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1948-06-24 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年六月二十四日(木曜日) 午後一時五十六分
開議
出席委員
委員長
川野
芳滿
君
理事
前田 郁君
理事
島上善五郎
君
理事
佐伯
宗義
君
理事
高瀬
傳君
大澤嘉平治
君
小笠原八十美
君
岡村利右衞門
君 尾崎 末吉君 田村 虎一君 中野
武雄
君 松本 一郎君 井谷 正吉君 川島 金次君 佐々木更三君 重井
鹿治
君 館 俊三君 原 彪君 矢野 政男君 堀江
實藏
君
出席政府委員
運輸政務次官
木下 榮君
運輸事務官
岡田
修一君
運輸事務官
山口
傳君
運輸事務官
小幡
靖君
運輸事務官
大久保武雄
君
委員外
の
出席者
專門調査員
岩村 勝君
專門調査員
堤 正威君 ————————————— 本日の
会議
に付した事件
港則法案
(
内閣提出
)(第一一三号)
木船保險組合
の
解散
に関する
法律案
(
内閣提
出)(第一一七号)
水先法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)( 第一一八号)
港域法案
(
内閣提出
)(第一二三号)
船員職業安定法案
(
内閣提出
)(第一四七号) —————————————
川野芳滿
1
○
川野委員長
会議
を開きます。 これよりまず
港則法案
、
木船保險組合
の
解散
に関する
法律案
及び
水先法
の一部を
改正
する
法律案
を一括して
議題
といたしまして
質疑
を許します。
原彪
君。
原彪
2
○原(彪)
委員
木船保險組合法
を
廃止
する
理由
について、昨日も申し上げたのでありますが、
当局
より御
答弁
がありましたのを、なお一應反芻いたしてみましても、この
廃止
後の
措置
について、いま一應詳細な御
説明
をいただきたいと思うのであります。多少納得のいかない点がございますのでお伺いするわけですが、要するに私の
聽かん
とするところは、
廃止
後は
自家保險
として、
保險料
を自分のところで積み立てておいて、
保險会社
に納付しないというような傾向ができるのではないか。今の
事業
の行き方は、
終戰後
どうもそういうふうな行き方に進みつつあることを耳にすることが非常に多いのでございます。たとえば
海上輸送
にしましても、
海上輸送材料
、何百万円、何千万円の品物にも、往々にして
保險料
が高いから大事な
海上保險
をつけないというようなことも耳にするのであります。われわれの常識として判断のできないようなことを
事業家
がやるということを耳にいたしております。でございますから、これを
廃止
した後において、船が海難に遭
つて
損失
するということは、單に一
企業家
の
損失
ばかりでなく、
國家
の
損失
でありますので、それが
廃止
後の
措置
について、どういうふうにお
考え
にな
つて
おるか。これをもうちよつと詳しく御
説明
いただきたいと思います。
岡田修一
3
○
岡田
(修)
政府委員
お答えいたします。お説の
通り
に、
木船
に対する
國家
の
補償
による
保險制度
が、この
保險組合
を
解散
することによ
つて
なくなるわけでございます。從いまして
木船業者
といたしましては、現在の
民間保險会社
の
高率
なる
保險
に
附保
するということを避けまして、全然
保險
をつけないで船を運航するか、あるいは
相当事業
に対する考慮をいたすものといたしましては、
自家保險
としての
積立金
をいたすとか、または
高率
を甘んじて
民間会社
に
附保
するというような
状態
になると思います。この
保險組合
ができる以前におきましての
木船
の
附保
の
状態
を見ますと、全体の約五%が
保險
に
加入
し、爾余は全然無
保險
で船を動かしていたという
状況
でございます。ところがこの
木船保險組合
ができまして、一面
強制加入
という
制度
がありました事情にもよりますが、四七%まで上
つて
おるのでございます。これが再びもとの無
保險
の
状態
にはいるのではないかと心配しておるのであります。從いまして現在の
保險組合
を
解散
いたしますると同時に、これに代るべき
制度
を充実しなければならないと
考え
るのであります。しかしながらこの新たなる
保險制度
をいかなる形のものにするか、
普通國家
の
