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1948-06-16 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十六日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 前田  郁君 理事 佐伯 宗義君    理事 高瀬  傳君       大澤嘉平治君   小笠原八十美君      岡村利右衞門君    尾崎 末吉君       田村 虎一君    松本 一郎君       井谷 正吉君    重井 鹿治君       島上善五郎君    館  俊三君       原   彪君    矢野 政男君       飯田 義茂君    堀江 實藏君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 岡田 勢一君  出席政府委員         運輸政務次官  木下  榮君         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   三木  正君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君     ――――――――――――― 六月十五日  船員職業安定法案内閣提出)(第一四七号) の審査を本委員会に付託された。 六月十五日  鉄道運賃値上反対の陳情書  (第六〇八号)  福島米澤間電化促進に関する陳情書外一件  (第六二七号)  福島米澤間電化促進に関する陳情書  (第六三七号)  同  (第六三八号)  道路運送監理事務所存置陳情書外一件  (第六六七号)  福島米澤間電化促進に関する陳情書外七十三  件(  第六七二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  國有鉄道運賃法案内閣提出)(第七七号)     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議を開きます。  前回の引続き國有鉄道運賃法案を議題として質疑を続行いたします。島上善五郎君。
  3. 島上善五郎

    島上委員 大臣に御質問いたしたいのですが、運賃値上げは過去三回にわたつて行つたのでありますが、その都度、運賃値上げいたしましても、將來の國鉄がそれでやつていけるという、つまり國鉄再建計画というものと伴つていなかつたという感がするのであります。すなわち言いかえますればその場限りの運賃値上げであつたということが言えると思うのです。今度の運賃値上げに際しまして、もし三倍半に値上げいたしますれば、今後本年度は百億の一般会計からの補助を仰ぐということになつておりますが、今後特にインフレがはなはだしく高進して再び物價の改訂がない限りは、これで國鉄が十分にやつていける自信があるかどうか。國鉄再建計画のしつかりしたものをおもちになつておるかどうかということについて、まず第一にお伺いいたしたいのであります。
  4. 岡田勢一

    岡田國務大臣 島上さんの御心配のお氣持は十分わかるのでございます。ただ今仰せられたインフレ高進いかんにかかつていることも存じますが、政府といたしましても、今のところインフレがこれ以上進まなくて、物價賃金が安定しております限りは、これで安定していくものであると考えております。同時にまた五箇年計画で御報告申し上げております通り、またその他にも國有鉄道審議会などで設備の機械化能率の増進、その他いろいろ眞劍に今後におきましても画策をいたしまして、経営コスト引下げ努力をしてまいりたいと思つておりますので、もしインフレが今日以上高進せず、物價賃金が上りません場合には、それらの施策が整備されました曉には、赤字はまず解消せられますから、同時にでき得れば運賃引下げまでに及んでいきたいという希望をもつておる次第でございます。
  5. 島上善五郎

    島上委員 ただいま大臣が御答弁されたようなことは、私たちつて運賃値上げをする際に、同樣の言葉を承つておるのであります。鉄道会議において十分國鉄再建に関する調査研究をいたしまして、この運賃値上げによつて今後十分にやつていける、國民から信頼されるような國鉄再建できるというようなことを、過去三回の値上げに際して聽いておるのであります。もちろんそれは今の運輸大臣の責任ではありませんし、インフレーシヨンの急速なる高進という事情もありますので、そう簡單に非難し去るというわけにもいかぬと思いますけれども、今度の國鉄審議会というものも、私は何となしにかつて鉄道会議でそういうものを審議して、國鉄再建をするという言訳をしたと同じような感じを受けるのであります。特に今日、鉄道会議というものがなお存しておるはずだと思いますが、その上國鉄審議会というものを設けることは屋上屋を架する感がいたしますし、はたしてこの國鉄審議会において十分に國鉄再建の仕事がやれるかどうかということに対しても、非常に疑わしいのであります。  それから私は特に伺いたいのは、國鉄再建につきましては、從業員との協力がうまくいくということが必要だと思うのです。その点において少くとも今まではうまくいつているとは言いにくいものがある。今後從業員との協力をうまくやつていくということに関しての、大臣の見透しなり自信なりをお伺いしたいと思います。特に從業員協力関係をうまくやつていくには、労働組合との間が円滑にいくということ、從つて労働者労働條件賃金の問題をうまく解決していくということが、伴つていなければならぬと思うのでありますが、その点に関しての大臣のお考えを承りたいと思います。
  6. 岡田勢一

