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1948-06-08 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会財政及び金融委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月八日(火曜日)     午後二時四十一分開議  出席委員   運輸及び交通委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 佐伯 宗義君    理事 高瀬  傳君      小笠原八十美君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    増田甲子七君       井谷 正吉君    川島 金次君       佐々木更三君    重井 鹿治君       島上善五郎君    島田 晋作君       館  俊三君    志賀健次郎君       原   彪君    矢野 政男君       飯田 義茂君    堀江 實藏君   財政及び金融委員会    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 泉山 三六君 理事 塚田十一郎君    理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君    理事 梅林 時雄君       青木 孝義君    淺利 三朗君       石原  登君    大上  司君       島村 一郎君    苫米地英俊君       松田 正一君    宮幡  靖君       赤松  勇君    川合 彰武君       河井 榮藏君    佐藤觀次郎君       田中織之進君    林  大作君       松原喜之次君    八百板 正君       金光 義邦君    栗田 英男君       後藤 悦治君    中曽根康弘君       細川八十八君    内藤 友明君       本藤 恒松君    堀江 實藏君       河口 陽一君    本田 英作君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 岡田 勢一君  出席政府委員         運輸政務次官  木下  榮君         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   藪谷 虎芳君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法案内閣提出)(第七七号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議を開きます。  前会に引続いて國有鉄道運賃法案を議題として、質疑を続行することにいたします。石原登君。
  3. 石原登

    石原(登)委員 審議に入るに先立ちまして、資料をお願いいたしたいと思います。それは私どもは本案に対していろいろ研究いたしました結果、この運賃値上げの大きな原因になつておるものは石炭消費量で、これが非常に大きな面を背負つておるということであります。そこで私が要求します資料は、わが國におけるところのカロリー別石炭出炭の量、たとえば何千カロリーのものはいくら、何千カロリーのものはいくら、その石炭がどういうふうに技術的に配炭されておるか、このことを私どもは知りたいので、ぜひその資料をなるたけ早く御提出をお願いいたしたいと思います。  引続いて質問をいたしますが、私がまず第一番に知りたいことは、三倍半値上げ、これは國民の間にたいへんなシヨツクを與えているのでありまして、またこれが各方面に及ぼす影響も非常に大きい。こういうことはひとり私どもだけでなく、政府当局としてもお考えになつていることだと思います。相当にこの案に対してはこれから深刻な審議が続けられていくと思うのでありますが、この法案提出されるにあたつては、運輸当局御自身でも相当決意をもつて臨まれなくてはいけない。それは精神的にもそうでありますが、運輸当局態勢においても、そういうものがなくては相ならぬ、かように考えておりまするが、運輸大臣は大体精神的に、また運輸省自体が実質的な態勢において、どういうような心構えをもつてこの法案提出されたか、この点からお尋ねいたしたいと思います。
  4. 岡田勢一

    岡田國務大臣 石原君にお答えいたします。三・五倍の引上げによりまして、國民に多大の心理的影響を與え、同時にまた物價賃金の面にも相当多大きな影響を與えます。もとより御指摘のごとく私らも初めからそのことは十分に織込みまして、今後の運賃値上案を策定することになりましたわけでありまするが、まずその心構えといたしましては、運賃法案の冐頭に明記いたしておりまするように、生産増強あるいは公共の利益、それから公正妥当なる運賃決定というような條件考えることにいたしまして、具体的に申しますと、ただいま御承知の通り日本の國内の経済情勢でありまして、重要物資赤字生産に苦しんでおりまして、このままで放任しておきまする場合は、縮小生産がますますはなはだしくなりまして、國家経済を破綻に導くおそれがありますので、これを救いますために物價改訂を行わなければならぬという必要に迫られてまいります。これに関連いたしまして賃金も改訂せなければならぬ。そこで物價及び賃金が改訂されますると、國鉄経営相当赤字を出しておりまするが、なおかつ厖大赤字を出すことになりまして、企業としての根本原則に反することになり、これがひいて國家財政に危殆を及ぼすようなことになりますので、独立採算制を確保するということは理想でありますが、今のアブノーマルの状態において、それを完全に運賃面に表わすということは、もちろん不可能でありますので、独立採算制にやや近づける方向にまで、耐え得るだけの運賃値上率を決定して、なおそれによつて出ますところの赤字一般会計から繰入れる。その間において運賃値上げをわずかに止めまして、赤字金融をするが、公債を発行して、賄つておいてはどうかということも一應考えたのでありますが、それは今当分の間で、たとえば今年度一ぱいの赤字経営で、明年後からは赤字経営が解消できる段階になるということでありますならば、一應今年度だけの赤字でありますが、今の見透しではとうてい明年度になりましても、独立採算を立てるだけの運賃値上げは、不可能であるというふうな見透しになります。しからば年々赤字を累積して、國の負債を殖やすことになりますと、それは当然國家財政の非常な軟弱性をどこまでも継続することに相なります。これが國内問題だけでなしに、外國からの外資援助にも相当大なる影響を來すことに相なります。そこで健全財政を堅持しております建前上から、赤字借入金による経営はいけないという結論が出てまいりますので、政府赤字経営はやらないということに一應決定いたしまして、ただいまのところこの運賃策定によつて出る約百億円の赤字を、一般会計から繰入れるということにいたしたわけでございます。  なおもう一つ運輸省としての心構えは、かかる大幅の運賃値上げをいたしますからには、運輸省鉄道特別会計合理化企業能率化をはかり、冗費は徴底的に調べて節約をいたしまして、経営コストを下げることに努力しなければなりません。またその他の行政面における合理化、また不要財産資材等処分による財港を産み出すこと、それらについていろいろと努力を続けてまいつております。今後においてもこれが具体的の節約合理化能率化をはかることに相なつておるわけでございます。  なお今回の運賃の改訂にあたりましては、これが物價賃金影響、関連をもつことを、國家の全般的な物價総合調整という見地から、あらゆる角度からそろばんをはじいてまいりましたので、大体においてその局に当つている物價廳経済安定本部等意見を多く取入れまして、われわれの意見も入れてここにこの案を決定した次第で、その間の物價賃金との影響関係のことについてもし御質問がございますならば、詳細なることは物價廳安定本部から御答弁を申し上げることにいたしたいと存じております。
  5. 石原登

    石原(登)委員 私の質問趣旨がよく徹底しなかつた憾みがあるようでありますが、私がお尋ねしようと思います最も大事な点は、このような大きな犠牲國民に強いようとしているのであるが、しからばこの強いようとしている方の当局、いわゆる政府國民にこれを強いることができるような態勢にあるのであるかどうか、たとえて申しますならば、今回運輸当局において次官伊能さんが大変なことをしでかして、その醜惡を天下に暴露した。戰時中から今日に至つて國民の間には、鉄道具のこのようないろいろな醜惡事をみな非常な嫌惡氣持で見ている。こういうようなことをやつているから鉄道は損をするのだ、こういう氣持が特に今回の三・五倍値上げ問題を通じて高くなつてきている。ところが昔はちよつとした下級官吏が、涜職罪とか何とかいうようなものがあつても、すぐ責任問題が起きてきたものであります。私どもがもの心ついてからでも、かような下級の吏員のために責任をとられた上司が何十人もあつたことが、私ども今日未だに記憶に残つている。ところが運輸行政に携わる最高の責任者であるところの次官がああいうようなことをされたにもかかわらず、これに対して運輸当局はもちろんであるが、大臣内閣も何らの責任を明らかにされていない。こういうように責任が分明せざるところに正しい政治の運用はあり得ないと思う。國鉄は私どもが申しまでもなく、日本の國から考えてとうてい抱えることのできないような厖大組織になつている。こういうような厖大組織において、その紀律が乱れまするならば、これの監査は絶対にできない。この監査が維持できるものは、嚴固たる紀律一つのみであります。こういうような記律を確実に守つていくためには、その精神においと確かにこれを高揚し、またその責任を徹底的に守る。こういうような心構え態勢が確立せられなければ相ならぬ。こういうような建前から考えてみまして、今回の伊能次官の問題に対して、大体大臣はどういうような責任をとらんとされるのであるか、また今後こういう問題に対して、どのような対策と、どのような処置を講じようとされるのであるか、この問題について御答えを願いたいと考えるのであります。
  6. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申します。伊能次官に対する疑惑が起りまして、伊能次官が先般逮捕せられましたことはまことに遺憾のことでございます。運輸当局といたしましては、今日國民の間からもいろいろと批判が行われております一般官吏綱紀の弛緩に対しましては、嚴重に取締りをいたしつつあるのでございまして、ただいま以後におきましても、もし不正事実を発見いたしました場合には、速やかに適当なる処断をいたすつもりでございまして、綱紀の粛正には十分に努力を盡すつもりでございます。伊能次官の場合は、ただいまにおきましては司法当局がいわゆる法廷で調べ中でございます。これがどのような判決が下るかはただいまのところ予測がつきませぬので、この結審によりましていろいろ考える点もできてこようと存じますが、大体において伊能次官の場合は、その事実は過去に行われましたことでありまして、それがただちにただいまの現閣僚、あるいは政府責任に帰すべきことであるかどうかということがはつきりいたしませんわけであります。いずれ裁判所の判決によりまして、皆樣の前に明らかにされることになろうと存じます。その問題に対する責任問題は責任をとらなければならぬ理由と根拠があります場合には、責任をとるように、その時分になつて考えたいと考えております。
  7. 石原登

