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1948-01-26 第2回国会 衆議院 議院運営委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十六日(月曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 淺沼稻次郎君    理事 坪川 信三君 理事 大石 倫治君       佐々木更三君    笹口  晃君       森 三樹二君    吉川 兼光君       工藤 鐵男君    小島 徹三君       後藤 悦治君    鈴木彌五郎君       稻田 直道君    小澤佐重喜君       廣川 弘禪君   山口喜久一郎君       石田 一松君    川野 芳滿君       田中 久雄君  出席國務大臣         内閣総理大臣  片山  哲君         司 法 大 臣 鈴木 義男君  委員外出席者         議     長 松岡 駒吉君         副  議  長 田中 萬逸君         議     員 田中 健吉君         議     員 外崎千代吉君         事 務 総 長 大池  眞君     ————————————— 本日の会議に付した事件  議員原侑君逮捕について許諾を求める件  連絡調整事務局臨時設置法案及び賠償廰臨時設 置法案を付託すべき委員会に関する件  外務委員会並びに治安及び地方制度委員会の國 政調査承認要求の件     —————————————
  2. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それではこれより議院運営委員会開会いたします。  最初に総理大臣から議長あてにまいりました原君に関する案件について、政府の方から司法大臣がお見えになつておりますから、説明を求めることにいたします。
  3. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 総理大臣出席して御説明申し上げるのでありますが、ただいま参議院の本会議質問に答えておりますので、私が代つて説明申し上げることにいたします。総理大臣が出ましても、私が出ましても、政府としての見解は同一であります。どういう理由でこの逮捕を求めたかということにつきましては、書面をもつて申し上げた以上に申し上げるわけにいかないのであります。これは裁判所に令状を求めまする場合の請求と同じことでありまして、それ以上のことは捜査機密に属することでございますから申し上げかねるのであります。但し政府も十分に立法府議員審議権を尊重いたしまするがゆえに、この請求をいたすことにつきましては、十分愼重考慮した上で、やむを得ず請求するごとに相なつたのであります。そのことをひとつ了承願いたいと思います。その他は御質問がありますればお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  4. 石田一松

    石田(一)委員 立法府の権威を政府が尊重してくれまして、相当愼重考慮の上に原侑君逮捕に対して衆議院許諾を求められたというのでありまして、この書面に書かれた以外のことは説明しかねる、この事情もよく了解するのでありますが、その原君を逮捕しなければならぬという、どういう犯罪的な事実があるのかということを、特にわれわれが聽こうとするまりか、東京高等檢察廳から、少くとも司法大臣あてに、原侑というものを今ただちに國会開会中に逮捕しなければならないという要求があつたから、この意味に対して政府から今回の要求があつたと思います。そこで私はでき得ることならば、書面以上の説明ができないまでも、東京高等檢察廳から司法大臣あてに、原侑をこの第二國会開会中に逮捕したいから、ぜひ院の許諾を得る手紙をとつてくれという要求書がきているはずであると思います。その要求書は、決して原侑君が犯したという詐欺罪内容にわたるものではないと思いますので、その要求書がありますならば、それをまずわれわれ委員にお示しくださるならば、またこの件に対する判断の材料になると思うのでありますが、いかがでありましようか。
  5. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その要求書は、司法大臣まで参つておりますが、やはりいろいろ内容を含めての要求書でありますから、ちよつとそれをごらんに入れることはできないのであります。抽象的に理由を申し上げますれば、事案が非常に重大であるということが一つと、会期がまれに見る長く続いておる。政府も、もし一箇月待てばよろしい、二箇月待てばよろしいということでありますれば、あらん限りがまんをいたしまして、かくのごときことをいたしたくないのでありますが、御承知のように昨年の五月から、都合によると本年五月まで、あるいは六月まで会期が続かないとは限らないのでありまして、ほとんど一年会期が続くというような場合に遭遇いたしておりますことを考慮に入れて、やむを得ず請求をいたした、こういうふうに御了承を願いたいと思います。
  6. 石田一松

    石田(一)委員 この檢察廳から大臣あてにまいりました、いわゆる逮捕許諾を得てくれという要求書が、事件内容を含んでの要求書であるので、この際これをこの委員会に示すことは、捜査機密を守る上において、またいろいろと司法当局関係上、困難なことであるということは了解できます。できますならば、それが何月何日附をもつて提出され、そうしてその内容にわたらずして、最後原侑逮捕するという院の許諮を要求する、そうした一部分の、せめて司法大臣責任をもつて提出されるところの一部の写し程度ぐらいならば、この委員会要求しても、決して内容に触れるものではないので、これはできるのではないかと思いますが、いかがでございましようか。
  7. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その程度のものならば、御必要があれば出せると存じます。
  8. 工藤鐵男

    工藤委員 この問題は、檢察廳で着手したのは、いつでありますか。捜査に着手したというと漠然としたものでございますが、第一回のこの容疑者をお調べになつたのは、いつでありますか。
  9. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その問題は、そうなるとだんだん内容に触れていかなければならぬのですが、正確に着手した月日を承知したいということでありますので、取調べてお答えいたしますが、昨年の八月ごろから着手されておると思います。
  10. 工藤鐵男

    工藤委員 そうすると昨年の八月以来、容疑者尋問は何回にわたつてつたのですか。
  11. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 取調官を呼んで正確に聽いた上でなければお答えできないと思います。
  12. 工藤鐵男

    工藤委員 司法大臣はこの立法府における身分保障ある議員に対して捜査を開始するにあたつて、これを監督指導するところの権能をもつているはずであります。従つてこれがいつ発生したかということは、司法大臣は知つておらなければならぬはずであります。一々官憲を呼ばなければわからぬということは、私どもは信ずることができません。しかしてこの八月というのは会期中でしよう。容疑者尋問が始まつたのは同じく会期中、この時分に本人はやはり出頭しておるものと思う。出頭しておるものなりとすれば、会期中であつて憲法保障せられてゐる期間でも、やはり本人も出ておるだろうし、調べたことは明瞭な話である。從つて私はそれを伺いたい。いつ始まつて何回お調べになつて、さらにどうしても勾留しなければ首相を明らかにすることはできないという理由については、よほど司法官憲愼重考えているだらうと思ひますから、私はその期間及びその容疑者に対する尋問の開始を伺つて、この問題に対する態度をきめたいと思います。その点はきわめて重要なるポイントであります。それを司法大臣立法府議員身分保障を蹂躪するような一つ規定、もちろん適法で要求しておるのですから、それを否定するのではないけれども、それを司法大臣は知らぬから、調べてみなければならぬということであれば、あなたの職務に対するやり口を疑わざるを得ない。そういうようなやり口でわれわれ議員身分が常に脅されるというようなその心構えは信ずることができない。そこに何かがありてこの席で言わないということであれば、これは別段証拠湮滅ということになるわけでもなければ、また本人逃亡する機会を與えるということにもならない。繰返して言うが、八月以來何回調べになつたのですか。
  13. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 議会に対してこの書面要求以上のことは申し上げないということになつております。
  14. 工藤鐵男

    工藤委員 今書面以上のことは答弁できないといえば、この程度であれば國会は承認するだらうという予断、もしくは推定のもとに、ある程度の諮問が出たものと思います。ところがこれに対して答弁ができなければ、いきおい私ども総理大臣の名において國会に照会したことでありますから、総理大臣出席を求めざるを得ないのです。それ以上のことができぬというならば、お帰りになつて檢察官と御相談してみたらどうですか。たとえば重大なる犯罪ありと称して、國会に対して憲法保障あるところの規定を、われわれはできるだけ司法官憲のために廣義に解釈してこれに應じようかどうしようかというこの際にあたつて、あなたの態度は私どもとしてはすこぶる疑惑を深くする。何のためにかようなことが起つたかということまで、われわれは邪推せざるを得なくなる。おそらくいつから始まつた、何回やつた、そんなことについては、これは証拠湮滅、その他犯罪捜査に対して不利であるというようなことを檢察官が答えるはずがないのです。何回調べたかということは、何の祕密になるのですか。調べられておることは事実であつて、いやしくもわれわれは法律の保護のもとに裁判所もしくは檢事局に出廷するものである。それを祕密であるかのごとく言うことは、社会党出身司法大臣とし、完全に民主主義を主張する司法大臣としては不適当な言葉である。それは議会に慣れないから、そんなことを言われるのかもしれないが、昔ならたいへんなことが起る。電話でもよいから聽いてもらいたい。いつから始まつて、何回調べたか、それは議会開会中であつた。してみれば、過去一年近くにわたつてこの問題を捜査しておる。そしてある点まで証拠を集めた。この上は勾留しなければならぬ。勾留はできないという、われわれの保護規定まで奪つて、これを調べようというこの問題について、あなたがそんな不用意な心構えでは、われわれはとうていあなたの言論を信ずる、とができない。この点について電話で照会するなり、あるいは呼ぶなりして、ここではつきり答弁してもらいたい。
  15. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 ちよつとお諮りいたします。ニュースをとりたいというのですが、異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それではよろしゆうございます。
  17. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 捜査範囲に属することは答えないということで、出てきたのでありますから、いま一度相談して、差支えないという範囲でお答えしたいと思います。
  18. 工藤鐵男

    工藤委員 一体、憲法上、殊に新憲法上はつきり書いてあるわれわれ一般民衆の自由の保護、権利の保護、なかんずく國会議員については、かつて憲法には、内乱外患現行犯の場合のほかは議員は捕縛を受けることはない。それまで内乱外患というのをとつて廣くしてある。そして院内の許諾を得なければならぬことになつておる。その目的は何であるか。第一には、証拠湮滅でありましよう。むろん、いやしくも犯罪があつて証拠湮滅するおそれがあれば、その犯罪に対して國家の制裁を與えることは、これは法の威信にも関するし、治安にも関係するし、当然であります。第二は逃亡であります。しかし現在召喚に應じている事実に対して、國会議員ともあろう者が逃亡するおそれがないことは明瞭であります。証拠湮滅については、すでに数回調べて、ある程度まで調べられている。この二つの見地に基いて檢察官調べたにすぎない。今のようにどうしてもここで答弁ができないということならば、速やかに電話なりその他によつてこの点を明白にしてもらいたい。これは單純にこの場だけの問題でない。世界各國から注目せられておる大問題であつて、われわれは死力を盡して、代表者身分保障だけは確立したいと考えておるところの問題でありますから、どうぞ眞劍なる態度をもつて、今要求した点を明らかにしてもらいたいことを希望いたします。
  19. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 今、司法大臣の言うところによると、これ以上できぬというのですから、これでは折角司法大臣出席されても、何の意味もなさぬと思う。從つて要求者の言われるように、総理大臣に即時ここへ出てもらうように要求いたします。
  20. 石田一松

