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1948-05-20 第2回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 安東 義良君    理事 武藤 嘉一君 理事 加藤シヅエ君    理事 細川 隆元君       菊池 義郎君    佐々木盛雄君       竹尾  弌君    仲内 憲治君       猪俣 浩三君    戸叶 里子君       馬場 秀夫君    和田 敏明君       村瀬 宣親君    園田  直君      唐木田藤五郎君    多賀 安郎君       高瀬  傳君    花月 純誠君  出席國務大臣         内閣総理大臣  芦田  均君  出席政府委員         経済安定本部副         長官      堀越 禎三君         総理廳事務官  瀧野 好曉君         貿易廳次長   新井  茂君  委員外出席者         議     員 佐藤觀次郎君         議     員 河合 義一君         專門調査員   佐藤 敏人君         專門調査員   村瀬 忠夫君     ――――――――――――― 五月十八日  在外胞引揚促進請願淺利三朗君外七名紹  介)(第九九七号) の審査を本委員会に付託された。 五月十九日  在外胞引揚促進に関する陳情書外一件(第三四七号)  同外一件(第四一六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  ポンド地域との貿易問題及び輸出手続の簡素化問題に関する説明聽取  萬國議院商事会議に関する件  一 大相撲本場所に際し國技館借用に関する請願佐藤觀次郎紹介)(第一一〇号)  二 在外胞引揚促進請願河合義一紹介)(第六六四号)  外資導入に関する陳情書(第一六七号)     ―――――――――――――
  2. 安東義良

    安東委員長 ただいまより会議を開きます。  日程を変更いたしまして在外胞引揚促進に関する請願、第六六四号を審議いたします。紹介議員河合義一君。
  3. 河合義一

    河合義一君 私、過日選挙区の、兵庫縣の加東郡という所でありますが、ここの抑留將兵家族大会から招きを受けまして、わざわざ東京から帰つたのであります。四百家族代表者が列席しておりまして、一つ決議をいたしました。いろいろ話を聽いておりますと、いかにもその切実なる訴えはもつともなことと思いまして、その決議によりまして衆議院請願をいたすことに私取計つたような次第であります。同種の請願は多数本委員会におきましても御採択なつたと思いますので、今さらくどくどしくその理由等について申し述べる必要はないと思います。もしできますならば、この際当局の現在における状態説明簡單でもよろしいですから聽きまして、どうか本委員会におきましては御採択あらんことをお願いする次第であります。はなはだ簡單でございますが、以上をもちまして終ります。
  4. 安東義良

    安東委員長 ただいまのお言葉に対してちよつと御返事申し上げますが、本件についての政府当局説明は前回の本委員会におきましてございましたから、これについては速記録についてごらんを願いたいと思いますので、ここでは省略いたしたいと思います。惡しからず御了承願います。本件採択するに御異議ありませんか。
  5. 安東義良

    安東委員長 それでは採択と決定いたしました。     —————————————
  6. 細川隆元

    細川(隆)委員 私は万國議院商事会議復帰に關する促進について発言をいたしたいと思います。本平洋戰爭勃発まで日本は万國議院商事会議に加盟いたしておりまして、この会議を通じて國際親善並びに日本民主主義発揚のために、國際的に一役を買つてつたことは皆さん承知の通りであります。戰爭が勃発しまして以來、ヘーグにあります万國議院商事会議事務局日本國会との間は、戰爭によつて関係が断たれ、そうしてわが國が負担しておりました会費納入等の途も塞がれておつたのであります。もちろん現在は未だ平和條約が締結されず、從つて正常な國際關係にありませんから、この会議への正式の加入が早急に実現することはなかなか困難ではあろうと思います。しかし現在の國際情勢の点から考えますると、各種の國際会議、あるいは國際的な集りに対して、日本もそれぞれの観点においてあるいは加入を認められるごとき形勢が看取されるのであります。特に敗戰後日本國家目標から考えましても、民主主義の大きな眼目に向つて形成されておるこの万國議院商事会議にわが國が復帰参加するということは、わが國の前途からとりましても、また日本のおかれておる國際情勢の見透しから言いましても、まことに必要なことであろうと思います。從いまして、これを外務委員会決議等の形にいたすことは法規上からいいましてもどうかとは存じますが、もしも御賛成を得ますれば、外務委員会総意として、委員長を通じて議長及び議院運営委員長にこの外務委員会意向を取次いでいただいて、そうして議長及び運営委員会においてこの措置を研究していただいて、そうして適当な方法をもつて——私の私見を申し上げますと、議長の正式の申入ということは今の國際情勢からどうかと思いますから、衆議院事務総長の名において、ヘーグの万國議院商事会議事務局等連絡をとつて、そうしてこの復帰参加糸口をつくつてもらう、そうして、もしもさいわいに平和條約締結以前に復帰参加できればこれは申し分のないことでありますが、それができないにしましても、復帰糸口をつくるということは非常に結構なことであろうと私は考えておるのであります。  以上簡單に、日本國会が万國議院商事会議復帰するということを促進する意味において、外務委員会皆さんの御賛成を得れば、委員長を通じて議長及び運営委員長の方にこの総意を傳えていただいて、適当な措置をとつてもらうということを私は提議の意味において発言いたしたわけであります。
  7. 安東義良

    安東委員長 ただいまの細川委員の御提言に対して御意見はございませんか。——別に御意見もないようでありますが、御提言採択することにいたしていかがでありますか。
  8. 安東義良

    安東委員長 それでは採択といたします。  政府委員が出席いたしますまで暫時休憩いたします。     午前十時四十五分休憩      ————◇—————     午前十一時開議
  9. 安東義良

    安東委員長 ただいまより会議を再開いたします。  大相撲本場所に際し國技館借用に関する請願、第一一〇号を審議いにします。紹介議員佐藤觀次郎君の説明を求めます。
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤觀次郎君 大相撲本場所に際し國技館借用に関する請願書大相撲本場所は、年々必ず國技館において催行してまいつたのでありますが、昭和二十年十二月より進駐軍の接收するところとなり、大修繕を施してから昭和二十一年十一月一回借用することができたのち、施設その他の事情により借用不可能となり、昨二十二年夏、秋の二回は明治神宮外苑相撲場使用方許可によつてようやく開催することができたのでありました。  しかるところ大相撲本場所は、その性質國技館をもつて至上とする傳統氣分がきわめて濃厚のため、これ以外の場所を充てることは力士精神作用に多大な影響を與えるばかりでなく、雨天順延となる関係から、力士の最高の体調を保持すること困難となり、ために観衆の氣乘り薄となることは申すまでもなく、観衆は多年馴致されてきた本場所氣分を十分に味うことができないのであります。さらに外苑相撲場には施設に巨額を要しはなはだしき收支の不均衡を來して、とうてい経済的負担に耐えがたいありさまでありまして、常に赤字の嘆を重ねてきた次第であります。つきましては國民大衆健全娯樂として絶好とせられてまいりました大相撲本質を御了察あられ、その性能を十二分に発揚し得る國技館從前のごとく一月、五月の年二回定期的に借用することができまするよう、御援助賜りたく、右謹んで請願申し上げます。
  11. 安東義良

    安東委員長 ただいまの佐藤議員紹介請願に關しまして、特別調達廳庶務部長瀧野好曉君より、国技館現状について説明を聽取いたしたいと思います。
  12. 瀧野好曉

    瀧野政府委員 國技館現状につきまして簡單に申し上げます。今日までの経過を附け加えて御説明申し上げますと、國技館昭和二十年十二月二十一日に接收されたのであります。そのときの條件といたしまして、接收はするけれども連合國軍側におきまして、日本側の、すなわち相撲協会側の申請があれば一定の期間は使用せしめる、しかしその都度連絡することが必要だ、そのためにその連絡する人の協会側氏名を通達せよということであつたのであります。早速二十一年九月ごろ、当時の終戰連絡地方事務局を通じまして、相撲協会から連絡人氏名を通達いたしたのであります。昭和二十一年一月十六日に相撲協会の方から当時の終連を通じまして、年三回使用方希望する旨を提出したのであります。その年の二月七日に、右に対しまして第八軍のスペシヤル・サービス・セクシヨンのオフイサーから、そういう一定のきまつた期間きめて使用せしめるということでなく、使用したいときに、その都度連絡せよとの回答があつたのであります。その二十一年の夏場所に一回使用が許されております。その翌年二十二年に夏場所使用につきまして、代表者の方が当時の終戰連絡地方事務局責任者を通じまして、八軍の係官を訪れ、嘆願いたしましたけれども、当時アイス・スケートに使用中のゆえをもつて許可をせられなかつたのであります。かような事情でございまして、現在におきましても、連合國軍の方でこれを使用中でございまするが、その都度希望を申し出て使用許可をお願いすれば事情によつて許可されるということになつております。その後昨年の九月一日からこの不動産接收並びにこれに関連する事務終戰連絡地方事務局の方から、新しくできました特別調達廳の方に移管されまして、今日は特別調達廳の方でかような事務を行つておりますが、特別調達廳不動産部というのがございまして、一切この不動産に関する事務をやつておりますので、協会でございますか。その方からの御連絡がございますれば、十分誠意をもつて連合國側に折衝の用意がございますが、昨年九月から今日まで不動産部としてさような話を聞いていないので、実は連絡をいたさずにおるのでございます。さような事情でございまして、今後ともかような方法によりまして、使用許可の方途が講ぜられるというわれわれの見解でございますので、一應御説明を申し上げます。
  13. 安東義良

