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1948-01-29 第2回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年一月二十九日(木曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 正木  清君    理事 佐伯 宗義君       佐々木更三君    重井 鹿治君       島上善五郎君    館  俊三君       原   彪君    矢野 政男君       山崎 岩男君    内海 安吉君      小笠原八十美君   岡村利右衞門君       飯田 義茂君    前田 正男君  出席國務大臣         運 輸 大 臣 北村徳太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  田中源三郎君         運輸事務官   伊能繁次郎君         運輸事務官   郷野 基秀君         運 輸 技 官 後藤 憲一君  委員外出席者         專門調査員   岩村  勝君         專門調査員   堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した事件  現下の運輸状況に関する説明聽取     —————————————
  2. 正木清

    正木委員長 会議を開きます。  去る二十七日の当委員会における打合会において決定いたしました通り、まず伊能政府委員より東北並び北海道における現地視察の結果について報告を聽取します。     —————————————
  3. 内海安吉

    内海委員 ちよつとその前に緊急質問があります。最近國鉄並びに私鉄等における交通事故の頻緊なることは、皆樣御承知通りで、非常に人心がおびえておる今日、昨二十八日午前六時、東北本線瀬峰小牛田間において百五十名の集團強盗列車内に現われ、これが大なる注目をひいておるのでありますが、最近の交通事故に対して当局はいかなる見解でこれを処理せられておるか。さらにもう一つは、今の交通警備等に関していかなる措置を講ぜられる考えであるか。また小牛田瀬峰間の集團強盗というものはいかなるものであるか。これを詳細に御報告を願いたいと思います。
  4. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいま交通関係事故全般についてのお尋ねがございましたが、当面の小牛田瀬峰間の事故につきましては、目下ども調査をいたしておりますけれども宮城縣当局にこれが当面の調査方を依頼いたしております。はたしてああいうようなことが、どういう実情で行われたかということは、私どもも非常に重大視いたしておりまして、調査中でありますが、ああいう事故に対しましては御承知のように先般來鉄道警察を強化いたしまして、新たに鉄道公安官を設けまして、列車内、その他に逐次鉄道公安官を乘車せしめまして、これが警備に当つておる次第でございます。公安官制度は御承知のごとく從來警察制度が非常な変革を見ましたために、鉄道輸送その他については鉄道みずからこれを守らなければならぬ。かような事態に相なりまして目下着々これが整備を急いでおりまするが、何分にも他の業務と違いまして、相当專門的な教育訓練を必要といたしますので、現在までに各鉄道局で檢察廳、過去の警察経驗者等指導援助によりまして、教育を受けました者が約千二百名程度でございます。当面関係方面から許可を受けておりまする鉄道公安官の総人員は、ただいままでのところ八千六百名ということに相なつておりまするが、何分にも相当期間教育をせなければならぬことと、また現場中堅幹部、助役もしくはこれに相当する階級等から選出をいたしまして教育をする関係上、ただちに急速な整備ができないことははなはだ遺憾といたしておりますが、目下千二百名の教育終了者のほかに、各鉄道局において着々これが教育を急いでおります。その間の暫定的な措置といたしましては、各駅もしくは大きな操車場における盗難事故、あるいは集團強盗的な事故に対処するために、鉄道警備員制度警備係を設けておりまして、この警備係が將來八千六百名の鉄道公安官教育完成の曉には、公安官に逐次振りかえる、また操車場その他の構内におきましては守衞等に振りかえる。かような形で双方からこれが教育演練目下急いでおるような状況でございます。また駅頭における旅客案内係というようなものにつきましても、將來でき得る限り公安官制度に振りかえてまいりたい、かように考えておりますが、御承知のごとく國有鉄道のような公共事業については、今日のような治安が必ずしも安定しておらない時代における鉄道公安官制度を、はたして今後永久に持続せしむべきや否やという点については、多大の問題があるかと存じます。本來鉄道職員旅客荷物輸送を安全正確、懇切丁寧に実行いたすことが任務でございますので、過去における警察的な方途でいたずらに強権を用いるようなこともまたいかがかと、この間の調整については私ども教育演練上非常に苦慮いたしまして、でき得る限り適切な調整をいたしたい、かようなことで目下準備をいたしております。それらの準備等が急速に進展いたしません関係上、時折列車内でそういつた強盗的な事故、あるいは盗難事故等も起りますし、また過去においても集團的な暴行、占席等の暴力的な行為が行われたことも事実でありまして、現在においても東北線において急行列車その他が通つておりません関係上かなり雜沓もいたし、また治案と申しますか、交通秩序がとかく乱れがちで、最近は列車窓ガラス等も折々壊されることも見受けておりますので、これらのことに対処しまして、早急に列車整備を行いたい。また一昨日の本委員会打合会におきまして小笠原委員からも御質問がございましたが、それに対しましても、ただちに仙台鉄道局その他に指令いたしまして、三十一日から急行列車東北本線に動く予定に目下計画をいたしております。問題は列車輸送量交通量に合わせることがこの種事故の防遏に最も効果がありはせぬか。交通秩序混乱破壊から、とかくその間隙に乘じまして、かような事故の起ることを私ども申訳ないと存じまして、根本の問題の解決にまず重点を置くと同時に、鉄道公安官整備には一層力を盡したい。また目下調査中のものも早速調べまして、いずれ本会においてさらに詳細に御報告を申し上げたいと存じます。また一般交通事故、最近の運轉事故等につきましても、私どもははなはだ憂慮いたしておりますが、全体として大きな運轉事故はここもとやや小康を得ております。ただ省線関係が一昨年の暮から昨年の春にかけまして、非常な事故の発生を見まして、御迷惑をかけましたが、昨年の春から今日に至るまで相当に改善、整備を見ております。けれども、ここもとレールの折損事故でありますとか、モーターの焼損その他架線の断線等省線に関しましてやや事故が多くなつておりますので、目下これが資材復旧整備、各方面への配給等に急速な手を打つておりますが、これに関連しまして附帶的な非常に大きな影響は、昨年秋から冬にかけましての電力の規制のために、電車関係への修理資材が十分円滑に入手できなかつた。その点等もかなり最近の電車事故影響いたしておりまして、これらの問題は急速に私どもとして措置をいたしているような次第でございます。はなはだこういう点について御質疑を受けて申訳ない次第でございますが、今後これらの問題につきましては、あらゆる努力をいたしまして御迷惑をかけないようにいたしたいと考えております。
  5. 内海安吉

    内海委員 最近列車内における警察官の行動を見ておりますと、單に経済犯と言いますか、わずかばかりの食糧の運搬というような問題を取締るため、多数の警官がどやどや列車内にはいつてきて、旅客荷物などを檢査するに急であつて、かかる重大なる強窃盗等に対しては、かえつてこういつたよう犯罪を助長せしめるがごとき行動をとつているのは、われわれ旅客としてはなはだ不愉快に感ずる。こういうような問題は、同じ官廳でありますから、運輸省当局警察当局との間に緊密なる連絡をとられて、こういつた不愉快なことを除くことは、一面において犯罪防止の一役を演ずるのではなかろうかと思いますので、十分連絡をとつて不愉快な状態を排除してもらいたいということをお願いいたします。
  6. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 ただいま伊能長官から東北本線列車不祥事につきまして御報告がありましたが、そのお言葉の中にも、こういう列車事故の起る原因というものはおおむね列車運行回数の非常に少いしいうことに原因することをお認めになつているようであります。東北本線における列車事故の生なるものは、伊能長官が波指摘された通り列車運轉回数の少いことが原因であります。私は青森より幾たびも東北本線を利用しているのでありますが、事故原因列車の少いことであります。それは当局の御認識の不足の結果ではなかろうかと思う。なぜならば東北本線というものは東北六縣に対してのみこれが利用されているものではない。奧羽線も利用されておりますけれども大北海道も利用している。大北海道東北六縣を一緒にひつくるめたよりはもつと大きな地域をもつている。この北海道との連絡東北本線を利用するよりほかない。奧羽線を利用するものははなはだ少い。しかるにその東北本線が一本なんのためにあのように少い回数をもつて運轉されているか。急行列車を一体何んのために削減しておるのですか。北海道の全人口とあれだけの地域、あれだけの産物を何と当局はお考えになつておるか。その点私は何とも残念にたえない。本來私が運輸委員会委員になつたのは——いろいろ党にお願いして委員にしていただいたのでありますが、その理由は何かというと、あのように東北地方というものが鉄道当局からなおざりにされておるということに公憤を感じた結果であつて、いつでも私はそれを考える。承ると小笠原委員もこの委員会において何かの質問をなされたいということでございますので、多分小笠原さんもこの点については十分なる御指摘をされたと考えるのでございますけれども大北海道がこれからの日本の役割として、どんな力をもつておるかということをお考えになりましたならば、東北地方をなおざりにしてはならないと私は考える。その点について当局はどういうお考えをもつておるか。その判断が誤まればこういうような列車事故というものは断じて防遏することはできません。その点についてお伺いしたいと思います。
  7. 小笠原八十美

