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伊東政府委員 お話の五十万戸と十万戸との
関係については先ほ
どもちよつと申しましたように、建設
資材の木材、セメント、くぎ、ガラス、そういうものの
割当を全産業について経済安定本部できめております。そうして予定の戸数を
考えているわけであります。それによりますと
事務的に大体今まで
折衝して内定いたしたものが四十万戸分の
資材が確保できる見込みをも
つている
從來の例から申しましても、いろいろ自分の山の木を伐
つて家をこしらえるとか、そういうような例がありまして、実際にはこれより
相当多く建
つております。それで五十万戸を
目標に
考えております。そのうちで貸家を庶民階級に対してどのくらい
供給しなければならないかということは、
從來ならばおそらく七割以上は貸家でございましよう。でありますから五十万戸やるとしますと、三十五万戸は貸家の形で國がやるか、
公共団体がやるか、あるいは会社に
供給してもらうかというようなことになると思います。いろいろな方法を
考えているわけでありますが、
從來や
つておりますものは重要な産業の
関係で、石炭鉱業あるいは肥料工業そういうような重要な産業の会社のその使用人のために
住宅を提供しておる。これは復金から
融資して
相当や
つております。これは二十三年度さらにそれを拡張していきたいと思います。これは
予算に
関係ございませんので、
資材は最優先にやる。それから特に大都市あたりで会社、勤め先で
供給できない人のためには
公共団体が
供給するようにする。さらに十万戸建設する。これは
從來二分の一の國庫
補助をや
つておりますので、十万戸を現在の
價格で計算いたしますと一戸九万円くらいかかりますので、九十億の
資金が要るわけであります。これについて
從來問題にな
つておりましたのは、二分の一の
補助をいたしましても
相当実賃が高くなる。
一般庶民階級、賃金俸給
生活者の階級にはもつと
補助率を上げなければならぬ。それから二分の一の國の
補助を出しましても、残額の二分の一を
公共団体が借金をしなければならぬ。この
資金の獲得がなかなか困難である。もう少し國が直接やるべきだというような問題がございまして、われわれといたしましては、この九十億という金を一應全部國が出し、そうして
家賃の形で收入をできるだけ見ていこう。こういう案で当初い
つておりましたが、これは財政当局などの
関係もありまして、やはり
從來の
補助の形にしたいということで、大体今それで進んでおります。かりにこれを二分の一の
補助にしますと、四十五億円の
予算が要るわけであります。これは大藏省、経済安定本部の側からいいますと、この四十五億という金はなかなか出しにくいということで、いきおい十三万戸をさらに減らさなければならぬということになるのでありますが、われわれとしましては四万戸か五万戸では、
引揚者だけでも收容ができないということで、
補助率を下げるとか、あるいは
建物を小さくするというような犧牲を拂
つても、この十万戸という戸数だけはどうしてもやらなければならぬというふうに
考えております。そのほかに一時の
資金を融通してさえやれば、
將來相当の收入を見て、それによ
つて償還することができる能力のある人があるというので、そういう人のために長期分讓の
住宅を二十三年度において
考え、これを六万戸
程度計画いたしまして、
折衝いたしております。これが約四十億ほどの
予算を必要とすることになるのであります。これは
相当毎年收入があるわけでありますが、一應四十億ほどの金を必要とする。これで十六万戸でありまして、四十万戸に対するあとの残りの二十四万戸が、会社の
供給するもの、あるいは
一般の自己
資金に充てるものというふうにな
つております。本來から言いますと、この十六万戸では足りないのでありまして、この二倍以上は必要でありますが、
予算の
関係でできるだけ多くやるということに
努力するよりほかは、いたしかたがないわけであります。ただこの
程度にやりますと、
從來より
相当大幅に増加いたしますので、何とかや
つていけるのではないかというふうに
考えております。
次に入居者の選定について
お尋ねがありましたが、かりにこの十六万戸というものをつくりましても、
一般に廣く入居者をきめていくということになりますと、最も
住宅に困窮している人に
割当ができないというおそれもありますので、これについては十分調査いたしまして、最も
住宅に困窮している人のみについて、抽籤とかいうような公平な方法で
割当てるということにいたしたいと思
つております。
從來は大体
住宅困窮者ということで、
相当幅廣く募集をしておりました。そうしてそのうちの一部は
引揚者などに対して何割かをとりまして、いくらかその当籤率をよくするというような操作もしてお
つたわけであります。これらの点については全体の戸数を殖やすと同時に、この入居者の選定については選考方法をさらに研究しまして、まず一番困
つている人から
割当てるというふうに改善したいと
考えております。
それからまた重ねて大
邸宅の
開放について
お尋ねがあ
つたのでありますが、
帰還促進の
関係で建設にはひまがかかるから、何か現在ある
建物を利用していくようにしたいということについては同感でありますが、ただこの
引揚者の一時的の收容
施設としては、現在ある
邸宅などを
開放して、あまり手を加えずにそのまま使うということも
考え得るのでありますが、
將來長く
住宅として使う場合に、現在の
邸宅あるいは大
住宅なるものが、そのまま何世帶も入れるというには、
日本の
家屋の構造がそれに適しておりませんために、同居するよりもむしろ小さい家でもいい、またバラツクでもいいから、とにかく一軒の家を與えてもらいたいという切実な声が非常に多いのでありまして、
住宅の緊急
措置令を出してから
相当開放されましたけれ
ども、そこにはい
つた人も、さらに出て一軒の家をもちたいという声が非常に多いのであります。そこでこれらの点についてもずいぶん
考えなければならぬと思いますが、同時に
邸宅の
開放については、二世帶も三世帶も入れるに適するように改造する、それにはあるいは間切りをするとか、あるいは台所、便所というようなものを簡單につくるというようなことも、併せてやらなければならぬというふうに
考えておりまして、それに要する
予算などは、二十三年度において多少計上しておるわけであります。