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國務大臣(
森戸辰男君)
只今の御
質問は前の
米田委員の
質問もありますので、一緒にお答えをいたします。
総理が中座いたしまして大変申訳ないのでありますが、実は当
委員会を軽く見たのではなくして、もう
一つ委員会があるのでありまして、その約束の時が丁度來ましたので、実は同様に
総理の
出席を強く要求しておるような
事情がありまして、止むなく退席したのでありまして、悪しからず御了承を願いたいと思うのであります。尚御
質問の点では
総理自身が他の機会にお答えいたすことであろうと思います。
それからいろいろ
お話になりました点で、
財政と
教育の問題がありましたが、私共も國の
財政ということは大変重大であ
つて、
財政を離れて
教育計画を立てるということは、これは無理であろうと思うのであります。実は
教育刷新委員会は
教育の
方針を決めるところでありましたが、そこには
財政の專門家が殆んど入
つていなか
つたのでありまして、これは
教育計画を立てる上に大きな欠陥であ
つたと思いまして、この度
教育刷新委員会委員を補充する場合にも、そういう点に考慮を入れたのでありまして、
教育というものも殊にこの頃のような
事態におきましては、経済、
財政というものと密接な連絡を執らなければならんということは、これは申す迄もないことと考えるのであります。ただ私共といたしましては、國の大事な
政策が
財政という見地のみで決定されるということは、これは大変望ましくないことであ
つて、根本的な國の
政策については
財政がそれに副うようにならなければならないということは、
米田委員の言われたことと私も全く同感であります。そういう
意味でこの六・三制の問題の時にも私は財務当局としては誠に正しい
インフレ防止の御意見を持
つておられたが、この
政策は
日本の再建のための重大なる
政策であるからというので、実は財務当局のところに私親しく参
つてよく
説明をして納得をして頂いて、実は財務当局も安本もこの
政策を実は支持して頂いておるような
状態であるのであります。でありますからその点文部省がちぐはぐに行
つておるのではないことは十分御了承願いたいと思うのであります。それからそれは一般的の問題でありますが、
教員の
待遇について、
教育基本法にあるようにこれが
適正なものであるかどうかどいうことを
総理にも私にも御
質問にな
つたのであります。私共は教職員の方々のみならず、一般の働く人に
適正な俸給が與えらるべきことを
努力いたしておるのであります。ただ経済の面からこれにも一定の制約があり、そうして
適正ということも実は相当に幅のあるものでありまして、実は現実の経済の
状態、又他の働く人々との
関係等をも顧慮した彈力性を持
つたものとして考えられなければならんのではないかと存じておる次第であります。教職員につきましては、在來官吏に比べて非常に劣
つた部面もあるというようなことが問題にな
つてお
つたのでありますが、この点におきましては、昨年でありましたか大体官吏と同じ基準に置くという
方針が決定したのであります。併し他面におきましては、教職員の人々は経歴の上から言いまして、筋肉労働者の方々よりは高い経歴を持
つておられるという点もある。この点は十分顧慮されなければなりませんが、同時に筋肉労働に從事して、
日本の今日非常に必要とされておるこの重点
産業におる人々についてもいろいろ考慮しなければならん部面もあるのでありまして、而も又筋肉労働者と、いわゆる知識労働者とが非常に大きな差を持つような方向よりは、段々とこれに接近するような方向が取られなければならんというような
事態もあるのでありまして、こういう点でこれらの全体を考えながら、実は而も彈力性を持
つた形において
適正の線に副いたいと考えておるのであります。殊に大学の
先生方に取
つてはなかなか生活の苦しい方もあることをよく存じておりまして、勉強についてもそれがために思うように行かない人々があり、これでは一面
教育が民主化されましたけれども、文化の水準が高まるという点に欠陥がありはしないかということをひそかに
心配いたしておりまして、いろいろ考慮をいたしておるのであります。
それから教職員のゼネストの問題についての
お話がございましたが、私個人といたしましては、政治的ゼネストという形で行われるストライキというものは、今日の
日本の
