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井谷委員 新潟海運監理部を
海運局に
昇格の
請願を要旨を申し上げます。わが國海運
行政の一環として、新潟港を中心とする
日本海海運
行政の總合的
運營が合理的なものであると
考え、牡鹿半島から能登島半に至る諸港、すなわち秋田、山形、新潟、富山、石川の各県をその管轄に收めた新潟
海運局の實現を強く要望してきたのでありますが、未だその決定を見ていないのであります。しかして現状は御承知のごとき秋田、山形の海面は奧羽山派を距てた鹽釜の
海運局に、また富山、石川の海面は中部山派を距てた名古屋の
海運局に分割して管轄せられておりますが、これは海運
行政の管轄が本來よるべき海上のつながりによらず、漫然陸上の
地方ブロツク等に
從つてきて結果にはほかならないのでありまして、今こそ海運は大來の目的を達成するに便利なように、その
行政ブロツクを
合理化すべきときであると確信するものであります。仄聞いたしまするに、
政府においては近く
行政機構の全面的改革に當り、北海
行政機構についてもこれを適正化すべく御研究中の田でありますが、
日本海
方面の左記諸
事情を十分御認識せられて、即急に新潟
海運局を設置せられんことを
請願する次第であります。
一、海運
行政の管轄區域は海岸線と海上交通のつながりに
從つて區分されるのが官民ともに便利かつ合理的である。
二、海運
企業及び船員勞働問題の面から見ても、同一の航路、同一の海岸氣象條件に
從つて、同一の
經營状態にある
日本海一連の港については、その同一環境の中にある海輸局をしてすべて所管せしめ、また船員勞働問題につしては、そこに設置せられた船員勞働
委員會をしてすべて所管せしめるのが最も正しい
行政を行い得るゆえんである。
三、港灣勞務省、地區機帆船船員に對する勞需物資、なかんずく作業衣、雨具、ゴム長ぐつ等は、多雨と降雪に惱まされる
日本海諸港の勞務者にと
つて、絶對確保を要する共通の問題でありまして、これら物資の補給いかんだ、ただちに勞務者の士氣を作業能率に影響するところきわめて甚大であります。しかるに
日本海面の
事情にうという表
日本の數箇の
海運局によ
つて、かかる問題がばらばらに處理されている現状では、勞働
行政處理の上からも存に遺憾であると思われるのであります。現に港灣勞務者は、
日本海沿岸港灣勞働組合同盟をつく
つて、秋田縣船川帶から鳥取縣境港までを一九として源灣勞働者の諸問題を處理しているのであります。
四、港灣運営とその維持改修とは、密接不可分の
關係にありますが、維持改修を掌る
運輸省第一港灣
建設部の管轄區域は、秋田、新潟、山形、富山、石川の各縣に及び、
地方港灣の運営を掌る新潟
海運局の官轄がそれと一致することは、團滑敏速な港灣
運營の上に役立つのであります。
五、港灣作業料率及び地區機帆船
運賃は中央においてその大綱を決定しておりますが、
地方特殊
事情に基く諸料率は、各
海運局を經由して
地方物價事務局で認可している。ところが、その窓口機関である
海運局が數個にわかれて太平洋面にあるため、
日本海諸港に共通であるべき料率が區々にわたり、
關係業者の不便はきわめて甚大であります。現に
日本海港友倶樂部のごときば、
日本海特有にしてかつ共通の港灣作業料について特に協議し、その結果を各
海運局に申し出て調査を促している始末であります。地區機帆船
運賃についても同樣の問題が常に惹起をいたしているのであります。
六、新潟市新潟鐵工所の機械力及び技術と、富山市
日本海ドツグのドライ・ドツクとを、同一
海運局の管内において有無相通じさせますならば、
日本海における汽船の造修力は相當増大すると言われておりますが、富山市は名古屋の
海運局管内にありまして、十分な意思疏通を缺くという現状であります。
七、連合軍の制限を受けること少い木造船業は今後ますます盛んになると思いますが、海洋氣象の
關係で造型、船材等揆を一にする
日本海の木造船業者が、これに理解ある
日本海面の
海運局管内に入ることは、技術指導の面から見ても望ましいのであります。
以上の結論といたしまして、秋田、山形、新潟、富山、石川の諸港間には、航路、港灣事業經營、勞働問題、船舶造修の各
方面にわたり、共通の要素がきわめて多いのであります。おのずから一海上ブロツクをなしているのでありまして、その中心たる新潟港を選んで
海運局を設置し、
日本海海運
行政を總合的に
運營せしめるのが、海運
行政合理化の一環として最も望ましいと思います。これが本
請願を出しました要旨でございます。