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1948-01-30 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月三十日(金曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員    委員長 正木  清君    理事 高瀬  傳君 理事 佐伯 宗義君    理事 前田  郁君       重井 鹿治君    島上善五郎君       館  俊三君    橘  直治君       原   彪君    矢野 政男君       山崎 岩男君    内海 安吉君      小笠原八十美君   岡村利右衞門君       高橋 英吉君    飯田 義茂君       木下  榮君    前田 正男君  出席國務大臣         大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君         運 輸 大 臣 北村徳太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  田中源三郎君         運輸事務官   伊能繁次郎君         運輸事務官   加賀山之雄君         運輸事務官   秋山  龍君         運輸事務官   郷野 基秀君         運 輸 技 官 後藤 憲一君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  現下運輸状況に関する説明聽取     —————————————
  2. 正木清

    正木委員長 会議を開きます。  これより現下運輸状況について当局より説明を聽取いたします。
  3. 秋山龍

    秋山政府委員 本日有田海運総局長官が参りまして御説明を申し上げるはずでございましたが、やむを得ない差支えがございまして出張いたしておりまするために、私より代りまして御説明を申し上げたいと思います。  わが海運戰爭中非常な打撃を受けまして、ごく大ざつぱに申し上げますと、六百三十万トンほど船をもつておりましたのに、いわゆる戰時標準型と申しまする急造船戰爭中に三百万トンつくりまして、総計九百三十万トンのうち、八百万トンほど戰爭で喪失いたしたのでございます。從いまして残りました船は約百三十万総トンでありまして、その中の七割ないし七割五分が戰時標準船でございます。残りの約三〇%が戰前よりもつております船でありますが、その全部を通じた平均年齢が二十二年になります。船のライフは大体二十年ということになつておりますが、在來船の船齢が全部平均いたしまして二十二年というのでございますから、いかに今もつております船の質の惡いかということも御了承がいくと思うのであります。その上に戰爭中に非常にむりな使い方をいたしましたために、各部の故障が非常に多いのでありまして、戰爭の終了いたしましたときには、もつておりました船が、貨物船客船重量トンで八十五万トンという状況でありました。そのおよそ半分程度が動くことができなかつたという状況であつたのであります。そのほかに戰傷を受けましてなお浮いておりました船が重量トンで七十二万トンございます。隻数で二百二十二隻あつたのであります。そのほかに沈んではおりますが、どうにか救助ができるという船が百二十五隻、四十二万重量トン、大体こういうような状態終戰後海運を出発いたした次第でございます。ここにごく簡單にグラフにいたしまして、終戰後汽船海上輸送状況をお示しいたしますと、こういうようなぐあいになつておりまして、九月には二十万トン足らずでありました輸送が、漸次船腹の増加、あるいは修繕進行等に伴いまして上昇いたしてまいりました。昨年の六月には九十二万トンというレコードに達しております。なお十一月には九十六万トン、輸出、輸入、内國輸送、こうなつております。  そういうふうに逐次回復してまいつておりますが、現在の輸送状況から見て、輸送力はどうかという問題でございますが、昨年の夏は——夏海上條件が非常によろしゆうございまして、船の能率が最も上る時期でございます。この時期には大体月に一、四回轉ぐらい船が回轉いたしております。