    小笠原委員 先刻お話のあつた不祥事に対する取締関係の問題につきまして、何か鉄道公安官の方の事務的取締方針、また訓練に未熟な点があるということに対して遺憾の意を表されたのでありますが、一体こういう問題に対して警察との連絡はどこでできておるか。これはひとり鉄道当局の方で取締るという問題ではなかろうと思う。今日この問題をこの委員会を通じて公にするということは、交通者旅客に対する不安除去に重大なる影響があると考えるのでありまして、これは鉄道の方の関係のみによつて訓練がまだ未熟であるから遺憾だ、これから訓練するというような御答弁ではわれわれは満足はできない。警察との間にどういう連絡をとつて取締りをやつておるのかということなのでありまして、今言われたように、何かやみ取締りが最も重点的のような感をもつて、こういう大きな強盗的なものに対する準備がまだできておらぬというようなことでは、まことに遺憾の極みでございまして、この訓練ができないまでも、警察がどういう関係をもつてこういう方面に対処するかということの、その関係を明確にしていただきたいと思うのであります。
  8. 北村徳太郎

    北村國務大臣 事務的なことについてはいずれ詳細当局から御説明申し上げますが、ただいまの山崎君の御質問の要旨に対してごく簡單に私の考えておることを申し上げたいと思います。東北本線が非常に冷遇されておるというようなお話であつたのでありますが、そういうことは毛頭考えておりません。伊能長官から申し上げましたように、われわれは貨物並びに旅客の量と、われわれのもつておる輸送力というものをどう調和させるかということについて日夜苦心しております。交通量並びに貨物輸送量増加伴つて輸送力がこれに対應し得ないというところに、現在の非常な戰爭の惨書を受けた國鉄の悩みがございまして、この國鉄の破壞せられたものを回復いたしまして、輸送力をさらに増強しなければならぬというような事情におかれておるのでありますけれども、このことについて日夜あらん限りの努力はいたしておりますが、思うようにまいりません。  いま一つは、今日において北海道を含む日本経済その他の事情一般から考えまして、東北地方重大性というものが特に今日重要性を加えておる。しかるにこれは露骨に申しますと、日華事変から始まりまして太平洋戰爭の間、日本とつた態度は、北よりも南へ南へというようなことで、鉄道もまた当時軍閥等のいろいろな考え方から、南の方へ関心を引きつけられて、その方に勢力を多く注がしめられたというような事情等もございまして、どうも南に大きな目的があり、北の方はやや閑却されたきらいがなかつたわけではありません。しかしそういう考え方鉄道本來のもつ考え方でもございませんし、殊に今日においてはそういう考えどころではない、北海道を含むところの東北中央との関係その他いろいろな物資交流等のことから考えまして、東北本線のもつ重大性というものが、終戰後特に非常に大きな意義をもつということは、山崎委員お話がございましたが、まつたく私ども同感でございます。從つて今回急行も復活させたというような事情にあるのであります。今後も事情の許す限りできるだけ輸送力を増強いたしまして、輸送の量と輸送力とのアンバランスからくるいろいろな事故防止については、根本問題としてその辺に力をいたしたいということを十分に考えております。東北を軽く見ておるというようなことは毛頭ございません。その点御了承願いたいと思います。なおこまかいことにつきましてはただいま小笠原君のお尋ね等も合わせて、政府委員よりお答えいたします。
  9. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいま小笠原さんからもお話がございましたが、この問題につきましては、御承知のように日本警察制度変革が非常に急激に行われまして、鉄道において鉄道交通警察を独自の立場においてこれを確保するようにということも、かなり急にきめられた次第でございます。從つてその間に処しまして、從來鉄道職員を急速に警察事務練訓をするということは、なかなか一朝一夕ではできがたいことは御了承願えることと存じます。また一方一般警察方面におきましても、その増員が容易でなかつたことも御承知通りでございまして、ただいま御指摘の点の経済警察取締りにつきましては、私ども鉄道公安官はその権限をもつておりませんので、常に一般警察と協力をいたして事に当つております。またさらに列車内、駅構内等における警備公安維持等に関しては、本來鉄道の務めでございますが、これまた現在の鉄道公安力をもつていたしましては不十分でございますので、主要列車その他に、時期的に各府縣警察力の具体的な人員の都合も見計らいまして、大体計画的に一箇月にどういう状況警備に便乘してもらう、また経済取締りの際には臨時にこういう措置をするということで、各府縣それぞれ鉄道局と打合せをいたしてやつておるのでありますが、たまたま山崎さんから御指摘もございましたように、東北につきましては、先般來年未、年初におきます石炭の非常な枯渇、荒天その他の関係上、また北海道青森附近における輸送停滯の関係上、石炭が非常に枯渇いたしましたために、一部列車の削減を行わざるを得ないという事態から、旅客輸送力に特に大きな影響を及ぼしまして、その結果として交通秩序が混乱し、一部は破壞された。そういう間隙に乘じてああいう事態を起したということで、まことに申訳ない次第でございます。府縣当局鉄道との連絡につきましては、鉄道警察制度をもたない時代から、移動警察と称しまして相当に緊密にはやつておるのでございますが、御承知のように経済警察取締りのあるかないかということを、やみ業者が事前に察知し得るような態勢が從來決してなかつたとは申し上げかねるだろうと存じます。どういう事情から彼らが知るかということについては、私どもも察知し得ないのでございますが、しばしばそういう事態がございましたので、それらの間隙に乘じてああいう事態が起る。今後も極力ああいう事態については防がなければならぬと存じますが、われわれはすでに移動警察については本当長い経驗をもつておりますものでございますから。府縣局当との連絡については遺憾なくやつてつたと思いますけれども、すべての列車に常時乘つておるわけではないものでございますので、その間隙に乘じてああいう不祥事態が起ることと存じます。今後につきましてはさいぜん山崎さんから御注意のございましたように、輸送力確保を第一に考えまして、この問題に処してまいりたいと考えております。  また山崎さんのお尋ねに対しまして、大臣から基本的な問題については御回答がございまして、また私ども電化区間のように石炭を要しない所につきましては、輸送力の許します限りの列車回数を増発をいたしておりますが、列車区間につきましては、御承知のように現在のところ一日当り二十一万キロ程度輸送を許されておるだけでございまして、これば配分につにきましては東海山陽等、また東北北海道等につきまして、でき得る限り公正にしうれば全部ダイヤを詳細に御檢討願つても私ども差支えないと存じますが、公正に配分をいたしております。殊に最近東北常磐方面輸送の実体が非常に増加をいたしておりますので、これに対しまして常に適切な措置をとり、対処をいたしておるのでございます。たまたま旧腦より年初にかけましての石炭の問題、また機関車の問題、輸送力の停滯問題等のために、御迷惑をかけまして、小笠原さんからも御注意をいただきましたので、あらゆる努力を傾け、仙台鉄道局を鞭撻いたしまして、この方途も急速に講じておる。こういう事情でございまして、將來の問題につきましても、もちろん私ども北海道東北の資源的な重要性、また最近における交通量の増大という面につきましては、数字をもつて常に注目いたしておりますので、今後それらの点に対して万全の措置を講じたいと考えておる次第でございます。
  10. 正木清