    安東委員長 ただいまの政府側の御説明によりますと、大体使用の途も全然ないではないようであります。やはり相撲協会の方で特に届けさせればあるいはそれが考慮せられるということになつておるようであります。つきましてはこの請願國技館從前のごとく一月、五月の年二回定期的に借用することができますよう御援助賜りたく請願申し上げますということになつておりますので、國会側としては政府の処置に信頼して別に決議というような形式をとらない方がよくはないかと思いますが、いかがでございますか。
  14. 細川隆元

    細川(隆)委員 それは採択をしないというわけですか。採択しないでもいいじやないかという意味ですか。
  15. 安東義良

    安東委員長 特に採択という形式をとる必要はないじやなかろうかという感じですが、どうですか。
  16. 高瀬傳

    高瀬委員 そうすると、一体今の佐藤君の請願みたいなものは、一体どういう効果をもつのですか。ただわれわれに聽かしただけでは何も意義がないのではないのですか。
  17. 安東義良

    安東委員長 この問題は、今のように政府側において取扱うようになつておるから‥‥。
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤觀次郎君 先ほど政府の御説明がございましたが、政府の方でうまくやられるなら、わざわざ請願をする必要はないのでございまして、請願をするのは、やはり議会を通じて民の声を反映するという意味でやつていただきたいという意味であります、実はたびたび折衝いたしましても、らちがあかないので、わざわざ請願に及んだ次第であります。
  19. 菊池義郎

    菊池(義)委員 私も委員長の御意見賛成であります。大体相撲なんというものは封建時代の遺物であつて、あんな畸形兒を集めてやらすから、外國からなめられておる。まあそんなことはいいけれども委員会を通じて、いわんや議会を通じてそういうことをどうこうするということは滑稽だろうと思います。委員長の御意見賛成であります。
  20. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまいろいろな御意見がありましたが、ただそれがアメリカ側接收されておるというだけの理由外務委員会陳情されたのだろうと思います。そうすると、そういう場合はたくさんあるから、外務委員会は一一そういう問題を全部取上げまして、ここで採択しなければならぬ、何かの決をとらなければならぬということになると、非常にその煩にたえない。ですからその辺の考慮を一應委員長として十分お拂いになることを希望すると同時に、ただいまの御意見のように、相撲畸形兒を集めてやらせるというようなことになると、普通のやせておる背の高いのも普通の日本人から言えば畸形兒ということになるし、相撲というものは、われわれの常識では國技だということになつておるのですから、何とかして國技館が昔のように日本相撲道のために使われることをわれわれは希望いたします。國技としての相撲があすこで行われるようになることを希望することは、私は人後に落ちないものでありますが、たまたまそれが占領軍に使われているからといつて、ここでそれについての決議をしたりなんかするということは、今後その煩にたえないことになりはせぬかという意見だけを述べておきます。
  21. 猪俣浩三

    猪俣委員 社会党を代表して、相撲本質論については今申す必要もないと思いますが、畸形兒云々というのは少し暴言だと思います。この國民大衆の運動として長い間傳統をもつておるものを、畸形兒というようなことを言われるのは不都合だと思う。高瀬君の議論も一應議論でありますけれども、とにかく今渉外關係事項として本委員会に提案されたことでもありまするし、私どももまた國技館國技を見るということについては、國民としては熱望するところだろうと考えるのであります。別にきつい決議というようなものにしなくても、本件を却下する必要はないと思います。採択して、そこをふんわり処理したらどうかと思います。
  22. 安東義良

    安東委員長 ほかに御意見はございませんか。どうでしよう、この請願は、その趣旨が達成せらるるように政府側で努力してもらうという希望を本委員会で表明するに止めて、請願それ自体としては決議の形において採択するということは避けたらどうかと思いますが、いかがでありますか。
  23. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはどういうことになるのですか。採択するのですか。採択するかしないかを決定しなければならぬのに、希望意見を述べて不採択ということになるとどういうことになるのですか。
  24. 安東義良

    安東委員長 全然採択という意味にはならぬと思いますが‥‥。
  25. 猪俣浩三

    猪俣委員 半採択ですか。そうなると妙ですね。採択するかしないか御決定を願いたいのです。採択するに当つてこういう希望を付するということは議論が成り立ちますけれども採択するかしないかきめないで希望をこうだということは、どういう意味になるのですか。
  26. 安東義良

    安東委員長 内容を達成するについて政府側が努力するという、内容はそうだけれども形式において、外務委員会決議として議会に報告して、議会決議として出すということを避けたらどうか‥‥。
  27. 猪俣浩三

    猪俣委員 それが外務委員会の職能として一体どういう障害がありましようか。せつかくこれだけ請願をしてきたものを不採択にするには、積極的な根拠があるならば、それはわれわれ不採択もまた賛成いたしますが、大した根拠のない場合には採択することは何ら差支えないものと思うのであります。不採択にしなけれどならぬ何か積極的な意見がおありであるならば、そういう方の意見を聽きたいのであります。採択すべからずでは、ぼくは根拠がわかりません。
  28. 安東義良

    安東委員長 採択すべからずというほどの強い理由ではありませんけれども、先ほど高瀬委員が言われましたように、渉外關係のことを一々外務委員会で審議するということになりましたならば、これまた際限もないことであり、この問題それ自身がはたして外務委員会の直接の仕事であるかどうかということについては、私は一應疑義をもつております。ただ議会運営委員会においてわれわれの方にまわしてきたがゆえに、一應審議しておるわけなんでありますが、こういう種類の問題は單にこれに止まらず、ほとんど日本の現在の状應においては、行政事項については大部分を占めておるのではないかと思うくらいなんです。それを一々外務委員会が取上げるということになりますと、これはまた少しこちらの方の本來の職務を逸脱しやせぬかというような氣持がするものですから、特にそういうふうに申し上げておる次第であります。
  29. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 高瀬さん並びに委員長お話、まつたく私は同感であります。まず一つには現在の万般にわたる非常にたくさんの渉外事項に属するそういう問題を、一々当委員会において取上げるということのごとき、事務煩雜というようなことももとよりでありまするが、それと同時にもう一つは、現在の日本の環境においてそういう渉外事項に属することを当委員会が一々ここで採否を決定するということがはたして妥当なりや否やということに対しても、私どもも疑問をもつわけであります。從いまして委員長の言われるごとく、採択という形式はとらなくて、そうしてこういう請願の申出があつた、それに対して議員賛成意向を表明しておるという意味のことを付して、關係当局にこれを傳達するという程度に止めた方が、私はよくはないかと考えます。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 今の佐々木委員のお言葉採択に御賛成なのですか、反対なのですか。どうも皆さんの言うことははつきりしない。採択するのかしないのか、それが今問題です。
  31. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 趣旨においてはわれわれはこれに賛成いたしますが、採択、不採択という形式をとらないで‥‥。
  32. 猪俣浩三

    猪俣委員 委員長として採択採択という形式をとらないと委員会意見表示にならない。採択することによつて初めて意思表示がされる。  それから今かようなことをやつてつてはその煩にたえないということでありますが、國技館の問題は今政府委員説明によれば特殊條件であるのみならず、今この委員会採択するのが煩にたえないほど繁忙状態でありますか。政府委員説明ばかり聽いているのが能ではない。まるで学校の國際科の講義みたいなことばかりしているよりは、たまにこういうことをやつた方がいいと思います。
  33. 高瀬傳

    高瀬委員 これを單に聽きおくということは委員会性質上できないものでありますか。
  34. 安東義良

    安東委員長 問題の性質によつては聽きおくということもありましようし、採択を延期することもありましようし、いろいろあると思います。
  35. 細川隆元

    細川(隆)委員 請願性質から考えまして、未だかつて聽いたことはないような小さな村の橋一つ架けるのにも請願が出ております。そういうこともお互いの議員利害關係を交換してどんどん採択している。ほとんど國民生活關係のないような橋一つでも、議員自分關係となれば血眼になつてつているのではないか。私は相撲は嫌いで誘われても入場券をもらつても見に行かないが、自分趣味に合わぬからこういうのはどうでもいいというべきではない。要するに相撲というものを長い間の國民的な一つ國技という言葉は法律の言葉ではないが、國民的の趣味の問題で、政府委員としても、今調達廳庶務部長が言われたように、大いに努めようと言われている。そういうものを採択せんでもいいじやないか、宙ぶらりんにしておつてもいいじやないかということは理屈に合わぬ。ここで皆さん意思が非常に結構だから政府委員にそうしてもらおうということになればこれが採択なのです。だからそういう意向であれば採択すべきものである。橋一つ架けるのにも血眼になつている人々がこういう大衆の興味のある問題を煩にたえない、もちろん第一相互のマツクアーサー司令部をこちらに貸してくれという不合理な不可能なことならば堂々と不採択する途が開けていることなのだから、大衆の要望に副うような一つ形式をここで現わすことが議会政治なので、採択もせぬ、不採択もせぬということならば審議未了で、それは意思がないということなので、われわれが賛成ならばどんどん採択すべきであると思います。
  36. 菊池義郎

