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1948-06-18 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十八日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 高瀬  傳君       大澤嘉平治君   岡村利右衞門君       尾崎 末吉君    田村 虎一君       松本 一郎君    井谷 正吉君       川島 金次君    佐々木更三君       重井 鹿治君    島上善五郎君       志賀健次郎君    原   彪君       矢野 政男君    堀江 實藏君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 岡田 勢一君  出席政府委員         総理廳事務官  山崎 丹照君         運輸政務次官  木下  榮君         運輸事務官   加賀山之雄君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君     ————————————— 六月十七日  三陸沿岸縦貫鉄道敷設請願淺利三朗君外七  名紹介)(第一四三四号)  土浦、古河間國営自動車運輸開始請願原彪  君紹介)(第一四三七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法案内閣提出)(第七七号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議を開きます。  前会に引続き國有鉄道運賃法案議題として質疑を続行いたします。松本一郎君。
  3. 松本一郎

    松本(一)委員 運輸大臣にお尋ねをいたします。まず第一は、先般の質疑應答の中に、國鉄が三倍半に上つた場合には、私鉄あるいはバス関係は、その会社経営、企業状見に應じで、適当に考慮して運賃値上げをはかるつもりであるというような御答弁でありましたが、おそらく國鉄が三倍半というような標準をここに決定したら、私鉄バスも必ずこれに伴つて、ほぼ同率値上げ要求されるものと私は思うのであります。大体國鉄値上げの原因は、物件費にもありまするが、賃金ベースを上げなければならぬということも一つの前提になつておると思うのであります。そうなるとき、物件費といい、賃金ベースといい、ともに私鉄あるいはバスども同じ條件に置かれるものと思いますので、その場合にあちらこちらの私鉄バス会社関係は、運輸当局相当理由づけて意見が出されるものと思います。しかる場合におきまして、実際問題としては、結局三倍半ということを肯定されなければならぬ状態と立至るのではないかと思いますが、このことに関しまして、お見透しと御方針を承りたいと思います。
  4. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申し上げます。大体ごもつともな御意見でございまして、もし三倍半に國鉄決定をいたしました場合には、やはり私鉄におきましては、いろいろと書類の上で理由づけられまして、それにマツチするような要求が行われるであろうことが予想されます。しかし政府といたしましては、國鉄旅客運賃を全然切り離して無視することはできないと思うのでありますが、先般お答え申し上げましたように、各私鉄のそれぞれ個々の会社実態書類のみで審理をしないで、方法を講じてよく実態調査いたしまして、これを十分檢討して適当なレベルを見出したいと思つております。  それからバスの方は多少趣きが違いまして、民営バスにおきましては、ただいまの現状では、先般の中間値上げ以後の実績は、ある地方バスにおきましては、それ一ぱいを上げていないところもあるように聞いております。それはやはりあまり上げますと、結局旅客数が小くなるというような地方も、全國的ではございませんが、あるように聞いております。多少趣きが違つてまいると思います。それもその個個実態をよく調査をいたしまして、善処をいたしたいと存じております。
  5. 松本一郎

    松本(一)委員 御答弁もつともですが、実際問題に遭遇した場合に、個個実態調査されてということは、なかなかむずかしかろうと思います。殊に私鉄関係は、おそらく各会社とも労働組合関係もありまして、國鉄値上げになれば必ずこれに伴うものと私どもは、一應想像いたすのであります。しかしさいわい会社経理面もよくお調べ願つて、上げなくとも経営の立ち行く会社だけは、要求があつてもなるべく上げないように、御方針を確個として立てておいていただきたいということを強くお願いをいたします。  その問題はこの程度にいたしまして、次にお伺いしたいのは、昨日の安本長官の私の質疑に対する答弁によりますと、國鉄は大体運賃を三倍半、しかし海運は三倍、その他は二倍ということを言われたのであります。その他という意味がはなはだ不明瞭で不徹底であつたのですが、このその他というのはどういうことでありますか、運輸大臣からできますだけ詳しく御答弁をお願いいたしたい、こう思います。
  6. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答えいたします。海運三倍はおわかりでございましようが、その他という点は、鉄道に附随いたします小運送、それから港湾はしけ荷役業等の料金を意味しておるようでございます。それに対しましては多小まだこちらと意見の一致しておらない点がございまして、安本長官の昨日申し上げました点は、運輸省とまだ十分の協調点にまで達しておりません数字であります。
  7. 松本一郎

