運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-03-26 第2回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十六日(金曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 天野 久君    理事 川合 彰武君 理事 庄司 彦男君    理事 水谷  昇君 理事 中嶋 勝一君    理事 成島 憲子君       高瀬  傳君    成田 知巳君       藤原繁太郎君    松谷天光光君       松原喜之次君    菊池 義郎君       西山冨佐太君    村瀬 宣親君       東井三代次君    高倉 定助君  出席政府委員         大藏事務官   平田敬一郎君  委員外出席者         議     員 受田 新吉君         総理廳技官   小林 秀彌君         厚生事務官   難波 一正君     ————————————— 本日の会議に付した事件  引揚者受入態勢に関する件     —————————————
  2. 天野久

    天野委員長 これより会議を開きます。  会議に先だちまして、本日は陳情団の方がおいでになつておりますが、委員以外の発言を許すことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野久

    天野委員長 御異議ないものと認めます。  まず第一にお諮りいたしたいことは、実は先般当委員会におきまして、國際連合マツカーサー司令部シーボルト議長に対して帰還促進陳情衆参両院全員署名をもつてお送りするということでそれぞれ順序をとりまして、本日午後三時にシーボルト議長のところに参りまして、それを渡して御傳達願う手はずになつておりいろいろ準備は進めておりましたが、実は衆議院共産党方々が、一度は御了承を願い、私が書類をもつて行つて署名をお願いいたして署名もいただいたのでありますが、昨日になりまして、あの文案では共産党としては同調ができない、こういうようなことでありまして、その文案を直すのでなければその署名を取消してくれという申し出がありました。参議院の方といたしましても、それぞれ準備はいたしておりましたが、中平委員長が御病氣のため休んでありまして、二、三日前こちらに帰られました。私としましては、他の委員を通じて参議院にそれぞれ連絡をいたしておりましたが、委員長といたしまして一應委員会に諮る必要がある、こういうようなことで昨日午後三時に委員会を開き、やはりこの文案の問題についていろいろと論議されましたその結果、参議院共産党といたしましても、この文案では同調ができない、自由民主党でもいくぶん直す点があるではないか、こういうような御意見でありまして、無所属の星野さんも少し直す必要があるではないか、こういうことでありましたので、今日早朝から実は委員を選びまして御協議いたしました。その結果がまだ一致点を見出しておらないわけでして、実ははなはだ遺憾ながら、本日参りましてもシーボルト議長にはその成行きを申し上げておわびをする、こういうこと以外にはない、こういう段取りになりました。そこで皆様にお諮りいたしますことは、先般当委員会におきましては、スターリン元帥マツカーサー元帥にお送りする文案について御同意を得ておりましたが、今申し上げるような事情でありまして、そこに協調いたさなければ全員署名が得られない、こういう状態になつております。実は時間がありますればいろいろ御協議いたしたいのでありますが、時間がありませんので、まことに遺憾に考えておりますが、大体参議院の方の意向といたしましても、衆議院文案と大差はないような形になつておりますが、ただ一点六十一万帰つたということに対する感謝の言葉についてわずかに行違いが生じておりますが、もしこの文案作成についてここに衆議院から委員をお選びくださるなり、あるいは委員長にその文案作成をお任せくださることが願えればたいへんに仕合せだと考えておりますが、その点はいかがでありましようか、御意見を承わりたいと思います。     〔「異議なし」「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  4. 天野久

    天野委員長 それでは私に御一任願つて——文案はいろいろ関係方面のこともありますので、御一任願いまして、できるだけ遺憾のないように文案作成してやりたいと思いますが、どうか一つ私に御一任願いたいと思います。  本日は今まで引揚問題に対してそれぞれ御論議を願いましたが、引揚げ促進には引揚後の定着あるいは援護、こういうような問題が重要な問題となつてまいりますし、またソ連側といたしましてもわが國の受入態勢がいかぬというようなことに、非常に関心をもたれておると聞いておりますので、まずもつて本日は引揚者の引掲後における住宅問題に対する対策につきまして、いろいろと御協議願いたいと存ずるのであります。どうかこの点につきましていろいろお氣づきの点がありましたら、政府当局もお見えになつておりますので、十分な御質疑が願いたいと存じます。
  5. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 まず政府当局説明を先に聽きたいと思います。
  6. 天野久

