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1948-06-26 第2回国会 衆議院 外務委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十三年六月二十六日(土曜日) 午前十時五十九分
開議
出席委員
委員長
安東義良
君
理事
亘 四郎君
理事
細川
隆元
君
理事
唐木田藤五郎
君
理事
高瀬 傳君
植原悦二郎
君
栗山長次郎
君 竹尾 弌君 仲内 憲治君 武藤 嘉一君 若松 虎雄君 竹内 克巳君
戸叶
里子君 馬場 秀夫君
和田
敏明君 園田 直君
村瀬
宣親
君 山下 春江君
出席政府委員
外務政務次官
伊東
隆治君
厚生政務次官
喜多楢治郎
君
復員事務官
荒尾
興功
君
逓信政務次官
五坪 茂雄君
逓信事務官
小笠原光壽
君
委員外
の
出席者
外務事務官
西村
熊雄
君
厚生事務官
高野 藤吉君
專門調査員
佐藤 敏人君
專門調査員
村瀬
忠夫君 ――
―――――――――――
六月二十五日 万
國郵便條
約及び
小包郵便物
に関する
約定
に加 入することについて
承認
を求めるの件(條約第 一号) 同月十七日
日系大陸孤兒救済
に関する
請願
(
大野伴睦
君外 一名
紹介
)(第一四六六号) 同月十九日
在外
同
胞引揚促進
の
請願
(
並木芳雄
君
紹介
)( 第一五七〇号) 同月二十四日
ソ連領
からの
復員促進
に関する
請願
(
中曽根康
弘君外一名
紹介
)(第一六四八号)
在外
同
胞引揚促進
の
請願
(
中島茂喜
君外四名紹 介)(第一六四九号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 六月十九日
ソ連地区残留
同
胞引揚促進
に関する
陳情書
(第七五二号)
在外
同
胞引揚促進
に関する
陳情書
(第八一五号)
在外
公館借
上金
の返還並びに
換算率
に関する陳
情書
(第八六七号) を
委員会
に
送付
された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件 万
國郵便條
約及び
小包郵便物
に関する
約定
に加 入することについて
承認
を求めるの件(條約第 一号)
在外
同
胞引揚促進
の
請願
(
淺利三朗
君外七名紹 介)(第九九七号) 中
國東北地区残留同胞
に
救援物資送付
の
請願
(
川合彰武
君
紹介
)(第一一四八号) ――
―――――――――――
安東義良
1
○
安東委員長
ただいまより
会議
を開きます。
政府
より万
國郵便條
約及び
小包郵便物
に関する
約定
に
加入
することについて
承認
を求めてまいりました。その審議をいたしたいと思います。
伊東政務次官
。 —
——
——
——
——
——
——
万
國郵便條
約及び
小包郵便物
に関する
約定
に
加入
することについて
承認
を求めるの件 万
國郵便條
約及び
小包郵便物
に関する
約定
に
加入
することについて、
日本國憲法
第七十三條 第三
号但書
の
規定
に基き、
國会
の
承認
を求める。 —
——
——
——
——
——
——
伊東隆治
2
○
伊東
(隆)
政府委員
御
説明
申し上げます。
皆さん
のお
手もと
に万
國郵便條
約と、
小包郵便物
に関する
約定
というのと
二つ
の書類が参
つて
いると思いますが、この
万国郵便條
約というものが、いわゆる
親條
約でありまして、すなわち基本的な條約であります。この條約に基きまして、
小包郵便物
に関する
約定
なるものができているのであります。この
小包郵便物
に関する
約定
のみならず、ほかに
六つ
ほど
子供條
約ができているのでありまして、たとえば
價格表記
の書状及び
箱物
に関する
約定
とか、あるいは
代金引換郵便物
に関する
約定
とか、あるいは
代金取立
に関する
約定
とか、そういうようないろいろな
約定
、
アレンジメント
が
七つ
ほどあるのでありますが、これらのほかの
六つ
の
約定
にはさしあたり、はいる必要がありませんので、この
親條
約に基きまして、
小包郵便物
に関する
約定
だけに今度は
加入
するわけでありますが、
從つてもと
より万
國郵便條
約、この
親條
約にまず
加入
いたし、この
小包郵便
に関する
約定
にはいる。この
二つ
の
國際約定
に今度はいることにいたしたいと思いまして、
國会
の御
承認
を得たいというわけであります。 万
國郵便條
約は、御
承知
の
通り
、ずつと以前からあるのでありまして、五年
ごと
に改訂をしてまい
つたの
であります。しかしながら今度の大戰によりまして、現在の改訂せられる前の條約は、九年目に改訂せられたのでありまして、
昭和
十四年の五月に
ブエノス・アイレス
でできました万
國條
約を昨年の七月に
パリー
において改訂せられました。その昨年の條約が本年の七月一日、数日後からいよいよ
効力
を発生する、こういう
段取り
にな
つて
いるわけであります。まだわが國は
講和條
約も締結するという
段取り
に至
つて
おりませんので、この種の
國際條
約に
加入
いたしますことも、わが國だけの
自由意思
によ
つて
は決定しがたいのでありますが、さいわいにして、
郵便連合國際事務局
が、
連合國政府
を通じて
日本側
に新條約の
テキスト
を送
つて
まいりました。六月の十二日かと覚えておりますが、先般送
つて
まいりました。これに対しまして、わが
郵政当局
及び
外務当局
は熱心に協議した結果、ぜひこの議会に
参加
いたしたいという
希望
を
連合國側
に申し出たのであります。
連合國側
におきましては、
日本側
のこの
希望
を容れまして、それではひとつ
実施期
も七月の一日でもありますから、早速
加入
したらよいだろうということになりまして、ここに一應の内諾を得ましたので、
國会
の御
承認
を得て正式に
加入
することにいたしたいと存じているような次第であります。 今度の万
國郵便條
約、すなわち
パリー條
約は、その前の
ブエノス・アイレス條
約とどういう点において違
つて
いるかと申しますと、こまかな点につきましては、あとでそれぞれ
関係政府委員
からの御
説明
があることと存じますが、大体主要な点をかいつまんで申しますと、三つありますが、いずれも事務的なものでありまして、大した
意味
もないのであります。まずその
一つ
は、この條約の
附属協定
でありまして、
國際連合
との
協力関係
を
規定
しております。すなわち
ユノー
との
協力関係
を
規定
しているのであります。御
承知
の
通り
、
國際連合
は今後の
國際機構
の
根幹
となるものでありまして、すべての
國際機関
はこの
ユノー
を
根幹
としまして派生するような形式にな
つて
いるのであります。
從つて食糧
に関する問題とか、あるいはまた最近はやりのユネスコの問題であるとか、あるいは労働の問題であるとか、そういういろいろな問題がありますが、それはそれぞれの
專門機関
という名前にしまして、それらの
專門機関
と
ユノー
