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1948-06-23 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十三日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 佐伯 宗義君    理事 高瀬  傳君       大澤嘉平治君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    中野 武雄君       松本 一郎君    川島 金次君       佐々木更三君    重井 鹿治君       島田 晋作君    館  俊三君       原   彪君    矢野 政男君  出席政府委員         運輸事務官   岡田 修一君         運輸事務官   山崎小五郎君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君 六月二十三日島上善五郎君が委員長指名理事追加選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事追加選任に関する件  港則法案内閣提出)(第一一三号)  木船保險組合解散に関する法律案内閣提  出)(第一一七号)  清先法の一部を改正する法律案内閣提出)(  第一一八号)  港域法案内閣提出)(第一二三号)  船員職業安定法案内閣提出)(第一四七号)     —————————————
  2. 前田郁

    前田(郁)委員長代理 会議を開きます。委員長より依頼されましたので、私が委員長の職務を代行いたします。  これより港則法案木船保險組合解散に関する法律案水先法の一部を改正する法律案港域法案及び船員職業安定法案一括議題にいたしまして質疑にはいります。質疑を許します。
  3. 高瀬傳

    高瀬委員 この木船保險組合法案の改正について二、三疑問の点を伺いたいと思うのでありますが、まず第一にこの木船保險組合というのは、現状のままで存続できないものであるかどうか。その点を一應伺つてみたいと思います。
  4. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。木船保險組合組合に対する強制的加入と、それから國家の再保險制度組合に対する事務費補助、この三つの制度を支柱といたしまして成立しておつたのでありますが、強制加入保險制度昭和二十一年の七月に廃止になりました。また國家の再保險制度は二十二年七月から廃止になりました。同時に國家事務費補助もまたなくなつたわけであります。ところが木船保險制度必要性が非常に強いために、業者並びに関係方面から、ぜひとも國家の再保險制度、あるいは強制加入制度のないままに継続していきたい。こういう要望が切でありましたために、そのまま事業を継続してきたのでありますが、昨二十二年の九月から十二月の間に非常に大きな保險事故がありまして、同年度内における全体の保險料收入に対しまして、支拂うべき保險金額の方が八千六百万円を超えるという非常に大きな損害をこうむつたわけであります。これに対しまして、その損害をカバーすべき政府補助というものは、そういう私的團体に対する國家補助ということができない今日、國庫よりカバーすることができなくなつたのであります。從いましてこのままその事業を継続していくことができなくなつたのであります。なおこの國家補助なくしてかりに継続いたすとしましても、保險料料率が非常に高くなり、とうていその料率では業者がその保險に加入することは期待できない状態に立ち至りましたので、一應これを解散いたしまして、新たなる構想に基いて、さらに木船保險制度を樹立したい。かように考えてこの法案を提出した次第であります。
  5. 高瀬傳

    高瀬委員 この木船保險組合解散なつた後は、一体木船保險というものはどういうふうになりますか。
  6. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この木船事業の今日占めております立場、重要性から申しまして、木船保險事業が企業として安定した状態にしていけるように、この保險制度についても、はつきりした制度を続けていく必要があるのじやないか。かように考えておるのであります。從いまして現在の木船保險組合解散いたしました後におきましても、これに代るべき保險制度を設けるべく目下考究中でありますが、その大体の構想といたしましては、現在の漁船保險制度にならつた保險制度、すなわち各地区任意保險組合を設けまして、その保險組合國家に再保險するという制度を施してはどうかと目下研究中であります。これにはいろいろむずかしい問題があり、関係方面の了解を求めなければなりませんので、まだその具体的の案についてここで御説明するまでは至つていない次第であります。
  7. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは木船に関する民間保險現状は、どういうふうになつておりますか、それを伺つておきたい。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 民間会社による木船保險引受け田木船保險組合が設立されました昭和十八年以降、休止されていたのでありますが、國家保險制度廃止されましたのを契機といたしまして、昭和二十二年一月以降再開され、とりわけその組合保險引受けを停止いたしました今年の二月以降、本格的にその引受けを開始しているのであります。その引受け條件貨物船につきましては、保險價格の最高が八千円から一万二千円、戰時中につくりましたものは一律に四千五百円という非常に低い額であります。その金額保險價格の全体をカバーするものでなしに、その約半分という状況であります。  保險料率は所により相違がありまするが、大体四円五十銭から十七円というふうな状況でありまして、從來の木船保險組合による保險料率に比較いたしまして、約六〇%から一〇〇%高い状況であります。
  9. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは政府はこの組合解散なつあとで、木船保險について特に特別の処置をお考えになつておられるかどうか、その点をお伺いしたい。
  10. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど御説明申し上げましたごとく、この解散あとにおきましては、漁船保險組合にならつた木船保險組合を設けたいと考えている次第であります。
  11. 高瀬傳

    高瀬委員 それでは木船による現在の輸送状況はどんなものでありますか。
  12. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 木船戰爭中汽船の不足に伴いまして非常に重要性を増しまして、当時の海上輸送政策上、非常に重要なる役割を演じてきたのでありますが、終戰後におきましても同樣、木船の地位は非常に大きいのでありまして、昭和二十年度の終戰後におきましては、全体の輸送量が三百九十二万トン、そのうち石炭約百万トンであります。二十一年度においては千五百万十七万トン、そのうち石炭三百七十一万トン。二十二年度においては二千四百三十九万トン、そのうち石炭六百五十三万トンという実績を示しておりまして、昭和二十三年度におきましてもおよそ三千二、三百万トンの輸送量を予想されております。汽船は約千五百万トン近くの輸送計画量でありますが、その倍量を輸送するものと考えられております。
  13. 高瀬傳

