運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-05-21 第2回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十一日(金曜日)     午前十一時三十二分開議  出席委員    委員長 松原 一彦君    理事 竹谷源太郎君 理事 冨田  照君       泉山 三六君    平井 義一君       宮幡  靖君    花月 純誠君       河合 義一君    高津 正道君       玉井 祐吉君    戸叶 里子君       田中源三郎君    中曽根康弘君       西田 隆男君    田中 健吉君       木村  榮君  出席國務大臣         國 務 大 臣 船田 享二君  出席政府委員         總理廳事務官  前田 克己君         總理廳事務官  佐藤  功君  委員外出席者         專門調査員   大久保忠文君     ――――――――――――― 五月二十日  建設院建設省に昇格の請願松浦東介君外二  名紹介)(第一〇一九號)  建設省設置請願松浦東介君外三名紹介)(  第一〇二一號) の審査を本委員會に付託された。 五月十九日  農村工業に關する行政機構確立陳情書  (第二九七號)  建設省設置に關する陳情書  (第三八二號)  官規粛正吏道刷新に關する陳情書  (第  三九九號)  建設省設置に關する陳情書  (第四〇四號) を本委員會に送付された。     ――――――――――――― 本日の會議に付した事件  國家行政組織法案内閣提出)(第五七號)     ―――――――――――――
  2. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 開會いたします。  本日は委員長常任委員長打合會に出席いたしておりますので、私が委員長の職務を代行いたしますから、この點各位の御了承を願つておきます。  前會に引續き國家行政組織法案を議題とし、ただいまから質疑に移ります。木村榮君。
  3. 木村榮

    木村(榮)委員 質疑にはいります前にちよつとそれに關連することでございますから、發言させていただきます。この問題はなかなか重大な問題であると思いますので、特に官公廳勞働組合關係その他そうした方面のことに明るい方面から公聽會、あるいは意見を聽くといつたようなことを取計つていただきたいと思いますので、これをお諮り願いたいと思います。
  4. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 ただいまの木村君からの御意見もつともの點もありまするが、これは審議を非常に急ぎます關係もありますし、なおまたこの法律は御承知のように、國家行政の形式的なわくをきめるような組織法にすぎないのでありまして、中味の實體は別途につくられることになりますし、委員の各位もこの方面に關する知識、經驗も豐富であり、また各關係の當局の方においても相當の意見識見をもつておられるので、ここで十分質疑討論をせられれば、ある程度完璧な行政組織法ができるのではないかと思いますが、いかがでございましよう。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま木村さんから御發言がありましたが、至極ごもつともな御發言であります。本法は憲法附屬法規中でも相當重要な法規でありますので、愼重審議をする必要があり、この際學術關係の專門者とか、あるいは組合關係、あるいは官廳の職員、こういうものの意見を聽する必要があると思われますので、證人あるいは何らかの方法によつてそういう措置を講じていただきたいと思います。
  6. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 ただいま木村君の御意見に對して、中曽根君から御贊成がありました。ほかの方の御意見はいかがでしようか。     〔「贊成です」と呼ぶ者あり〕
  7. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 それでは贊成の方が大多數でございます。木村君から公聽會というお話でございますが、これは期間をおいて開かなければなりませんので、審議上時間をとりますから、參考人として喚問して聽くということでいかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 それでは參考人として意見を聽くことに意見がまとまりましたから、さよう取計らうことにいたします。審議を進める關係上、參議院の方と合同でやつたら一層早くいくのではないかと思いますので、そういう問題及び日取りをいつにするかというようなことは、委員長にお任せを願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 それではさよう取計らいます。  それでは質疑に入ります。木村君。
  10. 木村榮

