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1948-06-24 第2回国会 衆議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十四日(木曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 松原 一彦君    理事 冨田  照君 理事 竹谷源太郎君    理事 中曽根康弘君       大上  司君    樋貝 詮三君       平井 義一君    松本 一郎君       河合 義一君    高津 正道君       辻井民之助君    戸叶 里子君       矢野 政男君    中垣 國男君       田中 健吉君    木村  榮君  出席國務大臣         國 務 大 臣 一松 定吉君         國 務 大 臣 船田 享二君  出席政府委員         総理廳事務官  佐藤  功君         建設政務次官  天野  久君         総理廳事務官  澁江 操一君         臨時人事委員長 淺井  清君         総理廳事務官  佐藤 朝生君  委員外出席者         専門調査員   大久保忠文君     ————————————— 六月二十三日  建設省設置法施行に伴う法令の整理等に関す  る法律案内閣提出)(第一二二号)  建設省設置法案内閣提出)(第一二七号)  行政管理廳設置法案内閣提出)(第一七九  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國家公務員法第十三條第二項及び地方自治法第  百五十六條第四項の規定に基き、臨時人事委員  会の地方事務所の設置に関し承認を求めるの  件(内閣提出)(承認第五号)  建設省設置法案内閣提出)(第一二七号)  行政官廳法等の一部を改正する法律案内閣提  出)(第一七一号)     —————————————
  2. 松原一彦

    松原委員長 これより開会いたします。  本日は、去る二十二日に付託になりました行政官廳法等の一部を改正する法律案議題とし、政府説明を伺います。
  3. 船田享二

    船田國務大臣 行政官廳法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。御承知のように、政府は今國会國家行政組織に関する基準法たる國家行政組織法案、並びにこれに基く各省等設置法案を提出いたしたのでありますが、これらすべての法律案においては、法律施行期日を本年七月一日と定めました結果、その前日たる六月三十日までは、現行の行政官廳法経済安定本部令日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定効力等に関する法律及び建設院設置法等がそれぞれ効力を有することとしておく必要がありますので、その旨を定める法律案を提出いたし、すでに國会の可決を得ていたのであります。ところが國家行政組織法案は本決算委員会におきまして各種の修正を加えられまして、参議院におきましても、また修正を加えられる情勢と相なりました。從つて政府がすでに提出しておりました各省等設置法案は緊急やむを得ない部分を除きましてすべてこれを撤回して、あらためて國会修正趣旨に基いて原案を作成して、次期の國会に提出することが適当と考えられるに至つた次第であります。そうして國家行政組織法は、これら各省設置法施行と時を同じくして施行せらるべきものでありますので、ここに重ねて行政官廳法等効力國家行政組織法が制定施行される日の前日まで延長する必要が生じましたので、この法律案を提出いたした次第であります。  なお從來効力を延長されておりました法律規定の中には、建設院設置法の一部も含まれていたのでありますが、政府といたしましては建設省設置法案は緊急のものでありますので、これは撤回せずに、七月一日から施行ができるような趣旨のもとに目下御審議を願つておるのでありますから、建設院設置法の一部の規定効力を延長する必要はないと思われますので、本法律案からは除いたのであります。以上のような事情を御諒察の上愼重御審議をいただいて速やかに可決せられんことを希望いたします。
  4. 松原一彦

    松原委員長 御質疑はございませんか。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 本法案国家行政組織法に関する法律が制定施行せられるまでの過渡的な措置として妥当な改正法律案であると認められますので、この際討論は省略してただちに採決いたされんことを望みます。
  6. 松原一彦

    松原委員長 ただいまの中曽根君の御発議の通り質疑並びに討論を省略しまして、提案通りに可決することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は可決せられました。     —————————————
  8. 松原一彦

    松原委員長 これより建設省設置法案内閣提出、第一二七号を議題とし、政府説明を伺います。一松國務大臣
  9. 一松定吉

    一松國務大臣 ただいま日程に上つております建設省設置法案につきまして提案理由説明させていただきます。  わが災害復興事業を促進いたしまして、住宅問題を解決し「治山治水並びに水害対策に万全の措置を講じ、國土再建の強力なる諸施策を推進せしめることは当面する緊急の問題であるとともに、恒久的課題であるのであります。かかる重要なる問題を解決するところの行政機関はこれを昇格する必要が、あると考えるのであります。建設院は現在総理廳の一外局でありますが、元來総理廳行政全体に通ずるところの共通施策所管することを本務とする行政機関であります。從つて建設院のごとき官廳総理廳外局とすることはその性質上不適当と考えられます。  建設院は前に申し述べましたように、実に日本再建のためには重要かつ廣範なる事務所管しておるのでありまして、現在におきましてもその総裁には國務大臣を充ててその事務を処理せしめておるのであります。しかるにそれ以外に総理大臣がこの院務を見るということは二重に仕事をすることになるのでありまして、事務が繁雑であるばかりでなく、建設省設置いたしましてこれらの事務を簡素化せしむることが能率増進の上に最も必要であると考えるのであります。また建設院はその機構及び人員、予算等の諸点におきまして他の省と比べて決して劣るところはないのでありまして、実質上一の省としての構想を有しておるのであります。  かような意味でありまするから、この際建設院建設省に昇格いたしたい、これが提案理由でありますが、各省にわけてもつておりますところの建設行政に関する仕事をこの際統一して、いわゆるほんとうに有力な建設省というものを設置してその任務の遂行に当たりたいということは理想でございます。しかしながらそれらの理想を実現いたしまするについては、それぞれの事情がありまして、未だ機が熟しておりません。ゆえに今回は運輸省のもつておりますところのいわゆる運建仕事ををこちらに吸收いたしまして、そうして建設省の発足に間に合わせたいという構想であります。ただほかの省に分布せられておりまする建設行政の一部に関しましては、省に昇格いたしました後に適当の時期にこれらの仕事を十分調査檢討いたしまして、徐々にこれを吸收いたしたい、かような考えであることを御了承賜わりたいのであります。それ以外の点につきましては御質問に應じまして十分に御了解を得たいと思います。何とぞ御審議の上速やかに御協賛あらんことをお願いいたします
  10. 松原一彦

    松原委員長 ただいまの議案につきましてこれより質疑を行います。御質問の通告はまだございませんが、御質疑の方はどうかお申述べを願います。委員長からお尋ねしますが、地方支分部局を置く点について御変更がありますか。
  11. 一松定吉

    一松國務大臣 実は出先官廳整理につきましては、地方自治を拡大強化いたしまする建前から、なるだけ必要でないものはこれを地方の知事にその権限を委ね、もしくは廃止する。こういう建前をとつておるのでありまするが、この際建設院地方に設けておりますところの地方建設局もしくは建築出張所というようなものを、直接本院においてこれを管轄することを廃しまして、都道府縣知事にその権限を委ねたい、かような考えをもつております。
  12. 河合義一

    河合委員 ただいま大臣説明を聽きました中に、治山治水というような言葉があつたように聽いたのでありますがこ実は法案を精細に拜見いたしましたらわかると思いますが、よく拜見いたしておりませんので少しお尋ねしたいことがあります。それに先だちまして建設省所管する治山治水の大体の範囲を承りたいと思います。
  13. 一松定吉

    一松國務大臣 治山治水と一言に申しますると、農林省所管に属しております治山苛政ということまで含むように見えるのでありますが、建設院といたしましては、農林省所管に属しておる以外の部面にのみ限定せられるのであります。それはつまり河川の問題を主として掌つておりますために、治山のうちでも砂防という点に対しましても、農林省の行つております砂防と、私の方の処理いたしますところの砂防範囲にはおのずから区別があるのであります。その区別の限界というものはなかなかむつかしいのでありまして、いわゆる砂防ということは、水利に重大な影響があるからして、砂防は一元的にこれを建設行政として建設院所管に属すべきことが適当ではないかというような問題で、農林省との間に関係があるのであります。それらの点に対しましては、今ただちにこれを一元的に建設行政としてこちらに吸收することが適当であるかどうかというような問題が懸案として残つております。その点につきましては今日の段階では從來通り方針従つて農林省のやることは農林省建設院のやることは建設院ということに一線を引いておりまして、それらの結末につきましては將來十分檢討をしてこれを一元化いたしたい、かような考えであることを御了承願いたいのであります。
  14. 河合義一