    石原(登)委員 もう一点基本的な問題に対してお伺いいたしますが、今回の値上げは三倍半というきわめて大幅なものであります。その内容を大体檢討してみますと、ある程度これまたやむを得ないと思われるものも必ずしもないではないのであります。しかしながら政治は生きておるのでありまして、國民にこういうものがどうしてもやむを得ないものだと思わせるには國民の胸を打つような、ほんとうの生きた政治がなくては相ならぬと私は考えております。ゆえに私は必ずしもこの値上げに対して全面的に反対をするものではありませんが、しかし國民にどうしてもこれでなくちや相ならぬのだというような、眞に訴え、眞に協力してもらうというような、やむにやまれないところの態勢はつきりとわかつてもらわなければならぬと思う。しかしながら、そういう態勢にもつてつてあるかというと、私はそうでないと断言いたしたい。と申しますのは、今日この問題が出てまいりましてから、私どもの党、並びに私ども個人に対してあてられた手紙の中に、こういうような手紙があるのであります。國会議員運輸当局役人たちは、いくら鉄道値上げをいたしても、ちつとも身に痛痒を感じないから平氣なはずだ、こういう問題はあなた方に任されないんだ、というような手紙を私たちもらつておる。靜かにこういう手紙を出してくれる人たちの心情を考えてみますと、ほんとうにさこそあれと私どもは衷心から考えております。しかしながら一方では鉄道人たちや、あるいは私ども國会議員無料乘車券をもらつておる。まず私ども國会議員の場合は別といたしましても、今日発行しておるところの鉄道從業員、さらに鉄道從業員だけでなしに、私どもの朝晩見かける運輸当局無料乘車券濫発ぶりには、非常に驚くべきものがあるのであります。これは大体いかなる必要があつて濫発しているのであるか、その点を私どもは聽きたい。たとえば現業從業員であつて、どうしても業務執行上必要であるという面に対しては、私どもは一切異論はない。しかしながら何も関係のない外部の者に発行するとか、あるいは全然執務と関係のない、いわゆる非現業鉄道從業員諸君がそういうようなパスを利用するとか、こういうことは今日の場合においては当然遠慮せねばならぬ。そうして私どもも非常に國鉄は苦しいから、これまで與えられた恩典もお断りするんだ、今日の國鉄は非常な窮況にあるんだから、どうか國民諸君もこれに協力してもらいたい。こういうような態勢になつて、初めて國民も二倍半であろうが、三倍半であろうが協力をしようというような氣持になつてくるんじやないかと考える。私が先ほど聽いた趣旨はそこにある。まず運輸当局諸君から、われわれもこういうふうに諸君とともにこの國難、この鉄道の非常時に率先して犠牲になるんだ、こういうような決意を明らかにせられない限り、とうてい八千万國民はこの法案に対して協力ができないだろうと考えるのでありますが、この問題に対して運輸大臣はどういうふうにお考えであるか。これはすべての國民が聽きたがつておる問題だと確信しておりますので、この点お答えを願いたいと思います。
  8. 岡田勢一

    岡田國務大臣 今回の三・五倍引上げ相当大幅でありまして、御指摘のように鉄道を利用せられる國民に対しまして相当負担がかさんでまいりますことは、まことに一面お氣の毒であると考えております。できれば私たちもかような値上げをいたさない方が結構であるとはもちろん考えておるのでございますが、今日の國家財政関係並びに物價賃金引上げをやらなければならぬ段階になつておりますこと、同時にまた國営企業でありましようとも、企業採算を全然無視してやりましてはこれは成立たない、鉄道赤字はすなわちやはり國民全体の租税等の御負担に帰さなければならぬ点があるのでありまして、かたがたいろいろの角度から檢討いたしまして、一般國民の皆さんに、また運賃値上げかというふうに、観念的に相当心理的な影響を與えますことは、私もよくわかつておるのでございますが、だからと申しまして必ずしもやれないものを國民に大きな犠牲を拂わせるのだということにはならぬ、私は思います。やはり鉄道といたしましてはできるだけ能率向上したし、経費節約いたしまして鉄道採算コストを下げるという義務と責任は十分にもつておるのでございますが、合理的な経営上の必要な経費、いわゆるコストはやはり鉄道を利用せられる方に負担をしてもらうのがこれは当然のことである、こういうふうに考えておる次第であります。ただこの場合三・五倍が少し上げ過ぎておるとか何とかいうことについての議論は大いにあらうと存ぜられますが、鉄道運賃を上げることは、低くても安くても何でも構わない、國民犠牲を強要するのだということにはならぬと私は思いますので、そういうような考えから今回の場合は、ただいまの物價賃金鉄道経営の現状、いろいろの点から考えましてお氣の毒ではありますが、やむを得ない値上げであるとして國民の御了承をお願いしたいという考えでございます。ただその周知方宣傳方等につきまして、遺憾の点があるかはしらぬと存じておりますが、國会を通じ、あるいはいろいろの報道機関などを通じて、よく納得のいくようにお願いをしたいと思いまして、いろいろと努力をいたしておるところでございます。  それから無賃乘車証の問題は、これはもともときめられましたときは今から約二十年を前であつたと存じますが、鉄道職員等の任務の遂行上に必要な者に渡しておるという考え方で始まつたのでありますが、その後鉄道に関連した重要なる衆事に携わつてもらう人あるいはまた國家の重要な衆事に携わつておる人等否賃乘車証を渡していくということになりまして、ただいまでは御指摘通り相当これが報張されておりますことは事実であります。これは今日以後におきまして愼重に考慮いたしまして今日以上報張いさない。同時に発行しておりますものについても、だんだん整理をいたしていきまして、鉄道收入増加をはかるというふうに向けていきたいと存じております。
  9. 石原登

    石原(登)委員 よくわかりました。私はこの無賃乘車尭から生じてくる鉄道運賃金額はさように多く、期待いたしておらないのであります。しかしながらこれが國民に與える影響が非常に重大だと、かように考えておるのであります。こういう見地から私は重ねてお尋ねをいたしたいと思います。現業で直接やつておる人にはこれはやむを得ないが、そうでない非現業、あるいは全然関係のないところの役人その他の発行されておるところの無賃乘車証は、ぜひこれを取上げてほしいと思うのであります。さらに今回のこの法案の中に、無賃乘車証を発行するところの根拠を明らかにするところの明文を挿入される意思があるかどうか、この点をお伺いいたしておきたいと思います。
  10. 岡田勢一

    岡田國務大臣 無賃乘車証発行数を今後できるだけ整理をしてまいるということは石原君の御意見に私も同感でございまして、そのような方向に進めてまいりたいと考えておりますが、運賃法案の中に無賃乘車尭の規定を挿入するということは今のところ考えておりません。
  11. 石原登

    石原(登)委員 私は運輸当局にその決意はつきりとしない限りは、こういうような問題に対して今後國民協力が求められないということを嚴重に警告いたしておきたいと思います。  次に私はお尋ねいたしたいと思いますが、当局國鉄独立採算制をとる上において、経営合理化をはかる、こういう言葉を常に使つておるのでありますが、この経営合理化というのは、具体的にはどのようなことをされるのであるか、この点をお伺いたいします。
  12. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。経営合理化につきましては、いろいろその内容を檢討いたしますとたくさんな種類がございまして、たとえば事務簡素化、あるいはまた現場從業員能率向上によるところの人員節減、あるいはまた石炭その他の消耗品等節約、あるいはまた設備改善機械化等実施いたしまして、人員減少を策し、同時に能率向上いたすこと、その他いろいろございますので、ただいままでもその点については鉄道当局といたしましては努力いたしてまいつたのでございますが、この際なお一層徹底的に刷新改善をはかりたいと考えておりましい先ごろ閣議の承認を経まして國有鉄道審議会なるものをつくることになつております。近く関係方面了承を得まして発足をいたしたいと思いますが、その審議会において、根本問題、たとえて申しますと、行政現業の分離、それから一般企業合理化人員の問題、あるいはまた不要資材財産等処分に関する問題、その他等等を速やかに檢討を加えまして、具体的にこれを実行に移していくこと、そういうことを今考えております。そういうふうに今回は思い切つた改正刷新をやつてまいりたいと考えております。
  13. 石原登

    石原(登)委員 非常に結構なことでありまして、私どもは大いに期待しておる次第でありまするが、ただいまお述べになつた事項の中に現場能率向上人員節減ということをおつしやつたのでありますが、もちろんこれは必要なことだと考えております。この人員節減というのは、具体的に申しますと、今の人数をある程度少くする。こういうことになりますかどうか、この点をお尋ぬいたします。
  14. 岡田勢一

    岡田國務大臣 ただいまの施設、設備のままでは現場從業員人員を減らすことはできないのでございまして、それは將來において機械化され、設備が改良されるに從いまして、漸次人員減少をはかつていきたいと存じております。もつとも今回の予算編成にあたりましては、さきに生産増強計画決定をいたしております鉄道輸送の約二割方の本年度の増送に対する人員増加、それから労働基準法実施による人員増加等相当数量の人員増加の必要が起つておるのでございますが、予算編成にあたりまして、その増加のうち約六万人を予算面において、大藏省と相談の上で節減をいたしておりますが、これはわれわれといたしまして、一つ努力をいたしましたわけで、今後の運営におきまして相当配置の轉換等その他いろいろのくふうを加えまして、目的の増送達成に支障なからしめるよす、今後の努力によつてこれを完全に実施してまいりたい。こういう考えでおります。
  15. 石原登