    木村(榮)委員 最初に一般的なる質問といたしまして、この法律に基いていろいろな政令あるいは法律の問題が出てくると思いますが、そういう場合に、たとえば第三條の第二項に掲げてありますところの「行政組織のため置かれる國の行政機關は、府、省、委員會、院及び廳とし、その設置及び廢止は、別に法律の定めるところによる。」となつておりますが、こういうことに對していろいろ官廳方面から聽きますと、たとえば遞信省の分離問題とか、相當重大な問題があると思いますが、そういつたものはこの法律案と並行して出されるのがわれわれとしましては最も好都合であるし、またその方が正しいのではないかと思いますが、そういうものは大體もう準備はできているのか否かということを最初に御質問申し上げたいと思います。
  11. 船田享二

    船田國務大臣 今の木村君の御質問各省設置法案等につきましては、大體準備が整つておりまして、關係方面の承認を得るばかりになつておりますので、最近の機會に提案いたしまして、この國家行政組織法とともに御審議を願う段取りになつておると思います。
  12. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 皆さんにお諮りしますが、進行の便宜上總則行政機關設置廢止所掌事務等この四箇條についてやり、順次そういうふうにして進めてまいりたいと思いますが、いかがでございましようか。——御異議なければさようにいたします。
  13. 木村榮

    木村(榮)委員 大體今委員長が言われました四箇條の問題について考えておりますと、いろいろな所管事務といつたような點で、政令等が今までよりむしろ強化された形で出されるような可能性があるかのごとく解釋いたしますが、そういつた點であらゆる行政面において立法機關である國會よりもむしろ官僚機關が強化されて、今までのような專制的な官僚の復活をねらつたという點はないかどうかお尋ねしてみたいと思います。
  14. 船田享二

    船田國務大臣 今の御質問のような政令を特に強化するとかあるいは官僚の力を強める趣旨規定は全然はいつておりません。
  15. 冨田照

    冨田委員 まず總論的なことを一つお尋ねしたいと思います。それは今まで日本官僚制度がわれわれ民衆生活から見て非常に重苦しいものであつた、いわゆる官僚の勢力が強過ぎてわれわれ人民を壓迫しておつたという非難をこうむつておりますことは、今さら申し上げるまでもありませんが、その一つといたしましては、きわめて繁文褥禮であつて、この第一條に掲げておりますように、これを能率的にするためにこういう法律をつくつたというけれども、はたして今までよりもより能率的にするために、どれだけの注意が拂われておつたかという、能率的にする方法として現われた點をお示し願いたい。  今一つ國家行政組織民主化していく、これはポツダム宣言によつてわれわれが絶對命令として受取らなければならない問題でありますが、この國家行政組織がどの程度まで民主化されておるかということが非常に大事な問題だと思います。そこで今までよりも民主化されたと思われる點はどういう點であるか、どこに重點を置いて立法なされたか、この二點についてお尋ね申し上げたいと思います。
  16. 船田享二

    船田國務大臣 お答えいたします。この法律案のどの條項が今おつしやつたような行政事務の能率的な遂行のためになる、というように特定して申し上げるわけにはまいりかねまして、この法律全體がそういう目的のためにつくられたと申し上げるよりほかありませんが、強いて申しまするならば、特に總則の第二條に定めてありますように、「國家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確に範圍所掌事務權限を有する行政機關の全體によつて系統的に構成されなければならない。」とありまして、行政機構系統化という行政組織上の原理を掲げておる點、これによりまして行政機關内閣のもとに國の行政事務の合理的な配分を受け、行政機關相互の間に所掌事務權限の重複が生じないようにということを考えておる點などが、特に行政能率化目的とする趣旨のもとにつくられた規定と申すことができると思います。  さらに行政民主化という問題につきましては、こういう行政組織に關する規定そのもの國會議決によつてつくろうといたしますその趣旨においと、その點は十分に現われておるのではないかというふうに考えるのでありまして、個々の條文につきましてどの點が、と申し上げることは、ちようど行政事務の能率的な遂行のために、どういう條文がということを特に指摘して申し上げることができないのと同じように、この法律全體をごらん願わなければならないというふうに考えております。
  17. 冨田照