    正木委員長 お諮りいたします。鉄道治安確保に関する各位からの御質疑がなければ、先ほどお諮りいたしまして決定した通り東北並び北海道輸送現地視察伊能長官みずから行われておりますので、当委員会においてこの現地視察報告を正式に聽取すり、かつその打合会等の議事を進めたいと思いますが、いかがでしよう。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  11. 正木清

  12. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 私旧臘当院本委員会運輸大臣に対する御要請に基きまして、東北北海道方面輸送実情視察をいたしてまいりました。旧臘十三日に出発をいたしまして、二十五日に帰着をいたしました。まわりました箇所は、当初青森には若干の時間を割いただけで、一略北海道に参りまして、函館本線から札幌に参りまして、札幌では十六日に午前八時より正午まで、しばしば問題になつておりました苗穂車輛工機部視察をいたしました。私が見ました範囲におきましては、東京その他でいろいろと苗穂工機部等における怠業、いわゆる山猫といつたようなことが報ぜられておりましたが、私半日現場をくまなく拜見し、また組合幹部現業員諸君と親しく話をいたし実態を見てまいりましたところでは、怠業その他不祥事態は全然見られずして、能率がかなり高く上つてつたようでございます。殊に苗穂工機部は九月、十月、十一月と各月前月よりも能率の向上を示しておりました。ただ十二月につきましては、地域攻勢その他の労働攻勢のために、二、三職場大会の結成が、管理者との協定違反を生じたような事態がございまして、それによる給料不拂い等の問題で、私が参りました当時においては、既定計画の一〇%程度が遅れておるというような事態がございましたが、全体としては勤労意欲きわめて高い状態で、午後において北海道労働委員会委員長初め各委員と、札幌鉄道局北海道鉄道労働組合の爭議の問題に関する協議をいたしまして、私から政府北海道労働委員会裁定に関する所見を申し述べました。当時私は北海道労働委員会裁定である石炭代八千石百円、越冬準備金また欠配手当その他総計一万数千円の金を年末までに出してくれという要求につきましは、政府は二、八箇月を全官公廳に対して中央労働委員会裁定につき受諾をいたしており、また石炭代については二・二トンを基準として世帶主三千円、独身者千円の石炭手当を全官公廳職員に出しておる。またそのほかに寒冷地手当については目下組合側協議が整つておらぬが、これも國鉄組合政府提案趣旨だけを一應のんで留保をして、別途きまつた際には追給をもらうとして、政府提案趣旨だけでも現金をもらつたらどうかということで、さしあたり十一月、十二月、一月、二月、三月、四月、月一割、合計総額月額の六割という寒冷地手当政府としては出しておる。これらの措置によつてこの程度において北海道労働委員会裁定趣旨をのんだのである。政府としては中央労働委員会裁定を了等し、その権威を尊重すると同様に、北海道労働委員会裁定趣旨を尊重し、その権威を尊重することにおいてやぶさかでないものではあるが、國力の現状からいつて、この程度受諾をしておるという点も申し述べまして、労働委員会方々懇談もし、御了承も得てまいつた節もございます。それから組合側夕刻から午後九時ごろまで懇談をいたし、今後の視察順序等も決定いたしまして、十七日七時から岩見沢滝川旭川、遠軽を経まして北見に到着をいたしました。翌日北見を一日見まして、さらに池田に下りました。その夕刻池田視察をいたしまして帶廣に参りましました。その夜は帶廣に泊り、帶廣から狩勝峠を北上し新駅の駅、機関区等を拜見して岩見沢に出てまいりました。岩見沢から再び滝川旭川を経て名寄に参り、名寄から一路下りまして追分に参り、追分で一泊をし、さらに苫小牧、鷲別、東室蘭等を見まして、長万部に出てまいりました。長万部を見て函館に出、函館を一日有川、五稜郭等を拜見して青森に下り、青森に二十三日の夕刻着きまして、二十三日に青森縣並びに青森市の有力者方々懇談をし、翌二十四日一日青森の駅、操車場機関区等を視察をし、労働組合と二度にわたつて懇談の結果、二十四日の夜立つて二十五日の夕刻帰着いたしたような次第であります。  その間、北見池田帶廣等、北見管理部釧路管理部室蘭管理部の三管理部が比較的急進的な地域攻勢が強いようでございまして、私が参りました当時、近來にない寒氣がきびしく雪も非常に強く降りまして、札幌のごとき、十六日、十七日は一尺以上の雪が降つておりました。輸送が当時逐次停滯氣味に相なりまして、私の十日間の在道中にも機関車状況が一日々々と惡化をいたしまして、遂に二百八十輛程度機関車休車を見なければならぬ。かような状況に立ち至りました。これが根本的な原因といたしましては、さいぜん大臣からも若干触れましたように、東北北海道輸送施設戰時中当面の西部方面東海山陽九州方面への軍事施設整備に追われて、十分施設整備の手が届かなかつたということが根本的な原因のようでありまして、私ただいま申し上げました各地方機関区、駅、保線区その他を見ました結果、西の方の、戰時中私が勤務いたしておりました九州鉄道局輸送施設、特に機関区その他の運轉施設と、北海道輸送施設運轉施設とを比較いたしましたときに、格段な違いのあることを発見し、また非常に荒廃していることを見たのでございます。現に私の参つておりました最中においても、新得の機関区のごときは、雪の重みにたえかねて屋根がつぶれておる、というような状況等も見てまいりました。その原因は、戰時中、また敗戰後においては、当面の戰災復旧に汲々として、手が伸びなかつたというようなことで、長い間東北北海道に対する施設整備の手がまわらなかつたということが根本原因でありましたことと、非常に早く寒氣が参りまして、すでに私のおりました当時において、帶廣名寄旭川池田等においては、夜零下二十七、八度というようなきびしい寒氣でございました。そのために越冬準備が十分でなかつたところへ、急激に冬が來たということが近因の一つでありました。  しからばなぜ例年やらなければならぬ駅舍並びに機関区の越冬準備が十分でなかつたかということにつきましては、昨年の九月以來、北海道労働委員会における裁定をめぐりまして、労働組合当局の爭議がかなり熾烈で、殊に東北北海道における地域鬪爭の強烈な展開が行われました。この点関東並びに西の方に比較いたしまして、地域鬪爭の強力な展開につきましては私内心相当に驚き、かつ注目をいたしたのであります。私が参りましたいずれの小駅といえども鬪爭委員会ができておりまして、私が参ります都度、決議文並びに要永書が提出せられるような状況でございました。この点は関東並びに西の方のいずれの鉄道局においても見られざる現象であります。これらの地域鬪爭が非常に急激に強力にあおられたために、本來の仕事に対する準備というものがおろそかになつたということについては、これは率直に私はどうも否めない事実ではなかろうか、かように存じます。その準備が遅れておつたところに、急激に冬が來たということが大きな原因でございます。  