    石原(登)委員 どうも私どもは最初の言明と、ただいまの御答弁との間に食い違いがあるように考えられるのでありますが、大体芦田内閣ができ上るとき、またでき上つた後も、日本再建を早からしるめためには、何といつて敗戰日本に即したところの行政機構縮小改革するのだ。これが大きな題目であつたと思います。しかも題目の中心となるものの中に、國鉄の今日の実態、さらにまたこの國鉄赤字原因というのも、実質的にはいわゆる労働力の低下という瞬も大きな面だ。かように私ども了承いたしておるのであります。三党協定建前から考えられても、また今日の國家情勢から考えても、行政機構縮小改革は当然考えなくてはならないのでありますが、今のお話によると、あらゆる條件が完備して、そうしてそれをしてからでないと、これはできないというようなお話であるとするならば、どうも内閣天下に対する公約とちよつと違うのではないか。かように考えるのでありますが、これは大体どういうように解釈すればよあのでありますか、その点もう一遍お尋ねいたしたいと思います。
  16. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。芦田内閣が組閣されます以前に、三党政策協定をやりまして決定をいたしておるのは、石原君の言われますのと少し違うのでありまして、行政整理はやるのでございますが、現業面においては機械的な人員整理は行わないということを明記いたしております。ただいま行政整理の面におきましては、各省を通じまして現業面でなく、行政面におきまして、一割五分の経費節約閣議でさしあたり決定をいたしておりまして、その実施に着手いたしております。現業面におきましては、仕事の量等に鑑みまして、必ずしも機械的な人員整理は行わないということを決定いたしております。
  17. 石原登

    石原(登)委員 これはひとり鉄道だけでありませんが、日本の今日では、何と言いますか、これまでの金持が倒産をする。倒産しながらなおかつ昔の夢を追つて、そのままの生活を維持し続けていこうとする頑迷な、虚栄心の高い者の姿が考えられる。こういう態勢でいきますと、これではとうてい國家経済はもたないのであります。今ではあらゆる方面において、まず働くことよりも、権利の主張をするということのみを考えているのでありまして、私どもはこういう考え方を根本的に直さない限りは、鉄道再建はおろか、日本の根本的な問題は解決できない。こういうふうに考えているのであります。今日でも、企業合理化、あるいは企業採算制とかいうような言葉政府は常に率先して使用されているのでありますが、こういうことを民間人勇氣をもつて断行させるためには、まず官業がそれを実際に行つて、その模範を示す。こういう態勢でないと私は成り立たないと思う。しかしながらそういうことを朝晩主唱される政府側において、しかし政府側で自分のやつていることの断行ができないでゐこれを民間人に強要するということは笑止の沙汰だと、かように考えております。最どもはそういうような氣持で、費用はいくら出てもかまわない、その費用は常に料金の値上げで賄えばいいのだ、こういう心構えであるならば、とうてい國民とともにかような問題に対して協力はできないということをあらためて申し上げなければならないと思います。私はこの際大臣相当反省をしていただいて、眞にどういうところに欠陷があるのか、そうしてほんとうに自分の輩下が國民の公僕として働いているのか、こういう問題に対して衷心から私は考えてもらわなければならぬ、かように考えているのでありますが、もう一遍こういう根本的な問題に対して大臣はつきりした言明をいただいて、そうして私は今後の審議にあたつては、その言明に基いて進めていきたい、かように考えます。
  18. 岡田勢一

    岡田國務大臣 今日國家財政並びに國民生活等が非常な困難な現状になつております時分に、やはり昔のゆたかな時分の考えですべての仕事をやるということであつてはいけない、よろしく考え方を根本的にかえて再出発をすべきであるというお説に対しましては、私は全面的に同感でございまして、そのような氣持だいかなければ、國家再建はできないものであると考えております。決して私らは昔の金持が、貧乏人になつて破産をしてからでも、やはり旦那樣暮しをやつてつてよろしいのであるとか、あるいはそういうような氣持でやつていつたのを、料金、賃金値上げによつてしりを拭いていくというような考えは、毛頭もつておりませんわけであります。これは私たちは今置かれておりますこの困難な情勢を、耐乏に耐えましてがんばり通し、今日の経済難局を打開していかなければならぬのでございまして、それには今日の社会情勢、あるいは労働関係法規などの関連も大いにございますが、今ただちに現業面におきまして、生首をたくさん切るとかというようなことは、できない関係にございます。法規の許す範囲内における企業の整備、合理化を行うよりほかはないと考えるのでございます。なお法規の許す範囲内において政府合理化を行います面も相当に効果があるのでありまして、われわれとしましては率先してそのように努力いたしたい。同時にまた、國鉄合理化されますためには、一般國民の御協力をも得なければならぬと考えております。それで今後はここで申し上げただけではなく、現実にそれらの方向に向つて可及的にそれを具体化するために実行していきたいと存じておりますので、御了承をお願いいたします。
  19. 石原登

    石原(登)委員 ただいまの答弁でよくわかりました。私はあとの質問は保留いたしまして、本日はこの程度で止めておきます。
  20. 川野芳滿

    川野委員長 館俊三君。
  21. 館俊三

    ○館委員 合同委員会だというわけで、ここで質問にはいるとは思つておりませんのでしたが、今ちようどそういうめぐり合わせになりましたので、ちよつと質問したいと思います。  この三倍半という大きな運賃値上げにぶつかつたのでありますが、これをお尋ぬする前にまずお聽きしたいと思いますのは、この二月の〇・八の補給金の裏づけとして、あの当時旅客運賃を二倍にするというような提案を運輸省がされたことがありますが、あのときの旅客運賃の二倍値上げというものの性格と、今日のこの三倍半の値上げの性格とにおいて、どけだけの相違があるのかということをちよつとお伺いして、それから次に一、二お尋ねしたいと思います。
  22. 岡田勢一

    岡田國務大臣 館君にお答えいたします。この前の二月に〇・八箇月分の財源を求めますために、運賃値上げを提案しておりましたが、あのときは低い値上げで、今回は三、五倍になるということを御指摘になりましたが、あの時分は暫定的に〇・八箇月分の費用の支出に必要なだけの財源を目標にいたしまして、暫定的の値上げをするという考え方でありまして、もちろん新年度になりましてからは、物價及び賃金の改訂をしなければならぬということを当時予想しておりましたので、その時分にまたさらに物價改訂賃金改訂に合致いたしますような値上げを予想しておつたのでありまして、中間的の値上案という考え國会提出しておつた次第であります。
  23. 館俊三

    ○館委員 そこでちよつとお伺いいたしますが、今度の値上げと〇・八のときの値上げに性格的な大きな違いがあるということでやや安心はいたしましたが、私いつも運賃値上げが発表されるごとに感ずることは、常に金が足りなくなればとにかく運賃値上げするというような意味合いでやられるのではないか。はなはだ不都合を申し上げ方をいたしておりますけれども、そういうような印象を受けざるを得ないのでございます。今度の運賃値上げの目的は、あるいは去年あたりから國鉄につかず、全逓につかず、独立採算制をとらなければだめだというような巷間のうわさがあり、またそういうことも基本的に考えておられるようでありますが、さしあたつての四月のおける物價基準といいますか、水準といいますか、あるいはまたそれに割掛けされておられるかどうか知りませんが、そういうところからみて、二十三年度の予算には赤字はどうしても防げない。そういうことからまた運賃値上げということを考えておられるようでもありますし、そのほかに戰後において非常に疲弊した國鉄の諸施設を改善する、あるいは國民の要望に従つての拡充をやられるということをも目的としておられるような、ちよつと考えても三種類ぐらいな目的をおいておられるように考えられるのでありますが、その私のあげました中のどれに主眼点をおいて、三・五倍ということを言つておられるのか、その点をお聽きしたいと思います。
  24. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。原因のうち三帰をおげられましたが、いずれも鉄道運賃を上げますためには、そういう原因からも考えなければならぬことに常識的には相なると思います。しかし今回の値上げにあたりましては、赤字が出ますことと、それから独立陽算制に近づけたいということ、この二つを値上げの理由にいたしております。館君の御指摘になりました鉄道の新設あるいは改善、施設の増設というような費目は、これを運賃面影響させることになりますと、なお一層高い運賃國民にお願いしなければならぬことを相なりますので、その面の費目につきましては、別に建設費工事費勘定といたしまして、ただいま約二百億円前後を内定いたしておりまして、これは公債発行等によりましてその財源を求めることにしておるのであります。しかしてこれは資産勘定とみなしまして、收支勘定の中には織りこまないで省いております。そういう考え方でただいまの運賃値上げの作案をいたした次第であります。
  25. 館俊三

    ○館委員 この運賃値上げ法案を出されるときの参考書類として、今後における國鉄再建というか、五箇年計画案というものをお出しになつております。あの五箇年計画案の第一年計画が、この三・五倍のものを基礎にしてやつておられるのかどうか、あの五箇年計画案というものは、三・五倍というものと別にして、そういう案をもつてつて、これから何かの機会にやるという意味のものであるかどうかということをちよつとお聽きしたい。
  26. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。國鉄の五箇年計画の方では、財政面はまず今年度の三・五倍引上げを基礎にいたしております。
  27. 館俊三

    ○館委員 インフレの高進ということがだんだん考えられるので、この三・五倍というものを基礎において立てられた五箇年計画というものに対しては、私はどうも信頼をおけないのでありまして、皮肉なものの言い方をいたしますと、三倍半という運賃値上げに氣がねをなさつて、実はこういうふうにして五箇年計画をやるのであるという含みにおいて、ああいうものをお出しになつておるのじやないか、私はそういうふうにみておるのであります。おそらくああいう計画を立てられる場合には、運賃三倍半ぐらいの計画を立てられたのでは、とうてい赤字補填と独立採算制にさえ近づきがたいのではなるいか。もつとほんとうのことを言えば、國鉄單独に考えるならば、三倍半でなく、もう少し五倍にも六倍にもしなければ、單に今あげられた独立採算制赤字補填でさえもできないので、從つて五箇年計画案というものはほとんど今から画餅になつておるのだというふうに私考えざるを得ないのでございます。そういう意味からして、やはり從來通り國鉄運賃のしかた、あるいは計画の立て方のままにおいて仕事をなさる場合には、〇・八の場合のごとく足りなければ持つてくるという性格が否應なしに現われてくると私は見ないわけにはいかのでございます。そういう点について大臣のお返事をもらつて、きようはこれに止めておいてもよろしゆうございます。
  28. 岡田勢一

