、アメリカの予算局的な構想も一時、問題にしたこともあるのであります。場合によりますと、統計委員会事務局というようなものも、これに合一したらどうかというようなことも研究いたしましたが、まず現在のところは調査部と監察の方とを一緒にする、これで行きたいというので、役所の数から申しますれば、むしろ二つのものが一つなつたというふうにも見られると思うのであります。たとえば現在行政調査部は総裁というような名称を用いて、國務大臣を当てておりますが、この案では先般の國家行政組織法の御修正の趣旨に則りまして、廳とし、長官とする、こういうようなふうにも訂正をいたしておる次第であります。  それから第二條権限の問題でございますが、これは從來のこういう法律、あるいは官制におきましては、非常にこういう点が簡單に書いておつたのであります。ところが最近いろいろの関係から、こういう権限というものはできるだけ詳細に書きまして、國民が見てこの役所はどういうことをやるのかということが、はつきりさせる方がよいという意見が有力でありますので、この法律案につきましても、できるだけ詳細に書いた次第であります。その結果多少二号と三号の間が、一は抽象的に、一は具体的に言つたにすぎないではないかというふうに、重複するような部分もできるかと思うのでありますが、これはただいまのまのような方針をとりました結果、多少そういう点が出てくるということを、御了承願いたいと思うのであります。  それから第二條の二項で、種々の除外例が記載しておりますが、このうち前半と後半は少しく意味合が違いまして、後半におきましては、「他の法令により人事委員会、法務廳及び会計檢査院の所掌に属せしめられた事務を含まないものとする」。これは実は当然と言えば当然の事柄でありまして、人事委員会で申しますと、行政制度一般のうち公務員制度というものは、人事委員会権限内、それから法務廳は、法令の審査及び法令的見地からの種々の制度の調査ということが法務廳設置法で盛つております。また会計檢査院は監察的な機能のうち会計経理という見地からの権能をもつておるのでありまして、こういうものはその所掌に属せしめないということを念のためここに言つたにすぎないのであります。これあるがために行政管理廳の権能を損うものではないのであります。なお他の法令というのはさしあたりはここにあります三機関設置法、人事委員会につきましては國家公務員法のことを考えておりまするが、今後また別の法令でこういうことは法務廳に属する、あるいは人事委員会が行うとかということが出てまいりました場合には、それをも包含する意味で他の法令という字句を使つたわけであります。さしあたりのところはそれぞれの三機関設置法と御了承願いたいのであります。ただ二項の除外例のうち前半の人事委員会に対する関係はそれを適用せず、これは明らかに新しい行政管理廳権限の一部縮少と申しますか、一部の適用差控えになるのであります。これは人事委員会のもちますきわめて特殊な性格、殊にその権限を独立に行使して人事行政の公平を保たなければならないという見地から、むしろこれについては行政管理廳としての方面から制約をつけない方がよろしいという意味で、この除外例をおきました。
  26. 辻井民之助

    ○辻井委員 河合君から質問された点についてもう少し簡單にお尋ねしたいと思いますが、さきにお話の報酒書は今ここで配付を受けまして一應目を通してみますと、いずれもごく抽象的なことで、河合君から言われた通りにこの程度のことは一般の常識になつておることであつて、六箇月間かかつてわざわざ監察する必要もないような事項だと考えられますが、相互勧告というのはただこういう文書をお出しになつただけであるか、もつと具体的にいろいろ不合理な点、だらしのない点を追及して、それの改善を勧告せられたかどうかという点をお聽きしたいのであります。先ほど菊山さんから個々の事実は突き止めるのになかなか困難だというお話がありましたが、役人の陳情などの出張でありますが、これはもう役人が府縣会を懐柔しごきげんとり政策のために故意に行うというしか考えられない。むしろ役人自身が役得の一つとしてほとんど必要ないような事務的な問題のために打合せとか陳情とかいうために大勢でやつてくる。はなはだしきに至つて東京にそのための宿舎を設けておる府縣さえもある状態でありまして、その弊害は実にはなはだしいものがあると思います。こういう点を具体的に調べようとすれば——何回出張しておるか、その出張費がどこから出ておるかというような点を突き止めようとすれば、何どきでも調べることができるのであります。また東京にやつてくるだけでなしに管内においても始終必要のない出張をやる、場合によつては講演なんかをやつてその謝礼なんかをもらつておる者もある。おもに上層部の特権官僚といわれておる連中でありまして、部長とか課長がこういう状態では下に十分な範を示すこともできないわけでありまして、一層一般がだれてくるわけであります。ほとんどこれも常識になつておる。これを具体的に突き止めようとすればこれはいつでもでき得るわけであります。こういう事実を追及して具体的な事実を示して、その改善を促すような勧告をされたのか、あるいは通り一片な簡單な勧告文をお出しになつただけであるか、もしそうだとすれば私も河合君と同じようにすこぶる不滿足であると申し上げなければならぬのであります。もう少し具体的にこの点についてもお伺いしたいと思います。
  27. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そのことに関連しまして、私は一つの例をあげて調査の対象になるからぜひこの点を発表していただきたいと思う。これは鳥取縣の本年度の予算調査した結果、私の記憶では六百万円だつたと思つておりますが、あるいはその点は間違つておるかもしれぬが、とにかく何百万円かを中央の接待費という名目で計上してある。そこで鳥取縣の農民團体協議会が縣知事に面会をいたしましていろいろ交渉いたしました結果、縣知事が声明書を出しまして、これは中央の方へ請願に行くとか陳情に行くとかのみやげ代あるいは宴会代あるいは縣の方へ中央の高級の役人が出張してきたときの接待費でやむを得ぬ、どこの縣もこれくらいはとつておる、私の縣の方はむしろ少い方だという声明を堂々と発表したわけです。そういう対象は現にあるわけでありますから、あなた方の方が調査ができないとか何とかいうことは遁辞であつて、現にこれは鳥取縣に、金額の点はちよつと違うかもしれませんが、私の今の記憶では六百万円を縣の予算にはつきり組んである。この問題は現に相当紛爭状態を起しておりますが、特にあなた方の方から大きな問題として取上げて、御調査なつて糾明していただきたいと思う。縣知事ははつきりと言つておる。これはしかたがない、今はこういうことをやらぬと東京に出ても相手にしてくれぬ、こういうことをはつきりと縣知事が声明しておるわけです。その点御斟酌の上調査方をお願いしたいと思う。
  28. 菊山嘉男