ところが荷物の方から申しますと、出炭の夏は非常にうございますし、またいわゆる貨物が夏枯れと申しまして、動きが少いのでありまして、この時期にはやや船腹が余つたような感じをいたしたのでございます。しかるに十二月にはいりましてから——昨年は非常に冬の來方が早うございまして、しかも非常な冬型の天氣に災いされまして、十二月には今のところ八十五万トン程度に止まる、こういうような状況でございます。一月もそれと大体大差のない成績だと考えられております。そういたしますと、ちようど出炭が十二月から急カーブに上昇いたしておりますために、石炭には優先配船いたしておりますから、輸送上の御迷惑はかけておりませんが、その他のものについては相当輸送上の御迷惑をかけておるということになるのであります。これは輸送要求がずれてまいておりますので、二月を予想いたしてみますと、大体百二十五万トンぐらい輸送の要請があるように考えられております。その中には輸送申込みはありますが、荷物はちよつと出ないというふうな見込みのものもございますので、こういうものも今整理をいたしておりますが、それで輸送見込みは、條件が非常にいいとしても、まず九十万トンということになります。從いまして大体三割程度のものは輸送要求をお断りしなければならぬような状況なつておるわけでございます。  こういうような状況なつておりまするのに対しまして、われわれはどういうような対策をとつておるかということが第一の問題なのでございます。海上輸送力船腹の量と、これの何箇月働くかという実際に働く割合、それから何回轉してくれるかという計数、これだけで見積りが立つわけでございます。現在の船は九箇月しか働かないのであります。と申しますと稼働率七五%ということになるのであります。これは戰前でございますと、普通の船でございますと、十一箇月働かなければならないのでございます。これが平均で七五%しか働かないということになつておりますのは、船質が非常に劣惡でありまするために、修繕が非常に多いということであります。それから回轉率が今申し上げました通り、最高で一・四、平均で一・二ぐらいの回轉率なつております。ということはどういうことかと申しますると、これは戰前では少くとも二回轉、多い船は三回轉ぐらいしなければ、海運経済は成り立つていかないわけでございますが、これがその程度に止まつておるのはどういうわけかと申しますと、もちろん機械故障その他のトラブルがございますけれども、一番大きいのは、何と申しましても荷繰りの不円滑ということでございます。ただいまの輸送統制石炭重点主義であつて、特に石炭積出港にも消費地にも、ストツクというものが全然ございません。いわゆる手から口へという状態なつておりまするために、到着いたしました石炭を、ただちに消費地に運ばなければならない、こういうことになつております。またその石炭生産見積り、あるいは港頭到着見積りが、往々にして予定通り参らないのであります。しかし船は、あらかじめ計画された数量に対しまして、十分なだけつけておるわけでございます。この荷繰りの不円滑から來る船腹回轉の阻害は相当なものでございまして、たとえば小樽の港を見ましても、今月の十日ごろから先は、平均毎日二万トンないし二万五千トンの船がつけてある。積み方は大体三千五百トンから四千トンぐらいのところを動いておるということでありますから、相当船腹がそこに縛りつけられておる。しからばそれだけの余剩船腹があれば、他の方にまわしたらどうかという御疑問があると思いますが、これを一遍他の方に轉用いたしますと、その船が帰つてきますまでに、すくとも二十五日ぐらいはかかるわけでございます。そうしますと、全体の数量にうまく合わないという状態になるのでございます。このストツクのない、手から口へという状態経済をまわしており、それの輸送に合うように船を動かしておるということが、一番回轉率の上らない理由だと思います。そういうことになると、結局輸送をよくいたしまするためには、不経消ではございますが、船腹よけいにもつということが一番必要でございます。船腹よけいにもちまする一番手近な方法は、先ほど申し上げました稼働率の、九箇月働くものを、九箇月半働かすというような考え方が一番手近なわけでございます。それをやりますためには、修繕を減らすということと、修繕スピードを上げることが問題になるわけでございます。修繕を減らす方は、船員が船をいかに注意して使つてくれるかということに帰するのでございまして、この点は船員組合方面ともいろいろ話し合つておるわけでございます。