    天野委員長 それでは住宅問題に対する政府のお考えを御説明願いたいと思います。
  7. 小林秀彌

    小林説明員 住宅問題全般についてですか、それとも引揚者住宅問題ですか。
  8. 天野久

    天野委員長 全般引揚げとを関連してお話願いたいと思います。今建設局では十万と六万、十六万戸の建設をしたいと言うが、それが大藏省ではたして承認するかどうか、こういうようなことが考えられております。もしその根本が思う通りにいきませんと、やはり引揚者住宅にも影響があることではないかと考えますが、もしそれが関連がないものであるならば、引揚者だけでもよろしうございます。おそらくそれは関連するではないかと考えますので、庶民住宅及び引揚者住宅等関連について、御説明願いたいと思います。安本建設局建築課長小林君。
  9. 小林秀彌

    小林説明員 では委員長の御指名によりまして、住宅問題全般につきまして、ただいま政府のとつております対策の概略を申し上げたいと存じます。  昨年六月に発表いたしました経済白書にも書いてございますから、皆さんすでによく御存じのことと存じますが、戰災によりましてわが國の不足しております住宅戸数は、約四百万戸と推定されております。これに対しまして政府はできるだけ早く住宅復興をするように、一々手を打ちまして鋭意努力しておるのでございますが、資金資材その他の関係がございまして、なかなか思うように住宅が建ちません。建てるというばかりでございませんで、たとえば在來は住宅以外の用途に供せられていたのが、終戰後事情の変化によりまして、空いております建物、たとえば軍の兵舍のようなものでございますが、こういうものを住宅に轉用する。さらに非常に大きな住宅でありまして、家族数の非常に少いものを余裕住宅と申しておりますが、これをいくつかに区切りまして住宅にする。余裕住宅の開放と申しておりますが、こういうことも含めまして、それぞれ住宅難を緩和するという施策をとつてまいつております。概数を申し上げますと、昭和二十年におきましては、それらの住宅を合わせまして十四万四千戸でき上つております。昭和二十一年におきましては二十三万七千戸でき上つております。二十二年度は現在まだ三月でございますので、二十二年度の全数が上つておりませんが、かりにこれを二十二年の一月から十二月までの竣工戸数といたしますと、全数で三十一万五千戸でき上つております。ただいま申し上げたように逐次数字が多くなつてまいりまして、二十三年度におきましても二十二年度よりさらに多くの住宅を建てたいと考えております。ただいま申しましたのは住宅全数でございまして、この中には自己資金によりまして建てます住宅相当数ございますので、こればかりでは住宅問題に対処する方針といたしましては万全とは申されませんので、かたがた戰前にはわが國の住宅相当部分貸家でありました関係上、なるべく貸家もたくさん建てたい。ところが戰後経済情勢からいたしまして、戰前のように貸家を建てましても收支が償わないという事情もありまして、民間で貸家を建てるということが非常に少いので、國が半額の國庫補助をいたしまして貸家を建てるということをやつています。     〔委員長退席西山委員長代理着席〕  これがいわゆる庶民住宅でございます。このほかに炭坑労務者用住宅であるとか、硫化鉱労務者用住宅であるとか、あるいは肥料工場労務者用住宅であるとか、入植者用住宅等いろいろ種類もございますが、こういつたものに鋭意努力いたしまして、産業方面からも住宅不足の緩和ということをはかつております。結局住宅全数住宅に割き得ます物資需給調整法によります資材総額がきまつてまいりまして、その次には國が住宅に触資し得ると考えられます金額と、半額の國庫補助でもつてどの程度庶民住宅が建てられるかという問題と、この二つから、給與住宅と一概に申しておりますが、給與住宅戸数がきまつてまいります。そうしてそれの残りのものが一般住宅になるわけであります。現在給與住宅はできるだけ殖やすようにと鋭意努力してまいつておりますが、現在の國家財政あるいは金融状態から考えまして、思うように住宅面資金が投ぜられないのは非常に遺憾としておりますが、二十三年度においてはただいま申し上げました二十二年度の数字をさらに上まわるようにいたしたいと考えております。
  10. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 いま御説明になりました庶民住宅等というのはやはり引揚者を入れることになるわけですか。
  11. 小林秀彌