    菊山政府委員 辻井、木村両氏のお話でございますが、個々の事実を調査することは困難だと申し上げたのは、個々の事実を調査するという單なるそれだけの意味ではありませんので、私の申し上げましたのは個々の犯罪を調査するということはこの行政監察委員会においては困難だということを申し上げたのであります。それで役人の非違欠陷は個々の事実といえどももちろん重点をおいて調査をいたすのであります。しかしながら過退の六箇月の間におきましては、その個々の事実にまで立ち入つて的確なる証拠をあげ得るまでには至らなかつたということをちよつと弁解をいたしたような次第であるのであります。それから具体的におあげになりました地方の役人東京に出張してまいりまして、それらの人たちがいろいろな金を使うということであります。これも評判としては私どもはよく伺つておるのであります。しかしながら行政監察委員会監察いたしますのは、國家の官吏の行動について監察をいたすのであります。從いまして今日の制度におきましては、遺憾ながら府縣の自治体の吏員のやつたことにつきましては、直接の対象にはいたしがたいことになつておるのであります。そこでこれは必ずや國の官吏のやつたことと関連をもつものであろうと考えられますから、それらの國の官吏のやつたことと関連をもつ際においては、その方面から監察を進めていきたいと考えております。そういう評判はしきりに聞くのでありますし、私ども個々の事実につきましては、相当監察の目を光らさなければならぬと考えておりますので、將來はよくそれらのお述べになりましたような事実をもとといたしまして、監察を進めたいと存じます。  それからなお中央行政監察委員報告書というものが四月の終りにできたのでありますが、これは当時決算委員方々に全部配付をするようにという御要求がありまして、事務局の方から提出しておいたのであります。しかしながらなおお手もとにまいつておりませんならば、後刻差上げることにいたしたいと思います。
  29. 木村榮

    ○木村(榮)委員 ただいまの答弁は非常に責任を回避しておられる。鳥取縣の問題としては昨年度は大体その三分の一ぐらいを使つた。今年はインフレで物價も上つたのでそれを組んでおらなければ、それでは商賣にはならぬと言つておる。それは全部東京に出て割当をもらうとか、還元配給をよけいもらうために使つたと、縣会でも言つておるし、新聞にも声明書を出しておる。前年度は二百万円くらい東京各省で運動費を使つたと言つておる。対象があるのだ。われわれの方でも調査がある。そういうことを総合的に御調査なさらぬとわからぬ。東京だけ突つついてもわからぬ。鳥取縣では現にそう言つておる。一体どこの省でだれが何をして何百万円使つたかということをお調べになれば、農林省でなんぼ、あるいは商工省でなんぼということは、向うに出張旅費は書いてあるから、何月何日に東京に行つたということはわかるわけです。これは簡單にわかる、現に金を出して招待したと声明しておるわけですから、何月何日に商工省の何課長を、何月何日に農林省の何課長をということはわかつておる。簡單なんです。それを権限以外だとか何とかいつて、あるいはあなた方が兄弟分の高級官吏を防衛して、臭いものに蓋をするということはきわめて不都合なやり方だと思います。
  30. 菊山嘉男

    菊山政府委員 ただいま鳥取縣のお話がございましたが、先ほど申しましたのは、自治体たる鳥取縣の会計その他を監察する権限をもつていないということを申し上げたのでありまして、それが政府官吏を相手にばらまかれておるということでありますれば、それはわれわれ当然しなくちやならぬことであります。しかし今日までその事実は、東京辺の官吏にどれだけばらまかれたということはまだ取調べておりませんが、將來大いに注意をしたいと思います。
  31. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それではわれわれの方からそういつた調査資料をお出しすればこつちの対象について十分御調査なさるわけですね。それでは追つてまたお出しいたします。
  32. 河合義一

    河合委員 委員会は六箇月間にどれだけの費用を使つたのですか。それを承つておきたい。
  33. 菊山嘉男

    菊山政府委員 三箇月間に使いました費用は、大体三十万円程度でございます。
  34. 樋貝詮三

    樋貝委員 ちよつと伺いますが、さつきから質問應答を聽いておると、これを調査しないとか、調査したとか言われるが、結果は一体どうなさるおつもりなんですか。それを承りたい。一体現状というものについて、耳をおおつて鈴を盗むようなたぐいをやつてつてもしようがないと思うのです。一体どちらの方に前進されるおつもりか。それを承りたい。  もう一つはここに監察部があるが、その結果は一体どうなるのですか。監察部だけで握りつぶしするつもりでしようか。あるいはこれをどういう方法で発見するつもりでしようか。長官所掌事務として内閣総理大臣に対して意見をお述べになることはあたりまえな話なんだと考えますが、これをどういうお取扱いをするつもりですか。この二件についてお伺いしたい。  なおごくこまかいことですが、第四條が少しだぶつているように思いますが、御考究になつたらという氣がします。
  35. 菊山嘉男

    菊山政府委員 委員会報告書は形式的に申しますると、内閣総理大臣提出するということに相なつておるのであります。そうしてその提出されましたる報告書に基きまして、内閣の各主管大臣が、自分の責任においてそれぞれこれを徹底をし、その実現を期するよう努められることになつております。しかしながら実際におきましては報告書をかためるに至りますまでの間に、委員会委員その他の者が各省各廳に調査に参り、その際にその責任の方々とともにいろいろ研究をいたし、注意すべきは注意をし、是正すべきものは是正をいたしつつあるのであります。この結果といたしまして、たとえば認許可の非常に遅れておりますものが促進をせられたという事実は相当たくさん認められるのであります。また請負代金の支拂いの遅延がこれがために非常に早く行われるようになつたという事情も顯著なものがあるのであります。將來とも監察の結果、これを実現すべきものは全力をあげて早く実施に移したいつもりでおります。
  36. 前田克己

    前田政府委員 今の樋貝委員の最後の質問ですが、この御質問の趣旨は第四條とほかの條文との重複の問題でございましようか。第四條内の重複の問題でありましようか。第四條内としてはここに書いてあることは別に重複もしておるようには思いませんが、あるといたしますれば第四條と第二條の間に重複が……。
  37. 樋貝詮三

    樋貝委員 いや、四條の中です。
  38. 前田克己

    前田政府委員 やはり一應こういうことを書いておきました方がはつきりいたしまして、総理大臣に対し意見を上申するということは総理廳の外局でありますから当然でありますが、二項のごときはやはり一應この権限を明らかにしておいた方が仕事がやり易いという意味で書きました。
  39. 樋貝詮三