    河合委員 なお一点お伺いいたしたいのでありますが、戰災の跡片づけであります。これは当然將來建設省でおやりになることと思いますが、現在どういう方針をもつておやりになつておるのでありますか。私たちが見るところによりますと、どうもその仕事が遅々として捗つていない。現に神戸におきましては、先般復興祭というものをやりまして、軒先に紅ちようちんなどをつつて祝祭をやつたのでありますけれども、そのことに関しまして市会で問題になつた。まだ戰災の跡片づけが少しも行われてないじやないか、それに祝祭をやるというようなことはけしからぬじやないか、あの堆積されておる瓦礫の跡片づけが少しも行われていない、市民自分の地域の片づけをしようと思つても、それを捨てる場所さえもいまだきまつていない。そういうことができていないのに祝祭を行うことはけしからぬじやないかという議論が出たということを私は聞いたのでありますが、いかにもその通りであります。東京都の状態を見ましてもその通りであります。まだ道の眞中に土砂がうず高く積まれておるところもあります。また個人所有地を見ましても、そういう片づけができましたならば、しばらくの間でも蔬菜の栽培でもできている所でも、その片づけができておりません結果、それが行われない。それでここに一つ方針を立てて個人でよう片づけぬものは國の力で早く片づける。建築をするにしましても、建築ができなければそれまでも土地を遊ばせないで利用することを考えなければなりません。東京都内におきましては、相当昔のお城の遺物である堀などが残つておりまして、所によりますとあれを埋めておるところがあります。別に堀として存置する必要のない所は埋立をやつておる。ああいうのは非常に結構なことであると思う。私が登院いたします際に、始終そう思いますが、櫻田門の外の堀を埋めましても、もとの神田区と麹町区の跡片づけくらいは十分にできると思う。私はこれは大分反対する人もあるでありましようけれども、ああいう昔の時代の城の遺物などは存置する必要がない。美観の上から言いましても、あれを埋立てて後にできるものは決して現在のあの堀に劣らぬものができると思う。この際ひとつ遠方の海までもあの瓦礫を捨てに行くことができないならば、都内にあるああいう不要な堀を埋めることも一つ方法であると思う。この際一挙に戦争の跡片づけを行うということはあらゆる面から必要じやないかと思うのでありますが、ひとつ大臣の御意見を承りたいと思います。
  15. 一松定吉

    一松國務大臣 終戰後すでにほとんど三年に近いような時期に到達しているにかかわらず、いまだに市街地の跡片づけができないということについては、まつたくあなたと同じ考えをもつておりまして、私がこの建設院を受持ちました以後、特にその注意を拂いまして、ぜひ急速に跡片づけをしなければ都市復興に多大なる障害を來す。のみならず区劃整理を十分に行うことができない。いろいろな支障があることに鑑みまして、今回十数億の予算を計上いたして御審議を願いつつあります。この御審議を経ました上は、ただちにそれらのことに着手いたしまして、なるたけ速やかに日本復興に十分なる寄與ができるようにいたしたいと考えております。一
  16. 河合義一

    河合委員 ただいまの御答弁を承りまして、まことに私は結構だと思うのであります。この際ひとつ十分力を入れてやつてただきたい。そのことを申しますとすぐ、いや瓦礫を運ぶところのガソリンがないというようなことを言われますけれども、こういう跡片づけをするためならガソリン十分手にはいる方法があると思う。故人のことを申すのでありますが、後藤新平という人が現在生きておりましたならば、ああいうことはすぐやつてしまつたと思う。ひとつあの人にまさるような腕を一松大臣に揮つていただきたいと思う。國民は双手をあげて賛成することと思います。この仕事だけでも後世の人があなたの徳を讃えるに違いないと思いますから、どうぞしつかりとおやり願いたいと思います。
  17. 一松定吉

    一松國務大臣 身に余る御激励を受けましてまことにありがとうございます。後藤さんほどの腕のないことは自分で自覚しておりますが、できるだけひとつ努力いたしたいと思います。十分なる御支援をお願いいたします。
  18. 冨田照

    冨田委員 建設省設置によりまして、わが國の建設行政が一元化されて、一松大臣のもとに大建設省の誕生することはまことに時宜を得たことで、同慶にたえない次第でありますが、ただいま大臣説明を拜聽いたしまして、新しい建設省ができるというけれども、その仕事の大体は現在における建設院でやつておる仕事と大差はないものである、こういうように承りましたが、現在建設院が名前は院でありましても、省に比較してあえて劣らない機構をもつておる。予算の面においてもそうであるというお話でございましたが、現在の建從從設院機構建設省と変りました場合にどのような変化が起るかということが一つ。  いま一つは、予算の面において建設院予算建設省となりましたときの予算とはどの程度の違いを生じてくるか。さらにまたこれに從事しております公務員定員でありますが、これは建設院としての定員と省となりましたときの定員とはどのような差ができてくるか。まずその点だけをお尋ね申し上げます。
  19. 一松定吉

    一松國務大臣 先刻申しましたように、運輸建設本部の業務を全部こちらに吸收するということに関しまして、それ以外のものを吸收するということについては先刻申し述べたような趣旨でありますが、しからばそういうようなわずかなものを吸收することによつて建設省がどういう働きができるかということに関しましては、今のままでやりますると、つまり総理廳の一外局であります。從つて総理大臣がそれらの事務所管しておるということになるのでありまして、総理大臣がその事務所管するという以外に、すなわち建設院総裁がそれらの事務を代行するということになるのでありますから、結局仕事を二重にしておるということのために仕事が急速に運ばないということが一つの弊害であります。また陳情というような点に対しましても、地方の諸君がこれら復興事業に関し、その他の必要事項に関しまして陳情いたしまするときに、総理大臣の所に行つて陳情いたしましても、総理大臣はただこれを官制の上において自分は統轄しておるというのでありまして、ほんとう仕事建設院総裁がしておる。從つてまた総裁の所に陳情に出直さなければならぬ。また総裁の所に陳情しても、今度は結局大締めを締めておるところの総理大臣の所に行つて陳情しなければならぬどいうような、非常に複雑な仕事をしておるというようなことが第一の不都合であります。それから費用の点でありますが、建設院建設省にいたしましたからといつても、別に費用を増額するという必要はないのであります。現在のままでしばらくの間運行はできます。その次は定員でありますが、定員は別に殖やすという必要はありません、ただ運輸建設本部をこちらにとりまするから、それだけのものが殖えるということになるのでありますが、しかしながらこれは運輸省にあつてもそのままにあるのであります。その運輸省のものをこつちへまわしたというだけでありますから、國家財政建前からすれば予算において大した相違はない。さように御了承願います。
  20. 冨田照

    冨田委員 ただいまの御答弁でよく了承いたしましたが、今建設院にあります部局と、それから省になつてからの部局に、さしあたつて別に変動はないわけでございますか。
  21. 澁江操一

    ○澁江政府委員 ただいまの点をお答えいたします。建設省になりました場合と、現在の建設院であります場合と、局の数等におきましては変りはございません。たた省になります機会に、從來水政局という名称をもつておりましたすなわち河川砂防関係仕事を処理しております部局を、河川局という名称に改めることにいたしております。これは内容は変りませんでただ名称を実体に合わせる、その程度修正をいたしておるのであります。そのほかは、ただいま大臣から御説明になりましたように、運輸建設本部機構を吸収する。それだけでございます。
  22. 冨田照

    冨田委員 建設省はその第一の使命としますものは、現在敗戦によりまして四つの島に閉じ込められた八千万の日本人としまして、最も待望いたしておりますものは、全面的な國土計画であります。この大局から見ました國土計画については、すでに建設院時代においてもむろん計画を立てておつたことでございましようし、將來またこれが建設省になりましたならば、より以上熱意をもつて、しかも科学的にわれわれ日本人をしていわゆる安居樂業の地たらしめるために、りつぱな国土計画が打立てられてくるであろうことを、われわれ待望いたしておるわけでありますが、その國土計画に関する現在の進捗の程度をお漏らしを願いましたら、たいへん結構だと存じます。
  23. 一松定吉