ほかにわれわれの方の原因といたしまして、從來國有鉄道に対する地下たび、軍手、ゴムぐつ等の労需物資の配給が非常に少いのでございます、戰時中におきましては最も重労働の職員に対しましては、軍手は年に八双、地下たびも八双程度のものを配給ができておつたのであります。それが最近におきましてはわずか年に二双程度配給し得るような割当しかもらえない。從つて從來はいろいろと非常手段を講じてこれが確保に当つてつたのでありますが、昨年の秋以來、千七百七十五号のあの命令が出まして以來、官廳やみが絶対にできなくなつた。それまで私どもはいろいろな非常手段を講じておりましたが、今後これは何としてもやめなければならぬということで、その方面の非常入手ということがほとんど困難になりましたために、軍手ゴムぐつ、地下たび等の緊急手配も滯りがちになりまして、現に私夜遅く機関車の修理に、私みずからやつみろということを從業員から言われましたので、ホースを握つてはいつて來た機関車の雪よけの作業もやつてみ、また修理のためにいろいろと機械器具もいじつてみましたが、手が鉄にくつついてしまして、資事ができぬというような事態で、労働物資の不足が勤労意欲を非常に阻害したという事実もまつたく明らかでございます。  その他十一月の下旬から御承知のように青森においでいろいろと問題が起つてまいりました。青森地域鬪爭が強烈に行われまして、十一月下旬から輸送が逐次青森地区において停滯をするという現象が起り、青森労働組合の代表者が十二月初旬にわれわれの所に参りました。そこで私ども数次の会見によりまして大体一應の妥結点に到達いたしました。どうかこの條件でもつて現地の職員を納得させて、輸送に邁進してほしいということで青森側と意見の妥結を見ましたのが十二月の十日であります。私はその翌晩北海道に立つたのでありますが、妥結の結果が不幸にして青森管内の組合側に十分徹底いたしませんで、その後も少しも輸送が好轉しなかつた。のみならず、十一、十二日の技工諸君の総休業、その後の青森機関区における技工諸外の怠業の結果、機関車が雪に埋もれて、毎日々々倒れていく。青森操車場においては遂に機関車不足のために北海道からせつかく車輌がはいつてきてもそれが受け取れないということで、やむを得ず推駐軍車輌と石炭のほかは、また再び船に乗せて北海道に押しもどすというような事態に相なりまして、本州からは秋田米、山形米の北海道への輸送も参らなければ、百数十輌にわたる機関車、客車その他の省用品の修繕部品が全然行かなくなつてしまつた。このために車輌修理その他にも重大な影響を與えて現場機関区、檢車区等の勤労意欲が阻害されておるという事実もございます。  北海道全道を通じまして、私が在道中においては職員側におけるいわゆる山猫的な存在は一つもございませんでした。私参ります以前におきまして、いろいろな誤解から、保線区等で一日全然出てこなかつたというような事実がありますので、保線区長、助役等がびつくりしてみんなを招集すると、やあどうも全部ストライキだというから休んだのだが、そうでなかつたらまことに申訳ない、それでは十二月中自分たちは休暇を全部返上しておわびのために働く、というような状況で、從業員の勤労意欲は衰えておつたように私には見受けられませんでした。ただ冬が非常に早く來たことを、施設全般が非常に荒廃している。これらの点によつて輸送が逐次停滯をしてまいつた、加うるに労需物資がないというようなことが根本原因であります。  それからもう一つ炭鉱地帶において特別な事情がございます。私ども職員は、あの最重労務をやります連絡手が初任給わずか九百円程度でございます。ところが炭鉱地帶におきましては、御承知のように、坑外夫といえども数千円、坑内夫は五千円、著しきは一万円を超えた者もある。かような状況です。ところが食糧においても、私どもは二合五勺に一合の増配、炭鉱の方においては六合をいただいている。しかも作業自体は、実質的に雪の中で働いているあのうちの連結手と、坑内の温かい所で働いている坑内夫とに、どれだけの作業上の差異があるかということを私どもは胤に絶叫してまいつたのでありまするが、今日まで容れられませんでした。そのために炭鉱地帶におきましては連結手が五百名程度欠員を生じております。線路工夫が三百名程度欠員を生じております。機関車をみがき、機関車を掃除し、機関車整備する庫内手が三百五、六十名程度欠員を生じております。これはいかに募集をいたしましても、炭鉱の方へは人が雇い入れられますが、私どもの方には参りません。わずかに、一日百円の臨時人夫賃を出しますと参ります。しかし職員に採用しようといつても、ほとんど採用ができないという状況でございます。このために先般苫小牧におきまして、パルプの輸送人員が非常に足らないので、その補充を臨時人夫でやつておりました。左翼急進分子がこれをとらえて、臨時人夫による責任は一体だれが負うのかということで、管理者、駅側と悶着を起して、苫小牧に着いた列車の受けをしないで、そのまま室蘭に流し、あるいは追分方面に流してしまつた。こういう事態がございましたが、これはたまたま私來道中でございましたので、苫小牧に参りました際に、組合側も駅側も、機関区側も、全部集めまして、臨時人夫による当面の連絡不十分、その他あいまいな点の責任は全部総局長官が負う。しかし当事者の明確な責任については、操車係なり、あるいはそれらの者が負う。連絡不十分その他臨時人夫の不熟練に基く責任はすべて当局が負う。こういうように裁定をいたしてやりまして、辛うじてパルプその他巻取紙の輸送に事なきを得たような状況でございます。現在北海道におきましては、特に炭鉱地帶において、新規採用に非常に悩んでおる状況でございます。  全般を通じまして、私としては機関車二百八十輛の修理の復旧にまず全力をあげよう、並びに北海道においては、無蓋貨車が本州から青森事件のためはいつてこないので、これを急速に解消して、七百輛程度の無蓋貨車をただちに導入してやろうということの約束をし、東北北海道に対しましては、全國のいかなる地帶よりも、輸送施設並びに運轉施設については、將來最重点を入れるということも当局並びに、從事員に約束をしてまいりました。また労需物資等についても、目下あらゆる手を通じて、札局並びに本省において手配をして送つておる。現に十二月には諸君の手には地下たび、軍手が一足ずつ届いたはずだ。正月もまた一足ずつ、二月もまたやろう。その他の問題については、帰つて安定本部と十分懇談を遂げて、でき得る限りの措置を講ずる。しかし現在長ぐつ、作業衣等のもので、外勤の職員でなおやれてないものがあるが、配給をしてない人々、配給する規定になつてない人でも、やらなければ仕事ができないということもよくわかつたから、これらは既定計画外のものであるが、政府部内と十分懇談の上、特別の手配をちろう。かように約束もいたしました。中には急進分子は、現在われわれはこれで仕事ができると思うかと言う。