補償
ということがなくしてやりますると、どうしても
高率
の、現在の
木船業者
が
加入
を忌避するような、
保險制度
にならざるを得ないのであります。ところが
國家
がこれを
補償
するということが、いろいろの面において難問がございまして、まだ
十分了解
が得られない次第でございます。この前の
委員会
で御
説明
申し上げました
通り
に、現
果漁船
につきましては、
漁船保險制度
というものがございます。ああいうものになら
つて
こしらえるか、または非常な災害による
損害
だけを填補するような
保險制度
にするか、その辺の
交渉
、特に
関係方面
との
交渉
が、まだ十分熟していないわけでございます。從いましてはなはなだ遺憾でございますが、現在の
保險制度
を
廃止
すると同時に、新たなる
保險制度
の樹立ということができなかつたような次第でございます。特に現在の
保險組合
を
解散
するのを急ぎまする
理由
といたしましては、現在
相当
の
事務費
が、このまま放任することによ
つて
、かさんでいくわけでございますので、ますます
保險組合
の
損失額
が多くなりまして、
保險金額
をカバーすべき資金がますます枯渇するものでございますから、一日も早くこれを
解散
して、少しでも被
保險者
に対する
損害
を多くカバーいたしたい、かように存じまして特に
解散
の
法律案
を先に提案して、御
審議
をお願いした次第であります。
原彪
4
○原(彪)
委員
ただいまの御
説明
ですと、この
保險組合
が
解散
した
あと
の不安については、認識を十分にされてお
つて
早急にそういう
法律案
を出そうというお
考え
はあるようですが、そうすると、なお極端に申しますると、次の
法律案
を用意しないで、先へ
廃止
するということの
理由
は、
保險組合
を
解散
しなければ、いろいろ費用もかかり、被
保險者
に負担をかけるということ、そういうことに解釈してよろしゆうございますか。
岡田修一
5
○
岡田
(修)
政府委員
さようでございます。
原彪
6
○原(彪)
委員
そうすると、この
趣旨
にはもちろん
賛成
でございますが、現在の被
保險者
の立場も
考え
ますると、早急に
解散
しなければならぬということには
賛成
でございますが、その
あと
の問題について、これもこのまま放
つて
おくわけにはいきませんので、早急に
一つ
お出しくださるようにお願いいたします。
岡田修一
7
○
岡田
(修)
政府委員
新たなる
保險制度
につきましては、目下鋭意立案を急いでおりまして、
関係方面
との
了解
がつき次第、次の
議会
にでも提案したい、かような所存でございます。
原彪
8
○原(彪)
委員
一括上程
ですから次の問題に移ります。
水先法
の
改正
の
法律案
でございますが、この
改正法律案
の要点は、
年齢
の
制限
を
廃止
するという点にあると思うのであります。そうしますると、今までは二十五歳から六十歳までだと思
つて
おりましたが、この
年齢制限
を
廃止
すると、よけいに
年齢
が低下し、また六十五歳以上の人もはいるということになりまして、
パイロツト
がよけい殖えるということになるが、現在の
状態
は
パイロツト
の有
資格者
があり余
つて
いるのでございましようか、あるいは不足しておる
状態
でございましようか。この点をお伺いいたします。
大久保武雄
9
○
大久保政府委員
現在の
水先人
の
状況
は、大体
需給状態
がバランスしている
状態
である、かように
考え
ます。
川野芳滿
10
○
川野委員長
ほかに
質疑
がございませんか。——なければただいま上程されておりまする三案に対する
質疑
は、本日をも
つて
終了いたしたいと思いまするが、いかがでしようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
川野芳滿
11
○
川野委員長
それでは
質疑
を終了いたします。 討論を省略してただちに
採決
に入りたいと思いますが、御
異議
がございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
川野芳滿
12
○
川野委員長
なければ、さよう決しました。 これより
港則法案
、
木船保險組合
の
解散
に関する
法律案
及び
水先法
の一部を
改正
する
法律案
を
一括議題
として
採決
に入ります。右三案とも
原案
に
賛成
の諸君の御
起立
を願います。 〔
