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1948-06-05 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会財政及び金融委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月五日(土曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員  運輸及び交通委員会    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 高瀬  傳君       大澤嘉平治君   小笠原八十美君      岡村利右衞門君    増田甲子七君       井谷 正吉君    佐々木更三君       重井 鹿治君    島上善五郎君       島田 晋作君    館  俊三君       原   彪君    飯田 義茂君       堀江 實藏君  財政及び金融委員会    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 塚田十一郎君 理事 島田 晋作君    理事 中崎  敏君 理事 梅林 時雄君    理事 吉川 久衛君       淺利 三朗君    石原  登君       大上  司君    島村 一郎君       川合 彰武君    河井 榮藏君       佐藤觀次郎君    田中織之進君       松原喜之次君    林  大作君       八百板 正君    金光 義邦君       後藤 悦治君    細川八十八君       井出一太郎君    藤田  榮君       本藤 恒松君    堀江 實藏君       河口 陽一君    本田 英作君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 岡田 勢一君  出席政府委員         運輸事務官   加賀山之雄君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君         專門調査員   氏家  武君     ————————————— 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法案内閣提出)(第七七号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議を開きます。  これより國有鉄道運賃法案を議題として質疑に入れます。質疑を許します。川合彰武君。
  3. 川合彰武

    川合委員 私どもは主として財政見地から大局的な面から本法案質問をいたしたい、かように考えておるのであります。運輸交通委員会の方々には、それぞれ專門的視野において細部的な審議をされておる際でありますので、あるいは御迷惑かもしれませんが、しばらくの間時間を拜借させていただきます。  まず先にお尋ねしたい点は、昨日の北村大藏大臣財政演説の中に、今日の國民経済生存経済段階から生活経済段階に進んだということを言われておるのでありまするが、今回のこの鉄道運賃値上げ大衆に與うる影響というものはかなり甚大であります。そこで私どもは今回の運賃の値上に関して、そういうような生存経済から生活経済にはいつたというような考慮を拂つたかどうか。この点をまず運輸大臣お尋ねしたいと思います。
  4. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。昨日の大藏大臣財政演説中でありました経済論の問題につきましては、見る角度によりましていろいろ違うのではないかと存じます。ただ運賃値上げ策定にあたりまして、川合さんの御指摘のように、大衆生活に非常に影響を來たすということは、私らもつとこれを重視いたしまして、その面から大なる檢討を加えまして今回の案を策定いたしましたわけでございます。この経済理論の点につきましては、財政当局のお考えであり、大藏大臣から御説明願つた方がいいかと存じます。
  5. 川合彰武

    川合委員 次にお尋ねしたい点は、われわれは各特別会計独立採算制ということは実現すべき一つ理想である、かように考えるのでありまするが、現在の日本鉄道あるいは通信というものは、ノーマルな状態にないわけでありまして、アブノーマルな状態のもとにおいて経営されておるというような実情にあるのであります。從つてこういうような平時ならざるときに、独立採算制考えることの是非ということは、相当研究すべき問題であろう。しかるに今回はなるほど一般会計からの補填は九十七億円程度ではありまするけれども、一應独立採算制ということを趣旨として、今回の運賃値上げがきまつたわけでありますが、私は独立採算制にあまりにとらわれて、他の國民経済の面を忘れたという感じが深い。これは第一点の質問と関連するのでありますが、私はそのようにして独立採算制にとらわれたあまりに、今日のように結果的に大衆経済に與える影響が強いということを非常に遺憾に思うのでありまするが、それはそれといたしまして、まず運賃値上げ倍率の問題でありまするが、貨物運賃旅客運賃を同率にしたという点であります。そこでまずお尋ねしたい点は、物價における生産原價中に占める貨物運賃比率考えたかどうか。私どもの若干の研究によりますならば、今回の運賃値上げがあつても、來るべき物價改訂によつて七割上る結果、原價の中に占める運賃比率は、むしろ若干下るというように思うのでありますが、物價における運賃の占める比率に関して一應お尋ねしたいと思うのであります。
  6. 岡田勢一

