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1948-06-29 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十九日(火曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 島上善五郎君    理事 佐伯 宗義君 理事 高瀬  傳君       大澤嘉平治君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    田村 虎一君       前田 正男君    井谷 正吉君       川島 金次君    佐々木更三君       館  俊三君    志賀健次郎君       橘  直治君    原   彪君       矢野 政男君    飯田 義茂君       堀江 實藏君  出席國務大臣         商 工 大 臣 水谷長三郎君  出席政府委員         石炭廳次長   吉田悌二郎君         運輸政務次官  木下  榮君         運輸事務官   三木  正君         運輸事務官   藪谷 虎芳君         運輸事務官   秋山  龍君         運輸事務官   山口  傳君         運輸事務官   山崎小五郎君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君 六月二十九日委員松本一郎君辞任につき、その補 欠として前田正男君が議長の指名に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法案内閣提出)(第七七号)  港域法案内閣提出)(第一二三号)  船員職業安定法案内閣提出)(第一四七号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 開会いたします。  これより國有鉄道運賃法案を議題として質疑を続行いたします。尾崎末吉君。
  3. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 石炭廳政府委員の方のお尋ねいたしたいと思います。この前から再々資料をお願いしてあつたのですが、御多忙中と見えて一向届きませんでしたので、ここで直接伺いたいと思います。第一に伺いたいのは、現在五千五百カロリー以上六千カロリーまでと、六千カロリー以上の二つにわけて、石炭出炭量をまず伺いたい。
  4. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 資料の御要求につきましてはまだ私初耳です。連絡が惡かつたかと思いますが、大体の数字はわかつておりますから申し上げます。昨年の実績は二千九百三十数万トンの生産をいたしましたが、大体五千五百カロリー以上の炭は、そのうちの五二%前後でございます。毎年大体そういう率になつております。それから六千カロリー以上の炭になると、大体絶対数で七百万トン程度ではないかと考えております。
  5. 川野芳滿

