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1948-06-12 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十二日(土曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 佐伯 宗義君    理事 高瀬  傳君       大澤嘉平治君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    田村 虎一君       増田甲子七君    松本 一郎君       井谷 正吉君    川島 金次君       佐々木更三君    島上善五郎君       島田 晋作君    館  俊三君       志賀健次郎君    原   彪君       矢野 政男君    飯田 義茂君       堀江 實藏君  出席公述人       淺尾 新甫君    加藤 閲男君       後藤 悌次君    高戸義太郎君       森   晋君    中山伊知郎君       福良 俊之君    川崎 文治君       清水  猛君    井出 正敏君       水谷 三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  木下  榮君         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   藪谷 虎芳君  委員外出席者         議     員 松原喜之次君         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君     ————————————— 本日の公聽会意見を聽いた案件  鉄道運賃値上の可否、もし可とする場合はその  値上率について     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより運輸及び交通委員会公聽会を開きます。  國有鉄道運賃法案は、去る三月三日本委員会に付託せられて以來、連日審査をいたしておつたのでありまするが、委員会が特に本日公聽会を開きまして、鉄道運賃値上げ可否、もし可とする場合は、その値上率について、眞に利害関係を有する者及び学識経驗者等より廣く意見を聽くことといたしましたゆえんのものは、申すまでもなく本法案は、國家経済的見地からも、また一般國民にとりましても、一般的関心及び目的を有し、かつきわめて深い利害関係をもつている重要法案でありまして、國有鉄道事業は独占的であり、かつ公共的性質のものであり、その経営並びに運賃のいかんは、直接國民大衆日常生活に多大の影響を及ぼすものであり、國民各層におきましても、賛否の意見が活発に展開されております現状に鑑み、本委員会としては、國有鉄道運賃法案審査にあたり、國民諸君の声を聽き、廣く國民の輿論を反映せしめ、本案の審査を一層権威あらしめると同時に、遺憾ながらしめんとするにほかならないからであります。しかして諸般情勢によりまして、公聽会をわずか一日しか開けないのを遺憾とするのでありますが、たとい一日でありましても、各位の熱心かつ豊富なる御意見を承ることができますのは、本委員会の今後の法案審議の上に、多大の参考となるものと深く期待する次第であります。私は本委員会を代表して、御多忙中のところ貴重なる時間を割かれまして御出席くださいました公述人各位に対しまして、厚く御礼を申し述べますとともに、各位の忌憚なき御意見の陳述を希望する次第であります。  さらに本日の議事の順序につき簡單に申し上げます。公聽会は一日であり、公述人の人員を勘案いたしますれば、公述人一人当りの発言時間は十五分以内でお願いしたいのであります。公述人発言発言席でお願ひすることにいたしまして、そのときはお職業とお名前を述べていただくようにお願いします。  御出席願います公述人の氏名を申し上げますと、学識経驗者の方では、淺尾新甫君、経済團体連合会代表でございまして、日本郵船の社長であられます。次は加藤閲男君國鉄労働組合委員長であられます。次は後藤悌次君、私鉄経営者連盟を代表して御出席願つたのでありますが、現在專務理事をやつておられます。次は高戸義太郎君、労働総同盟の調査部長の職にあられます。次は森晋君、全國農業会総務局長をされておられる方であります。次は中山伊知郎君、東京商大教授の職にあられます。次は福島俊之君、新聞協会を代表されて御出席を願つたわけでありますが、東京新聞論説委員をされておられる方であります。次は一般からお願いをしたわけでありますが、久保山雄三君、日本出版協会理事をされている方であります。次は酒井新太郎君、新聞社員であります。次は清水猛君、農業をやつておる方であります。次は中村幸生君、これは東大法学部の学生で、全國國立大学自治会を代表して御出席を願つたわけであります。次は松岡洋子君、日本民主婦人協議会会長の職にあられる方であります。次は水谷三郎君、これは官吏の方であります。以上の方にお願いしたわけでありますが、うち中村幸生君は都合によりまして御出席がないので、その代りとして東大法学部、全國國立大学自治会実行委員であられる井出正敏君が出席されたわけであります。また全國農業会竹内常夫君に先般お願いしたわけでありますが、先刻御報告申し上げましたように、森晋君が御出席になりましたので、その御意見を聽きたいと存ずるわけであります。なおまた久保山雄三君の代り川崎文治君、日本出版協会評議員会副議長をされておる方でありますが、川崎君がお見えになりましたので、久保山君に代つてその御事見を聽きたいと存ずるわけであります。以上三君に代つて公述をお願いすることにいたしたいと考えますが、いかがでございましようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 それでは三君に代つて意見を聽くことに決定いたします。
  4. 前田郁

    前田(郁)委員 公聽会にはいる前に一言委員長にお尋ねしたいことがあるのであります。それは本日の一般公述申込者の件でありまするが、私どもは今回の運賃値上げに対しましては、一般においては相当反撃に会うであろう、反対が多いであろうということで、非常な期待をもつておりましたが、本日この表を拜見いたしますると、可とする者が十六人、否とする者が十三人の申込みでありまして、何だか意外の感がするわけであります。この申込み方法その他は、どういうことになつておりましたか、ちよつと参考までにお聽きしたいと思います。
  5. 川野芳滿

    川野委員長 実は先般御選考申し上げました当時は、三十一名であつたわけでありますが、その後到着いたしたのを合わせますと、可とする者が二十四名、否とする者が二十三名、合計四十七名ということに相なつております。それで先ほど申しましたように、九日までに申込み到着の人三十一人につき実は当委員会として選考いたしたわけであります。選考についていろいろ委員会で御相談申し上げた結果、委員長に一任する。こういう御決定でございましたので、委員長において諸般事情を勘案いたしまして、ただいま報告しましたこの六名の方を選考いたした。こういうことにいたしたわけでございます。その点御了承願いたいと存じます。
  6. 前田郁

    前田(郁)委員 ただいまの四十七名というのは、新聞廣告されて、それに対して申込みが來たのでありまするか。またあるいは手心をもつてやられた点があるかどうか。あまりに私は可とする者が多いので不思議に思つておるわけでありまして、その点ちよつとお聽きしておるわけであります。
  7. 川野芳滿

    川野委員長 それはどういう点で可とされるかという点については、委員長としても答弁に苦しむわけでありますが、新聞廣告によつて申込みなつたものであると委員長としては考えるわけであります。正式の申込みによつて委員長としてはただいま申しました方法によつて本日の公述人を選んだ。こういうことにいたしたわけであります。  それではこれより公述人の方の意見を聽取することにいたします。まず後藤悌次君、
  8. 後藤悌次