    岡田國務大臣 お答え申し上げます。鉄道審議会をつくることにつきましては、從來鉄道会議との相違が相当にございます。從來鉄道会議性格運賃を決定すること、あるいは新設路線を選択決定すること等がおもな使命になつてつたのでございますが、御承知のように鉄道運賃國会によつて審議を願つて決定されるということになりましたし、また新設路線関係につきましても、多少今日では趣きが変つてまいりました。從いまして鉄道会議の大きな目的でありましたものが解消してまいりましたただいまでは、鉄道会議開店休業というような状態になつておりますので、國鉄審議会ができました曉には、これを廃止する考えでございます。そうして國鉄審議会は、いろいろの審議会の規定にあるような刷新改善を根本的に檢討いたしましてやつていくということになつておりますので、從來鉄道会議とは趣きをかえまして、新しい考え方から具体的問題を取上げてやつていくことに相なると存じます。  それから國鉄能率的に、國民大衆の要望せられるような方向に完全に再建をしてまいりますこと、それから経営能率を高める等のことにつきましては、島上さんのお説の通りに、第一に從業員との協力をしなければいけません。同時にまた組合とも連絡を密にして協力をしてもらわなければなりませんので、その点につきまして、私ども鉄道経営につきましての最も重要な面であることを認識しておるつもりでございます。お説の通りに今日までの労働組合從業員当局幹部との間は、一部につきまして不円滑な点もあつたのではなかろうか。その事実は、ときどきストなどが起りまして対立をいたしたことでございます。今後におきましては、この賃金要求その他いろいろの面におきまして、必ずしも問題が起らないとは保証はつかないとも思いますので、ときどきそうした対立という形が現われてまいるであろうと思いますが、私どもといたしましては、國鉄從業員立場、その氣持なつたつもりでいろいろの経済的要求等につきましては親切に考えまして、政府としての許せる範囲内の待遇なり、また労需物資等の供給なり、あるいは指導、あるいは從業員の再教育という保護、福利等の面に向けて努力をいたしていきたいつもりでございまして、これは私が就任早々の第一回の挨拶の中にも、このことを含めて申しておる次第でございます。そういう線に沿いまして、当局從業員とは緊密一体になるつもりでこれからも協力をしてまいりまして、國鉄復興再建に邁進いたしたいと考えております。從いまして組新幹部との間も——これは立場が違いますので、組合幹部当局とがなれあいになつたというような誤解を招くことはまことにおもしろくございませんから、正々堂々の間に、正しい当局取扱方であり、同時に正しい組合運動展開であるというふうに向けてもらいまして、うまく協調を保つていきたいと考えております。
  7. 島上善五郎

    島上委員 今までの鉄道会議には國鉄從業員代表者が参加していなかつた、というのは鉄道会議の運営の仕方や從業員代表の数等に関して、運輸省労働組合との間に意見の食い違いがあつたということも原因と思いますが、今度の國鉄審議会には從業員代表を何名くらい参加させるお考えかということ。それから労働組合自体の大方針として、國鉄再建鬪爭ということを言つておる。労働組合においても、國鉄再建に対して重大なる関心と熱意をもつておることが看取されるのであります。大大臣の御答弁によりますと、ときどきスト等があつてうまくいつてなかつたと言いましたが、もちろんときどきストがあり紛議があるということは思わしくないことでありますが、問題は年がら年中爭議ストがあるわけではなく、そのストライキや紛議のない間の協力——労働組合でも國鉄再建鬪爭と言つておりますので、そういう爭議紛議がない、つまり日常協力関係國鉄再建復興に関する協力がうまくいつてないということを私が言つたのであります。今五千二百円ベース要求を出しておりますので、これに対して大臣がいかように考えておるか知りませんが、今後といえども相当の問題が予想されるのでありますけれども、そういう爭議解決後の日常労働組合との協力関係がしつかりしていなければ、國鉄再建がうまくいかない、こういうふうに私は考えるのであります。それに関連して國鉄審議会從業員代表の参加を求めて、しつかりとこの審議会においても、從業員諸君意見を取入れてやつていけるかどうかという点を、大臣にもう一度伺いたいと思います。
  8. 岡田勢一