    川野委員長 尾崎君にお願いしますが、商工大臣が非常におせきになつておりますので、商工大臣に対する質疑を先にお願いいたしたいと思います。
  6. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 商工大臣にお伺いいたします。國鉄がいわゆる健全財政則つた独立採算制のようなものが、うまくいくかいかないかということは、わが國の産業再建がなるかならないかという非常に重大な問題でありますので、今伺うことについては特に責任をもつてお答えをお願いいたしたい。それは國鉄の経営の合理化一つといたしまして、石炭カロリーの多いものを、少しでもよけい國鉄に使うことが絶対に必要だと思うのであります。その理由は、賢明なる商工大臣は十分に御承知でありますから申し述べませんが、そういう建前から考えまして、五千五百カロリー以上並びに六千カロリー以上の石炭生産される地区を明らかにしておきまして、その地区から輸送をできるだけ便利にする、これらのことを確立しておきまして、できるだけカロリーのいい石炭國鉄に割当てることが絶対に必要だと思うのでありますが、それらについての御計画があるかないかということをまず伺いたい。
  7. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御質問の点は、あるいわ石炭次長から前にお答えしたかどうか存じませんが、御趣旨は私もまつたく同感でございまして、商工省としては鉄道にお約束した五千六百五十カロリーをば、一年を通じてぜひ確保するように努力したい、かように考えております。
  8. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 五千六百五十カロリー以上を七月以降確保するという政府計画伺つておりますが、確保するというのは全部確保するのですか、あるいはその中のどの程度までを七月以降確保できるのですか。
  9. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 ただいま大臣の申されました五千六百五十カロリーというのは、七月以降大体平均いたしまして、年間のものがそれくらいになるようにいたしたいという予定でございます。なおこれは五千六百五十カロリー以上ということではございませんので、それ以下の炭も以上の炭もいろいろ平均して、大体それくらいになるように努力していきたいということであります。
  10. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 國鉄に関しては再三伺いましたように、超重点産業一つとして閣議の方でも決定をせられている、こう伺つておるのでありますが、それにもかかわらず他の超重点産業と同じように扱われていない点があるように思うのであります。これではさつき申したように、産業の復興に絶対に必要な國鉄建直しが非常に遅れるのでありますが、カロリーの高い五千六百五十カロリー以上の石炭、なお進んでは六千カロリー以上の石炭を現在の生産高からどの程度今後増産をせられようというのであるが、その増産をし得る地区はどこどこか、九州でどのくらい、北海道でどのくらい、その生産されたものをどの程度國鉄に割当られるか、具体的な計画がもとよりあることだと思いますので、それらの内容を伺いたいと思います。
  11. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 こまかい点は政府委員から申し上げますが、念のためにお答えしておきます。私は五千六百五十カロリー以上とは言つていない。一年を通じて、平均して五千六百五十カロリーということですから、その点誤解のないように願いたいと思います。  それから御案内のように、いい炭が出るのは北海道九州でありまして、今貸の指定炭鉱の場合におきましても、北海道九州は五千カロリー以上を指定一つの標準にしております。常磐は四千カロリーと押えておるのであります。そこで大体高カロリー石炭ををできるだけ増産しなければならぬというので、今後の増産目標は大体北海道に注ぎまして、北海道の炭でできるだけたくさん出すというふうにもつていきたい、このように考えておる次第であります。そこで北海道あるいは九州の炭はいいのでありますが、常磐の炭が落ちまして、宇部の方では機関車にたく炭がなかなか入手できないというような状態であります。しかもいい炭が北海道九州と離れて、かんじんの東京近くとか、あるいは本州には出ないというので、その間輸送その他の関係で品質のずれがあるのであります。さつきから繰返して申しましたように、一年を通じては大体五千六百五十カロリー平均は確保するようにできるのじやないかと考えておる次第であります。
  12. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 カロリーの高い石炭でも、カロリーの低い関炭と混合して使用すると、その効率というものは非常にまずくなる、こういうふうに伺つておるのであります。でありますから最初から伺つておりますところの趣意は、できるだけ同じ炭質のものを同じ地区から多く出す、今おつしやつたように北海道石炭九州にまわし、九州のものを北海道にまわすということは、輸送上非常に不便だろうと思うのでありますから、そういう点から考えまして、あらかじめ良質石炭の出る地区を明らかにして、その地区から——こまかく申しますれば、廣鉄管内とか、あるいは九州管内とか、大阪鉄道局管内とかいう所に、どの程度配炭ができるか、北海道地区石炭は、その他の東京から以北の鉄道局管内にどのくらい配炭ができるのかという、それらの計画がもとよりなければならぬのであります。その点についての内容を伺いたいと思います。