    一松國務大臣 國土計画ということに関しましては、結局建設院の今もつておりますすなわち河川改修並びに災害都市復旧道路補修新設、港湾その他に関しまする修築というようなことが十分に充実することによつて、ややその緒につくことになるのでありまして、それらの点を十分に仕事の上に現わしまするために、必要な予算が、今回お願いしておりますところの、いわゆる公共事業費の中に多く盛りこまれておるのでありまして、たとえば河川復旧事業等に対しましても、昨年の要求に比較いたしまして、今年は百十何億というようなたくさんの要求をいたしておりますし、また道路にいたしましても、その他都市復興等にいたしましても、相当な予算を請求いたしておりますから、これらの予算をさいわいに御審議の上通過していただきますならば、今建設院において計画をしております事業をその線に沿うて、でき得べき限り短かき期間において効果の上るように仕事をしていき、そうしてその國土計画の万全を期するということの緒につくと考えて、今着々各方面に仕事を進めつつあることを御了承賜わりたいのであります。具体的にしからば道路はどうだとか、あるいは水利はどうだとか、砂防はどうだということになりますれば、詳細なことは政府委員からお答えいたさせます。
  24. 冨田照

    冨田委員 きわめて地味な堅実な方法で着々お進みになることは、まことに結構でありますが、私は大正十二年に東京におりまして、いわゆる関東の大震災を受けました。灰をかきながらわが家を復興し、自分関係しておりました大学の復興に闘つてきたわけでありますが、その当時後藤新平さんがいわゆる東京都市計画考え出されまして、これがたしか当時において四億円といい、八億円というような、どちらでありましたか覚えませんが、とにかく厖大な数字をもつて立案されたわけであります。その時分に当時の東京市民と申しますか、あるいは國民大衆は、後藤の大ふろしきと言つて、いささかこれをあざけむ笑つたような態度をとつておりました。それがために後藤新平氏の大抱負、大経綸が実現しなかつたというのが当時の状況であります。たとえばわれわれが台湾に参りまして、あの台北の町を歩く。あるいは台中、台南の町を歩くとき、いかにも街路整然として内地よりもより以上に近代化された大都市を見ることができました。あるいは今は他國となつております満州にいたしましても、新京の停車場におりてヤマトホテルのあたりから、あの大きくすばらしい道路を見て、この大陸にこれだけのすばらしい近代都市ができたということに、われわれは驚異の目を見張つたわけでありますが、私は今建設省ができまして、特にこの中に災害復旧というような仕事をなさるようでありますけれども、一松大臣がきわめて堅実な実直な態度でお進みになることに、現在の日本財政状態から言つて私は賛意を表するものでありますけれども、しがしまた一方われわれは灰をかきわけても立上る心、涙をのんでもまた立上る心、ここにほんとう人間復興がある。根本は物の復興でなくして人間復興であります。新しくできてくる文化、それはやはり人間復興に根を張るものでなければならない。これをもつてみますると、建設省は單なる土の復興であつてはならない。建物の復興であつてはならない。そこに大きな人間復興ということを目標におく必要があると思う。これを考えてみますと、地上はわれわれ人間の楽土でなければならない。こういう意味から私は後藤新平氏の大ぶろしきと笑われても、知己を百歳の後に待つという氣持で、少くともこの部屋の中に掲げられてある油絵を見ましても、われわれの先輩が日本の憲政のために相当の悪戰苦闘をなされた、その間に身を忘れ、家を忘れて國事に奔走された氣魂だけは、これからの大政治家たる者は、胸中深く秘めておく必要がある。この意味において私は建設省がそのスタートにあたつて、きわめてしく酒なものであつても、愼しやかなものであつても、その抱負経綸においては、少しほらと言われてもかまいませんから、國土計画において大規模なものをおつくりになる必要がある。この意味で先刻質問を申し上げまして、今までの計画がそうであつても、ひとつ日本國土計画を大規模に立てる。そうしてそこには單なる災害復旧というようなものでなしに、もつと積極的な、もつと明るい緑化された日本人間もまた生氣発刺たる人間それを生み出すためにわれわれが舎石になつてこそ、敗戰日本が、將來において望みをかけられると、こう信じましたがために、大臣建設省の誕生とともに国土計画において、今年の予算盛つただけでなしに、今少し大きい長期計画におけるプランがありましたらお伺い申したい。こういう意味においてお尋ね申し上げたわけであります。
  25. 一松定吉

    一松國務大臣 今冨田委員からのごく御親切なる、いわゆる高邁なる御意見は、私全然同感であります。実は私も数年前にあなたと同じように、滿州の新京等を視察してみましたときに、あの構想をもつてあれだけの大きい都市計画をこしらえてあることに、実に驚異の目を見開いたのであります。しかもそれが非常に廣い道路はすでにつくられているけれども、まだ家は建つていない。將來その道路に沿うて高層建築をやるとこうことになつたならば、さだめし一大壮観を呈するであろうと考えたのであります。  私は後藤新甲さんが、今お話のような非常に宏壯なる理想をもつてやりかけたのが、予算その他の事情によつてできなかつたということは、まつたくあなたと同じ考えをもつております。たとえば東京における昭和通り、大阪における御堂筋の道路というような二十四間道路とかいうものが、この都市計画について、多くの土地を使つて、かくのごとき道路をつくる必要はないというような非難が東京市会もしくは大阪市会等にありましたにもかかわらず、時の理事者はこれを押し切つてそれをやつた。ところが今日ではどうがというと、それだけの廣い道路がもうすでに狭くなつておる。北海道の札幌におけるあの到るところの十字路というようなもの、もしくは六十何間というような道路が今日では必ずしも廣くないというような考えをもつようになつたということは、いかに雄大なる國土計画ということが必要であり、また将來を考えるときには、そのくらいな雄大なる構想をもつて計画を立てなければならぬということは、まつたくあなたと同一の考えをもつております。でありますから、そういう方の線に沿うて進みたいと思いますが、何と申しましても敗戰の直後である今日、わが國ではまず何をおいても災害復旧ということを急に取上げなければならぬ、あるいは昨年の水害に関する復旧を急がなければならぬという建前から、そういうような遠大なる理想をただちに今日実現するという時期に達しておりませんために、やむを得ず緊急な仕事から重点的に取上げてこれをやるというような方針でございますから、それらの点を実施面に移すと同時に、今あなたのお話のような構想なり理想をもつて國土計画を進めたい、こういう考えをもつております。しからば今どういうような大きい構想をもつておるかという点については、しきりに検討中でありますから、この際現段階においてこれを発表するだけの時期に達しておりませんが、いずれ次の國会等にはそういうような構想のもとに予算を請求して御審議を仰ぐことがあろうと思います。そういうときには、どうか今あなたの御理想を実現する政府意見に対しまして、十分なる御協力をお願いしまして、そうして後藤新平氏の理想に優るとも劣らないだけの國土の計画をはかりたいと考えておるわけであります。
  26. 冨田照

    冨田委員 次の國会に初代の建設大臣として一松大臣の大抱負、大経綸をお伺いすることのできることを期待いたしますと同時に、島崎藤村が、まず思いを起さんとするものは身を起せと申しましたが、その今大臣が手をつけておられます災害復旧でありますが、これは私どもの思いを起こさんがために身を起す第一歩である。そこで、災害、特に戰災を受けました日本の各都市復旧計画についてお見透しを承りたいと存じます。
  27. 澁江操一

    ○澁江政府委員 ただいまお尋ねになりました都市復興の大体の見透しの問題でございますが、実は、建設院になる前に、御承知のように、戰災復興院という名称をもつた役所をもちまして戰災都市復興ということに専心いたすことになつてつたわけでございます。その当時、経験直後でございますが、大体この復興を五年くらいの計画をもつてやる予定を実は立てまして、その当時立案をされておつたのでございますが、その後だんだん國の財政等の事情からいたしまして、殊に災害復旧とのかねあいもございまして、都市復興の方に重点的に仕事をまわすような客観的な條件が制約されるというようなかつこうになりまして、ただいまのところでは、一應事務的にやつておりますのは、五年計画をさらに十年なり十五年くらいに延ばさなければならないといつたような事情になつております。しかし、ただいま仕事をいたしておりますのは、主として戰災都市道路の区画整理、それを中心といたしました換地処分というものを、本年度あたりの予算では大幅に計上されまして、國会の御審議を願つておるわけでありますから、それによりまして換地処分等の問題が相当進捗いたしますれば、戰災都市復興は、相当目に現われた結果が出てくるのではないかというふうに考えております。
  28. 木村榮