    後藤公述人 私、私鉄経営者連盟專務理事をいたしております後藤悌次でございます。実はこの公聽会出席しろという話をつい昨日伺つたようなわけでございます。私鉄は殊に最近爭議を長くやつておりまして、こういつた問題について深く檢討をいたしておりませんので、皆さんの御参考になるような意見を申し上げることもすこぶる困難かと思うのでありまするが、せつかくお話でございますから、この際自分の意見の一端を申し述べたいと思うのであります。この今回の鉄道運賃値上げ、この問題を可とするか、否とするかということは、私といたしましては、まことに好ましくはないことでありますけれども、やむを得ず可とせざるを得ない、こういう考えをもつております。そのわけは、運輸省からいただいておりますいろいろの資料から大体わかるのでありますが、二十三年度におきまして約六百五十億の赤字が予想されるということでありますので、この赤字をいかにしてらなくすることができるか、そういうことによつてこの問題が解決されるわけかと思うのであります。よく新聞等にも現われておりますように、まずもつて鉄道経営合理化をしなければならない。たとえば行政整理をやるとか、あるいは臨時的のものではあるが、不用の土地物件整理をするとか、さまざまな前提條件相当に処理をされた、その上ならば、運賃値上げもやむを得ないであろう。こういつたように伺つているのでありますが、しかし私の考えから申しますと、そういつたいろいろの合理化問題というものが、はたして今日の社会の状況からいたしましてただちに実行に移すことができるかどうかということを考えますと、なかなか容易な問題ではない。ただここに考えられますことは、普通に見まして、たとえば收入の面におきましても、参考資料を見ますと、たとえば土地物件、あるいは車輛、自動車、こういつたようなものの貸付、こういつたようなことが、やはりいくらか安過ぎるとでも申しますか、私ちよつと数字を拜見しましても、一万二千合ばかりのトラツクとか、トレーラーとかいうものが、一年一台一万円の貸賃で貸し下げられているように数字が載つております。しかし今日トラツク一台いくら安くても十万とか二十万、あるいは高ければ三十万とか五十万という高價なものを、一年一万円の貸料で賃貸しているというように見えるのでありますが、そういつたように、收入の面においてまだまだ不行届きといいますか、増收をする余地があるのではないか、こういうふうにも考えられます。また特に氣のつきますることは、廣告收入というものが、まことに僅少な数字しか出ていない、私ちよつと見ましたところでは、二十三年度で八千三百万円の廣告收入というようなことになつております。しかし東京都電廣告收入などを見ましても、大体全收入二分程度のものがあるんじやないかと思うのです。都電としてはただあの車内廣告だけしかやつていないのですが、鉄道にいたしますると、かなり厖大な、駅とかその他の廣告のスペースというものが非常にあるのでありまするから、もう少し営利的な考えをもつてこれに努力をいたしたならば、もつともつと増收——たとえば全收入の一割程度、千億收入が期待できるならば、少くとも百億程度廣告收入があげられはしないか、少くとも今日の八千三百万円というものはあまりに過少であり、努力が足りないのではないか。こういうぐあいに考えられます。またこの支出の面におきましても、ずいぶん経営合理化をすべき余地が多々あろうかと思うのであります。これはこまかしいことを申し上げますと、いろいろ申し方げなければならぬのでありまするが、私が基準年度として言われておりまする昭和十一年度を標準にいたしまして、今日の物價労銀等をいわゆる加重計算をいたしてみますると、たとえば石炭は、大体今度の新價格によりまして二百倍になつている、またその他の物價が百十倍ないし百二十倍くらいになるような予想をされている。また労銀が大体七十倍ばかりになつている。こういつたものを加重計算してみますると、大体昭和十一年に比べて昭和二十三年は、およそ百二十倍か百三十倍になるのがあたりまえかと思うのであります。しかしながら実際にその数字を当つてみますると、およそ二百倍以上になつている。そこで今日の予算と言いますか、そういうものを見ますると、そこに行政整理と言いますか、その他の経営合理化による経費の節減というものをやる余地相当あることは、どうも否定のできないことである。当局の方々にそういつたことを要求しなければならない。こういうぐあいに考えます。しかしながらいわゆる終戰以來社会情勢等から推しまして、なかなか今日ただちにそういうようなことは実行できない。少くとも二十三年の予算を云々するにつきましては、あまりにも現実化することができないと思うのでありますが、その他の赤字解消手段としては、すでに皆さん御承知の通り、いわゆる政府一般会計から負担をさせる、あるいは公債その他の借入金等によつて支弁をしたらどうか、こういつたような問題は私が申し上げるまでもなく、一般会計におきましては、いろいろの経費——学校廣設とか、住宅の問題とか、社会問題とか、あげて算えることのできないほど多数な問題がありまして、今日切り詰めて、五千億程度一般予算が出されている。こういつた財政状態のもとにおいて、鉄道赤字一般会計から賄おうということは、ほとんど不可能に近いのではないかと思うのであります。借金をしてやつてまいるのと同樣なわけで、こういつた赤字借金で支弁するということはまことに事理不穏当なことである。かつまたすでに百七十億からの鉄道建設資金というものが公債になつているのでありますけれども、こういつた百七十億以上に、なお三百億四百億の公債を発行するということは、また一方にインフレ助成というようなことにも影響するかと思いますので、こういつた問題もとうてい今日これを実現するということが困難ではないかと私は考えるのであります。  かように考えてまいりますと、いろいろな手段方法考えられますけれども、結局いかに行政整理をしても、いかに経営合理化をしても、相当赤字の出るということは、とうてい今日の物價労銀その他の事態から推して免れ得ない、避くべからざる必然、必至の状態かと考えるのでありまして、この場合運賃を上げる、利用者にその赤字負担をさせるということは、國家経済の上から眞にやむを得ないことではないかと考えるのであります。  しからばその程度はどうかということでありまするが、原案によりますと、旅客貨物ともに三倍半ということになつておりまするが、私この資料を、先ほども申しますように、あまりよくは見ないのですず、一應見てみたのみでありますけれども旅客貨物を、同樣に三倍半上げなければならぬという何らのヒントを得ることができない。この資料からは、むしろ旅客貨物とを別々の倍率によつてぐべしというような参考資料ばかりが出ている。同一値上率ということがどうも腑に落ちない。それで実はよく調べたのですが、どうもどこにも見当らない。こういうわけで私としては当局の方が、どういう考えでこういう同一の三倍半という値上率をきめられたのか、そこがはつきりしないのでありますが、最近の社会情勢から見ますると、いわゆる物價に対する運賃関係というものは、必ずしも貨物運賃値上げということによつてのみ物價が上るというのではなくて、やはり旅客運賃値上げというものが、かなり直接に物價影響する。実は戰時中によく浮動購買力の吸收などと、非常にりつぱな美名のもとに、旅客運賃をどしどし上げてまいつたのでありますけれども、今日この窮迫している時会におきまして、浮動購買力などということは考えることができない、おそらく運賃が上ることによつて交通費が上るというならば、ただちにそれは生活費影響し、また同時にそれがただちに生産コスト影響し、同時にただちにそれが物價影響するということは、ほとんど自明の理ではないかと考える。殊にやみ物價などにつきましては、旅客運賃の方がむしろ物價影響しはしないかとすら考えられるのでありまして、この点從來の戰時中などの考えとはよほど違わねばならぬじやないか、私はそう思つております。実はその原價計算のいわゆる生産コスト、あるいは負担力、こういつた面から見まして、どうもこの資料にありますように、旅客はせいぜい二倍、まあ二倍半というところでありまして、三倍半ということはどうかと思う。まあよいところが二倍半、どうしてもやむを得なければ、これは三倍というところではないかと思います。とにかく三倍半ということは高きに失する。ここにいろいろな参考資料がはいつております。定期券などにつきましては、生計費のうちの何%に当つておるとか何とかいうような数字が出ておりますが、どうもはつきりしたことがちよつとわかりかねるので、こまかしいことは申し上げられないのでありますけれども、ともかく旅客は、昭和十一年度に比べて、普通の定期運賃としても、將來は生計費の六分か七分くらいを占めていたものが、これによつて一割以上を占める、こういつたようなことになつておるらしく見えますので、それでは非常に負担が過重であつて負担能力点等から見て、はなはだ不穏当ではないか、こういうぐあいに考えられます。しかし貨物運賃を三倍半に止めるということは、これまた反対に、どういうわけでそういうことをしなければならぬのか、そこがはつきりしない。生産コストからいうと、八倍、九倍に上げなければならぬ。また負担力から見ましても、実はいろいろここに参考資料が出ておりますけれども、たとえば米、麦などの價格運賃との関係を見ますと、昭和十一年度におきましては、價格に対して運賃の含まれておる率が一・一%くらいになつております。それが今度の新物價改正運賃との関係を見ますと、〇・五七ということになつておる。また石炭などにおきましても、十一年は九・八、約一割を占めておつたものが、今度は五・一五という約半分に下つておる。こういうことから考えますと、負担力におきましても、少くとも昭和十一年度程度関係までは上げることができるのじやないか。今申し上げますように、生産コストからいいますれば、九倍にもしなければならぬ。負担力からいつても、昭和十一年度程度のことならばどうにかやつていかれはしないか。実際一トンの米の値段が二万三千四百九十九円ということになつておりまして、そのうちに運賃の額が何ぼかというと、わずから百三十四円、それが先ほど申し上げましたように〇・五七%ということになつておりますが、これを現在の五倍ということにしまして、なお百三十四円加える、そうするとそれが二万三千八百三十円ということになる。そういうことが國民生活面にどう影響するであろうかということを考えますと、そこに何かなお余裕があるのではないかと私は直感的に感ずるのであります。そういうようなわけでありますので、私といたしましては一應運賃値上げさざるを得ない。そうして値上げする場合に旅客貨物とを別の値上率にすべし。旅客はできるならば二倍半、万やむを得なければ三倍、貨物は五倍ないし六倍ということが最も好ましい率ではないか、こういうぐあいに考えるのであります。なお三倍半ずつ旅客貨物値上げいたしますと、増收の見込みというものがここに載つておりますが、実は乘客の減りというものがわずかに五%しかここに見ていない。三倍半の値上げをしてわずかに五分の客の減りということは考えられない。これは私鉄経営の実績に徴しましても、少くとも二割内外の乘客の減少ということは、どうしても考えなければならぬ。これは私どもの実際の経驗から、そういうぐあいに考えられるので、この数字が現実にいかに変化があるかということを、むしろ私ども心配せざるを得ない。  なおまたこの際お願い申したいことは、運賃問題はまことに國民生活に重大な影響を及ぼす問題で、特に愼重に御審議を願わなければならぬと思いますけれども、同時にまたまことに緊急な問題でありまして、申すまでもなく、この数字によつてもただちにわかりますように、その実施が一日遅れますと、一日二億の赤字が殖えていく、こういう事態でありますので、愼重に御審議は願わなければなりませんけれども、同時になるべく速やかに御審議を願いまして。一日も早く実施ができますように、特に議会の各位にお願いいたしたいと思うのであります。以上であります。
  9. 川野芳滿

    川野委員長 質疑があれば許したいと思いますが、時間の関係で、簡單に要点のみ質問していただきたいと存じます。
  10. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 後藤さんに伺いますが、今おつしやつた旅客二・五倍ないし三倍、貨物四倍ないし五倍値上げはやむを得なかろうということは、これは國鉄に対しても私鉄に対しても同樣のお考えでありますか、その点をお伺いいたします。
  11. 後藤悌次

    後藤公述人 國鉄につきましては、ただいま申しましたようなことに考えております。私鉄の方になりますと、おのずからまた事情が違うのであります。しかしやはり私鉄といたしましても、旅客だけを扱つておる電鉄というようなものが多いのでありまして、そういう電鉄などの模樣を見ますと、どうも経営が非常に困難であります。これなどは、いわゆる交通調整とか何とかいう面を除いて考えますと、どうしても旅客運賃を三倍ないし四倍ぐらいにはしないと、收支のバランスがとれない、こういつたような事情にあるらしいのであります。ですから國鉄とはちよつと違うかと思うのでありますが、しかし同一区間を走るのに、まつたく別賃率ということでは、またそこにトラブルが起りますので、その辺も相当に考慮しなければならぬということは考えております。
  12. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大体おつしやつた意味の半分は私ども同感ができる。ということは、國鉄はもとより國の中央を走つておる栄養線でありますから、その他の不利な地位にある私鉄の行き方とは違うと思う。その点は私どもの氣持も大体お考えに似寄つてきておりますが、そうなつてくると、國鉄二倍半ないし三倍値上げをする、私鉄はさらに今言つたような根本的の理由によつて、それ以上のものが必要だ、こういつたことになつてくるのですが、そういうことは実現する時期ということについて考えてみなければならぬ。今のようなインフレーシヨンに拍車をかけるということについて大きな影響のある時期に、このような大きな値上げをやつていいかわるいかということ。もう一つはもう少し企業の合理化なりサービスなり、こまかく申しませんが、そうした点においてなすべきことがたくさんある。なすべき手を打たないでおいて、いわゆる國民の納得を得るような方法をとらないでおいてやるということが一つ。ほかにまだ三、四ありますが時間の関係で申しませんが、そういうことから考えて、現在これを行うことがいいか惡いかということについての考え方。この二つの点から考えて、今おつしやつたように、今すぐ値上げした方がいいというお考えでしようか。その点伺つておきたいと思います。
  13. 後藤悌次

    後藤公述人 結論はお尋ねの通り、即時実行することを最も望ましいことだと私は考えます。それは要するに行政整理、あるいはその他の経営合理化——先ほど私が申しました國庫收入を増さなければならぬといつたような点がありますので、経営合理化はどの部面を考えましても、とうてい短期間にこれを実現することは困難である。そしてしかも一日実施が遅れるならば、毎日二億の赤字が殖えていく。こういうことはどうしても忍び得ないことだ、こういうぐあいに考えまして、ぜひとも急速に御審議をお願いしたいと私は思います。
  14. 松原喜之次

    松原喜之次君 後藤さんに簡單にお伺いしたいのですが、先ほど昭和十一年基準年度に対して、國鉄経営費が二百倍になつておるというお話でありましたが、私鉄においては大体どの程度になつておるか。但しそれにつきましては、たとえば電車線と、それから機関車をもつてつておる線とはかなりコストの違いがあろうと思いまするから、國鉄に大体準じた経営において、平均何倍ぐらいになつておるか、ちよつとお知らせ願いたい。
  15. 後藤悌次

    後藤公述人 具体的によく記憶しておりませんが、私の知つている範囲内では大体私鉄——まあこれは他の方は申し上げられませんが、私どもで言いますと、大体三百倍からになつております。先ほど二百倍と申しましたけれども、二百倍よりはよほど多くなつておるのでありまして、ただ大きな数字を申し上げただけでございますが、実際の数字はひとつ御当局にお質し願いたいと思います。
  16. 松原喜之次

    松原喜之次君 そうしますと、あなたのお感じでは、結論としまして、國鉄経営合理化というものが、必ずしも私鉄経営合理化には劣つておらないというような、数字的な結論が出るのではないでしようか。
  17. 後藤悌次

    後藤公述人 経営合理化されておるとか、されてないとかいうことは、なかなか申し上げにくいことなのですが、ただたとえば一列車キロに対してなんぽとか、一人トン・キロに対してどれほどかかつておるとか、そういうようなことを言いますと。やはり國鉄私鉄とさしたる相違がないというのがむしろ常態ではないかと思うのです。ただ私鉄の小さなところはかなり多くかかつておりまして、從つて運賃率なども高いところはすでに一キロ一円というようなところがあるのであります。そういう点から言いますと、國鉄の方が相当合理化と言いますか、何と言いましようか、いくらか成績がいいということは言い得るのであります。しかしそれは経営合理化という問題よりもむしろ立地條件とか、そういつたそれ自体の條件がいろいろありますので、はつきりはその点申し上げられないと思います。
  18. 高瀬傳

    ○高瀬委員 議事進行について——せつかくこういう機会に学識経驗者、また一般の世論を代表される方がお集りになつているので、十分ゆつくり拜聽したいのでありますが、おいでになつた方も非常にお忙しいと思いますし、一日でこれを切り上げるとすると、なかなか時間の関係上むずかしいと思いますので、お話くださる方々にも、十五分参りましたら合図をしていただくとか、あるいは委員各位に御反対がなければ、われわれは十分この貴重な御意見を拜聽いたしまして、運賃審議参考にするようにいたしまして、皆樣の御賛同さえ得れば、なるたけ質疑しないことにして、できるだけ拜聽するというふうにいたしたいと思います。
  19. 川野芳滿