  13. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 ただいま商工大臣よりお答えいたしましたように、五千五百カロリー以上の炭が出ますのは、大体九州北海道だけでございます。常磐に若干ございますけれども、これはほとんど大した量ではございません。その他の地区におきましては、全然五千五百カロリー以上の炭というものは内地には出ないわけであります。從いまして、どうしても九州北海道で堀りました良質の炭を、本土輸送用に使うということになるわけでありまして、その点は本土に新しい炭田を開発してこれを供給するという問題は、実行上非常に困難でございます。もつとも若干所によりまして五千五百程度のものがないわけではございませんので、今後の新坑開発の問題といたしましては、そういう炭坑開発もやりたいと思いますけれども、何分にもそういう炭坑は埋藏量が少うございまして、長期間もちこたえるものはほとんどございません。從いまして今後の重点北海道のハイ・カロリーの炭を増産することに重点を置く、こういうことが必然の結論として出てまいります。なお現在の出炭状況も、十万トン以上くらいの山になりますと、北海道では六千二百カロリーくらいの平均をもつております。九州では五千八百カロリーぐらいの平均をもつております。從いまして北海道の方がいいわけでありますが、これに重点を置くとともに、今後の將來の見透しを考えますと、やはり新しい鉱山を開発する場合においては、北海道カロリーのいい石炭地方開発していく、こういうことで補つていきたいと考えております。從いまして内地で補うということは非常に至難でございまして、どうしても九州北海道から炭をたくさんとつて内地へ持つてくる、こういうことにならざるを得ないと考えております。
  14. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 数字的にそうした計画内容をお示し願いたいと思います。これはいわゆる鉄道予算に非常に重大な関係があると思うのであります。高カロリーのものを使うと、それだけいわゆる予算が少くなつてまいるのでありますから、そういう建前から、ぜひとももう少しつつこんだ御答弁を願いたいと思うのであります。
  15. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 山別計画はまだできておりません。從いまして全般的に重要炭鉱を今回國管指定いたします際に、そういうカロリーの高い山を指定いたしまして、今後の計画は、その山の生産余力の存する限りにおいて、本年度においてできるだけの増産なるにように仕向ける、こういうことを計画しております。しかし現実に何月に何トンという増産計画は、私どもとしては今後の問題として考えております。すなわち重要炭鉱指定がこの六月十九日にございまして、今後山別生産能力を檢討いたしまして、現在一應立てている三千六百万トンの計画がございますが、その中でどれくらい高いカロリーの炭を増産していけるかということを、山別に檢討していかなければならぬのであります。それは今後取上ぐべき問題として私ども考えているところでありまして、ただいままでは数字はきまつておりません。
  16. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御答弁、まことに正直なことを伺つたのでありますが、そういう御計画程度でははなはだ不満足なのであります。水谷商工大臣は現閣僚中最も優秀な方だと思つておりますが、そういう点についての御計画が非常に遅れていることははなはだ遺憾に思うのであります。先般安本長官においでを願つて國鉄計画をいたしますところの本年の目標輸送量を完成するために、安本としては資材、物資その他のものをどういうふうに割当てるのかということについての詳細な御説明を聽いたのでありますが、やや満足するに近いような計画的な御説明伺つたのであります。優秀な水谷商工大臣から、今のような計画を、具体的に伺うことができないのはまことに遺憾に思うのでありますが、この点につきましては、ひとつ急いで御計画を立てていただきまして、そうして先申しましたような——くどいようでありますが、産業再建に最も大事な國鉄に対する、最も積極的な御協力を希望いたしたいと思うのであります。
  17. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 今尾崎さんの質問ですが、運賃その他の点でそういうことをぜひ計画していただきたいというお考えだと思いますが、それならば、大体運賃をどのくらいの倍率にすべきかということの基準といたしましては、五千六百五十カロリーということで、そろばんをはじいてもらつて結構だと考えております。
  18. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 なお結論を申しますれば、五千六百五十カロリーでそろばんをはじくことは、現在もつとカロリーの高いものをだんだん多くまわしていただきますれば、まだ鉄道のいわゆるコストは下つてくるはずでありますから、その点を熱心に希望いたしておく次第であります。でありますから、もし願えるとするならば、六千カロリー以上の高カロリーのものが、重点産業のうちの鉄とか、セメントとか、その他重要産業の方にどういうふうに現在割当てられておるのか、今年度以降はどういうふうに割当てられるのか、そういう点までつつこんで伺いたいと思つてつたのであります。それではその点は、先申しましたように希望として申し上げたいのであります。  その次に現行石炭契約の中に特約條項というものがあるようでありますが、石炭國鉄に対する受渡しというものが、はなはだルーズと申しますか、まことにうまくいつていないことをしばしば耳にするのであります。從つて受渡しをするところの石炭も、実質量が著しく少かつたり、カロリーが著しく低かつたりする。こういうことをしばしば耳にいたしているのであります。これらの点に対しまして、いわゆる受渡しの方法を嚴重にする。こういう点について、石炭の方を扱われるところの商工大臣の方で、何か特別な御計画があるかどうか、これを伺つてみたいのであります。
  19. 吉田悌二郎

