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1947-09-22 第1回国会 参議院 労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    付託事件職業安定法案内閣送付) ○勞働基準法の適用除外規定設定に關  する陳情(第二百五十二號) ○失業手當法案内閣送付) ○失業保險法案内閣送付)   ————————————— 昭和二十二年九月二十二日(月曜日)    午前十一時四分開會   —————————————   本日の會議に付した事件職業安定法案   —————————————
  2. 原虎一

    委員長原虎一君) どうもお待たせいたしました。只今から委員會開會いたします。本日は職業安定法案の第四章、二十六ページでございます、雜則に對する質疑應答をいたすことにいたします。念のために申上げますが、第四十九條の二行目の中頃から下でございます、「當該官吏をして、その事務所又は事務所に臨檢し、」となつておりますが、上の方の「事務所」は「事業所又は事務所に臨檢し、」というのが本當で、誤植になつております。  第四章雜則について特に御質問がないようですと、五章は先日いたしましたから附則だけになります。しかし五章にも、先日は短時間でありましたから十分質問がなされていないかと思いますので、五章と附則について御質問を願えばこれで終ると思います。
  3. 赤松常子

    赤松常子君 ちよつと字句のことでございますが、二十九ページの第五十四條の最初の一行に、半ば以降に「及び勞働力事業に定着させることによつて」とございますが、非常に勞働者というものを物的に見ての「勞働力事業に定着させる」というような表現を改めて、「勞働者事業に安定させる」と言つてよろしいのではないでしようか、ちよつと字句の訂正でございます。
  4. 上山顯

    政府委員上山顯君) 只今のお尋ねの點、字句の點でございますから、特にこだわつてどうこう申す積りはございませんが、只今勞働力」とか、「勞働」とか……「勞働」は勿論御異議もないと思いますが、「勞働力」というようなことは、一般に使つておる言葉でございまして、實は本法でも、第一條から「勞働力を充足し」とか、第四條あたりにも「勞働力を最も有効に發揮させる」という言葉があるのでございます。それで第一條あたりにつきましても、憲法にもございまする「勤勞」という言葉を使つたらどうかという考え方もあつたのでございますが、勞働基準法が全部「勞働」という言葉で通しておりますので、むしろ「勤勞」を避けまして、「勞働」なり、「勞働力」というような言葉を使いましたような次第でございます。御了承願いたいと思います。
  5. 赤松常子

    赤松常子君 それもよく存じておりますが、できるだけなんと申しましようか、そういう表現が餘り無理でないというところはそれでも宜しうございますけれども、なにか「定着」というようなことが非常に物と見るような觀念が強いものですから、特に申したのでございます。前後の字句の使い方によつて、「勞働力」という言葉が、そう物的でない場合はいいと思つておりますが、次に「定著」というようなことがあるものですから、そう申したのでございます。
  6. 原虎一