    岡田國務大臣 独立採算制にとらわれすぎておりはしないかというお尋ねであります。これに対しましては、國有鉄道國営でございますけれども、やはりこれは企業性をもつた経営をなさなければなりませんので、原則といたしましては独立採算理想とするわけでありまするが、川合さんも御指摘のように、今日の経済状態がノーマルな状態にないということを私らも認識しておりまして、そしふそれにとらわるべきものでないという見解をもつております。しかしながら、この鉄道利用されます人たちに対して與える思惠は、一方におきましては反対に國民の全体に対して租説その他の形式で御負担をかけなければならぬということにもなりますので、それで過渡期の措置といたしまして、独立採算制までもつていかないけれども、一應その方向に進むことによりまして、大きな赤字補填、すなわち一般國民から御負担を願うという方向を少くするという、両方考え方を兼ね合わせまして、ただいま策定いたしましたような倍率にいたし、一般会計からの赤字繰入れ百億円というような数字に一應案を決定いたしたわけであります。  それから物價引上げに対する鉄道運賃値上げ比率はどういうふうであるかというお尋ねであり、またそれを考えたかということであります。もちろん物價値上げに対しまして、鉄道運賃が大きな影響をもつことは申すまでもないことでございまして、主要物資影響するその比率については、事前に技術的に相当精密な計算をいたしまして、その数字を出したわけでございます。それによりまして物價を抑えます倍率に合う貨物運賃引上げがここに算出いたされまして、倍率が出されたわけでございます。この比率の詳細につきましては、もし御要求がございますならば数字をもつて説明させましても結構でございます。
  7. 川合彰武

    川合委員 一應その数字説明をしてください。
  8. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 お答えいたします。物價は申すまでもなく原資材、それに加われます労働等がその原價をつくるわけでございまして。その中には必ずあらゆるものに運賃が含まれていることは申すまでもないことでございます。ただそれを過去に遡つてその運賃部分がどう積み重なつて最後物價なつているかという檢討は、これは非常に困難でございますので、私どもといたしましては、一應でき上りました、つまり消費される貨物につきまして、これを運送される貨物として、その中の運賃がどれくらいであるという計算をいたさなければならぬと思うのであります。さらに原資材運賃、あるいはそのまた原々資材運賃というふうに考えますと、非常に複雜になりまして、科学的に言えばそういうように分析はもちろんできると思うのでありますが、私どもといたしております計算は、一應非常に簡單とお考えになると存じますが、貨物運賃物價影響する分は、結局國有鉄道運賃のみからみますれば、一年間に貨物運賃として國鉄に收納される金額、これが結局物價影響する、かように私は結論としては考えられると存ずるのでありまして、そういう見地から申しますと、これを過去に遡つてみますと、重要品目平均いたしました原價運賃との比率は四・六一%ということに相なつております。主食でありますところの米、麦、それから石炭、鋼材、原木、木炭、鮮魚、セメント、硫安、生糸、そういつたものの総合算術平均をいたしたものでありますが、たとえば昭和十一年度において、米でございますと一・一%石炭でございますと九・八%、そういうものを総合いたしました概数が、四・六一%ということに相なつております。二十二年七月、これは昨年の物價大形における数字でございますが、同じように申しまして、米が〇・二八%、石炭が四・一二%、総合平均いたしましたものが、一・五四%というふうに相なつております。今回の新物價体系における價格と新運賃との関係を同じように見方で見ますと、もちろんこれは両方ともきまつておりませんので、今後予想される價値でもつて比率をとりますと、米におきましては〇・五七%、石炭におきましては五・一五%、総合平均いたしましたものは二・八七%と相なつております。これはお手もとに差上げました赤字の原因と運賃値上げ必要性という刷り物の第十ページにございますので、一應私ども考え方を申し上げておきます。
  9. 川合彰武

    川合委員 参考資料損益勘定採算表によりますと、経営費給與二千九百二十円ベースでこれを計算しておるというようにここに明記されておるのでありますが、この前もお伺いしたのでありますが、この二千九百二十円ベースというものは、一月ないし三月の暫定給與であつて、新年度にはいつた四月以降は新しい賃金水準で拂うというようにわれわれは理解しておるわけでありますが、運輸省当局としては、はたして國鉄の組合がこの案で十分満足していると考えるかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  10. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。賃金ベースを二千九百二十円ベース現行採算を出しておりますが、川合さんの御指摘は、新年度から運賃ベースが変更されることになつておりますが、それがはいつておるかどうか、こういう御質問だと考えます。新年度から運賃改訂を考慮すると申しますことは、四月の一日から改訂をするという意味でないのでございまして、物價改訂されます時期に檢討を加えまして改訂をする、こういうことに政府においては大体の決定をしております。從いまして四月、五月分の給與改訂ということは、私の方といたしましてはただいまでは考えておりません。六月からの新賃金ベース改訂ということによつて計算を立てておる次第でございます。
  11. 川合彰武