    ○木村(榮)委員 大体この法律案で一番問題になるのは、第三條の「本省の所掌事務範囲」にいろいろな問題があると思います。そこで、私もまだよく研究しておりませんが、今早速ちよつと感じた点を二、三お聽きしたいと思いますが、それは第十七号に書いてございます「土地の使用及び收用に関する事務を管理ること。」この問題については、現在いろいろな問題でやつておりますところの農地調整法並びに自作農創設特別措置法との関係で、いろいろな問題が起こつてくると思いますが、これは大体どんなふうに処分される方針であるかということと、それからもう一つ問題になるのは、これもやはり農地関係で、國営で開拓をやつておりますが、開拓地には、今道路をつけたりあるいは入植者の住宅を盛んに建てる計画は立てておる。私の知つておる範囲ではあまり成績は上つておりませんが、そういういろいろな計画を立てて、いろいろな方面でやつておりますが、この問題は將來建設省が取扱うのか、あるいは農林省が今まで扱つたように扱うのかという問題であります。  それからそのほかに、農林省が大体昭和十二、三年ごろから始めた各府縣の溜池の工事であります。これは過去十何年かかつておりますけれども、半分できたのもあれば、現にまだやつておるのもあります。それから、やめてしまつて、結局今までやつたことが全然むだになつてしまつておるような所もあるが、ああいつたものは今後どこでやるかという問題であります。それから、今この法案を見ました範囲内では、多分十二号、十四号によつて処置されるだろうと思いますが、海岸部の塩害防止の工事であります。海の水が逆流してきまして、たんぼの稻作に大きな被害を及ぼしておる所がたくさんある。これは十二号か十四号の中で何かの方法建設省の方でおやりになると思いますが、今まではほとんどあの問題は農林省がおもに別個に扱つてつたと思うのですが、こういつた問題は、將來農林省関係のものと建設省関係のものとの限界点がはつきりしなくて、非常に両方でうまくいかないということが現われてくる点があると思うのです。今氣がついたのはそういう三、四点でございますが、一番大きな問題は十七号の問題で、これは現に各都会地附近で、農地であるとかないとか、市街地であるとかないとかいうような問題で、農林省のいろいろな政令といつたふうなものも出てちよいちよい変るわけで、最近では駅から三百メートル近くは云々というようなことで、いろいろ問題を現に起しておる。またこの間神戸の方では、今まで軍需会社が持つておりました敷地を、そこの農地委員会は大佐農地の方で買收計画を立てたが、所有者はこれを競馬場にしたいといつたようなことで紛争を起しておる。そういつたことが都会地附近には特に多いと思う。この点についての調整といつたようなことが非常に問題になつておる。今の法律案、自作農創設特別措置法あるいは農地調整法によつての農地委員会を主体とした主張もあるわけであります。それに対して、やはり、法律に基く命令を含むと第三條に書いてありますから、その点で片方を改正するか、片方で抑えるか、いろいろの問題が起つてくる。ところが、実際問題といたしまして、農地調整法の改悪ということが盛んに叫ばれまして、最近は農村からは非常な非難を受けております。農地調整法がだんだん改悪されてくる、從つてそれに伴つて自作農創設特別措置法もだんだん骨抜きになつていく危險性があるというような、いろいろな問題が最近ある。そういつた状況のもとにあつて、この問題でまた農地委員会側と対立していろいろの問題で争うことがないような具体的対策、あるいは措置が必要でないかと考えておりますが、その点政府側の御見解を承つておきたいと思います。
  29. 澁江操一

    ○澁江政府委員 お答えいたします。最初に御質問がございました都市計画と農地の関係でございます。この点につきましては、実は主管しておりますのは、あくまでやはり農林省がこの仕事を主管しております。ただ都市計画区域になつております都市その他におきましては、この農地と農地外の地との認定等がいろいろ実際問題として起つてくるのでありまして、それにつきましては農林省とただいまの建設院、かつでの戰災復興院とよく打合わせをいたしまして、具体的には摩擦の起らないような一應措置を講ぜられでおります。ただいまお話になりましたような、大体のいままで調整の方法としてとられておりますことは、都市計画区域内で一定の宅地化された土地につきましては、一應農地から除外するという根本方針、もう一つは宅地となるか、農地であるか、現在の状況では判断できないものについては一應國が五年間保有しておつて將來の使用目的がきまつた都度、それを農地として開墾していくか、あるいは宅地に保留していくかという問題を決定していくといつたような原則を大体立てまして、調整をとつておるのでありますが、この農地問題の主体はあくまで農林省がやつておりまして、この建設省のかかる都市計画に関する所掌事項をもちましても、從來とその点については変りはないと御承知を願いたいと思います。  それから開拓道路でございますが、これは農林省がやつております。それから溜池の問題もやはり同様從來から農林省がやつておりますし、今度の建設省設置によりましても、この点に変化はございません。  それからもう一点お尋ねがございました塩害の防止でございますが、この仕事は、私、はつきりお答えできないかもしれませんが、やはり農地に関係あるそういつた塩害防止の仕事農林省がやることになつておると思います。私の方でやつておりますのは道路、防波堤、そういつたものの建設工事を実はやつておるのであります。これはやはり災害工事の一つとしてやつております。しかしこれはあくまで農地関係の工事とか、そういつたものと関係ない道路とかいうものに限定されておるように考えております。從つてその点についても從來やつておりますことと、今度省になりまして後の仕事関係とは変りないというふうに御了解を願いたいのであります。
  30. 木村榮

    ○木村(榮)委員 開拓地の問題で今道路だけはお答えになつたが、住宅もやはり農林省関係でやるのですか。
  31. 澁江操一

    ○澁江政府委員 この問題はやはり農林省が開拓者住宅というものの計画を立てまして、これを建設院仕事を請負つておるというかつこうになつております。実際の住宅を建てる部面は建設院がやつておりますけれども、計画そのものは農林省がやつております。從つて予算農林省がその計画に必要な予算をとつて、これを建設院の方の公共事業費の方にまわす、こういつた仕組になつております。
  32. 木村榮

    ○木村(榮)委員 この開拓地の問題は私も縣の方で相当関係しておりまして、縣廳の役人諸君の話を聽くと、計画を立ててやつても大体開拓地は農林省関係で、継子扱いになつて建設院の方から資材をまわしてくれぬという。いくら開拓計画を立てて土地を買收してやつても、実際問題として問題にならぬ、どうも困る、こういうことを盛んにいつておる。これはほんとうかうそかわかりませんが、そこで今度の建設省をかりにこしらえるといたしましても、こういつた問題が今の第三條の所掌事務の中で、はつきりしませんと、また今までのように農林省建設省とが絶えずいろいろな問題で摩擦が起こつてくる。結局迷惑するものは開拓者であるとか農民である。どつちにしても最も適当な方に大きな権限を與えてうまくやつていくようにした方がこの際ぐあいがいいと思う。特に第三條の問題はよく検討していただいて、適当な処置ができるようにやつていただきたい。  もう一点重ねてお尋ねいたしますが、たとえば十八号の「宅地の利用の調整に関する調査及び企画を行うこと。」こうなつてまいりますと、現在農地調整法、自作農創設特別措置法における指定の問題とどういうことになるか私どもわからない。現に今御説明のように都市計画地域内ということになればよくわかる。そうすればこの中に括弧して、但し都市計画地域内に限るといつたことが書いてないを、宅地といいますと農村にも宅地があればどこだつてある。現にとの宅地の問題でずいぶん争いが起つてつておる。現在、御承知のように、自作農創設特別措置法によれば、土地台帳には宅地になつてつても、現況が田であり、畑であれば全部田、畑として現況によつて処分しておるわけである。從つて非常に氣の毒な面もある。都市計画の区域外の土地なんかは、都会の方に出まして、年とつたら帰つて自分の象でも建てようと思つてわずかな土地をもておつた。ところが職事とか何とかの関係で畑になつてしまつた。それが土地台帳には宅地になつておるが、現況が畑であるというわけで、その町の農地委員会から不在地主として買收される。私は縣の農地委員会委員をしておりました関係上、こうした問題にずいぶんぶつかつた。何とかしてそうした零細な土地所有者のために目的に副うようにすいぶん努力いたしましたが、買收されてむやむを得ないことになつておりますので、訴願が出まして何とかしたいと思つても、ただ農地委員の賛同を得て特例を設けて除外することになればできますが、いくら私が一人で頑張つてみましても、現況が畑でであるから買收すべし、こうやつてしまわれますとみんな買收になつてしまう。非常にあいまいになつておるので問題がある。最後の決定権を縣の農地委員会が握つておるような規定になつておる。この点をこういうふうに漠然と書いてあると、これがまた争いの種になつて、今度は逆に小さな都市なんかでは、駅の附近なんかをいろいろな名目で都市計画の区域に入れてそこで争う。これがずいぶんある。この争いは非常に都市発展を阻害する。家を建てようと思つてもその問題が解決しないから建たないといつたふうな問題が各方面にあると思う。これを建設省がこの際將來紛争を起さないように、何か農林省の方と一應法律の上の解釈なんかをよく検討いたしまして、円満にいくように手を打つた方が賢明な策ではないか、かように考えておる。そこで十八号の問題なんかはこういう書き方でおやりになることはどうも私としてはあまり賢明な策ではないと思われるのでありますが、その点を承りたい。
  33. 一松定吉