は緊密なる
協力
をも
つて
、
國際機構
の
運営
に当るという
條項
がありますので、この万
國郵便
もその
專門機関
の
一つ
としまして、
國際連合
との
連絡
をし、また
協力
していくということに相なるわけで、その旨をこの
附属店
で
規定
しておるのであります。この点が今までの
ブエノス・アイレス條
約と異なる
一つ
の点であります。 第二の点は、
ブエノス・アイレス條
約におきましては、加盟しようと思います場合には、ただベルンの
事務局
に
通告
をすればよか
つたの
でありますが、そういう
簡單
な
手続
ではいけないということになりまして、
加盟國
の三分の二以上の
同意
がなければ
加入
できないということを
規定
いたしまして、
加入
に関する
規定
を重くしたという点が第二の変
つた
点であります。 第三の点としましては、こんなわけで
加入
の
手続
を重くしましたけれども、
日本
とか
ドイツ
とか
——
彼らのいわゆる旧
敵國
でありますが、かかる重要な國で、
國際郵政
の上に非常に重要な
立場
をも
つて
いるこれらの國々の現状に鑑みまして、これらの國々が
加入
します場合には、何も
加入國
三分の二の
同意
を要せずして、ただ
加入
したい國の
外交手続
によ
つて
、すなわち
外務大臣
から
國際事務局
にあてた
加入
の申込によ
つて
加入
できるという
簡易手続
を
規定
いたした点が、第三の変
つた
点であります。 いずれにしましても、こういう事務的な條約でありますので、
ブエノス・アイレス條
約と今度の
パリー條
約との間には、さほど大きな特記するほどの点もないようなわけであります。特に技術的な方面における
相違点
につきましても、大したことはないのでありまして、今までは
代金引換
の制度などは、それぞれさきに申しました
七つ
の
約定
、
アレンジメント
の中に散在してお
つたの
でありますが、今度は特に
代金引換
に関する
約定
、
小包
に関する
約定
の
ごと
き、
約定
という
一つ
の
アレンジメント
をつく
つた
ことが
一つ
変
つた
ことと、もう
一つ
は、五年
ごと
にこの万
國條
約は改訂されるのでありますが、その五年間に
加盟國
がお互いに
眠つて
お
つたの
では、その進歩もないから、
実施委員会
をつく
つて
、
加盟國
は始終万
國條
約について円滑なる
運営
を協議しようという、常設の
委員会
をこしらえたことなどが変
つて
おる点であります。 なおこまかな点につきましては、
関係政府委員
から
説明
があることと思いますが、大体以上のようなことであります。実は
会期
が迫りました今日、急にこういう
二つ
の
國際約定
を提出いたしまして
國会
の
承認
を求めますのは、
さつき
申しました
通り
、
國際事務局
からの
テキスト
の
送付
が六月八日でありまして、それ
以來外務
、
逓信
両
当局
は、徹夜をいたしまして、新條約の
研究
を続けてまいりまして、ようやく先般閣議を経て今日ここに初めて
國会
に提出するような
段取り
になりましたわけでありまして、しかも
会期
がもう数日に迫
つて
おるのでありますが、その
効力発生
の時期も七月一日というのであります。また数日後に
効力
が発生いたしますので、それまでに
参加
の
通告
を
フランス政府
にやりますことは、
國際郵政
の円滑なる
運営
をはかることになりますので、ここに
國会
の
承認
を一日も早く得たいということで提出したような次第であります。
簡單
でありますが、大体條約の
内容
及びその経過について御
説明
申し上げました。
西村熊雄
3
○
西村説明員
お
手もと
に配付してございます万
國郵便條
約のうち一箇所だけ
印刷
を御訂正願います。五ページの第十二條の仲裁というところの
一行目の下
の方でありますが、
連絡員
の「二または二以上」とあるのを「二または三以上」と御訂正願います。
安東義良
4
○
安東委員長
終戰後初め
て
日本
が條約に加盟するわけでありまして、
外務委員会
といたしましても、
本條
約については当然愼重審議すべきものと私は思う。しかしながら先ほど
政府委員
からの御
説明
がありました
通り
、まことにやむを得ざる事情でもあるし、非常に急いでおりますから、その
意味合
におきまして
本條
約につきましては、特に
審査委員会
というようなものはつくらないことにいたしたいと思います。その点御了承願いたいと思いますが、御異議ありませか。
安東義良
5
○
安東委員長
次にこの條約の本文は
フランス文
でございます。お
手もと
にあるのは飜訳でありまして、原文は
フランス文
でありますから、
日本
ではその
フランス文
に加盟するわけであります。しかしながら
印刷
の都合上遂に本日までには
皆さん
のお
手もと
にその
フランス文
をお渡しすることができなか
つた
そうであります。
もつ
とも
委員長
のところにはその一部がまい
つて
おります。この点は惡しからず御了承願いたいと思います。 それでは
質問
ございますればお許しいたします。
亘四郎
6
○
亘委員
ただいま
政府委員
の御
説明
によりますと、
基本條
約である万
國郵便條
約並びにその
附屬約定
の
小包郵便
に関する條約、この
二つ
だけである。その他五、六の
約定
があ
つて
、それは親に対する子の
約定
であるが、それらのものに対しては
参加
する必要がないというお言葉でしたが、それはどういう
意味
で
参加
する必要がないのでございましようか。
ちよ
つとお伺いいたします。
小笠原光壽
7
○
小笠原政府委員
ただいまの御
質問
に対してお答え申し上げます。
終戰後日本
が万
國郵便業務
を再開いたしましたのは、
連合軍
総
司令官
の
指令
に基きまして、一昨年の九月十日から再開いたしたのでございます。その
指令
に基きましていろいろ取扱います
範囲等
は限定されておるのであります。今日
日本
がや
つて
おります仕事の
内容
から判断いたしますと、さしむきは
郵便條
約及び
小包郵便物
に関する
約定
だけが直接必要にな
つて
まいります。それ以外の
價格表記
でございますとか、あるいは
為替約手
でありますとか、その他先ほど
外務省
の
政務次官
から御
説明
を申し上げましたようなことがございますが、これらのことはもちろん
情勢
がこれを許すようになりますればなるべく速やかに加盟することが結構だと存じますが、今日の段階におきましてはさような
約定
へ
加入
する必要はさしむきございません。それでこの
二つ
だけの
加入
の御
承認
を御
提案
したような次第でございます。
和田敏明
8
○
和田委員
現在
郵便物
や
小包
の
交換状況
は、実際どうな
つて
おりますか、またそれは
戰爭
中にこういう
國際條
約から一切
日本
は離れているわけですが、しかし実際には
アメリカあたり
から
加州米
を送
つて
きたという人もあるということですが、そういうようなことの
実情
はどうですが。
小笠原光壽
9
○
小笠原政府委員
外國郵便物
の各國との
交換
は、ただいま御
説明
申し上げましたように、