    川合委員 この運賃値上げに関連しましては、おそよく運輸省におかれても経営合理化という点は万般の処置を講ぜられるというようにわれわれは了解するわけでありまするが、殊に物件費の中の比重を占むる石炭價格あるいは石炭の質というような問題で、どういう方針をとつておられるか、この点についての御見解を承りたいと思います。
  12. 岡田勢一

    岡田國務大臣 経営合理化につきましては、非常に重要視して熱心に研究をいたしつつございます。石炭價格の点につきましては、石炭價格改訂せられます水準をもつて計算をいたしておりますが、カロリーの点も非常に重要でございますので、これは今日の石炭生産現状に照らしまして、大体において可能なカロリー数関係廳と協定いたしております。そのカロリー数平均五千六百カロリーのものを鉄道に納入してもらう、價格現状の千四百二十四円に、今回新物價改訂によりまして二・六倍になりという予定でございますので、それを計上いたしております。
  13. 川合彰武

    川合委員 きようはまだ質問がありますけれども、林君が何か質問があるそうですから、一應保留しておきます。
  14. 林大作

    ○林(大)委員 私は今度の鉄道運賃の問題を、いかにも赤字が出るから困るという赤字対策り面ばかりからおもに研究されておるような感じを受けておるのであります。しかしこれは先ほどの運輸大臣の御答弁にもありましたが、あくまでこれは鉄道そのもの経営整理という問題を、まず最初に徹底的にやつて、そうして赤字対策というものについては、第二段階にはいつておるべき問題であると思つております。それで私は、きようはあまり時間がないようでありますから、私の氣づいておる点だけを概略申し上げておきまするが、鉄道そのもの経営の改革という面から私ども考えておる一つのことは、まず経営現業を中心といたします関係上、行政面であるとか、監督の面であるとか、他の私鉄会社に関する面であるとか、そうした鉄道現業以外のものを、どういう関係で切り離していかないかということであります。そうしてこれを切り離されて、現業面だけを一つ経営体として考えていくという考え方がまず必要であろうと思うのであります。  その次に、独立採算制の問題はもちろん考えなければならないと思いますが、それに関連いたしまして、今の使用炭價の問題であるとか、それをいかにしたら合理的に手に入れ得るか、またその炭をいかにしてらほかの産業との関連を大きく害することなく、鉄道に最も適当なものを入れ得るかというような問題、並びにそれに引続きまして、今まで鉄道納の炭と申しますると、私どもも多少の経驗がありまするが、官廳納の炭は非常に官僚的な買い方をしておる。そうした面がありまするから、それをもつと碎けて、鉄道の炭は鉄道で運ぼうというようにして、山元で買い入れるということも御研究なつたらどうかというような点、並びに現在では、運賃はある一定キロ数以上に逓減することになつておりまするが、鉄道というものは、みんなに乘つてもらつて、たくさん乘ればもうかるから安くする。たくさん物を遠くまで運べば安くするというのは、これは通りますが、もうからない鉄道逓減の制度というものは不必要ではあるまいか、つまり逓減を廃止する考え方についてはどうお考えなつておるか。  それから鉄道勘定の中で、建設勘定とか、損益勘定のほかに、中間勘定というものをおもちのようでありまするが、この中間勘定を土台にして、相当物資の買込みとか、惡く言うと買だめなどをやつておられるように聞いておるのでありまするが、この中間勘定をいかように使用されており、またこういうものが必要であるのかというような点、それからもう一つ附け加えまして、炭が惡くても馬力の出るように、熱管理をどういう程度までやつておるか、どんな研究をしておるか、こういうような点、最後鉄道弘済会その他の鉄道附属團体でありますが、こういうものに相当費用が要るのではあるまいかと考えられる点、並びに鉄道弘済会は今駅などで見ておりますと、非常にもうかるように感ぜられるのであります。これは社團法人であるから税金を免れているのか納めているのか知りませんが、こういうものも鉄道営業なら営業として設けて取りこむなり、ないしもしこれを切り離すなら、はつきり営業として、税金をとつて鉄道会計の方へ入れるなり、弘済会に対するはつきりした態度をとつていただきたい。殊に弘済会については後ほどまた質問をいたそうと思つておりますが、いろいろ世間において風評があります。ですからこの点も省の方からはつきりした態度で内容を公開していただくことが必要ではあるまいか、かように考えるのであります。特に質問と関連して恐縮でありますが、私はこの熱管理研究の進度、それから中間勘定及び弘済会損益、その利益の処分、税金との関係、この三つについての資料をいただきたいと思うのであります。かような鉄道自体整理問題を一應よく運輸大臣から承りまして、それから後に赤字対策にはいつていくのが当然の途であろうと考えまして、あえてそれらのことについての御答弁と御研究とをお願いする次第であります。
  15. 岡田勢一