    松本(一)委員 これは実は物價に重大な影響のある問題であります。昨日安本長官にお尋ねしたのも、すなわち鉄道運賃、それに附随していわゆる荷役積みおろし料、あるいはその他扱料、またはトラツク牛馬車の小運搬というようなものが、國鉄が三倍半になれば必ずこれに伴いやせぬか、すなわち、これとても大部分は人件費であります。國鉄從業員賃金ベースとこれらに働く人々の賃金ベースと比較いたしますと、國鉄よりも安くて働くはずはありません。殊にこれは苛酷な労働に携わるのであります。その観点から考えて、國鉄が上れば必ずこちらも上るということを一應想像しますとき——多分私は安本あたりでは、その他は二倍ぐらいでよかろうという意味であつたと思いますが、現在におきましても、もうすでに國鉄は三倍半に値上げになる。私鉄は五月十八日から七割五分方上げておるというので、積みおろし、その他はただいまのところ默認の形式ではありますが、二倍ないし、場合によれば二倍五、六分にも達しておるのであります。まもなく國鉄が三倍半になれば、そのときは三倍半になるということはみな予想いたしておるのであります。そういうことから考えると、昨日安本長官も、物價運賃との比率を品名ごとにここに羅列されましたけれども、私はこれは机上の御空論じやないか、それに終りやしないか、こういうことを申し上げたのもその意味でありまして、鉄道運賃というのは、とほどではありませんが、諸掛りがどれにしましても高くかかるということは、御承知通りであります。こういう点から物價相当影響を與えてくるもの、たとえばものについて申しますれば、今青森から東京にりんごを運ぶ。ところが貸車のまわり惡いがために、汐留駅では空のりんご箱をわずか百か二百を一車に積んで、それを青森に返送する。それでもいわゆる盈車、すなわち荷として、高い運賃が空の箱にまでかかつてきておる。ですから青森から汐留まだの荷盈車、それから空箱回送盈車としてこれを取扱う。それが遂にりんごの一個の値段に影響してきておる。こういうことを考えますとき、私ども物價に重大な影響を及ぼすものなりということを、ここに一應考えられるのであります。ところが鉄道が三倍半に上げて、その他を二倍か二倍半かで置いておいたら、おそらくこれは物資輸送にも事実上重大な支障を來い。ひいては破損の危險のあるような品物が、つい破損の率が多くなつてくる。貴重な物資を完全に輸送しなければならぬのにかかわらず、その一部のものがおろそから扱われるがために、ことさらに破壞され、消耗されて、ときには惡質な盜難に遭うというようなことなどを想像いたしますとき、國鉄が三倍半に上れば、その他も必ず三倍半に上げて、完全な輸送をして、ものの消耗を防ぐとともに、治安の維持を固くはかるという建前をとつていかなければならぬのじやないか。現在各駅におきまして盜難が頻々といたしております。これが夜警に当る者も相当苦労いたしております。これは荷役その他に携わる者の仕事になつておるのであります。こういう仕事で、國鉄從業員よりも一層の苦労を現にしておるという観点から考えて、おそらく二倍や二倍半では收まるまい。國鉄が三倍半なら当然三倍半にせられなければならぬのじやないか、こう私は思いますので、よく安本ともお打合せ願いまして、この点も物價の面に織りこんで、物價改訂のときは基本とされなければ、事実問題となつて大きな蹉跌を來してしまうのじやないか、こう考えますので、まだ十分のお打合せがございませんければ、今後この点について愼重なお打合せ願つて物價廳なり安本とよく御相談をお願いしたい、こう思います。  次にお尋ねしたいと思いますのは、國鉄スピード・ドダウンの問題でありますが、スピードを一割方落したならば——あるいは最近石炭のカロリーが落ちておる、この惡質炭に対して、よりいい石炭を使うということは、これは資源の乏しい日本現状としては、やむを得ないのである。國鉄が使つてしまえば、鋼鉄その他の方にやる良質炭がなくなるのでありますから、國鉄としては惡質炭もがまんをして使わなければならぬという現状であれば、スピードを一割程度落す。それによつて使用される六百八十万トンの石炭が、どの程度浮いてくるいうのかとことを、一度專門的当局を伺の見解つてみたいと思うのであります。
  8. 岡田勢一

    岡田國務大臣 鉄道に附随しますトラツクその他小運送荷牛馬車荷役積おろし等の問題でございます。大体松本さんの御意見はごもつともな御意見であると考えまするが、ただ從來の実績によりますと、國鉄は現輝の貨物運賃相当に赤字を出しておりました。しかし小運送、積おろし等の方は、まずどうにか採算が立つておりましたことが若干違います。それから今度の物價改訂によりまして、國鉄の方は物件費値上りが非常に大きく影響いたしますが、小運送の方は人件費が割合多うございまして、物件費値上り影響いたします額が、國鉄と比べますと大分少うございます。それで貨物運賃がもし三倍に決定したといたしましても、同率にこれを上げなければならぬということには相ならず、いくらか安い水準にいたしておきましても、採算は償つていけるということに相なるとも思います。なお松本さんの御意見のごとく物價廳安本の方と十分に熟議をいたしまして、正当なところ、適正なところで決定をいたしたいと存じます。  それから第二の國鉄スピード・ダウンによりまして石炭が節約できるということ、これはごもつともな御意見でございまして、ただいま運輸省といたしましても、七月一日からダイヤの改正をいたすので、この件につきまして專門的に立案中でございます。大体約七、八%くらいのスピードの緩和をいたしますと、大体に石炭の消費が六%くらい節約ができる計算にただいまなつておりまして、この節約されました石炭によりまして、列車本数を殖やす、そういう方法でただいま成案を得つつあるのでございます。
  9. 松本一郎