連合軍
総
司令官
の
指令
に基いてや
つて
いるのでございますが、その
範囲
は一昨年九月、
外國郵便業務
を再開いたしまして以來、逐次拡充されておりまして、今日はいわゆる
通常郵便物
というものは、ほとんど例外なしに各國との間に
交換
をすることができる
状態
にな
つて
おります。 それから
小包郵便物
につきましては、今日
外國
からいろいろな物が到着することにな
つて
おりますが、
日本
からはただいま
國会
に
提案
しております
郵便法
の一部を改正する
法律案
が成立いたしますと、近く
日本
からも
外國
に対して
小包
を出すことができることになる予定でございます。そうなりますと、
外國郵便
との
交換
というものは、内地においては戰前の
状態
によほど近くなるのでございます。
郵便物
を
交換
いたします
相手國
も今日は別段制限はないのであります。世界各國どことでも
郵便物
を
交換
できる
状態
になります。 それではどれくらい
郵便物
を
交換
しているかというと、ごく大畧な
数字
を申し上げますと、
手紙
とか
はがき
とかいういわゆる
通常郵便物
が、五月中に
日本
から
外國
へ出てい
つた
ものが十八万箇ばかりあります。同じ期間に
外國
からは二十万箇ばかり
日本
に到着いたしているという
状況
にな
つて
おります。それからなお最近は
手紙
と
はがき
は
航空郵便物
として、
日本
から出すことにな
つて
おります。また
外國
からそれ以外の
通常郵便物
も
飛行機
で到着することにな
つて
おります。それで五月中に
日本
から
手紙
や
はがき
が
飛行機
で送られましたものは十一万、それから
外國
から到着したものが約十二万ございます。 次に
小包
につきましては先ほど申し上げましたように、今日は
日本
からはまだ出せないので、
外國
から到着するものばかりでございますが、いわゆるギフト・パーセルをきめまして、五月中に
外國
から
日本
に到着いたしましたものが、およそ九万箇くらいの
小包
が到着しておるような
状況
でございます。
和田敏明
10
○
和田委員
今の
説明
を承ると、大体ほとんどこの條約に何も加盟しなくても、相当な
郵便物
の
交換
がある。
小包
は
日本
からは出ないし、
日本
から出すようなものはあまりない。大抵は
外國
から來ておる。そこで特にこの條約に入る必要はないように思います。特に
平和條
約もわれわれには與えられていないのだが、この條約は特徴として
國際連合
とも非常に
関係
があるという。その
國際連合
にはもちろん
加入
は許されていない。こういうような技術的な
協定
にのみまず
参加
を許してくれるという
態度
、その基本的な
態度
には私は多少疑問をも
つて
おる。特に條約を結ばなくとも、この
占領下
の
状態
において相当な万國との
郵便
や
小包
の
交換
はできるのじやないか。この点の
政府
の意見をひとつ伺いたいと思います。
伊東隆治
11
○
伊東
(隆)
政府委員
技術的な点もありますので、その方からお答えした方がよいかと
思つたの
ですが、御説ご
もつ
ともだと思います。しかし
日本
との
平和條
約が今日まで延びておるということにつきましては、これは皆様御
承知
の
通り
いろいろの
複雜
なる
國際情勢
から、やむを得ずきておるのでありまして、何もそういう條約を特に
連合國側
が引き延して、そうしてかくの
ごと
き
技術的約定
から漸次出ていこうというような計画的な意図のもとに、今度の場合にもそれを許したのではないということだけは、はつきりしておることだと思います。ですから私どもといたしましてはそういうような邪推ではございませんが、そういうふうにも考え得ることではありますけれども、現在の
國際情勢
からいたしまして、こういう技術的な條約でも漸次
國際関係
の仲間にはいり得るということは、非常に慶賀すべきことであ
つて
、実は
外務省
といたしましても、ここまで
了解
を得たことは、われわれとしては
一つ
の
成功
のようにすら思
つて
おるような次第であります。 次に現在
小包郵便
がそれほどたくさん
交換
されておるのに、こんなものにはいらなくてもよいじやないかとおつしやるのですが、実はこの
約定
にはいることによ
つて
、どれだけまた
日本
から出る
小包
が殖えることになるかということにつきましては、
郵政当局
からの回答があるかと思いますが、かりにそれだけの増加がないにしましても、こういうはつきりした
アレンジメント
で、
國際
的なものに
加入
してやるということは、やはり正規な
方法
によ
つて
やることでありまして、われわれとしてはかりに
小包郵便物
が殖えないといたしましても、こういうような手段でやることを
希望
しておるような次第であります。
和田敏明
12
○
和田委員
これは各
主権國
はいつでも條約に
加入
することができるというので、大した
成功
というような見解は私はとらぬのです。しかし別にはいるなという主張でもないわけなのですが、一体
國連
にはい
つて
いない
日本
にと
つて
不利な点はないのですか。
伊東隆治
13
○
伊東
(隆)
政府委員
この
附属書
におきまして、
國際連合
との
協力関係
を
規定
しておりますので、
國際連合
との関連を重視されたわけだと思いますが、これは一口に申しますとありません。ただ
協力
と申しますのはこういう種類の
專門機関
でも、やはりその親許には
國際連合
というものがあるのでありますから、それとの
協力関係
をやるというだけでありまして、
國際連合
にまずはいらなければ、これにはい
つて
もいろいろの不便があるということはないのであります。
和田敏明
14
○
和田委員
その点は特に御
研究
にな
つて
いるとも思わぬが、大した問題でもないだろうとわれわれも考えますから、それはよいとして、
一体負担金額
は等級があるようで、
日本
の
負担金額
というのはもちろん
最低
だと思いますが、その
最低
の七級というのはどのくらいの
負担
をするものか。それをひとつ伺いたい。
小笠原光壽
15
○
小笠原政府委員
ただいまの御
質問
の問題は、二十七條の
國際事務局
の
経費
の問題の御
質問
だと
了解
いたしますが、
日本
は
從來
からこの中の一等にな
つて
おりまして、現実にどれくらいの
経費
を
負担
しておるかと申しますと、一九四四年の
日本
の
負担
は、一万二千二百五十
スイス
・
フラン
でございます。
終戰
の年の四五年は一万三千三百七十五
スイス
・
フラン
でございまして、大体それくらいから二万
スイス
・
フラン程度
まででございます。
和田敏明
16
○
和田委員
戰爭
前は第一級かもしれないが、今やこんな
國力
にな
つて
おるのに、第一級の
負担金
などとてもわれわれ
負担
することは反対でありますし、そんな莫大な金をかけて、
平和條
約もできていない今日、私はこういう條約に何も
参加
する必要はないと思う。しかしどうしても
参加
するというのならば、必ずしも反対しないということは、
さつき
も
言つた通り