    岡田國務大臣 三・五倍に上げましたら運賃値上げ実施後ますますインレを助長するという見方は、そういう見方も一應は否認できないと思うのでございますが、今回の三・五倍引上げは、もうすでに新物價改訂、新賃金改訂に織込み済であります。その後財界、経済界、生産界がもしさいわいにして安定するものといたしましたら、決してこの三・五倍によりましてインフレーシヨンを助長せしめないということに相なるのでございますが、しかし今の経済状態から考えまして、事実上はあるいはそういうことにはならぬかもしれないと思つております。それから足りなくなつたらいつでも運賃を上げて、その赤字を補填するというような考え方になるのではないかという御指摘でございますが、私らは、足りなくなつたら赤字を埋めるためにそういう方法もとらねばならぬのでありますが、考え方といたしましては、赤字が出るから運賃を上げるという考え方でなしに、これはわれわれの企業の整備、合理化能率の増進等によりまして、また他の雜收入の増加等によりまして、この足りなくなるということをできる限り防がなければならぬ義務と責任があると自覚いたしております。そういうふうな考え方で今後も運賃値上げの問題を考えたいと思つております。
  29. 館俊三

    ○館委員 こういうことに関する大臣に対する質問はこれで打切りたいと思います。  次に次官がいらつしやられるので、これは大臣向けの質問でありますか、次官向けの質問でありますか、私にはわかりませんけれども、この鉄道財政上の一番大きなやつかいな支出は、石炭代ではないかと思つております。今年度石炭代、これは一トンをいくらに計上されているのであつて、なんぼの予想を見ておられるのであるか、ちよつとお聽きいたします。
  30. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 ただいまの炭價が、國鉄で使つているのは一トン当り千四百二十四円になつております。今回の予算におきましては、これはまだはつきりきまつておりませんが、一應二、六倍という数字になつております。
  31. 館俊三

    ○館委員 そうしますと、この二・六倍の数字は、大体三千二百円くらいの見当だと聞いておりますが、もしそういうことになりますと、去年、二十二年度赤字は百幾億というわけであつて、ちようど去年の最初のときの赤字予想は、石炭代だけが何とかできれば、この百億の赤字が防げる。これが去年の七月、八月ごろの鉄道の情勝であつたのでございます。そういう情勢からみまして、その石炭代をどうしているかと言いますと今までこの石炭の補給金というものを一般合計からもらつておつたそうでありますが、去年からその補給金をもらわなくなつた。それでもなおそれだけの赤字が済んだのでありまして。現在最初から千四百二十四円を拂うのでなく、三千百二十一四十九銭くらいの價格で拂うということになつていて、初めから二百何十億という石炭代を拂わねばならぬことになるわけですが、この場合に特殊産業に対しては石炭代を非常に安くして賣つている。鉄道國家企業でありながら消費者價格そのもので石炭を買いこんでいるという点に、非常に矛盾があるように感ずるのでありまして、殊にこの運賃増額に際しましてて、そういう私企業に対して石炭補給がありながら、こういう國家的産業に対しては補給をしない、そうしてそれを利用者から全部賄わせるというところに、いかにも利用者に対して搾るだけ搾るというような形が現われてきているのではないかと思います。正月の十三日の閣議決定事項というもののはし書では、國鉄産業を超重点産業として認めるということが正月の十三日に決定されている。そういう決定は概念的な決定にしかなつておらない。特定産業用の石炭代としては三千百二十一円十九銭というような勘定でなくして、この前は六百円、今度もし上げたら千円くらいの程度を止めようというような巷間のうわさもありますが、そういうことは國鉄経営する立場のみについて考えた場合に、非常に矛盾をしているというふうに考えられるのですが、この点について私が想像したような形になつているかどうか、現在の予算の立て方もそういうように補給金をもらわないでやるようになつているかどうかということについてはいかがですか。
  32. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 石炭につきましては補給金は考えられておらないのでございます。但し今回の予定された倍率で運賃が上るといたしましても、なおかつ百億余の赤字が予想されるのでありまして、これは一般会計から繰入れを受けるということになつておりますので、石炭の補給金ではございませんが、一般会計からの補給は百億、これはただいまこれから御審議を願う予算案におきまして、そういう建前をとつているわけでございます。それから肥料でございますとか、運営会の船舶等には石炭補給金というものが出ておりますが、鉄道が超重点産業に認められておりながら、その補給金がそれと違うのはどうかという御不審も伺つたのでありますが、その点に関しましては、確かに補給金については同じような取扱いは受けておらないのでありますけれども、今申しました百億の繰入金は、石炭補給金とは銘を打つてありませんが、やはり補給を受けていることは事実でございますし、また昨年度におきましも百五十八億余の赤字を出したのでございますが、それらにつきまして一時借入等の方策をもつてこれを一時しのいでまいつたのでありますが、これらについては日本銀行等において便宜をはかつてくれる。こういうようなことでございまして、そういう面から申しまして、われわれとしては國をあげてこの特別会計を補助してもらつておるということを考えておるわけであります。
  33. 館俊三

    ○館委員 今のこの予算でいつて百億の赤字が出るという、その百億については新聞でうわさするところによると、石炭については全然考慮を拂わないで、ただ單に三・五倍に値上げはしたけれども、なおかつそれだけの赤字が出るので、この赤字については交通行政と言いますか、そういう部面と営業方面を分離するという建前で、百億というものは鉄道独立採算制に近づく前提として、監督費、行政費というようなものは鉄道負担においてやるべきものではないという性格のもとに、一般会計から補助されておるものであつて、当然にすべきものである。もし独立採算制決定して、行政費に属するものは將來分離しなければならないということは、運輸省当局もにおわしておるところでありますが、そういう性格においてこれを足し前しておるものであるというふうに新聞が傳えておりますし、運輸当局はこの百億円のたし前について、どういうことをお考えになつておるのか。今の石炭代と切り離した意味において百億円の補充というものを考えておるのか。
  34. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 行政と運営の分離という方向で進んでまいつておりますことは事実でございまして、今回の措置としても、機構の丁においてできるだけ監督行政面と運営面とを切り離していこうというような心持でやつておりますが、会計の面においても一般行政監督面の支出を一般会計から補給を受けるということに相なつたのでございます。それはただいま申し上げた百億円ではございませんで、本年度としては別に約十四億余でございます。先ほど申し上げました百億のほかに、十四億余の金額を一般会計から受入れるということに予定をいたしておる次第であります。從つて百億円の問題については、別に石炭補給金と銘を打つておるわけではございませんが、旅客、貨物をそれぞれ三倍半に押えて物價体系を立てていくためには、いろいろ計算をしてどうつじつまを合わせようといたしましても、收入面を極度に切詰めました支出面を差引きまして、百億の赤字が出る、結局終局において出ますところの百億円をどうするかということで、これは一般会計から繰入れる、こういうことに相なつた次第であります。
  35. 館俊三