    岡田國務大臣 國鉄審議会性格は先に申し上げましたようなわけでありますが、審議会委員には、今回は從來のありきたりと少し趣きをかえまして、各省高官連中を網羅するという考えは從的に取扱うことにいたしまして、大体民官経済團体代表の方、それから学識経驗者の方々、この中には國会の御承認が得られれば衆参両院の議員も参加していただき、お尋ねの國鉄労組代表は参加してもらうつもりにしております。同時に先に申し上げました各省関係官は、大体今のところでは幹事的の役割において参加していただいたらどうかというふうに考えております。
  9. 島上善五郎

    島上委員 どうも國鉄審議会鉄道会議の看板の塗替ではないかという感じがいたします。これについては今大臣から、そうではない、構成メンバーについても在來の行き方をかえるということの御答弁でありましたので、そうであつていただきたいと思うのであります。この國鉄審議会以外に運輸省労働組合との間に、國鉄再建復興に関する日常協力機関とでも申しますか、そういうものが職場にも、あるいは上にも必要なのではないかと考えるのでありますが、そういう点に対して何かお考えがあるかどうか承りたい。
  10. 岡田勢一

    岡田國務大臣 先に御発言なつたことの答弁を落しまして恐縮します。前の島上さんの御発言中に、労組再建鬪爭が大方針として決定しておるということがありましたが、これは決して私らが計画をいたしております國鉄復興再建と食い違うものではありませんので、私たち労組再建鬪爭は大いに了解をいたしておるのでございます。從つて指摘のように日常におきましての労組代表、あるいは幹部との緊密なる連絡は、まことに必要なことであると存じております。そういう考え方で進みたい。具体的になりますと、運輸省の今後の労働協約面等にもそれが現われてくるのではなかろうか、また今日現存しております協約の中にもはいつておるのではなかろうかと存じますが、そういふうな考え方でやはり進みたい。しかしながら同時に労組が自分の建前を逸脱いたしまして、國鉄行政、あるいは機構、人事等にあまりに参画してもらうということになりますと、少し行過ぎに相なります。ただそれは國鉄復興再建という意味におきまして、円滑なる協力態勢をとつてもらうことを希望しております。
  11. 島上善五郎

    島上委員 私の伺つたのは、今ほかの重要産業には、労働組合経営者とが対等立場に立つて復興会議というようなものがもたれておる。それが必ずしも全部が全部うまくいつておるとは言いがたいものがありますが、その復興会議は現実にそこの会社復興に大いに役立つておるという事実もたくさんあるのであります。たとえば経営協議会云々と言われましたが、國鉄再建復興に関して労働組合管理者とが対等立場に立つて協力するというような機関と申しますか、そういうものを何かお考えになつておるかどうかということであります。
  12. 岡田勢一

    岡田國務大臣 経営協議会におきまして、先にも私が申し上げました範囲内のことは大いに協力してもらうつもりでございますが、ただいまのところ運輸省といたしましては、組合当局側対等立場に立つてこれらの問題を討議していきます考えはもつておりません。輸運省の使命の中には、國家の定められました法規によりまして行政を行つていき、企業を監督していく部面もございます。あるいはまた省内自身といたしましては、定められた法律によりまして嚴に服務を規律していかなければならぬ点もございます。そういう面もございますので、対等立場でその種の根本的の問題をやつていくという考えはただいまのところもつておりません。
  13. 島上善五郎