    松本(一)委員 大体御答弁でよくわかりました。この点はひとつ十分御研究願いたいと思います。  さて最後に昨日お隣りの尾崎さんから質問されましだが、輸送力増強のために、新しく貨車相当新造しておるという計画を拜見いたしております。ところが承りますのに、三十トン積み程度貨車相当数量つくられるという計画になつておるように聞きましたが、いかがなものでしようか、この点を伺いたい。
  10. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申し上げます。輸送力増強のために、ただいま発注中の貨車は、新しくつくりますものは総数で四千四百五十輛でございまして、そのうちで二千七百が三十トン貨車でございます。
  11. 松本一郎

    松本(一)委員 輸送力増強は、たちまち物價並びに國民生活に重大な影響があります。何をおいても貨車をできるだけ発注して、早くつくつて、そうして輸送力を補つていただきたいと思います。ところが実際問題はこの三十トン積み貨車を二千七百輛、発注の約六〇%近くもつくられるということを私もこの間から承りまして、奇異の感をもつてつた。聞くところによりますと、これはある筋からの注文だとかいうことでありましたが、一体この大きな貨車は何に使われるのか、無蓋車有蓋車か知りませんが、もしも何らかの目的に使われるならばいたし方がありませんけれども、しからずして普通物資輸送に使うのでしたら、三十トンという貨車は、よほど大きな駅でない限りは扱いにくい。すなわち貨車入交作業でも、普通の駅では多勢の労働者が手で押し返しておる。三十トンの貨車を押し返すには少くとも十人ないし十五人の人手がなければならぬ。ところがその駅は五人か六人の労務員しかいない。殊に労働基準法によつて、早退したり休んでおるときには臨時に人を雇わなければならぬ。人は雇うことになると莫大な経費がかかつてきて、とうてい採算がとれぬ。何人雇つても動かぬ場合があるのであります。たとえば石炭のオチキという貨車がありますが、あれの盈車ですと、普通の人が二十五人かからなければ動かぬのであります。貨車入換の機関車をもつておる駅はよいが、そういう駅は全國でもごく少いのであります。大方の駅は普通手で押し返しているという現状である、ところがすべてのものを機械力によつて処置するアメリカならば、あるいは三十トンでも、あるいは四十トンでもよろしいかもしれませんが、日本のような大方の物は手で運ばなければならぬという國におきましては、むしろ十トンか、あるいは十五トン程度貨車をその倍数あるいは三倍数つくられた方が、実際能率が上つて仕事も樂にできるのではないかと私は思うのであります。どういう観点から、こういう大きな貨車をたくさんおつくりなさつたのか、お伺いしたいと思うのであります。
  12. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申し上げます。大きな貨車田舍の小駅に行きまして、機械設備のない所では人手を多く要し不便でございますことは、松本さんの御指摘の通りでございます。大体大型貨車を多く発注いたしました理由は、積みます貨物石炭木材、それから肥料の原料に使う硫化その他の鉱石などの海送貨物の増送を目標といたしております。大体小口の雜貨などが取扱われますローカルあるいは田舍駅には、あまり行かない品物でありまして、さような設備のできておるところに使うつもりでいたしております。すでに四千四百五十輛は発注済でございます。しかし松本さんの御意見にございますように、田舍駅では取扱いに人手を要して、かえつて困るという御意見は、まことにごもつともでございます。なおこれで足らぬという強い意見もございまして、あと追加発注を千輛ないし千数百輛やることになつておりますので、その際に私本さんの御意見を十分織りこみまして、研究活用いたしたいと思います。
  13. 松本一郎

    松本(一)委員 今お話を伺いますと、大体大駅を本位といたしておるというお話でありましたが、これは実情を御承知ないからこういうことになる。何となれば石炭を積んで大駅に荷が着く。さいわいにおろすにはおろしたが、その駅からこの空車を利用してすぐに運ぶ品物がそこにあるかないか。ちようどあり合わせればよいが、ないときは空車回送せなければならぬことになります。ところがもし小さい貨車でしたら、どこへもつてつて空車で返さず、盈車として使うことができることになるのであります。現在でも大駅は比較的滯貨が少いのであります。なぜ少いかというと、貨車がたくさんはいつてくる。それをすぐ盈車として使うから滯貨が少い。ところが小さい駅になると回送に三十日も四十日もかかる。こういう実情で遂に業者賃金に梗塞する。氣息奄々として事業をやめようという木材業者も出てきたというのは、結局貨車まわり惡いからである。ところが大きな貨車をよけいつくられたから、結局せつかくつくられた貨車が、そういう方面に活用されることになるのじやないか。田舍の小駅でも石炭が近ごろはたくさん着きます。市街地の工場大方爆撃されまして、田舍工場が散在しております。それが大型の三十トンに石炭を満載してくると、田舍では手に負えぬことになる。私は陸運の運送業関係しておりますから知つておりますが、先般も大型貨車へ積んでそれが小駅に着いた。ところがわずか七人か八人で動かせない。仕方がないからそれを発駅に返送したのであります。盈車の場合であつたがもちかえつた。これはあまりにも無理なことではないかということで、一度そういうことをやりまして、今度は絶対そういう貨車は小駅には入れないことになりましたが、そういうことから考えて、こんな大きな貨車をよけいつくられたからといつて、あちらこちらに滯貨しておるものを多く後送するということでは、実際効果が上らぬことになりますので、今後発注します場合には、つとめて十トンか、十五トン程度の小さな貨車をできるだけ多くつくるということに重点を置いていただきたい。この点はくれぐれもお願いいたします。
  14. 岡田勢一