    一松國務大臣 今木村委員から第三條に列挙してあります建設院所管事業の内容につきまして、いろいろお話があつたので、ごもつともな御質問だと私も思う。そこで原則的のことをひとつ御理解を願えますれば、自然に御了解のいつくことであろうと思うのであります。実はこの一号から三号までのことは、言うまでもなく当然建設省所管に属すべきことであります。でありますから、この程度においてはもう他の省が一言も容喙することのできないような建前に法文の上から見ればなつておりますが、そういうように嚴格にこれを解釈いたしますると、なかなか他の省でもいろいろな事情がありまして、またはその権限範囲内において明瞭を欠く点もございまするから、今度この建設省設置するにあたりましては、実はこういうような閣議の了解を得ておるのであります。礎來各省でやつておるどころの建設行政の一部はそのままに各省でやる。そしてそれらの仕事を一元的に建設省に吸收することは、建設省が成立した後において徐々にいろいろな事項々々にいれて、詳細に檢討を加えて、これを建設省において一元的に処理する方がよろしいというようなものであれば、徐々にこれを吸收しよう、それまでは従来の省がそれぞれ従来のしきたりに從つて管掌していこう、こういうようなことを実はきめたのでありますから、今あなたの御心配になりますようなことは、いまのところではそういうようになつておりますが、行く行くはこの第三條の本文に規定してありますように、「本省の所掌事務範囲は、左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律に従つてなされなければならない。」こういうような建前をとつておりまするから、それらのことは検討の結果一元的に建設省に吸收するがよいというような建前になりましたときに、法律等において明瞭にこれを規定いたしたい。かように実は考えでおるのでありますから、いまのところでは各省間に相剋摩擦が起らないと思います。最後に、あなたの今御質問になりました都市計画の問題について、各地において農地委員会との間にいろいろな相剋摩擦が起つておるということは、私よく承知しておりまするのみならず、自分はこの点について調和をはかつて、その相剋摩擦をなくしなければならぬということを、いずれこの議会に間に合いますれば間に合うようにしますが、間に合いませんければ次の議会に提案したいと考えておりますので、まずそれまでの間は農林省並びに内務省の國主局の方から依命通牒で各都道府縣知事にそれらの処理方について内訓を発しておりまするから、そういう線に沿つてつてもらいたいというような建前になつておるのであります。たとえばあなたの御例示になりましたように、ほんとうは公簿面は宅地である、しかるにそれが都市計画のためにすでに道路ができ、十分な市街の区画ができ、しかも水道、ガス、電氣というものが敷かれておつて、ただ家が全部建ちそろつていないのであるにかかわらず、公簿面が農地であるということのために、これを農地調炭法において買收しよう。区画整理の方面ではそれでは困るというようなわけで、現に神戸であるとか大阪等方々で争いが起つております。こういうようなことにつきましては、依命通牒の次官通牒によつて処理するようにということを、再三再四農林省の方と話合いの上で通達いたしておりまするが、実際それが行われておらぬような状況にありまするが、これらの点はその関係都道府縣知事に向つて、十分に了解を得て摩擦の起らないようにという手続は今とつております。しかしこれでもやはり摩擦が起るということであれば、急速にその起ちないような手を打たなければなぬということで、今立案して、私の方ですでに案もできているくらいでありますから、あまり遠からぬうちにそれらの摩擦の除去もできようかと考えております。御了承願います。
  34. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これはお願いなんですが、最初お尋ねいたしました開拓地の問題です。あれはこの際ひとつ農林省から分離して、建設省の方で——新たな省だからひとつ馬力をかけてやつていただかないと、計画はなかなか厖大に立ちますが一つも実現しない、非難ごうごうで、せつかく行つた人が寺なんかに最初は一箇月、二箇月はいつていても、今度は皆逃げてしまう。今度新たに家がうまく建つたから來てくれといつても來手がない。私の関係しているものでも相当たくさんそういうのがあります。どうも今までの実績を見ますと、農林省の方は熱があるのかないのか存じませんけれども、とにかくいずれにいたしましても実績は上りません。資材の方は建設院の方からまわつてくるのであるから、こ間に合わぬから建設院に一番大きな権限がある。こういうことです。はたしてそうだとするならば、建設院でやはりどんどんできるはずなんです。まあこの際そういうふうな方向にやつていただく方がよいと思います。その他の点はいろいろお尋ねしたい点もあると思いますが、まだよく研究いたしておりませんから、次回にお尋ねいたしたいと思います。今日はこれで保留いたしておきます。
  35. 一松定吉

    一松國務大臣 今の農地の開拓の問題でありますが、今あなたのおつしやつた通りであります。実は大いにどんどん入植者で開拓をしておる。ところがその開拓がいわゆる農地に適しないような場所をしきりに開拓する。できても十分な効果を上げないのみならず、弊害の方面からいいますると、ほんとうは山林を伐採してそれを開拓する。そういうことのために不測の水害を助長するというような弊害のたくさんあることを私は認めております。それらの点に対しまして、農林大臣の方にもいろいろな交渉をしたのでありますが、農林大臣も実はこれについてはいろいろの事情がございます。今日食糧の少いときに外國からただ食糧を仰ぐということだけではいかぬではないが、日本日本として自給自足のできるようにする。それについては農地を開拓して、そうして食糧の増産をはからなければならぬではないかというような、いわゆる理想的の考えでそういうようなことをしなければならぬという立場もある。しかしそういう点については將來大いにその悪いところを改めて目的を達するようにいたしたい。こういうように農林大臣も熱意をもつておられますから、いずれこれらの点は早晩両者の間に適当に解決をすることであろうと思います。さよう御了承願います。
  36. 田中健吉