    島上委員 賃金の問題については運輸大臣だけで御答弁してもらうということは困難かもしれませんが、今の労働組合要求しておる五千二百円ベースに対して、政府は三千七百円ベースと言つておりまして、この間に非常な開きがあるのであります。私たちは三千七百円ベースはとうてい問題にならぬ低い水準だと思いますが、この労働組合の五千二百円ベース要求に対して、大臣自身はどのようにお考えになつておるかということを伺います。
  14. 岡田勢一

    岡田國務大臣 御指摘の三千七百円ベースで十分満足できるかどうかという問題でございますが、今回御承知通り勤労所得税大幅軽減を策しております。また実質的賃金の充実を物の配給の面から策しておりますので、これが計画通りに実施されます場合には、私はこれが十分とは言えないけれども、辛抱していただけるベースであると考えまして賛成をいたした次第でございます。五千二百円の声がございまして、新聞などにもそういう記事が載つておるのでございますが、はたしてそれだけの御要求が正当であるかないかということは、私らといたしましては大なる疑問をもつております。もつとも正式に当局に対しまして意思表示がまだあつたわけではございませんので、さような場合がまいりましたならば、正式に取上げまして檢討を加えたいと考えております。
  15. 島上善五郎

    島上委員 賃金ベースの問題については、意見がまつたく違うのでありますが、それは運輸大臣に直接要求いたしましても無理かと思いますので、他の機会にやりたいと思います。  この三倍半の値上げ國民生活に及ぼす影響については、もちろんお考えになつておると思いますが、すでに十五日から値上げになるというので、たとえば米のやみ物價が値上りするとか、その他の物價相当値上りしておるのであります。この三倍半の値上げ國民生活に及ぼす影響は、目に見えない方面相当深刻なものがあると思います。政府物價改訂をいたしまして、いわゆる中間安定帶というものを設定して、物價の値上りをある程度抑制しようというようなお考えのようですが、そういう政府方針と、この値上げ國民生活に及ぼす深刻なる影響の間に、大きな矛盾があるように感ずるのですが、その点に対していかように考えになつておりますか。
  16. 岡田勢一

    岡田國務大臣 鉄道運賃値上げ新聞に載るようになりましてから、相当の時日を経過いたしておりますが、その間そのためにやみ物價の高騰を刺激いたしましたことは、御指摘通りでございます。これは拔打ち的に運賃値上等をやりません限りは、從來タバコ等値上げの場合に例がございましたように、事前におきまして相当影響を與えますことは、どうもやむを得ない問題ではなかろうかと存じます。しかし先ほど別に御指摘の、一般大衆生活に重大なる関係をもつておるということは、まさにおつしやる通りでありまして、それは私もまことにそうであると考えておりますが、ただ運賃値上げ倍率いかんは別といたしまして、低い倍率値上げいたします場合においても、それらの影響は同じような形態で現われてくるものであると私も考えております。なおこの御答弁が少し拔けておるところがあるかもしれませんが、あつたら御指摘を願います。
  17. 島上善五郎

    島上委員 國鉄労働組合代表が、せんだつてこういうことを言つておるのであります。國鉄運賃旅客の分は、今でも二〇%もうかつておるということを言つておる。これはあるいは何かの間違いかもしれませんが、三・五倍にすれば、旅客の方は黒字になるということを聞いております。三・五倍にしました場合に、旅客はどのくらい黒字になり、貨物の方はどのくらいに赤字になるかということを、数字にちよつと承りたいと思います。
  18. 岡田勢一

    岡田國務大臣 実質的の数字については、あとから鉄道長官から御説明申し上げますが、國鉄代表のある者が二〇%旅客運賃は今でももうかつておるというようなことを言われたそうですけれども、そういうようなことは決してございません。これは当を得た、眞相をつかんだ責任ある言明とは私は考えません。何らかの誤解がよく行われるものでございまして、その種のものではないかと考えております。
  19. 加賀山之雄

    加賀山政府委員 ただいまのところでは、もちろん旅客コストが償つておらないのでありますが、今回の改正によりまして、旅客の原價に対する收入の割合は一七九に相なると推定されるのであります。
  20. 島上善五郎