    樋貝委員 では私の質問を少し詳しく申しますと、さつき菊山説明員お話に、人事委員会のことについていろいろお話がありましたが、私はそんなことを聽いておらない。人事委員会ないし監察部は何をなさるかということをお聽きしたい。ここに人事行政管理部の中においておるところの監察部というものが、一体どういうように働くのか。人事委員会がどう働くかということはわかつておりますから、そのことについては別に申し上げたわけではない。それから菊山政府委員のお答えくださいました四條の点は、「行政管理廳の長は、行政管理廳長官とし」というのは要らぬじやないか、ほかのものでは一々そんなことは言つておりませんので、こんなことを丁寧に言つたのはどういうわけかということをお聽きしたい。それから先ほど申したように監察部の方の仕事がどこへ発展していくのか、どういうふうに結論をつけるのか、先ほど來いろいろ御質問なつたが、今日において各官廳方面にたくさんの金を使つておることは事実だと思います。それをよいとするのか、これはいかないのか、どういう方法を講ずるかということをお考えなつておるか伺いたい。このいいか惡いかということをやつてみたつてないことはない、あることはあるのですから、そういうことをどういうふうに防止するのか、あるいはできるかできぬかというような点を、それをほかの議員の方もお聽きになつておるのではないかと私は思うのですが、そのことについてはあまり触れず、いずれ考究するというような御答弁でありますが、何かそれについて具体的にお考えなつておるかどうかということじやないかと思います。監察部というものがその間において十分な働きをしなければならぬと思うが、どういうふうにお働きになるつもりであるか、これをお聽きしたい。
  40. 菊山嘉男

    菊山政府委員 監察の結果は、関係各省、各廳の長官勧告をいたしまして、その勧告の趣旨によつて実現をはからしめるというのであります。今日におきましても、先ほど申し述べましたように、寄附金をむやみに仰せつけてはいけないとか、あるいは官廳執務官吏服務紀律の励行をしなければいかないとかいうふうの勧告はいたしておるのであります。これがために相当効果をあげつつあるように考えております。監察目的は、先ほども申しましたように、官廳の民主的能率的の新官吏道を樹立するのだ。その民主的能率的に現在の役人が動いているかどうか。またこれを阻むものがあるかどうかということを監察いたしまして、その阻むところを取除き、新しき官吏道を樹立するように仕向けていこう、それが目的なのでございます。その実行の衝にあたりますものは、それぞれの行政官廳長官がその衝にあたつていく、その長官に対してそういう勧告の趣旨が行われるようにこちらから仕向けていく、こういうわけなのでございます。
  41. 樋貝詮三

    樋貝委員 どうも私の申し上げておることと少し食い違つておるところがあります。だれから勧告をなさるのですか。長官ですか、國務大臣ですか、どつちの方からなさるのでしようか。それとも管理部の部長のような属僚の方からでもするのですか。どうも大体において國務大臣の方から言わなければいかぬと私は思うのですが、それについてどういう手続をしておるか、その内容などについてお聽きしておるのではありません。
  42. 菊山嘉男

    菊山政府委員 勧告長官からすることになつております。それから意見は総理大臣に上申することになつております。
  43. 樋貝詮三

    樋貝委員 今のは長官から勧告ができましようか、外局長官に何らの権限が與えられておらない、その勧告ができるということはどこにありましようか。
  44. 菊山嘉男

    菊山政府委員 必要なる勧告を行うということになつております。
  45. 前田克己

    前田政府委員 ただいまの最後の御質問でありますが、第二條の第三号に勧告を行うという権限が與えられております。それから先ほどの御質問のありました「行政管理廳の長は行政管理廳長官として、」この字句は要らぬじやないか、これは國家行政組織法が施行になりますればおそらく廳の長は長官という字句がはいりますので、不必要になると思いますが、まだ施行前でありますので、廳の長を何と呼ぶかということをいずれかできめなければなりませんので、廳の一番の長だけを法律に規定いたした次第であります。
  46. 樋貝詮三

    樋貝委員 どうも長引いてはなはだ恐縮ですが、御説のように、二條三号によると勧告権を認めておりますが、そうするとこれは管理部の方に移して、管理部の方からでも長官に話をする、そういう手続でもするのですか。
  47. 前田克己

    前田政府委員 監察のことにつきましては、監察部から長官の方に意見がまいりまして、長官から勧告する。もつともこの二條の三号の勧告管理部の方の権限に属します事項の勧告もあり得るわけであります。
  48. 河合義一

    河合委員 まだ質問はたくさんあると思うのです。こういう調子でしたら、ほかに急ぐこともありますからこれはこのくらいで、続行するにしても、今日は打切つたらどうですか。
  49. 松原一彦

    松原委員長 それではこれは続行することにして、一應ここで質問を打切るということについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。それでは行政管理廳設置法案に関する質問は、本日はこれで打切りまして、なお続けて行うことにいたします。
  51. 松原一彦

    松原委員長 お諮りいたします、本日の日程に掲載されております厚生省官制の一部を改正する法律案につきましては、昨日すでに大体質疑を打切つてありますので、本日は各党の御態度も決定いたされたことと思います。從つてこの際厚生省官制の一部を改正する法律案内閣提出百七十六号を議題となし討論に付します。
  52. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 本件についてはこの際討論を省略してただちに採決いたされんことを望みます。右動議を提出いたします。
  53. 松原一彦

    松原委員長 中曽根君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。原案に賛成の諸君は御起立を願います。     〔総員起立〕
  55. 松原一彦

    松原委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り全会一致可決確定いたしました。
  56. 松原一彦

    松原委員長 この際お諮りいたします。國土委員会の方から建設省の法案につきまして連合審査をいたしたいという申出があります。これは國土委員会の方では久しい間建設省の設置ということを研究いたしておるので、ぜひこの際に一度意見を申し述べたい、かような熱心なお申込みであります。日にちもありませんから、いろいろ相談いたしましたが、たつての希望でありますから明後月曜日の午後一時から連合審査会を開きたいという先方の申出に應ずることに御異議ありませんか。
  57. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 國会の日程を考えますと日数もございませんので、この前経済査察廳の法案を審議いたしましたとき、司法委員会からの合同審査の申出がありまして、問題が複雜であつたためずいぶん審議が遅延いたしましたが、建設省の問題については國土委員会との合同審議は明後日のただ一回限りとして私は賛成いたします。
  58. 松原一彦

    松原委員長 ただ一回限りとしてこれをば承諾するということについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 松原一彦

    松原委員長 それではそように決定いたします。國土委員会との連合審査会は來る二十八日月曜日の午後一時から開催いたすことにいたします。暫時休憩いたします。     午前十一時三十二分休憩      ━━━━◇━━━━━     午後一時三十三分開議
  60. 松原一彦