    岡田國務大臣 林委員の御質問相当廣汎にわたつておるのでございますが、大体私からお答え申し上げまして、数字等の細かい点につきましては事務当局からお答え申し上げます。  今回の運賃に対する策定が、赤字対策の面のみから考えておるのではないかという印象を與えておりますことは、相当にそのようになつておることと存じます。もちろん林さんの御指摘のように、鉄道特別会計自体整理経営合理化等を先決問題としなければならぬという御意見は、まつたく私も同感でございます。ただこの整理あるいは企業整備合理化と申します点につきましては、從來からも相当に努力してまいつておるつもりではございますが、まだまだロスの出ておる点もございます、改善を必要とする点もございます。また同時に御指摘になりました現業現業として独立させて、そうしてはつきりと能率関係ロス関係経営実態がわかるような組織にしようという御意見もごもつともであります。これらの問題を含めまして、私たちはただいま盛んに愼重檢討を加えまして、改善いたしております。しかしそれができ上らなければ賃金体系改正はできないという考え方は、ただいまの日本経済状態から考えまして、どうしてもそのようにできぬのでございまして、それをやりながら、まず物價体系改訂に伴いまして、運賃の面を改正しなければならぬという必要に迫られておるわけであります。その点から申しますと、日本経済のただいまの現状、すなわち赤字生産を続けております現状から鑑みまして、これを救済いたしますために物價改訂が行われ、同時に賃金体系改正しなければならぬという必要に、先に迫られてまいります。鉄道特別会計赤字云々は第二段の問題といたしましても、それに関連し、それに伴いまして、鉄道運賃改正をやらなければならぬ。こういうことになつてきておるのであります。  それから行政現業の分離については、林さんの御意見もこれは分離すべきではないかという御意見であろうと存ぜられますが、私らもこれは現業現業のみに切り離しまして、その経営実態がいつでも把握できますよう、非能率の点あるいは不合理の点がいつでも指摘できますような体系におくということがまず必要である。そういうふうに考えております。將來の方針といたしましては、行政監督面現業とを分離いたしますことに大体考えをきめかけておるわけでもございますが、この問題を実行に移しますにあたりましては、いろいろ今日の経済状態あるいは今までの運営をしてまいりました運営面、その他事務技術方面に対しまして、錯綜いたした面が相当にありますので、短時日をもつてしてはできないことになりますので、まずこの予算に組み入れますにあたりまして、行政監督面現業面との経費を分離いたしまして、そして今回予算案で御提案申し上げているのでありますが、行政監督費一般会計から賄うことにいたしましたわけであります。それで鉄道特別会計のみの收支計算を立てて御審議を願うことにいたしております。それらの問題につきましては、ただいまも運輸省におきまして立案をしつつあります。國有鉄道審議会という調査研究機関をつくりまして、そこで愼重研究いたしております。しかし時日をいつまでもだらだらやるわけでありません。速やかに成案を得ることにいたしまして、着々と今後実行に移していきたい。かように考えておる次第であります。  それから消耗品資材等買入入手方法につきましては、今日までもほぼ合理的な方法でもつてきておるつもりでございますが、石炭等山元渡しの問題も、これはおつしやるようにできれば非常に結構であるのでございますが、今日の統制経済の建前から、これは配炭公團を相手にいたしまして受渡しをすることになつております。もちろんこれらの受渡しにつきましては、品質、カロリーの檢査、あるいは量の檢收の問題につきましては、嚴格にこれを実施しておるつもりでございますが、なお今後研究いたしまして、欠陥がある場合にはただちに是正してまいりたい。そう考えておる次第であります。  それから旅客運賃逓減の問題でございますが、これは前々からもキロ当り同樣の負担をしてもらうことが適当ではないかという御意見相当あつたのでありまして、終戰後、前の二回の運賃改訂にあたりまして、ずつと昔やつておりました、長距離になりますと六、七段ぐらいに逓減をいたして計算しておりましたのを是正いたしまして、現行運賃は二段だけの逓減に相なつておりますので、今回もそういうつもりでこれを全キロ数画一的にするのがいいのかもわからぬのでございますが、まだ若干研究の余地があるものと考えまして、現行通り二段に逓減して実施しようと考えておる次第であります。  