    ○館委員 私の質問は大体この予算の構成のしかたについて吟味をしておく程度に止めているのでありますから、それ以上深入りしたくないと思つております。  そこで、今お話が出ましたが、三・五倍の値上げをしても、なおかつ百億の赤字が出るということであるならば鉄道單独にものを考えると、なぜ五倍ないし六倍にしないのか。何がゆえに氣がねをして三・五倍に止めたのであるか。氣がねの要点をあとで聽きたいと思います。  次に物件費と人件費の割合ですが、物件費が六五%で、人件費が三五%だとなつているのであります。從つて節約の主要点を物件費におく、そこから何かも生み出せないかという氣持がいたします。それから人件費は六万人くらいの首を切ることになつているというふうに、政府からもらつたものの中にあつたようでございますが、その具体案についてここであらかじめお聽きしておきたいと思います。  それから物件費が六五%占めているということですが、その中で、殊に鉄道工業会社というようなものに対する支拂予定額というか、作業予定額がそれから出る、それに割当てられた予算額がもしおわかりでしたら知りたい。
  36. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 氣がねをせずに、というお話でありましたが、これは政府としてはもちろんのことでありますが、事務当局といたしましても、何としてもできるだけ國民負担を少からしめるということを考えて、これが物價に直接影響する面を少しでも少くするという建行をとりましたために、こういう百億円の赤字を出すということに相なつた次第であります。先ほど五箇年計画のお話がございましたが、五箇年計画の財政数字を、今回運賃物價水準も同じベースでいくというように仮定して計算しておりますのも、実はその年度を通じての経営比較をするというためでありまして、結局本年度におきましては、特にこれに取替費、除却費的なものを加えますと、百億は二百億にも上るので本年度赤字でございますが、そういうものは昭和二十五年くらいまでで、ほぼとんとんにまいり、二十六年からは、このままでいくとして黒字を出す、そういうような人件費、物件費の節約についているいを経営比較をしている次第であります。本年度はそういう赤字を出しましたが、率然として一挙に独立採算制で收支を合わすことは、いかにも他の影響が大きいということで、一部は一般会計からの繰入れの措置によることに相なつた次第で、御了承願いたいと存ずるのであります。  それから六万人をどうして首切るのかというお尋ねでございましたが、これは館さんのお間違いではなかろうかと存ずるのであります。これは大臣の提案理由の御説明を申し上げた中に、六万人を大藏省との協議によつて少くした、こういうふうに申し上げていると私は存じているのであります。これは実は今年度において貨物を一億三千万トン運ぶ、旅客をこの七月から時刻改正をして列車を増発する、あるいは基準法の関係におきまして、とりあえずそれに相應します從事員が四万要るとして、これに代替する人員を、これは暫定的でありますが、過渡的にどうしてももたなければならぬ。そういうようなものを残りなく計算いたしますと、本年度の要員といたしまして、どうしても六十七、八万の人数が必要である。ただいまの通りの仕事をしていると考えまして、そういう殖えてまいります義務量に應じていくためには、どうしてもそれくらい要るのではないかということを予算の媛成当初において考えまして、当初予算として大藏省と折衝したわけでありますが、その後だんだんとそれに要する経営費が非常に嵩み、運賃もそうわれわれの思うように方げることは、國民生活なり経済への影響考えますときにはとうていできない、われわれはできるだけこれを抑えて値上りを少からしめなければならぬと考えまして、非常に苦心いたしました結果、今年度としてはもうぎりぎり切り詰めた予算でいこう、從つて今後あるいは機械化によつて、人も減らし、あるいは能率も上げてもらう、そういう建前のもとに約六万人の増員をあきらめたということでありまして、その結果われわれは非常な労働強化になることは愼まなければならないのでありますが、先ほど申しました機械化なり労働能率の増進なり、そういう方法によつて、何とか義り拔けていこう、それが先ほどのお話に出ましたところの六万人であります。從いましてこれは現在の六万人を整理するという意味ではございませんので、この点についても御了承願いたいと存ずるのであります。ほんとうに十二万にやろうとすれば、増加すべかりし人員を、それだけ節減した、かように御了承願いたいと思うのであります。  建設工業の工事比較等につきましては、お手もとの外郭團体の資料の中に一部はいつておると私存じておりますが、大体工事比較は全工事請負等のうちに全國的に約三〇%程度含めておるのがそれに相当しておると私は記憶しておるのでございます。なおこまかい数字につきましては、もし必要がございますれば資料として提出いたしますなり、館さんにお話申し上げるなりさしていただきたいと思います。
  37. 館俊三

    ○館委員 この六万人の整理ということは、結局こういうことからして考えられることは、予算定員と現在員という二つがあるこうでありますが、この予算定員によつて予算を立られておるのか、現在員によつて予算を立てられておるのかということをお聽きしたい。
  38. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 これは館さんよく御承知だと思うのでありますが、もとは予算定員を少し大幅に余裕をもつておりまして、それで人件費のやり繰りに彈力をもつというやり方をしてまいつたのであります。つまり單價が非常に高いというような場合には、人員において少し余裕をもつておりませんと、人件費の予算が賄い得ないという事態が起きますので、そういうような処置をとつてまいつたことは御承知の通りであります。この点は予算編成上弊害もあり、いわゆる現員主義に近づいてまいりまして、今年度の予算について申し上げますならば、昭和二十二年の年度末の現在員が六十一万余でございまして、今回の予算に計上されております人員は六十二万七千五百人でございます。その差はほぼ一万五、六千人に相なつておるのであります。この一万五、六千人という数字は、労働基準法実施におきまして、過渡的に必要な人員にちようど相應いたしておるのであります。すなわちこの五月一日から基準法が全面的に実施になつて、急にそこに殖やさなければならぬ要員として、大体一万五千人を充てている。そういたしますと今回の予算定員でありますところの、六十二万七千五百人は、現在員とはほとんど食い違いがないという数字に相なつてくるのであります。
  39. 館俊三

    ○館委員 そこで國鉄だけの総予算の中に、多少の幅があるという言葉を、新聞かあるいは提供された資料かで見たのでありますけれども、今お話のあつた、予算定員というものは、單價の高低によつてどうしても少し余分にみておかないとできないということでございますが、これも私はよく了承いたします。そういう意味において、物件費の中にも相当の幅ができているのかどうか。殊に請負事業には相当の幅をもたせなければ、鉄道の建設事業が予算通りできないのであるという意味において、幅がもたせてあるかどうか。また幅がもたせてあるということが、いろいろ事件を起すもとになるのではないかという氣持がいたしますので、この鉄道建設工業会社の内容については、あとから資料を提供していただくと同時に、建設工業というものが各局に一つずつこしらえさせられておつたのが戰時中の形であります。それまでは自由入札でやつておつたが、そうやつていると、談合金をとつて、自由入札が一人で統制されたりするとぐあいが惡いというようなわけで、この各局一つずつの建設工業ができたそうでありますが、こういう時代になつても今のままでやつていくがいいのであるかどうかということに、非常な疑念をもつているのであります。私はこういう男でありますから、はつきり申しますが、不当財産取引委員会あたりで、鉄道建設工業に関係のある人が仲介役を務めて、そして政党資金か何か出しているということが新聞に出ておりましたが、そういうことから考えましても、この各局に一つずつ配属されているところの建設工業会社の合併前の形というものは、それに関係している人たちの名前も調べられて、それを先ほどお願いした書類と一緒にいただければ結構だと思つております。  私の質問はこういうところで大体きようは切つておいて、この次大臣がお見えの時分にまた詳しく質問いたしたいと思つておりますが、先ほどの一億三千万トン輸送を完遂しなければならないということについては、この間の國鉄の大会でも、一億三千万トンを輸送する條件といたしまして、労働基準法の完全実施をみなければ、こういうことには協力しがたい、あるいはまた五千二百円のベースをきめているのですが、それについても要求が通らなければなかなか労働條件が揃わないことになつて協力しがたい。一億三千万トン輸送して、國の運輸協力する熱意はあるけれどもということを言つておりますが、そういうものをも考慮に入れて、そうしてこの三・五倍というものを考えたりしました場合に、私は逆説的にものを引いておりますけれども、予算の立て方の基本がきわめて不確実であるという印象をもつておるのでありますし、それからまた國鉄そのものを再建しようとする積極的な面にも力及ばさるものであるということも考え、從つて今は内輪なことばかり申し上げておりましたが、外に向つて影響物價あるいは生活に対する圧迫その他のことについても非常な大きな問題を起すのでありますが、それらの点についてはまた次の質問者がおられることでありますから、私は次会にまわしまして、今日はこれで質問を打切つておきたいと思います。
  40. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 人件費は三千七百円ベースで組んでおりますので、單價の問題は別に彈力性をもつておりません。それから工事費その他修繕費等におきましては、むしろ物價の値上りよりも低い率を見込んでおりますので、これに至りましては、ますます窮屈な予算に相なつておりまして、もつぱら今後われわれがどれだけセーヴができるかということにかかつてまいると思いまして、今回御審議を願う予算の今後の運用につきましては、われわれはまつたく死物狂いになつて節減をいたしませんと、この予算の遂行ができない。從いまして一億三千万トン輸送の完遂ができないということを非常に憂えるものでございます。何と申しましても、今後のわれわれといたしましては、できるだけ予算もとり、從業員の厚生施設なり、労需用物資なり、また給與におきましても、工事費の費額におきましても、できることなら彈力性をもつて、余裕をもつた仕事をいたしていきたい。また特にその中でも厚生施設でありますとか、労需用物資につきましては、特に予算を注ぎ込み、物資を獲得いたしたいと考えておりますが、これが十分認められないといたしますれば、何と申しましても労働組合の強力な支持と、自発的な活動にまつよりいたし方ないのでございまして、この点につきましては、館さんのいろいろの御質問を伺つておりますとまだまだわれわれの努力足りずして、経営費も彈力がない、運賃の上げ方も足りないじやないかと、われわれにとつては非常にありがたく拜聽いたすのでありますが、組合方面協力は、過日の経営協議会におきましてもよく話合いをいたしまして、現下の國情を語り合い、われわれの力でできる限りのことをやつていこうということを申し合わせました次第でございますので、われわれといたしましては、この組合の支持を力といたしまして、この一億三千万トン輸送の完遂に向つて進んでいきたいと思つております。但し今のところといたしましては、一億三千万トンのこの目標は、われわれの目標ではございますが、ほんとうに実現可能かどうかということを考えますと、実はこの席で申し上げるのはまことにつらいのでございますが、自信が少し足りないのでございます。この生産計画なり、國民生活の計画にわれわれがただ画に描いた餅だけをもつて安心しておつてはいけないと思いまして、実施計画面におきまして、さらにこれが予算面においては一億二千六百万トンの数字になつておりますが、しかしいよいよいけない場合にも一億二千三百万トンというふうに、数字はいろいろになるわけでございますが、つまり努力目標を一億三千万トンに置いて、何とかしてここへ達することを考える。しかしながら万一いけない場合でも、これを最小限度の減少で止めるというふうな計画をもちまして、安定本部等とも協議をいたしておるのでございます。
  41. 館俊三

    ○館委員 爾余の質問は打切りますが、要するに私吟味いたしましたのは、予算の基礎が薄弱でないかあるかという吟味をいたしましたので、意見はあとから述べることにいたします。なおこれが外部にどう影響を及ぼしていくかということについて考えますときに、いよいよこの予算の立て方が非常に大きな影響を及ぼしていくので、なかなかこれは一樣には納得できないことだと考えます。それできようは單に國鉄の体制がこういうことで整うかどうかという片一方の面からのみ質問したのだと御了承願いたいと思います。これで打切ります。
  42. 川野芳滿