    ○田中(健)委員 一松國務大臣にお伺いいたします。大体建設省が設けられて、建設の総合的な行政を行う。こういうふうに私は考えておつたのです。それでこの法案がもつとりつぱないいものができると思つてつたところが、これを読んでみますとこれはかたわものでございます。政府はわれわれにかたわを生み出せということを強要いたしているような感がいたしてなりません。これはまさに大かたわでございます。そこで申し上げたいことは、昨年の東北、関東地方の水害の場合に、当時われわれは農林委員をやつてつた関係上、相当の長期間にわたつて東北、関東地方の水害の状況を調査いたしてまいつたのであります。その調査のわれわれの経験から申し上げますると、建設省が現在やろうとしている仕事の内容でございますが、これは大体これだけの分が足りないだろう。それは上流の砂防関係仕事です。一番出口の方の港湾関係、この二つの方の仕事が抜けている。こう考えられます。ところが上流の方を視察してまいりますと、砂防関係か何かの場合においては農林省所管である。ところが農林省はなかなか林野局で仕事をやらぬのです。そのためにせき堤も何もつくらないという結果、土砂が流れて東北地方の大部分の河川というものが平地よりも川の方が河床が高くなつております。こういうような河川が多いのでございます。概して東北地方河川は天然河川です。関東、関西の河川のように堤防がないのであります。ただ天然に流れておるのをときには浚渫あるいは小さな工事を施しておるという程度にすぎないのでありまして、かりにその状態を今後において建設院河川工事をやつていくというような場合においても、結局上流の方の河川工事というものが建設院所管でなくて、他の省がこれをサボつてそういう砂防工事がやれぬということになると、これは何にもなりません。それからまたいかに建設院所管に属する河川工事をやつても、出口の港湾関係の建設の仕事がうまくいかないという場合においては、頭としりを押えられておるということになりまして、私はせつかく建設省を設けてもまるでさいの河原の石でも積むような仕事をするようになりはしないかと思いまするので、港湾関係のうちの特に砂防——それから他の農林省なんかの所管に属するものであつても、砂防とかあるいはこういつた河川関係のものは全部建設院所管に移してやる必要があるのではないかと思う。そこでこの法律をつくるにあたつて、その点を他の省と連絡をとつて明確にいたしておいた方がいいのではないかと思います。これが第一点でございます。  第二点は、水害の予防組合ということでございまするが、この水害の予防組合というものはどういう性格のものであつて、現在どのような状態になつておるか。政府が現在までいかなる助成方策をとつておられるか、この点をお伺いいたしたいと思います。  第三点、國道に附随するところの財産の問題でありますが、國道にあるところの並木でございます。國道の並木は政府の財産表には載つておらないように私は記憶いたしております。これを勝手に地方廳が伐り倒じて、これを地方の財源に使つておるように私は記憶いたしております。ところがこれは相当量の、おそらく数十億に上るところの財産ではなかろうかと思つておるけれども、この財産の所有権がはつきりしておらないように思うのですが、その点はどうなつておりますか。この点もお伺いいたしたいと思います。  それから第四点は、東北振興事業の問題でありまするが、政府は東北振興に関しましていかなる御計画をもつておられるか。この点をお尋ねいたします。東北興業株式会社というのは、元來東北振興事業を行うための使命をもつて生れたものでありまして、その後東北関係に関するところの廳が廃止されたりして、東北振興事業というものは看過されておる。そこで私は今後におけるわが國の発展のためには、どうしてもこの東北振興というものは必要であると考えまするので、これはあえて建設省に限つたことではありませんけれども、建設省所管範囲においては、東北振興事業というものについてはどのような計画を現在もつておられるかということについて、お伺いいたしたいと思う次第であります。  第五点は、津軽海峡の海底トンネルの問題でありまするが、目下運輸省におきましては、津軽海峡の海底トンネ、ルの開鑿の計画を立てております。ところで建設院といたしましては、津軽海峡の海底トンネルの御計画について、お考えをもつておるか、また將來おやりになるおつもりであるかどうか。これは当然私は本土と北海道をつなぐところの交通路といたしまして、現在の津軽海峡というものは將來において必ずトンネルをつくらなければならぬのではないか。そういたしますると、現在運輸省において計画しておるところの計画と並行して、一大國家事業としてこれをやつていくことがきわめて必要ではないかと考えます。往年関門トンネルの場合においても、当時の内務省と鉄道省が緊密な連絡をとり、相協同してあの難工事を完成したのでございまして、今度の本土、北海道をつなぐところの津軽海峡の海底トンネルの計画にあたつても、当然両者が相協同してやるべきではないかと思いまするので、これらの点について政府はどういうようなお考えをもつておられるがということについて、お伺いいたしたいと思う次第であります。
  37. 一松定吉

    一松國務大臣 田中委員建設省をこしらえるについて、ただ運輸省の一事務だけをとつた、それでは一向建設省をこしらえるこしらえがいがないではないか、大建設省をこしらえるのには、各省に置かれておるところの建設行政を吸收して一元化するということでなければ、理想の達成ができぬではないかという御意見はごもつともであります。私は田中委員のその御意見に全然賛成であります。また他の委員の皆様におかれましても、おそらくさようであろうと思います。それで実はそういうことを一應考えてみたのでありますが、しかしそれを考えますると、急速にこの建設省の活動ということは望めない、新設ということが期待ができない、こういうことになるのであります。なぜそうなるかといいますると、各省に今わけられておりまする建設行政の一部に属しまする仕事は、各省ですでにそれぞれ手をつけております。各省でそれぞれ予算を請求しております。そういうことでありまするから、これらのことは適当の時期にこれを調査、検討の上で徐々に吸收するということでなければ急速には運ぶまい、かように考えたことが一つ、今これを吸收して理想を実現しようといたしまして急速にいかないということになれば、それらのものを吸收する以上に急速に処理しなければならない建設省の、たとえば災害対策あるいは都市復興とか、道路の改修、新設とかいうような急を要するものを自然に怠るようになる。先刻私が提案理由を申し上げましたときに開陳いたしましたように、事務が澁滯をする。それではこの目的を達成することに遺憾が多い。それならばこの際とりあえず建設省というものをこしらえておいて、そうしてすでに根幹はできた、その根幹のでぎた後において、徐々に検討を加えてこれを吸收するということの方がよかろう。こういう考えであなたの理想からいたしますると、不完全な案を提案するに至つたのであります。でございますから、この際そういう問題を一元的にやろうということになりまするとできません。できぬということになると、結局せつかく建設院建設省に昇格したいという理想の実現に、遠ざかる結果を招來いたしまして、俗にいえばひいきの引倒しということになりはしないだろうか。かように考えまして私は不完全ながらこの提案をいたしたのでございますから、それらの点に対しましては、田中委員におかれましても十分に御理解を賜わりまして、そうかそれならばとりあえずこれをやろう、その代り徐々にわれわれの理想の実現するようにお前が努力せよ、こういうような御激励を賜われば私は非常にありがたく感じまして、一層そういう方面に働きたいと、かように考えておるのでございます。  それから水害予防組合の点と、東北振興事業の点に対しましては、今答弁するだけの資料を私持合わせておりませんから、後刻取調べました上でお答えをいたします。  それから並木の点であります。これは三條の第十三、すなわち「道路の新設、改築、維持及び管理並びにこれらの助成及び監督」というこの法文から自然に並木の管理というものが出てくるものと思うものであります。建設省道路の新設、改築、維持、管理をするということになりますると、その道路に附属せられた並木でありますから、いわゆる徒物は主物の処分に從うという原則からいたしますれば、これはやはり建設省がこれを管理するのではなかろうかと思います。しかしこれはただ私の今あなたの御質問に対する一時の思いつきでありますから、これらの点はひとつ他の関係省、たとえば大蔵省等の方面とよく打合わせまして、確定した意見を申し述べる時期を與えていただきたいのであります。  それから津軽海峡の海底トンネルの工事、これはやはり当然建設省において施行しなければならぬことであります。しかしながらこのトンネルができました後にこれを運営することはもちろん運輸省仕事でありますが、これらのことに関しまして、どの程度計画され、どの程度にその計画が進められているかということは、よく取調べました上に、次の機会において申し上げるごとにいたします。  以上水害予防組合の点、東北振興事業の点並びに並木及び津軽海峡の点に対しまする詳細のことは、適当の時期にお答えをすることにいたします。
  38. 田中健吉

    ○田中(健)委員 一言だけ申し上げます。私のただいまの第一項の質問に対しましては、大臣は大体賛意を表せられたようでありますが、さようであるとしまするならば何らおそれるところなく他の省の管轄するものでも、この法律に盛ればいいものと思います。遠慮は何も要りません。そこで本委員会に出ている私といたしましては、他の省の設置法案が出てまいつた際に、これを削ればいいのであるから、そこでこれをこちらに加えておいてあとで削ればそれでできるのである。最初から政府が弱腰に出られて、腰を折つて出られてしまつたんでは、こちらでもどうも困るのであつて、あなたの腹がそうできておるとすれば、この委員会としても、大いに力を入れて、一松國務大臣のために大建設省をつくるという腹をわれわれがもつことができる。あなたの方でそういうふうに腰を折つてこられては、とてもこれは話にならない。いかがでございますか。他省の設置法案が出てまいりました場合には、港湾の部面なりあるいは上流河川の管轄の問題についても、相当の議論を展開いたしたいと思つているのでありますが、大臣の所信、大臣の信念を一つお伺いいたしたいと思います。これはそうむずかしい問題ではない。あなたが他の省が計画するのにおそれをなして出すことができないとすれば、國会の力によつてこれを当初から取上げて、あなたの方の管轄に移すことは、そうむずかしいことではないと思いますから、重ねてこの際大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
  39. 一松定吉