事態においては望ましくないものであると存じております。併し他面労働組合が教職員の間に結ばれておるといたしますれば、他の労働相合におけると同じような経済的な罷業権は存するということも認められなければならんと存じます。ただ新らしい公務員法の制定があり、それと共に
教育の身分はどう定めるかという点、この問題が更にもつと具体的に決定されなければならんと存じておるのであります。これは教職員の身分を考える時に、更に考究をいたしたいと思
つておるのであります。尚よく
地方に行
つて組合員と話し、
教育の現在の
事態をよくするようにというような御注意もありまして、これは誠に御尤もなことでありまして、私も
地方に参りまする度に、実は教職員の人々とは必ずお会いをして、忌憚なき御意見を聽き、なかなか強い要求も始終承わ
つておるのでありまして、この点は私は許す限りにおいては非常に努めておる者でございます。
それから三十一億の
予算のみならず、新学制の
実行の上には、綜合的な全面的な年次計画がなければならんという
岩間委員の
お話は誠に尤もでありまして、私共もそのように
努力をいたしておるのであります。 そうして三十一億というものも、ただ出鱈目に行き当りば
つたりに要求したのではなくて、年次計画の
一つの現われとして私共は要求しておるのでありまして、この点は誤解のないようにお願いいたしたいと思うのであります。一定の計画を持ちながら、それが今年度、殊に六・三制に現われた形において、明年度の
自然増加の数についての
最小限度として現われたものであ
つて、ただその時時の行き当りば
つたりの額ではないということを御了承を願いたいと思うのであります。尚ての基礎に
なつた
自然増加の
生徒数については、教職員組合でも正確にお調べにな
つておるということで、私共は感謝しておるのでありまして、当局で調べました数と比較した上、更にいろいろ考究すべきだと存じております。ただ六十八万というものは根も葉もないことであるという仰しやり方は、多少誇張に過ぎたのでありまして、大体それに近いものであると私共は存じておるのであります。大体まあ幹はあると思
つております。
それから尚
矢野委員から、どうももう少し元気を出してやれという
お話で、御激励は誠に御尤もでありまして同時に私共は
教育の必要ということは強く確信しておるのでありますが、それが現在の
事態に
実行し得るような形で、安本並びに財務当局との了解を得るということも亦大事なのでありまして、ただ完全な要求を、高い数字を掲げただけでは、実際の交渉の場合にはなかなか
通りにくいのであります。私共は安本の人、又財務当局にも一應納得されるようなものを以て、而もそれを強く主張するという形で行きたいと思
つたのであります。いろいろ
教員についても、施設についても、完全な
実施ということを以てこれをやらなければ駄目だということで、これもいいのでありますが、例えば六・三制の場合でも、百五十億というものを掲げて、これをやらなければいかんということで行
つては、なかなか話が付かないのであります。確実なところをしつかりと主張するというような
方針で行
つたのでありまして、その点御不満足であ
つたかとも存じますけれども、御了承を願いたいと思うのであります。
尚お前はどうも諦めたらしいということでありましたが、これはちつともそうではないのであります。私は
事態を隱さずに、正直に、こういう
状態にあるということを
お話し申したのでありまして、
只今安本長官も言われたように、恐らくは
大藏大臣もおられれば言われたように、
総理もあのように言われたように、この六・三制は、この
内閣の重要な基本の
政策の
一つであるという建前から、これを貫徹するように私共はあらゆる
努力をいたしておりまするので、貫徹されるということに強い
希望のみならず信頼をも持
つておるのでありまして、この点非常に不安であるような心持を持
つておるわけではないのであります。尚いろいろその年次計画等の詳しいことにつきましては、他の機会に、事務当局の考えも入れて御
説明いたす機会があると思いますので、
只今は申上げません。いろいろ各
委員方のお言葉を承わり、私共もそう信じておるのでありまして、あらゆる
努力をいたして当初の
予算の貫徹いたすように骨折りたいと思うのであります。皆さんが御鞭撻、御激励下す
つたことを感謝いたしますると共に、尚まだ確実にそういう
事態に至
つたのではございませんから、皆さんにおかれましても、
日本の新らしい
教育を貫徹するということで、
内閣を助けるということではなく、その
意味で、十分この
最小限度の要求が通るように御
協力頂くことをお願いいたしたいと存ずるのであります