    冨田委員 たとえば第三條の第三項には「臨時に、内閣總理大臣をもつて長に充てる本部を置くことができる。」こういう規定がございますが、それに次いで第四項にまた本部についてのことが書いてありますが、それは本日御説明を拝聽いたしましたときに、現在では經濟安本部に限つておるのだというお話でありましたが、もちろん現在では經濟安本部一つ本部という名稱を使つておる國家行政組織一つであるかもしれません。しかしこの根本法にこういうことがありますればやがて他の新しい本部という行政機構が生れ出る可能性多分にあります。系統的だと言われるけれども、今までだつて決して系統的でなかつたとは私は言えないと思う。明治憲法時代においても、やはり憲法のもとに行政法というものがあつて、一貫して系統をもつてつたものでありまして、單に抽象的に今度だけが系統的だから能率的だという結論には到達をしないのであつて、もし特にこういう大事な立法をいたしますときには、はつきりとここに繁文褥禮の弊風を打破したのだ、そしてこの通り能率的になつたのだ、この通り民主化されたのだという事實はつきり示すということが、日本國際的立場におきましても非常にいいのではないか。こういう考えから、こういう大事な立法に際して、政府が主眼としておかれたところの民主化されたはつきりした目標はこれなんだ、能率化した點はこれなんだ、今までの繁文褥禮をやめてしまつたのだということを私はうたつていただきたかつたがために、このことをお尋ね申し上げるのであります。  そこでこういう本部ができ、これによつてまたさらに新しい本部ができる。こういうことは結局今までの官僚とあまり違つて考え方ではない。今までわれわれがほんとうにどん底の民衆生活をして一番困つておりますことは、何を出しましても、一つの認可を受けますにしても、一人の受付のまどを通して、あるいは係の判が要る、係長の判が要る、班長の判が要る、課長の判が要る、局長の判が要る。さらに次官だ、大臣だとまつたくその判をいただくために時間がかかり日數がかかる。その間にわれわれの生活は足下から崩れていく。こうした生きている現實のわれわれの生活に即しない、いわゆる事務のための事務というものが、どれだけわれわれの生活を脅かし、われわれの生活の上に大きな壓迫となつて現われておつたかわかりません。そういう意味において、本部というものをここに設けられておりますが、これがはたして經濟安本部だけであつて、その後に來るべきほかの本部をつくる意思が現内閣にあるかないか。こう言つたところで現内閣の運命もわかりませんから、お約束を得たところで意味はなしませんけれども、むしろこういう例外的なものを廢してしまつて大臣の言われるような系統的な一本にしてしまう御意思はないかどうか。この點をお尋ね申し上げたいと思います。
  18. 船田享二

    船田國務大臣 御指摘のようにできますれば、初めその原則を立てるにあたりまして例外がないことが望ましい次第でありますが、現在の状態のもとにおきましては、經濟安本部というものは、きわめて臨時的な、しかもどうしても必要なものとして存在いたしておりまして、これをもはつきりとこの法律規定して、經濟安本部の存在に對して法律的な根據を與えることがむしろ適當ではないかというふうに考えまして、例外的に本部というものについての規定を設けた次第であります。但しここには本部という名前しか出てまいりませんが、前に提案理由の御説明を申し上げたときに申しましたように、目下のところ政府としては經濟安本部以外に例外を認めようという考えは毛頭もつておりません。またこの法律によりまして各省及びこういう本部というようなものの設置につきましては。それぞれ國會議決によらなければならないということに相なりますので、たとえ政府の方から何らか經濟安本部以外にこの例外規定に基くような他の種類の本部設置案を提出したにいたしましても、國會において十分に御審議願える次第でありまして。そういう點において、特に例外規定を設けて、その例外にあるような經濟安本部以外のいろいろな本部というものができる弊害は、絶對にないというふうに考えておる次第であります。
  19. 冨田照