    松原委員長 これより休憩前に引続き開会いたします。  御承知の通り本委員会で審議中の経済査察廳法案は、審議懇談を重ねること十数回で、すでに質疑應答も詳細にわたつて出盡し、現在修正の段階になつておりますが、その後司法委員会からのお申出もありまして、連合審査の結果に基き案文の作成その他種々司法委員会側の御意見も承り、また理事諸君の御盡力によりまして、各方面との折衝も続けてまいつたような次第でございます。昨日はまた鍛冶司法委員からの修正点に対するお話もございまして、この点につきましてもともとと御協議、御懇談を重ねたような次第でございます。よつて本日はその結末を得たいと存ずる次第でございます。  この際中曽根君より修正案が提出いたされております。この修正理由につきまして発言を許します。中曽根君。
  61. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 議題となつております経済査察廳法に対する修正案を申し上げます。  まず第一、タイトル、経済査察廳というのは経済調査廳とかえたいと思います。以下法文の内部において査察あるいは査察官という言葉はすべて調査ないし調査官とかえます。  それからこの法律各條中二項以上にわたるものについては、各項の文章が始まる最初の文字の上に一字をあけ、それぞれその項を表示する算用数字を加える。  第一條第二項本文を次のように改める。  中央経済査察廳は、國民経済の調和ある復興を図るため、物資の生産、配給及び消費並びに物價(賃金を除く。)に関する経済統制を円滑に実施することを目的として左の事務を掌る。  同條同項第三号乃至第六号を順次一号ずつ繰り下げ、第七号を第三号とし、次のように改める。  三 行政機関の行う経済法令に関する経済施策の実施に対する監査に関する事項  第二條中「、局長二人及び部長一人」を「及び部長三人」に改める。  第三條第一項中「監査局、査察局」を「監査部、査察部」に、同條第二項中「各局部」を「各局」に改める。  第四條第一項中「経済安定本部総務長官たる」を除き、同條第四項中「局長及び部長」を「部長」に、「局又は部」を「部」に改める。  第十三條第二項中「第一條第二項第一号乃至第六号及び第八号」を「第一條第二項第一号第二号第四号乃至第八号」に改める。  第十七條を削る。  第十八條を第十七條とし、同條中「第一條第二項第一号乃至第六号及び第八号」を「第一條第二項第一号第二号第四号乃至第八号」に改める。  第十九條を第十八條とし、同條中「五千人」を「三千五百人」に改める。  第二十條を第十九條とし次の一項を加える。  3 経済調査官は、上官の命を受け、第一條第二項各号の事務を掌る。  第二十一條を第二十條とし、同條第四項乃至第六項を次のように改める。  4 経済調査官は、第一項の許可状を他の経済調査官に交付して、調査をさせることができる。  5 経済調査官は、第一項の許可状に基き調査をするときは、許可状の執行に從い且つ差押及び身体についての捜索をする所轄の警察官又は警察吏員を同行しなければならない。  6 経済調査官は、第一項の許可状に基く調査をすることができるが、差押及び身体についての捜索は、警察官又は警察吏員に限りこれをすることができる。  第二十二條を第二十一條とし、以下第二十四條まで順次一條ずつ繰り上げる。  第二十五條を第二十四條とし、同條第一項中「逮捕させることができる。」を「逮捕を求めることができる。」に改め、第二項中「第二十一條」を「第二十條」に改める。  第二十六條を第二十五條とし、同條第一項中「第二十二條」を「第二十一條に」、「第二十五條を」を「前條」に、「第二十一條」を「第二十條」に改める。  第二十七條を第二十六條とし、以下第二十九條まで順次一條ずつ繰り上げる。  第三十條を第二十九條とし、同條中「第二十一條」を「第二十條」に、「第二十五條」を「第二十四條」に改める。  第三十一條第三十條とする。  第三十二條を第三十一條とし、同條中「第一條第二項第四号」を「第一條第二項第五号」に改める。  第三十三條を第三十二條とし、同條中「第一條第二項第六号」を「第一條第二項第七号」に改める。  第三十四條を第三十三條とし、同條中「第一條第二項第七号」を「第一條第二項第三号散に改める。  第三十五條を第三十四條とし、同條第一項中「経済統制の励行を確保するため」を「経済統制を円滑に実施するため」に改める。  第三十六條を第三十五條とし、第三十七條を第三十六條とする。  第三十八條を第三十七條とし、同條第一項中「六月一日」を「七月一日」に、同條第一号中「五人」を「四人」に、同條第三号中「局長及び部長」を「部長」に、同條第七号中「十一人」を「八人」に改め、同條第九号を削る。  第三十九條を第三十八條とし、第四十條を第三十九條とする。以上でありますが、條文調整その他については、まだ粗漏があるかもしれませんが、削除になつたもの以下は順次繰上げ、その他各條の内容において、右に相應ずる條文の調整を行うことにしたいと思います。
  62. 松原一彦

    松原委員長 これより経済査察廳法案を議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。松本一郎君。
  63. 松本一郎