    石田(一)委員 今の小澤君の要求に対して、私は賛成であります。ただ、現在出席してくださつておる司法大臣が、この点ならばお答えできると思うのですが、司法大臣としては、身分が監督の立場にある檢察廳から國会要求をしてきた原侑君逮捕許諾を求めるこの書類ごらんになつて司法大臣としてはこれを判断した結果、絶対にこれを逮捕しなければならぬ。國会開会中に、憲法の五十條に明示してある國会議員身分保障、その大原則國会法の三十三條ですか、これによつてとにかく逮捕しなければならぬ。そういう心証を得るに十分なる事件であるとお考えになつて、この要求をお出しになつたことと思いますが、現在でも司法大臣は、絶対にこれが必要なものだとお考えになつておるのでございましようか。
  21. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その通りです。
  22. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  23. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは速記を始めてください。
  24. 石田一松

    石田(一)委員 私は司法大臣に、最後にもう一つお尋ねしたいのであります。先ほど來司法大臣は、十三日の午前十一時でしたか、この衆議院に対して、衆議院議員原侑君多額の金額を詐欺したという疑いがあるので、これを東京検察廳から逮捕したい、捜査の必要上國会会期中に逮捕したいという要求があつたので、院の許諾を得たいという、あの内閣総理大臣署名文書以上にわたつては、このことについては何事もそれ以上説明政府としてはしない、檢察当局としてはしないというような協議をなすつてここへ來たから、これ以上は申し上げられない。しかしただいま工藤委員から、昨年の八月ごろから何回くらいこれを取調べたのかということについても、それは事情を帰つて聽いてみなければわからない。こういう程度説明で、ただこの間この衆議院に提出された、あの数行の一片書類で、われわれ國会議員会期中に——犯罪内容の軽重は言いませんが、ただ一片書類で、あの内容だけで、われわれはこの者を逮捕すべしといつて、これを承知することができるかどうか。ただあれだけで、また反対に、それは逮捕することは許されぬということも言い得るかどうか。この点に関して司法大臣が、もしあの一片書類國会は十分に審議して、イエスノーかを判断すべきであると今お考えになつておるのならば、ひとつその御見解をここではつきり承りたいと私は思います。
  25. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 意見を述べろということであれば、ある程度までは申すことができると思うのであります。犯罪内容について説明することは非常にむずかしいことであるということは、おそらく皆さんの御了承を得られると思うのでありますが、また皆さんの方から申せば、ただいま申したような疑義のあることは、よくわかるのであります。それでれから審理をいたしまして、有罪、無罪等が決することでありまして、こういう席上において、責任ある者から予断的のことを申し上げるわけにはいかぬのであります。しかし疑うに足りる相当理由があるということは、檢察当局責任をもつて申し出ていることでありますから、それに基いて、相当理由ありと司法大臣も認め、これを総理大臣請求し、総理大臣相当理由ありと認めて議会にこれを要求せられました以上は、責任は十分に自覚いたしているつもりであります。質問趣旨がそういうところを指しているのかと思いますのでそれだけお答えいたします。そうでありまする以上は、この程度で十分に御信頼をいただくよりほかに方法はないと存じます。それでは拒絶すると仰せられるならば、それも一つのお考えであると考えます。形式については、十分考慮した後に、こういう形式で求めていることを御了承願いたいのであります。
  26. 石田一松

    石田(一)委員 司法大臣の御答弁相当辛い窮状は察しないのでもないのでございますが、これは非常に重大な案件でございまして、事いやしくも新憲法下における國会議員会期中の身分保障の問題でありますので、先程來、私はたいへん理窟がましくお尋ねするのですが、司法当局はわれわれがこの問題については、十分責任を負つてつているのだから、この問題に関しても信頼をしてもらいたい。もし信頼できないで、それはできぬ、ノー判断をされるならばそれもやむを得ない。イエス判断をされるのならば、してもらつてもよいということを、ただいま司法大臣はおつしやいましたが、先ほど私が、司法大臣は現在、今でも原侑君をただちに逮捕しなければならないという確信をもつておるのかと聽いたら、そうだとおつしやる。それに違いありません、そうおつしやつておいて、今は司法大臣は誠意をもつてつておるのだから信頼してくれ。しかし信頼されてこれがイエスとなることも結構だが、ノー判断されても、これは皆さん方の御随意であるということである。先ほどあなたは絶対的に必要だと信じておるとおつしやつた。それならば今のお言葉は出ないわけです。もしあなたがほんとうに絶対的に信じておるのならば、あの手続はこういう簡単なものであるけれども、われわれとしては、今これを絶対にこうしなければならないのだという強い意思がここで表明されなければならぬと思うのです。しかるに先ほどはそういう強い意思が表明されたのに、今はどつちでも衆議院の好きなように——もちろんわれわれは勝手に判断しますが、提出者自身がどちらの氣持をもつておるかわからないというような事件に対して、しかもあの一片要求書だけで判断してくれ、信頼してくれということでは、私たちはどういうものを根據にして、どつちが正しいのかを判断することはできないと思います。それについて絶対に必要なのかどうなのか。先ほどおつしやつたように必要なのか、それとも今のようにどちらでもよいのか。そこのところを、ひとつはつきりと説明していただきたいと思います。
  27. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それは石田委員の誤解でありまして、いやしくも公の文書要求いたしておりまする以上、こちら側としては、絶対に必要であるということに変りはないのであります。ただこの文書では判断ができないと仰せでありますから、それに対しては、そちら側の御判断でやむを得ない、これ以上申すことができない私の方の立場を御了解願いたいということを申しただけでありまして、決して私の態度が変つたということではありません。
  28. 石田一松

    石田(一)委員 ただいま、この文書によつて判断ができないならば、それは委員諸君の自由であるとおつしやいますが、おそらく司法大臣としても、あの文書でこんな重大な問題が判断できるとはお考えになつていないと思います。その間に、もしいろいろと複雑な、またはつきりとここで説明のできないような重要な國家機密に属するような案件があつて、これを公開の席上では説明ができないという意味であつたならば、われわれは決して祕密会などというものを好むものではありませんが、この事実はどうなつておるか、何がために原君を國会会期中に——憲法の大原則に対する特別な例外規定を適用してまで、これを逮捕しなければならないか。この事情をはつきりわれわれに了解できるような説明方法をとつていただきたいということを、私は要求したいのでありますが、いかがでありましようか。もし公開ができないものならば、われわれ委員國家の名において、衆議院の名誉において、國家機密に属するものがあるならば、絶対にこの祕密を守る責任を負うという確信をもつております。ぜび、こうした國会議員身分保障に関する問題でありますので、政府当局もその観点にお立ちになつて、そうした方法ででも実情をわれわれ委員説明していただく、こういうお考えがないでありましようか。
  29. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 その問題はあとで相談することにします。
  30. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 司法大臣は、大体書面以外に答えができないというので、先ほど控えておりましたが、事案内容にはいらないことだから、あるいは答えてくれるかと思いましてちよつと伺います。この書面要求した趣旨は、先ほど工藤さんも言つたように、まず第一に、本人逃亡のおそれがある、あるいは証拠湮滅のおそれがある、こういう趣旨で出したのかどうかという点だけを伺いたい。
  31. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 抽象的に申せば、逃亡のおそれあるとは思つておりません。証拠湮滅のおそれありということに相なつております。
  32. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 その証拠湮滅のおそれがあるということになりますれば、その証拠湮滅のおそれがあるというようなことについて、何か原君の今までの動き、あるいは関係者動き等があつたために、そういうことを感じたのであるか。ただ漠然と、証拠湮滅のおそれがあるというのか。今までにそれに似よつた行為があるという意味でそういうことを感じたのか、それをお聽きしたい。
  33. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 どうもだんだんそういうふうに申していきますと、私も内容をお話ししなければならなくなりますので、この点については答弁を留保いたしたい。
  34. 工藤鐵男

