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1948-01-27 第2回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十七日(火曜日)     午後二時十分会議  出席委員    委員長 竹山祐太郎君    理事 島村 一郎君       片島  港君    河合 義一君       玉井 祐吉君    戸叶 里子君       馬越  晃君    大上  司君       中曽根康弘君    西田 隆男君       岩本 信行君    大瀧亀代司君       冨田  照君    水田三喜男君       受田 新吉君  出席國務大臣         外 務 大 臣 芦田  均君  出席政府委員         外務事務官   島津 久大君  委員外出席者         専門調査委員  大久保忠文昭和二十二年十二月十三日委員大宮伍三郎君が退 職した。     ————————————— 一月二十六日  賠償廳臨時設置法案内閣提出)(第三号) の審査を本会議に附された。     ————————————— 本日の会議に附した事件  賠償廳臨時設置法案内閣提出)(第三号)     —————————————
  2. 竹山祐太郎

    竹山委員長 それでは、これより会議を開きます。  第一國会における委員各位の御精励に感謝し、第二國会におきましても、引続き各位の御援助によつて委員会の目的を達成いたしたいと思います。  本日は本委員会に付託になりました賠償廳臨時設置法案について御審議を願うことにいたしますが、なほ関連をした終戰連絡事務局関係法案が同時に提案になつたのでありますが、これは関係から言えば、これと同時にまた本委員会で御審議を願うのが順序と考えましたが、非常に政府審議を急いでいる関係もありますし、また今までの仕事関係が特に密接な関係でありましたので、外務委員会でこれの審議をすることに委員長の間で話をいたしたことをご了承願いたいと思います。なほ意見終戰連絡事務局に関する問題も、外務委員会の方で御発言を願うことを、委員長にも申し傳えてありますから、その点も御了承おきを願いたいと思います。  それでは賠償廳臨時設置法案について外務大臣より説明を求めます。
  3. 芦田均

    芦田國務大臣 この際賠償廳設置に関する法律案提案の理由を説明いたします。  賠償事務処理賠償物件管轄する官廳大藏商工、運輸、文部の各省にわかれておる関係がありまして、実施作業各省責任においで現に行つております。しかし実施計画の立案及び事務連絡調整は安本の生産局と、終戰連絡中央事務局賠償部とが協力して今日まで処理してまいつたのであります。しかるに今回終戰連絡事務局廃止に伴いましで、この際賠償に関する責任大臣を定めると同時に、賠償廳設置する案を立てた次第。あります。  賠償事務処理が、前に申し述べましたように、各省にわかれた複雑になつておる点につきましては、かねて連合軍司令都側からも調整要望がありまして、政府自体としてもその必要を痛感していろいろ研究を重ねた次第であります。この機会賠償実施の現段階に対應するように、賠償実施中枢機関とのて賠償廳を設けで、関係事務については企畫立案まだ事務総合調整を強力に推進することにいたしたいと考えた次第であります。賠償廳賠償事務総合調整をするのに十分な権限立場をもつ必要があります。從つて内閣総理大臣管轄のもとにおいて、賠償廳長官には國務大臣を当てるという案であります。もうとも事務機構はできるだけ簡素にする趣意でありまして、さしあたり國務大臣たる長官のもとに官房及び賠償廳次長、そうしてあとは六つの課を置きまして、所管事務処理させるという案であります。その一つは、賠償実施基本的事項企畫立案に関する事項、第二に、賠償実施に関する作業責任官廳事務総合調整、推進及び監査に関する事項、第三にへ賠償物件引渡しに関する事項、第四にへ賠償に関する調査に関する事項であります。すなわち賠償問題の一元的処理のために國務大臣を長とする中央機関を設けて、政府國際義務の履行のための企畫立案及び関係各省間の事務総合調整を完全に行いたいという考えであります。さような意味において、お手もとに配付いたしましたごとき機構をもつ案をつくつたのでありますが、この際総司令部側意向の一端を附加えてお話申し上げたいと思うのであります。かねてより総司令部賠償部におきましては、司令部側機構に対應する一元的な賠償機関日本政府内に設立することを希望するということでありましたが、今日までその実現を見なかつたのであります。殊に終戰連絡事務局は二月一日から廃止を実行する必要ある旨の指示を受けておるのでありまして、政府としてはでき得る限力迅速に本法律案の御審議願つて、時期に遅れることなく実施いたとたいという熱望をもつでおる次第であります。右の事情をお含みを願いまして、何とぞ速やかに御審議の上御決定あらんことをお願いいたします。  もし補足的に必要があるようでしたら、政府委員から條文その他についての説明をいたさせますが、委員会の御希望に應じていかようにも取計らいます。
  4. 竹山祐太郎