    川野委員長 高瀬君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 川野芳滿

    川野委員長 それでは公述人意見を聽きまして、もし時間がございましたならば、全部の公述の方の意見の発表が済んで、その終りに質疑をするということにいたしたいと存じます。  それでは次に新聞協会を代表されておりまする東京新聞論説委員福島俊之君にお願いいたします。
  21. 福良俊之

    ○福良公述人 東京新聞論説委員の福良俊之であります。私は國庫の現状、鉄道特別会計の状態から見て、この際貨客運賃の引上げはやむを得ざるものとして賛成いたします。しかし運賃の引上率につきましては、貨物の引上倍率三・五倍、これはやむを得ないといたしまして、旅客運賃の引上倍率は二・五倍程度に引下げる。さらに定期旅客運賃については二倍程度に改訂すべきであると考えます。その理由を申し上げます。  第一は、國鉄サービスの現状から考えてであります。これは別に弁明の要もないと思います。  第二の理由といたしましては、先ほど後藤さんからも御説明がありましたけれども旅客一人当りの運送原價、貨物一トン当りの輸送原價、それから比較しますと、旅客に対する負荷率があまりにも高過ぎる。旅客運賃貨物輸送による原價割れをカバーしておるのは不合理であるということであります。現に國鉄運賃の改正理由説明資料の中にもこのことは明記されておりまして、旅客運賃については大体二倍余りの引上げをもつて妥当とするということを述べております。さらに旅客運賃について見ますと、戰時中以來、運賃政策が貨物重貸主義の立場から、十九年四月、二十年四月、二十一年三月と引続いて旅客運賃の引上げが相当大幅に行われております。これらの点から考えまして、今回さらに旅客運賃貨物運賃と同じ倍率を適用することは不適当と考えます。  第三の理由としましては、運賃値上げの心理的、実質的の影響であります。今日食糧事情は改善されたとは言いながら、なお十分の改善を見ておりません。さらに七月以降相当この需給が逼迫するように考えられるのであります。國民生活の部面から見ますと、政府でも認めておりますように、やみへの依存度は七五%ということになつておりますが、この大部分が食糧だと思うのであります。こういつた時期に、旅客運賃について大幅な値上げをするということは、ただちにやみ價格影響し、國民生活を圧迫する材料になるわけでありますから、その点から不合理であると思います。  第四の理由でありますが、これは内閣統計局の二十二年七月から二十二年三月までの生計調査によれば、全國平均の生計費に占める交通費の割合は、わずかに一・一%でありました。ところが今回の改訂によりますと、三千七百円の新しいベースを基準としてみましても、家計費に占める割合は七%ないし一〇%に達するのであります。この倍率が先ほで來問題になりましたように、そのまま私鉄あるいは公営の運輸機関というものに適用されるとしますと、交通費の生計費に占める比率はさらに増大いたします。その結果家計を圧迫することは申し上げるまでもないと思います。  さらに第五の理由といたしまして、旅客運賃と賃金との割合を比較してみますのに、同じく運輸省の提出された資料によりますと、昭和十一年を基準としてみまして、大体本年の三月までは賃金指数の方が運賃指数より上まわつておりますが、今回の改訂によりまして賃金指数をはるかに運賃指数が上まわる結果になります。  第六の理由といたしましては、先ほども申し上げましたように、國鉄運賃引上げの倍率が、そのままもし公営、私営の交通機関に適用されるということになりますと、これが一般の経済生活に対する圧迫は相当大きなものがあると思うのであります。公定價格の改訂による價格差益金というものは、國庫で取上げることになつております。私鉄、公営の交通機関が、國鉄値上げをしたからといつて、その倍率をただちに適用されるということは、相当考慮してよいのではないかと思うのであります。これらの点を考えてみますと、國鉄旅客運賃の倍率が高いということ、その影響するところがはなはだ大きいということを申してよいかと思うのであります。  第七の理由といたしましては、定期旅客運賃引上げについては、その割引率が世界でも類のないほどだということを言われておりますが、なぜ定期運賃の割引料率が高かつたかというならば、もつぱら社会政策的な意味が加味されていると思うのであります。昨年七月の運賃改正に際しても、旅客運賃二五%の引上げに際して、定期旅客運賃の引上率を一二〇%ないし一五〇%に抑えたのもここに理由があると思うのであります。  さて私が今申し上げたように、旅客運賃の引上倍率を二・五倍程度とし、さらに定期の旅客運賃倍率を二倍程度にいたしますと、これだけで大体百五十億円の收入減になります。この收入減をどういうふうにしてカバーするかという問題が次に起つてくると思いますが、鉄道特別会計の独立採算制を確立するということは、われわれの理想でありますけれども、独立採算性ということは、單に運賃値上げによつて收支の均衡をはかることだけが目的ではないと思うのであります。從つて独立採算制を樹立するためには、先ほど後藤さんも御指摘になりましたけれども鉄道特別会計内部における経営合理化ということが、まず取上げられなければならないと思うのであります。さらに鉄道特別会計におきまする物件費のうち最大の支出は石炭であります。この石炭がもし六千四百カロリー以上に引上げられますると、國鉄の計算によりましても、單に石炭の消費節約だけでなく、それに伴う各種の人件費、その他の節約が加えられまして、年に大体百数十億円の節約ができるように指摘されております。これらの点を見ますると、まず石炭のカロリー引上げによる石炭消費の節約、こういうことが考えられるのであります。さらにこれはしばしば問題になつておることでありますけれども、バスの整理であります。はたしてどの程度までバスの整理ができるかわかりませんけれども、この整理によつて三十億ないし五十億円の收入の増加がはかられるように聞いております。そこまでできるかどうかわかりませんけれども、バスの整理ということも十分考えてよいかと思うのであります。そうしてなお赤字が出た場合に、この赤字をどうするかという問題でありますが、先ほども申し上げましたように、貨物運賃を低くしておくということは、これは政策的な立場から國民全央に影響するというので、政策運賃を適用しておるのであります。從つてそれから生じますところの收入の減を、旅客輸送だけによつてカバーしようということが、すでに根本的に間違つておるのであつて、そこから生じてくる赤字については、一般会計においてある程度負担することもやむを得ない、かように考える次第であります。私の考え方は以上をもつて終ります。(拍手)
  22. 川野芳滿

    川野委員長 次に國鉄労組委員長であられる加藤閲男君にお願いいたします。
  23. 加藤閲男

    加藤公述人 私國鉄労働組合中央執行委員長加藤でございます。本日この委員会におきまして國有鉄道運賃法案審議されるにあたりまして、國鉄労組を代表いたしまして運賃値上げ可否について意見を申し上げる機会を得ましたことを光栄に存ずるものであります。皆樣御承知の通り、きわめて最近までは鉄道運誘の値上げに関する措置は、運輸省内に設けられておりましたところの鉄道運賃審議会というような官製的の機関によつて輿論を無視して一方的にきめられてまいりました。このたび財政法第三條が施行されることになりまして、國民の代表であられる皆樣方によつて民主的にきめていただくことになりましたことは、私ども國鉄に職を奉じております者にとつては、從來一般國民の方々から、ややもすれば私どもの待遇改善のための運賃値上げであるというように考えられてまいりました誤解を一掃できるようになりまして、この点は衷心から喜んでおるのでございます。國鉄経営が現在破局的段階にあるということは、何人もひとしく認めるところであります。特に財政上の危機が当面の問題として大きく浮び上つており、これが收支のバランスもとるために、旅客貨物運賃値上げしたいということも一應うなずけるのであります。しかしながら現在政府の企図しておるような考え方、整理の仕方では、私ども國鉄労組としては、過去幾たびか繰返されましたことでもありますので、遺憾ながら反対をせざるを得ないのであります。  その理由といたしまして、第一に運賃値上げは過去の実績から見て、結局不当な物價値上げを來して、われわれ働く者の実質賃金の切下げになるということであります。  第二には、今回のように旅客貨物ともに三倍半という急激な大幅値上げ、これは現在のような社会状態下におきましては、一般國民に與える心理的影響がきわめて大きく、インフレがますます高進する危險制が多分に含まれております。しかもそのインフレの犠牲者はだれかということになりますと、私ども働く者でありますので、その意味合で反対いたすのであります。  第三は、今回の値上げ物價改訂を織りこんで組まれておるようでありますが、われわれは現在最低生活の保障すら得られません。政府はこの改訂によつて、多分に資本家の利益のために物價改訂を行い、われわれの生活をそのまま放置しておくというような状態でございまして、われわれ國鉄再建を志す者にとつては、ますます再建が困難になつてくる。こういう理由で反対をいたします。  第四に、國鉄の支出のうち最も厖大なるものは御承知の通り石炭費であります。政府石炭國管を行いまして、作業能率を引上げまして安い石炭をわれわれに供給するはずであつたのに、今回の予算案を見ておりますと、前年度の二倍七分の値上げを予定して予算に計上しておるようであります。これは明らかに石炭國管の失敗を、われわれの生活の犠牲において押しつけようとするものであります。  第五に、値上げによつて國鉄が独立採算性による健全なる國営企業として出発することは、理論的にはわれわれとしても反対することはできないのでありますが、現状においてはこれは不可能であると申し上げる以外にはないのであります。経営の内容は、敗戰によつて生じた設備の荒廃を賃上げによつてつております。そうしてかろうじて現在の輸送を全うしておるというような状態にあります。この國鉄再建は一般会計より積極的に補助をしていただかなければなりません。今回の措置は、瀕死の重傷者の一片の投藥によつて、自分の力で回復せよというまつたくなげやり的な措置であると考えられます。これは政府の責任回避と認めて、私ども反対したいのであります。  第六は、今回の値上げ政府の政策の貧困と誤謬が齋したものであり、政府は常に物價の安定、やみの撲減ということを口にしておりながら、一日一日と高物價になつてまいりました。その結果が累積して今日の経営難を來したというのでありまして、政治の貧困の責任をとらずして、これを國民大衆負担によつて糊塗せんとしておるのであります。  以上六つの理由によりまして私どもは原則的に反対するものでありますが、ただ職を國鉄に奉じております者といたしましては、二十三年度において、現在の経営状態のままでいくならば、八百億の赤字を生ずるというこの現実を見ますときに、私どもはただ反対を唱えておるだけでは済まないというのが國鉄労組の態度であります。この八百億の赤字を生ずる理由というものを簡單考えてみますと、大別して三つあるのではないかと思います。その原因の第一といたしまして、インフレの影響國鉄が特に強くこうむつておるということであります。言いかえれば國鉄運賃は、それが物價形成の重要な要素であるという点から、社会政策的と申しますか、一般物價が六十倍ないし七十倍値上りした今日におきまして、旅客貨物ともに大体二十二、三倍程度に止まつておつた。これが赤字の第一の原因と考えられます。  第二の原因は、社会の混迷、生産の低下、労働不安というようなものが考えられます。このことはあえて鉄道ばかりではないと考えますが、私どもはここで例を赤字の最大の原因であるところの石炭について申上げて、議員各位の御注意を喚起したいと思いますのは、私ども戰前においては、大体六千四百四十カロリー発熱する石炭を使つてつたのです。ところが戰後におきましては、これが五千三百九十カロリー、熱量の非常に少い、惡い石炭が配給されております。これは結果として消費量が二倍以上に増加しております。しかもこの炭價は、昨年の六月までトン当り百八十五円程度のものでありましたが、七月以降一躍千四百円程度になりました。さらに今回の物価改訂では、これの二倍七分程度の値上りを見越しておるのであります。  原因の第三を考えますと、國鉄の運営方式自体に内部に矛盾と欠陥が存在するということでございます。矛盾というのは表現が惡いかもしれませんけれども先ほども申し上げました通り、國有國営であるということからあらゆる國策遂行の手段に併せられて、低賃金を強いられておつた。それは当然のことと私ども考えておりますが、最近になりまして、きわめてわけのわからない、ただ表面上の健全財政、あるいは独立採算制とかいうことが言われ始めました。これを私は矛盾と言いたいのであります。その結果といたしまして、予算國鉄の会計制度との関係が最近大分直つてはまいつたようでございますが、企業官廳としての会計制度になつていないということが、赤字の原因になると言えるのであります。このことは昨年予算委員会におきまして私指摘しておきましたので、詳しく申し上げることは差控えます。  以上三点、これを考えつつ、二十三年度における現行のまま生ずるところの赤字八百億をどうするかということになるのであります。特に人員整理をすればいいではないかというような先ほど後藤さんの御発言もあつたようでありますが、かりに職員の給與を五千円ベースといたしまして、年間六十万といたしまして二百六十億の人件費でございます。赤字八百億と稱せられることでありますから、総局長官以下鉄道特別会計に属する職員を全部整理いたしましても、なお四百四十億程度赤字ができるということでございます。輸送コスト、これは労働組合としては遺憾ながら正確にタツチいたしておりません。当局貨物運賃は現在の八倍半値上げしなければコストに合わないと言つております。旅客運賃は二倍に値上げしなければならぬといつております。こういう現実を的格に処理していただくのが皆樣方の責任であると私は考えております。從いまして原則的には反対でございますが、かの本年三月の生活補給金〇・八支給の場合に、われわれが一時金支給に対して、恒久性のある運賃値上げによることを絶対的に反対をしたのとは若干趣を異にいたしまして、國民に納得していただく、國民生活の安定に寄與するという方向をとられるならば、われわれとしても絶対的に反対するものではございません。  しからばわれわれといたしましてどうするかということを考えたのでございますが、最優先的に考えていただきたいことが二、三あります。第一に石炭價格トン当り千四百円というのを、そのまますえおいていただく措置を講ずることであります。この二倍七分というようなものは價格差補給金といいますか、山元へただちにやつていただくということによつて——大体現在七百六十万トンの石炭を年間必要としておりますから、この措置によりまして大体百三十九億円の赤字がなくなると私どもはかように推算をいたしております。  次に特に良質炭の配給をお願いしたいと思うのであります。赤字原因の第二としてあげました六千四百四十カロリーと五千三百数カロリーとの差、これによつて驚くなかれ四十億程度の節約になる。かように私は考えるのでございます。  第三に行政監督の面における経費を、特別会計から支出していることの再檢討をしていただきたいと思うのであります。これは戰後の特殊事情のために増加いたしました渉外関係約三万八千人、交通保安関係が約一万三千人、保守復旧関係が約一万人、道路運送監理行政関係が約三千人、合計六万四千人というようなものは鉄道特別会計から支出すべき人件費ではない。この人件費見積りは約三十九億円になるのでありまするが、これは一般会計から負担していただくのが当然ではないかと考えております。  以上私ども國鉄自体の赤字をなくするために研究を続けておるのでございますが、特にお願いしたいことは、二十三年度の國民所得は一兆九千億に達すると称せられております。そのうち約一兆程度が正常の所得、約九千億はいわゆるやみ所得とされております。この九千億に相当するところのやみ所得、これは課税の対象になつておりません。これを強力に捕捉課税することによつて運賃値上げをしないで済む、私はこういうふうに考えるものであります。この点につきましては、皆樣最高の立法府の方々でありまするから、徹底的にメスを入れて、解決をしていただきたいと思うのであります。  第五に不当財産の処理問題であります。この点につきましては、鉄道は不当財産をもつておるという批評を受けますので、私ども労働組合においても、しばしば熱心に当局に追究してみたのでございまするが、現在ではもう何もないというような状態でございます。しかしながらこれは私どもが調査いたしましたことでございますので、もし運賃値上げの倍率を決定する場合には、それからも財源が捻出できたら捻出していただきたい。こういうふうに考えるものであります。特に立場上申し上げて御了承を願つておきたいことは、今回かりに運賃値上げを強行されるようなことがありましても、この三倍半の当局が出ましたものを見ますと、物件費と人件費との割合は、おおむね物件費六十五、人件費三十五ということになつております。從來國鉄はこの物件費対人件費の割合は五十対五十が戰前、戰後を通じて普通であつたのでございます。今回賃金を三千七百円ベースに止めて、この物件費と人件費の比率を出す。こういう考え方をされたようでありまするが、三千七百円ベースで食えるか食えないかということになつてくるのであります。この点御審議なさる点に、私どもの代表が本日総理大臣のところへ参つて、賃金要求をしておるはずでございますが、組合側の要望いたしておりますところの五千二百円ベースというものを考慮に入れられまして、運賃問題の御審議をしていただきたいと思うのでございます。  以上結論として労働組合といたしまして田、原則的に反対であります。しかしながら私ども國鉄当事者の一人というような考え方をいたしまして、代り財源を見つけようといたしましても、この赤字を全面的に克服するだけの財源が見当りませんので、これは先ほど申し上げました通り、若干程度値上げは、國民の納得のいく、働く者の生活を安定するという方向をとられます限り、私どもは異議はない。しからば限度はどれくらいかということでございまするが、この限度については、私どもはつきりとした数字をもつておりませんけれども先ほどから種々御発言になつておりまするよりも、もつと低率で相済むのではないかと考えておるわけでございます。  以上を申し上げました私の意見の開陳を終ります。(拍手)
  24. 川野芳滿