修繕スピードを上げるという面におきましては、これもいろいろと手を盡しておるところでございます。その隘路はどこにあるかと申しますと、やはり電力の不足資材不足、特にカーバイトとか酸素とか、あるいは船底塗料とか、こういつたような副資材の入手がなかなか困難でございまして、そのためにスピード・アツプのできないということが相当あるように考えられております。この点につきましては関係方面ともしじゆう繁密なる連絡をとりまして、遺憾なきを期しておるわけでございますが、なかなか思うようにいかず、七五%というレベルを上げることがはなはだ困難なのは、まことに残念に存ずる次第でございます。  その次には戰傷を受けておりました船を修繕いたすという面でございますが、この点は昨年の一月ごろから、特別に運営会にも予算をとつておりますし、また船主方面金融の斡旋をいたしまして、これによつて現在計画進行中でございまして、終戰の当時二百二十二隻ありました戰傷船が現在は七十五隻に減つております。七十二万トン重量トンのものが、二十四万トンに減つております。約五十万トンの船が配船されてきておるわけであります。これがこういう輸送力の上つております一番大きなワアクターになつておるのでございます。  その次は救助可能船引揚げでございますが、この救助の問題はなかなか水ものでございまして、船主といたしましても非常に決心を要する点があり、思うように進まないのはまことに遺憾でございます。しかし百二十五隻の中で現在残つておりますのは百三隻、二十二隻の船はすでに救助されて、かつ修繕も済んでおるのであります。その他救助に着手しておるものもございますが、この救助作業は冬季間は天候のぐあいでできないのでございまして、三月ごろから天候が安定いたしましたならば、またこれを大いに馬力をかけてやりたい、かように考えておる次第でございます。  それからその次には新造船の問題でございます。何分現在の船は、冒頭に申し上げましたごとく非常に劣惡な船でございますので、これをこのまま使つていくということは、ほとんど望みがないようにも考えられるのであります。そこで新造船ということが非常に重要な問題だと思つておるのであります。まず新造船の中で一番にやりました問題は、戰爭中につくつておりました戰標船で、工事進行中に戰爭が終結したために、船台に中途半端な造船残つてつたわけでございます。これを早く完成さすということが非常に大事でございます。しかしながらそのときの工事戰爭中と同じでありましては、これは意味がないわけでございますから、戰爭中違つて、丁寧につくりまして——しかし根本的に設計をかえるわけにいきませんから、これはしかたないといたしまして、できるだけ根本的に注意してつくり、かつ補強する、こういつたような方法続行船の進捗をはかりました。これが終戰後五十八隻、十六万六千トンばかり、これは総トンでございますが、でき上つております。もうあとわずか残つておりますが、これは年度内にはぜひ完成いたしたい、遅くとも五月までにぜひ打切りたい、かような考えで督励いたしておる次第でございます。     〔委員長退席佐伯委員長代理着席〕 その後平時型のりつぱな船もつくりたいと思いまして、資材の乏しい中を各方面から資材を集めまして、現在進行いたしております造船は、小型客船が二十八隻、総トンで二万四千トンばかり建造進行いたしております。そのうち一、二のものはすでに完成して就船を開始しておる。こういう現状でございます。なお貨物船といたしましては総トン二千トン型の船を八隻、ほかに続行船から振りかえましたものが六隻、十四隻進行いたしております。それから総トンで五百トン型の船が十五隻建造中でございます。來年度の計画といたしましては、鉄鋼生産なり何なりの見込みが立ちませんので、今ここにはつきりとトン数を申し上げることができないのはまことに残念でございますが、できるだけの努力をいたしまして、船腹の拡充をはかりたい。かように考えておる次第でございます。これが鋼船輸送に関します大体の状況でございます。  そのほかに機帆船がごせいます。機帆船は、これも戰爭中相当徴用その他によりまして損傷は受けておりますが、急造の戰時標準型の木船相当たくさんつくつておりますので、大体全体のトン数におきましては戰前とあまり変りがないようでございます。しかしながら戰時標準型木船というものは、非常に急造いたしました関係その他で故障が多く、あるいは脆弱である、事故が多い、というようなことで、困つておりますことは、鋼船の場合と同樣でございます。