    岡田國務大臣 御意見まことにごもつともと、よく拜聽いたしました。大体大型貨車は大駅に行く。北海道などで、山元から小樽、室蘭の港湾出し、船積みなどの目的に多く集中いたしまして、使うつもりになつております。また北九州などのような戸畑、若松あたり山元から出すという所へ集中して使う考えになつております。松本さんの御意見は今後追加発注の際に十分尊重いたしまして、檢討いたします。
  15. 松本一郎

    松本(一)委員 最後北海道九州お話がでましたので、ちようどこの機会に申し上げておきます。滯貨の少いのは九州であります。なぜ九州が今比較的に滯貨が少いかと申しますと、結局石炭の名のもとにいろいろな貨車がまわつてきて、それを駅と通運とで協議をしまして、流用するからであります。他の方面ではこの流用の手がないのであります。ですから全國をながめますと、この貨車活用状態で凹凸ができておる。こういう点から考えましても、今後はつとめて小型の貨車を全國均等に公平に配置されて、物資輸送を円滑にする方法をとつていただきたい、かように考えるのであります。
  16. 川野芳滿

  17. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 岡田運輸大臣に対しまして、こまかい問題でありますが、この予算に出ております財産整理の金額の中味は何ほどでしようか、お伺いいたします。
  18. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申し上げます。この雜收入の中に資産勘定雜收入というのがございまして、これがそれでありまして三億六千三百万円でございます。
  19. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 先般から各委員によつていろいろな角度から質問されたのでありますが、鉄道財産の中で不用不急なものをもう少し整理する余裕はないのですか、どうですか。
  20. 岡田勢一

    岡田國務大臣 大体賣却処分のことでございますので、この程度が適当であろうと見積つておりますが、もしもつと強いて考えますならば、一億五十万円ぐらいはやれるのではなかろうかという氣もいたしております。それは賣る処分のことでございますから、事前からその値いつぱいのところをやつておきますことは無理であろうと存じまして、今回はこの程度に止めた次第であります。
  21. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 次に伺いますのは、新聞で傳えられるところによりますと、專從職員が三千名余りあるように言われるのでございます。專從職員の正確なる数字、もう一つやみ專從の職員が相当多数に上つておると傳えられておるのであります。それの推定をお伺いいたします。
  22. 岡田勢一

    岡田國務大臣 專從者はただいまのところ千六百人でございます。ところが尾崎さんの言われますいわゆるやみ專從と申しましようか、この大約の推定が、五百人前後ではなかろうかと思つております。もつともただいまは五百人以上に対して專從者一人ということにしておりましたが、先般閣議でこの問題が議題になりまして、七月いつぱいまでの間に七百人以上に対して一人ということに訂正をすることにいたしまして、七月末日までにさように実施することを申し合わせております。
  23. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 國民世論といたしましても、專從職員組合から給料並びに手当を受くべきものであつて政府または企業者からこれを受くべきものではないという世論が強いことは、運輸大臣承知通りであります。なおまた関係方面におきましても、そうした意見がしばしば明らかにされておるのでありますが、なぜにこれを廃止しないで、五百人であつたものを七百人に一人の割ではあるが、その專從職員を置かなければならないというのか、その根拠を伺いたいと思います。
  24. 岡田勢一

    岡田國務大臣 各省関係で、労働協約の中にある程度この問題が取入れられておる省もあるようでございまして、今ただちに一挙にこれをなくすということは事実上できないことになつておりますので、やはり大きな混乱あるいは紛爭を起すことも不利でございますし、一方に協約もございますから、できる限り早くやりたいとは思つておりますが、そういう実情でございますので、徐々にしかできないということになつております。
  25. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 労働協約は大体二十二年度のものは本年の三月三十一日で満了になつて、その後新しく更改されなければいけないものだと私どもは心得ておりますが、その後各省の中でどこどこが新しく労働協約ができたのか、残つておるのはどこどこであるか、御承知つたらお示しを願いたい。
  26. 岡田勢一

    岡田國務大臣 はなはだ不用意でございますが、ただいまその詳細はわかりませんので、後刻調査をいたしまして、適当な時期にお答えを申し上げます。
  27. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 運輸省の方は新しく労働協約ができたのでありますか。
  28. 岡田勢一