    吉田(悌)政府委員 ただいま石炭を配給いたします機関といたしまして、配炭公團がこれに当つております。運輸省に対しましては、配炭公團から石炭を渡すということになつております。その受渡しの際におきまして、運輸省石炭は山元において受渡しをいたしまして、そこにおいて配炭公團係員及び運輸省係員立会つてこれを渡す。こういう状況でございます。お話のような、内容が非常に違つているとかいうことについては、できるだけそこで交渉するように努めている次第でございます。
  20. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 大臣にお伺いすることは大体ここらで止めたいと思いますが、四月一日から実施せられるはずの石炭管理が、先ほど申しますように、ようやく何箇月か遅れて今これが始まつたように伺つているのであります。この石炭管理の結果は、私どもの耳にするところによりますと、生産数量相当少くなつたということを聞いているのでありますが、その管理の結果、最初予定通り、著しく増産することができる確信に変りがないかどうか。昨年以來の非常な問題でありますから、さいわい商工大臣のお顔を拜見しましたので、この機会にお伺いいたします。
  21. 水谷長三郎

    水谷國務大臣 ただいまの御質問の点でありますが、なるほど四月、五月は四月一日から予定されておりました炭價の問題、それと表裏一体をなす労働不安という問題で、計画に対しまして九一%しか出なかつたことは、これはきわめて遺憾であります。ところがその後炭價決定の目途もつき、労働不安も解消いたしまして、六月からは所期の目的を達するようになりました。たとえば五月中旬六六%というがた落ちの北海道も、六月中旬では一〇七%というところまで上つてまいりまして、大体六月は計画に対しまして九九%、場合によつては一〇〇%出るのではないかと思われます。七、八、九は一〇〇%を相当上まわるという予測が行われるのでございまして、大体本年の上半期におきまして、四月、五月に失つた分量は十分取返せると思う次第でございます。從いまして私らといたしましては、この二十三年度におきましては、公約いたしました三千六百万トンは出せるという考えでございます。從つて四月、五月に出炭が落ちましたのは、そういう國管が布かれたから、あるいは機構の切替があつたからであるとかいうような意味でなしに、以上申し上げましたような事実が大きな原因をなしておるというように、私は考えております。     〔速記中止
  22. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 総則第一條の二項につきましては、今非公式に申し上げたような氣持をもつておりますが、第三條の中の一、「三等の賃率は、営業キロ一キロメートルごとに、百五十キロメートルまでは一円二十五銭、百五十キロメートルをこえる部分は九十銭とする。」こういうことになつておるのですが、これは先般この点にちよつと触れたのでありますけれども遠距離逓減法というものを前に長い間用いておられたのを、最近こういうふうに逓減法を用いられなくなつてしまつた原因はどこにあるのか、まずそれをひとつ伺つてみたいと思います。
  23. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 尾崎委員の御質問に対してお答えいたします。遠距離逓減制は、遠距旅客に対しての優遇策として、日本のような狹長な地形の國にありましては、確かに一つの施策でありますが、その理論的な根拠は、御承知のように長距離になるに從つて單位当りの輸送費が逓減するという点に重点が置かれて、わが國鉄におきましても、明治三十二年以來この制度を採用してまいつたことは事実であります。しかしながらこの制度はその後漸次修正されまして、昭和十七年以來現行ごとく百五十キロを境界にして、二地帶制を採用しておるのであります。その理由といたしましては、最近のように諸物價が高くなりまして、その関係輸送の実費は著しく高騰して、いわゆるターミナル・コストに比してランニングコストの方が非常に高くなつたという情勢変化から、外國においてとつておる距離比例に近いような運賃が妥当なような趨勢に相なつてまいりましたので、急激な変化を避けるために、從來数地帶制を二地帶制に改善したのであります。この百五十キロを境にして利用客の面から見ますと、大体百五十キロまでの一地帶における旅客人員は、全体の九四%を占めておりまして、二地帶の百五十キロ以上の旅客はわずかに六%でありまして、大体この百五十キロで切るのが至当のように考えるわけであります。かようにして現下の経済情勢、このランニングコストの非常に高い情勢におきましては、やはり現行通りが適当と思いまして、今回の運賃法案に対しても、現行通り地帶制を採用いたしたのであります。今後経済の変動に從いまして、さらにこの刻みを少くするかどうかにつきましては、今後の経済情勢変化に伴いまして、愼重に研究いたしたいと存じております。
  24. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今の御答弁によりますと、百五十キロメートル以上の旅客はわずかに六%程度である、こういうことでありますが、そうだとすると、收入の上においてもそう多くの違いが出てまいらないのでありますから、お話ごと日本のような國土狹長な所におきましては、これはやはり数段にわけた遠距離逓減法というものをとられることが、國鉄の性格並びに使命から考えてみても、絶対必要であると思うのであります。特にまた今の御説明矛盾を感じますことは、急行料金が三段になつており、準急行料金も三段になつておるのに、この運賃のみが百五十キロまでと、それ以上との二つにやつておられる。こういう点から考えますれば、今伺つた答弁にも相当矛盾があるように考えられるのでありますが、この点はどうですか。
  25. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 急行客の場合は、その間に普通旅客の百五十キロまでが九四%を占めておるというような大きな差はございません。比較的長距離旅客が多いのであります。從つて地帶では合理的ではないから三地帶にわけたので、それは急行客の特性によるものであります。
  26. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 この点に関しましては、遠距離逓減法というものを迅速に御実施になるように、強い希望を申し述べておきたいのであります。  その次に二等の運賃一等運賃というものが、前には二等は三等の二倍、一等は三等の三倍というようなやり方がやつてつたのが、最近は、二等の運賃は三等の三倍、一等運賃は三等の六倍というような、非常に高額の倍率がきめられているのは、どういう理由によるのでありますか、その点を伺いたいのであります。
  27. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 尾崎さんの御指摘通り從來は二等は三等の二倍、一等のは三等の三倍でありましたが、その輸送コストと、また社会政策的な見地と、両方から勘案いたしまして、二等が三倍、一等が六倍にいたしたのでありまして、これまた現行通り今回の法律においても一應踏襲いたしたいと存じます。この倍率の修正につきましては、今後の社会情勢ともにらみ合わせ、かつ輸送力ともにらみ合わせまして今後考えたい。たとえば二等をもとのごとく三等の二倍にいたしますと、現在の二等車は非常に輸送力がございません。從つて現在の輸送力から見ましても、現行倍率が適当と思うのでありますが、今後輸送力の整備をまちまして、尾崎委員のお説のような問題につきましても、十分研究いたしたいと考えております。
  28. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 御説明によりまして、コスト社会政策的見地二つから、こういう倍率がさめられたということはわかつたのでありますが、およそ社会政策的の見地から考えますれば、今の御答弁半面理由にはなりましようが、半面から考えますれば、三等も二等もほとんど変りがない。乘つた最後便所にも行けないような、ああいう状況において、三倍も拂わせられるというようなこと、特にまた立つている者が二等車内に数十人もいるというような、ああいう現状から考えてみまして、今の御説明は半分の理由になるかもしれませんが、半分の理由にはならない、こういうように考えられるのであります。これらの点につきましては、なるべく早い機会嚴重な檢討をやられることを希望しておきます。  次に第五條の「定期旅客運賃は、左の各号の規定に從い、運輸大臣がこれを定める。」ということは、あとの第八條の「全体として國有鉄道の総收入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更は、運輸大臣がこれを行うことができる。」ということと関連いたしまして、非常に私どもはこれに不安を感ずるのであります。第八條の「著しい影響を及ぼすことがない」というその著しい影響というのは、どういう程度を指しているのかわかりませんが、総体の收入の中の何割程度からが著しい影響を及ぼすということになるのかということと、それからもう一つは、今申しました第五條の「運輸大臣がこれを定める」ということは、嚴密に考え財政法第三條の趣意にかなうかどうか。これは定期などというものは旅客が少いのだというような考え方は当らないのでありまして、賃金の上から考えましても、定期收入というものは数十億に上るのでありますから、相当巨額の收入なのであります。こういう問題を「運輸大臣がこれを定める」ということは、どういう観念からこういう案をおつくりになつたのか、そこのところをひとつはつきり伺いたいのであります。
  29. 藪谷虎芳