    竹山委員長 ではこの際政府委員から補足的な説明に加えて、賠償に関する現在までの経過概要の御説明を願いたいと思います。
  5. 島津久大

    島津政府委員 賠償問題の現在の状況をごく簡単に御説明申し上げますと、現在の賠償実施はすべてポツダム宣言に基きまして、連合軍司令部指示によりまして実施行つているのであります。今日まで司令部から指示を受けました主なる事項は、約九百ほどの賠償予定工場の指定を受けまして、その管理保全日本政府が命ぜられておるのであります。それに対應いたしまして、政府部内で所管をわけましで、軍工廠関係大藏省民間工場商工省造船施設運輸省研究所関係は文部省、こういうように各省でその施設保安管理に任じておるのであります。  次に昨年の夏になりまして、賠償がいよいよ実施段階にはいりまして、賠償撤去準備指令が発せられ、十月になりまして、具体的に軍工廠の一部の撤去の正式の指令に接しております。先ほど申し述べましたような管理保全責任をもつている官職が、大体におきまして実施作業責任官廳ということで、実施作業を担当しておるのであります。この簡単工廠民間工場というように所管がわかれており、調整を要する事項が多々あるのであります。なおまた司令部から指示を受領いたしましても、その解釈またそれに基きます具体的な実施計画というものはやはり分担ではできません。今日までのところは終戰連絡中央事務局賠償部経済安定本部生産局というものが一体となりまして計画をつくつてつた次第であります。その間でき得る限り終戰連絡事務局賠償部連絡調整に任じておつたのでありますけれども、ただいま大臣より御説明申し上げましたように、司令部の方ではこの賠償実施ということを迅速かつ有効に取運んでほしいという希望から、機構もでき得るだけ強力な中枢機関をつくつてほしいという要望がかねてからあつたのでございます。いろいろ政府部内でも検討を重ねておつたのでありますけれども、いろいろ所管事項が錯綜しておりまして、簡單に全部を一元化することはなかなか困難なのであります。ところが終戰連絡事務局解体が行はれるという機会に、現状において與うる限り調整を加えるという趣旨から、ただいま提案になりましたような機構考えられた次第でございます。從いまして、賠償作業責任官職は従来通りそのままということでありますが、その中枢機関にその事務を遂行するのに十分な立場権限を與えることにいたした次第であります。また賠償実施も十月に実施着手するようにという指令が発せられまして、現在軍工廠十七工廠のうちの機械が積出しを開始せられているのであります。今月になりましてから、中國船が二船、オランダ船が一般すでに賠償物資を運び出しているような状況でございます。ただこの実施の見透しは、御承知通り賠償問題全体がなかなかきまつてまいりませんので、困難でありますけれども、大体今日のところは十七工廠機械約二万台が運び出される段階にきているのでありまして、これは軍工廠機械全体の約一割という見当になつております。そのほか民間工場の各種の部門の工場撤去されることになろうと考えますが、これに関しましては、まだ正式の指令は何ら受領しておらないのでありまして、最初の指令に基きまして、その管理保全に遺憾なきを期しているような状況でございます。簡単でございますが、現状を申し上げました。
  6. 竹山祐太郎

    竹山委員長 質疑に入るにあたりまして、外務大臣から、賠償全体に対して日本が誠意をもつてやらなければならぬのでありますが、今後の見透しについて政府の御所見を伺つておきたいと思います。
  7. 芦田均