    委員長原虎一君) その外にございませんですか。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 五十五條につきましてちよつと大臣のお考えを伺いたいと思います。五十五條によりますると、「この法律を施行するために必要な經費を支出しなければならない。」当然のことでありまするが、大きな原則がここで定められておるわけでありまして、從來ややもいたしますると、いろいろな出先機關に各方面からの寄附金を半ば強制的に募集せられまして、そうしてそのために嚴正中立であり、權威を以て處理しなければならない行政を、ややもすると不明朗化に導きました例は多々あるのでありまして、そういうことを完全に防止するという見地から、かようにいたされましたことは、よく意味は分るのでありまして、問題は、これをいかにして強力にこの條文にがつちりとマツチし得るように、その根本精神に則りまして、實踐するかどうかということにあるかと思うのであります。ところが實は一昨日でありましたか、私の選擧區から上京しました者から實に意外なことを聞いたのであります。それは愛知縣豊橋方面出來事なのでありますが、勞働基準監督署の設置のために、出先の官吏の方が各方面寄附を相當強く要請せられた向きがあるのであります。そうしてその一應の形が整いましたところで、寄附先方々を招待せられまして、一つ會合を持たれたそうであります。その席上でたまたま寄附主の外に勞働組合出身の者が入つておりましたのを、その係の方々は御承知なくて、純寄附主、いわゆる勞働組合員でない人々だけの會合というこういうような工合にお考えになりまして、その席上でこういうようなことを係官發言されたそうであります。それは寄附に對する謝辯を述べまして、そうして監督署の今後を方針として、若し勞働組合側から特別な苦情が出ない限りにおいては、あなた方のおやりになることは十分に意を酌んで處理するであろうというようなことを述べられたということであります。出先の、私の知つておりまする勞働組合人々が、非常にこの問題を聞きまして、その會合で直接係官にも見解の餘りにも非常織であることを責めたそうでございますが、更に現在も上京してそのことをくれぐれも私に申傳えて參つたのであります。若しもここに行われたようなことが今後各方面において行われるというようなことがありましたならば、この問題は唯單にそこの、今例に擧げましたところの基準監督署の問題でなくて、少くとも嚴正中立を標榜し、しかも過日山田委員から今後の勞働行政は曾ての慈善事業であつてはならないということが指摘せられましたけれども、併しその仕事の積極的な開拓の面においてそういうことを指摘せられたのであります、運營内容におきましては、慈善事業よりも、もつと掘下げた親切な態度で臨まなければならんとこういうように考えるのでありますが、スタートするか、しないかの途端においてこのようなことが行われておるということを聞きますと、誠に遺憾に堪えないと思うのであります。私は更に昨日私に傳えられました勞働組合の役員に對しまして、事細かに實情を調べて報告するように依頼をいたして置きました。他日機會がありましたならばお耳に入れたいと思つておるのでありまするが、過日米窪大臣は、一切の寄附行爲は中止するように指令したということを仰しやつておりましたが、それが途中でこういう具合にぼやけておるということは、結局法律によつて決定したところの政府機關は、地方出先係官としては、どうしても職責上完成しなければならないところの義務があると思います。そうしてそのために若し國庫が十分な費用を支出しないならば、勢いこういうような羽目に陷らざるを得ないと思うのであります。從いまして只今申上げました實例一つの參考とされまして、今後果して勞働省は、この五十五條の定めの通りに十分なる費用を出すところの責任を感じ、且つそれに對して積極的な努力をされるかどうか。若しそれができなかつたときにどういうような態度をお取りになるか、その點をお伺いしたいと思うのであります。
  8. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) 只今栗山さんの御發言は極めて重大でございまして、實は職業安定事業ばかりでなく、勞働基準法に基く出先機關が、そういうような寄附行爲をすることは甚だよろしくないということで、私が勞働大臣に任官した翌日、即ち九月の二日に、嚴重なる通達を地方出先責任者に出した。なぜというと、當時私、勞働省の發足する前の國務大臣の當時に、或る縣で、その縣へ行つた機會に、勞働基準局をその縣に設ける。その下に監督署を設けるということで、その監督署をその土地に設けることの交換問題として寄附を豫約しておつたということを聞いて、市長から聞いている事柄とその縣の地方勞働基準局長からの報告との間に多少の喰い違いがございまするが、いずれにしても、どちらが言い出したかどうかということは別問題であるが、いずれにしても寄附行爲の内約があつたということを聞いて、これを直ちに全國的な問題に私としては取扱わなければならない。その縣が一つの例になつて、これに倣う縣ができて來たらいかんというので、嚴重なる、こういうことのよくないということの通告を出したのであります。併しこれは栗山さん御指摘の通り、そういう寄附行爲を止めて置きながら、段々その縣に勞働基準局なり、或は地方職業安定所出先機關運營して行くのに、本年の豫算で賄うことができない場合においては、これはどうしても中央政府責任になるのでありまして、政府は……勞働省は現在追加豫算の中に、地方出先機關として、地方勞働基準局職業安定所運營に最低限度必要な費用を目下追加豫算として大藏省に折衝中でございます。これができないときには、即ちその追加豫算の請求が大藏省によつて聽き入れられないときには、どうするかということでございまするが、私はそういう場合においては、豫備金からでも非常支出をして貰うという覺悟を持つておる者でございます。簡單ですが、お答えいたす次第であります。
  9. 原虎一

    委員長原虎一君) その他にございませんか。
  10. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 せんだつての、横濱職業安定所とそれから横須賀の方の見學に參りましたときに、神奈川縣縣廳のお役人樣一緒にお集りになつた席で、特にあちらの人から依頼を受けたので特に御報告申上げるのでありますが、職業安定所出先とそれから基準局のあれとが、二本立になつているので、極めて仕事がしにくくて仕樣がない。あれはこういうふうにやつて貰うと、内容が分らなくて仕樣がないから、是非委員會のときに報告してくれといわれましたから申上げて置きます。
  11. 米窪滿亮

    國務大臣米窪滿亮君) これはたびたび申上げたと記憶しておるのでありますが、勞働基準局はこれはどうしても一つの單獨の獨立の勞働行政機關として中央から地方に移管せよという命令で、これは止むを得ないと思います。唯職業紹介の點については從來もやつておる通り、今後も大體そつちに委託する考を持つておるのであります。勿論職業安定所というものも作つて參るのですが、大體その事務所は縣の所在地においては縣廳の中へ、地方においては、その地方地方事務所であるとか、市町村連絡をとつて身分勞働省役人でございますが、給與等はやはり縣知事に送つて縣知事から支給してもらう。事務費等につきましても、中央から流すものも、又若干都道府縣でこれに支給する、支拂をする事務費も、合せて縣知事の方から出してもらうというような實際上の事務の取扱をしているのでありまして、職業安定所に關する限りは、縣の職業紹介に關する事務を行つている者と十分な連絡をとつて、成るべく同調してやつていく方針中央から地方へ言い渡してあるのでありまして、この點は中央出先機關が地上の行政機關と摩擦を生ずるおそれは恐らくないだろうと考えております。ただ勞働基準局出先機關一緒にやるということは、さつき申上げたような具合で、どうしてもそこは基準局仕事職業紹介仕事とおのずから違うので、これは同じ系統でこれを綜合せしめることは困難である。この點は御了承願いたいと思います。
  12. 原虎一