    小林説明員 引揚者だけではございません。戰災者並びに一般住宅に困つております者を平等に入れることになつております。
  12. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 私は山口縣ですが、下関市に引揚者が待つておれぬから自分で家をつくるということになつて約五十人ばかりの者が組合をつくつて住宅をつくるということにしましたけれども、しかしながら裸一貫引揚げてきたので資金がないから、その資金復興金融金庫で借り入れるようにしようということになつて、地元の銀行は理解してくれた。それを今度東京にもつてきて理事長に会つてみたけれども、どうも話がよくわからぬから一緒に会つてくれというから行つてみたところが、理事長わく從來引揚者住宅に対しても復金の金を貸しつけるところのわくがある。ところがそれを改良した、そのために現在では住宅に対して貸しつけるところのわくが全然ないから、いかんともすることができぬと言うのです。ところがそのわくはどういうわけで解除せられたのですか、そうしてそのわくがあつて、どのくらいの金が出ておるか、今後このわくをさらにつくられる御意思はないか、この点をお伺いいたします。
  13. 小林秀彌

    小林説明員 ただいま御質問の問題につきましては、私どもはむしろ同じ要求があるわけでございます。大藏省なり、あるいは安本にいたしましても、財政金融局方面の答弁を求められるのがいいのじやないかと思います。
  14. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 それはどういうわけで從來わくがあつたのですか。
  15. 小林秀彌

    小林説明員 從來二十二年度当初まではわくがあつたと考えます。と申しますのは、一方におきまして一般國民にも融資をして、住宅を建てさせるというわくがあつたのでございますが、その融資の方が非常に緊迫してまいりましたので、二十二年度の第一・四半期においてこれを打切ることといたしました。これもただいま御質問一つの同樣な例だと考えます。
  16. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 これはひとり山口縣だけの問題ではないと思う。全國にこうした関係の境遇にあられる方が非常に多いと思うのです。それで復金としてもそう言うておつたのであるが、これを打切られることはおかしい、引揚者裸一貫で帰つてきたのだから、その人たちが家をつくるのに金を貸してやるということは当然なことだと思うのだけれども、これがどういうわけで打切られたかわからないので、あなた方の方で御調査なさればよい、こういうことであつたのです。ところがそれに対して、私は委員の一人として、ぜひこうしたような問題に関しては融資をすべきものだと考えるのです。ぜひ融資をするところのわくをひとつつくりたいと思うのです。ここで改めて委員会決議によつてわくをつくつてもらうことを当局に要求するという動議を提出いたします。お諮りを願います。
  17. 西山冨佐太

    西山委員長代理 ただいまの中嶋君の動議に対して、皆樣の御意見はいかがでしようか。
  18. 川合彰武

    川合委員 その御趣旨にはもちろんわれわれは異存のあるべきはずはありません。ただ実は私は財政金融委員会委員をしておりまして、今そちらの方の会議をやつておるわけですが、復興金融金庫わくがあるとかないとかいうことをしばしば言われるのでありますが、実はきよう午前中も復興金融金庫に関する小委員会がありまして、われわれはわくというものがないことをしばしば聽き、またあつてはならないということをわれわれが主張し、これも当局はよく了承しているはずです。從つてわくがないから資金融通ができないというようなことはないはずであります。もしそういうようなことを言われるならば、そこには何らかの行違いが、からくりがあつたはずです。問題は復興金融金庫としては日本再建のために必要な資金融通するというのでありますから、わく云々ということは私はここで陳情すべき性質のものでないと思う。今ここに主税局長も見えておりますが、主税局長はこの復興金融金庫わく云々という問題とは関連がないと思いますが、私は財政金融委員会委員の一人といたしまして、わく陳情というようなことは少しどうか、問題は資金融通をさす、ささぬにあるということを申し上げたいと思います。
  19. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 私は陳情というのではない。決議ですよ。決議をするという動議を提出しておるのです。それでわくというのは必ずあるのです。それはどうしてあるかというと、復興金融金庫行つてお調べになつたらわかることで、漁業に関していくら金を出す、石炭に関していくら金を出すというようなわくが必ずある。理事長はつきりそのことを言うておるのですから、これはからくりなどあるはずはないから調べてもらいたい。これはひとり山口縣だけの問題ではない。全國的な問題である。それわくをつくられることはあなた方議員でできるのだから、そのわくをつくるように仕向けられたらよろしいと復金当局が言うておるのです。
  20. 川合彰武