    ○松本(一)委員 ただいま提案され、議題となつております経済査察廳法案であります。先ほど中曽根委員より修正案の御提示がありましたが、私どももこの案を仔細に吟味いたしました結果、先ほどの程度の修正案では遺憾ながら賛成しがたいのであります。先日來本案審議にあたりまして、委員長初め委員各位が連日熱心に御審議くだされましたことは、非常に感謝いたすところであります。しかしわが國の國民経済、生活すべてに影響する画期的なる新しい試みの法律案でありまして、これが制定、実施されるといなとは、國民生活、経済すべてに重大な影響を及ぼすものと私は考えるのであります。この法案の審議にあたりましては、われわれは國民代表としまして、よく忠実なる義務を遂行する上から、さらに愼重に愼重を期して審議しなければならぬと思いまするが、先ほど提案になりたる修正案程度では國民の意思に副うことは遺憾ながらできない。さらに大幅の大修正を加えるか、もしくはあらためて本案の提案のし直しをして、内容を根本的に修正して出すというだけの政府に決意がありますならば、そのときわれわれもあらためて審議をいたしたい、かように考えます。今日わが國の経済が、すべてのものは國内で自給自足できないということは、敗戰の結果遺憾千万と考えなければなりません。從つてアメリカ初め諸外國から物的援助をいただいておる。この御好意に対しましては、私どもは満腔の感謝の意をささげるものであります。從つて國内にすべてのものを努めて増産しこれを供出配給等適正なる流通秩序の確立をはかるということに最善の努力を拂うべきことは、政府を初めわれわれともに協力一致するということにおいてはいささかも吝とするところはありませんが、そもそも経済違反がどうして生ずるかという根源をわれわれは一應突きとめて、しかして後取締によつてどれだけの成果が期待し得られるかという結論を見出して立法化されなければならぬ。かように考えるのである。しかるときにやみの生ずる原因の一つとしては、敗戰の結果わが國の國土は非常に狹められた。天然資源は乏しい。人口は八千万も越えるほどの密度である。乏しきものをお互いに公平に分け合うことができればいいけれども、終戰以來國民の道義心は頽廃低下してきております。配給だけでは足りないので、つい心ならずもやみで賄つて日々の生活を営まなければならぬという人も多数に上つている。帰するところ乏しきものの爭奪戰という醜い現象を今來していることは遺憾でありますが、その乏しき物を努めて公平に分配して、美しいマル公生活のできる日本の國にするということにつきましては、先の片山内閣初め相当御苦心を願つたところである。昨年も片山首相は、やみを撲滅するには労働組合諸氏の協力を求めなければならぬということなども、しばしば言明された通りである。しかるに依然としてやみが横行しておつて、今日かようなときに、國民の自由と権利を拘束するような、新憲法の精神にもあるいは相反するような立法をせなければならぬということは、片山前首相が言われたことを裏づけるだけの具体的な方策を講じられておらなかつたということなども考えられるのであります。労働組合が、たとえば國鉄、あるいは通運会社、またはトラツク、その他これらにたずさわる人が、眞に心から協力する、しかしてこれを裏づける何物かがあつたならば、あるいはやみはもつと早く、ある程度の撲滅はできておつたのではなかつたかと思うのでありまするが、抽象論的なる、これまでのお説はたびたび聽きましたけれども、具体的に適当な手が打たれておらなかつたということは断言してはばからぬと思うのであります。つきましてはわが國の経済が適正なる供出配給で國民生活が営まれておらぬということから考える点と、さらにいま一つは、かような経済警察権を一段と強化するがごとき査察官を全國に派遣するというようなことになつた結果、よつて生ずる現象は、あるいはすべての物の生産、すなわち林業、あるいは農業、商工業、漁業等の増産しなければならないものが、むしろ減産をするというような憂うべき現象を來しはしないか、インフレ克服の前提條件としては、流通秩序の確立もその一つではあるけれども、根本は積極的に物を増産することである。物を増産させるがためには、これら生産面にたずさわりまする人々が、心から氣持よく愉快に勤労精神を発揮して助力させる政治方式をとるよりほかに途がない。ただ権力によつて屈服服從せしむることによつて物の増産ができるなどと考えたら大きな誤りである。私はまずかように考えるのであります。それと今日やみは今なお途絶えず横行しておる。しかしそのうち大口やみは、新聞紙上でも連日傳えらるるごとく、業者と官吏と結託して行われておる傾向が多分にあるのでありまして、たとえば昭和電工の日野原社長事件のごとく、またはさきの運輸次官の疑獄事件のごとく、または商工省の肥料課長のごとく、その他枚挙にいとまがない。そこで経済査察官設置しましても、畢竟するにこれは官使、すなわち役人である。わが國の官吏役人が新憲法第十五條の精神に則つて、眞に國民全体の奉仕者なりというような考えをもたれる人々が多数あるならば結構であります。遺憾ながら現実はさような人はごく少数である。大多数の人は道義観念非常に低下し、汚辱、汚職行為が多いのであります。こういうときに査察官を増員して全國に派遣してみましても、帰するところその査察官がまたぞろ業者と結託して、さらにやみを高めるの結果になりはしなかろうか、このことを第一私はおそれるのであります。  第二に心配いたしますことは、わが國の現状は官吏亡國とまで言われるほど公務員の数が殖えたことは御承知の通りである。昨年暮公團を設置し、あるいは石炭國家管理その他役人の殖える制度、施設は多々行われておりますが、昨年十二月におきましても、國民百人に対して役人は十六人であつた。今日におきましてはおそらく二十人にもなんなんとするのではなかろうかと思います。アメリカにおきましては國民百人に七人の役人で賄つておるのに、なぜに日本だけがこう役人を殖やさなければならないのが。從つて國民の負担はますます過重の度を増すばかりであります。昨年度千三百五十億円の税所得は、本年予算を見ますれば約二千六百億、その他專賣益金等合わせて約四千億の諸税收入を見込まなければわが國が賄えぬ。これすなわち國民の全部の人にかかる大きな負担でありまして、殊に生産面に携わる人々は、今やまさに血税をしぼられて苛斂誅求に悩んでおるのであります。國民の税負担もすでに最高限度に達しておる。もしこれ以上を國費を費消することを考え國民の負担を重くせんか、おそらく國民からはごうごうたる怨嗟の声のみならず、遂には徳川時代あるいは明治初年に見られたような、暴動となつて現われぬとも限らぬのであります。さような点から考えて、今またここに三千五百人の査察官を設置するということは、その俸給あるいはあちらこちら歩く旅費等を見積りましたならば莫大な金額に上り、予算面では七億円にもなつておりますが、六・三制の学校の補助あるいは公共事業費等ことごとく國民の意思に副わないほど少額であるときに、こういうことに莫大な巨費を費消して、それだけの効果があがるかどうかということに私どもは大きな疑問をもつものであります。