そこで私は、非常に困難で無理もない、しかしできるだけの手当をするからやつてもらいたいと答えると、われわれが仕事が非常に困難であるということを認めておるなら、すぐここでくれ、地下たびも軍手もゴムぐつもくれ、こういうことを言うておりましたが、自分の手に今すぐやり得る力がないから、帰つて手配をしてからでないとやれない。だからしばらく待つてほしいということで、いろいろ論爭をいたしました。それではわれわれが仕事のできないのは当局の責任であるから、われわれはやらなくてもいいんだと、こういう言い方をする急進分子もございましたガ、私はそれに対しては、絶対にまかりならぬ。率直な言い方をすれば、申訳がないが、われわれのやり方にも不十分なところもあつたが、君たちはきのうまで七十五年の間働いてきてくださつたはずだ。それをどうしてあしたから仕事ができないのか、ぜひやつてもらいたい。われわれは非常に仕事に無理を強いておることはわかるが、無理だからと言つて君たちがやらないでいいということは絶対に認めない、われわれは業務命令として君たちにやることを命令する、もしこの命令に從えないという人があるならば、申訳ないが、みんな名前を書いていただかなければならぬ。そういう人々はやる意思がないのだろうから、もうやむを得ぬからたもとをわかとうではないか。こういうようにこつちも少し強く出ましたところが、だれも名前を書く人もありませんで、やろうというように言つてくれました。その代り長官に必ず手当をするということを約束するか。こう言うものですから、もちろん帰つてあらゆる努力を拂つて、君たちに必ず軍手も地下たびも、ゴムぐつもこの冬内に届くように約束しよう。こう言つて、全体としては至極円滿に私は北海道を見てまいりました。  私が涙の出るほどうれしく思いましたことは、遠軽の駅、倶知安の駅、帶廣の駅等で、いろいろ新聞に傳えられるような誤解がございますが、私は遠軽の駅には組合計画ではおりることになつておりませんでした。しかし時間が二、三十分あるので、長宮、おりて自分たちの決議文、要求書を見て、これに対する回答をしてくれということでありましたので、夜十二時でございましたが、家権も大勢出ておりまして要求書、決議文が読まれました。私も三百有余の職員家族に御挨拶もし、私が來た趣旨、また今後の奮闘をもお願いをいたしましたところが、ぜひこれからおりて構内機関区を見ろという切な要求がございました。けれども組合計画がかような状態になつているので、自分個人で組合側の全体の計画を壞すわけにいかないから、今回は勘弁してもらいたい、こう言つていろいろ話しましたが、ぜひ見ようというような非常な熱意のある希望がありました。また帶廣においては、帶廣は——私は池田で市民大会あるいはその他の大会に出されまして、非常に遅くなりまして、翌日は四時五十分の早朝の列車で立たなければならないために、私は帶廣を見ないという計画組合側も編成いたしておりました。ところがそのことで組合側と支部の方の連絡が不十分でありましたためか、列車からおりてホームに上りますと、いきなり非常に大勢の人間で私を構内へ連れて行こうとして、えらい勢いになりまして、はなはだしきはともかく私に見せなければいかぬというので、私であるということを知つてか知りませんでしたか、この辺をひつぱつたり、こうやつて引きずつて行くようなかつこうになりました。そうしてほかの人が、ごそつと数十人に連れられていつたものですから、私がそつちにいるのかと思つて、放して、向うへ行つた留守に、駅長室に戻りまして、どうもこう混認していては困るから、少し皆で昂奮を鎭めてもらいたいということで、皆に鎭まるように話をしました。そして帶廣は私が見る計画になつておらぬので、翌日私の代理の職員局総務課長並びに資材局需給課長が私の代りに見るからよかろうと言つたのですが、なかなか現地の職員承知をいたしません。最後に、長官に暴行をしたというようなことがあつたが、それはまことに申訳ないが、見るだけでいいから一時間見てもらいたいということでありましたから、暗もそれではそういうことにしよう、夜の十一時から十二時ま見てまいろうという話にまとまりました。私は十二月だからまだそう寒くないだろうと思いまして、短ぐつで薄い靴下で参りました、ところが、えらい目に遇つたのです。そういう支度では無理だからこのくつをはけと言つて、りつぱな長ぐつを貸してくれましたし、外套も兵隊の兎の毛のついた外奕を貸してくれまして、一時間見せてもらうのに、今度は非常に前とはうつてつて、実に親切に丁寧に見せてくれるのであります。そして時間が來ると、もう一時間の約束だから、お前のところの保線区はこの時間でおしまいだ、機関区はこれだけだ、こう言つて一つ一つ制止して一時間で済ますようにしましたが、私はどうせ見に來たのだから、時間のことはいいからゆつくり見せてくれ、また希望があつたら、どんな話だか聽こうと言つて、いろいろ聽いて、さつさあんなに殺氣立つたのはどういうわけなのかということを二、三の者に聽きましたところが、まことに私申訳ないと感じましたが、歴代五人の長官で冬の北海道へ來てくれたのは、あなた一人なんだ、自分たちはともかくこの実情をあなたに見てもらいたい、これだけだという話を私は聽きました。私はほんとうに申訳ないと感じまして、それからずつと從事員の見せたいという希望には、どんなに遅くなりましても、どんなにえらい仕事でも、自分で経驗しておきたいというつもりで見て歩きました。それ以來從事員の方でも非常に私の健康等を心配してくれまして、ともかく北海道でどういう働きぶりをしておるかということを私どもがつぶさに見て歩きました。それで基本的の施策を急速に樹立しなければならぬというように、私は決心をいたして帰つてまいりました。  遺憾ながら北海道機関車は非常に老朽のものが多いのでございます。四十年以上の老齢を機関車北海道にかなりよけいにありました。そのために二百七、八十輛の機関車の倒れができましたが、現在におきましては約四十輛程度回復をいたしまして、旅客輸送の一部が制限を受けておりますが、これもやがて全面的に解消されることだろうと思います。私が帰ります当時最も惡化しておりましたときには、石炭がわずかに一万二、三千トンしか運べなかつたという事態でございましたが、今日におきましては、一日二万トンを超える日が相当多くなつてまいりました。全体の北海道輸送といたしましては三万五、六千トン、やがて日送四万トンの日を見るだろうと思います。  かような状態根本輸送施設に本質的なメスを入れて、これを整理してやらないと、北海道輸送は急激には進展をしないというように私は結論をつけてまいりました、当時労需物資の問題、青森におけるあの輸送の停滯、多が急に参つたというような当面の附帶的な問題もさることながら、根本の問題としては東北北海道輸送施設根本的に手直してて整備をしてやらなければならぬと、かように考えまして、離道に際しまして北海道職員に対しましても、自分は十日間諸君に見せてもらつて新たな勇氣を覚えた。この勇氣をもつて中央に帰つて施策の打開に全力を盡す、かように約束をしてまいりました。  殊にうれしく感じましたのは、各寄駅に着いたのが、夕刻四時過ぎでございましたが、駅機関区、保線区いずれもそれぞれの一番重要な仕事を私に準備をして見せてくれました。