    川合委員 中嶋さんのお説ですが、わくはありつこないんです。問題はそういうようにして向うは逃げる口実があるんですね。われわれはその逃げ口実をとらえればいいんですよ。わくというものはないんです。というのはもつと詳しく申し上げれば納得がいくと思いますが、復興金融金庫の増資とかあるいはまた安本資金計画のときに、各局から、あるいはまた各省からいろいろな資料を出す。それを各省あるいは各局においてわくと思うんですよ。しかしそれは今言つて通り、どこまでも資料的なものであつて、決定的なものでない。從つてもしわくということを理事長が言うならば、明日の会合のときにとつちめます。絶対にわくというものはない。それだけははつきりしておいた方がいいと思います。もしそういうことを言うならばわれわれはどこまでも今日のこの委員会におけるあなたの発言をもつて復興金融金庫理事長に対してその責任を追究します。わくということはあり得ないのです。
  21. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 これはわくがあつたということをはつきり言うておるのは、わくの金がまだ数千万円残つてつたのです。それでその金がどうなつたかということを係りの者を呼んで私の方では聽いた。ところが全部貸出済になつてそれはない、だからそのわくは解除したということであつた。それから私はあの当時一松さんが厚生大臣をやつておられたので、厚生大臣に話してみた。ところがわくはぜひつくりたいと思う、こういうことを一松さんも話しておられた。それであるから必ずそれはあると私は信じておるわけです。
  22. 庄司彦男

    庄司(彦)委員 この問題は、実は川合君と同じ党でありながら私も今まではそう思つてつた水産関係などで陳情したり資金の問題をもつていくと、わくがあるとかないとかいうことを言う。私は決議に対しては心から賛成いたしますが、この問題は一度責任者を呼び出しまして、はつきりさせた上において決議をしたらどうかということを提議します。
  23. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 一應復金理事長にでもこの次の委員会あたりに出てもらつてはいかがでしようか。
  24. 川合彰武

    川合委員 銀行局長に來てもらいたいと思います。
  25. 西山冨佐太

    西山委員長代理 では銀行局長に來てもらつてはつきりして、それからのことにいたしましよう。
  26. 中嶋勝一

    中嶋(勝)委員 動議は一應取消します。
  27. 西山冨佐太

    西山委員長代理 それでは主税局長は今何かの所用で出ておるのですけれども、時間の関係で早く願いたいということですから、主税局長がこちらへ参りますまで質問を願いまして、参られましたらちよつとそこで質問を打切つていただいて、その方へ移らしていただきたいということを御了解願つて、ひとつ質問を願いたいと思います。
  28. 受田新吉

    受田新吉君 厚生省政府委員の方にちよつと先にお伺いしておきたいのでありますが、住宅営團住宅に住んでおる者に対する厚生政策は御担当になつておられますか。
  29. 難波一正