総員起立
〕
川野芳滿
13
○
川野委員長
起立総員
。よ
つて右
三案とも
原案
の
通り
可決されました。ついては、
衆議院規則
第八十六條による
報告書作成
の件、これは
委員長
にて作成するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
川野芳滿
14
○
川野委員長
なければ、さよう決しました。 —————————————
川野芳滿
15
○
川野委員長
それでは
港域法案
及び
船員職業安定法案
を
一括議題
として
質疑
を許します。
原彪
君。
原彪
16
○原(彪)
委員
この
港域法案
をお出しにな
つて
、港の
区域
というものを明確にされたようでありますが、これを出さなければならないという根本の
理由
を承りたいと思います。
大久保武雄
17
○
大久保政府委員
前々回に提案の
理由
を御
説明
申し上げます際に、一應申し上げましたが、
海上保安廳
におきまして、港の
区域
を別に定めることに相な
つて
おります。ただいま御
審議
を受けました
港則法
におきましても、港の
区域
は別に
法律
をも
つて
定めるということに相な
つて
おります。かようなわけでありまして、どういたしましても、
海上保安廳
が今後
業務
を執行いたしますにつきまして、港の
区域
を定めるということが絶対に必要な問題と相なるわけであります。なおそれに附け加えまして、現在御
案内
の
通り
開港港則
という古い
規則
がございます。これは
國会
の御意向によりまして
法律
に代るものということに相な
つて
おりますが、この
開港港則
は七月十五日までの
有効期間
でございます。この間にこれに代る
措置
を講じませんと、七月十五日以降
法律
上のブランクの
状態
が出てまいります。かような
関係
からいたしまして、法則並びに
港域法
を定めまして、この補いをいたしまして、
海上保安廳
の
業務執行
に遺憾なきを期したい。かように存ずる次第であります。
川野芳滿
18
○
川野委員長
山口政府委員
より発言を求められておりますので、これを許します。
山口傳
19
○
山口政府委員
お
手もと
に
船員職業安定法案
を差上げておりまするが、実ははなはだ恐縮でございますが、若干誤りがございますので、いずれこれは
議案課
を通じてお
手もと
に
正誤表
がまいると思いますけれども、御
審議
を願う
前提
として一應お知らせしておきます。本文第二章表題といたしまして、「
普通船員式業補導
」とございますところが「
属員職業補導
」となります。それからまたかなり多くの箇所に現われておるのでございますが、「
普通船員職業補導
」とありますのを、「
属員職業補導
」といたします。すなわち「
普通船員
」という言葉にかえまして「
属員
」というように書き改めます。それから、「
海運総局長
」とな
つて
おりますのが、第七條その他二、三箇所ございますが、これは実は御
承知
の
運輸省設置法案
が出ることを
前提
といたしまして、現在の「
海運総局長官
」という名前の代りに「
総局長
」といたしてございまして、先走
つて
こうや
つて
おつたのでありますが、
設置法
が今
議会
に通らないような雲行きもございますので、一應現在のままで、これを「
長官
」というように訂正をお願いいたしたいのであります。いずれこれらにつきましては、後ほど
議案課
から資料がお
手もと
にまいることと思いますが、一應お知らせいたします。
高瀬傳
20
○
高瀬委員
この
法案
とは
関係
ないのでありますが、
道路運送法案
が、この前の
議会
でわれわれが愼重
審議
した結果つくられたことは、まだ記憶に新たなるものがあります。ところが昨日の
新聞
によりますると、
地方
の
道路運送事務所
の
権限
が非常に小さくな
つて
、
臨時物資需給調整法
に基く
配給事務
以外の仕事はほとんど
縣廳
に移る。この点のよし惡しについては、われわれは大分議論しまして、むしろ
縣廳
へ委讓した方がよいのでないか。原君あたりはそういうふうに強硬に主張されましたが、
運輸省
としてはこれは別に
道路運送事務所
の方でや
つて
差支えないし、その方が能率が上る。だからこれはどうしても
道路運送事務所
でやるのだというふうで、結局今回委讓されんとする
事項
については、
道路運送事務所所管
ということにわれわれは
賛成
したわけであります。しかるにけさの
新聞
を見ますると、その
趣旨
にまつたく逆行したことが、とつさに行われて、いわゆる