    菊池(義)委員 私は相撲が嫌いだからどうこうというのでない。國技館を使わなければならないということはない。デモクラシーの今日においては、街頭においてもどこにおいても、今まで室内でしかやらなかつた演説すらも街頭でやつておる。相撲街頭ででもどこででもやるべきだ。何も國技館を使わなければならぬということはない。大衆化してもらう。そのためには相撲そのものを教育していかなければならぬ。経費がかかるとか何とかいうお話がありましたが、経費もかからないように彼らの反省を求めて、自粛自省してその技術を一般の人に公開する。安い値段で見せるには國技館を使う必要はなかろうと思う。
  37. 安東義良

    安東委員長 大体二つ意見にわかれておりますが、細川委員意見に御賛成の方は起立を願います。
  38. 安東義良

    安東委員長 多数と認めます。それではこの請願採択することに決定いたします。     —————————————
  39. 安東義良

    安東委員長 それでは次の陳情、第一六七号、關東一都九縣議会から、経済危機打開方法としては外貨導入によるほか方法はないと考えられるから、政府連合軍に対しクレジツト設定を懇請し、わが國を経済危機より救われんことの陳情が出ております。つきましては最近の外貨導入の問題を経済安定本部長官堀越禎三君より聽取いたしたいと思います。
  40. 堀越禎三

    堀越政府委員 私はきようは外資導入という御指示でまいりましたので、実は今のお話だと結局政府クレジツトを要求するというような請願ではないかという感じがいたしますが、民間外資意味でございますか。
  41. 安東義良

    安東委員長 政府連合軍に対し、クレジツト設定の懇請されたいというのであります。
  42. 堀越禎三

    堀越政府委員 その問題でありますれば、新聞にも出ておりますように、大体四億ドルくらいのものが今年の食糧の輸入に当てられる。さらにマーシヤル・プランとして、一億四千四百万、大体一億五千万ドル近いものでありますが、これが出る。これらはいずれもわれわれはクレジツトとは考えておりません。陸軍の予算からわれわれの方へ割当ててくれた金額、つまり占領軍費用の一部分として向うが割当ててくれたものです。そのほかに御承知の六千万ドルの回轉基金、さらにこれはまだ議会で通つておらず多分近く議会で成立するだろうと認められます一億五千万ドルの棉花回轉基金、この二つが大体クレジツトと言えばクレジツトと言えるものだと存じておる次第であります。そのほかにけさ私は新聞によりまして、これはまだコンファーしておりませんが、さらに朝鮮その他を入れました方に極東の占領軍費用として、一億二千二百万ドルの費用の要求が出ておるようであります。その点につきましはては、われわれといたしましてはこの六月に物價の改訂をいたさざるを得ざる点に追いこめられておるわけであります。これはあえていたさざるを得ざると申し上げたいのでありますが、私たちといたしましては、今日のこの情勢、少くともこの一月以降占領軍食糧放出状況が非常に適時に出してくれましたために、割合に遅配ということが起らずに済みました。もちろん砂糖で現実の遅配は起つてはおりますが、しかし主食の代りに砂糖を出したということで一應形式的に遅配は起つておらぬ。そこで昨年と比べますならば、比較的やみ物價というものは安定しております。この安定しておるときに一般公定物價を上げるということは、非常にわれわれとしてはおもしろくない。少くとももう少し待つてこのマーシヤル・プランといわれております一億五千万ドルその他のものが、今年のこの七月から向うの実際予算として働きかけまして、その効果日本経済に現われるまでは物價を上げたくないのであります。しかし現在の物價情勢はどうかと申しますると、物價を上げないがために各重要産業に非常に大きな赤字が出ております。この赤字のために企業自体が成り立たなくなる危險が生じてきておるのであります。これ以上この事態を遷延いたしましたならば、むしろ生産を阻害する。そういう事態に立ち至りましたので、やむを得ず司令部の許可を得て物價を上げるというところへ参つております。これはいづれまた皆樣の御承認を得なければなりません鉄道運賃値上げとも関連いたしておるのであります。  そこで私たちといたしましては、この際現在先方が示しておりまするクレジツトのほかに、なおさらに消費物資をもう少し入れてもらえないか、そうしてこの物價と賃金との惡循環を断ち切るには、どうしても消費物資をもう少し入れてもらつて、そうして実質賃金の裏づけにいたしたい、これは大分前から要請いたしておりますので、けさの新聞か私読みまして、あるいはこの要請が幾分か容れられたのではあるまいかという氣持をもつた次第であります。これはまだ十分コンフアーいたしておりませんが、先方といたしましても、それとなく何とかしてやるつもりでおるということはほぼ言葉にほのめかしておりますので、十分政府としては手を盡しておりまするし、また司令部といたしましても、十分その点は考えてくれているということを申し上げてお答えといたしたいと思います。
  43. 安東義良

    安東委員長 ただいまの堀越政府委員のお答に対して御質問はありませんか。
  44. 馬場秀夫

    ○馬場委員 外資導入は民間の方にはどんな動きになつておりますか。
  45. 堀越禎三

    堀越政府委員 それは少しお話しますと長くなりますが、ポイントだけを申し上げたいと思います。実はこれは司令部と民間のアメリカ資本家、この間の考えが非常に違つております。それで少しデリケートな問題になりますので速記を止めていただきたいと思います。
  46. 安東義良

    安東委員長 速記中止。
  47. 安東義良

    安東委員長 速記を始めて‥‥。
  48. 高瀬傳

    高瀬委員 もし日本の受入態勢といいますか、そういうものができれば、どんどん許すべきではないかということをジョンストンが述べておる。私は飜訳がまずいからどうかわかりませんが、差別課税あるいは財産沒收から外國投資を保護しろということ、適当な配当及び利潤の海外流出の許可、適当なる利潤の取得及び支拂いを許す税制の設立、それからもう一つ外國人が、これはアメリカ人ばかりではないという話ですが、外國人がその投資に應じて、企業に適当にプロモーシヨナリー・インベストメントする。この四つの條項さへ日本政府が設定すれば、平和会議前でも外資の導入についてはどんどんとやるべきだ、個人のインベストメントを許可すべきだという記事が、日本タイムスにジヨンストンの意見らしく載つておる。そういう点について日本政府はどんな具体的措置をとつておるかお伺いしたい。
  49. 堀越禎三

    堀越政府委員 第一のコンフイスケーシヨン、デイスクリミナトリー・タクセーシヨン、これは日本政府においてたびたび声明いたしておりますうな例の封鎖、今後は預金封鎖は絶対にいたさないというあの問題であろうと私は思います。つまり日本が擬制資本の切捨をやりまして、再び擬制資本の切捨をするのではないかという点であります。さらに資本課税を再びやるかという問題について、今後は絶対にやらないという点をもう一度再確認させようという問題であろうと私は解釈しております。その次は配当と利益の送金のリーズナブル・フリーダムであります。この二の配当及び利益をどの程度送らせるかという問題につきまして、われわれは今司令部との間に交渉中であります。これは先ほど為替管理上において差別待遇をして、好ましきものは歓迎し、好ましからざるものは差別待遇によつてなるべくはいつてもらわぬようにしてもらいたいということを申しましたが、今産業別に大体三段ぐらいの段階にわけまして、最も望ましきものはできるだけたくさんの利益の送金を認める。そして望ましくないものについては一切利益の送金を認めないというような考え方で、今司令部と交渉いたしておる次第であります。この次のリーズナブルな利益の享受と支拂いとを許すような税制ということでありますが、これは大藏省においても十分考えて、今立案しておると存じますが、われわれ委員会としましてもこの問題はたびたび取上げております。現在におきまして配当を制限しておるわけではありません。さらに利益の超過利得税というものは今期から皆樣の御承認を得ますればよほど大幅に軽減するわけであります。あるいは資本課税というものも全廃の案で今進んでおる次第であります。さらに四の資本参加の問題であります。これは一面におきましていろいろ反対論もあるようでありますが、委員会といたしましては、産業、あるいは業種別にどの程度の資本参加を認めるかという点につきましてさらにいろいろ研究を進めたいということで、今研究いたしておる次第でございます。これは抽象的に考えましては非常にむずかしい問題でございます。つまり相手によりましてはほとんど九八%までの参加を認めても、向うの態度ではほとんど日本に任して干渉しないというような会社もあります。現に過去におきましてそういう例が多々あつたのであります。しかしまた一面におきましては、わずか五一%というところでも、全部、支配して日本人の手にはなかなか渡さないという相手もあるわけであります。この問題はその相手いかんでありますので、抽象的にこの事業ならば三〇%までよろしい、この事業なら四〇%までよろしいときめるということは、非常にむずかしいと思います。しかし大体の標準をつくりまして、さらに委員会で具体的な問題を取上げて論議するつもりでおる次第であります。
  50. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの御説明で非常によくわかりましたが、こういうふうな四つの條件を具備するということは、日本政府の手の中にあると思うのです。ですからこれがもし安本の公式の意見と受取れるならば、日本政府が急速に適当な立法手続なり処置を行えば、平和会議関係なく個人の投資はどんどんと日本にはいつてくる。そうすると日本経済の再建というものは、非常に促進されることになるので、私は非常に興味をもつてこの記事を見たわけでありますが、これについて急速に、平和会議関係なく、日本政府はこういうような処置をやるために具体的な努力をしておれば、早く外資がはいると思うが、そういうことをやつておられるかどうか、ちよつと承りたい。
  51. 堀越禎三