    一松國務大臣 田中委員の御趣旨につきましては、私はむしろ感激してあなたに対して感謝の意をささげます。できますればそういうふうにするということが、ほんとうに國家のためなんです。國家百年の大計をここに実現いたしまするには、そうしなければならぬ。しかしながらそれはいろいろの事情があり、まだ検討が十分に加えられていない点もあるからして、私が遠慮してこういう提案をしたのであるということを、提案理由説明のときにも申し上げた次第であります。しかしながら國会においてひとつこういうようにして大理想建設省を実現すべくわれわれが努力しよう。こういうことでありますれば、もちろん國家最高の機関のその意思表示には政府といたしましても、当然服從いたすのでありますから、そういうことができることについては何も拒否することはありません。ただしかしながらお願いしておきますることは、そういうような理想を実現することによつて、この会期中に間に合わずして、それがためにお流れになるということになりますると、これははなはだ私自分の期待に反することでありますから、今修正をしてこれを実現するということについて、この会期中に功績をあげることができるという御確信のもとにやつていただくならば、私は双手をあげて賛成いたすものであります。ただしかしそしれが流れるということにならないように、それだけのことをお願いして、私の腹がそこにきまつているということだけを御了承を願いたいのであります。
  40. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今日は時間もございませんから、私は二つの点について、ごく簡單に御質問いたします。  第一点は、ただいま田中君から熱烈な御意見をまじえた御質問がございました。それに関連するものでありますが、私もこの荒廃した國土を急速に建設する、それからまた從來日本の資本主義経済におきまして無政府状態で発達をして、むちやくちやな状態にあるこの日本産業の分布、経済発達の状況というようなものを、この際是正をして、そうして狭い國土ではあるが、まだ未開発の資源等を十分に活用し得る余地がある。そうしてこの総合的な國土計画によつてこれを開発いたしますならば、八千万、あるいはそれ以上の人口をゆたかに養つていくことができるようにすることは、不可能ではないと私は確信をするものであります。こうした意味合いから長年の懸案であつた建設省が、いよいよ小さいながらも発足するような芽生えをここに見ますことは御同慶にたえません。つきましては建設省將來、今田中君の御意見がありましたように、大建設省として発達をし、なおかつ私の申し上げるような、そうした総合的な計画的の國土計画を立案して、眞に日本國民がゆたかな生活をするような、こうした経済條件を整えるような方向に向つて努力する意思があるかどうか。この問題について大臣の所見を承つておきたい。いろいろ詳しく申し上げなくても私の意向はおわかりと思いますから、この程度にいたします。  第二は建設省は、政府の行わんとする土木建築その他建設事業一般を受持つ重要な官廳であります。この官廳の大部分の仕事は、自分で直接工事をやる場合もありまするが、土木建築請負業者に請負わせて仕事をすることに相なると思うのであります。ところが日本の土木建築業界というものは、昔ながらの腐敗、堕落した特殊の封建的な制度でありまして、この新憲法下におきましては許さるべき制度ではないと思う。私はかつて北海道廳に勤めておつたことがありますが、当時監獄部屋というものがあつて、ここに働く土工すなわちたこ人夫と称せられるものは、約二万人、昭和の初めに不景氣な時代に二万人もおつたのであります。これらの人間は今の監獄部屋において、監獄と申しますが普通の監獄より——当時まだ改善されない刑務所よりも、はるかに劣等な待遇を受げて、十八時間の労働をして、そうして半年間血を絞り、肉を削り取られてふうふらの、もう立つて歩けないような状態になつて、監獄部屋から解放されたときには、一文なしである。そうして多数の者はそのまま行路病人として病院に收容される。もしくはそのまま行倒れになつて疎え死んでしまう。一部の頑強なものは都会に出て、強窃盗を働く。こうして北海道のあらゆる罪悪が、渡り鳥のように冬の間に南へ向けて、青函海峡を渡つて本土へ來る。そうして町をどんどんと南下して來る。これが各地でいろいろな大きな社会問題を起したのであります。これに対して私は当時僭越であつたけれども、監獄部屋廃止問題を取上げて、土建業者と鬪つた。しこで当時における北海道の土建業の内容について、相当メスを入れて研究をしたのであります。一例をあげますと、たとえば十万円で工事を請け負はせる。そのときに指名入札人が來ておりますと、それに一割を出面賃、顔出し賃として拂わなければならぬ。一遍顔出しをすると千円ずつ請負業者は所得がある。十万円で受け取つて九万円でやる。九万円でやるべきものを今度は自分の番頭に七万円で請け負わす。その番頭はいくつかに割つて、その下請けに渡す。こういうことになりますから、十万円でやらなければならない工事を、五万円で執行しなければならぬ。そうなりますから末端の請負業者は、監獄部屋の人夫を使つてこれを酷使、虐待して、その労働搾取によつて補う、またその地方から、米麦を借りる、借りたものを支拂わぬで踏み倒してしまう、その地方から足らない人夫の供給を受ける、村長などに話しこみ、その労銀も拂わぬ、そうして工事の費用を大部分受け取つたまま、どこかえ逃亡してしまう、工事は未完成である、地元の町村長は、労力を供給したのに拂つてもらえぬ、米麦供給者も拂つてもらえぬ、監獄部屋の人夫は行倒れの状態になつて解雇される、こういう状態であつたのであります。さようにして金が請負師に不当にはいる。國庫をごまかして大きい請負金額をとり、労働者あるいは地元の農民、その他の関係者に迷惑をかけて、その利益が政治資金となつて現われて、今問題となつておるような事態を引起す。当時北海道では土建業者の團体から政民両党へ、選挙ごとに何百万円の金を出すといわれた。事実かどうか知りませんが、そういうことがあつたのを見ましても、日本の土建業者の革正ということが、日本の政治そのものを粛正する意味合いから言つても、重大な問題であるということがわかるのであります。さようにいたしまして、その当時の日本全國のにとは私は知りませんが、少くとも北海道について考えますならば、土建業者の金力が北海道政を支配しておつた、こう言つても過言ではなかろうと思うのであります。かような請負制度の腐敗、堕落、封建制というものを完全に拂拭しなければならぬ。この請負制度を改善するのでなければ、せつかく建設省をつくりましても何ら意味をなさないと思うのであります。この請負制度の改善に関して、建設省としてはいかなる方策をもつておられるか、それを伺いたい。また近ごろ土建事業執行の技術的能力は、当時に比べてはるかに向上したとは思います。しかしながら人間の労力に依存することが非常に多い。非常に非科学的な、非技術的な、非動力的な工事をやる。そのために労働者の悪い待遇及び酷使、虐待が行われるのでありまして、しかしてまた工事そのものが適正、妥当、完全にいかない。こういう点から土建業者はもつと高い知識と技能と機械力を利用して完全な、しかも人間の労力をあまり搾取せぬで待遇を相当よくして能率の上るような“そうした技術的、知能的、経営の合理化というようなこども考えなければ、厖大な日本建設の予算というものの大部分が、変な腐敗の金として使われる。もしくは厖大な金を注ぎ込んだにかかわらず、りつぱな工事ができない。そうして労働者のほか、たくさんの人々に非常な深刻な苦しみを加える。こういうことになるのでありますから、建設省がせつかく発足します以上、この土木請負業界における請負制度の改善、経営の合理化、また近代的な工事執行の方法を採用して、明るい土建業というものが成り立つように、そうして國民の膏血を絞つた税金によつて支拂われるこの國家建設事業というものが、最少の費用で最大の能率を上げるようにもつていかなければならないと思うのであります。これに関しましていかように一松國務大臣考え、またいかなる信念をもつてこの建設省を発足して、國家再建の大建設事業をやるところの方途について所信をもつておられるか。特に土木請負業に関する指導を、今後いかようにやつていくか。それに関する御所信を承りたいと思う次第であります。
  41. 一松定吉