輸送は一に油に規制されておるのでありまして、油さえ潤沢でありますれば、まだ輸送力はもつと出る。從いまして、輸送量は油の供給量に比例しておりますが、最近では大体二百万トンほど毎月運んでおります。中央でコントロールのできる機帆船の大きな会社の分が大体六、七十万トン、それから地方にたくさんあります小型機帆船の方が百三、四十万トンというところが大体現在の状況なつております。しかしこの機帆船で特に注意しなければならぬと思いますのは、九州炭輸送でございまして、これは昔から非常に機帆船に依存するところが多かつたわけでございますが、現在でも西日本社を中心にして大体月間五、六十万トン九州炭瀬戸内方面、遠くは名古屋まで輸送いたしております。機帆船燃料は昨年の十二月において七千六百キロ程度配給いたしておるのでありますが、これがただいま申し上げました二百万トン余の輸送力になるのであります。しからばどの程度まで輸送力を伸ばし得るかと申しますと、燃料が十分でありますれば、まず月間三百万トンというところが機帆船輸送力の最もいい見積りであろうというふうに考えます。從いまして油といたしましては、現在の油の約半分三千五百キロほど増配することができれば、機帆船輸送力は大体フルに使える。こういうことになつておるわけでございます。  これがごく大ざつぱな御説明でございますが、なお御質問に應じまして、いろいろお答えいたしたいと思います。
  4. 佐伯宗義

    佐伯委員長代理 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後一時から再開いたします。暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  5. 佐伯宗義

    佐伯委員長代理 再開いたします。午後は鉄道運賃値上げに関して説明を聽取することになつておりましたが、都合によりまして、先に港湾関係説明を聽取いたします。後藤政府委員
  6. 後藤憲一

    後藤政府委員 港湾に関しまする現状を御説明申し上げたいと思います。終戰後における港湾荷役状況は、戰爭の末期におきまして、船舶動き太平洋岸から瀬戸内海へ、瀬戸内海から日本海岸方面に移りまして、從つてあらゆる荷役力製備がそのために動いていかねばならぬので、相当な困難及び能力低下状態でありました。終戰後もそのままの状態を継続しておりましたために、二十一年夏になりまして食糧輸入が始まりましてから——これは当時の食糧事情に対する絶対唯一の方法でありましたために、殊に横浜神戸というような主要港湾能力が非常に低下しておりましたので、それに対してあらゆる手を盡して、それ食糧輸入につきましては、ともかくも一應の任務を盡したわけでありますが、その当時経驗いたしましたところの欠点につきまして、これを今考えてみますと、労務者食糧補給が不十分である。また労賃が当時物價上昇伴つてつていかなかつたという点、それからはしけが非常に不足しておつた。しかも不足しておつたはしけ整備状況がきわめて不備である。また当時横浜神戸におきましても、主要な接岸岸壁がほとんど占領軍の占めるところになりましたために、水掲げの設備をすべてはしけ荷役によらねばならなかつた從つて今まで使つたことのないような者を使わねばならなかつたというために、非常に水揚げ能力がなかつた。またあげました後の荷物も、戰災を受けました倉庫收容力不足のために、收容力につきまして非常に不備を示したということ、またかりに倉庫に一應收めましても、さらにそれを奧地に運びますところの鉄道の方も、いろいろな点でその能力が十分でなかつた。まだそれらを処理いたしますところの小運送につきましても、なお十分でなかつたという点が多々あつたわけなのであります。二十二年度になりましたの食糧輸入におきましては、そういういろいろな欠点をあらゆる点から改善補強いたすことに努力してまいつたのでありますが、その後食糧加配米が非常な問題になりまして、今年二十三年米穀年度からは中央政府の直配という形式に改善いたしました。從つてそれによりますと、地方的な影響を與えて加配のできるようになり、また労務用の地下たびでありますとか、軍手でありますとか、あるいは労働服でありますとかいうようなものも、不足ではありますが、配給を逐次やつておるようなわけで、こういう点につきましては漸次改善の途をたどりつつあります。