    川野委員長 次は経済團体連合会を代表いたしまして、日本郵船会社社長淺尾新甫君にお願いいたします。淺尾新甫君。
  25. 淺尾新甫

    ○淺尾公述人 経済團体連合会常務理事日本郵船会社社長淺尾新甫君であります。  私の意見をごく端的に申し上げます。私は鉄道運賃値上げはやむを得ない尊置であると考える次第であります。私の考えるところによりますと、あらゆる産業は今後ますます合理していかなくてはならない。この合理化と申しますことは、各産業におけるでこぼこを調整すべきである、こういう趣旨であります。そこで國鉄といえども一つの産業と見なくてはならぬ。從來國鉄運賃はほかの物價と比べまして、引上率が非常に低かつた。從つて今日厖大なる赤字を現出している。ほかにもいろいろ原因はあるでありましようが、一番の大原因はそこにある。こう考える次第であります。前の後藤さん並びに福良さんあたりでも、國鉄経営方針についてもつて合理化すべしという御意見が出ておりましたが、私はその点につきましては全面的に賛意を表するものであります。但し今回の運賃引上措置をやむを得ない。こういう結論であります。  そこでしからば、いかなる倍率によつて運賃を引上げたらよいかと申しますと、私の意見といたしましては、貨物運賃につきましては三倍半よりももつと上げ得る。旅客運賃につきましては三倍半よりももつて低くしたらよろしかろう。こう考えるものであります。貨物運賃につきましては、現在の價格構成における運賃の占めているパーセンテージというものは、さほど高くない。從つて三倍半以上に上げても、さほどに物價影響するものではないと考える次第であります。旅客運賃につきましては、旅客輸送のコスト計算を拜聽いたしましたが、それによりますと、たしか二・七五倍がコスト計算であるというふうに承知いたしております。そこで旅客運賃コストよりも上まわる倍率をとるということは、はなはだもつて抽届至極であるという考え方であります。しからばどういう倍率にしたらよろしいかと申しますと、貨物運賃を四倍、旅客運賃を三倍程度にしたらよかろう。こういう考えであります。  なお一言私の意見として申し上げたいことは、現在旅客運賃は長距離の逓減率というものがきわめて低いから、長距離を旅行する場合はもつて逓減率を上げてもらいたい。それと反対に、貨物運賃につきましては長距離逓減率が非常に高い。從つて長距離逓減が多い。從つてもつと長距離逓減率を上げるべしというか、下げるべしというか、要するに近距離を運ぶ場分と遠距離を運ぶ場合の差を少くしろという意見であります。日本の現状におきまして長距離を輸送する場合は、たいといの場合が海て並行するわけでありますから、そういうふうな貨物は海の方に落してしまい、陸上の運輸をもつと円滑にしていつたならば、現在のような鉄道による輸送難は緩和し得るであろうと考えるものであります。ごく端的な意見でありますが、以上の通りであります。
  26. 川野芳滿