    工藤委員 御相談の上でということでありますから、これ以上のりを越えることができないことは了解いたします。しかしながら、國会のこの審議というものは、刑事訴訟法で認められるがごとき、証人喚問権限をもつております。一方的な決議をして、あなたを証人として申請いたして調べることができる。かくのごとく、國会権限はますます強化せられておるのであるが、しかしながら、なお行政府との対立において、行政府との円満なる國事の運行について、私は特にあなたの任意なる御発言を願つているのである。それであるからして、私どもはあなたの御答弁いかんによつては、われわれ國会に與えられたるところの強力なる権限を行使しても、この眞相調べる必要が——この事件はどうかしらんが、起り得るのでありますからして、これ以上いくら言つても同じことだから、早く御相談なさつて、やつてください。そうして、できなければ、私どもはここに本人の原君がいるのであるから、われわれの知りたい程度においては、原君を同じく証人としてでも、この事件をこの機会において調べることは、必要があると考えておるのであります。この機会に申し上げますが、元來言えば、私があの文書を見、’司法官憲総理大臣というものは、いかに非常識であるかということを考えた。保護のもとにある國会議員逮捕するにあたつて多額の金を詐欺した疑いがあるということは、侮辱もはなはだしいのです。多額の金を詐欺した疑いがあるというのは、普通の言葉では言えまいと思う。けれども官廳要求としてはそこまで触れる必要はない。刑法第何條の容疑があつてこれを調べ中であるが、証拠蒐集上必要であるからこうう場合に召喚する。詐欺をやつて多額の金をとつ疑いがある。何の必要があります、実にこの國会議員を侮辱した文書です。從つてこの反面には政治的な操作があるということをにらんでいるのです。官廳文書としては実に不穏当きわまる。少くともこれは総理大臣に対する弾劾の一つ理由になります。その責任はあなたが負わなければならぬのです。そういう場合であるから、私は昨日申した通り司法官憲を呼んでもむだだから、内閣を呼んでもむだだからよそうじやないかということであつたのを、みんなが、どうしてもこれをきめるに必要だと言う。はたしてあなたがこの態度をとるということは、おそらくは多数の人の期待に反したことでありますから、下僚とも上司ともよく相談をして、われわれは、やむを得ずこの権限を行使するのでありますからして、ここに十分なる考慮拂つて、満足を與えるような答弁をする機会をつくつてもらいたい。もしそれがどうしてもできなければ、あなたを日本國民の一人として國会議員召喚します。召喚をして、証人申請の下に、あなたを尋問します。司法大臣尋問します。職務上差支えあることは答弁してもしなくても、とにかくわれわれはそれだけの権限をもつているものと考えまして、生半可な、野党で縦横無盡に勝手な熱を吹いたのどは、國会議員は違うのです。よくその点を考えまして、愼重に、この問題に対処することを私は要望します。万一内閣が更迭し、非違なる事態が発生したときに、司法大臣がいろいろな嫌疑を受けないとも限らない。きようあることはあしたもあるということになる。それであるから、われわれはこの場合特にこの問題に重点を置いて、どうしてもわれわれの身分保障は守りたいと考えておりますから、重ねて御再考願いたいと思います。
  35. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 先ほど司法大臣が、この書面以上には一切説明をしないことに話がまとまつたからというのは、これは閣議でまとまつたという意味でしようか、その点をはつきりしておきたい。なぜかというと、あとでわれわれが聽きたいことがありますから、その話さないことにきまつたということが、閣議できまつたというのか、それともその他の所できまつたのでありますか、お答え願いたいと思います。
  36. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 工藤委員の発言ですが、それを説明しない理由一つは、やはり容疑者の名誉を尊重して言わないということも含んでおることを御了承願いたい。  それからこの請求書の書き方は、新憲法以後すべて裁判所に向つて逮捕状の要求はこういうふうな形式になつております。決して原君の場合に特別に侮辱するような意味でこういう書き方をしたのではない。私も疑問をもつてその点を質問したのであります。その点御了承願います。  それから小澤君の御質問でありますが、檢察当局と打合せの上、事案内容について御説明を申し上げるわけにいかないということに相なつたのであります。別に閣議できめたのではありません。
  37. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 先ほど工藤委員のお話の中に、むだではないかというようなことがありましたが、われわれは、おのずからこの点は見解を異にしておるのでありまして、司法当局の今日のような態度は、おそらくあり得ないという考え方から、十分ひとつわれわれの権限、権能において調査を進めて、そうして最善の判断を下したい、こう考えておる次第であります。そこで私は司法大臣にお尋ねいたしておきたいのですが、司法当局部内で決定されたことは、あくまでも曲げないというお考えでありますかどうか。それから鈴木さんが司法大臣であるという立場を離れて、國会議員としてこの状態を判断さるる場合に、はたしてこれは司法当局のお考え方なり態度なりが、新憲法下において正当なものであると判断されるかどうか。第三者の立場というか、國会議員立場においてお答えを願いたいと、こう思います。
  38. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 資格を使いわけて答えろと仰せられることは少し困ります。
  39. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 いや、國会議員としてだけでも結構です。
  40. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 私は今ここに司法大臣として出席しておるわけであります。國会議員としての考え方、あるいは立場というものがあり得るということは、先ほど石田委員のお言葉に対して答えておるような次第でありまして、それが誤解を生んだわけであります。司法大臣としては、ただいま申し上げたように、詳細の説明ができまするならば、それが一番よいことであると考えておるのでありますが、しかしこれは將來にかかつておる問題、殊に人の名誉に関することについて、洗いざらい申すということはできないのであります。どこまでは悪い、どこまではいいということになると、これは非常にデリケートな問題でありますから、この点は議会の方で、この要求に基いて正当な御判断を願いたいというよりほかはないのであります。
  41. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 かかる司法当局態度は、フアツシヨ的行動であると、司法大臣は思われましようか。
  42. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 フアツシヨ的というのは、これは少し別な政治的な意味をもつていると思います。たとえば、われを信ぜよというような言い方は、確かにあまり感心したことではありませんが、しかし裁判所と檢事局の間においては、常に信ずるということによつて問題が解決されているのであります。こういう逮捕請求を出しますれば、裁判所は、ほとんど例外なくこれに対して許可を與えてくれておるのであります。これは檢事局を信ずるがゆえであります。議会に対してそれを求めるのは、無理かも知れませんが、しかし同じ形式を認めているということを、御了承願いたいのであります。必ずしもフアツシヨ的であるとは考えられません。
  43. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 ただいま司法大臣から、こういうことは慣例上裁判所司法当局の間には行われておつたのである、しかし議会においては必ずしもそういうことは考えられないこともあるというようなお答えでありましたが、われわれはその点をひとつはつきり質しておきたい。裁判所司法当局との慣例を、議会が必ずこれを守らなければならないというようにお考えになつているのでありましようか。われわれとしては、議会が國権の最高機関として、おのずからその上に立つて、十分証憑書類を集めて、そしてわれわれの職務を盡すことが議員の任務である、かように考えておりますが、その点に対する司法大臣の御見解を一應承つておきたい。
  44. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 非常にむずかしい問題でありまして、これをどういう程度説明申し上げれば御満足を得るかということは……。
  45. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 御説明じやありません、その見解を承つておきたいのです。
  46. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 見解と仰せられますのは……。
  47. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 司法当局裁判所との関係と同じであると思われるかどうかということです。
  48. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 こういうことが、たびたびあつては困りますから、ないことを祈りますが、これは先例になることでもありますので、われわれ慎重に考えたわけであります。そこで議会に対しては、詳細内容説明するのが、安当ではないかということも、一應考えたわけであります。裁判所に対してはこの程度でやつておりますが……。     〔「そんなことはない」と呼び、その他発言する者あり〕
  49. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 私語を禁じます。
  50. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それは実例をたくさん見ております。最近はそういうふうになつているようであります。とにかく、これは非常にむずかしい問題でありまして、詳しく説明するということは、詳細に内容を明かさなければならないということになるのであるから、まことに不本意ではあるが、裁判所に対する場合と同じ程度要求をもつて議会にお願いするほかはない、こういうふうに決したのであります。
  51. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 しからばその御解釈に基いても、先ほど石田君が言われた点もありますが、裁判所司法当局との関係においてのことは、われわれに御発表になるのが妥当ではないかと考えます。裁判所から司法省へまわつたその書類くらいは、われわれが見ても差支えないということになりはしませんか、その点を一つ
  52. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 この問題は、檢察当局の手にあるのでありまして、裁判所には行つておりません。これから裁判所要求するわけでありますから、まだまつた檢察当局の手にあるわけです。
  53. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 しかし檢察当局がこうして原君を逮捕したい、こういうことに対しては、相当理由書を附してあなたの手もとにまいつておることと思います。
  54. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 この理由説明したものは、被疑事実の内容説明したものであります。これが発表できない。
  55. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 どうしてですか。
  56. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それはまだ世の中に向つて、こういう公開の席上で発表できるものではありません。
  57. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 だから石田君は、祕密会を開いても差支えないからと言つておる。
  58. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その点は祕密会ならよろしいです。少しも漏れないという條件が完成するかどうかによつて違うのです。
  59. 大石倫治

    ○大石委員 司法大臣政府を代表して総理大臣出席しても、自分が出席しても同じであるということを前提として、いろいろ質問應答をなされておるのであります。だんだん司法大臣のお答え、説明いろいろ意見を承りますとどうも非常に不十分、不徹底でありまして、とうていわれわれはこの要求に対して可否の判断を下す資料をもちかねるのであります。この問題はあらためて申すまでもなく、各位御承知の通り國会の建前におきましては、重大なる問題でありますし、今度初めて起つた要求でありまして、これは將來の先例にもなるのでありますから、われわれ議員としては、ほんとうに違算のない、誤りのない判断をして、総理大臣に回答をしなければならぬと思います。この要求書を拜見しますと、司法大臣檢察当局説明できないというのは祕密保持の操作上の理由もあるが、本人の名誉を重んずるというような関係もあると仰せられましたけれども、この書面には「相当多額の金額について詐欺罪を犯したことを疑うに足りる相当理由があるので、」とありますからもうすでに相当多額詐欺を犯したというようなことを、ほとんど公表しておるのであります。これによつて本人の名誉が保持されるはずもありません。この程度まで発表せられるならば、本人の名誉上から言いまして、決して逮捕せられるということについての——いつから取調べが始まつて、何回取調べに應じて、あるいは應じない場合があつたというようなことくらいの発表は、当然これはなさねばならぬことであります。殊に憲法の五十條によりますと、議会開会中は逮捕せられないという身分保障があるばかりでなく、すでに逮捕拘留中のものでありましても、國会要求があれば、これを釈放してよこさなければならないという、積極的の関係すらもあるのであります。この五十條は「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、國会会期逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」とまで、積極的にこの議員審議権を重んじ、國会というものの権限を尊重しておるのであります。旧法律よりも人権を重んずる点においては、新憲法は一段の進歩をいたしておると私ども考えておるのであります。石田君のしばしば言うごとく、この憲法がはつきりと規定しておりまするほど、重大なる議員身分保障であります。会期逮捕したいという要求に対して、その御説明の中には、会期は非常に長いのだ、去年の五月から今年の五月まで、一年中休みなしにやつておるものだから、もし会期逮捕せられなければ、いつ逮捕せられるかわからぬじやないか。殊に今期議会は、五月というけれども会期が延長せられて六月になるか、何月になるかわからない。あるいは一年になるかもしれないという、政府はこの議会をどういうふうに考えるか、今から、もう会期中予算も出せないで、延期する前ぶれをしておるような感じがするのであります。こういうような考え方ではなしに、この議会は五月の何日をもつて会期終了するのだ、その間わずか四箇月そこそこにすぎない、しかも原君が調査を開始せられましたのは八月だと説明せられました。八月から一月まですでに半年になります。その間に証拠の蒐集取調べができないという検察廳の緩慢ぶりもまた、なかなか感服したものだと私は思つておる。いまさら証拠湮滅のおそれがあるから逮捕しなければならない、どこから考えても私どもにはこれは考えられぬ点であります。かような水掛論をいつまでやつても、これは恥さらしである。よつて速やかに司法大臣説明し得る範囲をさらに再御協議をなされて、この國会議員身分國会議員審議権、この憲法の明文、これを一歩進めて、よく檢察当局と御協議をなされまして、そうして一片逮捕要求書によつてただちにこれが應ぜられるというような考え方でなしに、また何事も書面上の説明ができないというような官僚的な考えでなしに、もつと民主的な、もつと人権を尊重するという建前がはつきりと議会に反映して、われわれをしてその審議の可否を十分に検討し得る機会を與えられたいと思うのであります。よつて本日は、総理大臣出席のできない以上は水掛論でむだになりますから、休憩せられんことを要求します。併せて私の申しました点について司法大臣説明なり御答弁を願いたいと思います。
  60. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 よく考え——公開の席では、これ以上どうしてもお答えできないということは変りありませんが、祕密会で祕密が保たれるということでありますれば、どの程度までお答えするかということは、考えてよろしいと思います。その点は考慮して、あらためて出席いたしますから御了承を願います。
  61. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 御相談申し上げます。今十二時半で、政府の方でも一應考えてみようというお話もありますから、ここで休憩いたしまして、二時に正確に開くということにいたしたらどうかと思いますが……。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕     〔田中健吉君発言を求む〕
  62. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 簡易なことであるならば、特別に発言を許可して御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは発言してください。
  64. 田中健吉