    一松國務大臣 竹谷委員から非常に高邁なる建設行政の運行に関しまするお話があつたので、私傾聽いたしたのであります。つまり建設省の重大な使命は、わが國の国家再建に重大なる寄與をしなければならぬ。従つてその目的のためには、各方面に向つて建設行政を強力に推進しなければならぬことは言うまでもありません。未開発地の開発というようなことは、もちろんその仕事のうちの一つの重要地位を占むべきものでありまして、河川改修、港湾修築、道路改築、災害復旧都市計画、これらの事柄を総合的に考えまして、この建設行政の眞の理想に向つて進まなければならぬことは、あなたのお考え通りでありまして、つまりこういうことを実現いたしますために、今までの建設院というようなごく制約された仕事の中で、しかも建設院総裁という國務大臣がその任にあたつておりながら、その上に総理大臣がこれを管理監督しておるというようなやり方では、今あなたの言われたような理想を実現することについて、いろいろな障害がある。ゆえにそういう障害を除去して、総合的の國土計画を勇敢に推進するということのためには、昇格していただかなければならぬということで、本案を提出いたしたのでございまして、あなたのお考えとまつたく同一な考えであることを、御了承賜わりたいのであります。第二の点でありますが、いわゆる土木事業その他の建設に関しまして、建設省としても建設院としても、大部分は請負の仕事になつておる。しかるに請負業者の今日までのやり方は、まつたく封建的である。そういうようなことを改めなければならぬということについて、ただいま監獄部屋のお話があつたのでありますが、私も実はそういうような請負業者間に行われておりまする弊害は、十分にこれを認識いたしております。いわんや工事請負に関しまして、いわゆる下請制度を、ある者がただ投票をして落札をして請負つただけで、その一割とか一割五分とかいうものを天引してその下の者に渡す。その下の者はまた一割とか一割五分を天引して下の者に渡す。こういうようなやり方では、ほんとうにわれわれの考えておるような理想的の仕事はできません。結局理想仕事をしようとするならば、できるだけ費用をどんどん増していつて、その費用を増していただいたのに應ずるだけのりつばな仕事ができなければならぬにかかわらず、その費用を次から次に頭をはねて、どんどん下の方にいくということになれば、いい仕事をしようと思うてもできない。それがために今あなたのお話になりましたような、地方の人の労力を提供した者に対して、それらの費用を拂わない、あるいは資材を提供した者に対してもそれらの費用を拂わない、途中で持逃げをする、工事をほつたらかしだというような実情が、今まで業界に行われたことはよく承知しておりますから、こういう弊害を是正するためにはどうすればよろしいか。すなわちこれらの点につきましての改善をいたしまして、そうして明朗なる仕事をしなければならぬということは言うでまもないのであるが、その監獄部屋というようなことは、今日実施せられております各労働の法規、殊に労働基準法等の規定に制約されますから、そういうような仕事はもちろんできないと思うのでありますが、ただ下請制度、工事の手を抜けばよろしい、金さえもうければよろしいというような弊害を是正いたしますのには、いろいろやり方はあるでありましようが、私はこれらの土木建築請負業者等に対しまして、いわゆる組合というようなものを組織させまして、組合員同士がお互いに監督し合い自粛自戒し合つて仕事理想的にもつていくというようにしなければならないと思いますが、それについては、いわゆる協議会、業者もしくは学識経験者その他建設院のその関係の役人等が、そういう趣旨に適合するような協議会でもこしらえまして、そうしてそれらの弊害を除去して、理想に近い、すなわち最小の費用をもつで最大の結果を得るという方面に進みたい、かように考えております。それ以外に今日までの請負業に対しまする建設行政の方面で監査という制度もあつたでありましようが、十分にこれらの弊害を除去する意味におきまして、監察制度というものを設けまして、そういうような弊害のないように、あらかじめこれを予防してかかるということも必要ではなかろうかど思つておるのでありますが、それらのことはただ私が自分で一存に考えておるだけでありまして、これらのことを結局業者の方に及ぼすにつきましては、相当に研究しで、なるほどこれだけすればこれだけの効果があがるであろうという方面にもつていきたいと考えております。それらの点に対しましては、竹谷君は相当な抱負、経験をおもちになつておるように私は拝承しておりますから、ひとつ適当な時期に、何も委員会に限りませんから、ぜひそれらの有力な資料をお示ししていただきますれば、國家のために十分にそれを活用してこの建設行政の目的を達成いたしたいと考えております。どうぞそういう意味におきまして、御協力をお願いいたします。
  42. 松原一彦

    松原委員長 本件に対する質疑はまだたくさんあるように思いますから、これを後日に継続することにいたしまして、本日は質疑をこの程度に止めたいと思いますが、御異議ありませんか。
  43. 田中健吉

    ○田中(健)委員 政府に対してこの際本案を審議いたしまするために、若干の資料の提出を求めたいと思います。これを委員長からお諮り願います。その内容は建設省設置に伴う総合計画のためにどれだけの建設の機材——私の申し上げるのは、たとえば機関車とか、あるいは自動車とか、つまり土木機械がどれだけ必要であるかという数字です。その計画の詳細、これを求めたいと思います。というのは、現在土木業者が手車でやつておるような状態である。あんなことをやつておたら一遍雨が降ればすぐ工事が流されてしまう。こんなことであるから仕事が進まない。そのために國家が非常な損害をこうむつておる。一雨降るごとに前の工事が流されてしまう。こんなことを何度やつてもだめであるから、この際そういうことのないように、雨に流されてしまうようなことのないようにするためには、相当量の機械器具類を政府が準備して、これを力のない土木業者に供給してやらねばならぬと思いますので、その御計画の数字を出してもらいたいと思います。次に、第二点の要求は、昨年の水害工事の土木請負業者に対してまた金を支拂われてないものがたくさんある。これらの点について大蔵大臣並びに農林大臣の出席を求めて、いつこの金を拂うつもりであるか、これらの点について質してみたいと思いますので、農林大臣と大藏大臣の御出席を次の委員会において要求いたします。
  44. 松原一彦

    松原委員長 委員長において取計らいます。それでは本日の質疑はこの辺にして一應とりやめます。     —————————————
  45. 松原一彦

    松原委員長 昨日審議いたしました國の地方行政機関設置のため、國会承認を求むる件につきましては、浅井臨時人事委員長より御答弁が保留いたされております。この際御発言を願います。
  46. 淺井清

    ○淺井政府委員 昨日の委員会におきまして、田中委員からいろいろ地方の代表者の権限、責任等についてお尋ねがございました。これはまつたくごもつともなお尋ねでございますが、たびたび申し上げましたように、これは新しい制度でありますために当方においてはその点においてまことに研究があいまいであつた思つております。しかし私どもの考えといたしましては、最初からそういうことをきめてかかりますよりも、まずこういう制度をひとつ試みてみよう。こういう観念に立つておるわけでございまして、むしろ役人の試験に民間人を用いますことによりまして、官吏が國民の公僕であるという精神をよくしみこませたい。そちらの方が先になつていることを、どうぞ御了承願います。但し御論議の点につきましては、十分今後研究いたしたいと思つております。
  47. 松原一彦

    松原委員長 これでもつて質疑は終了いたしたものと認めて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 松原一彦

    松原委員長 これをもつて國家公務員法第十三條第二項及び地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、臨時人事委員会の地方事務所の設置に関し承認を求めるの件を議題となし、討論に付します。
  49. 中曽根康弘

    中曽根委員 この際討論を省略してただちに採決せられんことを望みます。
  50. 松原一彦

    松原委員長 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。討論を省略いたしまして、原案に対して採決いたします。
  52. 木村榮

    ○木村(榮)委員 本案についてはいろいろまだ問題になることがたくさんある、今浅井政府委員の御答弁を聽いてもまだ今後研究をしたいということだと思う。そこでこの法律案とは直接関係はないが、どういうことになるかわからぬが、いろいろ論議したいことがたくさんあるので、これを加味して、附帶決議あるいは申合せ事項でよいと思いますが、臨時人事委員会の事務局の職員の採用試験のやり方について、は、今後國会においで研究して何かの結論を見出すということを附帶決議にしておきたいと思う、そういたしませんと政府側もまたいろいろお困りになることもある、單に人様任せどいうことでなぐ、相当研究してみようという建前から、こういうことを附帯して、この案を承認したいと思います。
  53. 松原一彦

    松原委員長 木村君から御提案の件は、附帶決議という形よりも、委員会全部の要求として、機会を見て淺井委員長にも出ていただきまして篤と研究するということにいたしてはいかがでありましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 松原一彦

    松原委員長 それでは御承認でありますか。
  55. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま木村委員からのお申出、まことに結構と存じます。私どもといたしましては、私どもの仕事國会の全面的な御支持をお願いするよりほかないと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  56. 松原一彦

    松原委員長 それではさように取計らいます。本案につきましてはこの原案に承認を與うべきものと議決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松原一彦

    松原委員長 御異議なしと認めます。原案は承認と決定いたしました。それでは自戒は公報をもつてお知らせ申し上げます。本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十分散会