    藪谷政府委員 まず第一に、財政法第三條の特例に関する法律におきましては、「國有鉄道における旅客及び貨物運賃基本賃率」とあります。基本賃率なるものの嚴格なる意味は、旅客貨物とも單位当りの賃率を指すと思うのであります。かような嚴格意味における基本賃率から申しますと、定期ごと割引運賃割引率につきましては、基本運賃ではないのでありますが、今御指摘通り利用者人員から見まして相当の数を占めておりますし、また勤労大衆には非常な関係がありますので、本法に規定して御審議を願つているわけであります。たとえば收入の面から見ますと、現在運賃におきまして約二百二十億の旅客收入中約二十六億程度にしかすぎないのであります。そこでこれを大臣権限にいたしました理由といたしましては、御承知のように現在の制度におきましても、一キロごとに、また定期種類ごと割引率が異なり、非常にこまかい表になつておりまして、これを概括して申しますと、普通定期におきましては、五割から八割九分八厘まであります。学生定期は大体普通定期よりは三割引の安い運賃なつておりまして、六割五分四厘から九割二分九厘という大幅な運賃値引なつております。そこでかような事務的な厖大なこまかい表をここに掲げて法律條文とすることは、適当でありませんので、要はこの定期割引率の最高を抑えて、利用者のために大臣に義務づける、そういうような定め方をいたしたのであります。それが第一には「通用期間一箇月又は三箇月の定期旅客運賃は、普通旅客運賃の百分の五十に相当する額をこえることができない。」少くとも五割引にせよ、こういうことを大臣に義務づけたのです。第二の点は、六箇月の定期普通旅客運賃の百分の四十に相当する額を超えてはいけない、すなわち少くとも六割引をせよという規定にいたしたのであります。あとの問題につきましては、こまかい事務的なものでありますので、運輸大臣に委任を願うのが適当と考えた次第であります。  次に第八條との関係でありますが、お説の通り、第八條によりましては「國有鉄道の総收入に著しい影響を及ぼすことがない運賃又は料金の軽微な変更」とありますが、これはただいま御説明申し上げましたように、学生兒童等に対する割引とか、あるいは震災の際の運賃の減免とか、團体旅客に対する割引とかいうような微細なもので、しかも今回の震災にも見るがように、そのときどきに應じて、議会の承認をまつまでもなく、大臣において適当に運用する余地を残す必要がありますので、第八條を設けたのであります。
  30. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 他の両案についても相当意見をもつているのでありますが、あとに讓りまして、一應私の質問を打切ります。
  31. 高瀬傳