    田中健吉君 司法大臣に対して御質問いたします。十項目ばかりありますが、簡単に申し上げて、あとで文書でも結構ですから御答弁願いたいと思います。第一、本件の件名。第二、犯罪の場処。第三、管轄檢察廳。第四、関係しておる檢事、それから逮捕、勾留は裁判所で決定したのか。第五、原君だけでなく、本件に関係する被疑者の氏名。第六、本件の発生年月日。第七、本件取調べの回数。第八、本件は重大なる事犯にして、政界に影響を及ぼすと言われておるが、司法大臣はいかなる御見解を有するか。第九、本件は不当財産取引の事犯であるかどうか。第十、新聞にいろいろ記事が出ておりますが、これは眞実であるかどうか。なお本件に関して檢察当局並びに司法当局は、何らかの発表をいたしたことがあるかどうか。以上十点についてお伺いいたします。
  65. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 質疑並びに應答の内容も、結局政府態度がきまつてくれば、おのずからわかつてくることであります。一切は委員の方から要求のありましたことに対して、どういうぐあいにされるかということがきまりますから、それがきまつた後にお願いすることにして、それまで暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後三時十二分開議
  66. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。事務総長から報告を願います。
  67. 大池眞

    ○大池事務総長 先ほどちよつとお話を申し上げておきました從來の終戰連絡事務局がなくなつて、それに代る連絡調整事務局というものと、賠償廳の二つの臨時設置法案が出てまいりましたので、これを行政機構の改革だという意味で、決算委員会の方へもつていくべきか、内容が國際関係という観点から外務委員会にもつていくべきかということを御決定願いたい。これは施行が、原案によると二月一日ということになつておりますので、一月中に決定しない場合には、施行期日の修正等が必要となつてくると思いますので、とりあえず、その付託委員会をおきめ願いまして、本日中にも付託をいたしたいと考えます。
  68. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 今事務総長から説明のあつた通りに、二件の付託すべき委員会を議長から諮問になつておりますが、いずれにいたしましようか。
  69. 小島徹三

    ○小島委員 もともと終戰連絡事務局は外務省にあつたし、賠償廳もそれと緊密な連絡をとらなければならぬと思いますから、これは外務委員会の方へ付託されることを私は希望いたします。
  70. 石田一松

    石田(一)委員 そういう議論もありますが、もしこの内容が、実質的に外務省に関係があるのだから外務委員会、農林省に関係があるから、農林委員会とういことになれば、特に決算委員会の所管事項として、行政機構に関する事項を包含することは必要でありません。これは機構の改革の問題ですから、決算委員会の所管事項であることははつきりしておるから、決算委員会に任せる、外務にわたることがあつたならば外務委員会と一應協議を遂げて善処する、こういうふうにすれば何ら支障ないと考える。
  71. 工藤鐵男

    工藤委員 私も石田君と同意見です。
  72. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 そうすると議論もなかなか盡きないだろうと思いますが、問題の取扱い方を外務委員長と決算委員長と議長にお任せすることにしたらどうですか。
  73. 石田一松

    石田(一)委員 この前の労働省の機構の問題のときも、労働問題に関する、機構の関係であるからまず労働委員会に付託しようといつて付託しだが、機構の改革のたびに、一々その所管の委員長と決算委員長とが協議して決定しなければならぬのでは、決算委員会の所管事項の三が無意味になる。所管の委員会に付託するのは今後のねらいだが、現段階においては、決算委員会にこれを付託するのが当然と考える。
  74. 工藤鐵男

    工藤委員 労働省の問題のときは、われわれの態度もそう熟していなかつたので、そうしようじやないかということであつたが、今石田君が言われたことで、さらに明瞭になつたから、それでいいでしよう。
  75. 森三樹二

    ○森(三)委員 石田君の説ももつともだが、小島君の言われるように、外務委員会にも十分意見があるから、先ほど委員長の言われたように、外務委員長と決算委員長に議長を一枚加えて、しかるべく解決をしていただきたいと考える。
  76. 石田一松

    石田(一)委員 何ゆえに外務委員会委員長と協議しなければならぬのか。
  77. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それはここて多数少数の関係で決をとれば、どちらかにきまるが、意見が二つ出ておるから、どこに付託すべきか、意見のあるところを議長に裁断していただく。原則としては、石田君の言われることを一應委員会としてはのみこんでの上ですから、その点で決をとることはいかがかと思つたわけです。
  78. 工藤鐵男

    工藤委員 それは悪例を残す。ここできめて、あと必要なものは相談するという方法とつた方がいい。諮問を受けて、それに答えずして議長に責任をもたせることは、いけないことだと思う。
  79. 石田一松

    石田(一)委員 外務委員会の所管事項を一から七まで読んでみてください。機構に関する問題に権限があるかどうか。
  80. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 石田君の言う通り原則をきめて、意見が二つあるからその点を……。
  81. 石田一松

    石田(一)委員 今小澤君の意見がありまして、原則衆議院規則により機構問題は決算委員会によるべきだが、意見がたまたま一、二わかれたものがあるからというお話であります。私も一應そう認めて、外務委員会の常任委員長と決算委員長とで協議し、これに議長が加わつて善処してもらうことにしたいと思います。
  82. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 石田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 御異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  84. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 次に國政調査に関する御意見を求めます。
  85. 大池眞

    ○大池事務総長 外務委員会並びに治安及び地方制度委員会委員長から、國政調査をこの会期中したいという要求書がまいつておるわけであります。それは第一國会と同じ事項でありまして、外務委員会の方は、一、國際経済に関する綜合的調査、二、講和会議に関連する諸問題、この二問題の調査を今会期中したいということであります。それから治安及び地方制度委員会の方は、治安及び地方制度に関するこというのでありますが、この前もこういう調査事項が來ておりました。その二つを今会期もお願いしたい、こういう要求書が参つております。
  86. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 二件とも御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それではさよう決します。  本会議から総理大臣及び司法大臣がお見えになるまで暫時休憩することにいたします。     午後三時二十二分休憩      ————◇—————     午後五時四十一分開議
  88. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  総理に質問のあられる方はどうぞ。
  89. 石田一松

    石田(一)委員 たびたび発言をして出しやばり者とおしかりのないように願いたいと思います。  先ほど司法大臣にこの委員会出席していただいて原侑君逮捕要求の件に関しまして、その事件内容でお話願える程度のものがあつたならば、ここで話してもらえないかという、あの一片要求書だけではわれわれがこれを判断して原君の身柄の逮捕を承知するかしないかという判断の資料にはならぬ。少くとも憲法第五十條の今期中の議員身分保障の大原則を守るために、愼重にわれわれは檢討したいと申し上げましたところ、司法大臣は、檢察当局と協議してきたので、あの文書以上にわたる説明はできない、何度お尋ねしてもあの文書以上に出ないという御答弁でございました。それではわれわれはこの重要なる問題を審議する責任を果すことはできませんので、あの文書の提出者でございます総理大臣に御出席を願つて総理大臣責任に、おいて、もし説明を得られる部分があるならば、私たちもこれを得たいと思いまして御出席を願つたのであります。その点御了承の上御説明を願いたいと思います。
  90. 片山哲

    ○片山國務大臣 國会に対してこういう問題を提供することは、はなはだ遺憾でありまするが、わが國の刑事訴訟法その他刑事手続の上から申しまして、憲法の條章によりまして、万やむを得ずこの問題を提起いたしまして、諸君にお諮りをいたしたような次第であります。大体犯罪捜査とか、檢挙とか、逮捕というような問題については、諸君もすでに御了承通りで、わが國の檢察当局が慎重審議いたしました結果に基き、司法大臣を通じて私の方へ申し述べてきた事項に基いて、書類を作成いたしで諸君にお諮りをしたような次第でありまして、表面に現われておりまする事項は、書面通りであります。あとの事項は、犯罪捜査その他今までのしきたり及び常識等に訴えて、諸君の御判断を請いたいと思います。私も法律事務については、いささか心得ておりまするが、これ以上は申し上げられないと思います。詳細なる点をさらに聽きたいということでありますならば、司法大臣から適当なる時期を得てお話申し上げるようにいたしますが、表面上の事情といたしましては、書類に書いてある通りでありまして、その他の事項は、諸君のわが國における犯罪捜査の常識に訴えて御判断を仰ぎたい、かように存じておる次第であります。
  91. 石田一松

    石田(一)委員 先ほどの鈴木司法大臣の御答弁と、ほとんど同じでございまして、これでは総理大臣に來ていただいたわれわれの趣旨も全然意味をなさないことになつてしまいますし、ただいま総理大臣は、わが國の司法当局捜査上の常識であるとか、あり方を了承の上にこれを判断してもらうよりしかたがないとおつしやいましたけれども、これは捜査上の問題ではないのでありまして、事少くとも國民代表である國権の最高機関たる國会議員会期中の身分保障に関する重大なる問題で、しかもわが國の議会人においては、未だかつて政府から議会に対して議員逮捕要求したという前例がないというほど重要なる案件でございます。その案件に対して、司法当局捜査上の慣例とか、そういうことのみで、この事件内容が発表できないとおつしやることは、いささか私たち議員といたしましては遺憾なのでございます。これだけの書類で、だだ常識で——われわれは原侑君一人の問題ではありません。國会議員身分保障憲法原則例外規定によつて破るということには、あまりに根拠が乏しいと思いますが、その点はいかがお考えでありますか。
  92. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 石田君、その点については今総理大臣から、司法大臣が適当な機会に適当な方法をもつてお答えしたいという含みのある御答弁を得ておるのでありますから、自然その手続もあとでとりたいと思ひますが、それ以外にも……。
  93. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 ただいま総理大臣は、法律家であるから、いささか心得ておるというような含みのあるお言葉でありましたが、総理大臣の名において、議長を通じて議会書類が提出されておりますが、もしこれが原君の逮捕に対する許諾を議院において與えた場合において、その結果原君がもしも無罪になつたというような場合においては、総理大臣はいかような責任をとる立場にあるかという点について、総理大臣のお考えを承りたい。
  94. 片山哲

    ○片山國務大臣 起訴されました結果、裁判に移され、裁判の結果無罪になるというようなことが現われますれば、それは一に裁判所の判定の結果によりますので、独立せる司法権の判定というところが一番の重要問題だろうと思います。檢察廳要求によつて必要なりと考えて、議会議員の身上に関する要求をするということと、ただいまの裁判の結果有罪になるか無罪になるかということとは、別の事項であるとお考えを願います。
  95. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 今の御答弁では、ただ單に総理大臣は事務的に自分の前を書類が通つたというような意味に解釈されるのでございましようが、われわれはおのずから別個の解釈をいたしております。なおまた司法大臣を経て総理大臣の手もとには、これが有罪であると思料される有力な書類等もまいつているはずだと思うのであります。こういう点についてその有罪と思料されるがゆえに、総理大臣の確たる信念のもとにこの書類が提出されなければならぬと私はかように思うのでありまするが、総理大臣の名において提出された書類に何ら責任を感じないと言われたと了承してよろしいでしようか。
  96. 片山哲