名寄機関区におきましては、大箇月檢査の機関車が、これはあしたからもう使うのだから、今全部組立をやつておる。ジヤツキで上げてジリジリ下して、同時にはめ込み作業のところを私に見せました。保線区におきましては、御承知のように、北海道の線路は冬になりますと凍上をいたしますので、はさみ作業をいたさなければならぬ。そのはさみの作業を見せてくれました。駅においては非常に降雪が多くありましたので、雪かき列車で雪を構内から全部排除して、連結作業、操車作業の完璧を期するようなところを見せてくれました。これは昔私どもが業務の管理に当つておりました当時、構内その他各所を見てまいりますと、必ずそれぞれの作業を見せてくれる習慣になつておりましたが、そういう昔の姿がそのまま北海道においてなお嚴然として行われておるという有樣を見まして、ほんとうに心強く感じた次第であります。またあらゆる機会に從事員ど懇談もし、夜ふけるまで、また早朝から、ともかく何人でも、一人でも多く從事員とも懇談して、この難局を切拔けようということで話をしてまいりましたために、後半以後帰りますまでに、私の参りました箇所は、全六万の從事員が非常によく理解をしてくれまして、長官の今後の施策に十分な期待をもつて、自分たちはあらゆる努力を傾けるという約束をしてくれましたことを、私は何よりもうれしく感じた次第でございます。  ただ帰るに先だちまして、一つ残念なことは、在道中も、十二月十二日に妥結を見ました対青森勞働組合との関係が少しも好轉をいたしません。北海道にありまして常にあるいは電報、あるいは電話で連絡をとつて、これが打開に努力をいたしておつたのでありますが、何としても妥結をせざるのみか、北海道においてはすでに正月の塩干魚並びに家畜類が五稜郭に満載してたまつておるのにかかわらず、一輛もそれが本土へ上らない。青函連絡船に載せるのに、進駐軍の方の石炭以外はみなおつ返されてしまうということで、豚も死にますし、馬も非常に凍える。蜜蜂も死んでしまうというような状況で、何としても好轉いたしませんでしたが、最後に二十三日に北海道から青森に参りまして、ああいうように技工会長の中村勝巳君に退職をしてもらわなければならぬというような状況に相なつたわけであります。この間の消息も組合側としては、ストライキの指令は青森の分会としては全然出しておらない。当事者間においても、自分たちは爭議行為をやつておるのではない。それではなぜ無断で休む、なぜ怠業をするかということに問題が発展いたしまして、遂に業務命令違反のかどで、技工会長の中村君に退職を求めまして、その結果旧臘から急激に青森機関区の作業状態が改善せられまして、ようやくほぼ常態の域に達し、三十一日から最後の旅客急行列車も復活をしました。一時私が二十三日に参りました当時は、青森機関区に七十一輛の機関車のあるうち、半分以上の機関車が雪の中に埋もれてしまいまして、ピストンの中まで水が凍つてしまつているものでありますから、動かすにも動かせない。一旦機関車を全部蒸氣でふかしまして、中のピストンその他の水をとかしてからでないと、ロツドその他も動かないというような状況になつて輸送上非常な御迷惑をかけましたが、現在においては逐次好轉いたしまして、ほぼ旧態に復するという状況になりました。  私二十五日の夕刻に帰りましてから、二十六日、二十七日の両日、経済安定本部、商工省その他各省をまわりまして、経済安定本部総務長官、商工大臣、労働大臣にも逐一這般の情勢を御報告申し上げました。殊に労働大臣には一度北海道の労働情勢をぜひ御視察を願う必要がある。比較的食糧の十分な帶廣地帶等において、なぜ急進左翼的な勢力が非常に強いか、北見管理部帶廣管理部、室欄管理部等が比較的に私どもの方においても急進的の力が強いのであります。名寄札幌函館等は非常に健全分子が組合を指導してくれておりまして、その点作業に何らの心配を感じませんでしたが、さような各般の情勢を労働大臣に見ていただくことが適当ではなかろうかというようなお話も申し上げただちに東北北海道の雪寒地に対する鉄道輸送確保の緊急措置をとつてもらいたいということで、旧臘から春早々にかけまして、関係者の御参集を願つて、いろいろと論議を盡しました結果、今回嚴寒地における鉄道貨物輸送の緊急事態に対する應急処置についてという閣議決定を正月の十二日に見たわけであります。これによりまして北海道東北その他の雪寒地における外で働く從事員並びに乘務員等に対しましては、寒冷地特別作業手当の支給、これは月額最高六、七百円になると存じますが、この支給と労需物資につきましても、鉄願の輸送作業については、石炭、主食、電力等と同樣に傾斜産業の超重点的な待遇をするというようなことも閣議で決定を見ました。また車輛補修施設、補確の資材についても十分に今後確保してやろう。その他從事員の労需物資についても特段の措置を講じ、報奬物資も出してやろう。またさいぜん申し上げた石炭関係の炭鉱地帶と近接している輸送從事員については、食糧その他の給與の問題についてでき得る限りの調節をはかるのが妥当であると考え、これが措置をとることについても閣議の決定を経ました。しかしながら不幸にしてこの決定を見と当時は、すでに一、三月の第四・四半期の資材配給の大体の計画が済んでしまつたときでございましたので、作業用物資、補修用物資について安定本部、商工省からも非常な御協力を得ましたが、顯著な資材の割当を得ることはできませんでした。現在の鉄道輸送は、戰前年に鋼材を三十万トン程度使用しておつたときに比べると、本年はわずかに五万三千トンしかもらつておらぬ。しかも当初の需給計画においては十四万五千トンときめられておつた。それがわずかに五万三千トンしか鉄道にまわされていない。炭鉱はどうかというと八万三千トンの需給計画に対して八万三千トン以上もらつている。いかに石炭が掘れてもこれでは輸送ができなくなつてしまう。終戰以來物資の割当が非常に少くなつたために、いよいよ鉄道はよたよたになつてきた。昨年経済白書が発表になつた当時、何とかここで輸送に対し手を打つてほしいということを政府にしばしば折衝もし、懇願もいたしたのでありますが、成功しませんでした。今回北海道においてああした輸送上の支障を生ずるようになつてきて、初めて傾斜生産の超重点としての待遇を受けるようになつた。これではこの冬の輸送を急速に回復するのには間に合わぬということを私ども絶叫しているのでありますが、それでも東北北海道の全從事員は、鉄道が超重点産業に指定されたということについて非常に感激し、勤労意欲に燃えております。從つてどもとしては目下北海道東北を中心として輸送の回復に全力をあげて逐次その成績も現われてまいつているような次第でございます。旧臘皆樣のたいへんな御心配をいただいて、私、命を受けて北海道に渡道し前後十四、五日見てまいりました実情について、はなはだ粗雜でしたが、一應の御報告を申し上げた一第でございます。  なお御質問等がございますれば、さらにお答えを申し上げたいと思います。(拍手)
  13. 正木清