    堀越政府委員 実はこれらの趣旨を盛りました政府意見として、司令部の方に出ております。司令部は先般ドレーパー・ミツシヨンの承認を得まして、それをワシントンに送つているわけであります。ワシントンからの返事はまだ來ないのですが、返事が來たらただちに政府としては動き出すつもりで待機しております。
  52. 和田敏明

    ○和田委員 外資導入の問題についてもいろいろお話がありました。これは向うとの話合いがあるのでなかなかむずかしい問題だろうと思いますが、日本國としては外資導入法というようなものをつくつて規制するというふうな考え方は、安本としてはおもちなのかどうか。一時は最近に外資導入法でもつくるというような話も傳えられたのでありますが、その点はどうでしよう。
  53. 堀越禎三

    堀越政府委員 これは先ほど申し上げました、國籍のいかんを問わず平等に扱う、そしてさらに日本人と平等な立場に立つべきであるという原則に副わないのであります。それで外資導入法という特別法は、私どもといたしましては今のところ考えておりません。
  54. 安東義良

    安東委員長 速記中止。
  55. 安東義良

    安東委員長 速記開始。それでは堀越政府委員の御説明並びに御答弁はこれで打切ります。     —————————————
  56. 安東義良

    安東委員長 次にポンド地域との貿易問題並びに貿易手続の簡素化の問題について、貿易廳次長政府委員新井茂君の御説明を聽取いたしたいと思います。
  57. 新井茂

    ○新井(茂)政府委員 ただいま委員長よりお話がありました、ポンド地域との貿益の問題でありますが、御承知の通りにわが國の貿易は、ずつと以前からドル地域との間におきましては、いつも入超の関係でございまして、一方ポンド地域との間には出超の関係になつております。大体から申すと、原料の相当の部分をドル地域から輸入いたしまして、それを加工したものをポンドの地域に賣りまして、そしてドル地域からの輸入の代金をまかなつてつたというのが常態でございます。特に戰争後におきましては、いろいろな情勢からいたしまして、ドル地域からの輸入が非常に殖えてまいつたのでありまするが、一方輸出の方におきましては、ポンド地域に対しまする輸出は、購買力の関係から申しまして、なかなか日本の思う通りにまいりませんので、最近までの実績を見ましても戰前と非常に異なりまして、大体輸出がそれほど大して伸びないのであります。特に昨年行われましたポンドとドルとの交換禁止以來は、このドルの購買力をポンド地域がもたぬ関係で、非常に日本からの輸出が制約いたされてまいつたようなことであります。それで総司全部におかれましてもこの点を何とか打開したいというので、ポンド地域との間にポンドによつて取引をするという協定をつくられまして、現在におきましてはオーストラリア、ニユージーランド、南阿、インド、パキスタン、それからイギリスの直轄植民地等約二十の地域との間におきまして、ポンドでもつて取引ができるという協定ができておるように聞いております。ところがこの協定によりましても、結局一定の期間の後に出てきた帳じりは大体ポンド貨の受取勘定になりますが、それをドルに交換するということが必然に起つてまいりますので、どうしてもポンド向けに対する輸出が制約をせられるということにならざるを得ない次第でございまして、何としても日本からのポンド地域に対します輸出を殖やします目的から申しますと、ポンド地域からの輸入を日本が殖やしまして——言いかえますと日本の必要とするものをなるべく多くポンド地域から買いまして、それとバーター的に日本からのポンド地域に対する輸出を殖やしてまいるという方向にもつていかなければならぬと考えるのであります。そこで日本政府といたしましても、総司令部に対しましては、常時このような墾請希望をいたしておるのでありまして、司令部におかれましても、だんだんそういうふうな方向に取計らつていただいておるものと存じておるのであります。昨年のポンド地域に対する輸出貿易関係を見ますと、大体から申しましてある程度日本側の出超になつてきます。從つてこれ以上日本側ポンド地域に対して輸出を殖やしますためには、どうしてもポンド地域からの輸入の方をできるだけ殖やしていくということで進めなぬけばならぬのでありまして、現在においても、オーストラリアから羊毛を買うとか、あるいはインドから綿の輸入を殖やしていくとかいうふうにいろいろと折衝をいたしておりますが、いろいろな関係でまだ実現に至つておりません。とにかく大体におきましてこのポンド地域からの輸入を殖やして、それに対應して輸出を増加してもらいたいということで、折衝を続けておるような次第でございます。  次に、民間貿易の手続の簡素化の問題でございますが、昨年の九月からいわゆる制限附民間貿易というものが認められることになりまして、最近までの実績はだんだんとそれが殖えてまいりまして、昨年の九月におきまして約百三十四万ドルの契約でございましたものが、今年の三月におきましては一千万ドル以上になりまして、合計約三千百三十三万ドルとなつておりまして、次第々々に増加を見ておるのであります。この制限附民間貿易もこの数字から見まして相当これは日本の貿易に対して効果があつたものと考えられるのでありますけれども、しかしながらいずれにいたしましてもこの制限附民間貿易は、御承知の通りに、なるべく民間の取引に貿易を委ねるということでありまして、價格の点等においては、すべてこれは政府側において決定することになつております。それから民間において商談ができました場合においても、すべてその手続はやはり國家貿易の形でありまして、貿益廳が契約の相手方になつて海外の業者との間に契約を締結するというので、すべて政府貿易の手続に相なつておるのであります。それで民間貿易の開始以來内外の業者からこの手続の簡素化ということについて強い要望があるのでありまして、日本側といたしましては、でき得る限りこの貿易というものは民間の業者に委ねるべきであるということについては、全然異議はないのでありますが、しかしいろいろ対外的の関係もありまして、それが今日まで実現に相なつておらぬのであります。それで最近そういう内外の業者からの非常な要望に基きましてもつと貿易を民間にほんとうに委ねてしまうということにしてはどうかという氣運がだんだんと強くなつてまいりまして、目下この点につきまして日本側としまして研究を進めておるような次第であります。大体かう申しますと、現在までの研究の結果はこの制限附民間貿易の商品につきましては、政府の貿易という形を全部取去りまして、すべて契約は民間が当事者になつて契約してもらい、それに対して政府といたしましては承認をいたす、こういう形にいたしまして、そして契約ができました後におきましても、その船積みの問題でありますとか、その他いろいろな手続はすべて民間の責任におきまして行われ、かつ船積みしましたあとに起るクレームの問題、その他すべての問題を民間に委ねてしまう。こういう形でやつたらどうか。さらにまた價格の問題につきましても、從來は國内の円價格というものは、貿易廳が買上げをいたしまする際には、公定價格のあるものはすべて公定價格を基礎にして買上げ價格をきめております。そうでないものにつきましても、すべて原價主義によりまして、原價を一々はじき出しまして、それによつて貿易廳は業者からの買上價格を決定いたしております。これが非常に手続がかかるということと、かつまた、日本の業者がいかに努力をして海外に高く物を賣りましても、自分のふところに高く賣つただけの金がはいらないために非常に輸出に対する刺激が薄いというふうな關係に相なつておるのでありまするが、これを何とか、一面手続を簡素化すると同時に、海外に高く賣つたものはそれだけ業者が利益をするというふうな形にするのが妥当ではないかということで、各商品のグループごとに一定の外貨と円との計算の比率を定めまして、たとえば陶磁器なら陶磁器が一ドルに賣れればそれが何円ということで、これがただちに自動的に外貨と円との計算が出てくる、それと同時に、一セントでも高く賣れればそれが円になつて業者の手取になる、こういうような式でやつてつたらどうか。もつともこれが言いまわしようによつて非常に誤解が生じますので、從來これがいわゆる為替レートというふうな呼び方で行われておりますが、これは為替レートではございませんで、ドルと円との計算の比率でございます。そういうふうなものをこの際設定をいたしまして、そうして自動的に價格がすぐにドルでいくら賣れれば円がいくらもらえるということを計算ができる、それと同時にまた國内における價格の査定の手続というものは全然不必要になる、こういうふうな方法で價格の方もやつていくのが適当ではないかということで、ただいま研究を進めておるような次第でございます。こういうような制度ができ上りましたならば、從來この民間貿易に対しまして、いろいろ手続の煩雜、あるいは支拂の遅延というふうなことにつきまして非難がございましたが、これが全部解消をせられることに相なりまして、民間貿易は相当にこれによつて増加をいたしてまいるというように考えておるのであります。
  58. 安東義良

    安東委員長 ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、ただいまの新井政府委員の御説明につきましては、もつと立入つてお伺いしたいこともありますし、皆さんもいろいろ御質問もあると思いますから、本日午後、もし政府委員の方で御都合がつくならば、一時半から非公開で開会いたしたいと思いますが、いかがでございますか。
  59. 安東義良