    難波説明員 建設院の方でやつております。
  30. 受田新吉

    受田新吉君 そうすると、引揚者住宅問題としては、先ほど御説明なつた限度しかないわけですか。
  31. 難波一正

    難波説明員 厚生省引揚援護院といたしまして、引揚者住宅につきましては、終戰以來いろいろ考えてきておるのでありますが、大体二十一年度におきましては、総額二億六千五百万円程度施設費が出ておりまして、もちろん新築ではございません、元の兵舍、会社、工場病院等の改造、間仕切り、補修などいたしまして、約十七万五千人ほど收容いたしてきたのであります。二十二年度の引揚者につきましては、一般邦人は大体樺太千島方面が多かたつのであります。昨年の七月以降、樺太千島方面からは二十五万七千人引揚げておりまして、そのうち一四%は内地に全然縁故のない事縁故者であります。從いまして二十二年度におきましては、九千八百万円、約一億円の國庫補助を出しまして、三万一千人ほど收容いたしてきたのであります。現在におきましては、樺太千島方面残留引揚者数は、大体十八万七千人程度でありまして、過去の実績等よりいたしまして、大体一六・二%は縁故のない者でございまして、これらの人々のために、再び樺太引揚無縁故者住宅を設置いたしたいと考えております。今日の十九日に函館援護局の方へ参りまして、北海道並びに主なる定着地であります東北六縣の担当官を招集しまして、函館において、その施設を建てることにつきまして協議をいたしまして、本日帰つて來る予定であつたのでありますが、まだ帰つておりませんので具体的にはどういうふうになつておるかはつきりいたしません。
  32. 西山冨佐太

    西山委員長代理 ちよつと申し上げますが、建設院の方に連絡をとつておるけれどもまだ見えないので、やがて見えるだろうという話でありますから……。
  33. 受田新吉

    受田新吉君 それで引揚援護院としては今からの住宅でなくして、現在引揚げてきている人たちのそうした住宅対策をどういうふうに考えておられるか。それから現に引揚げてこちらに帰つていて非常に不自由しておる人が、自分で家を求めていろいろ苦労しているのと同時に、もう一つ現在住んでいる家が、住宅営團関係するのですが、閉鎖整理委員会などで相当高價に賣り渡されようとしている、これらに対して買受けねばならぬという原則があるようですが、これらに対しては別に多額の金を出して買受けなくても現在の借受をそのまま継続し得るようにしてやつてはどうか。こういう点については現在までに引揚げておる人たち、そして今住んでおる家に対する問題についての何かしつかりした考はないかどうか。
  34. 難波一正

    難波説明員 今さら申し上げるまでもありませんが、引揚者の特別な援護につきましては、特に引揚者のみに今後援護するということにもまいりませんので、從いまして、住宅をつくるにつきましても、引揚者等という等という字を入れまして、生活困窮者戰災者を含めて、そういう名前をもつて住宅を建てております。從いまして特に引揚者だけをどうするこうするということはただいまのところむずかしいのではないかと思うのであります。
  35. 受田新吉

    受田新吉君 現在各地に引揚者住宅地帶があります。特に私の縣の山口縣などにおいて、光市という爆彈を受けたあの市には、市内に五箇所の住宅地帶があつて、そこにおよそ一万五千の引揚者ばかりが住んでおるのです。これは全國から多数の者が集まつて、つまり引揚者住宅地帶という俗称をもつて、そこに実にささやかな生活をしているのでありますが、こうした人たち國民一般から見たならば、引揚者という特定称をつけることは不適当かもしれませんが、事実はそうなつております。特にこういう者は引揚者という名称でなくても考慮しなければならぬと思いますけれども、ここにいる人たちは、前の軍事施設であつた関係上、二、三年のうちにどうかなればいいということで、かりにつくつてある関係で非常にそまつである。雨は漏る、戸板を拔ける、壁板を落ちる、そういうそまつな家に住んでいて、現在坪千五百円見当で賣渡しを慫慂されて、もし買受けない者は出て行けというような態度に出ている、こういう点に対しましてやはり厚生省として特にお考え願わないと、これは厚生問題として大事な問題だと思いますから、特に御考慮願いたいと思います。
  36. 難波一正

    難波説明員 ただいま仰せられました住宅厚生方面のことですが、私の方といたしましては、一月の二十二日並びに一月の二十八日附の通牒をもちまして各府縣に対して設置いたしてきてまいりました。また引揚者住宅につきまして火災防火施設並びに衞生施設について不満のあるところは申し出るように、それにつきまして連合軍の支持などがありますれば、それも併せてつけて申し出るように、すでに通牒が出ておりまして、これにつきましては近く集計できますので、大藏省の方へも折衝いたしまして、これらの厚生施設につきましては十分考えたいと思つておるのであります。
  37. 受田新吉