しかしながら石炭荷役の場合におきますと、炭鉱地帶に近い所は、労働者待遇状況炭坑夫に比ベますとずつと落ちますために、労務者の募集などには相当支障を來しておる点もあるようであります。現在港湾労働者として十月現在におきます数字は、船内、沿岸、はしけ。いかだ、曳船その他すべてを入れまして、九万五千五百人ほどあります。  次にはしけ事情は全國的に見ますと、総トン数におきましては、現在のような荷物動きにつきましては、不足を感ずるほどではないのでありますけれども、これを各港ごとについてみますと、非常なアン・バランスを示しております。殊に横浜神戸あるいは大阪名古屋というような主要な港湾におきましては、はしけの新造あるいは修理というものが、その費用の非常な急激な上昇のために、十分にいかない。十分にいかないどころではない。ほとんどやることができないというために、はしけも漸次老朽化してゆく。修理も不隆して不稼働修理船が漸次多くなつていくような状態でありまして、これ現状を見ますと、憂うべき事態にあるように考えるのであります。はしけの数を申し上げますと、これは二十二年の五月の数字でありますが、全國的に保有量は六千九百三十一隻、総トン数で七十五万七千トンでありますが、このうち四千百二十隻、五十三万六千四百五トンというのが稼働数でありまして、要修理は千五百四十一隻、総トン数が十五万一千トンというような実情であります。  それでこの荷役につきまして特に今困つておりますのは、マニラロープであります。マニラロープ補給需要量のわずかに四・八%しかありません。代用の麻をもつていたしますが、それを加えても一九%しか需要量に満たぬのであります。船内のごとき非常な危險を伴いますところの労働作業におきましては、このマニラロープの確保ということが非常に重大でありまして、こういうような事態にありますので、非常に困難を感じておるわけであります。それから荷役機械化ということを、終戰後いろいろと努力いたしておるのであります。それから労賃上昇あるいは労働意欲低下というようなことを考えまして、どうしても荷役機械化せねばならぬということにおいて努力いたしまして、これは地方公共團体に対しては國庫補助をもつていたしますと、また港湾業者に対しては復金金融をおせわいたしまして、二十一年、二十二年から今年末までに竣工する機械の台数は、全國で四十一台に達しております。  倉庫につきましては、営業倉庫で三九%、官公設上屋につきましては五七%というものが戰災をこうむつたのでありまして、終戰直後には使用可能の倉庫というものは、営業倉庫が七十六万六千坪、上屋が六万坪程度しか残りません。このためにはいつてきます荷物收容に非常に困難を生じたのであります。その後二十一年、二十二年におきまして横浜名古屋、四日市、神戸門司等に、國立倉庫を一万三千坪ほど建設いたしました。また公共團体に対する國庫補助によりまして、上屋建造を一万坪ほどいたしました。このほかに民間の業者修繕あるいは轉用というようなものによりまして、あるいはまた新築等によりまして、二十二年の七月までで八万五千坪ほどを増加しております。從つて倉庫收容力も漸次改善しつつありますが、まだなかなか十分というところまでは至つておらぬのであります。  次に港の施設状況を申し上げますが、施設につきましては、横浜神戸という方面の主要なる岸壁は、種々の関係がありまして、使用いたされませんので、物揚場とか、あるいは小形の岸壁というものとか、こちらでは使用しておりません。これはいたしかたないのでありますが、なお戰時中あるいは戰前あたりから、各地の港におきまして浚渫あるいは維持がいろいろな点でもつて不十分なのでありまして、大分各地沈船——と申しますのは使用不能の木船の沈んだというようなものでありますが、これがたくさんありまして、こういうものは逐次引揚げあるいは清掃をやつておるわをであります。殊に日本海岸側の港は、新潟、伐木を初めといたしまして、河口部の港が多いので、これに対する維持というものがきわめて不完全でありましたために、その港の機能さえも失うような状態になりました。それで終戰直後に、裏日本方面の諸港湾に対する埋沒の対策を講じまして、逐次これを予算化してその能力回復をはかりつつあるわけであります。それで過去終戰後二箇年間におきまして、これらの施設に対しては、戰爭影響あるいは維持の不完全というものの回復に努めておつたのであります。