    安東委員長 それではそういうふうにいたします。  次に、総理大臣がちよつと差支えがありますそうで、鈴木法務総裁に代つて出ていただくことになりました。御質問を願います。
  60. 高瀬傳

    高瀬委員 実は私はこの前の外務委員会で外務大臣の出席を求めておりました。しかもこの委員会事務当局は権限をもつて要求して、けさ外務大臣は出席されるということであつた。はなはだしきは、この前は、十時半に必ず來るから、あなたも來てくれ、ということであつたから、ぼくは九時ごろから來て待つてつた。しかるにかかわらず外務大臣の出席がない。実は私は、これも別に事務当局に知らせる必要はないのでありますが、はつきりと追放問題について伺いたいということを通告した。しかしそれ以外に二、三ぜひ私は総理兼外務大臣の意見を伺いたい点がありますので、実は、はなはだ失礼でありますが、法務総裁には何ら質問する意思はありません。從つて私は、この委員会の権威のために、いかなる理由があつても、総理大臣がここに出席するまで私は動きません。そういうことはこの委員会の権威を無視するものであつて、私は容認しません。鈴木法務総裁には用がないのです。大体委員長がどうかしておる。絶対に総理大臣の出席を私は要求します。公約を実行しないような総理大臣で日本の民主化はできつこありません。それは委員長の責任ですよ。
  61. 安東義良

    安東委員長 高瀬委員非常に御憤慨のようでありますが、総理大臣が今都合で出られないということでありますから、都合のつく限りにおいてはもちろん出てもらいますから、さらに通達をいたします。いずれ午後の会議の方にいたします。
  62. 高瀬傳

    高瀬委員 午後はどうでありますか。必ず総理は出席されるのですか。それがはつきりしなければぼくは動きませんぞ。
  63. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 この問題は当委員会の権威にも關する問題でありますから、委員長において嚴重に警告を発せられんことを望みます。
  64. 安東義良

    安東委員長 総裁は今帰られましたが、総理大臣の代りとして來られたわけでありますから‥‥。
  65. 高瀬傳

    高瀬委員 たいへんに言葉が過ぎて恐縮でありますが、実は私は総理大臣兼外務大臣に直接伺いたい。しかも、先ほど委員長は、こういうような追放問題は一体外務委員会と何の関係があるかというような御趣旨の質問が、ここで非公式にございましたが、私は、日本の民主化、あるいは日本のおかれておる國際的立場から、この追放問題というものが非常に國際的に重大な日本の民主化について影響がある。從つて総理兼外務大臣の意見を質したいつもりでしばしば御出席をお願いしたわけであります。それに対して、とにかく十時半には出席するという公約をされておりながら、代理をよこすなどというのは、外務委員会を無視した非常に失礼な処置であると思いますから、その点を明らかにされんことを望みます。
  66. 安東義良

    安東委員長 御趣旨を了とします。  そこではこれをもつて休憩いたします。午後一時半から開会いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後四時十一分開議
  67. 安東義良

    安東委員長 ただいまより会議を再開いたします。  高瀬君より発言の通告があります。高瀬君。
  68. 高瀬傳

    高瀬委員 私はまず第一に、一應この外務委員会の権威について一言させていただきたいと思います。いろいろな問題について政府委員並びに閣僚の出席をわれわれが求めます場合に、どういう手続でこれをおやりになつておるのか、祕書官を通して委員長はどういう手続でおやりになつておるのか、そういう点についても、今後われわれが、たとえば外務大臣あるいは総理に出席をお願いした場合に、必ずそれが適当な方法で傳わり、差支えない限り議会の権威の上に立つて必ず御出席を願えるように委員長として十分御努力になられることを希望するがゆえに、閣僚並びに政府委員の出席については、いま少し適切な方法をとつていただいたらどうか、かように考えるのであります。もちろん総理初め閣僚は非常にお忙しいということは、われわれは十分は承知しておりますが、この委員会の権威を高める上において、本日のごとく私自身がそういうところに出向いて直接談判をして、総理においでを願うというところまで行くということは、この委員会の権威を確立するゆえんではないと考えますが、その点について一應委員長の見解を伺つてから質疑に入りたいと思います。
  69. 安東義良

    安東委員長 ただいまの高瀬委員のお尋ねについてお答えいたします。総理大臣もしくは大臣その他政府委員の出席につきましては、從來ともしかるべく適切なる方法において行つてきております。ただ時に政府の都合によつて十分こちらの希望する時間において出席ができないという場合も間々ありますので、その場合にはお互いのことでございまするので、話合いの上適当な時機を選ぶというような方法をとつてきたことも、高瀬君御承知のことと思います。今日は遺憾ながら総理大臣の都合が惡かつたものですから、午前中御出席を願えないで、また午後も御用事があるというわけで、延ばそうかということになつたわけでありますが、高瀬君の非常に熱烈なる御行動によりまして、今日総理も御出席に相なつたわけでありますから、今後とも御趣旨のあるところは十分に斟酌して行動いたしたいと思います。
  70. 高瀬傳

    高瀬委員 今後閣僚その他政府委員の出席について、われわれの要求があつた場合に、たとえば追放の問題は外務委員会とどういう關係があるのかというようなことでなく、やはり銘々が考えがあつて伺いたいと思つておることでありますから、そういう点については進んで外務委員長におかれても、閣僚並びに政府委員の出席を、できるだけ積極的にわれわれの意図を酌みまして、実現するように御盡力あらんことを、私は重ねて希望いたします。  それでは簡單ながら二、三の点について芦田総理兼外務大臣に私は質疑を行いたいと思います。最近の新聞紙の傳えるところによりますと、ドレーパー氏がサンフランシスコの世界問題研究会というところで、去る十七日に一つの見解を述べておられることを私は承知いたしました。その見解の中に非常にわれわれの注意を引きましたのは、日本においては軍は解体した、全然陸海空軍は解体してしまつた、今後適当なる監督をすれば、日本には再び戰爭をする能力がなくなるのだということを言われたことを承知いたしました。なお平和的基礎に立つて日本の産業を復興することは、自立経済の実現に必要であるということも言われておるようでありまして、しかもその自立経済が実現する、米國の占領軍はその使命達成まで日本に留まるのだということを言つておられますが、私はこの問題について非常に重大なる関心をもつた一人であります。特に平和会議の問題につきましては、濠州並びにイギリスの方で早急に日本平和條約を締結すべしという声すらあるのでありまして、米國側においても別に平和條約の締結に反対しておられるとは私は考えませんが、この平和会議という問題と関連いたしまして、この米國の占領軍日本の自立経済実現まで駐兵するというドレーパー氏の見解は非公式でありますが、非常にわが國にとつて平和会議と関連いたしまして、重大なる関心をもたざるを得ないのであります。從つてこの点について芦田総理の見解を伺いたい。また本日午前中非公式に私は堀越安本副長官にお聽きいたしましたが、一定の受入態勢さえできるならば——日本タイムスに載つておりましたように、四つぐらいありますが、その條件さえ整えば、平和会議があると否とにかかわらず、アメリカの個人企業家の投資を日本に許すというようなことも言つておられますが、特に自立経済を確立するまで占領軍日本にどうしても置くのだというようなことについて、平和会議と関連して首相の見解を承つておきたいと思います。
  71. 芦田均

    ○芦田國務大臣 高瀬君の多大の関心をもたれる平和会議の問題は、日本國民あげて同樣なる関心をもつ点であることは、申すまでもありません。いつ対日講和会議を開くかという点は、連合諸國の間にそれぞれ違なつ意見が行われているようであります。しかし現在のところわが國の政府においてこの問題に対して発言し得る立場にいないことは、高瀬君も御承知の通りであります。またこれらの諸國に対して、いかなる見解をもつているかという正確な意向を確かめる方法もないのであります。われわれ日本國民としては、一日も早く連合諸國が一致してわが國と平和條約を締結するごとき手段をとられることを熱望する、そういう意思表示國民が行うことは、何ら差支えある問題とは考えておりません。ドレーパー氏がサン・フランシスコにおいて発表した見解については、おそらくドレーパー陸軍次官個人の資格として意見を表示せられたものと了解しているのでありまして、これらの問題について、特に日本政府としての意見を表示することは、現在のところ差控えておきたいと思います。なお外資導入の受入態勢については、今朝委員会において政府委員より説明をいたした通りでありまして、特にこの際私から申し述ぶべき多くの問題はないように考えます。さよう御承知を願います。
  72. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの御答弁はごもつともでありますが、特に日本の自立経済を達成する点について、平和的基礎に立つてということがあるのであります。この平和的基礎に立つてということと、駐兵という問題が非常に私には日本現状にとつて重大なる関心があると思えるのでありますが、この平和的基礎に立つておるということを特に日本経済自立について言われた意図は奈辺にあるか私は存じませんが、この平和的基礎に立つて日本の自立経済実現ということについては、たとえば日本の労働組合のあり方、労働組合のいろいろな運動、そういうようなことを指すのであるか、あるいは何を指すのであるかわかりませんが、これについてこの声明とは別に平和的基礎に立つて自立経済を達成するという点について、総理大臣はいかがお考えになつておられますか、ひとつ御見解を伺えればさいわいだと思います。
  73. 芦田均