結局これがねらいはやみの撲滅にありましようが、大口やみはさき申しましたような業者と官僚と結託して裏から逃げる。ひつかかるものは小口のやみである。すなわち東京の食生活を補わんがために、心ならずもリユツクサツクを背負つて買出しに行かなければならぬというような人々を、終いには対象にしてしまうのではないか。本日承りますのに埼玉縣の持田駅の助役が報告したところによりますと、先日來一日に一万貫の生馬鈴薯が、やみ屋の手から東京に運ばれたということである。これらのものを、かような査察官を派遣して監視さられることによつて、なくすことはできるかもしれませんが、ことさらこういうものを設けずとも、電鉄、國鉄の從業者に何らかの方法をもつて、具体的にさようなものをなくする適切な手段を講ずれば、國費を使わずとも成果をあげ得られるのではないか。その具体的の方法については、私ども一つの計画はもち合わせておりますが、時間の関係できようは発表いたしません。さようなことを考えますとき、究極の目的と得た結果とは正反対のものとなる。先般わが國に御來渡願いましたドレーパー御使節の報告書を拝見いたしましたが、わが日本の統制経済も徐々に解除して、重要産業はしかたがないが、その他のものはなるベく寛大にして自由経済に復帰し、將來の日本を自由なる民主國家にするといす、日本人にとりましてはありがたい御報告を受けたのであります。しかるにその矢先、今自由をますます拘束し、統制をあたかも強化するがごときこういう法案を審議しなければならぬということは、非常に私どもは遺憾にたえないのであります。さようなことはあるまいとは思いますが、あるいは私どもの卑見かは知りませんけれども、戰時中は軍人は自分たちの意思を貫徹するためには、天皇陛下の御名をよくお使い申し上げたのである。今日は「國民のために」という名のもとに関係方面に名を借りて、法律を彈丸として自分たちの権力を拡充するがために、國民を攻撃するがごとき法律、政令をしばしば見受けることを、非常に遺憾に思うものである。眞にやみをなくしようという精神に政府並びに國民が立つたならば、まず第一になさねばならぬことは、政府総理大臣初め各大臣、また府縣におきましては知事あるいは市町村長、ひいてわれわれすなわた國民の指導者たるべき者は、身をもつて実践垂範して、しかして後國民に教え、また國民を指導すべきものではないか。みずから行わずして國民に臨み、これを強いることは大きな間違いではないか。おそらく國民は納得がいくまいと私ども考えるのである。この見地に立つて考えますとき、まずやみをなくするならば、指導者みずからが実践垂範する。このことが先決問題である。しかるにわが國の指導層の人々の行動やいかに。この國会においても不当財産取引調査委員会において論議されておるごとく、ますます國民思想の惡化と頽廃を招來するのではないか。かように私は考えるのでありまして、流通秩序の確立のためには、ただ一片の法律によらずして政府が誠意を披瀝して、國民に納得のいく方向を身をもつて実践垂範指示することよりほかに途がない。なお足らざるところを取締りの強化によつてつていくということでなければならぬ。また査察官を設置して全國に派遣します場合には、地方には地方警察、國家警察並びに檢察廳、裁判所あるいは府縣という行政官廳等がありまして、これらの人人もおのおのみなやみ撲滅、流通秩序確立には眞劍になつて努力しておるのである。昨年警察制度が変りまして、地方警察と國家警察にわかれた。それ以後やみがますます激増して横行しておるかと思しますれば、私どもは決してしからば、むしろ最近は大口小口のやみが、終戰直後当時よりもだんだん減少を來しておるのであります。ことに隠退藏物資の摘発ということになりますと、もうすでに隠退藏物資は大方隠れてなくなつてしまつておる。処理済になつておる。すなわちこれからの取締りは、新しくできたものを公平に供出配分するということにあるのでありまして、戰事中並びに終戰以來実施しなかつたようなこういう法律を、終戰後すでに三年になつた今日、しかも自由なる氣持で國民が勤労精神を発揮して立上らなければならぬこの大事なときに、またぞろ権力によつて國民を拘束圧迫せんとするがごとき弊害に、往々にして陷りやすいこの法律を今つくることは非常に危險である、こう私は思うのであります。すなわちこの衝の当る査察官なるものが、憲法精神といい、よく今日の日本の時代感覚をもち、國民公僕の精神に徹した人があるならばよろしいが、悲しいことにはさような人は少いのではなかろうかと思うのであります。終戰後三年の今日になつてかような法律をつくることが、すでに逆行である。同時にこの法実施によつて、善用さればよろしいが、一歩誤らんか農、商、工、林業、漁業のすべての生産を減退せしめて、角をためんとして牛を殺すの結果を招くのではないかと私は思うのであります。おそらく私の考えと八千万國民皆同樣である。しかしわが國を完全な社会主義國家とし、社会化されたる警察國家とするという考えを持たれる人はこれまた別である。もし本法実施後一歩これを誤つて施行せんか、あたかもソ連のゲー・ベー・ウーに類すべき経済祕密警察とも言うような結果を招くのではないか。殊に最近は公務員の中に共産主義的思想をもつ人が多分に殖えてきております。このときにもしかような制度を設けることによつて、あるいは惡意にこれを行使されたならば、わが日本の経済を根底から破壞し、日本をして共産主義化するおそれが多分にあるのではないか。物に危險なるはこの法律であると私ども考えるのであります。  いずれの角度からしさいの檢討いたしましても、この原案なり、あるいは修正案なりではよき結果をもたらすよりも、むしろ弊害の方が大なるものなりと私どもは痛感いたします。國民代表としてこの國会の議席に出ておりまする以上は、その責任と義務の重大性に鑑み、あと郷里へ帰つて、私どもを自分たちの代表として民主政治確立のために派遣してくださつた有権者各位に合わす面目が奈辺にありや、かようなことを考えますとき、私ども國民に心から得心のいく法律制度を設けたい。しからざれば職を辞して一國民に下るだけである。これだけの信念と覚悟をもつてどもはこの國会にまかり出ているのであります。またこの考え方に立つてこそ、國民もわれわれを信頼してくださるのではなかろうかと考えますので、何とぞこの問題は政党政派ということを超越して——ども野党であるがために、ことさらなる反対をするものでは断じてない。各位も御了承くださいまして、一應この原案なるものは先ほどの修正案に止めず、一歩退いて靜から考え、かつ愼重審議し直して改めて政府をして提案せしめ、またわれわれ國会から起案、立案、提案するか、いずれかの方法をもつて間違いのない流通秩序の確立をはかりたいと私は考えるものであります。何とぞ皆樣方の御了承、御賛成をたまわりたくお願いを申し上げます。
  64. 戸叶里子