    芦田國務大臣 賠償問題につきましては、当初ポツダム宣言の定むるところによつて連合國極東委員会において、主として賠償に関する草案を討議されたことは御承知通りであります。そしていわゆるポーレー案と称する第一次の報告書が発表せられまして、その案を基礎として極東委員会においては活発なる討論が行われたようであります。討論の結果がどういう決定に達したかということは、これを確実に知る方法がありませんが、新聞の情報によれば、連合國賠償問題についてまだ最終的の決定に達していないというように報ぜられていると同時に、当初考えられたポーレー報告書なるものの線がへその後の連合國調査の結果かなり修正を加えられたことは、ほぼ間違いないと思われるのであります。しかし賠償連合各國の間にいかなる比率によつて分配するかという問題もまだ結着をみず、また日本國経済自立自給の域に残すには、およそ一九三〇年ないし一九三四年の工業水準にまで制限することが可能であるかどうかといふ点についても、必ずしも決定に達していないと報道さねるのであります。いずれにしましても現在極東委員会においては、賠償の問題をめぐつて今なお種々の意見交換が行われておりますが、その最終的の決定は來るべき講和会議おいで平和條約の規定せらるるときを待つて、はじめて確定するものと考えて間違いはないと思ひます。日本の現在の立場においては、一に連合國決定するところを承諾して、それを忠実に行う以外に途はないのであります。日本國民主化実現が着々と行われ、日本に対する連合國空氣戰争終結当時より年所を経るに從つて緩和されてきつつあるという事態に照らし合わせて、連合國側において決定せらるべき賠償最終決定は、将來の日本國経済的自立を著しく損傷するがごとき程度のものでないというとは、われわれ國民が期持して誤りないのではないかかように考えておる次第であります。
  8. 竹山祐太郎

    竹山委員長 それではこれより質疑に入ります。
  9. 島村一郎

    島村委員 終戰連絡事務局廃止に伴い、こういう役所をつくるまでの政府のお考えは諒としますが、この際できることならば賠償廳機構概要およびこれが経費に充てる予算について、どういうものをもつて充当するかというようなことをお聽ききしたいと思います。
  10. 島津久大

    島津政府委員 賠償廳機構内容について御説明いたします。賠償廳國務大臣長官とする長をおきます。その下に次長一名、次長の下に六課をおきまして、それぞれの事項を管掌させるわけであります。課の内容を簡単に申し上げます。第一は総務課であります。それは廳内統合調整をいたします。企画、構成その他の事務を取扱います。次は調査課であります。調査課のもつとも大きな仕事賠償施設評價に関する事務であります。先ほど申し上げましたように、九百余り工場評價を命ぜられておるのでありまして、これは実務は作業官廳でありますけれども、評價に関するいろいろな計画、基準その他を司令部打合せながら決定してまいるのでありまして、相当大きな仕事であります。そのほか賠償問題各般調査を行うのが調査課であります。次は実施課であります。これは賠償施設撤去作業賠償施設解体梱包段階、その二段階事務を担当いたします。これも各省実施いたしまするところの実施の総合的な計画をつくるのであります。関係官廳事務総合調整あるいは技術の指導の面、そういうことを取扱うのが実施課仕事であります。次は輸送課であります。賠償に関する輸送の総各計画を立てる課であります。それで賠償実施段階は、解体梱包という段階までは、先ほど申し上げましたような、それぞれの所管官廳で扱つております。梱包ができまして輸送段階にはいりますと、輸送は一切運輸省一省の責任で引受けるということになつているのであります。しかしながら輸送に関しましても、解体梱包段階との関連あるいは所管各省との間の総合調整というような面もいろいろございますし、輸送計画につきましても、司令部といろいろな具体的な打合せを必要とするのでございます。これまた相当な仕事があるのであります。次は管理課であります。管理課賠償予定設備維持管理に関する事項、これを一切取扱うごとになつております。これまた維持管理方法、資材その他につきまして、種々総合的な計画を立てますとれは管理課所管事務に属しております。次は監査課であります。これは賠償関係経費監査を主とする課であります。監査を主たる仕事とする課でございます。なお監査のほかに賠償関経費につきましては、経費の面から賠償実施のわくがいろいろと考究を要する面があるのであります。その面から関係各省作業官廳との経費使いようにつきましても、総合調整をする仕事がございます。機構は大体以上のようなものでございまして、そのほかに官房に祕書課とい方ものをおくことに義つております。部のない六課の執務機構ということに御承知願いたいと思います。
  11. 芦田均

    芦田國務大臣 予算及び人員の問題についで簡単に説明いたします。今度賠償廳を新しく設置しますけれども、昨今行政整理方針を定めて着々各省人員整理等をも始めておる際でありますから、新しく設けられる賠償廳には、新規採用を極力避ける、そしてもつぱら各省の定員内から配置轄換によつて賠償廳構成員をつくることに方針を定めております。從つて先ほど政府委員から説明した総務課調査課の二課は主として從来の終戰連絡事務局賠償部及び安定本部賠償部より人員を補充します。実施課については商工省輸送課については運輸省人員を充当する計画であります、また管理課及び監査課については、ほとんど全部大藏省の職員の配置轉換行つて、これに充てる計画でありますから、新規に要求すべき人件費はほとんど言うに足りない数字にすぎないのでありますが、追加予算として一両日のうちに國会に提出するために、ただいまその予算を編成中でありますが、なほ関係方面との折衝が終了しておりませんために、この席において明確な数字を申し上げることは差控えざるを得ないような立場にありますが、その経費はきわめて軽少であるということだけは、ただいまからはつきり申し上げられると思います。以上簡單予算及び人員機構の問題について説明いたしたわけであります。
  12. 中曽根康弘