    島上委員 國民國鉄自体に対して非常に批判の目を向けておるのであります。國鉄経営自体に、もつと節減し、あるいは粛正する部分があるのではないかということに対して、これは漠然とではありますが、そういう批判を受けておるのであります。かりに私たちがこの運賃値上げを承認することにいたしましても、國鉄自体が十分に節約し、あるいは粛正して、なすべき手を十分に盡したということを國民の助に納得させることが必要であろうと思うのです。そして今までの質問にもそういう点は大分ございましたが、外郭團体整理という方面で、費用の節減をする余地があろうかと思うのでありますが、もう一度大臣からはつきりと、外郭團体整理し、その方面費用節約するというお考えをおもちであるかどうかということを伺いたいと存じます。
  21. 岡田勢一

    岡田國務大臣 國鉄自己反省、それから内部整理の点につきましては、私たちはかかる大幅の値上げ國民お願いをし、またお願いをしない場合におきましても、困難なる日本経済の現状から考えまして、できる限りの内部整理経費節約をやらなければならぬと存じております。その内部整理経費節約の中にも、物的、人的いろいろございますが、一つ労働組合健全化能率向上等によつて、從事員の人員が節約されることも含まれているわけでございます。それらの点につきましては、國会の中におきましても、その方の特に権威者であられる島上さんなどの、直接間接の御協力を私は希望してやまない次第でございます。  それから経営合理化、あるいは綱紀粛正等につきましては、十分力を盡すつもりでございます。同時にまた御指摘外郭團体檢討整理ということは、ただいま遺憾ながら、具体的にどの團体をどうするということは申し上げにくいのでございますが、外郭團体の全部に対して嚴密なる檢討を加えまして刷新改善をいたし、経営節約内部整理などによつて鉄道特別会計の利益を無意味に食いこんでいるというような点は、今度におきましてできるだけ速やかに是正していきたいと考えております。
  22. 島上善五郎

    島上委員 鉄道の官紀の粛正ということについて御答弁がありましたが、実はつい少し前に現職の運賃次官が涜職の嫌疑でもつて檢挙されたという事実もございますし、またとかくの風評を私たち耳にするのであります。そういう点に対して運賃大臣は、もし今発表できますれば発表していただきたいということと、今後そのような事件に対して、徹底的に粛正するというはつきりした御決意が承りたいと存じます。
  23. 岡田勢一

    岡田國務大臣 伊能前次官が、あのような疑惑事件を発生いたしまして逮捕せられ、ただいま裁判所の公判にかかつております。この事実は鉄道当局といたしましても、政府といたしましても、國民にある疑惑政府に対する信頼感などを失つた点につきましては、まことに恐縮いたしております。遺憾でございます。その内容事実につきましては、新聞などに報道されておるのでございますが、これは事実犯罪を構成する行為があつたかないかは、近日公判の結果によつて判明いたすことと存じます。いずれにいたしましても、今日政府官吏、すなわち運輸省もそれに含まつておりますが、官吏一般綱紀がゆるんでおるという声も相当にあがつております。私らはこの國家再建のために、特に官吏綱紀が嚴格に粛正されなければならぬことであることを信じておりまして、今後におきましては、これに大なる努力を傾注いたしまして、これが粛正の実をあげたいと決心をいたしております。
  24. 島上善五郎

    島上委員 そういう御決心を承つて非常に結構でありますが、実はここにも一つ投書が來ておるんです。投書ですから、ここで発表する限りではないと思いますが、運輸省当局工事会社との関係に関するものであります。私はあとでこれが事実であるかどうかを別の方法で調査いたしたいと思つておりますが、ただいまの御答弁のような考えでもつて工事会社との関係等についても、断じて不正な取引が行われないようにやつてもらいたいと思うのであります。それは希望として申し上げておきます。  今度の運賃値上げで私は一つ非常に甘く見ておる点があると思うんです。それはこの前どなたか質問されたと思いますが、三倍半値上げした場合の乘客の減を五分であると見ております。せんだつて公聽会の際の私鉄の経営者連盟の方も言つておりましたが、少くとも一五%は減るであろう、こういうふうに観測しておりましたが、この点に対して当局の御予想を承りたいと存じます。
  25. 岡田勢一