    川野委員長 川島金次君。
  43. 川島金次

    ○川島委員 時間がないようですから、私は大臣に御質問申し上げる前提として、総局長官に二、三お伺いをいたします。  まず第一にお伺いすることは、戰前の運賃物價に占める率というものは四・五%程度だつた、今度の運賃改正によりますと、物價の占める運賃率は、國鉄だけの計算で言いましても、二・七%、戰前当時におけるところの物價の中に運賃の占める率が、逆に二分の一近くに下つてくるということが明示されておる。そこで私は、その事務の克明なことで研究をされておりまする加賀山さんにお伺いするのですが、物價の中に占める運賃率のパーセンテージというものは、どういうふに諸般の物價の上に影響をもつているか、たとえば單純に、非常にシンプルな形で影響があるのか、それとも複雜多岐に累加的に全般の物價影響されてくるのか、そういう事柄について定めし御研究があると思うのですが、まずそれについてお尋ねを申し上げます。
  44. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 実はおはずかしい次第でございますが、器費者價格になるまでに、その原資材なり、そのまた原資材というものが、それぞれ運賃がはいつておる、そういうものが合計して最後の消費者に渡るところの價格になるわけでございますので、そういうものを積み重ねた計算をすべきかとも思いますが、おはずかしいことながら実はやつておりません。但し私は、最後の消費者に渡りますところの價格には、結局全部労金でありますとか、あるいは原資材の原料費、そういうものがはいつており、もちろん運賃もはいつておるわけです。そうして最後の物價を構成する。その最後の物價にまた運賃がはいつておる。こういうふうになつておると存ずるのでございまして、結局そういつた原資材なり、すべての鉄道で扱つております貨物は、いろいろの姿におきまして輸送されておるわけでございます。從いましてそういう一つの貨財、たとへば製品の中の運賃を分析いたすのも一つの途でございましようが、すべての物資をそのあるがままの姿で結局その物價運賃というものを比較してみれば、私はそれで十分なのではないかというふうに考える次第でございます。それからたとえば一年間の貨物收入が現在は約百億程度でございますが、今度三倍半になりますれば、今後六月あるいは七月以降といたしましても、約三百億という数字になると思います。この國鉄運賃物價影響いたしております分は、この三百億以外にはあり得ないわけでございます。結局現在の百億が三百億になれば、二百億だけが必ず一年間の物價影響するということになるのではないかと考えます。そのほかにもちろん船の運賃も上り、小運送の料金も上り、自動車の料金も上るというようなことで、あるいはそれにいろいろなチヤージが上つていくというようなことがございますれば、この二百億だけが物價影響するのではなくして、そういうものを加えればさらに大きな数字に相なるのでございますが、ただ國有鉄道の場合のみを考えますと、この物價影響する面はいろいろな物資を通じて二百億、これはありとあらゆる原資材もあれば、製品もあるわけでございまして、それの比率をとつてみますれば、先ほど重要物資だけについて御報告に記載して申し上げたのでございますが、あらゆる資材についての運賃が出てくるわけでございます。この運賃のとり方はどうしているかと申しますと、その物資の平均輸送距竝をとつております。平均輸送距離と申しますのは、たとえば石炭で申しますならば、山から港までごく短距離運送されるものもあり、また山かるあるいは東京、大阪方面まで直通して参るのもございますが、それらの平均した距離、その平均輸送距離の運賃というものをもととしておりますので、結局運賃をプールした形になつておりまして、これが物價に占める運賃としては実際とは離れておりますが、たとえば統制價格のあるものにつきましては、運賃として考えるのに一番適当なものではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  45. 川島金次

    ○川島委員 どうもこの運賃物價の全体に及ぼす科学的な根拠に乏しいように聽いておる。かりに國鉄運賃値上げされて、國鉄のみに関する物資の値上げによる國民負担が、大体三百億万円になるわけであります。國鉄は言うまでもなく國内輸送の骨格をなしておるその國鉄運賃値上げ、その倍率に從つて、地方鉄道、さらにまた二運送、貨物輸送等にまて影響せ及ぼしてくる。そういう形で累加されていきますと、おそらく國民の末端における消費者が負担すべき運賃率というものは、おそらく一千億を下らないという形になるのではないかということが、私素人でありますから綿密な調査をしておるわけではございませんが、そういう國民の末端においての消費者の負担において、國鉄の三倍半の運賃値上げがその負担力において、どの程度の國民負担になつてくるかということは、きわめて重大な問題であろうと思います。そこでそういうことをお尋ねいたすのでありますけれども、この運賃値上げがどういうふうに國民負担の上に、全体的に及ぼしてくるか、そしてそれがいわゆる健全財政を称えておりますところの、家計の赤字の上にどういう影響をもつてくるかという根拠は、非常に私は大切な事柄であろうと思う。從つてそういう事柄について、いろいろの方面の方々についてお尋ねいたしましてもわからぬし、國鉄当局にお尋ねいたしましても、具体的に明確でないということになると、われわれはこの案の審議に重大な支障をもつと思うのであります。そこでそういう明確な、科学的な明細なものを私どもは欲しいというのではございませんが、少くとも國民がこの程度の負担になる。物價に及ぼすところの運賃というものは、こういう形になる。そうして企業と家計の上にこういうような形において響きがくるのだというような、納得のできるような根拠を、私どもはまず第一にこの問題を審議するに先だつて、非常に大切な要件だと思いますので、もしただいまそういう資料をお持ちでございませんけれど、定めし経済安定本部においても、この問題は重大なことでありまするから、ある程度の調査もできておるでしようし、國鉄の内部においてもその点の調査が多少なりとも進んだ上で、この運賃問題が提案されておることと御想像を申し上げるので、きようその明細な事柄の御報告ができませんければ、後刻でも結構でありますから、まずこの御報告を願いたいと思います。もし今できませんければ、それはあとにして、次の質問に移ります。
  46. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。後刻いろいろの資料を御指示によつてつくりたいと思います。但しこういう見方ができるんじやないかと思います。今回の値上げによりまして、貨物運賃の面では、現在の百億が約三百億になる。これは大ざつぱな勘定でございますが、そうすれば二百億の國民負担増加で、それだけは物價に加わつてくるということになりますが、結局それを現在といたしまして、鉄道の総貨物の運賃量を八千万人の國民に割当てますと、國民一人当り一年間に貨物が一トン半ぐらいになる。そうしますると、これは鉄道運賃だけでありますが、一人の鉄道運賃負担の持分は、二百五十円程度の増加になる。こういう見方がひとつできると思います。そのほかに國の二十三年度石炭以下の総生産量と、その價格を調べまして、その総生産額の價格に対する運賃がどうなるか、こういうような調べもできるかと存じております。そのほかに海上運賃でありますとか、先ほどのチヤージあるいは陸上小運送運賃、そういうものが年間にどれぐらいになるがということを調べまして、そういつたものと総生産價格が、どういう関係に立つかということを調べまして、御報告いたしたらどうかというように考えております。
  47. 川島金次

    ○川島委員 それではそれはお願いすることにして、次にお伺いすることは、國鉄運賃値上げの必要性の事柄について、いろいろおありでありましよう。その中でも先ほど館君からもお話がありました石炭の問題、燃料の問題は國鉄赤字の大きな要素であつたということは事実だと思います。そこで私お伺いをいたしたいのでずが、この五箇年計画の中にも、可能なれば二十三年度中に石炭節約を三〇%、すなわち石炭消費量を七〇%に減らしたい。こういう目標があるかのように私は参考書類を見たのであります。その場合にはもちろん炭質の選択ということが第一要件になると思うが、その事柄を中心として、適当に、算術的な計算でありますが、一應の計算を今してみたのであります。もし今國鉄が使つておるところの平均石炭カロリーが五千三百カロリー程度、この五千三百カロリーの中に六千程度のカロリーをもつた炭質のものがどの程度はいつてくるか。それからまた昭和二十三年度の最大限の見込みとして、そういう優良な炭質をもつた石炭が安山からどのくらいの配当を受けられるような見込みであるかということを、まず御教示願いたいのであります。
  48. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 こまかい数字をもつておりませんので恐縮でございますが、先ほど言われましたように、ただいままでの実績は五千三百カロリー程度になつております。本年度におきましてはこれを安定本部との協議におきまして、五千六百カロリーにいたそう。それで現在の五千三百カロリーの石炭でまいりますと、どういたしましても今回の列車増発等におきまして、石炭が八百万トン以上要るという計算になるわけでございますが、これを五千六百カロリーにすることによりまして、本年度は七百六十万トンの石炭でいき得るように考えておる次第でございます。これがさらに六千カロリー、あるいはそれ以上になりますれば、これは加速度的に消費量は減つてまいるのでありまして、過日お話を申し上げたときも、優に百五十万トン、二百万トンの節約はなし得るということを申し上げた次第であります。ただいまのところといたしましてはその程度でございまして、たまに六千カロリー以上のものがはいつてまいります。そういうものを鉄道といたしましては非常に炭質の惡いものも混炭をいたしまして焚いておるのでありまして、結局そのレベルが全部上りませんと、六千カロリー以上というものは確保できないということに相なつております。炭質の惡しものだけではどうしても蒸氣が上らないで、結局列車が勾配を登らないということが起きるわけでありまして、冬期間などにおきましては未だにそういう事故が起きております。從いまして機関区におきましては、この混炭ということに非常に力を注いでおりまして、惡い石炭とたまたま藥みたいにはいつてまりますところの六千カロリーの石炭をぜ合わせまして、ようやくこの五千三百程度のカロリーを維持しておるという現状でございまして、本年度の五千六百カロリーも、実を申しますとわれわれの予想といたしましては、この際立てておりますいろいろの数字のうち、最も危いと申しますか、希望的な数字ではなかろうかというように、実は心配いたしておる次第でございます。なお炭種別あるいはカロリー別の石炭の非常にこまかい資料は、しばらくお待ちを願わないと困難かと存じますが、できるだけ資料を集めましてごらんに入れたいと思います。
  49. 川島金次