    中曽根委員 一、二お尋ねいたじたいと思います。先ほどボーレー大使の案によりますと、大体工場撤去するだけのようになつておりますが、ストライキ・ミツシヨンでしたか、あの中には一部生産物賠償を含むような構想が述べられておつたと思います。この賠償廳設置法案によりますと、大体物件を中心にして構成されておるようでありますが、生産物賠償の見透しはどうでありますか。外務大臣にお伺いいたします。
  13. 芦田均

    芦田國務大臣 ポツダム宣言の中に、現物賠償及び必要な場合における生産賠償という文字ははいつておるのです。経つて極東委員会において賠償問題の議論が行われる場合には、必然的にこの二つ賠償対象としての論が行われることは当然の行き道であつたと思います。しかしすでに中曽根君も御承知通りアメリカ國内の輿論の大勢は、現物賠償に主力を注ぐべきであつて生産賠償は反対だという意向が非常に強かつたのであります。その後連合各國の間においてこの問題がどういうふうに扱われたかということは、まだ何ら的確な事情承知する情報を手に入れておりませんが、日本政府希望としては、賠償の対識はもつばら現物に止めてもらつて、あくまで生産賠償は避けたいという希望をもつておる次第であります。
  14. 中曽根康弘

    中曽根委員 次に、これは小さいことですが「賠償物件の引渡」という言葉がありますが、引渡しというのはどこを限界にして行われるかということをお聽きいたしたいと思います。
  15. 島津久大

    島津政府委員 日本政府責任賠償物資の船積みまでということに決定しておるのであります。賠償物資輸送しまして船に積みこみまして、すべて手続が終えました上に引渡し書面をつくる。その書面をつくる形式引渡しと申しておるのであります。引渡しとは現実に作業をするのではなくして、形式賠償物資受取國に船の上で引渡すという形式であります。これで日本政府作業責任はおしまいになります。船に積んでから先は全部受取國の費用と、責任負担ということになつております。
  16. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうしますと、この海上運賃などは皆向うの負担になるのですか。
  17. 島津久大

    島津政府委員 全部受取國負担になります。
  18. 中曽根康弘

    中曽根委員 その次に、ただいまの部課機能の中で工場評價をするという言葉がありますが、満洲でソ連が撒きたいろいろな工場施設なども評價対象になつておるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  19. 島津久大

    島津政府委員 ただいま申し上げすした評價は、國内の施設評價だけぶ現在の作業対象になつておりまして、在外資産——ただいま御質問の満洲の施設もくるめました在外資産につきましては評價はやつておりません。ここに申します評價は、司令部から指令をもらいまして、それに基いて現存作業をしでおる範囲内のことであります。しかし存外資産につきまして、將來はまた評價の問題が出てくると存じますが、目下のところは園内施設評價考えております。
  20. 中曽根康弘

    中曽根委員 最後に賠償廳構成でありますが、第一條にあげてあるいろいろな機能をやるためには、相当強力な人材がいないと各省を統合してこれを強力に推進することはむずかしいと思うのでありますが、國務大臣長官になるとして、次長あるいは課長にはどの程度の等級の人をもつて充てるのかお伺いいたしたいと思います。
  21. 島津久大

    島津政府委員 次長一級官課長につきましては目下考えておりますことは、今日まで一年余りにわたりまして、司令部の担当の部面と密接に連絡をいたしまして、事務に習熟しております課長を大体そのまま充てる考えでおります。いろいろ技術的な部面もございますので、この課の中にはできる限り技術面に明るい課員を採用いたしたいと考えております。
  22. 中曽根康弘

    中曽根委員 第三條の問題で、今まで必要な部局を政令できめたいということに対して、参議院の方でこれと違う決定をしたことがございますが、この法案設置を急ぐ必要があるのと、もう一つ部課が非常に小さい、そういう関係から政令によつたのであろうとわれわれも了承する次第でありますが、この点については事情を具して参議院の方としかるべく了解を求めることを委員長にお願いいたします。以上で終ります。
  23. 冨田照