    正木委員長 以上の報告に対しての質問を許します。館俊三君——簡單に願います。
  14. 館俊三

    ○館委員 今の伊能長官報告に対して二、三私の見解を述べておきたいと思います。北海道東北方面の交通事情に対して鉄道部内においても最重点的に施策を講ずる、國全体としても超重点的にこれを扱つていくというお話があつたが、非常に話は概念的であり、しからばどういうふうな手段をとり、どういうふうな予算を立てるかということについてのお話はなかつたのであります。これは次の機会に懇切にひとつ御説明願いたいと思つております。それを前置きにして質問したいと思います。長官が札幌で道の地労委と相談をされて、その結果三千円の石炭代あるいは一箇月の一割つまり六割をくれるということ、あるいは二・八というものをくれることによつて地方委に対する回答が済んだのである。事が落着を告げたというように、お話によつて印象を受けましたけれども、私はそうは思つておりませんということを言明しておきます。その証拠には今もなお札幌の称合からは、地労委の裁定の分として三千円その他をもらつたが、まだこれこれの分が、補給されておらない、地労委に対する回答をどうしてくれるかということがこの議会に陳情されておるという事実をここに述べておきます。あとで見解をお伺いします。  その次に越冬の準備が非常に遅れておつた。そうしてこの冬が早く來た。そうして長官の行つたときはそうでなかつたのだが、それ以前において地域闘爭が非常に活発に驚くほど行われておつたために、越冬準備が遅れてしまつたのだというようにお話によつて印象を受けたのでありますけれども、私はこういうことについては、長年六十万の國鉄の中に身を置いており、さらに委員長をしておつた立場から、ここに一つの理解を永めておかねばならぬと思うのであります。この項目については長官は政府としての責任を一つも述べないで、越冬準備の遅れたのは、組合地域闘爭のために沒頭しておつた從つてそれに引合いに出された管理部長なり局長なりが越冬準備をするひまがなかつたというようにも考えられ、從業員自身もそのために越冬準備を怠つたというように考えられておりますけれども、われわれは地域闘爭を今始めたのではありません。終戰以來、組合は毎年五月ごろから、この冬をどうするのだ、この冬の機関車をどうするのだ、ロータリー運轉をした結果をどうするのだということを、常に組合が取上げまして、政府に迫つてつたのであります。ある機関区のごときは、札幌において政府当局を交えないで、夜の一時、二時まで私の宿でこの問題について協議しておつた事実さえあるのであります。そのことが今の原因であるというふうにおつしやるのは、はなはだ心外だと私は思うのであります。組合の言うことは、單に米をくれろ、依料品をくれろという以外に、列車の増発と、それから冬の機関車その他の準備をどうするかということを、絶えず当局と折衝しておつたのだ、それを、よく御認識を願いたい。越冬準備が遅れたということは、現地においては常に政府予算が遅れてしまつて、そうしていよいよ仕事をするときには、常に冬にならなければ建物が建たない、屋根ふきができないというのが、いつも北海道におけるなさけない実情であります。私も伊能長官が行われた順序に從つてまわつてきたが、北見機関区のごときは、屋根をふくことができないままにずつと残つてつた。いよいよ屋根をふいたあとも編漏りで、水が滴れて、機関庫が凍結して、その氷がとけない状態である。そういうような建設方面においても、いつも遅れがちだということが、越冬準備のできない根本原因でありまして、そのためにこそ、組合は心配して、年が明けるまで、この施設をどうしてくれる、どうしてくれるということが闘爭の要求の形であつたのであります。越冬準備をしたいからこそ、闘爭を続けておつたのであります。それを、それがために遅れたというような形にお話を印象づけられたことは、非常に残念であると私は思う。それからもう一つ労需物資の配給、これも手袋というようなものが必要である、金物にくつついてしまうというような内地で考えられぬことであるが、その労需物資の配給が非常に足りないということも今長官が言明された通りであります。これが長官が行かれると一緒に、五万足かの手袋が北海道へまわされるとか、まわされたとかいう話も聽いておる。その手袋の実体を長官なり大臣がごらんになつたかどうか、ひどい手袋が行つておるのであります。アンペラを切つてこしらえたようなものであつて、糸のかがりが竹細工をするときの彫りのような彫り方をしなければ通らぬというような手袋であつて、今度北海道へ帰りましたら、私それをもつてまいりますが、はたしてその手袋を檢査されてやつておるのかどうかと思われるような手袋である。そういうものがまわされておつたのでは、とても仕事にならない。こういうような施設その他について常に——運輸省ばかりではありませんけれども、対労側者の施策というものが常に遅れておる。徹底的に遅れておるとううことから、いわゆる地域爭議をもち上げたり、はるばる組合の金を使つてここまで出かけてくるというようなむだなことばかりをやつておる。その結果長官が出ていく、あるいは出ていつて初めてこの施設が現実にわかるというようなことであつては、私は非常に残念でならないと思います。経済白書が発表された時分に、私はすでにこの國鉄というものを超重点的にもつていかねばならぬということをここに力説しておる。安本からも來ておられましたし、伊能さんがおいでたはずです。今日の鉄道に対する配給資材は安本から來ておるのであるが、その安本からきた配給資材が、安本それ自身は鉄道を復興することのできる資材をよこしておるのか、現状維持ができる程度によこしておるのか、あるいは現状維持が半分しかできない程度によこしておるのか。輸送当局もそれをもらつて、これで現状維持できるのか、できないかということに対する質問をしたことがある。田中政務次官からは、それに対して絶対にこれではできないという話があつた組合から請求されて初めて長官が出かけていつて、その現状に驚かれるに至つては、あまりに遅いと私は思うのであります。  それからよく急進分子、急進分子という言葉を使われますが、議会において私たちがこういうことを言う場合には、今法的な立場において言うのであるから、急進分子ではないのかしれませんが、こういういろいろな事態が起きる場合に、たれかが先頭に立つて、これをまとめて要求しないときには、いつまで経つてもこれができません。こういう先頭に立つ者をすなわち急進分子というのであるならば、たれか先頭に立つてこれを言わない以上は、できないということになるのだから、そうなれば、それは急進分子でなくつて、その職場を救うためにまた輸送を救うためにその人たちが考えておることである。われわれが議会においてこう言うのも、地域的においてそう言うのも、私は同じことではないかと思います。そういう言葉づかいをしてもらうということは、労働政府の上からも、あまり感心した言葉の使い方ではないと私は思います。これは十分これから愼んでいただきたいと私自身は考えております。  北海道地域闘爭、あるいはまた地域怠業があつたかなかつたかということについては、札幌鉄道局長はいろいろなうわさは出るけれども北海道では、そういう青森のごときものはなかつたと言明しておられますし、また長官も大体においてはそれを認識しておられるのでありますが、この頽廃した北海道の交通事情、あるいはまたその交通に從事する労働者の現状というものをお考えになりましたら、そういう事態は必然的に起きるところの要素をもつておるのでありまして、それは單に組合があるからできたとか、組合の急進分子があるからできたという現象論にとらわれないで、徹底的に北海道の交通事情を改善さるべきが至当であつて、そこに現政府の、また運輸当局としての責任があるのであります。その基礎的なものをお考えにならないで、單に現象論をときどきこの重大な報告の中に交えておられるということは、組合としては非常におもしろくない形をつくるのじやないかと思つて、ここで一言しておきたいと思います。北海道の現状は、十二月の二十四日に局長に会つた時分に、十二月二十四日から旅客列車を減少することによつて、冬の貨物輸送力を百二十七万トンに増加する計画だと言つておられます。それが正月になつてはたして板につくかどうかと思つて話を聽きましたが、その百二十七万トンの貨物輸送力というものは、ほとんど九〇%まで石炭輸送と坑木の輸送に吸收されている。残つた輸送力というものは二十何万トンでありましようが、それが穀類の供出に吸收されて、さらにパルプ材の輸送に吸收されまして、北海道の民需輸送力というものは、ほとんど六万トンか七万トンしかない。それも各管理部だけを動く輸送力にしか考えられないのであります。そういう場合に北海道鉄道北海道民を潤すところの何ものももつていないというのが現状であります。そのために各小さい工場その他がバタバタと操業停止をして、その從業員が半減される、あるいはやめてくれというような状態になつている。函館に十七日書いて早速申しこまれたのは函館の製材工場十五工場が休業状態である、そのために從業員五百名を半分に減らすという状態になつている。それで急に札幌へ行つてくれという話が出たくらいに、北海道の各地における小工業が、輸送力を全部吸收されたためでほとんど立ちいかない状態である。それに携わる労働者も困窮の状態に陷つている。小工場であるからストライキもできかねる。首を切られたら、一月分の給料しかもらわないでやめなければならぬという状態になつているというように、輸送力からくる北海道の各都市工場における困窮状態というものがはなはだしいということが想像されるのであります。北海道の全輸送力を、國の産業のために九〇%も吸收しておりながら、しかもそれが國の産業に決定的な好影響を及ぼすだけの輸送力であるかということになりますと、否と答えざるを得ない。それだけ吸收しておりながら、なお石炭が山に停滯し、坑木が停滯して、パルプの輸送もようよう泣きの涙でやつているというのが現状なのであります。東北本線もそれにつながつてその通りでありまして、さいわいにして青函間連絡船は大分充実されましたが、この両端における輸送力がないために、いかに國の産業を停滯させているかということは私説明をするまでもないであろうと思う。電力飢饉だと言う。東北本線やなんかで列車を削減しなければならぬと言う。みんな北海道輸送力が惡い、青森輸送力が惡いということが非常な根源をなしておるのであります。今の北海道輸送力及び青森方面東北本線輸送力というものは、何もその地域だけのための、地域的なためにのみ存在している輸送力ではない。國会全般の基礎産業のために存在している輸送力でなければならぬし、また北海道というものは——朝鮮も台湾もなくなつてしまつたときの北海道の開発のために、徹底的な輸送力の回復と増強をはからなければ、私は立ちいかないと思う。そういうことはしばしば論ぜられておりながらも、今初めて伊能長官からややそれに対する施策の一端を漏らされたのであります。これは幸なことでありますが、この施策の具体的な事柄についてお聽きすることのできたのは、ただ東北本線に三十一日から急行列車が通るというだけのことであります。あとは安本へすぐお話なつたけれども、四半期の計画がすでにきまつてつたので思う通りな施策ができなかつたということなのでありますが、今後どういうふうにされるか。また現実の問題をどういうふうにされるかということは、いずれ具体的にお話を聽けるものと思います。そのときに讓りたいと思いますが、大体時間もないことでありますから、御報告を受けて感じたこと、それに対して私の考えを異にする点を二、三述べて、今日は終ります。
  15. 伊能繁次郎