    ○芦田國務大臣 ドレーパー氏が平和的基礎に立つてと言つた意味は、私の個人の解釈では、日本の産業再建のためにある程度の連合國の援助はあえて惜しまない。しかしその援助たるや決して経済の再建によつて日本がさらに軍國主義的な侵略的な國家になる基盤るつくるのではないのだ、どこまでも平和國家として自立自存の民族になる、そのための経済再建であり、また連合國の援助の目的はそこにあるのだ、こういう意味を述べたものと了解しております。
  74. 高瀬傳

    高瀬委員 この駐兵の問題でありますが、この問題についてはどういうふうに総理大臣はお考えになつておりますか。
  75. 芦田均

    ○芦田國務大臣 將來いつ平和條約が結ばれるかということと密接な関係のある問題でありまして、平和條約の締結せられるまで、連合國がわが國に占領軍を残すということは、多年の國際的慣例から見ても、至極かくあるべきだと考えられる問題であります。ただ平和成立以後において、いかなる形においてでもおそらく占領軍という名目の軍隊が日本國内に残るとは考えておりません。
  76. 高瀬傳

    高瀬委員 この問題はいろいろ総理のお立場もありますから、この辺で打切りといたします。  なおその次に先日G・H・Qの労働局のハロルド氏が帰國されました際に、記者團との会見において、日本の労働組合運動のあり方について、非常に重大な声明をしていかれたことは総理も御存じであると思います。その中で共産党は新しいフアツシヨであるとか軍國主義者である、あるいは組合の敵である、組合運動におけるいわゆるフラクシヨン活動は絶対に排撃すべきであるというように、はつきりした日本の労働運動のあり方を指示していかれたようであります。その中で特に私の注意を引きましたことは、共産党はフラクシヨン活動を通じて、えせ民主主義をもつておるにすぎない。このような戰略のために日本の労働運動がゆがめられることを默視することはできない。なお労働運動と共産党とは適同士であることは明らかである。こういうことを言つておられますが、私はイギリスの現在の労働党におきましても、いわゆるシビル・サービスには共産党は全然排除して入れておらないということを聞いております。しかるに全逓のストライキを見ましても、あるいは運輸省の鉄道の労働組合を見ましても、自分は共産党員であると、その立場をはつきりさせて、この國家の公企業に携わつておる多数の共産党員がおります。あるいはカモフラージユされた共産党員もおると思います。從つてこのG・H・Qのハロルド氏の声明と相対應いたしまして、わが國の政府は一体労働組合における共産党の活動というものをいかにお考えになり、いかなる態度をもつて平和産業の復興ということを企図せられんとしておられるか、これはぜひ芦田総理の鮮明なる御見解を伺いたいと思うのであります。
  77. 芦田均

    ○芦田國務大臣 労働問題について私の意見を、外務委員会で述べるのが適当であるかどうか、私にははつきりいたしませんが、しかし高瀬君がいろいろ御研究の結果、質問をされたのでありますから、簡單自分の考えている点をお答えいたしたいと思います。  労働運動は御承知のごとくむろん政党労働ではないのであります。共産党の運動と労働組合運動とが混淆されることは、労働組合運動の健全なる発達に恐るべき邪道であることは言うまでもないのであります。労働組合運動は、かような政治運動ではありません。いわんや共産党と境を識別することのできないような行動があるものではないのであります。從つてわが國の労働運動の健全なる発育を希望する政府としては、かくのごとき行過ぎのある場合においては、それぞれ法に從つて適当の処置をとるべきであると考えております。  なお政府職員その他の官公吏にして、共産党員として國家並びに社会に不利益なる行動をなすごとき場合には、これは必ずしも共産党員とは限らないのでありますが、いかなる場合においても、これを嚴重に取締るべきは当然のことであります。ただ共産党員なるがゆえに國家の公務員としてこれを就職せしめない、あるいはこれを排除するという問題は、及ぼすところきわめて重大でありますので、政府としてもこれらの問題をそれぞれ考慮はいたしておりますが、現在のところは的確にいかなる処置をとるかということについては、まだ何らの決定に達しておりません。さよう御承知を願います。
  78. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの総理の御答辯では、共産党員に対しては何ら積極的な処置をとる意思はないという御見解のようでありますが、私どもといたしましては、イギリスの政府がとつておりますように、何もこれをまねるという意味でなく、日本の再建に有害なる分子を積極的に排除する必要があるという見地から、國家の公企業に從事している者、すなわち鉄道であるとか、あるいは逓信事業であるとか、そういう事業の中にはいつている共産党員は、とにかくも私は排除すべきだという固い見解をもつておりますが、その点は未だ言明する時期にあらずと総理がおつしやられますので、この点はこの辺にして打切りいたしておきます。ただ私としては、ぜひこういうふうな國家の公務員には共産党員を排除すべし、それを一刻も早く日本政府において決心し実現されんことを希望いたしまして、質疑を打切ります。  それではその次に、実は追放の問題でありますが、これは一見外務委員会には何ら関係のない國内問題であるように受取られますが、私は外務委員としてさようには考えておりません。少くとも日本の眞の民主化を達成するためには、この日本の軍國主義者あるいはフアツシヨ、あらゆる反動的な分子を日本から一掃いたして、眞に世界の文化國家として國際的信用の高い、文化のにおいの高い日本をつくるということがわれわれの責務であると考えます。從つてこの公職追放の問題が非常に民主的に明朗に行われなければ、日本の國際的信用の維持、あるいは日本の眞の民主化が達成されないということは、私から申し上げるまでもないことであると存じます。過去においても数回にわたつてこの追放の問題はきびしくこの國会において論議されたことは、総理も御承知の通りであります。しかるにこの自然休会中に私が一驚を喫しましたことは、河上丈太郎氏の追放問題であります。特にお断わりいたしますが、私は資格審査委員会の権能がどうであるとか、あるいは構成がどうであるとか、あるいは法的に総理大臣といかなる関係にあるとか、あるいはこの審査の内容が総理に何ら関係のないものであるとか、そういう些末な、いわゆる鈴木法務総裁でなければ答弁のできないようなことを芦田総理に伺うつもりはありません。そういうことは私どもにとつてはどうでもよいことなのであります。從つてこの河上氏追放の問題を通して私が非常に遺憾に思つております点は、一回政府が非該当なりと決定して、しかも七日の官報においてこれを公示いたしまして、なお後に至りまして苫米地官房長官の談話をもつて、十三日に非該当が取消され、追放が確認したということを政府は発表いたしております。とにかく私はこの問題を通して非常に日本の民主化というものが、何らかの政略によつて行われているのではないかという暗影を世界に投げかけたことは、総理大臣も御否定にならないと思うのであります。しかも日本の現政府の責任と創意において一回決定しました点がとにかく取消されたということについて、非常に疑義をだれでももつわけであります、しかもこの苫米地長官長官の談話をちよつと読み上げてみますと、政府は河上氏の追放確定について十三日附の総司令部の覚書を受取つた。追放の理由として推薦議員、翼賛会総務、翼政会の発起人であつたことがあげられている。河上氏の追放確定はいろいろ影響があると思うが、なお政界の大物で訴願中の者について政府は諸般の手続を進め、愼重に審査を続けている、こういうことが過ちなければ、これが苫米地官房長官の十三日に発表した談話であります。從つて私は、政府側として訴願委員会で非該当の理由としてあげたものには、河上氏は当選以來一貫して社会運動に盡してきたという点、二番目に推薦議員なつたときでも、党議にいやいやながら服したので、本人の意思ではなかつた、それから河上氏はキリスト教社会主義者として軍國主義には終始反対してきた、こういう理由のようでありますが、だれしも考えますことは、翼賛会総務であるとか、推薦議員であるとか、あるいは翼政会の発起人ということは、いかなる理由があつてもこれは追放のわく内にはいるものでありまして、どういう根拠をもつて訴願委員会がかくのごとき人を非該当にしたか、これは前に政府があげた三つの理由と対比しまして、非常に重大なる追放に値する條項であります。こういうような点について、政府がしかも責任をもつて七日に官報で非該当を発表したということは、明らかにこれはG・H・Qの了解を得て政府がやつたことであると思いますので、私は郷里に当時おりましたが非常に驚いたのであります。一度決定したものを今度はノーと言うのでありますから、故意に政略的に河上氏を一回復活させて、実は政府は大いに努力したがだめだつたのだという、だれかの陰謀だという人もあります。そういう点は私は政治家として取り上げませんし、信用いたしませんが、そういう風説すら出ているのであります。しかも私の解釈で言いますと、いわゆるこの訴願委員会なるものは五月の十日に解体しております。残るのは結局手続問題だけであろうと思うのであります。それ以外には何ら残されたものはない。しかるにこの官房長官の声明によりますと、河上氏の追放確定はいろいろの影響があると思うが、——一体どういう影響があるのか、これが私にはわからない。なお政界の大物で訴願中の者については、政府の諸般の手続を進めているという。大物であろうが小物であろうが、追放という名目についてはひとしい取扱いを受くべきもので、官房長官のこの言説というものは、非常に非民主的にものであると私は考えざるを得ないのであります。政界大物の中で訴願中の者については、政府は諸般の手続を進め愼重審査をしていると言いますが、政府はもうそんな立場にないのであります。訴願委員会は解除されて、手続の問題だけが残つているのに、諸般の手続を進めて愼重審議している。訴願委員会が解体されたのは五月十日で、官房長官の声明は十三日、こういうことになりますと、一体何が何だか私にはわからないのであります。こういうような点について世間では実に不可解な感じをもつている。しかもこの追放の発表というものとG・H・QのO・Kというものは、私の見解によりますれば不可分のものであろうと存じます。全然不可分のものでなければ、政府が官報にまで発表して、そういうようなことをするはずがないのであります。非該当ということを言う立場に政府は占領治下において毛頭ないと私は了解いたします。從つて一体この追放問題について、私は法理上の手続はどうでもよいのでありますから、総理大臣としての率直な御見解と今後の方針を伺いたいのであります。特に私が附け加えたいことは、今後訴願委員会もない、資格審理委員会もない、こういうことになりますと、もし実質的にこの問題が起りました場合には、一にかかつてだれを追放するか、だれを追放しないかということは、まつた政府の掌中にあるわけでありまして、結局これは將來日本の政治のどろ合戰が始まる一つのきつかけになるというので、非常に私はこれを重大視するのみならず、日本民主化のために、國際的信用のために、これについては総理のはつきりした見解を伺つておきたい。うかがいますと何かかなり政界の苫米地さんの大物という中には━━私はその風説を信じませんが━━楢橋渡氏とか、あるいは河合良成氏であるとか、あるいは犬養健氏であるとか、あるいは社会党の杉山元治郎氏とか、河野密氏とか、二百余名に及ぶ追放解除の申請をしたということを聞いております。私はその事実を知りませんし、ただ風説を取上げて申すのは、はなはだ総理大臣に対しては失礼でありますが、そういうことが巷間傳わつております。しかしてこれらの人たちが嚴重な資格審査委員会を経て追放されて、しかも訴願した。そうすると、訴願委員会においては、二百名にもあまる追放を解除したということになると、一体どつちが権威があるのか、どつちも権威がないではないか。資格審査委員会しかり、訴願委員会またしかり。そうすると、日本の追放は実にうやむやのうちに行われておるという結論に到達するわけでありまして、非常に私どもとしては重大なる関心をもたざるを得ないのであります。たいへんに長くなりましたが、この点について総理の率直なる御意見を拜聽いたしたいと思います。
  79. 芦田均