    川野委員長 次は東京商大教授であられる中山伊知郎君にお願いいたします。
  27. 中山伊知郎

    ○中山公述人 東京商科大学の中山伊知郎であります。  第一の問題に対しましては、私は結論として値上げは当然であると思います。ただいままでの方は、やむを得ないというような非常に上品な表現を使われましたが、私は当然であると思います。なぜかと申しますと、その理由は、現在の値上げになつてきております理由が、全部インフレーシヨンという理由であります。インフレーシヨンの中で、その中に生きている國鉄だけが例外であるということはできないのでありまして、從つて、これを分析すればわかりますように、インフレーシヨンの中で、國鉄國鉄として生きていきますためには、料金の値上げは、その一部として当然のことであろうと私は考えるのであります。昭和二十三年度の收入支出を見ますと、私どものいただきましたこの調書では、六百五十四億円の不足、そうしてこういう不足の理由が、先ほども御説明がありましたように、主として國鉄に対する非常にきびしいインフレ事情、並びに一般のインフレ事情から來ておるのであります。石炭の費用にいたしましても、それからその他の建設費、修繕費の値上りからいたしましても、これは國鉄一つをもつてはいかんともすべからざる事情なのであります。從つて、これに追随するばかりが能ではありませんけれども、その中に生きる國鉄としては、どうしてもある程度の値上りを認めざるを得ない、こういうことになるだろうと思うのであります。もつとも、これを一般の消費者の側から見ますれば——私もその消費者の一人でございますが、もちろん運賃は安い方がよろしいのであります。殊にほかの物價が上つていくのだから、せめて運賃ぐらいはもとのままで残しておきたいという希望も出てまいります。しかしインフレーシヨンの一番惡いところは何であるかと申しますと、いろいろな物價の間にバランスがとれないということであります。單に通貨が出るために物價が上つていくということだけならば、いくら上つても差支えないのであります。理由はきわめて簡單で、すべての物價が比例的に上つて、われわれの所得も同じように上れば問題はないのであります。從つて、インフレーシヨンの最惡の欠点は、たとえば、物價は上るけれども——生計費は上るけれども、労賃は上らないとか、あるいはある商品の價格は上るが、他の商品は不当に低いということにあるのであります。この不当にという点を訂正するということは、これは逆説的であるかもしれませんが、ある場合にはインフレーシヨせ是正することに役立つのであります。たとえば國鉄運賃についてみますと、現に船の運賃と陸上の運賃とがたいへん違いますために、輸送路が相当乱されております。これは國鉄運賃が知じ輸送径路の中でそられている運賃の不均衡によつて、そういう輸送路の撹乱という、新しいインフレーシヨンを惡化する事情が出てきております。これをもう少し廣く申しますと、運賃が低いために、そういう輸送というサービスが浪費されますならば、それは日本の重要なる國民資本でありますところの國鉄の運命にとつて、きわめて大きな問題であると言わなければなりません。簡單に申しますれば、われわれは安い方がよろしいのでありますけれども、しかし國鉄運賃を無料で享受するだけの、そういう余裕のある國民ではないのであります。敗戰の結果こういうふうに困難をしております國におきましては、われわれは汽車にも乘れないという條件がほんとうなのであります。ほんとうに乘らなければならないサービスを、これを割愛することは、もちろん國民としては忍びがたい点でありますけれども、しかし乘りたい汽車にも乘れないというのが現実であります。その現実を無視して、そうして貧乏な國で、國鉄だけの料金をただにもつていく、あるいは一般物價と非常に違つたものにもつていくということは、私は経済政策上間違いであると考えます。  そこで第二の問題でありますが、しからば一体どの程度まで運賃を上げるか。この問題につきましては、先ほどインフレーシヨンの中にあると申しましたが、やはりそのインフレーシヨンを、この料金の改訂で助長するようなことは絶対に避けなければなりません。その意味において、結論を申しますと、貨客ともに三・五倍という原案は私は適当ではないと考えます。十分な理由がない。そこでその理由を強いて求めていきますならば、私はやはりコストをカバーする料金というところにもつていくのがほんとうであろうと思いますので、先ほどどなたかちよつと申されましたように、私は、旅客については二倍ないしせいぜい二倍半、そうして貨物については五倍ないし六倍というのが適当であろうと思います。その理由は、そのコストにおいてこれだけの値上りが現在認められますれば、それは旅客についても、貨物についても、それぞれのコトスをカバーする近い料金が得られるということなのであります。そういう説に対しては、第一にはおそらくこういう駁論にぶつかるだろうと思います。一つは、旅客運賃は、それはある意味において租税的な効果をもつから、浮動購買客の吸收という意味においてインフレーの阻止に役立つだろう。しかし逆に貨物運賃値上げは、これは反対物價の基礎である、だから物價を上げて、從つてインフレには旅客運賃よりももつて惡い効果があるだろう。この二つの論拠ともに私は誤りであると思います。第一に、旅客運賃の方は、なるほど平時の観念で申しますと、租税的な、あるいは浮動購買力吸收的な、そういう観念も成立するようでありますが、しかし今日の場合には轉嫁がきわめて容易でありまして、從つてこれは一般物價の上に、旅客運賃値上げといえども必ず響く。しかも今日の場合においては、たまたま政府の政策によりまして今まで物價の値上りが不当に抑えられております。これは人為的に抑えてあります。從つてここに二倍にせよ、あるいは三倍にせよそういう値上りがきますと、それは精神的な影響も加わつて、たいへんに大きな物價騰貴の迫力をもつて至るだろうと思います。その上に、先ほどもすでに後藤さんから指摘なされましたように、減收の見込みがあります。減收に至りましては、これは單に鉄道せつかくの料金値上げの目的を失いますのみならば、今日こういう状態のもとで、交通のサービスを非常に大切に考えております國民にとつては、乘れないために失うところのユーテリテイというものが非常に大きいのであります。その面からいつて、私はこういう事態は避けなければならないと思います。貨物運賃を上げると物價が上ると申しますけれども、しかし一般の商品の價格における運賃の占めておる割合は非常に小さいのであります。たとえば石炭にいたしますと、昭和十一年において九・八%、それから二十二年の七月、千八百円ベースの改訂のときには四・一二%今度の場合になるとどうなりますかちよつとわかりませんが、新物價で、そうして政府の三・五倍の率で計算しますと、大体二・八%というような決算が出てまいります。ところがアメリカの石炭のあの價格の中の五〇%は運賃によつて占められておるのであります。そういう点から見ますと、日本の今日の物價情勢から見まして、物價のうちで占める運賃の割合はきわめて少いのであります。その意味においてもう少し高く是正した方がよろしいと考えるのであります。ただいまのところ單に運賃の料率だけを申しまして、合理化という点には直接触れませんでしたが、これはインフレを抑えるという点から申しましても、もちろん強調されなければならぬ点なのでありまして、独立採算制というような点にも、もしそういう意味においてとるべき点があれば、十分にこれを推進しなければなりません。しかし独立採算制というのは、これは一産業もしくは一國鉄内部の問題ではないのでありまして、他の産業部門との関連、特に時間における配分というものを十分に考える必要がある。その意味において私は單純なる独立採算制よりも、むしろ総合採算制というのをとるべきであろうというふうに考えております。  時間が経つたようでありますから、私の考えだけを簡單に申し上げます。
  28. 川野芳滿

    川野委員長 それでは労働総同盟の調査部長であられる高戸義太郎氏にお願いいたします。
  29. 高戸義太郎

    ○高戸公述人 私労働総同盟の高戸であります。  総同盟は物價改訂に関し次のような態度をとつております。物價改訂は労働生活の安定を目的とする総合的施策の一環として行うこと。全面的改訂を行わず極端な矛盾の個別的補正に止めること。生活必要品價格値上げは極力抑制すること。勤労者の通勤バスの値上げは最小限に止めること。物價改訂によるはねかえりを十分に吸收する措置を講ずること。今回の物價改訂に当り、これに織りこむ平均賃金、つまり新賃金ベース三千七百円は、五月の平均賃金を三千四百四十円とし、税金五百四円差引いて手取二千九百三十六円とし、物價改訂によるはねかえりの吸收は、公定價格四分の一、七割の値上げで五百五円、やみの値上り四分の三でそれが三・六%であるから八十円、合計五百五十五円ではねかえりを吸收することができるという計算になつております。鉄道省の資料によつてみますると、全國平均の通勤バスは、三箇月バスを買うものとして一箇月分八十四円ほどであります。これにその他の交通費を加えると、おそらく百円前後になると思います。それですから、これが三・五倍に値上げされると三百五十円、結局二百五十円の増額になるのであります。ですから五百五円でもつて賄ううち、半分の二百五十円を鉄道運賃で占められてしまうというようなことになつては、三千七百円ベースではとうてい負担することはできないと思います。いろいろ物によつてつておるのでありましようが、昭和十二年のベースに対して、一應現在のところで安定を保つているとすれば、鉄道運賃だけひよこつとたくさん上げることは不均衡でありますから、ほかの物價と同じ程度に上げておくのがよいではないかと思います。またそうしなければ、三千七百円ベースは維持できないと思います。また値上げもせいぜい二倍程度に止めておくのがよいと思います。簡單でありますが以上であります。
  30. 川野芳滿

    川野委員長 次は全國農業会を代表されまして、農業会の総務局長であられる森昔君にお願いいたします。
  31. 森晋

    ○森公述人 私はただいま御紹介にあずかりました全國農業会の森であります。  今度の運賃値上げに対しまする考え方といたしましては、原則的には反対であります。それは、この運賃値上げというものが、今のインフレの促進というものに対しまして、非常な大きな迫進力をもつだろうということが想像されますのと、それから現在の國鉄経営そのものに合理化余地がまだまだたくさんあるのではないかという点であります。しかしながら全然上げないというようなむちやなことはできないわけでありまして、一般物價と、その大きな物價の基底をなします國鉄運賃が定められます場合に、非常に均衡のとれた價格政策、あるいは賃金政策というものが実行されるならば、それはある程度値上げということもやむを得ないと存ずる次第であります。  われわれ農村の方から考えてみますと、先ほどいろいろお話の中に、貨物運賃値上げはこれは相当大幅にするのが当然であるという御意見がありましたが、國鉄で運送しております物資を見てみますと、農林関係の物資が非常に多いわけであります。鉄道資料で拜見いたしましても、一箇年間一億一千万トンという総輸送量の中で、私どもが目ぼしい米、麦、甘藷、馬鈴藷というような、ごくありふれました主要な十品目だけをとつてみましても、二千二百万トンからあります。このほかにまだ農林産物といたしましては、非常に雜多なものがあるのでありますが、農村といたしましては、それらを生産するために、農村に必要な生産資材なり、生活資材というものもまた多額に必要とするわけでありまして、こまかい数字はもち合わせておりませんけれども、想定いたしますと、三百五、六万トンから七、八百万トンは農村が鉄道を利用させていただいておる数字だろうと考えるわけであります。今十品目だけの運賃考えてみますと、大体十二億ぐらいになつておるようでありまして、これが三倍の値上げということになりますと、三十億程度の値上りと考えられるわけであります。先ほど申しましたように、十品目だけでそうでありますから、これと農村で必要とします物資なり、あるいはそれ以外の農林産物というようなものを考え合わせますと、けだし五十億以上になるのではないかと考えるわけであります。ところがこの値上げというようなものが、実際今のこの農林産物に対しまして、はたして均衡のとれた鉄道運賃であるかどうかと申しますれば、鉄道資料にもあります通り、現行運賃は確かに安いわけであります。しかしながら三・五倍の値上げをするということになりますと、この指数というものはぐんと上つてまいりまして、大体昭和十一年を基本に置きまして七九〇〇以上の数字にならうかと思うわけであります。現在農林産物の指数というものはこれは年度はちよつと違いまして、九、十、十一という平均でありますが、六二五五というのが、現在米の價格をきめる場合にできておる指数になつておりますし、なお私どもとしましては、古くからこまかい調査をしておりますけれども、大体昨年の六月程度の指数というものがおおむね六二〇〇というようなことになつておるわけでございます。從つてこれから先の政府價格改訂というものが、はたして鉄道で見込まれておりますような三・五倍の割合をもちまして、農林産物についても算定されるということになりますならば、別でありますが、どうも私としてはそれに対して信頼することができないのが、今までの実際の実情であつたわけであります。  なお鉄道につきましては、鉄道運賃値上げということで、鉄道だけがこの対象としまして論議されますことは当然でありますが、すぐそれに結びついております小運搬、すなわち駅まで持ちこむ、あるいは駅から配給するというこの小運搬の関係が、ただちにこれに結びつきまして、從つてその願上りということも、今までの経過に徴してみても鉄道運賃の値上りと、大体同じような足取りをもつてつてきておるわけであります。そうした点を考え合わせてみますと、今度の値上げというようなものが、ただいま申しますように、農林産物の價格と比較して考えてみました場合に、それが大きく影響してくるということが考えられるわけでございます。一例を蔬菜、青果物、特に蔬菜につきまして例をとつて申し上げますると、現在の東京の蔬菜の値段というものは、これは市場に持ちこみました卸價格というものは、品目によつて違いますけれども、大体平均一貫目二十五円くらいになつておるわけでありまして、だいこんなんかはその中で安い方でありますが、これは十二円程度價格になつておるわけであります。この中に含まれております運賃というのはどのくらいになつておるかと申しますと、大体三割が運賃であります。從つて今度三倍半の値上げ実行されるということになりまして、この消費者價格の方が引上げられませんと、運賃ばかりになつてしまつて、手取りは一つもないということになるわけであります。もちろん政府とされましては、昨年の十二月に運賃の補給制度を蔬菜についてはとられておりますが、六月からはこれを打切るというような方針を示されておるようであります。從つて大体現在の蔬菜の價格の中に三割程度のものがはいつておりまするから、今度物價が少くともそれを十分に賄うような形で実施できませんと、農村から都市に参ります蔬菜の需給関係というようなものは、非常な不均衡になつてきますし、またべら棒な高い價格が決定されてきますと、消費の減退ということで、産地の價格というものが逆に下りまして、豚に食わした方がよいということになり、せつかく生産されましても、そういう処分がされるような形が出てきまして、非常に農家にも、都市の生活者にも大きな影響を與えることになつてくるのではないかと考えるわけであります。  なおこれは一例でありますが、一般的の農家経済の建前から考えてみますと、昨年の六月までに集まつておる数字が、私どもとしましては今のところ一番新しい数字でありますが、全國九農地区から一縣づつを選びまして、さらにその縣から九箇村ばかり選びまして、ずつて生計費調査をやつておるわけであります。この調査によりますと、大体昨年の六月現在におきまして農家の收入と支出というものが均衡を破つておりまして、約一戸あたり千五百円程度赤字になつておるわけであります。農村は非常にふところぐあいがいいということを今まで言われておつたのでありますが、これは近視眼的な考え方でありまして、昨年の六月ですら、そういう状態でありますから、今日では非常な苦しみをなめておるわけであります。そういう場合に、この運賃値上げというようなものが影響してきまして、どういう内容になるかと申し上げますと、大体昨年の六月当時の六五百円の赤字を來しました原因というものは、これは農産物の價格一般物價に比べて不当に抑えられておりまして、いわゆる家庭日用品というようなものがきわめて大きく値上りをしているわけでございます。いろいろ農家の消費しますものの中には、肥料その他の生産用品もありますし、こまかい家庭用品もあるわけでございますが、肥料等につきましては、ある程度の均衡をとるような努力がなされておりますから、その騰貴率は割合に上つておらないわけでございますけれども一般の消費物資の値上りが実に莫大であるところから、それが結果としまして赤字の内容になつてきているわけでございます。この傾向は今日ますます強くなつております。ここで鉄道運賃値上げされることになる場合の影響としまして、ただちに一番強く響いてくるものは、この家庭用品を中心とする物品でありまして、これが運賃をただちにかぶる。ほかの主要物資については今まで政府のやつておられます方法として、補給金制度というような特殊な方法がありますから、ある程度是正ができますけれども、数の多い、また普通考えてみて軽響だと思われるもの等については、そういう措置は考えられませんし、從つてその集積によつて結局家計費が非常に厖大になつてくることが考えられるのであります。これが運賃値上げによつて直接その負担を加えられ、さらに一般のインフレ的な氣構えに乘つた運賃以外のウエイトまで、それにかぶつて、農家としてはいわゆる鋏状價格差、シニーレの問題が、この運賃問題を契機として一層大きくなつてくるのではないか。そういう点について、政府として一般物價あるいは賃金とにらみ合わせた上で、過去におけるそういう矛盾のあるでこぼこ價格が公平に檢討されて、そういう施策が並行されて行われることが前提でなければならぬ。  私ども農村に関係しております者としては、手放しで三倍半の値上げを承知しましたということは言えないわけでございまして、そういう観点から反対申し上げるわけでございます。
  32. 川野芳滿