    ○高瀬委員 実はけさほどから各委員質問がございましたが、例の國鉄の新しいダイヤに対して、從事員がそれに即應した作業ができないということを言つておられるようであります。一体運輸当局は七月一日に必ず新ダイヤ通りつて、サービスの改善をやられるかどうかということについて、われわれは非常な関心をもつているわけであります。それについて運輸当局の御答弁は、できるだけ新ダイヤに從つてサービスを改善したいということでありますが、われわれは運輸交通委員の一人として、少くともこれは予定通りやらなければならないものであると考えております。從つて運輸交通委員各位の御賛成を得れば、七月一日には必ず予定のダイヤ通りこれを行えということを、決議でも何でもしたいと思つているのであります。もちろん皆さんが御賛成になるかどうか。あるいはそれが労働組合を刺激する結果になるかどうかは別といたしまして、とにかく運賃の値上げということは、サービス改善が前提になつております以上、どうしても列車を増発して、サービス改善の方に一歩でも進むということをわれわれは熱望する。これが運賃の値上げを審議する前提條件をなすものでありますから、運輸交通委員の一人としては、運輸当局が計画した通り、大した支障のない限り、あくまでこれを七月一日に強行するという、確固たる意見を聽けば、別にここで決議とか何とかということはせぬでもいいと思いますが、ただやるつもりだけでは、こういう重大な運賃審議を控え、サービス改善がその前提になつている今日、非常に困るじやないか。そういう点で、やるのか、やらないのか。やるつもりだというのでは、われわれは決議までせざるを得ないかもわからないのでありますから、それをはつきり御言明願たいたいと思うのであります。
  32. 木下榮

    ○木下政府委員 お答えいたします。七月一日から必ずやる、こういう固い信念をもつて今交渉中であります。
  33. 前田正男

    前田(正)委員 もしその信念をおもちならば、もし七月一日にできない場合、運賃の値上げを相当期間延期するか。これを円滑に実施してから相当の期間を置いて、國民に、なるほどサービスの改善をしたという直接の結果を見せてから運賃の値上げにはいるという決心をもつておりますか。
  34. 木下榮