    岡田國務大臣 このような値上げを実施いたします場合には、相当旅客減が起ることは島上さんの言われた通りでございまして、私どもといたしましても、この三倍半の値上げによつて年平均五%では少いという感じがいたしております。しかしこれは今後におきましてインフレがこれ以上に高進をいたしますか、抑制せられますかによりまして、大きな違いができてまいります。ただ少く目の五%を決定いたしました中には何とかいたしまして運賃倍率を低目にいたしたい、運賃負担國民大衆から軽くいたしたいという考え方も含まれておりまして、それは不正確と言えば不正確ということになるかもしれませんが、五%というようなところに落ちつけました次第でございまして、その氣持につきましては御了承願いたいと存じます。
  26. 島上善五郎

    島上委員 私はもう一つ伺いたいのは、せんだつて大藏大臣は、この運賃値上げは職をかけても原案を通すという談話を発表しておるのであります。その中に、これは與党から出して大臣が閣議で決定したものであつて與党がこれを修正するということは、それ自体穩当であるというような言葉を使つておりますし、大藏大臣として職をとしても原案を通すということを言つておるのであります。私はこのような言葉自体國会審議に対して不穩当言葉であろうと思うのであります。私たちは今までの質問應答等の経過に鑑みましても、まだまだ縮減する余地がずいぶんあると思いますし、三倍半の原案をこのままのむというわけにはまいりませんが、このように職をとしても原案を通すと、大藏大臣は言つております。運輸大臣はこれに対してどのようなお考えをもつておるかを承りたいと存じます。
  27. 岡田勢一

    岡田國務大臣 先日新聞記事に現われました島上さんの御指摘の件でございますが、私も少し奇異に感じまして、大藏大臣にその直後すぐ尋ねましたところが、それは記事の間違いであつて、自分としては修正を拒否するとか、職をとしてもとか言つたのでは決してない。こういう話でございました。ただ與党三派から代表として出ておる閣僚が閣議で承認したのであるから、この無修正ということに、党としても協力せられるということが、大筋で当然のことであろうと思う、というふうなことを言つたものだと言つておりました。私の見解は、政府がこれが適当であると信じまして、倍率を決定して御提案申し上げているのでございますから、できる限り無修正で通過させていただくということは希望いたします次第でございます。しかしながら政府といえども神樣ではございません。あるいはまた今日経済の現状が、非改に変動しつつある実情から考えまして、一箇月あるいは一箇月半もかかる、立案から御審議までの間におきまして、情勢の変化もございましようし、かつまたこれらの立法並びに運賃等の決定につきましては、最後の決定権は國会がおもちになつていることでございます。私らが一度立案したからと申しまして、それが不動のものであるということは越権のさたでございます。私といたしましては、國会の御意見のあるところによりまして、政府で行えるか、行えないかを実質的に檢討いたしましてから、きめていきたいと思います。でございますから、あるいは修正されましたところで、それが実施できる程度の修正でございましたら、これに御協力をいたしたい。かように考えております。
  28. 島上善五郎

    島上委員 もう一つ最後にお伺いしたいんですが、旅客と貨物とを同率に値上げするということは、私は不当だと思うんです。先ほどの御答弁にもありました通りに、もし三倍半に値上げをいたしましたら、旅客は一七九の割合になるということでありますが、旅客が一七九になるなら、貨物はおそらく若干の赤字であろうと思います。そういたしますれば、当然生産コストから考えましても、旅客と貨物を同率に引上げることの妥当でないという根拠が明らかになるのであります。これに対して大臣はどのように考えておられるかということを伺いたい。
  29. 岡田勢一