    冨田委員 この第二條に「長官は、國務大臣を以てこれに充てる。」こうありますが、この國務大臣は必ずしも外務大臣に限らなくて、別の國務大臣を充てる場合もございましようか。
  24. 芦田均

    芦田國務大臣 この場合國務大臣と書いてあります意味は、それぞれの省の長官でない國務大臣という意味でありまして、各省大臣賠償責任大臣にはならない予定であります。
  25. 冨田照

    冨田委員 ただいまのお話によりますと、賠償廳長官各省大臣でないということになると、連絡調整事務局法案の第二條には、外務大臣または賠償廳長官がこれを指揮監督する。こういうことになりますと、指揮命令系統二つにわかれて非常に混線してくるような感じがいたしますが、連絡調整事務局と今度の賠償廳との関係はどのようになるのでございましようか。
  26. 芦田均

    芦田國務大臣 それはちよつと一目でおわかりになりにくいかと思いますけれども、第二條の二項に「地方事務局においては」ということが書いてございます。調整連絡事務局中央事務局でなく、地方にある事務局においては、終戰連絡調整事務のほかに、特殊財産の問題と賠償の問題とを管轄することになつております。その関係上、この特殊財産のものは終連廃止と同時に外務省に参りますから、そこで外務大臣がその特殊財産の問題に関する限り地方事務局を指揮監督する、こういうことになります。  それから賠償問題に関する限りは、地方事務局に関して賠償廳長官が指揮監督することができる。こういう意味でありますから、その権限は非常に狭いのでございます。
  27. 竹山祐太郎

    竹山委員長 一應今のような質問も出るようですから、そちらの法文の概要を御説明を願つたらどうですか。
  28. 芦田均

    芦田國務大臣 それでは連絡調整事務局臨時設置法案のごとく大筋を説明いたしたいと思いますが、從來終戰連絡事務局廃止する結果として、その管轄に属しておつた賠償事務は、今回の賠償廳設置によつてその方に移る。それから特殊財産——敵から徴発した、あるいは掠奪した物件等特殊財産の問題は、便宜上外務省に移る。そうしてその残りの機構連絡調整事務局と称する内閣総理廳外局としてもつていく、こういうことになるのであります。その連絡事務局の主たる仕事連合國官憲との連絡に関する事務、それからそれに関連して各廳事務総合調整に関する事務、これだけを連絡調整事務局の主たる事業として行う、こういうことでありまして、御承知通り占領軍の上陸当時は、占領軍官憲帝國政府及び地方行政官廳との連絡に不案内であり、また人的構成においても必ずしも円滑に行われ得ないという関係上、連合軍指令に基いて終戰連絡事務局を設けて、もつぱら占領軍連合國官憲との連絡事務に当つてつたというのでありましたが、だんだん事態の変化とともに、連合國官憲は直接政府各省とその所管事務についての連絡をとることになりまして、その間の打合せも次第に深くかつ円滑に運用されるような情勢になつたのでありますから、年所を経るに從つて、いわゆる終戰連絡事務局事業事務内容が本質的の事務からもつぱら連絡事務総合調整事務に傾くということになつてまいりました。從つて連合軍がその軍政府帝國政府との間の打合せを行うにあたつては、各省各般事務にわたつておる関係上、これをむしろ総理廳外局として一元的に総合調整することが便利である。またそれが筋が通るという意味において、從來終戰連絡事務局廃止して、総理廳内連絡調整事務局を設けたわけであります。從つて名前は変りますが、ごく一口で申しますれば、従来の終戦連絡事務局一部分仕事外務省に残して、その他の一部分賠償廳に移して、残る仕事総理廳にもつていく。その新しぎ調整事務局仕事は、從來終戰連絡事務局人員機構をほぼそのままに移して、多少規模は縮小いたしますが、大体の人的構成、は從來の姿のままで総理廳にもつていく。こういうことに新しく、案を立てたわけであります。從つて今回の終連廃止、あるいは連絡調整事務局設置はきわめて臨時的のものでありまして、來るべき講和会議において、日本政府が正式の國交を回復することができるならば、外交事務はあげて一元的に外務省がこれを管轄するのでありますから、その時期に至るまでの臨時占領軍官憲日本政府との間の連絡は、連絡調整事務局において行うという趣意にほかならぬわけであります。少し簡單過ぎて十分説明が行き届かなかつたかもしれませんが、なおお尋ねに應じてお答えいたします。、
  29. 竹山祐太郎