    ○川島委員 続いてお伺いいたしますが、その旅客、貨物両運賃を並行的に上げれば相当な收入増をみることになるのですが、そこで私はちよつとその分析をしてもらいたいのです。七百六十万トンですか、七百五十万トンですか、その石炭需要量に対して貨物に振向けられる石炭の量、客車に振向けられる石炭の量並びに両方のそれぞれの新しい達價による價格、それと運賃收入との倍率。それから電力による旅客運賃の收入、こういつたものの分析があればまずお示しを願いたい。
  50. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 ただいま手もとにその資料をもつておりませんので残念でございますが、これも後刻に讓らしていただきたいと思います。大体旅客と貨物列車とは昨年度におきましては、運轉キロはとんとんでございます。貨物列車に使用する石炭量は、旅客列車に比して多いのでございまして、その結果ごく推算いたしまして、貨物列車六十五対旅客列車三十五くらいの指数になつておると存ずるのであります。それから電氣区間における旅客收入と貨物收入の実数というものも、実は手もとに資料をもつておりませんので、準備いたしておきます。
  51. 川島金次

    ○川島委員 國鉄には國鉄経営でやつておる志免炭鉱というのが確かにあつたと私は記憶しております。この志免炭鉱で出されておる年間の生産高。それから志免炭鉱における生産石炭の平均カロリー。それから志免炭鉱で生産されておる石炭運輸省に直接はいるのでなくして、國家物動計画の全体の中に入れられてあらためてそれを配当されておるのか。それとも志免炭鉱における採炭量というものは石接國鉄にはいつてくるのか、この点についてまずお伺いをいたしたい。
  52. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 お答えいたします。志免炭鉱の石炭はただいま月産ほぼ二万トンに達しております。大体この月産二万トンは維持できて、あるいは今後度の下半期におきましてはさらに成績があがるのではないかと期待しておりますが、平均カロリーは六千カロリーでございます。それからその石炭は直接こちらへ受けておりますが、しかしその数量はいわゆる物動のわくの中に一旦はいりまして、割当を受けておる。しかし実際的には直接山からこちらへ運送するという形式をつております。
  53. 川島金次

    ○川島委員 この志免炭鉱はよくわかりましたが、しかも平均カロリーは六千カロリー、非常に私は國民とともにその点を着目したいのであります。平均月産二万トン、一箇年二十四万トンになりますが、さらにこれを生産拡大をする余地があるかどうか、そういう計画をもつておるかどうか、五箇年計画の中にもこの志免炭鉱の生産拡大計画が織込まれておるのかどうか。この事柄はやがて今後の國鉄の使用石炭の炭質の問題、経費の問題に大きな影響があるのですが、それがわかつておりましたならばお示しを願いたい。
  54. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 志免炭鉱は現在縦坑を整備中でございまして、ただいま月産二万トンと申し上げたのは旧坑のところの一尺層を主として掘つております。非常に困難な作業を続けておりますが、但しカロリーは非常に優秀であるということで、過日も商工大臣から優良炭鉱として表彰をいただいたという次第でございますが、何分にも一尺層で、非常な記録をあげるということは困難でございます。これは以前から縦坑の整備に取かかつておりまして、ただいまこの縦坑もわずかに整備いたしまして、この縦坑からも多少出るようになつておりますが、今後この縦坑の整備によりまして、あるいはこれを年間にいたしまして二倍、三倍に上げることは容易であるというふうに考えておる次第でございます。ただこの五箇年計画、主として輸送面から見ました数字をもとといたしまして、これに要する電化あるいは工事等を見ておるのでございまするが、この石炭の面といたしましては、結局五箇年後において國鉄の使用いたしまする石炭が六千カロリーに上昇する。これは志免炭鉱のもののみならず、他の炭鉱から買い入れますところの石炭も、六千カロリーに上昇するということを前提といたしまして、五箇年計画が立てられておるわけであります。ちようど昭和二十七年度には、國鉄に配給してもらえる石炭が六千カロリーということになるということを前提としております。
  55. 川島金次

    ○川島委員 しつこいようですが、この点についてもう一遍お伺いいたしたいのですが、その志免炭鉱で採炭されまする炭鉱の経費関係でありますが、それに対しては政府の價格差補給金がまいつておりますか。そういう方面を抜きにして、國鉄自身で消費者價格で志免炭鉱のものを受取つておるか、それとも價格差補給金がその中に加わつておるか、その点をひとつ伺いたい。
  56. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 價格差補給金は志免炭鉱に関しては受けておらないのでございまして、同樣の消費者價格をもつて受入れております。
  57. 川島金次

    ○川島委員 その問題はいずれの機会かに大臣にお伺いをしたいのですが、次にお伺いいたしますることは、この五箇年計画というものは非常に見たところ綿密にできておるようであります。詳しくまだ見ておりませんが、この五箇年計画が完成すれば、國鉄のいわゆる独立採算制というものが実現できるという計画になつておるのであります。しかしながら問題はこの五箇年計画に伴うところの物動計画の問題が適切にマツチしておらぬと、この五箇年計画というものはすぐに崩れていつて、五箇年が六年になり、七年になるというおそれが相当にある。そこでこの五箇年計画の中に織込んだ、いわゆる鉄道輸送力の整備あるいは拡充、こういつた問題に必要なるところの重要な資材の割当計画というものが、國鉄だけで立てたものが、それとも安本方面その他の筋と協議をして確実なる見透しのものに立て、その資材関係が含まれてできたのか、これは非常に五箇年計画の遂行に重大な影響があると思いますので、その点をしつこいようですが、一言承つておきたいのであります。
  58. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 この五箇年計画は実はまだ実施計画までもちろんいつておりませんので、綿密にできているというようにお賞めをいただきましたが、実は安本本部で立てております経済復興計画との吻合もまだ実はいたしておらないということでございまして、これらとの吻合をさらに考えて訂正していかなければならぬ部分が多分にあるかと私ども考えておる次第でございます。ただ安本本部の計画の方がむしろ私どものもつております計画よりは希望的数字が多いのではないか。われわれといたしましては五箇年後の國家生産力がどうなるかということを、むしろ少し臆病なくらいに計画を立てまして、その中で國有鉄道にはこの程度のものは当然配当を受くべきものであるという数字を根底といたして立てておるのでございまして、非常に大きな大それた希望的数字を入れておらないということ、それからもう一つ外國の援助を受ける計画をもつておらないということを申し上げておきたいと存ずる次第でございまして、國家生産力にさらに余裕ができ、國鉄への配当がそれよりも増し、あるいは外國の資材の援助を受け得られます場合には、この五箇年計画がさらに一年なり二年なり短縮することができるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  59. 川島金次

    ○川島委員 最後にもう一言お伺いいたします。それは國鉄におけるところの不正乘車と言いますか、そういつた方面において、一体最近一年間における件数や、あるいは不正乘車を発見いたしまして徴收をいたしました不正乘車料金、こういつたものはどの程度になつておるか。なお具体的にそういう把握をいたした不正乘車のみならず、一体國鉄内の全体において不正乘車はどの程度に行われておるかというような点については、推定でよろしいのでありますが、それを一言お伺いしたいことと、さらにもう一つついでにお伺いいたしますることは、政府は言うまでもなく健全財政を堅持する、いわゆる惡性インフレーシヨンの速度を緩和するために、物價賃金との均衡を保つて、これらのものの安定を期するのだということになり、また賃金の安定を期するということは、家計の赤字の絶滅ということが最大の目標になつておることは言うまでもないのでありますが、殊に旅客運賃の場合を見ますると、旅客全般の運賃値上げがただちに國民の生活の上に量大なる影響があるということは言うまでもない事柄でありますが、その中でも定期、すなわち國鉄を利用せなければ、生産の場にも往復できないし、その職責も果せないという不可避な國鉄利用者というものが相当多い。それからまた今日住宅問題等に禍いされて、教育の機関に鉄道によつて通学をする学生の数というものも、逐次増加の一遂にあろうと私は想像をいたします。しかるにそれら國鉄の利用不可避とする條件のもとに立つておるところの定期券の利用者、あるいは学生の通学者こういつた方面にまで、一般旅客運賃と同率の三・五倍にすることによつて、それらの通勤者に及ぼす影響、通学の学生をもつ家庭の生計に及ぼす影響は、きわめて事は大きな、深刻なものがあろうと私は推測をいたしておるのであります。そこで当局に簡單に事務的にお伺いをするのでありますが、そういう方面について、最初の計画では一應総合して考えに入れておつたのかどうか、考えに入れておいたのだが、結局において旅客全体をひつくるめて三・五倍になるざるを得なくなつた事情があるのか、その点を明確にひとつ教えていただきたい。かように思うのであります。
  60. 加賀山之雄