    岡田國務大臣 運輸省の方もまだできておらないのでございまして、交渉中になつておりますが、今度新役員が選出をされましたので、その新役員となお当局とが折衝を続けることになつております。
  29. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 そうしますと、労働協約の中の條項にあるから、やみ專從職員をやめるわけにはいかないという一つ理由は、この際に解消することができると思うのであります。今度の協約の際に、さきに申しますように國民世論であり、関係方面においてもさような示唆を與えられておるのでありますから、その際にやみ專從職員はなくするということが当然のことだと思うのであります。ということは、決して私どもはこういう問題に対して、強い一種の反撥的な氣持をもつてかようなことを申し上げるのではなくして、いわゆる関係労働法規にいたしましても、その他のことにしましても、労働組合というものは、ことごとにその建前においてこそ、そのもつておる理屈を相当に強く通してくるのであります。政府の方におきましても、もとより組合の健全な発達をはかることには、全力を盡さなければならないと思うのでありますが、こうした関係方面で考えても、國民が考えても、やはりやめた方がよろしいというような問題は、派約の改訂のときにおいて改めるということが必要だと思いますから、その点はぜひそういうことに御努力を願いたいという希望を申し上げておくのであります。それに対する御所信はいかがでございましようか。
  30. 岡田勢一

    岡田國務大臣 御意見もつともでございます。やみ專從者は新協約折衝の際にあたりまして、これを廃止いたしたいと存じます。
  31. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今の御答弁たいへん滿足であります。いま少しつつんこで御質問申し上げたいと思つたのでありますが、大臣閣議に出席せられるということでありますが、いかがでありますか。
  32. 川野芳滿

    川野委員長 政府委員に御質問願います。
  33. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 それでは結構であります。
  34. 川野芳滿

    川野委員長 それでは皆さんにお知らせいたしますが、物價廳から第五部長がお見えになつておりますので、第五部長に御質疑の方は、この際御質疑をお願いいたしたいと存じます。
  35. 高瀬傳

    高瀬委員 物價廳の方に伺いたいのですが、これは総括的にだけでも聽くことであろうと思いますけれども、三千七百円ベース政府はどういうふうにしてそれを維持していかれるつもりですか。これは労働組合の方では五千二百円ベース、それから全財連の人にこの間会つたところが、五千四百円ベースと言つておりましたが、これでは労働組合側の言つておるところと、政府の考えておるところと、賃金ベースに非常な違いがあるという点、それからその物價体系が大体この本予算実行中に維持できて、しかも政府の考えておるように中間安定が得られるかどうか。特に鉄道運賃というものは、今までの鉄道当局の説明では、これが物價体系の中に占める割合は非常に低いから、一般物價体系とは無関係に、勝手に運賃値上げができるという、そういうことを絶えず運輸当局は言つております。ところがときどき新聞紙上で見るところによりますと、政府の方では二重の物價体系をつくり、とにかくとりあえず物價体系をつくつて、それから鉄道運賃値上り程度がきまつたところで、またこれを補正するというようなことを言つておりますけれども、そういう点について少しく物價廳としての総括的な御意見を、この機会に伺つておきたいと思います。
  36. 山崎丹照