    竹山委員長 念のために伺つておきますが、追加予算を出さなくても法律だけで実施にはいれることになりますか。
  30. 芦田均

    芦田國務大臣 いや追加予算は明後日ごろに、多分國会に提出し得る運びになります。
  31. 玉井祐吉

    玉井委員 これは賠償の方がまだ完全に決定しておりませんので、おそらくはつきりしたことはおわかりになるまいと思いますけれども、引渡し終了は大体いつごろまでという御見当でおられるか。もしおわかりでしたら、引渡し終了は大体何年くらいのお見透しか。もう一うはそれの梱包その他に要する経費の点、これは全部数量がわかりませんので、おそらく最後までおわかりにならないのはごもつともですが、最近まで積み出されたものの経費はどのくらいになつているか、その点おわかりでしたら一つお聽きしたいと思います。
  32. 島津久大

    島津政府委員 引渡し終了の時期は全然わかつておりません。ただ第一回に指令が出ました十七軍工廠機械作業が終りますのが二月末であります。二月末に十七軍工廠の今度指定になりました施設は全部梱包を終ります。ただ船がいつ全部持つてまいりますかは、まだ判然といたしておりません。それから経費の点でありますが、まだ作業の中途でありまして、はつきりした数字を申し上げるところまで整理ができておりません。ただごく概略常識的に申し上げますれば、資材の点から申しますと、賠償機械一トン当りに対しまして、木材が三石前後要るようであります。一トンのものを解体しまして梱包します。までの経費、これが大体のところ、資材の面は約五千円前後、その他の経費がやはり五千円程度、一トン一万円・大体そういうふうにいくのではないかと思われます。しかしながらまだ梱包以後の輸送がどのくらいかかりますか、その他いろいろ準備にも費用がかかりますし、必要な図面だとか、いろいろな書類、こういう関係のものを全部集計いたしますと、なかなか簡単には結論が出ないのではないかと考えます。そういうような見当と御承知願います。
  33. 竹山祐太郎

    竹山委員長 今の御質問関連して今年の三十億の管理費と十億の撤去費、あれはごく概算なんですが、一体あれでまだ足らなくなるのですか。その辺はどうですか。
  34. 島津久大

    島津政府委員 維持管理の方が四十億になつでおりますが、その中の二十数億が維持管理費、撤去費の方は大体十億という予算になつております。まず今年度内はその十億で十分であろうと思います。
  35. 竹山祐太郎

    竹山委員長 他に御質疑はありませんか。
  36. 冨田照

    冨田委員 この賠償廳長官に他の國務大臣が当ることになりますと、この仕事の第一に掲げてありまする賠償実施の基本的な企画立案に関する事項は、いわゆる賠償廳長官である國務大臣責任になるわけでありますが、そうすると外務大臣はそのことに対しては責任を負わないでもよろしいことになるのでありますか。
  37. 芦田均

    芦田國務大臣 直接の責任を負わないのでありますが、しかしやはり内閣の一員としては——賠償問題に関する責任賠償廳長官を指揮する内閣総理大臣、その内閣総理大臣のもとにある内閣の閣僚としては、やはり賠償問題に対する責任は政治的には負う、事務的の責任を直接には負わない、こういうことだと了解しでおります。
  38. 竹山祐太郎

    竹山委員長 他に御質問ございませんか、ではちよつと休憩をいたします。     午後三時五分休憩      ————◇—————     午後三時六分開議
  39. 竹山祐太郎

    竹山委員長 それでは再開をいたします。  他に御質疑はございませんか。それでは質疑は一應この程度で打切りたいと思います。     —————————————
  40. 竹山祐太郎

    竹山委員長 賠償廳臨時設置法案討論に付したいと存じます。     〔「省略」、「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 竹山祐太郎

    竹山委員長 討論省略の御動議がありますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 竹山祐太郎

    竹山委員長 それでは討論を省略して、採決に入りたいと存じます。賠償廳臨時設置法案政府原案に対して採決をいたします。御同意の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕
  43. 竹山祐太郎

    竹山委員長 起立全員、本案は原案の通り可決いたしました。   それでは本日はこれにて散会をいします。     午後三時七分散会