    川野委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、一旦休憩して、午後一時半から再開いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午後一時半から開会することにいたしまして、それまで休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十三分開議
  34. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議を継続いたします。  それでは、農業をされており、また農民運動にも携わつております清水猛君の御意見を求めたいと存じます。清水猛君。
  35. 清水猛

    清水公述人 私、清清であります。  政府並びに本委員会においては、相当この問題に対して眞劍に審議をしておられることは確かに認め得られます。日本はポツダム宣言以來、無條件降伏の線に從つてあらゆることを行つており、新憲法も成立しました。その新憲法によりまして、基本的人権と言論の自由と同時に、われわれはあらゆる最低限度の生活を保障してもらうところの義務と権利を有する観点から考えまして、今日行われるところのこの國有鉄道運賃問題も、当然——政府の三・五倍は不当ということは言えませんが、勤労階級あるいは資本家という総合的な見地からすれば二・五倍、あるいはでき得るならば二・二倍から二・五倍というのが私の結論であります。それというのは、日本の鉄道運賃は戰前に比べて、運賃がいわゆる賃金を上まわり過ぎているというように私には見られておりますが、こういう不均衡をとつているというようなことは、ますます経済を極端に破局化せしめて、基本的な組織そのものをなくしてしまう。そのときに立ち至つて國民大衆あるいは政府当局が眞劍にその問題を討議したとしても、これは間に合わない事実でありまして、まず一應経済政策の基本として均衡をとつてから、そこに具体的に再び討議をせねばならぬという考え方がよいのではないかと私は思います。その断片的な一例を申しますと、現在政府はなおマル公の七割値上げを行つて、同時に新賃金ベースを三七〇〇円ベースというところに考案しているようでありまするが、その観点はタツチしても、当然この三・五倍の値上げということは私には納得がいかない。從つて私は勤労階級並びに資本家、業者という、総合的な見地から言うならば、二倍から二・五倍というところが、最も妥当、あるいは妥当的な、一致的な、いわゆる芦田内閣としての使命を実現できるところではないかと考える次第であります。現在の運賃問題ばかりでなく、あらゆる問題に対して、選挙のときに公約を結んでおる代議士が、與党になり、あるいは野党になつたときの理論体系、あるいは行動ぎ全然違つておるというようなこと、また國民がそういう代議士に対して、いわゆる議会政治とか、あるいは組合主義とか、民主主義とかいう根本理念を、選挙に際して立てておらぬということ、それと、眼前にかくのごとき問題にタツチした場合に、あるいは違う、これには反対だという無責任な考えと同時に、代議士各位がまだ眞に國を憂えて眞劍な数理的な科学性を帶びたところの観点に立つておらぬということが、私の言わんとするところであります。要は、この問題に対して結論は、最高二倍半であつて、これはいわゆる労働組合、あるいは日農、各種労組等が絶対反対をしておりますが、絶対反対を言うべき理由はないのではないか。私に言わせるとそういう結論であります。政府そのものも、何ら根拠のないところの三・五倍ということはないと思うし、從つて私鉄経営者側というような場合でも、これを合法的に考えれば、値上げをするということは一應認めなければならない。そうしてこの具体的指数とか、あるいは物價と賃金——この値上問題に対して、ともあれ部分が責任をもつ、ときに野党なり、ときに與党になるという責任をもつた観点から、数理的に考えていけば、そうたいした開きはないという考えでありまして、いわゆる政府の三千七百円ベースそのものだからというて、單に食えないということはない。事業現在各労組においた食えないということを言うておるが、私は食えないということはないと思う。食えなければ重労働でもし、あるいは食える仕事をすればよい。政府はその仕事を轉換してはならないということは言つておらない。またそういうことを言うならば、國民の一人々々が、無責任な、ただ自分一人の擁護のために、生活の方法を前提において、その方法ばかりで考えることになり、それならば、政府がいかなる原案を考案し、あるいは議会がいなかる原案を考案しても、何ら議会とかあるいは民主主義の意義がないという見解を私はもつておりまして、具体的説明は、前からの学識経驗者の方などが、相当われわれの傾聽すべき意見を述べられておりますから、私はここで具体論については述べませんが、ともあれ考え方が全然違つておる、観点が違つておるのではないかということを私はここに指摘して、一應政府の三・五倍案に対して、それまで上げなくてもよい、二・五倍というのが私の結論であります。  私の意見はこれで終ります。
  36. 前田郁

    前田(郁)委員 旅客貨物両方ともですか。
  37. 清水猛

    清水公述人 そうです。
  38. 川野芳滿

    川野委員長 次は日本出版活人評議員会副議長であられる川崎文治君の意見を聽取いたします。
  39. 川崎文治

    川崎公述人 私は日本出版協会の川崎でございます。本日ここに議員各位並びに有力なる專門家の各位の前におきまして、自分が私見の一端を申し上げることのできます機会を握り得たということにつきましては、実に無上の光栄とするところであります。のみならず、今日わが日本がまさにどお底より起ち上らんとして、再建の歩を進めております折柄、廣く民の声を聽かんとする御意図のもとに、私に機会をお與えくださいましたということは、これは民主的なるところの日本の実現する過程においては、まことに喜ぶべき次第であるということを私は深く信じておるのであります。  今回の鉄道運賃引上原案は仄聞いたしますのに、新聞、雜誌、教科書または一般書籍というようなぐあいに、これを種目わけいたしまして、それぞれの段階においての率を定められて、引上げをなさるということであるらしいのであります。このことにつきましては、私はなはだ遺憾ながら、今日の段階におきまして、出版物に関する限りは鉄道運賃の引上げということについて、全面的に反対を申し上げなければならぬのであります。結論をまず最初に申し上げますれば、この新聞または雜誌というものの性格に鑑みまして、たいへんな隔りがない、この意味において、これは少くとも同率にした扱いのもとに処置すべきものである、こう考えますので、この教科書、そしてまた一般の書籍というものに運賃の段階を設けず、これもまた一本建の運賃率によつて処置すべきものであろうと考えるのであります。しかしながら今日わが國の財政の現状が、実に危急存亡のときに逢着しておるということに鑑みまして、私はいたずらの親心を知らざる子供の立場からの、一方的なる要望をあえてなそうとは考えないのであります。この際において適当なる歳入の財源の代案をここに発言いたしますとともに、この値上げの率というようなものについて、多少の御考慮を願いたいということが、本日私の公述いたしますところの本旨なのであります。  日本は申し上げるまでもなく、將來においての戰爭を今や放棄いたしまして、まさに民主的なるところの文化國家としての再建をいたさなければならぬということは、ポツダム宣言によつて規定づけられておることであります。このことは実に敗戰國のむしろ栄誉ある宿命であると私は考えるのであります。この目標を実現いたしまするのには、これは日本が文化的なる資格を向上いたしまする上において、社会的な教育の普及ということが最も大事なことであり、どうしてもこれを先決的に考えなければならぬと思うのであります。この社会教育の普及どいうこと、これを前提として申いまする場合においては、新聞も雜誌も教科書も、かつまた一般の書籍も、何らそこに区別がないのであります。これことごとく文化國家を建設いたしまする上においての重大なる重素であるということは、私があえて申し上げなくても、皆様方十分に御納得のいただける点であると私は信じて疑わないのであります。このときにおきまして、御承知の通り國定教科書というようなものも近く廃され、教科書の部分に國定というものはなくなり、すべてが檢定教科書として取扱いを見るということの情勢に鑑みましても、ことさらにここに教科書と書籍との上において、非常に運賃の区別を立てるの必要があるかどうか、この点はぜひ御一考を願いたいのであります。この点につきまして、私どもはここに何らの区別を置くべきものではない、これことごとく文化財として同資格のもとに、運賃的の取扱いをやつていただきたい、このに切願の要旨があるのであります。のみならず、この新聞雜誌につきましては、これも御承知のことかと存じまするが、昭和二十年までは運賃には差がなかつた。同じ率のもとにこれが取扱われていたのであります。しかるに戰爭の末期において、俄然ここに区別の設けられたという理由につきましては、すなわち新聞はその発行地元の附近にこれが流れるものであつて、得隔なるところの輸送力を必要としない。かつまた新聞値上げということは、これは容易に実現しないというの二つの理由のもとに、これは雜誌とは違つた面を多分にもつているということから、率の上に差別が生じたのであります。皆様お考え願いたいと思いますることは、すなわち新聞は発行の地元の附近にのみこれが流れる、その輸送力が短かいというようなことについては、なるほど雜誌は全國津々浦々、しかも東京を中心といたしましてこれが流れるのでありまするから、輸送路は長いでありましよう。長いが、しかし今日の日本として文化を普遍的に、全國的にこれを均需せしめるという観点に立つてこのことを顧みまするときには、むしろ輸送路が長いがゆえに、この運賃というようなものについては十分安からざるべからずと私は思うのであります。現に今日出版物というものが用紙の面より非常に制約いたされまして、配給ということにもきわめて困難を感じておりますこのときに、かてて加えてこの運賃が上るというようなことであつたならば、その結果はいかが相なりましようか。必ずや出版物のすべて、これことごとくが大都市にのみ集中いたしまして、これが山間假他には決して流れないのであります。その結果、文化を均等的に全國に向つて滲透せしめる上に、大なる支障を來すであらうということは、火を見るよりも明かであると私は信ずるのであります。こういう点よりいたしまして、どうしても日本の宿命とも申すべき文化の普及発達の上に観点を置いて、そうしてこの問題を靜かに考える場合においては、ただ單にそれが財政の上において赤字であるからどうというようなことのみを念として、処置すべき問題ではないと私は思うのであります。しかしてこの値上げによりましての一箇月の増收が、いくらぐあいあるかということにつきましては、私どもが想定をいたしますれば、それは約四百七十五万円でありましよう。そうしてさきに申しましたことく、私どもの要望が滿たされまして、もしこれが修正になつたといたしまして、この歳入減はどのくらいになるかと申しますれば、これわずかに二百万円くらいだと思うのであります。この二百万円にとつてつての新財源といたしまして、わずかなものであるから、政府に適当に処置してくださいというようなことは決して申し上げません。さような虫のよき氣持ではない。われわれは眞にこの苦難を背負つて立つ政府の氣にもなつて、この赤字克服の上の代案を、僭越ながら申し上げますならば、すなわち鉄道においては、列車内における掲示廣告料、これをもし徴收することができるならば、このくらいの赤字というものは、立ちどころに解消することができると思うのであります。と申しますのは、今日新聞紙のごときもスペースがすでに少くなりましたがために、廣告の掲載ということがなかなか容易ではない。その他においても宣傳方法の上において、物資難その他の事情のためにすこぶる困難を來しておるのであります。そのときに、一つの宣傳廣告をする用具として、この列車内にポスターなどによるところの掲示がはり出されるとするならば、ここに廣告界に新しい部面を開拓することができると考えるのであります。この結果としての歳入の増加はどのくらいになるかと申しますと、これは專門委員の皆樣においてはすでに御調査済みのことであり、私があえて御説明申し上げるまでもないと存じますが、参考のためにお耳に入れますれば、ただいま動いておりますところの客車の数量は一万一千台と聞いております。しからばこの一車輛に四枚ずつの宣傳ポスターを掲出するとしまして、その一枚が一日に三円の料金と仮定しました場合に、一車輛のポスタターの收入は十二円であります。從つて一万一千台の客車に掲出しましたその金額は十三万二千円と相なりまして、これが一箇月すなわち二十日と見まして三百九十六万円、從つて一年を通じましては四千七百五十二万円ということに増收を見ることができるのであります。こういう方法によりますれば、私ども先ほどお願いを申し上げました歳入減という赤字の面は、これことごとく解消いたすのであります。これのみではないのでありまして、鉄道沿線に立つておりまするあの專用電柱、これらもまた廣告の対象と相なりましよう。それからまた線路の空間地などを適当に賃貸なさる、あるいはこれを事情によつては拂下げをなさるということになれば、より以上の増收をここに見ることができる。こういうふうないわゆる歳入の面においての補填の途があるといたしますれば、あえてここに文化財の上に運賃過重を來さしめなくても、これは國家の財政のそろばんの上に乘らない数字ではないと私は信ずるのであります。  以上申し上げましたようなわけでありまして、どうぞこの出版物に関する限りは、特別の御詮議によりまして、前に申し上げましたがごときわれわれ抱きまする修正の意見を、ぜひ御採用のほどを切にお願い申し上げまして、ここに私が立ちました公述の本旨といたす次第であります。
  40. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと川崎君に御相談申し上げますが、ただいま御意見を承つておりますると、鉄道運賃値上げについて、もし可とするならば、その値上げの率という題にお触れになつていないようでございます。これについて御意見があるならばひとつ……。なければ結構ですが。
  41. 川崎文治