それから中間勘定の面につきましては、これは御承知通り鉄道相当大きな事業でございまして、資材及び消耗品の問題につきましては、ある一定数量を常に確保しておく必要がございます。時により物によりましては、あるいは外部から見られますと、買いだめになりはしないかというふうな目で見られる点もあろうかと思うのでございますが、しかしある一定の基準に從いまして、保有しますストツクの数は常に大体きまつておるのでございます。もしこまかい点になりますならば、担当者説明をいたさせてよろしいと存ずるのでありますが、大体はかような方向でやつております。  それから熱管理熱利用研究でございます。これは林さんも御承知であられると思いますが、私などよりも、もうずつと鉄道経営の先輩の人たち、古い人たちも非常にこの問題は重視いたしまして、いろいろの方法で熱の百パーセント利用、然料の節約ということが今日まで行われてまいつておるのであります。この点につきましてもいろいろの方法があるのでございますが、細部にわたる問題につきましては、あるいは御要望によりましてはその担当者を呼びまして御説明をいたさせたいと思います。  なお弘済会の問題でございますが、弘済会営利目的で行われていないことははつきり申し上げられるわけでございますが、弘済会が日常行つております仕事、考え方採算というふうな問題については、これはやはり公益的の團体鉄道の救済的な團体といたしまして経営しておるのでございますが、この点につきましては私に細部の少からぬ点もございますので、鉄道総局長官から御説明をいたさせます。
  16. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 熱管理の問題といたしましてわれわれの考えておりますことは、第一には、熱管理の域を出ると思いますが、何としてもよいカロリー石炭をするということでございまして、この数量を十分に檢收いたしますために、特に從業員を派しまして、山元において檢收を嚴重にやる。またこれを消費いたす機関区等においても十分に檢收をいたしてやる。これが第一番だと存じますが、そのほか御承知のように最近の炭質の低下に鑑みまして、何とかして粉炭を特に処理をすることを考えようということで、相当長い間研究を積んでまいりましたのですが、何しろ塊炭率が元のちようど逆になりまして、七〇%くらいが粉炭であるというような石炭でありまして、全部を急速に煉炭化することは困難でありますが、本年もまた二十万トン程度のものは何としても煉炭化したい。まずその方法ピツチによる煉炭でございますが、御承知のようにピツチがなかなかありません。そこでピツチレス煉炭考えております。これは草炭を媒介といたしまして、もちろん効果を考えると、ピツチほどにはまいりませんが、こういう方法を講ずることにしております。それから何と申しましても國鉄機関車は、過去に使つておりました六千四百カロリー程度石炭を焚くのに最も適した構造になつておりますので、低質炭を焚きます場合には非常に能率が惡いのでございます。これをできるだけ機関車を改造して、低質炭には向くようにし、それから戰時中につくりました機関車がどうしてもできが惡うございまして、すぐ蒸氣漏洩等を生ずるのであります。これは非常な損失に相なりまするので、つとめて蒸氣漏洩を防ぐように、修繕等におきまして手を盡しておる次第でございますが、これも数多くの機関車でございますので、まだわれわれの十分満足する域には到達しておりません。それからメカニガル・ストーカーというので、これは人でなく機械的に石炭を投炭できる。しかも人間のやりますよりはもつて合理的に、火床面に万遍なく石炭がくべられるという裝置でございますが、これを考えておりまして、すでに一部試驗をして実施いたしたものもございます。しかもその設備は相当大きな機関車でございませんと、かえつて不経済になりますので、小型機関車には適しないのでございます。大型機関車にこれをできるだけ取りつけまして、將來これを普及いたしたい、かように考えておる次第でございます。