    高瀬委員 この木船保險組合解散したあと清算はどういうふうになさるおつもりですか。
  14. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この組合が今後必要といたしまする債務は、國家の再保險がありました当時の有再保勘定といたしまして三千六百万円、國家の再保險がなくなつた後の無再保勘定といたしまして六千二百六十五万円、合計九千八百六十五万円の未拂保險金があるわけであります。そのうち有再保勘定につきましては、損害保險中央会から入金があり次第、大体その保險金支拂うことが可能であると考えております。無再保勘定につきましては、これに対する支拂資金としまして、保險料の残額それから船骸を賣つた代金、合わせて五百六十六万円だけが残つておるのにすぎません。從いまして、かりに不船保險法に基きまして支拂つておる保險料に同額の追徴金を組合員からとるといたしましても、その全体の額が二千九百六十五万円にすぎないのであります。從いまして、その金額をもつていたしましては、わずかに六〇%を支拂うことしかできないのではないか、かように考えております。しかもその清算をいたしますにつきまして相当の事務費が要るわけであります。その事務費が約千万円かかるわけでありまして、それらを考えますと、およそ四〇%程度しか支拂うことができないのではないか。その未支拂のものに対しましては、木船保險組合法に基きましてその保險金額の削減をするという措置を講じましてそのバランスを合わせたい、かように考えておる次第であります。
  15. 高瀬傳

    高瀬委員 それ以外の法案については、私は別に質疑することもございませんし、異議はありません。
  16. 原彪

    ○原(彪)委員 大船保險組合法廃止になりますと、大体先ほどの御説明だと、各地区ごと組合をつくつて、それに移行するということに相なると思うのでありますが、そうしますと、この廃する理由が、率直に申せば、損害の率があまりに大き過ぎて負担にたえないというのでございましようか。もしそうであるとするならば、これを民間に移した場合に、民間保險会社がまたこれに負担にたえ切れぬことになる。昔ならば、この保險会社が、あるいは外國保險会社に再保險にまた出すというようなことがあつたために、保險会社は息ついておつたが、現在の敗戰後保險会社におきましては、そういうことは非常にむずかしいと思うのでありますが、そういうことに対する御見解を承つておきたいと思います。
  17. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これを廃止いたしました後におきまして、新たなる木船保險制度を設立いたさない以前におきましては、お説のように民間保險会社に移行せざるを得ないのであります。しかし御承知の通り木船は非常に損害率が高い関係上、民間保險社料率というものは非常に高くなる。しかも保險金額の全体をカバーするという状態に至つていないのでございます。從いまして木船業者は以前のごとくに、ほとんど保險をつけないでやつていくという状態になるのではないかと思いますが、そういうことは木船事業の健全なる発達上好ましくないのでありますなら、ただいま申し上げましたように、漁船保險に類する保險制度を設けまして、各地区任意組合國家に再保險する、その各地区任意組合のこうむるべき損害國家がさらに引受けるという制度にもつていきたい、かように考えるのであります。ただ國家が再保するということが、今までの関係方面との折衝におきまして非常にむずかしい点があるのでありますから、目下その点を研究いたしておる次第であります。
  18. 原彪

    ○原(彪)委員 そうすると、今までは木船保險法によつて國家が一元的に再保を引受けておつた。今後は各地区組合を通じて多元的にやる。結局もとは國家が補償するというのですから、ただ手続上のことだけだと思うのですが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。     〔前田(郁)委員長代理退席委員長着席
  19. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは、もう一つは、現在の木船保險組合というものは戰時中つくられました関係上、非常に強権的な色彩が強いのであります。たとえば、五十トン以上の木船運営会に使われておつたものは全部この組合に加入しなければいけない、あるいは組合の役員は全部政府の任命するところによる、あるいは保險料の滯納したものは國税徴收処分によつて取立てる、こういう強権的な色彩が非常に強いものでありまして、現在の民意を尊重した組合というものの性格から非常に遠いわけであります。それから、ただいま申しましたように全國一体といたしますと、非常に保險事故の多い地域と、事故の少い地域とが一本になりまして、そこに損害の公平が期せられない。こういう事例もございます。それともう一つは、現在受けております非常に大きな損害を、一應これを解散することによつて清算してしまう。こういう点からいたしまして、この組合廃止して、これに代るべきものをこしらえたい、かように考えております。
  20. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  21. 川野芳滿

    川野委員長 なければ、この際お諮りいたしますが、現在社会党からの理事が欠員になつておりますので、一名追加いたしまして、委員会運営に万遺憾なきを期したいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 川野芳滿

    川野委員長 それでは一名理事を追加することに決します。
  23. 重井鹿治

    重井委員 理事指名委員長に御一任いたしたいと思います。
  24. 川野芳滿

    川野委員長 ただいま重井君より動議がありましたように、委員長より指名するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 川野芳滿

    川野委員長 それでは島上善五郎君を理事指名いたします。  他に質疑がなければ、次会は公報をもつて御通知申し上げることにいたしまして、本日はこれで散会いたします。     午前十一時五分散会