であります。しかしそんな第一級ということは考えられないのでありまして、今の日日の
國力
から言
つた
ら、第七級ぐらいでよいではないですか。
西村熊雄
17
○
西村説明員
その点御説申し上げます。
從來
は
日本
といたしましては、この條約には
日本
本國と
朝鮮
とそれ以外のいわゆる
日本
の
属地
として、三つの
單位
としてこの條約に
参加
していた次第であります。
パリー條
約によりまして
日本
は
日本
本國だけとして
参加
するわけになりますから、
日本
本國としては
從來
二十五
單位
であ
つたの
で、將來も二十五
單位
であろうという点については、特に
負担
が増加するという結果にはならないと思います。
朝鮮
に対する
負担
が落ちるし、それ以外の
植民地
に対する
負担
も落ちるということになります。
和田敏明
18
○
和田委員
それはわかりますが、しかしそれは
日本
が
一流國
としてや
つて
いたときのことであ
つて
……。
西村熊雄
19
○
西村説明員
ちよ
つと
郵務局長
から
朝鮮
とそれ以外の
属地
の
負担金
について、御
説明
申し上げます。
小笠原光壽
20
○
小笠原政府委員
先ほど申しました
数字
は
日本本土
の
数字
を申し上げたのでございまして、実は漏らしましたが、そのほかに一九四四年におきましては、
朝鮮
の分としての
負担金
は四千九百
フラン
、
朝鮮
以外の
属地
全体として四百九十
フラン
、それに先ほど申しました
日本本土
の一万二千二百五十
フラン
と合計しまして、一万七千六百四十
スイス
・
フラン
とな
つて
おります。それからただいまの問題の、
朝鮮
は何等にな
つて
おるかという御
質問
に対しましては、現行の
郵便條
約のもとにおきましては、
朝鮮
は四等にな
つて
おります。それから新しい條約に基きましても、
朝鮮
は四等に予定されておる次第であります。
仲内憲治
21
○
仲内委員
ちよ
つとお尋ねしたいのですが、今度の
加入
は新しい
加入
でありますか。それとも
戰爭
によ
つて昭和
十四年の
ブエノス・アイレス
の條約に対する
日本
の現在の
関係
がどうな
つて
おるか、それの
復活
なのか、
パリ條
約に全然新しく
——
そういうふうに
説明
されておるようであります。その点
一つ
。それからそれに関連しまして現在の
日本と列國
との條約で有効と申しますか、現に
効力
のあるものがほかにどういうものがあるか。 それから
提案
が遅れた、突如本
委員会
に
提案
された理由としまして、
フランス
からの
テキスト
の着いたのが六月の八日であ
つた
。それから急遽その筋との
了解
その他に手間取
つて
提案
されたというのでありますが、この條約そのものは昨年の七月五日に調印されておるのでありまして、
終戰中
といいましても、
外務省
は当然この條約のできたことも
知つて
お
つた
はずであります。正式の
テキスト
の入手は困難でも当然こうい
つた
條約に
参加
の日を期待して準備があ
つた
はずだと思うのでありますが、また今後
日本
のおかれておる
立場
からいたしましても、
平和條
約が遅れる。一方
友好國
の方はできるだけ、形式的な
平和條
約が遅れても、漸次
日本
の
実情
に適して実際に
講和
が
終つた
と同じようないろいろな外交的な
関係
の
復活
を現に
海外旅行
その他によ
つて
見つつあるし、そういう方向に進まれてい
つて
おるのでありまして、
日本側
としては
連合國
の指導以上にできる限り
外交関係
の
復活
に向
つて努力
をしなければならぬと思うのであります。今後こうい
つた
たとい技術的な條約であ
つて
も、
一つ
でも多く
参加
を見るいとうことが望ましいということは、は私
日本
のために確信するのであります。積極的にそういう機会をとらえて機を逸せず
参加
すべく、むしろこちらが自主的に努力すべきものではないか。この
テキスト
が
フランス
から送られたのも
フランス側
のイニシアティーヴによるものであるか、あるいは
連合國
の
提案
によるのであるか、あるいはわが
外務省
のこれに対して何か事前に
希望
でも申し出た事実があるのか、これらの点も伺いたいと思います。
伊東隆治
22
○
伊東
(隆)
政府委員
お答えします。第一の点でありますが、これは新たなる
加入
であります。
ブエノスアイレス條
約に対する
復活
ではありません。今次の
戰爭
によりまして、すべての
國際條
約との
関係
が切断されておるという
関係
にな
つて
おりますので、これは新しい條約への新しい
加入
であります。しかも
さつきちよ
つと御
説明
いたしました、
日本
とか
ドイツ
とかいう國の新しい
加入方法
によりまする
加入
をいたしておるような次第でありまして、新しい
加入
であります。 それから今どういう條約が
國際
間に現存しているかという御
質問
でありますが、
ポツダム宣言
に基きます
終戰
に関する諸條約以外に、いずれの條約
とも関係
は遮断されているものと解釈しております。 それから第三に、
テキスト
が來たのが遅いので、あわてて
研究
して
提案
したのはどういうわけかという御
質問
でありますが、これはご
もつ
ともな御
質問
で、実は私の
説明
が少し惡か
つた
かと思いますが、
國際事務局
からの
テキスト
の
送付
と申しますことは、要するにはい
つて
くれという
意味
の
送付
でありまして、それは昨年の七月五日
パリ
においてこの條約ができまして以來、
日本側
においてあらかじめ念願してお
つた
、非公式に
希望
してお
つた
ことが漸次非公式に
連合國
の方にも浸透いたしまして、これが
了解
を得まして、向うから
テキスト
の
送付
を受け、これを緊急にやり、そうして今度
加入
する、こういうことでありまして、これは
日本側
の熱望によ
つて
加入
をしたようなわけであります。
仲内委員
のお説の
通り
、この種の技術的な條約に関しましても、今後
外務当局
といたしましてし、でき得る限り積極的に、
加入
いたしたい、
平和條
約が今日のような
状態
にありまするだけに、一層この種の條約にたくさん
加入
していきたいと思
つて
、
当局
は鋭意準備を進めているようなわけであります。
西村熊雄
23
○
西村説明員
ちよ
つと
政務次官
の
説明
を補足させていただきます。第二点の現在
日本
との
関係
において、生きている條約はどういうものがあるかということについて御
説明
を申し上げたいと思います。その問題はたいへんむずかしい問題でありまして、要するに
戰爭
の條約に及ぼす結果いかんということになるわけであります。これは
國際
法上もいろいろな学説がございますし、過去
平和條
約にとられた先例も必ずしも一致しておりません。從
つて
こうこうでありますと申し上げるのははなはだ確信を欠く次第でありますが、大体学説上は交戰國間の二國間の條約を
効力
を失う。しかしながら多数國間の條約については
効力
は失わないで、ただその実施を
戰爭
中停止される。こういうふうな考え方が大多数であります。それによりますと万
國郵便條