    ○加賀山政府委員 最初の不正乘車の数、これは非常に殖えてまいつておるのでございますが、ただ現在の交通情勢からいたしまして、そういうことが殖えていることが一方にわかりながら、なかなか取締りも困難であるという状態もございまして、この数字についてはただいま手もとにございませんので、これは川島さんにまた差上げることにさしていただきたいと存じます。非常に殖えていることは事実でございます。  それから定期の運賃につきまして、特に御指摘の点は、まことにわれわれといたしましてもその通りでございまして、特に旅客運賃の改正の場合には、いつも私どもとしては定期の問題には頭を最も悩ますのでございます。何とき定期については考えられないかと思うのでございますが、結局これは現在の普通旅客賃率を上げれば、どうしても定期の運賃値上げせざるを得ないというところまで、現在の割引を実施しているという点でございます。最高六箇月定期といたしまして、九割二分引ということに相つておりまするが、この九割二分引という数字は、計算をいたしますと、結局それを一箇月に割当てる場合は、一箇月の九割二分、つまり三九、二十七日余を割引いていることに相つておるのでございまして、残りはわずか二日余ということに相なるわけでございます。たとえば定期を普通旅客運賃の半分の値上げに止めた場合には、この定期券の割引率はさらに殖えまして、結局一日乘れば定期で済む、つまり普通の一回の乘車と定期とかけ合うという恰好になるわけでありまして、ただいまでも通勤と言えない旅客が定期に移つていくという趣勢は非常に強いわけであります。ただいは登録制という制度を採用いたしまして、結局通勤あるいは通学の事実が証明されたものでありませんと定期を扱つておりませんが、これもなかなかわれわれが考えますようにできないのでございます。そうしますと、普通運賃が定期に乘り移れば、すべての値上げは問題にならなくなつて、結局九割何分の運賃逓減ということに相なつてしまうというような状態になるわけでございまして、この点に定期券の非常な悩みがあるということでございます。われわれといたしましては、特に通勤定期の方は最近会社、工場等におきまして負担をしておるという例が非常に殖えてまいつておりますが、通学定期につきましては、どうしても一般の家庭の生計費に影響せざるを得ないという点がございます。実を申しますと、先ほどお話に出まして不正使用も学生定期がかなりございますので、これは風教上もまつたく顰蹙すべきことであるというふうに考えておるわけでございまして、何とかいたしまして学生定期には特別な考え方ができないかということも、実は平常研究し苦心を拂つておるのでありますが、定期につきましては、つまりそういつたぎりぎりのところまで現在割引率を上げてきておるという点からいたしまして、普通運賃の倍率をそのまま定期にも適用せざるを得ない窮状にあるということを御了承願いたいと思う次第であります。
  61. 川島金次

    ○川島委員 私は実は正直に申しますると、まだ法案をよく読んでおらないのですが、第何條でしたか、運輸大臣がこの法律によつて、一箇月ないし三箇月の定期券に対しては普通料金の百分の五十までしか引上げることができない、六箇月は百分の四十以上を上げることができない、こういうことになつておる、それを逆に考えますると、今度の三・五倍の運賃の上げた上において、運輸大臣がこの法律によれば、今後國会の承認を経ずして、普通料金の百分の四十まで、あるいは普通料金の百分の五十まで上げ得るという権限を留保してある、あれは精神なのかどうか、これをひとつお伺いをいたします。
  62. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 今お尋ねの條文は、今度の國有鉄道運賃法の第五條の一項でございますが、この法案の書き方が少しむずかしくなつておりますがゐこれは少くとも五割引とせよ。少くとも六箇月定期に対しては六割引せよ。それ以上運賃を高くとつてはならいということは、運輸大臣に対して旅客の利益を保護するために義務づけておる規定であります。それから現在最低は嶋六割引でありますが、実際の伴数の処理等の関係で現在においても五割引程度のものが現われております。今度の運賃についてもそういうものはできるわけであります。そういうものを考慮しまして、現在通り最高の線を規定したものであります。御承知のように非常に距離につきまして、また通用期間につきまして、こまかい表になります。從つて法律に書くのは適当でないと思いまして、一應運輸大臣の義務といたしまして、ここに一箇月定期及び三箇月定期は百分の五十に相当する額を起えてはならない。それ以上とつてはならないのだというような抑えております。内容はそのまま法文に最高の線だけを示して、しかもそれ以上、上げてはならないと、運輸大臣に義務づけた規定でございます。
  63. 川島金次

    ○川島委員 それに関連してお尋ねします。そういうことが説明されると若干わかるのですか、法文自体から推測をいたしますると、今大体旅客運賃は、定期の六割減あるいは六割以上にまわつているのではないかと思う節がある、六割と仮定しまして、今の法文から申しますると、この法案國会で承認されたあとにおいて、運輸大臣、権限において今の六割を五割減に引上げる、こういう権限がこの法文によるとあるかのごとく誤解されやすい点がある。この法文の書き方が係し明確でない点があると私は感ぜられるのですが、その点は当局ではどういうふうにこれを見ておるのですか。
  64. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 法文の上ではなるほど大臣の権限に任されたようになつております。ただこの運賃法それ自身は、財政法第三條の特例に関する法律と関連をもつているもので、御承知のように財政法第三條の特例を関する法律では、國有鉄道の基本賃率となつております。從つてこの割引が基本賃率であるかどうか非常に問題でありますが、一應國民の生活に非常に密接な関係上、ここに第五條として大臣の義務づけたわけです。そこで大臣はこの範囲内で勝手にやれるかどうかという問題でありますが、勝手にやりますと、いろいろ段階をきめて現在組んでおります一キロから四十キロ近くまでの、この賃率割引率の全体が崩れてまいりますので、さようなことはせずに、当分の間はこのままいきたい。ただ改正は第八條の点等から見ても、割引率の変更度の微細なものは、運輸大臣ができるような権限になつております。現在の方針としては、なるたけ微細な変更はしないで、現在通りつていきたい、こういうように思つております。
  65. 川島金次

    ○川島委員 ちよつと納得できないのでもう一言、財政法第三條特例による基本率の問題に関連してきておるようですが、たとえば今百分の四十という数字がここにはつきりと出ておる。一方に百分の五十という数字を出しておる、ところが現行の定期割引率、さらに改正の割引率、これを総合して見れば、現在相当の割引率になつておる。今の法文から見ると、そういうことはやらぬという説明だけでは、國会としてはなかなか承認しがたい。明確に現行率を超えない形になつておらぬといけない。今の法文の内容を見ると、運輸大臣が勝見に普通旅客料金に比較いたしまして百分の四十まではやれる、一方は百分の五十まではやれる。この幅が相当にある、こういうことになるのではないか。その幅をなおかつこの法律によつて運輸大臣が自由にきめるということに、法文に解釈から言えばなり得る。どうもその点が説明だけでは納得できないし、法文自体が國民の了解に苦しむように書き方が含んでおるこれは運賃等をきめますのに、財政法第三條の精神を貫きたいという建前でいきますと、どうも簡單に納得のいくような形で務させてないと思う。これは私の頭の惡いせいかわかりませんが、こういうことはもう少し定期を上げる率というものは、現在のありのままの姿だけを明記して、そこに何か幅があるように解釈できる余地を絶対になくすべきだという考え方を私はもつのであります。從つて定期の割引率を若干でも改めるというときには、財政法第三條並びにこの運賃法の基本の精神に副つて、あらためて國会の承認を経るという一貫した相確性をもつた法文であるべきであるという考え方をもつのであります。どうも今の説明ではちよつと簡單に納得ができかねます。しかしながらこの問題を論議することもどうかと思いますから、いずれかの機会にいたしまして、私は以上申し上げたうちで、私に対する即答のできなかつた各種の資料については、運輸当局においてでき得る限り明細なものを、私一人に限らずこの委員全体に渡のように御苦労願いまして、資料をおとりまとめ願いたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  66. 館俊三

    ○館委員 國有鉄道運賃法案というものは、財政法に基いて初めて提出された法律ですが、今後の運賃の改正がまたある時分に、この法律の、殊に第一條は一般的なことを言つておるのですが、こういうものが準用される立場において、恒久的なものかどうかということの一つの疑念、これはこのたびの運賃値上げするとこだろの法律案であつて、この次のときにはまたあらためて改正法律案が出るものだと了承していいのかどうか。もう一つ第八條で「全体として國有鉄道の総收入に著しい影響を及ぼすことがない運賃ということですが、第五條の定期旅客運賃というものは、第八條に何か引かかつておるのかどうか。それから運輸大臣がこれを定めるということ田、一箇月、三箇月、六箇月のこまかを表をこの法律で定めることは手数であるから、こういうふうにしておいて、第八條へもつていくというややこしいことになるのかということを、もう一つ一箇月、三箇月の百分の五十とか、あるいは六箇月の百分の四十というのは、今改正を示されている現行の三倍半というものに相当するかどうか、そういう点について伺いたい。
  67. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 第一の將來運賃改正を行う場合に、いかなる形になるかとの御質問に対しましては、本法の改正案として團体の御審議をお願いすることになるのであります。それから第八條の運賃または料金の軽微な変更、これは災害の際の運賃の減免、学生兒童等に対する割引、團体旅客に対する割引、私有貨車を使用するものに対する割引等のごときものであります。それと先ほど御説明しました第五條の定期運賃の割引率は、やはる基本運賃率ではないという点からいたしまして、第八條の点とも関連して運輸大臣にお任せ願う。こう考えております。非常にこまかい事務的な表につきましては、後刻お示しいたしたいと存じております。
  68. 館俊三

    ○館委員 もう一つの、百分の四十なり百分の五十というのはどういうことになりますか。
  69. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 現行通り、百分の五十なり百分の四十なりしたものの三倍半になるわけであります。割引率は現在と少しも変つておりません。
  70. 井谷正吉

    ○井谷委員 本日はこの程度で散会されんことを望みます。
  71. 川野芳滿

    川野委員長 井谷君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 川野芳滿

    川野委員長 それでは次会は公報をもつて御通知申し上げることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会