    岡田國務大臣 ただ單に同率でということのみによつて、当不当は論ぜられないと私は存じます。要は経済の実情に即して、あるいはまた採算原價と比較してどうなるかということが、問題であると存じます。今回同率にいたしました理由は、インフレーシヨンの高騰いたしております今日の経済の実情から考えまして、物價の面をある程度以上に上げられないという制約を受ける面がございまして、そのために貨物運賃は三・五倍以上にはできないという見解を、政府はとりましたわけであります。一方また旅客運賃の方は、前々から島上さんがおつしやつておられましたように、國民大衆生活相当大なる影響を及ぼすものであり、同時にまたやみ物價にも影響を及ぼすのでありますが、一方におきましては、鉄道特別会計の厖大なる赤字は、やはりこれは全國民の租税等による御負担に帰せなければならぬことにも相なります。そこで鉄道特別会計の面において、どれくらいの赤字は辛抱ができる数字になるか、あるいはまたただいまの貨幣價値なり、経済の現状から見まして、鉄道を利用せられる乘客の方の負担力の限界がどの辺であるか、いろいろの角度からよく檢討を加えまして、今回の同率倍率を決定いたしました次第でございます。しかしこれらの相当入りくみましたいろいろの要素を取上げまして、多数の要素から更正をしてまいります計算の過程におきまして、必ずしもこれが適当である、不適当であるという理由が立つか立たないかというような点につきましては、多少そこに見られる角度からの見解、いわゆる出発点、計算の仕方の相違というものが起ろうかと思うのであります。政府といたしましては、まず立案をいたしました精神から考えまして、これは適当なものであると考えております。
  30. 島上善五郎

    島上委員 私の質問は一應これで終ります。
  31. 川野芳滿

    川野委員長 原彪君。
  32. 原彪

    ○原(彪)委員 前日御質問申し上げました残余の分について御質問申し上げます。さいわうに大臣がお見えになつておりますから、前日御質問申し上げて、加賀山長官から大体御答弁を得たのでありますが、多少明確を欠く点もありまするので、さらに大臣からお答えを願いたいと思うのであります。  外郭團体の交通公社に拂う切符の手数料であります。これが昭和二十二年度に約八千万円も出しております。今度運賃値上げなれば、おそらく三、四億の金に相なるだろうと思う。これをどういうふうに処理されるおつもりでありますか。私の考えからしますれば、そういう費用は理屈が通らぬ費用じやないかと思つておるのであります。一應御答弁を願いたいと思います。
  33. 岡田勢一

    岡田國務大臣 交通公社も、ただいまのところインフレ高進物價並びに給料等の上昇によつて、大きな赤字を続けておる現状でございます。汽車賃の倍率が上りましても、その赤字を補填せなければならぬ必要もございますので、手数料の割引のことは、ただいままだ考えておらないのでございます。
  34. 原彪

    ○原(彪)委員 現在五分の手数料を拂つておりますが、將來は少くとも理屈から申せば異議はないものでありますから、廃止されることを私は希望いたします。いろいろ交通公社の経済上の影響もあると思うのでありますが、この際この五分の手数料の料率を、三分なり二分なりにお引下げになる御意思があるかどうか、承つておきたいと思います。
  35. 岡田勢一

    岡田國務大臣 原さんにお答えいたします。手数料の問題でございますが、実を申し上げましたならば、通勤定期の販賣手数料につきましては、確定はいたしておりませんが、ただいま割引はできないかと考えておるのであります。ところが一般の切符の問題も、これは交通公社の経理内容、経営内容等をなお檢討中でございまして、その結果、將來の問題といたしまして相当考えなければならぬと思います。同時にまた今後予想されます鉄道経営の実態から考えまして、今のままの交通公社のあり方でいくか否やということにつきましても、今後の檢討によつて考えたいと思います。今のところ先に申し上げましたごとく、すぐ手数料を下げるかどうか決定いたしておりません。
  36. 原彪

    ○原(彪)委員 まだ御決定にならぬそうでありますが、今度できます國鉄審議会などにお諮り願つて、妥当なる方法にお進みにならんことをお願い申し上げます。  それからもう一つお聽きしたいことは、鉄道弘済会の問題であります。國鉄が弘済会に対してあらゆる方面から援助をしていることはまぎれもない事実でありますが、それなら弘済会の経理内容を徹底的にお調べになり、その内容いかんによりましては、現在の経済情勢とにらみ合わせて、施設を利用さしておるものの値上げ、たとえば賃借料の値上げとか、そういうことをおやりになる御意思があるかどうか承りたい。
  37. 岡田勢一