    ○芦田國務大臣 追放問題が、わが國の政界はもちろん、思想界各方面に一種の陰欝な空氣を投げかけておることは、ただいま高瀬君の指摘された通りであります。從つて政府としては、追放問題が一日も早く決定されることを希望して、御承知の通り、五月十日をもつて訴願委員会並びに公職適否審査委員会を廃止することを声明すると同時に、今後は特に重大なる誤謬によつて起ることのあるべき特殊の場合を追放として審査する以外に、この期日をもつて追放問題は、一應全部結着という意味を声明したのであります。諸般の手続上、五月十日に訴願委員会において決定したる相当多数の決定事項は、今日までまだ発表はいたしておりません。しかし政府の責任をもつて遠からず全部公表することに、目下鋭意手続をとつております。これによつて、從來種々の風説が飛び、また何となく陰氣な空氣をただよわしておつた追放問題は、一段落を告げるものである。こういうふうに御了解を願います。  なお先ほど問題になりました公職適否審査委員会においての異議申立の発表が、官報に掲載されて直後、再び非該当としての発表をせざるを得ないことになつたという前後の事情については、今朝法務総裁よりお答えをした通りに御承知を願います。
  80. 高瀬傳

    高瀬委員 まだ伺つておらぬのです。
  81. 芦田均

    ○芦田國務大臣 それでは私の誤解で、一應内閣の主管大臣としては法務総裁をこれに当らしておるのでありまして、詳細の手続については法務総裁より説明することに打合わして、今朝私は出かけたのでありますから、説明があつたものと思つてつたのであります。それではあらためてもし御質問があれば、法務総裁みずからその点はお話すると思います。
  82. 高瀬傳

    高瀬委員 法務総裁が主管大臣としてそういうことを担当しておられるということは、今初めて承知いたしましたが、そういう問題を別にいたしまして、私は政治家が政治に携われなくなるということは、新聞記者各位もここにお見えになつておりますが、新聞社の各位が自己の意思に反して、新聞事業に携われなくなつたと同じであつて、非常に致命的なつらいものだと思うのであります。こういうお互い政治に志しておる者は、好きだからこれをやる。これは自分が精神を打込んでやる仕事なりと思つておるから、新聞社の各位であろうが、われわれであろうがやれる。こんなことは頼まれてやれるものではなかろう。そういう人の息の根を止めることが、非常に簡單に行われておつたような感じのあることは、私は同じく政治に志す者として、默視できない。この河上氏の問題について、私は決して河上氏が復活してはいかぬというのではありません。あらゆる追放された人々が、有利な條件さえあれば、一人でも多く復活して欲しいと念願している一人であります。どういういきさつか存じませんが、ごく簡單に非該当になつたり、該当になつたりする。しかも政府がそれを官報にまでお出しになると、われわれは安んじて日本の民主化に挺身できない結果になりまして、非常にこの点は遺憾にたえないのでありますが、そういう点について法理的なり、あるいは手続の相違とか、そういうことは問題でありませんが、政府をひつ下げて日本の政治をやつておる芦田総理大臣といたされまして、当然これについては何らかの見解がおありであり、またおありであるのが当然であると考えますので、この問題を通して、芦田総理のこの追放問題に対するはつきりした見解を私はもう一度承つておきたい。
  83. 芦田均

    ○芦田國務大臣 先ほどお答えした通り、五月十日以後においては、從來のごとく公職の適否を審査する委員会も廃止され、從つてまた訴願委員会もなくなるのでありますから、原則としては、追放、非該当の問題が起らないという方針に決定して、そのことは当時新聞を通じても発表いたしたはずであります。残るのは、新しく公職につかんとする、たとえば國会議員の方が選挙の場合に、從來資格審査を受けなかつたような人々については、一應の審査をすることになつておりますが、今後の資格審査は、從來に比べても非常に範囲が狭くなるわけであります。從つて追放問題の範囲もきわめて例外な場合に止まる。こういうことを先ほどお答したつもりでありましたが、それが政府のとつておる方針であります。  なお從來追放問題は、一度適格証を交付した人々が、急に該当の事実が発見されて追放を食うとか、あるいは追放をされておつたが、訴願委員会において非該当と決定して、すでに今日まで公表せられたのが十数名に上つておる。むろんそのようなことは決して喜ぶべきいき方ではありませんが、しかし裁判においても、第一審と第二審の判決が異る場合は起るのであります。たまたま愼重な手続をとるという精神から、訴願委員会を設けて再審査を行う余地を残しておくというのにすぎないのであります。なおこの追放の最終の決定権は、ポツダム宣言の精神によつて連合軍の総司令部が握つておることは、嚴然たる事実であります。しかしながら、その決定に対しては、政府はどこまでも責任をとるという決意はもつておるのでありまして、これらの決定に対して、決して政府以外の他の機関にその責任を轉嫁するような心持は毛頭もつておりません。
  84. 高瀬傳

    高瀬委員 そうなりますと私は二つの見方で伺いたいのでありますが、政府が責任をとるとおつしやいますとどういふ責任をおとりになられるのかそれが一つ、それからもう一つ訴願委員会も五月十日に解消になつたから今後はそれまでに問題になつた人は問題にならぬという総理のお答えのように了解いたしますが、そうすると苫米地官房長官の言われました現政界の大物で訴願中のものについては政府は諸般の手続きを進め愼重審査を進めているということはないわけであります。こうなるとまた今まで、たとえばわれわれも議会の先輩として承知しているところの有名な方がおられますが、そういう人々は絶対に息を吹き返さないということになりまして、おそらくその中には民主党の先輩も、あるいは民主自由党の先輩も、社会党の先輩も多数含んでおると思いますが、その人達が全部御破算、從つてこの苫米地官房長官の十三日の、いわゆる諸般の手続きを進め愼重に審査を進めているということは全然うそである。こういうことになるわけでありますが、この二つの点について総理の御見解を伺いたいと思います。
  85. 芦田均

    ○芦田國務大臣 責任をとるという意味は、かりに連合軍司令部が最終の決定について種々の意見を表示されようとも該当非該当の決定は政府の責任においてこれを行うと、こういう意味を私は申し上げたのであります。それから第二の点は——どうも今日は私は余ほど自分言葉が不明瞭にお話をしておると見えて先ほど十分申し上げたつもりであつたのですが、説明が足りなかつたと見える、十日に訴願委員会が決定したる該当非該当の問題についてはこれを公表する手続きを今とつておりますから近いうちに公表されるはずだと先ほど私はお答えしたのでありますが、その通りであります。
  86. 高瀬傳