    冨田委員 經濟安本部を基礎づけるためにこの本部というものが出てきたというように拝聽いたしますが、それならばはつきり經濟安本部とうたつておしまいなつたらよかつたのではないか。ただここに本部というのを入れたのが、いかにも臨時的な經濟安本部を合理化し法律的に基礎づけるために抽象的に本部という名前をうたつたように見える。こうした大きな國家行政組織法というような大事な本にもつてきて、臨時的なものに法的な根據を與えるために抽象的なものをもつてくるという行き方は、私は贊成はできません。むしろ根本法的な立場において、そういうものこと臨時的にやるか、それでなかつたはつきり經濟安本部とおうたいにおつてしまつた方がいいのではないか。こう私は考えますが、これは意見の相違でありますから、それ以上は申し上げません。  さらにその第五項に、「委員會、院及び廳は、總理府、法務府又は各省外局として置かれるものとすう。」とありまして、總理府と法務府だけははつきり府という字を使つております。そうしてあとは各省と言いますが、この府というものは總理府と法務府のほかはできないというように前提しておられるように考えますが、將來も府というものをつくることはできないものであるがどうか。しかし前に遡つて第二項の方で言えば、府、省、委員會、院及び廳というものは自由につくることができるとなつている。むろん國會議決を經るという手續は別でありますが、具體的にここにおうたいなつ理由はどういうわけでありましようか。
  20. 船田享二

    船田國務大臣 第五條におきまして、總理府、法務府という名前だけが出ておりますが、實際から申しますれが、「各省大臣」というところに、各省につきましてもそれぞれの名前を到擧いたした方がかえつてはつきりするかとも思う次第でありますが、この問題につきまして、各省設置法案などがすつかり整備されて別表が附せられるに至りませんと、どれだけの省が置かれるかというようなこともはつきりいたしませんので、各省として略したような次第であります。それから現在のところ府といたしましては、總理府、法務府の二つだけを考えおる次第であります。
  21. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 ほかに第四條までの點について御質疑はございませんか。
  22. 木村榮

    木村(榮)委員 第四條は「前條の行政機關所掌事務範圍及び權限は、別に法律でこれを定める。」となつておりますが、この法律性質上少くとも第四條には所管事務範圍及び權限規定ぐらいをきめておかないと、ただ單に法律によるということになると、非常に大きな間違いが將來起る危險性があると思いますが、第四條の別管事務範圍權限をきめた方がこの法律の性格上から言つても正しいのではないか。それに對していかなる所感をもつておられますか。
  23. 船田享二

    船田國務大臣 これはそれぞれの省あるいは外局のそれぞれの所掌事務範圍及び權限に相なりまするので、原則的な規定をいたしますこの法律におきましては、それを一々列擧いたさずに、むしろ各省、あるいは各廳の設置法はつきりとそれをきめた方がいい、またきめなければならないのじやないかというふうに考えております。
  24. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 ちよつと質問いたしますが、そうすると第三條第六項の別表と、官廳設置法というものは、いつも一致しているわけになりますか。それとも別表に何々省と書いてありながら、設置法がない場合があるのですか、どういうことになるのですか。
  25. 前田克己

    前田政府委員 ただいまの御尋ねでありますが、各行政機關設置することは、それぞれの設置法によつて設置されることになりまして、この國家行政組織法では設置をされません。從つてこの組織法に掲げらるべき別表というものは、設置法の方で變つてまいりますと、これに應じて改定をされていく、こういうことになります。それで具體的法律上の手續としては、新しい行政機關がつくられ、あるいはその名稱が變更されるような場合には、その法律の附則で行政組織法別表を變える、こういうことになると思います。結局行政組織法別表は、これを見ると、日本にどういう行政機關があるかということが一目でわかるようにしようという目的のものであります。
  26. 冨田照