おもな熱管理方法といたしましては以上のような状態でございますが、昨年もこういう調子で、われわれの力の及ぶ限り石炭は節約しなければならないという見地のもとに、三回にわたりまして節約運動を展開いたしたのでございますが、その結果六%の石炭を節約することができたわけでございます。この点につきましては、お手もとに差上げました「赤字の原因と運賃改正必要性」という册子、これの石炭の項に一部記載してございますので、この点おひまのときにお見通し願えれば結構だと思います。  次に外郭團体の問題でございますが、殊に弘済会の問題に関しましていろいろ御不審を煩わしたことは、恐縮いたしておる次第でございます。もともとこういう機関については、平常からもう少し内情をごらんを願う。あるいは特に資料を差上げて御批判を請うておけばよろしかつたと存ずるのでございますが、ちようどこういう機会にこれを御関心を得ましたことは、われわれとしてたいへんありがたく存ずるのであります。御承知のようにもともと鉄道弘済会は床次竹二郎氏が鉄道大臣であられましたときに、五千円の寄附行為でもつてできました財團法人でございまして、この資料も御満足いただけないかもしれませんが、一應きよう差上げました資料の第一ページに書いてございます。その他御不審の点については特にお答えいたさなければならないと存じますが、鉄道関係といたしましては別に財政的に直接のやりとりはないのでございまして、ただ社会事業、特に國有鉄道の職員が後願の憂えなく働く、こういう特殊の仕事でございますので、退職後はどこでも使つていただくというわけにはまいりません。また鉄道の仕事といたしておりますと、おそらく炭鉱がそうでありますように、その負傷率なり死亡率というものは、かなり高いものでございます。これらの殉職者なり公傷者、こういつた人々の將來は、こういう事業を経営いたしております立場上、何といたしましてもできるだけ後願の憂えをなからしめるというのが、われわれとしての務めであると存じますので、この弘済会を極度に利用して、その措置をとつておるわけでございますが、いかんせん、その資金等の立場から、まだわれわれが満足し得る程度まで至つておりません。しかしながら昨年におきましては駅の賣店、その他の経営いたしておる事業を通じてあげましたところの利益の中から、四千九百万円、これは純粹の社会事業費として主として使つておるという状態でございまして、その他の利益金は、さらにいわゆる資金、資本に相当するものは何もございませんので、昨年度の利益金も積立して保留をいたしておるという状態でございます。この弘済会等に対するわれわれの立場としては、もちろんこれは利益を貧ぼる機関ではない、またあつてはならない。それは極力あるいは手足のない人、あるいは老後を養つていけない人ができるような仕事を見つけて、それに仕事を與えて、みずから働きながらこれを救済していくというところに、重点をおいてまいつているということでございます。みずからどうしても働く途のない者等に対しては、特にあるいはその子供の学資を給與いたしますとか、あるいは生活費の一部を給與いたしますとかいうことで、救済の実をあげていくというやり方をいたしております。それに相應するような仕事をできるだけわれわれの関係する範囲内で見つけてやるというのが、われわれの考え方でございます。たとえば荷物の一時預かりのような仕事、これは必ずしも一人前の人でなくてもできるということから考えまして、過去においては國有鉄道職員が当つておつたのでございますが、これを弘済会に担当せしめる。弘済会はそういつた、言葉は惡うございますが、一人前でないような人でも使つて、それに給與をしてやつていくというようなやり方をいたしておる。こういう状態でございます。
  17. 井谷正吉

    ○井谷委員 本日は本会議もすでに始まりまして、そちらに出席せられる委員相当多数ありまするし、またただいま資料の配付を受けたようなあんばいでありますので、よく見る時間もありませず、またわれわれの質問相当複雜になりますから、この程度で散会されんことを望みます。
  18. 川野芳滿

    川野委員長 ただいま井谷君より散会の動議が出たようでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なければ、次会は公報をもつて御通知申し上げることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十八分散会