    高瀬委員 そういたしますと、その問題が公表されますと少くともある特定の人達が——河上氏とかそういう特定の人でなく、訴願委員会に今までかかつてつた人達の追放の問題は全部政府としては取上げない、かようなことに相なると解釈いたしてよろしゆうございますか。
  87. 芦田均

    ○芦田國務大臣 訴願委員会にかかつてつたものは全部五月十日限り決定するわけですから残る問題は一つもありません。それを近いうちに発表する、こういう意味であります。
  88. 高瀬傳

    高瀬委員 そうすると苫米地官房長官の、この重大な手続きを進めているというのはそのことを指すのでありますか。
  89. 芦田均

    ○芦田國務大臣 発表の手続きを進めているというわけです。
  90. 高瀬傳

    高瀬委員 あまり長くなるといけないと思いますが、どうも政府の責任をとる、そういう問題についてはとるということのうち一体どういう責任をおとりになるのか、とにかく政府は間違つた、間違つたことはしようがない、勘弁してくれというだけのほかにないようでありますが、これは非常に私としては、政府はどういう責任をとるあるいは当面の責任者をどうするとかこうするとかいうことでなくして、現内閣の非常なプレヌテージが下るということになるわけでありますが、從つて政府のやつている追放問題はでたらめだと、極端に言いますとこういう結論に解釈してよろしゆうございますか。
  91. 芦田均

    ○芦田國務大臣 それは國会の御判断によることでありまして、むろんでたらめだという見方もあると思います。政府をどうするかということは國会に與えられておる憲法上の権限であります。むろん多数によりまして彈劾権を発動されれば政府はひつくり返るのですから、それは責任の軽重によつて御自由に御判決を下さるということが民主主義政治の当然の行き方だと思います。
  92. 高瀬傳

    高瀬委員 それではたいへんに芦田総理を前にして失礼でありますが、私は今回の政府のとつた追放——河上氏の追放問題を通して全般的に見た政府の追放問題についてとられた処置はでたらめである、從つて日本の民主化を促進し、國際的立場を高揚するゆえんにあらずと結論いたしまして、この質疑を打切ります。
  93. 佐々木盛雄

    佐々木(盛)委員 ただいまの高瀬委員の質問中の前述の問題に関連いたしまして総理大臣に御質問申し上げたいと思います。私は先月一日の本委員会におきまして、外資導入に直接関連ある労働問題に関連いたしまして質問を申し上げたのであります。私の質問いたしました趣旨は申すまでもなく終戰以來のにわかにできた労働運動いわゆる労働攻勢なるものの非常な行過ぎということを是正することが一つ、もう一つには一部のこれに対する政治的な陰謀、共産党の活動というようなものを完封する意味において、たとえばアメリカにおいてワグナー法を修正してハートレー法をつくつたごとく、日本においてもそういう時期ではなかろうかということを質問申し上げたのであります。本日も朝以來本委員会において安本の関係者、あるいは貿易廳の関係者などの意見を承りましても、われわれの憂えておりました労働不安ということが、日本の貿易振興あるいは外資導入の非常な大きな障害の一つになつておるということを承つたのであります。また先ほど高瀬委員も指摘されましたごとく、G・H・Qの労働問題担当者によつて日本の共産党活動というものは労働運動の敵である、民主主義の敵であるということを明確に示しております。もつて日本における労働運動というものがいかなる方向を指向すべきであるかということに対して明らかな指針を與えておるものであると私は考えるのであります。しかもポツダム宣言によつて與えられたところの命題というものは、日本の民主化のためには明確に民主主義の敵であるとまで指摘しておりまするこれらの共産党——アメリカなどにおきましては非國民活動とすら言つておりますが、こういつた破壊的な行動、ああいうものを封ずるというような関連からいたしまして、特にドレーパー・コンミツシヨンのレポートにありまするように、いよいよ日本に対する外資導入というものは現実の問題としてわれわれの目の前に浮び上つておる、この際でありますから、私は総理大臣のこれに対する明確なる見解を承りたいと思います。先般承りました範囲におきましては、総理大臣はタフト・ハートレー法のごときものをつくるがどうかに関しては、政府においては研究考慮中である、いづれこういうことをもし成案を得た場合にはどうか審議してくれ、こういうようなことを明確におつしやつたのであります。その後いろいろ現在の政府部内の微妙な関連もあるかもわかりませんが、労働法規の改正のごときは全然そういう意思がないというようにも新聞に現われておる一面もありまするし、かつまた先般の民主党大会におきましては、労働法規改正が時期尚早であるというふうなことを新聞によつて私たちは知つておるわけであります。また同じように新聞報道によりますると、自然休会中を利用されまして総理大臣は各地に遊説をされましたが、その遊説の演説におきましても、この労働法規改正の問題は、改正の用意があるという意味のことも言われておるようでありまするし、また西尾國務大臣におきましても、情勢さえそういうふうになつてくれば、労働法規を改正するのであるという意味のことを反復、これを述べられておる記事を読んだのであります。党内の微妙な関係政府部内の——三党連立でありまするから——いろいろ微妙な関係があるかもしれませんが、私はこの際くどくど質問したくありませんから、明確に、率直に國家的な見地に立つてはつりきしたところを御答弁を願いたいと思うのであります。
  94. 芦田均

    ○芦田國務大臣 佐々木君の質問並びに御意見を加えてのお話はよくわかります。これに対する私自身の考えは、先月一日にこの委員会において答弁いたしたところと事態の変化はないのでありますが、簡單にこれを要約して申せば、大体の傾向としては過去二、三箇月以來の労働爭議は、次第に健全化の方向に解決されつつある。かように考えておるのでありまして、組閣当時の官公労の大規模の爭議のごときも、今日はすでに解決を見ておる。日本の再建はむろん勤労階級の心からなる協力を必要とし、また働く意思といいますか、労働意欲の高進なくしては、わが國の経済危機突破は困難である。それには必ずしも法律規則をもつてすればすべての労働能率が上るとはだれも考えていないのでありますから、必要やむを得ざるときに法規による手段をとる。これが各國において行われておる慣例であると思う。從つて政府としては勤労階級の労働意欲を損するがごとき法規の改正を行う意思は絶対にもつておりません。しかしながら情勢の変化によつてどうしても法的措置を必要とするがごとき事態が生じだ場合には、速やかに適当の手段をとり得るごとくそれぞれの準備はもつております。結局先ほど佐々木君の御質問の趣旨は、先月一日の御質問を、さらに事態の変化があるかというので御質問になつたことと思いますが、政府の考え方は、ただいま申し上げた点で大体おわかりくださると思います。
  95. 仲内憲治

    ○仲内委員 先ほどもお話の出ました講和会議の問題であります。この時期が主として連合國間のデリケートな関係等によつて未だ成立の時期の見透しがつかないということを了解しておるわけであります。それと同時に講和会議は遅れるが、実質的には平和にある程度入つたと同じようなそれぞれの関係において、順次是正、改善されていくというような事実も現われてきておるのでありまして、たとえば、民間貿易の再開とか、あるいはこれに伴つて日本人の海外旅行が認められ、現に行われておるというようなことでありまして、ジヤーナリズムは、これは会議なき平和という言葉で表現しておるようでありますが、これもわれわれとしてぜひとも促進希望するわけでありますが、こうした会議のない平和に、事実上の平和といいますか、そういうことがだんだん実現してくるということに関連しまして、この情勢をいわゆる外務省の外交機関としての機能の上にどういう発展が見られるか、たとえば旅行にしましても從來ならば普通の正式の講和のないうちに、もちらん外交関係のものはあり得ないことでありましようが、旅行が認められるならば、旅行に伴う旅券の問題であるとか、あるいは実際平時の状態であれば、日本人の保護取締を加えます、すなわち領事事務ということが当然考えられるわけであります。今日の占領下の状態では、おそらくこれは連合國の指導のもとにすべてが行われるのではないかと思いまするが、同時にまただんだん平和的な状態復帰させていただけるということになりますれば、少くとも通商事務とか、あるいは領事事務とかいう方面において、外務省の機能というものもだんだん変つてくるのではないかと思うのであります。これらに対する連合軍側の御意向なり、あるいはまた外務省として折衝いたしておる経過なり、あるいはまた総理大臣のお見透しの意見というような点で伺えれば幸いであります。
  96. 芦田均

    ○芦田國務大臣 平和後の外交再開、通商貿易の開始に対しては事務的にそれぞれ待機の姿勢をとつておりますから、いつかのような事件が起つても、少くとも齟齬を來さないだけの用意はもつております。旅行の自由も今日までのところ、その数はまださほど多くはありません。そういう際に種々の関係から外務省の職員を派遣するような場合も起ることと思います。しかし領事館あるいは在外の同胞の利益を擁護する機関を外國に送るごときことは、当分見込みがない。もし日本から外に使いを出するにしても、それは主として貿易上の任務をもつておる一つの使節でありまして、商業上の実務に慣れたる適材を出すことに今日でもいたしております。今後のことはどういうふうに急激なる変化を來すか、ちよつと見透しはつきかねるのでありますが、いかなる問題が起つてもこれに事欠くことのないような準備は十分整えておるつもりでおります。
  97. 安東義良

    安東委員長 それではこれをもつて会散いたします。     午後五時十一分散会