    ○山崎(丹)委員 第一点は三千七百円ベースというものが、はたして適当なものであるかどうかという御質問のように思います。今度私ども作業をしておりますのは、御指摘のように三千七百円ベースを開いたいわゆる業種別賃金というもので、各種の物價なり料金なりをはじいておることは事実でございます。結局それによりますと、すべてのものが相当値上りになるので、今度逆に三千七百円でもつてす惜てのものの値上りを抑えることができるかという問題でございますが、私ども最初考えましたのは、大体三千七百円くらいで收まるであろう、そのように考えて作業を続けておりますが、大体において私ども三千七百円でもつて一應すべてのものの値上り——現在程度の実質賃金を充実させることはまず可能であろう、かように考える次第であります。もつと言葉を附け加えますれば、三千七百円では非常に苦しいから、かりに四千円をとるという場合には、どういうことになるかというようなことも試算いたしたのでありますが、さようなことになりますと、結局すべての物價の基礎となる人件費値上りによりまして、すべてのものが上つてくる。それを比較的重要物資というものを、かりに百十倍という今考えておりますような線で抑えたとしますならば、相当の補給金というものが殖えなければ相ならぬというようなことになります。結局この賃金ベースというものを上げることによりまして、今申し上げるように補給金その他を増額するという措置が相伴いますならば、まことに結構なのでございますが、財政上の要求ということも相ならぬということになりますと、結局物の値上り相当多い。逆に四千円に上げても、四千円では收まらないというようなことが現実に数字の上に現われておりますので、私どもといたしましては、今も申し上げました三千七百円というものは、これで苦しいことはもちろん苦しいのでありますけれども、まずまず收まり得るものと考えております。  第二点は、國鉄運賃が三倍半に上らなければ——もちろん上るということを前提としてわれわれは作業いたしておるのでありますが、新聞その他には二段補正をやるというようなことが書いてあるが、眞実はどうかという御質問のようでありました。はつきり申しまして、私どもすべてこれは事務的の問題といたしましては、價格なり料金なりを算定いたしますには、原價計算の方式をとつております。從いまして國鉄運賃が何倍になるかということは、すべての原價計算の重要な要素になつております。從つて國鉄運賃が三倍半になつたならばこういうふうになるという原價計算をやりますから、必然的の道程といたしまして、上らない場合の計技というものも自然出てまいるのでございますが、それをどう取扱うかということは、私どもまだ別に指示をいただいてはおりません。ただしかし物價改訂が非常に遅れるということは、あらゆる企業が困る、早くやつてくれないと、もてなくなるていう要望があることは事実であります。從つて物價改訂を急ぐという場合、一方の前提となるところの國鉄運賃がいつまでも上らないと、それと同時に改訂をやるという建前をとつておりますから、かなり企業の苦しいこともわかりますので、政府の方で相当御配慮あるのではないかと存じますけれども、私どもといたしましては、別にそのことは承つておりません。
  37. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの御答弁によりますと、鉄道運賃値上げ、あるいは運賃決定というものが、非常に物價影響することは卒直にお認めになつているように私は思います。そういう観点から、われわれはこの運賃値上げについて、ある程度以上はいかぬということを主張する立場にあるわけであります。特にこの間も全國新聞労働組合の総会でいろいろなことを聽かれたのですが、やはりこの運賃値上げすると、相当に実質賃金影響する。たとえば通勤費とかいろいろなものに影響して、とてもこれではだめだということになつて労働組合側として、運賃をいじつたその事実だけで、労働爭議ではありませんけれども、実質賃金値上げということが必ず出てくる。だから、私どもはそういうことをせずにできるだけ率を少くしておいて、そういうような労働組合関係も納得させて、三千七百円ベースを維持する。そういう基礎としても、もしそれほど鉄道運賃物價体系に影響があるならば、ある程度に止めておいた方がよいというのが私の議論なんです。この点全体的な財源とにらみ合わせて、それでは財源をどこに求めるかということになつて、われわれも非常にその点は苦慮しているわけですが、どうもそういう点がはつきりいたさないわけです。もう少し政府として、三千七百円ベースは、鉄道運賃がどうなろうと必ず実施できるのだという見透しの上に立つていないと、私は不安この上もないと思います。ますます物價が上り、ますますインフレは高進して、労働攻勢もひどくなると思いますが、その辺はいかがでしようか。
  38. 山崎丹照

    ○山崎(丹)政府委員 三千七百円ベースが、これから高進するであろうインフレに対して、はたして維持し得るかという問題のように思いますが、率直に私ども申し上げまして、物價の改訂なり、賃金ベースの改訂なりを漫然とやり放して今後うまくいくものとは決して思いません。それにはそれに盛りこんだ、前提となつて、たとえば公定配給の物資をほんとうに確保するとか、ただいま御審議を願つておることでありますから、今日の段階におきましては何とも申し上げることはできない次第でありますが、相当大幅の所得税の軽減もあるやに承つておりますので、その点で金額的にも若干実收が殖えると考えておりますが、それだけですべてのことが吸收できるとも思つておりません。從いまして今申し上げますように、公定價格によるところの配給がもつと確保されるとか、あるいは物資やみ取引が正常のルートにより、正常の價格によつて流れるというような、いわば政府の政治力とでも申しますか、そういう方面の確たる見透しがつかねば、これはなかなか價格改訂だけで、うまくいくとは考えられないと思います。しかし私どもといたしましては、價格改訂というものがしよつぱなに飛び出してしまつて、どうも物價廳の役人は始終價格を上げたがつて困るということをよくじようだんに言われるのでありますが、決してさような意味はないのでありまして、これが実質的に維持されるということは、今申し上げた通り、結局大きく言えば政府の諸施策がこれに追随すると申しますか、これをプツシユするように全体的にに動く、かようなことが前提になつて初めてできると思つております。從いまして逆に申し上げますならば、そういう政府の諸施策というものが相ともに追随して行われないならば、私どもも卒直に申し上げましてこれだけではどうもうまくいなかいだろうということを認めざる得ないと思つております。
  39. 高瀬傳

    高瀬委員 一方的な意見になりますけれども、もしそういうふうな御意見ですと、鉄道運賃をいきなり三倍半に値上げするということは、三千七百円ベースを確保するのに非常な障害があると思いますが、その点に関して物價廳の御意見はいかがですか。
  40. 山崎丹照

    ○山崎(丹)政府委員 一番最初に申し上げましたように、三千七百円の一應の内訳というものを、たとえば食糧はいくらかかるとか、あるいは汽車賃はいくら拂うとか、新聞がどうなるとめか、ラジオがどうなるかというような、一應内訳の精細なものをつくつてみたわけでございます。そうして今おつしやいました運賃が三倍半になるということもその中に織りこんで、三千七百円でもつて一應これは可能なりという結論に達して、三千七百円を出した次第でございます。逆に申しますならば、三千七百円というものは、鉄道運賃が三倍半になるということも一應前提としてつくつたものだ、かように申し上げてよいと思うのでございます。
  41. 高瀬傳