    冨田委員 ちよつとそれに關連してお尋ねしますが、各行政機關設置法によつてあらためて設置されるのだ。そういたしますと、先刻お尋ねいたしました總理府とか、法務府はすでに設置されたような形になりますが、むしろ府という文字、省という文字だけで、抽象的に代表しておつた方はつきりするのであつて、ここに總理廳法務廳というように具體的にうたつてしまいますと、設置法によつて設置されない前に、すでに設置されたような形になりはしませんでしようか。その點はどう解釋しておりますか。
  27. 前田克己

    前田政府委員 これは法律の書き方の問題としてそういう御意見もあり得ると思います。ただ先ほど國務大臣からも申し上げましたように、省の場合には比較的はつきりいたしておりますが、府というものは一體どういうものがあるのかはつきりいたしませんので、ここに具體的な名稱を掲げた次第であります。もしこれが近く提出されまする總理設置法、それから法務府につきましては法務廳設置法の改正になりますが、そういうものが御審議の結果變りますれば、この方にも影響がございます。
  28. 中曽根康弘

    中曽根委員 この法律全般思想について、まずお伺いいたしたいと思います。憲法によつて議院内閣制というものが保障されておりまするが、これは要するに政黨責任政治をやつて國民の輿論を政策に浸透さしていく、こういう精神であろうと思います。それを實際浸透さしていく管は何であるかというと、行政組織であります。その行政組織憲法精神に合うような組織でなければならないと考えます。その觀點から見ますと、この前制定された國家公務員法、あるいはこのたびの国家行政組織法というものは、多分舊憲法的なにおいがあり過ぎる。むしろ舊憲法よりももつ官僚的な色彩が強いと私は考えるのであります。たとえばこの法律を讀んでみますと各省の役人のうち、各省次官一人を置き、この次官特別職になつておりますが、現在においては政務次官が二人あつて、この二人が政黨政策を浸透させようとするために置かれておる。ところがこれによると、必ずしも政黨人でない者がはいり得ることになつておりますが、そういう點からみると、政黨政策を浸透さしていく、責任政治を確立していくという點からみると、大いなる後退だろうと思います。この案を立案された船田國務大臣前田總務部長においては、どういう精神でこの國家組織法をおつくりになつたのか、その點をまず第一に伺いたいと思います。
  29. 船田享二

    船田國務大臣 舊憲法的色彩が強いという御意見に對しましては、私どもこの法案の作成について責任もつ者といたしまして、全然そういうようなことは考えておりません。新しい憲法が制定され、あくまでもその趣旨に則りまして國の行政組織を整える、その根本原則を立てるつもりで、新しい憲法考え方に立脚いたしまして立案いたした次第であります。御指摘になりました第十七條次官のような問題につきましては、必ずしも政黨政治を排斥するための規定では決してないのであります。各大臣權限の行使、職責を履行いたしますについて、便宜な立場というようなことを考えた次第でありまして、何も決して新しい憲法趣旨を沒却するような思想は全然もつておりません。
  30. 中曽根康弘

    中曽根委員 どうも納得いかないのです。舊憲法時代においてすらも、各省には政務官、參與官というものがあつて政黨政策を浸透させようとする努力がなされております。ところが國家行政組織法にあつては新しい思想によるのかどうかしてませんが、專門性、中立性ということばかり考えておつて議院内閣制の大精神を沒却している面がある。今大臣は十七條の點について、そういう意思はないと言つておられますが、しかし客觀的に出てきた數を見ただけでも、大いなる退歩であると考える。そのほかたとえば官制全體を見ても、府というようなものができている。昔は省が一番上であつて、府がなかつた。これは官廳機構が厖大になつているというような印象を與えることになりはしないか。あるいはまた本部というようなものもはいつております。あるいは外局として委員會というものもはいつている。こういう點から見ると、多分に昔以上に官僚機構というものの牙城をつくろうとする印象を拂拭し得ないが、この點は大臣はいかにお考えですか。
  31. 船田享二