    ○片山國務大臣 司法上の責任というような責任には、関係がないと思うのであります。ただ非常にお氣の毒であるとか、道義的あるいは情誼的な問題についての責任という感じは十分ありますけれども、司法問題は一に裁判所の独立の立場による判定でありますから、何でもこれに対してはくちばしを容れるわけにいかず、またその結果についての責任を云々するわけにもいきませんので、これはいずれの場合においても別個、独立の問題として扱われることが至当と認めます。
  97. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 総理大臣憲法五十條の規定の中の特別規定を、どうしても原君の場合に適用せざるを得ないとお考えになつておられますか。総理大臣としてではなく、一片山代議士としてでも結構です。
  98. 片山哲

    ○片山國務大臣 私は、檢案当局が司法大臣に申し出、司法大臣が私にそれを申し出て來たので、私はこれを信じて諸君に御提示いたしたのであります。
  99. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 ただいま信じてというお言葉がありましたが、信じてということは、有罪であると信じてという意味でありますか、どういう意味でありますか。
  100. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほど申し上げましたように、その結果については、一に裁判所の判定にまつのでありますから、信じてという意味は、犯罪捜査上、今こういう手続をとらなければならないという必要性を信じて、書類を提出した次第であります。
  101. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 提出された書面につきましては、これは全然違法な取扱い方でないとお考えになつておりますか。
  102. 片山哲

    ○片山國務大臣 手続上としては、違法ではないと考えております。
  103. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 今山口君から質問があつたのでありますが、ただいま総理大臣のお話によりますと、司法大臣から話があつだから、その司法大臣の意見を信じて書類を出したというように承つてよろしいですか。
  104. 片山哲

    ○片山國務大臣 司法大臣の申出は、犯罪捜査上必要な手続をとらなくてはならないし、またこれは必要であるということでありましたから、私はこれを信じて提出した次第です。
  105. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 その点が非常に私は総理大臣としてある意味愼重さを欠いたのじやないかと思う。何となれば、およそ犯罪捜査は、総理もよく御存じであろうと思いますが、殊に新憲法は、できるだけ身柄を拘束しないで調べるというのが原則であります。しかし逃亡のおそれがあるとか、あるいは証拠湮滅のおそれがある場合に限つて、被告人を逮捕し拘留することはもちろんできるのでありますが、司法大臣の先ほどのお話によりますと、逃亡のおそれはないが、証拠湮滅のおそれがある、こういう趣旨であつたと思うが、片山総理もそうお考えになつておりますか。
  106. 片山哲

    ○片山國務大臣 私は全般を総合いたしまして、先ほど申し上げましたように、現在の犯罪捜査、檢挙等の常識に訴えまして、かような場合においては書面で書いているような手続をとることが大体の常識でもあるし、また必要な手続でもあるというふうに総合的に考えております。
  107. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 総合的といいますが、司法大臣が先ほど言うには、いわゆる証拠湮滅のおそれがあるから、こういう手続を檢察廳がやつたのだという。そういうことを総理大臣に報告なさつて、そういうお話があつてからこの書類をお出しになつたのだと、思いますが、この書面を出す前に、原君を拘束しないと証拠湮滅のおそれがあるということを総理がお考えなつた上お出しになつたのであるか。それとも、そういう確信も何もなしにお出しになつたのですか。
  108. 片山哲

    ○片山國務大臣 信じてということを先ほど申し上げましたので、御了承を願いたいと思います。
  109. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 どうも話がわからぬのですがへ司法大臣の言うのには、この書類を出すに至つたということは、要するに原君が証拠湮滅をするおそれがある、それでは犯罪捜査上困難であるから、一應この手続をしたのだという答弁をされております。だからさだめし司法大臣は総理に対してこの手続をする際に、そういう報告があつたと思いますが、その報告があつた場合に、はたして原君が証拠湮滅をするだろうというような確信をもつてお出しになつたのか あるいはそういうことをただ司法大臣から聽いたきりでお出しになつたのですかということです。
  110. 片山哲

    ○片山國務大臣 私が裁判するわけでもなし、また檢挙の当路者でもなし、ただ國会に対して政府を代表して要求する手続を私はとつたので、その意味においてわが國の犯罪捜査の大体の基準及び捜査常識、慣例等によりまして、かような手続をとることが適当であるということを考えて提出したのであります。大体司法大臣の言を信用してこれを出したというわけであります。
  111. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 総理の答弁によりますと、檢察当局から要求があつた場合には、無條件で、ほとんど総理の考え方を加えずに、この案を出したというように承われますが、その通りでよろしいのですか。総理大臣なわ司法大臣は、檢察当局請求が正当かどうかということを再吟味なさらないで、ただ取次ぎをしただけというにすぎないのですか。
  112. 片山哲

    ○片山國務大臣 そんな子供の使いのようなわけではありません、わが國における犯罪捜査の常識ということは、その意味において申し上げたのです。なるほどこういうことが多くの例にもあるし、また犯罪捜査によつては、かような手続がとられて、これが至当な方法であるということを檢討いたしました末、これを提出いたした、こういう意味であります。
  113. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 私の言うのは、檢察当局から司法大臣に、それから総理の所に來ます。そういうふうに順次傳わつてきますが、それが総理の手もとに來た場合、この問題ははたして証拠湮滅する事案かどうかということを全然考えずに、檢察当局証拠湮滅するおそれがあると言つたときに、ああそうかと言つてすぐにお出しになるか。それともそういう事案証拠湮滅事案かどうかということをさらに考えて、こういう要求を出すかということを承つておるのであります。
  114. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほどからお答えしております通り、ただ單に機械的に取次ぎをするのじやありません。
  115. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 総理の判断が加わつてですか。
  116. 片山哲

    ○片山國務大臣 それはただ証拠湮滅とか、逃亡とかいうような事実だけじやなしに、全体を総合して、犯罪捜査の常識をよく考慮いたしまして、必要であると信じて出したわけであります。
  117. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 どうもその点は故意に避けられておるように思いますが、片山さんも嚴密にやりておられたならば、要するに普通一般の犯罪人であつても、被告人が逃亡のおそれがない、証拠湮滅のおそれがないというときは、人権を尊重する意味において不拘束のままで調べるのが原則でしよう。少くともこういう要求を出す場合においては、総理はこれが証拠湮滅するおそれある事案か、あるいは逃亡するおそれある事案かということの総理の判断がそこに加わつて、なるほど檢察当局の言うことが間違いないということが出た場合にやることが、ぼくらは至当だと思いますけれども、総理の今までのだんだんのお話を聽きますと、そういうことは加えられていないように考えるが、この事案に対してはどつちをとつておられたのか、こういうことを聽いておるのです。
  118. 片山哲

    ○片山國務大臣 さつきもお答えした通り、ただ單に素通りするのじやなしに、これは必要であるかどうかを聽きまして——しかし判断するとか、またあるいは当路者になるとかいう立場じやなしに、そう深入りをして一から十まで全部的に檢討せんでもよいと考えております。大体の見当においてその必要ありと考えて提出した、こういうことで十分おわかりになると思います。
  119. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 総理が一旦議会に対してこういう問題を要求する場合においては、その出した問題については、必ず責任を負われることは明らかだと思う。その責任については、自分の判断が加わらないものについては責任は負えませんから、そこで総理としては檢察当局なり、司法大臣からあつた一つ要求書に対して、この事案ははたして要求通りが適当か、あるいは不適当か判断を加えてから出すことが、私は当然だと思いますが、この事案に対しては、先ほど言う通り司法大臣の言うところでは、証拠湮滅理由でこれを出したというのであるから、こういうことは司法大臣から総理の方に万々報告があつたと思うのです。それならば、その証拠湮滅のおそれがあるということを総理自身御判断の上でお出しになつたかどうかということを、お伺いしておるのです。
  120. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほどから申します通り、諸般の情勢を判断いたしまして、必要ありと信じて提出した次第であります。
  121. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 もしそういうことがわかつたとするならば、この原君を取調中において、何か今まで証拠湮滅のおそれがあるとか、こういう情勢ならばそういうふうにするだろうと判断する資科はどこにあつたのですか、それを承りたい。
  122. 片山哲

    ○片山國務大臣 それは先ほどから申しまする通り捜査責任者じやないのです。あるいはそれを判断する裁判官でもありませんから、ただ大体書面に書いてあるような事項を必要なりという、その程度判断でいいと思います。それ以上のことはお答えできません。
  123. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 そうすると総理大臣はただこの書類が出てきた、同じ書類をここに出しただけであつて、その他の檢察当局から要求してきた書類ごらんにならないのですか、それを承りたい。ただ司法大臣の出したものを知つておるだけであつて、それに添附して、檢察当局から司法大臣におそらく要求書がありましよう。そういう要求書とか、それに添附されておるものはごらんにならずに、ただ一片書類だけでお出しになつたかどうかということです。
  124. 片山哲

    ○片山國務大臣 先ほどから申します通りに、その点は司法大臣説明によりまして、これを信じて提出したのであります。
  125. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 何もそれをごらんになつていないわけですね。
  126. 片山哲

    ○片山國務大臣 そこまではお答えできません。
  127. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 それを見たかどうかお答えできないということですが、祕密会ならばお答え願えますか。
  128. 片山哲

    ○片山國務大臣 その点については司法大臣から……。
  129. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 いや司法大臣でなくて、総理大臣が、ごらんなつたかどうか聽いておるのです。
  130. 片山哲

    ○片山國務大臣 あとは司法大臣に一任してあります。
  131. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 任してあるとおつしやるが、そういう御決定をなさつたのであるから、その書類を見たかどうかはあなたは覚えていらつしやるでしよう。
  132. 片山哲

    ○片山國務大臣 内容をいろいろお聽きになりたければ他の方法で……。
  133. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 それでは次の問題について質問いたします。私らの考えでは、大体そういう要求書をつくるのは、総理大臣権限がないと考えておりますが、こういうものを出すことについて、どういう法律の條件でやつたかということを承りたい。何となればおよそ逮捕状というものは、言うまでもなく檢事そのもの、檢察当局だけでは出せない、必ず裁判所判断によつて逮捕状は出される。これは総理大臣も御承知だろうと思う。そうすると、もし檢察当局だけでこんな手続をいたしましても、裁判所へ行つて、これでは逮捕する必要がないといつて却下されることもあり得る。そういうことになりますと、檢察当局だけで早まつても、逮捕状を出す権限裁判所にある。檢事はただ要求するだけです。  そうすると、要求する人にそういう権限があるべきものではなくして、つまり裁判に移つてあらゆる諸般の事情から、裁判官がいよいよ逮捕状を出さなければならぬ事案だ、しかしながら逮捕状を出すには、憲法にこういう條文がある、國会法にこういう條文があるというこの手続を経てからでなければならぬ。この段階を経て出すのが至当である。はたしてそうであるとするならば、こういうことを要求するについては檢察廳ではなくて裁判所だと思う。そうなるならば、裁判所はおそらく行政廳の首領であるところの総理大臣を経由しなくて、むしろ裁判所それ自身が國会に対して要求することが適当と考えておりますが、そうでなくして総理大臣がそれをなされた趣旨は、どういう意味でなされたか、それを伺いたい。
  134. 片山哲