    川崎公述人 以上申し上げましたことが、私ども申し上げようとする本旨でございます。
  42. 川野芳滿

    川野委員長 次は東京地方電氣部に御奉職になつておる水谷三郎君の御意見を聽くことにいたします。
  43. 水谷三郎

    水谷公述人 私はただいま紹介にあずかりました水谷三郎であります。  われわれは元來値上げというものは給料以外はあまり好みません。近く物價改訂が行われるということが言われております。そうすると物價値上りによつて生ずる他物價との均衡という点から見ましても、運賃は上げなければいけないということになります。現在のままの運賃でくぎづけにしておきますれば、それでなくても一日に二億近くの赤字が生ずる、年間にいたしますれば七百数十億の赤字が生ずるのであります。これをどこで補うが、一般会計から補填していただくか、あるいは鉄道公債というものによつて賄うかという問題になると思います。鉄道公債というのは議員諸公は御承知のようでありますけれども、從來の実績を見ますと、大体半分は消化される。半分は日銀その他金融機関の引受になる、こういうふうに言われております。それから一般会計からこの数百億の赤字を補填してもらうということは、私は少しおかしいのじやないかと思います。というのは大体一般会計から赤字を補填してもらうということは、あまり利用しない方にも負担をかける、こういう意味になると思います。すなわち山間假地で年に何回かしか利用されない人にも税金その他でこれだけの負担をかけることになる。それで私は値上げは利用する者が負担するんだ、こういう意味において値上げもやむを得ないとしております。しからば率はどのくらいにしたらいいか。不滿足ながら政府案の通りでよろしいと思います。但し政府案でも九十億の赤字が出ると言われております。これはあとで説明いたしますけれども、ギヴ・アンド・テイクということがあります。政府の今やつておることはテイクを先にし、ギブをあとにするのだ、こういうふうになると思います。それも結構です。私は條件をつけて政府案に賛成する。その條件は、政府案をのんでやるので、その代り政府の方も少し考えろ、どういうことかというと、國営事業の合理化ということです。現在の國有鉄道のやり方を見ると、独立採算制という趣旨からいつて、はなはだおもしろくない点が多々見受けられる。これはもう少し経営協議会というか、運営委員会というか、そういうものの権限を強化して、より一層独立採算制、事業の合理化というものにとび込んでいかれた方がいいのじやないかと思う。その具体的の例としましては、人員の整理——人員整理というのは私のは必ずしも馘首を意味いたしません。職場の配置轉換、労働基準法完全実施による過剩人員を、足りない所へもつていくいわゆる配置轉換、こういうものは最も必要ではないかと思います。それから鉄道で援助しておる鉄道弘済会、ああいうものと縁を切りまして、鉄道弘済会は一本立ちでやつていかれることが必要じやないかと思います。それから先ほどお話のあつた鉄道廣告料の値上げ鉄道復興籤、考えればいろいろあると思います。こういうものによつてわずかではありましようが、増收をはかる。なお鉄道パスの嚴重統制、パスを廃止しろとは申しません。六月七日朝のラジオ、市民の声でしたか、ダンスの教師にもパスを発行しておるという御意見があつたようですが、私はそういう観点からいつて、こういうものは嚴重に統制しなければいけないと思います。それからこのままでいきますと不正乘車がある。不正乘車をまず完全に撲滅しなければならないと思います。それから物件費の再調査、惡質の石炭が配給になるのでコンサンプシヨンが二倍となつてそのために相当赤字が出るというお話がありました。これは選炭補給金あるいはそのほかの手段を講じて、良質の石炭を配給すれば、やや緩和されるのじやないかと思います。石炭カロリーの問題にはいりますけれども、午前中の加藤委員長お話にもありましたが、大体石炭價格というものは物價改訂によつてどれだけ上るかというと二・六倍と言われております。すなわちトン当り三千六百七十六円だ。これを現在の運賃でいけば二百数十億の赤が出るのだ。こういう面からいきましても、当然これは値上げをしなければいけない。しかも率は政府案の三・五倍というのは少しひど過ぎると私らも思いますけれども政府案も新聞によりますと、今度の案は三回目になつております。第一回目は貨物が六倍、旅客が二・五倍、二回目は今度は貨物が値下りになりまして五倍、旅客が三倍になつた。第三回目が旅客貨物にも三・五倍におちついたという形になつているようであります。これでも九十億の赤字が出るのだ。この九十億の赤字というのは、政府案によりますと利用率が五%減つているのだ、午前中の私鉄経営連盟の後藤さんのお話では、会社などの統計章はこんなものじやないのだ、二〇%も減るのだということを言われております。そうするとそういう結論からいきましても九十億ではとても足りないのだ。三・五倍の運賃値上げで九十億か百億になるかもしれない、あるいはそれ以上になるかもしれません。それを三倍なり二・五倍なりにしていきますと、その比でもつて赤字がますます増大するのだ。私はこの意味におきましても不滿足ながら政府案に賛成はいたします。その代り政府当局においても、以上私がるる述べましたことをもう少し考えていただきたい。問題は石炭なんです。石炭が値上るとか、あるいは惡いためにこういう問題ができているのです。そうすると國家百年の大計を考えまして、今すぐにこういうカーブが出てまいりませんけれども國鉄の電化、石炭を電氣にかえてやるという考えも必要じやないかと思つてきました。大分長々とくだらないお話をいたしましてお清聽をありがとうございました。
  44. 川野芳滿