    岡田國務大臣 原さんにお答えいたします。弘済会についてとかくの風評が一部にありますことは、私も承知いたしております。あるいは誤解を生んでいる面もあるかと存じますので、ただいま私どもも弘済会の内容につきまして説明を求め——説明を求めるばかりでなく、積極的に調査を進めつつございます。  それから利用さしております施設等の料金でございますが、これらは適当に値上げ改正をいたしますつもりでございます。
  38. 原彪

    ○原(彪)委員 次に御質問申し上げたいのは、戰時中買收いたしました旅館等が、寮に充てられているところが多数あるようでありますが、おそらく現在は利用價値のないものも非常に多いと思いますので、早急にこれをお拂下げになる御意思があるかどうか。  それからもう一つは、ほかの委員からも御質問がありましたが、私設鉄道の拂下げであります。これは第一國会委員会においても、私からくどくど申し上げましたから、ここで理屈は申しませんが、これをローカル・ラインとして、主要幹線でないという御見解から、お拂下げになる御意思があるかどうか。私の考えをもつてしますならば、もしお拂下げに相なる場合には、いずれ値段の点が問題になると思うのでありますが、御承知のように、戰爭中強力にこれを買收され、その單價もその当時の過去三箇年にさかのぼつて、その利益率の二十倍という、まことに理論的に合わない値段でもつて買收いたしております。施設なんというものは全然評價せられずに、さような利益率の二十倍という値段でもつて買收しているその不合理性は、おそらく今日はお認めになると思うのであります。そういうものをもしお拂下げになる場合に、私の考えからしますれば、運輸省内に学識経驗者なり、運輸当局なり、あるいは私鉄側なりを入れた正当なる評價委員会でもお設けになつたらどうかと思うのでありますが、そういう御意思があるかどうか。以上二点についてお伺いいたしたいと思います。
  39. 岡田勢一

    岡田國務大臣 第一問の旅館等の点につきましては、不要なものは逐次調査いたしまして拂い下げたいと存じております。戰爭中に買收いたしました私鉄の拂下げ問題は、これはそう單純なものでございませんで、これを拂下げするしかないかということは、いろいろな要素、條件から総合的に檢討を加えなければならぬことに相なります。その條件と申しますものは、その鉄道の敷かれております地方の生産、経済の状態でございますとか、あるいはまたその地方の住民の多数の人たちが要望せられる熱度のいかんによるとか、あるいはまたその拂下げをいたしましてから、民営でやつてはたして採算がもてていくかどうかということ、もう一つは拂下げを受けるという、その團体あるいは個人の内容がはたして信頼できるかできないか、内容が整つているか、無力であるかどうかというようなこと、それから今原さんの言われました評價の問題であります。これもなかなかむずかしい問題でございます。そこでそういう檢討を加えた上でなければ、一線ごとに決定はできないのでございますが、線によりましては、ただいま猛烈な拂下げ陳情の参つているところもございまして、ここで私が画一的に拂下げする方針であるとか、ないかということを申し上げますことは、決定するしかないかわからないのに、いたずらにそれを刺激いたしまして、行き過ぎました思惑でありますとか、あるいは弊害も起ることをおそれるものでございますので、この点は愼重に考えまして、ここでの言明は避けたいと存じます。ただそれらのローカルの線が、そうした各條件から総合的に檢討をいたしまして適應いたします場合には、拂下げに決して反対はしないつもりでおります。公共事業といえども國鉄が独占的にやらなければならぬという理由はない。これは経済情勢が大きく変つてまいりましたならば、また國民の皆樣が要望せられるならば、だんだんアメリカ等のように民営企業として轉向していつても、別に惡いことはないというふうに考えております。
  40. 川野芳滿

    川野委員長 それでは速記の関係上、午前中のこの委員会はこれで一應会を閉じたいと存じます。午後続いて再開する考え委員長はもつておりましたが、午後は委員会を開く室がないということでございますので、本日はこれにて散会いたしまして、明日午前十時より本委員会を開会いたしたいと存じます。  散会いたします。     午前十一時三十五分散会