    船田國務大臣 府と省との關係につきまして、省の上にさらに府をつくるというような趣旨では決してないのでありまして、現在の總理廳及び法務廳の特殊な地位のために、各省と同じような段階にありながら、その特殊性のゆえに府という名前をつけたにすぎないのであります。こういうようなところに官僚組織を、何と申しますか、ピラミツト式に固めるというような趣旨をもつて、府と省とを區別したわけではございません。そのほか委員會とか廳とか申しますのは、これは現在いろいろと外局がございまして、それに對してその名稱が必ずしも統一的になつておりませんので、それを統一いたしまして、むしろどういう行政機關が國に存在するかということを國民が一目してわかるというようにいたしたい。そういう趣旨から、整理をする考えから選びました名前でありまして、新たに特殊な權限を有する委員會とか何とかいうものを特に設けようという趣旨規定いたしておる次第ではございません。こういう點につきましても、今中曽根委員の仰せられるような危惧は全然ないと申し上げて差支えないかと思います。
  32. 中曽根康弘

    中曽根委員 まだどうも納得できないのですが、たとえば後段に出てきますが、いろいろな行政機關組織についても、今までのように、これはまあ一つ事務組織といいますか、これは行政機關性質からやむを得ないと思うのですが、そのほかに政策的な一つ機關というものを、つまり行政を指導する政策的な一つ機關というものをこれに附加するという構想考えれば考えられると思うのですが、そういうものを何ゆえにこの構想の中に加えなかつたのであるか、その邊の事情もひとつ承りたいと思います。
  33. 船田享二

    船田國務大臣 ちよつと御質問の御趣旨がよくわからないのですが、政策的な機關と申しますと、どういうことを言いますか、ちよつとお伺いいたします。
  34. 中曽根康弘

    中曽根委員 政策的な機關というのは、つまり政黨なりの政策を實際行政に實行していくことを保障するための、一つのいわば機關車のようなものですが、そういうものをつくつてはどうか。私の簡單な今思いついたことだけを申し上げますと、たとえば官房というものを一つ事務局にした委員會的なものをつくつてもいい。その委員會には國會議員なり、その他の者がはいつて、そうして各省政策の企畫をやつていく、こういう構想考えられると思いますが、そういうような意味であります。
  35. 船田享二

    船田國務大臣 今仰せられるような御趣旨機關といたしましては、おそらく第八條に規定いたしております審議會あるいは協議會というようなものを活用いたしますれば、各政黨あるいは民間の代表者が集まりました審議會あるいは協議會の意見によつて、その意見行政の上に反映するというような途が開かれると考えております。
  36. 中曽根康弘

    中曽根委員 審議會や協議會というのは、ここに書いてあります通り諮問的または調査的なものであつて、その省の政策に對して命令的權限がないわけです。今までの慣例から見ても、審議會、協議會の報告書なんというのは、ほとんど活用されておらないのが實情でありまして、そういうような附加的なものでなくて、一つの確固たる行政官廳内の組織として、そういう機關をつくつておく必要がある、こういうふうに私は考えるのであります。その點いかがでございますか。
  37. 船田享二

    船田國務大臣 今の中曽根君の御趣旨のようなものでありましたならば、また第三條の方のいわゆる行政委員會とされております委員會の方で適當に行うことができるのではないかと思いまするし、なお直接にこの行政組織法の問題でなくて、あるいは内閣法の方でその規定、あるいはその規定の運用というような面で、十分に御趣旨に副うような制度なり、あるいはその制度の活用なりができるのではないかというように考えております。
  38. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 こまかいことをお伺いいたしますが、御説明のときにあつたかどうか知りませんが、外局という意味。それからもう一つは第三條の第一項に「國の行政機關組織は、この法律でこれを定めるものとする。」これは字句の問題だが、こういう言葉を「國の行政機關組織は、この法律で定める。」こうかえたらよくはないか。これはどうしてこういう形式にしたのか、一般的にこういう表現を條文に使つておりますかどうか。
  39. 前田克己