    ○片山國務大臣 その法律上の問題、手続上の問題は、私はあまり心得ておりません。
  135. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 では司法大臣に伺います。
  136. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 その点は十分研究いたしました結果、現行法におきましては檢事局並びに檢察官逮捕請求権をもつております。小澤委員が仰せられるような、要求したが拒絶されるということも、理論上あり得ることであります。それは十分心得た上であります。しかしながら、手続上はどうしても議会の承諾を得て裁判所要求しなければならないということに相なりまして、こちらの方の手続を先にいたしたのであります、御了承願います。
  137. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 それはどういう法律上の根拠から來たのでしようか。ただいま司法大臣がそういういきさつになつたという、その根拠の條文を承りたい。
  138. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 條文と言われますと、刑事應急措置法の第八條によつたのであります。
  139. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 ちよつとその間、ただ一言だけ司法大臣に承りたい。司法大臣はさつき省議決定の結果要求したのだとおつしやいましたが、その通りでありますか。
  140. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 省議事項ではありません。第八條「逮捕状及び勾留状の発付並びに公訴の提起については、左の規定による。一檢察官又は司法警察官吏は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当理由があるときは、裁判官の逮捕状を得て、これを逮捕することができる。」だからこれをするのには、ただ代議士という資格がここに介入するため、その承諾を得て、そして裁判所逮捕状を得て逮捕するということになるわけです。
  141. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 その問題はそういう條文でないと思う。裁判所から要求してその逮捕状を得て逮捕するというので、逮捕状が出されなかつた逮捕できない。今司法大臣お認めのように、実際問題としてはあつたかないかわからぬけれども、理論上ではあり得る。この事犯も、かりに今の理論上あり得るところの逮捕状を要求して得られなかつたということも考えられる。そういう場合を考えると、こういう要求書はむしろ逮捕状を出す権限をもつておる官廳要求するのが至当だという見解が当然だと思うが、司法大臣としてはどう考えるか。
  142. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 新法の解釈では、認証を得るというようなものでありまして、裁判所権限をもつておるのではない。やはり檢察局、檢察官権限をもつておるのでありまして、裁判所の認証を得て逮捕するということになる。
  143. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 認証でなく、やはり最後の決定権は裁判官にあるのであるから、最高裁判所か管轄裁判所かわからぬが、その裁判所要求があつて、いよいよこの逮捕状を檢事の要求通り出すというときに、同所にこの手続を経てやるのが至当だと思う。今の規定にはつては、司法大臣のうな解釈はとうてい生れてこないと思う。これは見解の相違であるといえばそれまでだが……。  そこでもう一つ憲法の精神解釈からいつてまずいことは、要するに憲法上われわれの身分保障されておる根本の趣旨は、行政府がいたずらにある問題のために謀略的に議員逮捕したりしては困るということである。從つて行政官廳がこの権限をもつておるということは、今のようなことも片山内閣はしないであろうが、東條内閣のようなものだつたらやるかもしれない。そういう弊害をなくするためです。公正なる司法権をもつておる裁判官がやることによつて初めて憲法上のわれわれの身分保障の裏づけになると考える。そういう両方からいつて裁判所からの請求によつてやることが至当であつて、今まで例がないけれども内閣総理大臣がやるということは不適当な考え方であると思うが、これに対して司法大臣はやはりそうお考えになるか。
  144. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 見解の相違と申し上げるほかない。
  145. 工藤鐵男

    工藤委員 私は総理大臣に対して、わからぬ点を御釈明願いたい。この問題をなぜわれわれはかくまで力こぶを入れるかということは、単なる捜査上の手続でなく、これの根底に横たわつておるところの問題は、かなり重大だと思う。なぜ重大であるかというと、第一回國会が終るその夜、にわかに隠匿物資の問題について、最も強化せる調査機関をつくれということの要求であります。しかしてそのことに関係があるかどうかしりませんけれども司法大臣職務上閣議に報告した。その中の一節に、三十有余名の國会議員はいずれも隠匿物資に関係つて、ある閣僚はこれを地方遊説にまで利用しておる。これらのものがいわゆる新党に合流すべく運動中であるけれども、これらがやられたならば新党は成り立たぬじやないかということを今の内閣の副総理の地位にある人が言つておる。してみると原君に対する問題は、単にその片鱗を示すにすぎないのではないか。はたして片鱗であつて、まだ奥があるといたしますれば、これはわが國の憲法政治の上に重大なる問題をもつ。從つてこの問題は単なる檢察官憲の捜査上の手続のみによつて、私はこれを理解することはできない。三十有余名は、現在この衆議院を構成しておるところの相当の数でありますから、私どもはこの問題は、政治問題として取扱わねばならぬ部面が相当あると思う。ここにおいて総理大臣行政府の最高機関として、かように政治界が複難怪奇なるときにあたつて、一微々たる檢察官憲がかようなることを言つてきたからといつて、これをうのみにしてやるとは、私は信ぜられない。相当なる調査をしたでしよう。いろいろ手を盡したでしよう。片山君はこの内閣の首班でもあり、政党の首領でもあり、しかして法律家でもあるが、この國家の統治機関に対して、きわめて大なる影響を與えるところの政治問題であります。われわれの考えるところによれば、政治問題であるということは、総理大臣自身の地位からも考え得るでありましようが、おそらくは単なる檢察上の問題でなく、総理大臣としては、廣く眼界を日本全國に及ぼし、あるいは國家の統治機関の全部に及ぼし、種々なる方面からこれに対して檢討したものと私は考える。しかりとすれば、私はこの司法大臣要求してきたものを総理大臣はこれを取上げて、総理の名において國家の最高機関であるところの衆議院議長にこれを要求したのでありますから、この結果については、あらかじめ考えるところがなければならぬと私は信じておりますので、この点はやはりいろいろな方法によつて究明したいのです。私どもは原君一個の問題として考えるべく、あまりに政界の裏面に複雑怪奇なる重要な案件が横たわつておると思うから、特に総理大臣の御出席を願つた。  そこで私はお問い申し上げだいのは、片山総理ともあろう方が、殊に行政部の責任内閣全体の共通の責任であるということは、憲法上うたつてある。一微々たる檢察廳要求であるけれども、その結果というものが、内閣責任において相当考慮しなければならぬことになる。裁判所責任は、裁判所でやるのであつて、これはその通りですけれども、少くとも裁判官の手に行かないまでに、檢察官憲は、やはりあなたを通じて司法大臣がこれを監督指揮することができる。その司法大臣は、すなわち内閣の一閣僚、從つてこれを統率するものは総理大臣であります。この意味において、かりに裁判の結果いかんによつて考えるまでもなく、檢察当局者のとつた処置は、決してわれわれを満足せしむることができないような場合になりますれば、一党の総裁であり、総理大臣であり、法律家であるというあなたとしては、憲法に定められたところの責任の共通をも考えにならなければならぬから、微々たる檢察官要求、あるいは閣僚の一人たる司法大臣要求をうのみにするとは思わない。殊に法律家の立場に立つたら、一層この点について深刻なる御檢討をなされたと思います。あなたとしては、言うまでもなく事犯の内容にはいつて、この点ならば逃亡の憂いはないけれども証拠湮滅するかもしらぬというその事実が、必ずやあなたの認識のうちにはいつてこなければならぬと思います。そうすれば逃亡するおそれがないと、先刻司法大臣も言明したのですが、証拠湮滅について、どうしても現在この憲法上の大原則を侵してまで、これをやらなければならぬという勇敢なるあなたの態度に対しては、先刻申し上げましたように、政治上のいろいろ複雑なる今日において、相当私は責任があると思います。ゆえに証拠湮滅のおそれありとしたならば、その証拠湮滅についてこういう懸念があるから、ここにこれを逮捕して、議員を拘束して調べなければならぬということは、あなたの頭の中に判然とあるべきはずだと思います。そこで私は、しからばどういう点で証拠湮滅のおそれがあるかどうか、これをあなたに伺いたいのです。もしあなたが相当なる用意をもつてこれをお調べなつた結果、これを発動したものであるとしたならば、証拠湮滅のおそれがあるという点について、詳しいことは、われわれはその職員でありませんからお願いしませんけれども、大体われわれ常識的な程度においても判断のできることを、あなたの総理大臣としての行政の地位、共通な責任ありというこの地位から、私はこの機会にあなたのその認識の程度をここで発表していただきたい。特にこの点を確かめて、この問題に対する態度をきめたいと思います。
  146. 片山哲

    ○片山國務大臣 今工藤君のお話になりました昨年の第一回國会の終りに不正取引の委員会が突如として現われたというようなことと関連して、お考えになつておるかもしれませんけれども、それは非常なお考え違いかと思います。そういう政治的——この委員会の問題が政治的であるとは言いませんけれども、そういう問題とからんだり、あるいは政治的な意図をもつて、この問題を取扱つておるのでは決してないのです。ただ單に檢察当局犯罪檢挙並びに捜査調べの必要上生れてきた結果である。こういうことを專門的に檢討いたしておりまする当局が、愼重調べた結果、どうしてもこの手続によらなければ、さらに進行に困難を感ずるということを司法大臣を通じて申し出してきましたので、私は諸般の今までの経験から照らし合わせまして、こういう相当入りこんだ事件につきましては、そういう手続が必要であると感じて、ただ犯罪捜査の手続上必要であるということに局限して國会に申請したのであつて、そのほかの政治的な意図とか、あるいは委員会等と関連をしてどうするというような考えは毫もないのです。ただその意味においての責任は負います。しかし判決の結果どうなつて、無罪になつたからどうというような問題にまでは及ばないで、ただ犯罪捜査の必要上こういう手続をとらなければならないということの申出に應じて、諸君にこれを提供した。それまでのことは私の責任においてやつたのだから、その限界については十分に委員諸君においても御檢討願いたいと思います。
  147. 工藤鐵男

