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政府委員(
上山顯君)
失業保險法並びに失業手当法いずれも
施行の日といたしましては十月一日、こういう
規定に明定しておるのであります。実は当初これの
提案いたしました当時といたしましては、十月一日より以前に
議会で
法律案を成立させて頂き、又
予算も、通るつもりで十月一日と書いておつたのでございますが、いろいろの
事情でまだ成立を見ないわけでございます。尚
予算もまだ
提案に
なつていないような
事情に
なつておりますので、この
施行期日を十月一日から、
法律を嚴格な
意味で
施行するということは不可能でございますが、十月一日に遡りまして適用いたしますか、
施行期日をもう少し延ばしますものかにつきまして、
只今関係方面といろいろ
折衝いたしておるような次第でありまして、その件につきましては
折衝が終りました後で改めて
皆さんに申上げまして御了解を頂きたいと思
つております。いずれといたしましても、この
失業保險法と
失業手当法とは非常な関聯を持
つておりまして、当初の案では
失業手当法の
適用範囲でございますとか、或いは
施行の
期日を
保險法とは別にしようという案も実はあつたのでございます。併し
財政上の点、その他の点を
考え合せまして、尚
関係方面ともいろいろ相談いたしました結果、
保險法と
手当法とは
適用範囲は全然同じ
範囲にいたし、又
施行の
期日も同じ
範囲にいたすということに相成
つておるわけでございますが、十月一日に遡ります場合においては、今申しましたような
考えで、尚
関係方面と
折衝中でございますが、いずれにいたしましても
手当法の方だけを更にこれ以上遡りましてということは不可能じやないかと実は
考えております。
それから第
五條の
標準報酬の点でございますが、これは丁度
保險法の第十七條の
規定と相照應するわけでございまして、同じ
趣旨に相成
つておるわけでございます。それでこれは
失業者の数の予想がつかないから、それによりましてこの
金額をどうこうしようという
考えは持
つていないのでございます。
失業手当金といたしましては一應の
予算額は追
つて議会に
提出に相成るはずでございますが、若しもこの
法律で決めております
金額が足りない場合は
予備金でも出して貰うということに相成
つておるわけでございまして、その
財源関係からこれを上下にいたそうという
考えはないのでございます。但しここに書いております
意味は、大体の
標準になりますところは百分の五十五にいたしまするが、
金額は
標準報酬が高いものにつきましては
段階的に百分の三十五まで逓減さすことができる、又
金額が少いものにつきましては百分の七十五まで逓増することができる、こういう
趣旨に
なつておるわけでございます。そういたしまして、どういう
段階を拵えるかということにつきましては一應の案は持
つておりまするが、尚これも
関係方面と
目下折衝中でございます。而してこれを
政令に讓りました点は、私たちとしましては
賃金が非常に移動いたしますことは望ましいこととは
考えておりませんが、併し
法律上ということになりますと、
賃金は動き得るものだという前提で物を
考えねばならんかとも思うのでありまして、そういう
賃金が動きます場合をも予想いたしまして、この
標準報酬に対して何パーセントという比率の表は
賃金の移動によりまして変らなければならん性質のものでございますので、
法律上の建前といたしましては、むしろ
政令へ讓るのが適当じやないか、かように
考えて
政令に讓りましたような次第でございます。
それから第六條の「離職の日の翌日から起算して、一年間」とありますのは、これは
失業者としましては一年の間に
公共職業安定所に求職をいたして、
仕事があれば
失業手当金は貰えませんし、
仕事がない場合には
失業手当金を貰う、かようになるわけであります。でありますから、普通の場合を
考えますれば、
仕事のない人は逸早く
公共職業安定所へ出頭するわけでありまして、そうしますれば
失業手当金の
支給日数としましては、第八條に百二十日、約四ケ月ということに
なつておりますが、一年の
期間の間には百二十日という
支給日数だけは費してしまうということが
考えられるのでございます。從いまして一年の間という
期間を切りまして、その間になるたけ早く出頭をして貰いたい。そうしてそれ以後になりまして、例えば二年も三年もちつとも
安定所に出頭しませずに、思い出したように後から出頭して参るといつたことでは事務の整理にも困りまするし、又
失業手当金を設けました
趣旨から申しましても、なるたけ早い
期間に出頭いたしまして
仕事に就くなり、
手当金を貰う、こういうのが普通予想されることでございますので、第六條ではこれを一年間といたした次第でございます。これは
保險法でも同じ
趣旨に相成
つております。
それから第十九條の
審査会の
規定でございまして、これに女子を必ず
委員に入れるようにという
規定を設けるようにという御
意見でございますが、これは
原案者の
意思といたしましては、外の法令とも同じように、特に
法律の上で書く必要はないかと存じておりまするが、これは皆樣が
十分愼重に御檢討願えれば結構だと存じております。
それから第二十
五條でございますが、これは
法律には包括的にいろいろの「
報告をさせ、
文書を
提出させ、又は出頭させることができる。」ということに
なつておりますので、御
意見のありましたような点も、是非必要ならばそういうことを
政令なり省令で書いてもいいわけでございます。
施行の細則で
規定してもいいわけであります。但し仮に
縁故採用に
なつておりましたような者が出頭して参りました場合には、
安定所としましては、できますだけの
範囲の資料を以ちまして、
本人が果して
失業かどうかの判別をいたすわけであります。尚
失業手当金の
支給條件にも書いてございますように、
支給制限の
規定にも書いてございますように、指示した
職業、紹介した
職業を正当なる理由なくして拒みました場合には
支給の
制限があるということもあります。でありますから、すでに
就職しております者が本当に
就職したような場合には、むしろそういう二重の
就職が起りますようなことを余りいたさないのじやないか。御心配になりますような点ははつきりした
就職じやなくて、時々闇商賣式な商賣でもや
つておるというような場合が起るのではないかと思うのでありますが、いずれにいたしましてもそういう
報告が必要でありますれば、二十
五條の
施行の
規定としてそういうことを
規定いたしたいと思
つております。それから尚そういう詐欺の手段によりまして
手当の
支給を受けようとした場合には、第十
二條によりまして
支給の
制限がありますことは御
承知に
なつておるかと存じます。