    前田政府委員 まず外局の制度についてのお尋ねでございますが、外局というものについて非常に正確な定義を下すことは困難と思います。大體現在あるいは過去におきまして、外局というものがつくられる場合は、その所掌事務一つの省内の部局で掌るには非常に多く、むしろ獨立の一部局をつくる、さりとて一省をつくるまでには至らぬ、こういうような場合が一番典型的な場合であります。それからその行政機關自體で何らかの行政行為を行い、その長の名前で一應發表する、こういうような場合も、内部のものでおるよりも、一つの半獨立機關にしておく方がふさわしいのであります。そのほか作業會計等におきましても、これは會計等の面から獨立的地位を認めることが適當であります。かような場合には外局をつくることが適當と思うのであります。ただ從來におきましては、そういうふうにして外局をつくりましても、實際の運用におきましてほとんど内局と選ぶところがなく、はなはだこの點疑議が多かつたのでありまするが、この點につきましては、本法案の第十八條におきまして、今囘つくられまする總務長官というのは、外局所掌事務はこれを見ないということにいたしまして、ややその意義をはつきりさせたのであります。すなわち外局というものは半獨立的な機關でありまするから、これは大臣次官に直結をするものである、こういうことをはつきりいたしました。これは昭和十七年ごろまでは、從來の外局次官を通さぬということになつてつたのでありまするが、當時制度の改正がありまして、すべて外局事務次官が所掌するようになりまして、この點がむしろ法規的には何のための外局かという疑いを起すもととなつてつたのであります。元へこれを返しました。  それから法律のこの書き方の問題でございますが、これを定めると申しましても別に差支えないのでありますが定めるということが建前であると申しまするか、そういう規定のものであるということを強く申しますために、こういう言葉づかいをいたしておる次第であります。
  40. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 外局が對外的に、ちようど省と同じように、何々省の外局と言わずに、ただ外局として表現するようなことになりますか。獨立性ということ。その點、各省大臣が代表者ですね。しかるに對外的に各省大臣のような形式を用いて折衝するということになりますか。
  41. 前田克己

    前田政府委員 ただいま仰せのごとく、外局はやはり各大臣の管理または所轄に屬しておるのであります。大臣のもとにつくので、全然アメリカにおきますような獨立機關ではございません。ただたとえば特許標準局の長官が特許に關しまして一つの處分をなす、そういう場合にはその外局の長官の名前として一つ行政行為をやる場合があると思うのであります。しかしやはりその權限の源はその省の大臣に歸屬すべきものであります。今囘近く提出いたしまする各省設置法におきましては、何々省という場合には、外局も含んだ觀念にして取扱い、いわゆる内局をもつて構成せらるるものはこれを本省、こういうふうな呼び力にいたしまして、考えの整理をいたしたい、こういうふうに考えております。
  42. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 第四條までの御質問ございませんか。——今日は、いかがでしよう、この程度にしておきますか。それとももう一つ行政機關の長のところまでいきますか。
  43. 高津正道

    ○高津委員 第四條までにしても質問を打切らないで保留しておいて、そうして次に進んでもらつたらよいと思います。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 それではもう一つ行政機關の長のところをお願いいたします。第五條と第六條。
  45. 戸叶里子

    戸叶委員 第五條に、「總理府、法務府及び各省の長は、それぞれ内閣總理大臣法務總裁及び各省大臣」云々と書いてございますが、私はここで問題にしたいと思いますのは、大臣という名稱の問題でございます。私はこの名稱は非常に封建的なにおいが強くて、速やかに改めた方がよろしいと思うのです。新憲法において主權在民ということが決定されまして、臣民というようなものがなくなつて、人民とか國民というようになりました今日、大臣という言葉もあり得ないのではないかと思うのです。それはただ言葉だけの問題であつて、別に氣にする必要はないというようなことを言われる人もあるかと思いますけれども、そうした封建的な遺風が殘存するということは、決して喜ばしい現象ではないと思うのです。政變のたびごとによく世間でいわゆる大臣病患者がいるとか何とか言つて冷かしますけれども、それは根據のないことではなくて、大臣というような言葉はむしろこの際國務長官とか、そういつた他の適當な言葉に變えた方がよいのではないかと思います。最も保守的であると考えられておりました官内大臣というのが、もう宮内府長官というふうに變えられておりますが、この點に關しましてどうお考えになるか。また今の現大臣の中には、大臣というような名稱の廢止論者もあるということも聞いておりますけれども、それに對して積極的に改稱する意思がおありになるかどうかを伺いたいと思います。
  46. 船田享二