    高瀬委員 そういたしますと、もし運賃が三倍半にならずに、旅客運賃が倍ぐらいとか、貨物は三倍ぐらいになると、物價体系はもつとずつと安くなるわけですか。
  42. 山崎丹照

    ○山崎(丹)政府委員 その通りでございます。今申し上げましたように、私ども実際に原價計算ではじいている基礎となるものは、貨物の價格の問題でございますから、貨物運賃の方が実際すべて出てくるわけであります。從つてかりに貨物運賃の三倍半というのが、二倍半というようなことにでもなりますれば、それはすべての物資にわたつてその部分だけは、三倍半と予定された値上りほどにはいかないという現象を生じてまいります。もう一つ旅客運賃の一三倍半の問題でありますが、かりにこれが、三倍半でなくい二倍半になるというようなことに相なりましても、物價改訂それ自身の原價計算の上には、貨物運賃ほどには曽は原價要素として考慮を拂つていないのでございます。ただしかし先ほどおつしやいました三千七百円の賃金ベースは、今申しましたように旅客運賃が三倍半になるということを前提としておりますから、かりにこれが下ることになりますれば、三千七百円でとてもやれないではないかとおつしやるならば、若干やりよくなるということは言えると思います。しかしそれだからといつて三千七百円を下げるということはとうてい考えられないと思います。
  43. 原彪

    ○原(彪)委員 貨物運賃物價に占める割合は大体わかるのでありまするが、旅客運賃物價に占める——物價というよりはむしろ生計費に直接影響があるのでそれに占める割合というものを考え合わせますると、これは同一なものではない。そうすると、この同一でないものを、どうして同一の三倍半に一律に値上げしたかという理論的な、むしろラジカルな根拠を承りたいと思います。鉄道の方の実收から申しますと、旅客運賃の方は経営上はもうかつております。原價計算上においては旅客運賃の方がもうかつております。旅客運賃はそう上げなくともいい。貨物運賃の方は経営上から言えば損をしているのだから、これは上げなければならぬ根拠が出てくるのであります。物價て生計費との比率の上において、どうして一上げ率に三倍半の値されたかということを承つておきたいと思います。
  44. 山崎丹照

    ○山崎(丹)政府委員 御指摘の相なりました点は、どうして貨物運賃旅客運賃ともに三倍半にしなければならなかつたかという点にあつたと思います。おつしやいますように、旅客運賃をやはり同じ倍率でやらなければならぬ理論的根拠は全然ないと存じます。ただ三倍半の出ました経緯は、私ども單なる事務当局でございますけれども、きまりました当利の道程を振り返つてみますと、結局今御指摘になりましたように、旅客運賃はあるいは三倍半まで上げなくても、原價を回收することはできるであろうという数字はたしか私どもも拜見したように思います。と同時に、貨物運賃は三倍半にいたしましても、なおかつ原價を回收し得ないというような数字も相ともに出たのであります。從いましてかりに旅客と貨物とをおのおの原價をペイするようにいたしましたならば、貨物の倍率はもつと高く相なる。旅客の倍率はもつと低く相なる。数字的にもかようなメソツドというものができるのでございますし、またできたのでございます。もつと端的に申しますならば、貨物運賃の三倍半があるいは四倍半なり五倍になり、旅客運賃の三倍半というものが、あるいは二倍半なり三倍になるというものもできたかと存ずるのであります。ただ先ほども私申し上げましたように、貨物運賃はすべての物價をはじきます上に、原價計算で実は相当大きなものが出てくるのでございます。たとえば石炭の價格をはじき出す場合も、國鉄運賃が二倍になり、二倍から三倍になり、四倍になるというのが現実にはつきり出てくるのでございますから、結局石炭のみならず、あらゆる物資貨物運賃の占める割合が非常に多い。できるだけこれを引上げたいというのは、物價全体の上昇率をできるだけ下げたいということに出発しておるのでございます。從いまして貨物運賃を、貨物輸送経費をカバーする限度までかりに上げるといたしますと、いろいろな物資の價格の値上りが非常に大きなものになるので、めぐりめぐつて結局またインフレの高進に拍車をかけることに相なつては困る。かような考慮のもとに貨物運賃は本來経費をペイするような建前から言うならば、もつと高かるべきものを、この辺まで引上げ、逆にそれによつて失われるところの経費というものを結局國鉄一本の建前で旅客の方でカバーをする。結果的に見ればそういうふうな結果になるような倍率ということに相なつたやに私記憶しておるのでございます。三倍半というのは、結局その他が限度ではないだろうかという御考慮のもとに、おきめになつたのではないかと思いますので、必ずしもこの倍率を、それほど同一にしなければならないという意味はなかつたように私は記憶しておるのでございます。
  45. 松本一郎