    川野委員長 次は全國國立大学理事会の執行委員であります東大法学部に在学中の井出正敏君の意見を聽取することにいたします。井出正敏君。
  45. 井出正敏

    井出公述人 ただいま紹介にあずかりました井出と申す者であります。実はラジオ、あるいは新聞に中村というのが來るはずになつておりましたが、突然用事がありまして、私昨日呼び出されまして参つたわけであります。そのために資料などの点において不十分であるかもしれませんが、その点御了承願います。私は学生でありますから、学生の立場として、また國民一般の立場として、この運賃値上げに対して全面的に反対いたしたいと思つております。  まず第一番として政府の今後の運賃値上げというのは、インフレ克服のために何らの手段を打たないで、單なる安易な手段として、運賃値上げという手段を用いたという点をまず衝きたいのであります。そしてまた次には学生として学生の生活が非常に窮迫している。この事実をもつて議員諸賢に訴えたいと思います。  まず学生の実情からお話いたします。これは非常に新しいデーターであります。まず学生一般に言いまして、非常に生活が困窮している。こういうことは言えると思います。しかしながらその学生の困窮の仕方が、必ずしも一樣に困窮しているのではないということ、すなわちいわば階級分化が非常に行われているということを物語つております。すなわちなぜかと言いますと、今年の四月の学友会、これは東大の文学部の自治会のデーターなのでありますが、非常にこれがはつきりて現われているのであります。すなわち下の方は一千円から一千五百円月にかかる人間があるかと思うと、その上の方になると四千円、五千円、あるいは六千円も使つている人間がいる。こういう状態はつきり現わしております。すなわち少数の学生が非常に裕福である、しかしながら大多数の学生は食うだけで一ぱいである。そしてまた書籍の購入費まで手がいかない。こういう状態であります。それからまた月に五百円くらい大抵赤字が出るのでありますが、それは大抵本とか衣類を賣つてしのいでいる。こういうこがちやんと数字に出ております。從つてここにおいて教育の機会均等というのが非常に破られてきた。これが学友会の新入生のデーターに現われているのであります。この学友会の文学部の新入生というのは、われわれの思つたより裕福な人間が多いのです。これは高等学校時代アルバイトをしていた者、こういう人間は、今度の六人に一人とか、七人に一人とか、ああいう競爭率の非常に高いところではすべて振り落されて、勉強の余裕のあつた者がはいれた。こういう現象ではないかと思つております。しかもただいまアルバイトのことが出ましたが、そのアルバイトと学業とは漸次両立しなくなつている。こういうことが言えると思います。すなわちなぜかと言いますと、アルバイトの賃金というものは一般物價に比べて非常に上り方が遅いのであります。それでただいま一日働きますと、大体八時間働いて六十円から百二十円とれるのであります。平均七十五円というところであります。これでいきますと、食費でさえ浮かない、こういう状態になつております。しかも学生はいわゆる組織労働者ではありませんために、非常に首切りの対象になりやすいあるいはまた低賃金を押しつけられている。こういう現状なのであります。それからまた最近のデーターによりまして学生の生活の大体一般的な平均的なものをとつて御報告いたしたいと思います。それは一箇月の生活費というのは二千五百円である。しかして食費は大体その八〇%の二千円かかつている。そうしてまたここで問題となつているところの交通費というのは大体二百円である。從つて交通費は大体八%であります。その残りの大体三百円という数字が書籍とか、あるいは娯樂とか、いろいろな会にはいつた会費とか、そういうようなものになるわけでありますが、ほとんどここにおいては書籍の費用も出ない、こういう状態であります。これが現果の学生の生活なのであります。  このような状態にありますから、もしもここにおいて運賃が三・五倍、こういうことになりましたら、今まで二百円だつた運賃交通費が、たちまちにして七百円になり八百円になり、結局これが赤字になる。しかも賃金の方は殖えない。こういう実情であります。学生生活は全面的に崩壞を招くのではないかとおそれている次第であります。  次に学生のことから國民一般のことに目を移したいと思いますけれども一般國民のいわゆる勤労大衆というものは、やはりわれわれと同じような生活をしている。すなわち三千七百円ベース——今は二千九百二十円ベースなのでありますが、その大部分というものも、やはり学生と同じようにその八〇%を食費に費していると思います。そして学生とまたほとんど同じに、さつきの加藤さんですかが言われたと思いますけれども、やはり八%から一〇%の割合が交通費になつておる。こういうような状態なのであります。從つて現在の日本人の收入では運賃の占める割合が非常に低い。あるいはまた物價に比べて運賃の占める割合が非常に低い。こういうふうなことを言われて三倍値上げでも構わない、こういうような論を言われる方もあると思いますけれども、それは実は、國民がその八〇%というものを、ほとんど食うために使つておる。そしてまたその二〇%のうち八%を現在交通費に出している。こういう現状を思わなければならない。これは非常に無謀な挙である。こういうことがはつきりおわかりになるのではないかと思うのであります。それで特にこの運賃値上げというものが、從來われわれの経驗によりますれば、物價高騰の先頭を切つて行われている。こういうことを指摘せずにいられないのであります。すなわち運賃が上り、次にはやみの米の値段が上る、それからほかのやみ値が上る。それに続いてそれを追つかけるようにして公定價を上げる。こういうふうにしてどんどん他の物價が上つていく。こういうことが現在われわれの経驗しているところではないかと思うのであります。しかも今度政府は二十三年度総予算においては、全然インフレ克服に対する対策を打つていない。こういう現状におきまして、この三・五倍値上げ、あるいはまた授業料の三倍値上げ、こういうものが必ずやもつと大きなインフレを招くということは確かだと思うのであります。從つてわれわれはこのようなインフレーシヨンを招くような値上げに対しては、断然反対するものであります。たとえばこのインフレ助長に関してはゐその実質的影響と心理的影響、こういうものがあると思われます。ただいま言いましたのは実質的影響なのでありますが、結局運賃値上げということは実質賃金を非常に減すということである。しかもまた心理的影響も非常に大きい。こういうことを言いたいと思うのであります。また運輸省においては、賃上げは大衆に対して何らの影響も與えない、その証拠には輸送量が依然として変らない、こういうことを言われておるのでありますが、これは全然間違いだと思うのであります。何となれば、どうして運賃値上げのあとに輸送量が変らないかといいますと、鉄道というものは独占企業であるということ、これなしには國民が歩けない。これなしには國民が物を運べないというこの事実に基くものであります。何ら実質的影響はないというものではないと思うのであります。從つてわれわれがここで問題にしたいのは、運賃値上げをすることではなくて、まずインフレを止めることである。このインフレを止めるべき策を講ずることである、これが第一番であると思います。すなわち賃金を上げてインフレを増進さしていくのは、明らかにこれは政府のインフレ政策の誤診であると思うのであります。この点におきまして、同じ生活基盤に立つておるところの学生も、また一般國民もまつたく同じ立場に立つものと思つております。  次に政府が現在とりつつあるところの政策を批判したいと思います。私は最初に國民的立場からやつてつて、そうして学生の立場をそれに織りこんでやりたいと思います。まず第一に指摘したいのはスペシヤル、サービスということが非常に行われておるということであります。これは貨車の四八%がそれに使われておる、客車の一一%がそれに使われておるという事実が物語つております。これは当然終戰処理費から出されるべきものであつて、これが非常に負担になつておるということは一考を要するものではないかと思うのであります。次は交通公社の問題であります。交通公社に現に二億円の支出をされておるのでありますが、これは現在の國民一般大衆にとつてはあまり價値がない、むしろよけいの存在である、こう判断してこの交通公社に対するものは明らかに除いて差支えないものと思つております。次にいわゆる交通警備員というのがあります。交通警備員、これまた特別会計から出しておるのでありますが、これは明らかに一般会計、保安の方の会計に属すべきものだと思います。次はやはり鉄道会計について言わなくてはならないのです。それはこれまで午前中に語られた方も、それから前に語られた方も指摘されたことでありますが、石炭のことであります。ただいま私の手もとにおきましては、二十二年度の資料しかなかつたので、二十三年度についてはちよつと言えないと思います。二十三年度については、國鉄加藤委員長が言つたと思いますから、その点は略したいと思います。たとえば石炭は年に七百八十万トン國鉄が必要とする。これを二十二年度におきましてはトン当り一千四百六十円で買つておつたわけであります。從つて一年間金額において百十三億八千八百万円、こういう状態なのであります。ところがこれは重点的産業にしておくならば、実は去年の値段において六百円なのであります。從つてここに約六十三億の黒字が出るはずなのであります。ところが現在の日本の政府におきましては、これを実行していない。何となれば、これは現在の日本の石炭の消費量のうち三一%を鉄道が使つておる。從つてこれは炭鉱業者に対して甚大なる影響を與える、こういう状態であると思うのであります。次は石炭の炭質をよくするということ、これも先ほどからしばしば言われております。すなわち昭和十一年には六千四百四十カロリーであつたものが、昭和二十二年度においては五千三百カロリーから三千九百カロリーに落ちておる。それから炭質が非常にまちまちであるために、蒸氣が上らなかつたり、あるいはまたむだな石炭を使つておる、こういう状態なのであります。從つて炭質をよくすれば、おそらく去年の價格であつても二十億から三十億、今年であればさつき言いましたように、六十億くらいの黒字が出る、こういうことが言われております。しかもまた人件費と物件費との関係であります。すなわちこれはどういうことかといいますと、現在國鉄は六十万人いる。かつては四十五万人であつた。從つて十五万人というものは、ほとんど無益に近い余剰人員である、首切りをしてしまへ、これがインフレ克服の手段である、こういうふうに言われておるのでありますが、昭和二十二年度におきましても、人件費と物件費の割合は実は四一%と五九%であります。今年になると、それが三五%と六五%と、もつと差がひどくなつておるのであります。從つて國鉄赤字というものは、人件費にあるのではなくて、むしろ物件費にある。さつき言いましたように、特にその中の主要な部分を占めるところの石炭にある、こう申したいのであります。たとえば首切りを敢行した場合、十万人私が首を切つてみます。去年の計算で行きますと、これは結局二十二億の黒字しか浮かないわけであります。それから三千七百円ベースで切つても、四十四億しか浮かない。從つてさつき言いましたように、二十二年度の計算においても、石炭に関しては六十三億も黒字が浮くのでありますが、十万人を首切つても、たつた四十四億しか現在でも浮かない、こういう実情を申し上げたいと思うのであります。その他國鉄の会計については、特殊物件費とか、あるいはまたそれに附属しておるところのいろいろな施設、こういうものに対しても税制を加えることによつて黒字が出る、こういうような結論に達したわけであります。  しかしながら、なお最後に、最も大事なことは、インフレ政策を打破すること、これが一番の最大の要点である、こういうことを申し上げたいのであります。私の前に申された方は、みないくらかの値上げはしかたがないであろう、こういうような結論に達したであろうと思うのであります。それは皆さんが、インフレやむを得ないという前提に立つているからだと思うのであります。すなわち現在政府が組んだところの総予算額四千億円、これがやむを得ない、これに伴うところの三・五倍をやむを得ない、授業料の三倍もやむを得ない、こういうような立場に立つておるから、必然的にそれが値上げやむを得ない、しかし値上げは何とかして運賃二・五倍、貨物五倍、このくらいのところに納まつたらいいじやないか、こういう結論に達するのであります。しかしながら、私はその前提であるところの政府のインフレーシヨン政策というものを衝きたいのであります。從つて今回の運賃値上げに対しては全面的に反対する、こういう立場に立つております。  最後に定期券のことについて一言申し上げたいと思います。定期券は非常に利用者が多い、ところがそれに反して收入が少い、こういうのが事実であります。しかしながらこれを数字化してみますと、昭和十一年においては、人員にして定期が五六%、定期外が四四%、二十二年度におきましては、定期六〇%、定期外四〇%、すなわち定期の方は四%増加しておるのであります。ところがこれに対して收入の方は、十一年度においては定期一〇%、定期外九〇%、二十二年度におきましては、定期一一%、定期外八九%、こういう状態になつておるのであります。從つて定期の利用者が激増したがゆえに赤字なつたという結論は出ないと思うのであります。また鉄道利用者たるわれわれの例から言わしていただくならば、サービスという点においては非常に劣つておる。サービスの割合にペイを拂うというのが、今までの経済の大体の傾向じやないかと思います。この事業が独占事業であろうとも、やはりそのサービスに比例してペイが拂われておる、こういうのが実情だと思います。その証拠に一等、二等、三等という区別がある。しかしながらわれわれから言わしむるならば、定期券というものは明らかに三等以下の五等あるいは十等に値するものである、こういうことが言えると思うのであります、それを今数字の上で言いますと、二十二年度におきましては、十一年度に比較して定期利用者は三・〇五倍になつております。普通の旅客は二・九九倍で、定期の利用者が多少殖えております。しかしながら定期利用の輸送距離が延びておるということを指摘しなくてはならない。これはなぜかというと、戰災とか、疎開とか、住宅難のために非常に近郊に疎開した者が多い、こういう状態であります。從つてこれが一・四五倍に延びている。從つて輸送量は非常に大きなものになつて、結局混雜の度合が四・三九倍、すなわち四倍半になつているという現状なのであります。しかもわれわれのような定期利用者は毎日々々混雜時を利用して——混雜時というのは大体普通の時間の二十倍に價する時間なのでありまして、サービスの割分から考えますと、それこそ百分の一くらいの料金しか拂わなくてもいい、こういう結論になるのじやないかと思います。しかも学生定期のことを言いますと、現在の学生生活の窮状から、これは当然じやないかと思いますが、しかも学生のアルバイトということを考えていただきたい。すなわち学生は学校におきましても一週五日制を布いている、こういう学校が非常に多いのであります。すなわち一般の方々よりも一日少いという状態なのであります。しかも学生がアルバイトしておるために毎日通学し得り者は非常に少い。こういう事情にありまするから、明らかに学生定期は一般の定期よりも少し割引になつていい、こういう点も了承されるのじやないかと思つております。もちろんただいまの定期券のことはつけ足りでありまして、私がほんとうに言いたいことは、政府は現在のインフレ政策というものをただちに放棄して、國民大衆の生花がもつと向上することを望むものであります。そのためには現在國民所得の一兆九千億円、この中の大体九千億円というものが、全然捕捉できないところのやみ利得になつている、こういう現状を御指摘したいと思つておりました。以上。
  46. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御出席をお願いしました酒井二太郎君並びに松岡洋子君より、それぞれ都合により欠席する旨の通知がございましたので、これをもちまして公述人の御意見の陳述は全部終了いたしたのでありますが、御質疑ございますればこれを許すことにいたします。——御質疑がなければこの際委員長といたしまして公述人各位に一言御挨拶を申し上げたいと存じます。  本委員会國有鉄道運賃法案審議にあたり、特に公聽会を開きまして、運賃値上げ可否、もし可とすればその値上率について、それぞれの部面に立場の方の御意見を拜聽いたすはずにいたしましたところ、公述人各位には御多忙中にもかかわりませず、それぞれの立場に立つてあらゆる角度から活発熱心に、豊富かつ貴重なる御意見の発表をしていただきまして、本委員会の本審査の上に多大の参考となりましたことを、ここに厚くお礼を申し上げる次第でございます。  それではこれをもちまして運輸及び交通委員会公聽会を終ることにいたします。     午後二時五十二分散会