    受田新吉君 そうした慈愛ある政策をおとりになつておられることを感謝いたします。  それから今私が申し上げたような引揚者特定の地域で、たとえば旧軍事施設を利用するとかいうようにして生活しておられるとことが、全國的に見てほかにもありましようか。
  38. 難波一正

    難波説明員 別に聽いておりません。
  39. 受田新吉

    受田新吉君 それからこれは厚生省から大藏省の方に御連絡を願いたいと思いますが、厚生省が今おとりになつておられるその厚生施策において、今申し上げたような非常に氣の毒な人たちに対して千篇一律に住宅を開放するのであるから、買い得ない者は退散せよというようなやり方ではなく、この点厚生省としての立場から特定の買い得ない資力のない者には、從來通り特別措置として営團の例の住宅開骨の問題についても、考慮してもらうように、大藏省へ要望していただきたいと思います。  それから登録税が四割五分ぐらいかかつておるようでありますが、こういう多額登記料をとられて、それでなくてもああいう所へ住んでいる人はほんとうに資力のない氣の毒な方々であるから、かかる人たちに対してはそうした税の軽減をはかるように、厚生政策立場から大藏省へ御要望願いたいと思います。そうして身一つで帰つてこられた方々にせめて現在住んでいる家が安住の家となれるように、そうした住宅問題でいつ退散を命ぜられるかわからないという不安な氣持を一掃してもらつて、そういう困窮者に対する慈愛ある施策を講じていただくことをお願い申し上げておきます。
  40. 難波一正

    難波説明員 私の方も極力やつていきたいと思いますが、厚生省施設として、生活困窮者を対象とする社会局においてもこの方面につきましては相当考えておりまして、その方とよく相談して、その結果私の方で処置をとりたいと思つております。
  41. 受田新吉

    受田新吉君 ありがとうございました。次にもう一つお願いですが、引揚者住宅関連職業補導の問題、これは今労働者の方へ行つておりますが、從つて地方からいろいろの要望がある際に、引揚援護院関係もあり、労働省の関係もあり、建設院関係もある。こういうばらばらのものの間の相互連絡に実は不自由をしておるので、この点引揚者厚生施策について、何らかの方法で関係省との間に連絡会議のごときものがもたれておりまんか、もしなければ、そういうものをもつてあなた方のところにお邪魔すれば、それらについて総合的な解決ができるような途はないものであろうか。さしあたり今あなたの方へ住宅問題をお尋ねするならば、そこを通じてさつと解決できるような途が開かれないものであろうかちよつとお尋ねします。
  42. 難波一正

    難波説明員 まことに失礼ですが、ちようど援護院の長官も援護局長も用事がありましてここにおられませんので、ちよつと私どもから申しかねるのでございますが、現在参議院の方において在外同胞特別更生委員会というものがございます。そちらの方で引揚者のことにつきましては特に協議いたしてまいつてきておるのであります。この点につきましては帰りましてよく相談してみたいと思つております。
  43. 受田新吉

    受田新吉君 私の質問は終りました。
  44. 西山冨佐太

    西山委員長代理 ちよつとお諮りいたしますが、松谷さんより質問があるはずですが、主税局長が答えるつもりでおいでになつたのでありますが、今議長サロンの交渉会に出られて直ぐこちらに來られないということで、それから建設院の方も電話が通じておらないのでうまくいかない、そこでそれらの方と先ほどの銀行局長と三者合わせて次会においで願うようにいたしたいと思いますがいかがでしようか。
  45. 松谷天光光

    ○松谷委員 日にちを大体まとめていただけたらいいと思います。
  46. 西山冨佐太

    西山委員長代理 三十一日くらいにいたしたらどうかと思います。
  47. 受田新吉

    受田新吉君 そのほかに労働省関係職業補導関係の方においでを願いたと思います。
  48. 西山冨佐太

    西山委員長代理 承知しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十分散会