    委員長原虎一君) 質問打切つてよろしうございますか。……別に御異議もないようでございますから、一應これで豫備審査のための質疑を打切りまして、あとは御討議を願いたいと思います。と申しますのは、明日の衆議院の本會議衆議院勞働委員會から本案を提案されて決定を見るようでありますから、その前にできるだけ當院の委員會における綜合的意見が決まりますれば、衆議院とも或る程度連絡をした方がよくはないかと考えます。質問がなければ政府委員の退場を願いたいと思いますが、よろしうございましようか。
  13. 赤松常子

    赤松常子君 この秘密の嚴守の方でございますが、市町村長の職務の中に、いろいろ問合せがあつた場合の報告をする義務がございます。勿論これはいいことでございますけれども、やはり必要以上に、なんと申しましようか、その人の身分、或いは部落出身であるとか、或いは前に刑罰を受けたとか、或いはその前の職場の失策、落度を誇張して報告するとか、そういうふうなことは、今はその人が改心しておりましても、そういふことのために非常に不利な立場に追い込められる例が随分今までございました。今はそういうような部落のことを云々する人はないだろうといふことは一應常識になつておりますけれども、實際問題といたしますと、なかなかこれは職場では重要に考えておる問題でございます。若しも秘密が洩れた場合の罰則というようなものは、どういうふうになるのでございましようか。これにはそういう罰則の該當がないのでございますけれども、ちよつとお聽きしたいと思います。
  14. 上山顯

    政府委員上山顯君) お答え申上げます。これについては罰則規定はございません。但し政府の行うものにつきましては、これは政府行政監督をいたしまして十分注意いたすつもりでございます。それから許可を受けまして募集とか、紹介とか、供給業をやるというような者が萬一そういうことをいたすというようなことでございますと、許可の取消というような處分もいたしたいと思つておるのでありまして、十分遺憾のないようにいたしたいと思つております。規定の上では罰則は設けてございません。
  15. 赤松常子

    赤松常子君 若しそういう場合に、勞働者が申し出るところが、民法やそういつた面での點で個人の名譽毀損で訴えてもよろしうございますけれども、そういうような今までのちよつと煩わしい手續を經ませんでも、こういうようなことを申し出る窓口というようなものはございましようか。そういうところを簡單に設けて頂きたいと思います。
  16. 上山顯

    政府委員上山顯君) それは安定所等仕事でありますれば、直接安定所にお出で願いまして、仰しやつて頂いても結構でありますし、安定所監督官廳である府縣職業安定課長というところへ書面等で仰しやつて頂いても結構でございますし、その他民間の營む事業につきましては、これ又府縣なり、安定所なりがいろいろ監督仕事をやつておりますので、そういうところに申し出て頂きたいと思います。
  17. 赤松常子

    赤松常子君 今までそういうことで随分申し出ましても、法律規定がないからと言つて逃げられておりましたけれども、この法律の中にぜひそういう罰則を入れるよう強く要望いたします。
  18. 上山顯

    政府委員上山顯君) 罰則は設けてございませんが、五十一條に、そういう義務をはつきり法律規定しておるわけでありまして、只今の點につきましては、今申したような行政官廳なり、その他の方法によりまして、十分この規定が施行されるように努力いたしたいと思います。
  19. 原虎一

    委員長原虎一君) あとから御出席の方があるようでありますが、第四章雜則以下質疑應答はほとんど終つたのであります。特に御發言がなければこの程度質疑を打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。
  20. 原虎一

    委員長原虎一君) 御異議ないものと認めまして、豫備審査のための質疑を打ち切ることにいたします。  それでは本日はこれで散會いたします。    午前十一時二十八分散會  出席者は左の通り。    委員長     原  虎一君    理事            堀  末治君            小川 久義君            栗山 良夫君    委員            赤松 常子君            木下 盛雄君            紅露 みつ君            深川タマヱ君            早川 愼一君            姫井 伊介君            穗積眞六郎君            松井 道夫君            岩間 正男君   國務大臣    勞 働 大 臣 米窪 滿亮君   政府委員    勞働事務官   上山  顯君