約みたような多数國間の條約は、かりに
ブエノスアイレス條
約の例をと
つて
みますと、
日本
と交戰國の間におきましては実施を停止しておりますが、その他のいわゆる
日本
と中立國との
関係
においては、條約それ自身としては有効に存続している。こういうような
関係
になると思います。現に
日本
郵政廳としては、
郵便物
の
交換
、
小包郵便物
の
交換
につきましては、
ブエノスアイレス條
約の
規定
によ
つて
業務を遂行されている
関係
がございますから、從
つて
その條約が
パリ條
約によ
つて
改正されて、七月一日からそれに切りかえられるというところに來ておりますので、
日本
としてもできるだけ七月一日前に新しい
加入
をや
つて
、いわゆる新條約による
國際
郵便
業務を施行したい。こういう
立場
をとるわけになるのであります。今それ以外の條約
関係
におきましては、
日本
と中立國間の條約というものはむろん
戰爭
によ
つて
影響をこうむりません。
日本
と同盟國
関係
に
なつ
た國との條約も、直接
戰爭
によ
つて
は影響を受けない、こういうことになりますから、私たちの常識としては
日本
と中立國間にあ
つた
戰前の條約、
日本
と
日本
の與國間にあ
つた
條約は、
相手國
に何か特殊の事情がない限り、たとえばイタリアは
終戰
末において
日本
に対して宣戰しまして交戰國
関係
にはいりましたし、
ドイツ
國というものは事実上消滅しております。こういうふうな特殊な事態がない限りは、たとえば
日本
とシヤムの條約というようなものは有効に存続している。中立國であ
つた
スエーデン、
スイス
そういうようなものと
日本
との間にあ
つた
通商航海條約というものは、何らの影響なく今日有効である。こういうことであります。
ちよ
つと補足しておきます。
武藤嘉一
24
○武藤(嘉)委員 はなはだこまかいことをお尋ねするようですが、たとえばアメリカからこちらへ送
つて
くるのに、書状が二セントくらいで、こちらからだと四円かで、たいへん高い。航空
郵便
も向うは二十セントくらいは
つて
くるのに、こちらから出ていくときは四十何円から五十円くらいとられます。もしこの條約に加盟することになれば、さような
負担
はどうなるものかを一應お尋ねしたいと思います。
小笠原光壽
25
○
小笠原政府委員
郵便物
の料金については、
郵便條
約その他
関係
約定
にそれぞれ具体的に詳しく
規定
されておるのでございます。たとえばお
手もと
にございます新しい條約においても、新しい條約の三十六條をごらん願いますと、
國際
間における
郵便物
の料金というものはきま
つて
おるのでございます。さようなわけで、
日本
の
外國郵便
料金も決して
日本
独自に高い料金をと
つて
おるわけではないので、これは條約で皆金
フラン
で
規定
されておる。これは今日はもちろん為替相場がございませんので、ただちに換算するというわけにまいりませんが、今日の
実情
は
連合軍
総司令部の判断によりまして、円價による料金をきめておりますが、観念的には條約に定めてあるところの金
フラン
の制限を越えない
範囲
で定めておるのでございます。
竹内克巳
26
○竹内委員 この條約は非常に
簡單
な條約で、これの書き方は私はまことに結構なことだと思います。しかしここで一應御注意申し上げたいことは、
外務委員会
の任務というものは條約が第一でございます。その次に
外務省
の予算でございます。一番初めに出された初めての條約、これのお取扱い方が私非常に遺憾だと思います。
もつ
ともお急ぎでございますから、事情やむを得ない点はあ
つた
と思います。しかも結構なことであり、
簡單
なことでございますから、私は即座に賛成はいたしますが、今後こういうお取扱いであ
つて
はいけない。殊に枢密院のない今日、この
外務委員会
が枢密院の今までと
つた
條約に関する
方法
をとらなければならないのでございます。殊に原文もお出しにならぬ、今日言
つて
、今日これを一日も早くというようなことでなく、お取扱い上今後は十分愼重にや
つて
いただきたい。なおついでに申し上げますが、
外務省
の予算についても、まだ一度もこの
外務委員会
に何らお諮りに
なつ
たことはないように心得ております。今日はそういうことを申し上げるのではありませんが、條約については今日のようなお取扱いは今後断じていけないと私は思う。少くとも四、五日前に原文と條文とはお出しにならなければ、われわれは審議をすることを拒否いたしたいと思います。今日のこの場合は
簡單
でございますので、私はこの案には賛成はいたしますが、そういう條件附で私は賛成したいと思います。
馬場秀夫
27
○馬場委員 竹内委員とま
つた
く同趣旨です。一、二具体的な問題をお尋ねしたいですが、
パリー
会議
に
参加
した七十六箇國は
郵便條
約に調印しておりますが、
小包郵便
の方は十三箇國がこれに
参加
しておらない、この理由をお伺いしたい。 もう
一つ
は、料金決済は三箇年後とな
つて
おりますので、そのころには為替相場もきまるのでありましようが、現在
連合國
が一切これをきめておる、
連合國
の配慮によ
つて
きめられておるということでありますが、これは他の交易物資と
郵便
料金と同じレートできめられておりますかどうか。
小笠原光壽
28
○
小笠原政府委員
小包郵便
の
約定
につきましては、
從來
の例といたしまして、主として英法系統の國は万
國郵便
連合に
小包
約定
によりませんで、それぞれこの万
國郵便條
約の
規定
に基きます特別
約定
というものをも
つて
いるのであります。たとえばアメリカにいたしましても、日米間、あるいは英國にいたしましてもそうであります。あるいは濠洲との
関係
におきましてもそうであります。そういうような特別
約定
で
小包
の
交換
をしている國がございます。さようなものはこの万
國郵便
連合の
小包
約定
には
参加
しておらないのであります。 それからあとの御
質問
の為替のレートの問題につきましては、今日の
外國郵便
料金は、御
承知
の
通り
、もちろん自由市場における為替相場はございませんが、当初これを決定いたしましたときは、
連合軍
総司令部のアブルーバルを得まして、一ドル五十円のレートできめているのでございます。
細川隆元
29
○細川(隆)委員 この條約は六月八日に
フランス
から
加入
勧説を受領し、それに基いて
研究
された結果、憲法七十三條第三項によ
つて
事前に
國会
の
承認
を求められたわけですが、閣議において
國会
の
承認
を求めようということを決定されたのは、何月何日か承りたい。
西村熊雄
30
○
西村説明員
閣議決定の議は昨日の午前でございます。
細川隆元
31
○細川(隆)委員 昨日の閣議で
國会
の
承認
を求めることに決定された。しかし、こういう
印刷
物をつくるとか、あるいは飜訳をするのは相当に準備も要し、日時がかか
つて
いるはずですが、それまでの間に一回も閣議には、議題に
なつ
たことがないのですか。昨日初めて出て、昨日の閣議で
國会
の
承認
を求めることにな
つたの
か、その実際の