重要物資配給
以外の
監督行政
は、ほとんど縣知事の手に委ねられるように見受けられます。これは一体どういうことであるのか、
運輸省
の監理局長なり、いわゆる
事務当局
は御
承知
であるのかどうか。それから実はこの問題は私
運輸大臣
にぜひ
伺つて
みたいと思
つて
おる
事項
でありますが、さいわい
陸運監理局長
がお見えにな
つて
おりますから、伺いますけれども、事務的にこれは一体どうなるのですか。政治的に解決され得るとするならば、まつたくこの
委員会無視
もはなはだしい。そういうことになると、われわれは今後
運輸省提出
の
法案
は、まじめに
審議
できないということになるわけでありますから、この点ひとつぜひ
事務当局
のはつきりした
見解
を承
つて
おきます。明日も重ねて
運輸大臣
にいわゆる
政治的見解
を承りたいと思いますが、特に私は
運輸省
に注意を喚起したいことは、われわれが愼重
審議
した案が、單に
法律
的に取扱われて、多数の
業者
の権益擁護するというように、あつさりやられたのでは、この
交通委員会
の
権威
はない、
議会
の
権威
も地に落ちるので、まず
事務当局
の
意見
を聽くために、
小幡政府委員
にこの
点卒
直に伺いたい。
小幡靖
21
○
小幡政府委員
事務当局
の
意見
を、御要求によ
つて卒
直に申し上げます。申し上げるまでもなく
輸送
というものは、これは
総合一貫性
を必要とするものであります。各
方面
の、鉄道から
道路運送
、あるいは小
運送
に至るまでを含めての、
総合一貫性
ということを考慮してやるべき
性質
のものであることは、特に御
案内
の
通り
であります。また御
承知
の
通り
に、ただいま
高瀬委員
からお話がございましたが、
道路運送法
におきまして
道路運送委員会
というものが設置せられて、これが三月十五日以來運営施行されておるのであります。この面から
考え
ましても、一縣以上にまたがる
運送
というものが、これはむしろ常態なのでありまして、
從つて
全
國九つ
の
ブロツク
にわけて、各
府縣
から二名ずつ
委員
が出て、その
委員
が各
ブロツクごと
に集ま
つて道路運送関係
のいろいろな
行政
を
決定
してまいる。こういうやり方に相な
つて
おるのでありまして、一縣で一、二の
道路運送委員
を相手にいろいろなことを
決定
していくという
性質
のものでないことも、当然であると
考え
ております。そういう点から言いまして、
指定生産資材
または
配給物資
といつた
割当配給面
だけを残して、他の面はこれを
地方自治團体
の方に委讓するということは、実情に副わないものであると私たちは
考え
ております。
高瀬傳
22
○
高瀬委員
そうすると、今回発表された案の
通り
であれば、
事務当局
は今までああいう内容について御存じであつたのかどうか、その点が
一つ
。それからその点についてはたとえ知らされても全然反対であるという見当をおもちになるのかどうか、その二つを
伺つて
おきたい。
小幡靖
23
○
小幡政府委員
この問題につきましては過日の閣桐で
決定
いたされましたときに、
道路運送監理事務所
の
権限
の一部を
地方廳
の方に委讓するように研究する。たとえば小運搬の軽
車輛関係
のごときものはその例である。こういうように
決定
したように
伺つて
おります。
從つて
私といたしましては、今後研究するということにな
つて
おるものと承
つて
おるのでありまして、
新聞紙上
に傳えられておるごとく
決定
を見たということは、全然承
つて
おりません。それからまた、ただいま申し上げましたような
趣旨
から申しまして、
事務当局
といたしましては、大体そういう
決定
をすることになることは不合理だと
考え
ております。
高瀬傳
24
○
高瀬委員
政府委員
の
答弁
で大体のいきさつはわかりましたが、これはいずれ
運輸大臣
が御
出席
の際に、
運輸大臣
からはつきり私は承りたいと思いますから、質問はこれでやめます。
川野芳滿
25
○
川野委員長
他の
質疑
がなければ、本日はこの程度にて散会いたしたいと思いますが、御
異議
はございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
川野芳滿
26
○
川野委員長
なければ、明日は午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十一分散会