    戸叶委員 私はただいま議題とされております経済査察廳の法案に対しまして、いくらか要望を申添えながら社会党を代表して賛成の意見を申述べたいと思います。この法案は先へど委員長がおつしやいましたように、非常に長い間多くの人たちによつて論議せられたのであります。それはなぜかと申しますならば、この法案が出されることによつて、この法案の意図しているところとはむしろ反対の、すなわち取締り國家、あるいは警察國家となるというような感じを與えたからであります。そういうふうに解釈せらられまして、ただいま松本委員も反対されたように私は拝聽いたしました。しかしこの法案の意図するところはむしろやみをなくして住みよい國とすることであります。從つてなぜやみが行われなければならないかというようなその原因を調べ、防衞し、教育し、犯罪人を出さないようにするのが目的であるということ、あるいはまた生産の増強をするためにどこに隘路があるかというようなことを調査するというふうにただいま修正したと私は解釈いたしております。また政府におきましても、そういう点をいくたびか強調しておられますがゆえに法の運営の場合におきましては、この趣旨を逸脱しないように注意していつていただきたいと思うのであります。そういうふうにいたしましたならば、先ほど御心配になりましたような、明日の食べる食糧に困つて、わずかの食糧を都合したリユツクサツクを背負つていつた婦人を取締るようなことは決してなさらないであろうと私は信ずるものでございます。大体経済を法律で取締るというようなことはなかなかできるものではありません。從つてその運営こそ最も大切であると思います。そのためには先ほども松本委員が御指摘になりましたように、調査官になる人は十分に注意をしていかなければならないと思います。第一に公正でなければならないと思います。また血もあり涙もある人でなければなりません。物資の不足しておる今日におきまして、ある程度の必需物資の統制はやむを得ないといたしましても、官僚統制の弊害が到る所に見られます今日におきまして、もしもこの査察官の冷酷な、あるいは不正な行為が行われたといたしましたならば、一般の憎惡の的となる以外の何ものでもないと私は信ずるのであります、從つて調査官になる人を採用するにあたつては、くれぐれもその点に注意をしていただきたいと思うのでございます。  また同時に私どもといたしまして要望いたしたいことは、衣食住の経済生活の面におきましては婦人が非常に関係が深いものであります。しかも比較的婦人は責任観念に強く、公正なる人が多いと思いますから、査察官の中には相当数有能な婦人をぜひ入れていただきたいと思うのであります。また聞くところによりますと、東京都ではこのたび配給調査委員会を設けまして、公團の配給の不備な点などをいろいろ調査し、是正していくという制度を設けられたということでありますが、こういうふうにいたしまして、配給が円滑化されてやみがなくなつていくということはまことに喜ばしいものでありますが、そうした煩わしい機関をあちこちに設けないでも、この査察廳でそれらのことを全部やられるというところまでいつていただきたいということを私は要望いたします。  また同時にやみの取締りというものは國民協力を必要とするものでありますから、民意を十分に聽き入れて、これを実際の運営において反映していくような機構を次の機会にぜひ加えていただきたいと存ずる次第であります。そしてこの法案の本來の目的であるところのやみのない平和國家、文化國家を建設するというような方向に向つて、この法案を過ちなく運営していつていただきたいということを私はひたすら要望いたします。先ほど今までの内閣においてやみを取締るような具体的な手は何も打つてないというようなことを御指摘になりましたが、この法案によつてこそ第一の具体的な手としてぜひとも成功していただきたいと私は考えるのであります。どうぞこの法案運営にあたりましては十分にお氣をつけいただきたいということを、重ねて要望いたしまして、私の賛成の意見にかえたいと思います。
  65. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 私は民主党を代表いたしまして、修正案並びに修正案を除く原案に対して賛成の意を表するものであります。賛成の理由はただいま戸叶委員が申されました通りでありまして、人口の数に比例して物資の少い日本では、どうしても統制経済をやつていかなくてはならない。特に外國から援助を受けるような國においては、そういう配慮は欠くべからざるものであろうと思うのであります。その点から自治体警察と國家地方警察の分離に伴つて、その間隙を埋めるためにできましたこの経済調査廳というものに対しては、これは置かるべき理由があると思うのであります。ただしかしこの際今までいろいろ質疑の点で申し上げましたうちの要点をもう一回政府に申し上げて、強く御要望いたしたいと思うのであります。  その第一は統制の撤廃の問題であります。統制をやるのはいいけれども政府の能力には限界があるということを政府自体が知らなければならない。あらゆる方面に手を延ばすということは何もやらないことである。こういうことも考えられるのでありまして、現在の統制の状態を見てみると、まさにその感がするのであります。從つて不要の統制あるいは不合理な統制は、この際この法案が実施される以前に、少くとも勇断をもつて徹底的に撤廃していただきたい。また不合理な手続やその他は改廃していただきたい。そうして簡素になつた部面について強力にこの調査廳が動いて國民経済の安定をはかるようにしていただきたい。これが第一であります。  第二は、この調査廳の発足によつて約三千五百人の調査官及びその他の雇員、傭員が採用されると思うのでありますが、この官廳の特殊的な性格に鑑みまして、人員の採用については格別の御配慮を願いたい。予算についてはわれわれは削減する意思はないのでありますから、五千人のときよりもさらに待遇はよくなるだろうと思うのであります。要点はどういう人を選ぶかということでありまして、この点については栗栖安本長官も経済調査官となるべき者は、春の官である、冬の官ではないのだ、そういうことをはつきり申されましたけれども、そういう温情溢るるしかも合理性に富んだ人をぜひとも採用して、この経済調査廳をして実あらしむるように御配慮願いたいと思うのであります。これがこの経済調査廳の成否を決する重大な点であります。  第三は、経済調査の重点の問題であります。われわれが修正いたしましたように、第七号にあつたものを第三号にもつていつたということは、これは官廳の責任追及ということを重視するからであります。遅配欠配にしてもあるいは統制手続の不円滑にしても、特に不円滑な統制手続あるがゆえに物價が高いという面もあるのでありまして、インフレの原因の一端は官吏にあるわけであります。こういう官廳の責任に対しては徹底的の糾彈をして、國民の心をやわらげるようにぜひお取計らい願いたい。國民の経済生活を調査する部面において、小さなものあるいはかわいそうなもの、そういうものをあまり追究しないということはもちろんでありますが、それ以上に官廳の不合理なものに対しては徹底的にやつていただきたい。それと同時に数府縣にまたがるような大きなやみに対しては、これも徹底的にやつていただきたい。七億の予算がかかつても百億の成果が上けば九十三億國富は増すわけであります。そういう観点に立つて惡質な大物に対しては徹底的にやる、つまり呑舟の魚をこの経済調査廳によつて捕促するような考慮を願いたいと思うのであります。  最後にお願いいたしたいことは、この経済調査廳の罰則によつてどういう成果が生まれるか、私ら決算委員は責任をもつて監視しておる次第であり、國民の負託にそれによつてこたえるつもりでおります。九月以降実質的に運営を始めるにあたつて、希わくは毎月くらいに実施報告をしていただきたい。そうして経済調査廳の運営がいかに展開されつつあるかという点に対して、われわれの要望を滿足させていただきたいと思います。  この四つの点について政府に強く要望いたしまして、修正案及び修正案を除く原案に対して賛成の意を表するものであります。
  66. 松原一彦