    伊能政府委員 ただいまのお尋ねの予算の点でありますが、今回の北海道東北視察以後、閣議決定におきまして、私どもは三億七千五百万円の予算を要求いたしまして、そのうち御承知のように資材の裏づけの不可能なためにある程度まとまらないものもございまするが、しかし当面の札鉄の輸送回復のためには大体の措置はでき得た。かように確信をいたしております。また將來の問題といたしましては、今館さんのお話のごとく、來年度に十分その具体的の内容を盛りこみたい、かように考えております。この点はいずれ成案のでき次第私から御報告をいたしたいと思います。お説のように冬の時期にどうしても予算が確定をする。この問題は根本的な問題でございまして、現に私苗穗工機部を見ました際に、りつぱにでき上つた鑄鋼工場、自動車職場がいずれも冬の工場のためにコンクリートが十分に固まりませんので、建物が曲りまして、オーヴアーへツド・クレーンがかからないというような事態になつております。またその他の箇所におきましても、これに類する問題もあります。かくのごときは、從來のいわゆる三月から四月に変る年度変りの問題、並びにその後國内だけで予算の運用がつかないというようなことになつたことも、重要な原因一つとなつております。私はこれらの点は各方面にも御報告をいたしておりますが、今後北海道東北に対する輸送施設整備は、御説のごとく年度早々から何らかの形で予算の令達が行い得るようにしないと、この問題の根本的解決にならないのじやないかとかように考えまして、この点まつたく同感であります。 道労委の問題につきましては、私一應の了承を得たと申しましたが、道労委が私の釈明をもつて受諾いたしたとは毛頭考えておりません。從いましてこれらの問題については、いずれ政府として北海道労委へ回答をいたさなければならぬという点についても考慮中でございます。この点は館さんと意見は違つておらぬ。かように考えております。  また越冬準備の問題につきまして私が申し上げました趣旨は、輸送施設が等閑に付せられておつたということについては、もちろんこれ私どの責任であると感じております。また労需物資の不足についてもわれわれの力及ばなかつたことを痛感し、從事員にも十分その了解を求め、今後の努力を期しておりますが、私が申し上げました点は、客観的にある地域々々を見ますと、同じ札鉄の中においても、越冬準備の十分にできておつた所と、できておらない所とがある。そのおらない所においては、地域攻勢が比較的強かつた。ここに地域攻勢の問題と、越冬準備の点について——これは私の見解でございまして、不幸にして館さんと見解を異にいたしておるようでございますが、越冬準備の十分でなかつたという現象が見られるということを私は観察をしてまいりました。  それから軍手の点につきましては、私本日はかような席にもつてまいることを遠慮いたしましたが、私政府の各方面並びに関係方面にもわらの軍手と南京袋の軍手を見せたのであります。これは現実に私の目の前で、わらの軍手と南京袋の軍手で三十分仕事をして、どういう結果が超るかということをやらせまして、その結果、わらがどういうように崩れて、南京袋の軍手がどういうように壞れたかというものをもつてまいりまして、安定本部、商工省、関係方面をまわつて、かくのごとき軍手では運輸省と何としても、仕事ができない。綿のほんとうの軍手がもらいたいということを要求した次第でございます。関係方面においてもこの点は非常に同情をしてくれましたし、また安定本部、商工省等においても、これではなるほど仕事ができまいということでそれらの労需物資の内容については、軍手、地下たび、ゴムぐつ、かつば、その他逐一全部の物を見てまいりまして、これに対する手当をいたしてまいつたのであります。  また急進分子と私が申しましたのは、館さんのおつしやるように、組合の指導的立場に立つて運動を進めている人々を意味したわけではございませんので、これは私自身の見解に基いて急進的な分子ということを申し上げたことと御了承得たいと思います。
  16. 正木清

    正木委員長 それでは午前中の時間も非常に経過しておりますので、この際お諮りしたいと思います。これは委員長としての考え方でありますが、本日は一應伊能長官東北並び北海道現地視察の結果を聽取したわけでありますけれども、現在の日本の國情から考えてみて、全体としての日本鉄道輸送状況がどのような状態になつているかということは、当委員会においては万々承知をいたしているわけですが、このことをもさらに掘り下げて当委員会として究明いたさなければならぬと委員長考えております。現在の政府のとつております施策は、一面傾斜生産を強調はいたしておりまするが、その裏表となります輸送関係については、とかく等閑に付しがちであります。これを相当強く究明いたさなければならないのではないか。それがためには、当委員会としては、東北北海道事情ばかりでなく、全体としての現在の鉄道輸送状況はどうなつているか、併せて海上輸送状況はどうなつているかということをも、政府から十分聽取いたさなければならないではないか。そこで過日の当委員会の打合会において決定いたしました通り、それを十分聽取いたしました後に、委員を大体五班に分けまして、全國にわたつて現地視察をいたしたいと委員長考えております。その班を申し上げますと、第一班、東鉄管内、十日間。第二班、仙鉄、札幌管内、十四日間、第三班、名鉄、新鉄管内、十日間。第四班、大鉄、廣鉄、四鉄管内、十日間。第五班、門鉄管内、十日間。まずかような大ざつぱな考え方をもつている次第であります。  そこでいろいろ御質問の点もあろうとは思いますが、本日はこの程度にして、明日も当委員会に続行し、全体に対する鉄道輸送状況を聽取し、さらにでき得るならば、質問專門の日を一日とつて、最後に今後の当委員会の方針を決定したい、委員長としてはかように考えております。いかがでございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 館俊三

    ○館委員 今の伊能長官の後のお話で二億何千万円のお話が出たのでありますが、それについてきようは時間がないので、あすその具体的な内容、そうして、鉄道東北へどのくらいの支出をするか、北海道へどのくらいの支出をなさるか、あるいはまた信越その他も含まれておるとすればその件、それから部内においてどういうところへ主力を注がれておるのか、そういう点について、あるいはまた施設に使われると同時に、労需物資その他の面についても、具体的なものをあすお示しくださるように願いたいと思います。
  18. 正木清

    正木委員長 政府に要求いたします。ただいま館委員からの要求がありましたが、その準備を進めていただきます。もう一点は全國的な鉄道輸送状況、それからもし隘路があるとするならば、どういう点にあるかという、大ざつぱなものでよろしいから、でき得るならば、簡單な資料を当委員会に提出してもらいたいと思います。提出することができないようであるならば、でき得る限り詳細に説明をしてもらうように委員長から要求いたしておきます。  それから皆さんに大体準備ができればその機会に総理大臣、安本長官にも出席を求めて質問をしたいと委員長考えておりますが、各位の御意見はどうですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 正木清

    正木委員長 ではあすは十時からいたしますか、一時からいたしますか、いかでしよう。     〔「午前中からお願いします」と呼ぶ者あり〕
  20. 正木清

    正木委員長 では明日は午前十時から本委員会を続行しますから、各党各派の委員諸君には、ぜひ出席するように御配慮願いたいと思います。  なおこの際委員の諸君に御了承を願つておきたいと思いますことは、北海道の道会議長以下十三名の道会議員が、北海道鉄道輸送に対しまして、当委員会にぜひ陳情をしたいといつて、ただいま当委員会に傍聽かたがた見えておられます。長い時間はとらせませんから、ぜひわずかの間、北海道会議長からの陳情をお聽き願いたいと思います。なお政府側でも聽いてもらいたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。追つて日程は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時四十三分散会