まずある程度までそれに対する効果はあつたのではないかと思うのでありますが、施設というものは必要だというて、ただちにできるものではありませんので、二十三年度におきましていろいろと考えましたのは、要するに二十七年を経済安定期とするという点を考えまして、それに対する措置を基本的に計画的に取上げて実行していかねばならないということであります。そのうち特に取上げて考えねばならないのは外國貿易港整備であります。外國貿易港といたしましては、從來横浜神戸あるいは名古屋大阪というような大きなものもありまして、これはアメリカ航路あるいはヨーロッパを目標にしたものでありますが、非常に取扱数の多かつたところの台湾、朝鮮というものが外國貿易にはいりましたために、外國貿易港というものの考え方をかえねばならないということがあるのであります。そういうことに対するあらゆる整備をあらためてやり直さねばならないという事態に立ち至つておるのであります。それから、石炭鉄鉱石あるいは硫化鉱石油等の諸施設につきましては、いろいろとこれらの重要な物資の生産形態戰前変つた形態になりつつありますために、これらの海上輸送から來ますところの港湾整備というものも、それに應ずるようなものの考え方をしてまいらねばならないという点に問題があるのであります。  その次に先刻も海運局長から話がありましたように、保有船舶というものが、制能も惡くなつた上に、小型なつてきた、言いかえれば運航率が非常に減じてきた。すなわち海難事故が非常に頻繁になつてきたのであります。この海難事故を防ぎますには避難港の整備をする以外に方法がないという点で、避難港に対する基本的な計画を立てまして、今年度からぜひともこの整備をはかりたいと思つております。  それから港の整備につきましては、今までは非常に僻地であるがために開発が後れた場所がありますが、今後におきましては、開発の可能性が多分にある所で必要な所には、港の整備を特に必要とするのではなかろうかという点を考えまして、離島の連絡でありますとか、あるいはまだ特殊の天然資源が残されておる地方、また北海道方面の諸港湾というものの整備をといさねばならないという点を考えておるわけであります。大体港湾に関する運営と施設の方のごくあらましを申し上げた次第であります。またなお御質問がありますればお答え申し上げます。
  7. 佐伯宗義

    佐伯委員長代理 質疑は後回しにいたしまして、陸運関係の御説明を願います。
  8. 郷野基秀

    ○郷野政府委員 それでは私から民間陸運事業の現状につきまして概略を御告報申し上げたいと存じます。  まず地方鉄道及び軌道の関係でございまするが、地方鉄道及び軌道につきましては、ただいま汽車区間におきまして二千百五十五キロの営業キロをもつております。電化区間におきまして、五千四百二十一キロ、合計七千五百七十六キロの営業キロ程をもつておりまして、國有鉄道の営業キロ程の約三倍強に当つております。これで月間貨物輸送数量といたしましては百九十万トン、旅客の関係におきましては四億人の旅客を輸送いたしております。貨物の点につきましては、國有鉄道の九百四十万トンばかりに対しまして約二割強でございまするが、旅客は國有鉄道の三億二千万人に対しまして、これよりも多くの旅客を輸送いたしております。これは特に大都市の軌道におきまして旅客の輸送数量が多いからでございます。現在企業の数といたしましては、鉄道事業が百二十九、軌道が三十二ございまして、合計百六十一の企業があるわけでございます。  地方鉄道、軌道に関する当面の問題といたしましては、特に最近保守用の資材不足いたしまして、この点におきまして輸送力維持確保という点におきましても相当困難な状態に相なつております。例を鋼材についてみますると、地方鉄道軌道の関係につきまして、年間四万三千トンばかりの鋼材が要るわけでございまするが、これに対しまして本年度の入手見込みは約八千トンでございます。なお軌條についてみますると、約二万三千トンばかりの軌條がさしあたり欲しいのでございまするが、これに対しまして新品の割当得るものは二千五百トン程度でございます。なお二千五百トンの新品軌條を入れますると、これによりまして浮いてまいりまする二千五百トンを加えまして、これを部内で被此融通いたしまして、使えるものを使つてまいるということにいたしまして、五千トンばかりの軌條は保守に使えるわけでございまするが、なお相当数量不足いたしまするので、國有鉄道の古軌條を三千七百トンばかり地方鉄道の方にまわしまして、これによりまして当面の必要といたしまする軌條の需要を賄つてまいりたい、かように考えております。