状況
を具体的にお聽きしたいと思います。
伊東隆治
32
○
伊東
(隆)
政府委員
ただいまの御
質問
並びに
さつき
竹内さんでしたかの
質問
されたことに対しまして併せて申し上げたいと思います。 実際この條約への
加入
を突如としてここに申し出まして、私ども
政府
側としましてまことに恐縮に思う次第であります。今後は、その本文はもとより、またその他の
関係
書類は十分これを準備いたしまして、相当の時日をおいて審議に遺漏のないように、
政府
は十分に注意をいたしたいと思います。実はそういうわけで、六月八日の初めてこれが
加入
について具体化をみましたので、それから急速に諸般の
手続
を進めてまい
つた
ようなわけでありまして、正式に閣議に付議いたしましたのは、そういうわけでありますけれども、その前から
外務大臣
から閣議の席上において、この問題につきましては、大体の
説明
をしていただくように話しておりましたから、多分閣僚においてはあらかじめ了承してお
つた
ことと推測いたします。併せてお答えいたします。
細川隆元
33
○細川(隆)委員 この條約が
國会
の
承認
を得て、内閣が
加入
の
手続
を運びます場合に、大体いつごろ
加入
の
効力
が発生するお見込みですか。それを伺いたい。
伊東隆治
34
○
伊東
(隆)
政府委員
加入
は、本日もし衆議院の
承認
を得ますと、月曜日にその案が参議院に参りまして、参議院の審議を経まして、ただちにこれを
連合國
を通じて
フランス
國
政府
に申し入れますれば、七月一日からの実施に間に合うわけでありまして、七月の一日から
効力
を発生するわけであります。
細川隆元
35
○細川(隆)委員 次は、
手続
上の問題ではないのでありまして、この條的にわれわれが加盟しますと、われわれは條約上の権利を
もつ
わけです。今
日本
は
占領下
にありまして、無條約
状態
で、
連合國
の取計らいによ
つて
事実行為として
國際
郵便物
及び
國際
小包郵便物
の
交換
をや
つて
いるわけであります。ところがこの條約に
日本
がいよいよ
加入
した場合に、この條約によ
つて
もつ
ところの
日本
の権利と、それから占領政策によ
つて
われわれが制限を受けるところの
関係
はどうなるか。たとえば、せつかく條約には加盟したが、將來占領政策の必要によ
つて
、
郵便物
その他の
交換
について制限を受けるおそれはないかどうか、こういう点について
連合國
と打合せられたときにその点がはつきりしているかどうか、これをお伺いしたい。
西村熊雄
36
○
西村説明員
その点についてお答え申し上げます。現在存しております
郵便
業務上の制限は、
もつ
ぱら
連合國
総司令部の
指令
に基くものであります。今度わが國の
加入
が、國内の議がまとまりまして、條約の
規定
に從いまして、責任
当局
の
日本
について適当の時期が來たとの判断を経た上で、これは議定書に
規定
があります文句でありますが、時期が適当であると責任
当局
が判断され、その判断を得ました上に、
日本
の
加入
というものが行われるのでありますから、この点から考えますれば時期が適当と判断されてあります以上は、新しい條約上の義務と矛盾するような現存の制限は次第に撤廃されていくのが当然であろうかと考えております。現にもうそういう趣旨で
関係
方面においていろいろ考究中であると私は
承知
しております。さよう御了承願います。
細川隆元
37
○細川(隆)委員 言葉が抽象的で少し私には理解しにくいのですが、具体的の例を
一つ
と
つて
みますると、せつかくわが國がこれに
加入
して、この條約の
範囲
内では各國との
立場
において対等に
なつ
たが、占領政策上特定の國とは
郵便物
の
交換
ができないというような、占領政策で制限を加えることは、占領政策自体としてはできるわけです。しかしこの條約に加盟した以上、占領政策の制限は將來絶対に來ないものかどうか、この点をはつきり伺いたい。せつかく
加入
して、やはり占領政策の制限が來るものとすれば、先ほど
和田委員
から言いましたように、特にこれによ
つて
得た権利はノミナルであ
つて
、実質上制限を受けるということになれば、強いてこれに
加入
の必要もないという理窟も出てくるわけです。また
和田委員
の疑問の点も技術上からいえば、そういう点にもあ
つた
と思いますから、そういう点は
関係
当局
との話合いの中に含まるべきものと思いますから、その点をもう少し御
説明
を願いたいと思います。
伊東隆治
38
○
伊東
(隆)
政府委員
ご
もつ
ともな御
質問
だと思いますが、これは
占領下
にありましても
連合軍
の判定によりまして
加入
いたすのでありますから、この
二つ
の
國際約定
に関しまする限り、占領政策上の制限は緩和されて行くものだと信じます。
細川隆元
39
○細川(隆)委員 それはそういうふうに御判断にな
つて
いるのか、あるいは
関係
当局
の折衝においてそういう点も触れられたのかどうか。向うの御
同意
を得られたかどうかしらぬが、そういう点もこちらがだめを押されたかどうか、これもひつくるめてもう一遍くどいようですがお伺いいたしたい。
伊東隆治
40
○
伊東
(隆)
政府委員
先ほど條約局長の
説明
で十分かと思いますが、これは
日本側
からはいりたいという
希望
を申し入れましたので、向う側もこれを檢討しまして、適当だと認めてここに
加入
を許されたわけでありまして、そうしました以上は当然占領政策上の制限も何ら受けずに、この
二つ
の
約定
に関する限り対等の
國際
上の権利を得るものと了承しているのでありまして、別段御
質問
の
ごと
きそういう問題に触れたことは私は記憶いたしておりませんが、そういう制限はないものと了承している次第であります。
細川隆元
41
○細川(隆)委員 非常にくどいようですが、最初の條約で、今後
占領下
の條約締結に進んでいきますと、いろいろな過渡的な懸念が
効力
上の問題で起
つて
くると思う。從
つて
法律上、
——
條約局長がおられるから伺いますが、
國際
法上占領政策が優先され得るものかどうか。制限を加えようとすればこの條約の権利を制限することが
國際
法上あり得るものかどうか。これはないという御確信を私ども非常に喜ぶものであるが、
國際
法上そういうことができるかどうかということをひとつ承
つて
おきたい。
伊東隆治
42
○
伊東
(隆)
政府委員
これは
國際
法上、私もとよりできると思います。ミリタリ・オキュペーションですからできると思いますが、しかし
連合國側
がこれに
加入
を許しました以上、將來絶対にそういう制限はないものと
日本
政府
は確信しております。
細川隆元
43
○細川(隆)委員
質問
は終りました。
安東義良
44
○
安東委員長
皆さん
にお諮りいたしますが、本日
皆さん
のお
手もと
にある條約はおそらくどなたもまだお読みにな
つて
おらぬと思う。從
つて
本件についての採決は、月曜の朝十時にいたしたいと思います。御異議ありませんか。
安東義良
45
○
安東委員長
それでは、それまで御
研究
を願いたいと思います。 —