    ○木下政府委員 ただいまの労働組合との問題は、運賃の問題とは直接関係はないように思います。そのために運賃決定を延ばすという考えはもつておりません。しかし今の七月一日からの労組との問題は、相手のあることでありますが、われわれとしては断固、どうしてもこれをやる、こういう固い信念をもつて今交渉中であります。
  35. 前田正男

    前田(正)委員 われわれといたしましては、運賃の値上げは物價の関係上やむを得ないということも考えられますが、しかしながら、これにはぜひとも國民の納得を得るために、サービスを改善したという実績をあげ、それから行えば、國民は運賃の値上げに対して納得されるのではないかと思います。それが今日運賃値上げの審議の前提になつているということを御承知願いたいと思います。政府は新ダイヤと運賃値上げと関係がないのだというお考えならば、これはぜひともこういう考え運賃値上げの問題を考えてもらわなければならないと思います。そこの関連が少いようであるならば、われわれとしても今高瀬さんのお話のようなことを、委員会として実行しなければならないと思います。政府当局の確固たる信念をもう一度お伺いしたい。
  36. 木下榮

    ○木下政府委員 一應ごもつとものようですけれども、これが運輸省自体の問題ならば別ですけれども、労組との関係でありまして、運輸省自体の問題ではない。從つて運賃値上げとは関連のないものと思います。なるほどダイヤを改正し、その他すべてのサービスを改善していきたいと考えておりますが、それがために運賃の改正を延期するという考えはもつておりません。またそれがために運賃の改正を延期すべきものでないと考えます。
  37. 志賀健次郎

    ○志賀委員 今までの問題に関連して私から所見を申し上げたいと思います。けさほどの読賣新聞にも書いてありますが、われわれは、殊に國民大衆は、鉄道当局と申しますれば、鉄道從業員組合を含めた、國鉄労組を含めたその全部に対して鉄道当局という感じをもつているのであります。從いまして、運輸省部内におきまして、首脳部の方と國鉄労組の方とのいざこざ問題は、これは全然國民としては関與いたしてはおりません。國民の声としても、ぜひとも七月一日からのダイヤの改正を熱望いたしております。少くとも國民の声を代表する國会全体の空氣といたしましては、こうした國民の声に從つて、場合によつては今高瀬委員の発言のありましたように、國権の最高機関であります國会が、鉄道当局全般に対しまして決議を断行していく、こういつた場合も当然考慮し得るのであります。しかしこの決議は当然鉄道関係の首脳部並びに國鉄労組全体に対する決議文、こういうふうにお考え置き願いたいと思います。
  38. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。——それでは國有鉄道運賃法案が本委員会に付託されて以來、連日愼重審議してまいりましたが、本日をもつて大体の質疑を終了いたしたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本案に対する大体の質疑を終了することにいたします。     —————————————
  40. 川野芳滿

    川野委員長 なおこれより港域法案及び船員職業安定法案を議題として質疑を続行いたします。質疑はありませんか。——なければこれにて両案に対する質疑は終了いたしました。  それでは船員職業安定法案を議題といたします。各派共同による修正案が提出されておりますので、委員長よりこれを朗読いたします。    船員職業安定法案修正案第五十三條を次のように改める。  第五十三條 何人も、第五十四條に規定する場合を除いては、船員労務供給事業を行い、又はその船員労務供給事業を行う者から供給される人を船員として使用してはならない。  第五十九條第二項中「前項の規定により檢査するときは、」を「前二項に規定する職権を行うときは、」に改め、同項を第三項とし、同條第二項として次の一項を加える。   運輸大臣は、第五十三條の規定の実施状況を調査するため、必要があると認めるときは、当該官吏をして、事務所その他の施設に臨み、帳簿及び書類の提出を求め、又は船舶所有者若しくは船員に対して質問させることができる。   第六十七條第三号中「第五十九條第一項」を「第五十九條第一項又は第二項」に、「檢査」を「檢査若しくは調査」に改める。  これより採決に入ります。各派共同提案による修正案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  41. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本修正案は決定いたしました。  続いて本修正を除く原案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  42. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は修正議決されました。  ただいま御議決に相なりました船員職業安定法案に対する衆議院規前第八十六條による報告書作成の件は、委員長一任ということで御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 川野芳滿

    川野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は公報をもつて御通知申し上げることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十二分散会