大体地方鉄道の軌條につきまして、運轉安全の見地からいたしまして、本年度どうしても使いたいと考えておりますものが一万七、八千トンあるのでございますが、ただいま申し上げましたような数字では、その半分も調達できないような状態でございます。從いましてどうしてもやむを得ません所は、運轉速度を低下するというような方法で運轉の安全を確保いたしておるような状態でございます。車輛の修繕用の資材についても、やはり新車を含めまして二万トンばかりの資材を必要とするのでございますが、主として都市に充当することにいたしまして、新品は二千トン程度のものしか割当てられない状態でございます。なおこの割当の数量について今後鋭意努力してまいりたいと存じておりますが、これでは車輛の十分の保守も期しかねるような状態でございまして、軌道の点について申し上げましたと同樣に、運轉の速度をやむを得ない分については調整いたしまして、もつぱら運轉の安全確保に努力をいたしておる状態でございます。  なお地方鉄道軌道の関係については、いま一つ資金の点においても相当に窮迫した状態に立ち至つております。特に昨年の七月新物價体系をもとといたしました運賃の改訂があつたわけでございますが、その際石炭その他重要な資材について十分に價格の見透しがつきませんために、相当低い價格を見込みまして、これを基礎として原價計算をいたしまして、ただいまの運賃をきめたような事情もございます。その後運賃の收入についてみますと、旅客も減少してくる、貨物相当つてきたというようなところもございまして、現在資金関係においては相当に困難を感じております。これに対して復興金融金庫その他からいろいろと融資の方法も講じておりますが、資金面においてその枯渇は相当ひどいものがございまして、経営上の独立採算という見地から、運賃の修正を要するものが、特に石炭を動力といたしております地方鉄道貨物を主として運んでおります地方鉄道について見られるのでございます。今回の國有鉄道の運賃の改正を機として、また別に運賃を國有鉄道の運賃との関係において調整をするというような問題も起つてまいつておりますので、これらの点についてはさらに檢討を加えて、至急に結論を得たいと考えておるわけでございます。  なお地方鉄道関係の特に最近困つておる問題としては、昨年各所において水害があつたのでございます。この復旧の費用に約六千万円を要するのでございますが、この復旧資金の獲得について、復興金融金庫その他の方面からできるだけ融資の斡旋に努めておりますが、地方鉄道補助法による補助もすでになくなつておりますし、納付金の制度に基く補助も、現状においては納付金があまり見込めませんので、また見込薄でございます。從いまして今後におきましては、これら重要なる交通事業につきまして、戰災その他災害の場合の補助というようなものについても十分に考慮をしてまいらなければならないものと考えておるのでございますが、まだはつきりした見透しもついておらないような状態でございます。  次に自動車について概略を御説明申し上げます。ただいま國営自動車については営業キロ程四千九百二十三キロの開業をいたしております。民間のバス事業については四万キロの営業をいたしております。月間輸送量としては、國営の方では貨物二十一万八千トン輸送しておりますし、旅客は三百万人ばかりを輸送しております。これに対して民営の関係においては貨物を約一千万トン、旅客の方は五千二百万人ばかりを輸送いたしております。これに対して月間燃料は約二万キロリツトルのガソリンを使用しております。木炭は一万八千九百トン、薪は二万四千七百トンばかり使用しております。最近の自動車についての特に重要な問題となつているところを申し上げてみますと、やはり自動車の関係においても、資材関係の窮迫については相当深刻なものがあるのでございます。自動車はたびたび申し上げておりますように、非常に車齢も高くなつておりまして、最近保守用の資材も十分に割当てられておりませんので、実働率につきましても、平均して六六%程度なつております。この実働率をもととして休車の原因を調べてみますと、大体休車の原因についてはタイヤの不足による休車が一番割合において多いような結果に相なつております。次に燃料不足、その次が修繕というようなものが休車の理由に相なつております。