——
——
——
——
——
——
安東義良
46
○
安東委員長
それから時間が少し遅れましたが、
請願
を終えたいと思います。
在外
同
胞引揚促進
の
請願
、
淺利三朗
君ほか七名
紹介
、文書表第九九七号の審議をいたします。
淺利三朗
47
○
淺利三朗
君 この
請願
につきましては、同種の
請願
が、すでに多数本
委員会
に
提案
になり、本
委員会
において、それぞれ御処理にな
つて
いるのであります。この
請願
も番号が示すが
ごと
く早いのでありましたが、上程があとになりました
関係
上、おくればせにただいま
説明
を申し上げます。 この問題は四月にすでにきめて出したわけでありますが、今日においては、その後
情勢
も大分変
つて
おります。この
請願
についての
説明
のうちには多少の変化もあるのであります。しかしながら今日なお一部これが実現しつつあるとは申しながら、まだ本年一箇年中にはたしてこれが完了できるかどうかということについて、非常に懸念をも
つて
おるのであります。この
請願
は岩手縣議会の決議によ
つて
、懸
会議
長から提出にな
つたの
であります。
紹介
いたしております者は、岩手縣出身の各党連合の
紹介
であります。私から詳しくいまさら申し上げなくとも、
皆さん
はわれわれ以上に御配慮に預か
つて
おることであります。ただ岩手縣としましては現在一万二千余の留守家族は、その肉身の者の一日も早く帰還することを熱望しておるのでありまして、去る四月三日におきましても、この留守家族の代表
会議
を開きまして、われわれ留守家族は愛する肉身のためにいかなる犠牲をも拂
つて
政府
を撻鞭し、社会の輿論に訴えて引揚げ運動を強化し、目的達成のためにさらに困難と闘うことにしようという、非痛なる決議をいたしておるのであります。このことはすでに
皆さん
が御
承知
のことで、くどくどしく申し上げませんけれども、この問題はぜひとも至急解決するように、この上とも格段の御配慮を願いたいという趣旨であります。ぜひこの趣旨を御採択になりますようにお願い申し上げる次第でございます。
安東義良
48
○
安東委員長
本
請願
に関して、
政府委員
において何か御
説明
はございませんか。
高野藤吉
49
○高野
説明
員 引揚げの現状について
簡單
に
説明
申し上げます。 ここに表が出ておりますように、六月十八日担在ではまだ帰還されない方が約七十万でございまして、そのうちソ連
関係
が大部分を占めておりまして、六十三万二千、主としてシベリヤ及び樺太地区でございます。その他と申しますのは、大部分が満洲の中共地区でございまして、これが六万余りでございます。御
承知
の
通り
一昨年十二月の米ソ
協定
によりまして、月々五万ずつ帰
つて
おりまして、今年の冬は中絶いたしましたが、五月からまた再開いたしまして、五万若干下まわ
つて
おりますが、この米ソ
協定
に從
つて
現在帰還しつつあるわけでございます。それでこの五万の率を少しでも多く殖やして、できるだけ早く引揚げを完了いたしたいと
政府
側としても念願いたし、あらゆる努力を続けておるのでございますが、現在のところまだこの増加という点は
希望
がもてないと申しますか、具体化しておらない
状況
でございます。それから中共地区はほとんど直接の
連絡
と申しますか、交渉相手がございませんので、この引揚げについても種々考慮はいたしておりますが、まだ軌道には乘
つて
おらないという
状況
であります。そのほか華北、南満に若干の数がおりますが、最近三船ばかり配船いたしまして、御
承知
の
通り
上海、済南、華北、南満から合計約五千ばかり帰
つて
参りました。現在の
状況
は大体そのようなことであります。
淺利三朗
50
○
淺利三朗
君 大体ソ連の六十三万の引揚げの完了は、いつごろまでかかるお見込みですか。
伊東隆治
51
○
伊東
(隆)
政府委員
その点
政府
当局
としても非常に痛念いたしておる次第でありまして、できる限り今度の冬は越さしたくないという固い
希望
のもとに、
連合國側
と折衝いたしておる次第でございまして、ソ連側においても
協定
数には少しまだ足りませんが、十分の誠意をも
つて
当
つて
おるように認められます。もう一段の誠意をソ連側において示してくださるならば、あるいは若干は冬を越さなければならぬことになるかもしれませんが、一段の努力をしてくださるならば、今度の冬を越さしたくないという
日本側
の熱望は、達成されるかと思
つて
おるような次第でございます。
淺利三朗
52
○
淺利三朗
君
政府
の御
説明
によりますと、昨年の十二月月々五万の帰還という予定ができたということでありますれば、大体本年中には大部分は完了すると思うのでありますが、これが配船その他の
関係
上、予定
通り
いくお見込みにな
つて
おりしようか、どうでしようか。その点もしわかりますれば、安心のいくようにお示しを願いたい。
伊東隆治
53
○
伊東
(隆)
政府委員
さつき
申しました
通り
、
協定
量に少し足りないかと思いますが、今後
日本側
のこの熱望は、常に
連合國側
に対して申し出ておりますから、何とかいきはせぬかと思いますが、もし今度の冬を越すようなことになりますれば、残
つた
者の苦痛は申すまでもないことでありますので、
政府
も一面非常に憂えておるのであります。
淺利三朗
54
○
淺利三朗
君 まことに御親切な御答弁で、ありがとうございました。どうぞ御採択あるように
委員長
からお諮り願います。
安東義良
55
○
安東委員長
本
請願
の趣旨は、数次わが
委員会
におきましても採択をしておることでございまして、この
請願
を採択するのに御異議はないと思いますが、いかがでございますか。
安東義良
56
○
安東委員長
それでは異議ないものと認めます。本
請願
は採択されました。 —
——
——
——
——
——
——
安東義良
57
○
安東委員長
次に中
國東北地区残留同胞
に
救援物資送付
の
請願
、
川合彰武
君
紹介
、文書表第一一四八号を審議いたしたいと思います。この
請願
の趣旨につきましては朗読いたさせます。 中國東北地区(満洲)残留同胞に対し
救援物資送付
に関する
請願
新憲法第一次
國会
以來貴院議員各位が民主
日本
建設のため國策審議にお示しくださ
つた
御熱意、特に今次敗戰最大の犠牲者たる引揚者に寄せられた御同情と、引揚促進並びに引揚者対策に示された御盡力は感謝にたえぬところであります。 このたび引揚が再開されたことは御同慶の至りでありますが、引揚の対象と対策の重点が、シベリヤ抑留同胞に指向さるるためか、東北残留同胞に対する対策がとかく疎んぜられがちにあることは
関係
者の遺憾に存じているところであります。東北には國府軍下になお四千五百の留用者のほか、二千名以上の難民(中共地区よりの退出者等)と数十名の戰犯容疑者があり、また中共地区には四、五万と推算さるる同胞が残留し、不幸な中國内戰の渦中に運命を託し、ひたすら故國からの救援と帰國の日を待望しているのであります。しかもこれら同胞のうち、留用者だけは、中國側各機関の御厚意により、一應生活の安定を得ている模樣でありますが、その他の者、特に中共地区より避難脱出してきた者は、全然まる裸の