    船田國務大臣 ただいまの戸叶委員の御指摘になりました大臣の名稱につきまして、實を申しますれば私自身も個人としてはこの大臣という名稱が不適當ではないかということを考えておる方でありまして、もちろんこの法案をつくるときにあたりましても、大臣の名稱をどうするかということが問題となつたのでありますが、各省長官としての大臣についてだけでも、長官、あるいはその他の名稱を用いたらどうかという考え方もあつたのでありますが、何しろ内閣總理大臣その他の大臣という言葉が、新しい憲法において使われておりますので、その憲法の方が改正されません限り、各省長官としての大臣だけをその面だけについて長官その他の名前を使いましても、内閣總理大臣その他の國務大臣という名稱は殘ることに相なりまするし、名稱の問題だけで今にわかに憲法を改正するというようなことは實際上非常に困難であり、あるいは不可能な状態になつておりますので、いずれ憲法改正を適當とするような時期がまいりました場合に、あらためてこの點を考えることにいたまして、現在の状態のもとにおきましては、一應大臣という名稱は、新しいものの規定に從いまして存續せしめようということになりまして、この法案においても、こういう大臣の名稱をそのまま使つている次第でございます。
  47. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつと簡單なことですが、私のもらつたのだけ印刷が違つておるのかどうか知りませんが、今の大臣のところで、「法務總裁は、その地位に最もふさわしい」云々というのがほんとうだと思いますが、どうでしよう。
  48. 船田享二

    船田國務大臣 これは正誤が差上げてあるはずであります。それから上の「1」の字が「2」でなければならないので、御指摘のように「法務總裁は、その地位に最もふさわしい者の中から」でございます。これは法務廳設置法規定そのままをここに受繼いでおる次第です。
  49. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 その地位に最もふさわしいというのはどういう意味ですか。
  50. 佐藤功

    ○佐藤(功)政府委員 この法務總裁の第五條第二項の規定は、今國務大臣が申されましたように、法務廳設置法にあるそのままの文字を使つておるわけでございます。これはその地位に最もふさわしい者の中からというふうなことを書きますと、ほかの大臣もそれぞれ最もふさわしい人がならなければならないのでありまして、おかしいというような感じがするわけなのでありますが、これは特に法務總裁という特別な地位に鑑みて、こういう規定法務廳設置法の方に出ておるわけであります。法務總裁は、もと司法省でやつておりましたような一般的の司法行政事務をやりますだけでは、ほかの各省大臣と全然組織法上同じであるわけでありますが、そのほかに法務についての内閣の最高顧問というようなことで、内閣及び各省に對して意見を出す、つまり法務についての最高の顧問、進言をするようなものだということが一番初めに法務總裁の權限として法務廳設置法の方で書いてあるわけでありまして、そういう法務についての最も專門家、最も權限のある人ということが、そういうところから要求されておるわけであります。そういう點で法務廳設置法の方で、法務總裁はその地位に最もふさわしい者の中からこれを命ずるというふうに書いてあるわけでありまして、それをそのままとつてあるわけであります。
  51. 竹谷源太郎

    竹谷委員長代理 先ほど高津君から順次進行することはよろしいが、きめないで保留しつつ進んでもらいたいという話でした。ただいまは質疑でございませんので、この條文ごとに移つていきましても、また後に御質疑なさることは全然差支えございません。御了承願います。  本日はこれ程度で散會いたします。次會は公報をもつて御通知いたします。    午後零時二十七分散會