    松原委員長 田中健吉君より討論の通告がありましたが、ただいま要務のため退席されておりますので、棄権されたものと認め処理いたします。次に木村榮君の発言を許します。
  67. 木村榮

    ○木村(榮)委員 この経済調査廳が審議にはいりましてから相当な回数をかさねまして、その間私は一回も欠席することなく、この審議に参画したわけでございます。そこでさつき中曽根委員の発表されましたような修正案ができ上つてまいりましたが、大体その間各関係方面へもおじやまをして、いろいろ承つた点などを考慮いたしますと、ただ名前が変つただけであつて本当の実質的な面においては、まだ変つていないのである。こういうふうに考えるわけであります。そこで現在の世相を見ますと、たとえばこの間の新聞によれば、警視廳が募集いたしました六千人の警察官のうち、千人近いものが不良のようなものである。中には窃盗犯まで相当おつたというのが現在の状況なのであります。こういう状況下にあつて、一方においては、今度の國会において、政府警察官等職務執行法のような恐るべき惡法をやろうとしておる。しかも今度のこの調査法案によれば、第三十一條などを見ると、調査廳の長が警察に実力の発動を求めて、いろいろな問題を取上げていく。出かけて行きますところの警察官は窃盗犯人に近いようなものや、不良青年がおるといつたような不合理な時代に、官吏の親玉をたくさんこしらえて、かつては軍万能の時代には軍の威光を借りて、軍人のやることであつたならば、何でも有無を言わせなかつたというような方向を、今度は軍人がなくなつた代りに、安本を中心といたしました官僚が大きな行政官以上の権利を眞向からふりかざして、一般のまじめな國民大衆に臨んでくる。しかもその間において司法的な仕事をいたしますような警察官というものは、さつき申し上げましたような現状である。この腐敗堕落した警察官や、その腐敗堕落した警察官を取囲んで、今度はそれ以上に堕落いたしました高級官僚が大きなやみ屋や大きな不労所得をやりますところの者と結託いたしまして、ここでいろいろなことをやられては、國をあげて恐怖政治の時代に変つていくという危險性が多分にあると思うのであります。そこで関係方面におきましても、この調査廳の——当時は査察廳という名前だつたのですが、この査察廳というものはどこまでも経済警察的なものであつてはならないということを再三再四強調されました。警察力を使うような印象を國民一般に與えてもらつては困る。どこまでもこれは調査が主体であつて、徹底的調査をして國民ほんとうのことをわからせ、そうして流通秩序その他を確立していくというようなお話で、また安本の説明によつてもさようであつたわけであります。ところが驚くべきことには、第四章に至つて当初私が質問したときには、いやこれは外から出たものを翻訳したそのままのものであるというような御答弁があつた、驚くべきことであります。その後字句の点などは修正になつておりますが、先ほど民自党を代表して松本委員の言われましたように、無能な安本を中心とする高級官僚が、特殊な力を背景にして、國民に対し有無を言わさずやつていく、しかも政府、與党側におるときは反対党を、この法案によつて圧迫し、今度は逆に反対党が政権をとつたときには敵討ちをやつていく危險もあると思う。根本的な問題を解決する方法ではなく、ただ末梢的なはれものの表面だけをかきまぜて、本もとをほんとうにやろうとしないところに大きな問題がある。  そこで今まで質問の場合に、いろいろ討論に近いことをたくさん申し上げておりますから、あまり長く申し上げる必要はないと思いますが、簡單に反対の点を申し上げますと、経済調査に名をかりて、安本を中心とする官僚独裁の強化をねらつておる。これは最初経済安定本部長官が査察廳の長官になるとはつきり規定されてあつたが、今の修正でそれだけはなくなつておるが、ねらいはそこにあることははつきりしておる。第二番目には行政官が司法官としての特殊な職務をやるような点が、非常にうまくカムフラージされております。警察の増員は國際的にできない状態にあるから、名前をかえて警察的なものを増員しておる。これはかつて特高警察が果しておつた役割をある面において果そうとするねらいが明らかである。これは條項をごらんになれば権限の問題ではつきりしてくると思う。本法によつて、各縣に割り当てられる供出を一方的に圧迫、干渉する根拠が生れてくると思う。それは食糧管理法が取締りの対象になつておるからはつきりしておると思う。そういうわけでございますから、この官僚統制というものがいよいよ強化されまして、官僚と結託いたしました大やみ業者はうまく逃れますが、一般の善良な國民は非常に困難な状況に追いこまれて、恐怖的な観念に日夜追いこまれてしまう、かように考えます。そこでたびたび問題になつたように、いや経済警察のようなことはやらないのだ、やらないのだと言うその裏では、すぐ、いや列車集團的なものはこうやるとか、あるいはその他の場合はこうやるとか、問題がややこしくなるとすぐその方向へ行く。警察的なことはやらないと言いながら、すぐ警察的なことに答弁が変つてくる。だから名前はいかに調査廳であつても、これはむしろ経済警察廳というのがほんとうの姿である。またそういう機能を発揮するであろうことは当然だと思う。私が今申し述べましたことがほんとうかうそかということは、先ほど中曽根委員が言われましたように、この査察廳が発足していろいろな仕事をやり出すと、どんな実績を上げるかあるいは上げないか、また方向がどんなふうになるかということはよくわかるわけです。私らといたしましては、願わくは今私が申し上げたような方向へ向わなくて、法案は不備といえども、実際やる人間が公正無私なんであつてほんとう國民のためになるような方向へ奮励されますことを、この案には反対いたしますが、でき上つた以上はやむを得ませんから、せめてでき上つたものが國民ほんとうの期待に副うように運営されんことを希望いたします。もし万一その方向へ向わない場合は、おそるべきやみ経済が、今よりまだまだ深刻化してきて、経済は混乱し、そして惡質のやみ屋がもつともつと巧妙な経済撹乱をやるであろうということをおそれますから、願わくは正しい方向へ向うことを懇願いたしまして反対の理由といたします。
  68. 松原一彦

    松原委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。原案に対しましては、中曽根委員から先に申し述べられた通りの三派協定の修正案が提出されております。この修正部分を切り離して採決いたします。すなわち中曽根君提出の修正案に賛成の諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  69. 松原一彦

    松原委員長 起立多数。よつて本修正案は可決確定いたしました。  次にただいまの修正部分を除く原案につき採決いたします。修正部分と除いたる原案に賛成の諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  70. 松原一彦

    松原委員長 起立多数。よつて修正部分を除く原案は可決いたしました。これをもつて経済査察廳法案の審議を終ります。御苦労でございました。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後二時三十五分散会