状態
で、まことに見るに忍びぬ難民であることは、過去の実例に徴しても想像にあまりあるところであります。しこうしてこれらの人たちの救済援護や戰犯容疑者に対する差入れ等は、留用者の重荷となり、
從來
ともきわめて困難であ
つたの
でありますが、その大部分が留用解除となり、近く帰國還送さるる予定とな
つて
おりますので、今後とも絶えない中共地区からの難民の援護救済を、残余僅少な同胞に、これを委ねることはとうてい望まれないことであります。聞くところによりますと、最近
政府
においては中國南方諸地域に残留する
在外
同胞のために、救援物資を
送付
する計画が進められておる由でありますが、その計画中には東北残留同胞の分が漏れていると傳えられ、これは輸送上の困難がおもに理由かと想像さるるのでありますが、少くとも國府軍管下にある同胞に対しては、胡蘆徳または秦皇島の両港を利用することが可能であり、鉄道不通の箇所は公路(自動車道路)の完通も遠からず実現すると聞いております。すなわち時期と
方法
を講ずれば、必ずしも
送付
不能とは考えられません。最もその必要の痛感される東北残留の不幸な同胞に対して、あらゆる
方法
を講じて救恤用の衣類、食糧、医療藥品等の
送付
をはかることこそ内地同胞の責務と信じます。何とぞ
國会
におかれても、右事情御賢察の上、その実現に格別の御配慮、御盡力を賜りますよう、ここに謹んで陳情
請願
申し上げます。
昭和
二十三年五月十四日 財團法人満蒙同胞援護会 会 長 平島 敏夫 全滿
日本
人居留民会残務整理
委員会
委員長
平山復二郎 衆議院議長 松岡駒吉殿
安東義良
58
○
安東委員長
本
請願
に関して、はたして中國東北地区杉留同胞に救援物資を
送付
する可能性があるかないか。またあるとすればそういう計画があるかないか。これについて
政府
側より
説明
を求めます。
伊東隆治
59
○
伊東
(隆)
政府委員
中國におります戰犯
関係
、または残留の邦人に対しまする救恤品の
送付
の点でありますが、これにつきましては
政府
側におきましては、ずつと以前より
関係
方面に対しまして、熱心にその申出をいたしておるのであります。現にこれらの救恤物資は、近く上海に向けて
送付
せられると期待しておるようなわけでありまして、上海には
ちよ
うど戰犯
関係
者を主としまして、人数ははつきり記憶いたしませんが、相当数の者が上海へ集結せられておりますので、まず上海に向けて救恤物資を送りたいということで、今着々準備を進めておるような次第であります。從
つて
上海以外の所には何らの措置をと
つて
いないじやないかというような感じを受けるのでありますが、もとより上海以外の所に対しましても、これらを送る計画をしておるのでありますけれども、特に満洲地方、すなわち東北地方に関しましては、この
請願
の中にもうた
つて
あります
通り
、いろいろ交通上の困難がありますので、まだその実現を見ることにな
つて
いないのみならず、その計画もまだ具体化していないような次第でありますが、しかし東北地方のみを特に除外し、また軽んずるというわけでないことはもとよりでありまして、何とかしてこの交通上の困難を克服して、
請願
にもあります
通り
、胡蘆島とか、そういう適当な場所を選んで救恤物資を送りこんで、その後はバスとか、自動車とかいうもので、たとえば長春地区なんかの救恤者に一日も早く届くようにいたしたいということで、鋭意
政府
側としても努力いたしておるようなわけでありまして、この
請願
の趣旨にできる限り早く副いたいという念願でおります。
喜多楢治郎
60
○喜多
政府委員
本
請願
に対しまして厚生省といたしましてお答えを申し上げたいと思うのであります。御
承知
の
ごと
く海外の残留同胞の救援は、
外務省
の所管でありまして、ただいま
伊東政務次官
より御答弁があ
つた
わけでありますが、物資につきましても、厚生省の引揚援護院の保有のものは、内地に引揚げて後支給する予定のものでございます。しかし外地の者といえども、
外務省
に物資がなく、かつ厚生省に物資の余裕がありまする場合は、これを放出するにやぶさかでないのであります。右の趣旨に從いまして、
從來
南方、上海の戰犯残留者に対しましては、
外務省
を通じ、タばコ、石鹸、歯みがき等を送
つたの
であります。上海向けの食糧につきましても、ただいま
伊東
外務政務次官
よりお話の
ごと
く、食糧は佐世保の援護局に発送でき得るように用意準備いたしておるのであります。
外務省
の方で具体的の取引がございますれば、いつでも送られるようにな
つて
おる次第であります。中國の残留者に対しましても、
外務省
の方で、
関係
方面との御
了解
がつき、かつ税関の問題等も解決いたしまして、確実に残留者の手にわたる見込みがつきまするならば、厚生省といたしましては、物資につきましてはできるだけの應援をいたす考えをも
つて
おる次第であります。右
請願
に対しまして、厚生省といたしましてのお答えをいたします。
安東義良
61
○
安東委員長
ただいまの
外務政務次官
の御答弁のうちに、東北地区に対しても、適当な所を選んでやるように十分な努力をするというお話でありまするが、この地方における中共軍とすでにある程度の
了解
なり、
連絡
なりができておりますか。
伊東隆治
62
○
伊東
(隆)
政府委員
今のところ十分な
了解
はできておりませんが、何とかして中共との
連絡
が十分でない
——
特に東北地方はうまくいきませんので、今までのような單なる
——
と申しましては何ですが、國民
政府
だけとの
了解
では十分でないように思いますので、
政府
といたしましても、何とかただいま
委員長
の指摘せられた点につきまして、考慮しておるような次第であります。
山下春江
63
○山下(春)委員 本
請願
につきましては、本
委員会
といたしましても、同時に私個人としても非常に重要なことであり、衆議院の引揚議員連盟の方を代表いたしまして、対日
理事
会のシーボルト氏を数十回訪問いたしまして、再三熱心に申入れをいたしたのでありますが、ただいま
伊東政務次官
からお話があ
つた
ように、中共地区に対しては対日
理事
会においても、今的確な処置をとる
方法
がない。努力はしてやるという御返事を再三いただいております。しかし
実情
を聞きますと、想像以上のようでありますので、本
委員会
といたしましてもこのことに対しましては、
外務当局
を熱心に鞭撻し、何とかこの
請願
者の意思が速やかに残留者に到達するような声援をいたすことを、御決議あらんことを
希望
いたします。
安東義良
64
○
安東委員長
ほかに御意見はありませんか。
——
それでは本
請願
の採択に御異議ありませんか。
安東義良
65
○
安東委員長
御異議なしと認めます。本
請願
は採択せられました。なおただいま山下委員のお話の
通り
、本
委員会
といたしましては、本件の実現のために
政府
を鞭撻すると同時に、できる限りの
協力
をいたしたいと思います。 それではこれをも
つて
散会いたします。 午後零時二十分散会