    松本(一)委員 委員長にお願いしたいと思います。この運賃値上法案は非常に影響が大きいし、また國民も重大関心をもつておると思います。從つてこの委員会がこの問題を審議いたします上において、一度総理大臣にも出席をしてもらつて、総理大臣の意向も伺つておかなければならぬじやないかと思います。たとえば物價に対する影響とか、今後の賃金ベースとか、あるいは國民経済とか、各般にわたつて重要なる影響がある。そうして將來の國鉄というものに関する私どもの考えを、この際新たにしなければならぬというような場合もなきにしもあらずだと思うのです。総理大臣もお忙しいとは思いますが、ぜひ総理大臣にたとい一日でも当委員会に顏を出されるように、委員長からお取計らいを願いたいと思うのであります。
  46. 川野芳滿

    川野委員長 それではできるだけ早い機会に総理大臣に御出席を願うように要求することにいたします。この際山崎政府委員から、先般の安本長官の説明に対する御訂正があるそうですから、山崎政府委員の発言を許します。
  47. 山崎丹照

    ○山崎(丹)政府委員 昨日でございましたか、栗栖さんから、國鉄運賃が三倍半で汽船の運賃が三倍で、それ以外の輸送関係の料金の値上りはどうかという御質問に対しまして、大体二倍だというふうにお答えになつたと私実は伺つたのでございますが、あるいは私の記憶違いかも存じませんけれどももつと詳しく申し上げますならば、今言つたように國鉄運賃を三倍半にしたいということで御審議願つておるのは御承知通りでございます。そうして汽船の運賃というものは、現在船舶運営会で運営しておりますが、これも一体三倍にしたいと考えております。また機帆船、いわゆる木造船でございますが、これは現行運賃の大約二倍半というところを考えております。それからトラツク運賃も大体二倍半というようなところを目標にして考えております。またマル通の現在やつております小運送の点は大体二・六倍くらい、かように考えております。また荷牛馬車、いわゆる小運搬の点に関しましては、これは現行運賃の二・三倍というような数字が出ております。また海運の方におきましては、いわゆる港湾荷役作業、これは船内、はしけ、沿岸、おのおの倍率は違いますが、これを三者平均いたしまして、大体二・七倍というくらいのものを原價計算の結果出しまして、関係方面折衝いたしております。かような状況でございます。
  48. 高瀬傳

    高瀬委員 関連して……。ただいまの海運の問題ですけれども運輸省貨物を三倍半にして——これはおもに海陸輸送の調整という観点から三倍半と言つておるらしいのですが、海運が三倍になり、陸運の方は貨物が三倍半になる。このくらいの相違で海陸輸送の調整ができ得るとは私は信じない。だからそれだけの理由だと、この前も公聽会のときに農業会の代表が言つておられましたが、主要物産の輸送というものが、輸送面で非常に重大な地位を占めておるという点を全然無視して、單に海陸輸送の調整、というようなこと、これがおもな理由になつておりますが、陸運を三倍半、海運を三倍に上げて、海陸輸送の調整という名目では私は了解できない。この海陸輸送の調整は、私の考えではおもに船腹とか、機構その他の問題に非常に依存しておるので、鉄道だけが貨物を三倍半に上げたからといつて、いきなり陸運のものが海運に轉移するとは思わない。それくらいならば、貨物は三倍にして、海運を二倍にしても足りる。要は單に鉄道運賃を三倍半にするということで、海陸輸送の調整ができるか、これを物價廳の方でどういうふうにお考えになつておるか、ひとつつておきたい。
  49. 山崎丹照

    ○山崎(丹)政府委員 今御質問になりましたように、海陸の輸送の調整ということは、三倍半、三倍の線ではできないではないか。卒直に申し上げまして、一挙にその目的を達することは不可能と存じます。ただ海の方を三倍に一應考えました根拠は、御指摘の通り現在海の方が非常に高い、陸の方が非常に安い状態でございますので、國鉄の方を三倍半にして、海を同率の三倍半にもつてつたら、いよいよ海の方が高くなるから、若干これよりも倍率を下げなければならぬ。もつと理想的に言うならば、二倍半ぐらいのところにおちつければ、やや均衝のとれたものがそれ自身としてでき上ると、私自身は計算いたしたのであります。ただこれもまことに申訳がましくなるのでありますが、船舶運営会の経費も実は相当厖大になつておりますので、かりに今度三倍半にいたしましても、別個國会に御審議願つておりますように、一應出しておりますのは四十億の補給金を出さなければとうていやつていけない、かような状態に相なつておるのであります。從いまして二倍半ということに引下げれば、それだけまた補給金が殖える。さような関係で、國家財政の苦しい折でもあり、補給金の額は少いし、しかも若干でもできるだけ海陸輸送調整の見地に近づきたいという努力の現われが、一應三倍半に対する三倍、かような状態で事務的に檢討いたしておる次第であります。
  50. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本日はこの程度で散会し、明十九日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会