    工藤委員 私もそう思う。これを政治問題として総理大臣が作為的にやつておるとは思わない。私は片山君の人格を信じておる。信じておるけれども、実際は先刻申した通り政治問題化しておるということだけは、私は承認してよかろうと思います。なぜかというと、原君一人やられたということは、それは単なる原君の問題であるけれども、この問題が一面にそういうような一つの隠匿物資その他に関係ありとすれば、相当重要な問題をもつてくるのです。そこで私どもは、この犯罪捜査上必要なりという点について、聽きたいことはたくさんある。たとえば、総理大臣にして答え得べくんば、この点を明らかにしてもらいたい。それは何であるかというと、原侑君の、いわゆる衆議院要求したあの逮捕要求というものの犯罪の中には、衆議院において特別に設けられる特別委員会で審査する範囲に属すべきものであるかどうかということを伺いたい。もしそれ、ありとすれば、ここで初めて先刻例を引いたこの國会における三十有余名の者がありと、副総理大臣が全國にこれを放送しておるのでありますから、きわめて関係をもつものであると思う。もし隠匿物資に関係あるものでないとすれば、本院は特に最も権威ある特別委員会を設けて調整をせんしとしつつあるのであつて、おそらく政府においても、國会のこの働きは御承知ないはずはない。私は今申し上げた第一にこの問題は、あの隠匿物資の調査の範囲にはいるものなりや否やということを伺いたい。それは書面だけで、それ以上答弁する必要はないと仰せられるかもしれんが、この程度ならばお話ができるだろうと思う。いかがですか。
  148. 片山哲

    ○片山國務大臣 今工藤君の言われました三十何名を全國的に放送したとか、宣傳したとかいうようなことは、全然事実相違です。そういうことをやつたことはない。
  149. 工藤鐵男

    工藤委員 ある閣僚の一人がやつた。新聞にも出ておる。特に副総理と言われる人が全國に放送した。新聞にも書いておる。それを聽いておる。
  150. 片山哲

    ○片山國務大臣 事実はどうか知りませんけれども、それは別としまして、そういうこととは全然関係ないのす。
  151. 工藤鐵男

    工藤委員 それではこの点はいかがですか。今、衆議院では、特に愼重を期して調査しつつある隠匿物資の摘発、名前が変つて不正取引の処分に関する委員会の審査の範囲に属するかどか。そういう種類の性質のものであるかどうかを伺いたい。
  152. 片山哲

    ○片山國務大臣 その点とは関係なしに、この事件刑事訴訟法的、技術的問題として、犯罪捜査の必要上というふうに限定してあります。その委員会とかというようなものとは、関係ないと御了承を願いたい。
  153. 工藤鐵男

    工藤委員 私の伺い方が悪いかもしれぬ。あなたはこの問題について相当な認識を強めた上に、衆議院に対しこれを要求したと仰せられるから、その犯罪の性質もよく御承知だろうと思う。もし御承知ならば、あなたも國会のメンバーであり、社会党員でもあり、いろいろの関係から、現在衆議院に現われておるこの隠匿物資の問題に関連した犯罪であるかどうかというくらいは知つておるだろうと思う。しかし調べのあれは違います。それは片方は衆議院でやる、片方は檢察廳でやるというから、それはいいけれども、今衆議院にそういう機関ができておるから、それに関係ある部分があるかないかは、あなたは知らなければならぬはずであると思うから、その点を伺うのです。これは私は他日の自分の主張を展開する上に必要であるから特にこの点を伺うのです。
  154. 片山哲

    ○片山國務大臣 出発のときにおいては関係いたしません。政治家の行動でありますから、結果においてはいろいろ関連するようなことになるかもしれませんけれども、それは結果論でありまして、出発においてはどこまでも、檢察当局が事務手続として、治安維持あるいは犯罪の檢挙というような問題に局限して出発したのでありまして、どこまでも訴訟法的進行に終始いたしております。この点を区別してお考え願いたいと思います。
  155. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 ちよつとこれに関連して司法大臣から発言を求められております。
  156. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 先ほど御発言の中に、司法大臣が閣議で三十何名と言つたというお言葉がありましたが、そういう事実は全然ありません。閣議は公のものでありまして、未だ発表すべきものではないことを発表するはずがない。私は閣議の席上でそういうことを言つたことはありません。出身閣僚懇談会の席上で、選挙法改正問題の重要なる意味説明するために、そのことに言及したことがある。その意味でその点を明らかにしておきたいと思います。
  157. 工藤鐵男

    工藤委員 閣議であるか、閣僚であるかしらぬが、少くとも片山首班のもとに統率されておるところの閣僚の集り、部分的であるけれども閣僚の集りにおいて、司法大臣が発表されたということは肯定されました。その点は今度司法大臣には私も相当な材料をもつて質問することになりますけれども、今ここで総理大臣伺つておきたいのは、私の言葉が足りないかもしれないけれども、私の申すことは、もしあなたのように、この犯罪捜査の出発のときにおいては、これに関係がないというなら、しからばこれはいつから起つた問題かということを聽きたい、司法大臣のお話によると、八月ごろから始まつたということであるが、もしこれが隠匿物資の犯罪とどこかに関連がありとすれば、その関連はどういう点であるかということを私は伺つておきたい。從つて將來そういう委員会にかかるべき性質の犯罪であるか、まつたく切離した原君独得の問題であるかということを私はこの際伺いたいというのが趣旨である。
  158. 片山哲

    ○片山國務大臣 その辺の経過はあまり私は知りません。司法大臣委員諸君だけには経過を御報告し得るだろうと思いますから、それに基いて御檢討願いたいと思います。
  159. 工藤鐵男

    工藤委員 私の言い方が足らぬのでしようか、原君の逮捕要求するその犯罪は、衆議院に特別にこしらえておるところの委員会で調査する範囲に属すべきであるかどうか。古いことは言いません。少くとも第一回國会の終りにやつたあの委員会の調査範囲に属するものでないかどうかということを伺つておるのです。しかしあなたも法律家でありますから、たとえば隠匿物資を周旋したとか、せわしたとか、あるいはこれによつてコンミツシヨンをとつたとか、新聞にはいろいろありましよう。新聞を信じて申し上げるのではないけれども、あなたは職務上閣僚から聞いた点は、そういう点に関係のある問題であるかどうかを確めておるのです。原君の犯罪というものは、たとえばキャラコをどうしたとか、新聞に出ておる。だからこういうふうに國会の審査すべき範囲に属しておる問題もはいつておるかどうか、関係があるかどかということを伺つておる。そのくらい言つたら大概わかりそうなものだと思う。
  160. 片山哲

    ○片山國務大臣 私はそこまで研究していないのです。犯罪捜査の必要上という訴訟法的な限度において研究しておるのでありまして、その意味において、ぜひとも必要だという取調当局の言を信じて、かつ司法大臣の申請に基いて、これをなしたという関係になつておるのであります。
  161. 工藤鐵男

    工藤委員 さつき総理の話では、事は重大であるから、捜査上の便宜を與えるために檢討してみた。檢討ということは、私はやはり内容の調査だろうと思う。ただ聽いたというだけではなかろうと思う。しからば檢討した結果、この犯罪は隠蔽物資の方の関係があるとか、あるいは軍需品の不当拂下げに関係があるとかいうことは、直感的にすぐぴんとわかつておるものと、私はあなたを信じて思うから、その範囲はもし捜査上害ありとして拒否するのならばよろしいげれだも、それは一向わからないでは通りませんよ。
  162. 片山哲

    ○片山國務大臣 つまり不正取引の委員会に属すべき事項であるという心持で、あなたは質問されておるのですね。
  163. 工藤鐵男

    工藤委員 いや、そうじやない。属すべきものと認めるものがあるかどうか、その関連があるかないかを伺つておる。
  164. 片山哲

    ○片山國務大臣 これは政治家の政治上におけるいろいろな問題とし重要にこれを考えたのでありまして、不正取引の委員会に属すべきものであるか否かというようなところまでは考えない。ただこの犯罪が政治家の犯罪であり、政治問題に関係をしておるという点において、重要性を考えてきたのでありまして、そういう意味において不正取引委員会との関連は特に研究はいたしておりません。
  165. 工藤鐵男

    工藤委員 それでは私は自分の腹をもう少し割つて申しましよう。衆議院は独立してこの不正物資の処理についての問題を檢討しておる。もしこれが関連ありとすれば、司法官憲捜査権の発動をまつまでもなく、また疑わしい政治的の動機がありはしないかということに一切関係することなしに、自主的の立場から、衆議院においてこれを検討すべき機関がすでに備わつておる。その結果犯罪であるかどうかについては、これは無論われわれは檢察官憲にこれを移送することができる。ここに独立した機関が衆議院においてもう現にできておる。それならば何も片山総理に御苦労をかけてこんな所にひつぱり出さぬでも、まだ解決の途があるのじやないかと思う。殊に一つの事柄を司法官憲もやり、衆議院もやるというようなことは、まことに煩瑣でもあり、また穏やかでない。だから、すでに独立の機関によつてその不正物資に関しての取調べができておるというならば司法官憲は苦労しなくても、われわれはわれわれの私見によつてこれを処理する途がある。いわんや詐欺とかいうことで、憲法上のわれわれの権利の防壁を行政府は突破してくるという、このときにあたつて、われわれが愼重に自主的にこれを考えてみようというたりに、私は大臣に伺つている。隠匿物資に関連したものであるかないかは、私どもの將來の活動方法考える上に必要ですから、それをあなたが御協賛になつたというが、その点だけは御協賛にならないのか、見落したのか、あるいはわれ関せずでいつたのか、その点一向わからないから、これは関連性のある犯罪であるかどうかということを伺つている。
  166. 片山哲

    ○片山國務大臣 この事件は、この夏ごろから捜査の手順が始められたようでありまして、不正引取の委員会は昨年の暮であつたと思います。議会のそういう権能が発足いたしましたのは、昨年の暮ですが、その以前にすで進行を開始いたしておつたのであります。かつまた事件の性質は、金を中心した詐欺罪という名目において、檢察当局は檢討いたしておるのでありまして、政治家の動きにからんではおりますけれども、刑法上の問題として発足いたしたのでありまして、進行過程はその筋でずつときたのでありますから、かりに不正取引の委員会が進行したとしてもそれは後の問題でありますから、筋は違つて別個のものとし私は考えております。なお不正取引委員会は、形態はできたけれども、発動するところまではまだ行つていない。この点は別問題ですけれども、私の感じとしては、純然たる詐欺事件として、刑法上の問題として進行し、かつそれに應じて檢察当局が手続を開始し、進行の途中にある、こういう状態です。
  167. 工藤鐵男

    工藤委員 それは去年の暮です。第一回の終りに來たのであつて、八月ごろから進行することはよろしいけれども、手続をしたのは昨日今日ですよ。その委員会を特に設けるということの間に相当間隔があるのですよ。しからば時の間隔があるのだから、それについては衆議院において自主的にこれを処理とようという團体があることを知らぬはずがない。知つているだろうと思うから、私はそれを伺うのです。ゆえにあなたのように単なる法律上の手続、その他によつてやることは、これは一通り説明でありますが、もし関連性ありとすれば、やはり衆議院においてこれを徹底的に調査してもらいたいという考えをもつているので、その点を伺いたい。
  168. 片山哲