この点から考えて、タイヤの配給、燃料の配給、次に修繕部品の配給という点について、さらに一段の努力が要るものと考えております。燃料の点につきましては、最近連合軍のいろいろな考慮によりまして、月二万キロの配給量を確保してまいりました。なお二月におきましては少しこれよりも増量をしていただけるというような状態なつておるのでありまするが、木炭関係におきましては非常に窮屈になつております。今後木炭の入手はますます窮屈になるものと存じまするので、できるだけこれを薪に轉換し、なおできまするならばデイーゼル自動車の普及に一層努力いたしまして、デイーゼルの使用によりまして。自動車の大型化、また輸送上の経済化をはかりまして、輸送力整備充実に努力いたしたいと考えておるのでございます。  次にまた自動車の関係におきましても、賃金の面におきまして、最近相当の窮迫した状態に立ち至つておるのであります。毎四半期におきまして、一億二、三千万円程度の勸銀を通じましての特別融資を新車購入のためにいたしておるのでございまするが、最近自動車の價格も非常に上りましたので、この融資によりまして、必要といたしまする新車を全部確保していくということは非常に困難でございます。從いまして資金の面につきまして、新後さらに一層積極的な対策を講ずる必要があるものと考えております。ただいまなお連合軍から水陸両用の自動車を拂下げを受けまして、バスの方面に使う計画も立てておりまするが、この自動車の拂下げを受けまして、使用いたしまする上におきましても、資金関係におきまして行詰りを見てくるような状態でございます。  なお運賃の点について申し上げてみますと、自動車も昨年の七月、新價格体系を決定いたします場合に、鉄道その他の運賃とともに最初に運賃がきめられたのでございます。從いましてこの原價計算をいたしまする場合に、車輌、燃料、タイヤなどの價格の見積り方が、その後の実際の値上りと比べてみますると、相当低いものがございます。なお自動車の運賃につきましては、二十二年にはいりまして途中で一度運賃の値上げもいたしております関係からいたしまして、去年の七月に運賃を改訂いたしまする場合には、実費をカバーするだけの十分の値上げをすることができなかつたのでございます。從いまして現状におきまして、今の認可運賃は実費を償いがたいという実情になつておりまするので、この点につきましても何らかの対策を急速に進めていただかなければならぬのと考えております。  以上ごくあらましてございますが、地方鉄道、軌道並びに自動車の輸送現状につきまして、また特に問題としなければなりません点につきまして、御報告を申し上げた次第でございます。
  9. 佐伯宗義

    佐伯委員長代理 これをもちまして海運並びに港湾及び自動車の状況についての政府の御説明は一通り終つたのでございます。  質疑は後回しといたしまして、運輸大臣から國有鉄道運賃改正問題につきまして説明のため発言を求められておりまするので、これを聽取いたしたいたと存じます。なおこのことは政府としてそれぞれ正式の手続を経ておられます関係上、速記を停止いたしまして、懇談会といたしたいと存じますが……。
  10. 高瀬傳

    ○高瀬委員 それはこの委員会としては公式に運輸大臣の所見を伺う必要があると思うのです。だから、それは正式の手続を経ておるのなら、なおさらわれわれは正式に運輸大臣の運賃問題に対する所見を伺う権利があると思うのです。それは公式の問題にしてもらわぬと困ると思います。
  11. 北村徳太郎

    ○北村國務大臣 権利とか義務とかいうことでなしに、ただいま実はいろいろの関係がございまして、これがために私として公然と申し上げることはできませんので、從つて公然と申し上げる時期まで私の説明を留保されるということでございますならば、退席いたします。そうでなく、ただいま懇談会の形式でございますならば、腹を割つて申し上げたい、こう思つてまいりましたけれども、正式には申し上げられませんから、その点御了承願いたいと思います。
  12. 佐伯宗義

    佐伯委員長代理 ちよつと速記を止めて……。     〔速記中止〕
  13. 佐伯宗義

    佐伯委員長代理 それでは本日はこの程度にして散会し、明日午後一時より運賃値上げ問題に関し当局より説明を求めたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十三分散会