    ○片山國務大臣 どうでしようか。そういう御議論がありとすれば、その犯罪捜査の日程と申しますか、経過を司法大臣から報告することにして、その関係をよく知つていただいた方がよかろうと思います。委員の方だけにしていただきますならば、司法大臣から経過を申し上げます。
  169. 大石倫治

    ○大石委員 私は今の問題の根本について、総理大臣にお伺いしたいと思います。総理大臣小澤君、工藤君に説明答弁せられておりますことを承つておりますると、これは國会として、さらに重大なる問題が起るおそれを私は抱いたのであります。というのは、憲法においてわが國は行政、司法、立法と三権分立がはつきりとしている。今の原君の事件は完全なる司法事務として、檢察事務として行つてきたものを、行政府の長官である総理大臣がこれを議会要求した。これは見当違いである。先ほど小澤君から言われたように、その範囲を越えておると私は考えるのであります。つまり司法部内のことならば、檢察当局並びに裁判所の根拠のある法律によつて扱われて然るべきものであつて、それが行政府の長官たる総理大臣檢察廳要求によつて司法大臣の申請をそのまま受け入れて、行政長官たるものが司法事務の範囲まではいることは、いわゆる行政と司法とを混同するおそれがある。こういうような要求総理大臣として議会になすべきものでないという結論に達すると私は思うのであります。これは國会として、殊に衆議院としては考えなければならぬ問題でわれわれの問題ではない。この根本問題がはつきりせずして、この要求を適法なるものとして審議することは、先決問題としてこの根本問題はもう一歩研究せられ、また司法大臣においても、総理大臣におかれても、御再考が願いたいと思うのであります。司法省においても裁判官の逮捕状を添えて要求すればいいので、それが司法大臣からするなり、あるいは裁判官からするなり、あるいは法関係の部内においてなすべきものであつて、それが行政府の長官たる総理大臣の扱うべきものではない、私はかように解釈をいたしたいのであります。その点について、むしろこの際そういう個々の問題は別といたしまして、この根本問題をどういうふうにお考えになつておられるかということを、総理大臣にお伺いしてみたい。
  170. 片山哲

    ○片山國務大臣 ただいまの大石君の御議論は、私の考えと大分違うので、それは司法問題というと、裁判所に行つて法律によつて公正に判断をして裁判を下す、こういうのが司法問題でおりまして、それまでに至る起訴前の手続は、やはり行政事務に属しておりまして、その必要上、下僚であります檢察当局がぜひとも必要であるから、こういう申請をしてもらいたい、こういつてきたのですから、それに應じましてその手続を行政府でとつて、私としてこれを議会に提出した。こういう順序ですから、司法問題の中に立ち入つて干渉しておるというようなことは、少しもないのです。その点は混同なさらないように願いたいと思います。
  171. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 委員にお諮りいたします。全農派有志、第一議員クラブは、本委員会委員を出ておりませんが、この委員会に発言を求められております。これを許すことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 これを許します。
  173. 田中健吉

    田中健吉君 私の先刻の質問に対して答弁を求めます。
  174. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 御質問の件は事件内容にわたつておりますので、公開の席でお答えすることはできないと思います。
  175. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 なるべく総理大臣の方に御質問願いたいと思います。
  176. 小澤佐重喜

    小澤(佐)委員 総理にもう一点伺いたいのですが、大体今のようなお話で総理のお考えでは、今日の機会において総理大臣内容説明するというようなつもりでおられるけれども司法大臣としてはこの範囲を制限しておるように承つております。そういうことになると、いきおいわれわれがこの問題を審議する上において、なるほどというところまで説明してもらえるかどうか疑問だと思う。これは余談ですけれども、もしそういう場合には、われわれは院議をもつて書類の提出方を要求するかもしれません。そういう場合には関係書類を出していただけるでしようね。
  177. 大石倫治

    ○大石(倫)委員 今行政、司法の混同をしないということでありますればそれで了解いたします。ただ総理大臣司法大臣要求に対して、この内容司法大臣を通じてあまり調べておられないということは、御答弁の中にも明らかになつたのであります。從つて裁判上の判断の結果については別といたしまして、私のお尋ねいたしたいのは憲法第五十條の議員身分保障であります。これは会期中は逮捕されない。開会前に逮捕せられた者も、院の要求があればこれを釈放せねばならないというような程度にまでなつておりますし、わが國におきましては、旧憲法から第一回國会に至りまするまで、一回も政府からそういう要求もなければ、また逮捕の事例を認めたというようなこともないほどに、この身分保障というものは、今日のまで尊重せられているのであります。殊によほど重大なる犯罪性質をもつものでありましても、拘禁中も議会開会のために釈放を要求すれば釈放せられて議席にすわつてつた。しかるにこの事件内容はどの程度範囲になるか、それは知りませんけれども総理大臣の御要求になつている容疑罪名は、單純な詐欺にすぎないので、殊にこの詐欺事件の発生は五月ごろからであり、この捜査に着手したのは議会開会中の八月からで、すでに本人をしばしば法廷か、檢察廳において召喚調べをし、また本人からも、あるいは出頭したかのように聞いているのであります。かようにして取調べをしてからすでに六箇月、この事件は單純な詐欺事件であり、しかも犯罪捜査に着手してからすでに半年になる。かようにして逃亡の憂いもないのに、捜査上の証拠湮滅の憂いがあるというような意味合をもつて、漠然と議会要求せられたという事件でありまして、これは憲法の精神、また國会法の特例というようなものもあるし、將來先例をつくることでもありますから、総理大臣はよほど愼重にやつていただきたい。軽々しく檢察当局要求司法大臣は容れ、司法大臣要求があつたからといつて、ただちにこれを議会要求したといううとは、いささか軽率であり、憲法の精神を、もう少し重んじていただきたいという感じをひしひしと抱くのであります。この問題に対して総理大臣は再御考慮をなされるお考えがあるかないかについて伺つておきたい。
  178. 片山哲

    ○片山國務大臣 ちよつとその前にお話ししたいのですが、大石君も前からずつと議会人として長くやられておりますので、旧憲法時代の議会のことはよく御承知でありますが、あの当時は会期は非常に短かくて、会期のない自由な時代が大部分でありました。從つて会期中は逮捕できない。会期外のときには逮捕ができる。こういう関係会期中に申請をするとか、会期中に問題を起すとかいうようなことは、三箇月待てば済みましたから、必要がなかつたと思うのであります。ところが御承知のように、ほとんど年中議会が続きまして、第一回國会と第二回國会とほとんど一緒になつたような状態ですから、犯罪捜査という上から申しまして、檢察当局が非常な拘束を受け、不便を感じたことと思うのであります。これらの点も前と事情が変化しておることを一つ考え願いたいと思うのであります。私は議員の身上保障について、かつまた國会の権威を尊重する上においては、諸君と同じ考えを持つておりまするが、一面において國家治安を維持し、犯罪を嚴に取締つて、いやしくも疑われるようなことのある場合においては、十分法に照らして、いわゆる法治國としての建前をとつていかなければならないという反面もまた重要であるということをお考え願いたいのであります。その意味から申しまして、檢察当局では裁判所に申請する前に、こういう手続をとらなければならない、とることが至当である。こういう解釈のもとに手続をとつて進んできた今日におきましては、やはりこの方法で進んでいきたいと考えておりまするから、何とぞ犯罪捜査治安維持、法治國、これらの問題を十分に御考慮願いまして、委員諸君の御了解を仰ぎたいと思います。
  179. 大石倫治

    ○大石(倫)委員 今の総理大臣の御答弁はよくわかります。ただ私ども必要とするところは、総理大臣のこの要求に対して、われわれはここに可否の決定をして回答をせねばならないという立場でありますから、その可否の決定をするにあたつて審議上必要なる事柄は、事件が発生してすでに八箇月、捜査を開始してすでに半歳、そうして今ごろになつて証拠湮滅のおそれありと言い出されたことにつきましては、議会開会中この容疑者を取調べ捜査をすることにおいて何か不便が非常に多かつた。あるいは証拠湮滅の行為、あるいはそういうような関係があつたとかいうことがなければ、はなはだ不十分でありまして、われわれ審議を進めることができないのであります。その点先ほど他の委員から司法大臣に尋ねましたが、その範囲説明できないと言う。いつから開始されたかというと、八月からというだけでありまして、何回ぐらい調べられたかということすらわからない。その点について、司法大臣はもつと明らかにしていただきたい。われわれに資料を提出していただきたいということを希望いたします。
  180. 稻田直道

    ○稻田委員 くどいようですが、総理大臣に簡單に一つお伺いしたいと思います。原君が逃亡のおそれありと総理大臣は認められますか。
  181. 片山哲

    ○片山國務大臣 それは司法大臣同様、そういうようには信じません。
  182. 稻田直道

    ○稻田委員 証拠湮滅のおそれありと認められますか。
  183. 片山哲

    ○片山國務大臣 それも司法大臣と同様、今日の訴訟法というものが非常にむずかしいのです。殊に証拠というような問題は、各般にわたつて非常に複雑なる関係になつておりますから、司法大臣の言う通りだろうと思います。
  184. 稻田直道

    ○稻田委員 司法大臣証拠湮滅のおそれありと申しておりますが、その通りですか。
  185. 片山哲

    ○片山國務大臣 はあ。
  186. 稻田直道

    ○稻田委員 その意味逃亡のおそれはないが、証拠湮滅のおそれありということを了解して、あの提案を議長に出されたのですか。
  187. 片山哲

    ○片山國務大臣 そうです。
  188. 山口喜久一郎

    ○山口(喜)委員 先ほど工藤君の質問に対する明確なお答えがなかつたので、この点を將來のためにも、明確にしておきたいと思います。時が時でありまして、本問題は多分に政略的な意図が介在しておると思惟されやすい憂いがあるとわれわれは思うのであります。こういう点について、社会党の首班として、また内閣総理大臣として、片山総理大臣の忌憚なき御意見を承つておきたいと思つております。
  189. 片山哲

    ○片山國務大臣 決してそういう意図をもつてつておるのではありません。訴訟法上における手続として、犯罪捜査上の問題として、これを取扱つておるのであります。
  190. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 これで総理大臣に対する質問は終了することにいたします。それであとの運営の方法ですが、どういうぐあいにいたしましようか。
  191. 石田一松

    石田(一)委員 これは今朝十時ごろから続けてやつているのですが、食事の支度もしてきていないので、明日にでもされたらいかがですか。
  192. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 では明日は午前十時半から開会することにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。     午後七時四分散会